○
参考人(
磯村光男君)
東京都の
財務局長の
磯村でございます。
本日、
計画と
予算、特に
起債につきまして、都の
日ごろの
考え方を述べる
機会を与えられ、この
機会に厚く御礼申し上げる次第でございます。
御存じのように、都の
予算は国の
予算のおおむね一一%
程度、国の全般的な
財政運営の上にも非常に大きなウエートがあるわけでございまして、よきにつけあしきにつけまして、私
ども東京都のやることは
全国的にもかなり
影響がある、かような点で、常に反省を繰り返しながら
財政運営を行なっている次第でございます。都といたしましては、一昨年以来、
予算の
計画的な
執行を心がけまして、
中期計画といったものを策定いたしました。これをできるだけ忠実に
予算化する、かような点で、都民にわかりやすいような
一つの
行財政の
運営をはかっているわけでございますが、いずれも
現行制度の上に立ちまして、実現の可能なことを主眼といたしまして、毎年これを修正する、それで逐次
計画を延長する、いわばローリング・システムというようなものをとりまして、
計画と
予算の一体化といった点について意を注いでまいった次第でございます。
それで、
起債の問題でございますが、これらの
計画、これを実現するためにも非常に重要な
財源でございまして、たとえば
計画で申しますならば、
昭和四十五
年度普通会計でございますが、七千九百億円ぐらい、それに対しまして
地方債としては五百億円くらいを一応見込んでいる。また四十六
年度につきましては、八千八百億円くらいの
歳入総額に対しまして、約三十億円
程度上乗せいたしました五百三十億円を
起債財源として一応認めて計上している、かような
実態にあるわけでございます。
それで、現在の、あるいは過去からいままでに至る都の
財政収支の大まかな
状況を申し上げますと、
昭和三十七年を境といたしまして、残念ながら
実質収支は
赤字に転じたわけでございます。それで、
昭和三十九年に、これは
実質収支百三億円でございますが、これがピークでございまして、まあ百三億円の最大の
赤字を生じたわけでございます。その後各方面の御協力もございまして、私
ども逐年
改善をいたしまして、一応四十三
年度におきましては十五億円
程度、この
程度まで
改善をはかったわけでございまして、
昭和四十四
年度でございますが、まだ完全には解消できませんが、四十三
年度そこそこの
赤字には回復できる、かような
考えに立っているわけでございます。
赤字の問題につきましては、なお今後最大限の
努力を払いましてこれが解消につとめたいと、かように
考えている次第でございます。
それからもう
一つは、常に問題になりまする、都が一体富裕かどうかという
一つの点でございます。先ほど申し上げましたように、四十五
年度の
一般会計で、国の
予算の一一・四%を都が占めている。いわゆる
財政規模という意味におきましては、総体的には明らかに
税収も一番でございます。ただこのことが、いわゆる
執行というものと結びついた点で
財源が豊かであるかということは、必ずしも即断できないのではないか、かように
考えております。
現行の
制度のもとにおきまして、いわゆる地域的な
財源配分、これはいろいろな尺度があろうかと思いますが、かりに
住民一人
当たりに換算してみるとどうかといった点でございます。
昭和四十二
年度におきましては、
税収はもちろん
全国第一位でございます。ところが、
地方交付税あるいは
国庫支出金あるいは
地方債、こういった作業によりましていろいろ調整されてまいりますが、これが一人
当たりでまいりますと、
税収では第一であった
東京都が、
全国では二十七番目になるわけでございます。それで
住民一人
当たりの
財源の
ふえぐあい、これを申し上げますと、たとえば三十八年から四十二
年度まで、これの
増加の
割合を
考えますと、
東京は一・五九倍でございます。ほかの県の例を申し上げて恐縮でございますが、たとえば九州のある県では一・八七倍、
全国的では一・七四倍、かような点で、
全国的な
伸び率には
東京都が及ばない、かような反論の
見方も私
どもは持っておるわけでございます。かようなことを
前提にいたしまして、
都債の問題にちょっと触れたいと思いますが、
一般会計に限りまして申し上げますと、
起債の
許可状況でございますが、四十三
年度は
許可率は四四・六%でございました。それから四十四
年度は五〇・九%でございました。私
どもここで
許可率の
上がり下がりを実は申し上げたわけでございますが、これはいずれも
予算額を基本にいたしまして、
許可をいただきました額との
割合を申し上げたわけでございまして、私
どもは四十三
年度より
起債の
予算上の
計上額を減額いたしております。したがいまして、
予算額が減少し、反面
起債の
許可額がもし同じであるとすれば、これは
許可率は上がってまいるわけでございまして、私
どもなるたけ
財政の
健全化といったものをはかるために、いわゆるから
財源といったものをなるべく少なくすると、かような
立場から、
起債の
予算計上額は減らしてまいりました。その結果、四十三
年度許可をいただきましたのは二百十一億、四十四
年度は二百二十六億円でございます。十五億円
程度の
増加がここにあるわけでございますが、一応量的には
増加しているということがいえるのでございますが、その中身につきましては若干
意見がございまして、たとえば、四十四
年度から住宅の
用地費に対する
国庫支出金が、これが
起債に変わったことは先刻御承知のとおりだと思いますが、これによりますところの
増加というものをもしも差し引くならば、この二百二十六億というのは必ずしも多い
許可額ではない、かように
考えております。もちろん
起債充当額、それと
予算計上額、この差につきましては、私
どもほかの
財源あるいは
税収の
伸び等をもって何とか
実施をいたしてまいっておりますが、本
年度あるいは来
年度以降、こういった問題を
考えますと、いわゆる
財政運営にさらに慎重であらねばならないと、かように
考える次第でございます。
若干、希望的な
お願いを含めまして
意見を申し上げさしていただきますと、
さきに申し上げましたように、
住民一人
当たりに直しますと、これはいずれも
夜間人口でございまして、
御存じのように都の域を越えた昼間
人口というものが非常に多くなっております。それから
人間がたくさんおればおるほど、もしもそれが動かない
人間であるならばそうむずかしい
財政需要というものあるいは混乱といったものは起きませんが、それが常に活発に活動しているのが大都市の
実態でございまして、そういった点で、いわゆる
集積の利益もあることはこれは否定いたしませんが、
集積による不利益、これも現在出つつあるんではないか。一方膨大な
投資需要をかかえまして、さらに
住民に対する福祉に関する要請が強うございます。そういった点で私は、総体的にはあるいは都がかなり
財政的には
規模が大きいかもわかりませんが、はたして絶対的に富有であるかどうかといった点につきましては疑念を感ずるわけでございます。そういった点で、
社会資本の
充実等に備えまして、
起債の
財源というものは現在の都にとりまして非常に重要な
財源でございます。現在、都議会の議決が先行いたしまして、
起債を
財源に見込んでおりましても
許可がそれにない場合には、何かほかのかわりの
財源を見つけまして
事業の
執行に支障のないよう
努力をしなければならないというのが
実態でございます。もちろん、現在の
東京都だけの
立場をここで誇張するわけではございませんが、国全体の
財政金融政策、これはもちろん重要な問題であろうと思います。またそのためにも
許可制度、こういったものも必要ではあろうと思いますけれ
ども、でき得るならば、いわゆる
許可の
制度といったものを
必要最小限度にとどめていただきまして、それで
地方自治団体の
自主性、これを十分に活用していただきたいと、かように
考える次第でございます。同時に、
財源調達あるいは
資金繰りの面も考慮いたしまして、
許可をくださるならばなるたけ早期に
許可していただきたい、かように
考えている次第でございます。私
どもおひざ元の
東京都に職を奉ずるものでございますけれ
ども、
誠心誠意、いかにして国の首都である
東京、あるいは日本の代表的な都市である
東京、これをいかに住みよい、あるいは世界に誇るような町にしたい、こういった点を常々念願しておりまして、今後ともひとつ十分の御指導と御鞭撻をこの際に
お願いをいたしまして、
意見の陳述にかえさしていただきます。