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1970-05-12 第63回国会 参議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月十二日(火曜日)    午前十時四十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山内 一郎君     理 事                 熊谷太三郎君                 安田 隆明君                 山本伊三郎君                 原田  立君     委 員                 西郷吉之助君                 内藤誉三郎君                 初村瀧一郎君                 船田  譲君                 増田  盛君                 山崎 竜男君                 吉武 恵市君                 若林 正武君                 竹田 四郎君                 千葉千代世君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 市川 房枝君    国務大臣        法 務 大 臣  小林 武治君        自 治 大 臣  秋田 大助君    政府委員        法務大臣官房会        計課長      伊藤 榮樹君        自治省財政局長  長野 士郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        法務省矯正局保        安課長      倉見 慶記君        文部省管理局助        成課長      松浦泰次郎君        厚生省環境衛生        局食品衛生課長  鴛淵  茂君        厚生省環境衛生        局公害部環境整        備課長      石丸 隆治君        建設省河川局水        政課長      堺  徳吾君        自治省行政局公        務員部給与課長  潮田 康夫君        自治省財政局財        政課長      森岡  敞君        自治省財政局交        付税課長     横手  正君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査  (昭和四十五年度地方財政計画に関する件)     —————————————
  2. 山内一郎

    委員長山内一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十五年度地方財政計画に関する件を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のおありの方は順次、御発言を願います。
  3. 原田立

    原田立君 きのうに引き続き、交付税のことでお伺いするわけでありますが、最近大都市財源問題等がいろいろと大きな課題になってきているのでありますが、私、その前にちょっと法務大臣おいでをいただきましたので、刑務所の所在している市町村における財政的な問題、これをひとつ取り上げてみたいと思うんです。あまり具体的な事項になっておりますので、もしあれでしたら、局長のほうからでもお答え願えればけっこうです。  福岡藤崎にありました福岡刑務所が粕屋郡宇美町に移転して今日に至っているわけでありますが、この福岡藤崎にあったときには、しばしばというのではありませんけれども、いろいろな事故がありました。その後、宇美に移ってからこの運営等は平常事故なく行なわれていたかどうか、その点いかがでしょう。
  4. 倉見慶記

    説明員倉見慶記君) 矯正局保安課長倉見でございます。  局長、ただいま法務委員会に参っております。  福岡刑務所におきます事故の件についてのお尋ねでございますが、昨年、昭和四十四年四月二十六日、刑務所営繕工事をやっております場所で、上水道水道配管工事中、住居侵入、強盗、窃盗等、四年三カ月の刑期を持ちます営繕受刑者小沢光一職員の視察のすきを見まして目前から逃走いたしました逃走事故が一件ございます。同管轄の久留米拘置支所におきまして、同年四月二日同じく被告人運動中に逃走いたしました件がございます。福岡刑務所本所におきます逃走事故は、ただいま申し上げた上水道水道配管工事中の逃走一名ということになっております。
  5. 原田立

    原田立君 かつて福岡のときにも、私その現場付近に住んでおりましたので、逃走騒ぎがあってたいへん市民が不安におののいたことが事実ありました。今度は宇美町に移ったわけでありますけれども、いまのお話宇美町に移ってからのことでありますけれども、その際、警察との連携及び捜査については十分であったのかどうか、なぜこういうふうなことをお聞きするかというと、非常にこういうことを申し上げてはたいへんどうかと思うんでありますけれども、やっぱり刑務所がくるというのはあまり地域住民にとってはありがたく思っておりません。それで、そういう事故のないようにこそ願うのが地域住民願いであります。その点お聞きするわけです。
  6. 倉見慶記

    説明員倉見慶記君) 刑務所におきます逃走事故に際しての、刑務所及び警察連携活動についてのお尋ねでございますが、監獄法の規定によりまして、刑務官逃走後四十八時間限り、いわゆる自力執行逮捕権を許しているわけでございます。したがいまして、当面最もその受刑者を知っておる刑務官によって逮捕するのがたてまえということになるのでございますが、ただいま仰せのとおり、現在自動車その他非常に逃走方法としては発達いたしておる現状でございますので、原則といたしまして直ちに警察に通報いたし、その手配写真あるいは帰る見込み先等連絡をいたしまして、たてまえといたしましては必ず警察共同捜査をするというふうに指導いたしております。本件の場合につきましても、具体的にその報告は詳細にはございませんでしたけれども、当然、警察に通報したものと思われます。  それから新福岡刑務所場所は御指摘のとおりたいへん離れておりまして、したがいまして、地域住民によるところの逃走事故に対する協力あるいは逆に地域住民に対する御迷惑という点も十分配慮いたしておるつもりでございますけれども、御存じのとおり、職員がすべて官舎に住んでおるわけでもございませんので、その点あるいは不十分な手配があったかもしれません。必ずその場合には中の作業を中止いたしまして、職員を全面的に逃走逮捕の配置にいたしておるわけであります。すみやかに逮捕をいたしまして、住民に御心配をかけないように当局といたしましては指導をいたしておる次第でございます。
  7. 原田立

    原田立君 宇美町から見ればたいへん離れているようでありますけれども、あそこは急造地域みたいなんですね。道路がたいへんくねくねしておりまして、傾斜を削ったり何かして非常に道路がよくなっていない。前の話とちょっと関連がありませんけれども、私これは道路の問題でお聞きしたい。去年、私、小平法務委員長宇美刑務所に行ってきました。そのときに関係の方、所長さんのお話ですと、この道路舗装が非常におくれておるのでたいへん苦慮している、それは地域住民、町長さんあたりも早く直してもらったほうがいいなというような意見のほうが強うございました。まだあの道路は予算がつかないとか何とかいうことでたいへんあとに延びるようなことをお伺いしてきたんでありますけれども、その後、そういう面の状況はどうなんでございましょうか。
  8. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 実は福岡刑務所周辺道路事情、今日の時点でよく把握しておりませんので、たいへん申しわけないわけでございますが、刑務所構内道路にまだ不完全な点がございますれば、なるべくすみやかに補修をいたしたいと存じております。また構外の町あるいは県で御管理になっております道路に関しましても、関係方面へ極力お願いをして直していただくように努力したいと存じます。
  9. 原田立

    原田立君 急な質問ですので、はっきりとしたところがおわかりにならぬだろうと思うのでありますけれども刑務所内ではなくて、刑務所に至る道路です。福岡から宇美町に入り、宇美町から刑務所に行く道路です。町の中といっても、ずっと山のほうになっておりますから、その途中は非常にいま申し上げたように急につくられておりますので、まだ舗装も何もされておらない。雨が降るとどろどろになっちゃって、がけくずれするようなおそれのあるところもある。また聞くところによると、バスは日に五本ぐらいしか出ていないという交通の便もたいへん不便なところになるのでしょうが、そういう道路舗装、これは何も宇美刑務所ばかりでない、今度新設されるような場合、移転するような場合、大体つきまとう問題ではないかと思う。だから、あなたのほうでもう少し具体的なお答えをいただきたい。
  10. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 御指摘のような事情でございますと、刑務所自体刑務所外道路を直すということもできませんので、結局町その他におすがりするというようなことに相なるわけでございまして、あまり歓迎されないと仰せになります刑務所がそこへ参りました上に、道路で御迷惑をかけるということはたいへん心苦しいわけでございますが、早速私どもでも実情を調査いたしまして、何とか改善の方途を講じてまいりたいと思います。
  11. 原田立

    原田立君 実は福岡市の藤崎刑務所宇美のほうに移るについて、宇美町と福岡市といろいろと話し合いをしたわけですが、そのときに宇美町のほうから、こういう施設をもってくるのだから、あれもつくってくれ、これもつくってくれというようなことで、関連施設をだいぶつくった模様なんです。こういうように、刑務所移転のような場合に、いろいろな話し合いが行なわれるわけであります。それで、いままでお話ししたように、宇美のほうに移るために、宇美町を説得するためにいろいろと関連施設をつくっているのだが、その費用は国で見られていなくて、福岡市で全面的にそれを負担している、こういうことになっております。当時たいへんこのことで福岡市のほうが財政的に困って、何とかならないだろうかというような要望もありました。こういうようなことは、何度も申し上げるようでありますけれども刑務所移転という問題になったときに、必ず全国的に起きる問題ではないかと思うのです。私はあまりよく知らなかったのですが、法律の中に国有資産等所在市町村に対する交付金及び納付金、これがあるので、刑務所なんかもそれに当てはまるのだろうというふうに思っておったけれども、これはどうも該当しない模様のようなんですね。となると、関係福岡市が財政的には一方的に支出してそのままであるというようなことになる。こういうことは地方財政を充実しようというようなときにあたってはあまり好ましくない姿ではないだろうかと、こう思うのです。法務大臣、こういうふうなことに関して、そういうようなことが起きた場合にはもっと財政的には援助すべきではないか、国として。財政局長どうですか。
  12. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 具体の問題について私ども詳細な実情は承知しておりませんけれども、私もかつて福岡におったこともございますが、その印象から申しますと、刑務所移転という問題の、移転をしてほしい、あるいは移転をしたいということになりましたのは、むしろどちらかといいますと、移転をしてほしいというほうの願いから移転が実現したというかっこうではなかったかと思います。そういう意味で考えますと、それはしかし、同時に刑務所のあり方としても適当だという御判断も法務省の御当局にはあったからではありましょうけれども刑務所移転という問題は、やはり福岡市の強い多年にわたる要請が実現をしたという形であったことはどうも疑い得ない事実だろうと思うのであります。そういうことでありますが、同時にまた、それを受け入れ町村にとってみれば、先ほど先生からお話がありましたように、正直申しましてあまりありがたくないということでもあったろうと思います。そういうことであるがゆえに、この受け入れ条件、つまりそれは刑務所とか法務省との関係ではなくて、移転要望する市と、受け入れを承諾する町と間における、受け入れやすくするための条件の整備というか、そういう問題が問題であったのではないかと、これは推測でございますけれども、そういうような推測をいたすわけでございます。したがってその点につきまして、関連施設は確かに刑務所にもいい影響を与えるような関連施設であろうと思いますが、同時にまた受け入れ町村としても、町村行政施設として非常に受け入れ側地元住民を納得させるに足る、そういうものであったともいう要素も大きいように思われる。伺っただけで、はっきりわかりませんけれども、思われるわけでございます。  そこで、両方の利害を一致させるという意味で、福岡市が受け入れ町村相当施設の出資、施設の必要な経費についての援助、負担、そういうものをしたという一つの実績がそこに横たわっておるのじゃなかろうかというふうに推測がされるわけでございます。そうでありますと、こういう場合に、国の関係において国こそ負担すべきだということが一体、正直申しましてどの程度妥当なものか、これはもう少し検討してみないと、必ずそういう場合に国の責任なり負担ということのみをどうも申すことが妥当であるかどうか、実態におけるケースもいろいろ考えながら検討してみなければならないのではなかろうかというふうに思うわけでございます。
  13. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 先ほど原田委員から、刑務所事故付近住民に非常に迷惑をかける、そのとおりでございまして、ときどきあることは非常に私ども刑務所管理上残念なことだと、かように考えておりまして、できるだけもうそういうことのないように今後とも注意してまいりたいと思います。それから、もしそういう事故が起きたら、すぐに警察と共同してやる、当然なことでありますので、これらのことは十分注意してまいりたいと思います。  なお、刑務所移転問題も全国的の問題でありまして、従来その市の郊外にあったものが、いまではもう市街地の中心になる。こういうことで、もう各全国の市におきまして、刑務所移転というものが問題になっておるのでございまして、福岡刑務所におきましても、あるいは長崎佐世保につきましてもみな同じ問題でありまして、実は法務省当局としましては、その場所にそのままあるということが、建物等もそう老朽化しておらなければ移転の必要がない。ことに従業員が非常に刑務所移転に反対をするのでございまして、自分らの生活上の理由によって反対しておる。しかし、とにかく、町の中にあるということはどうしてもこれは国としてもできるだけ避けなければならぬ、こういう方針によって全国的にこの計画をいま進めておるのでございます。それにつきましても、何しろ全国にたくさんの施設があるから、一度にはできないということで、年次計画をきめて順次これを行なっておるのでございますが、その際、実は法務省土地建物については地方には御迷惑をかけない、こういうことを考えております。ただ、その市にしても地方団体にしても、非常に大きな利益を得る問題であるから、たとえば刑務所に通ずる公道からの取り入れの道路というふうなものはひとつ自治体でやってほしい。また、上水道とか下水道とか、そういうふうなものはひとつぜひ地方において御負担願いたいと、こういうことをいままで大体いたしておりますが、これも私は、やっぱり国としてはある程度やむを得ない。その土地が非常な大きな利益を得ると、こういうこともありまするから、ある程度お願いをすることはやむを得ない。私どもはこれからは、これもやっぱり自治団体負担でありますから、これこれの程度の金がかかるということは、場合によったら特別交付税対象にもなるだろうししますから、これからひとつ自治省のほうにも通知をいたすことにいたしましょう。この刑務所関係でこの団体にはこれだけの余分な負担をかけることになるというようなことを通知を申し上げて、ひとつ適当にはからっていただきたいと、そういう措置もとりたいと、こういうふうに思っております。  なお、非常に地方がお困りになるのは、何しろ旧刑務所場所が非常にいい場所でありまして、これを切り売りするわけにもまいりません。どうしても公共的に利用してもらいたいと、こういうことになります。あるいは運動場をつくれとか、図書館をつくれとか、あるいは市民会館をつくれとか、公園にするとか、こういうふうな用途の指定をどうしてもいたさなきゃなりませんから、そのために実は都市のほうは、これを引き受けても、利益には、金銭的の利益を得ることはきわめて困難である。大体その土地の公共的なものに使用されると、こういう制限をつけまするから、だからして、その面からもその町の負担が非常に大きくなるということは、すなわち、われわれのほうに建築交換をいたしましても、土地を買い、あるいは建物をつくっていただいても、その対価として得る旧刑務所あと地というものが用途を指定されるために、その都市利益にならぬと、こういうふうな金銭的の問題もありますから、いずれにいたしましても、このことは、地方公共団体にとりましては相当負担だろうと思います。したがって、これらについても、もし自治省等において特別交付税等対象とでもしていただければ非常にけっこうな話じゃないかと、かように思いますが、その方面連絡も今後いたしたいと、かように考えております。
  14. 原田立

    原田立君 実際、前の長野局長お話にあったようなことは事実です。だけど、おしまいのほうの話のことはどうも気に食わない。というのは、福岡市のほうで移転してくれという要望が強くて行ったんだから、そっちのほうの要望が実ったんだから、それは国のほうでめんどうを見るのはちょっとその時点では考えなきゃいけないと、何か渋っているような、そんなふうな言い方をさっきしているわけだ。その点が非常にわれわれ納得しがたい。いまも法務大臣から話があったように、昔は刑務所場所というのは事実郊外であったんでしょう。だけど、いまはもう都市巨大化ということで、市の中心部になっちゃっている。こういうのは、何も福岡のことばかりでなしに全国的に言える問題だと思う。いま法務省としても、年次計画で逐次それをやっていくと、こうなれば、全国的に波及する問題だと思う。そういうようなことが眼前にありながら、財政当局局長が、そんなのはあまり関知しないんだというような答弁では非常に納得しがたい。これはもう少し、もっと前向きな姿勢があってしかるべきだと思いますが、どうですか。
  15. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 私が申し上げましたのは、いまの地方団体間のそういう受け入れなり送り出しなりの関係における話し合いだから、地方団体間で、そういう負担をしたり、負担受け入れたりするということが要素として多いんじゃなかろうかということを申し上げたにすぎないのでございます。したがって、刑務所移転した法務省側責任ということだけ、それが全然ないとは言いませんけれども、それをあんまり強調するわけにもまいらない実態があるのじゃなかろうか。そういう意味で、もっと具体的のケースに即して検討をする必要があろうということを申し上げたわけでございますが、そういう意味で、地方団体間でありましょうとも、それが公共的な一つ意味を持ち、客観的にもその財政負担というものは当然避けがたい、地方団体としてやむを得ないものであるというようなものでありますといたしますならば、これは先ほどの大臣お話もございましたが、私ども法務省当局からいろいろ御連絡をいただいて、私ども範囲で講じられまする必要な措置については検討いたしまして、前向きに措置すべきものは措置してまいりたい、こう思います。
  16. 原田立

    原田立君 法務大臣に、時間があまりないようですから全部まとめてしゃべります。  いまの宇美町の問題もそうでありますが、いま、はしなくも大臣お話の中にありましたが、従業員通勤範囲が非常に広くなってきております。それで職員住宅等もぜひつくってくれというような強い要望が現地でありました。あるいはまた、従業員の子弟の小中学校通学、これらも十分当局としては考慮しなければいけないのじゃないだろうか。これは福岡宇美町の福岡刑務所の問題、それから長崎市内にある長崎刑務所浦上支所ですか、その中に長崎拘置所というのもあるわけでありますけれども、これは現在、佐世保のほうに受刑者は移し、そうして地元長崎拘置所拘置所のみを残すということのようでありますけれども、この間、工事をやるにあたって、この長崎市内浦上刑務支所にいる人たち諫早のほうが本所ですか、あちらのほうへ移すというようなことで、これは何年かかるかよくわかりませんけれども、その点の計画もお聞きしたいと思うんですが——それに伴って、職員が、長崎市内に現在居住している者が、諫早通勤しなければいけない。そうすると、諫早の駅から、何か一時間半ぐらいかかるようなぐあいのことを聞きました。そうすると、朝三時半ごろ出勤しないと勤務地に着けない、こういうようなことがあったり、あるいはまた、この長崎拘置所が、従来のところ、すなわち、長崎浦上ですね、この浦上も、昔は非常にへんぴなところであったそうでありますけれども、いまは、中心街とは言わないけれども住宅街、あるいは学校街になっておる。そうすると、新たに建てかえをするのにこういうようなところにつくるということは、これはまた問題なんじゃないでしょうか。やっぱり郊外に移すとか、そういうことが十分考慮をされなければいけないのじゃないだろうか。こういうような問題は、長崎ばかりじゃなしに、静岡でも、あるいは名古屋でも、同じような問題だと思うんです。ちょっと宇美と、それから長崎の件、二つだけ一応お伺いしておきたい。そのあと、宇都宮の刑務所の問題のことも、ちょっと結論的にお聞きしたい。
  17. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 先ほど大臣もおっしゃいましたように、刑務所移転しますと、職員通勤等の問題が直ちに起こりまして、私ども、最も頭を痛めておるところでございます。福岡刑務所の場合におきましても、一応、相当の数の職員宿舎はつくっておりますけれども、やはり子供の通学等関係から、福岡市内から通勤したいという者もございまして、そういう人にとっては、なかなかその通勤めんどうをかけておりまして、たいへん申しわけなく思っておるわけでございます。  それから長崎の問題でございますが、これは簡単に申しますと、かねてから地元の市のほうから移転してほしいという要請が強くございました佐世保刑務所とそれから長崎の、いま御指摘長崎刑務所浦上刑務支所、この二つ刑務所移転することにしたわけでございます。移転をすることにいたしましたが、佐世保のほうは移転先がわりあいスムーズに見つかりましたが、長崎浦上刑務支所移転先、これがたいへん紆余曲折がございまして、適当な土地がどうしても見つからないわけでございます。たまたま地形、形状がどうにかいいというところが見つかりますと、水が全然出なかったり、あるいは水の出るところでございますと、刑務所を建てるだけの地盤がないといういろんな問題がございまして、いわゆる万策尽き果てまして、やむなく既存の浦上刑務支所のごく一部分のところに、面積を非常に狭くしまして長崎拘置支所を新設せざるを得ないということになったわけでございます。そういうことになりました結果、浦上刑務支所長崎拘置支所になりますと、規模がたいへん小さくなります。そこで従来浦上刑務支所に勤務しております職員相当部分は他に配置転換せざるを得ないという事情になります。これも長崎刑務所本所諫早にあるということで、そこへ持っていくことにしたわけでございます。ところが、私どもの手違いでもあるわけでございますが、諫早にこれらの職員受け入れるに十分な宿舎を計画いたしておりますが、その完成がおくれております。そのために暫時の間、従来の浦上刑務支所の宿舎に住みながら諫早通勤してもらうという措置をとらざるを得ないことになりまして、通勤してもらう人たちには気の毒でございますが、私どもとしては一応バスを仕立てて一括輸送するというようなことで当面糊塗しておるわけでございます。間もなく諫早に所要の宿舎ができますので、そちらへ移転してもらって解決をしたいと、かように考えておるわけでございます。
  18. 原田立

    原田立君 いまのお答えの中に、土地の確保について紆余曲折があったので現在地に建てなければならないという御説明があったんだが、るる申し上げているように、市内の中心に、浦上の場合には中心部よりちょっとはずれてはおりますけれども住宅街や学校などたいへん多くあるところである。そういうようなところに移す、もっと郊外に移すというようなことを基本的な考えがおありなんだろうと思うんだけれども、その点お答えがなかった。その点。
  19. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) お説まことにごもっともでございまして、基本的には刑務所移転の場合になるべく都心部から離れたところへ持っていきたいと考えております。  ただ、もう一つ要素といたしまして、浦上刑務支所と申しますのは、先ほど御指摘もありましたように、刑務所拘置所が一緒になっておりました。拘置所のほうは、これは何と申しましても裁判所に近くございませんと役に立ちませんので、そういう制約もございまして、万策尽き果てました中にはそういう要素もあって、そのかわりに拘置所だけにして非常に小さいものにした、こういうことでございます。
  20. 原田立

    原田立君 あまり時間がないようですから、大臣にお聞きするんですけれども、宇都宮の刑務所移転も、同じような状況で黒羽町に移るそうですが、そこへ勤務する職員、これはいまの説明の中にあったように、全国共通の問題だと思う。移転によって職員の数としては、転校とか別居とかで通学、通勤しなければならない、そういうようなことになりますが、通勤なんかの場合には三千六百円以上になると税金がかかるし、そうなると、これはちょっと職員の大きな負担になってくると思います。あるいは自分の自家用車で通勤するときには七百円までは免税であるが、それ以上になると税金がかかる、こういうようなことになってきますし、そういう面での対策、これは考慮しなければいけないのじゃないかと思います。それからまた、ちょっとこまかい問題でありますけれども、何か学校を、これらの職員都市部にいる子弟が農村部に行くとやはりいろいろな問題があるのじゃないかと、このようなことがありますが、それはさておいて、何か黒羽町の場合には、現地に学校とか施設を新たに設けるというようなことも聞いております。そうなると、学校の教員問題であるとか、いろいろな問題が出てきますし、地方公共団体、黒羽町のそれにいろいろな何ぶんの財政的な負担がかかってくるわけですが、法務省としては環境施設、教育施設は全部持つというようなことを考えておられるのかどうか。あるいはまた、先ほど申し上げましたように、職員のそういう通勤費等々、それらは一体どんなふうに考えておるか、簡単でけっこうですから……。
  21. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは、お話のように従業員にとってはなかなか大問題でありまして、その生活あるいは子女の教育等についてはいろいろ考えてあげなければいかぬ。黒羽町の場合にはその受け入れ条件と申しますか、受け入れようとする町でそういう便宜をはかる、こういうふうなことに話し合いがついておるようでございます。しかし、いずれにいたしましても、その土地に非常に大きな負担がかかることであるから、私はいままでこれらのことについては法務省自治省とは打ち合わせてなかったのだろうと、こういうふうに思うのでありまして、どうしてもやはりこれからはわれわれとしてもそういうことを考えて、そうして地方団体の財政についても自治省においてひとつ適当な配慮をしていただく、こういうようなことをしなければならない。それでどうしても、移るほうにしても受け入れるほうにしても、大体希望があってやるということであるから、その際やはり多少無理だと思っても負担を引き受けてしまう、こういうふうな傾向にあると思いますが、しかし引き受けた結果はやはり財政圧迫になる、こういうふうに考えます。したがって、いまのようなことも、私先ほど申し上げたように、これからはひとつ自治省ともよく連絡して、いまのようなことはひとつきめたいと、かように考えます。
  22. 原田立

    原田立君 会計課長さん、あなたにもう一つお聞きするのだが、これはいま大臣自治省とよく連携をとっていくということなんですけれども、いままであまりなかったのだろうと思う、そういう連携が。それで今後その自治省との連携ですね、大臣はいま協力してやると、こう言っておるのだが、あなたの当局としてはどうですか。それからまた局長受け入れ側として、あなたのほうは、これは積極的にやる意思はあるのでしょうな。
  23. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 従来は私どもから十分自治省連絡するということは実はあまりしておりません。地元のほうでいろいろ既存の刑務所と交換すべき刑務所建物をお建てになるようなときに起債の問題で自治省のほうに御相談になるという、三角関係というとことばは悪いのでございますが、というような形で、自治省と私どもと接触があった程度でございます。しかしながら、大臣も先ほど言われましたように、地元市町村負担の問題がございますから、刑務所移転計画につきまして自治省連絡させていただくことにさせていただきます。なお、先ほど大臣の御答弁がございましたが、つけ加えさせていただきますと、たとえば黒羽の場合は、若干また福岡刑務所の場合などと趣が異なっておりまして、この黒羽に、現在刑務所の予定の近所にございます学校が小そうございますので、それを大きくする費用とか、あるいは刑務所周辺の道路等をある程度町の御負担にならない形でいたすというふうな配慮をしておるわけでございまして、それぞれの受け入れていただきます地元との関係において、いろいろ従来とも私どもでも、私どもなりに考えてまいったわけでございますが、将来なお地元に損をおかけしないという方向でいろいろ連絡あるいは研究をさせていただきたいと思います。
  24. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 刑務所移転につきましては、先ほどもお話がございましたように、刑務所そのものの移転の問題、それからいま、それに何といいますか、むしろ関係のある施設として、たとえば学校の問題とかいろんな問題があったようでございます。そういうものと二つあるというふうに思われます。一つの問題は、これはいままでの移転は等価交換という形でやってきておるようであります。その関連をした公共施設の問題、これらの点につきましては、従来どういう実態、内容であるかということを私どもも必ずしも十分詳細に承っていないのが実情でございます。したがいまして、今後は非常にその点についてはよく御連絡法務省当局ともいたしたいし、それから地元関係団体とも連絡を密にいたしまして、そうして国で当然負担すべきものは国で負担し、地方負担すべきものは地方負担するということの内容を明らかにいたしながら、自治省としての措置を進めるべきものは進めていく、こういうことにいたしたいと思います。
  25. 原田立

    原田立君 それじゃ、やっぱり従来と変わりないじゃないですか。この特殊事情、特殊条件というのはあるんですから。それは国でやるもの、地方負担するもの、それははっきりしてやる——わからないことはないけれども福岡のような場合にも移さなければならない。そのためにいろいろと地元のほうからも要望があって、いろいろな付帯施設をずいぶんつくっているんですよね。これは表面に出てこない。そういうような要素というのも今後必ず大きな問題として出てくると思う。もう少し何とかそういうような点も考慮するということは言えませんか。
  26. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) その移転先の公共施設の問題は、いろいろ話し合いの上で出てきたものについて、どこがどう負担するかという問題はケースケースでこれは考えていかなければならない問題であろうと思います。また出てきたものはすべて措置をしてやらなければいかぬというものであるのかどうか。こういうことはやはり具体的な関連関係というか、事実、実態に即して考えてみなければならない問題だと思います。そこでそういうものの実態を、よく状況を把握しながら、またいままででも刑務所移転につきましても、あと地あるいは代替建築——代替建築というのは地方団体がまず建物まで建ててその経費を代替をしてやるというようなかっこうにしておりますが、そういうところにつきましては、財政状況等を勘案して起債等の措置もしておるわけであります。関連した施設につきましても、そういう状況の全般を見ながら、当然措置をすべきであるものについて、しかもまた、財政負担が非常に重いその団体の財政状況と見合わせてみましても当然に何らかの措置を講じていく必要があるというようなものにつきましては、私どもももちろんそのままにほっておくわけにはまいらぬわけです。したがって、そういう特殊な事情につきましては、私どもも積極的に検討してまいりたい。要は、具体的なケースによって非常に実情が違うだろうと思いますので、そのケースごとにひとつ考えまして、実態に即するような措置をとってまいりたい、こう考えております。
  27. 原田立

    原田立君 刑務所問題はそのくらいにしまして、きのう阿部委員からも質問があったのですが、大都市財源、過密対策、そういうような問題が大部分でありますが、所得税、法人税等、国及び地方の主要な財源は大都市に集積しているから、都市特に大都市地方税源を充実するようなそういうような方策をもっと考えなければいけないのじゃないか。ところが、実際には大都市のほとんどが地方交付税の交付団体である、基本的に見てもおかしな現状ではないかと思います。要するに、自分のところで持っている徴税力、税源、その力が十分ありながら、なおかつ地方交付税の交付団体、こういうようなことは基本的におかしいのじゃないか。もっとこういう面での過密対策の強化というものが真剣に取り上げられなければならないのじゃないかと思いますが、どうですか。
  28. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 考え方としては御指摘のとおりだと思います。いまそういう状況になっておりますのは、昨日も申し上げましたが、結局は都市におけるところの財政需要の伸びのほうが税収の伸びよりも伸び率がはるかに高い。それによりまして、やはり税だけをもってしては急増する財政需要に追いついていけないという状況が端的にあらわれている。そのことが大きな都市を交付団体にしているということになっていると思います。したがいまして、必要なことは、都市地域に税源がないわけじゃございませんから、そういう意味では都市にもっと税源を与えるという方向で、いま都市財源の充実ということを考えていくということは確かに一つの大きな私どもも課題だと思っております。ただその場合に、税制というのは、特殊なところに特殊な税制をしくということは必ずしも十分できることでもないと思いますので、そういう意味の制約も一つあるという現実がございます。したがいまして、そういう中であるけれども、とにかく都市財源の充実というもののしかたが十分でないという結果があらわれているという御指摘は、これはまさにそのとおりだろうと思います。
  29. 原田立

    原田立君 御指摘まさにそのとおりでありますというようなことではなくて、大都市財源が非常に不足しているわけですよ。それをこの地方財政計画の中に入っているのを見ますと、人口急増対策として九百二十六億円算入しているというが、これはどうなっているのですか。前年よりは二百億ふやしていると言っているのですが、少なくともこれだけでは大都市のいまかかえている過密現象の解消策にはちっともならないわけです。整備する自信があるのですか、九百二十六億円くらいのもので。
  30. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 地方財政計画の上では、過密対策として特別に計上しておりますのがいま御指摘がありました九百二十六億円でありますが、投資的経費分でございますが、これは昨年度財政計画上は七百二十億円を措置をするということにしておりましたから、今回二百六億円だけ増額をはかっておるわけでございます。それで十分かということになりますと、私どももそれで十分だということを申し上げておるわけではございませんので、そのほかにも、交付税措置その他につきましても約百八十億円ぐらいの需要を見込んで措置をするというふうにもしております。しかしそれでも急増する需要について急速に事態の解決をするということにはなかなかなるまいと考えております。したがって、これは長期計画を立てて逐次計画的に解消していくし、また今後もそういう意味の財源措置の充実につとめていく、こういうことで対処してまいるということに相なると思います。
  31. 原田立

    原田立君 いまの局長の、長期的というふうなお話があったけれども、その長期計画というのはもう自治省としてはできているのですか。自治大臣の所信表明の中にも、総理が七〇年代は内政の年であるというふうなことを言って、内政に力を入れようと、こうしておるわけです。いわゆる長期ビジョンを打ち立てて内政充実をはかると、こういうことなんだが、国のほうは何とかかんとか言いながらも、改定しながらやっているわけでありますが、いま局長が、長期的にと、こういうお話があったので、いわゆる自治省としての地方の総合的な長期ビジョンというものはもう現在できているのですか。これはほんとうは大臣にお聞きするところの話なんですけれども、国の場合にはこれはできているのだから、地方としては地方の長期ビジョン、これは当然策定されていなければならないと思うが、どうですか。
  32. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) いま申し上げました長期的に申しますことは、この過密対策の中で一番大きなものは、たとえば道路の整備でございますとか、あるいは清掃施設の整備あるいは教育施設の整備、それから下水道の整備というようなものがあるわけでございます。これらについて、自治省としてももちろんでございますけれども関係各省、地方団体等におきましても、それぞれ長期計画を立てまして、そしてその実現をはかっておるということでございます。私どもも、そういうものにつきましての長期計画分というものも加えながらこの財源措置というものをしておるということの意味で申し上げたわけであります。自治省全体として、将来のこの財政計画、長期計画というものについてすっかり完了しておるかというお話でございますが、これは実は現在検討中ということに相なります。しかし今後十年ないし十五年の間に、少なくともこれだけのものをやるのにどれだけ必要かというようなものの試算を現在しておりますが、そういうものによりますというと、なお単独事業等につきましては、今後十年間に、下水道につきましては昭和六十年に、市街化区域といいますか、そういう特別な市街化地区、集中地区について完了したいというようなことを含めまして考えていく。道路の整備につきましては、市町村道の舗装なり改良なりというものを三分の一程度完了するというようなことを五年間くらいの間で急速に考えていくというようなことを見当にいたしまして、それがどれだけ伸びれば全体として単独事業がどれだけ伸びるかということについての試算を現在したものがございますが、それがその程度で考えてまいりますというと、今後十年の間にこれは経済の成長率をどう見るかとか、いろいろな前提条件がございますけれども、それで考えてみまして、大体単独事業に要する経費だけで四十兆円くらいになるだろうというような荒い計算をいましておりまして、それを基礎にしながらさらに詰めていきたいということでやっております。詳細は財政課長のほうから御説明申し上げます。
  33. 原田立

    原田立君 もしいろいろなそういう計画があるのでしたら、文書で資料として出してください。その点お願いしたい。どうも話を聞いていると、だんだんつじつまが合わなくなってきているんじゃないかという感じがしているわけです。もし今後十年間で四十兆円くらいやらなければならないということになると、それじゃそれを踏まえた今回の地方財政計画、その財政的な仕組みはどうなってくるのかということになると、どうもあまりはっきり納得しがたい。それはちょっと話がそれますので、次の問題として、きのうも年度間調整の問題でいろいろお聞きしたわけでありますが、このような措置交付税の本質に背反するものであるということは、きのうも大臣も何度も言っておりました。ところが、実際に現在九百十億円地方交付税から吸い上げられている。このことが過去三回にわたって毎回議論の対象になっていたわけでありますが、こういう国に貸すような、そのようなものがあれば、別途に地方公共団体に、地方財政の充実の面で、そういう面を地方のほうに還元する、そういう方法は考慮されていないのかどうか、その点どうですか。
  34. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) きのうも大臣申し上げましたように、現在毎年やっておると御指摘になっておりますところのいわゆる貸し借りの問題というものは、これはぜひとも今後そういうことを行なわないようにいたしたいということでございますが、そういうことの累積がいま御指摘になりましたように九百十億というものになっておるわけです。これは今度の交付税法の一部改正におきましても、今後三年間におきましてこれを取り返すということに法律上は規定をして、御審議を願っておるところであります。そういう意味で、そういうものをせっかく取り返すべきではないかということでございますが、それはまさに私どもも当然取り返さなければならないと思っておるわけでございまして、ただ、まあことしそういうものを貸すべきでなかったではないかということにつきましては、これも昨日大臣が申し上げておりますように、本年度の国税三税の伸び、それから譲与税その他の増収の見込み、こういうものを見ますというと、大体本年度におきますところの財政運営というものは、昨年に引き続いてまあ一応支障なく行ない得るという見込みがついたということで、諸般の状況を考えてやむなく三百億の貸しをしたということを申し上げておったわけでありますが、私どもも申し上げることはそれに尽きると思います。ただ、その三百億につきましても、実は四十四年度の補正予算等によりまして、交付税の追加増額というものをひとつ見込みをつけながらそういう措置をしておる。こういうことを言いますというと、それは当然翌々年度の交付税の財源じゃなかったかという御指摘を受けるおそれもありますけれども、そういうことで、少なくとも本年度というものを見ます限りにおいては、そういう減額が減額のままであるというかっこうではなくて、一応ある意味の額の補償というものも見きわめながらそういう措置をしておるということでございます。そういうことでございますが、そのあとの九百十億円というものは、今回の法律の特例措置として規定をしておりますように、今後三年間にわたって三百十、三百、三百という形で一応は返してもらうという形をとっておるわけでございます。
  35. 原田立

    原田立君 その年度間調整措置というのをきのうも自治大臣はこれから検討するんだというような話で、具体的内容についてはあまりお話しにならなかった。こんなことはまさかあるまいと思うけれども、大蔵省が国から地方交付税に入れるときに調整しようとしている。もちろんこれは自治省は反対だろうと思う。ところが地方団体はその府県において自主的に年度間調整をしたいと言っている。それに対しては今度は自治省が反対をしているという話を聞いている。そうすると、自治省は一体何を考えているのか。現行の地方交付税会計から府県に入れるときにその年度間調整をやろうと、こういうふうにしているらしいというような話を漏れ聞いておるんだけれども、そこら辺のところ、基本的な考え方はどうなんですか。
  36. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 年度間調整につきましては、いろいろ議論のあるところでございますが、自治省としては、地方制度調査会の答申にもありますように、地方財政の自主的な立場に立って年度間調整を考えるべきであると、つまりそれは、地方財政が長期に安定した財政運営ができるということのために必要があれば年度間調整を行なうということはあるけれども、他の理由のために年度間調整ということを考える必要はないという考え方でございます。そういう点で考えました場合には、本来のたてまえからいえば、個々の地方団体において年度間調整を考えるということが本来のたてまえだということももちろんそのとおりでございます。ただ、そういうことになります場合には、必ずしもその年度間調整というものの効果というものが過去の経験から考えましてもはっきりと期待できるというわけにはまいらないとすれば、せめて地方団体のそういう自主的な立場というものを十分反映しながら地方財政におけるところの年度間調整を考えるということでなくてはならないということになれば、どこの段階であるかということになりますというと、これは交付税の特別会計に入った交付税についての年度間調整は、少なくとも特別会計の段階であるということでございまして、そういう意味で、自治省としては、最小限度交付税の特別会計に交付税が入った段階での年度間調整を、地方団体のあるいは地方財政の自主的な立場で考えるようなことを措置をしてまいるべきだという考え方をとっておるわけでございます。この点につきましては、ただいま地方団体のほうとの意見に食い違いがあるというようなお話がありましたけれども、私どもとしては、その点についてそう格別に食い違いがあるわけではない。それは地方制度調査会の答申の趣旨でもございますし、地方財政の自主的な立場での年度間調整という目的が貫かれるということになれば、その点では地方団体の意向というものは十分反映される中での年度間調整でございますから、地方団体との間での意見のそごというものは私はないように考えております。
  37. 原田立

    原田立君 これはちょっと愚問になるだろうと思うのですが、この交付税のことについて、地方制度調査会のほうの意向はこうだからこうというふうにいま局長は答弁になっているのだけれども、この場合交付税のことについて、何か地方制度調査会にももっとしっかりと特別会計に入れるようなことを諮問したらどうだと言ったら、そんなことはしないと、こういうふうにお話があったので、いまのお話を聞いてみると、ちょっと前のことばと矛盾するような気がするので、その辺おかしいなと思うのですが、その点どうなんですか。  それからまた、こういう方式等について、もっと地方団体、六団体等も含めて地方団体の意見というものが十分織り込まれたようなものでなければならない、自治省が国の立場で一方的にやるというようなそういう姿勢は改めなければいけない、かように思うのですけれども、その際地方団体の意見というものが十分反映するような機関をつくるのかどうか、その点どうですか。
  38. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) いま申し上げましたようなことが、実は本年の一月十九日付の第十四次地方制度調査会の「昭和45年度の地方税財政対策についての答申」の中にもすでに入っておるわけでございます。で、その中で、その地方制度調査会はこのように指摘をしておりまして、「本来、地方交付税の年度間調整の問題は、地方の固有財源としての地方交付税の基本的な性格に立脚し、地方財政の自主的な立場に立って、その計画的運営を確保するという観点から検討さるべきものであり、国の財政の都合によって左右されるべき問題ではない。このような見地から、地方交付税の年度間調整を検討するにあたっては、地方交付税を国の一般会計を通すことなく、国税収納金整理資金から直接交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることをまず実施すべきである。」、こういう答申をいただいておるわけでございまして、そういう意味で、私どもも年度間調整というものを考える場合の一つの前提条件として、特別会計へのいわゆる直入方式というものの実現ということを考え、そして少なくとも調整は、特別会計、あるいはそれ以下の段階で考えていく。それ以下の段階ということが初めて地方財政の自主的な立場を実現するという制度的な保障にもなるんではないか。同時にその調整をするにあたって、何か地方団体の意向を完全に反映さして、その決定と申しますか、そういうものとの間できめられたことに基づいて調整をするというような措置を考えるかどうか。私どもは、できるだけそういうものをひとつ調整のいろいろの手続として非常に重要な問題でありますけれども、できるだけそういうものをひとつ制度的にもしこれが整えられる場合には、ぜひともそういう機関と申しますか、どういうことになるかあれでございますけれども、入れるようなことは当然に考えるべきではなかろうか、こう思っております。
  39. 原田立

    原田立君 当然そういうのはつくる、そういう方向でいくとこういうふうに承ってよろしいんですね。これはなぜこういうふうなことを言うかというと、この前長野局長は、交付税の問題について私が地方制度調査会の意見を聞くようにしたらどうかと言ったら、そんなことはやることはない。はっきりあなた答弁しているんです。だから、いま念を押して聞いているんです。私も地方制度調査会の委員だから、その点そういう答申も出ているのはよくわかっております。知っていて聞いているんですけれどもね。そういうことを前提に置いてそれで地方団体の意見が十分反映できるようにするための機関はつくる。そうして、今度の年度間調整の問題も十分審議していく。これは自治省の方針だ、こういうふうに承ってよろしいですね。
  40. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 私ども地方制度調査会の答申を聞く必要はないというふうに申し上げたかどうか、ちょっと私は記憶がないんですが、これは第十四次の地方制度調査会の答申の中に、そのことはもう答申済みである、答申をいただいておるという気持ちがありましたので、そういう申し上げ方をしたかもしれないと思います。しかし、もっと具体的ないろんな措置といいますか、大綱というようなものがもっとあってしかるべきじゃないかという御議論があれば、そういう調整の方式、仕組みにつきまして、また地方制度調査会の答申をいただくということもそれはあり得ることであろうと思います。そういう意味で、年度問調整を考える場合に、地方団体の意向が反映された上で、その方針なり何なりに基づいて調整をする、そういう制度的な保障の措置というものを必ずやるか、私どもの中でまだ検討中でありますから、はっきりした、確定したものとして申し上げることははばかりがございますけれども、私自身としては必ずそういうものをやはり制度的な措置として考えるべきであろう、こう思っております。
  41. 原田立

    原田立君 じゃあ局長大臣はいま来たばっかりだから前の話わからぬだろうから、これを説明して——大臣どうですか。
  42. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 年度間調整は、地方財政の自主性において年度間調整というものは考えらるべきであるということはまあ一致しておるわけでございまして、しからば、年度間調整をそういう意味に解して、地方公共団体の意思をこれに反映すべくいかなる措置をとるかという御質問であろうかと存じます。これにつきましては、これはいろいろな内容が考えられると思います。しかしその点につきましては、まだやはりしからば具体的にはどういう措置をとれば地方財政上の年度間調整の実があがるかということにつきましては、これまたいろいろ考え方があろうかと思います。したがいまして、その点につきましては今後関係方面の御意見も伺いました上で適当な措置をとりたいと考えておりますが、まず、特別会計に直ちに投入をさすという制度の確立が何をおいても先に要望されるところでありまして、その制度の確立を待った上で、年度間調整の具体的内容のひとつ構成については二段階的に考えてみたいと、こういうふうな大体考え方を私個人としてはいたしておる次第でございます。
  43. 原田立

    原田立君 大臣ちょっとピントがずれているのですけれども、そうじゃなくて、特別会計へ入れるということはもう当然な話なんで、年度間調整、事をやるにあたって、大蔵省がこんな考え方をしている、自治省もこんな考え方をしている、地方はこういう考え方をしている。先ほど三つ考え方をあげたわけです。それに対して、いずれどういうふうなことにしても結果が出るわけでありますが、そのことを議論するにあたっては、地方団体の民意を十分反映するようにしなければいけない。その点は御賛成だろうと思うのですけれども、そのときに、その民意を反映するような機関を十分つくって、そうしてこの面を検討していく、こういうふうになさる意思がありますか。また、当然そうすべきだということを申し上げた。局長は少なくともそういう方向に持っていくんだというような答弁があったので、あらためて大臣からもまたお伺いしたい、こういうわけなんです。
  44. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) そういう機関をつくって討議をするかどうかということにつきましても、もう少し検討を要するかと思います。とにかくしかし、地方公共団体の十分発意を取り入れるということは必要なことであろうと存じます。
  45. 原田立

    原田立君 この地方交付税法の一部を改正する法律案関係資料の中に、二の「地方交付税総額の特例等」その(二)に、「昭和四十六年度分の地方交付税の総額に三百十億円、昭和四十七年分および昭和四十八年度分の地方交付税の総額にそれぞれ三百億円を加算するものとするが、」、このあとなんですが、「地方財政の状況等に応じ当該加算額を変更することができるものとする」、こうあるわけです。この当該加算額を変更することができるものとするというその真意はこうやって三百十億、三百、三百と、こういうふうになっているけれども、これを二年でお返しするときもありますよ、こういう意味のほうが多分に含まれているのか、それとも、いろんな諸般の情勢でこれが四年間にわたるとか、五年に延びるとか、こういうことを含んでいるのか。私はそういう延びるようなことについては根本的に反対ですが、この三年を二年間で繰り上げするとか、そういうふうな意味に強くこの意味が含まれているんだと、こういうふうに理解してよろしいんですか、そこはどうですか。
  46. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) この規定は一応三百十、三百、三百という年次割りを定めておりますけれども、今後における地方財政の状況等と申しますのは、地方財政の状況とか、あるいは経済情勢の推移とかによりまして、現在考えておりますこの三百十、三百、三百という年次割りの額を変更することとしても、必ずしも地方財政の運営に支障の生ずることがないと考えられるような場合も想定をされるわけでありまして、そういう意味でのただし書きを設けておるわけであります。しかしそれは、一応はこの年次の中でその年次割りの加算額の変更ということをまあ第一次的に考えられるもの——状況の変化に応じて考えられるものということになるわけでございますけれども、まあこれも法律で別にきめなきゃならないということに規定をしておりますのでございまして、法律の規定によりましてそういう各年次の年次割りだけしかきめられないのかということになりますと、法文上は何もそこのところがはっきりしておるわけじゃございませんから、別に法律できめるということでいろんな内容も含み得るということにも一応考えられるわけでございますが、私どもがいま念頭に置いておりますのは、そういう状況の変化に応じて年次割りの額の変更ということはあり得るであろうということをまあ考えておるのであります。
  47. 原田立

    原田立君 年次割りの額がと言うんだから、そうすると三百十億、三百、三百とこうなってるけれども、三百十億、五百億、二百億と、こんなふうな場合もあると、こういう意味のように理解していいわけですね。それでいいでしょう。
  48. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) そのとおりでございます。
  49. 原田立

    原田立君 それでは、もうあまり時間がないようですので先に進めたいと思いますが、地方財政計画には毎年度特に重要施策として数千億円にのぼる特定需要を計上しているのでありますが、今回の場合でいくと土地開発基金が六百億、広域市町村圏整備費が二百八億、過密対策で九百二十六億、過疎で六百四十一億、交通安全対策で二百六十四億、こういうふうなことがずっと入ってるわけでありますが、国の五カ年計画によって地方団体も大いに地方団体責任において実施しなければならないのでありますが、これらの財源をどのように今回算定されているのか、あるいはまた、国の五カ年計画というのは、道路、河川、港湾、街路、住宅、上水道下水道及び屎尿終末処理等、これはどういうふうなぐあいに算入されているのか、御説明願いたい。それから、この場合に地方負担費は幾らぐらいなのか、できましたらば資料も提出してもらいたい。
  50. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 各種五カ年計画につきましては、御承知のように道路整備については、旧と申しますか、第五次五カ年計画が四十二年から四十六年と定まっておりましたが、先般閣議で了解されました四十五年から四十九年までの新道路整備五カ年計画が十兆三千億と策定されております。また治水につきましては、四十三年から四十七年まで二兆五百億の五カ年計画が策定されております。港湾につきましては、四十三年から四十七年までの一兆三百億の五カ年計画がこれで策定されておりますし、治山につきましては、同じく四十三年から四十七年まで三千五百億の五カ年計画、下水道整備につきましては、四十二年から四十六年までの九千三百億の五カ年計画がそれぞれ策定されております。それぞれにつきましての毎年度の財源措置につきましては、御承知のように国庫補助金、それから地方負担を算定いたしまして、その地方負担につきまして、一つには地方交付税の基準財政需要額に算入し、それから地方債を充て、その他の特定財源を加えまして財源措置をしておるという状況でございます。個別に申し上げますと非常に数字が多岐にわたりますので、たとえば道路について申し上げますと、明年度の事業費は直轄、補助、単独合わせまして一兆二千四百三十六億円と見込まれておりますが、そのうち国庫補助負担金は五千四百九十一億、地方費は差し引き六千九百四十五億でございます。これに対します財源措置は、地方交付税の基準財政需要額に五千六百九十三億算入し、地方債をおおむね百二十五億円程度充て、そのほかに軽油引取税等の特定財源といたしまして千二百五十二億ほど見込みまして、おおむね財源措置措置されておる、こういう状況でございます。各種の事業に対しましてそれぞれ……。
  51. 原田立

    原田立君 資料出してください。  次に地方債のことでお聞きしたいのですが、長期にわたる施設とか、大型予算を要するものとか、そういうようなものは一般会計ではなかなか充当できないものでありますから、もっと地方債を活用せしめたらどうか。わが国の社会資本も非常におくれているのでありますし、これを取り戻すには事業をしっかりやるしかないし、起債を活用すべきじゃないかとこう思うのでありますが、現在の起債のあり方というのは、あまり健全財政を表にし過ぎて、抑制し過ぎるのではないか、もう少しふやしてしかるべきではないだろうか。今回の公債費では、全体の構成比では三・九%でありますけれども、少なくとも五%、六%ぐらいは伸ばしていいのではないかと、またそのぐらいしないと、先ほど局長が長期ビジョンとしてはこれから四十兆ぐらい要るというふうなお話なんでありますが、それをやるにあたっても、このままの体制でいったならば当然仕事はできない、現在の事業量の二、三倍いや四倍くらいにしなければ四十兆円というような計画の仕事はできない、かように思うのであります。ただ仕事をしないで公債費が少ないからいいと、こういうふうなことでなしに、社会資本を充実するという意味からも、もっと起債のワクというものはふやしてしかるべきではないか、それが一点。  それから、政府資金が非常に少なくなってきた。もっと以前は六〇%ぐらい政府資金が入っておったのが、現在ではずっと下がっておりますけれども、これももっとふやすべきではないか、こう思うのですが、どうですか。
  52. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 公共施設の整備が長期にわたる効果を及ぼすものである以上は、一般財源、年々の一般財源の投入ということにも限界がある、したがって、そういう場合には財政運営に支障のない限り地方債を認めて、そうして事業執行を推進をさせるという考え方はどうかというような御意見でございます。私どもも全くそのように考えるわけでございまして、その意味で年々地方債の拡充、充実、その資金内容の改善ということに努力をしてきておるわけでございますけれども、なお現状において十分であるとは思っておりません。今後ともそういう意味の充実なり、良質の資金の貸し付けということで努力はしてまいりたいと考えておる次第であります。地方財政計画で歳入として見られております地方債は、年々相当な率で一応伸びてきておるわけでございまして、その意味地方債の充当を極度に押えるというような考え方でまいっておるわけではございません。ただ、反面地方債はやはり後年度に財政負担を残すわけでございますから、そういう意味で後年度におけるところの財政運営の硬直化の原因になる、これはまた避けられないわけでございます。したがいまして、団体によって一般財源の伸びの非常によろしいようなときには、なるべく起債にたよらないで、一般財源を振り向けて財政の弾力性をふやしていくということ、あるいは現在まだたまっておりますところの地方債の繰り上げ償還などをいたしまして、後年度の公債費の増高を防いでおるというようなこと、こういうこともあわせて考えながら進めていく必要があると思います。そういう面では、両方にらみ合わせながら現在の公共施設整備の立ちおくれの状況に立ち向かいますためには、私どもももっともっと良質な資金を地方団体に供給をしたい、このように思っております。
  53. 原田立

    原田立君 その健全財政もけっこうな話なんだけれども、もちろんそうあらねばならないと思うのですが、社会資本の充実をしていくには、また、では一体どういうふうに自治省はやろうとしているのですか。先ほども長期ビジョンとしては十年間で四十兆ぐらいの仕事をやらなければ欧米の水準に追いつかないというような意味お話もあった。そうすると、それを一般財源でやれといったってとうていできる話じゃありませんし、そこら辺現在の起債、地方債のあり方についてはまだ十分とは思わないと、こう言っておきながら、現在のやり方を踏襲するんだというような言い方になっているわけなんですが、あらためて開きますけれども、十年間で四十兆ほどのものをしなきゃならない、こういうたてまえからいって、じゃどういうふうに社会資本の充実をはかるお考えがあるんですか。
  54. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 先ほど申し上げました長期見通しというような、荒いものだということを申し上げましたが、そういうものにおきましては、たとえばいろいろな前提を持っておるわけでございまして、私どもが試算をいたしましたときには、当初の五年間は名目経済成長率を一五%、それから後期五年間は名目経済成長率を一二%、こういうふうな測定をいたしております。そして物価の上昇率を毎年たしか四%ぐらい見込みまして、それから給与改定その他の関係の経費を見込みまして長期計画を立てていくということで考えておるわけでございますが、その出発にあたるような意味合いにおけるところの昭和四十五年度の地方財政計画、こういうものから考えたならば、それに一体届いているか届いていないかということが一つあるわけでございますが、私どもは現在の地方財政計画のこの地方の単独事業費というようなものは、やはりある意味でのスタート台にはなっておる。そこから今後の、どれだけカーブを上昇さしていくかということではございますけれども、四十五年度の事業費というものを、一応初年度と申しますか、初年度に近い一つの水準として置きかえた上での先ほどの申し上げました三十兆円ないし四十兆円というようなものを想定をいたしておるわけでございまして、したがいまして、その意味では一般財源のより一そうの充実、それから道路等の特定財源のより一そうの充実、あわせましてやはり地方債その他の長期資金の充実、こういうものはこれから急速に充実をはかりまして、その実現をはかっていくということではございますが、全然そこに対応するためには、非常に格差があるというふうには思っておりません。今後そういう一つの見通しのもとに、ひとつそれに到達する努力を続けていくことは不可能だとは考えておりませんが、その意味におきましても、一般財源並びに地方債の充実、あるいは都市財源の充実というようなものを相当努力をして、あわせて実現をしていかなければならぬことはもちろんでございますけれども、そういう意味での全く到達不能なものだというふうには考えていないので、ぜひともそれに向かって実現するように措置を進めてまいりたい、こう考えております。
  55. 原田立

    原田立君 総花式にぱらっとした話なんで、よく納得がいかないのです。地方債の件についてはどうなっているかという、そこら辺とつながりがあったのだけれども、またあとあと委員会でいろいろお伺いしたいと思います。  それから、最後になりますけれども特別交付税昭和四十五年度はとうとう千十五億円になりました。四十二年度は五百六十八億、四十三年が六百六十六億、四十四年が八百三十三億、大体ここら辺に、四十四年の八百三十三億くらいになったときに、もう特別交付税のあまり多くなるというのはだめなんじゃないか、もっと少なくするようなことをすべきだというような議論がありました。今度昭和四十五年は千十五億になったわけでありますから、もうこれは検討する時期に来ておると、こういうふうに思うのですが、どうですか。ないしはまた特交は私は千億をこえるというのは原則として反対であります。もっと減らすべき方向に向けるべきではないか、かように思うのですが、どうですか。
  56. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 御指摘のように、特別交付税、四十五年度は千億をこえる額になるであろうと思っております。これにつきまして、部内におきましても、交付税の額というものについての再検討を考えるべきであろうという意見も数年来あるわけでございます。いろいろ検討をいたしておりますが、何せ現在までのところで申しますと、現在は府県、市町村を通じまして、経済社会の非常な変化というものが、地域社会についてもいろいろな意味での激変を与えております。しかも急速に人口及び産業の集中なり移動なりということが行なわれております結果、従来でありますと、特定の場所における特定の問題というのはそれほど大きな量でも、また金額的にも大きなものにならなかったのでございますけれども、最近になりますと、炭鉱の閉山一つでも相当大きな問題になります。公害問題もそうであります。あるいはまた、この過密問題、過疎問題、人口急増地域の問題というように、それぞれを取り上げましても、地域的に片寄っておりながら非常に大きな財政需要が急速に要るというようなことになっておりまして、しかも、これらの財政需要は、まだまだどこまでそういう変化を来たすのであるかということも十分にはつかみきれない状況にあるものが多いわけでございます。そういうことでございますので、そういう個々の地域的な特殊な財政需要に対応するということでは、これはなかなか一般的な問題として普通交付税に算入するということについても非常に技術的な限界もございます。加えて非常にロスが多くなるという問題も出てくるわけでございます。したがいまして、私ども、いましばらく、この地域社会の社会経済の進展に対応しての、地域社会の著しい変貌という、まあ総体的にいえばそういうことになりますが、そういう需要というものの見込みがある程度いろいろなものについて見通しがついてくるというようなときには、これをひとつ普通交付税化するものは普通交付税化しまして、そして特別交付税全体の量というものも変えてまいるということをぜひいたさなければならぬものと思いますけれども、当面は、さしあたっていまのような状況でございますので、六%という割合は本年度においては少なくとも維持してまいりたい、こういうふうに考えております。
  57. 原田立

    原田立君 最後に大臣にお伺いするのですけれども地方財政は、やはり地方行政をいかに充実していくかという、そういうところから出発して地方財政は議論されなければならないと思うのです。現在日本の場合には、社会資本において非常に乏しい、もっとその面での投資をしなければならないということが強調されておりますし、現在も過密問題、過疎問題公害問題といろいろな新しい問題が次々あるわけです。今回の交付税の改正のこの法律を審議するにあたっていろいろ思うのは、もっと抜本的な地方行政を充実するための財政というものを確立されなければならないというようなことを思うと、まだまだはなはだ不満な点が非常に多いわけであります。そういう地方行政を充実するための施策というものをもっと自治省は抜本的に強化すべきである、かように私は思うのですが、大臣のお考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  58. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) お説のとおりでございまして、社会資本充実、その他地方行財政一般の水準向上を期さなければならない。しかもそれには、自主的であり、かつ、民主的に、もって住民の福祉増進に資さなければならない。これに見合ったところの財源措置を講じなければならないわけでございまして、それがためには前々、本日も御論議を願いました特別会計へ交付税の直接の導入の問題、あるいは年度間調整の問題、あるいは国と地方との仕事の分け方、あるいは税制の整備、改善、あるいはある程度の公債額の発行等、画期的なひとつ構想による恒久的な施策がこの際要望せられておるのでございまして、ひとつこの過渡期に際しまして、関係方面、諸先生の御意見等も大いにお聞かせいただきまして、新しい時代に即した新しい地方行財政のあり方、それに即したひとつ財源の措置、配分等につきまして、せっかく検討いたしてまいりたいと存じますので、御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  59. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 暫時休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  60. 山内一郎

    委員長山内一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十五年度地方財政計画に関する件を一括して議題といたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  61. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 厚生省の食品衛生関係について若干追加してお聞きしたいと思うのですが、資料のほうはいただいたわけなんですが、この実施率というのと衛生法の政令によるところの、政令の三条の表がございますね、年に何回とか、たとえば飲食営業については年十二回とか、これとこの表との関係は一体どんなふうになっておりますか。
  62. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 食品営業の昭和四十三年末現在の数は二百七十七万一千カ所でございまして、これを政令監視件数に直しますと千八百二十三万六千件ございます。これを実際に監視をいたしました件数は三百八万四千件となっておりまして、実施率は平均いたしまして一六・九%ということに相なります。
  63. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうしますと、この政令で、たとえばこの政令を読みますと、「次の表の上欄に掲げる営業等の施設につき、それぞれ同表下欄に定める回数を基準として行なわせるものとし、」、こういうふうに政令はなっております。たとえば年十二回、これは基準でありますから必ずしもやらなくちゃならぬという義務規定ではない、一応十二回はやるべきであるということであろうと思いますけれども、それに対してとにかく一六%の監視率しかできない、こういうことでございますか、たとえばこの十二回については。
  64. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) おっしゃるとおりでございます。
  65. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうしますと、政令でせっかくこれだけの基準をきめてありながら、それが一六%程度の実施率しかないということは、私これはかなり問題があるのじゃないかと思いますが、これは平均で一六%で、いまいただいた資料によりますと、たとえば奈良県六・一%、これはもうほとんどきめられたものの一割にも達しない。たとえばこの奈良県にいたしましても和歌山県にいたしましても、これらの地域というものはかなり最近ではいろんな意味で観光客も入り、旅館等も相当ある、いろいろな食品についてもかなり多いところであろうと思いますが、その他にいたしましても、愛媛、高知にいたしましても一割台は出ていない。一体こういうところでは衛生監視員というのは何人くらいいるのですか。たとえばいまの奈良、和歌山六・一%、八・二%、衛生監視員というのは一体何名いるのですか。
  66. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) ただいま御指摘の奈良県につきましては昭和四十三年末現在で五十名、それから高知県につきましては二十九名でございます。
  67. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 人数的にいきますと奈良県は——いまおっしゃったのは高知県でしたですね、二十九名。片っ方は五十名だと、こういうことで実施率においてこんなに大きな差が出るというのは一体どういうところに問題があるわけですか。
  68. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 最大の原因は監視員の絶対数が足りないということかと思います。ただ、府県によりまして営業の形態が若干違っております。飲食店営業の非常に多いところ、あるいは製造業がかたまっているところ、いろいろございますが、資料でも差し上げましたように、営業の形態別にごらんいただきますと、特に食中毒発生を起こしやすいような業態たとえば魚肉ねり製品製造業でございますとか、あるいは乳製品の製造業でございますとか、そういうようなところは重点的に監視をいたします。ものによりましては二三〇%というような監視率をあげているところもございます。またただいま申し上げましたような施設ではほぼ六〇%以上の監視率をあげております。ただまあ飲食店営業あたりになりますと、数が非常に多うございますと、絶対数が多いものですから、なかなか実施の率があがらない。いま御指摘の奈良県のようなところは、製造業が少のうございまして、主として飲食店形態が多い。そういうことで、絶対数が少ないために手が回らないというような実情があるかと思っております。
  69. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 たいへん大きいばらつきが——これだけで、この実施率だけで必ずしもいえないかもしれませんが、たいへん大きなばらつきがあるということなんですが、たとえば兵庫県は、この中で実施率で見ますと三〇・五%と比較的四十三年度では高いように思いますが、ここでは何人くらいでおやりになっておりますか。
  70. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 四十三年度末現在で三百三十二名ということになっております。
  71. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 自治省のほうにお聞きするのですが、兵庫県では一体食品衛生監視員は、標準規模から割り出して何名ぐらいの食品衛生監視員があれば妥当だと、こういうふうに、財政規模の上から見て計算されておりますか。
  72. 横手正

    説明員(横手正君) 御質問の趣旨からいたしますと、おそらく普通交付税の積算基礎からいたしまして兵庫県あたりでどの程度の人数と、こういうことになろうかと思います。で、食品衛生の場合は百七十万の標準県におきまして四十三人でしたか、四十四年度におきましては算定いたしておりますので、おおむね倍程度が算入されておるかと思います。大体人口に比例して算入いたしております。
  73. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 この表で見ると三十九人ですね。単位費用の計算でいきますと三十九人というふうにおたくのほうで出した資料に書いてありますね。あとは雇用人が二人ぐらいついておりますが。しかしいま厚生省でおっしゃられたのは、兵庫県で監視員が三百三十二人いて、それでやっと三割。神奈川県の場合もこの前お話が出ましたけれども、神奈川県も大体三割ぐらいで、しかも川崎、横浜等は抜いておりますね。保健所設置都市は抜いてあります。それでも七十九名ぐらい、確か七十九名、七十名程度の食品衛生監視員がいるわけですね。いまおっしゃられた点で、兵庫県でせいぜい四十何名にしても、実際はその倍ぐらいの、基準財政需要額の計算では倍ぐらいだといえば、せいぜい八十名です。実際にいるのはその四倍いるわけですね。現に兵庫県で現実にいるのはその四倍の人数がいるわけなんですね。たいへんな開きですね。それだけ、幾ら三百名以上いてもたった三割しか食品衛生の監視ができないということになりますれば、かなり問題じゃないですか。一方においては、ただ単に食品衛生監視員は飲食店とかその他いろいろな食品関係の政令できめられてある施設を監視するだけじゃなしに、おそらくいまやいろいろな食品に対する苦情についてもこれはかなり追い回されているのが実情だろうと思います。しかも化学薬品といいますか、科学技術といいますか、そういうものの発達でますますそうした食品というものはいろいろな添加物、いろいろな色素なりいろいろ新しいそういうものが、おそらく厚生省が追いかけている以上のいろいろ新しものが出てきているというのが私は現実だろうと思う。私どもが見ますと、たいへん実態と離れているか、それでなければ国民に対して食生活への不安というものを与えながらやっているということになれば、これは実際地域住民の福祉のためにやっているのかどうなのか、私はその辺たいへん疑問に思っているわけです。ですから、この前大臣が非常に積極的にやっておられるというお話だったけれども、どうもその辺ほんとうかと疑ぐりたくなる現実というのがここにあるわけです。この前お聞きしますと、厚生省のほうはことしは、これだけ交付税における基準財政需要の計算と実員というものとの差がこれだけ離れていながら、厚生省のほうではこれの増員というのはことしは要請をしなかったというふうにこの前自治省のほうからお答えをいただいたのですが、これは厚生省としても、現実にこれだけ違っているわけですね。財政的な基準需要からいきますれば、兵庫県の場合には八十人の割当しかない、それが三百三十人、これでも私は兵庫県では決して食品衛生監視員は十分だと思わない、完ぺきだというわけには私はおそらく現状はそういっていないだろうと思うのですね。そういう点で、どうもこの点、この前も和田委員からかなりしつこく質問があったわけですけれども、こんなにひどい状態で国民の健康が守られるかどうか、国民は安心した食生活ができるかどうか。これはさっそく自治省の計算のしかたというものも私はもっと変えるべきだと思うのですね。一昨年だか昨年だか若干直したという話で、四十四年度は私の聞いている範囲では若干実施率が上がっていることは事実です。それにしても数パーセント、一〇%以上おそらくあがっていないだろう、私はこういう状態はきわめて遺憾だと思う。しかも新聞を見ますと、もう毎日みたいに食品の問題、こうした問題というのはない日はないといったほうが私はいいだろうと思います。現実には新聞の記事に上がってこないようなものもかなりあると見て私はいいと思う。これは国民が毎日毎日の生活に、毎食毎食の問題に影響があることであります。こういう状態ではたしていいのかどうか、私はさっそくこれは改善すべきだと思うのです。確かに食品衛生監視員には一定の資格がありますから、だれでも監視員になれるという問題ではございませんので、それはなかなかその人員をそろえるということは、一ぺんにはなかなか困難だろうと思う。それはもう少し力を入れなければ私はどうにもならないことじゃないかと思うのです。これはひとつ自治、厚生両方から、この現状を一体どうするのか、これで満足なのかどうなのか、ひとつお答えをいただきたい。
  74. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) この前からのお話がありまして、大臣もお答え申し上げておりますとおり、最も広い意味では公害というものの中にも入るわけでありますが、私どもも今後そういう行政の充実というものについて積極的に取り組んでまいりたいということでおりますが、同時に地方団体の実際の実態というものも十分調査をいたしまして、関係各省とも連絡をいたしまして、今後充実につとめてまいりたいと思っております。
  75. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 先ほど先生から、来年度の人員要求のときに厚生省からは要求をしなかったというようなお話がございましたが、この理由は、一応食品衛生法につきまして、御存じのように消費者保護基本法に基づいてできました消費者保護会議で、いわゆる食品法の制定を含めて食品問題については根本的に検討をせいというような御指示がございました。目下経済企画庁を中心に食品関係各省または公取委員会、それから農林省、厚生省ということで、各省の連絡検討会を——食品問題検討会と申しておりますが、これをやって、いま検討の最中でございます。一応抜本的に食品問題を考えるような時期でございます。この監視員の問題もそれとあわせまして根本的に考えたい、その結論が出た上で、とても現状で足らないことははっきりいたしております。相当大幅に、たとえばイギリスの例をとりますと人口一万に一人ということでございますから、現在、ことし要求はいたしませんでしたけれども自治省のほうでは特に五名増員をしていただきました。百七十万について四十四人というような御配慮をいただいたわけでございますが、私どものほうでは先ほどの人口一万に一人ということになりますと、人口百七十万に百七十人、相当けたが違う数字が出てまいる可能性がございます。  それからもう一つ、食品監視員の業務の実態を見ますと、非常に事務量が多いわけです。特に営業の許可手続審査等とか、それから苦情処理とか、そういうふうなことで非常に事務量が多いわけです。実際に監視に立ち至る業務量が制限される。したがいまして、この事務量の軽減の面で改善を加えれば、相当監視に振り向けられる時間があくというようなことも一応検討してまいりたい、そのように考えております。
  76. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 確かに私も監視員が事務のほうに追われている、こういうようなことがあると思うんですが、こうした問題も、改善しようとすれば、事務の問題は監視員の資格を持っていなくてもできる面が私はかなりあるだろうと思うのです。ですから、その点はひとつ監視という実際の業務、事務というものとのその間の区別をしていただきまして、監視の人は現実に監視業務というものを進めてもらいたい、これは強く要望しておきたいと思います。自治省の先ほどの局長の御答弁によると、自治体のほうを調査するということをまだおっしゃっておるわけですけれども、調査してみないと——こういう調査するというのは、一体何を調査するんですか。調査の内容は、自治体のほうがもう少しこれをふやす希望があるかないかという、そういう点を調査なさるのですか、実際監視の実態というものは出ていると私は思うんですよ。それで五名ふやして食品衛生にたいへん力を入れたというような顔をされちゃ私は困るのです。その辺はっきりしていただきたいと思います。
  77. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) これは先ほども厚生省からお話がありましたが、抜本的に今度改革をなさるということでございます。私どもはやはりそういう抜本的改革というものは必要だろうと思っております。そういう意味で、いまの食品衛生行政というようなものが御指摘のとおり非常に問題になっておりますが、現状で足らざるものはどういうものであるか、まあこれがはたして監視員の数だけの問題なのか、いろいろな運用との関係におけるいろいろな問題も含めて考えていくべきなのか、いろいろな見方、実態の調査のしかたというものは私どもとしてもあると思います。厚生省にも注文したいことも私はたくさん出てくるようにも思います。そういう意味で考えてみますと、はたして一万人に一人がいいのかどうか、これも考えてみなければならないわけでございます。そう一ぺんに増員が一体可能かということも、今度は財政的な制約という面も考えてもらわなければ現実問題になりません。そういう意味で、いろいろな意味でのいままでの行政相互間の関連もございますし、いろいろ実態との関係も私どもは十分見ながら、そういういろいろな制度の調節というものを考えてみたい、こういう趣旨でございます。
  78. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうもことばはいろいろなことばをお使いになっておりますけれども、私は自治省にいたしましても、先ほど厚生省が言ったように、実際の監視という仕事と事務という仕事について知らないはずはないと思うんですね。かなり御存じのはずだと思うんです。いままでもおそらく事務に追われていたということが私は実態だろうと思う。それで今度五名ふやしたというのですが、五名ふやした根拠はどういうことで五名ふやしたのですか。根拠は何ですか。五名が一体どういうふうな考え方で、五名ふやせばどうなるのだと、監視の効果はどう発展していくのか、こういうことですか。それともこの五名というのは事務量をさばくということの五名なんですか。どういうふうに考えているのですか。その辺、さっきの事務の問題と監視の問題、そういうことに関連しての五名の根拠……。
  79. 横手正

    説明員(横手正君) 先ほど四十四年度におきまして四十三名程度と申しましたが、四十二名の間違いでございました。四十五年度におきましては五名の増員を考えております。これは実は県分の同じ衛生費の中におきまして鼠族こん虫駆除費という項目がございます。これは御承知のように、もうすでに都道府県段階ではかなり業務が縮小されておりますので、これを実態に合わせまして、実は食品衛生関係では十五名程度増員いたしたいと、こういうことで厚生省の方と折衝いたしたわけでございますが、先ほど厚生省の方からお話ございましたように、基本的な問題がある、こういうこともございまして、今年度はとりあえず五名程度にしておいてほしいと、こういうようなこともございまして、実はさらにふやしたいという気持ちはございましたが、とりあえず今年度は五人にいたしております。なおこの交付税上の措置いたします人員につきましては、これは実は専任の職員ばかりでございます。先ほど兵庫県の例も上がっておりましたが、これによる職員数は兼務の職員も含まれておるわけでございます。おそらく現在全国で五千四、五百人の食品衛生監視員がおろうかと思いますが、専任はおそらく二割程度ではなかろうかと思います。で、交付税上の措置といたしましては、今回の増員措置によりまして、実は専任の職員と比較いたしますと、交付税措置のほうが非常に多く算入されておると、こういう結果になってまいります。ただ専任の職員にさらに兼務職員を加えたものと比較いたしますと、いささか算入の措置が落ちておる結果になりますので、これは当然兼任の職員交付税上と比較いたします場合には除いて比較すべきものと、かように思っておるわけでございます。したがって、先ほどの監視率の問題はございますけれども交付税上の措置といたしましては、現状と比較いたしますとかなりの措置が見込まれておる、かように考えております。  なお、当時監視率につきまして、十分のこちらが調査いたしたわけじゃございませんでした。もともと監視率が低いということは私のほうもある程度わかっておりましたが、増員の措置とともに、パトロール車、こうしたものの維持運営費、こうしたことによりまして監視率の向上をはかるということも必要ではなかろうか、こういうことから、実は四十五年度におきましては、新たに算入する措置を講ずる、こういうことを行なっております。こうした措置を講じました結果、実は四十五年度におきましては、四十四年度と比較いたしまして、基準財政需要額の措置額といたしましては、前年度の四割増し程度算入される、こういう結果になっております。全般的な基準財政需要額の伸びがおおむね二割程度のものでございますので、そうした意味におきましては、四十五年度におきましては、かなり充実の措置を講じておる次第でございます。ただ、五人の正確な基礎、こういう点になりますと、実はそうした厚生省との折衝の経緯がございまして、こういうふうにきめた、こういう次第でございます。
  80. 和田静夫

    ○和田静夫君 厚生省の側は全体数が足りない、それはよくわかっております。こういうような結果、そういうことはわかっておるけれども、食品問題検討会の結論を得るまでは、言ってみれば措置のしようがない、結果的には。そういうような基本的な問題があるから、基本的な問題をまず片づけたい。そうすれば、考えてみれば、その間はこの食いものはよいのか悪いのかわからぬけれども、とにかく消費者は召し上がっておいてください。それで奇病にでもおかかりになれば、その病気の対策はしましょう。おなくなりになれば、その人命に対するところの賠償くらいは考えましょうなどということに論理的にはなる。現実に人員の増を要求をされなかったのですから、そういうことになると私は思うのです。先日来この問題をずっと取り上げてきて、実態等を調査をしてみて、またきょうの答弁をさっきからお聞きをしておって、その感をたいへん深くする。したがって、もっと言ってみれば、検討会が結論を出すまで無策であってよいという、そういういわゆる予算編成上結論を出された経緯は第一に何であったか。第二には、それではいま行なわれているところの検討会は、いつの時期までに検討を終わられるのか。
  81. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 数の問題でございますが、ただいま自治省のほうからお話がございましたように、専任の数は非常に少なうございまして、この四十三年末五千四百九名という中で、この食品衛生だけを専任いたしております者は九百十二名でございます。したがいまして約六分の一。あとは兼務でございまして、といいますのはその資格が、御指摘のございましたように非常に高度な技術を要します、大体薬剤師さんと獣医さんが主体でございます。それぞれの職能に応じて、たとえば獣医さんでございますと屠畜検査員、薬剤師さんでございますと薬事監視員、そういうふうなことを兼務いたしましたり、あるいは環境衛生監視員というようなことで兼務をいたさざるを得ないような事情もございまして、兼務が非常に多いわけでございますが、自治省のほうでこの算定基準を逐次増員をいたしてくださいましたために、四十一年から四十三年までを見ますと、大体その間に時局を反映いたしまして、各都道府県のほうで約三百五十名程度の増員をやってくれております。それから四十四年度に三十七名から三十九名、二名増員していただきました結果、まだ正確な数字はまとまっておりませんけれども、約二百名程度の増員を各県でやっていただいておるようでございます。逐次、わずかではございますけれども、その成果はあがってきている。そこで、この程度の増で私どもはよろしいのかどうかというようなことを考えた末に、相当思い切った要求をするためには、やはり相当な根拠と決心が要るというようなことから、まあ御遠慮申し上げた次第でございます。以上でございます。
  82. 和田静夫

    ○和田静夫君 まだ答弁、検討会の話が残っています。
  83. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 失礼いたしました。先ほど申し上げました検討会は、四十四年の十一月から大体月に二回程度やっておりまして、目標は大体六月ごろを目途に結論を得たいということで作業をいたしておりますが、若干時期がおくれておりますが、ことし一ぱいには一応必要な処置をしたというようなことで作業を進めている段階でございます。
  84. 和田静夫

    ○和田静夫君 監視率等の問題では、もう一つ見のがせないのは、言ってみれば機動車の関係があると思います。そこで先ほど人員もありましたが、奈良県と高知県に配置をされている、いわゆる完全な検査機能を持っているところの機動車、それは何台ずつですか。
  85. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 詳しい資料をいま手元に持っておりませんが、高知県は、ことしたしか整備をいたす予定のように思っております。奈良県は、なかったと思います。
  86. 和田静夫

    ○和田静夫君 でしょう。もうほとんど、言ってみれば機能的な状態の配置ではないのです。そこでこれについても、言ってみれば食品問題検討会が結論を出さなかったならば、いまのところは対策がないわけですか。
  87. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 昭和四十四年度からパトロール車につきましては予算がつきまして、四十五年度も引き続き十二台、四十四年度十二台、四十五年度十二台というようなことで、逐次整備をしていきたい、かように考えております。
  88. 和田静夫

    ○和田静夫君 これこそ最低基準は画一的なものが求められて配置をされなければなりませんよね。段階的に何台何台というものが全国的に割り振られたところで、そういうものが各県別の言ってみれば検査、そういうものの能率を上げるということに作用しない。それから予算をつけたあとの点検なんですが、今度は機動性がないものですからこれはお調べになっていると思うのですが、言ってみれば検査機能を持っていない、そういういわゆる機動車、たとえば職員がもう行動の範囲を広めるために求めるものですから、それがバイクに変わっておったりなどという形になっているのであります。その辺のことは十分に、もしお調べになっていないのならばお調べになって見てもらわなければならないと思うのですが、そういう状態について御存じですか。
  89. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) パトロール車の運営につきましては、実際にそれを動かしております全国の監視員の中で監視員協議会というのをつくっております。そこの中の技術部会で一応、どういう運営が一番好ましいのか、パトロール車のあり方についての検討を実はお願いしておりまして、いろいろ意見がございます。まず都会とそれから農村地帯、これは非常に形態が変わっております。たとえば大都市ではあまり大きな車を、完備したものをつけますと、かえって駐車する場所に困難をきたす。あるいは交通が非常に停滞いたしまして能率が上がらない。むしろ小回りのきくようなものがよろしい。それから先生御指摘になりましたように、場合によりましては、資材を運搬してその根拠地をつくって、そこにしっかりした検査員あるいは設備を整えて材料を運んだほうがむしろ効率的であるというようなこともございます。また農村地帯では、非常に距離が遠いために泊り込みでやるような必要が生じる場合もございます。そういうところにはむしろ大型の車で、しかも設備が整ってたいていのものができるというようなものを整える必要がある、というようなこともございますし、それから中身でございますけれども、やはりパトロール車でやりますのは、どういう毒物があるいは色素が入っておるか、そういうふうなものを化学的に試薬で調べまして、そうしてそれがどの程度、何グラム入っておるかあるいは何ミリグラム程度のものかというような定量試験は都道府県の衛研等に持ち込んでやったほうがいいだろう。それからもう一つの活用方法としましては、本庁に監視班を設けまして、機動班でございますけれども計画を立てた上で、ある地域を密集的に、効率的に一時にその地域を全部洗うというようなために班を編成いたしましてやるというようないろいろな方法がございまして、やはり御指摘のように問題がございますので、いろいろこれからも検討して、最も効率のよい運営のしかたをやってまいりたい、そのように考えております。
  90. 和田静夫

    ○和田静夫君 パトロールカーの配置の一覧をひとつ資料として出していただきたい。
  91. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) はい。
  92. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 人員の問題あるいは施設の問題に入ったわけですが、まず国務大臣としてひとつお聞きしたいと思うのですけれども、いま食品衛生の問題、たいへん新聞でやかましいわけなんですが、私どもはさらに危険な食品もありますし、あるいはうそつき商品と称するものもあるわけであります。こういうものも点検してもらわなければいけないと思うわけです。たとえば朝日新聞等の報ずるところによりますと、日本製のジャムというのはイチゴは一粒も入っていない、こういうことも前に報道をされた事実があるわけであります。あるいはかまぼこは水産物か農産物かという議論も新聞紙上でされたことがありますけれども、これらは一応からだに対し危害がない、一応ないということでありますから、それはそれとして一応おくにいたしましても、監視率がこれだけ少ないということは、これは食生活に対して私はきわめて大きな不安を国民に与えていると思うのですが、この前も大臣は、私どものほう、自治省のほうから積極的にこういうものは直していくのだ、そういう姿勢を私は示したいというふうな御答弁がありまして、和田委員のほうから、それはありがたく承っておくというようないきさつがありましたけれども、この数字を見ていただいて一体大臣はどういう御所感をお持ちになっておられるのか。これはただ単に自治省を担当する大臣としてだけではなくて、やはり国民の生活を預かる政府の閣僚の一員としても、私はこういう食品問題というものは考えてもらわなければならぬと思うわけであります。大臣のこれに対する御所感をひとつこの際承っておきたいと思います。
  93. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 食品の監視に対する監視率、いろいろこの監視率の内容、意味するものにつきましてはさらに検討をしつつ適切な措置を講ずべきであろうと存じております。しかも一刻もゆるがせにできないのじゃないかと、いまのところはそう言ってもどうかという問題ももちろんございますが、ひとつなるべく早く関係各省ともよく打ち合わせ、検討をいたしましてなるべくすみやかに適切な措置を講じたい。現状が不満であることは大体われわれも日常察知いたしておるところでございまして、さればこそ検討とこれに対する財政上の措置、またいろいろ行政上の措置等、適切な食品衛生その他の公害行政に対する運営をしなければならないと固く心に記しまして、その点は自治省内においてもお互いに話し合い、先般決意のほどを申し上げたような次第でございまして、その決意に従って今後やってまいりたいと考えております。
  94. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは私はたいへんな問題であると思う。ただ単に人をふやすことだけがいいのか、あるいはこういうものに対する基本的なあり方、こういうものにもっとメスを入れるべきなんです。いろいろ議論はあると思うのですけれども、しかし簡単な問題でないことだけは私は事実だろうと思うのです。この点はひとつ来年度は大幅に改善されるように強く要望にしておきたいと思います。  その次に、やはり厚生省の方をお聞きしたいと思うのですが、午前中も刑務所お話が出まして、皆さんがなるべくこれは郊外へ持っていけというようなお話が午前中ありましたが、終末処理場ですね、これもなかなか位置がきまらないところであろうと思うのです。それから、時間がありませんからついでに申し上げておきたいと思いますが、いま下水道が完備していないところはバキュームカーでこれを取っているわけです。魚屋の前でバキュームカーが汚物を集めているところなんかを見ますと、実は非常に危険きまわりないという感じがいたします。煙突みたいところから盛んに吹き出しているわけですが、これは終末処理場においても私は最近は同じだろうと思うのです。特にいろいろな洗剤によってあわが多くなる。それに空気を含ませる、そのことによって曝気の作用をしているわけだろうと思います。そうした意味で、いま終末処理場でそういう点でカバーなしで白日の、何といいますか、おおいなしのもとでやっているのが私は非常に多かろうと思います。あるいはバキュームカーにいたしましても、何らかの形でフィルターを通すようにさせないと、あのあわが小さくほんとうに目に見えないようなものになって大気中に飛び散っていく。それが鮮魚につく、あるいは野菜につく、まあこういうようなことが非常に多かろうと思います。もし資料があったら私は示していただきたいと思うのですが、バキュームカーの通ったあとのそういう鮮魚、魚介、あるいはおすし屋さんなんかにおいてもそうです。一体汚染されているのかされていないのか、もし資料があったらぜひ私は見せていただきたい。そういった意味で、今後終末処理なりあるいはバキュームカーの構造なんかは改善すべきである、こういうふうに私は思うのですけれども自治省もそういうようなものに対して一体どういう形でやっているのか。そういう終末処理とかあるいはバキュームカーとかのあり方というものは、やはりもう少し考えてもらわないと、ただ、いままであるものがそれでいいという形でいきますれば、午前中の刑務所の話と同じように、終末処理場を置く場所というものはおそらくなくなってしまうのじゃないか。一体おおいのある終末処理場というのは全体のうちの何割ぐらい、あるいはバキュームカーでフィルターを通すことのできるようなバキュームカーというものは一体どのくらいあるのか、わかっていたらお示しいただきたい。
  95. 石丸隆治

    説明員(石丸隆治君) ただいま先生のおっしゃられましたように、いろいろなわれわれの清掃施設の改善すべきことにつきましては全く同意見でございまして、われわれといたしましても絶えず新しい技術を取り入れながらこの改善をやっておる次第でございまして、せっかく公害を防ぐための施設としてつくられたものが、なお第二次の公害になるというような点につきましては、そういったことのないよう努力をいたしている次第でございます。  それで、この終末処理場でおおいがあるところが何カ所かということでございますが、実は下水処理場のほうの所管は建設省でございまして、われわれのほうの所管いたしておりますのは屎尿の終末処理場でございまして、ただいま先生御指摘のような洗剤によるあわというのは、下水処理場に比べますとわりあい少ないのでございますけれども、やはりその処理場の近所等からあわが飛んで来るというような苦情は聞いておるわけでございます。これに対しまして、現在おおいを持っておる施設、これは私、本日資料を持ってまいりませんでしたけれども、ほとんどございません。おおいのある施設というのは、これはまた別の意味で、北海道におきまして保温の意味でおおいをつけておる施設はございますけれども、青森以南におきましておおいをつけた施設というものはないといっていいのじゃなかろうかと思うわけでございます。で、このあわの問題につきましては、現在活性汚泥法でこのあわが出るわけでございますが、それに対しましては、散水——ノズルから水を吹き出させましてあわを消す、こういう装置を開発いたしまして、現在新しくつくったものはすべてそれをつけるようにさしております。まあおおいのかわりになるのではなかろうかと思います。  それからバキュームカーの汚染の程度でございますが、やはりこれもわれわれは資料を実は持っておりませんで、われわれといたしましては、できればそういったことを、ただいま先生のおっしゃいましたような臭突のところに吸収装置をつけるというような機能の改善によって、そういうものは心配がないようにできるだけしていきたいということで、現在こういったバキュームカーにつきましても、新しい装置をつくるようにしているわけでございます。実はそういった装置を持ったバキュームカーが何パーセントであるかということにつきましても、われわれのほうでも調査いたしておりませんで、バキューム車全体の数字しかつかんでおりませんので、どの程度持っているかということはちょっとお答えしかねるわけであります。なお、このあとまた自治省のほうからお話があろうかと思うわけでありますが、新しくつくる施設につきましては、ただいま申し上げましたように、できるだけそういった機能、現在の科学の進歩を取り入れて、そういった心配のないように、いい施設をつくっているわけでございますけれども、従来つくりました施設で、現在の技術レベルから見ますと非常に劣っているようなものもあるわけでございますが、こういう施設につきましては、自治省のほうにごめんどう願いまして、起債、特別債のほうで財政的な援助を市町村に行なって、できるだけその施設を、古い施設につきましても、そういった公害の発生する部門につきましては、できるだけの改善を加えていく、こういう方向で現在進めてまいっております。
  96. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 自治省のほうは、そうした現実に対してどういう措置をいままでとってきたのか。あるいは、これからそうした問題というのは私はかなり大きな問題になってくるであろうと思います。いままでの、既設のバキュームカーの費用しか見てやらないというようなことも、これはかなり問題になるだろう。それから終末処理においても、その辺の施設のあり方というのは、いままでの既設のものであっては将来において禍根を残していく、先ほどの刑務所の話と同じような事態が私は生まれると思う。自治省の考え方はいかがですか。
  97. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 先ほど厚生省からお話がありましたように、こういう施設につきましては一番いま整備が急がれているものの一つであります。したがいまして、こういう種類の諸施設の充実、設備の更新というような問題につきまして、これは当面は主として起債を充当いたしまして、その施設の整備に充てるということでございます。そういう場合に、新しい技術の成果によるところの、新しい能力を持った施設なりそういう機材等につきましては、そういうものが非常に有効であるということであります限り、自治省としてはそういうものの整備ができるように配慮してまいっておるのでございますが、今後ともそういう、何と申しますか、技術的な開発なり、新鋭設備というものの研究が進み、その実現が証明されるに従って、私どもとしてはそういうものの採用ということについては当然積極的に考えてまいりたいし、また現在までもやってきたつもりであります。
  98. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは、これからだいぶ大きくなる問題であろうと思います。その点を自治省のほうも先取りするような指導を私はひとつやっていただかなければいけないと思うのです。その点でこの二つの問題終わります。  その次は河川の問題でありますけれども、道府県の場合の交付税の算定基礎の中には、河川の問題がかなり強く、大きく評価されております。市町村の場合というのは、河川に対する算定というのは、その他の土木費の中でわずかにあるそうであります。具体的には私どのくらいの計算になっておるかよくわかりませんけれども市町村の場合にはほとんどそういうものは見ていないというのが現状ではなかろうか。しかし、特に都市近郊における河川で一番はんらんしやすい、一番問題があるというのは、私はそういうせいぜい三尺か四尺程度の幅の河川というもの、これはかなりあばれている。それがはんらんを起こす例、あるいは交通を途絶させてしまうという例が非常に多いわけです。しかし、交付税の算定基礎にはそういうものはしておりませんけれども、おそらくこういう河川というのは、河川敷というのは、これは国有になっていて、その管理というのは市町村管理になっているのだろうと思うのです。ですから、河川の上の何か占有許可という場合には、おそらく一番最初に市町村のほうに話がいく、こういうことで、そういう管理市町村がやっている場合が多いようでございます。そういう河川というのは、その管理権というのは法的には一体どこにあるのですか。
  99. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、河川法の河川には一級河川と二級河川とございまして、その末端のほうに河川法の適用を受けていない水流、水面がまだたくさんあるわけでございます。それからもう一つは、そういう末端でなくて独立した水流と申しますか、河川法の適用を受けていないそういう水流、水面もあるわけでございます。これにつきましては、いわゆる建設省所管の国有財産ということでございまして、財産的には都道府県知事が委任を受けて管理をしているという形でございます。ただこれは財産管理の面でございまして、行政管理という面になりますと、県あるいは市町村が条例を設けまして、条例でもって管理をするという場合、それからもう一つは、河川法上は準用河川という制度がございまして、これは一、二級河川の末端でない独立の水流につきましては、市町村長が指定をして河川法を準用するというような規定はございますが、そういうようなことで、法的にはいわゆる普通河川と申しますと、まさに法律上の管理といいますか、法定外の財産でございますので、非常に明確を欠く点があるわけでございますが、そういうように財産的には国有財産管理者としての建設大臣の部局長として知事が管理しています。行政管理としては条例でやるということでございます。
  100. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 建設省ではそれはどれくらいあると掌握をされておられるでしょうか。
  101. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) この問題、非常に大きな問題でございまして、われわれかねてから普通河川の問題というのは、相当いろいろ頭を悩ませておるわけでございます。どれくらいあるかという問題でございますけれども、実はこの普通河川をどうするかというようなことは、いろいろ立法的な河川法全体の問題としても検討せんといかぬ問題でございますので、昭和四十三年度に八県につきまして実態調査を、概況的な実態調査をやってみたわけでございます。その結果によりますと、一応八県だけを対象にした河川について申し上げますと、現在一、二級河川の延長の大体倍くらいあるというようなことが実態調査として出てきました。これを非常に大ざっぱに推定いたしますと、現在の全国の一、二級河川の総延長が大体十一万キロぐらいでございますので、八県から推定できるとすれば、大体二十二万キロぐらいあるんじゃなかろうかという程度の推測でございます。
  102. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そういうきわめて小さい河川が全国市町村でどれくらい一カ年改修費を使っておりますか、わかりますか。
  103. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) 六大都市だけで調べたのがございますので申し上げますと、昭和四十三年度では県のほうの額が一億三千万、それから市のほうが五億八千百万、合計七億二千万、六大都市では出しておる状況でございます。
  104. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 自治省のほうでもわかりませんか、四十三年度の決算で。そういう特に単独的な小河川の改修費というのは幾らくらいなんですか。
  105. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 四十三年度の決算の数字は河川、海岸と実は一本になっておりまして、いまの小河川だけ、普通河川だけという数字が出ておりません。河川、海岸一本で市町村分の単独事業費が約百九億円となっております。そのうち普通河川分がどの程度あるかという数字は、ちょっといまわかりかねます。
  106. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 交付税法の計算上もそれは全然わからないということなんですか、ある程度わかりますか。
  107. 横手正

    説明員(横手正君) 普通の交付税都市河川経費はある程度見込んでおります。これは先ほど先生がその他の土木費というお話がございましたが、実はその他の諸費のほうで面積分において考えております。算入額ですが、四十四年度は四十九億円算入されております。四十五年度はそれに十七、八億円ふえる見込みでございますが、六十七億円入る見込みでございます。この算入にあたりましては、実は普通河川の延長、これの基礎的な数値をとることができれば、的確に算入することができるわけでございますが、そうした必要にして客観的な資料が整えにくいということがございまして、面積分で算定いたしております。  なお考え方といたしましては、最近の状況からいたしまして、特に都市河川ということに重点を置く、こういう意味合いから、人口集中地区面積、これがいわゆる市街地面積になるのかと思いますが、この面積の多寡に応じて配分する、こういうような仕組みにいたしております。
  108. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そういう形で基準財政需要に算入をいたして、そうした河川の改修というのは行なわれていくんだろうと思いますけれども、要改修と改修済みというのはどのくらいの割合になっておりますか、わかりませんか。
  109. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) 詳しくは調べておりません。ただ、一言申し上げますけれども、普通河川につきましても毎年建設省のほうで一級河川の指定をやっておるわけでございますが、その中で、四十五年度におきましても大体三百八十二件ばかり普通河川から一級河川に上げております。災害があるとか、それから非常に宅地開発が進んできた、あるいは水利権の問題でやっぱり法的管理をせぬといかぬ、そういうような管理の必要なものにつきましては、緊急なものからどしどし河川法の中に取り入れておるわけでございます。
  110. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは自治省のほうでも、おそらく先ほどの算定の額だけでは足りないだろうとお考えだと思います。かなりやりたくても災害がなかったりすると延ばし延ばしになっておるというのが実情であって、災害があれば、そういうものをサボっていただけによけい大きくはね返るという結果になると思います。そうした意味では、私はやはりもう少し資料も早く明確にして、都市のそうした小河川というものを治める、これからの災害予防の意味でも、私はかなり重要な仕事になってくるんじゃないか。その辺はもう少しひとつ整理をするなり、その他の方法によって改修を早めるなり何かしてもらいたいと思うのですけれども、どうでしょうか。
  111. 横手正

    説明員(横手正君) 普通交付税法上の措置につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、各地方団体ごとに必要といたします額を的確に算入いたしますためには、相関関係にあります客観的な指標がどうしても必要になってまいりますので、現在のところ残念ながらいろいろ検討を加えておりますが、十分なそうした資料が見出し得ないわけでございます。普通河川の延長、こうしたものがあれば、これを参考にいたしまして算入措置も強化できるわけでございますが、残念なことに建設省のほうからお話がございましたように特定の概数しか現在はない、こういうような状況でございます。したがいまして、やむを得ず面積によって算入するというようなことをいたしておるわけでございまするが、一つにはこうした面積分による算入額の強化、それといま一つには、やはり都市部におきましては都市下水道の整備が必要になってくるのだ、かように思います。したがって、そうした都市下水道の整備、こうしたものも含めまして今後充実強化ということを考えてまいりたいと思います。
  112. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうもあまり積極的な御意見ではないように思うのですが、これはそのままにしておいて、資料があまりはっきりしないからということでそのままにしておくわけにはいかないだろうと思います。最近は比較的災害が大きなものがなかったから、それはひどい結果というものがあらわれていないわけでありますけれども、しかし、よく言われていることわざに、災害は忘れたころにやってくる、こういわれているわけであります。その辺の整備を早めてもらわないと、人口が集中するにしたがってその災害というものはよけい大きく出てくる。ですから、その点をひとつここですぐ御答弁できないにいたしましても、ひとつ何とかしてもらわなければならぬと思うのですけれども局長どうですか。
  113. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 実情はいま交付税課長から申し上げたとおりでございますが、この的確な資料の把握には私自身としてもこれからつとめてまいりますし、建設省ともどもにそういう必要性を十分痛感しておるわけでございますから、そういう意味の必要な資料のできた上で、この関係の経費について積極的に交付税に需要としての算入措置を強化してまいりたい、こう考えます。
  114. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) 建設省といたしましても、実態調査の把握にさらにつとめまして、その予算措置等につきまして自治省とも十分御相談申し上げたいと思います。
  115. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 次は、学校建設の問題でちょっとお聞きしたいと思いますが、文部省の方、特にことしは学校敷地の問題について、起債も昨年度より三十億ばかり認められて若干の進歩があったように思うわけですが、実際はそれを上回る人口増と教室数の不足という問題が出てくると思いますが、大体人口の急増地域、社会増の激しい地域におけるところの不足教室数というのは一体どのくらいあるのですか。あるいは新しく学校を建てなければならないと思われている地域、学校数というのは一体どのくらいあるのか、現在の教室不足をどういう形で実際補っていく、それの功罪というものは一体教育上にどう出ているのか、この辺について御説明いただきたいと思います。
  116. 松浦泰次郎

    説明員松浦泰次郎君) 先生のお話しございましたように、東京を中心としました地域あるいは大阪、名古屋を中心とする地域その他大都市近辺につきまして、非常に住宅建設等に伴う社会増が激しいのでございます。それに伴いまして、児童生徒が増加いたしますと、学校の校舎の不足を来たしております。四十四年度現在の数字でございますが、小学校で申しまして六千百六十教室、中学校で七百五十六教室、合計いたしまして六千九百十六教室が不足いたしております。その応急措置としましては、いわゆるプレハブ校舎といわれております臨時の建物でございますが、これによりましてやっておりますものが、小学校で二千二百七十八教室、中学校で二百七十四教室、合計二千五百五十二教室ございます。その他、理科室とか技術家庭科の教室とかそういう特別教室の転用によってやっておりますものが、小学校で一千四百五十九教室、中学校で二百三十一教室、合計いたしまして千六百九十教室ございます。その他、屋内体育館の間仕切りというふうなもの、あるいは管理関係の室の転用というような方法によってしのいでおりますのが小学校で二千四百二十三教室、中学校で二百五十一教室、合計いたしまして二千六百七十四教室でございますが、特に小学校の場合が非常に大きい数字になっておりまして、全体としまして従来から若干ずつやはり不足が増加してまいっておるというふうな趨勢にあるわけでございます。  それからこれを学校新設の状況から見ますと、四十三年度の状況から申しますと、四十三年度には、小学校百二校、中学校十七校、合計百十九校の新設校がございます。それから四十四年度には、小学校が百四十四校、中学校が二十二校、合計百六十六校が新設されたのでございます。四十四年度から四十八年度の状況を一応今年の二月に私ども調査しました結果によりますと、四十四年度以降四十八年までに合計千三百校くらいが新設され、この学校新設状況も今後相当大きい調査の結果が出てまいっておりまして、やはり今後相当の間社会増の趨勢が続いていくのではないかというふうに思われるわけであります。
  117. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 最近の措置で、先ほども申しましたように、学校の校地についてはいままでは何もなかったわけでありますが、起債が認められた、あるいはその他の点で用地確保には幾らか手当てがついてきたが、四十三年、四十四年度の学校用地の取得を一体どういう形で取得しておるのですか。たとえば一般会計からどのくらい金を出すとか、あるいは起債でどのくらいやるとか、あるいはその他の借り入れ金でどのくらいやるとか、そういう点おわかりになりますか。
  118. 松浦泰次郎

    説明員松浦泰次郎君) ただいまお話しの点でございますが、社会増等に伴いまして、既設校舎の拡充、学級増設というふうな方法によってやります場合もありました。その場合にも、その校地が狭いと、やはり拡張というふうな問題が生ずるわけでありますけれども、先ほど申しました新設校等につきましては、どうしても新しく相当まとまった校地を取得しなければならないというような状況でございます。その状況を、ただいま四十三年度の数字があるのでございますが、小中学校用地としまして、取得費が三百三十五億円というふうな数字がございます。そのうち、従来は、主として地方債と交付税によって措置がされております。地方債によるものが二百二億円、うち政府資金が二十億円、交付税関係で約五十億円というふうに聞いておりますが、あとは一般財源というようなことでございます。  それから、四十四年度からは、文部省としましても何らかの措置を講じなければならぬということで、整地費の補助ということを始めたわけでございますが、これによりまして、三億円の予算措置を講じました。それ以外につきましては、取得費等につきましては、現在まだ調査結果が出てまいっておりませんが、やはり地方債の拡充と交付税措置措置をいたしていきたいと考えているわけでございます。なお、四十四年度の地方債の措置額三百一億円でございますが、そのうち約五十億円が政府資金でございます。以上のような状況でございます。
  119. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうすると、そのほかは、銀行からの借り入れとか、農協からの借り入れとか、そういうふうな形でございますか。それで、大体その利率というのは、どのくらいの利率で借りているのですか。
  120. 松浦泰次郎

    説明員松浦泰次郎君) ただいま申し上げました数字、地方債の額を申し上げましたが、そのうち、政府資金を除きますものがいわゆる縁故債等でございまして、農協とかその他銀行等からの借り入れでございますが、従来調べました利率では、平均約七・三%ぐらいでございます。償還期限も、政府資金等に比べると短くなっているというような状況でございます。
  121. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いま実態、文部省のほうから言われたとおりであろうと思うのですが、自治省のほうは、交付税あるいは起債若干増額されたらしいのですが、そういう形以外に——この学校の不足、教室の問題はさらに深刻だろうと思います。何らかさらに前進した措置というものがなければ、結局プレハブの校舎、これで子供が教育をさせられる。先ほど文部省の方は、そういうものの成果についてはお話しいただけなかったのですが、おそらくプレハブ校舎でありますれば、夏は暑いし、冬は寒いし、ほこりは入ってくるし、隣の教室で音楽でもやっていれば勉強はできない、こういうのが私は実態ではなかろうかと思うのです。しかも、一番重要な人格形成の時期にある子供が、そういう教育環境で教育を受けるというのは好ましくない。これは何らかの措置を新たに考えておられるのかどうか。たとえば、いま校地のお話も出ましたけれども、縁故債にしても、政府資金に比べればかなり高いだろう。償還期限等にいたしましても、おそらく非常に短いことであろうと思う。そういうものに対する措置のしかた、あるいは学校建設においても、これは私は、統一単価と、その地域におけるところの実質単価というものにも、かなり大きい差があるだろうと思いますが、徐々に是正はもちろんされてきているとは思いますけれども、まだかなりの差があるだろうと思います。そういう意味での超過負担というようなものも、人口急増地域の教育施設をつくっていく上では、おそらくたいへんだろうと思う。おそらく教育費のうちの半分くらいは、こうした施設費に使われてしまって、その他の教育費というものは必然的に非常に手薄になるという実態であろうと思うのですが、これについて、起債を三十億ふやした、あるいは交付税で人口急増地域については幾らか見たようですが、交付税で人口急増地域について幾らか見たという金は、算定上幾らぐらいになるのですか。
  122. 横手正

    説明員(横手正君) 昭和四十四年度におきましては、百一億円算入いたしております。これは主として学校用地取得費と、こういうふうに申しておりますが、内容的には、初度調弁費あるいは理科設備、給食設備、体育設備、こうしたものもひっくるめて、一切がっさいを人口急増補正によって見込んでおるわけでございます。標準的に申し上げますと、小学校の場合、おおむね十八学級増加のあったところにおきまして約三千万円、中学校の場合は、十五学級ぐらいの増加がありましたところで一億三千四百万円、この程度を見込んでおります。
  123. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 文部省の方にお聞きしたいのですが、この教室の不足というものは、一ぺにはなかなかもちろん解消できないと思います。先ほど千三百校の新設が必要だ、四十八年までですか、というお話でありました。しかし教室数にしたらもっと多い教室になるだろうと思う。それを五年くらいで解消するとなると、その総額はどのくらいになりますか。
  124. 松浦泰次郎

    説明員松浦泰次郎君) ちょっと五年間をまとめて計算したものはないのでございますが、社会増関係につきましては、やはりほうっておけないものでございますので、大体翌年度の調査をしまして、その実際の必要に応じて予算措置を講じていくというような形でやってまっております。先ほど申し上げましたように、小学校校舎がいまのところ中心になっておるわけでございますが、四十三年度には、面積でいきますと四十九万平方メートルでございますが、社会増の実態に照らしまして、四十四年度には、これを七十二万平米と、相当大幅なアップをしたわけでございます。しかし、これでもなお不足するような状況でございます。四十五年度予算におきましては、九十二万平方メートルということで、四十三年度に比べますと約八、九〇%の増の面積を確保してやっているというような状況でございます。
  125. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大臣、どうなんですかね。教育の問題でこれだけ校地を取得しなくちゃならぬわけなんですけれども、先ほどの御説明の中で、かなり一般財源からそれを充てているわけですけれども、それでも現実問題として足りない、こういうわけなんですが、校地について、もう少し何らか、起債をさらにふやすとか、あるいは縁故債の利子については利子補給をしてやるとかいうことで、この急増の地域の必要とする教育施設というものは、早く整備をせざるを得ないと思うのですね。自治省としても、そのままほうっておくということになりますれば、やはり私は、これは将来の大きな社会問題へと発展していくべき性質のものだと思うのです。校地については、もう少し何らかの形で考えるべき方法というのはないでしょうか。どうなんでしょうか。
  126. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 中小学校の施設の拡充、ことに人口集中地帯、大都市におけるそれは問題でございまして、われわれいま頭を痛めておる用地につきましては、近来、地方債のワクを拡大することによりまして対処をしてまいったのでございますが、さらにこれが拡大、その他利子補給等の点もさらに考慮をしなければならぬと思っております。いろいろこの点につきましてはさらに非常にむずかしいことでありますが、ある程度校地以外の問題に触れますが、補助金等の拡張というようなことも考えなければならないと思っておりますが、何さま急増、需要というものが非常に急でございまして、われわれも何か別途いい方法があればと考えておりますが、さしずめはやはり起債のワクの画期的な拡大、これを考えて急場の用にひとつ間に合うようにいたしたいと考えておりますが、文部省ともこの点さらにさらにいろいろ検討、御相談を申し上げたいと考えております。
  127. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大臣の考え方については私もそのとおりだと思うのですが、もう少し具体的に、たとえば利子補給することによってその負担を少なくするとか、あるいは建築に対しまして補助率を上げるとかなんかしなければ、このままでは私どうにもしようがないと思うのですね。ですからもう少し、具体的にはまだそこまで御相談がいっていないということだろうと思いますけれども、来年はひとつもう少し見るべきものは、年度途中でもかまわないですから、もう少し見るべき措置というものがない限りは、これは将来の国民ですからね、私はほかのものと違っていいかげんなところで教育をさせるというわけにはいかぬと思うわけです。そういうようなことがあればあるほど、私は将来に爆発的な社会問題を起こしていく原因をそこでつくられるわけでありますから、どうなんですか、来年はもう少し具体的な問題をもう少し急速に進めるようなそういう措置を来年はおとりになれますか、どうですか。その辺までお約束していただかないと、毎年毎年同じようなかっこうでプレハブ校舎の中で勉強をしているというようなことは、私は最も教育上あまり感心をしないことだろう、あるいはすし詰め教室の中でやるということも、そうしたことも問題を生ずるわけであります。早速これはぜひとも早い機会に何か改善措置を具体的に出してもらわなければ困ると思うのですけれども、その辺はどうでございましょうか。
  128. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 大都市における義務教育の施設及び用地の取得整備につきましては、常に関係方面から熾烈な御要望に接しておるわけでございまして、ただいま先生のおっしゃるとおりほうっておけない問題だと思いますので、文部省ともその他文教関係者とも打ち合わせをいたしまして、前向きに検討いたしまして、何らかの処置をとりたいと考えておるわけであります。
  129. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは局長でも課長でもけっこうでございますけれども、予算上の建設単価と実質単価の差というものは何とか解消できないものでしょうか。こういうものはやはりやろうと思えばできるであろうと思いますが、これはできませんか。
  130. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 予算で組みました単価あるいは実質単価、その辺のところの差というものが超過負担のもとになってきて、それが市町村の財政を圧迫するだけでなくて、また、学校建設の支障となっているということは事実でございます。前々申しておりますように、建設単価につきましては超過負担を生じないようにということで計画的に解消を進めてきておりますが、まだ完全なところまではいっておりません。引き続き国家予算の編成を通じてその単価の適正化をはかるように措置していく、そういうことによっていまのような問題の解消をはかっていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  131. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それはちょっと将来と、無期限でそういうことを言われたのでは困る。来年度あたりは実際これが解消できるような措置をとってくれますか、どうですか。そう長く、五年も六年もの先のことを言われてもしようがないんですから、来年度はどうしますか。
  132. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 単価の適正化の問題につきましては、これも以前に御説明いたしたと思いますが、四十二年度に公立小学校の建設費につきましては調査をいたしました。その後三カ年間で解消するということで三、四、五とやってきたわけであります。一応三年の目標を終了したわけでございますけれども、実はその後の建設といいますか、物価の値上がりに伴います建設単価の増もございますので、四十二年調査に基づく解消措置は進んでまいったわけでございますが、現在の建築費等の関係にさらに問題があるといたしますならば、これはもう一回調査を私どもとしてはしなければならぬ、こういう気持ちもいたしております。そういうことも含めまして、四十六年度以降の問題を考えていきたい、こういうふうに思っております。
  133. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 まあ委員長のほうから時間の関係があるからというお話でございますから、さらにお伺いしたいところでありますけれども、この辺で終わりたいと思いますけれども、ひとつこれは文部省も自治省も、ひとつ抜本的な財政対策を立てていただきたい。いつまでも同じような圧縮授業だとか特別教室の転用だとか、プレハブだとか、こういうぶざまな状況は早くなくしてもらいたいと思います。そのことを強く要望して、校舎の問題については終わりたいと思います。文部省どうも御苦労さまでした。  そこで、具体的な特にわれわれの身近な問題においてすらかくもその対策がおくれている、かくも国民生活を不安におとし入れているというような状態でありますが、そういう中でも、先日から引き続きまして交付税のあり方というようなものについて、一体地方団体の固有の財源であるのかどうか、こういうことが論議されたわけでありますが、ひとつここでお聞をしておきたいことは、四十四年度の基本財政需要の算定において、経常経費と投資的経費というものを分けられました。これは四十四年度の全体の算定の中において、道府県別、市町村別ですね、その算定が経常経費で幾らになり、投資的経費で一体幾らになるのか、おわかりになっていたら教えていただきたいと思いますが、ちなみに四十五年度も、推定でありましょうけれども、大体どのくらいになるのか、これを教えていただきたいと思います。
  134. 横手正

    説明員(横手正君) 昭和四十四年度の算定結果によります基準財政需要額の内訳でございますが、経常経費は、道府県におきまして一兆三千八百億円、市町村分におきまして一兆八百億円でございます。これに対しまして四十五年度の経常経費は、道府県において一兆六千二百億円、市町村分におきまして一兆二千七百億円の見込みでございます。  次に投資的経費でございますが、これは昭和四十四年度におきまして、道府県分におきまして五千三百億円、市町村分におきまして四千二百億円でございます。四十五年度におきましては、道府県分におきまして六千四百億円、市町村分におきまして五千二百億円の見込みでございます。なおこのほかに四十四年度には、公債費といたしまして道府県分におきまして三百七十八億円、市町村分におきまして百五十五億円であります。それから四十四年度限りの措置とされました土地開発基金、これが道府県分におきまして二百五十億円、市町村分におきまして三百七十七億円であります。なお四十五年度におきましては、公債費は道府県分におきましては四百億円、市町村分におきまして二百九十億円、それから土地開発基金費が市町村分におきまして六百億円、おおむねこうした内容でございます。
  135. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 去年この二つの区分をはっきりしたわけでありますけれども、まだその成果と欠陥というものがあまり具体的にあらわれてきていないだろうと思うのですけれども、何かそういう点で考えられる点は、成果と欠陥といいますか、いい点、悪い点、そういうようなもの、何かありましたら……。
  136. 横手正

    説明員(横手正君) 経常経費と投資的経費を分けましたことのまずいいと思われる点を申し上げますと、やはり経常経費なり投資的経費なりの財源措置が的確にやりやすくなったという面が一つあるのであります。いま一つは、これはとかく地方交付税の算定方法が非常にわかりにくいと、こういうふうにいわれておりましたが、こういう分け方によりまして、地方団体におきまして非常に理解しやすいかっこうになったという点があろうかと思います。ただ、あとの点につきましては、なお県なり市町村なりの理解に不十分な面がまだ見受けられるかと思いますけれども、ここ二、三年続けていくうちにそうした点、非常にわかりやすくなっておるという面は実効をあげてまいろうかと、かように思います。
  137. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 だいぶ委員長から時間を責められておりますから、いろいろお聞きしたいことがあるわけですが、時間がありませんので、これで結末にしたいと思うのですが、私はこういう経常経費、投資的経費に分けるということは、去年も私は若干疑問を提出しておいたわけですが、私はこれは財源調整、年度間の財源調整で大蔵省の言い分というものとやっぱり関連があるような気がします。と申しますのは、これによって、これはきのうも原田委員からもお話もありましたように、公共事業の地方負担分というものがより明確に交付税の算定の中に入ってくる。そうしたことが私は結論においてますます交付税というものの性格が補助金に従属するというか、あるいは補助金化してきた、こういうことが言えるだろうと思うのです。午前中の議論でも、その使途は別に制限をしていないのだと口ではおっしゃっておりますけれども、実際上は算定のおのおのの項目にそれが支出されることを期待していることは間違いないと思う。そういうふうにいたしますれば、当然地方団体というのは、なるべく自治省のごきげんをそこなうまいと考えるでありましょうから、私は当然そういう意味では、交付税というのが補助金化していく。公共事業に従属していく。こういうようになってまいれば、私はますます国のフィスカルポリシーというワクの中にこの問題が入ってくるのじゃないか。そうしたことがますます大蔵省のほうから、地方交付税というものを国の全体のフィスカルポリシーの中に振り込む。そのために必要とあらば年度間調整を強硬に持ち出してくる、こういうことになるんではなかろうかと思うわけであります。午前中大臣は、もう来年は絶対に大蔵省に屈服して、いままでのような財源調整はしないということを約束されましたので、私はここで申し上げませんけれど、こうした形での交付税の補助金化というものに対しては、私は地方自治の本旨をもこれはこわしていくものであると同時に、交付税というものが、私はますます大蔵省の意見のワクの中にはまり込んでいく、そういう結果になることを非常におそれております。  もうあと御答弁は要りませんけれども、ひとつ今後そういう形で交付税というもの、交付税制度というものを再検討してもらわなければいけない。また中央と地方との財源というものについても、もうこの辺で一回考え直すべき時期にきておる。そうでなければ交付税の意義というものも私はますますなくなっていくのではなかろうか、こういうことを警告申し上げまして、私の質問は終わりたいと思います。
  138. 市川房枝

    ○市川房枝君 私の質問はいつも一番おしまいでありまして、採決のすぐ前になるものですから、延び延びになっちゃって、つい質問を放棄したり、あるいは時間も迫ってまいりまして、十分な質問ができなかったのでありますが、きょうもあと四時から本会議がある。それに緊急上程をすることになっているらしくて、なるべく短くという御希望を理事からいただいたわけであります。しかし、最初から三十分とお願いしてございましたので、時間励行で、その間だけ簡単に二つの問題にしぼって伺いたいと思います。それでお答えのほうもひとつ簡潔に正確にお願いをしたいと思います。  自治大臣は去る三月の中旬に伊勢神宮参拝においでになりましたが、その際の記者会見で、自治体の特別職やあるいは議員の給与報酬の基準をきめていない、良識にまかせる、こうおっしゃったと出ておりましたけれども、そうでございましょうか。
  139. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) そのとおりでございます。
  140. 市川房枝

    ○市川房枝君 私はここに自治省の財政局の交付税課、財政課編の四十三年度地方交付税制度解説、単位費用編を持っておるんですが、そこには出ておりますね。これはどういう意味ですか。
  141. 横手正

    説明員(横手正君) 普通交付税の算定にあたりましては、各費目ごとに、やはりある程度積算基礎を策定いたさないことには単位費用自体が算定できないことになります。そのため、一応標準団体が受ける一応の見込み額、これを基礎にして算定をしておる、こういうことを行なっております。その額のことを先生おっしゃっておられると思います。
  142. 市川房枝

    ○市川房枝君 現実はそれよりもずっと多いんですけれども、多くても一向かまわないんですか。
  143. 横手正

    説明員(横手正君) 普通交付税の積算単価につきましては、これは地方財政計画に一応特別職なり議員なりの単価がきめられております。それを参考にしながら、それに合わせて交付税の積算単価をきめる、こういうことを行なっております。したがいまして、実態とは多少離れておる場合もあるかと存じます。
  144. 市川房枝

    ○市川房枝君 実態の数字があるんでしょうか。
  145. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 実態の数字は、いま手元にございますのは四十四年四月一日現在の実態調査の結果でございます。
  146. 市川房枝

    ○市川房枝君 最近ある新聞を拝見しますと、自治省は別に地方の自治体から報告を受けることにはなっていないので、わからないんだという答弁がちょっと新聞に出ておりましたけれども、ちゃんとお調べになって数字がおありになるんですか。私は時間がないから伺わなくてもいいと思いますから、あとでそれをひとつお知らせいただきたいと思います。  最近全国の市議会議長会の調査というものが発表になっておりますが、それに多少不合理なところも出ておる。ことにボーナスが自治省は三・三カ月お出しになっておりますね。ところが四カ月、五カ月、六カ月という支払いをいたしておるところがあるらしいんですけれども、こういうのは自治省としては別に知らぬ顔しておいでになるわけでございましょうか。
  147. 潮田康夫

    説明員(潮田康夫君) お答え申し上げます。  議会議員に対する期末・勤勉手当の支給につきましては、期末手当につきましては支給をするということができるようになっておりますが、勤勉手当につきましては支給できないようになっております。しかしながら地方実態を見ますと、いま先生が言われましたように、国家公務員のそれに対して六カ月とか五カ月とかいうほど多いところはもうほとんどございませんけれども、若干多いところがございます。あるいは勤勉手当を出しておるところも中にはあります。若干でございますがあります。それに対しましては、四十三年の十二月だと思いますが通達を出しまして、特別職に対する期末手当の支給につきましては正常化をはかっていくようにということで指導をいたしておりまして、漸次地方団体において報酬の引き上げの機会等をとらえまして正常化がはかられてきておるというふうには思っておりますが、まだその線に至ってないところもあることは事実でございます。しかしいま申し上げましたような線で、地方団体、府県を通じまして市町村に対して指導しておる次第でございます。
  148. 市川房枝

    ○市川房枝君 府県民あるいは市町村民の特別職あるいは議員に対する給与あるいは報酬に対する県民や市民の意思を反映するために設けられております報酬等の審議会ですね、あれはまあ前よりもあれができたことによって秘密にと言いますか、突然にと言いますか、議決することはなくて幾らか明朗にはなったと思うのですけれども、しかし必ずしもその運営がうまくいっているかどうか、市民のほんとうの意思が反映しているかどうかということについては多少疑問があると思うのですが、自治省はどういうふうにお考えになっておりますか。
  149. 潮田康夫

    説明員(潮田康夫君) 報酬等審議会の設置あるいは委員の選任あるいはその運営のやり方ということにつきまして、若干報酬の引き上げについての隠れみの的存在になっておるのではないだろうかという批判のあったことも事実でございます。それも先ほど申し上げました通達によりまして、報酬等審議会の委員の選任については住民の各層の代表の方が出られる、出ていただけるような選任のしかたをして、いやしくも外部から見て一部の層に片寄っているというようなことのないように気をつけております。それから審議のやり方につきましても、住民の側から非常に関心が大きくなりまして、公聴会あるいは参考人の意見を聞いてやってくれというような希望が非常に強いときには、その実態に応じてそういう住民の意向をくみ上げるような考え方で運用してほしいと、さらに報酬等審議会に対する資料の提出ということにつきましても、私どものほうで近傍類地の地方団体の引き上げの幅であるとかあるいは国の特別職の引き上げ幅あるいは当該団体の一般職員の給与の引き上がりの状況、さらにはその地域の民間賃金なりそういうようなものの動き、物価の動き、あるいは過去の議会議員の報酬の引き上げの経緯というような、そういう資料をここにあげまして、十分資料も出してやってほしいということで指導をしております。その結果、これは正確には調査をしておりませんけれども、最近の動きとしましては、その線に沿ってかなり報酬等審議会の審議のやり方も非常に正常化してきたのではないだろうか、こういう感じでおりますけれども、なおいま申しましたような線で一貫して指導しておる次第でございます。
  150. 市川房枝

    ○市川房枝君 次は地方自治体の財源とギャンブルの問題、これはこの前も伺ったのですが、あのとき不十分な点がありましたので、もう少し追加して伺いたいと思います。けさも毎日新聞ごらんになったかと思うのですが、東京都の廃止する予定の京王閣の競輪の肩がわりですね。東京都内の方々の市から、あるいは町村から自治省に肩がわりの申請をしようとしているということが出ておりました。国立市の議会がせんだって議決をしたのですが、これは市長が拒否をしているようです。それから田無、三鷹、保谷なんかがやっぱり肩がわりを決定して正式に自治省に申請したと新聞は言っておりますが、なおその東京都の町村長会あるいは町村議長会も会合をして各町村ごとに申請を出すことにきめたと、こうありますが、自治大臣、こういう情勢、これは東京都内だけですけれども、ほかでもきっとこういうことが起こってくると思いますが、どういうふうにお考えになっていますか。そして、どうしてこういう情勢になってきたとお考えになりますか。まず伺いたい。
  151. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) ギャンブル競技につきましては、これは奨励をこれ以上しない、必ずしもこれは好ましいことではございませんので、またこれについてはいろいろの意見もございますけれども、われわれとしてはこれはなるべくこれ以上広がらないように奨励はしないという基本的態度を持しております。しかし、ある程度のものは財政上の理由からもまあやむを得ざるネセサリー・イーブルとでも申しますか、現状やむを得ないところがあろうと、ついてはこれが健全な指導を施設の面あるいは運営の面について期していこう、こういう配慮をいたしておるのでございまして、しかし各町村がやるやらないの問題につきましては、その地方自治体の自発的な住民全体の御意思にまかしておく、しかし全体としてこれが回数をふやし奨励をするというワクは越えないように、このような大体考え方で、やるやらないの、いま先生お尋ねの問題につきましては、地方団体の御意思に大体よっていく。こういうふうに考えておる次第でございます。
  152. 市川房枝

    ○市川房枝君 東京都のやめる分については、お金は十一億ですね。そして回数もきまっておる。いま自治大臣はふやさない、こういうことでいきますと、方々からそんな申請があったらどうなさいますか。もう申請が来ましたか。それからそういう申請に対して、みんなに許可するわけにはいかないと思うのですが、それはどういうふうになさるおつもりですか。
  153. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 新聞は私どももきょう初めて拝見したわけでございますけれども、それらの関係の市なり町村なりからの申請書というものはまだ自治省には参っておりません。それは前にも申し上げたと思いますが、こういう書類の進達はすべて都道府県を経由して参ってくることになっております。また都道府県知事の意見をその場合に付して進達するということになっておりますので、その意味からもなお到達しないものと思っております。  それから、回数等につきましてはいま大臣が申し上げたとおりでございまして、現状東京都、あれはたしか十二回でございますか、やっておりましたものを、たしかこの十一月以降でございますか、五回でございましたか、七回でございましたかの回数をやめるということになって、そこでそのやめる分をということでお話が出てまいるのじゃなかろうかと思います。そういう意味で回数をふやすということではないと思いますが、それだけ大ぜいの者が来てどうなるかというお話でございます。もちろんこういうギャンブルにつきまして、現状これ以上奨励しない、むしろ均てん化と健全化という二つの方向で考えるということでございますので、具体の実際の申請を見なければわかりませんが、おそらく組合施行と申しますか、共同施行というような形を通じなければ、とても個々の団体がそういうところでかりに考えるといたしましても、なかなか実際問題としてむずかしいだろうと思っておりますが、いずれにいたしましても、そういう手続を経た上で、従来の方針に即して考えていくということになろうかと思います。
  154. 市川房枝

    ○市川房枝君 どうしてこういうことが起こっているかということを私さっき自治大臣に伺ったのです。大井の地方競馬のときに、東京都がやめたといいますか、その分を全部ほかへ配分なすったということが今度のような状況を見るようになってきたと私は思うのですが、この前のときに、ちょうど大臣がおいでにならないので、私は財政局長に伺ったんですが、これ以上ふやさないという御方針の基本は、三十六年の内閣に出されました公営競技調査会の答申だと思うのですが、ところがその解釈については、私は局長から、つまり均分化なんだと。それで売り上げ高の〇・五%を、五億円以上年に売り上げがある自治体からそれを公営企業金融公庫に云々というお話があった。私はその解釈がどうもはっきりしないのですが、そこで大臣がお見えになりますから、大臣に解釈をもう一ぺんはっきり伺いたい。私はこれが非常に大事な問題じゃないかと思うのです。これは答申の6の(ロ)にあるわけです。もう一ぺん読んでみます。「一部の地方団体において、その財政が公営競技に強く依存しているのは好ましくないことであるので、国及び地方団体は協力してできるだけ早く、かかる事態をなくすよう努力すること。」、こうあるのですが、この「強く」というのは、これは「一部の地方団体」と言っていますから、私はギャンブルをやっているそれぞれの地方自治体の財政が、公営競技に依存している程度が高いというか、強いということを言っているのだと思うのです。それを国と自治体と協力してだんだんこういう事態をなくするように、こういうことだと解釈するのですけれども、自治大臣はいかがですか。
  155. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 大臣がお答えいたします前にちょっと御説明さしていただきたいと思いますが、この均てん化という問題は、この前の法律の際は、公営競技の収益金の一部を、全国的な地方団体関係の深い公営企業の中に、売り上げ金の一部を取り入れまして、そうして利率の引き下げ等に資する、これも大きな意味で均てん化であろうと思います。この調査会で述べられておりますのは、特定の団体がいわゆるギャンブル収益に非常に依存した財政運営をしておる、そういうことのないようにというのは、つまりいま一つ別の意味の均てん化というものを含めて問題にしていると私どもは解釈をしております。つまり、それは一つの特定の団体が行なうというより、数多くの団体がなるべく共同施行をすることによって、そうしてその収益の片寄りを防ぐというような意味を含めての均てん化、それからそういう形でだんだんとそういう単独の経営主体というものがなくなっていくということになってまいりますというと、それに応じてそれ以外の団体にも収益の配分が回っていく。急激にはまいらぬかもしれませんが、そういう方向でその答申の線を、いわゆる組合施行という形で答申いただいて以来努力をしてきたのでございます。その成果につきましては、なおいろいろな沿革がございまして十分ではない点もございますけれども、そういう意味で、組合共同施行というようなことでその加入団体、いわゆる施行団体をふやすことによって、均てん化という答申の線を実現しようとしてやってまいって現在に至っております。
  156. 市川房枝

    ○市川房枝君 局長の答弁はこの間と同じですけれども、均てん化するのだ、こうだけおっしゃっているわけですが、この趣旨は、私はある特定の自治体が公営ギャンブルの収益に強く依存しているのはいけないのだ、だからその依存度を低くしろ、こういうことでは——当然そう解釈できるのですけれどもね、そうじゃありませんか、局長
  157. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) そのとおりでございます。したがって、均てん化と申します場合に、いま申し上げたように、たとえばここに五億の収益があるといたしまして、それは回数がきまっておりますから、これを一つ団体がやれば五億の収益が上がりますが、それに、かりに二つ団体になるとすれば、二億五千万になりましょう、かりに五つの団体が入ることを認めてくれれば、一億円ずつになりましょう。こういうふうな形での均てん化というものを私どもは進めて、今日に至っておるわけでございます。
  158. 市川房枝

    ○市川房枝君 そういう解釈をすれば、それは均てん化も、減らすことにはならない。それは一つ団体として、なるにはなるのだけれども。私は自治省からいただいた資料でなかったかと思うのですけれども、都道府県、それから市町村の基準財政需要額に対する依存度ですね、そのギャンブル収入の依存度の何%というのを書き出したのがあるのですけれども市町村においては五〇%以上が二百五十ある。一番ひどいのは二〇〇%以上の自治体が四ある。こういう数字お出しになっていますね。これは依存度が非常に高いのじゃないですか。こういうのを一体低くする努力をいままでになすったのかどうか。現実には低くなっちゃいないのです。これでも前よりは低くなったとおっしゃるのですか。その数字があれば、私拝見したいのですけれども
  159. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 御指摘のございましたような団体は、実はこの公営競技の調査会の答申が出る前から、いわゆる期限なしの指定を受けておりまして実施しているような団体の場合にそういう例があるわけでございます。私どもも機会のあるたびに、そういう団体に対しましても、そういうギャンブル収入に非常に財政が依存していることは適当でございませんので、いわゆる組合施行、共同施行という線を進めておるわけでございますが、そういうものの実効が十分にあがっていないという点は、御指摘のとおりでございます。しかし、これはいろいろないきさつなり経緯から、こういうギャンブル施行団体一つのあり方というものが出ておるのが実情でございますから、そういうものを踏まえながらも、今後さらに理解を進めまして、均てん化につとめていきたいというふうに思っております。
  160. 市川房枝

    ○市川房枝君 これはこの前のときも申し上げたけれども、結局、ギャンブルをやっていないところといるところの格差が非常についてきている。これがきょう議題になっています交付税には全然考慮されていないということで、市町村において、やっていないところから非常な不平が出てきているというわけで、それで今度も結局田無が、市長自身が、これは社会党の市長らしいですが、社会党は東京都知事がギャンブルをやめると宣言したときに、社会党御自身で、革新の自治体の長に対してギャンブルをやめるようにという通達をなすったということを新聞で当初見たのですが、その社会党の市長が、自分で望んでギャンブルの肩がわりを申請をするということになっているのですが、その理由が、これはテレビ、ラジオでも出ておりました。私もちょっと見たんですが、結局市長の言い分としては、いわゆる新興都市として人口が急増している。二年に一校の割合で新しく小学校、中学校建てなくちゃならない。だからその財源に困るんだ。お隣の立川市はギャンブルの収入はこれだけあって、自分のほうはないんだ、こういうことを言っておりましたが、これは私は一応苦しいことはわかるわけですけれども、これも私この前申し上げたんだけれども、結局人口が急増した新興都市として、東京の周辺の都市は、ここだけじゃないでしょうけれども、ふえておる。これはその自治体の私は責任じゃないと思うんですよ。これは国の責任であって、だから、こういう結果いろいろ財源がないのに対しては、国が当然というか、それこそ心配をすべきであって、それをその自治体の責任においてにしろ、足りなければギャンブルでもやれという指導を自治省はなさっておいでになるような気がするのです。だから、私はこの格差というもの、それが問題ではないか。だから、ギャンブルやっているところ、やっていないところの格差はどれぐらいあるかという具体的な数字をほしいとこの前も申し上げたんですが、まだいただいてないというか、これはあとでいいんですけれども、一ぺん比較して、どれだけあるのかというのをいただきたいと思いますけれども、その点どうお考えになりますか。
  161. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) なるべくギャンブルにたよらないで市町村の行財政運営の、ギャンブル収入によらずして市町村、公共団体の財政運用のできるようにはからなきゃならない。それがために、ことに人口急増地帯の大都市財源につきまして、先般来いろいろ御論議をして、われわれも足らざるところを何とかくふうをしようという努力をしておるわけでございまして、ギャンブルに関する調査会の答申もまた、なるべくそういう努力をはかることによってギャンブル収入によらずして運営のできるようにしようということは、いまの均てん化の問題について薄めるという問題もありますが、すなおに受け取るべきものと思い、すなおに私は努力をしているつもりでございます。  そこで、何と申しましても社会経済の激変期にあたりまして、過渡的にいろいろ必ずしも時期的に直ちに合理的にいかない部面があるのにわれわれ苦しんでいるのでございますが、気持ちといたしましては、いま先生御指摘のような点を考慮しながら、なるべくギャンブル収入によらずしてもできるような行財政の運用につとめるべきであるという基本の考えを持ってこの問題に対処いたしておるつもりでございます。
  162. 市川房枝

    ○市川房枝君 時間が参りますので、あと一言だけ申し上げます。  自治省はギャンブルを続けていくんだ。この間の法律は十年の期限がついておったのですが、いままでずっと続けておいでになる。だからもしそれを続けていくなら、私は交付税の中に、この前申し上げたけれども、当然配分のときの収入としてこう見る、それでやっていないところと……。そうすれば私は公平にできるし、だからその点のはっきりした方針をお立てになるならば私はやっていく。ギャンブルをやめるのだということならば、それは交付税の中に入れたら困るかもしれません。だからそれをはっきりしなければ、この問題は私は全国的にもっと広がっていって、そうして自治省はお困りになるのじゃないかと思います。だから、まあ時間がありませんので、私のほうからその注文だけ申し上げておきます。この問題についてはなおこまかいこといろいろ伺いたいのですが、それはまた別の機会にしたいと思います。
  163. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、地方交付税法の一部を改正する法律案についてこれより討論に入ります。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  地方交付税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  166. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 挙手多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  167. 安田隆明

    ○安田隆明君 私は、ただいま可決されました法律案に対し附帯決議案を提出いたします。趣旨説明を省略し、案文を朗読いたします。  以上でございます。何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。
  168. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 安田君提出の附帯決議案について採決を行ないます。  安田君提出の附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  169. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、秋田自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。秋田自治大臣
  170. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、十分努力いたしてまいりたいと考えております。
  171. 山内一郎

    委員長山内一郎君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会      —————・—————