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1970-05-11 第63回国会 参議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月十一日(月曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員の異動  五月九日     辞任         補欠選任      初村瀧一郎君     鹿島守之助君  五月十一日     辞任         補欠選任      鹿島守之助君     初村瀧一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山内 一郎君     理 事                 熊谷太三郎君                 安田 隆明君                 山本伊三郎君                 原田  立君     委 員                 内藤誉三郎君                 初村瀧一郎君                 増田  盛君                 山崎 竜男君                 吉武 恵市君                 竹田 四郎君                 千葉千代世君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  秋田 大助君    政府委員        自治省財政局長  長野 士郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        自治大臣官房        参事官     佐々木喜久治君        自治省財政局財        政課長      森岡  敞君        自治省財政局地        方債課長     山本 成美君    参考人        全国知事会財政        部長       及川 角寿君        東京財務局長  磯村 光男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方行政の改革に関する調査  (昭和四十五年度地方財政計画に関する件) ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 山内一郎

    委員長山内一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかりをいたします。  昭和四十五年度地方財政計画に関する件について、本日、参考人として全国知事会財政部長及川角寿君及び東京財務局長磯村光男君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 昭和四十五年度地方財政計画に関する件を議題といたします。  まず、参考人意見を聴取いたします。  参考人の方には、本日お忙しい中を御出席をいただき、まことにありがとうございました。  これより参考人の方の御意見を伺うのでありますが、初めにお一人十分程度お述べをいただき、続いて委員質問にお答えを願うことといたします。及川参考人にまずお願いをいたします。
  5. 及川角寿

    参考人及川角寿君) 私は、ただいま御紹介いただきました全国知事会財政部長をしております及川でございます。  諸先生方には常日ごろ地方行財政の問題につきましていろいろと御配慮をいただきまして、ありがたく厚く御礼を申し上げます。  本日、私に昭和四十五年度地方債計画中心として地方財政問題について意見を述べよとのお申しつけがございましたが、何せお話を承りましてから時間的余裕もございませんので、十分な準備もできませず、また私、事務局職員でございますので、知事会を代表するという資格もございませんので、全国知事会におきまして地方財政問題につきましていろいろと御要望申し上げている事柄を中心といたしまして、私見を述べさせていただきたいと思います。何とぞ御了承のほどをお願いいたします。  昭和四十五年度地方財政の問題につきましては、御案内のとおり、先般、国の予算編成当時におきまして、一部の方々から地方財政が好転したというような御議論、これに基づきまして地方交付税率の減額でございますとか、あるいは交付税年度間調整であるとか、補助金削減であるとか、いろいろの地方財政を圧縮しようとするような動きが見られたのでございます。私どもは、地方財政は決して楽になったのではない、好転したのではないということを常日ごろから諸先生方にも申し上げておるところでございますけれども、とにかく社会、経済の伸展に伴いまして民間の投資が非常に進んでおりますにもかかわりませず、地方団体の行なっております公共施設整備がきわめて立ちおくれておると。で、これに伴いましていろいろの交通渋滞の問題、公害の問題、それから過疎過密に伴う諸種の社会問題などが発生しておるのであります。これはとりもなおさず、仕事をせなければならない地方財政ゆとりがないからそういうことになっているんだと、長い間の地方財政のひずみがそこにあらわれていると、私どもはこう考えておるわけでございます。そこで、四十五年度予算編成にあたりまして、私どもは、地方財政自主財源充実、強化、これを大きな柱にしてお願い申し上げておったのでございます。で、地方財政にある程度の自主的な判断仕事が行ない得るようなゆとりがついたいまこそ、むしろ公共施設整備に重点を置いて、公共投資の立ちおくれを取り戻すべきだという考えのもとに行なったのであります。  で、この中で特に地方債の問題につきましては、御案内のとおり社会施設整備を行ないますために小規模団体におきましても多額の経費、貧弱な団体におきましても多額事業を行なわねばならないと、こういう立場からいたしまして、地方債の総ワクを拡充してもらいたい。総ワクを拡充してもらいたいことと、もう一つの問題は、良質金利良質資金です。資金コストの安い資金を十分に取り入れてもらうようにしたい。それからさらに、貸し付け償還年限の延長だとかあるいは据え置き期間等融資条件改善お願いいたしたわけでございます。なおもう一つ公営企業の問題につきましては、公営企業債は、これはさらに最近の経営が苦しくなってきておりますので、この金利負担を低減し、経営改善の一助にもするように、公営企業債の同じような金利引き下げあるいは融通条件改善、このために公営企業金融公庫出資金なりあるいは利子補給金なり、こういうものの増額お願いしたわけでございます。こういうことをいたしまして努力をいたしたわけでございますけれども、四十五年度地方債計画を拝見いたしまするというと、前年に比しまして一五・七%の増になります。九千八十二億円という地方債計画総額に相なっておりますことはもう御案内のとおりでございます。この中で地方財政計画の中の歳入として見込まれております三千六百三十二億円、と思いますが、これは前年に比して二五%も伸びておる、こういうようなことでございまして、この地方債計画策定当たりました方々の御労苦を非常に感謝いたすものでございます。また、地方債計画総額の中におきます政府資金割合は約六〇%弱——五九・三%でございますか、で、前年度に比して〇・八%くらい高くなっておるようでございます。これは地方債ワク増額がある程度確保され、また資金内容改善されたと、こう思われるのでございますが、私どもといたしましては、非常に欲を言って恐縮でございますけれども、若干でもさらに伸びていたならばというような感じがいたすわけでございます。ただここで一つ気にかかりますことは、これは見方でございますから何とも申し上げられないのでございますが、国の財政投融資計画における地方債総額割合、あるいは財政投融資計画における政府資金割合というのがここ二、三年だんだん下がってきておるような形でございます。これは若干の政府機関の新設でございますとかあるいはその他既設の公庫とか公団等の旺盛な資金需要のもとではこういうこともあり得るのかもしれませんけれども、少なくとも財投計画の中における地方債のシェア、これを従来どおりの率に確保していただけたならというような気がいたすわけでございます。なかなかこれはむずかしいものかもしれませんけれども、私ども地方団体側といたしましては、こういうことを若干気にかけておるのでございます。  次に、一般会計債に関しては、これはすでに前年度に比しまして二八%余も増額いたしておりますので、この点は非常にありがたいのでございます。で、特にこの中でいま大きな問題になっております過疎対策の問題、この過疎対策事業に対しまして百三十億、辺地と合わせまして二百億という額の起債を新たに設けられました。私はこれは関係団体はもとより、全地方団体として非常に感謝いたしているところでございます。その中、また一般会計債の中のさらに一般単独事業につきましては、前年度に比較いたしまして三十億円ふえた三百七十五億円となっておりますが、これは過疎対策事業でありますとか、あるいは同和対策事業などの項目を新たに設置されたことなどを考え、あるいは一方一般財源充実状況等と勘案いたしました結果だろうとは思いますけれども、前にも申し上げましたように、人口過密地帯における義務教育施設整備の問題であるとか、いろいろの社会施設の問題がございますので、この点はちょっとワクが少ないのではなかろうかという感じがいたします。しかしこれは、従来もありましたように、今後いろいろその当該団体財政事情なり、あるいは事業内容なり御検討の上、また一般的な金融財政事情等を御勘案の上、弾力的に運用していただけたならば幸いであると考えております。  それからもう一つは、いろいろの問題に出ております用地費でございます。土地購入費、この土地購入費につきましては、すでに交付税措置によりまする公共用地先行取得基金の問題あるいは地方債によります公共用地先行取得債と、大幅にふえておりますものの、なおこの急騰する用地費を十分にまかない得るとは思えませんので、さらに格段の増強の方法、方途をお考えいただけたならば幸いであると考えております。  最後に、公営企業の問題は、もう御案内のとおり公営企業大半が軒並みに赤字を出しております。経営が苦しくなっておりますが、それにはいろいろの原因もありましょう。原因もございましょうけれども、これは借り入れ金利に対する支払い利息の急増ということが大きな原因ではなかろうかと考えております。先ほども申しましたように、この公営企業債に対する貸し付け金利引き下げ、あるいは融通条件改善ということについてさらに一そうの御努力お願いいたしたいと、かように考えております。利子補給の問題でありますとか、あるいは公営企業金融公庫出資の問題、こういうようないろいろの手をお考えいただいてはおりますものの、さらに何らかの抜本的な方策をお考えいただけたならば幸いだと考えておる次第でございます。  以上をもちまして、簡単でございますが私の意見といたします。
  6. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 次に、磯村参考人お願いいたします。
  7. 磯村光男

    参考人磯村光男君) 東京都の財務局長磯村でございます。  本日、計画予算、特に起債につきまして、都の日ごろ考え方を述べる機会を与えられ、この機会に厚く御礼申し上げる次第でございます。  御存じのように、都の予算は国の予算のおおむね一一%程度、国の全般的な財政運営の上にも非常に大きなウエートがあるわけでございまして、よきにつけあしきにつけまして、私ども東京都のやることは全国的にもかなり影響がある、かような点で、常に反省を繰り返しながら財政運営を行なっている次第でございます。都といたしましては、一昨年以来、予算計画的な執行を心がけまして、中期計画といったものを策定いたしました。これをできるだけ忠実に予算化する、かような点で、都民にわかりやすいような一つ行財政運営をはかっているわけでございますが、いずれも現行制度の上に立ちまして、実現の可能なことを主眼といたしまして、毎年これを修正する、それで逐次計画を延長する、いわばローリング・システムというようなものをとりまして、計画予算の一体化といった点について意を注いでまいった次第でございます。  それで、起債の問題でございますが、これらの計画、これを実現するためにも非常に重要な財源でございまして、たとえば計画で申しますならば、昭和四十五年度普通会計でございますが、七千九百億円ぐらい、それに対しまして地方債としては五百億円くらいを一応見込んでいる。また四十六年度につきましては、八千八百億円くらいの歳入総額に対しまして、約三十億円程度上乗せいたしました五百三十億円を起債財源として一応認めて計上している、かような実態にあるわけでございます。  それで、現在の、あるいは過去からいままでに至る都の財政収支の大まかな状況を申し上げますと、昭和三十七年を境といたしまして、残念ながら実質収支赤字に転じたわけでございます。それで、昭和三十九年に、これは実質収支百三億円でございますが、これがピークでございまして、まあ百三億円の最大の赤字を生じたわけでございます。その後各方面の御協力もございまして、私ども逐年改善をいたしまして、一応四十三年度におきましては十五億円程度、この程度まで改善をはかったわけでございまして、昭和四十四年度でございますが、まだ完全には解消できませんが、四十三年度そこそこの赤字には回復できる、かような考えに立っているわけでございます。赤字の問題につきましては、なお今後最大限の努力を払いましてこれが解消につとめたいと、かように考えている次第でございます。  それからもう一つは、常に問題になりまする、都が一体富裕かどうかという一つの点でございます。先ほど申し上げましたように、四十五年度一般会計で、国の予算の一一・四%を都が占めている。いわゆる財政規模という意味におきましては、総体的には明らかに税収も一番でございます。ただこのことが、いわゆる執行というものと結びついた点で財源が豊かであるかということは、必ずしも即断できないのではないか、かように考えております。現行制度のもとにおきまして、いわゆる地域的な財源配分、これはいろいろな尺度があろうかと思いますが、かりに住民一人当たりに換算してみるとどうかといった点でございます。昭和四十二年度におきましては、税収はもちろん全国第一位でございます。ところが、地方交付税あるいは国庫支出金あるいは地方債、こういった作業によりましていろいろ調整されてまいりますが、これが一人当たりでまいりますと、税収では第一であった東京都が、全国では二十七番目になるわけでございます。それで住民一人当たり財源ふえぐあい、これを申し上げますと、たとえば三十八年から四十二年度まで、これの増加割合考えますと、東京は一・五九倍でございます。ほかの県の例を申し上げて恐縮でございますが、たとえば九州のある県では一・八七倍、全国的では一・七四倍、かような点で、全国的な伸び率には東京都が及ばない、かような反論の見方も私どもは持っておるわけでございます。かようなことを前提にいたしまして、都債の問題にちょっと触れたいと思いますが、一般会計に限りまして申し上げますと、起債許可状況でございますが、四十三年度許可率は四四・六%でございました。それから四十四年度は五〇・九%でございました。私どもここで許可率上がり下がりを実は申し上げたわけでございますが、これはいずれも予算額を基本にいたしまして、許可をいただきました額との割合を申し上げたわけでございまして、私どもは四十三年度より起債予算上の計上額を減額いたしております。したがいまして、予算額が減少し、反面起債許可額がもし同じであるとすれば、これは許可率は上がってまいるわけでございまして、私どもなるたけ財政健全化といったものをはかるために、いわゆるから財源といったものをなるべく少なくすると、かような立場から、起債予算計上額は減らしてまいりました。その結果、四十三年度許可をいただきましたのは二百十一億、四十四年度は二百二十六億円でございます。十五億円程度増加がここにあるわけでございますが、一応量的には増加しているということがいえるのでございますが、その中身につきましては若干意見がございまして、たとえば、四十四年度から住宅の用地費に対する国庫支出金が、これが起債に変わったことは先刻御承知のとおりだと思いますが、これによりますところの増加というものをもしも差し引くならば、この二百二十六億というのは必ずしも多い許可額ではない、かように考えております。もちろん起債充当額、それと予算計上額、この差につきましては、私どもほかの財源あるいは税収伸び等をもって何とか実施をいたしてまいっておりますが、本年度あるいは来年度以降、こういった問題を考えますと、いわゆる財政運営にさらに慎重であらねばならないと、かように考える次第でございます。  若干、希望的なお願いを含めまして意見を申し上げさしていただきますと、さきに申し上げましたように、住民一人当たりに直しますと、これはいずれも夜間人口でございまして、御存じのように都の域を越えた昼間人口というものが非常に多くなっております。それから人間がたくさんおればおるほど、もしもそれが動かない人間であるならばそうむずかしい財政需要というものあるいは混乱といったものは起きませんが、それが常に活発に活動しているのが大都市の実態でございまして、そういった点で、いわゆる集積の利益もあることはこれは否定いたしませんが、集積による不利益、これも現在出つつあるんではないか。一方膨大な投資需要をかかえまして、さらに住民に対する福祉に関する要請が強うございます。そういった点で私は、総体的にはあるいは都がかなり財政的には規模が大きいかもわかりませんが、はたして絶対的に富有であるかどうかといった点につきましては疑念を感ずるわけでございます。そういった点で、社会資本充実等に備えまして、起債財源というものは現在の都にとりまして非常に重要な財源でございます。現在、都議会の議決が先行いたしまして、起債財源に見込んでおりましても許可がそれにない場合には、何かほかのかわりの財源を見つけまして事業執行に支障のないよう努力をしなければならないというのが実態でございます。もちろん、現在の東京都だけの立場をここで誇張するわけではございませんが、国全体の財政金融政策、これはもちろん重要な問題であろうと思います。またそのためにも許可制度、こういったものも必要ではあろうと思いますけれども、でき得るならば、いわゆる許可制度といったものを必要最小限度にとどめていただきまして、それで地方自治団体自主性、これを十分に活用していただきたいと、かように考える次第でございます。同時に、財源調達あるいは資金繰りの面も考慮いたしまして、許可をくださるならばなるたけ早期に許可していただきたい、かように考えている次第でございます。私どもおひざ元の東京都に職を奉ずるものでございますけれども誠心誠意、いかにして国の首都である東京、あるいは日本の代表的な都市である東京、これをいかに住みよい、あるいは世界に誇るような町にしたい、こういった点を常々念願しておりまして、今後ともひとつ十分の御指導と御鞭撻をこの際にお願いをいたしまして、意見の陳述にかえさしていただきます。
  8. 山内一郎

    委員長山内一郎君) それでは、参考人に対し質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 まず、東京都の財務局長さんにお尋ねをいたしますが、実は去る七日の委員会で私の質問に答えた自治省側は、今回の起債削減措置は、さき職員のベースアップ問題への報復措置など、政治的な理由に基づくものではない、都の財政が好転をしている、よって純粋に事務的に判断をして行なったものであると述べられたわけですが、四十四年度都財政構造において、何か近年にない著しい変化がございましたか。
  10. 磯村光男

    参考人磯村光男君) 都財政構造上特に著しい変化があったかどうかと、かようなお尋ねでございますけれども、全般的に見まして四十四年度は、税収伸びといった点につきましては昨年度よりもよかった、そういった点であるいは構造上の変化ということは言えるかもわかりません。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 私は実は自治省から、過去十年間にわたる都に対する起債許可率の推移がわかる資料を提出をしてもらったわけです。そうしてこれを見てみました。それによりますと、許可率がだんだん下がってきているという長期趨勢はありますが、近年は五〇%内外で、まあ凹凸がございますので、実はこれを見ただけでは、今回の措置に何らかの政治的な感覚の介入があったかどうか判断はできないのです。したがって問題は、表にあらわれたそういう起債許可率ではなくて、自治省と都との間に成立をする当初予定額許可額との開きであります。私はそこで、今回の起債削減措置というものは、今年度まさに異例的になされたその当初予定額からの普通債削減、六十億円程度削減措置のことであります。もっとも自治省佐々木参事官は、先日の委員会で、そもそも年度予定額にもなかったという趣旨の答弁をこわもてでなされたのであります。この答弁はしろうとである私をごまかそうとする悪意に満ちた答弁でありますから、これは私は資料を集めました。私としてもこの二、三日、年度当初案というものの現存を実証する資料を精一ぱい集めました。それを得ましたので、後ほど、午後から自治省を追及いたしますが、ともあれ私がお尋ねしたいのは、今回の起債削減措置によって都の事業にどのような影響があるかということであります。その点はいかがですか。
  12. 磯村光男

    参考人磯村光男君) 削減措置によってという前提お尋ねにございましたが、これは別といたしまして、私どもはすでに起債許可額というものは確定された段階でございまして、したがいまして税収伸びその他によりまして、起債財源財源といたしました事業の遂行に関しましては一般財源の振りかえ等の措置を講じまして、できるだけ事業執行に遺憾のないように対処する、かような考え方で、従来どおりやってきておる次第でございます。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 総じて自治省の今回の措置については、都側はどのように判断をしたのですか。
  14. 磯村光男

    参考人磯村光男君) ただいま和田委員の前段としてのお話の中にも、一面においては、こういったいわゆる起債許可といったものが一つの五月ベア実施といったものと関連があるいはあったような発言がございました。またそれを公の場におきましてそういった関連はないというような御発言もあった、かようなことをおっしゃられておるように記憶いたしております。この起債許可が、当初私どもが予定したものあるいは自治省に希望したもの、お願いしたもの、そういったものとの間に差がございましても、それがほんとうにそういった立場でなされたかどうかといったものの判断につきましては、私のほうでこれは判断すべき問題ではないのではないか、かように考えております。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 今度のようなことが起こってくる根源というのは、いまも融れられましたけれども地方債許可制度そのものにあると私は実は思うのです。現行地方債許可制度について、都としてはどのような見解をお持ちなんですか、もう少し具体的に見解を述べられませんか。
  16. 磯村光男

    参考人磯村光男君) 現行許可制度につきましては、少なくとも自治法によって一応適債事業について起債発行権というものは認められており、一方同じ法律によりまして、この起債発行につきましては、当分の間関係機関許可を得なければならない、かような制約がございます。そういった点で、ただいまお尋ねのようないろいろな事務的な経過におきまして、こちらの希望あるいは自治省の内意と申しますか、そういったものの調整というものも時間的には必要であろう。また正式にこれがきまってまいりますのはかなりおくれてまいります。冒頭の私の陳述にも申し上げましたように、いわゆる資金繰りの関係におきまして、特に民間資金を導入する際につきましては、これはかりに年度末に入りましても、途中は国の負担だけで実質的には支障はないという考え方もございますが、起債を受託するほうの立場、たとえば銀行のほうからまいりますと、これが多額資金が最後にある一定期間に一ぺんに集まるということは、非常に起債の調達に支障を来たすわけでございます。でありますから、なるたけ年間を通じまして期間的に分割してやったほうが資金の調達がやりいい。そういった点では、やはりある程度自主的な運営といったものを都に与えて、あるいは地方団体に与えていただけば幸いだと、かように感ずるのであります。  それから、もちろん東京都という団体とほかの県、これはやはり若干事情は異なろうかと思いますけれども、都のほうといたしましては、いわゆる金融市場の中における都の信用の度合いといったものは、これはかなり強うございます。だからといって都の立場のみを強要するわけではございませんが、特に予算といったものが、かりにそれが起債の限度額を御承認いただく予算であっても、これを当然歳出に見合って張りつけてまいるわけでございます。そういった点で、やはり確たる見通しのあるような起債財源予算に計上いたしたい、そのためには、やはり予算計上に際して次の年度起債がどの程度調達できるか、これは許可という一つの制約のもとではなくして、何かたとえば一般財源の一定率はこれは自主的に認める、ただしそれ以上をこえたものについては関係機関の許可を要する、何かさような、いわば先ほど及川さんも申されたわけでございますけれども、もう少し自主的運営のできるような、かような制度があれば望ましい、かように考えているわけでございます。ただ何ぶん、これは幾ら都の起債であっても、国全体の一つのやはり公社債市場の問題あるいは財政金融政策上の問題が関連すると思いますけれども、これはやはりこれだけの、地方自治法が生まれてから二十数年の期間を経たわけでございまして、私どもも都全体の財政運営につきましてそう迷惑をかけるような、あるいはむちゃなことはおそらく今後はないのじゃないか、またそれだけの訓練も地方自治団体として積んできておるわけでございまして、この際、もう少しやはり財政運営の問題につきましては自主性を付与していただければこれはしあわせだと、かように考えるわけでございます。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 ありがとうございました。  同じ質問知事会参考人にしたいのですが……。
  18. 及川角寿

    参考人及川角寿君) お答えいたします。  地方債許可制度そのものは、これはいま磯村さんからもお話がありましたように、だいぶ前からいろいろ言われているところでございますが、許可制度を当分の間とることになっておりますことはもう御案内のとおり、財政力の富裕な団体とそれから財政力の弱い団体、何と申しますか信用力のある団体と信用力のない団体、これはこの間におきまする良質の、低利長期の資金を公平に配分するというのが一番の大きなねらいだろうと思っております。したがいまして、おっしゃるようにもう少し、かりに何と申しますか、一定の基準みたいなものができまして、それでこれ以上はいま磯村さんが言われたように地方債許可を得ろと、これ以内ならばよろしいという何か一定の基準がある、基準ができますならば、それでその部分については、私はある程度おまかせ願ったほうがいいのではなかろうかと思います。ただやはり資金−国内金融情勢の中におきまして資金の公平な配分ができるかどうか、その見通しがやはりこれは当分の間のきめ手になるのではなかろうかと、こういうように私は考えております。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 現行の運用面も含めて、いまの御意見等十分参酌をしながら何らかの改善案が得られれば、知事会としてもその、実現方に協力をしていただける、こういうふうに理解をしておいてよろしいのですね。
  20. 及川角寿

    参考人及川角寿君) 改善案と申しますか、そういう方向が見出せるならば、その方向には私どもも賛成いたすものだと考えております。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 ありがとうございました。
  22. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 知事会及川参考人お尋ねいたします。  昭和四十五年度地方債計画総額九千四十三億円で、前年度に比較して千二百四十一億円、一五・九%の伸びでありますが、地方団体側として判断されて、この程度の額で十分とお考えでいらっしゃいましょうか。
  23. 及川角寿

    参考人及川角寿君) 九千余億円の今度の地方債計画は、先ほども冒頭に申し上げましたように、この金融資金需要の旺盛なときにおきましてとられた額といたしましては相当の伸びだと私は考えております。ただ個々の問題につきましては、先ほど申しましたようにもう少し伸ばしていただけたらという気持ちはございます。これで十分満足だというものではございませんけれども、しかし非常に御努力の結果だというふうに私どもは理解をしております。
  24. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 七〇年代は内政の年といわれておりまして、政府は各省それぞれに長期計画に基づいて地方道とか都市計画街路、上下水道、し尿・ごみ処理施設など、著しい立ちおくれのある公共事業を処理しているわけでありますけれども、そうしてこれらの長期計画は、今後、国庫支出金地方債とでまかなうことになるわけですが、これらの事業をまかなうのに四十五年度地方債計画などの額で十分であるとお考えでしょうか。及川さんにお伺いいたします。
  25. 及川角寿

    参考人及川角寿君) 御案内のとおり、事業費——この場合は財源といたしましては、地方債と、それからさらに一般財源と、あるいは国庫補助金と、こういうようなもののかみ合わせで事業執行することになっております。したがいまして、ただいま御質問いただきましたいろいろの事業につきましては、公共事業と申しますか、補助事業をやることは、これはもう財政計画上当然それだけの見込みをつけております。また単独事業につきましても、財政計画では、御案内のように多額増額をいたしております。したがいまして私どもは、従来以上のテンポでもって社会資本なりあるいは生活環境施設の整備が進むものだというふうに理解いたしております。
  26. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 先ほど和田委員からもお尋ねがありましたが、この「当分の間」の問題ですけれども、この規定について、もう必要がないという意見と、まだ必要だという相反する両論があるわけですけれども、それについては及川参考人はどのようにお考えでしょうか。
  27. 及川角寿

    参考人及川角寿君) 先ほど申しましたように、地方団体の中にもそういう御意見があることを私ども存じております。たとえて申しますれば、何と申しますか、財政力の強い、信用力のあると申しますか、こういう団体におきましては、その地方債許可制度は早くやめてもらいたいという希望があります。同時に貧弱団体におきましては、やはり資金の公平な配分がなされない、許可制を廃止すればその資金の公平適確な配分が行なわれないだろうと、こういうような懸念から、それは当分続けるべきだ、こういう二つの意見が分かれるわけでございます。しかし全般を通して見ました場合に、やはりその地方公共団体事業に必要とする資金を必要とする時期に確保できる、しかも、それが公平に良質資金が確保できるというそういう見通し、あるいはそういう案があるならばこれは別でございますけれども、現在の日本の経済情勢から考えまして、そういうことがはたして、やるように努力しなければならないとは思いますけれども、近い将来にそれが行なわれるかどうか、これは非常に私どもは疑問に思っております。
  28. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 この許可制度に対する案ですけれども改善意見などというものはお考えになっていらっしゃいませんか。
  29. 及川角寿

    参考人及川角寿君) 別に具体的に考えてはおりませんが、現在の許可制度のもとにおきましても、たとえて申しますれば、許可の早期決定ですか、起債額の早期決定でございますとか、あるいは起債許可手続の簡素化、こういうようなものからすれば、相当改善されるものだと考えております。  それから、先ほど申し上げましたある一定の基準までのものというようなことも、これは一つ考え方かもしれません。
  30. 原田立

    ○原田立君 東京都の磯村局長さんにお伺いしたいのですけれども、今回、東京都の起債許可は百二十六億五千二百万減と、こういうように新聞等で報道されているわけですけれども、なかなか多額の金額で、こういう起債許可がなかったということはたいへんお困りじゃないかと、先ほどの和田委員質問の中には、予算で確定したものであるから何らか支障のないように措置したいというふうにお答えですけれども、それはそういう努力はするとしても、こうやって起債の額が減額されたということはたいへん困ることじゃないかと思いますが、こういうふうに推察するのですけれども、その点はいかがですか。
  31. 磯村光男

    参考人磯村光男君) 私どもが腹づもりといたしておりまする金額に達していないといった点につきましては、御指摘のとおり困ります。ただ、私ども予算編成に際しましてはやはり二つの姿勢を持っております。これはあるいは及川さんとは若干の意見の違いがあるかもわかりませんが、起債財源を計上する場合には、やはり当該自治体としてのこれだけの起債がほしいという姿勢がございます。それから、おそらくこの程度許可ではなかろうかという、これは多年の経験あるいは実績による見通し、こういったものも持っております。それで、いわゆる義務経費的なもの、きっちりとした数字ではございませんが、根底といたしましては私どもの希望する起債をほしい、もしもそれが自治体の自主的な判断あるいは運営によって許可されるならば、その起債計上額といったものも当然その団体財政力なりあるいは信用度、そういったものに応じた起債を計上する、かようなことになるのではないかと、こういうふうに考えております。
  32. 原田立

    ○原田立君 東京都の場合には、何といいますか、ワクはたくさん取っておきながら、あとになるとそれはたいへん減るというような、そんな話を聞いておった、要するに申請はたくさんするけれども、そのうち半分でも許可になればいいというような、そういうような意味の話をちらっと聞いたことがあるのですけれども、過大に見積って申請すると、そういうふうなことはないのですか。
  33. 磯村光男

    参考人磯村光男君) たとえ姿勢と申しましてもそれを過大に見積るようなことはいたしておりません。先ほど来のお話の中で、私ども起債発行する限度といったものは、やはり将来返還能力があるかどうかという問題、その返還能力の限度内において常に将来を見通しながら起債発行する、これがやはり借金の大筋ではないかと思っております。起債そのものについて過大に見積ると、かような考え方は持っておりません。
  34. 原田立

    ○原田立君 もう一つですけれども、今回は東京都は一千三十二億三千七百万円の起債額ということなんですが、先ほどからのお話をお聞きすると、自主的にやらしてもらいたいということと、もっと額を増大してほしいというような意味のお話もありましたけれども、今回の一千三十二億三千七百万では、東京都としては仕事をする面からいってまだ不足がちというのか、それともこれで大体いいのかどうか、そこら辺はいかがですか。
  35. 磯村光男

    参考人磯村光男君) ただいまの一千三十億でございますが、これは公害企業債その他を含めたお話だろうと思いますが、私、現在主として一般会計債に焦点をしぼってお答えしておりますので、多少答弁に食い違いがあるいはあるかもわかりませんが、先ほど冒頭の意見の中にも申し上げましたように、四十四年度の決算につきましては実質収支若干の赤というようなことになるような現在の試算の過程でございますが、ただしこれが四十五年、四十六年といった将来の問題になりまして、これはあくまで仮定の問題にすぎませんが、現在のままで推移いたしましたならばかなりの困難があるのではないか、かように考えております。  それから制度的な問題の中で、ちょっと私申し落した点がございますので、この際お許しを得て申し上げたいのでございますが、財政金融政策そのほかの理由からいたしまして、許可制度がかりに必要であるといたしましても、これはやはり必要最小限度にしていただきたい。原則的には団体ごとのワク配分でございます。個々の事業にごうごうというようなそこまで御指示をくださらなくても、全般的なワク配分をしていただければ、事業ごとの許可までしていただかなくてもけっこうではないかと、かような考え方を持っておりますので、御質問にはございませんが、つけ加えさしていただきます。
  36. 原田立

    ○原田立君 及川部長さんにお伺いしたいのですけれども、今回東京都がこうやって起債総額の面で減額になっておる。一般地方債のほうでは七十億ばかりストップになっておる。それが細郷事務次官の前の何か通達かなんかで、五月ベア実施をするとこういうふうにワクをはずすぞと、こういうふうな口上書が行っておった。それはもうちょっと脇に置いておいて、今回東京都がとられたような起債の減額ですね、そういうようなことは他の県なんかでもそういう実例があるのかどうか。あるいは過去にそういう同じような実例があったのかどうか、あなた六団体の関係で大体のところは了解しているのだろうと思うが、その点はどうですか。
  37. 及川角寿

    参考人及川角寿君) たいへんむずかしい御質問をいただいたわけでございますけれども、まあ東京都の五月ベア実施の問題と、今回の起債削減と申しますか、その問題と私どもは関係があるとは考えておりません。そういうふうにもまた伺っておりません。おそらくそれは都の財政事情なり、事業執行状況等というようなものを御勘案の上おきめになったことじゃないかと考えております。そういう前提に立ちますならば、いままでも、たとえば起債の話し合いはある程度したが、途中で専業の進行状況等ともにらみ合わせてその起債の額が減らされたという例はあるやに私ども聞いております。
  38. 原田立

    ○原田立君 あるやに伺って、いると言うのですが、実際こういうふうな例があるやに伺っているという、ちょっと最後のところよくわからなかったのだが、あるというふうに聞いたのか、あるのか、どうなんですか。
  39. 及川角寿

    参考人及川角寿君) 実は私かつて自治省起債の担当をしたことがございます。そうしますと、事業執行いたすためにこれだけの起債を大体予定しようじゃないかというようなことも考えられるわけであります。そういたしておりましても、たとえば用地の取得の問題等で困難な事情になるというようなことになれば、それだけの資金が必要でなくなるということが起きるわけでございます。そういう場合には、その当初話し合いをしておりました額よりも減らすということは、これは私が在職しておりました当時はやったことがございます。ですから、おそらくそういう状況はいまでもあるのであるから、あるのであろうと、こういうふうなことで申し上げたわけでございます。
  40. 原田立

    ○原田立君 及川さんのお話では、予定しておったのがなくなった場合、事業が遂行できなかった場合、そういう場合に減額もあり得るだろうというふうなお話、それは常識上そうだろうと思うのです。それで磯村局長さんにお伺いするのですけれども、今回の場合は、都はそういうような予定していたのがやらなくなったというようなものではないと私は承知しているのですけれども、その点はどうなんですか。
  41. 磯村光男

    参考人磯村光男君) 六十億あるいは七十億、いろいろな数字がございますけれども、私が先ほどやはり御答弁の中で申し上げたかと思いますけれども、やはり全体その年度間の財政運営のためには、何月ごろにはこういったものがほしい、何月までにはこの程度のものがほしいということを、予算の編成が終わりますとすぐに、私どもはこれをやはり財政運営立場から腹づもりとして持たなければならないわけでございます。そういった意味では、自治省に押しかけていろいろお願いもするし、あるいはかなり強いことばを吐くと、そういったやりとりはございます。そういった面で私どものほうとしては、やはり二百七、八十億の起債は最低限ほしい、こういった希望なり意見は当然これは財政運営立場から責任者といたしましてやはり持たねばならないわけでございます。ただ冒頭の陳述にも申し上げましたように、多少の私どもの目算がはずれたと申しますならば、それは住宅の用地関係で補助金起債にかわっていった、そういった点で、その点の起債が六、七十億は従来よりほかにいただけるのではないか、かような目算が実はあったわけでございまして、それを含めて考えますと、今回の起債は私のほうとしては必ずしも満足とはしていない、こういう立場でございます。ただ、財政運営というのは一応単年度主義でもってとってはおりますけれども、やはり非常に地方財源が枯渇してくるような場合には、おそらく自治省としても特別事業債の発行なり何らかのめんどうを見て考えてくるわけでございまして、そういった点で、一がいに今回の措置が五月ベアの関連だというふうに私は断定できないと思いますけれども、事実四十四年度東京都の財政そのものは悪くはなかったと、これは地方財政全般の経年的な傾向から申しましては言えるのでないか。ただし本来の自治体のあり方としては、やはり起債そのものについてはもう少し自主的な運営にまかせていただきたいというのが希望でございまして、純粋に事務的に申し上げますならば、今回の起債がこれ以上ふえるわけはないわけでございまして、四十五年度どもいろいろな問題をかかえております。そういった問題についてはなお自治省当局ともいろいろお願いをし、いろいろ折衝もし、いい東京都のためにやはり起債をより多く許可していただきたい、そういった気持ちで対処するつもりでございます。
  42. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 及川部長お尋ねしたいのですが、起債のうちで、マーケットですか、市場公募をするのはどのくらいの額が四十四年度、四十五年度についてありますか。
  43. 及川角寿

    参考人及川角寿君) 四十五年度も四十四年度も、計画では六百二十億ぐらいだと記憶しております。
  44. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 わりあいに何といいましょうか額が少ない、全体の九千億ですか、そのうちでは、少ないような感じもいたしますし、もうひとつふしぎに思いますのは、市場にどうして積極的に公募をなさらないのかということを私ふしぎに思うのですけれども、これの理由はどんなことでしょうか。
  45. 及川角寿

    参考人及川角寿君) 地方団体で市場公募できます団体は、東京都を初めとして八団体に限られておる、これは昔からの沿革がございまして、というふうなことでございます。それともう一つは、何と申しますか起債市場の中におきまして、政府保証債でありますとか、あるいは公社債でありますとか、そういうものの資金需要が非常に強くなっておる。したがって、ほかの資金が一般的に伸びておるにもかかわりませず、この市場公募というのが伸びないのだと、そういうふうに私ども考えております。
  46. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、もちろん八大都市だけに起債が許されていることは、当然これは都市という背景があり、市場を考えてのことだと思いますが、その点はいいんですけれども、まあ限られた市場の中でもいろいろほかの公債その他に取られたりして、伸びない。要するに市場の開拓がむずかしいということでございますね。その事情はわかりましたが、これについてほかに、何ですか、いろいろほかの一般の起債もそうですけれども自治省あるいは政府関係その他からやっぱりある程度そういったことに対する許可がおりないというようなことは、どうなんですか。
  47. 及川角寿

    参考人及川角寿君) 私は地方債許可の問題とこれとは関係がないと思っております。
  48. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そのほかにも私考えられますことは、条件の問題だと思いますけれども、公募する場合に、それが非常にほかの債券に比べて、またほかの公債に比べて悪い、そのようなことはいかがですか。
  49. 及川角寿

    参考人及川角寿君) 指定地方債と俗に言っておりますものは、たとえば国債などより条件ははるかによろしいわけでございまして、別に条件が悪いから起債市場においての公募債が伸びていかないということではないと思います。
  50. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの市場公募債について磯村局長にお尋ねしますけれども東京都の場合はどんな模様でございましょうか、最近の事情。
  51. 磯村光男

    参考人磯村光男君) 千といたしまして、率で四百が政府債、あと三百、三百が一般公募債それから縁故債、そんな四、三、三の大体割合になっております。
  52. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 私ら普通に考えまして、縁故債のほうが、言うならばやさしいというか、伸ばすのに、やはり市場に売り出すということは非常に困難でございますけれども、やはり本来ならば、一般の市場の資金を集めるのが私ども本筋ではないかと思います。ですから、縁故債よりも、むしろ市場を開拓していく、そのようなことが望ましいと思いますけれども、その点についてのお考えはいかがですか。
  53. 磯村光男

    参考人磯村光男君) 御意見のとおり、基本的にはやはり一般市場に売り出して、公募債として、都債なりあるいは一般地方債の価値を高めるということが一番よろしいのではないか、御意見全く同感でございます。
  54. 市川房枝

    ○市川房枝君 磯村局長にちょっと伺いますが、東京都が五月にさかのぼってベースアップを実施すると言いましたときに、自治省が、もしそういうことをすれば地方債の認可を希望どおりにしないと、こういう意向を表明したことは、新聞で当時も見たのですが、文書で東京都の当局のほうへそういうことを意思表示したのでしょうか。
  55. 磯村光男

    参考人磯村光男君) 文書と言えばこれは文書でございますけれども、いわば口上書というような形でございますので、まあいわゆる文書というよりも多少ニュアンスのやわらかい文書である、かように私は理解しております。
  56. 市川房枝

    ○市川房枝君 それからその前、去年のいまごろでしたか、都知事がギャンブルをやめるということを表明しましたときに、自治省がそんなに金があるなら、地方債を認可しないぞということを言っていると、これも当時新聞で見たのですが、これは別に文書ではなかったですか。あるいは口頭ででもそういう意思表示があったかどうか。
  57. 磯村光男

    参考人磯村光男君) 正式な文書なり、あるいは口頭でのお話ではございません。いわば私ども自治省とはかなり仲がようございますので、隣に財政部長もおりますけれども、事務的にいろいろ話をしておる段階においてはあるいはそういったお話があったかもしれませんが、私は本来自治省地方自治団体の味方であり、その中で特に東京都は非常にかわいがっていただいている、こういうように自負をしておりますので、これは御注意なり、あるいはいろいろな雑談があったかと思いますが、正式な意思表示としては、これはございませんでした。
  58. 市川房枝

    ○市川房枝君 今度起債を減額されたことについて、この間新聞は一斉に東京都に対しての自治省報復措置というふうに書いたんですが、しかしここで自治大臣にどなたかから質問されましたときには、毛頭政治的な意図はない、こうおっしゃったんですけれども、しかしいま伺ったようなことがあると、勢い政治的な意味があると思わざるを得ないということになりますが、これは自治省のほうにまた伺うとします。  もう一つ、これは非常にしろうと的な質問でございますが、東京都は自治体の一つではあるけれども、やはりほかの自治体とは違う。やはり帝都であるという意味において私は国としてもある程度の考慮を払うべきだと、常識的にこう考えているんですが、法の上でといいますか、あるいは行政的な措置の上で、都という性格の自治体に対して、自治省の何らかの特別なあれがございますか。それをちょっと伺いたい。
  59. 磯村光男

    参考人磯村光男君) 自治法の上では、やはり東京都という一つの特別な、ほかの県と違った制度の上に立っておりますが、そのために特別な不利な扱いを受けるということは、これはないと思います。ただし、地方交付税のいろいろな計算の過程においては、東京都群あるいは大都市群とそれを合算いたしますので——プラスが多い場合、大都市群のほうがもらい分があって、府県群がもらい分がない、その場合に、それを合算いたしますので、結果的にはマイナスになる、こういう制度上の問題は残っております。
  60. 市川房枝

    ○市川房枝君 マイナスになるのは、私はいろいろな意味においてもまるで違うんで、プラスになるべきなんである、こう思うんですけれども、プラスになっていることがありますか。いまマイナスのようなお話でしたけれども、たとえば起債だって私はやはり都という立場においては多少プラスを自治省としては考えるべきだというふうに常識的に考えるんですけれども
  61. 磯村光男

    参考人磯村光男君) これも全般的な非常に大きな問題の一環としてのお答えになるかもしれませんが、これは冒頭に申し上げましたように、やはりおひざ元の東京都というものは日本をやはり代表する都会でもある、そういった点で美しくなければならないし、りっぱでもなければならないし、また内容的にもすぐれたものでなければならない。そういった点で、一般の府県と同じような扱いをされるといった問題については、それなりのやはり抵抗と申しましょうか、そういったものは感じておりますけれども、与えられた法律の中の範囲内でございますので、できればやはり東京都という自治体、これはあくまで自治体としての立場を守りながら、たいへん欲なようですけれども、もう少し自主性を尊重した一つ行財政制度というものを運営していただきたい、こういった希望は常々持っております。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体お聞きいたしまして、よく事情はわかったんですが、われわれきょう御苦労にも来ていただいた趣旨は、事務レベルの実はお話を聞こうとは思わなかった。都知事でも来ていただいて……いま都の財務局長の話を聞きますと、起債減額については、ある程度四十五年度財政運営には全然支障はないとは言わないけれども、一応一般財源を繰り入れてやれるというようなお話なんですけれども、私らとしては、これは単に七十億かあるいは百億足らずの東京都の起債減額の問題じゃなくして、地方自治の自治権に対する侵害だという取り上げ方をしたわけなんです。したがって、これからまた大臣に対しても、自治省に対しても質疑応答が展開されると思いますが、特に及川さんは全国知事会財政部長として、常に私は陳情を受けているわけなんですね、陳情を。うしろには実は自治省の幹部の方がおられるから、非常に遠慮した発言もあったと思うのですがね。われわれは決して東京都の財政がどうなったということでなくして、四十五年度の都民のための都政がどうなるかということを心配した上で取り上げたことでありますので、そういう意味において、これは質問になるかどうか知りませんが、私からお二人に対しまして、及川さんには全国都道府県の実情を、それからこういうものがあっていいかどうかというこの事務的な問題は聞きましたけれども東京都の財務局長には、今後私はやはり支障ないとは言えないと思うのです。ないならぼくは起債の問題はそう陳情を受ける必要はないと思う。今度のやつは報復手段とか、政治的な意図があるということで問題を取り上げた。私が取り上げたのはそうではございません。ただすことはただしましたけれども地方財政起債の問題で、相当事業の消長に大きく影響があるということで取り上げたわけですが、東京都として今後やはり支障がある場合には、自治省に対して何らかの私は話し合いをすべき問題であると思う。ただけんかをしてどうこうということではないと思いますけれども、都知事もどう言われているか、それを聞く機会はございませんけれども、知事においてもやはり問題は、政治的な問題はあるか知りませんが、都民のためにはやはり財政の確保ということは必要だと思いますので、東京都当局も自治省に対して、もし支障があるならば、一応決定はしたものの、今後私はあらゆる機会に折衝すべきであると思うのですが、この点について財務局長はどう思われておるか。それから全国を代表して及川さんはどういう考えを持っておられるか、これだけ聞いて私は質問を終わりたいと思います。
  63. 磯村光男

    参考人磯村光男君) 私に対する御質問に先に答えさせていただきます。現行制度のもとで、しかも許可制度、こういった制度のもとに対して、先ほど来この制度はこういうふうに改善していただけないかといった問題について、二、三の御意見を申し上げたわけでございます。それはそれといたしまして、今後どうするかといういまの問題について、これはあくまで現行制度のもとにおきましては、これは改善されればそれにこしたことはないわけでございます。現行制度のもとにおきましては、いわゆる起債許可のあり方、この中身につきましては、よその府県と差別しないようなやり方において御許可をくださる、統一的な方針のもとにおいて許可をくださる、あるいは全国的な財政金融制度上の一つの方針として公平に許可制度が運用されるといったことは、こういった範囲内でおれば、私はこれは現在の法律を守るという立場からすればこれはやむを得ないと思っておりますが、許可の段階におきましてこういうことはおそらくないと思いますが、よその府県といろいろ違った考えを持っていただく、かような問題につきましては、都としてはやはりこれは引けない線である、こういったことに尽きると思います。
  64. 及川角寿

    参考人及川角寿君) 私も、いま磯村さんがおっしゃったように、自治省は、現在の起債許可制度があります以上、特定の団体についてだけいろいろな特定の判断をしてやるということは私はなかろうかと思っております。おそらくそれはその団体財政事情なりその事業状況なるものを勘案しておやりになっておられることだと思いますので、その点は私はよろしいのではなかろうかと思います。ただ問題は、いまお話がありましたような、何らかの特別な文句があるならばそれは非常に困ったことだと思いますが、さようなことは私はないことと信じております。
  65. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 他に御発言がなければ、参考人に対する意見聴取はこの程度にいたします。  参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は御多忙中にもかかわらず御出席をいただきましてまことにありがとうございました。本件調査のため貴重な御意見をお伺いすることができましたことを心から厚く御礼を申し上げます。     —————————————
  66. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十五年度地方財政計画に関する件を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 前の委員会で佐藤総理の出席を求めておいたのですが、それはどうなりましたですか。
  68. 山内一郎

    委員長山内一郎君) この前、和田委員から総理の出席の御要求がありました。いろいろ理事会で協議をしたのでございますけれども、どうも今国会中は出席できないということですから、御了承願います。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 いまのは理事会の統一的な見解ですね。
  70. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 理事会の統一の見解でございます。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 先ほどもちょっと触れましたが、まず自治省佐々木参事官は、さき委員会における私の、自治省は当初何々のつもりであったのをどうして削ったのかという質問に答えて、そのつもりはなかったというような答弁をなさいました。ということは、実際上の起債事務において、自治省と都との協議の中で成立する当初予定額というものはなかった、こういうふうに言われたことなのでありますが、そうですか。
  72. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 起債の折衝にあたりまして、都との間におきまして当初予定額というようなものを定めることはございません。ただ御承知のように、一般会計債の中におきましては、たとえば公営住宅とかあるいは一般補助事業のように、起債の充当率をあらかじめ許可方針で定めているものがございます。そういうものにつきましては、それぞれの年度の当初におきまして国の補助額等が決定してまいりますというと、大体その充当率計算から一般補助事業あるいは公営住宅等のワクにつきましては、都側のほうにおきましても計算ができるわけでございます。そういう意味におきまして、それらのあらかじめ充当率等を定めまして許可するようなものにつきましては、それぞれの補助事業費の決定等に伴いまして都が見込み得る数字というものは、大体都のほうとしてもわかっているはずであります。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 しろうとだと思ってあまりふざけてもらっちゃ困るという感じを持つのですがね。たとえばいま及川参考人お帰りになりましたが、彼がさっきの答弁の中でも、いわゆる自治省地方債の担当者としての経験を通して、話し合いながら当初予定する、そういうことがある、額について。こういう答弁をしましたよ。そしてそのような状況はいまでも存在をしている、こう言われています。私も手続上のたてまえがどういうことになっているかぐらいのいまのような答弁なら知っていますよ。しかし考えてもみなさい。特に都のように三百億から四百億にのぼる銀行縁故債をかかえている場合に、そうした当初予定額前提としないで円滑な起債発行ができるはずがないじゃありませんか。いかがです。
  74. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 先ほども参考人に対する御質問から答弁もありましたように、東京都の場合におきましては、一般の市中で公募いたします地方債と、それから銀行縁故によりまして資金を調達するものも相当高いウエートで持っておるわけであります。したがいましてこれらの起債の額につきましては、その起債額が決定をいたしました年度末等におきまして一時に調達をするということはきわめて困難でございます。したがいましてただいま御指摘がございましたように、年度当初から毎月予定額を組みまして、その事業執行状況をにらみ合わせまして資金の調達をはかるということは当然のことでございます。したがいまして、公営企業関係の起債分は別といたしまして、一般会計債におきましても縁故債の部分につきましては、年度の当初から資金調達を計画的に行なうということは当然に行なわれるところでございます。ただその際に、この一般会計債の中におきましても、先ほど申し上げましたように起債許可方針等によりまして、ある程度あらかじめ算定のできます部分から、毎月そうした縁故債の融資を受ける形をとってまいるわけであります。また一般単独事業につきましてもある程度の部分は見通しがつくわけでありますから、そういうものにつきましてその縁故債の融資手続を進めていくということは当然行なわれるところで、ただ一般単独事業は、許可方針にもございますように、当該団体財政事情を考慮して、それぞれの事業の緊急性を見て許可をしていくというようなことになっておるわけでありまして、そういう意味におきましては、その起債の額が特定の地方団体についてどれだけのものが出るかということは、これは確定的なものをあらかじめ想定するということはきわめて困難であります。特に東京都の場合には、一般単独事業の分はほとんどワク外債の処理が多いわけであります。そういう意味におきましては、起債額の決定というものは大体年度末になるというのが常例であります。そういうことで、東京都の毎月の縁故債の資金調達ということも大体確定的に計算のできるものから逐次その資金を確保していくというような方式がとられているものだというふうに考えております。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 私は何月何日に自治省の何という担当者が都側に何を言ったかということまで実は調べました。それをここで明らかにすれば、善意の上に立って言ったその人がたいへん気の毒な立場になる。それで言わないだけですよ。当初予定額というものが口頭了解事項であったにしたって、具体的に都が何月何日にどのような起債発行したかということを追跡をしてみましたが、それを調べていけば都と自治省の事務ベースで具体的にどのような了解が成立していたかということは歴然としてわかるはずですよ。私はそれはわかりました。その都の具体的起債発行状況の一覧表もここに持っております。それでも当初予定額というものがなかった、そういうふうに主張されますか。これは多くの答弁は要りませんよ。端的に答えてください。
  76. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 各事業許可申請に当たり、その査定の折衝を通じましていろいろお互いのやりとりがあるわけでありますけれども、その段階におきまして事前のいわば許可予定額というものを示すようなことはいたしておりません。ただその折衝の過程を通じまして、都のほうの具体的な腹づもりの額というようなものは都のほうから私どものほうに提示をされるということはございましても、私どものほうから許可予定額というものをあらかじめ話をするということはいたしておりません。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 したがってその話し合いの中で都側から一定の額が出る、それに対していわゆる口頭了解が成り立つ、こういう形に結果的にはなりますよね。
  78. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 起債許可にあたりましては、自治大臣、大蔵大臣の協議を必要とするわけでありまして、正式の許可予定額を出します段階におきましては大蔵省との折衝があるわけでありまして、それ以前におきまして許可予定額を話をするということはあり得ないことであります。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 あり得ないといま言われたって、あなた、そのさっきの答弁では、都側から話し合いの中で一定の額が提示をされましたと、そう答えられているでしょう。事務ベースでそれを受けた人がその場でそれを否定するとかいうような形でなくて、長年の経験に基づいてそれが一定の予定額になっている、あたりまえじゃありませんか。そうでなかったら、どうして仕事ができるのですか。
  80. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 都側の腹づもりの額というものは折衝の過程において示されるわけでありますが、私どものほうとしましては大体そういう腹づもり等を考えながら許可額の決定作業に入っていくということになるわけでありまして、その額がそのまま許可予定額につながるということはないわけであります。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 したがってその数字というものがあなた方の念頭にありながらという形になる。その数字というものは当初予定をされているところの予算額ではない、十分に自治省担当官の意向を持って一定の削られた、そういうものが当初の予定額になる、こういうことになっているのでしょう、仕事の上では。
  82. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 繰り返すようでありますけれども許可予定額というものをあらかじめ話をするということは私どもとしまして考えられないことでございます。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 考えられないはずがないでしょう。考えられるからそれに基づいてあなた方の思考が行なわれるわけでしょう。
  84. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 都側の申請額並びに折衝の過程におきますいわば都の腹づもりの額というものにつきましては、私どものほうに提示されることになりますけれども、それに基づきまして私どものほうから許可予定額を話をするということはないわけであります。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 あなたそこで、答弁、いかにないと言われたところで、現実には存在をしていますよ。現実に存在していることをお認めにならぬですか、ここで。
  86. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 許可予定額につきまして正式の通知を出します前にその額についての話をするということはあり得ないことであります。ただ、先ほどから申し上げておりますように、一定のルールに基づきまして許可をすることが見込まれておりますものにつきましては、年度の途中におきまして縁故債等による資金の融資を受けるための手続は都のほうでとられるということはあり得ましても、これらの事業につきまして許可予定額を示すということはないというふうに考えております。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 地方自治団体の側で一定の額を想定をしながら手続を進める。その手続を進める前には自治省の皆さんとの話し合いが長いことかかって具体的に行なわれる。そして一定の推定予定額に達するから手続が進められる、こういうことでしょう。全くかけ離れて、全くあなた方の意見と食い違った形で作業が進むということがあり得ますか。
  88. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 東京都のほうも申請額を持ってまいります段階におきましては、従来の実績、その年度における財政状況というものを十分前提にいたしまして話し合いが行なわれるわけでありますから、この起債許可につきまして非常にかけ離れた意見が出てくるということはまずないというふうに私ども考えております。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 そうでしょう。したがって私が述べているように、そういう意味における予定額というものは、現実に作業の過程で存在する、こういうことになってくる。  そこで普通債に限ってさらに具体的に裏づけていってみますが、一般的に補助事業の場合はそのままで、都の単独事業分が削られたといわれておりますが、単独事業分でも削られたものと削られないものがあります。私はその仕訳をしてみたのでありますが、単独事業分のうちで削られたものというのは、出資金中心とするワク外債でありますが、それはそう理解してよろしいのですか。
  90. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 許可の実績から見ますと、大体そういうことになろうかと思います。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、自治省財政地方債課編の「地方債の手引」、これの二百ページ、これを見ていただきたいのですが、これを見ますと、ここに「昭和四十四年度地方債事務処理予定表」が載ってるのですよ。さっきいろいろ否定されましたが、四十四年度地方債事務処理予定表が載っております。これによりますと、一般単独事業債のうち、県の分のこのワク起債は二重マルがついていますが、八月の中旬に許可予定額決定ということになっています。なっていますね、これ。
  92. 山本成美

    説明員山本成美君) 毎年若干の月の変更がございますけれども、いまおっしゃられましたように、都道府県分のワク外につきましては、八月の下旬ごろを目途にやっております。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 しかるに、これはあなた方のほうで出していらっしゃるわけですから、私がつくったものではないですから……。ワク外債は二月下旬ということになっていますね、そうですね。
  94. 山本成美

    説明員山本成美君) 先ほど私ワク外と申し上げましたが、八月にやっておりますのはワク内でございます。それでワク外につきましては、これは一件査定と申しまして、たとえば一般単独のようなものでございますが、これは年末から年度末までにかけまして、特に都道府県につきましては税収の九月分の確定の見通しが大体九月から十二月ごろまでに見当がつきますので、そういうふうなものを勘案しながら年初から年度末までにかけて一件査定の分を検討していく、かような経過を経ております。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 結局ワク外債は二月下旬に二重マルがついている。そうすると何のことはない、あの職員給与ベア問題が起こる以前に許可予定額決定をしてしまった分については削らなかった、あの問題が起こったあとにその決定をすることになっていた分を削った、そういうことになるのですかね、いかがですか。
  96. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 一般会計債の扱いにつきましては、先日も私ども考え方を申し上げましたように、各地方団体に対しまして、それぞれの計算のルールでやっております部分と、一般単独事業のようにそれぞれの地方団体財政事情並びにその事業の緊急性を考慮して許可をしているものがあるわけであります。そういう意味におきましては、この一般単独事業債というものが、いわばその年の、各年度財政事情を考慮して弾力的な運用をすべき地方債になるであろうというふうに考えられるわけでありまして、そういう意味で東京都につきましては、この一般単独事業におきまして、これは先生のお手元に差し上げてありますように、その年々の財政事情によりまして相当弾力的な運用をいたしております。またこの一般会計債の中では、単独事業がそういう意味での弾力的な運用をすべき事業債に該当すべきものであるというふうに考えています。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 そこで出資金関係の起債ですがね、横浜市の場合に四億九千六百万円を申請をして六百万円しか削られていない。大阪市の場合は十三億七千五百万円を申請して六千五百万円しか削られていません。神戸市の場合は十億一千八百万円を申請をして千八百万円しか削られておりません。神奈川県の場合は一億四千六百万円を申請をして六百万円しか削られていません。大阪府の場合十一億三千万円申請をして六千万円しか削られていません。兵庫県の場合は五億七千四百万円を申請をして二千四百万円しか削られていない。それもそのはずです。法律に基づいてこうした公社公団がつくられる等、事前に関係地方団体との間に協議が行なわれている、この程度出資金を出してほしいといったことが話し合われて、その前提として起債でこのくらい認めてもいいといったことが了解をされているからでしょう。東京都の場合も、例年は他の府県や大都市と同等な取り扱いがなされていたにもかかわらず、今回だけはまさに異例な措置として四十五億五千万円申請をして全部が削られてしまった。これはなぜですか。これでも政治的な報復ではない、政治的措置ではないと言い張れますか。
  98. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) その年度における財政事情に応じまして、一般単独事業債の対象としてどのような事業を取り上げるかということはそれぞれの団体考え方にもよることでございます。そういう意味におきまして、各府県の一般単独事業許可されました項目の内訳と東京都の起債許可されました内訳とを比較されます場合には、確かに各府県の場合におきましては、そういう意味での出資金を、出資金に対する単独事業債の起債を行なっているという例が圧倒的に多いわけであります。しかしながら東京都の場合には、一般単独事業債としましては、用地買収費を中心にいたしまして、警察、消防といったような事業費に一般単独事業債を充てるということにいたしまして、これらの出資金については起債を充当しない、こういうことにしたわけでありまして、特定の事業について、必ずこの事業については一般単独事業債を充てるというような意味での起債の運用は適当な措置ではないというふうに私ども考えております。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 結果的にあなた方はそうされたけれども、先ほど来申し上げているように、折衝の過程においてはそれぞれの条件との見合いにおいて一定の予定額についてはちゃんと了解を与えられている。したがって、どのような形で答弁をここで委員会のためにされようが、実際の運営はそうなっていないのですよ。したがって、こういう措置が起こったことによって自治省の善意の担当者たちはたいへん苦渋しているわけです。このことは明確にしておかなければならないと思うのです。そこで私は、大臣にこんなこまかい議論を実はするつもりというのは、交付税の法案の審議にあたって実は当初予定をしておりませんでした。昨年も押し詰まった十二月の二十八日に、自治省は都に対して、まあ先ほども都側から確認があったように、例の職員のベア問題で、事務次官口上書が提出されたわけですよ。口上書が出たことは先ほど市川委員質問参考人が答えたとおりです。私はこの口上書の現物を見ました。そこにははっきり、言うことを聞かなかったならば起債削減しますと書いてあるのですよ。そして今度の措置となった。その経過からして、常識的にだれもが報復の措置考えた。新聞も全国的にそれを報道をした。しかるに、自治省だけがそれを認めずに、純粋に事務ベースの結論と言い張られるものですから、私は事務ベースの議論として当然の結論でないことを実証しなければならなくなったのです。そうしてそれを実証してきたわけです。したがって、先日来の討論を経て、なお大臣が報復措置ではないと言われるような条件はなくなったと思うのですが、いかがですか。
  100. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 報復措置考え自治省東京都の起債問題を処理した考えはないのでございます。いろいろ御議論がございましたが、要は東京都に財源上のいろいろ余裕があることが判明した、その事態におきまして、十分起債関係の事業も行なえるという見通しのもとに処置をしたものでありまして、事務的な配慮から出たものであって、もちろんあの東京都のベアの問題が出たために事情が判明してなった意味におきまして、関係はございますけれども報復措置としてしたものではないとわれわれは心得ておるのでございます。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 私は今度のこのことを機会にして、この間の委員会でも申しましたが、何としてでも現行地方債許可制度にメスを入れたい、一定の方向というものを明らかにしたいと、こう思います。当面廃止することが困難であるとしたならば、できることならば全野党が一丸となって、与党の皆さんとも話し合って、全自治体関係者も一緒になって、せめてまあ何と言いますか、自治省の乱用が許されない、そういうような改善措置を実現をしたいと思います。午前の参考人もそのような状態について知事会議としても惜しみなく協力をすると、こう言っているのですが、自治大臣として、改善措置についての必要性をお認めになりませんか。また、改善措置が与野党を含んででき上がっていく、そういう過程に対して積極的に協力をされる用意がありませんか。
  102. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 地方債許可の権限のこの問題は、まあ古い問題であり、また常に繰り返される問題であろうかと存じますが、ただいまの国、地方並びに民間を通ずる資金需要の構成という点を考えますと、当分とは一体どの程度のタイミングをいうかという問題が残りますけれども、やはり現在におきましてはこの規定を置いておく必要があろうかと存じております。したがいまして、いまこれを改正するという準備等は考えておりません。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 これはやはり大臣、考えられたほうがいいと思うのですがね。私はまあ言ってみれば前向きでこの問題に取り組むにあたって一、二の問題をこの機会お尋ねをしておきますが、自治省の側が御指摘になられているいわゆる許可制度の存在理由、この前の委員会で確認をいたしましたこの存在理由さえ全部満足させられるものであるならば、その案を大臣としては前向きに御検討される用意はありませんか、それでは。
  104. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) やはりただいまも申し上げましたとおり、わが国の今日の金融実態資金量の実態等を考えまして、国、地方また民間等に要る資金需要というものを考えますと、これが配分につきましてはやはり全く国側が何らの配慮をしないで差しつかえがないという状態にはいまだないのではなかろうかと、地方の自治ということは十分考慮をしなければなりませんけれども、その間にやはり配慮をしなければならないものは、現状はまだ全体のことを考えられてしかるべきではないか、こう思われる段階であろうと存じております。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 大臣の言われているそのことはよく理解できます。したがって、そのことも含んで満足させられるような形の案をつくることが不可能ではありません。したがって、いま考えないというような形ではなくて、いまの答弁の趣旨を満足をさせることを含みながら、しかも改善措置が私は可能だと思うのです。たとえば、この前も確認を願いましたが、この「地方財政制度」の五〇七ページでa、b、cに分けてあなた方があげられている存在理由の、まずaです。これはいまの答弁と一緒ですが、「現在の財政金融情勢のもとでは、地方団体資金需要も、国全体の資金計画の中におり込み、国及び民間の資金需要との調整をはかる必要があること。」ということですね、aは。これはいろいろ考えてみますと、起債総額が、まさに総額として地方団体の標準税収入の何%かに押えられれば済むことです。そうじゃありませんか。地方団体起債総額を何%かに押えることと、各地方団体のそれぞれについて個別に自治省が指導されるということとは別問題ではありませんか。いかがです。
  106. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) やはり地方債財源としての扱い方は、それぞれの地方団体におきます毎年度財政需要なり、あるいはそれぞれの団体のある程度長期的な計画に応ずるところの事業執行の体制、それに伴うところの財政需要から出てくる問題であろうと思います。したがいまして一定の、たとえば税収入等に対する一定割合というような画一的な問題は、現実問題としては非常に実態に即しないことになるのではないだろうかというような感じがいたします。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 しかしながら、そう言われたところが、実態に即しないようなことを現実にはやられているわけでしょう。現実にはやられている。したがって、その辺のことを整理をしてみれば、私が主張したような形のことで当面の改善策というものが出てくるんじゃないか。  ただbですね。bは、「許可制度を通じて、有力団体への資金の偏重を防止し、貧弱団体には、長期低利の資金を重点的に配分する等、資金配分の公平をはかることができること。」、これが存在理由です。これは政府資金公営企業金融公庫債など、政府関係資金について国が認可権を持っていれば済むことではありませんか。
  108. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 御指摘のように、現在の許可制度には資金の配分という機能を織り込んで、現在の制度を運用しているわけであります。したがいまして、許可制度がなくなりました場合、そうした財政力の弱い団体に長期低利の資金を配分をするというような作業は、結局許可という名前でなくて、何といいますか、資金の融資、融資の審査というような内容を通じて、実質的に許可制度につながるような運用がなされることが予想されるわけでありまして、結局、許可制度を形式的に廃止いたしましても、実質的には、それと同じような制度がまた同時に考えられなければならないということになるだろうと思います。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 cは、「無理な負担を将来に残し、財政を混乱させる団体が生じないよう、地方債発行の適正限度を保持させる必要がある」、これは地方団体の公債費比率に上限を設ければ済むことではありませんか。
  110. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) まあこの問題は、やはり地方団体一つ財政に対する姿勢の問題であろうというふうに考えます。そういう意味におきましては、この項目はそれほど私ども大きいウエートを持っておらないわけでありますけれども、ただ、現実の問題としては、現在もなおこういう問題が各地で散見されるというようなことがございます。しかしながら、これについて、公債費について一定限度を設けるということになりますというと、借り入れの時期と公債費が現実に一定額をオーバーする時期とは、相当ズレがございます。そういう意味におきまして、この公債費について一定限を設けるということにつきましては、ある程度前提要件が要るかと思います。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 私は、とにかくいまこれをここで論議しようと思いませんが、いま申し上げたような問題意識を持ちます。そういう意識の上に立って、三点を十分に満足させる案を、皆さん方にも相談をしながら一ぺんつくってみようと思うのです。その案をつくる以上は、何とか実現をさせたいと思いますから、大臣の答弁のように、全然そんなことばいま考えていませんじゃあ困るので、相談に応ずる姿勢は、大臣、ございますか。
  112. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 私は大局的に考えまして、まだこの規定は置いておくべきであると考えられますので、したがって前のような答弁をいたしたわけであります。しかし、案を拝見することに何もやぶさかではないのでございまして、ひとつ御意見があればお聞かせを願いたいと思います。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 先日ちょっと残った問題ですが、食品衛生監視員ですね、ゼロになった。それで、その監視率御存じですかといったら、厚生省にということで、そのまま返答がない。私は現実に、あれから二日間ばかり各地方の担当のところを回ってきまして、名前をあげてもいいのですが、富山、石川、たいへんな状態になっていることをあらためて知りました。その限りにおいては、今度の交付税というのはたいへんな問題を含んでいるような気がいたしますが、具体的には後ほど述べます。いま答弁できますか。
  114. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) その後厚生省と十分な打ち合わせができておりませんので、さらにいましばらく時間をいただきましてお答え申し上げたいと思います。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 これは、たとえば私の調査によれば、この前神奈川県を三割程度なことを申しましたが、三割をこえている状態のところはどこにもありません。一番高いので兵庫県。しかしこれは政令都市があるところで、そこが充実度を持っていますから県全体の比率が高いのですが、それだって三割ぐらいのものです。たとえば富山なんかは一一・一%です。全国平均はわずかに一六・二%です。こういう形で、いわゆる食品衛生公害は野ざらしになっているわけです。しかも、驚くことに利用者の側が、この食品が言ってみれば適正なものであるかどうかということを判断する条件が一つも与えられていません。検査がされていない、言ってみれば危険な状態にあるものを、購入をするときに判断をする条件が住民の側にないのですね。わずか一割に満たない、一割という状態でしか検査をされていない生鮮食料品を含んで、そのまま口に入れなければならぬという状態になっているのです。決定的に、なぜこの比率が低いかということになると、まず一つは、絶対的に監視員、人員が足りないんです。その人員が足りないにもかかわらず、今度はゼロにされたわけですね。あるいはそういう監視のための機動車が財政的な理由によってほとんど配置をされない、こういう形です。現場の職員たちはもっと充実をした機動車、いってみればその車の中ですぐ検査ができるような状態でなくても、オートバイでもいい、持って帰って試験室でやってもよいと述べるぐらい、そういう切実な要求を持っているが、それも満たされない、こういう状態になっているんですね。したがって、私はこれはまあ午後でけっこうですが、十分お調べ願って、これに対する見解を明確に、この前の委員会からの引き続きでありますから出していただきたい、そういうふうに思います。
  116. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 自治大臣ね、先ほど東京都に対する和田委員に対する答弁ですがね、あれではちょっと困るんです。もうすでに明らかになったように、事務レベルではそういう報復手段はないということは先ほど参考人もそれは消極的に認めているわけです。しかし、口上書を見ましても、都民のひとつ誤解を解きたいというのが今度のわれわれの趣旨なんです。政府と、簡単に言えば佐藤総理と美濃部知事とのけんかは、これはごかってにやられていいと思うんです。しかし、都民は非常に迷惑ですから、したがって、そういう意味において私はこれを総理大臣に来ていただきたいということを理事の打ち合わせ会でも申し上げましたが、自民党は実はまだ応じておりません。先ほど委員長は、理事打ち合わせ会でそう決定したと言いましたが、私は承認をしておりません。したがって、私は地方自治の本旨からいって、地方自治に対してあまり政治的な干渉は一これはどちらが悪いかわかりませんよ、都の言い分がいいかあるいは政府の言い分がいいかは別といたしましても、あまりにも私は何か都民から誤解を受けるようなことがたびたびあるのですね。で、ベアの問題にいたしましても、すでに神奈川県では早くに議決をして、どう政府がきめようとも五月から実施するのだと、堂々と決議までしているんですね。そこにはあまり問題が起こらない。それから大阪府も実質的にはそういうことを了解したと、こういうのですね。したがって、あれはたまたまああいうことが大きくなってきたということは、私は実質的なベアの問題と別にあるのじゃないかという都民の疑惑が実はあるわけなんですよ。それが私は特に今度この地方行政委員会に取り上げてもらったことでありますので、私はまあさっそく自治大臣のここで答弁を求めようと思いませんので、これから理事打ち合わせ会をやりますので、昼からの冒頭のときに、何も私の言うように言ってくれとは言いません。言いませんけれども、やはりその東京都の問題、起債減額の問題について了解できるように、政府も何とかひとつ考慮と申しますか、将来そういうことのないような意味で印象を受けるような、都民に対して、国民に対してやはり自治大臣としてある程度見解を述べていただきたいというのが私の質問の要旨でありますが、そうでないと、ここでよろしゅうございますとは言えません。したがって総理大臣には来ていただきませんと、この問題はおさめられません。午後の再開の劈頭にひとつ自治大臣の言える範囲でけっこうですから、その点はひとつ答弁をしていただきたいということを希望だけ申し上げておきます。
  117. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後一時五十四分開会
  118. 山内一郎

    委員長山内一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十五年度地方財政計画に関する件を一括して議題といたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないますが、秋田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  119. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 今回の東京都の起債問題につきましては、報復手段としてとられましたことは、私の本意にあらざるところであります。したがいまして、今後とも東京都との連絡を密にいたしまして、財政運営状況を見まして、必要がありますれば適切な処置を講ずる所存でございます。
  120. 山内一郎

    委員長山内一郎君) それでは、質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  121. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、昭和三十九年に地方公営企業法の改正になった当時の問題について、病院の問題ですが、これについて若干、その後自治省運営に私は納得できない問題がありますので、二、三私はこの点について特に質問をしておきたいと思います。  冒頭に財政局長に聞きますが、病院は地方公営企業であるかどうか、それをひとつお聞きしたい。
  122. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 病院につきましても、地方公営企業として取り扱っておることになっております。
  123. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは重大な発言で、特に私はそういう答弁を予期しておらなかったのですが、これは昭和三十九年の会議録を持ってまいりましたが、昭和三十九年五月二十一日木曜日、内閣委員会において私は質問したわけであります。ここで歯時の財政局長の柴田次官がこういう答弁をしておる。政府委員として、「問題はいろいろあろうかと思います。で、私どもは、したがって病院につきましては、公営企業とは考えておらぬのであります。独立採算と申しましても、実際問題として不可能でございます。したがって、将来あるいは独立採算が可能になる時期があるかもしれませんが、現状においてはこれは不可能と考えております。」云々。ここではっきりと、「私どもは、したがって病院につきましては、公営企業とは考えておらぬのであります。」、これは三十九年五月二十一日の木曜日の内閣委員会で実ははっきり申し述べておる。それをあなたはいま公営企業考えると言われるわけですね。
  124. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) いま申し上げました意味は、公営企業といいます場合に多少多義的でございますが、いわゆる地方公営企業法におきますところの当然に法律を適用いたします場合の公営企業ではございません。けれども、事柄の実態からいたしまして公営企業として考えていくという意味で、地方公営企業法におきましても財務に関する規定の適用を考えており、また地方財政法におきましては公営企業として考えておるというようなことでございますが、御指摘のございましたように、実質的に病院の事業そのものの実態から考えていきますいうと、これにはそれを取り巻く内部的あるいは外部的ないろいろな条件がございまして、その実態としての公営企業的な経営という意味での条件としては非常にいろいろな困難な壁があるという現実は、まさに御指摘のとおりでございます。
  125. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それが私気に入らないのですよ。これはその当時相当論議したのですよ。一部だけ読んだのですが、ずっと論議してきて、なるほどこの改正で財政関係の規定だけは——公立病院を入れるけれども、本質的にはこれは地方公営企業ではないということをはっきり言っているのですよ。財政局長があなたで何代目か知りませんがね。それを本質的にはやはり地方公営企業でないんだということを明らかにしてもらわぬと、これはもうたいへんなことになると思うんですよ。その後法律変わってないんだと。
  126. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) ただいま申し上げたとおりでございまして、地方公営企業法を当然適用するという形の——全面的に適用するという形の意味での公営企業ということではないけれども、事柄の実質、たとえば地方財政法などでさしておりますところの地方公営企業の中には、これは法律上人っておりますから、「入っております」、こう申し上げざるを得ない、その点がありますが、したがって、それをかれこれ両方を考えますというと、やはり事柄の実態としては地方公営企業一つの企業を営んでおるというふうに取り扱っておると言わざるを得ないと思っております。
  127. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと歯切れが悪いんですね。実際の問題になっているのは、そういう考え方からいま病院問題が起こってきておるんですよ。われわれはこのときにいろいろ論議をしておりますが、これは公立病院ですよ、公立病院の場合は、これは法律も含めてでありますが、国の衛生行政の一環で、衛生行政、したがって形態は企業的な形態で、その独立採算制とは言っておられませんけれども経営体として見ておられるようでありますが、私はそれは異議があるということで、相当やった末、無理にこの答弁を引き出したわけじゃないんですよ、読んでくださいよ。そういう結果、地方公営企業とは考えておらぬと言うんですから、ほかのことはあなた言わぬでもいいですから、やはり柴田さんと同じように、地方公営企業ではありませんと、ただし経営体としては、そういう病院の経営というものは、何といいますか、そういう形態はあるけれども法律上は地方公営企業法の地方公営企業ではないと。
  128. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 地方公営企業法にいうところの地方公営企業ではございません。
  129. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは私は、地方財政法に若干のああいう規定があるから、ああいう地方公営企業的だということを言いたいんじゃないでしょうね。そこまで聞いておかぬと……。
  130. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) ただいま申し上げたとおりでございます。地方公営企業法に限定的に列挙しておりますところの地方公営企業ではない。
  131. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで大体明らかになったんですが、あなたの言われようとするところはわかるんですか、ところが、これはいまそういうことあなたから答弁を得たというのは、県立でも、あるいは市町村立でも、非常に理事者と申しますか、市当局、県当局が、独立採算制といいますか、非常に経営を企業形態に変えていこうという強い指導があるんですね。指導というよりも、むしろそういう形態をとってきておりますね。そういうものについて、自治省はどういう考え方で指導されておりますか。やはり独立採算制でやれと、こういう指導をしておられるんですか。
  132. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 自治体の病院の現状を全体として実態から考えてまいりますと、いまお話のございました独立採算制という問題をどこまでも含めての問題かというと、違ってまいります。したがって、自治体病院が任務としておりますところの事業内容というものの中には、御指摘がございましたように、いわゆる公衆衛生と申しますか、あるいは地域におけるところの医療水準の確保と申しますか、そういうものの、どちらかと申しますと、行政として当然維持し、あるいは推進していかなければならないという使命を持たしておる一面があるわけでございます。したがいまして、そういうものまでも含めまして、そうして独立採算制の維持をはかれということになりますと、これはむしろ行政に属する経費までも病院の経営によって負担をするという結果に相なりますから、これは元来負担すべからざるものを、極端に言えば負担をさせておるというような結果に相なります。したがって、そういうものを含めて独立採算制を考えるというようなことは、これは適当ではない。むしろそういう意味では、公立病院といいますものの経営の使命といいますか、存立の目的といいますものの中には、単純に企業としての経営だけを考えて発足をしていないという側面を多く持っておるわけでございます。したがいまして、いま申し上げましたような事項につきましては、いわゆる行政経費によって負担をしていくということは当然出てくるわけでございますから、そういう意味の負担区分を明確にいたしました上で、そうして純粋に経営に属すると思われるような部分について合理的な経営をはかっていく、こういうことに非常に限定をされることにならなければ、独立採算というような問題を考えることは実態に即さないことだと思っております。
  133. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 例をもって申し上げますと、独立採算制を強要してないと、当然行政面を担当する人は一般経済からの繰り入れを認めていると、こういう答弁だと認識するんでありますけれども、たとえば四十三年度末の財政再建、七〇年段階の不良債務解消計画を出しておりますね。この総額は七億八千万円であります。ところが、実際解消さしたのは八億七千百万円で、結局九千万円というものは、実はいまあなたが言われたような趣旨でなしに、大幅に実は解消させられている結果になっておりますね。これが病院経営に非常に無理がきて、いわゆる合理化と申しますか、当然自治体病院が経常的に行なう業務までも民間に委託したり下請等に回されておる。こういうことがあることは、これはもう全国例のあることです。しかも、基準看護料を受け取りながら、重症患者には個人で付き添いをつけよと、こういう実は無理な経営状態があるわけなんですね。こういうものに対して、自治省は、病院経営実態について十分把握されておるかどうか。いま財政局長が言われるような趣旨で私は必ずしも運営されておらないと思うんですね。こういう点について、先刻あなたの言うような状態でやられておるかどうか、こういう点について確信持った答弁をひとつしていただきたいと思います。
  134. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 病院事業につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり行政的な必要によりまして、どうしてもそこに公的な医療機関を設けて、公的な医療サービスを行なう必要があるというような観点、たとえば、先ほど申し上げませんでしたが、救急医療の関係でありますとか、あるいは特殊な病院でありますとかというようなものも、そういうものに入っていくと思います。あるいはまた、病院の規模としては非常に能率の悪い規模でありますけれども、そういう地区の医療の欠陥を防ぎたいというようなことで、どうしても設置をしていかなきゃならないというようなこともあるわけでございますから、そういうような要素というものを、これを算出することは、ケース・バイ・ケースで行なわれておると思いますけれども、なかなか一がいに言いにくいところもございますから、個々の具体の問題につきましては、いろいろすっきりと負担区分の明確化が十分行なわれていないという面も、御指摘のようなところもあるかとも思います。しかし、また同時に、病院につきましては、公的医療機関のベッド数とか、そういうものにつきましての外部的な制約もございます。それからまた、医療保険制度にからみますところの制限、いわゆる料金問題についての制限もございます。それから特に一番問題になりますのは、医師なり看護婦なりの確保が非常に困難であるというこの現実でございます。そういうところからして、病院にはさまざまな内外を通じますところのいろいろな困難な病院を取り巻く条件というものが多いわけでございますから、そういうものをどういうふうに認識をするか、そして公立病院の経営維持、病院事業の推進というものを受けとめていくか、これは地域、地域によって相当事情が異なると思います。それにつきまして、私どもとしては、純粋経営的な側面については合理的な経営、つまりその意味で、一つは独立採算という問題もございますが、そういうものをやはり推進していくという態度は、これは失うべきではありませんけれども、そういう取り巻くいろいろな要因についての問題を排除いたしますために、一般会計なり何なりからの繰り出しというものが当然考えられるべきものは考えていかなければいかぬということでは、ケース・バイ・ケースで考えていく必要があると思っております。
  135. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 抽象的でなくて具体的に聞きますけれども、先ほど申しましたように、基準看護料は一応これはもう規則にのっとっておるのですね。それに重症患者には個人で付き添いを置けと、これは基準看護に対する違反ですね。また、業務の下請等では、職業安定法の四十四条、同施行規則四条二項に違反する。患者と労働者に対しても犠牲を強要してやっている事実がある。しかも、この前国会で私もやりましたけれども、北九州市立病院の給食委託問題については、そのときの約束では早急に公益法人にいたしますと言うけれども、一年たったいまもまだそのまま約束を果たしておらない。これは一連の先ほど前提に申しました地方公営企業ではない。ないけれども、独立採算を押しつけるための地元当局としてはやむを得ない措置を強要されておるという見方を私はしておるわけなんです。こういうものに対して自治省はどう指導してやったかということについては、われわれは聞いておらないのですが、その点どうですか。
  136. 佐々木喜久治

    ○説員員(佐々木喜久治君) 御指摘のように、現在地方団体経営する病院につきましては、いろいろな原因からその経営状況が悪くなった。これが病院の使命といたしておりますところの患者の医療の十分な確保が非常に困難になってきている面も少なからず生じておるということになっておるわけであります。私どもも、そういう意味におきまして、すでに自治体病院経営研究会というものを昭和四十三年に設置いたしまして、昨年の三月に経営に関する一応の報告書をちょうだいいたしまして、この経営研究会の報告書に基づきまして、現在、標準経営指数というようなものによりまして、経営の指標を作成する作業をいたしております。これによりまして病院の財政上あるいは人的構成上問題となります点を逐次明らかにしていって、必要な財政措置なりあるいはまた病院に対する指導というものを、各病院の規模別あるいは地域別の指導を行なってまいりたい、こういうことを考えておる次第でございます。
  137. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 抽象的でなくて、いま私から言った基準看護料に対する、それがあるにもかかわらず、重症患者にはまた個人で付き添いをつけよ、そういういろいろの事件を指摘したわけですが、それをその後、そういうものに対して、たとえば北九州市の市立病院に対するまかないの下請と申しますか、それらが当時問題になったんですが、その当時は公益法人では何もないんですね。それを無理に北九州市当局があれを請け負わさした。われわれは給食も医療の一環だと見ておるんですね。したがって、責任あるそういう法人なり団体がやるべきだ。それをただ経済面だけを見て、いわゆる独立採算制を、経営が成り立たぬというので、それを強要すること自体に私は問題があるということを主張してきたんですが、今日なおそれに対して政府はやっておらない。それについて、一体どういう経過になっているか。また、今後やる気持があるのかどうか。法律違反ということまで言わぬけれども、やはりそれに準じたようなことが白昼横行しておるんですから、その点実情は、どういうぐあいに指導をし、今後どうしていくか、公立病院に対するいわゆる姿勢ですね。先ほど冒頭に私が尋ねましたような地方公営企業でないということは、各地方団体住民に対するサービス行政であるこの基本的な考え方からいって、どういう指導をされておるか、この点をひとつ明らかにしてもらいたい。
  138. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 北九州の病院の給食問題について、私どももその経過をいま御指摘のように存じておるわけでありますけれども、私どもは委託先が別に公益法人でなければならないというふうには考えておらないわけでございます。どういう会社に、あるいはどういう法人に委託するのが最も能率的であり、かつ健全な食事が給食可能であるかということが問題であるというふうに考えておるわけでございます。当時公益法人にしたいという厚生省の御意向も私どもは間接に承わっておりますけれども、現在特に公益法人でなければ非常に病院の運営上問題になるというふうには考えておりません。むしろ、現在の委託によるところの給食が、病院の期待するような健全な方向での給食の仕事ができておるかどうかという点が問題であろうというふうに考えておるわけでございます。
  139. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは違うんですよ。当時これが非常に問題になりまして、これは大臣も明らかに公益法人にするという実は答弁をしておるんですね。厚生省と自治省が違うと言われましたが、私はどうも聞き入れられない。私は病院経営の基準は医療行政でありますから、厚生省のやっぱり基準に従わなくちゃならぬと思う。自治省は、病院の経営上、いわゆる公立病院でありますから、自治省が管轄するけれども、少なくとも医療の基準については、これは厚生省が権威ある基準を出しておるんだから、それに従わなければ、自治省がかってにやるんだ、私はこうはいかないと思うんですね。この点は、いま佐々木参事官ですか、言われましたけれども、これは大臣にひとつ、政府の問題ですから、厚生省がどう言おうともわれわれは経営がうまくいけばそれでいいんだ、こういう姿勢、態度は、単にこれは病院の問題だけじゃないんですよ、これについては納得しないですね。
  140. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) もちろんお話のとおりでございまして、病院の医療の体系なり、医療の基準につきまして、自治省としてそれがどうこうということはもちろんございませんし、当然にそれは医療内容、医療給付の内容の問題といたしましては、これはそういう措置に従って、これは自治体病院でありましょうとも、一般の病院でありましょうとも、同様にその基準を維持していくということは当然のことだと私も思っております。したがいまして、御指摘になりましたような問題について、いろいろないきさつを私どもも聞いておりますが、内容として、この医療の行為としての内容が十分に満足されていなければならぬということは、これはもう御指摘のとおりだと思っております。先ほど委託等の問題とか、いまの病院の給食の問題がございましたが、これらにつきまして法律的にどうこうということではございませんと私どもは思っておりまして、その内容としては、やはり守られなければならない医療の水準というものにつきましては当然に維持されていなければならないというふうに思います。  それから個々の問題で、そのために独立採算の問題と、いわゆる一般会計における負担の問題、経営改善の問題については、一般論はともあれといたしまして、個々具体的に、事情によりまして、私どももこれから個々の病院の経営実態に即したようなひとつ指導なり助言なりというものを措置をしていきたい、こう思います。現実に一般にすべて——大体のところは行なっておると思いますけれども、正直言いまして、病院事業につきましてはやはり一番問題がいろいろと多いものの一つだと思っております。これは、公立医療機関の置かれておりますところの、先ほど来申し上げております内外の条件というものが非常にいろいろ複雑でありまして、なおなお解決しなければならない問題をたくさんかかえているという現状でございますから、その点で、いま現実の職員の配置、あるいはそれに応ずるところの給付というものがなお要望されている線から考えて十分でないというような点が全然ないとは言い切れないと思いますけれども、いずれにしてもしかし最低の要求されたものはこれはぜひ実現していかなければならない、こういう態度で現実の問題にも対処してまいりたいと思っております。
  141. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 財政局長そう言われますが、だんだんと病院の経営というものがやはり、独立採算制といいますか、そういう企業体の傾向をとっていこうというのが強くなってきている。そういうことが私はありますので、きょう特にこの質問をした。三十九年にやったときには、まだ独立採算制にしようというような意向が出てきた当時であるので、まだそこまで行ってなかった。その後だんだん強くなって——これは地方の実態ですよ。幾ら説明されても、実態というものは否定できない。したがって、こういう議論をしておっても前に進みませんから、先ほど申しましたような看護基準制と、それから下請問題について、今後自治省としては、いま財政局長が個々の問題、個個のケースとして指導していくと言われますが、こういうものは公立病院の本来の姿に返すような考え方で指導してもらえるかどうか、この点をひとつ聞いておきたい。
  142. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) もちろん、公立医療機関としての働き、内容にふさわしい、現実の経営がふさわしいものになるような形で、私どもは指導につとめてまいりたいと考えます。
  143. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは次に、これは問題になりました看護婦さんの問題ですがね。昨年六月十日に参議院社労委員会における看護職員の不足対策に関する決議は、御存じのとおりであります。そのとき斎藤厚生大臣は、決議の実現することを国民に約束します、こういうふうに答弁されておるのですが、この決議を受けて自治省では、複数八日夜勤についての指導を現実にどうされておるか。
  144. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 現在自治体の病院におきます看護婦の充足は非常に問題のところでございます。特に昭和四十年の人事院判定によりますところのいわゆる二・八制問題というものも含めまして、看護婦の勤務条件の改善ということは、今後の医療内容の向上に連なるものでありますので、その判定を尊重いたしまして、看護単位の適正化、あるいは交代制の合理化というものにつきまして、実情に即しながら指導を進めてまいりたい、かように考えておるわけでありまして、個々の病院におきましては、その経営状況並びに看護婦の需給状況というものを考慮しながらその充足を進めておるわけでございまして、次第にこのいわゆる二・八制の採用というものが各病院について進行しておるというふうに考えております。
  145. 和田静夫

    和田静夫君 いまの前の財政局長の答弁で、言ってみれば自治体病院本来の姿に向かって改善努力をする。そのときに給食なんかの下請、請負などの問題を含んでどうしても疑問に思うのは、医療法の第十五条です。この医療法の第十五条というのは、病院や診療所の管理者というのは、医師や薬剤師などを含むもの、その他の従業者を監督しなければならぬことになっております。「その他の従業者」とは、言ってみれば給食などに従事する方々を含むけれども、それを監督をして、その業務の遂行に欠けることのないような努力をしなければならない、これは医療法十五条であります。これは、たとえば北九州の病院などで起こった事態というのは、この条文に言ってみれば欠ける、抵触をする、こういう状態に一面なっていますし、片一方では、下請などの業務、そういう労務を提供するところの事業を行なう者は、これはその条件としては、その従業員をこれまた監督をしなければならぬことになっています。そういう関連における、言ってみれば自治体病院における医療法に違反をする事態というものが起こっている。そういう点は十分に検討してもらわなければなりませんが、どのように考えていらっしゃいますか。
  146. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 医療法に違反をするというようなお話でございましたが、私はやはり、医療法に抵触するような経営なり管理なりということは、これはもしそういうことでございますならば、それは一刻たりともそういう経営というものは私は許されないことではないかと思うのでありまして、そういう意味では、現在いろんな病院での経営が公立病院についてもあると思いますけれども、これが少なくとも最低限医療法なりその他で要求されておりますところの内容は、これは当然維持しているものと私どもは思っておりますが、個々の問題につきまして、あるいはそのときそのときには、医師の充足に非常に困難を感じておりましたり、あるいは看護婦その他のものの配置が十分でないというような実態があるかもしれませんが、その場合には、むしろ経営が、通常の規模での経営というものは残念ながら一時的には制限をされなきゃならないので、そういうような不足な上でなお経営をするということは、これは公立医療機関でありまするだけによけい注意をしなきゃならないことではなかろうかと考えます。そういうことにつきましては、私はそういうことはないと思いますけれども、なお今後一そうそういう面につきましての、何と申しますか、経営内容充実ということについては、一そう私どももひとつ十分注意をしてまいりたいと思います。
  147. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは、参事官、六月十日のいわゆる参議院社労委における決議、これを受けて斎藤厚生大臣がその約束を守りましょうということで指導していると言われましたが、具体的にどうですか、この二・八制が全国どういう状況で——進行していると言われますが、具体的にどういう状態になっておるか、この機会にちょっと知らしていただきたい。
  148. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 私どもが調査したところでは、これは昨年の暮れ現在でありますけれども、二・八制を実施している病院数が七十七というふうに報告を受けております。なお、現在この二・八制に移行を準備している病院というものは、おそらく百以上の病院がそのほかにあるだろうというふうに推定いたしております。
  149. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この七十七は公立病院ですか。これは府県・市町村立の何%ぐらいになりますか。
  150. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) まだ一割弱でございます。
  151. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはあなた言われなかったと思いますけれども、まあ努力されているということは厚生省を通じても聞いておるのですが、なかなかやはり財政面が問題があるやに聞いておるのですね、結局は。看護婦さんが非常に不足だといわれておるのですが、やはりその陰には、公立病院の看護婦さんの給与、待遇というものが問題になっておる。したがって、やはりこういうことから見ても、冒頭に申しましたように、相当財政上の問題、したがって、いま自治省が、いや独立採算ではやっておらない、相当一般会計の繰り出しも認めておるのだと言うが、一般会計自体もそんなに裕福ではない。結局、この会計というものは、進行しておるというのだから、また次の来年の国会まで私は見ますけれども、よほど努力しなければなかなかこれは五〇%まで進むのは本年度では私は無理でないかと思うのですがね。したがって、自治省としては、せめて四十五年度にはどの程度まで——私はまあ一〇〇%四十五年度全部やっていただきたいと思うのだが、せめてはどこまで努力目標として考えられておるかということぐらいはちょっと聞かしていただきたい。
  152. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 確かに、御指摘のように、現在病院事業財政事情は非常に悪くなっておるわけでございまして、それは先ほどから財政局長答弁申し上げましたように、診療報酬単価の問題、さらには医師不足の問題というようなものから、現在相当病院事業のさらに悪化の傾向が見られるわけでございます。その辺のことがやはりこうした面でのブレーキになっているという点も考えられるわけでありまして、私どもも積極的に財政計画上も、さらに四十五年度におきましては、一般会計との負担区分からくるところの、一般会計からの病院事業会計に対する繰り出し金の計上をやっておりますが、そういう措置を通じましてできる限り病院事業経営の困難性を解消してまいりたいと、こういうつもりでおります。そういう意味におきまして、こうした新しい看護体制の整備というものが進められていくであろうということは想定いたしておりますけれども年度内に一体何%目標にするかという点になりますと、ちょっとここで御答弁申し上げるような状況まで至っておらないということでございます。
  153. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは大臣も聞いていただきたいのですが、四十三年度の決算概況、これは自治省が出されておられますけれども、自治体病院の赤字団体が五〇%以上上回っておりますね。その原因は、先ほど言われましたように、医療費の問題もあるでしょう、いろいろ問題ありましょうけれども、やはり政府が公立病院にどれだけ力を入れるかという問題だと思う。なべて申しますと、国立病院は国が責任だということで相当最近力を入れておるようでありますが、公立病院は非常に冷淡でないかと思うのですね。おのおの県なり市なり町村にまかせきりで、地方財政計画を見ても、そんなに大きい病院に対する繰り出しというものを考えておらない。これはいま佐々木参事官が、本年の解決目標としてどうこうと一これは言えないと思うのですね。私は四十五年度というのは地方の地域的なもので進まないのじゃないかという心配があるので聞いたわけなのですが、一体公立病院に対する、政府がどう考えているかということですね、冒頭で私は言いまして、財政局でも答弁されましたけれども、単にこれは不要だと、もうからなければ——もうかるということは悪いですが、独立採算でいかなければかってにしろ、こういう考え方で公立病院を指導されては、これは各地方団体はたまったものではないと思います。この財政のいまの四十三年度の概況から見て、本年度はある程度−ある程度じゃない、大体地方財政計画きまったのですがね、この問題についてどう指導しようと思っておるか。たとえば地方公営企業法第十七条の負担区分がありますね、この運用、指導、通達で示す基準の変更がどうかということについてもっと積極的に考え自治省の姿勢があるかないかということをまず聞いておきたいと思います。
  154. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 今後自治体病院の配置あるいはその規模のあり方というものをどういうふうに考えていくかということがまず問題になると思うのでありますが、昨年報告のありました自治体病院経営研究会の報告書によりますと、自治体病院のいわば組織というものにつきましては、都道府県の中央にあります中央病院、それから地域の中核病院、それから医療の非常に不足をしておりますいわば不採算地域におきますところの病院と、その末端としての診療所というものと、そのほかに行政病院としての特殊病院——結核療養所でありますとか、精神病院でありますとか、あるいは成人病センターといったようなものとの適切な組み合わせというものを当然考えた病院の配置というものが行なわれなければならないだろうというふうに考えるわけであります。もちろん、現在の医療制度というものは、一般の開業医なりあるいは医療法人の現在の存在の状況というものと十分調整されなければならないわけでありますけれども、自治体病院のそれぞれの病院の機能の上に立って、そうした地方団体における医療というものが、住民に対する医療給付というものが行ない得るような配置体制を整えていかなければならないというふうに考えているわけであります。また、それに対しまして、それぞれの病院のいわば機能というものを十分考えたところの財政措置というものは当然にこれは必要になってくるわけでありまして、たとえば中央病院におきましては、一般の開業医なり医療機関なりに期待できませんところの高度医療でありますとかあるいは特殊医療というものを期待をいたしまして、それに対しましてはどうしても一般会計からの財政負担というものは、そういう面については当然これは考えてやらなければならないでありましょうし、また不採算地域の病院につきましては、通常の私的病院であります場合には開業のできないような地域における病院になるわけでありますから、当然そういう病院につきましては、その地域の特殊事情に応じたところの財政負担というものは見てやらなければならないわけでありまして、それぞれの病院の機能の上に立った財政措置というものを十分考慮しながら、それぞれの自治体病院の持つ機能とのにらみ合わせにおいて財政措置考えていく必要があるであろうというふうに考えております。
  155. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣、いま参事官は非常にいいことを言っておるのですが、そのことばだけを聞いてみると、私は非常に希望の持てる答弁だと思うが、実態はなかなかそういかない、これも認識しておかなければならぬと思うのです。それは国会だから答弁だけしておけばそれでいいという——おそらく秋田自治大臣はそういう趣旨でないということは、私は就任あいさつの冒頭に聞いております。しかし現実は、なかなかこの病院問題の解決はむずかしい。私も長いことこの問題を取り扱っておりますが、なかなかむずかしい。ただ趣旨はわかるのです。皆さんの言われる趣旨はわかるが、じゃ現実はどうするかということになると、最後は金の問題になってしまう。ところが、各県なり市の病院関係当局に会うと、なかなかそうはいかない。結局、金がないから、その従業員にしわ寄せするとか、市民、住民にしわ寄せするという結果が出てくるのですね。したがって、これはやはりどうしても解決しなければならぬ問題ですが、遅々として進まない。そこで、厚生省は厚生省で別な見解をわれわれに言うんですが、結局金の問題だから自治省だと。自治省だというと、財政局長になってきますね。ところが、財政局長もそうかってにはできないのだと、この問題について。で、今後、いま参事官が言われたような方向に進むと思いますが、しからば具体的に聞きますけれども、四十五年度にそういう趣旨によって公立病院についてどういう手を打ったか。もちろん地方交付税の基準財政需要額に若干盛っておることもありますが、具体的に地方交付税法の改正によって何億、どの程度、その他の問題で、起債なりそういうことでどれだけ公立病院にてこ入れしたか、四十五年度を数字でひとつ聞かしてもらいたい。   〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕
  156. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) まず地方財政計画の上におきまして、昭和四十五年度におきまして二百二十六億円を計上しておるわけであります。そのうちおもなものについて申し上げますと、病院の建設改良並びに企業債の元利償還金、いわば資本投資部分につきましては百六十億でございます。それから僻地病院の関係につきまして約二十七億、それから看護婦養成所の施設につきまして九億、それから付属診療所、救急病院、あるいは結核、精神、そういうようなものにつきまして約二十億、その他衛生行政面なり特殊医療を含めまして約十三億というような数字でございます。この病院につきましては、配置関係が非常に片寄る傾向がございますので、普通交付税の算定におきましては、府県分の看護婦養成所に対する分約四億を普通交付税では措置したわけでありますけれども、残余の部分につきましては特別交付税をもって措置する以外に方法はないだろうというふうに考えておるわけであります。それから起債の面につきましては、四十五年度二百五十億というものを予定いたしております。
  157. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 特交で措置をされるというのですがね、それは特交はいつごろ各地方団体にその金が行き渡ることになりますか。
  158. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 特別交付税制度に従いまして、いわば年度末近い二月末ということになるわけでございます。
  159. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、それはまあ本年度の——四十五年度事業に間に合わぬのですね。そうすると問題は、四十五年度に現実に手につけられる金というのは四十四年度の問題になるのですか。四十四年度の本年繰り出してきますね、それはどういう状態になりますか。
  160. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 特別交付税におきます財政措置の問題につきましては、たとえば昭和四十四年度——昨年の場合におきましても、地方公営企業一般会計との負担区分に応ずるところの繰り出し金につきましての通達を出しております。これの通達によりまして、病院事業の場合におきましては、たとえば病院の建設改良に要する経費ということで、一般会計からの繰り出しの基準というものは、病院の建設改良費の二分の一に相当する額の企業債の元利償還というものを、一応繰り出し基準というものを示しておるわけです。こうした繰り出し基準の内容に従いまして、それぞれの地方団体におきましては一般会計からの繰り出しを実施しているというふうに考えています。現実に決算の状況を見ましても、大体その程度あるいはそれをやや上回る程度の繰り出し金が出されておるわけです。そういうものにつきまして、こうした通達の取り扱いの方針に従いまして、個々の地方団体財政状況を見まして、特別交付税において措置いたしておるわけであります。
  161. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、現実に特別地方交付税——普通地方交付税はもちろんのこと一般財源ですね、その場合に、この病院に対する措置をされても、地方団体によっては一般財源だから他に使うこともできますね。もしそういう場合には、どういうきめ手がありますか。政府としては、これは一般財源だから、そういう積算の基礎として、病院関係の財源として基準財政需要額で見たけれども、特別交付税で見たけれども地方団体ではこれは病院に使うことはしないのだ、ほかのものに使うということはあり得ると思うのです。ないというならないではっきり言ってもらって、私は証拠を出しますけれどもね。その場合、どういう自治省は手を打つかということですね。
  162. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) その点は、特別交付税の性格の問題から出てくる問題でございますけれども、一応特別交付税の算定におきまして、一定の財政需要を見積りましても、地方団体判断によりましてこれが見積られた財政需要以外の経費に充当されるということはやむを得ないところでございます。これは交付税制度の本来の性格からきているところです。ただ、昨年の通達におきましても、こうした繰り出し基準に従って一般会計から特別会計に繰り出しを行なった場合においては地方交付税において措置をするということを明確に示しまして、各県に通達をしておるわけでございます。したがいまして、地方団体全体として見ますというと、病院事業に対します繰り入れ額というものは私ども財政計画で見込んでおります数字を上回っております。しかしながら、個個の団体になってまいりますというと、必ずしもそれがぴたりいってるかどうかという点は保証ができない、その辺は非常にむずかしいところだと思うんです。
  163. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 全体としては上回ってるというのは、まあ大都市か、あるいはまた財政が——豊かでないけれどもね、そういう地方団体は、やはり住民の要望、希望、要請を受けてやってることは事実です。いま問題になるのは、財政が豊かでないと言うとことばは悪いんですが、融通のつかぬというところが大きい問題になるわけですね。それについては、それは交付税の性格私は知らぬわけでないからこういう質問しとるんですがね、何か別途、そういう病院の経営については、地方交付税のような形でなくして、別途財源を見るというような方法は考えられないものかどうか、これは私いつもこう考えとるんですが、こういう問題についてどう考えておられますか。
  164. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 昨年の場合におきましても、繰り出し基準というものを明確に通達いたしまして、その考え方を示しますと同時に、特別交付税の省令におきましてもその積算基礎を明確にその内容を示しておるわけであります。そういうものの理解を得て、各地方団体が病院事業に対する財政措置を十分し得るようなことを期待をしておるわけであります。これ以上強制的にするということになりますと、結局は補助制度以外には方法はないのではないだろうかという感じがいたします。
  165. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 地方交付税としてはまあそういうことですが、補助制度といいますか、何か地方財政計画で新たに土地の先行取得する場合の基準をつくりましたね。そういう方向で私は地方財源をそこにそのままとっていけということはどうかと思いますがね。病院事業の拡充じゃなしに、一つの病院のいま困っておる、しかも住民が非常にこの公立病院に期待をかけてる実情から、その別途基金制度運営するという方法、まあこれは私の意見ですからそのとおりはどうかと思いますが、そういう方向でやるということも一案だと私は思うんですがね、その点はどう思われますか。
  166. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 確かに一つの御提案だろうと思います。ただ、現在土地開発基金についても、交付税において措置はしたわけでありますけれども、あれによって関係の地方団体が必ず基金を設置しなければならないというふうに強制されてるものではございません。その点はもう十分御承知のとおりでございます。したがいまして、結局現在の医療需要というものについて、それぞれの地方団体が十分な理解と、さらには私ども考えております財政措置というものを十分理解をしていただいて、そうした必要な財源措置をとるということになるよりほかないのじゃないだろうか、こういう感じがいたします。
  167. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなた開発基金のことを言われましたがね、これはまあ病院の問題関係ないんですがね、基金の問題。政府はそういう考え方でおるということになると、またこれ混乱するんですよ、実は。あの開発基金を受けられるところと受けられないところに大きい問題があるんですね。そういう、まあ原則としてはほかに流用しないというたてまえであれはつくってるんですね、によって。それはどこへ使ってもいいのだと、こういうことを言われるけれども、それは参事官答弁としてはどうかと思いますね。そういう考え方でそういう方針を出したら、地方団体間で問題を起こしますよ。しかし、性格はそうなんですよ、地方交付税財源ですからね。それはそれ以外に使ってもいいということは、それは言えるけれども、やっぱり方針は方針として、そういう考え方で政府はやらなければ、下部ではもらった以上どこへ使ってもいいのだ、こういう説明は私はどうかと思うのですがね。
  168. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) ちょっと私御質問の趣旨を取り違えたかもしれませんが、ああいう開発基金のようなものをつくったらどうだろうかというふうに受け取ったものですから、そういうふうにお答えしたわけであります。ただ、現在病院について何とかこの交付税措置というものを、どちらかというと特別交付税措置ではなしに、むしろ普通交付税措置でやったほうが適当ないわば行政経費であろうと考えられるわけでありますが、現実問題としましてどの地方団体にも大体同じような程度に病院というものは設置されているという状況にないものですから、その点で非常に交付税の計算上は技術的に困難さを私ども感じているわけであります。したがいまして、ほかの通達の措置なりあるいは省令の算定基準の明確化等によりまして、できるだけその財政措置内容を市町村にも十分徹底させることによって、必要な財源措置を講じてもらいたい、私はそういうふうに希望しているわけでございます。
  169. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、病院に対して自治省がいかに指導が足りないか——指導じゃない、関心が足りないかを一つの例をもって言いますと、財政局長もちょっと個人的に話したことがありますが、長崎県の江迎町ですか、町立病院が設立されているのですが、その中身は町立ではないんですね。建物はちゃんと建てたけれども、条例をつくっちゃって、個人の開業医にそれを委託して、中身は私の病院なんだな。病院は町立病院だ。その事情を聞いてみると、町立では経営できない、したがって建物を起債で借金して、起債で建物を建てて、その起債の元利は償還をする、そして中身は開業医にやらせる、それで町立病院だ、こういうことで、住民に、何ていいますか、擬装をしている。これは公立病院の性格からいって許すべきでないと思うのですが、この点についてお調べになったと思うのですが、実情はどうなんですか。
  170. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) ただいまお話しの病院は、長崎県の北松浦郡江迎町の町立病院の問題であろうというふうに考えます。この病院は、昭和二十五年に開設されました一般病院でございまして、救急病院の指定を受けておるのでございます。この病院で結局問題が生じましたのは、その病院の医師の確保が困難であるというところから、この片方におきましては医者の確保がむずかしい、しかしながら町民に対する医療というものは十分確保してやらなければならない、こういうものからせっぱ詰まったという関係でこの委託方式というものを考え出したのではないだろうかというような感じがいたしております。それで、その委託の経過におきまして、当初委託先を医療法人に委託をするということにいたしまして契約をいたしたのでありますけれども、その後におきましてその医療法人の代表者に不都合な点があるというようなことが判明いたしまして、今年の四月に、委託先を郡の医師会と契約をいたしまして、医療を継続をするという措置をとったわけであります。そうした関係で、この経営の委託に伴いまして、職員との間に若干のトラブルが起きたわけでありますが、現在は、職員のうち数名が町の町長部局のほうに配置転換をし、医療関係者は町職員から退職をいたしまして、医師会の職員になりまして、病院の経営をしておるというような状況になっておるわけであります。  この病院の問題を含めまして、確かに現在、自治体の病院を見ます場合には、医師の確保という点が非常な困難を生じてまいっておりまして、特に地方の町村におきます医師確保問題は病院経営上の最大の問題になっておりまして、こういう事例が今後他の地域で問題にならないかということになりますと、あるいは今後こういうような事態が起こらないとも限らないというような感じが私どもいたしておるわけであります。特に最近の傾向としまして、再建団体等におきまして、その再建計画が予定どおりいかないというような事例も見受けられるのでありますが、その原因は、ほとんど全部が医師確保に非常に困難を来たしておる、こういうことになっておるのでございます。
  171. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 やむを得ないとして認める考えでおられるのですか。
  172. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 法律上の問題から見ますならば、病院の経営の委託ということは可能でありますけれども、実際問題として、自治体が病院を直接に経営をし、必要な医療需要をまかなっていくということは、当然これは望ましいことであります。こうした委託の問題等というものは、全く例外的なものとして受け取っていきたいと思っているわけでございます。
  173. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その例外が、例外でなく、普遍的な問題にならぬとも限らないような状態が私は来ると思うのですよ。先ほど冒頭に言いましたけれども、給食関係の民間委託もわれわれは問題がある。それをひっくるめて、院長からすべて、町立病院の職員でも何でもない開業医がやっている。その場合に、条例上、医療上の責任は町長に私はあると思うのですがね。その見解はどうですか。
  174. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) この場合の病院の開設者は町でございますから、そうした病院の経営上の問題は、すべてこれは町の責任になるであろうというふうに考えております。
  175. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうなると、合わないのですよ。職員は町長の管轄下におらないのですね。すべて委託をしたお医者さんのいわゆる指揮下にあるのですね。責任を持つといえども、働いている人に対して何ら指揮権のない人が、ただ委託契約だけで責任を持つといったって、それは言うだけであって、町民を、住民を私は欺瞞した行為であると見ている。この問題は、法律上はいろいろと難くせをつけて条例をつくってやっておりますがね。公立病院の性格からいって、設立者の町長がその管理もせずに、お医者さんはじめ全部を委託して、そして町長が責任を持てといったって、どうして一体持てるのですか、私は持てないと思います。
  176. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) この場合には、病院の開設者は町になっておるわけでありますから、結局町が開設者としての責任を持たざるを得ないだろう。ただ、委託契約の内容によりまして、その診療上の問題についてはそれぞれの医療担当者が責任を持つということになってくるであろうと思うわけでありますが、町民に対して、その病院経営上の問題につきましては、町が責任を負わざるを得ないであろうというふうに考えるわけであります。
  177. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣、これお聞きになって、ぼくは法律上いろいろ研究してやられたと思いますけれどもね、これは行政訴訟まで行っておりませんがね、いま言われたように、医療上の責任は院長が持っておりましてね、医療上問題があれば、それは町は関係ないのだと、設立上の責任はあるけれども医療上の責任はそのお医者さんにあるのだというのですね。私はそんな公立病院はあり得ないと見ているのですよ。公立病院において問題が起これば、もちろん、その診療に対するいろいろな違反とかあるいはまた何かあれば、それは医師法においても、その他においても、個人的に法律はありますけれども、私が言っているのは、医療上の責任というのは、やっぱり町立病院では町長が持たなくちゃいかぬ。そうでなければ、公立病院の必要ないですよ。もう開業医のような形にしてしまったらいいと思うのですね。それを、いま参事官はどういうつもりで言われておるか知りませんけれども、きょうは厚生省呼んでおりませんけれども、私はこれは大きい問題があると思うのです。したがって、医療上についてはもう町は知らないのだ、しかも町立病院という看板を上げておるのですよ。そういう形態というものは、私は全国どこにも見当たらぬ。まあほかにもあるかもしれませんが、そういうものを、自治省が、特例中の特例だからといって認めるという考え方については、私はこれは異議があると思うのですがね。そういう点についてどう思われますか、大臣。
  178. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 私としては初めて伺った問題でございまして、したがって、個人的見解たるを厳格な意味において免れません。ただいまの問題については、町立病院である以上は、やっぱり医療に関しては町が責任があろうかと思います。同時に、契約に基づくところの責任は医師にももちろんあろうかと思います。しかし、対外的には、町立病院である限りにおいては、町の責任であろうかと思います。しこうして、そういう病院を自治省は認めていくのかといいますと、これは例外中の例外として、万やむを得ず現在それがあるのでございましょうけれども、十分内容を検討して、同時に、なるべくそういう形はないほうが望ましいのでございまして、医師確保上の必要性から万やむを得ず出たものではありましょうが、その点検討をいたしまして、なるべく、こういうことの普及ということはもちろん望ましくありませんから、はやらないように措置をとりたいと考えます。
  179. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、最後に、先ほどから私が質問した中で、一応、公約というわけではないですが、答弁という形で言われましたのを復習しておきますが、まず、公立病院は地方公営企業でない、したがってその財政について十分自治省としても考えていかなくちゃならぬ、特に看護基準その他において違反のあるような病院についてはそれをなくすように指導する、特に看護婦の二・八制についてはまだ一〇%程度しかそれがやられておらないけれども、五〇%、一〇〇%ということは約束できないけれども、この四十五年度にはそれを推進するように自治省は指導していくと、こういう御答弁があったと思うんですが、それは確認してもらいたい。で、私も公立病院についてはもう戦前からいろいろ主張してきたものであります。財政局長も私の言うことにはほぼ賛成だというところもあると思うんですが、公立病院、これは私は大阪でありますが、市立病院をつくるときも非常に問題があったわけでありますが、これは開業医との関係もたくさんありますが、公立というのはやはり住民の保健衛生ですか、生命を守るという公的使命があるんだということから、市立病院を相当強行してつくった例も私は聞いております。経験もしております。いま実は時代が変わりまして、開業医が非常に力を持ってきました。公立病院の病床にまで実は干渉してくるという時代になったわけなんですね。私は特に自治大臣に、閣僚として、きょう厚生大臣がどうしても社労委員会で来られぬということで呼ばなかったわけですが、私は社会労働委員長のときも相当個人的にも厚生大臣に話したわけですが、いまの日本の医療制度ほど混乱しておるものはないと思います。投資環境を見ましても、大都会に偏重して、しかも公立病院はちょっとよけいものだ、開業医が中心で、しかも、いなかのほうへ行くと国民健康保険があっても、法律があっても、医療機関に恵まれないからかかれないという実情もある状態ですね。これは政府の大きな責任だと思う。きょうは公立病院だけを取り上げましたけれども、これは医療制度全般について考えなければ基本的な解決はできない。最後の江迎町の問題も、これも何でしょう、医師会からの医者は派遣できない、だからかってにやりなさい、できないから、町長がひざを屈してしまって、医師会に頭を下げて何とかしてくださいということで、ああいう形態になったということを私は聞いておるんです。したがって、公立病院というものは非常に影が薄くなっている。しかも、住民は公立病院に対して非常に信頼感と社会的使命を持っているということを認識している。実情はそうなっているわけですね。したがって、私は先ほどから約一時間半余り質問いたしましたけれども、約束されたことは自治省もその意をくんで、公立病院がいかに住民に果たしでいる役割りが大きいかということを認識されまして、今後ひとつ財政的にも十分な援助なり、指導をしてもらいたいということを希望として申し上げますが、大臣の所信だけ聞いて、私、質問を終わりたいと思います。
  180. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 公立病院のあり方につきましては、当然、公立病院の使命を達成すべく、われわれとしては今後これが適当な育成に努力していかなければならない。しこうして、私的な診療所との関係につきましては、これはやはり適当な調和、調整というものも必要であって、おのおの使命があろうかと思います。片一方だけでいいというものでもない。しこうして、その調和の上に立ちまして公的病院の使命、ことに自治体病院の使命につきましては、当然使命を達成できるように自治省としても考慮しなければならないことば当然であります。しかし、これには財政上の問題、あるいは配置上の問題等幾多社会的な問題もあるし、財政上の問題もあるわけでありますが、財政上の許す範囲におきまして、できるだけの措置をとるべきでございまして、この点につきましては先生からいろいろ示唆がある御発言もありまして、基金等の案についても御意見がありました。いろいろ考えさせられる問題でございます。形式的には土地基金等と同じような性格を持つかもしらぬが、そういうものをやるという熱意を示すことによりまして、また実質的に事態が変わってくるという点も十分考慮されるものであります。こういう御趣旨を十分尊重いたしまして検討してまいりたいと思います。もちろん、これにつきましては厚生省その他関係省とも十分連絡をとりましてやらなければなりませんが、ひとつ前向きに考慮してまいりたいと思います。
  181. 千葉千代世

    千葉千代世君 関連質問です。いま山本委員から公立病院の問題について詳しく質問されましたけれども、これはやはり再三述べられたように、単に公立病院だけの問題ではなくて、日本の医療全体に非常な影響があるということをしみじみ感じたのでございます。身近な例で申しますと、教員の場合ですというと東京に三楽病院というのがあります。そこに働いていらっしゃる医療従業員の方々、お医者さんあるいはレントゲン技師の方方、事務職員方々、あるいは看護婦さんを含めて、これは都労連と申しまして都に働く皆さんのボーナスその他の勤務条件等の妥結によって、それにならって待遇が改善されていくというようないままでの慣行になっているわけです。具体的にはボーナス等が幾らときまりますと、それが同じようにすぐ一緒になるわけなんです。そういうわけで、公立病院の従業員の方々の待遇がよくなれば当然そこに影響がくるというようなことで、たいへんみんな一生懸命になっているのですね。これは待遇の問題ですけれども、しかし、一つの例ですけれども、そのほか関東中央病院であれ、いろいろなところに相当波及してくる。例に言われることは都立の病院でもこうだからとか、地方に行きますと、公立の病院でもこうだからと、こう言う。いいところのことはまねないで悪いことばかりそれにいくということが多いということ、それから国立の病院でも、これは社労のほうでもずいぶん詳しく述べられておりますが、私も現にきょう、午前中にお茶の水の東京医科歯科大学の耳鼻科にちょっと行ってきたんですけれども、ここがちょっと悪いので行ってきましたら、はっきりと書いてあるんですね、当病院は無給の医局員の診療を拒否しますと。それで有給の医局員だけで診療いたしますので、新来患者、新しい患者の受付は一日五名以内に限りますと、こういうふうに書いてあります。きちっともう書かれてあるわけなんです。そうしますと、あれだけの病院であって、一日の新患が五名、これは耳鼻科ですけれどもね、五名ということに制限されるわけです。それで、あそこにいらっしゃっておる方々は、たいへん遠くからいらっしゃるわけなんです。そうして一生懸命来まして、見ると、そういうことになっておる。それで、いろいろ聞いてみますというと、これはまあ無給の医局員の問題はもうきょうはやめますけれども、これは医学全体の問題、文部省、厚生省その他いろいろの問題で、無給の医局員の廃止ということでもって一生懸命改善努力しておるけれども、これも道が遠いという中におります。ですから、これは一つの問題ではなくて全体の影響の中で、それから看護婦の問題についても、いま全国の看護婦さんの代表の方々が連日陳情に来ていらっしゃるわけなんですね、看護制度の問題、待遇改善の問題としていらっしゃるわけなんですが、やっぱり待遇をよくしていかないことには、どんなにうまいこと言われても、これは現実の問題として困るんではないかということ、それから住居の問題、あるいは既婚の方々に対する問題、保育所の問題等がからんでくると思うわけです。話がちょっとそれますけれども、この間、私は交通対策特別委員会で、日本航空における従業員の方々の通勤状態、あるいは住宅環境について質問しましたらば、大体九〇%の住宅を会社へ通うのに至近距離に確保してあるということを言われたわけです。あそこは航空関係という特殊なものかもしれませんけれども、やはりそういう配慮と相まって、そうして完全な航空の業務が遂行されるということをしみじみ感じたわけです。しかし、それでも足りない。それで、夜は寝るについて仮眠の時間を設けてほしい。しかし、実際は設けられても忙しくて交代人数が少なければ寝られないから、仮眠時間を法制化してほしいという要求が出ているわけです。これは話が少し飛びましたけれども、看護婦さんの休養時間にしましても、やはり三交代制とか、そういう問題をきちっと出されておっても、現実に人が少なければ休むことができないわけですね。そういう意味で山本委員質問に付加して、そうして早急な改善策について、単に厚生行政という面ではなくて、自治省の管轄下ですから、特に公立病院については特段の御配慮をお願いして、私の要望としておきます。
  182. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) ただいまの先生からの問題は、公立病院にも関連をいたすと同時に、厚生省の医療行政全般にも関係しておる問題で、ことに後者のほうに多くのウエートがあろうかと思いますが、私も国務大臣といたしまして、看護婦さんを中心とする医療職員の待遇改善の問題は、医療問題の多くの問題の根本にある大きな、重要な問題であろうと存じます。閣議におきましてもしばしば問題になっておるのでございますので、この点については何とか抜本的な対策を、待遇の点、その他看護婦さんの供給に関する面、あるいはこれらの方に準ずる医療職員の量の問題、積極的に措置をしなければいけないと考えております。できるだけのことをいたしたいと、国務大臣として考えておりますことをお答え申し上げます。
  183. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 地方財政計画につきまして二、三御質問申し上げたいと思います。  まず、地方行政水準が非常に高くなっておる。また、地方財政が好転したというようなことが新聞その他に出ておりますし、また、現実にも政府、大蔵省関係、あるいはまた財界方面でも言われておるわけでございますけれども、これの傾向についてどういうふうにお考えになっていますか、お伺いしたいと思います。
  184. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 一般的に地方財政好転論が一部で言われておりますが、しかしながら、関連して考えられることは、地方の行政水準がいまだ高くない。ことに地方の社会資本充実の面においてはたいへんおくれておる。ことに欧米の地方の実情と比較しておくれておるという点を考えますというと、いわゆる好転論は当たらない。しこうして、地方行政の水準はわが国においていまだ低いところがあるのであって、これが改善については地方自治団体はもちろんのこと、自治省も大いに努力しなければならない、こう考えております。しこうして、その蒙を開くためにもわれわれは努力をしなければならないと考えております。
  185. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 地方財政が非常に好転したということ、まあ大臣は一部のと言われましたけれども、結局は一部といいますか、ある相当大きな広い部分の人がそのような考えを持っているかのように私は印象づけられております。これは、やはり地方財政が楽だというふうに言われることは、それだけその実情を国民が知らないということにも帰着するんじゃないかと思います。したがいまして、この地方財政計画などにおきましても、行政水準がいかに低いのかということを、もう少し思い切った——宣伝というのじゃございませんが、実情をマスコミ等を通じ、また機会あるごとに自治省として広めて、そして理解を深めていく、それが必要じゃないかと思いますが、それにつきましても、この地方財政計画で年次計画——年々にこれをどういうふうに達成していくかということのビジョンをつくって、それを国民に広く知らしていくということがいいのじゃないかと思うわけですが、その辺についてどういうふうにお考えですか。
  186. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 確かに先生がおっしゃるとおりだろうと思います。国民一般に、地方のいろいろ社会資本の水準、充実の度合い等につきましては、必ずしも的確な意識をお持ちでない向きも多かろうかと思います。その点につきましては、ただいまも申し上げましたとおり、啓蒙についてわれわれにも責任の一端があろうと存じます。この啓蒙する場合には、地方の行政水準、あるいは地方の社会資本充実の度合い、これを他の国家的な問題、あるいは個人的な問題等々と比較してPRをする必要もあろうかと思います。それにはやはり根本的に地方の行財政一般水準に関する的確な情報に基づく総合的な、しかも、長期視野に立つビジョンの確立が必要なのでございまして、それに基づいて、年次計画を立て、それに比較して現在の地方財源状況を述べることによりまして、世間一般に明確な知識を得ていただくし、またPRをするということが必要かと思いますので、長期的視野に立ちます計画的な政策の立案ということを今後真剣に考慮して、一ぺんにはりっぱなものはできませんが、だんだん悪いところを直していくというような考え方にも立ちながら、まず実行に移して、初めは多少粗笨なものであっても、そういう方法をとりながら実行に移して計画を立て、それに基づいてひとつ世間の批判に訴える、こういうことをやるべきであろうかと考えております。
  187. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまのお話でございますけれども、結局実例といいましても、私ども現実に、たとえばこれは過密過疎ということの現象について特にあらわれている例でして、たとえば過密のほうでは横浜市の例です。私もちょっと聞いたのですけれども、この横浜市では、何ですか、明治の初年といいますか、そのころから早く開けておったところでございますが、小学校を百年間に二百五十校つくった、それでよかった。ところが、これが今度四十五年から五十年というわずか五年の間に、実は百二十校の小学校、中学校をつくらなければならない、そんなような事態に直面している。プレハブでもしかたがないからつくらなければいかぬけれども、これは一つの学校をつくるにもやはり四億、五億というような大金が要る。非常に頭を痛めているということを聞きますと、私どももわりあいのんびりしているほうなんですけれども、こういう切実な問題——すぐ東京の隣にある横浜がそんな状態だと、東京だって新しくベッドタウンといわれる町がどんどんできていくようなところでは、おそらくこれと同じような状態にあるのじゃないかと思います。このようなことについても、やはり私ども先ほど申し上げましたように、一般国民にこういう実情を知らせ、特に現実にうとい、先ほど申し上げました財界あるいは大蔵省とか、政府の一部の人、こんなような方に私宣伝することが必要じゃないかと思います。また過疎のほうといいましょうか、どちらかというと過密の反対のほうにおる地域につきましても、道路の問題を今度あげますと、わが国の道路の舗装率が一〇・八%である。一割ちょっとですね。内訳が国道が七三・八%、国道が非常に舗装が行きわたっておりますけれども、町道は二六%、市町村道に至ってはわずか六%というふうな統計が出ておるわけでございますけれども、これなどもまたいかに、何といいましょうか、地方の特に過疎地帯はひどい状態になっているかということを物語っているかと思いますが、なお、これについて、道路につきましては、先般新聞に地方道の財源充実するというようなことに関連しまして、自治省で何か案をお持ちになっている、具体的に載っておりますのは燃料課税などを強化していこうというようなことを検討なさっているといいまするが、参考までにその考え方を承りたいと思います。
  188. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 御指摘のように、先般、第六次道路整備五カ年計画が閣議了解されまして、全体の規模は十兆三千五百億ということで、第五次の六兆六千億に比べまして大幅な増加をいたしました。その中でも地方道の舗装改良が非常におくれておるということで、第五次計画では一兆一千億の単独事業を見ておりましたのを、二兆五千億、約二・三二倍に単独事業規模をふくらまして地方道の整備を積極的に推進したいということになってまいっておるわけであります。これを整備してまいりますためには、当然、道路目的財源充実していかなければならないと自治省といたしましては考えております。ただ、十兆三千五百億円の国道、地方道の事業費の内訳及びそれぞれの財源につきましては、まだ確定いたしておりません。明年度予算までにまあ検討を尽くしていく、こういうことに相なりました。その一環といたしまして、地方道路財源充実につきまして私たちは検討を進めておるわけでございます。御指摘にありました燃料課税の増額の問題、あるいは自動車に対する課税の検討の問題、そういうものを含めまして現在検討中という段階であるわけでございます。
  189. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 これは、あれですか、新聞に出ている程度のいまお考えであって、それ以上具体化したような、何といいましょうか、御検討はされておりますか。
  190. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 事務的にはいろんな角度から検討しておりますけれども、新聞に出ております程度のところまでしか、いまのところ至っておりません。
  191. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 地方財政が非常に好転しているというような考えがだんだん出てきている、一部からさらに広がっているということの一つとしまして、やはりこれはいまの自治省、あるいは国の財政計画、あるいはまた国の予算編成などにおきまして、そういうことの出る原因を政府自体がつくっているんではないか、そういうふうに私は思うのでございます。  たとえば、といいましょうか、例を具体的に申し上げますと、本年度予算編成に際しまして、国は地方財政の中から約一千億借りなければ予算編成ができないというようなことで、地方財政の協力を国として要請し、結論としては、大蔵省と折衝した結果、九百億を地方が協力した形となっております。実質的には、法人税率の引き上げに伴って地方交付税がふえたのでまあそれほど多くありませんが、一応形式的には九百億協力した形となっておりますが、しかし、はたしてそれだけの地方協力がなければ予算の編成ができなかったものかどうか、非常に私ども疑問に思っておりますけれども、これについて自治省はどういうふうにお考えになっていますか。九百億を国が借りなければ本年度の国の予算編成ができなかったかどうかということについてお伺いしたいと思います。
  192. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) その点は、いろいろ論者によりまして見方があろうかと存じます。しかし、実際問題といたしまして、われわれといたしましては三百億のいわゆる借り貸しという措置をとったわけでありまして、これがなければ国はどうしてもぐあい悪いのだという問題に結局帰着するかもしれませんが、いろいろ諸般の事情を考慮し、いろいろ地方のただいま問題になりました行財政の水準維持のためにも根本的な支障はないという判断の上に立ちまして、万やむを得ずああいう措置をとったわけでございます。したがいまして、見る方によりましていろいろの見方がございましょうが、今後はああいうことはしないつもりでございます。ことしのところはあれによりまして国、地方の財政上の調整をつけた、こういう事情でございます。
  193. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この九百億の協力のことにつきましても、ちょうどたまたま地方の問題として米の生産調整の問題が起きましたが、政府ではこの米の生産調整について、結局八百十四億円の奨励金を出すことで結着をつけたわけなんですけれども、ひとつ裏返して申しますと、何のことはない、九百億の米の調整費を地方財政の中からかぶってやった、政府に協力したということさえも言えるわけなんですけれども、まあこれは政治的に妥協されて、ことしのこの生産調整の問題に対して国が責任を持って行なったということになっていますが、私どもやはりいまの金額的に見ましても、何かお米の生産調整費を地方財政でまかなってしまったのじゃないかというような印象さえも受けますが、その点のお感じいかがですか。
  194. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 別段それは意図してそうしたわけではないのでございまして、まあある程度数字が偶然一致をいたしましたような結果、そういう印象を得られたかもしれませんが、本質的には何もあれは関係はございません。
  195. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 また国は一方的に大幅減税をやったり、また国債を減額したりしておりますが、地方側にはそれこそ何の相談もせず、ただ協力だけをしいているかっこうじゃなかったかと思います。地方のほうでは国家財政のしわ寄せだけに甘んじなければならなかった、こう思うわけでございますが、このような、何といいましょうか、不信な考え方を持っている方も相当あるように見受けられます。国の一方的な減税による地方はね返り分の減収分はどこで見てくれるか。国にそれだけの協力をする金があるならば、住民税をもっと減税するとか、地方の立ちおくれた行政水準引き上げのための各種公共投資に回すべきだ、このような素朴な願いが地方の団体にはありまするけれども自治省としてはこれらの地方団体の声に対してどういうふうに納得、理解させるために対処されますか、お伺いしたいと思います。
  196. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 素朴なそういうお考えは十分わかります。また、われわれといたしましても三百億の貸し借りその他の措置をしないほうが、地方の行財政の水準は決して高くないと考えておりますし、また事実そうでございますから、それだけ財政上の余裕があったほうが望ましいことは当然でございます。したがいまして、われわれといたしましては大蔵省の要望に沿うことはこれはがえんじなくて、もちろん抵抗もいたし、いろいろ折衝もいたしたわけでございますが、国家財政の都合上いろいろ切り詰めました最後、ああいう措置を万やむを得ずとった次第でございます。しこうして、これをとりましたが、しかし、国税三税の増徴もございますし、自然増収もございますし、地方税の経済の伸びに基づくところの伸び考えられましたので、昨年度と比較いたしまして、ある程度の行政水準を維持するにはこと欠かないと判断をいたしまして、先ほどから繰り返し申し上げておりますような、万やむを得ずああいう処置をとった次第でございまして、もちろん、なければ、これに越したことはないのでございまして、したがいまして、来年度はそういう措置をとらないように措置いたしたいと考えておるような次第でございます。
  197. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 ひとつこのような措置は今年限りにしていただきたいと思うわけでございますが、根本的に交付税そのものについての問題になると思いますが、地方財政を確立するためには、交付税を名実ともに地方の自主財源にして、特別会計に入れる方針、これはいろいろこの委員会でも議論されましたが、私はこれが一番いい方策だと思うわけでございます。予算編成期には、いつも、何と申しましょうか、地方のものか国のものか、どちらのものかはっきりしないというようなあいまいさから、国の一般会計に入っているために、何とか交付税を片方のほうによけいとろう。要するに、地方とすると三二%、これは地方の本来の財源だからという考え方ですけれども、国のほうはそう思っておらないようなふうでございます。ですから、これが始終取り合いというようなことになるわけでございます。いま申し上げましたように、特別会計に入れてしまうということが一番私いいと思うわけでございます。そうすると、いまの三二%あるいは三一%にせよとか何とかいうような問題もなくすることができるんじゃないかと思いますけれども、この特別会計に入れるということについてのお考え、また何といいましょうか、これを特別会計に入れるための何かいいお知恵というものをお持ちになったら御披露願いたいと思います。
  198. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) その先生のお考えはもちろんわれわれも賛成でございまして、そうあるべきだ、そういうふうにありたいと考えまして、従来、大蔵省ともいつも先生と同じ考え方、そういう立場で折衝をいたしておるのであります。四十五年度地方財政及び国の財政編成に際しましても、その点が問題になったのでございますが、これはひとつ今後、来年度予算編成まで、昭和四十六年度の国の予算の編成前に、大蔵、自治両省において相談をしよう、話し合ってみようと、こういうことになっております。いろいろ大蔵省は大蔵省の見解に立って、いわゆる特別会計に直接入れるということに反対いたすでありましょうが、われわれは地方交付税の本質からいたしまして、当然いわゆる特別会計に直入すべきものであるということを主張をいたして、何とか話をつけたいと考えておりますが、相当難航することは予測にかたくないところでございます。あるいはいつごろこれの話をするかというお話も従来あったのでございますが、国会もいよいよ閉会に近づきましたので、遠からざる将来において話し合いを始めてみたいと、こう考えております。
  199. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この交付税を特別会計に入れるということは非常に地方財政にとって大きな問題でありますし、非常によいことだと思いますので、せっかく御努力願いたい。そうして一日も早く実現さして、ぜひできれば四十六年度予算編成までに間に合うように、ひとつ努力願いたいとお願いする次第でございます。  なお、交付税についてもう二、三お尋ねしたいと思いますが、東京都を除く六大都市全部が交付税の交付団体になってしまったわけですけれども、この根本原因は何か、お聞かせ願いたいと思います。
  200. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 大都市が交付団体になりましたのはいろいろな事情がありますが、端的に申しまして、一つは大都市における需要が非常に伸びてまいりました。それに伴いますところの税を中心にいたしましたところの税収伸びが非常に需要の伸びに対しましては鈍化しているというようなことによりまして、需要の増と収入の伸びとの間にいろいろ開きが出てまいりました。そういうことで交付団体になってきた、こういうことだと思います。
  201. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 交付税は一定の標準行政経費を保障するための調整機能を果たす財源であるのにかかわらず、所得税だとか、法人税の主要税源が集積している大都市などに地方税源を与えないので、標準的行政経費が不足するために、交付税を交付せざるを得ないといういまの税制度そのものがきわめて不合理だと思いますが、これをどういうふうにお考えになっておりますか。大都市には少なくとも標準的行政経費をまかなうだけの税源を与えなければならない、こう思うんですけれども、大都市から徴収した税源を再び大都市などに再交付するということは、大都市などの自主性といいましょうか、独自性を著しくそこなっていると思いますけれども、その辺についてお考えを承りたいと思います。
  202. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 確かに先生御指摘のように、非常に大きな税が徴収できる場所的なところはどこかといえば、それは大都市及び大都市の周辺において、生産も上がり、消費も非常に大きく、あるいは経済行為も非常に行なわれておるわけでございますが、そういうところから税金があがるということはお説のとおりだと思います。ただ、まあその場合にも、税と申しましても国の税と地方の税と、税の振り分けもいろいろございます。地方団体だけで申しますといろいろな規模のところがあるわけでございますから、その関係では国のとりましたものを地方に交付いたしまして、そうして財政調整的な作用を営ませることも必要なわけでございます。そういう意味で、交付税なるものはその役割りの一番大きなものを果たしているわけでございます。そこで、全体として国と地方と調節をしておるわけですが、大都市の場合にはやはり先ほど申し上げましたように、大都市の受け持ちますところの需要が非常に伸びてきておる。その非常に伸びてきておるという状況が、近年非常に急激な需要を伴った非常に著しい形で伸びてきておるわけでございます。そういう意味で、まだその面での大都市を中心にしました都市財源というものがなかなか追いつかない、そういう過程にありまして、御指摘を受けるような状況がいま出ておる、こう申さざるを得ないと思います。ただ、まあそういうことは全体をひっくるめて考えてみなければなりませんので、そういう面で大都市からとったものを大都市に返しているという御指摘は、それは確かに一面そのとおりだと思いますけれども、それはまあ国、地方を通じて全体の調整の中でそういうものを現在の需要の伸びに応じて逐次改善を遂げていくということではなかろうかと思います。
  203. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この大都市なんかの税金、いわゆる所得税、法人税なんかにつきまして、たとえば所得税付加税というような形で確保する方法はないものでしょうか、専門家、エキスパートである局長に伺いたいと思います。どうですか。
  204. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) いろいろなやり方は考えられると思いますけれども、結局これは税が国に帰属するか地方に帰属するか、税の分配の問題もございます。それから地方団体の場合でもいろいろな収入の得られるいわゆる税源なるものの分布というものが必ずしも一様でもないわけでございますから、そこで、そういう点を考えますと、逆にまた大都市だけがそういうものを多く受けるということになりますと、全体の調節も非常に都合が悪いというような問題が出てくるわけでございまして、いずれにしましても、そういう面ではやはり総合的に考えていきませんというと、大都市だけの観点を満たせば措置できるという問題にも必ずしもならない。やはり一般の地方団体と国との間、あるいは地方団体相互の間というように均衡のとれた形でございませんと不適当でございます。また、物とお金もその間をぐるぐるかけ回っておりますから、必ずしも大都市だけの特例というわけにもまいらないという面もございます。そういう面ではやはり、いまのような制度が絶対によろしいというわけにはまいりませんが、大都市の必要な財源をさらに充実するという方向で私どもは検討することはもう御指摘のとおりだと思いますけれども、御提案になりましたようなことだけではなくて、そういうことも含めてやはり総合的に検討すべきじゃないかと思います。
  205. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 じゃ、本論に戻りまして、地方財政計画地方交付税法第七条の規定によって毎年地方団体歳入歳出総額の見込み額を示して、内閣と国会に提出するとともに一般にも公表しなければならない、こういうふうになっておるわけでございますが、この財政計画の意義についてひとつ簡略に御説明願いたいと思います。地方財政計画とはどういう意義を持っているかということについてですね。
  206. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 地方財政計画は、いま御指摘になりましたような法律的な根拠に基づきまして策定され、公表されておるわけでございますが、これは大別をいたしますというと、いろいろな見方ができますけれども、結局財政計画を通じまして、年度年度地方団体の全体の財政運営歳入歳出を通じてできていくという保障といいますか、そういう姿を明らかにしておるということが一つございます。全体として財源保障がされたということを示しておるということになると思いますし、第二番目には、やはりそれが国なり地方を通じまして、その年度の施策と申しますか、財政施策というものがそれによって明らかになる。第三番目には、したがって、そのことが個個の地方団体財政運営、行政運営についての一つの指針といいますか、直接特定の団体のものではございませんけれども、全体としてこういう方向でこういう措置がなされていくということがその地方団体考えました場合に指針になる。こういう大別して三つぐらいの意義を持っておるというふうに普通に言っておりますが、私どももそう考えております。
  207. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま御説明いただきましたけれども、この財政計画そのものは、何といいましょうか、毎年のいまのお話のように同一対象、国の地方における財政を取りまとめて計画化したものですから、毎年毎年同じようなものができるのはあたりまえだと思いますけれども、何といいましょうか、たとえば今年度の重要施策を財政計画に全部織り込まれておりますけれども、その内容を拝見しますと、大体がいま御説明にもあったのですが、国の予算案の中できまったこととか、あるいはまた各省の方針で決定済みのものをあらためて整理して、それで計画を組み立てて、言いかえるならば、国のほうで決定したものを新たに取り上げてそれが計画という名前で出ている、こんな感じがするわけですけれども、やはり私は地方財政計画としての独自性といいましょうか、あるいは自主性というものがどこにあるか、ちょっと疑問のような気がいたしますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
  208. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) この国と地方との関係はもう御承知のように、いろいろな意味で結びつきが実はあるわけでございます。交付税にいたしましても国税三税の三二%が交付税財源になっている、あるいはまた地方のいわゆる公共事業と申しますか、そういうものの大体三分の二は国の補助負担金のついた事業であります。それからそのほかに国の補助金、たくさんありまして、国税と地方税の割合は大体国のほうが三くらい、地方が一くらい税金としては取るようでありますが、使うほうになりますというといろいろな補助金の形で地方へ流れてまいりまして、地方のほうが逆に三くらいを使っておる、全体の税金の中の三くらいを使っておるというようなかっこうで、非常に密接な結びつきを持っておりますから、そういう意味で国の予算というものの筋がきめられますというと、それが財政計画の中に当然織り込まれてくる、これはもうそういう仕組みの上から出てくる当然の結論でございますが、たとえば今年度地方財政計画におきましても、同時にそれ以外に、たとえば地方税制の問題でありますとか、あるいはまた地方の単独事業の問題でありますとか、あるいは人口急増地域、広域市町村圏、地方公営企業の基盤整備というような問題になってまいりますというと、やはり地方独自のものを、その中でも全体の策定方針の中に正確に位置づけをして、そして国のいろいろな補助なり負担なりのついております事業と、それらの地方の単独の事業や地方のほんとうに要求しておりますものとを組み合わせまして、そしてこの財政計画に基づきまして、それを実現いたしますために地方債なり、あるいは交付税におけるところの単位費用の改定でありますとか、基準財政需要額への算入の強化をいたしますための各費目のあるいは補正その他の措置の改定というようなものをいたすわけでございます。したがいまして、財政計画には国、地方を通じて地方独自の問題も入れながら、その実現のための全体の方針をつくっていく、そしてその方針に基づいて主として地方財源がそういうふうに投入をされ、利用されるような形になりやすいようにいろいろな措置考えていく、主としてそれが地方債とか、交付税措置ということになってまいりますけれども、そういうことを考えて国、地方の調和のある運営をはかり、地方の行政水準の向上に資していく、こういうふうになっておると御理解を願いたいと思います。
  209. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 局長のお話もよくわかるのですけれども、やはり地方財政計画そのものが国でつくられる、自治省中心につくられるということから、やはり国の立場考え計画というようなにおいがどうしてもする、いま申し上げたように、いろいろと苦心されて、地方の自主性、地方のカラーと言いましょうか、地方からの要求等、その他盛り込まれたとおっしゃっていますけれども、どうしても全体として見た場合に、国がつくった地方計画と言いますか、地方財政計画というような感じが濃いような気がいたします。やはりこの地方財政計画という名前がそうであるから、逆にやはり地方団体の要求、あるいはそれを受ける自治省御自身の要求があって財政計画が立案されて、それを中心にして組み立てていく、国の予算の上に何らかの形で逆に反映させる、こういうふうな、言うならば少し組み立て方法を変えたそういうふうな順序でいって計画が策定されなければならぬ、それがほんとうの地方財政計画と思いますけれども、この点いかがでございましょうか。
  210. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 財政計画が先にあって、そうして国政というものの予算中心にしたそういう年度年度の基本方針が、それに沿うように持っていくようなことが考えられないかというようなお話のように伺いました。私どもも全体として国、地方の当該年度における財政の方向というものをまとめていく基本的な考え方としては、まさにお話のあったような方向が、つまり国の一つ考え方と地方の考え方の集大成したもの、これが両方で調和のとれた形で一つのものにまとまっていく、これが一番理想的な姿だというふうに思うわけでございまして、私どもも確かにそういう考え方がとられれば一番それがいいに越したことはないと考えます。なお、この点につきましては、まあ多年の運営の結果がいまのような形になっておるわけでございますけれども、結局そのためにはやはり長期にわたる財政計画というようなものの考え方を片一方に持っておりまして、そしてその考え方に乗って常時検討がされ、そして国、地方の間でその調節がはかられる、こういう形がとられるのが一つの方法ではなかろうかと考えるわけです。そういう面で、大臣も先ほどお話しされましたように、本年度はぜひ長期計画というものをつくり上げる努力をいたしまして、そういう路線によって国、地方の調整がとれるようにぜひ私ども考えお話のようなことの実現につとめてまいりたいと、こう考えております。
  211. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 結局いまの計画をつくる場合にどうしても歳入計画、これを基本にして、優先にしてつくられる、これはまあ編成上はやむを得ないことかと思いますけれども、やはり歳出計画と言いましょうか、それを先につくる。ことに地方の特色などを入れる場合には地方それぞれの歳出計画というものを総合して、その上に歳入と見合ってつくっていく、言うならば歳出を先にきちんとした上で立てていくのがほんとうの理想的な財政計画ができるのではないかと思いますけれども、この点いかがでございましょうか。
  212. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) いまの御指摘は私どももよくわかります。どちらかと言いますと、正直に申しまして、これまでの地方財政の問題は、むしろいかにして歳入を確保するかという観点が実は先に立って、そこで地方財源の確保と並びにその充実という問題が常に論議の焦点であり、問題の中心であったわけです。これからは、先ほども御指摘ございましてお答え申し上げましたが、やはり長期の財政計画と申しますものは、やはり長期ビジョン、つまりわれわれはいかなる行政水準を、何年度間の間にこれだけのものを到達させるべきだという目標をつくるということが長期ビジョンの中で一番の中心になろうかと思います。そうなりますと、それはむしろどちらかと言えば歳出の計画と申しますか、歳出と申しますか、事業実現のための計画というところに非常にウエートを置くというかっこうになります。したがいまして、これからはそういうものを含めて考えますというと、歳出に重きを置く、行政施設水準のある一定の水準を目標におきまして、これへの到達ということを非常に大きく考えて年々の財政運営なり、財政計画なりというものを考える、こういう全く御指摘のようなかっこうに変じていくと申してはあれでございますけれども、外目を向けていくということになってまいり、むしろそれに応ずるために必要な歳入を確保していく、こういう形に次第に向いていくし、また向いていくべきだろうと考えております。
  213. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 局長のお考えに対して同感でございますが、やはりいま御指摘があったようにあまり歳出計画というようなことで計画を先にする、いままで地方財政が非常に苦しかったことからも生じたことがいまのしきたりになっていると思いますけれども、これはしかし、あまり向上すると、それじゃ財政が好転したからだろうと言って、いま私が言ったような考え方と違ってまいりますので、非常にむずかしいと思いますけれども、やはりそうは言うものの地方の行政水準を引き上げるには、やはりいま繰り返して申し上げますけれども、地方地方の実情に合った、この地方ではこういう事業を興さなければならぬ、こういうことを考えなきゃならぬ、これだけするにはどれだけ費用がかかるかということを各地域地域からとって、そしてそれを基本にしてこの計画を立てる。もちろんこれは大所高所から見て取り上げるべきものもあるし、すぐに取り上げられないものもございましょうけれども、それをおまとめになってはじめて私は理想的な財政計画ができるのじゃないかと思いますし、また、そのようないわゆる歳出計画というものを先に立てた財政計画がほんとうの理想的な財政計画になるのじゃないかと思いますので、そのような計画にこの地方財政計画が移行できるように、早く実現できるように希望してやまないわけでございます。ひとつ局長におかれましても大いに御努力願いたいと思います。  なおこの計画についてもう一つお伺いしたいのですけれども地方財政計画は毎年計画規模と決算規模に大きな隔たりがあるということで問題になっておりますけれども、この四十三年度の決算についても、計画に比べますと一兆六千億ぐらいの開きがありますが、それはとりもなおさず、計画歳入面で抑制気味になっているし、また、地方税などの点でも過小見積もりのきらいがあるように思われますけれども、この点いかがでございましょう。
  214. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 確かに計画と決算との間に相当乖離を生じておりまして議論になるわけでございます。御指摘のとおり、四十三年度では歳入で一兆三千億近い開きがあるわけでございます。この関係は地方税におきまして二千五百億ぐらい、地方債で千三百億、諸収入で八千億というような開きがあるわけでございます。地方税につきましては最初の収入見込みというものが過小なのではないかということでございますが、これは一つは現在の経済成長というものが年々当初の経済見通しを越えて成長をいたしておる。政府が毎年経済見通しと経済運営の方向を定めまして、そして経済成長というものを測定をいたします。それに応じて財政計画予算その他考えていくわけでございますが、それを越えまして経済が拡大する、その経済の拡大を反映いたしまして税収伸びていく、これが一つでございます。  それからもう一つは、いわゆる超過負担といいますか、標準税率以上に超過課税をしておるということの結果がこの団体の収益として大きく出ておる、こういうことでございます。  それからもう一つは、地方債のほうにつきましては、これはいわゆるワク外債と申しますか、千億以上こえるワク外債、これは地方経済そのものの問題もございますけれども、そういうものが非常に大きく出てまいります。それから雑収入のほうにつきましては、これは国その他が委託事業というので委託をしてまいります。そういう関係で仕事が出てまいります。あるいはまた中小企業等につきましてのいわゆる貸し付け金、そういうのは年内に解消してもらって、そして歳入にもう一ぺん返ってくるというお金を立てて予算規模が出てまいりますので、これがまた決算の上で非常に大きくふえるというかっこうになってまいります。歳出のほうでも同じようにそういうかっこうが出てまいるわけでございますが、いま申し上げましたように、地方債ワク外債というものが投資事業に乗っていく、それから人件費等がふえておりますのは、国家公務員のベースに従って計画を立てておりますけれども、これが非常に高い給与を払うとか払わぬとかいう問題が出てくる。それから委託事業等は、いま申し上げましたように、計画にも入っておらないものが歳出で出てくるというようなことが重なりまして出てまいります。そのほかに地方財政計画年度当初のいわゆる計画でございます。年度当初の推計における計画、その後の追加とか、そういうものを考えておりません。それが追加とか補正とかが行なわれます結果、非常に違ってくるという基本的な問題もございます。しかし、それでよろしいのかということになりますと、私どももこれほど乖離することは決していいとは思っておりません。そこで、これはやはりこれに合わせるように、実勢に合わせるように努力していかなければならぬと思いますが、地方税などにつきまして、先ほどお話がありましたけれども、これは地方税をかってに自治省として認めておるわけではございません。これは所得税なり国税、法人税なりいろいろ関連がございますから、住民税等の収入の見込みにつきましても、国、地方を通じた一つ見方によって計算をしておるわけでございます。地方だけがかってに大きく見たり小さく見たりというわけにはまいらぬわけでございますが、その点は現在、当初の見通しを越えて経済の伸びが著しい、そして年度の終わりになりますというと、非常に自然増収があるというような問題も大いに関係しておるわけでございますが、なお、いま申し上げましたような点につきまして、今後、地方財政計画規模を実勢に合わせるように是正するという努力はぜひ続けてみたいと思っております。
  215. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 おっしゃるように、やはり地方財政計画は国の予算と違って補正もやりませんから、バランスを合わせることができないかと思いますけれども、やはり歳入の面もうんと低く押え過ぎているというような傾向がありはしないかと思います。また、引き締めムードと申しましょうか、財政をとる手綱を締めていこうというようなお気持ちも相当強く働いているんじゃないかと思いますけれども、やはりあまり計画規模、要するに、決算規模が違い過ぎるということは非常に不審に思いますし、また国民から見てもやはり納得がいかないんじゃないかと思いますので、局長のお考えでわかりまするけれども、なるべくこれを合わせるような努力を今後とも続けていただきたいと思います。  なお、地方財政と景気調整、いわゆるフィスカルポリシーの問題でありますけれども、これは地方財政でなくて、主として国の財政、国の予算のほうでやってもらって、地方財政のほうは住民税に直結したこまかい問題に最も重点を置いて、でき得れば財源の大幅な地方移譲を行なうのが現在の地方財政から見て適切であると思いますが、それはこの前も申し上げたのでございますけれども、いまのような交付税率なども、逆に三二%をふやさなければならぬ、三五%にしたらどうかというような考え方さえ訴えておるわけでございますが、その辺についてちょっとお考えを伺いたいと思います。
  216. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) いまお話がございましたように、景気調整との関係は無関係だというわけにはまいりませんけれども、やはりおのずから限界がある。一つお話がございましたように、地方行政が担当しております分野は、住民の日常生活に密着した行政施策の遂行ということにあるわけでございます。したがいまして、景気のいかんにかかわらず、なし遂げなければならない仕事はなし遂げなければならない。たとえば教育とか、そういうものになってまいりますというと、そういう施設を整備し、あるいは職員を配置するということは、これは景気のいかんにかかわらず、やらなければならない問題でございます。そういうような基本的な問題がございますと同時に、また、地方団体というものは三千幾つの団体でございますから、画一的に景気調整策をとるなんということは、それぞれの自治体との遊離というものが起こってまいり、それぞれの実情に応じて調節をしてまいるという必要が出てまいりますから、また基本的に国のように一つ財政一つの景気調整をとっていくというような簡単な方式にはまいらない、そこにはまたやり方の限界がございます。  第三番目には、いわゆる中小企業との関係がございますから、やるには慎重を要する。しかし同時に、先ほども申し上げましたように、国が公共事業費等を中心といたしますところの補助事業の多くのものは地方団体が実行しております。そうして地方団体の地方公共事業費といわれるものの三分の二は国の補助金つきの事業でございます。したがって、むしろ国が景気調整のために公共事業中心として、すでに調節をしたものを地方は受けとめて、そうして事業を行なっておるわけでございます。むしろ、公共事業中心として地方は毎年毎年景気調整すれば、相当の量が地方の財政のほうで調整された形になっていくというつながりがあるわけでございます。私は国との関係は、特に公共事業中心に結ばれておる、その面で地方は景気調整にも十分協力しておるという形がすでにちゃんとでき上がっておるのじゃなかろうかと思うわけでございます。地方のいわゆる景気調整策に対する協力ということは当然ではございますが、さらにその上に地方が考えていくという点につきましては、以上申し上げましたようないろいろな理由によりまして相当限界があるということを一般に理解をしていただきたいということを機会あるたびに申しておるわけでございます。
  217. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 局長は、多少地方財政におきましても国の景気調整というものに対してはある程度影響があるというようなお考えであるように承りましたけれども、やはり最終的に申されたように、むしろ国の予算の遂行に地方が協力していく、それによって景気調整の役割りも国の指導でやっておるのだからということからいいますと、地方財政運営の上から言うと、ほとんど地方財政を顧慮しないでもいいのじゃないかと思うわけでございますけれども、どうもこういった問題について自治省は大蔵省に対して多少意識が過剰になり過ぎてはいないかという感じを持つわけでございまして、地方財政の好転化とともに、どうももう少し地方の立場と申しますか、ことに地方の行政のおくれというものをもっと強く意識し、強調していただきたい、こう思うわけでございます。よろしゅうございますか。いかがでございますか。
  218. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) まあ私ども申し上げておること、いまお話いただきましたこと、私どもは基本的にはそれほど違ってはいないと思っておりますけれども、やはり、まあ地方財政というものも、国家全体の中でのそのときの財政運営のいかんは、相当、国の一つの経済施策なりにも影響することも確かでございます。したがって、国との基調を一にしていくという基本的な考え方、これは捨てるべきではない。しかしながら、地方財政地方財政としての独自の意義と目的を持っているわけでございまして、国家財政が受け持つ範囲と責任とは、またおのずから違ったものがございますから、そういう面で全面的に国家財政と同一の運営ができない。またすべきでもない。役割りも違う。その点での限界というものは当然にあるということは、御指摘のとおりでございます。そういう意味で、地方財政の独自性、それからその受けますところの任務の必要に応じて、私ども地方財政の側に立ちまして、主張すべきものは主張してまいっておるつもりでございますけれども、なお、今後ともそういう努力はぜひ懸命に続けてまいりたいと思います。
  219. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 都市問題について一、二お尋ねしたいと思いますけれども、この都市問題の中で一番大切な大都市問題について、本年度地方財政計画の中では、どのような、何か積極的な対策を組んでおられますか、お伺いしたいと思います。具体的に御説明願えればありがたいんであります。
  220. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 都市問題につきましては、まあ一つは、都市の関係だけというわけではございませんが、都市に非常に大きな影響を及ぼした措置というものについて申し上げますと、一つは法人課税の増徴に伴いますところの市町村民税法人税割りの充実でございますが、これの中で大都市部分というものは、本年度で約十七億円というものは、大都市財源充実という方向に寄与をしておるわけでございます。それから地方債計画におきまして、一般の単独事業債の中で都市過密対策事業分というのがございますが、これは七十六億円大体予定がされております。それから下水道事業債、下水道の事業債は、これはほとんど、あげて大都市相当分ということになるわけでございまして、この関係が五百三億円、それからいわゆる地下鉄事業債、地下鉄事業債は九百十七億円、これもまた大都市関係の事業の大きなものの資金として用意されております。それから第三番目には、地下鉄事業に対する来年度は——本年度になりますか、国庫補助が新しく設けられたわけでございまして、その点でいわゆる国庫補助として大都市分二十六億円というものが措置をされております。それからそのほかに、普通交付税におきましても、大都市関係の事業の算入を強化いたしまして、普通交付税におきまして、四十五年度は四十四年度に比しまして、増加算入九百七億円というふうなかっこうになっております。なお、首都圏、近畿圏、中部圏というこの地域援助法の関係におきましては、四十五年度は二十七億円の援助費の増額ということになっております。まあ以上通じまして、大都市に対する財源措置というものは、かなりな程度毎年充実をはかってまいっておるということが申し上げられるかと思います。
  221. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 よくわかりましたけれども、この法人税ですか、分割基準を改めましたですね。これは東京都、特に東京ですけれども、と大阪には特に法人事業税が減収になってしまいましたけれども、これは大都市の充実ということから非常に矛盾しておるようでございますけれども、この辺についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  222. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) ただいまお話がございました大都市財源の問題、市町村分の都市財源の問題についてのお話でございます。御指摘の法人事業税は、御承知のように都道府県で、これにつきましては、従業員の構成が本社と支店で、かなり管理部門の強化が本店に集中してまいっておりますので、従業者数を分割基準として用います場合には、管理部門は本社、支社全般を通じてのいわば中枢管理機能でございますので、本社部分と支社部分とを全く同じように扱うということは、税源の帰属の合理化という点から見て問題があるのではないかと、かねがね論議されておったわけであります。製造業についてのみ、従来、本社従業員数を二分の一に計算しておりまして、今回そのようなことを種々検討を尽くしました結果、全般的に二分の一に本社従業員をいたしまして、分割基準を合理化する、こういうふうな措置を講じたわけでございます。
  223. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この地方財政計画ですけれども、ただいま大都市に対する財源起債等の対策を承りましたけれども、これはことしおとりになったような措置を明年度以降の財政計画策定にあたってもおとりになりますか、局長に伺いますが、ただいま伺ったような方針で、大都市に対する対策というものをお立てになりますか。
  224. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 大都市につきましては、全体としまして、大都市の財源充実を期す必要があるということは、私どもひとしく認識をいたしておるつもりでございます。来年度におきましても、まあ方式としては、いろいろ方法を考えることにはなると思いますけれども、全体としては、大都市の財源充実につとめてまいりたい、これは今年と同様、さらにそれに即しまして考えていくということで、当然検討してまいらなければならないと思っております。
  225. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 最後に道州制問題についてちょっとお伺いしたいと思いますけれども、御案内のように、永野商工会議所会頭が発案者というのですか、提案者になっておりまして、相当マスコミあたりも取り上げておりますし、地方制度調査会等においても一応のテーマとしておるようでありますけれども、この道州制問題について大臣はどのようにお考えでございましょうか、御所見を承りたいと思います。
  226. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 概括的に申し上げまして、これは今後の地方行政組織上検討すべき問題であると考えております。しかし、どういう点からこの点が論ぜられておるかという点につきましては、これは単に財界の方が言われておるので、財界の要望からのみ言われておるという見解もございますが、必ずしもそうではないとも思われます。この点につきましては、十分ひとつわれわれも検討するとともに、諸説の内容についても伺ってみなければならないと思います。幸い、ただいま地方制度調査会において、この点につきましても御検討があるようでございまするから、その御結論等も伺いまして参考にいたしたいと考えておりますが、地方住民の福祉向上のためと、国家的な要請というような面につきましては、やはり調和を要すべき幾多の問題を含んでおるのではないか。ここいらについて慎重な考慮と検討の上決定すべき問題でありまして、私といたしましては、慎重な考慮を要すべきものであると考えております。十分各般、各方面の御意見を伺いまして決定いたしたいと思いますが、先ほども申し上げましたとおり、検討すべき問題であると考えて、当省においてもせっかく検討中でございます。
  227. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 地方行政の広域化といいましょうか、そういうような方針からいえば、むしろ時代の趨勢に合った考え方、案だと私も思いますけれども、この前に自治省から、府県合併特例法ですか、法案が出ましたのですが、私はあれと比較した場合に、形の上といいましょうか、行き方の上においては、むしろあの府県別といいましょうか、地方別に順次合併していくという行き方よりも、やっぱり全体的な構想をまとめてその上でやったほうがいい。むしろ合理的であるという点においては道州制の案のほうが、何といいましょうか、一歩進んだ考え方のように思われますが、いろいろ欠点もあり、また、いま大臣が御指摘になったように、財界筋の推進というようなことにおいて相当矛盾もあるように感じますけれども、この道州制なら道州制の実現に向かっていく場合に、いまの府県合併、たとえば、阪奈和なら阪奈和というふうにまとめていって、それを全国的に及ぼしていくというよりも、初めからワクをきめて構想を練ったほうが合理的ではないかと思いますが、この辺についてお考えを承りたいと思います。
  228. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 地域的に段階を追うて合併を重ねて道州制に近づけていくべきか、あるいはそういう段階を踏まずして道州制にいくべきか。また、道州制というものがどうか、府県合併というものがどうか。ここいらは検討を要する幾多の問題があろうと存じます。私といたしましては、いま、どちらがどうという、私見でも決定的な意見は持っていないのでございまして、要は、地方住民の福祉ということを中心に、日本の世界的な発展段階における使命というものとの調和を考慮しながら考えなければなるまいと存じております。   〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕 財界が単に自分の利益のためのみに主張されているとも思えないのでありまして、こういう点については、十分各方面の御意見を伺って慎重に検討の上決定すべき問題である。いまの段階においては検討すべき段階であって、軽率な結論を早急に引き出すべきではないのではないかと考えられる次第でございます。
  229. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この広域化の問題について、道州制の問題もありますし、また先ほど触れました府県合併の問題もありますが、この指定都市という考え方ですね、これが私どうもすっきり理解ができないのですけれども、いま指定都市を次々と御指定になっておりまして、さらに指定都市をふやそうというように伺っておるのですけれども、まず伺いたいのは、指定都市としてさらに追加して、福岡、川崎、それからまたもう一つは札幌でございますか、これを指定都市になさろうというように新聞などから承っておりますが、これは実際にそういうふうなお考えなのか。また、そうすれば、いつごろそれを指定都市になさろうとなさっておるか。お伺いいたしたいと思います。
  230. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 人口が百万前後に集中されました都市につきましては、やはり指定都市という形において地方行政組織を考慮することが妥当ではないかというような大体考え方を持っております。しかし、これは、何もこちらから強制的にやるつもりはございません。地域地域の実情に即し、その自発的な御希望等を十分考慮いたしまして、やるならば行ないたいと考えておるのでありまして、具体的に、ただいま名称もございました福岡、川崎、あるいは札幌等におきまして御希望があるやに伺っておりますので、できますれば、大体時期を同じゅうした、あんまりぼつぼつ一つ一つということもどうかと思いますので、できますれば、時期その他御希望を徴しながら、歩調を合わせて指定をしたらいかがなものであろうか、大体そういうようなことを考えております。
  231. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうしますと、まだ、時期についても特段のお考えもないわけでございますか、その指定といいましょうか、指定都市をおつくりになる時期につきまして。
  232. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) ただいま具体的に、その三都市につきましての御希望を的確にまだ伺ってもおりません。しかし、そろそろそういう御希望も出かかっておるやに伺っておりますので、そう長くない将来に、三都市についての指定というものは実現の方向に向かうものと、こう考えております。
  233. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 先ほどちょっと触れましたけれども、指定都市そのものの誕生ということが、やはりこの道州制などを実現する上に、ちょっと矛盾した存在になりはしないか。といいまするのは、結局、指定都市というのは県と同じような団体というふうにみなされているのだと思いますが、したがって、道とか州とかというものをつくった場合には、要するに、県を減らしてといいましょうか、県をなくして、あるいは合併のときもそうでございますけれども、県そのものを撤廃して、そうして三県なら三県を一つにするというようなことからいいますると、さらに県と同じような地方団体を、指定都市をつくるということは、総合していこう、広域化していこうという考え方とまさに正反対のような行き方じゃないかと思いますので、その辺どのように考えたらいいのか。どのようなお考えをお持ちなのか、承りたいと思います。
  234. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) お説でございますが、これは、ただいまの国と市町村との中間的な組織体としての府県というような本質に格上げされていくというふうには私ども考えていないのでありまして、したがって、府県をふやしていくのだという本質を持っておるものとは考えておりません。やはりどちらかと申しますれば、本質論をいえば、市町村段階の特別の市である。そういう中間的な、国と市町村との間における市というもの、府県をまた新たにつくったものであるとは考えていないのでありまして、したがいまして、地方の要望に応じてあくまでも特別市をつくるのだ、府県をつくるのではない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  235. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 それでは、最後にいたしますが、いま道州制の問題といい、また府県合併なんかの構想におきましても、どちらかというと、何といいましょうか、上から与えたといいましょうか、道州制そのものも、いまのところ商工会議所というような経済団体から出た案でございますし、また府県合併につきましても、どっちかといえば自治省、まあ政府、あるいはまた各有力県の人々というか、指導者というような方々から出た案であって、ほんとうの住民からの声としては出ていないのが実情ではないかと思いますが、要するに、広域化も必要ですけれども、やはり住民の声をまとめていき、そしてほんとうに初めて理想的な地方自治というのは確立できるのじゃないかと思いますが、先ほどの、いま触れました府県合併なんかにおきましても、むしろ住民投票を省略して地方議会の県議会、府議会の決議だけで実現させようというような動き、要するに、住民の意思を軽視するような性格といいましょうか、行き方といいましょうか、それが見受けられるわけですが、それは非常に遺憾だと私は思いますので、その意味におきましても、やはりほんとうのこれまで育てられてきた地方の自治というものをあくまで尊重されて、大臣はよく検討して、道州制なり、あるいは府県合併案なりを推進していかれると思いますが、その一番肝心の地方住民の意思、自治というものを根本においてやっていかれることをお願いして、私の質問を終わらしていただきます。
  236. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 午前中の和田委員の御質問に対して答弁を留保しておりました。資料が整いましたのでお答えいたします。  食品衛生の関係の監視率でございますが、御指摘にありましたように、全国平均では二八・九%でございます。県ごとに若干のばらつきがございまして、平均の一六・九%をこえます府県は二十府県でございます。なお、二〇%以上こえます府県は十一府県でございます。さらにこれを業種別に見てまいりますと、これまたかなりばらつきがございまして、かなり高いものから申し上げますと、乳処理業、これが六五・二%、それから乳製品製造業三四・五%、魚介類販売業二六・八%、魚介類せり売り業五〇・一%、魚肉練り製品製造業二六・六%、あん類製造業四二・三%、食肉処理業七四・二%、食肉製品製造業七五・六%、マーガリン製造業七七・九%、とうふ製造業三〇・五%、乳酸菌飲料製造業六一・八%、清涼飲料水製造業六七・五%、まあ若干のものを拾い上げて申し上げたわけでございますが、こういうふうになっておりますが、一般の飲食店営業分が一一・一%でございます。これは御承知のように、施設数から申しましても非常に施設数が多いわけです。そういうふうな飲食店営業に対する実施率が低いところから、全体平均では一六・九%になっておるものと、こういうふうに思っております。
  237. 和田静夫

    和田静夫君 各県別の資料をあとでください。それから業種別のやつでございますね。  そこで、このことについて総括的に大臣にも提言をしておきたいと思うのですが、きょうから、先ほど四十三年度の実は決算の審議に総理が出て、入ったばかりですけれども考えてみますと、四十三年度を前後して、たとえばカネミ・ライスオイル中毒事件、あるいは森永のドライミルク砒素事件などなどが起こっております。そうして、これらが未解決のままなんですね。そこで、その口から食べものとして摂取されたものが原因となって、二度と取り返しのつかない奇病におかされている、こんなことが許されてよいはすがないわけです。油にしてもミルクにしても、きわめて日常的な食品であってみれば、いつまた同じような事故が繰り返されないとは言えません。このようなわずかな危険性の芽を根絶することを考えなければならないということが一つあると思います。それから、さらには、いわゆるうそつき食品の一般例として、羊頭狗肉のたぐいというのは、これはあとを絶ちません。昨年あれほど騒がれたチクロにしても、回収されたものが、一体、廃棄されたのやらどうなんだということがさっぱりわからぬ状態なのです。そこで、食品衛生監視員の一人の増員もこの四十五年度地方財政計画では見込まれないということは、私は明確に誤りだと思う。それは、答弁の中では、ずっと年々二名ぐらいずつふやしてきて、その実態をいま集計をしておるというような形での答弁があったのですが、それはもう全く実情との見合いにおいては了承することができない答弁です。  そこで提言ですが、食品衛生監視行政が、各県段階における重要な行政になってきている、そういうことにかんがみまして、自治大臣は、厚生省から要求がなかったから、これはもうゼロでよろしいのだなどというような先日の答弁ではなくて、逆に、厚生省に対して、食品衛生監視行政の充実などということに対して具体的な提言を行なうべきだと思うのです。たとえば、加工食品について、これは点検済みだというような封印を押す。いま買うほうの側は、検査を受けた食品なのかさっぱりわからない状態に置かれておるわけですから、そういう制度などというものを考えても私はいいのじゃないだろうか、そう思うのです。そうすれば、消費者は安心をして買えるわけです。そういう食品衛生監視行政を充実をさせていく、そういう努力をされるおつもりはございませんか。
  238. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 地方財政計画に食品衛生監視員が本年度増員ということに至らなかった事情は、この前、私が申し上げたところでございますが、厚生省におきましても、もちろん食品衛生の関係の重要性というものは十分認識は遂げておるようでございますが、ただ問題は、いま御指摘ございましたように、いろいろな問題が現在起こっておりまして、やはり抜本的にこの測度の根本にさかのぼって検討をいたしたい、検討しておる、そういう形のようでございまして、これに伴いまして、用意のでき次第、いわゆる食品衛生そのものの制度改革を行ない、それに必要な財政措置その他については四十六年度以降にぜひとも協力をしてほしいというような考え方というものは、私どものところに実は参っております。私どもも、もちろん事柄の重要性について云々しておるわけではございませんけれども、やはり増員ということに一定のワクもございまして、必ずしも十分にいかない。そちらばかりやると、ほかの順番の違っておる、おくれておるところもあるというようなことが地方あるいは関係省を通じていろいろと意見として最終的に整理されるわけです。その点で、ことしは抜本改正も控えておるというような状況もあったと思いますが、一応ことしの財政計画の中には実現をしなかったという事情でございますので、大臣がお答えします前にちょっと申し上げておきます。
  239. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 先般もお答えを申し上げましたとおり、食品の衛生をもちろん含めまして公害の問題は、実は実際の問題は地方自治体の大きな問題なんです。しかし、本質的にはこれまた厚生省なり各関係省の問題でございます。しかし、地方住民影響される問題、それは直接自治省のまた管轄下にある、こういう問題でございます。そこで、これはもう関係各省と十分連絡をとり、検討をしながら進まなければなりませんが、しかし、自治省自治省立場において、やはりこの問題を重視して地方住民の福祉を増進し、それを擁護する立場におきましてとるべき処置を従来にも増してとっていかなければならない、前向きにとっていかなければならないと考えております。どうしたらいいか、なかなかむずかしい問題もまた多岐にわたってあろうと思います。しかしながら、これに取り組んでいかなければならないということを考えておるのでありまして、先般お話のありました、前にも実は省内においてこのことを検討もいたしました。その後さらにこの問題につきましても検討を命じまして、何らかの具体的方策を、各省との間の連絡をとりながら、積極的に対処したいということは考えております。どの程度できますか、いろいろ財源上の問題もございますが、とにかく単なるその場限りの答弁でなく、積極的に前向きに誠意を持って検討し、かつ取り組んでいきたいと考えております。
  240. 和田静夫

    和田静夫君 先日来いろいろと質問してきましたが、この質問の冒頭に述べましたように、私は地方財政計画上のさまざまな数値、客観的数値とのかかわり合いにおいて、きっちり理論計算されているのかどうかという疑いを残念ながらすっきり解くことはできないわけです。いまも持っています。それはまあいままでの質疑を通じて私の疑いが全く無根拠ではないことも、また逆の意味では証明されたことと思うのです。そこから地方財政計画の本質が何といっても問われ始めてきているのだということを強調せざるを得ません。私は再三地方財政計画額と決算額との開きを問題にしてきたのも、そのいわば技術的な事情をお聞きをしたのではなくて、実は地方財政計画というものの本質、客観的な意義を私なりに問うてきたつもりでございます。いままで大臣からなされた答弁が必ずしも私の問いにかみ合っていなかったのが残念でございますが、十分今後のいわゆる作業過程などで、私の行ないました理論展開などについても十分な配慮やしんしゃくをしていただきたい、そういうふうに意見を述べまして私の質問を終わります。
  241. 山内一郎

    委員長山内一郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  242. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 速記をつけて。
  243. 原田立

    ○原田立君 いろいろと他の委員質問等をお聞きしていて、どうしてもぬぐい得ない考えがあるのです。要するに、地方交付税及び地方財政地方財政計画というようなものに地域住民地方団体意見というものがもっと反映されなければいけないのだ、地方の意思というものがそこにもつと入り込まなければいけないのだと、こういうふうなことは大臣も局長もそういうふうに言うのだけれども、おしまいのほうに行くと、やはり国の側に立っての発言ということになって、その点非常に不満な気持ちでいるわけです。それで、基本的な問題になるわけでありますけれども、従来、自治大臣あるいは大蔵大臣は、地方交付税は地方固有の財源であると、こういうことをしばしば言明しておられるわけでありますけれども、これを一体、そのいわゆる固有の財源というのをどういうふうに理解したらいいのか。固有の財源であるならば、ひもつきではないはずだ、自由に使えるべきお金であるべきはずだ。ところが実際は自由に使えない、こういうふうなことがあるし、前に、前の局長が、保障された地方固有の財源であるというまことに奇妙なお答えがあったように記憶しております。まあそこら辺前置きはこのくらいにしておいて、地方固有の財源というのは一体どういうふうにとらえておるか、その点お伺いいたします。
  244. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 地方の固有財源といいますのは、やはりいわゆる自主財源といいますか、自主財源であり、固有財源であると、こういう言い方もあるわけでございますが、そういう意味で、国からの補助金とか交付金とか、特定の使途を指定いたしまして国からのひものついたような支出金ではない、つまり地方の一般財源として、地方が固有に、自由に、お話がございましたように処分をしていい財源である。つまりそういう意味では国と地方との間で税源を分け合いました、その分け合った一つの部分を構成するものだ、そうして地方が自主的に始末をし、処理するのだ、こういう考え方でございます。
  245. 原田立

    ○原田立君 地方交付税法第一条には、「地方、自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。」そうして、「地方団体の独立性を強化することを目的とする。」と、こういうふうにあるわけでありますから、そこに何ら国のほうからよけいな干渉なり関与なり等があってはならない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  246. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) この交付税をどういうふうに使うかという問題は、これは全く地方が独自に決定するということに相なるわけであります。ただ、交付税法では、要するに収入と需要というものを考えまして、そうしてどれだけの交付税を配分すればよろしいかという一応のめどをつけなければなりません。それが交付税法に言ういろいろな計算の手続である。したがって、それは一応の、めどというのは言い方が非常に俗っぽくなりますけれども、一応のそういう計算を通じまして各行政費目について財政需要を測定し、それから同時にそれぞれの団体の標準的な財政収入を算定をいたしまして、そうしてその差につきまして交付税を配分する、こういうことで、そういう差額というものをつくりますための一応の計算でございます。したがって、その計算が絶体絶命であるというわけではございません。受け取りました地方団体は、その自分の必要に応じましてこれを一般財源として用いていく、こういうことでございます。
  247. 原田立

    ○原田立君 それではお伺いしたいのだけれども、四十五年度の国庫補助金、これは二兆四十億円と聞いております。それで、これに伴う地方負担、法令による必要経費、これが一兆二千八百四十三億円と計算をしております。そうすると、これらがほとんど交付税で見られているわけですね。私はそういうふうに理解しているのですけれども、そうすると、いま局長は、地方交付税はひもつきではないと、自主財源であると、こういうふうに言っておるのだけれども、国庫補助負担金に見合うものが大部分は地方交付税で見られている。こうなると、それは実質的に自由に使えるというのではなく、その部分においてはひもつきじゃないですか。
  248. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) まあ、その点で申し上げますと、たとえば不交付団体の場合等を考えてみますと、不交付団体の場合には交付税が参りませんので、これは全部税金でまかなうわけでございます。その場合に、道路なら道路を整備するという場合には、三分の二のこれに伴う国庫補助金が参るかもしれませんが、あとの三分の一は税金の一部を充てなければならない。しかし、私が申し上げているのは、税とか交付税というものは一般財源でありまして、要するにそういう意味で、その道路をどうしても直す必要があるというときには、国からの補助を受けて、その三分の一の地方負担、自己負担というものは税なり交付税でもって充てる、こういうことになるわけです。少なくともその限りにおいては、三分の一の地方負担分について一般財源を充てるということはひもつきじゃないかというお話でございますが、これは補助金がそもそもそういう意味のひもつきとして出るという補助条件があるわけでございます。それがいいか悪いかということは、補助金の補助のしかた、負担金の負担のひものつけ方という問題にむしろなるわけでございまして、そういう三分の一の一般財源を投入することが、一般財源が強制されるということは、むしろ補助条件なり交付条件なりの問題としてお考え願ったほうがいいんじゃない、だろうか、こう思います。
  249. 原田立

    ○原田立君 だけれども、あれじゃないですか、国庫補助金があると、その際に、これは国の施策で行なうものであり、あえて言えば、国のほうから、こういう計画だから地方もそれでやれよと、こういうわけで地方の負担金というものがあるわけですね。三分の一とか三分の二というのは、そういうような話だと思う。だけれども、それがおもに交付税で見られている、実際は。となると、地方独自の立場からやりたい仕事に対しての使うお金というのではなしに、国の施策ということが大前提になっての仕事、すなわち、それに対する国庫補助金の裏負担、こういうことになって、そうすると、地方交付税そのものが、一応は自由に使える金であると言いながらも、裏に回ってはそういう使途がはっきりきまっている。下世話なことばで言えば、ひもつきということになって、自由に使えないと、そういう性格を帯びているんじゃないですか。
  250. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) そういうふうに使途を強制されたと同じような実態ではなかろうかという御趣旨であれば、私ども、ある程度そういう面があるということは申し上げてもよかろうかと思います。しかし、そのよってきたるところは、現在の交付税制度とか税制に問題があるといいますよりは、むしろ国の補助事業なり何なりという、国の要するに補助金のあり方、補助行政のしかたの問題、こういうことになるのじゃないかと私は思うわけでありまして、そういう補助金をたくさんこしらえまして、国が国の施策の実現のためにいろんな条件をつけて、地方団体を行政的にも財政的にもコントロールしておるというしかたが問題だということになる。つまり、補助金の総量なり補助のしかたというものを考えなければいけない。ただ、純粋の補助事業でございますと、いまさっき申し上げた例が必ずしもいいとは思いませんが、かりにその仕事補助金をもらって受ければ、三分の一どうしても地方としては負担をしなければならない。それがいやだというのであれば、補助金を受けなければいい。補助金を受けなければ、自分でその三分の一分は使わないで自由な仕事ができるわけですが、おまえそんな器用なことを言うけれども、現実的には補助事業の量が非常に圧倒的である、また補助事業地方団体が非常にしたい仕事じゃないかという御指摘もあろうかと思います。そうなりますと、地方もそういう条件をのんでと申しますか、そうして三分の一の負担をつける。そういう仕事ならば、国がいろいろしつらえまして、地方にあれかこれかということに迫っているような実態が、少し行き過ぎているじゃないかという御意見でありますれば、やっぱりそれは補助制度なり何なりのあり方の問題として、私どもは、あまり多くの補助事業を、実質的に地方を強制するような運営になることは、好ましいとは決して思っていないわけであります。そういう補助制度のあり方の根本的な問題ではなかろうかと思うのでございます。
  251. 原田立

    ○原田立君 どうもあんまり納得しない意見ですけれども、それに関連して、関係してもう少し進めてみたいと思うのですが、第二条の一には、地方交付税、これの定義が入っているのですけれども、その中に、「第六条の規定により算定した所得税、法人税及び酒税のそれぞれの一定割合の額で地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように国が交付する税をいう。」、こう言っているわけですね。国が交付する税と、こうなると、ちょっと私は法律上の読み方というのははっきりしないのだけれども、よくわからないのですけれども、やっぱり国からもらうお金である、こういうふうな表現であると、こう思うのです。先ほどの局長の答弁ですと、これはもう純然としたひもつきでない地方団体固有の財源であると、こうなれば、国が交付する税というのじゃなくて、地方自治団体固有の財源である、そこまで法律を変えなければいけないのじゃないだろうか、かように思うのですけれども、その点はどうですか。
  252. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) それは、地方交付税という名前も、いまの交付する税であるという法文のたてまえを明らかにするために交付税という名前がついておるとも思われるのでありまして、国税三税は国が徴収するわけでありますから、その国が徴収した中の一定割合——現在でありますと三二%というものを当然に地方団体の分として交付税相当額は交付税として交付しなければならない。それは国が一応徴収いたしますから、国から交付するということになる。しかしながら、それは単に交付金とか補助金とかいうものじゃなくて、いわゆる税源を、国税三税の中の三二%は地方の取り分だ、地方の税源も国の税源であるけれども、地方の税源としての取り分だということで、税源を地方に分けているんだ。実際問題としては、それが国税収入の税資金から、現在は国の一般会計を通じまして、交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れられる、こういう形をとっておりますけれども、単に補助金とか、そういうものじゃなくて、税としてその三二%分は地方の取り分であるということは明らかにされておるんではなかろうか。まあ交付税という名前はその交付する税であるというところから私はきておるんだろうと思いますが、交付するということを言うからといって、それがひもつきだということにならないことは、交付税法の内容からおわかりいただけるものだと思っております。
  253. 原田立

    ○原田立君 要するに、私は自由に使えるお金ではないんだということを言いたいわけなんです。先ほど局長は、自由に使える金なんだと、こういうことを表面に打ち出してくるなら、それならばこういう国庫補助負担金なんかは負担分に使うお金というのはあるじゃないかと、こういう例をあげたわけです。それからまた、どうなんですか、この交付税法がきまった当時、地方交付税は、これは地方固有の財源であるというようなことが、あまり当時は議論の対象になっていなかったんじゃないかと思うのです。なっていなかったから、こういうふうな表現があったんではないだろうか。いまこうやって、地方交付税は性格の位置づけ等からいっても地方固有の財源であると、こういうふうにいまやかましく言われるようになった今日においては、表現なんかももっと適切に改めるべきではないだろうか、いかがですか。
  254. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) この地方交付税法は、その前に、いわゆる昭和二十五年のシャウプ勧告に基づきまして、地方税財政制度の改革の一環として地方財政平衡交付金制度というものが設けられたのでございますが、その地方財政平衡交付金制度というものは、一見理屈は非常によろしいのてございます。つまり、それは地方の財政の需要と地方の収入とを一応積み上げ計算をいたしまして、そうしてそれが足りない場合には、国がもう文句言わないで足りない分まで出すと、こういうのですから、一番理屈はいいわけですが、実際問題はなかなかそれがいかない。その反省の上に立ちまして、結局交付金を改めて交付税といたしました。そうして国税三税の一定割合といたしました。その関係につきましては、その当時の地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案、まあそういう形で現在の地方交付税法ができたわけでございますが、その提案理由を読みますと、「その総額を国税である所得税法人税及び酒税の一定割合として、その地方独立財源である性格を明らかにし、地方財政の自律性を高め、安定性を確保する」云々、こういうことになっておりますし、その次には「旧地方配付税と同じく地方団体の独立財源とすることによって、地方財政平衡交付金制度に比し、より一層地方財政の自立性及び安定性を高める」、こういうことを提案理由で述べておるわけでございます。交付税制度というものは、地方財政平衡交付金制度を改めましたときから、いま申し上げました地方の独立財源という考え方をもって交付税制度に改められたということが、提案理由説明からも私はうかがわれるかと思っております。
  255. 原田立

    ○原田立君 そうしますと、今度三年間の、国の景気政策にのっとるためにということで、地方交付税の減額措置が行なわれた。これなどは、その法のたてまえからいって、明らかにおかしいことをやっている。国のほうがことさら地方財政を押しつけるようなやり方をやっている、こういうふうに私は思う。そうすると、いま局長が読まれた一番最初のその法のたてまえからいっても、この年度間調整という問題は明らかに地方交付税の本質に違背している、こういうふうにぼくは思うのです。それはだから年度間調整なんというものはおやめになったほうがいいのじゃないか、もし局長がそう言われるならばです。
  256. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 確かに好ましくない方法でございまして、違法というかどうか、ちょっとどうかと思いますが、好ましくないことは確かでございまして、さればこそわれわれは今後はこれをしないということを申し上げているわけでございます。
  257. 原田立

    ○原田立君 大臣、今後やらないって確言できますか。というのは、なぜこんなぶしつけな質問をするかといえば、前の野田大臣もこういうことはもうやらぬとはっきり断言しているんですよ。今度またやっているのです。これはもう明らかに不信感をつのらせることなんですね。いま今回こうやって地方交付税の改正案をやっている。たまたまいまその話の途中で年度間調整の問題出てきたのですけれども、秋田大臣、今後好ましくないからやらぬ、はっきり断言なさるけれども、それはまた、来年度の話になっちゃって恐縮なんだけれども、間違いないですか。
  258. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 私といたしましては、いたさないつもりでございます。
  259. 原田立

    ○原田立君 たいへん失礼な言い方をして申しわけないのだけれども、野田大臣も大体そういうような御趣旨の発言があったのだけれども、現実にこうなっている。じゃこれは、大臣の答弁というと、これは一番いいのだから、これは最高だろうと思うのでありますけれども、これはまた大臣交代なさると、またぞろこういう問題が起きてははなはだ困るし、いま世間では、年度間調整昭和四十六年には何か法制化するのじゃないか、恒久的なやり方のようにするような、そういうようなことがちらちらと言われております。私は聞いているのですがね。そうなると、いまの大臣のお話のように、やらぬとこう言われるのが、もう少ししっかりした裏づけがないと、実はあまり信用できないという気持ちなんです。
  260. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) このような形の年度間調整というのは、これはやらないつもりでございまして、いまこれを法制化するような話があるかということでございますが、これとても、これは大蔵大臣とちゃんと話し合いをつけなければ、どっちの意味においてもできないわけだと思います。しこうして、これについては、前々申し上げておりますとおり、大蔵大臣と、先ほどから問題になっておりますように、特別会計に直ちに入れるという問題とともに話し合うことになっているのでございまして、その話し合いでぜひともきめていきたいと、こう考えております。
  261. 原田立

    ○原田立君 年来私たちも、特別会計に地方交付税は入れるべきだという主張をいたしておりまして、いまもこれからこの件で大蔵大臣と話し合うということなんですけれども、その話し合う中身とでもいいますか、自治省としての構想とでもいいますか、そういうものはもうすでにつくられておられるのか、その点はどうですか。
  262. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 具体的に、こういう点からまず入って、こういうところを主張して、こうしようというような点は、まだ話し合ってはおりませんけれども、この交付税法の趣旨に沿いまして、ただいま先生が御指摘の点、あるいは従来諸先輩、諸先生方からお聞きをいたしておりまする要旨に基づきまして、話し合いをしてまいりたいと考えておるところでございます。
  263. 原田立

    ○原田立君 それからもう一つ、念のためにお伺いしておくのですけれども、過去三回にわたって行なわれた国と地方との年度間調整、こういうような形のものはそれじゃ昭和四十六年はもう断じてやらぬと、ただしほかの形のようなものはあり得るんだと、こういうように理解してよろしいですか。
  264. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 地方財政上の観点に立った年度間調整というものは、この地方交付税法上にもそのことばが一部あらわれておりましょう。そういう意味における年度間調整というものは、それはあり得ると思いますけれども、従来やったような貸し借りという形の年度間調整は行なわないようにいたしたいと思いますが、私に関する限りは、強くその点を主張して、ぜひとも言ってまいりたい、こう考えております。
  265. 原田立

    ○原田立君 地方交付税は、本来地方団体が徴収すべきところのものを、税源の著しい偏在のため、国が地方にかわって徴収するものである、こんなふうに理解をしております。したがって、この分は可能な限り地方団体に、地方税と同じような財源として繰り入れ、地方団体財源にすべきである、だから地方交付税はできるだけ地方の自主性を尊重して、その交付にあたっては条件をつけたり使途を制限することは好ましくない、かように私は理解しているんですけれども、大臣いかがですか。
  266. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 大体私もそのように理解をいたしております。
  267. 原田立

    ○原田立君 そうしますと、やはりどうしても結論は、先ほども話が出ておるように、いままでのような年度間調整というものは全然だめだと、それからそれにまつわるような交付税率の引き下げなんというようなこともとんでもない話である、あるいはまた、この趣旨からいけば、地方譲与特別会計ですね、そちらのほうに繰り入れしていって、そして地方財政充実する、こうすることのほうがより理想であると、こういうふうなことになりますけれども、大体そういう理解でよろしいですか。
  268. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) そのように私も理解し、その方針を固執してまいりたいと考えております。
  269. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会      —————・—————