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山本伊三郎君 それじゃ、いよいよ採決前になりまして、
大臣に一、二問だけ、希望を兼ねてひとつ見解を聞いておきたいと思います。
私も、長い間の国会生活で、国土
開発、地方
開発等々の
法律案に参加をしたわけであります。今度、
中部圏のこの問題がいよいよ
法律となるのでありますけれ
ども、振り返ってみますと、
開発関係の
法律も相当たくさんある。私は記憶なかったんですが、ちょっと調べてみますと、新産業
都市建設促進法、工業
整備特別地域
整備促進法、それから低
開発地域工業
開発促進法、産炭地域、その他
首都圏、
近畿圏、
中部圏、それに国土総合
開発、北海道、東北、北陸、中国、四国、九州、国会議員でもおそらく全部知っておる者がないほど
法律がたくさんありますね。私は、それはいずれもそれなりの
法律目的があると思います。全部がこれはむだであったとは私思っておりません。しかし、実際これだけの
法律がはたしてどう運用されているかということを聞いただけでも、一日や二日——資料を整えて
答弁されぬと私は
答弁できないと思いますね。いま新産
都市について
阿部さんからお尋ねになったことについても、私は反駁する点は相当ありますけれ
ども、きょうはそういうことは言いません。相当政府は力を入れて新産
都市促進法をつくったわけなんです。いわゆる
人口分散ということでつくられたわけなんです。しかし、
人口分散になっておらないことはあなたも白状されたわけだ。しかし、これは根本的に一体どういう欠陥があるか、これをひとつ政府で一ぺん
考えてもらいたいと思うんです。私は繰り返しますけれ
ども、この
法律目的は全部こんなものは何もなかったんだとは言わないんです。しかし、
法律のある以上、それがどう動いておるか、それがどう効果があって、どうするのか、これをわれわれ
考えなくちゃいかぬと思うんです。で、私はこの間、地方
制度調査会で
都市問題のときに、道州制の問題等で永野重雄さんとだいぶ論争もいたしました。経営者は経営者としてのいろいろの
開発と申しますか、そういう地方
制度について
考え方を持っておられるようでありますけれ
ども、私はそのとき言ったんでありますけれ
ども、政府が
法律をつくるというだけで私はこれは実行できない、私はそう見ておる。産業界、財界あるいは国民一般がその理解をしなければ、何一つ
法律といったってそれは実際は効果があがらないと思う。国民がどう理解するかということが
法律の使命だと、私はそう思っておる。それが実はいままで
あとの点検もされずに、つくったらつくりっぱなしです。もちろんこれは議員立法もありますから、政府だけの責任じゃありません、国会の責任と思いますけれ
ども。今度は
中部圏がいよいよできます。これについては私は簡単に理解して——先ほどから
委員の方々の
質疑応答の中で簡単に受け取れば、結局、起債の
利子補給、それから補助金のかさ上げということだけ私は効果があるんじゃないかと思っているんです。ほんとうの根本的な
中部圏の
開発計画というものはどうすべきかということは相当問題があります。先ほ
ども大臣の
答弁の中で、いわゆる経済社会の発展が非常に急速であるから、それについていけないんだ、したがって計画も常に変えていかなきゃいけないので、
首都圏の計画も実は
事業計画も出ないんだという
答弁もあったと思う。これはまあ
自治大臣じゃなかったんですが。しかし、私はそれで責任をのがれるというわけにはいかないと思うんですよ。池田内閣が誕生した
昭和三十五年でしたか六年でしたか、私はこの国土
開発の問題で
質問いたしました。そのときは、経済成長のいま出発しようという上がり坂のときでありましたけれ
ども、私はそのときに——議事録見ていただけばわかりますけれ
ども、ここ十年、二十年は相当日本の経済社会というのは変転しますよ、それに対応する社会資本はどうなっとるんですかと。そのときはほとんど高速
道路もできておらなかった。これをどうするんだと言ってやったんですが、その点は十分
考えなくちゃいけないということから、二、三年たってから社会経済発展計画ですか、そういうものが佐藤内閣になって出てきたわけです。そのときに初めて、いわゆる産業を中心とした経済発展計画でなくして、厚生面も入れたものが出てきたわけです。私は一歩前進だと思っております。まあそういうことで、私は政府はおそらく私が
考えるようなことは知っておられたと思うんですが、先ほど申しましたように、各界の協力がないからできない。で、社会発展計画、あれは実はあの
委員の方々はほとんど財界の大物ですよ。しかし、自分らはつくっとるけど、どれだけ協力しとるかということです。私は協力はしてないと思う。それは中にはやってるところもありますけれ
ども、やっぱり
事業の営利ということが主点でありますから、自分の会社がもうけなければ、そんな国に奉仕をしたような形で私は協力はできないと思うんですよ、いまの社会では。この点は私は実は松下幸之助さんとも
お話ししましたけれ
ども、あの人は、とにかく過疎地帯に対する対策として、何か熊本へ、もうからないけれ
ども向こうへ工場を持っていくんだ、鹿児島、熊本その他、過疎地帯に持っていくんだということを話されましたが、まあそれは一つの奇特な行為だと思っておりますが。したがって、私、政府にお願いしたいのは、それはそうはいきませんけれ
ども、
法律をつくった以上、これを国民に、また力のある方々にどう理解させるかという努力をしてもらいたい。
法律をつくったら、ここで採決していま通ったらそれでおしまいだということでは私は困ると思う。それをどういうぐあいに国民にアピールし、どういうぐあいに国民に理解さすかということをやられたんですか。私はそれは「政府の窓」で見ております。「政府の窓」で、簡単に
法律ができたときにいろいろ理解されるように出しておりますが、あれは一体国民の末端までいっておりますか。そういうことをやらずに、どんな
法律ができても、
関係者は補助金をちょっと上げるからと言って陳情に来られます。しかし、それなりで、その地域の住民、これはどう理解しているか。理解されていない。
首都圏の問題もそうです。私はいま
東京に住んでおります。
首都圏整備法といっても、寄り合いで話しても、そういうことを知っている人は一人もおらない。それが
現状です。したがって、いまの政治が貧困とか言われますけれ
ども、われわれ国会でやっていることは、これをまじめに討論してつくった
法律が、これがほんとうに動かないというのはだれの責任でしょうか。私も責任だと思います。しかし、つとめてわれわれはそれを理解するために寄り合いなんかで話しますけれ
ども、一体、政府はどういうことでこれを国民に対して理解させるか。私は国民に理解さしてから
法律をつくるべきだという主義です。しかも、できてからも理解さしていない、できる前はもちろんのこと、一部の人は、
関係がある人は知っておりますけれ
ども、その以外の人は知らない。特に
中部圏については、今度、
首都圏、
近畿圏を通じてくると、私は大阪市で、
近畿圏で役員をしておりますけれ
ども、この問題ではたしてどれだけの効果があるか。私は非常に、あの
法律ができるときはやかましく陳情を受けてやりましたけれ
ども、その後はどうなったか。案外効果というものはない。しかも、政府はこれに対して相当
財政援助をしております。したがって、私は国費をむだに使っておるとは言いませんが、もっと効果的にやる方法をどうしたらいいかということを一ぺん
考え直そうと思って、朝からの各
委員の熱心な、かつうがった
質問を聞いておった。
大臣はどういう立場で聞かれたか知りません。政府の
委員の方々はどういう立場で聞かれたか知りません。私はそういう
意味において過去ずっと十年間を反省しつつ聞いておった。したがって、いよいよこの
法律ももう
あと五分か十分すれば成立いたしますけれ
ども、この
中部圏の
財政措置の
法律ができた後でも、十分その点はひとつ政府の方々は反省をしてもらいたいと思います。特に
関係当局、先ほど和田
委員も
質問されましたけれ
ども、全く計画もない、根本
建設大臣もただ陳謝するだけです。弁明するだけの
答弁しかできないということは、一体、
秋田自治大臣、どういうことですか。私はそういうふまじめな
法律をつくりたくない。つくった以上は、どう運用して、どう生かしていくかということをまじめに
考えなくちゃ、私は
法律の価値がないと思います。そういうわけで、私は苦言を呈した
言い方でありますが、これは私の希望であります。決して私は
大臣をいじめたり、政府をなじったりする議論をしません。
法律ができたら、これは政府の責任じゃない、国会の責任です。ここでわれわれは採決をして手をあげる。採決に手をあげるだけで、できる
法律がどういう効果があるか、国民にどういう犠牲と利益があらわれるかという、このくらいの根性を持っていなければ、私は国会の役目はならぬと思っております。私はそういう
意味において、苦言を呈したようでありますが、これは私自身に言い聞かしていることなんです。どうかひとつ
秋田自治大臣、新
大臣でございますけれ
ども、この点は
法律のできた後も十分その点を
考えて
法律を運用していただきたいということを私は述べますが、それに対する見解を聞いておきたい。