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1970-04-09 第63回国会 参議院 地方行政委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十五年四月九日(木曜日) 午前十時四十七分開会
—————————————
委員
の異動 四月八日 辞任
補欠選任
鈴木
強君 加瀬 完君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
山内
一郎
君 理 事
熊谷太三郎
君 安田 隆明君
山本伊三郎
君 原田 立君 委 員 初
村瀧一郎
君 山崎 竜男君 若林 正武君
竹田
四郎
君
千葉千代世
君 和田 静夫君 阿部 憲一君 市川 房枝君
国務大臣
自 治 大 臣
秋田
大助
君
政府委員
警察庁長官
後藤田正晴
君
警察庁警備局長
川島 広守君
自治政務次官
大石 八治君
自治省税務局長
降矢
敬義
君
消防庁長官
松島 五郎君
事務局側
常任委員会専門
員
鈴木
武君
説明員
自治省税務局
府
県税課長
近藤 隆之君
自治省税務局
市
町村税課長
高橋 睦男君
自治省税務局
固 定
資産税課長
山下 稔君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
地方行政
の
改革
に関する
調査
(
大阪
市における
ガス爆発事故
に関する件)
—————————————
山内一郎
1
○
委員長
(
山内一郎
君) ただいまから
地方行政委員会
を開会いたします。
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
補足説明
を聴取いたします。
降矢税務局長
。
降矢敬義
2
○
政府委員
(
降矢敬義
君) お手元に御配付申し上げております
地方税法
の一部を
改正
する
法律案関係資料
というものの最後のほうに
新旧対照表
がございますので、これに従いまして、
要点
をかいつまんで
逐条ごと
に御
説明
申し上げたいと存じます。最初は、
新旧対照表
の三ページでありますが、第二十四条の五という
改正
でございます。これは
障害者
、
未成年者
、
老年者
及び
寡婦
の
非課税限度
を、現在三十万円でありますから、これを三十二万円に
引き上げ
ようとするものでございます。次は六ページでございます。六ページの三十四条第一項第二号の
改正規定
でございます。これは
医療費控除
の
控除限度額
を
現行
十五万円から三十万円に
引き上げ
ようとするものでございます。同じく第六号でございます。第六号から第九号までの
改正
でございますが、これは
障害者控除
、
老年者控除
、
寡婦控除
及び
勤労学生控除
の額をそれぞれ一万円ずつ
引き上げ
て八万円とすることといたしたものでございます。なお、これに伴いまして、
特別障害者控除額
を
現行
九万円から一万円
引き上げ
て十万円とするものでございます。それから、同じく三十四条の第一項第十号の
改正規定
でございます。これは
配偶者控除
を
現行
十万円から十一万円に、同じく第十一号の
改正
は、
扶養控除額
を
現行
六万円から八万円に、同じく三十四条の第二項の
改正規定
は、
基礎控除額
を
現行
十二万円から十三万円に
引き上げ
ようとするものでございます。 それから、
新旧対照表
の七ページでございます。七ページの第三十四条第三項の
改正規定
でありますが、これは、
配偶者
のいない
世帯
の一人目の
扶養親族
にかかる
扶養控除額
を九万円とすることといたしております。これは
扶養控除額
を八万円に
引き上げ
ることにより
現行
の
控除対象配偶者
のいない
世帯
の一人目の
扶養親族
にかかる
扶養控除額
八万円との間に差がなくなったわけでございます。これに伴いまして、いわゆる
母子世帯等
に対する配慮から、
特例
を設けることといたしまして、これに伴いまして、三十四条第四項を削り第五項について
所要
の
規定
の
整備
をはかることにいたしました。 次は一一ページでございます。一一ページの第五十一条の
改正
でございます。これは
市町村税源
の
充実
に資するため、
法人税負担
が
引き上げ
られる機会に、
道府県民税
の
法人税割り
の
標準税率
を〇・二%引き下げて、
現行
の五・八%を五・六%とし、その分だけを
市町村民税
の
法人税割り
に移しまして、これを第三百十四条の六の
規定
の
改正
により、
現行
八・九%から九・一%へと〇・二%
引き上げ
ようとするものであります。なお、
法人税負担
の
引き上げ
は二年間の
臨時措置
でありますが、
法人税割り
につきましては、
市町村税源
の増強の見地から恒久的に
税率
を変更しようとするものでございます。また、
道府県母税
の
法人税割り
の
制限税率
を
現行
の七%から六・六%に引き下げることにいたしました。なお、この
改正規定
は
昭和
四十五年五月一日以後に終了する
事業年度分
の
道府県民税
から適用することとしております。次は一五ページでございます。一五ページの第七十二条の十八の
規定
でございます。これは、
事業主控除額
を
現行
の二十七万円から五万円
引き上げ
て三十二万円にしようとする
改正
でございます。次は、十六ページから一八ページまでの
改正規定
でございます。七十二条の四十八第四項の
改正規定
でございますが、これは
従業者
の数を
分割基準
としている
分割法人
で
資本等
の
金額
が一億円以上のものはすべて、
現行
の
製造業
の場合と同様に、本社の
管理部門
の
従業者
の数を二分の一として算定することに改めようとするものでございます。次は
不動産取得税
について御
説明
申し上げます。二二ページでございます。二二ページの第七十三条の四第一項第三号の
改正規定
でございますが、これは民法第三十四条の
法人等
に加えて、今回新たに
社会福祉法人済生会
などの
公的医療機関
の
開設者
が設置する
看護婦等
の
養成所
において直接
教育
の用に供する
不動産
を
取得
した場合についても、
不動産取得税
を課さないこととするものでございます。それから次は、二三ページの第七十三条の四第十二号の
改正
でございますが、これは
雇用促進事業団
がその
調査研究
の業務の用に供する
不動産
を
取得
した場合においても、
不動産取得税
を課さないこととするものでございます。次は、二三ページの第七十三条の七第十三号の
改正規定
でありますが、これは八郎潟新
農村建設事業団
がその譲渡した
不動産
で
政令
で定めるものを
譲渡契約
の解除または買い戻し特約により再
取得
した場合には、この
事業団
の
性格
にかんがみ、
不動産取得税
を課さないこととするものであります。なお、旧第十三号の
規定
を削除することといたしておりますのは、同号に
規定
する
不動産
の
取得
は予想されず、今後
適用関係
が生じないことによるものであります。 次は、二四ページ、第七十三条の十四第四項の
改正規定
でありますが、これは
農業協同組合等
が
農林漁業金融公庫
から
卸売り市場近代化資金
の
貸し付け
を受けて、
共同利用
に供する
施設
で
政令
で定めるものを
取得
した場合における
不動産取得税
の
課税標準
を、その
貸し付け
を受けた額を
価格
から控除した額とするものであると
改正
しようとするものであります。 次は、二五ページの第七十三条の十四第八項の
改正規定
でありますが、これは
都市
再
開発法
により
過小床
不
交付
の場合及びやむを得ない事情により
権利変換
を希望しない旨の申し出をしたと認められる場合において支払われる
補償金
を受けた者が、
権利変換期日
から二年以内に
代替不動産
を
取得
した場合における
不動産取得税
の
課税標準
を、
取得
した
不動産
の
価格
から
従前
の
不動産
の
固定資産課税台帳
に登録された
価格
を控除しようとするものでございます。 次は、二五ページの同じく第十二項でありますが、これは
農業振興地域
の
整備
に関する
法律
に基づきまして、
市町村長
の
勧告
、
都道府県知事
の調停または
農業委員会
のあっせんによって
農用地区域
内にある
土地
を
取得
した場合における
不動産取得税
の
課税標準
を、
取得
した
土地
の
価格
からその三分の一に相当する額を控除した額とするものでございます。 次は、
市町村民税
について御
説明
申し上げます。
市町村民税
につきましては、
障害者等
に対する
非課税範囲
、
各種控除
の
引き上げ等
の
改正
は、
道府県民税
の
改正
について御
説明
いたしましたことと同様でありますので、その他の
改正規定
についてのみ
説明
をさせていただきたいと思います。 第一番目に、三五ページでございます。三五ページの第三百十四条の六の
改正規定
であります。これは第五十一条の
道府県民税
のところで御
説明
いたしましたとおり、
市町村民税
の
法人税割り
の
標準税率
を〇・二%
引き上げ
ることとするものでございます。 次は、三六ページの第三百二十条の
改正
であります。これは第三百二十一条の五第一項の
改正
と関連するものでございます。個人の
住民税
につきましては、現在
均等割り
のみの場合は一括徴収することとされておりますが、
所得割り
のみの場合等におきましても、これらとの
均衡
上、その額が
均等割り
に相当する額以下であるときは、これを一括徴収することができるように
規定
の
整備
をはかったものでございます。 次は、三六ページの三百二十一条の三の
改正
でございますが、これは、
給与所得
以外の
所得
にかかる
所得割り
を
普通徴収
の
方法
によって納税することを希望する場合には、
申告書
にその旨を記載すれば足りることとするための
改正
でございます。 次は、
固定資産税
について御
説明
申し上げます。四〇ページであります。四〇ページの第一青四十二条第三項の
改正
は、
償却資産
について
所有権留保つき売買
があった場合においては、これを売り主及び買い主の
共有物
とみなして
課税
しようとするものでございます。 次は、四一ページ、第三百四十八条第二項第六号の
改正
は、鉱山における粉じんの
処理施設
を
非課税
とするものでございます。 次は、四三ページの三百四十九条の三第十三項の
改正
でありますが、これは、
踏切道改良促進法
の
対象
となっている
新設立体交差化施設
について現在認められております
課税標準
の
特例
を、同法の
対象
とならない
新設立体交差化施設
についても適用することといたしまして、その
線路設備等
の
課税標準
は、その
施設
の
建設費
の
うち
鉄道事業者
の
負担額
の割合に相当する額とするものでございます。 次は、四四ページの第三百四十九条の三第十七項の
改正
でありますが、従来同項に
規定
されておりました内容が第十三項において
規定
されることになったことに伴い不要になりましたので、この条文を削ることといたしまして、新たに第十七項として、
営業路線
を開業するために設けた
一般自動車道
については、その
課税標準
を
新設
後五
年度
間は
価格
の三分の一、その後の五
年度
間は
価格
の三分の二としようとするものでございます。 次は、
電気ガス税
について御
説明
申し上げます。 四五ページの第四百八十九条第一項第二十二号の
改正
は、過
酸化ソーダ
、
珪酸ソーダ
を
非課税品目
から削除するものでございます。 次の四六ページの第四百八十九条第二項の
改正
は、
人工軽量骨材
(頁岩を原料とするものに限る。)及びブチルゴムを三年間
非課税
とするものでございます。 これらの
改正規定
は、
昭和
四十五年六月一日から施行するものでございます。 同じく四六ページの第四百九十条の二の
改正
は、
電気ガス税
の
免税点
を、
電気
については六百円、
ガス
については千二百円に
引き上げ
るものでございます。
本条
の
改正規定
は、
昭和
四十五年五月一日から施行するものでございます。 次に、
軽油引取税
について御
説明
申し上げます。 四六ページ、第七百条の三の
改正
であります。これは
自動車
の
内燃機関
の
燃料
として、
灯油等
の
炭化水素
にアルコールを混入したもの及びトルエンという単一の
炭化水素
が使用されていることにかんがみ、
課税
の公平をはかるため、これらの
燃料
に対しても
軽油引取税
を
課税
することができるようにしたものでございます。 なお、
本条
の
改正規定
は
昭和
四十五年六月一日から施行するものであります。 次は、
附則
の
説明
に入らせていただきますが、まず第一番に、五二ページの
附則
第十五条第三項及び第四項の
改正
であります。これは重油にかかる
水素化脱硫装置
及び
廃油処理施設
について、
固定資産税
の
課税標準
の
特例措置
の
期限
を延長し、
昭和
四十八年一月一日までの間に
新設
されましたものについて適用しようとするものでございます。また、第八項の
改正
は、
外国貿易船
による
物品運送用コンテナ
について
固定資産税
の
課税標準
を、
昭和
四十五
年度
分から
昭和
四十七
年度
分まで
価格
の二分の一としようとするものでございます。 次は五三ページ、
附則
第十五条第九項の
改正
でありますが、
国内路線
に就航するYS11型航空機について
固定資産税
の
課税標準
の
特例措置
の
期限
を延長し、
昭和
四十九年一月一日までの間に新たに就航したものについて適用しようとするものであり、また、第十項の
改正
は、
営業用倉庫
について
固定資産税
の
課税標準
の
特例措置
の
期限
を延長し、
昭和
四十八年一月一日までの間に
新設
されたものについて適用しようとするものでございます。 次に、五四ページの
附則
第十八条から六四ページの
附則
第二十九条までは、
固定資産税
及び
都市計画税
の
負担調整
についての
規定
でございます。 まず、五四ページの
附則
第十八条第一項の
改正
は、
宅地等
にかかる
固定資産税
について、その
宅地等
の新
評価額
が
昭和
三十八
年度
分の
評価額
に対する
上昇率
に応じて三
段階
、三倍
未満
、三倍以上八倍
未満
、八倍以上に
区分
し、その
区分
に応じて、毎
年度
、それぞれ前
年度
の
税負担
の一割
増し
、二割
増し
、三割
増し
を
限度
とすることとされているものを、新たに
上昇率
が二十五倍以上のものについては、毎
年度
、前
年度
の
税負担
の四割
増し
を
限度
として
固定資産税額
を求めようとするものでございます。 次に、五六ページの
附則
の第二十五条第一項の
改正
でございますが、これは
昭和
四十五
年度
分及び四十六
年度
分の
宅地等
に対する
都市計画税
については、その
宅地等
の新
評価額
の
昭和
四十四
年度
の
評価額
に対する
価格上昇率
の
区分
に応じて、二倍
未満
、二倍以上四倍
未満
、四倍以上の三
段階
に
区分
し、その
区分
に応じて、それぞれ前
年度
分の
税負担
の三割
増し
、六割
増し
、九割
増し
を
限度
として
都市計画税
を求めようとするものでございます。 次は五六ページから六二ページでありますが、
附則
第二十五条第二項から六一ページの第八項までの
改正
は、右の
都市計画税
の
負担調整
に関する
価格上昇率等
についての定義を設けようとするものでございます。 次に、六五ページの
附則
第三十一条第二項は、
毛紡績糸
及び毛織物の
製造
に使用する
電気
に対する
電気ガス税
の
税率
を、
昭和
四十五年六月一日から
昭和
四十七年五月三十一日までの間百分の四とするものでございます。 次に、同じ六五ページの三十六条の
改正規定
でありますが、これは
住民税
における
譲渡所得
の
課税
の
特例
に伴う
所要
の
規定
の
整備
であり、
土地等
にかかる
譲渡所得
は、
従前どおり国民健康保険税
の
所得割り額
の案分の
基礎
に含めるものとするものでございます。この
改正規定
は、原則として
昭和
四十六
年度
分の
国民健康保険税
から適用されるものでございます。 次は六六ページの
附則
第三十七条でございます。この
規定
は、
所得税
において、
退職手当等
の
支給額
が前職を通ずる
勤務年数
を
基礎
として算定されている場合の
退職所得控除額
の
算定方法
につき
所要
の
合理化
を行なうこととされたことに伴いまして、
昭和
四十五年分の
退職手当等
にかかる
住民税
の
うち
、すでに納付されているものについて
還付等
の手続が必要となる場合がありますので、そのための
所要
の
規定
の
整備
でございます。 なお、
退職所得
にかかる
住民税
の
特別徴収税額表
の
全文改正
を行なうこととしておりますが、これは、
所得税
における
税額表
の
改正
に伴い、
退職手当等
の
金額
の
段階区分
を
所得税
のそれと一致させるための
改正
でございます。 以上、
要点
についての
補足説明
を終わります。
山内一郎
3
○
委員長
(
山内一郎
君) これより
質疑
に入ります。
質疑
のおありの方は順次御発言を願います。
竹田四郎
4
○
竹田四郎
君
先ほど
も
大都市
の方々の
大都市財源
をふやしてくれという陳情をいただいたわけでありますが、日本の
経済成長
というものが非常に急速な形でいままで行なわれてきているわけであります。これからも、
政府
の発表でも
経済成長率
を一〇%と見て進んでいくわけでありますが、税全体の国、県、
市町村
という
三つ
の団体への
配分
というのを
考え
てみますと、国の場合には、
所得税
とかあるいは
法人税
とかあるいはその他の
税金
にいたしましても、
経済成長
の結果あらわれてくる
所得
に対する
税金
という形で、
経済成長
と
所得
の
伸び
と
税収
というものがかなり比例的に出てくる形になっておりますし、また
都道府県
の場合においても、たとえば
事業税
あるいは
自動車税
あるいは
料理飲食税
、
不動産取得税
、こういう形で、景気の変動に見合ってしかも
税収
が
伸び
ている、こういう形の税目が多いわけでありますが、
市町村
の場合には、
固定資産税
だとかあるいは
都市計画税
などというような保有
課税
的なものが非常に多い。実際上これに伴いましての
税収
の
伸び
というのは、
先ほど
も言われておりますように、
大都市
は
経済成長
の影響によっていろいろな
公共施設
を備えなければならない、あるいは
道路
の拡充をしなければいけない、
住宅
をつくらなければならない、
清掃施設
を完備していかなければならない、こういうような非常に
経済成長
に伴うところの
公共需要
というものがふえているわけでありまするけれども、それに対応するところの税の
伸び
というのはそうした形では
伸び
ていない。そういう点で国、
都道府県
、
市町村
というこの
三つ
の
段階
に分けて見ますと、国や県に対する
財源
の偏在といいますか、そうしたものがきわめて目立っているわけでありますが、こうした国税あるいは
地方税
というようなものもかなり昔にできたものでありまして、おそらく今日の年率一〇%以上というような
経済成長
というものを予想してつくられたものではないように思うわけであります。そうした
意味
では、
財源
が適正に
配分
をされて、そして
公共需要
を満たしていく、こういうことがますます必要になってくるだろうと思います。いまのままでおいていくということになりますと、一番
住民
の
サービス
の先頭を切っているところの
市町村財政
というものはとても追いついていけない。その結果
住民
への
サービス
というものの低下が起きてくる。全体として税はたくさん取られているけれども、
都市住民
に返ってくるものが非常に少ない。こういう不満というものが私は今後ますます強く出てくるであろうと思います。こういうような
財源
の不
均衡
に対する
一つ
の
措置
としての
交付税
あるいは
譲与税
、こうしたものも、私は今日の
段階
においては必ずしもその
役割り
を果たしているとは思えないわけであります。
交付税
の
性格
にいたしましても、これはかなり変わってきた、こういうふうに思うわけであります。そう
考え
てみますと、これからの
経済
の
高度成長
が続いていくという国の見通しのもとにおいては、私は当然国、
地方
を通ずるところの
財源配分
というものをすみやかに行なって
住民
の
生活環境
の
改善
、すなわち高
福祉
あるいは
内政重視
という
佐藤内閣
の要請にこたえていくためにも、私はこの辺でひとつ思い切って
税制
というものを変えてみる。そして
地方
、特に
市町村
に対する
財源
を
配分
をしていくという大きな手術をやるべき時期にきていると思いますけれども、こうした問題について
自治大臣
は一体どのようにお
考え
になっているか、あるいは
政府
全体として一体どのようにお
考え
になっているのか、明らかにしていただきたいと思うわけです。
秋田大助
5
○
国務大臣
(
秋田大助
君) 御説のように
過疎過密
の
問題等
、いろいろ
社会経済
の変革に応じまして、
都道府県
及び
市町村
間の
税配分等
につきまして、また国と
地方
との
関係
におきましていろいろ問題がありまして、ただいま
竹田先生
御指摘のように、
市町村
に対する
税配分
なりその他財政的な裏打ちにおきまして、
傾斜配分
と申しますか、さようなことを考うべき時期になっておると
考え
ております。従来、
政府
といたしましては
シャゥプ勧告
以来のいろいろの変化に対応すべく
措置
をとってまいったところでありまして、すなわち
市町村財源
の
充実
をはかる
意味
におきまして、あるいは
自動車取得税
の創設あるいは
道路譲与税
の
譲与基準
の
改正
、あるいは今回の
税制
の
改革
の
一つ
といたしまして、
都道府県住民税
の
法人税割り
の
配分
につきまして、
市町村
に
増徴分
を回すような
措置
を講じたのもその
一つ
でございます。しかしこれではまだ不十分でございまして、たとえば新
道路整備計画
の
市町村道
の
充実等
を
考え
ますと、一体どうするかということも
考え
なければならない、あるいは
過密都市
における
中小学校
の
義務教育
に対する
施設建築用地等
に対する
財源措置等
を
考え
てみましても、これは非常な大問題もここに包蔵されておるわけでございまするから、国、
地方——地方
の中におきましても
都道府県
及び
市町村
間の
事務配分
、これに対応すべく合理的な
財源
の
配分
というような点につきましては、新たに
考え
直してみまして、
関係方面
とひとつ真剣な検討によりまして、この点についての
改善
を加えなければならぬ、こう
考え
ております。そんならば一体それに対する具体的な明確な案がいまあるかと申されますと、遺憾ながらその持ち合わせがございません。ただいまのような趣旨を基本といたしまして、これらの問題にひとつ真剣に取り組んでまいりたい。そうしてその要旨は
市町村財源
の
充実
、確保の点にあることは申すまでもないことでございます。
山内一郎
6
○
委員長
(
山内一郎
君) ちょっと
速記
をとめてください。 〔
速記中止
〕
山内一郎
7
○
委員長
(
山内一郎
君)
速記
をつけてください。
—————————————
山内一郎
8
○
委員長
(
山内一郎
君) 本案の
質疑
を一時中断し、
大阪
市における
ガス爆発事故
に関する件を
議題
といたします。 まず、
説明
を聴取いたします。
後藤田長官
。
後藤田正晴
9
○
政府委員
(
後藤田正晴
君) 昨晩
発生
いたしました
ガス爆発事故
の事案の
概要
と
警察措置等
について御報告を申し上げます。
発生
の日時は昨四月八日、午後五時二十七分ごろ
ガス漏れ
、午後五時五十分ごろ
爆発
。
発生
の
場所
は、
大阪
市大淀区国分寺町五番地
先路上
、
地下鉄
二号線
工事現場
でございます。
事故
の
概要
は、その
場所
で
建設工事
中の
錦城組
の
現場責任者
が、午後五時二十七分ごろ、
現場付近
に
ガス
のにおいが充満しておるのを感じ、元請会社である
鉄建建設会社
を通じて
大阪瓦斯
、
電電公社
、関西電力、水道局、
警察署
に通報しました。間もなく
大阪瓦斯
の
応急修理車
が
現場
に到着したところ、突然単が炎に包まれた。詳細は
調査
中でございます。このため、
付近住民
や
通行人等
二百ないし三百人が蝟集し始めたので、
現場
に先着のパトカー及び
警察官
がこれらの者を
整理誘導
中、大きな
爆発
が起こり、
地下鉄工事現場
に敷き詰めてあった
コンクリート製
の板がふき上がり、多数の
死傷者
を出しました。また、
爆発
により
付近
の
住宅
など三十八戸が炎上したほか、沿道二百メートルにわたり、
住宅
、
店舗
、
事務所等
の
ガラス窓
などが
破損
をしました。その後民家の火災は
市消防当局
の
活動等
により午後八時五分鎮火し、
ガス
の火も同九時四十分ごろ消えました。
被害
の状況ですが、本朝午前七時現在、
人的被害——死者
七十名、負傷二百八十三名、
うち重傷
百六十六名、計三百五十三名。この
うち
警察官
は、
重傷
後死亡一名、軽傷三名、計四名でございます。
うち
一名は
機動隊警部
でございます。
物的被害——住宅
、
店舗等
の全半焼三十八戸、爆風により
付近家屋
の
ガラス
及び
付近
に駐車中の車両の
破損等
が多数ございます。
警察
の
措置
でございますが、
警察庁
は午後六時、
警察庁
内に次長を長とした
保安
、
刑事
、
警備各局合同
の
対策本部
を設けました。また、現地の
警察措置
の指導のために、
刑事局長
、
保安部長
、捜査一
課長補佐
、科学
警察
研究所の技官の四名を昨晩十時半に
大阪
府警に派遣をいたしました。 次に、
大阪
府警の
措置
でございますが、初動
措置
として、その端緒と即応
措置
について御報告申し上げます。 午後五時三十分
地下鉄工事現場
作業員から、
ガス
が漏れ、路上にあふれ、煙が出ている旨の二〇番通報があり、所轄曽根崎
警察署
パトカーが同三十二分ごろ
現場
に到着しております。
大阪
府警では、同時刻機動隊に出動準備を指令をいたしました。一方、同時刻ごろ曽根崎
警察署
員が天六交差点で交通整理中、東方に煙の上がるのを現認し、直ちに東行車両の通行禁止
措置
をとりました。さらに午後五時三十五分ごろには、大淀
警察署
天六派出所に通行人から、
ガス
が燃えていて危険である旨の届け出があったので、同派出所の巡査三名が
現場
に急行したところ、
現場付近
で
ガス
会社のパトカーが燃えており、
付近
にやじ馬が蝟集しておったので、雑踏整理に当たっております。その後曽根崎、大淀両署の派出所、パトカー等から
現場
へ到着した
警察官
が、蝟集した群衆等の規制、避難誘導に当たっております。その
警察官
の数は当初十八名、最終百二十五名でございます。 次に、機動隊の出動でございますが、六時三分、機動隊三個中隊が
現場
に到着し、所轄
警察署
員を含めて七百人が交通規制、避難誘導及び救護に当たっております。 本部の
措置
としましては、
事故
発生
と同時に、府警本部長を長とする
地下鉄工事現場
爆発
事故
災害警備本部を現地多重車に設置し、死者、行方不明者の捜索、負傷者の救助活動、
被害
の
調査
、捜査活動、民衆の人心安定のための広報、一般人からの問い合わせに対する窓口体制の確立などを重点に、部隊活動を行なわせております。 捜査の状況ですが、午後六時、曽根崎署に特別捜査本部を設置し、捜査四課員八十人、所轄曽根崎、大淀両署捜査員七十人、計百五十人の体制で、業務上過失致死傷罪の疑いで捜査を開始をして、
現場
の保存とか死体の身元確認、検案等を順次その後行なうとともに、工事
関係
、
施設
の維持管理
関係
等について順次事情を聴取するなどして、
刑事
責任の所在の究明に現在つとめております。なお
現場
検証につきましては、本朝、実施をいたしております。 その他、本日は
現場
保存に機動隊一個中隊を中心とする四百八人を充てるほか、
事故
現場
が復旧するまでの間、
警察官
百五十人をもって、
現場
を中心として交通規制の実施にあたっております。 本朝までの状況は以上のとおりでございます。
山内一郎
10
○
委員長
(
山内一郎
君) 松島長官。
松島五郎
11
○
政府委員
(松島五郎君) 消防としてとりました
措置
について御報告を申し上げます。 四月八日、十七時二十七分、消防本部は、二九番で
ガス漏れ
のあることを覚知をいたしております。直ちに北署浮田出張所より消防車の出動を命じまして、消防車が五時三十二分に
現場
に到着をいたしましたが、そのときはすでに
大阪瓦斯
株式会社の
サービス
カーが
現場
に到着していたのでございます。十七時三十九分に
ガス
会社の
サービス
カーが炎上しているという情報がさらに入りまして、十七時四十分、東方面隊の無線車を出動させ、さらに四十一分には第一出動を発令いたしまして消防車両六台が出動をいたしました。四十九分になりまして、
ガス
爆発
による負傷者が多数あるという情報が本部に入りまして、救急車五台に出場を命じました。たまたまこの情報の入りました四十九分に、さらに第二回目の大
爆発
があったわけでございます。そこで五十三分には第三出動を命じまして、十一台の消防車両が出動し、五十五分には
大阪
市内の全救急車の出場を命じました。二十二台が出場をいたしました。十八時十三分には第四出場ということで、
大阪
市内の消防力全部をあげまして六十四台の消防車両が出場をいたしております。出場人員六百名に及んだわけでございます。
先ほど
警察庁長官
からもお話がございましたように、
道路
沿いの
付近
の商店、
住宅
街に火災が延焼をいたしましたが、これに対しましてまず鎮火に当たったわけでございますが、私どもの受けました報告では、十八時五十五分に一応延焼の鎮圧に成功し、二十一時三十八分に建物火災のほうは全部鎮火をいたしております。焼失面積が約二千百七十平方メートルということでございます。二十一時四十分ごろには、
ガス
管からの火災も鎮火を見るに至りました。この
事故
によります
死傷者
等につきましては、すでに御報告がございますので省略さしていただきますが、それぞれ救急車、救急隊によりまして、
付近
の病院等に担送をいたしたわけでございます。 なお消防庁といたしましては、昨夜永瀬予防課長、それから消防研究所から担当官をそれぞれ派遣をして、実態
調査
並びに原因の
調査
に当たらせている次第でございます。
山内一郎
12
○
委員長
(
山内一郎
君) これより
質疑
に入ります。
質疑
のおありの方は順次御発言を願います。
山本伊三郎
13
○
山本伊三郎
君 突然の
事故
で、
警察庁
なり、消防の報告、まだ十分な最後の原因
調査
等ができていないようでございます。御存じのように、大淀区国分寺町辺は淀川のデルタ地帯で、非常に地盤が悪いのです。したがって、
地下鉄
工事には相当問題があるということを私聞いておったのですが、新聞その他いまの報告によりましても、責任の所在がどこにあるか
調査
中だということでございますが、
ガス
が漏れておる、あの
爆発
するときに、
現場
におった人は早くから消えておったということです。いま報告を聞きますと、周囲の人家の人が見つけて一一〇番に連絡したという話ですが、しかも
現場
の人はもうすでに、
死傷者
も二人ぐらいで、全部出てしまっておる。それだのに、そういうことがなぜ未然に防ぎ得なかったか。私はまだ
現場
へ行っておりません。昨夜、実は
警察庁
から夜中にもかかわらず情報を提供していただきまして感謝いたしておりますが、したがって七十人も
死傷者
が出て、百名以上の負傷者が出たということは、これは私ちょっと想像できない。どこかに私は大きなミスがあったと思うのですが、
ガス
が
爆発
する前に何か予防策というもの、そういうものを緊急
措置
する
方法
が、いまのところ追及するのは無理かと思いますが、なかったかと思います。もうすでに相当時間がたっておる。そういうことについてまだ明らかになっておりませんから、たとえば
ガス
会社の責任であるか、
地下鉄
施工者の、要するに業者の責任であるか。また市当局、いわゆる交通当局が
保安
施設
に対する監督が不十分であったのか、この点についてわかっておればひとつお知らせ願いたい。
後藤田正晴
14
○
政府委員
(
後藤田正晴
君) 私ども、さしあたりの処置としましては、
被害
者の
先ほど
御報告しましたような救助であるとか、あるいは御家族の方へのいろいろな案内連絡であるとか、こういったことをやっておりますけれども、同時にこの事件が業務上の過失致死傷事件としての疑いがあるということで、その原因を現在究明中でございます。その究明の結果、一体工事者の責任があるのかないのか、あるいは
ガス
会社のほうに責任があるのかないのか、こういったことは、その
調査
の結果漸次明らかになってくるであろう。ただこの種の事件は、私どものほうにも科学捜査研究所等に専門技術者おりますけれども、やはり専門的な検討をお願いをしなければならない、こういうふうに
考え
て現在やっておりますが、現状では、責任の所在等についてはいまだ明確でございません。
山本伊三郎
15
○
山本伊三郎
君 ああいう
地下鉄
工事等の
都市
再開発によるいわゆる認可官庁といいますか、あれは、
警察
は、たとえば工事をする場合に交通上の何といいますか整理、取り締まるために連絡を受けるだけで、その他の工事に関する問題については、
警察
は一切そういうものについては
関係
ないということですか。
後藤田正晴
16
○
政府委員
(
後藤田正晴
君) この種の工事につきましては、どうしても
道路
使用が、地下といえども、地上で必要なわけですから、
警察署
長の
道路
使用許可が行なわれるわけでありますが、その際に、
警察
は
道路
交通法上の観点からの許可、したがって交通の安全と円滑をはかる、そのための支障の有無ということで許可の有無をきめて、右、左をする、こういうことをやっておりますが、それ以外に、おそらくや、私よそのことはわかりませんが、
ガス
を使えば
ガス
について、あるいは
道路
工事については建設という立場から、それぞれのお立場でお扱いになっておると思いますが、これは私は承知を詳しくしておりませんので……。
山本伊三郎
17
○
山本伊三郎
君 この問題については、
警察
関係
では予防対策というのは無理だと思うのですが、その後の
措置
についてだけ聞きますけれども、いまの御報告によりましても、
爆発
はあとで起こったわけですね。そうして
ガス
が充満してあぶないというので、工事
関係
者は私は避難したのじゃないかという推測なんです。ところが
付近
の人は、火が出ているというので、これは死者の方には酷な言い方かもしれませんが、やじ馬根性で一応そこへ集まっていった。——これはやじ馬じゃなしに、どういうことか不安の感で集まったことと思うのですが、それがほとんど死亡者の
事故
になっているのですね。したがって、そういう危険だということがわかっているのに、なぜ緊急な処置がとれなかったか、ちょっとその点私は疑問があるわけですが、消防車のかけつけたのは五時三十二分ですか、行かれたのですが、そのときには
ガス
会社のパトカーが燃えておった。消防署
関係
にはそういう責任があるかどうか知りませんが、そのときに私はある程度群衆がそこにおったのじゃないかと思うのです。それに対して、消防官あるいは
警察官
が、これは危険だということで立ち入りを拒否して、それを分散させて退避させるというような処置が、
爆発
までの間にちょっと時間があるのですが、とれなかったのかどうかというこの疑問が私はあるのです。しかし、私
現場
を見ておりませんし、皆さんの報告と新聞記事だけで質問しているのですから、非常に私も自信のない質問だと思うのですが、その点どうですかね。
後藤田正晴
18
○
政府委員
(
後藤田正晴
君) 仰せのように、この種事案を結果として見ますというと、やはりそういった際の、大惨事が起こるまでの間に何らかの有効な手が打てないのか、これはいつも私自身も感ずるところであります。今回の事件について、現在までの報告で見ますと、五時二十七分ごろに、通報がそれぞれのところに
現場
の工事
関係
者から入っております。ところで、私どものほうの
現場
へ行った
警察官
は、三十二分にまずパトカーが行っております。それから同じ時刻に、少し離れているようですが、天六交差点で交通整理中の巡査が、煙が上がっているのを現認して、通行規制をやっております。なおまた十八人の者が、
爆発
前に
現場
でそれぞれ活動をいたしております。で、機動隊の着いたのは、残念ながら六時三分、五十分に
爆発
を起こしておりますので、まず十八人が通報を受けた二十七分から
爆発
の五十分までの間に
現場
に行っておるならば、私は現状から見まして、やはり現在の
警察官
の配備その他から見ればこの程度は精一ぱいじゃなかろうかと率直に私はいまは感じております。しかし、いつもこういう事件が起こりますと、何とかこの際に百名か二百名の
警察官
が
現場
へ行けぬものかなと思いますけれども、これはなかなか私は、
現場
にそれまでなぜできぬのだと言うのは少々無理ではなかろうか、まずこの程度であればやむを得ぬのじゃないかというのが私の現在の率直な感じでございます。
山本伊三郎
19
○
山本伊三郎
君 私は
警察官
、それを責めようという
考え
ないんですが、その
現場
にはもうすでに
ガス
会社のパトカーが行っておるんですね。専門家が行っておるんですね。それから工事
関係
者も私おったと思う。したがって、その危険は
警察
側も認識していられる。ただ群衆に対して指示するだけですから、その
現場
のいわゆる専門家と申しますか、技術者と申しますか、そういう者は
ガス
が充満しているとわかると思うんですね、
爆発
するということが。危険だということで、その間の
現場責任者
と
警察
に対しての連絡といいますか。危険だからどうしてもこれは群衆を散らしてくれと、退避さしてくれと、こういう
措置
が全然新聞記事で見ましてもないんですね。私は、
現場
の人は全部逃げちゃっておらぬのか、で、
警察
が行ってうろうろして何かわからないと、その間に
爆発
してしまった、こういう不手ぎわがあったんじゃないかという私のこれは推測であります。少なくとも私は、
現場
があれだけの大きい工事ですから、長らくやっているんですよ。一年ほど続いているんですね。
先ほど
申しましたように地盤が悪うございますからね。そういうことですから相当私は
現場
に、しかも五時でしょう、夜中であればまた手を打つことありますけれどもね、いわゆるラッシュアワーの一番混雑するときですから、
自動車
でもね、向こうは。そういうときに、
現場
の人と
警察官
との間の連絡も私は十分できてない。火が燃えておるからというので
付近
の人が連絡したと、これは新聞記事ですよ。そういうことがあって許せるかどうかということは非常に私は、一応施工者といいますか、
現場責任者
に憤りを感じておるんですよ。その点については
警察
の立場としてどう思われるか。また、これは
自治大臣
に尋ねるのもどうか、無理かもしれませんが、
地方行政
の立場から、また閣僚として、大臣としてどういうお
考え
であるのか。いわゆる何といいますか、広い範囲の
保安
施設
なり
保安
関係
のものに非常に私は問題があると思うんですが、その点どうですか。
後藤田正晴
20
○
政府委員
(
後藤田正晴
君) 私のほうにもそういった御質問の内容のような趣旨の連絡が
工事現場
の人からあったかどうかということは、報告は聞いておりませんが、ただこの事案については、
工事現場
の作業員から、
ガス漏れ
があったという連絡を受けて活動を開始しておるわけです。ただ、群衆等が集まってくるときに、
ガス
爆発
の危険の予知ということについて、
爆発
危険の予知については、これはなかなかしろうとにはちょっと気のつかない、やはり年じゅうそこで工事を扱っている人が気のつくことで、これはあぶないから云々という、こういう処置をとってくれということを連絡があったかどうか、これはやはりこれからの、過失の有無ということについての
一つ
の捜査の着眼点ということになろうかと思いますので、捜査結果を見なければ何とも言えません。そこで、私どもとしては、どのような工事
関係
者がおったのかということは、これから
調査
をいたしたい、こう思っております。
松島五郎
21
○
政府委員
(松島五郎君)
現場
に群衆が近づくことをできるだけ規制すべきではなかったかという問題、につきましては、私どもも強くそういう感じがいたします。ただ、これは実態を
調査
いたしてみませんと詳細わかりかねますので、一応推定で申し上げてまことに恐縮でございますけれども、
先ほど
警察庁
からもお話しもございましたが、おそらく
サービス
カーが燃えているその
現場
には群衆は近づいていなかったと
考え
られます。しかし、何ぶんにも地下工事で、ずっと長く連なっている地下に
ガス
がどの程度充満していて、それが
爆発
すればどの範囲まで
被害
が起こるかという予想をその時点において的確にすることができなかったのではないかというふうにも
考え
られるわけでございまして、これは非常にむずかしい問題でございますけれども、漏れている
場所
が、たとえば普通の
道路
のどっか角で、一部で、そこからふき出しているというのでございますと、その
付近
というのは一応わかるわけでございますけれども、何ぶんにもふたをした空洞の中、ずっと広がっている空洞の中に
ガス
がどの程度充満していたかということは、その
段階
ではおそらく十分認識し得なかったのではないかというような面も
考え
られます。したがいまして、今後そういった場合を含めて、
ガス漏れ
の探知というのをどういうふうにしていくかということも検討していかなければならぬのじゃないかというふうに
考え
ております。
山本伊三郎
22
○
山本伊三郎
君 これはこれからの真相
調査
によって明らかになってくると思いますが、これはもう
都市
再開発で、東京——
大都市
ではもうところどころ大きい工事やっておりますね、地下工事をね。私は炭鉱の
爆発
も言うのですが、あの場合は一応いままで問題追及しておりますからきょうはそこまで触れませんけれども、この予防対策、いわゆる
保安
施設
ですね、あれだけの恒久的というか、一年かかるような工事については、
保安
設備をもう完全にしなければならぬと私はいつも言うのです。とにかく
保安
設備は、できてしまったらこれは取ってしまうのだから、費用をなるべくかけないというのがいままでの建設業者のやっぱりやり方ですよ。これは何も建設業者が悪いわけではない。工事をなるべくコストを安くするということがやっぱり目的ですからね。それが人命にこういう大きい災害を与える、東京でもこの前板橋ですか、どこかに
ガス
爆発
があった、また土砂の崩壊で従業員が生き埋めになった、たびたびありますね。これは
保安
施設
の欠陥ですよ。とにかくやってしまえばそれは必要ないのだから、
保安
施設
になるべく金をかけない、こういう点が、この
都市
再開発による
事故
だけじゃないのです。もろもろの問題はみなそこにあると私は思うのです。炭鉱もそのとおり。これは私はね、いつも通産省なりその
関係
省にも予算
委員
会を通じて言うのですが、炭鉱でも、幾ら最低でも一年に
爆発
は二回くらいある。これから見てみなさい。
都市
のこういう問題はこれだけじゃ済みませんよ。必ず起こる。現在東京でも、ずいぶん高速
道路
や
地下鉄
なんかやっていますがね。だんだんと
保安
施設
もよくなっていることも事実ですけれども、まだ不完全です。その点は
都市
再開発の工事というのはむずかしいのですよ。
道路
を全部遮断してしまって通行どめにするわけにいかない、幹線
道路
ですからね。鉄板を敷いて通行しているのですからね。その振動によるまた影響もあるでしょう。そういうものを
警察
当局が取り締まれるかどうかは別として、
政府
としてこの点は十分
考え
なくてはならぬと思うのです。起こったものについては、私はこう言ったってこれは死んだ人、七十名の死者が生き返るわけでございませんが、あの大きい惨事を今後どういうぐあいに生かしていくかということがあの死んだ人に対する私ははなむけになろうと、私はそう思うのですよ。私がたまたま
大阪
出身で、
大阪
市民だということで特にそう言うわけではありません。しかも私は中馬市長にもいつも言っておるのですが、
大阪
は東京と違って、淀川のデルタ地帯がほとんど
都市
形成されているのですから、
土地
の沈下もひどいし、そういう地盤が非常に悪いのですよ。したがって、特に同じ
地下鉄
を掘るにしたところで、東京の
地下鉄
の百メートル掘るについても単価がかかる、それはいいと言うのですよ、人命尊重で。そういうことがいままでは
事故
が
大阪
はなかった、その点は喜んでおったわけなんです。たまたま今度は、たびたびないかわりに今度は一ぺんに大きなやつをやってしまった。これは
大阪
市民にとって大きな衝撃だと思うのですね、今後も
地下鉄
を延ばす計画をしておりますから。この点について、私はもうこれ以上
警察庁
や消防庁を責める必要はない、質問する必要はないと思うのですが、十分その原因と責任者を明らかにしてもらいたい。どこに原因があったか、責任がどこにあったか。
ガス
会社であるか施工者であるか、あるいは市当局であるか、この点をひとつ、罪を、刑罰を与えるということは私は問題にしない。その原因がどこにあるかということをはっきりしてもらわぬと、今後この種災害を防ぐことはできません。したがって、私はこういう
保安
施設
に対して、特に
都市
再開発に関する
保安
施設
について、閣僚としての
自治大臣
の所見を聞きまして、きょうは緊急質問ですから、私の質問を終わります。ちょっとその点だけひとつ。
秋田大助
23
○
国務大臣
(
秋田大助
君) お話しのとおり、今回の事件の原因を究明をいたしましてこれに対する対策を適確に立てることは、せめてもの死者に対するはなむけでもあるし、かつ
政府
としては当然とらなければならない処置であると思いますが、さて、これに対してどういうことを感ずるか。行政的な権限から申しますれば、
自治大臣
の直接の守備範囲ではないと思いますので、私といたしましてはいろいろ出過ぎた発言をすることは慎みたいと思いますが、
国務大臣
といたしまして
考え
まするのに、今後新市再併発に僕するこの種の工事の施行に関しましては、お説のとおり、
保安
設備に万全を期し、かつ
発生
さるべしと思われる災害に対する予防体制を十二分に講じまして、その点、今日の科学技術なり知識の満度において万全の
措置
をとりながら初めて施工を許すべきものである、こういう点を今回の事件の
発生
をひとつ契機に、十分に検討して万全の
措置
を講ずる必要があるということを痛感しております。
千葉千代世
24
○
千葉千代世
君 関連質問。四点ばかり伺いますが、その
一つ
は、急のことでまだおわかりになっていないと思いますが、なくなった方々の直接の死因は何でしょうかということです。というのは、テレビで承知しておったのですが、何か爆風で三メートルくらいふき上げられたり落とされたというか、はっきりいうとショック死で、心臓麻痺みたいなものを起こしたものか。それから、けがした人、もちろんあるでしょうけれども、大体そういうふうな、ごく概略でけっこうでございますが、それ
一つ
と、それからもう
一つ
は、直接業務に携わっておった
関係
の人と、それからそこをたまたま通りかかって見ておった人との区別がどのくらいになっておるか。 それから二番目としましては、大体ああいう地下を掘り起こして危険な仕事をしているところは全国で年間大体一万カ所くらいあると聞いているのですが、現在、今日の時点においても百カ所くらいが進行しているということをいわれているわけです。けさのテレビを私、出しなにちょっと支度しながら見たのではっきりいたしませんけれども、アナウンサーがこういうことを言っておったのです。全国でいま作業しているところの責任者は、きょう一日みんな仕事を休んで安全の点検をせよということを言っていたのです。たいへん適切な話ではございましたけれども、これはそういう仕事は建設省か
警察庁
か、どなたの分野か知りませんけれども、そこに伺いますが、緊急な指示でございますか、
警察庁
として、あるいはそういう指示を、
事故
の起きたところを除いたそういう
場所
に、各県警を通じて配慮なさっているかどうかということ、これが二番目です。 それからもう
一つ
は、働いていらっしゃる方がああいう地下には季節労働者の臨時的な方が多いのですね。いままで
事故
があった場合には、補償について直接雇用といわゆる下請の間接雇用と、こういうふうな問題がからみ合ったりいたしまして、補償が十分されていない点がずいぶんあって、問題を起こしているわけなんです。これは万博でも、御承知のように、犠牲になった方の一人の家族の方が生活が困るので、その奥さんは林業の日雇いに行っておって、とても万博へ行くどころではないと書って、切符をせっかく贈ったのに来られなかったと。その補償について聞いてみると、たいへん少なかったという、その日の生活に困るという実態が出されたのです。その直接の原因をたどっていくと、やはり下請の下請というようなところで、確かな補償の
対象
にならないというようなことを聞いておったのです。今回の場合もあるいはそういう点があるのじゃないかということが
考え
られますので、やはりそういうふうな補償の
対象
面についても、今後起こり得る問題ですから、十分御検討が必要じゃないかと思うのですが、これは直接の御担当ではないかもしれませんが、やはり
保安
、安全に携わる者たちのつとめじゃないかと
考え
ます。その点が
一つ
。 それから四番目として、やはりいまその建設業務に携わっているという場合には、工学
関係
で、はなばなしい部面というのですか、普通の設計とか建築にはよく志願するけれども、災害工学ということについてはまだ日本もおくれておるので、何かこれも私も聞きかじりでよくわかりませんが、横浜大学にしか災害工学の分野がないとかいうことですね。これは工事の安全ということと、それから工学の発達ということは裏表になされなければならないと
考え
ました場合には、やはり当局としては建設省あたりに進言なり、しかるべき要請なりをして、やはり安全工学という、ことばは私はわかりませんが、災害工学でもけっこうですが、そういう面についてもやはりこれからは相当、文部省あたりとも提携して、養成していく必要があるのじゃないかということを
考え
ておりますが、いかがですか。まとめてお願いします。
後藤田正晴
25
○
政府委員
(
後藤田正晴
君)
死傷者
の原因、ことに死亡せられた方の死亡原因については、お説のように、ふき上げられたその際のショック、あるいはまたコンクリート等が当たってなくなったとか、あるいはまた
ガス
そのものの中毒死とか、いろいろのことが
考え
られますけれども、現在まだ死体の解剖等をやっておりませんので、その結果を見て御報告を申し上げたいと思います。また、はたしてそれが通行人であったか、あるいはそれとも
現場付近
の
住民
であったか等、これはしばらくすればわかると思います。これもまた、
調査
結果によって御報告申し上げたいと思います。 それから、工事に伴う各種の危険が至るところにあるではないか、そういった際に業者としては、御質問によれば、きょう一日安全点検に当たると、こういうお話でございますが、これは今回の事件についてはあとの祭りでしょうけれども、このこともまた必要だろうと思います。私のほうは、今朝全国にこの種危険工事の総点検を指令をしてございます。したがって、私のほうは全国的な点検を開始しておると思います。 そしてその次の、雇用形態によってのこういった災害補償の問題であるとか、あるいは災害工学の問題であるとかいったことについては、千葉先生の御質問の御趣旨をそれぞれの所管省に私のほうから伝達をいたしておきたいと思います。
山内一郎
26
○
委員長
(
山内一郎
君) 本件に関する
質疑
はこの程度にとどめます。
—————————————
山内一郎
27
○
委員長
(
山内一郎
君) それでは、
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
の
質疑
を続行いたします。御発言願います。
竹田四郎
28
○
竹田四郎
君
先ほど
自治大臣
が、そうした
意味
で国、
都道府県
、
市町村
、この三者の間での
財源
というものを
考え
直していかなければいけないという点については、了とするわけですが、しかし、そうした実施の計画というようなものについてはまだ何もできていない、こういうお話なんですが、これはこの前の
委員
会等々でも話が出ましたけれども、予算編成期になればものすごい陳情で、それに使われる金というものはこれまたたいへんだ、こういうふうに報道しておりますし、またそうした点では毎年のように大蔵省と自治省の間の問題点というのが国民の視点にすらなっておる。こういうことが毎年毎年恒常的に続けられるというようなことは、私は早く解決を迫られておる問題だというふうに思うわけであります。その辺をもう少し早く明確にしていかなければいけないのじゃないか。また、過密過疎問題もそうした問題と関連してこれは解決さるべき問題であろうというふうに私は思うわけでありますが、そうした点でひとつ早期にその
税制
の
改革
、もちろんこれは事務の
配分
の問題もあろうと思います。各方面からそれについては意見は出ているわけでありますから、ひとつその点を早期にやっていただきたいと思うのですけれども、そういつまでもいつまでもこの問題を引きずっておくというわけには——
経済
社会の発展に即応するわけにはまいらないと思う。その辺重ねてひとつ、
自治大臣
の決意といいますか、構想といいますか、具体的なプランに対する
考え
方というものがありましたらお示しいただきたい。ないにしても、何らかのお
考え
があったなら、それをさらに具体化するというお
考え
を何らかの形で聞いておきたいと思います。
秋田大助
29
○
国務大臣
(
秋田大助
君) 問題は、具体的に実際的に当たりました場合には、非常に複雑かつ微妙かついろいろ困難な問題があるわけでございますが、しかし、ほっておけない、解決の迫られておる問題でもございますので、
一つ
一つ
予想される問題につきまして
関係方面
と検討を重ね、これが解決に積極的にかつ急速に当たりたいと
考え
ております。
竹田四郎
30
○
竹田四郎
君 大臣はおそらく予算
委員
会のほうにも呼ばれていらっしゃると思いますから、こまかい問題を避けまして、おもな問題を次にお聞きしたいと思いますが、今度の
地方税法
の
改正
のおもな問題といえば、私は
固定資産税
の問題の評価がえ及びこれに伴う問題というのが一番大きい問題であろうというふうに
考え
ております。
土地
問題については、いろいろな形で
関係
各省から法案も出されておりますし、あるいは
土地
の利用計画というものもあちらこちらから出されておるわけでありますが、しかし現実問題としては、
土地
問題というのは実際にはなかなか、解決が非常に迫られてはいるけれども、その合理的な解決、
土地
の合理的な利用という面ではなかなか進んでいないというふうに思うわけでありますが、
土地
の利用の問題、あるいは
土地
の需要と供給の問題、そうしたものを財政的に誘導するといいますか、そういう
意味
での
土地
税制
という問題、こうした問題は全体として国の
土地
政策と非常に密接な関連があるだろうと思います。そうした
意味
で、
土地
税制
と
土地
政策というものは表裏一体をなして行なわれなければならない。特に
固定資産税
の問題は
地方
財政ともからんでいるということで、国の行なう
課税
とはまた違った面も
一つ
加味されてきているとは思いますけれども、しかし、
固定資産税
といえども、あるいは
都市計画税
といえども、
土地
に対する
課税
というものはそうした
土地
、政策の一環としても当然
考え
られていかなければいけないのではないだろうか。ただ単に
地方
財政的な立場、
市町村
の
財源
という立場だけで
考え
られてはいけない、
土地
政策との関連において同時に
考え
られていかなければならないと、こういうふうに
考え
るわけでありますが、自治省としては、
土地
税制
の
一つ
としての
固定資産税
あるいは
都市計画税
、こういうものと国の
土地
政策との関連、これは一体どういうふうな関連をお持ちになって
考え
ておられるのか、今日の複雑な
土地
政策との関連でひとつお
考え
方を承っておきたいと思います。
秋田大助
31
○
国務大臣
(
秋田大助
君)
土地
に関する税といたしましては何種類かの税が
考え
られますが、おしなべて
土地
税制
と
土地
政策との
関係
におきましては、
税制
はやはり補完的な
意味
をどちらかといえば持つものでありまして、これによりまして
土地
政策そのものに役立たしめる、あるいは
税制
で
土地
政策をきめていくという、そういう発想のしかた、そういうあり方というものは話が逆であろうと思う。やはり
土地
政策というものがしっかりきまりまして、それに対応する
土地
税制
が
地方
行財政の分野においても決定される、こういう順序になろうと思います。しかし、この両者の密接な
関係
がいまや大きな社会問題でもあるし、また国策の基本に関連する問題でございますので、自治省といたしましては真剣に
考え
ておるのであります。そこで、
固定資産税
なり
都市計画税
の
基礎
になる
土地
の評価という問題でございますが、ことに線引きの
都市
計画区域内の農地と宅地との関連においてこの問題が象徴的に扱われるわけでございますが、近傍の宅地並みにその農地を評価するかどうかという問題に関連いたしましては、やはり
都市
化された区域というもの、
都市
設備のある程度
整備
された区域というものは、一体、ことばの上ではわかりますけれども、どういう状態を言うのかという点についても疑問がございます。また、いわゆる線引きの状況ということにも大いに注意をしなければならない点がございます。そこで、これら
土地
に対する評価と
土地
に対する需給の問題、ことにいわゆる
都市
化区域内の農業というものをどういうふうに見るべきかという、
土地
問題と農業問題との基本政策の関連の問題がそこにまつわりついておるわけであります。これらの点につきましては、やはり
関係
各方面の御意見を慎重にお聞きをいたしまして、ある程度の合意を得たところで結論を下しませんと、いたずらに自治省が先走りいたしましても事は実現いたさないわけでございまするから、これらのただいまあげました問題点を慎重に検討し、各方面と十分打ち合わせ、検討をいたしました結果結論を出すべき問題ではないかと、こういうふうに
考え
ております。しかしながら、物価問題とのもちろん関連もございまして、相当結論を出すことは急がれておるということも十分配慮いたしておりますので、これらの事情も十分勘案しながら、ひとつ適切な処置をとりたい、こう
考え
ております。
竹田四郎
32
○
竹田四郎
君 一足飛びに何か線引きのお話に入られてしまったような感じがするのですが、その前の、
佐藤内閣
として持っておられる
土地
政策というようなものがどうもはっきり確立したというような感じを私ども受けないわけなんです。各方面からいろんな意見が出ておることは事実でありますが、まだその点どうもはっきりしていないように私どもは受け取るわけなんです。まあ
土地
政策という立場からいきますと、
自治大臣
もこれには当然参画をして、
地方
自治体から見たところの
土地
政策、あるいは
土地
に関する保有
課税
という問題も当然出てくるわけであります。
佐藤内閣
として一体どのように
土地
政策を
考え
ているのか、その辺のお話を一回お聞きしたいと、こういうふうに思っているわけでありますけれども、
佐藤内閣
として一体——まあこれは主として
都市
を含めての
都市
近郊にもなろうかと思いますけれども、そうした点について、恐縮ですが、
佐藤内閣
の
土地
政策として一体
土地
をどういうふうにしていくつもりなのか、この
付近
をひとつ御教示いただきたい。
秋田大助
33
○
国務大臣
(
秋田大助
君) たいへん離間でございまして、ただいまの
政府
としての
土地
政策をいまこうであるというふうに申し上げる立場にも私おりませんし、まだそういうことを申し上げるのには、多少いろいろ検討をし、各方面との意見を取りまとめる
段階
が残っておろうと思うのでございまして、ある程度
土地
の有効な利用と、かつはいま
土地
に関する需給のバランスの問題というような点につきましていましばらく検討を多少すべきものが残っておりますが、ただいま申し上げましたとおり、自治省の立場は、この
地方税
制の分野において、
土地
政策との関連があり、この点につきましては、補完的な作用をなすという観点に立ちまして事は決せらるべき問題と思っております。私からいまここで
佐藤内閣
の
土地
政策云々と申し上げることは御遠慮を申し上げたい、またその立場を御了承願いたいと思う次第でございます。
竹田四郎
34
○
竹田四郎
君 どうもその基本的な
土地
政策というものが明らかでないというお話で、むずかしいことはむずかしいと思いますが、当然いまこれだけ騒がれている
土地
問題に対する
土地
政策というものをどうしても立てていかなければならぬ。
法律
そのものを一体それに対してどう適用していくのか、いろいろな
土地
関係
の
法律
が次から次へと出てきております。実際それが有効に補完的な
役割り
を果たしていくのかどうか、これも私は非常に疑問に思います。たとえば、最近発表になりました
土地
公示制度に基づくところの
価格
といいますか、こういうものと、
土地
の固定資産評価
価格
、これとの
関係
が一体どうなっていくのですか、こうしたこともきわめて不明確であります。さらにまた、新
都市
計画法によるところの線引きの作業が現在行なわれているわけであります。こういう問題にいたしましても、いまお話がありました市街地化区域の農地、あるいは宅地、あるいは未利用地といいますか、こういうようなものとの
関係
は一体どう調整をしていくのか、あるいは仮需要の用地については一体どう
考え
ていくのか、こうした問題も、やはり
土地
政策というものが明確になってこないと、それに対する
課税
のあり方というものも、その補完的な
役割り
を有効的に果たすことは私はできないだろう、こういうふうに思うわけであります。そうした
意味
で、どうも今度の
改正
について、そうしたものと一貫して行なわれるのじゃなくて、どちらかというと
地方
財政の立場だけにおいて行なわれているというふうに
考え
ざるを得ない。そういう点は、私はきわめて遺憾だと思うわけであります。特に
固定資産税
あるいは
都市計画税
というものは、毎年毎年全国的にわたって国民に影響してくるものでありますだけに、
不動産取得税
とか、あるいは
譲渡所得
に対する
課税
だどか、こういうものとは私は
性格
が違ってきて、恒久的な、しかも計画的に進められていかなければならない
性格
の
税金
であろう、こういうふうに思われます。 そこで、次に移っていきたいと思いますが、
土地
の固定資産
評価額
というものは、適正な時価、こういうふうにいわれているわけでありますが、現実には、
課税
台帳に記載されている
価格
というものと、適正な時価というものとは、私はかなり離れている。また、昨今示されました公示法によるところの
価格
というのと、台帳に書かれている
価格
とは、私の調べた私の近くの範囲では、大体台帳に書かれている
価格
が四分の一という事態であります。これも非常にはなはだしい。適正な時価というものを、自治省は一体どの水準に置こうとしているのか、適正な地価自体があまりよくわからない、こう私ども
考え
ざるを得ない。適正な地価を基本にして、目標にして書かれている
課税
台帳の
価格
というのは公示
価格
の四分の一、これでは一体どっちがほんとうの地価に近いのかということも全然わからない。こういう形で、一方の固定資産による
評価額
と公示制度による
評価額
という、むしろ
考え
方によっては
一つ
の混乱を私は巻き起こしていくような感じがいたします。今度示されました
評価額
にいたしましても、かなり地点が多いわけです。将来は一平方キロに
一つ
のそうした地点というものをきめて、そこの公示
価格
というものを示そう、こういうふうに言われております。そうしたほんとうに適正な地価というものは具体的にどういうものなのか、あるいはいまの台帳に書かれている
価格
というものを一体どの線に持っていけば適正な地価という形で追いついていけるのか、この辺も全くわからない。そうした面が私は
土地
の
価格
に対する
一つ
の混乱を巻き起こしていると思うんです。
自治大臣
としては、確かにいまの台帳に書かれているものが非常に時価に比べて安いということは事実であります。これを早く地価というものにどのような形でそろえていくか、これはやはり早くそういう点でそろえていく必要が私はあるんじゃないか。そして、各種の
法律
に基づく
土地
の
価格
というものが大体統一をされた線というものがきまっていくのが私は好ましいし、そうした形のほうが
土地
政策あるいは
土地
に対するいろいろな
課税
を進めていく上においてもこれは必要だろうと思う。昔は確かに、相続税の場合の
課税標準
、
不動産取得税
の
課税標準
、
固定資産税
の
課税標準
、おのおの別途に、別別にかけられてきたというのが四、五年前の実情ではなかったかと思うのです。そのたびたびに納税者のほうは、一体何が基準なのか、何を基準に
税金
をかけてくるのかというようなことが不明確。私は、今度の場合にも、公示制度ができたことは、それはいいか悪いかいろいろ判断があろうと思う。むしろ、地価を押えるんじゃなくて、地価を
引き上げ
る
役割り
をしているとすら実は
考え
られる。具体的に私の近くで言いますと、実際坪十万円で取引されたものが、公示
価格
になりますと十二万円、これじゃむしろ十万円を十二万円に二万円
引き上げ
る
役割り
を現実にしている。そういう点で、ひとつ
固定資産税
というところの適正な地価というものを、一体今後どういうふうに——そうしたほかの制度によって評価されるものと大体統一できるような形にどういうふうにしていくつもりか、この辺が明確にされていかないといけないと私は思っております。その辺に対する
考え
方を伺いたい。
降矢敬義
35
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 適正な地価をどの程度に
考え
るか、こういうことでございますが、いま御指摘のように、相続税、
不動産取得税
、
固定資産税
、登録税につきましては、近年それを統一することでやってまいったわけでございます。で、今回の地価公示法による公示
価格
というものにつきましては、いま御指摘のような差があるようなところもあるわけでございます。で、地価公示法による適正な地価は、
法律
によって御案内のとおり、公共事業の用地の
取得
の基準にするというようなことでありまして、あわせて取引のめどにしてもらいたいということをうたっておるわけでございます。なお、今回の
調査
の地点は、約千カ所について標準地としてきめたわけでございますので、
固定資産税
のほうは全国を評価いたしますので、その標準地点というものもあと二十六万地点くらいとりまして評価をするという作業をやっております。したがって、技術的に申しますと、それに地価公示の標準地点との大きな差がありますし、また地点のズレというようなものもございまして、これを直ちに採用して将来乗っかっていくということはなかなかむずかしいだろうと思います。 それからもう
一つ
は、同じ適正な地価でありまして、正常な取引条件による
価格
という
考え
方でありますが、やはり公共事業の用地の
取得
の基準にするということになれば、まあかなり実勢に近いというようなものになりゃせぬかという気がいたしております。ただいまの場合は、売買
価格
よりもむしろ高いというお話もあったわけでございまして、
課税
の面におきましては、やはりほんとうの実勢
価格
というものをそのまま取り入れるかどうかということについてもなお検討を要する問題があろうかと存じております。いずれにいたしましても、次の評価は、いまの
法律
によりますと、三年後の四十八
年度
が固定資産の評価の時点でございます。その間、地価公示の
関係
におきましては、毎年作業が進行いたします。いま聞くところによりますと、四十八
年度
でも約八千地点くらいだというふうに聞いておりますので、はたして四十八
年度
乗れるかどうかいまから確約できませんけれども、できるだけ技術的な調整をはかってまいりたいという気持ちは持っておるところでございます。
山内一郎
36
○
委員長
(
山内一郎
君) 暫時休憩いたします。 午後零時二十七分休憩 —————・————— 午後一時五十一分開会
山内一郎
37
○
委員長
(
山内一郎
君) ただいまから
地方行政委員会
を再会いたします。
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 休憩前に引き続き
質疑
を行ないます。
質疑
のおありの方は順次御発言を願います。
竹田四郎
38
○
竹田四郎
君 午前中に公示
価格
と
固定資産税
の
価格
のことについてお聞きしたわけでありますが、
先ほど
の休憩中の話でもそうでございますが、私は何かこの
土地
の
価格
というものに対して
一つ
統一的なものが必要じゃないのか。国の相続税とかあるいは譲渡の場合と
地方税
の場合とかなり違っている。今度はそれにまた公示
価格
というものが
一つ
ふえてくるという形で、三者三様の
価格
というものが生まれてくるわけでありますが、
税金
というのははっきりわかるような形をとるのが
税制
の民主化の
一つ
の大きなポイントでもあろうと思います。そういうものが三者三様で評価されるということは、私は適切ではないだろうと思います。そうした点で、三者三様の
価格
の統一をはかって、わかりやすくしていくということが必要であろうと思います。そういう
考え
方というのは一体どうなのか。また、そういう
考え
方と、今日のこういう
土地
関係
の
税制
というものとの統一を今後どうはかっていくのか、そのお
考え
を伺いたいと思います。
降矢敬義
39
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 現在、相続税と
固定資産税
の
関係
でございますが、それは相続税と
固定資産税
のいわゆる基準値という、各県庁所在地の地価の一番高いところを基準値として
考え
るわけでございますが、その基準値の
価格
は相続税と統一をいたしております。あと具体の評価になりますと、大体同じ評価基準に従いまして、
固定資産税
は三年に一回ぐらいやるわけでございますが、相続税はそのつど評価をするというかっこうになるわけでございます。しかし、
基礎
においては、基準になる
価格
は合わせておる。結局あとは時点の相違——三年間に一回の評価とそのつどに評価する時点の相違がこういう地価の急激な値上がりのときには当然生することはやむを得ぬと思います。 それから
不動産取得税
、
固定資産税
につきましては、御案内のとおり、
固定資産税
の評価のあるもの、
課税
台帳に
価格
の登録されておるものについてはそのまま用いますことに
法律
上なっておりますし、またそのとおりいたしておるわけでございます。 それから国税のもう
一つ
の、
不動産
の登録税の
関係
につきましては、あの登録税法に、当分の間
固定資産税
の
課税
台帳に登録されている
価格
をもって
課税標準
とするという
規定
がございますので、総じて三十六年の固定資産評価審議会の答申によった
方法
で統一をはかっておるわけでございます。 ただ公示
価格
との
関係
につきましては、
先ほど
申し上げたような事実がまだ存在いたしておりません。したがいまして、われわれとしても、四十八年の評価がえの時点におきましては、なお技術的な調整というものがはたしてうまく乗れるのかどうかということについても検討いたします。方向としては、御指摘のように、全体がうまく統一されることが最も望ましいわけでございますが、ただ、繰り返して申し上げますが、時点の相違というものがどうしても税の
性格
上出てきますので、そのところは御了承をお願いしたいという
考え
でございます。
竹田四郎
40
○
竹田四郎
君 いま時点の相違ということに集約されたようですが、必ずしも時点の相違ということじゃないのじゃないですか。その
土地
の
価格
に対する
考え
方、これが違うのじゃないでしょうか。その公示
価格
の
考え
方と、それから
固定資産税
の
考え
方というのは、同じ
考え
方でやっておるのですか、どうなんですか、そこのところ。
降矢敬義
41
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
固定資産税
の
価格
につきましても、正常な条件のもとにおける取引
価格
ということでございまして、公示
価格
のほうも
法律
によりますと同じような表現をしておるわけでございます。したがって、観念としてはおそらく同じものだろう——私は公示
価格
のほうは
法律
の条文を読んで承知しただけでございますが、観念としてはその表現を見る限り同じものだろう、こう
考え
ております。
竹田四郎
42
○
竹田四郎
君 この
固定資産税
の正常な
価格
——それは正常な
価格
というのですが、もう一歩掘り下げて、じゃ正常な
価格
とは一体何なのかという問題が出てまいります。昔は大体賃貸
価格
ですか、賃貸料を基準にして、それを資本に還元をした
価格
という
考え
方だったと思うのです。いまは心ずしもその
考え
方でずっと貫いておるというわけではないと思うのです。売買実例というような
価格
が入ってまいりますから、心ずしも地代を還元した
価格
という
考え
方じゃないと思います。地代を還元した
価格
という
考え
方と、それから、まあ今度のこの評価についてもそういう面も取り入れてはいると思うのですけれども、全然それを無視しておるわけではないと思うのですが、売買実例
価格
という
考え
方がどちらかというと中心になっている。正常な売買実例
価格
といいますか、売買実例
価格
は、いろいろなほかの要素を除いて、正常に取引をされていると
考え
られる
価格
ということでありまして、その辺の得失ですね、地代を還元した
価格
というものと正常なる売買
価格
というものとの利害というものがあると思うのですよ。それがまた大体昔の
考え
方から今日の
考え
方に変わったのですけれども、その辺の
考え
方の利害といいますかね、そういう点はどういうふうにお
考え
になっておりますか。
降矢敬義
43
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 昔、地租につきまして、賃貸
価格
というものを
課税標準
にしておったわけでございます。いまお話しのように、地代から還元をするというのは、収益を前提にする還元のしかたになるわけでございますが、この点は固定資産評価審議会においてもかなり御議論がございまして、今日どの程度のものが収益であるか、どういう率を還元率として用いるかということについてなかなか客観的なものが見出しがたいという事情、つまり戦後の
経済
変動も激しかったということもあると思いますが、そういう客観的なものが見出しがたいということで、今日いまお話のありましたような収益から価値を求めるという
方法
をとらずに、正常な条件のもとにおける売買
価格
というものを基準にしてとるほうがベターだということで答申をいただいたわけでございます。したがいまして、利害得失ということになりますと、前段のようなものにつきましての客観的なもの、つまり皆さんが納得できるような客観的なものが見出しがたいというところが前者のとりがたい理由だろう、こういうふうに
考え
ております。
竹田四郎
44
○
竹田四郎
君 今後、公示
価格
と
評価額
というようなものが将来統一せざるを得ないだろうし、同時にまた、今度は行なわれていないだろうと思いますが、新
都市
計画法におけるところの市街化区域におけるところの農地についても、
税制
調査
会その他のいろいろな団体の
勧告
、助言というものを見ましても、なるべくすみやかにそうした地域の農地の
価格
は宅地並みに評価をしろという答申、助言、
勧告
というようなものもあちらこちらから出ておるように聞いております。そうしますと、この問題もそのままにして放置しておくわけにはおそらくいかないだろうと思います。そういたしますと、四十八年には市街化区域における農地というようなものも近傍類地の宅地並みの評価に直していくのか、あるいはその前にそういうふうに直していくのか。まあ転用されたものはそのつどそのつどやっていかれるでしょうから、これは問題外として、四十八年には農地も宅地並みに扱っていく、こういうお
考え
ですかどうですか。
降矢敬義
45
○
政府委員
(
降矢敬義
君) この点につきましては、
先ほど
大臣も御
説明
申し上げたところでございますが、われわれとしては、あの答申に従って
関係
各省とも御相談をして、できるだけ早く結論を出して、結論を得た時点からこの問題に対処していきたい、こういう
考え
方でございます。
竹田四郎
46
○
竹田四郎
君 そうしますと、何かあまりその点もはっきりしていないようで、結論を出してきめたい、早く結論を出したいという御答弁でございますが、四十八年に必ずなるというふうには理解しなくてもいいわけですね、どうですか。その辺は、はっきり四十八年になりますというのか、まだそこまでいっていない、変わるかもしれないということなのですか、その辺はっきりしてもらいたい。
降矢敬義
47
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 四十八年の時点を待たずに、もう結論が出ればこの問題を処理いたしたい、こういうふうに
考え
ております。
竹田四郎
48
○
竹田四郎
君 わかりました。そうすると、もっと早く出る可能性があると、こういうことでありますから、四十八年以降においては農地もそういう形で評価されるということになると思いますが、そうしますと、ここで
先ほど
の
土地
の
価格
に対する
税金
の支払いという問題で私ちょっとわからないことがあるわけです。昔はよく、財産相続税がかかってまいりますと、その相続の
土地
の
うち
の一部を売って相続税に充てるという例がかなりあったわけですね。今度の場合も、いまのような形で
土地
価格
が
固定資産税
の場合に非常に低いから、私はそういう問題というのはあまり起こらないだろうと思う。これがおそらく、公示
価格
並みといいますか、
価格
というのは高いほうに寄りやすいものですから、公示
価格
にならされていく、こういうことになりますと、かなり
税金
というようなものも大きくなる。しかし、そういうところの農地というのは、大体農業の生産環境というのが悪いですから、必ずしもそれだけ支払える、正当に支払えるだけの収益があるかどうかわからない、こういうような事態が起きてこないか、起きてくる場合もあるということを心配されるわけでありますが、そうしますと、じゃひとつ半分でも売って
税金
に充てるかというような事態が将来起きてくる心配があるわけです。そういうようなことはないですか——あるとすれば、私はかなりこれは問題があると思うのですけれども、その辺はどうなんですか。
降矢敬義
49
○
政府委員
(
降矢敬義
君) ただいま御質問のございました市街化区域内の農地につきまして、特に
都市
施設
の
整備
された区域内の農地の取り扱いでございます。これに対する
考え
方は、宅地並みに評価をし
課税
をするという答申が出ました。あるいは、東京都のいわゆる
土地
政策に対する提言なんかに含まれている
考え
方は、
土地
の有効利用を何とか促進をするという見地が含まれておることは、御案内のとおりでございます。で、そういう
意味
におきまして、かりに畑としてある程度の作物をつくっておっても、それを宅地並みに
考え
るということであれば、その背後に、
土地
をそういうことでなくてもっと有効に利用してもらいたいという
考え
方があるわけでございますので、ただいま御指摘のような問題も起こらないということは言えないと思います。
竹田四郎
50
○
竹田四郎
君
先ほど
から申し上げておりますように、
土地
の
価格
を統一していくという、そういうことは、私も理解できるし、そういうことのほうが非常に能率的であるし、また
課税
の場合にも比較的理解が早いという点では、
価格
を統一していくためにある程度上げていかざるを得ない、
価格
を上げていかざるを得ないということはあり得ると思いますが、ただ最近の状態を言いますと、ザラリーマンはマイホームをつくって狭い宅地に何とか建蔽率一ぱいに家屋を建てるというのが
一つ
のいまのサラリーマンの夢だろうと思います。その宅地も現在はなかなか買えないというのが現実で、半分の人たちはあきらめざるを得ないということで、何回も何回も公営
住宅
に申し込んでいる、あるいは民間の安アパートに高い家賃で入らざるを得ない、こういうような事態が今日の事態であろうと思います。そうしますと、そうしたサラリーマンの、そこで営業をしていない、
土地
というものが収益の
対象
になっていない、こういう人たちに対しても同じような形で
課税
をされていくということになりますと、営業をしている場合には、これは最終的にはお客さんにその
価格
を転嫁できるし、あるいは場合によればそうした
課税
というものは営業収益の中で必要経費としてそれを落としていくということによって
課税
対象
からはずれているわけですが、サラリーマンの場合には、自分がすでに勤労
所得税
というものを払っている。それが
給与所得
者の収益に現実にはなっておる。そういう中からまた、
税金
のかかった金から、ささやかなる宅地や家屋、こういうものについてまた払っていくということになると、私は非常にその点が不
均衡
なように感ずるわけです。収益のある者、
土地
の有効利用によって収益を得た者は高い
税金
を払っていくというのは、収益があるから私は当然だろうと思う。しかし、ただ自分の
住宅
で住むだけに
土地
を持っている、こういう人にとっては、その辺はかなり過酷な
税金
になる。サラリーマンが過酷な
税金
を取られているというのは、もう非常に大きな世論になっているわけです。この面でも、私は、過酷な
税金
に転化をしてきている、こういうふうに思いますが、そういう問題は今後一体どのように
考え
ていかれるのか。あるいは、そうした
住宅
というものでキャピタル・ゲインやあるいは営業収益というようなことを期待していないのが普通だろうと私は思う。そういう人たちに対しては、それは特殊な、
税率
を低くしてその負担を軽くしていくというような
措置
が講ぜられていかないと、この三年間の間にもしいろいろな形で今度は上がってきて、四十八年にまた上がる。その上がり方も、いまのままでいけば、別の表にありますように、八倍も上がる、十倍も上がる。もうこういうことになったら、サラリーマンというのは全く二重、三重の
課税
でたまらないということになるわけでありますが、そういう人たちに対する配慮というものは当然なすべきであろうと思いますが、それはどう思いますか。
降矢敬義
51
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
固定資産税
の
考え
方に関する問題になると思います。現在の
固定資産税
は、要するに
土地
なら
土地
自体の持つ価値というものに着目して
課税
しておるわけでございまして、それがあるときには
住宅
に、あるときには工場用地に、あるときには田畑に、あるいは事業用資産にというような、利用がどうあろうと、さら地としてのその
土地
の
価格
そのものに着目して所有者に
課税
するということでございますので、したがって、いまお話のありましたようなケースについて
税率
を全く別にするというようなことは、この
性格
から見て適当じゃなかろう、こういうふうに
考え
ております。ただ、将来だんだん評価がえも進み、どうするか、こういう問題に相なりますれば、これは
固定資産税
全体の負担をどう
考え
るか。それからもう
一つ
は、もちろん
地方
財政の、
市町村
の主柱でもありますから、財政の状況をどう
考え
るかということでこの問題に対処しなければならぬと思っております。 今回も、平均二・三三倍、三十八年をベースにすれば平均一四・九倍くらいに上がったわけでございますが、直ちにこれに
税負担
を求めるということは
税負担
の激変を生じますし、またわれわれはこの問題を
考え
ますときに、今回
税率
の問題も
考え
てみました。しかしながら、
税率
が今回調整し切れるかということになりますと、なおこのように地価の上がり方が非常に激しい状況におきまして、具体の問題として、去年納めた
税金
に対して何倍になるかというのは、やはり
税負担
をする人にとって大事な問題でございます。そこのところが、非常に上がり方の激しい状況のもとにおいてはちょっと調整し切れないということでありますので、今回のような
負担調整
措置
をなお継続することが、
税負担
の激変を緩和する——先般の当
委員
会の附帯決議にもございましたような
税負担
の激変を緩和するためには、この
方法
が一番よろしいということで御提案申し上げた次第でございます。
竹田四郎
52
○
竹田四郎
君
税負担
の激変を緩和するというのは、今日のやり方でそうだという
意味
だろうと思います。これを
先ほど
の形で、一方には地価の公示
価格
があり、多くの要請としては適正な時価という要請がある。こういうふうな形になってくると、
税負担
の激変緩和の
措置
だけでは、私は、そういうサラリーマンのささやかな自分の生活をする
場所
、これに対しては激変緩和の
措置
をとっていくわけにいかないだろう。根本的に
税率
を引き下げることによって——収益を目的としていない宅地、家屋、こういうものについては、当然
税率
を下げることによって激変緩和をはかるべきである。いまの形のままでは、そういうふうな形をとらざるを得ないだろうと思います。
税率
を一律にしておくという形では、やはりそういう形以外には私はなかろう。将来のもうそういう問題については、私は
税率
を引き下げていく。これはほかの答申でもそういうことはかなりいわれております。だから、当然そういうような問題を私は
考え
ていくべきである。また、現実にこういう形でいって、はたしてその人の収益に対して、まあ
所得
課税
という形における
一つ
のあり方はありますけれども、こうした固定資産
課税
というものの形においてほんとうのバランスがとれておるかということになりますと、私は必ずしもそうは思っていないわけです。たとえば、比較的市街地化された中で、一方は高層の建物、アパートを建てて、それによって収益を得る、一方はその日陰になって、生活的にはまことに不便で、
土地
の価値も非常に一般的に下がってしまう、こういうような場合もあると思う。片方は、資本を投下しただけに、それだけの大きさがある。片方は、投下できればいいけれども、普通のサラリーマンでは、そんなアパートを大きくつくるという能力はなかろうと思う。そうなってまいりますと、いまの形でも、収益が得られる者とほんとうにサラリーマンとしてやっている者との間には大きなアンバランスがある。こういうことが、
地方税
が非常に重税と感ずる私は
一つ
の根拠であろうと思うのです。その点は、いまの局長のお話では、将来も
税率
をそういうふうにして
段階
を設けて差別をして負担の軽減をはかる意思はない、こういうふうにおっしゃったのですが、そういう形になると私は非常に不合理だと思いますが、そう思いませんか。
降矢敬義
53
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 重ねて申し上げ恐縮でございますが、
固定資産税
は、要するに、資産自体の持つ価値、そういうものに着目した
課税
をすることでございますので、いまサラリーマンというお話がありましたが、結局しいて言えば、広げて言えば、事業用資産と非事業用資産の扱いを変えろ、変えるということが適当ではないか、こういうような御趣旨だろうと思います。しかし、いま申し上げましたような
固定資産税
の
考え
方、あるいはたまたま事業用あるいは非事業用というようなことで取り扱いを変えるということ、また収益というものを
考え
れば、収益に見合った税ということであれば、事業用資産の問題につきましても収益、非収益という問題を当然惹起するかっこうになるわけでございます。したがいまして、低い
税率
で資産
価格
について
考え
ているというのがこの国定資産税の問題だろうと
考え
ております。 なお、非常に技術的なことで恐縮でございますけれども、現在
土地
課税
台帳あるいは家屋
課税
台帳、その
基礎
になりますのは
土地
台帳及び家屋台帳でございます。ところが、
土地
台帳、家屋台帳そのもの自体が、
土地
が何に現に利用されておるのかという区別は全然もちろんございません。したがって、技術的に一月一日現在で
土地
の利用状況を具体的に把握するということは非常に困難というか、技術的にまず不可能であろう。この点は、現に
市町村
の御意見においても表明されておるところでございます。したがいまして、現実の問題として処理を
考え
ましても、非事業用と事業用の区別を具体的に
土地
について一定の時点ですべて判定していくということについては非常に困難があるわけでございます。理論的な問題と、実際的な面からいまお話し申し上げたようなことでございまして、
税率
段階
に区別を設けるというようなことは実は適当じゃないというふうに
考え
ております。
竹田四郎
54
○
竹田四郎
君
土地
の
価格
そのものの
考え
方は、私はそういう
考え
方を実はしていないわけであります。資産そのものの価値という
考え
方を私はむしろしていないわけでありまして、どちらかといえば古い
考え
方かもしれません。その
土地
を利用することによって得られる収益、これが私は当然
土地
の
価格
になるべきだと思います。しかし、いまの局長のお話では、
土地
そのものの資産の価値といいますか一という形で、利用あるいは収益というものを抜きにして問題を
考え
ておられるところに、私はそういう問題になってくるだろうと思います。
土地
そのものの資産の価値という形を
考え
るということは、私は、これはどうしても勤労者にとって重くなるし、大きな事業者にとってはこれは非常に有利になる、こういう形にどうしても進んでいくだろうと思う。いま
市町村
の財政が云々と言われておりますが、私はその点は、納められる
税金
という形がやはり納得される
税金
であろうと思う。そういう
意味
では、当然その
土地
の利用に応ずる収益というものから還元されてくるところの
土地
価格
というものが正当な
土地
価格
であろうと思います。いま局長の
考え
ておられるような形で
考え
ていきますと、元本を侵害していくというような
税金
にもなりかねない。これは
先ほど
農地の場合にもおっしゃっておられました。私は、それでは
税金
の趣旨に反するのではないか、こういうふうに思われるのでありますが、その辺はどうも
考え
方が違いますから、これ以上議論をしてもしかたがないだろうと思いますけれども、これはひとつ今後の問題として十分
考え
てやっていただかなければ私はいけないと思いますし、必ずしもいまの学者の意見は自治省が
考え
ておられるような
土地
の
価格
というものの
考え
方が私はすべてではないと思う。建設省あたりの方の
考え
方というのは、かなり
土地
利用という立場に立っての
土地
価格
というものを
考え
ておられるわけであります。そういう点では、今後統一をしていくという
意味
でも、そういう基本的な
土地
価格
に対する
考え
方というものは私は統一されていかなければならない問題ではなかろうかと、こういうふうに
考え
るわけでありますが、この点はこれ以上議論をしてもいたし方がないと思いますから、次に進んでいきたいと思います。
山本伊三郎
55
○
山本伊三郎
君 ちょっと関連。
土地
の
価格
の問題ですが、ちょっと私お伺いしておきたいのですが、収益
価格
論ではなくて、何か別の
土地
に対する
価格
の
考え
方というのはどういうことか、ちょっと聞かせていただきたい。
降矢敬義
56
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 私の
説明
が必ずしも適当でなかったと思いますが、
土地
そのものの持つつまりさら地としての価値というものをとらえて
固定資産税
を
課税
するということでございます。今回の地価公示法でも、御案内のとおり、さら地の
価格
について正常なる条件のもとにおける
価格
というものを公示するのでございまして、具体的に現にいま何に利用されておるのかということを前提にして
価格
を公示しておるものではございません、それは御案内のとおりでございます。それと同じような
考え
方に立っておるわけでございまして、別に資産自体の
価格
——あるいはこの
価格
はその
土地
の利用度というものを当然反映することではありましょうが、しかし、現に具体的に何に利用しておるのかということについて、それを前提にして
価格
をきめておるというわけではございません。
山本伊三郎
57
○
山本伊三郎
君 その
土地
というのはどこから一体
価格
を生ずるかという問題ですね。
土地
は、人がつくるものではなくして、自然にあるものです。それが利用されることによって資本主義社会においては価値が生ずるのですね。
課税
をする場合の
方法
論として言われますが、
土地
の価値というものはそういうものでないのですか。農地にしてもそうですね。肥えた
土地
と肥えてない
土地
とは価値が違いますね。また運輸の便によっても価値が変わってきます。価値が
価格
によって変わりますね。都会の非常ににぎやかな
土地
が高いのは、その
土地
を利用することによって非常に商売が繁盛するとか便利がいいとかいうことによって
土地
の
価格
がきまるんですね。
土地
本来の価値というものは、その本質はどこにあるのですか。私は、
竹田
委員
の言われるように、人が利用するために、価値の相違によって、向こうの
土地
は高く、こっちの
土地
は安いということになると思う。いわゆる
土地
の
価格
の本質論というものはどういうものですか。
降矢敬義
58
○
政府委員
(
降矢敬義
君) たいへんむずかしい御質問でございますが、要するに、現在の
土地
というものについて、需要と供給の
関係
というものを前提にして一定の
価格
がきまるわけでございますが、その
価格
につきましての条件というものが、農地であれば、いろいろな水の利用、日照、商店であれば、御案内のような利用度というようなものを前提にして当然きまってくるわけでございます。
山本伊三郎
59
○
山本伊三郎
君 違うんですね。それでは
竹田
氏の言うことを認めておることになるでしょう。
降矢敬義
60
○
政府委員
(
降矢敬義
君) その価値を
考え
る場合に、現に何に利用されているのかということ、つまり、非常に具体的に言えば、そこに借地権があるとか、そういうような現在どう利用されているのかということを抜きにして、さら地
価格
としての評価を行なうということを申し上げたわけであります。
山本伊三郎
61
○
山本伊三郎
君 いわゆる
土地
の価値についての認められた額、これを
課税
する場合に、いま言ったように、何に利用されておるかということについては考慮していない、こういうことですね、
課税
する場合に。そういうことですね。
降矢敬義
62
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
課税標準
の算定に用いる
価格
については、そのとおりでございます。
竹田四郎
63
○
竹田四郎
君 どうもその辺が、技術論で、具体的な利用の状況がわからないという形で逃げておられるのですが、自治省、
市町村
を含めて、世界で一番精巧な、精緻なといいますか、
地方
交付税
制度をつくりあげているようなりっぱな頭脳をお持ちになっておるし、それに相当する精報網をお持ちになっておる自治省及び
地方
団体、しかも地域の末端にはかなりいろいろな形での情報網というものが町内会、自治会を通じてあるわけですね。それが
調査
ができないということは、それはきょう商売を始めたらきょう直ちにわかるということは困難だろうと思います。ある一定の期間というものが、三年という期間があるわけですから、そういたしますれば、私はこれはおおむね把握するということは可能だろうと思う。そういう技術論でお逃げになる点は、どうも私はやはり、サラリーマンにはマイホームという夢をかなえてやったかわりには過酷な
税金
を取っていくという、過酷な
税制
のあらわれだというふうに見ざるを得ないわけであります。まあこれはこれ以上議論をしてもしかたがありませんから、議論したくないと思います。 その次に、今日
免税点
が
土地
の場合は八万円ですか、家屋の場合には五万円、これ四十一
年度
にたしか
改正
をされていると思います。まあ
土地
の
価格
というものは非常に一律でなくて複雑でありますから、
都市
部面とあるいは過疎地域の部面とは
価格
に非常に大きな開きがあります。八万円で十分だというところも私はかなりあろうと思いますし、あるいは最近のような
都市
化されていく地域でありますと、おそらくこの八万円というようなものは問題にならないだろうと思います。私はむしろこういう
免税点
という形よりも、本質的には、人間が生活をするというためには、最小の程度の
土地
というものはこれはどうしても必要であります。これは他の衣とか食と同様に、人間が生活する上の最低の条件であります。そう
考え
てみますと、基本的には人間が生活するための地積というものとして、ある一定の面積というものを控除をして認めていく、その上に立って
税金
がかかってくる。たとえば三十坪で生活をしている人と百坪で生活をしている人とでは、これは当然私はそういう
意味
では違ってきていいと思う。三十坪というのは、おそらくいま
住宅
をつくる上にはもう最低の広さだと思います。それ以下の
住宅
というのは、おそらく人間の生活に値するような
住宅
ではなくなってきているだろう。そういう
意味
では控除制度というものを原則的にこれからとっていくべきであろう、こういうふうに思いますが、この点はおそらくおとりにならないという返事しか返ってこないだろうと思うんですけれども、その点もあわせてひとつあとでお答えをいただきたいと思いますが、少なくとも当時からの
土地
の値上がりというものを
考え
てみますと、たいへんな値上がりであります。そういう値上がりというものに
課税標準
がだんだんこれから追いついていこうというときでありますから、少なくともこの
土地
八万円、家屋五万円の
免税点
というのは、私の最小
限度
譲ったところでも、これはもう少し上げてもらわなければいけない、こういうふうに思います。いかがですか。
降矢敬義
64
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
土地
の
免税点
は現在八万円でございます。今回四十四
年度
この八万円で
課税
されなかった納税義務者は、全
土地
の納税義務者の約四割程度になっています。今回もその上に
課税標準
の改定がございましたが、大体三九%程度でありまして、あまり数字は変わらないようでございます。また実際、たとえば最近行なわれております分譲
住宅
というものにつきまして少し調べてみたのでありますが、たとえば船橋市の例で申し上げますと、山林を宅地に直して分譲をしたわけでございますが、一人当たりの
土地
の
課税標準
は、
負担調整
措置
を講じておりますので六万二千円でありまして、今度四十五
年度
は
課税
にならないで、四十六
年度
からなる。あるいは、同じようなケースで仙台市の例も調べてみましたが、分譲宅地につきまして
負担調整
措置
を講じておりますので、本
年度
の
課税標準
は六万八千三百円というふうなことで、
課税
になりますのは、こういう
措置
を講じている
土地
は四十六年からでありまして、その平均の坪数は仙台の場合は八十五坪であります。それから船橋の例では六十三坪ということでございます。そういうことでございますので、この
免税点
につきまして特に
引き上げ
を
考え
る必要はないというふうに
考え
たわけでございます。 それから
住宅
用地についての一定の控除という点につきましては、先般の評価がえの際にも当
委員
会でいろいろ御議論がございましたが、まあ繰り返すようで恐縮でございますが、控除制度というようなものは、全体の
所得
を総合して
課税
するような、いわゆる
住民税
的なものにふさわしいのでありまして、個々の
市町村
に所在する
土地
につきまして、
市町村
単位に
課税
をしていくというようないまの
固定資産税
の仕組みの中では必ずしも適当じゃない。つまり、たくさん分散して
土地
を持っている人と、一
市町村
内に持っておる人との間のバランスがくずれるということもございますし、また、いま御指摘のように、一定の面積という前提を設けましても、面積は結局
価格
が幾らか、こういうことに相なるわけでございまして、
課税標準
からそういうものを控除するにいたしましても、単位当たりの
価格
が非常に高いところと、そうでないところでありますれば、やはり
課税標準
に差が当然生じてまいります。したがいまして、
土地
所有者間にも必ずしもバランスがとれないという問題もございます。 それから
先ほど
申し上げましたように、技術的な問題ということでございましたが、実際の
課税
にあたりまして、一定の期日現在における把握ということが、つまり、たとえば一月一日現在における状況の把握ということが、いまのたてまえ——あるいはこのたてまえはおそらくとても変えることはできないと私は思いますが、そういう前提のもとでは実際問題として全く不可能だということでございますので、今回におきましても、やはり
負担調整
措置
により負担の
均衡
化を漸進的に進めるという
措置
を
考え
たわけでございます。
竹田四郎
65
○
竹田四郎
君 いま、控除額をきめるということになると非常に負担にアンバランスが出る、こういうふうにおっしゃられるのですが、たとえば三十坪引いてその上からかけていくということになれば、これは広い
土地
を持っている人はそれ相応に
課税標準
というのも——別に私は負担の不
均衡
はおそらくないだろうと思うのです。どうしてそこに負担の不
均衡
が出るわけですか。
降矢敬義
66
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 要するに、
金額
に換算しなきゃいけませんから、一定の坪数ということでありましても、その坪単位当たりの
価格
の非常に高いところにつきましては高い控除額というものが出てまいるわけでございます。で、それがとりもなおさず、そのまま
税負担
に反映するということで、バランスがとれないということを申し上げたわけでございます。
竹田四郎
67
○
竹田四郎
君 どうもその辺が、おっしゃっていることが私よくわからぬのです。
金額
に直すといっても、それは坪数自体がそれだけ減っていくわけでしょう、三十坪を最低限なら最低限と見れば。それから上にかかっていくわけですから、それは幾ら
金額
に直しても変わりはないと思うのですがね。ただ、非常に地価の高いところと地価の低いところとでは、ここは当然変わってくると思う。それはしかたがないんじゃないですか。そのどちらの見解にしても、その
土地
の
価格
というものはそれだけ差異があるわけですから、それは別に不
均衡
に私はならぬと思う。どうもその辺がよくわからないのですが、もう一回わかるように答弁してください。
山内一郎
68
○
委員長
(
山内一郎
君)
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
山内一郎
69
○
委員長
(
山内一郎
君)
速記
をつけて。
山下稔
70
○
説明員
(山下稔君) 一定の面積を控除するという
考え
方の
基礎
は、いわば最低生活の保障という思想であろうと思います。最低生活の保障であります限り、人によって
金額
に換算した場合違うというのはおかしいのではないか。したがって、銀座のまん中で三十坪引かれた場合と、山村地域で三十坪に相当する
金額
を引かれたのでは、人によって最低生活の保障する
金額
が違う。
金額
で
考え
ますとまさに違うわけです。そこにおかしさがあるのではないかということが
一つ
の
考え
方であります。かつ最低生活の保障ということであるならば、その人の財産を全部総合して
課税
するような場合において初めてそういう
考え
方が
考え
られるのであって、個別の財産のもとに
課税
する固定資産でそれを
考え
るというのはおかしくはないのかというのがひとつ基本的な思想としてあろうと思います。 それからもう
一つ
、最低生活の保障である限りは、先生のお
考え
の
基礎
には、おそらく
住宅
として利用する場合の最低生活の保障というお
考え
があろうかと思います。そうなりますと、結局、最低生活保障の三十坪は、工場等からも引くという必要はないということになりますと、結局これを引く場合の前提としては、それが
住宅
に使われているか、そうでないかという判断が必要であるということになると思います。そこで、
先ほど
局長が答えましたように、
住宅
に使われているかどうかということは、実際問題として一月一日現在の状態を一々判断することはほとんど不可能に近い、まあこういうことからいって、
基礎
控除的な
考え
方を取り入れることは、個々の財産を
課税
対象
とする物税である
固定資産税
では無理ではないかということを申し上げたわけでございます。
竹田四郎
71
○
竹田四郎
君 わかりました。ただ私の質問のしかたも、
住宅
に限らなかったという点にこんがらがった原因もあろうと……。私は少なくとも
住宅
に関しては、いま課長のお話ですと、総合
所得
という立場からおそらく最低生活ということをお
考え
になっているようでありますが、私の
考え
方は、人間が生活をしていく、住んでいくという最低の
限度
というのは、
住宅
地として住むというのが最低の
限度
なわけです。そういった場合には、少なくとも人間が生活をするという
意味
では
土地
が必要だ、
土地
なしに空中に一生涯住んでいるという人間というのはおそらくなかろうと思います。何らかの形で
土地
というものの上に立っている。そうして見れば、私はそういう人間が住むという最低の条件、そういうことをする上においては最低の
土地
という、それはわれわれが生まれてきてから、
税金
がかけられようとかけられまいと、与えられた
一つ
の条件だと、
一つ
の
土地
の中に住んでいる限りは。そう
考え
れば、私は当然そういう形で、まあ三十坪で適当なのか、人に言わせれば百坪という人もありますが、何坪が適当であるかわかりませんけれども、私は最低三十坪くらいは、
住宅
に使われる場合にはそのくらいはしてもいいんじゃないか。あなたのほうが調べられるか調べられないかという問題は、これは技術的な問題だと思う。純粋に
考え
方の問題じゃないと思う。そういうことを調べようと思えば私は調べることはできるだろうと思う。そんなむずかしい問題ではない。その辺は見解がまだ食い違っているようでございますので、まあ今度の場合、作業の途中で、八万、五万ということは一応認めるにいたしましても、この次の場合にはそれを
考え
てもらわなければいけない、こういうふうに思うわけであります。 それから次の問題に触れていきたいと思いますが、いま
市町村
の
税収
の中において
固定資産税
の占める割合というのはだんだん低くなってきておりますね。それを高めていくということは私は必要であろう。これは否認するものではないわけでありますけれども、それを高めていくのには、私は
先ほど
言ったように、ただ単にさら地としてのその
土地
の資産というものを
考え
ているだけでは、さっき言ったような不公正が出てくるのではないか。むしろそれは
土地
の利用による収益というものを
考え
ながらやっていかなければ、一方には非常に過酷なものになるし、一方には甘い
税金
になるのではなかろうかというふうに思うわけでありますが、その問題はあと戻りになりますから次の問題に入っていきたいと思いますが、固定資産の場合に
課税
の
特例
というのはかなりたくさん認められているわけですね。たとえば今度の場合でも、倉庫をつくる場合には
特例
を設ける、こういうことでありまするけれども、私はこれはかなり整理をしなければいけないだろうと思うのですが、若干整理をされているものもありますけれども、きょうの陳情にもありましたように、特に
都市
においては、そういう
課税
の
特例
とか、あるいは
非課税
処置とか、これは
償却資産
なんかにおいても私はそういうものが見られると思う。たとえば
電気
関係
の
施設
というのを
考え
てみると、変電所の設備ですか、これに対してはたしかいろんな
特例
があると思うのですが、これはたとえば
製造業
の中でそういうことをやっているもの、これは変電所が中に——おそらく
製造業
をやっている会社の変電所等もあるわけで、これはかなり工場が大きくなってきておりますから、そういうようなものも、これは一例でありますけれども私はあると思う。そういうようなもの、あるいは輸出
関係
のもの、これは御承知のように、いまは輸出がたいへん行なわれておりまして、円の切り上げまで議論がされているというほど日本の輸出というのが優遇されておりますし、最近では輸出金利について若干
引き上げ
るという議論もされておりますけれども、そういうような輸出に対するところのものも、現在の
段階
では、私は
非課税
にするなり
特例
を置くということはしなくてもいいんじゃないか、もっと洗ってみるべきではないだろうか、こういうふうに思うわけですが、どうでしょうか。
降矢敬義
72
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
固定資産税
の
非課税
あるいは
課税標準
の
特例
のことでございますが、
非課税
の分につきましては、御案内のとおり公害防止
施設
とか、あるいは
大都市
の地下乗り入れの分とか、あるいは
保安
林とか、こういうことをやっておるわけでございますが、また外航船舶につきましては特別トン税との振りかわりということで、こちらのほうを
非課税
にしているわけでございます。この中で、なおいままで
市町村
当局からしばしば陳情、意見の開陳がありましたものは、各種協同組合の
事務所等
の問題でございます。これは相当、信用金庫の事務所まで入っておるわけでございますが、こういうものにつきましてはぜひ廃止してもらえぬかということが、
市町村
側からは従来からしばしば陳情のあったところでございます。何回か努力をいたしましたが、今日まできておる状況でございます。 それからなお
固定資産税
の
課税標準
の
特例
につきまして、いままでやっておりますのは、いま御指摘のような変電所の問題につきましても、
電気
料金との
関係
を考慮して二十九年以来こういうような
特例措置
が設けられているわけでございます。ただ、最近の
特例措置
につきましては、
先ほど
も御
説明
申し上げましたとおり、できるだけ
期限
をつけて、その一定の期間内に
所要
の目的を達するという見地からこの問題を処理するという
考え
方で対処しておるわけでございます。そういうことで、輸出の問題につきましても、外航船舶の用に用いるコンテナにつきましても
期限
をつける、新しいコンテナ船の改造及びこれに対するコンテナという問題に対しまして
期限
をつけて、一定の期間内にとにかく至急
整備
をすると、その間の
税制
上の政策としてこれを
考え
るというような
考え
方で今後対処してまいりたいというような
考え
方を持っております。
竹田四郎
73
○
竹田四郎
君 その辺もう少し、特に
固定資産税
にしても
電気ガス税
にしても、一番財政の逼迫している
市町村
の場合でありますよね、
都道府県
の場合にはかなり財政的な余裕もあるから、必要に応じてはそういうようなものも私は必要であろうと思いますけれども、特に財政が逼迫しておる市、特にこういう
非課税
や
特例措置
をとられるようなところ、あるいは
電気ガス税
でいえば、輸出産業その他の
製造業
、これはもうたくさんありますね。そういうものについて、やはり一番困っている
都市
周辺の
市町村
、そういうものに与える影響というのは、私は
財源
付与をするという、新しい
税制
のあり方を変えなくても、そういうものを整理していけば相当程度しぼり出してくることができるのじゃないか。いまのようなお話ですと、どうも相変わらず続けるという形ですが、もっとほんとうに整理を私はすべきだと思うのですが、整理する気はないですか。これはむしろ次官のほうにお聞きしたいと思うのですが、もう少しこれは整理をして、今日それほど必要のない、奨励的な必要のないというようなものは私はたくさんあるだろうと思う。そういうものを、いままでの既得権益のような形で
特例措置
や
非課税
措置
をやられるということは、私はどうも理解できないし、外航船舶にいたしましても、これは六分の一ぐらいですか、こういうものも、いまの状況においてはたして六分の一という、それほど外航船舶に対して優遇を
地方
財政の側からしなければならないという必要というのが一体あるのかどうか。国としてやるという場合と
市町村
としてやる場合とは、私はこの点もやはり違うだろうと思うのです。どうなんでしょうか。
大石八治
74
○
政府委員
(大石八治君)
固定資産税
の
非課税
なり、その他の
特例
の問題というのは、まあ概して新しい事象が起きて、その問題に対して政策上一定期間を置いて
特例措置
をするというものが私は大部分だと思っております。つまり、いままでやっていたものをそれを
非課税
にするとかいう問題でなくて、新しい公害除去とか、いろいろな問題、あるいは大衆の、今度の鉄道や私鉄の問題の場合にもありますけれども、そういう政策上の多少奨励をしていくという
意味
で
特例
をとっていると思うのであります。したがいまして、その目的が大体達せられたという時点においては、その
特例
からはずしていくというのが当然やっていくべき方向だと思うのです。ただ、感じの上でややそれが既得権化されて、まあ勇断をもってやるべきものも、あるいは少し年次がついたということも私はあり得るのではないかと想像いたしますが、しかしお話しのように、政策目的が達すれば、それはどんどん
特例
からはずしていくという形はとらるべき方向だろう、こういうふうに
考え
ます。
竹田四郎
75
○
竹田四郎
君 まあ、ひとつこれは次官のほうで自治省を督励して、局長のお話ですと、どうもあまりそういう整理はしたくないということでありますけれども、やっぱり古くて、いまおっしゃられたように、政策目的を達したものは私はどんどん整理していいと思うのです。そういうことが実はほかにもいろいろ問題を私は現在与えていると思うのですね。私はほかの物価のほうもやっておりますが、この間の物価安定政策会議の中にもそれと同じようなことが触れられていて、もっと自由競争原理というのですか、そういうものを入れていけという御提言がありましたし、
政府
の政治介入というものをなるべくしていくなということは、私はこの問題についても言えると思うのです。そういう形でひとつ次官においてこういうものを、古い、政策目的を達せられたものはどんどん整理をしていく、それで正常な形へ返していくということを進めていただかないと、どうも
特例
とか
非課税
措置
なんというものがどんどんいつまでもたまって、ほこりのように、あかのようになってしまっているということがありますから、これはひとつ勇断をもってやっていただきたい、こういうふうに思います。 それから
軽油引取税
に関連して、今度新しく単一の炭素化合物という問題が出てきたのですが、単一の炭素化合物というのが私よくわからないのですが、これを少し
説明
していただけませんか。
降矢敬義
76
○
政府委員
(
降矢敬義
君) いわゆる市販されている名前ではコーレスと呼ばれているものでありまして、石油化学製品のトルエン、つまりシンナーのようなものでありますが、これは単一の
炭化水素
化合物といわれておりまして、
炭化水素
油というものではないというふうなものでございます。いわゆるシンナー溶剤の原料になっているものでございます。
竹田四郎
77
○
竹田四郎
君 それだけじゃなくて、一体それがいま日本でどのくらい生産されて、
自動車
の
燃料
としてどのくらい使われているか、あるいはその生産見込みはどうなのか、需要の見込みはどうなのか、そういうことも含めてひとつ御
説明
いただかないとわかりませんので、ただこれだけ、化学的なものだけじゃちょっと私よくわかりませんが、そういう生産需要の
関係
ですね。そういうものをひとつ聞かしていただきたい。
近藤隆之
78
○
説明員
(近藤隆之君) ただいま
議題
になっておりますコーレスにつきましては、これは昨年の暮れごろこういうものが発明されまして、北九州でございますとか北海道の一部あたりに出回り始めたものでございます。これは揮発油を取りました残りの残留物、それからトルオールという溶剤をつくるわけでございますけれども、普通でありますと、その残りものというもの、それから一定のマフラーをつけますと、これが揮発油と同じようにガソリンの代用品になるというようなことで、まだ出回り始めたばかりのものでございまして、どの程度全国に回っておりますか、われわれのほうでも把握いたしておりません。
竹田四郎
79
○
竹田四郎
君 そうすると、これはまだ全然海のものとも山のものとも見当つかないと、そういう状況ですか。それともある程度見通しはついたというようなものですか。
近藤隆之
80
○
説明員
(近藤隆之君) 二年前ばかりからこのコーレスの前身と申しますか、安全
燃料
というのが出回り始めたのでございます。この安全
燃料
というのが、これが軽油の規格にも該当しない、それから揮発油の規格にも該当しない。半分アルコールがまじっているわけでございます。そうすると
現行
法では
自動車
の
燃料
としては使えますけれども、そのアルコール部分について
課税
できないというような事態が
発生
しておったわけでございます。そこで、いろいろ
政府
各省検討いたしまして、アルコール分は無理でございますけれども、アルコールと
炭化水素
油との混合体でございますと、その
炭化水素
油の部分だけについて、安全
燃料
としては
軽油引取税
を
自動車
の保有者の
段階
においてかけるということにいたしまして、昨年の十一月からそういう
措置
をとったわけでございます。そういたしますと、安全
燃料
というものが揮発油とは、
税金
がかかりますと太刀打ちできないというようなこともございまして、姿を消しまして、今度はそれに変わってコーレスというトルオールだけでつくった揮発油類似品と申しますか、そういった
燃料
が出回り始めたということでございます。で、
軽油引取税
の目的からいたしまして、これは御承知のように目的税でございまして、
自動車
の運行に使う油であれば全部かけるということでございまして、これらのものはいろいろな形をとっておりますけれども、結局は
自動車
の
燃料
になるわけでございますので、そういう観点から、
自動車
の
燃料
になるものはすべて
自動車
保有者の
段階
においてかけるということにしたわけでございます。
竹田四郎
81
○
竹田四郎
君 何か新聞によりますと、この
燃料
というのは、有毒
ガス
の排出が非常に少ない。たとえばLPGとか、あるいは揮発油に比べて、コーレスというのは何ですかCOがないという
意味
でコーレスという名前だという話ですが、
先ほど
の観点からいけば、いま一番困るのは、おそらく交差点等におけるところの有毒
ガス
の
発生
ということで、今度はそれぞれ東京都でも基準を出そうと言っているようでありますし、運輸省でもそれに対する対策を
考え
ておられるようでありますが、そうした公害がない
燃料
ということになりますと、ないというよりも少ないというもの、私は、そういう
意味
で、さっき言う今日の空気の汚染という立場から申しますと、むしろそういうものは奨励して伸ばしていかれるべき問題であると思います。まだこれが一体どのように使われてくるかということについても、ただいまの御
説明
では、実はどうも海のものとも山のものともまだつかない。大量的に将来使われていく可能性のあるものかどうなのか、これもはっきりしない。そういうものに対して、むしろ奨励的にこういうふうなものをもっと使え、そして公害を防いでいけということのほうが、私は政策目的に合うんじゃないかと思う。それに対して、海のものとも山のものともまだつかないものに、いきなりここで
課税
をしていくというよりも、何か優遇
措置
を私ははかるべきじゃないだろうかと思うのですが、そういういまの公害というものをなくすという政策目的にむしろこれは合うのじゃないかと思うのですけれども、どうですか。
近藤隆之
82
○
説明員
(近藤隆之君) 内容がこれはトルオールでございます。いわゆるシンナーでございます。したがって、一酸化炭素が少ないということだけは事実のようでございます。ただ、そのほか、これが
自動車
の
燃料
としてどうこうという問題、私どもよくわかりませんけれども、ただ、これが
自動車
の
燃料
として使われて
道路
の上を走ると、そしてその
自動車
が
道路
を痛めるというようなことでございますので、目的税である
軽油引取税
の
対象
とすることは当然ではないかと思います。一方、公害の見地からこれを見て、何か税法上も何らかの取り扱いをすべきではないかという問題があるかもしれませんけれども、その場合には、この油をつくる機械とか何か、いま公害防止の見地から、脱硫装置等につきましてもいろいろな
税制
上の手当てをしておりますが、そういった方面で
考え
るべきだろうと思いますが、何ぶんにもこれは現在のところは揮発油をつくった余りもの、そのものを持ってきてそのまま使っておるだけでございますので、もし今後これがいい油であって大量生産がされるというような事態にでもなりまして、それをつくるための
施設
というものが必要になってくる事態がくれば、それはその
施設
について
税制
上どう扱うかという問題で、
道路
目的
財源
である
軽油引取税
をまけるとかまけないとか、そういった問題ではないのじゃないかと思います。
竹田四郎
83
○
竹田四郎
君 そうすると、具体的に四十五
年度
ではこのコーレスに関する
税金
の総額というのは大体幾らぐらい見込んでおられるわけですか。具体的に大体ことしはどのくらいつくるかという量も、それによって出てくるだろうと思います。
近藤隆之
84
○
説明員
(近藤隆之君) 将来の予測でよくわかりませんし、いままでも、
先ほど
申しましたように、昨年の暮れ、現実にはまあことしの初めからちょっと出回り始めた程度でございますので、昨年の実績もございませんので、これによって増収するとかいうようなことは立てておりません。それから、
先ほど
も申しましたように、安全
燃料
に
税金
がかけられれば
製造
を中止したというような経緯もございますので、どういうことになりますか、現在のところではちょっと把握しかねます。
竹田四郎
85
○
竹田四郎
君 まあ過去にかなり使われてて、もうそろそろかけてもいいという
段階
なら、私はかけてもいいと思います。去年の暮れに出回ってきて、海のものとも山のものともつかないし、いまの御
説明
では、一体どのぐらいつくるかということもわからない。それから、それをつくるいろいろな
施設
についてのどうも
特例
というものもまだ施されていない、こういうものにいきなり——確かにそれは
道路
を走ることは事実です。おそらく先のお話では、全国で走る車両の数なんかも
限度
があるだろう、そんなにたくさんことし一ぱいでぱっと広がるというほどのことでもないようです。そうすれば、ここでいきなり
税金
をかけるということをしないで、一年ないし二年なりの趨勢というものを見守ってやっても、
税収
の上においてもたいしたことはないのじゃないか、政策目的をある程度それによって満たすこともできるんじゃないか、こういうように思うのですが、どうもその辺の根拠があんまりよく理解ができない。ただ、それを使った車が
道路
を走ると、なるほどそうだと思うのです。そういえば
電気
自動車
も走るわけです。必ずしもこれだけというわけにはいかないと思いますがね。
電気
自動車
もいろいろ開発され始めてきているのですから。そういうふうな点を
考え
ますと、ただ
道路
を走るからというだけで、ここでまだはっきりしないものにいきなり
税金
をかけるというのは、どうも納得がいかないと思いますけれども、その辺もう少し根拠ある
説明
をひとつ願いたいと思います。
降矢敬義
86
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 現在、
軽油引取税
を
課税
する場合、大別して
三つ
ございまして、
一つ
は、オーソドックスに卸売り業者あるいは特約業者からの引き取りに対して
軽油引取税
を
課税
する。もう
一つ
は、小売りの
段階
でいわゆる混和軽油というブレンドをして売る場合、これに
課税
いたします。第三番目は、いまの
自動車
の保有者が油を使って
自動車
を走らした場合、その油というのは
炭化水素
油、こういうことになっておりまして、軽油の規格にはまらない、軽油でない、たとえば灯油とか重油というものを使って走らした場合においての
自動車
の保有者に
課税
をする、
三つ
の場合がございます。そこで、この一番最後の場合、現在
炭化水素
油というふうに書いてありますので、これにはまらない油で
自動車
を走らせる場合の
課税
というものについて、新しいものが出れば、これは
課税
のバランスから、そこに加えていくと、むしろ包括的な
規定
になっていればいいのでありますが、そうではなしに、
炭化水素
油というふうになっておりますので、
炭化水素
油でない、単一の
炭化水素
を考慮してというようなものができますれば、これは
課税
できないということになっておりますので、今回
課税
のバランスというものを
考え
て、少なくとも
道路
を走る車については、油について
課税
をする、こういうふうにいたしたわけでございまして、従来の灯油や軽油の
一つ
の延長ということで、内燃
自動車
の保有者に
課税
をするという
規定
を設けたわけでございます。
竹田四郎
87
○
竹田四郎
君 どうもあまり根拠について、いずれの御
説明
も私はよくわからないわけです。今後非常にその可能性が強いというならいいと思います。実際コーレスを使って走るようになっている車というものは何台ぐらいありますか、全体で。
近藤隆之
88
○
説明員
(近藤隆之君) 通常の揮発油を使って走る車にマフフーを取りつけるだけだそうでございます。
竹田四郎
89
○
竹田四郎
君 何台ありますか。
近藤隆之
90
○
説明員
(近藤隆之君) 何台かわれわれのほうはつかんでおりませんが、幾つかのタクシー会社などで採用しているやに聞いております。
竹田四郎
91
○
竹田四郎
君 具体的にそれは調べられませんか。おそらくその範囲はきまっていると思いますね。東京とか
大阪
とか、あるいは北九州とか、まあ全国にそんなにいってはいないと思います。大体、何というか、さっき言ったトルオールを販売しているところがそんなに全国各地にあるということはないと思う。それがなければおそらく走れないだろう。だから大体見当はつくと思います、
税金
をかけようというのですから。その数字を調べてもらえないですか。これは技術的に不可能ですか。
降矢敬義
92
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 現在、これは
課税
をされていない、この油を使って走る車については
課税
の
対象
になっておりませんので、税務事務所に照会しまして、どのくらいあるのだということで調べる以外に
方法
はないと思いますが、具体的な的確な数字が出てくるかどうかは、ちょっと私どもも確約できないわけでございますが、一応当たってみて、わかっているものがあれば御報告申し上げます。しかし現在
課税
しておりませんので、税務
関係
には直接当たっておりませんので、これは御了承願いたいと思います。
竹田四郎
93
○
竹田四郎
君 そんなことないと思いますね、私は。だってそのマフラーというのは特許になっているのでしょう。いま特許権を得ているわけですから、そんなにあちこちでそのマフラーがたくさんあるとは私は思わない。だからメーカーは、大体いままで幾つぐらいそのマフラーをつくって出しているかということを見れば、大体何台ぐらいトルオールで走れる車があるかということはわかるのじゃないですか。それにコーレスというものについては業界もあるでしょう。そうすれば私はこんなものは大体——私だってここで正確に何月何日現在で何台ということを要求しているわけじゃないのです。こんなものはすぐ出ると思いますね。どうもその辺が、いまのいずれの御答弁についても、いますぐここでかけなければならないという必要性、そういう根拠がどうも明らかでないと思いますので、明らかにしてほしいと思います。とにかく
課税
するわけですから。
降矢敬義
94
○
政府委員
(
降矢敬義
君) そのコーレス台数の問題は、あるいは何だったら業者に聞いてもよろしゅうございます。ただ、
課税
の根拠につきましては、現在、申し上げたとおり、軽油税について言いますれば、軽油の規格にはまらない油、灯油、重油につきましても、それが
内燃機関
として走った場合には
課税
をする、現に
課税
をしております。そういう
意味
合いにおきまして、やはり軽油の規格にはまらない油で
自動車
を走らした場合には、
道路
目的
財源
として当該油に
課税
をする、こういう
考え
方でございまして、これは
道路
の
財源
としての、軽油のほかに規格にはまらないものに.
課税
しておる、しかも保有者の
段階
で
課税
をするという特別の
規定
を置いておりますが、これはバランス上私は
課税
すべきもの、こういうふうに
考え
ております。
竹田四郎
95
○
竹田四郎
君 どうも議論するのがいやになってきましたがね。片一方では、
先ほど
の
特例措置
とか
非課税
措置
は、これはいままでの局長の御答弁によりますと、これはいま変更するわけにいかない、整理するわけにいかないと。国の政策として、空気の汚染問題というのは、これは何とか対処しなければならないというのが国民的な希望ですよね。その希望にもかかわらず、ただ税法上の立場からいって、そういうものができてきたのだから、それは
道路
を走るのに使うんだから当然かけるべきであるという理論的な問題、どうもそういう点で政策的な問題と合致をしない。ほかのものでいきますと、今度は整理をしないでいままでのものをそのまま認める、どうもその辺が局長の答弁は、さっきからいいまして首尾一貫していないわけですね。
先ほど
の
非課税
措置
なり、あるいは
特例措置
なりというものは、これは明らかに政策目的があるからそういうことをどんどんやっているわけですから、今度倉庫の問題にしたってそうです。
一つ
の政策目的があるからそれに対しては
特例
を設けて減税
措置
をやっているわけですね。どうしてこれがそういう
意味
ではそういうものに乗り得ないのか。具体的には、
法律
はこういう
法律
でも、
政令
か何かで見るんですか、どうなんですか。
法律
は
法律
の体系上それはやらなくちゃならぬ、しかし
政令
の中で何とかそれは
特例措置
を認めるということを
考え
ていらっしゃるんですか、どうなんですか。
降矢敬義
96
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
政令
で特別の
措置
を
考え
ておりません。
法律
そのもので手当てが済んでおるわけでございまして、
政令
で何かするということはございません。 それから、この油について政策目的ということであれば、いわゆる
軽油引取税
については用途免税という
方法
しかないわけでございまして、しかし、これは一般的に使う場合の
課税
ではございませんので、
自動車
の保有者が
内燃機関
としての油に使って車を走らせるという場合だけしか
課税
をしないということでありますので、用途免税というような方途はこれは講ずることができないわけでございます。 また、一酸化炭素の揮発油に比べて少ないという話に関連いたしまして、これは
先ほど
も御答弁しましたように、それをつくる機械なり、あるいは開発研究費というようなものにつきまして、それぞれの機関で認定されれば、それぞれ税法上の手当てが講ぜられるわけでございますので、なお、われわれの
固定資産税
につきましては、もしこれがそういうものである、単に一酸化炭素だけの少ないという話は厚生省や通産省から聞いておりますが、一体その他の問題につきましてどうなのかということについては、まだ結論が出ていないように話を聞いております。もしそういうことでやれば、
固定資産税
の脱硫装置に準ずるような
税制
上の手当てができる、こういうふうに
考え
ております。
山本伊三郎
97
○
山本伊三郎
君 どうも自治省は私は不熱心だと思います。租税政策で、幾ら走るかわからない、幾らそれが使用されるかわからないというあいまいなことで、そんなものを
課税
対象
にするというのは、これはもってのほかだと思うんです。いまわれわれに陳情がたくさんきています。相当そういう業者に打撃があるかと私はいま初めて聞いて、まだ試験的なもので何ぼかわからない、そういうようなことで、
道路
を使用する目的税だから取るんだというあいまいなことでは国民は理解しない。ぼくら自身が理解できないでしょう。試験的にやるのであれば、それは試験的にひとつやってみて、その上でどれくらいあるんだとわかってから
課税
する、
課税
しても幾ら入るかもわからないという答弁ではわかりませんよ。そんなことで一体
税金
をかけるというのは、これは租税政策としては全く私はめくらめっぽうのことをやっているんじゃないか。自治省疑われますよ、そういう答弁だったら。少なくともこれくらいのものが、これははっきりキャッチできぬと思いますけれども、ぼくはある程度あると思うんですよ。そういうデータがなくて、ただそういうものが揮発油のかわりに、軽油のかわりに使われるだろうと、使われるとなればこれは
課税
するんだ。そんなことじゃ、当面この問題処理することはできない。
大石八治
98
○
政府委員
(大石八治君) 試験的にやるという
段階
ではないように私ももう承知しております。現に私もこの当事者に陳情で会いましたが、二千台というふうな感じがしましたが、二千台といったような記憶がありますが、もうやっているんだというんで、それから
場所
はたしか東京などではやってなくて、九州のような
都市
でやっているというふうに聞いております。それから、今日のここまでになる
段階
では、相当前の安全油という時分からの経過がありまして、自治省との間にはそのメーカーといいますか、業者というか、ずっと何というか、折衝、交渉が実は重ねられてきていて、そして突然こういうふうになるということではなしに、ある程度当事者の間では何らかの話がある
意味
では了解されてきて、今日の立法のところに入ってきたように私は解釈をしております。それで、これをまた無税にするという問題は、実は他の
燃料
との
均衡
の問題が実はあるわけで、そういう
意味
で、その点からもやはり立法化すべきであろうということになったと承知します。しかも、このものが一酸化炭素が少ないということは私も承知しておりますが、奨励の
措置
というものは、油自体の
税金
ではないんではないんだろうか、逆にいわゆる
固定資産税
の特別償却をするとか、いろいろの形のものでこれをやっていく必要があるんではないんだろうかというふうに解釈を実はしているわけであります。まあ
速記
の
段階
ですからこの程度でございます。
山本伊三郎
99
○
山本伊三郎
君 政務次官がえらいまたあいまいな、二千台くらいだと思うという、これは何ですか、LPGのように国税と
地方税
ということになるんですか、これは
地方税
だけですか。
近藤隆之
100
○
説明員
(近藤隆之君) この油は比重の点からいきますと揮発油には該当しませんで、軽油のほうに該当いたします。しかし、その他の点におきましては軽油の規格に該当いたしません。つまり発火点が非常に低いというような
関係
で、
現行
法の軽油であるとか揮発油であるとか、そういうものには該当いたしません。しかし、現在のわれわれのほうの
軽油引取税
におきましては、
自動車
の保有者の
段階
では
自動車
燃料
、
現行
法では
炭化水素
油となっておりますが、
炭化水素
油であれば何でもかけれるという仕組みにしてございます。
山本伊三郎
101
○
山本伊三郎
君 この液化
ガス
の
燃料
のときにもこれは問題起こしたですよ、政務次官、だから私もそれがいやなんですよ。だからそういう
関係
もあって、あのときは大体一年から二年、年々ずっと上げていきましたね、
税率
を。だからぼくはそういう問題でもっと的確に把握して自治省が提案してもらわぬと、自信がなくこれ審議しておっても、幾らぐらいですか、わからない、予算にはひとつも。ぼくはちょっと勉強不足ですが、幾ら、本
年度
四十五年でどれだけ、出してないんですか、出しているんでしょう、予算は。収入を見ておるんでしょう、見ておるんでしょう。見てない。
近藤隆之
102
○
説明員
(近藤隆之君) ありません。
山本伊三郎
103
○
山本伊三郎
君 見ぬで
課税
して出すなんて、これは
地方行政委員会
をばかにしたようなものですな。
課税
しても幾ら入るかわからない、ゼロだ。こんな私は
税制
改正
、いままで大蔵
委員
会におっても
地方行政委員会
におっても、そういう
法律
改正
見たことないんですがね、どうですか、これは。
近藤隆之
104
○
説明員
(近藤隆之君)
先ほど
も申しましたように、コーレスのほうが表面に出ておりますけれども、三年前からのこれは安全
燃料
というものの延長でございまして、安全
燃料
というものも各省協議の上、昨年の十一月に
課税
といいますか、
自動車
保有者
課税
のところに出ておりますが、
課税
に踏み切りましたときに
製造
を中止いたしております。だから
税金
をかけますと、
軽油引取税
は、揮発油と違いまして、これは揮発油の代替税になるわけでございますが、揮発油と太刀打ちできる性質のものであるかどうか、これは疑念がございます。太刀打ちできるものであれば業者の方もおつくりになると思いますが、そういったような
関係
上、前は打ち切られた、
製造
を打ち切られたというような経緯がございますので、幾ら見込んでいくか、そういうことが計算がつかない、打ち切られる可能性も非常にあるんじゃないかということで、計上いたしておりません。
山本伊三郎
105
○
山本伊三郎
君 それでは済みませんな。そういう事情はよくわかるんですよ。
先ほど
から
竹田
さんの質問に対しての答弁、わかるんだけれども、われわれかりにこの
法律案
に反対か賛成か別として、一体、
地方行政委員会
の山本さん、これを
課税
して幾ら入るんですか、いや、わからないんだよ、わからないのに、一体何でこんなのに
税金
をかけるのか、笑われますよ、実際。かりに、ぼくは腹悪いことないけれども、実はそういうことであれば、最低限のやつを大体、これは当たるか当たらぬか八掛といいますけれどもね。一応これからの見通しだというものを組んで、これはもうこのぐらいは収入があるだろう、こういうことであんた提案してもらわなければ、ないかもわからない、しかし
税金
はかけるんだ、こういうことでは困る。
近藤隆之
106
○
説明員
(近藤隆之君) 現在
軽油引取税
の総額は 一千八十五億ばかりあるわけでございます。で、その
うち
で普通の引取
課税
でとっております分がその九九%でございます。
自動車
の保有者
課税
で取ります分は全体の〇・二%を割るような状況でございます。しかもこの〇・二%を割る
自動車
保有者
課税
の中で、この分が何台ございますかということを計算いたしましても、非常にネグリジブルであるということと、過去の経緯からいきまして、
税金
がかかれば揮発油と太刀打ちできるかどうかという基本問題もございますので、業者が
製造
をお続けになるかどうか、その問題もございますので、一応このものとしては明
年度
の収入の中に盛り込んでございません。
山本伊三郎
107
○
山本伊三郎
君 しつっこいようですけれども、ぼくら権威にかかわるから聞いているんですよ。非常に微量なものだから、このぐらいのものだから収入予算に盛るわけにいかないんだ、しかしこのくらいあるんだ。そうでないと盛んに陳情にくるんですね。相当打撃がくると思うんですよ。
政府
のほうはそんなものはほとんど問題にしてないということでしょう。収入が認められないんだから問題にしてないということでしょう。一方ではこれやられると困るから、十二月ごろまで延ばしてくれとか、陳情がくるんですが、その間われわれが応待した場合に、何にも返事のしょうがないじゃないですか。
近藤隆之
108
○
説明員
(近藤隆之君) 実はこれは
税収
を上げるという目的よりも、昨年の十月、十一月ごろの
税制
調査
会でも問題になったところでございますけれども、
税金
のかからない軽油あるいは揮発油類似のものが出ているということで、その点がむしろ問題になっております。だから負担の
均衡
という点に主眼が置かれて今回の
措置
を講じたわけでございます。
山本伊三郎
109
○
山本伊三郎
君 ぼくは何べんも言いませんが、
竹田
委員
言われたように、これは一酸化炭素が少ない、公害上いいというようなこともいわれておることは知りませんよ、科学者でないから知りませんよ。
政府
がこの油を使うことがいけないんだという
考え
方でおるのか。しかし、これはどうせ将来出てくるだろう、出てくるんだから、いわゆる
課税
均衡
論から、同じ
道路
を使うのだから、どんな理由であっても
課税
するという理由はわかるんですよ。理由はわかるけれども、幾ら入ってどういう状態であるかわからないというものに対して、いまはどういう理由でも
課税
の
均衡
論からいってするのだ、将来こういうものができるからという予想から
課税
をする、
税金
をかけるということは、そんなことは租税理論からいえないでしょう。将来こういうことがあるからということで、いまの
うち
から
法律
をつくることはできないでしまう。幾ら使うかわからないのに、こういうものに
課税
するということは、いままで、長い期間ではないけれども、私は大蔵あるいは
地方行政
におったけれども、こういうことについて過去にそういうことがありましたか。
大石八治
110
○
政府委員
(大石八治君) 私は、まあ課長は少しそういうふうに、将来使うか使わないかわからないということを申しましたが、現にこれをつけて、アダプターをつけて初めて走るわけなんです。このアダプターを相当つくっているという事実も、まあ
説明
はそういう話でありますから、いま出現しようとしているというのでなくて、すでに出現していると思うのです。そういう事態に対して、
課税
の問題として実はできておるんで、これからできそうだとかいう話のものではないというふうに
考え
ております。
山本伊三郎
111
○
山本伊三郎
君 またこの次やりますが、もうできておると思う。そこでそんな写真を持って言われますが、過去にそういう審議の中で、そういうことの
説明
のために——
課税
権というのは、これはたとえどんなものでも国民に負担をかけるんですから、これは大きい国家統治上の問題です。どんなに小たりといえども、そういうあいまいなもので
課税
するということは、国会、すなわち立法府があるということは、
課税
権が大きな
役割り
であるんでしょう、わずかであるかどうかは別として。そういうものも私は答弁が悪いと言うのです。資料が悪い。それははっきりしたものを自信を持ってやってもらわなければ、たとえば、ほかにたくさんありますけれども、その
一つ
だけでもそういうことであれば、私は
地方行政
に長いこと来ておりませんけれども、私は承服できませんね、この問題については。
山内一郎
112
○
委員長
(
山内一郎
君) ちょっと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
山内一郎
113
○
委員長
(
山内一郎
君)
速記
つけて。
降矢敬義
114
○
政府委員
(
降矢敬義
君) ただいま御質問ありました件につきましては、この次までに資料を整え て提出いたします。
竹田四郎
115
○
竹田四郎
君 どうも聞いておってもほんとうにわからない
説明
ですよ。どうも私のほうも質問する気力を失っちゃいまして、非常に私も残念だと思って、この辺で質問を打ち切ろうかとすら
考え
ておったのですが、ひとつそれに関連してほかのことを伺いたいと思うのです。これは
法律
にはないそうでありますけれども、
政令
で、いままでは中高層のマンション等、併用
住宅
ですね、こういうものをつくった場合には、三分の二以上
住宅
部分がなければ
特例措置
を認めないという形だったそうですが、今度それを二分の一にしたというのは、一体どういう政策目的があってそういうふうなことになさったわけですか。その辺の政策目的をはっきりしてほしい。本来ならば、私は当然三分の二の
住宅
部分というものを
考え
るべきだと思うのです。それを二分の一に減らして、これは商店とか、事務所とか、そういうものの入る余地を多くした、そして
住宅
部分を減らしたんだ、こういうことでありますが、そういうものに対して
特例措置
を広げたということになりますか。実際上広げたことになると思うのです。その辺についてのひとつ根拠、政策目的、そうしたものをお聞きしたいと思います。
降矢敬義
116
○
政府委員
(
降矢敬義
君) いま御指摘のように、
現行
法では高層耐火ビルにつきまして、
住宅
部分三分の二以上のものについて軽減
措置
を講じております。今回、
政令
で二分の一以上に改めようとするわけでございますが、これは耐火震高層ビルの
土地
の効率的な利用という観点と、それからもう
一つ
は、
住宅
部分の増加ということが必要でございますので、両者を勘案いたしまして、いままでの三分の二以上の
住宅
部分というのを二分の一以上に緩和した次第でございます。
竹田四郎
117
○
竹田四郎
君 どうもあまり
説明
が直率に言ってわからないのです。
土地
の効率的な利用と、
住宅
部分の増加と、それをもう少しその辺
説明
していただかないと、それだけではわからないのですが、御
説明
いただきたいと思います。
山下稔
118
○
説明員
(山下稔君) いま問題になっておりますのは併用
住宅
でございまして、いわゆるげたばきというやつで、下が商店になって、上が
住宅
になっている、こういう
性格
のものでございます。その場合に、いままで
住宅
対策という点を重視いたしまして、全体に対する
住宅
部分が三分の二以上でなければそういう適用はしないということにしてきたわけでございますが、最近の
住宅
、そういうげたばき
住宅
の実情を見てまいりますと、
住宅
部分が二分の一程度のものがかなりふえてきております。現在の要件が三分の二でありますために、適用にならないというものがかなり多うございます。そこで、かりに二分の一でございましても、やはり
住宅
がつくられていることについては同じでございますし、現実の建築の状況から見て、やはりそういう
住宅
でも、
住宅
政策上ふやしていくことが
住宅
対策上望ましいのではないか、そういうふうに
考え
まして、多少
住宅
要件を緩和して
都市
対策、
住宅
対策に寄与していきたい、かように
考え
て
改正
を意図しているものでございます。
竹田四郎
119
○
竹田四郎
君 どうもその辺が私まだよくわからないのですが、現実にそういうものが非常に多くなってきているというお話ですね、いまのお話では。そういうふうにいたしますと、
都市
づくりという立場からいきますと、おそらくそういうものは事務所であったり、あるいは商店であったり、そういうものだろうと思います。そうなると、おそらく
都市
再開発、私は
都市
再開発をするという
意味
で事務所と住居というものをもう少し、住・職ですか、そういうものを接近させていって、
都市
開発をやっていくためにむしろこういう
措置
をとったんじゃないか、実はそんなふうに
考え
ていたのです。いまのお話ですと、こういうことをやるということになると、どうしてもこういうものができる地域というのは、
都市
の中心地にできる場合が多くなるだろうと思います、比較的。そうしますと、むしろこういう施策をやることによって、
都市
への昼間の人口集中ですか、そういうものを私はよけい多くしていくような結果が出るのではないだろうかということをむしろ心配をするわけなんです。どうもその辺がよく理解できないわけですけれども、ただ現実にそういうふうにあるからそれはまけてやる。私はむしろまけてやる必要はないんじゃないか。商店、事務所がそれだけ含まれてくるということであれば、これは
先ほど
も言ったように、そこの建物なり
土地
なりというようなものは収益が当然多くなってくると思うのです、住居に比べますと、そういうものに対してさらにまけてやるという形というのはどうも理解できない。何かそういう、言うならば民間のそれだけ大きく投資をできる人たち、そして、しかも高い収益を上げることのできる人たちに
税金
をまけてやるというような結果になりやしないかと思うのですが、どうですか。
降矢敬義
120
○
政府委員
(
降矢敬義
君) いま御指摘のありました
都市
の再開発ということは、結局都心の高い
土地
をどう利用するかということだろうと思います。そういう
意味
合いにおきまして、下が事務所なりあるいは商店街になる。しかし、さらにある一定の階層以上が
住宅
地になる。御指摘のありました職住接近という問題もあろうかと思います。いずれにいたしましても、少なくとも
住宅
に対する配慮といたしまして、従来よりもさらにこれを緩和して、あるいは職住接近の目的も人によっては達せられるかもしれませんし、全体として見れば
都市
の再開発ということ、
土地
の有効利用というものも促進いたしますので、今回その三分の二という要件を二分の一に緩和するということでありまして、どうも先生がおっしゃるような配慮、考慮というものをもって緩和するという
考え
方をとったわけではございません。
竹田四郎
121
○
竹田四郎
君 私にとっては御答弁がどうも理解できませんけれども、あまり私はよい
措置
ではなかろう、こういうふうに思います。 それから今度は
住民税
の問題に入りたいと思いますが、今度は四人家族で一体
課税
の最低限というのは幾らぐらいになりますか。あまり五人家族というのは現実に存在しておりませんので、四人家族で聞いたほうがはっきりすると思うのですが、四人家族ではお幾らになりますか。
高橋睦男
122
○
説明員
(高橋睦男君)
配偶者
、子二人で六十二万九千十三円、こういうことになります。
竹田四郎
123
○
竹田四郎
君 去年から見ますと、
伸び
率はどのぐらいになりますか。その
金額
の
伸び
率です。
高橋睦男
124
○
説明員
(高橋睦男君) 四十四
年度
が五十四万五千百四十四円でございますので、いま
伸び
率を計算しております。——一五 四%の
伸び
率です。
竹田四郎
125
○
竹田四郎
君 これは去年もお聞きしたのですけれども、四人家族で六十三万ですか。国税の場合は九十何万でしたか。九十何万だろうと思います。この差というのは相変わらず三十万円ということで、非常に
住民
にとって
地方税
が過重に負担をされてきているという批判が強いわけでありますが、この差額というのは私はもっと引き下げるべきであろうと思います。おそらく理論生計費といいますか、四人家族の理論生計費というのはいま正式に発表されてないようですが、これは大体どのくらいになりますか。おそらく理論生計費に食い込んでいるのではなかろうか、こういうふうに思いますが、食い込んでいませんか。どうですか。
高橋睦男
126
○
説明員
(高橋睦男君) 大蔵省で従来とっておりました基準生計費でございますが、これは
昭和
四十年までしか算定がなされておらないわけでございます。その後、四十一年以降各年におきますところの消費者物価の
上昇率
というものを乗じまして算出をいたしますと、この場合夫婦、子供三人で計算をしてございますが、
昭和
四十三年で六十六万七千七百円、
昭和
四十四年で七十万四千四百円、このようなことになってございます。
竹田四郎
127
○
竹田四郎
君 そうしますと、おそらく四十五年ということになりますと、基準生計費のほうが
課税
最低限より上回ってくる可能性がありますね、五人家族で。
降矢敬義
128
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
住民税
は、御案内のとおり前年の
所得
を
課税標準
にしておりまして、ことしが
所得
がどんなに
伸び
ても、それは
課税標準
になっておりません。したがって、この比較におきましても、ただいま市
町村税課長
が申し上げましたのは、四十四年の基準生計費ということで七十万四千何がしと申し上げたわけでございまして、もうこれは夫婦、子供三人の
給与所得
の場合でございます。したがって、今回、
課税
最低限は夫婦、子供三人の
給与所得
者につきまして七十二万九千七十一円、こういうことに相なっておるわけでございます。
竹田四郎
129
○
竹田四郎
君 私その計算おかしいと思うのですね。
税金
を具体的に払うのは、ことしになって払うわけですからね。去年の
所得
でことしになって払うわけです。生活の実態というのは、これは去年の物価でいろいろな物が買えるわけじゃないのです。当然ことしの予想物価ということになりますね。そうなってまいりますと、当然私は基準生計費と
課税
最低限というものは、これはやはり一年おくれに
考え
てみなくちゃいけない。ですから、ことし予想されている
経済
見通しでの消費者物価、この消費者物価というものも、もう実際
政府
の発表している消費者物価指数なんというのはだれも信用していない。きわめて低い、実勢に合っていないものだと私は思うわけであります。そうしてみますと、実際には
課税
最低限が基準生計費というものを上回っておる、こういうふうに見るのが自然であろうと思うわけですね。そういう
意味
では、今回の
課税
最低限というのは基準生計費の中にひっかかってきている、こういうふうに私は理解をする。そういう
意味
ではこの今度の七十数万という
課税
最低限は当然低過ぎる、少なくとも今
年度
に予想されるところの基準生計費よりも上回るべきである、こういうふうに思うわけですが、そのほうがむしろ正しいのじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
降矢敬義
130
○
政府委員
(
降矢敬義
君) ここはなかなか、
住民税
は御案内のとおり前年の
所得
を
課税標準
にしておるものですから、ことしが前年に対して
所得
が
伸び
ましても、その
所得
は
課税
の
対象
に実はならないわけでございます。したがいまして、比較をする場合には実はことしの
所得
そのものは問題になっておりませんので、いま申し上げたような前年の基準生計費と、それからそれに見合う
所得
に対する
課税
としての本
年度
の
課税
最低限というものを比較するのが妥当ではなかろうかと私たちは
考え
ております。
竹田四郎
131
○
竹田四郎
君 まあ私はいずれにしてもこれはもう少し今後
引き上げ
ていくべきだ、そしてなるべく
所得税
の
課税
最低限に近づける努力を私はすべきだと思う。去年もそういうことを私は申し上げたのですが、ことしも相変わらずその点では三十万円の差額が出ているわけです。これは次官にお伺いしたいのですが、来年はひとつそういう差額を国税に近づけていく、この点をお約束していただけますか、どうですか。
大石八治
132
○
政府委員
(大石八治君) 実は
所得税
の国税のほうの場合に、私どもの感度で言いますと、
所得税
が一体来
年度
どのくらい
引き上げ
られるだろうか、私ども追いつきたい気持ちはあるわけですが、
所得税
のほうで相当上げていきますと、追いつき幅という問題では、いま三十万ぐらいだが、それをもっと詰めろということのお話になるだろうと思いますが、それは向こうのほうはどのくらい歩幅があるかということで、私ども追いつき切れるかどうかという問題が
一つ
あるわけです。それで私どもの観念とすれば、いわゆる幅を狭めたいという、今度も少し狭まったと思うのですが、この次の
段階
で
所得税
がどれくらい歩幅が広くなるかということで、実は
地方
の財政の問題もありますものですから、われわれもこの最低限はさらに上に上げたいというふうに
考え
ておりますが、
所得税
と多少
性格
も違いますものですから、
所得税
並みにはとてもいけるものではないと思っておりますが、とにかく下の最低限をもう少し広げていくという努力は当然いたしたいと
考え
ているわけであります。ただ、その幅を詰めろと、気持ちはそういうことでございますが、相手のウサギのほうが非常に歩幅が広い、とても追いつき切れない。そのお約束まではいまちょっとできません。現時点ではむずかしいと思いますが、われわれも最低限の問題は重要なことであろうという
意味
で
考え
ております。
竹田四郎
133
○
竹田四郎
君 この点はひとつ自治省の人もお
考え
をいただかなければいかぬと思うのですけれども、実際
先ほど
の
伸び
率から見ていきますと、一五・四%だ。昨年の民間の賃金の平均
伸び
率というのが確か一六%くらいだろうと思う。公務員の人はもっとこれはずっと低いわけですね。それから物価の上がっている率なんかを見ますと、大体実勢に近いものでいきますと、一一、二%、こういうことだと思う。で、賃金の上がっている分には、もちろんこれは定期昇給の分も入っているわけですから、そう
考え
てみますと、今度
課税
最低限を
引き上げ
たということが、実際は減税になっていないわけですね。ただ物価と各人の上がった、年齢が上がっていくことによっての問題点、そういうものとが合わさっていれば、別にこれは減税ではないわけですね。数字の上で減税になっておりますけれども、生活の実態から見ると、これは
課税
最低限を
引き上げ
ましたといっておほめにあずかるような
措置
では私はなかろうと思う。そういうことを
考え
ていただいて、来年は
課税
最低限の
引き上げ
についてもひとつ一そうの努力をお願いしたい、こういうふうに思います。 以上でもって私の質問は一応これで終わります。
山内一郎
134
○
委員長
(
山内一郎
君)
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
山内一郎
135
○
委員長
(
山内一郎
君)
速記
をつけてください。
阿部憲一
136
○阿部憲一君 二、三御質問申し上げますが、衆議院の
地方行政委員会
の附帯決議にもありますが、国と
地方
を通ずる
税制
のあり方について根本的に再検討する時期がきたのじゃないか、こういうふうにありますけれども、この点について自治省のお
考え
をお聞かせ願いたいと思います。
大石八治
137
○
政府委員
(大石八治君) 私どももその根本的という
意味
がどのくらいになるかわかりませんが、
地方
財源
という問題をいま
考え
ていく場合に、特に
市町村
の業務が今後膨大になっていくという前提を
考え
てみます場合に、それに
財源
措置
をする場合に、府県と
市町村
間だけでその問題ができるかといえば、私どもの
考え
ではなかなかでき切らない。そうすれば、いわゆる国税との
関係
というものを含めて
考え
ざるを得ないのではないかというふうに当然
考え
られるわけで、その点も
地方
制度
調査
会なりその他が新しい七〇年代のいわゆる
市町村
行政とか、
都市
政策とか、過密問題、過疎問題を含めてやっておられるので、その答申をもちろんわれわれは受けとめていかなければなりませんけれども、そういうふうに、国との
関係
の分も含めてやらなければならぬと思います。特に、実は十兆円の
道路
整備
、新しい計画ができてまいりますと、あの部分で
地方
道の
整備
のところも大きくなります。その
整備
の
関係
は、いま
市町村道
の
整備
が非常に重大な問題になっておりますが、従来の税源だけでこれができるかできないかというふうに
考え
れば、非常に困難である。で、あの十兆円の
整備
計画を今度は
財源
的に国道を含めて検討する
段階
に入るわけでありますが、その
段階
で
地方
道路
税という
意味
の
道路
整備
にいわゆるあてがう部分の税源というような問題をどう
考え
るか、これはもう国税と一体に
考え
なければなりませんが、そういうふうに私どもは、単に府県と
市町村
間だけではなしに、国との
税制
の
関係
で
地方
団体の税源をどうしても
考え
なければならない時代に入っているというふうに思います。
阿部憲一
138
○阿部憲一君 そうすると、
税制
調査
会に対して、要するに自治省としては並行して審議していこうというようなお
考え
だと思いますが、そのとおりでございますか。
降矢敬義
139
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 今後、
税制
調査
会につきましては、
道路
財源
をはじめとしてぜひ御検討願いたいと、こう
考え
ております。
阿部憲一
140
○阿部憲一君
税制
調査
会は四十六
年度
の
税制
改正
、それから長期
税制
改正
、両方の計画を立てておるようですが、
地方税
の
うち
住民税
の大幅の減税、それから
固定資産税
、
都市計画税
の再検封を審議の重点に置いていると、こういうふうにいわれておりますけれども、自治省側のお
考え
方はいかがでございましょう。
降矢敬義
141
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 今回の
税制
改正
は、
税制
調査
会が長期答申等を踏まえまして答申されたものを
基礎
にして御提案申し上げたわけでございます。
住民税
の
課税
最低限の
引き上げ
、あるいは
固定資産税
につきましても、評価がえに伴って前から
税負担
の激変を緩和するということが答申の趣旨でございますので、その点を入れて
負担調整
措置
を講じました。
都市計画税
につきましても、
税負担
の激変の緩和とともに
都市
の開発の
財源
として
考え
るということでありましたので、そういう点も取り入れたわけでございます。来年以降の問題につきましても、
住民税
の問題をはじめとしてさらに御検討いただくわけでございますが、
固定資産税
、
都市計画税
につきましては、基本の問題は次の四十八年の評価がえの時期になるわけでございます。そういう
意味
におきまして、来年さらにまた新しく検討を願うかどうかということにつきましては、やや消極的に
考え
ておるところでございます。
阿部憲一
142
○阿部憲一君 現在、第十四次
地方
制度
調査
会でもって
大都市
制度のあり方について審議を進めておるようですけれども、
税制
調査
会の長期
税制
改正
の答申が出る前に、
地方
制度
調査
会の行財政に対する一応の結論を出しておく必要があるというふうに思われますけれども、その点いかがでしょうか。
降矢敬義
143
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
地方
制度
調査
会におきましては、ただいま御指摘のとおり、
都市
制度につきましては、いわゆる、何といいますか、起草
委員
会といいますか、そういう学識経験者だけによる小
委員
会を設けて、すでに具体的な検討に入っておりまして、おそらく近く任期の終了前には提出されるものと、こういうふうに
考え
ております。
阿部憲一
144
○阿部憲一君 そうすると、あれですか、結論は出されないわけですか。もう一回はっきりしてください。
降矢敬義
145
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
都市
制度を中心に
地方
制度
調査
会が出される答申をまとめるときには、おそらく、これにかかわります税財政の制度につきましても、特に変更を要するものがあれば、当然、答申の中に盛られるものと、こういうふうに
考え
ております。
阿部憲一
146
○阿部憲一君 佐藤総理は衆議院の予算
委員
会でもって、将来、
地方税
に付加税方式を取り入れていく意向を明らかにされましたけれども、この発言は今後
地方税
制、国と
地方
の
財源配分
等長期の懸案になっておった問題に一石を投ずることとなりますし、また、現在の
地方
自治の根幹である財政自治のたてまえにも大きな影響を及ぼす、こういうふうに思われますけれども、この佐藤総理の言われた付加税方式、これについての利害得失と、それから自治省側の御見解をお伺いしたいと思います。
降矢敬義
147
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 佐藤総理はあのときに、徴税費の問題を頭に置かれて言われたように聞いておるのでございます。ただ、御案内のとおり、戦後、シャウプ
税制
のときに、
地方
自治財政の確立という見地から、付加
税制
度をやめて独立
税制
度に切りかえたわけでありまして、私たちはこの基本は維持しなければならないというふうに
考え
ております。ただ、御案内のとおり、納税義務者の側に立ちまして、同じ
所得
について二重の
調査
があるとかいうようなことは、できるだけ、これは納税の摩擦を避ける
意味
におきましても避けなければいけません。したがいまして、向こうの
調査
の結果、使えるもの、たとえば
住民税
あるいは
事業税
等におきましても使えるものはそれを使って、できるだけ徴税の簡素化をはかりながらこの独立
税制
度を維持するのが妥当であるというふうに
考え
ております。
阿部憲一
148
○阿部憲一君 わかりました。
先ほど
来、
竹田
委員
からも質問があった佳品税の問題ですけれども、これは現在の
所得税
との差が三十万円まで開きがあります。これを極力縮めていこうというような御意向はわかりましたのですけれども、現在約三十万円という開きがありますけれども、これは三十年代のものと比較して現在どのようになっておりますか。おわかりだったらちょっと教えていただきたいと思います。
降矢敬義
149
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
給与所得
者についての
課税
最低限の開きでありますが、四十年から申し上げますと、つまり
所得税
は三十九年でありますが、その割合は七三・七%でありまして、それが七七、七〇、七四、七七、今日では八〇という割合になっております。
阿部憲一
150
○阿部憲一君 それより少し前のわかりませんか。三十年の前半くらいから後半くらいまで。
降矢敬義
151
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
住民税
は三十七年に
課税
方式の統一をやりまして、本文方式とただし書き方式になったわけでございます。その前は五つの方式がございまして、第一方式は
所得税
の二八%でございましたので、
課税
最低限は合っておったわけでございます。それ以下、第二方式から第五方式までは、たとえば第二方式のただし書きにおきましては、
課税
最低限は
基礎
控除に
給与所得
控除を加えた額、こういうようなことでありまして、その他の諸控除はなかったわけであります。
阿部憲一
152
○阿部憲一君 そうすると、現在、
金額
で言えば三十万円という
金額
になっておりますが、これと同じような率で格差があったと、こういうふうに思います。ずっとあったわけでございますけれども、これはある程度格差があるのはやむを得ないとしましても、地域社会の負担分任の原則を示して、これはやむを得ないという議論がありますけれども、この負担分任の原則をとる以上、
課税
最低限の開きは一向埋まらないと思いますが、このような
考え
方についてどういうように
考え
ますか。
降矢敬義
153
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
住民
が
地方
自治団体という地域社会の費用を分担してもらうことは当然でございますが、そうかといって、ある程度の
所得
以下の人までに負担を求めるかどうかということが
住民税
の
課税
最低限の問題でございます。この点につきましては、われわれも
先ほど
政務次官がお答え申し上げましたとおり、
所得税
の
課税
最低限、あるいは国民の生活水準の向上の状況、
地方
財政の状況等を考慮して当然
引き上げ
ていくべきでありまして、いたずらに負担分任ということを強調して
課税
最低限の据え置きということは
考え
るべきものではない、こういうふうに
考え
ております。
阿部憲一
154
○阿部憲一君 そうすると、やはり負担分任につきましても苦痛を与えるべきじゃない、なるべく能力に応じて実施していかなければならない、そういうふうにお
考え
ですか。
降矢敬義
155
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 負担分任ということは、経費はあまねく、広く負担してもらいたいということでありますけれども、それはいま御指摘のように、全く能力を無視して、万人負担分任だということでは、これはとてもいけない。ただその場合におきましても、
地方税
、
住民税
の
性格
、あるいはいま申し上げましたような国税の
課税
最低限の動向、
地方
財政の状況を
考え
ながら、やはりこれについては
引き上げ
を検討すべきものである、こういうように
考え
ております。
阿部憲一
156
○阿部憲一君 この負担分任という
考え
方は、これは単に
住民税
だけを
対象
にするのではなく、やはりこれに各種の一般の
税金
につきましても
考え
るべきだというふうに思いますけれども、その辺どういうようにお
考え
ですか。
降矢敬義
157
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
地方
団体が経費の負担を求める場合にどういう税種をもって一応適当とするか、こういうことが
一つ
ございます。もう
一つ
は、やはり財政需要額というものに見合う税の構成というものが必要でございます。われわれはやはり
地方
団体につきましては、国に比較すればやはり
住民
が直接納めるいわゆる直接税というものによって負担を求める。これを基幹としながら、これを補う
意味
での消費税、あるいは流通税を加味するという姿が望ましいと私は
考え
ております。負担分任という場合には、やはり直接税を中心にどうしても議論がなるわけでございます。と申しますのは、消費税になりますと、その
住民
でない方の負担、特に人口の移動の激しい場合にはその問題が起こるわけでございますので、やはりいわゆる直接税というものを中心にこの御議論が従来からもあり、また私もそう
考え
ておるところでございます。
阿部憲一
158
○阿部憲一君 もう一度伺いますけれども、負担分任の限界というのは一体どういうところにあるんでしょうか。
降矢敬義
159
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 広く負担を求めるわけでございますが、
先ほど
から申し上げましたとおり、やはり能力に応じた額というものとのかみ合わせ、その調和というところにこの限界があるのだと、こういうふうに
考え
ております。
阿部憲一
160
○阿部憲一君 この負担分任の原則ですけれども、税調その他の答申でどのような結論を出しておりますか。
降矢敬義
161
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
税制
調査
会で特別これについて負担分任というものを取り上げて議論したことはございませんが、
住民税
におきまして、
住民税
の
性格
として、広く国税に比較しまして地域社会の費用を負担する、広く
住民
にも負担を求めるというようなことでこの気持ちはあらわしておるものと私は理解しております。
阿部憲一
162
○阿部憲一君 最近ずっと
課税
の最低限は連年
引き上げ
てはまいりましたけれども、
税率
の変更についてはずっと五、六年間変更されておらないようでありますけれども、
税率
の変更を
考え
る意思があるかどうかお伺いしたいと思います。
降矢敬義
163
○
政府委員
(
降矢敬義
君) いままで御指摘がありましたように、
住民税
につきましては
課税
最低限が低いということで、この
引き上げ
を行なうべきだという御議論が
税制
調査
会のしばしばの答申にあらわれておりまして、われわれもこれの
引き上げ
を行なうということは、つまり減税
財源
があれば、まずこれに用いるべきものだというふうな
考え
方で対処したわけでありまして、さしあたって、やはり
住民税
につきましてはこの問題にまず焦点を合わせて処理すべきものと思っております。したがいまして、いまこの
税率
について直ちにこの問題を、
税率
をどうするかという
考え
方は持っておりませんけれども、いずれにいたしましても
課税
最低限の
引き上げ
との見合いにおきましてこの問題についても
考え
なければいかぬ。見合いと申しますのは、ある程度の減税
財源
が必要でございますので、どちらにどれだけ使うかという見合いの
関係
において今後検討させていただきたい、こう思っております。
阿部憲一
164
○阿部憲一君
所得税
のほうは今度何か最低限の
引き上げ
よりも
税率
の変更というムードが出ておるように伺っておりますけれども、やはり
住民税
のほうはそういうお
考え
ははっきりしておりませんか。
降矢敬義
165
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
税制
調査
会におきましても、
課税
最低限の
引き上げ
というところに
住民税
の焦点が、いま御議論のとおりしぼられておりまして、国税ほどはっきりした形でまだ
税率
の問題が話題にのぼっておりません。
阿部憲一
166
○阿部憲一君 四十五
年度
の
住民税
の減税総額は六百五十四億円になっていますが、これは四十五
年度
の
地方税
の自然増収見込額のどのくらいの割合になっておりますか。
降矢敬義
167
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 約一〇%でございます。
阿部憲一
168
○阿部憲一君 四十五
年度
の
政府
見通しの消費者物価値上がり指数を見ますと、実質減税はどのくらいになりますか、お伺いします。
降矢敬義
169
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 消費者物価の調整を必要とする額は二百七十億と承知しております。
阿部憲一
170
○阿部憲一君 二百七十億ですか。
降矢敬義
171
○
政府委員
(
降矢敬義
君) はい。
阿部憲一
172
○阿部憲一君
政府
のいう基準生計費と、それから
住民税
の
課税
最低限の
関係
についてちょっと
説明
をいただきたいと思います。
降矢敬義
173
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 基準生計費という
考え
方は、大蔵省がマーケットバスケット方式というものによって食料費を算出いたしまして、それをベースにして一定の理論計算をしておったわけであります。それが四十年までございまして、四十一年以降そういう計算をやめておるわけでございます。そこで、
先ほど
も御
説明
申し上げましたとおり、そういうものを消費者物価の
伸び
で一応計算いたして四十五年の、つまり四十五年の
住民税
に対応する四十四年の基準生計費というのを七十万四千円というふうに
先ほど
申し上げたわけでございます。しかし、それはそのほかには特別にいま基準生計費というような概念はございません。
阿部憲一
174
○阿部憲一君
住民税
の個人
均等割り
の収入見込みはどのくらいになっておりますか。
降矢敬義
175
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 百四十二億でございます。
阿部憲一
176
○阿部憲一君 そうすると、この
均等割り
の納税人口はどのくらいですか。
降矢敬義
177
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 三千三百万人でございます。
阿部憲一
178
○阿部憲一君 この低
所得
者の
税負担
を軽減するためには、今後
住民税
の個人
均等割り
の廃止をすべきだと思いますけれども、このような用意はございますか。
降矢敬義
179
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 個人
均等割り
は、現在七百円から三百円、府県を合わせまして、そういう額でございまして、これは二十六年にきめられた額そのものでございます。この問題につきましては、先年、
税制
調査
会の御審議をわずらわしましたところ、いま申し上げたような年代にきめられたものであって、もう少し
引き上げ
を検討すべきじゃないかというような御意見もいただいたことがございます。で、われわれはいまの
段階
でこれをやめるという
考え
は持っておりません。
阿部憲一
180
○阿部憲一君
税制
調査
会の答申はともかくとしまして、自治省自身で長期の減税計画というものを立てる必要があると思いますけれども、今後の計画について具体策をお立てになるお
考え
はあるかどうか。
降矢敬義
181
○
政府委員
(
降矢敬義
君)
地方税
は、申し上げるまでもなく、歳入法でございまして、やはり歳出と見合った自主
財源
、自主税源ということが必要なわけでございます。ところが、
地方
財政の歳出面につきまして今後いろいろ財政局を中心に長期の見通しが立てられると思いますけれども、御案内のような状況であり、また自主
財源
自身が約三割程度でございます。あとはいわゆる依存
財源
と言うと語弊がありますが、そういう状況の中で長期の見通しを立てた減税計画、つまりそれだけの減税
財源
を計画的に用意するというようなことは、なかなかいまの
地方
財政の中ではこれは困難である、こういうふうに
考え
ております。
阿部憲一
182
○阿部憲一君 そうすると、やはり非常に困難だから計画は立てにくいし、立てないと、こういうお
考え
なんですね。
降矢敬義
183
○
政府委員
(
降矢敬義
君) はい。
阿部憲一
184
○阿部憲一君 わかりました。しかし、やはり私ども減税計画というものは一年一年場当たり的でなくて、やはり一応三年なり五年なりの見通しを立てて作成しておくべきものじゃないかと思う。それはまたそのつど修正するのは別としまして、やはりある程度の見通しを立てるべきじゃないかと、こういうふうに思いますけれども。それでなければ
地方
の
住民
の希望と努力の支障になる、そういうふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
降矢敬義
185
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 御指摘の点は十分わかるのでございますが、いま申し上げたように、
住民
に周知をして、そしてそのとおりにやっていくということにつきましては、いまの
地方
財政の現況からして、そのとおりになるという保証もなかなかつきがたい事情でございます。ただ、おっしゃったような気持ちは私たちのほうにもあります。もちろん税の軽減、
合理化
ということはいつの場合でも課題でございますので、それはあくまでも内部の問題として処理させていただきたい、こう思っております。
阿部憲一
186
○阿部憲一君
障害者
だとか、
未成年者
、
老年者
及び
寡婦
に対しての
非課税
額を二万円
引き上げ
て年収三十二万円としておりますけれども、この
金額
そのものが、現在の物価高の状況から、はたして適正であるかどうか、どういうふうにお
考え
になっておりますか。
降矢敬義
187
○
政府委員
(
降矢敬義
君) いま御指摘のありました
金額
を給与の
金額
、収入
金額
に直しますと、ちょうど五十万円になるのでございます。したがって、他の
所得
者とのバランスを
考え
まして、給与
金額
として五十万円ですから月収約四万円ということでございますので、その辺をめどにすることは私たちはいまの
段階
では適当である、こういうふうに
考え
たわけでございます。
阿部憲一
188
○阿部憲一君 この
住民税
は前
年度
所得
課税
となっていますけれども、現
年度
の
所得
課税
を
考え
た現
年度
課税
ということをお
考え
になったことがございますか。またその場合のメリット、デメリットについてお教えいただきたいと思います。
降矢敬義
189
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 今日のように、歳出が
伸び
ていく、つまり行政需要の
伸び
が激しいときにそれに対する見合いの
所得
も
伸び
る、こういう時代は、前
年度
課税
よりも現
年度
課税
が実は望ましいわけでございます。そういう
意味
合いにおきまして、内部ではしばしば検討しておるところでございますが、その
一つ
の問題はやはり納税義務者の問題、特に特別徴収義務者の手間の問題、これが
所得税
で計算するのと同じようにさらに計算をしなければならぬ。それから税法の問題として、
地方税
の、
住民税
につきましてのいまの
標準税率
制度というものを一定
税率
にしてやらなければ、おそらく
給与所得
者を中心とする
所得
課税
で特別徴収義務者の手間というものは想像に絶するものがあるだろうということでございます。現に私たちの会計課において、かりにしたとすればどういうふうになるかということについてやってもらったこともございます。 それからなお、御案内のとおり、国税はボーナス時に調整をやり、年末のときにまた調整をやる。こういうしかけになっておりますが、これが現年
課税
になりました場合に
住民税
としてどうアプローチするか。それからもう
一つ
は、非常に技術的な問題でございますけれども、原稿料とか、あるいはその他の国税で源泉徴収する分がございますが、こういうものに対して
住民税
がどうアプローチするか。いま、非常に技術的な問題もこれにからみまして、なかなか現年
課税
に踏み切れないのが実情でございます。しかし、さらに
課税
の計算の事務その他について機械化が進行いたしました時代におきましてどういうふうになりますか、その辺もなお踏まえながら今後も検討してまいりたい課題でございます。
阿部憲一
190
○阿部憲一君 まあ非常にとらえにくい、徴税しにくい事情はわかりますけれども、しかし、これは主として徴税する側の御都合だと思います。徴税されるほうの側とすれば、これは非常にいろいろなズレもありますし、ことに退職なんかした場合に、全然収入がないのにごそっと
地方税
がかかってくるというようなことで、私らも実は
地方税
がいかに高いかということを痛切に感じたこともございますけれども、こういうことは、ある程度、いまの時代におきましては、それを防ごうという意思、同
年度
にしようというお気持ちにさえなられればできるのじゃないか。ことに
所得税
はボーナスとか、年末とか、その他で調整なり何なりができるというお話でありますけれども、結局、
地方税
におきましても、そういったこまかいアジャストメントは来年回しでできるのじゃないか、そういうふうに思います。ことに局長もおっしゃられたように情報時代であるし、コンピューターさえ使えば私はそんなにむずかしい問題じゃないと思いますし、できればやっぱり同
年度
に
所得税
と同じように
住民税
も徴収するのが筋じゃないか、このように思いますけれども、その辺のところもう一度お答え願いたい。それから、もしもそのような御意思がおありになるならば、いつごろからおやりになるかというお見通しでもおありになりましたら教えていただきたいと思います。
降矢敬義
191
○
政府委員
(
降矢敬義
君) いわゆる前年
課税
よりも現年
課税
が御指摘のように望ましいわけでございます。その点に関しましては、
先ほど
申し上げたような研究を今後も進めてまいりますので、いつごろからかということについては、いまここでいつからという見通しを申し上げるほどまだ検討は熟しておりません。 また退職手当につきましては、御指摘のような問題がありましたので、四十二年から退職時に特別徴収をするということで、これだけは切り離して分離説税ということで手当をいたすことにいたしまして、まあ御指摘のような問題はそれ以降なくなってるわけでございます。
阿部憲一
192
○阿部憲一君 先般国会でも、大蔵大臣は、
所得税
の減税にあたって
課税
最低限もようやく国際並みの水準になった、こういうふうに自画自賛しておられましたが、それはともかくといたしまして、
地方税
、
住民税
につきまして、国際的にはどんなふうな位置におるか、欧米諸国と比較して実情をお知らせ願いたいと思います。
降矢敬義
193
○
政府委員
(
降矢敬義
君) 実は、
地方税
につきましては、いわゆるステート——連邦国家とそうでない国家がありますし、それからもう
一つ
は、
地方税
につきましては、必ずしも
所得
課税
というかっこうで持っているところはあまりないようでございます。たとえば持っておるとしても、アメリカの州税の一部にそういうものがございまして、どうも
住民税
としての日本のような
所得
課税
というかっこうで
課税
最低限の国際比較というものはなかなかできがたいのでございます。そういう
意味
におきまして、実は私たちもこの国際比較をやっておりません。
阿部憲一
194
○阿部憲一君 そうすると、アメリカに限らず、どこともそういう比較をいままではおやりにならなかった、これからもやれないからやらないというようなことですか。
降矢敬義
195
○
政府委員
(
降矢敬義
君) どうも
地方
制度そのものが各国によって違いますし、また
所得
課税
というかっこうで必ずしも持っておりませんので、したがって、国対国のレベルにおける国際比較というほど実は精密な対応
関係
がないわけでございます、したがって、私たちはいままでもやっていないし、今後もことさらこれをやってどういうものがあるのか、多少疑問も持っておりまして、したがって、いわゆる外に出して国際的にこうであるからとうであるというようなかっこうで、これを
説明
の資料に使うという気持ちは持っておりません。
阿部憲一
196
○阿部憲一君 くどいようですが、それじゃどうですか。たとえば局長、一例をあげてフランスならフランスで、
所得税
、それから
地方税
というのはどういうふうな状況でいま徴収されているかどうかというようなこと、何だったら参考までに教えていただきたいと思います。
高橋睦男
197
○
説明員
(高橋睦男君) 私どもの手元の資料、必ずしも自信のあるものでございませんけれども、イギリス、フランス、西ドイツ等におきましては、
市町村
が個人の
所得
に対して
課税
する税はないというふうに聞いております。
先ほど
局長から申し上げましたアメリカ合衆国でございますけれども、州または
市町村
が個人に課しておる、こういうことがあるわけでございまして、たとえばニューヨーク州におきましては、夫婦の税の
基礎
控除が四十三万二千円というふうなこと、そのほかに扶養控除が二十一万六千円というような資料がございますけれども、これも州、
市町村
区々でございまして、どれをつかまえてお話をしていいか、ちょっと比較がむずかしい、こういうのが実情でございます。
阿部憲一
198
○阿部憲一君 大蔵省の試算によりますと、百二十六万円以下の
所得
の人は、すべて
所得税
より
住民税
のほうが高いというふうになっていますが、これはいかに
住民税
が重いかという証拠だと思います。この辺についてのお
考え
を伺いたい。
降矢敬義
199
○
政府委員
(
降矢敬義
君) ただいま御指摘の数字は、
給与所得
者の夫婦子供三人の階層について、
住民税
と
所得税
のクロスする額が百二十六万円、私たちもそのとおり承知しております。で、それ以下の
金額
につきましては、
住民税
のほうが重い、それ以上になりますと
所得税
が重い、こういうことでございます。この点につきましては、結局、
課税
最低限の開きの問題、それに対する
考え
方というものを
先ほど
から申し上げてきたところでございます。しかしながら、また反面、
住民税
につきましてはある程度
所得税
よりも広く経費を負担してもらうという
考え
方もありますので、そういうある程度の
課税
最低限の開き、これも私たちは、近づくことは近づくけれども、ある程度の開きは
住民税
の
性格
から当然じゃなかろうか、こういう気持ちを持っております。
阿部憲一
200
○阿部憲一君 当然じゃないかという御結論のようですが、私はこれは非常に矛盾していると思います。ことに百二十六万円以下の人というのは低
所得
者層でございますから、その人たちが国税よりも
住民税
のほうをよけい納めているというのは、本人から言えばもって瞑すべしということかもしれませんけれども、非常に矛盾したことじゃないかと思います。ですから、むしろこれをある程度押えて、そこのところの高いところ、少なくとも同じか、それ以下にすべきだと思うのですがどうでしょう。
大石八治
201
○
政府委員
(大石八治君) お話の向きは、私どもわからないわけではないし、実は
所得税
の最低限が上がるということにつれて
住民税
の最低限がどこかということは、やっぱり
住民
の非常な関心事であります。したがいまして、それとの比較という問題がありますから、当然われわれのほうも
住民税
の
課税
最低限というものは上げざるを得ない、上げざるを得ないという言い方がちょっと受け身のようで申しわけありませんが、上げなければならぬという
考え
方を持っております。ただ
市町村
の税源のいわゆる絶対的なウエートを持っているものが
固定資産税
と
住民税
でありますから、この点を画期的に上げるということは、今度は
地方
財政のほうの問題から、何といいますか、収入の問題ということになりまするものですから、その国税の中に、その他
法人税
なり、その他非常に税源になるものがある場合はわりあいにさっぱりいくところがあると思うのですけれども、
市町村
の場合は、ほんとうに
固定資産税
と
住民税
というもののウエートが高いという点、それが
一つ
には、私は
所得税
にどんどん気楽についていけない
一つ
の制約がある。これは歳入面という問題とからみ合う問題です。しかし、そうだからといって、これはそうはいかぬというふうには私どもは
考え
ておりませんけれども、そういう財政面の制約が実はある、それが
所得税
とある程度違うところでありまして、しかしお気持ちの問題は私どももくんで今後も検討いたしたいと思います。
阿部憲一
202
○阿部憲一君 この
住民税
については、非常に何といいますか、硬直化したとかいうような
考え
方を持ち、現実にも
性格
上そういった
性格
のものだ、
住民税
というのは
所得税
と違って弾力性が薄いのだというようなお
考え
を持っておることはわかりましたけれども、実は佐藤総理が、過日の衆議院の大蔵
委員
会で、
住民税
の
課税
最低限は、
所得税
減税が進んで
課税
最低限
引き上げ
が相次いだため、これと大きな開きが生じている、
住民税
と
所得税
の
課税
最低限を直ちに一本化することはできないが、
住民税
が零細
所得
者から
税金
をかき集めているような印象を与えるのは好ましくないので、この負担軽減につとめる、
地方
財政に減税
財源
を支出するゆとりがなければ国が補てん
措置
をとることも必要である、このような答弁をなさっていますが、これは、総理が
住民税
の大幅減税を必要とした発言であります。しかも、
所得税
の
課税
最低限との格差が大きく開いていることを認めてこれを是正しようとする、こういうふうな証拠じゃないかと思いますけれども、この点いかがでございますか。
大石八治
203
○
政府委員
(大石八治君) その点が、私どもも、
先ほど
お話しのありました国税、
地方税
を通じての問題ということに当然相なることだろうと思います。したがって、国税との
関係
というものをひとつ
考え
ていかなければならない。いわゆる
財源
付与という問題を、
先ほど
申し上げたとおり府県
市町村
税の中で解決するというのは無理なんで、どうしても、やっぱり国税の中に手がつくという形で私どもも解決しなければならぬと思います。佐藤総理の御発言もそういうものを含めての御発言ではないか。その点が、財政審議会なり、あるいはその他の
調査
会等でも私ども御検討願いたい点であります。
阿部憲一
204
○阿部憲一君 あまりおそくなりますので、
住民税
についてもう一問お尋ねいたします。
住民税
は能力に応じて地域社会の人々と広く負担を分かち合う、すなわち負担分任と、応益応能の二つの
性格
を持つものであるという
税制
調査
会の
考え
方でありますけれども、
現行
の府県民税とそれから
市町村民税
の
うち
で一体どちらに
所得
配分
的な機能、すなわち応能的なウエートを持たすべきであるか、この点はどういうふうにお
考え
でありますか。
降矢敬義
205
○
政府委員
(
降矢敬義
君) この府県民税の
住民税
は、二十九年に
市町村民税
の税源
配分
というかっこうで創設されたわけでございまして、それ以来三十七年までは、
市町村民税
と同じかっこうで
課税
がされてきたわけでございます。それが三十七年に国税の移譲二百億を受けまして、その際、国、府県、
市町村
を通ずる個人負担の調整というかっこうで現在のような
税率
になっておるわけでございます。で、基本的にはどちらが再
配分
的な機能を持つかということでありますが、私は
所得税
においてこそ
所得
の再
配分
機能というものを当然働かすべきものであり、狭い地域社会においてそれぞれの団体が負担を求めておるというところに
所得
の再
配分
機能というものをそう期待することは、府県としても、
市町村
としても、ちょっと無理ではなかろうかと私は思っております。
山内一郎
206
○
委員長
(
山内一郎
君) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十五分散会 —————・—————