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1970-04-17 第63回国会 参議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月十七日(金曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員の異動  四月十七日     辞任         補欠選任      青木 一男君     長屋  茂君      今  春聴君     増田  盛君      津島 文治君     玉置 猛夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         栗原 祐幸君     理 事                 小林  章君                 沢田 一精君                 成瀬 幡治君                 鈴木 一弘君     委 員                 青柳 秀夫君                 伊藤 五郎君                 岩動 道行君                 大竹平八郎君                 鬼丸 勝之君                 玉置 猛夫君                 津島 文治君                 中山 太郎君                 長屋  茂君                 増田  盛君                 丸茂 重貞君                 矢野  登君                 木村禧八郎君                 戸田 菊雄君                 松井  誠君                 松本 賢一君                 横川 正市君                 上林繁次郎君                 渡辺  武君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        公正取引委員会        委員長      谷村  裕君        公正取引委員会        事務局長     吉田 文剛君        大蔵政務次官   藤田 正明君        大蔵大臣官房審        議官       高木 文雄君        大蔵省主計局次        長        船後 正道君        大蔵省主税局長  細見  卓君        大蔵省関税局長  上林 英男君        大蔵省理財局長  岩尾  一君        大蔵省銀行局長  近藤 道生君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        大蔵省主税局税        制第二課長    田辺  昇君        大蔵省理財局資        金課長      田中  敬君        農林省畜産局参        事官       斎藤 吉郎君        通商産業大臣官        房審議官     成田 寿治君        通商産業省通商        局次長      楠岡  豪君    参考人        日本開発銀行総        裁        石原 周夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  日本開発銀行法の一部を改正する法律案造幣局特別会計法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案関税定率法等の一部を改正する法律案、以上四案を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 松井誠

    松井誠君 私は、まず、物品税改正案についてお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、昨日資料もいただきましたので、日本租税負担率の問題からお尋ねをしたいと思います。  納税者の側にとっては、平均的な租税負担率幾らであって、国民所得幾らであってというようなことはあまり重要な問題ではなくて、具体的に特定の階層がどういう負担になるのか、特定の個人がどういう国民所得になるのかということが大事なのであります。しかし、政府としては、盛んにこのごろ間接税増徴案だとかあるいは新経済社会発展計画でも増税の意向を示しておるのでありますけれども、それもやはり租税負担率の高い低いというところから出てくる議論であろうと思いまして、そういう意味でお聞きしたいのですが、最初に、日本租税負担率の国際的な比較は、具体的な数字は一々おあげいただかなくてもけっこうですが、大まかに言ってどのようになっているか、お伺いしたいと思います。
  4. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 日本租税負担率は、御存じのとおり、ことしの予算では四十五年度国税地方税と合わせまして一八・八になるであろうというふうに見ております。四十三年がやはり一八・八でありました。四十四年は、最近の新しい経済見通しをベースにしまして一八・七ということでございますので、これを見ますと、大体ここ三年ほどほぼ安定をしておるわけでございます。なお、これは国税地方税国民所得との関係でございまして、社会保険料負担を合わせますと、大体二三%ぐらいになるわけでございます。  外国との比較という御要求でございますが、ちょっと外国のほうの資料は新しい年度がまだ手元に入っておりませんので、少し古いものしかございませんのですが、アメリカの場合は、一番新しい数字で四十三年の数字で、日本の場合が先ほど一八・八だと申しましたのに対応します、連邦税州税とを合わせました負担率が二九・一というふうにいわれておりますし、社会保険料を合わしたところでは、申しわけございませんがもう少し古い数字しかございませんで、四十一年で見まして三三・二という数字を持っておるわけでございます。イギリスの場合は、同じく四十一年で、税だけで見まして三四・三、社会保険料を加えましたところで四〇・三という非常に高い負担率になっております。比較の便宜から同じ年度で申しますが、西ドイツの場合は、四十一年で、税だけで三〇・八、社会保険料を加えたところで四四・二、フランスでは、同じ年度が、税だけで見まして二九・七、社会保険料を加えますと四七・七ということで、非常に高い負担率になっておるわけでございます。
  5. 松井誠

    松井誠君 この間、大蔵大臣が、税法三法についての本会議での質問に答えて、租税負担率日本が低い、だからもっと高くするんだという趣旨のことを、高福祉高負担ということを言われたと思うんですね。先ほどもちょっと言いました新経済社会発展計画にも、昭和五十年度には、税及び税外負担社会保険負担とはいずれも二%程度高まると、こういうことが書いてありまして、租税負担率の低いことを一つ理由にして税負担を上げようという、そういう姿勢のようでありますけれども、ちょっと数字のことなんですが、新経済社会発展計画では四十四年度の分として税及び税外負担が二一・二%、社会保険負担が四・三%となっておりまして、もらった資料の四十四年度分とはちょっと違うような数字だと思うんですけれども、これはどうなっておりますか。
  6. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) ちょっといまここで明快にお答えをする知識を持ち合わしていないのでございますけれども、この発展計画のほうの負担率計算の仕方は補助金等の問題で私どもがやっておりますやり方とちょっと違うやり方をしているものですから、そこで率が違って出ております。私のほうは、きわめて単純に、先ほど申しました数字国税地方税の税額に社会保険料を加えて見ておるのでございますが、国民所得計算等のほうでは振替支出その他でいろいろこまかく計算をやっておりますので、いまその内容を御説明しかねるのでございますが、確かに数字が違っていることは間違いございません。
  7. 松井誠

    松井誠君 二一・二%というのは税及び税外負担となっておりますが、税外負担というのは具体的には何を含むのか私わかりませんけれども、そこから来る違いですね。
  8. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 主としてそこでございます。
  9. 松井誠

    松井誠君 それで、日本は、国際的に比較をして、社会保険負担も含めて国際的に低いということは確かに数字が物語っておると思うんですが、それにもかかわらず国民の間に重税感というのが非常に強いということが言われておるわけですね。重税感というのはなかなかはかりようがありませんけれども重税感が非常に強いという事実はまずお認めいただけますか。
  10. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) これは、まあ一般的に重税感というのを尺度をもってはかるかということはもちろんできないわけでございますので、なかなかむずかしいわけでございますが、大臣のおっしゃっております意味は、毎年所得税減税が行なわれておるけれども、なお国民各層にわたって非常に負担か重いという感じが強い、特に所得税中心にしてそういう感じが強いということを言っておられるものと思いますが、私どももそのように感じております。
  11. 松井誠

    松井誠君 まあこれは心理的なものでありますから、具体的に根拠を明らかにしろというわけにはまいりませんけれども、ともかく重税感がある。大臣が言われるように、だから間接税でそういう心理的に重税感を与えないような税金の増徴がいいんだということを言われるところをみると、やはり直接税の重税感というものはある、このことを前提としたことだと思うんですが、国際的な比較を見て必ずしも高くはないのに重税感が依然としてあるという理由は、一体どういうことなのか、その辺はどうお考えになりますか。
  12. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 租税負担率は、単純にこの率の比較だけではいけないので、特に一人当たり国民所得が大きいか少ないかということとも関連してくると思うのであります。日本経済はたいへん大きくなったと申しますけれども、まだ一人当たり国民所得ではそれほど大きくなっていないわけでありますから、ある意味では日本租税負担率は諸外国より先ほど説明いたしましたように著しく低くてもそれはやむを得ないものと思いますが、それと同時に、もう一つ税負担感が非常に強いということは、租税構造による面が多いと思います。アメリカの場合は直接税のウエートが高うございますが、現在の日本負担感が重いのは、やはり国税の中でと申しますか税全体の中で所得税法人税の占める割合が非常に高いということが負担感重税感につながっているのではないかというふうに理解をいたしております。
  13. 松井誠

    松井誠君 これは大臣がおるとほんとうはいいんですけれども大臣がよく蓄積が少ないということを言われるのですが、やはり蓄積が非常に少ないということですね。それから国民所得がまだ低いということですね。国民所得が高い場合と低い場合とでは、租税負担率は同じであっても、実際重税感というものの差は出てくると思いますし、そういう意味蓄積国民所得が低いということもあると思うのです。それからやはり物価が非常に上がってきて、減税をしてもそれは名目的な減税でもって、実質的には減税にならないという、そういうあとから追っかけられておるという感じですね。それからもう一つ、いま租税構造と言われましたけれども租税構造の中で、直接税と間接税との比率が直接税が重いという議論よりも、租税特別措置中心とする税の不公平化、そこから来るばからしさというようなものが税の負担感となってあらわれておるのじゃないか、そういうことも重税感の原因じゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  14. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) お説のような点もあると思います。ただ、租税特別措置につきましては、どちらかといいますと大企業を中心特別措置が行なわれているように一般的には理解されておりますけれども特別措置としていわば減税をされております金額は必ずしもそうばかりではございませんで、今度一部改正をお願いしておりますけれども、たとえば預貯金についての分離課税の制度であるとか、あるいは生命保険控除であるとかいうふうに、本来は国民各層に広く及んでおるものもあるわけでございまして、それらを見ていただきますと、必ずしも特別措置が非常に負担感に影響しているというふうには私ども理解はしていないわけでございます。
  15. 松井誠

    松井誠君 政府としてはそういう答弁とならざるを得ないと思いますが、大蔵大臣がよく間接税増徴論をこのごろ機会あるごとにぶつわけですね。その理由一つとして、いまあなたが言われたような直接税と間接税との比率からいって直接税のほうが重いということを一つ理由にしておるのではないかと思うんですが、いただいた資料によると、なるほど日本のいわゆる直間比率というものはアメリカに次いで所得税の比重が多い。そのことは間違いないんですけれども、直接税と間接税との比率は一体どうあるべきかということについて、何か前提としての一つ考えがあって、それで間接税増徴論というものが出てくるのかどうか、その辺はいかがですか。
  16. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 本来面接税間接税との割合がどのくらいであることが望ましいかということは、たとえば学者等の間においても決定的な結論めいたものはなかなか発見しがたいと思います。ただ、私ども最近痛感しておりますことは、十年前に直接税の負担割合が五五であった、昭和三十六年に五五・一%であったものが、わずか十年の間に六五をこえるようになった、十年間に一〇%上がったと。これは、気持ちの上では、経済規模が大きくなり、また、物価も上がりますので、所得税中心とする減税を毎年お願いをしてきたつもりでございましたのですが、それでもなおかつ直接税のウエートが高くなってきたということから、つまり、最近十年間の推移から見ますと、これ以上直接税の負担割合がこの勢いで伸びていったんではぐあいが悪いのではないか、そういうような角度から、いままでの行き方に若干の疑問を持ち始めているということでございます。
  17. 松井誠

    松井誠君 確かに直接税と間接税比率というものは、いまあなたが言われたように変化をしておりますけれども、それは、直接税をもっと減税すべきだという理由になるか、あるいは間接税をもっと増徴すべきだという理由になるかは、これは政策判断の問題になると思うんですね。そこで、いま直間比率については特段の具体的の比率考えていないということでしたけれども、確かに税制調査会の三十九年の答申にも、直接税、間接税がどのような比率を占める税体系が望ましいかについては、あらかじめ一義的に決定されるべきものではないと、はっきり書いてあるわけですが、それ以後の答申には必ずしもその辺がはっきりしませんけれども、やはり同じ考え方を基調にしておると考えてよろしいですか。
  18. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) おっしゃるとおりでございます。
  19. 松井誠

    松井誠君 そうしますと、これは大臣でなきゃだめなわけですが、政務次官、ひとつ大臣になったつもりでお答えいただきたいのですけれども間接税増徴論を盛んにぶつ、それは間接税と直接税との比率間接税のほうが軽過ぎるんだという具体的な論拠に基づいておるのではないということなんですけれども大臣間接税増徴論というのもやはり少なくともそういう立場からの増徴論だと考えていいですか。
  20. 藤田正明

    政府委員藤田正明君) ただいま高木審議官が申し上げましたように、所得税のほうには累進的な構造もありますし、ほうっておけばどんどん所得税のパーセンテージが上がっていくわけでありますから、ここ七、八年の間にそういう傾向は如実に示されているわけであります。このままほうっておけば、現在の昭和四十五年度間接税が三四・三%と目されておりますけれども、このままの税体系でいくならばますますこれは下がっていきますから、どこまで間接税を持ち上げるかということについての見きわめは今後の問題でございまして、個々の税目をそれぞれ合理的にやっていきました上の結果において何%に相なるかということになろうかと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、このまま下がっていったんでは困ると、これは各国の国際比較でもわかるように、日本アメリカイギリスだけが間接税のほうが少ないわけでございますけれども、それにいたしましても日本間接税ウエートは少ないわけでございます。そういう意味合いで、大臣がしばしばこのごろ、間接税にもう少しウエートを置いたならばと。しかしながら、ここでも直接税を補完する立場における間接税であるというふうに基本的な性格は言われていると思います。
  21. 松井誠

    松井誠君 まあ議論はしませんけれども大臣が従来間接税増徴論を言っておる具体的な中身は、これはまだほんとうに具体的にはきまっていないでしょうけれども、現在の間接税かっこうを見て増徴論をぶつというのは、具体的に何か成算あってのことだと思うんですが、これはまだ固まらないにしても、何がしかどういう方向増徴するのか。ただ一つ大臣が言われていることは、いまの政治の課題の中で一番問題なのは物価なんだから、それとのかね合いがむずかしいということを言われましたけれども、当然それは配慮の上で増徴論をぶっていると思うんですが、その点は何かおぼろげながらの方向でもきまっているのですか。
  22. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) お尋ねの点についてはまだ必ずしもきまっているわけでもございませんので、大臣が好んで言っておられる表現として、間接税の中で何かいい方法があればというような非常に慎重な発言になっておりますし、私どもまだ具体的にそうどういう方向ということでは申し上げる時期に来ていないと思います。ただ、一般的に言われておりますのは、いわば巷間言われておりますのは、一つは、取引高税なり付加価値税というものをどう考えるかという問題でございます。二番目には、昨年一年間にいろいろ言われました中で、同じ物品の中で、たとえば乗用自動車を持っておる者は課税になっているけれどもトラックについては課税になっていない、営業用ということで課税になっていないんだけれども、しかし、たとえば道路損傷というような点からいうと、トラックのほうがいろいろ道路損傷率が高いというようなことで、たとえばトラックに対する課税考えたらどうかというような議論があり、また、自動車保有税といいますか、車検税のような形式の税はどうだろうかという議論がありというような状況でございまして、そこで、付加価値税とか取引高税につきましては、これは最近世界的にかなり広く採用されるようになってまいっておりますけれども、わが国の場合におきましては、まああまり好ましくない思い出といいますか、実績といいますか、そういうものもありますし、また、非常に、何といいますか、なじみが少ないというようなことがありまして、いまのところ付加価値税取引高税にいきなり取り組むということは実際問題としてなかなか困難であろうかというふうに考えられますので、そうなりますと、やはり物品税あたり中心としたことが議題に上がってくるのではないかというような感じはいたしますけれども、いずれにいたしましても、間接税全体について基本的に洗い直して、各界の方の御意見を聞いて方向をきめるということになっていこうかと思っております。
  23. 松井誠

    松井誠君 問題は、いまあなたが言われたように、いまの物品税体系で個別的に税の対象品目を広げていくか、あるいは税率を上げるかということのほかに、総合的な消費税というものにしてしまうのか、どっちかという問題があるのじゃないかと思うんですね。私が一番心配しているのは、いまもあなたが言われたように、取引高税というようなものが復活をするというような形になっては困る。これは総合消費税関係で、三十九年の答申というのは、やはり売り上げ税創設は適当でないということをはっきりと言っておるわけですね。売り上げ税取引高税、あるいは付加価値税、そういうものについて、それじゃ具体的にどうするかというようなことは、そのあと税制調査会答申では出ていないようなんですが、考え方は同じだと見ていいですか。
  24. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 四十三年の七月に税制調査会から答申をいただきましたいわゆる「長期税制のあり方についての答申」の中では、いま松井先生から御指摘がありましたのとはやや若干ニュアンスが違ってきておりまして、全体として付加価値税について当面は考えないが、将来の問題としては検討を要しようというふうな、必ずしも方向を示したわけではございませんが、少なくとも検討を続けていく必要があろうというような答申になっております。
  25. 松井誠

    松井誠君 確かに、三十九年の答申では適当でないということをはっきり言っておりますけれども、そのあと態度があいまいになってきているわけですね。これは大蔵省意見が反映したのかどうか知りませんけれども、具体的に間接税増徴論大臣のもとでそれでは総合的な消費税の新設というようなことも事務的な段階での検討というのはもう始めておられるのですか。
  26. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) まだ始めていると申し上げるところまではもちろんいっておりませんですが、ただ、EECなり何なりの大体の動きとして付加価値税が現実に取り上げられてきているということがございますので、その辺の動きはまたあらためてもう一度勉強してみなければならないというふうに思っております。
  27. 松井誠

    松井誠君 私のお尋ねするのは、間接税増徴論との関係で具体的に検討しているかと。EECは、これはもうことしからきまったのですか、よくわかりませんけれども間接税増徴論の主張を受けて検討を始めているかどうかということです。
  28. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 必ずしも間接税増徴議論と結びつけてはございませんが、EECのほうで、たしか、ちょっと違っているかもしれませんが、七一年の末までにかなり統一的に付加価値税体系を取り上げるということになっておりますので、そこで、日本経済のいわば国際化といいますか、国際社会とのおつき合いがだんだん広がっていくこととの関連で、必ずしも先ほどからの話の増徴論間接税をもう少し強くしたらどうかという議論とは別に、そういうヨーロッパの動きをもう一度トレースし直してみる必要があるということを感じているわけでございまして、直接のつながりはございません。
  29. 松井誠

    松井誠君 それでは、具体的に物品税のことでお伺いをしたいのですが、四十三年の夏の税調の答申でも問題点はいろいろ出しているわけでありますけれども、そのうちの一つに、課税対象品目を具体的にどうするかという問題ですね。私がお聞きをしたいのは、物品税のかかる物品とそうでない物品との対象を選択する基準というものは何かあるのか、あるいは、その税率というもののきめ方について何か一般的な基準というものがあって作業をされておるのかということですね。
  30. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 前々申し上げておりますので繰り返しになりますけれども物品税は、御存じのように、消費の背後にあるところの担税力というものを推定といいますか、考えまして、そうして所得税補完税として考えられているわけでございますが、昭和十二年の創設以来の経緯がございますので、奢侈品あるいは趣味娯楽に使われる品物、便益品あるいは嗜好品というようなものを物品税課税対象に取り上げるんだという一種の説明でございますけれどもあとからの御説明意味も若干ありますけれども、そういう考え方課税対象を拾っていくということが言えるかと思います。それに対しまして、いかにも昭和十二年以来のあまりにも過去のいきさつに引きずり込まれたかっこうになっておりますので、そこで、もう一度、奢侈品とかあるいは便益品とかというような角度からでなしに、何か対象範囲を拾い上げる基準考えることはできないものだろうかというようなのが当面の問題になろうかと思います。  それから税率でございますが、これも別に理屈があるわけではないのでございますが、大体、現在の物品税法では、小売り価格中に占める税負担が一割ぐらいということが目安になっております。したがって、二種物品のような製造課税のものが大部分になっておりますけれども、そこで、製造場から移出する段階で考えますと、そこで二割の課税をするということにしますと、それは結果的には小売り価格に対して一割くらいになる、これが税率考えます場合の基本的な考え方になっております。ただ、一律の率ではなくて、その品物の奢侈の程度とか、ぜいたくの程度とか、その程度をきめるというのもはなはだむずかしいわけでございますが、そういうことを一つ基準にし、別の表現をとりますと大衆消費財などはなるべく課税対象にならぬようにという趣旨の見地から若干の税率を上げたり下げたりということになっておるわけでございます。
  31. 松井誠

    松井誠君 その対象の品物をあなたいま言われた四つに分類して、そういう性格の物品課税をする。そのときに、税率は一律に製造場から出るときの価格の約二割だと。これは、便益品ならば何割、娯楽品ならば何割といった、一律二割でなくて、そのほかに差等を設けるという必要はないのですか。一律に同じような税率考えるというのはちょっとおかしいと思うのですが。
  32. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) いまちょっと奢侈品とか娯楽品とかということで四つあげましたけれども、必ずしも四つに分類をして明快にその四つごとにどう考えるかということを整理しているわけではございませんので、現在の物品税対象物品をどういう意味課税をしているのかということで分類をしてみると、四つになるかなという意味であるということを最初にお断わりいたしておきます。  その次に、製造段階で二〇%が標準的な税率でございますが、おっしゃるとおり、いわばぜいたく、奢侈の程度の高いものは税率も高いほうがいいということで、現実にそうしております。たとえば自動車の場合でございますと、非常に大きな型の自動車というものであれば四割、それから三割、二割というふうに、多少段階を設けているわけでありまして、結果的には製造段階で見ますと五%から四〇%までの六種類になっております。
  33. 松井誠

    松井誠君 いまの対象品目の分類のことなんですけれども、結果的に四つに分類されるのであって、まず対象品物を分類をしてそれに基づいて課税をしたということではないというように受け取れるのですが、それで一体いいのかなということなんですね。つまり、私らが心配するのは、特定の業者の圧力なり陳情なりで、いわばケース・バイ・ケースできわめて無原則に物品税をかけたりかけなかったりするというようなことがあっては困る。ですから、これはある人の提言なんですけれども、むしろ四つなら四つの品目に物品税をかけるのだというようなことからちゃんとリストをつくって、そしてそういうケース・バイ・ケースでいわば相手の出方次第でかけるかけないというのをきめるということでなしに、原則をやっぱりきちんと成文化したものが必要じゃないか。結果論として四つに分類されるような形になっておりますということじゃなしに、意識的にそういうような基準を積極的に設けるべきじゃないか、こういう議論があるのですけれども、その点はどうですか。
  34. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) これは非常に古く昭和十二年に始まりまして、戦争中一番多いときに百四、最初十品目から始まりまして終戦直前に百四品目までふえまして、それから順次整理をして、現在六十九になっておるという経過でございますので、必ずしもまず四つの柱を立てていろいろな品物をその中のどれかに入れて、そしてさらにそれを整理していったという経過でございませんものですから、確かにおっしゃるように体系として非常に整備されたものであるということにはなっていないというのは事実でございます。ただ、本来こういう高級品といいますかぜいたく品であるのにどうして課税をしていないか、それは何か関係団体からのいわば圧力といいますかそういうことによるものではないかという御指摘がただいまもございましたし、しばしば実は私どもそういうことを御批判を受けるわけでありますが、確かに、高級品目の中に落ちているものがいろいろございます。いろいろございますが、そのほとんどすべてはむしろ物品税としての把握の都合、なかなか公平にうまく課税をしにくいという執行上の問題がございまして、一例をあげますと、よく御指摘を受けますのは高級織物などでございますけれども、これは多くの方が生産に関与しておられるし、いろいろの段階を経て最後に織物になるということがありまして、課税技術上非常に困難だということがございまして現在対象になっていないわけでございますが、そういうふうな点も、特に関係者が零細な企業であるという点から課税技術上の問題としてはずれているのがほとんどでございまして、特にえらくいわば圧力があるということは、これは私どもとしては何とかそういうものに動かされないようにがんばってきているという実情でございます。
  35. 松井誠

    松井誠君 高級織物についてはよく議論になるそうですから、私はそれはお尋ねしませんが、たしか四十三年の税調の答申でも、「一部の高級消費財が課税されていないことについて物品間の負担の不均衡ないしは不公平感があることにも配意しつつ、」というふうになっておりますね。ですから、これは高級織物だけを頭に置いたことじゃないと思うのですけれども、高級織物と一緒にやはり検討に値するような高級の消費財というのは、たとえばどんなものがあるのですか。
  36. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) いつも困りますのは、書画骨とうのようなものであるとか、それからかつて対象にはあがっておりましたが、現在は対象になっていないのですが、非常に値が張るという意味で、ああいうものはどうしてほっておくのかというのは、たとえば盆栽のようなものであるとか、いろいろあるわけでございます。
  37. 松井誠

    松井誠君 そういうものも、いろいろ課税がむずかしいという理由でいまは検討からはずしておるのですか。
  38. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 今日まではとにかくたくさんあったうちから順にはずしてきましたので、いままで拾い上げるというのはむしろ耐久消費財のようなものを拾い上げるということをやってきたわけでありまして、耐久消費財でも、たとえばごく一例として御理解いただかなければいけませんが、電子レンジのようなものは、最近かなり一般化しておりますけれども、いままではそういう品物があまりなかったということで対象になっていないというようなものもあることはあります。しかし、いずれにしましても、どっちかというと、これまでの作業は、対象をしぼっていくといいますか、百四品目からスタートしてだんだん減らしていくのが重点で、拾い上げるのはテレビのように新しく出てきたものは特に幾らかございますけれども、必ずしもその品物についての総ざらいをやって再検討ということは今日まであまりやってきてない、むしろいままでのものを落とす、特に目立ったものだけを拾い上げるということで今日まで来たということでございます。
  39. 松井誠

    松井誠君 私はやはりその点が不満でして、物品税を洗い直して、先ほど言ったような四本なら四本の柱を立て、それを基準にしてきちっとしてやる。高級消費財についても、多少それは徴税技術上のむずかしさというのもあるでしょうけれども、そういうものをやらないと、それこそ税の不公平感というものは直らない、そういうこともありますから、徴税技術が困難だと、そんなことだけで置かないで、耐久消費財というのはむしろ大衆課税になる危険性が多いので、積極的にもっと高級の消費財というものをもう一ぺん洗い直すということが必要だと思いますが、そういうことをおやりになる意思はございませんか。
  40. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 今度間接税全体について考え直さなければならないという場合に、その中で物品税についてどういう方向考え直すかということはまだ具体的に内容をきめておりませんけれども、ただいま御指摘いただきました点の項目も十分一つ問題点として考えておるわけでございます。
  41. 松井誠

    松井誠君 それから税率のことなんですけれども、これは税調で言っておる分類差等課税ですか、これと同じ趣旨になるかどうかわかりませんけれども、たとえば宝石なら宝石で何万の宝石もあれば何千万の宝石もある。これは物品税を一律にしないで、やはり刻んで、税率そのものを上のほうを上げたらどうかという議論がある。これは税調がそういうことを示唆しているのかどうかわかりませんが、そういうことは検討されませんか。
  42. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) たとえば宝石なら宝石をまたいろいろな種類に分けて段階の税率とするということは、これはいま小売り課税でございますし、たくさんの宝石屋さんが扱っており、そしてそれぞれ課税申告をするということから見ますと、品目ごとに税率に差等を設けることは非常に困難ではないかと思っております。ただ、現在は、従量税ではなくて従価税になっておりますから、税額としては百万円のダイヤモンドは五十万円のダイヤモンドの倍だと、いわば比例税率となっておるわけでございます。それをもっと累進的に何か段階をつけるかということでございますけれども、たとえば何カラットをこえればさらに累進的な税率にするというのは非常に困難でございまして、そういう意味で差等を設けることは現在の段階は考えておりませんので、税調で言っておられます段階的という意味は、現行制度の製造段階で申しまして五から四〇までいろいろ物の性質に応じて区分しているということを踏まえて、それを、何といいますか、認めていただいて、そういう御答申になっているというように考えております。いま税率構造を変えるということは私ども考えておりません。
  43. 松井誠

    松井誠君 その四十三年の答申に、「分類差等課税の合理化についてさらに検討を試みる必要がある」ということが書いてあるわけですね。分類差等課税というのは、いまあなたが言われたように、宝石なら宝石の中にいろいろな種類がある、その宝石の種類ごとに税率を変える、そういう意味なんではないですか。私のお尋ねしているのは、宝石の中にもいろいろ種類がありますですね、その宝石の種類ごとに税率を変える、分類差等課税というのをこのごろ言っているのはそういう意味なのか、そうでなしに、一つの種類のダイヤモンドならダイヤモンドというのがあるけれども、そのダイヤの価格によって税率を変えるという意味も含まっているのか、両方あるとして、両方を検討しているのかどうかということです。
  44. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 実は、この税制調査会の個々の部分の文言は何か私ども読みにくいのでございますが、ここに書いてある趣旨はただいまおっしゃったような趣旨であろうかと思います。ただ、私どもは、実際問題として、宝石をまたいろいろ分けて、高いものと低い率のものにするとか、あるいは宝石の中で百万円をこえたらもっと税率を高くするとかいうことは、事実上困難でございまして、それはいま考えておりませんので、ここに御答申がありますことを検討してみろということで、御答申がありますことを受けて考えますとすれば、たとえば何かほかの物品について現在二割一律になっておるけれども、それを二割と一割と三割のような、分けたほうがいいというようなものはないかと。たとえば、自動車で言えば、型によって二割と三割と四割になっておりますが、ほかの品物で一律の率になっているものの中に、いまの自動車の例のように大きさとか型とかによって税率を変えるほうがいいものがありはしないかと、そういう意味検討してみろという意味だというふうに実は私どもは受け取っておるわけでございます。
  45. 松井誠

    松井誠君 どうも、大蔵省のほうで答申意味がよくわからないと言うんだから、私のほうでわかるわけがないんですけれども、それはどうなんですか、先ほどあなたが例に出したここに書いてあるのも、「同一税率の適用される課税対象間においても、」という前提になっているわけですね。だから、宝石なら宝石というのは、一律に貴石ですかの税率だけれども、その宝石同士の間で税率の差等を設けるという意味それだけなのか、あるいは、それを含めて、今度は、ダイヤならダイヤの値段に応じての税率の差、従価税であることには間違いないんですけれども、従価階級制比例税率ということばを使っておる人がおるようですけれども、たとえばダイヤならダイヤでも、価格によって税率を変える、それも分類差等課税というものの中に入っておるのか、入るとすればそのことを検討する必要がないのかということです。
  46. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) ここにお書きいただいております文言としては、まさに先生がおっしゃったような意味をすべて含んでふわっと書いてあると思います。ただ、具体的にじゃどんな品物についてどういうことが頭にあるのかといえば、たとえば自動車で言いますと、普通乗用自動車は、大型が四割、普通が三割、小型が一五%と、こうなっているわけですが、その小型や普通——まん中の型のものでも、スポーツカーというようなのがあったとすれば、スポーツカーというようなのは奢侈的性格が少し強いから、少し税率を上げてみたらどうだというようなことが若干議論がございますので、おそらくそういうことを具体的には頭に置いてこういう表現をとられたのではなかろうか。しかし、表現の結果は、ただいま先生がおっしゃられましたような、宝石でも高いものはもう少し税率を上げたらどうかということも入っているかと聞かれれば、それは文言の上では確かに入っているということなんでございます。ただ、書くときに頭の中で何を考えていたかといえば、ただいま私があげましたような、ただ自動車の大きさだけではいけないので、スポーツカーというようなときにはもう少し何か高くしたらどうかなというようなことが頭にあって書かれたものであろうかというふうに思います。
  47. 松井誠

    松井誠君 それならば、そのことは少なくとも検討されておるということですか。
  48. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) それは幾つかにそういう問題があります。ありますので、この次の段階ではやはりいろいろな御意見をもう一ぺん集めて、そしてどういう問題があるか集めて、そしてその一つ一つについて検討はしてみなければならないというふうに思っておりますが、まあどちらかといいますと、われわれ事務屋としては、ますますそうなりますと複雑になってまいりますので、奢侈という点をとらえての税ではありますが、あまり複雑にしますと、いろいろ型を変えたりなんかして、また、スポーツカーというのはまたいろいろ定義がむずかしいので、すれすれのものをつくられたりすることになりますので、やや私どもは消極的であり、それから税制調査会委員さん方のほうは、確かに奢侈という角度からもう少し何とかならぬかと言われておりますことは事実でございます。しかし、そう言われております以上、今後検討して項目の中に入ってくることとお答えすることが正確かと思います。
  49. 松井誠

    松井誠君 じゃ、そのことはそれでやめまして、最後に提案理由の御説明のほうをお伺いしたいんですが、提案理由に、期限が来たため本則税率を適用することになったパッケージ型ルームクーラーその他については、「すでにその目的を達成した」という言い方がありますね、すでにその目的を達成したと認められるから本則を適用するということはどういう意味かということ。もう一つ、トランジスターテレビ受像機など四品目については、生産及び取引の実情に応じまして漸進的にしなければならないということが書いてある。「生産及び取引の実情」ということはどういうことか。この二つをお伺いしたい。
  50. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 第一段階のパッケージ型ルームクーラー等々についてはすでに税率軽減の目的を達成したものと認められますということを、パッケージ型ルームクーラーについて御説明いたしますと、パーケージ型ルームクーラーが物品税課税物品といたしましょうということで取り上げられましたのは、三十七年の四月一日から税法でそういうふうにきめられました。ただし、それは、物品税法の本法のほうでは新たにそのときに課税物品に取り上げられましたが、附則等によりまして当分の間は非課税にしておくということになりました。そうして、三十七年の十月一日に一〇%になりまして、四十三年の十月一日から一五%になりまして今日になったのでございますが、その間におきまして生産台数がどんどんふえてきております。一〇%に新しくすることになりました三十七年には、大体その最初課税対象にすることになりました三十七年には、二万台くらいの生産でございましたのですが、四十四年には四万二千台と、約倍にふえております。それから小売り価格で申しましても、新たに課税対象に取り入れるということにした当時には四十七万円くらいのものでありましたものが、最近は物品税を一五%納めておりますけれども四十二万円くらいに下がってきております。で、本来、暫定税率と申しますのは、新しく物品税が課せられることについて急激に市場を動かしてはまずかろうということで少しずつ上げていくという趣旨でございますので、このパッケージ型ルームクーラーの例で申しますと、生産台数もふえ、かつ価格も下がってきておりますということが、ここに御説明をいたしました税率軽減の目的を達成したものと認められるということの具体的内容でございます。  次に、今度新しく課税になりますトランジスターカラーテレビの問題等につきましては、物品税法の本則で課税対象物品になりましたのは三十八年五月でございますけれども、その後、真空管式のテレビのほうは課税をいたしますけれども、トランジスターテレビのほうは、トランジスターそのものの技術がまだ十分でないためにトランジスターテレビが市場に出回りませんでしたので、暫定的に今日までかなり長い間になりますが非課税のまま来たわけでございます。ところが、最近、急激にトランジスターの技術が発展をいたしました。つまり、市場性のある品物になってまいりました。昨年の状況で申しますと、約六十万台くらいの生産になってまいりました。わずか一年前の四十三年には一万台くらいしか生産がなかったものが、一年間の間にここで急に技術が伸びまして、六十万台ぐらいに生産量がなったわけでございます。そうなりますと、従来、トランジスターの技術の開発といいますか、さらにやや大きく言いますと、電子工学の工学技術の生産奨励の趣旨で暫定的に非課税にしておりました理由がなくなりますので、そこで、今回、新しく五%の税率ではありますが具体的に課税対象に取り上げた。ただ、本来ならば、本則税率に一挙に戻っていくとすれば一五%の税率にいくべきではございましょうけれども、それは、先ほど申しましたように、いろいろと激変といいますか、急激な変化を与えることになりましたので、その急激な変化を避ける趣旨で四十五年度は五%、四十六年度は一〇%というふうにして漸次本則税率に戻っていこうというふうに考えているわけでございます。  なお、ちょっと間違った説明をいたしましたので訂正させていただきたいと思いますが、テレビを課税をいたしましたのが昭和二十九年からでございます。トランジスターテレビというものが開発をされてそういう物品が世の中にあらわれてきましたのは三十八年でございますので、三十八年に本則に物品としてあげましたけれども、同時に、まだまだごく開発段階だからということで非課税物品にしたわけでございます。その点、直させていただきます。
  51. 松井誠

    松井誠君 じゃ、物品税はその程度にしまして、関税定率法の改正について、一点だけお尋ねしたいと思います。  それは、輸入豚肉の関税の減免制度の手直しということで改正が行なわれるその改正についてでありますが、農林省からおいでをいただいておりまして、主として農林省のほうにお尋ねをしたいと思うんですけれども、今度の改正案が必要になってきたいきさつですね、簡単でけっこうですけれども、それからまずお伺いをしたいと思います。
  52. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) 先生御案内のとおり、この豚肉の価格安定制度は、安定基準価格の上限と下限の安定帯の幅をもちまして、その中で比較的安定的な供給が行なわれるようにと、こういう趣旨で行なっている制度でございます。従来、この安定上位価格をこえまして騰貴いたしました場合に、これを防止するということで、畜産振興事業団という事業団がそこの手持ちの豚肉を放出いたしましてこれを冷やす、安定上位価格にまで下げる、こういうことでやってまいる趣旨でございます。しかし、畜産振興事業団の手持ちの豚肉を放出しただけでは静まらないという場合がございました場合に、緊急輸入ということで外国から豚肉を輸入いたしまして安定上位価格まで冷やすということをやると、こういう制度でございます。ところが、従来の経過からいたしまして、安定上位価格をオーバーいたしまして、緊急輸入という段階になりましても、実は、従来の制度でございますと、関税面の手当てが、何と申しますか、十分に発動する場合が——従来の制度でございますと騰貴した場合ということで、騰貴という実情を的確につかみませんとこれを発動できない、関税の減免措置がとれない、こういうかっこうになっております。したがいまして、なかなか十分な手当ができませんで、長期にわたりまして安定上位価格を上回るという事態が現出するのが従来ございました例でございます。  そこで、今回お願いしておりますのは、この騰貴という実態が完全に把握できるということではなくて、騰貴するおそれがあるという場合に、その輸入の発動、したがいまして関税の減免措置というのがとれるという形をお願いいたしまして、なるべく早目に手当てをいたしまして、安定上位価格をオーバーするという状況が早急に解消いたしまして安定帯の価格の中に豚肉の価格がおさまるということにいたしたい、こういうことからお願いをいたしておるわけでございます。
  53. 松井誠

    松井誠君 その改正案意味は私もわかるのです。そういう仕組みはわかる。ただ、いままでの実情は具体的にどうだったのか、具体的にこういう実情があったものだからこういう措置が必要になってきたんだというその実情の経過を聞きたい。
  54. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) ただいま申し上げました実際の例といたしましては、四十三年の六月の二十日から四十四年の十二月三十一日までの約一年半の期間にわたりまして、従来の制度の減免規定を発動いたしまして約五万五千トンの輸入取引についての関税の減免——金額にいたしまして約二十三億円になりますが——を行なった経緯がございます。それで当時の市況の鎮静に大いに役立った、こういうぐあいに私どもは見ております。
  55. 松井誠

    松井誠君 一回だけですか。
  56. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) さようでございます。
  57. 松井誠

    松井誠君 そのときには、聞くところによりますと、この制度が運用されて市価が下がったということじゃなくて、海外市況が非常に割り高であるものだから、いくら輸入をしても豚肉の値段は下がらない、そういう現象はなかったのですか。
  58. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) 先生御指摘のとおり、確かに、当時、緊急輸入ということで外国に当たりましたところ、外国の市況も非常に高いものでございまして、なかなかこちらの価格を冷やすような豚肉の手当てができなかったために、かなり時間の経過をとったということもございますが、最終的にはこの措置によりまして安定帯価格の中におさまったと、こういうことに了解しております。
  59. 松井誠

    松井誠君 ですから、その例が一つしかなくて、しかも、そのときになかなか下がらなかったのは、騰貴したときを騰貴するおそれのあるときというようにしなかったから下がらなかったのじゃなくて、海外の市況がそういう状態であって下がらなかったと。だから、この仕組みがいわばじゃまをして下がらなかったのだという具体例としてはちょっと当たらないような気がする。しかも、その例がそれ一つだというのでしょう。
  60. 上林英男

    政府委員上林英男君) この関税の減免制度を敷いていただきましてから、確かに、おっしゃいますように、制度的には延長をしながらまいりましたので、五回ほどになっておりますが、引き続いた期間は一回でございます。ただし、その経験によりますと、ただいまの法律によりますれば、豚肉の価格が上位安定価格をこえているときと、こう明示されております。やはり豚肉の価格は上がったり下がったりしますときが多うございますから、ある程度継続して豚肉価格が上がっておるというのを見きわめてから発動をせざるを得ない状況でございます。前回の例によりますと、最初にやりますときには、先ほど申しましたように一昨年の六月でございましたが、東京市場で上位安定価格をこえ出しましたの五月でございまして、しかし、そういう状態で、どういうふうに続くのかというのを様子を見ておった。片一方、できるだけ早くそれに対する措置をとりたいと、こう思うわけでございますけれども、そのためには、緊急輸入の必要があると思いますが、関税が軽減されるかどうかということも輸入業者にとりましては一つのポイントでございますので、そういう制度がきちっとできませんと輸入の手を打とうとしないというようなかっこうで、その発動に若干の日時が、過去の経験によりますと、そういう期間が約五、六十日ぐらいロストされたという経験もございます。しかも、こういうことをやりまして、確かに海外の市況が高うはございましたけれども、結果的には、量は先ほど申しましたように、五万四千トンでございますか、そういうような量を入れたわけでございまして、それによって確かに需給の逼迫を緩和したという面もございましたし、結果的にはいまは安定上位価格の中に入っておる、こういう状況でございます。したがいまして、どうしても豚肉はピッグサイクル——いろいろな関係でフラクチエートしがちでございますので、過去の経験にかんがみますとこの制度も非常に有効で、それからまた、これを発動しなければならぬことになりました場合にはできるだけ早く発動し得る態勢を整えたい。そういう過去の経験にかんがみまして、豚肉の価格が上位安定価格をこえるおそれがあるような場合には、あらかじめこれを発動をしておきまして、現実に輸入をいたしましてから来る価格が高い場合には、その価格に応じて関税の減免をして豚肉の高騰をできるだけ鎮静をし、もちろん上位安定価格を基準考えておりますけれども、その中に入るようにそういう態勢を整えていきたい、こういう趣旨でございます。
  61. 松井誠

    松井誠君 私がお伺いをしておるのは、実は、生産者にそれじゃどういう影響を与えるかという立場からの関税の問題です。消費者や物価との関係で、消費者の立場から見ればこういう改正案がいいということは、これはわかります。しかし、少なくとも農産物については、私はまだまだ生産者の立場というものは尊重しなければいけないんじゃないかと思う。ことに、米がああいう状況になって、米作転換が要求されておるそのときに、畜産にしたところでやっとこれでどうにか前の損失が取り返せそうになったときに水をかけられるというようなことで、一体米にかわるものとしての畜産が発達するかどうか考えますと、やはりこのときにもっと生産者の立場というものを考慮してしかるべきではないか。特に、お伺いをすれば、過去たった一回の経験で、しかもそれはこの仕組みが硬直的であるために失敗をしたとは必ずしも考えられない、そういう状況にあるときに、はたしてこのような改正の必要があるのかという疑問がある。そこで、お伺いしたいんですけれども、今度のこの改正について、改正をする結果、生産者にどういう影響を与えるか、農林省のほうにお伺いしたい。
  62. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) 先生ただいま御指摘の生産者の側についてどういう影響を与えるかということでございますが、この畜産物の価格安定等に関します法律に書いてございますように、安定上位価格をこえて騰貴することを防止することを旨としてこの制度は動かす、こういうことでございまして、さらに、ただいまのようなことで、騰貴しまたは騰貴するおそれのある場合にこれに手当てをしていく、こういう制度でございますが、安定上位価格と見合いまして安定基準価格ということで生産省のほうの下ざさえの価格があるわけでございまして、ただ、この幅の中でもって安定的な価格形成が行なわれるようにということでございますので、上限を守るというこの制度をとりますことによりまして、安定帯の下ささえの価格につきましても、この価格の上限と下限と見合った範囲内でもって生産者には生産を考えてもらうということで、あまりに高価格になりますと生産の過度の刺激になりまして、確かに先生のおっしゃるとおり米等につきましていろいろ問題のある現在でございまして、畜産関係に農業の進んでいく道をこれから見つけていくという意味合いにおきまして、いわゆる構造改善なり何なりの施策をとりましてこの方面の成長を私どもも政策の中に考えて進めていくわけではございますけれども、あまりに過度な生産の刺激を際限なく価格でもってやっていくということは、従来の私どもの農政の経験から申しましても、必ずしもそれが生産者のためになるということではないのではないかということで、いわゆる過剰問題ということを生じさせないためには、やはり安定的な価格でもって生産者のほうも生産していくと、こういうことでなければならない、こう考えますわけでございます。その意味合いにおきまして、この安定帯価格というものを十分に活用してまいりますためには、安定上位価格そのものをきちんと守っていくということが、ひいては生産者のほうにもやはり安定的な生産をやれるということにおいていい影響を与えるのではないか、こういうぐあいに考えているわけでございます。私どもといたしましては、これは消費者あるいは物価対策という面だけでは考えていないわけでございまして、生産者にとっても必要な制度の動かし方である、かように考えているわけであります。
  63. 松井誠

    松井誠君 確かに、価格が安定するということ自体はいいことですけれども、しかし、どの価格で安定するかということが問題で、低い価格に押えられて安定したのでは意味がないわけですね。基準価格がどうも低く押えられがちであるとすれば、上位価格を上回ったからそれで安定を害する、したがって畜産経営にマイナスだというように簡単に私はいかないと思う。さっきお伺いをしたのは、この改正についてそれじゃ生産者の意見はどうだったのかということなんです。
  64. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) 実は、生産者団体等から、この制度に対しまして、下ざさえの価格自体を上げる、それからこういうような関税制度でもって減免して外国から入ってくるということはやってほしくないというような一般的な意見はございます。しかし、御案内のとおり、この安定帯の価格につきましては、畜産振興審議会がございまして、そこにはかりましていろいろと学識経験者その他の方々からの御意見を承った上で、その御答申を尊重いたしまして決定をするという方式がとられておりまして、実はこの四日一日から価格改定が行なわれたわけでございますが、三月末に行なわれました審議会の席上におきましても、この点につきましては特段の生産者サイドから非常に困るのであるという御意見がなく、さらに、これがきまりました後におきましても、現在のところ特にこれが非常に困るのであるという話はないわけでございます。
  65. 松井誠

    松井誠君 手元に全国農協中央会——全中の四十五年度の陳情のパンフレットがあるのですけれども、それにも、一般論ではありますけれども、すみやかに輸入規制措置を講ずべきである、輸入関税の減免措置を廃止するというように言っておるわけです。ですから、今度の改正に賛成であったはずはないと私は思う。ただ、生産者と消費者がそういう意味で利害がぶつかりますから、一本の旗だけ持てばいいと私も考えませんけれども、それならそれで、生産者の利益を守るなら、それで消費者の利益はどうすれば守れるのか、あるいは、消費者のためにこの改正はやむを得ないけれども、そのかわりしかし基準価格をもっと上げるとか、何かやはりその矛盾を調和をする努力が農林省は必要だったのじゃないですか。ところが、聞くところによりますと、生産者もオーケーと言いました、したがって農林省もオーケーでありますということで、無抵抗でこういうものがすいすい通るのでは困ると思うんです。そのことだけを一つ要望して、質問は終わります。
  66. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 今回の関税定率法の改正の内容を見ますると、各般の問題について税率改正というものが行なわれておるようでありますが、その中で問題になりますのは、一つは中国産品の関税価格の格差解消で、今回この関税が改正されますと、おおむね九七%程度格差が解消される、こういうことであります。残される産品は一体どういうものが残っておるのですか、その辺からまずお伺いしたい。
  67. 上林英男

    政府委員上林英男君) なお格差の解消しておりませんものは二十六品目ございますが、おもなものは生糸、絹織物でございます。
  68. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 これらの問題は、今後の取り扱いですけれども、どういう考え方でいくか、将来はこれは全面的に解消ということにおそらく考えておられると思うのですが、その辺の見通しはどうですか。
  69. 上林英男

    政府委員上林英男君) 基本的には、当委員会でも御決議をいただきましたように、協定税率の適用のない国におきましても、できるだけ協定税率を適用をするように努力をしたいと思っております。ただ、国内産業に与えまする影響を考えまして、そういうものに支障のない限りにおきまして、いま申しましたようなできるだけ格差を解消していく、こういう努力を続けてまいりたいと思っております。ただ、いま申し上げましたような生糸、絹織物等につきましては、国内産業の状況から申しまして、また、生糸、絹織物につきましては特に中共産品が非常に潜在的な力を持っておりますし、その産出額も大きいわけでございます。価格も安いというようなことで、国内産業との競合を考えまして、格差を解消しなかったというような実情でございます。
  70. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時期はいつごろまで整理される考えですか、大体の見通しは。
  71. 上林英男

    政府委員上林英男君) いまの未解消の品目につきましては、いま申しましたように、わが国の国内産業との競合状況を考えて、毎年検討していかなければならないと思っております。しかし、そういう国内産業との競合を生じないようなものにつきましては、もうすでに、おっしゃいましたように、品目数につきましては九七%やることになっております。ことしも、御存じのように、四十品目ほど追加を、四十三年度に輸入実績がありましたもの全部、それと現在関税格差がございましたのが三十品目ほどございましたが、そのうちの五つ、それはつけ加えさせていただいておるというような状況でございまして、今後もそういう方向で努力をさしていただきたいと思いますけれども、具体的な品目につきましては、いま申しましたように、国内産業との競合状況を毎年研究をし、慎重に処理をさしていただくということになろうかと思います。
  72. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 今回の関税の減免措置によって、その減税額は総額どのくらいですか、一般と重油関係と分けて。
  73. 上林英男

    政府委員上林英男君) 今年度の関税改正によりまする新たな関税引き下げによります減税額は、重油脱硫に伴いまする減税、これが三十九億でございますが、このほかに約五十億程度の新しい減税を行なっております。したがいまして、合わせまして約九十億程度になるわけでございます。
  74. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 九十億程度の減免措置をとるわけですけれども、この真のねらいは一体どういうところにあるわけですか。
  75. 上林英男

    政府委員上林英男君) 私ども、関税政策の基本的な考え方といたしましては、もちろん国内産業の保護に支障のないように努力をいたしますが、と同時に、わが国の置かれております地位からかんがみまして、やはり貿易が拡大していくことが必要であると思いまするし、その結果、物価面への影響をも考えてまいらなければなりませんので、国内産業のほうに支障のない限りこれを一般的に引き下げていくというような努力をしたいと、こう考えておるわけでございます。そういうような意味におきまして、今年の改正におきましても、新たに百十一品目の関税引き下げをお願いいたしておるわけでございまして、そういうような施策の一環といたしましてできるだけの減税をした、こういうことでございます。
  76. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 総体五百八十一品目程度の減免措置をやられたわけですね。いま局長がお答えになっておるように、そのねらいというものは、一つは国内産業の保護だ、あるいは貿易拡大、あるいは物価引き下げですね、そういうところにねらいがあると思うのですが、じゃその物価の具体的な——いま四十五年度予算審議中でありますけれども政府説明では四・八%、しかし、これも実質成長率の今後の上昇などによってはそれぞれ変更する、われわれの見通しとしてはとても四・八%程度で物価上昇がおさまるとは考えておりませんけれども、どの程度の割合がこの関税減免措置によって物価を引き下げ得る自信があるのか、その辺はどうですか。関税部面からでけっこうです。
  77. 上林英男

    政府委員上林英男君) 関税の及びまする物価に対しまする、何といいますか、四・八%に対してどのくらいになるかと、こういう話になりますと、非常に微々たるものであるかと思っております。たとえて申しますと、これも達観的な数字でございますけれども、輸入関連品目の卸売り物価に占めまするウエートはたしか一割足らずであったかと思います。いま日本の関税負担率は七%程度でございますから、それを考えまして、この七%の関税負担率がみんななくなったといたしましても、そう物価に及ぼします影響といいまするのは、いま申しまするように〇・〇何%というようなかっこうになっているわけでございます。しかし、具体的な品目をとってみますと、今回の改正におきましても、たとえば紅茶は現在三五%でございますが、これを二〇%に引き下げるということにいたしておりまするけれども、かりにこの減税額が全部価格に反映をされると、こういうことになりますと、現在の価格よりも二・六%程度引き下げられるというような数字も出ております。また、たとえば今回の改正におきまして、ナチュラルチーズの関税割り当て制度をしきまして、一次税率につきましては三五%から一〇%に下げますことによりまして国産品をできるだけ使用するというようなことをねらっておるわけでございますが、これによりますると、減税額がいま申しまするように全部国内価格に反映すると、こういう仮定のもとに計算いたしますと、プロセスチーズの負担も三二%程度は引き下げられる、こういうような計算が出ております。
  78. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 その部分的な物品等も価格政策からいけばいま御説明をされたような方向幾らか下がってきますが、しかし、総体品目を見ますると、逆に国内産の価格に対しても一面相当圧迫をする、こういう逆現象もいろいろ出てくるんじゃないか。たとえば大豆なんかは非常にいい例じゃないかと思うのです。たとえば仙台なんかで有名だといわれる三色最中のアズキなんか、あるいは仙台味噌、こういったアズキとか大豆はほとんどは外国の輸入に依存しているんですね。そういうことで急速に国内生産というものはもうほとんど解消してしまうようなそういう状況にいくのじゃないかと思うのですが、非常にむずかしい調整でありますけれども、局長が指摘をされましたように、国内の産業保護ということと、それから関税定率の減免措置ということ、この調整をどの辺ではかっていくのか非常にむずかしいと思う。政府全体としては、輸入品目は四十七年度までほぼ解消していきたいという考え方だと思うのです。全面的にそういうものが入ってくるわけですね。そういうことになりますると、どうしてもやはり一面、いままでバナナの規制措置をとってきたように、ある特定品目については依然として関税定率によって規制をしていく、こういうことも政治的には配慮されなければたいへんだろうと思いますが、その辺の調整問題ですね、どういうふうに一体お考えになっておられるか。
  79. 上林英男

    政府委員上林英男君) おっしゃいますように、今後輸入自由化を進めてまいるにあたりましては、国内産業に不当の混乱を起こさないように、そういう努力をしなければならないことは言うまでもございません。そういうような意味におきまして、ある場合におきましては暫定的に関税の保護措置を厚くせざるを得ない場合もあろうかと思います。そういうようなことにつきましては、おのおのの産業の実情に応じ、あるいは自由化の進捗度に応じましていろいろ検討を加えていかなければならないと私ども考えております。なお、一方におきまして、先ほどから申しておりますように、できるだけ貿易障壁を軽くいたしまして、お互いに貿易を拡大をし、日本経済の効率化をはかっていく、そういう態度も必要かと思いますので、いまおっしゃられましたように、そういう二つの目的をどういうふうに調和しながら具体的にたとえば関税政策におきましても運用していくかということは、なかなかむずかしい問題でございますけれども、そういうことを常に頭に置いて努力をしてまいりたい、こう思っております。
  80. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 関税の減免制度の整備拡充ということで、重油の脱硫減税の新設が今回行なわれたのですね。これによって、説明によりますと、四十五年度で三十九億円、年度換算で五十一億円ある。これは、私は、いまいろいろ問題になっている、税不公平ということでだいぶ非難をされておる租税特別措置法の一適用じゃないかと考えるんですね、関税も。そういう点はどういうふうにお考えですか。
  81. 上林英男

    政府委員上林英男君) この重油脱硫に関しまする減税制度につきましては、御承知のように、重油の専焼によります亜硫酸ガスの発生に伴います公害問題、これを解決いたしますことが非常に緊急な必要がある、そういう緊要性にかんがみまして、片方、それに対処いたしますために重油の低硫黄化をはからなければならない、その低硫黄化の一つの方法といたしましては重油脱硫があるわけでございまするけれども、これにつきましては相当大きな投資が要る。あるいはそれを運転いたしまする経費も要る。しかし、これを全部企業だけに負担させるということもなかなかむずかしい問題であろうかと思っております。そういうような情勢にありまして、この重油脱硫を促進し公害対策に資しますためには、一方におきまして、国におきましても何らかの助成措置を講ずる必要があると、こういうような考え方でございます。そのために、重油脱硫装置につきましては、たとえば、固定資産税の軽減とか、特別償却等を認めておりますし、財政投融資の開銀による融資なども考えておるわけでございます。それにいたしましても、なお巨額な投資コストがかかるわけでございますので、そういう脱硫をいたしました重油につきましては、御存じのように、一キロリットル当たり三百円の減税制度を設けるということによりまして公害対策に資しよう、こういうことでございます。そのねらいといたしますことは、いま申し上げましたような、公害対策に資しようということでございまして、この受益者というものは一般国民であるというように考えておるわけでございます。
  82. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 こまかく聞いていきたいと思うのですが、この重油脱硫減税の新設についての当局の提案の理由は、「大気汚染公害問題の緊急性にかんがみ、石油精製業者による重油脱硫を促進する助成策」と、こういうことになっているんですが、前段の大気汚染公害問題の緊急性にかんがみて各般の公害防止策ということは当然だろうと思うんです。それは、経営者負担と国庫負担との割合、公害防止事業団法についてもいろいろ問題になったところですが、いずれにいたしましても、本問題について五十一億円の年度の関税面からの助成策をとっていこうというのですね。一応いまの公害防止のそういった施設に対する補助金としての一つは、税制面から減免措置をとっている、そういう制度がやられているわけですね。もう一つは、金融面からそれに対するあれをやっているわけです。日本開発銀行とかから行っているやつがあるんです。さらに、関税からのやつがある。そして、地方税の固定資産税を中心としてのことをさらにやっている。ですから、何重もの系統別的にそれぞれの面から助成策というものをいまやられているわけです。私は、そういうものは、公害防止をいわば政府一体の形でどういう形で一体やっていくのか、この辺の基本姿勢が明確じゃないから、場当たり的に、関税からも、税制からも、あるいは金融面からも、あるいは地方税からも、こういうことになってくるだろうと思うのです。こういうシステム態様がはたしていいのかどうか、この辺の見解はどうでしょう、政務次官
  83. 藤田正明

    政府委員藤田正明君) まことに御指摘のとおりでございまして、この間成瀬委員から物価問題におきましても各省庁別にセクショナリズムということについて御批判を賜わったのですが、総合的に内閣として考えたらどうかというような強い御指摘を賜わったのでございますが、この公害問題においても同じことだと思います。各省庁別にそれぞれ予算がつきまして、あるいはただいまおっしゃいましたように系統別にそれぞれ公害対策をやっておるということではいけないのではないかと思います。今後総括的に政府といたしまして公害対策をやっていきたい、かように考えますが、これも政府全体の話でございまして、そのように進むことを私自身も希望しております。
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと関連して。この重油脱硫減税制度の問題ですが、これはこういう制度を設けましても、硫黄分の多い重油を輸入したのでは意味ないので、これはどうなんでしょうか、硫黄分の少ない重油、たとえばソ連なんかのものは少ないのだそうですね。そっちのものを多く輸入すれば問題が解決するのじゃないのですか。どうもその点がよくわからないですね。アメリカのほうの、あるいはまた、硫黄分の多い重油を輸入するからこういう減免制度が必要になってくるのであって、もしもソ連のほうの硫黄分の少ない重油を輸入すればこういう制度を必要としないのではないかというふうに考えるのですが、どうなんですか。
  85. 成田寿治

    説明員(成田寿治君) いま御指摘の問題でございますが、去年の二月閣議決定で環境基準が決定になりまして、これをどうやって達成するか、これは非常に総合的に検討をやりまして、通産省のエネルギー調査会で低硫黄化部会というものをつくりまして、いろいろな対策を検討したのでございます。そして、いま御指摘のように、まずローサルファー原油を入れるべきだと。それで、アフリカとか、アラスカとか、あるいはインドネシア等の東南アジアの原油というものがどのくらい入るかという検討もやりまして、四十八年度にどのくらい入るかという検討が終わっております。しかし、それでも全く環境基準達成のためには不十分でございまして、どうしてもハイサルファー原油を入れて脱硫をやらなければいけない、そういう結論が出まして、昭和四十八年度までに六十四万バーレル、現在の倍くらいの脱硫施設をつくらなければいけないという結論が出て、そのための促進策として今回のような関税軽減をお願いしておるわけでございます。それから第三番目の方法としては、これもソ連等からどれだけ入るかわかりませんが、ローサルファー重油あるいは天然ガスの輸入にも十分期待する、そういう検討もやって、そういうあらゆる方法を並行してやって、はじめてこの環境基準の達成が四十八年度でできる、また、その達成のためにはいろいろな方法をやらなければいけない、そういう意味でこの答申が出て、そうして今度の関税軽減もその一環としての助成措置としてお願いしている次第でございます。
  86. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ぼくはしろうとでようわからぬのですが、低硫黄分の重油も、それから硫黄分をたくさん含んでいる重油についても、これはもう区別はないのですか。そういう硫黄分の含有については、何ら区別はないのですか。
  87. 成田寿治

    説明員(成田寿治君) 重油脱硫装置にかけますところの原油は、三%とかサルファーの高い原油を入れまして、中近東から大半入ってまいりますが、これが三%の原油では重油にした場合にサルファーが固まって非常に高くなりますので、脱硫装置にかけるわけでございます。それから一%とか非常にサルファーの低い原油につきましては、脱硫装置にかける必要がなくて、そのまま重油をつくりましてそのまま供給する、そういうことでありまして、今回の対象になっておりますのは、ハイサルファーの原油を入れて、それを脱硫装置にかけて、できた低硫黄の重油を対象にしておるのでございます。
  88. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから、硫黄分の少ない重油を多く輸入すれば、その渡税額が少なくなるでしょう。そうでしょう。そこが問題になってくると思うんですよ。そうすると、どこの国の重油を多く輸入するかという問題とも関連してくるでしょう。だから、結局、低硫黄分の重油を多く輸入すれば、何もこういう減免措置は要らないわけなんですよ。なぜそれをやらないかというんです。そこが非常に問題じゃないかと思うんです。
  89. 成田寿治

    説明員(成田寿治君) 確かに、論理的にはそのとおりでございまして、われわれもローサルファー原油の重油がどれだけ入るかという検討を四十八年、四十九年度につきまして非常に詳細に検討いたしたわけであります。それで、現在、ローサルファー重油が一千万くらい入っておりますが、これの倍くらいはいま努力して入れようというので、それも織り込んで、ただ、二千万くらいのローサルファー重油の輸入だけではとても環境基準の達成はできませんので、並行して脱硫装置も相当つくってもらわないといけない、そういう総合的な研究をやった上での結論でございます。  それから現在ローサルファー重油を各地から入れるべくいろいろ輸入促進をやっておりますが、世界的にヨーロッパなり各地でローサルファー重油の需要が非常に強まっておりまして、なかなかわれわれが計画で出したほど現に入ってきにくいという情勢でありまして、この促進もやらないといけませんが、非常に限界があるという点をわれわれは感じておるのであります。
  90. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 今後の日本の燃料は、大体重油等に転換されてくることは必定だろうと思うんですね。現に、火力発電所あたりは、ほとんど重油に切りかえて新しく建設する、こういう趨勢にあるわけですから、この需要がどんどん拡大をされ、いま審議官が回答されましたように、そういう硫黄分の少ない重油を大量に仕入れていくという、そういう検討は必ず必要になると思うのです。これは要望として、いまお答えがあったようでありますが、十分検討していただきたいと思います。  それからもう一つは、減免措置ですね。現行一キロリットル当たりが六百三十円ですか、そのうち三百円減免をするということになるんですね。そうすると、含有の割合によって助成金というものは違っていくわけですね。だから、そういう問題は、一体どの限度まで硫黄を含有している場合においてはどの程度の助成策になっていくのか、この辺の内容についてひとつお教え願いたい。  もう一つは、税制面からいまこういった脱硫装置の助成策として総体どのくらい出されているのか。それから金融面としては、日本開発銀行からまいるわけですが、これは一体どのくらいやられているか。あるいは関税分はわかりますが、地方税の固定資産税の部面から一体どのくらいいっているのか。総体的に一体この脱硫装置のためにどのくらいの助成措置が行なわれているか。それからさらに、対象の工場なり石油精製業者、これは一体どのくらいあるのか。主としてどういう部面を通じてこの助成金というものをやられていくのか。それはもちろん金融関係の助成対策については、一定の公害防止事業団等から政府出資その他でもっていかれる、これはわかりますよ。それはいろいろ申請に従ってやっていくのでありましょうが、一体どういう流通体制を通じてそれらの助成策を施していくのか。というのは、今年度もそうなんでありますが、特別措置が各企業、大企業を中心にして非常に拡大をされてきておる。総計三千二百億です。しかし、いままでのわれわれが租税特別措置を全廃しろという要請に対して、大蔵省自体としても、本問題については政策的効果は疑わしい、こう言っているんですね。そういうことを基本に置きながら、なおかつこういう問題について関税面、税制面よりテコ入れしているというそういう点について私は大蔵省の見解としては疑問を持つわけなんです。だから、その辺の見解についても明確にひとつお答え願いたいと思います。
  91. 成田寿治

    説明員(成田寿治君) 最初の、サルファー別に原油関税に差があるのではないかという御指摘につきましては、これは原油段階の差でなくて、脱硫装置へかかった重油について関税を出すということでありまして、脱硫装置はきまって、いま現在日本では三十二万バーレルというのがありまして特定の設備がきまっておりますから、それに原油をかけて重油をつくって脱硫重油にした場合に関税をかけるということで、原油段階における差別扱いということには直接ならないのじゃないかと思います。  それから現在どういう程度の助成をやっておるかというお話ですが、一つは開銀の特別融資でございまして、公害脱硫設備については昭和四十二年度から開銀の低利の金を出しております。従来は一般ワクから出て年間数億でありましたが、四十四年度からは産業公害ワクという特ワクをつくりまして、このうち石油会社の脱硫設備として三十五億円が融資として出されております。それから四十五年度の財投予算におきましては、四十五億円というのが石油の脱硫設備に対する開銀の融資という計画になっております。  それから固定資産税の軽減でありますが、これも昭和四十二年から実施になっておりまして、三年間固定資産税二分の一の軽減ということで、はっきりした金額はわかりませんが、四十四年度が一億から二億、まあ一億五千万くらいじゃないかというふうに考えられます。  それから特別償却も、重油脱硫設備に対する初年度三分の一の特別償却の措置が昭和四十二年度からとられておりまして、これがどれだけかということはちょっとわかりませんが、こういういろいろな助成策をとっていただいております。ただ、こういういろいろな助成をやって、さらに関税の減税をやるのは、非常に不当なあれにならないかという御指摘もありましたようですが、実際脱硫設備にかけましてさらに重油をつくりますと非常にコストが高くつくのであります。おそらく一キロリットル当たり千数百円というような計算上はコスト高になるという計算になっております。これは石油業界が合理化等によって大いに吸収すべきであるというので石油業界にも努力させておりますし、また、電力業界、鉄鋼業界等の消費者業界にも高くついたローサルファーの質のいい燃料だから高く買うべきであるということでお願いして、これにもいろいろ協力をしてもらっておりますが、それだけではもちろん全部吸収できませんので、こういう政府の資金、税制あるいは関税面からの助成をお願いしておるのでありまして、国の助成によってコストが十分カバーされるというのではなくて、さらに石油供給業者なり石油の使用業界の協力ということ、この三つの点をやってやっといろいろ高くつく脱硫設備を計画どおりつくって促進していく、そういう考え方になっております。  それから対象になる工場が幾らあるかというお話でございますが、現在石油会社は二十社ぐらいありまして、おそらく将来はあらゆる会社ともこの脱硫設備をつくっていく必要があると思いますが、現在までのところでは、ローサルファーの原油が容易に手に入る会社と、なかなか手に入らない会社がありますので、ローサルファーの原油が容易に入手できない会社はどうしても脱硫設備をつくって重油脱硫をやらないといけない。そういう形で、現在までのところこの脱硫も十四ぐらい工場がありまして、これが対象になっておりますが、将来はおそらく二十数社ある石油会社が各社ともこの脱硫設備をつくらざるを得ない。それほどまた環境基準がきついのでありまして、それを達成するためには各社ともやらせなければいけないと考えております。
  92. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 租税特別措置によりまして公害防止のために特別償却をやることによって四十五年度にどのくらいの減収になるかという額は、約三十億と見込んでおります。そのうちでどういうものがあるかと申しますと、圧倒的にやはりウエートが高いのが重油脱硫装置でありまして、これが大体全体の六割あると見ております。それに次ぐものとしまして、これは何と申しますか、拡散用煙突、高い煙突を立てた場合、あるいは汚水処理をやった場合その他いろいろございますが、何といっても重油脱硫装置の場合を対象とする特別償却の額が一番多くなっております。  それから特別措置はどういう基準考えるか、その基準があまり明確ではないのではないかという御意見でございますが、まさにそういう問題がございます。現在、特別措置のおもな柱としましては、貯蓄の奨励、輸出の振興、あるいは技術革新、設備の近代化、それから四番目に企業体質の強化、五番目に社会開発の促進、六番目に海外における石油資源を開発しますため等の基礎資源の開発促進というふうなものがあり、そのほかに非常に特殊なものとしてお医者さんの社会保険診療の特例というようなものがあるわけでありますが、これを相互にどういうふうに比較して見ておるかという御質問でございましたが、これはどうも特別措置の性格といたしましてそれぞれのたとえば重油脱硫装置についての特別措置とその他の特別措置を横に並べてみて経済効果をいろいろ比較するということは、実はあまりやっていない、また、非常にむずかしいのでございまして、むしろ、この公害問題を考える場合に、予算のほうでどう見るか、税としてどう考えるか、あるいは大蔵省でございますと財政投融資等でどう見るかということは、各項目ごとに私ども予算編成の段階で各局との間で相談はいたします。そして、その意味で、どっちが税でやるのがいいか金融でやるのがいいかという議論は盛んにいたします。試験研究費の税額控除を輸出の奨励のための特別償却と比べてみるという形の検討は、正直のところやっておりませんし、また、非常にできにくいということではないかというふうに思っております。
  93. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私の聞いているのは、いろいろ御説明があったんですが、審議官、いままで特別措置を今年度も拡大はしているのですけれども、従来、大蔵省の主張としては、そういう減免措置による政策効果というものはきわめて疑問だと、こういう言い方を大蔵省は言ってきておるのじゃないですか。四十五年度においても、これは統廃合について合理化を促進するといったのが大勢を占め、今度整理をしているんですね。そういういわば幾つかあげられた減免措置の目標に合致しないものがあるのではないか。これは、今回の関税面から見ても、そういう面で政策効果というものはほど遠いのじゃないか、こう思うからその辺の見解を聞きたいのですが、ずばり言ってどういうことですか。
  94. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) たいへんむずかしい御質問でございますが、たとえば今度廃止する、期限も到来いたしました関係もありましたけれども廃止することになりました資本構成是正のための税額控除の制度であるとか、合併のための税額控除の制度等につきましては、過去におきましてその特別措置によってどれだけ資本構成が是正されたか、あるいはどれだけ合併が促進されたかというようなことをかなりしさいに検討いたしました結果、どうもやはり税制が本題ではなさそうだと。確かに、合併なり資本構成是正なりのための環境づくりには役立っているかもしれないけれども、それが非常に強く働いて、それによって合併なり資本構成の是正が行なわれたとは認めがたいという感じを持ちまして、各省とも交渉の上、今度措置法の特例を廃止することになったわけでございます。  そのように、租税特別措置法の中には、本来の目的を達したか、あるいはやってみたけれども効果がどうも十分でないというものがございますので、本年度で申しますと、全く廃止した特例措置が十件、それから縮小いたしましたものが十件、単純に延長したものが十四件、若干拡充して延長したものが一件で、合計三十五件中、今回期限が到来したもので廃止が十件、縮小十件……
  95. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっと、回答中ですけれども、ぼくは特別措置にからまる各般の内容について答弁を求めているのじゃなくて、いままで総体的に大蔵省としては特別措置の政策効果は疑問が持たれると、だから、今後統廃合理化を進めなければならないという政策態度を打ち出したわけです。そういうさなかであるから、私は、この関税の減免措置は、そういう特別措置を縮小していこうという大蔵省考えと逆行するのじゃないかと思うんですよ。そういう意味合いで、この関税の減免措置によるところの政策効果、さしあたってねらいとしているのは公害防止ということでいっているわけですから、いま説明があったように、対象工場は十四基ですか、これらを対象に五十億総額の金額というものを減免措置をやっておる、その政策効果というものは一体出てくるのかどうか、これに対する判断はどうなのか、この点を聞いているんです。
  96. 上林英男

    政府委員上林英男君) いま議論になっておられます特別措置は、いま高木審議官からお話がありましたような、従来ともすればいろいろ御批判がございました特別措置につきましては、これを十分検討をして、その任を果たしたようなものは廃止をするというような検討をしておることは言うまでもないことでございます。私どものお願いをいたしておりますこの重油脱硫の減税制度につきましては、これはある意味では暫定措置法の改正によります暫定的な措置というような意味で、特別措置法とは似ている点もあるわけでございますけれども一つは、そういう暫定措置法の形体をとりましたことは、率直に申し上げますと、ただいまの原油関税がそもそも石炭対策に端を発しましたものでございまして、石炭対策がその任を終わりますといいますか、石炭対策のための原油関税の意味がなくなってまいります場合には、これはまた再検討しなければならないと、こういうような意味もございまして暫定的な措置になっておるわけでございまするけれども、ねらっております意図は、先刻から御説明申し上げましたように、公害対策の緊要性にかんがみまして、どうしても亜硫酸ガスの発生量というものを環境基準に合わせて少なくしていかなければならない。そのためには、低硫黄の重油の輸入も必要でございますけれども、まず、どうしてもいま行なわれております日本の原油の輸入状況から見れば高サルファー原油からできます重油を脱硫していくということが必要であるわけでございます。そのために多額のコストがかかると、こういうことでございますので、その負担を軽減することによりまして大気汚染の防止に役立たせると、こういうことでございまして、これをやりますることによりまして脱硫が促進し、そうして環境基準が達成される。これがむしろできませんと、環境基準の達成にいろいろ問題が起こり、困難が起こってくる、そういうことを考えまして、こういう措置を講じたと。したがいまして、これによっての脱硫によりまする低硫黄の重油をたくことによりまして環境基準の達成に十分に効果をあげてくれるということを私どもは期待しておるわけでございます。
  97. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 御質問を間違いまして、たいへん失礼いたしました。公害防止のための法人税の特別償却に関します租税特別措置については、私どもはかなり効果をあげていると思っております。と申しますのは、四十二年度から始まっておりますが、四十二年度が一工場、四十三年度が一工場、四十四年度、四十五年度はそれぞれ六工場ずつがかなり多額の、一番大きいのは百億に及ぶ重油脱硫装置のための投資をやっておりますので、その意味で公害防止のための特別措置の規定は、公害防止が非常に重要であるという見地からすれば、かなり促進的効果を果たしておるものと思っております。
  98. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まだ多くの疑問がありますが、これでこの関係の質問は終わりたいと思います。ただ、一点最後にお伺いしておきたいのは、一キロ当たり三百円のその積算基礎はどういうところから来ているのか、それを説明していただきたい。  それからもう一つは、公害防止事業団が所掌している金融措置等の利率は、私の記憶でいきますと七%だと思うんですがね。今回のこの減免措置による金利は八%程度ですね。若干高過ぎるんじゃないかと思うのですが、その辺の見解を伺わしていただきたい。  それから耐用年数は八年ということでいろいろ考えられておるようでありますが、その間にどの程度の償却といいますか、その八年間の中で整備をされる割合ですね、これはどのくらい整備をされるか。  以上三点を伺います。
  99. 上林英男

    政府委員上林英男君) 三百円のキロリットル当たりの減税の算出根拠は、脱硫装置をつくります建設関連費の二分の一というのを大体めどにいたしておるわけでございます。具体的には、減価償却費、設備費金利、特許料の償却費、特許料の金利、保険料、固定資産税、そういうようなものをはじきまして、大体間接脱硫の五万バーレル程度のものを基準にいたしまして計算をいたしまして、それに年間どの程度の重油が通るかという通油量を計算いたしましてキロリットル当たりの単価を計算いたしますと、五百九十二円ぐらいの計算が出るわけでございます。その建設関連経費の二分の一、大体三百円程度になりますが、その三百円を減税の根拠に減税するということにいたしたものでございます。  そのうちの金利でございますが、これは八%として計算をいたしております。これは開銀金利が七%程度でございましたか安うございますけれども、全部が開銀金利ではございませんので、市中金利等突きまぜて大体八%ぐらいではなかろうかというので、八%を計算の根拠にいたしたわけでございます。  なお、耐用年数八カ年と申しますのは、これは税法上の耐用年数を採用して計算をいたしたものでございます。  なお、こういう脱硫装置がどの程度になるかと申しますると、現在はたしか三十万バーレル程度でございますが、それが目標年度の四十八年には六十八万バーレルというふうになる予定でございます。
  100. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 関連して。一体、こういう公害は、姿勢として、会社が責任を負うてやるべきものか、国が負うてやるべきものかということの一つの根本的な基盤というものはどういうふうにお考えになっていますか、これが一つ。次に、もう一つ、大気汚染はわかりました。しかし、水質汚染というようなのも非常な大きな問題になっております。お聞きしておりますと、大気汚染のほうは脱硫にはたくさんにお金がかかるからとても採算が合わないから優遇しておると。そうすると、水質関係のほうでもこれに見合ったようなことをやられるのかどうか。そういうことになると、公害は国の責任で解決する、企業の責任じゃないんだと、こういうアイデアになるのかどうか。それからアメリカでは、ニクソンが、水質汚染の問題について約百億ドルの支出をすると、そういうことをやりますが、しかし、水質基準を上回ったものについては一日一万ドルという罰金を科すというわけですね。一日三百六十万円ということになると、日本の罰金関係は私は最高がどれくらいか知りませんが、ちょっとお聞きしましたら罰金の最高は五万円かなというお話がありましたが、そういうのに対して、片方では国が助成をすれば、片方では違反しておる者に対してばく大な罰金を科しているわけですね。一日一万ドルということになればたいへんな問題ですね。基準を上回ったものを出した者にそういう罰則というようなものがなければバランスはないと思う。国が公害に力を注ぐとするならば、そういう違反した人に対しては国はきびしく接していくという、そういう姿勢があるのかないのか。その二つについて伺います。
  101. 藤田正明

    政府委員藤田正明君) 最初の御質問は、公害は企業の責任でやるのかどうかということでありますが、基本的にはやはり企業の責任ではないかと思います、基本的には。しかし、これは全面的に企業の責任であるとは言い切れない議論もこれまたあるわけでありまして、その辺が多少明確でない点があるかと思います。  それから大気汚染ということに対してはこのように関心が払われておるが、水質汚染についてはどうかということでございますが、これにつきましては、水質汚濁対策費として二十二億本年度計上いたしております、予算を。なお、アメリカのそのような対策費に関しましてはなはだ少ないではないかというふうな御議論かと思いますが、確かに現状においては少ないかと思いますが、そういう大気汚染とともに水質汚染につきましても非常に関心が強く持たれてきておるという方向にはなっておると思うのであります。
  102. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 罰則はどうですか。
  103. 藤田正明

    政府委員藤田正明君) これは所管外でありますので、大蔵省として罰則をどうのこうのということをいま申し上げるということはちょっと差し控えたいと思います。
  104. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、国がめんどうを見れば、それに見合っただけのものは今度は企業が責任を感じて、そうして、それについて違反をしたような場合には、それに対してきびしく国は責任を追及する姿勢がなければならぬということが言いたいわけです。それは所管が違うからとおっしゃったけれども、それはそうだと思うが、大蔵省もあるいは通産省のほうも、金を要求する以上は、それについて基準を上回ったらどうするんだと。ただ警報を鳴らして運転を停止するぐらいがいま精一ぱいなわけです。今後そういうことについて検討する用意があるのかどうか。
  105. 藤田正明

    政府委員藤田正明君) ただいま成瀬委員がおっしゃるとおりでありまして、一九六〇年代に非常に経済が膨張してこのような大きなGNPを持つ国になったわけでありますが、あくまでもそれは量の拡大でありまして、質の面には大きな問題を残しているわけです。特に、また、いま問題になっておりますような公害問題に関しましては、やはりこれは一つの質の面に入るかと思いますが、社会的にたいへんな問題を残しているのが現況だと思います。人間性の回復が一九七〇年代の課題だと。人間の住める社会をつくるんだというふうなことが政治の課題になっているのが一九七〇年代ではないかと思うのですが、そういう意味におきましても、いままで伸びてきた産業、会社、企業が、社会的な責任という上において、このような公害の問題については基本的には持たなきゃならぬと思う、責任を。そこで、国のほうからそういうふうな助成金がつく以上は罰則があってもいいではないかという御質疑でございますが、私もそう思います。しかし、現在どのような罰則があるのか、そういう点はちょっといま不明確であります。今後そういう方向にあらねばならぬ。公害対策費というふうな助成金なり補助金というものはどんどんふえていく以上、また、ふえなきゃならぬと思いますが、ふえていく以上は、そのような何らかの規定なり罰則が必要ではないかと思います。
  106. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは、次官、いま現に罰則はあるんですよ。水質なんかはあるんですけれども、大気はどうなっているかというと、あなたも知っておられるように、一酸化炭素が全体で大きくなるとぶうっと鳴らすようなことになっちゃうとか、そのくらいの程度しかないのです。だから、個々の企業一つ一つにもっと基準というものを設けておやりになるように。ですから、私は、次官の答弁のように、一体、経済成長というものは善か悪か、善なんだから、それをとめるような公害を一生懸命やれなんと言うやつは圧力団体でけしからぬ、そっちのほうが悪いという思想なのか、それとも、経済の成長なり経済というものは絶対悪なんだと、この悪を是正するのが政治であり世論であるという、そういうアメリカの哲学というのですかね、そういうようなものに立脚してやっていくのか、そこが非常に問題点だと思うわけですよ。今度の新経済社会発展計画案ができましたですが、そういうものに対する取り組みの姿勢というものが、経済成長することが非常に善だと、それの足を引っぱるような公害のことをやかましく言ったり水質がどうだとかいうようなことを言うのが悪なんだというのじゃなくて、やはり経済成長もさることながら、人間が優先するほうが先ですよと。だから、経済成長というものは必ず悪がついている、その悪を取り除くのが政治の大眼目だという姿勢なら、私は何をか言わんやです。そこら辺のところに対して、いまいったような国からそういう補助を政治としてやられる。これはいい。よければ、それに対して片方では取り締まりがきびしくなければならぬ。だから、金は出したけれどもあとのことは知らぬじゃなくて、十分関心を持って大蔵省も通産省もやっていただきたい。こういうことです。
  107. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 物品税関係についてお伺いしてまいりますが、時間もありませんから、要点にしぼってまいりたいと思います。  本題に入る前に、若干政策的な問題になるかと存じますが、二、三の点についてお伺いしていきたいと思います。いままでの審議の中で、大蔵大臣がたびたび力説をされておると思いますが、今後直間比率間接税方面にウエートを置いていきたい、まあこういうことを言われておりますが、かりに間接税ウエートを置くとすることになれば、いろいろなことを考えるわけでしょう。新税の創設考えられるでしょうし、あるいは現行の物品税その他の洗い直しから来る非課税物品に対して課税範囲を拡大していくとか、いろいろ考えられるわけでありますが、かりに新税創設ということを考える場合には、どういうものを一体予想されますか、その辺の見解をひとつ……。
  108. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 間接税を全般的に見直そうではないかという場合に、どこに重点を置くかということでございますが、それは、率直に申し上げて、現在特にどういう点に重点を置いてというところまでは私どもはその方向をきめているわけではございませんので、むしろ大方の意見を承ってきめていきたいということでございます。ただ、大体の幾つかの柱がございますが、その中で、取引高税なり売り上げ税なり付加価値税なりというような非常に一般的な間接税を新しく設けるかどうかという問題、あるいは既存の物品税なりその他の税法体系を若干洗い直す方向で行くのか、いずれかということになりますれば、前者の付加価値税なり取引高税の問題は、過去の経緯から照らしましても、また、諸外国との税制の比較におきましても、確かに十分に検討はしてみる必要はあるけれども、直ちに明年度なり何なりに取引高税なり売り上げ税なりの考え方をとるということは非常に研究不足であり、また、全体の納税者感じとしても、納税者というか、国民感じとしても、何かまだなじまないということであろうかと思われますので、どうしてもやはり現在の個別物品対象とするところの消費税をどういうふうに洗い直していくかというところに重点が置かれることにならうかと思っております。
  109. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 審議官の答弁はきわめて事務的だと思うのですが、いままでの大蔵省の税制改正の要点というものは、明確に、中心は税制の長期答申なりそういうところに細大漏らさずいろいろな答申がなされておって、そういうものを土台にしてやってきておるわけですね。だから、私は税制の答申というものを非常に重視するわけですけれども答申の中ではこういうことを言われているんですね。間接税の問題については、今後はすべて拡大の方向でいくべきじゃないか。具体的には、間接税というものは、いま、諸外国比較においてあるいは直間比率において非常に低いから、こういう問題については、適正化ということばを使って答申は内容を作成しておるわけですが、結局、間接税の適正化をはかる。私は悪く解釈をするのでありますが、この答申が言っている適正化という問題は、租税制度につながるというふうに考えるわけです。そこで、一つ具体的に出てくる問題は、たばこのいわゆる消費税の問題じゃないか、こういうふうに考える。いまのところは専売納付金という形で一定の金額を国庫に納入されておるわけですけれども、こういうものはやっぱり財政需要の面からいま政府はどんどん拡大をしていこうというのですから、専売納付金の金額そのものを下降させるということは許されないことだと思うのですね。今後一定の割合によって国庫納付金を確保していくということになれば、当然私はたばこの消費税という問題は一つ浮かび上がってくるのではないか、こういうふうに考えるわけです。  それからもう一つは、この答申の中でやはり言われておるのでありますが、広く一般消費物品及びサービスに対する課税を行なっているそういう比重が非常に低いではないか。ですから、そういう問題に対してもっと税率を上げろという、こういうことですね、答申の精神というものは。これを受けてくると、結局、いま審議官もちょっと説明をされたように、売り上げ税あるいは付加価値税、こういうものが当然今後の間接税の拡大として浮かび上がってくる内容ではなかろうか、こういうように考えるわけですね。さらに国際の比較等を見ますると、各国においては、西ドイツにおいても、フランスにおいても、もう四十三年からこういうものは実行されておるわけでしょう。だから、日本も、いま大臣や審議官が言っておる方向でいろいろ検討し、拡大していくということであれば、こういうものは当然考えられていくのではないですか。そういう問題に対する審議官考え方といいますか、これはどういうふうに一体考えておりますか。これはもう税制の長期答申の中で明らかになっておる。従来の大蔵省の税制改正の要点というものは、それを土台にしてやってきておるんです。そうして、なおかつ、間接税についてはこういうことを具体的に指摘をされておる。それにどういうふうにこたえていくのか、その辺はどうですか。
  110. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 第一点のたばこ消費税については、昭和四十四年度の税制改正のときの税制調査会答申で、たばこ消費税制度を採用したらどうかという答申をいただいております。ただ、これは、たばこ専売制度としまして関係するところがきわめて大きいものでございますから、専売公社を中心関係方面といろいろ調整をいたしましたのですが、いまここで消費税に切りかえることについていろいろな角度から検討を要すべき点があるのじゃないかということで、昨年度は間に合わなかったわけでございます。今年度も、御答申がありました以上、当然研究しておったのでありますが、種々の事情もありまして、やはり消費税に長年の納付金制度をここで切りかえることについては踏み切りがつかないということで、少し検討さしていただくということで見送ったわけでありまして、この点については来年度の税制改正までに考えなければならないと思っております。  それから次の一般の間接税の問題でございますが、税制調査会のお考えは、四十三年七月の答申に出ております雰囲気としましては、現在の物品税をもう一ぺんよく洗い直して、そうして総合的な見地から検討し直す必要があろうということを言われております。物品税は、御案内のとおり、大体四年ないし五年に一度ずつ手直しをしておりますので、来年度はその時期かと思いますが、それと同時に、ただいま御指摘の付加価値税との関係につきましては、確かにEEC等で七一年末までに相当大幅に取り上げるという方向にいっておりますので、そういう面ではわれわれもよく勉強してみなければならぬと思います。しかし、非常になじみにくい感じでおります。もう少し国民各層付加価値税に対して理解が示されれば別でございますが、ちょっと四十六年度なりあるいは七年度なりにという近々の時点において付加価値税に移行するということは、どうもまだ準備不十分じゃないか。また、そのこととは別に物品税中心とする総合的な洗い直しをするという時期ではあるまいかと思っております。
  111. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 具体的に答申の内容についてお伺いをしたいんですが、たとえば物品税が一部の高級消費財に課税されていないことについて物品間の負担の不均衡あるいは不公平感がある、こういうことを答申では指摘をしているわけですね。それからさらに、かつて課税が廃止された物品あるいは新規の物品課税対象に入れる等々の検討を行ないなさいということになっておるんですが、いままで事務当局としてはこういう答申の内容にどう検討なされてきておるのか、これが第一。  もう一つは、国際的にEEC諸国が付加価値税を七〇年の一月一日に発足しておるわけです。そういうことで、共通付加価値税を実施するということをきめておるわけですね。その内容について、具体的にフランス、西ドイツの場合に一体どういうふうになっているのか。税のかけ方、そういう問題について内容がおわかりであればお聞かせを願いたい。  以上二点です。
  112. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) まず、第一の点にお答えいたしますが、物品税課税範囲をもう一ぺん洗い直すことを考えなさい、かつて課税廃止された物品及び新規の物品考えなさい、こういう指摘を税制調査会から受けておることは事実でございます。しかし、実は、率直に申し上げて、四十三年七月に答申をいただきまして今日までに、さほどこの点に重点を置いた検討を行なっていないということは事実でございます。と申しますのは、実は、四十三年の七月の答申の最大重点事項は、所得税中心とする減税、特にいわゆる課税最低限の引き上げということがこの答申全体の中での最大重点事項でございましたので、それを四十四年度と四十五年度において実現さしていただくということに最大の重点が置かれましたものですから、物品税のほうについては、いわばあと回しといいますか、そういう感じで、あまり重点を置いて今日まで来ていないわけでございます。物品税につきましては、一たん触れるということになりますと、非常に品目の数が現在でも多いものでございますから、それぞれの課税対象をどうするかということのほかに、非課税範囲をどうしようとか、免税点をどうしようとかということになりますと、一品一品ごとにずっといろいろ検討しなければなりません関係上、従来から何年かおきに重点的にそこへ力を入れて勉強して案をつくって御提案申し上げるということを繰り返してきております。そこで、前回は三十七年、四十一年とやってまいりましたので、ほんとうをいいますと、それから四年たっておりますから、そろそろ時期に来ているということも言われておったのでございますが、ことしは、率直なところ、とても手が回りませんで、この点に触れられなかったということでございます。  付加価値税については、恐縮ですが、税制二課長に答えさせます。
  113. 田辺昇

    説明員(田辺昇君) 各国の税制のこまかい点に若干触れられておるお話でございますので、私、かわりまして簡単に答弁を申し上げます。  ただいまお話しのEEC付加価値税は、統一的なものにするようという指令が出ておりまして、現段階では一九七一年一月一日までにということで話が進んでおりますが、最近の導入状況は、西ドイツ、フランス、オランダ、ベルギーなどが導入いたしましたが、最近のヨーロッパを取り巻きます特にインフレ傾向の問題がございまして、イタリアなどにつきましては、その時期までの導入は問題であるということで、引き延ばしの要請が出ているような現状でございます。具体的には、フランスが一九六八年に新しい付加価値税を導入しまして、西ドイツも同じ時期でございます。それからオランダが六九年で、一年おくれております。EECを取り巻きますその他の北欧諸国などにつきましても、やはり六九年前後から徐々に導入されているようなかっこうになっております。税率は、基本税率をもとにいたしまして、上下加重軽減税率を、その税率も七四年ぐらいまでには統一するという方向であります。課税対象は、わが国の物品税と違いまして、たいへん幅広く対象に入れられておりまして、生活必需品と思われますバター、チーズ、マーガリン、水まで課税対象にされているところがわが国の間接税とだいぶ違う点ではないかと思います。
  114. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 高木審議官がただいまおっしゃられました答申に、「一部の高級消費財」と、こういうことで指摘されておりますが、具体的に一部の高級消費財というものはどういうものをさして答申されていると思うか、この点が一つ。  それからもう一つは、EEC諸国で、ことにフランス、西ドイツについて税率がそれぞれ違うのでありまするけれども、違う内容について、いまお答えがあったように、七二年ごろまでに税率の統一をはかろうということなんですが、結果的にフランスの税金の取り方はどういうことでやっておりますか、具体的な実施内容について少し詳しく説明していただけませんか。
  115. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) いまの一部の高級消費財のほうだけ私から申し上げますと、具体的に一つの例としては、車につけますカーステレオ、それから家庭で使っております電子レンジというものがございますが、こういったものがあるじゃないかというような御議論委員会の席で委員の方々から出ました。そして、そういったものはどうなんだと、従来の奢侈品などの範囲からいえば入るのじゃないかということが委員会で議論に出ましたことが頭にあってこういう文言になったことと思います。なお、別途、高級織物の問題が、先生よく御承知のとおり、過去三回案を提案をいたしましたけれども、結局審議未了になって今日に至っているわけでございますが、その問題も、織物消費税というような形ではなくて、物品税の中に入れてみたらどうかということも話題になったということでございます。それを頭に置いて、文言としては、こういう「一部の高級消費財」というようなことで出たわけでございます。  いまのEECの点は、続いて二課長から説明させます。
  116. 田辺昇

    説明員(田辺昇君) それでは、フランスの例をとりまして簡単に御説明申し上げますが、いまヨーロッパを中心にいたしまして議論されております付加価値税創設の国は、まさにフランスでございます。ところが、そのフランスは、初めから付加価値税という形をとったわけじゃございませんで、第一次世界大戦の戦費調達のために、最初は一九一七年にだいぶ古い話でございますが印紙税、この範囲を徐々に拡大いたしまして、それから税率も引き上げてまいった、それが現在の新しい付加価値税——一九六八年に施行いたしました付加価値税制につながっております。現在の付加価値税制は、標準税率は二三%という非常に高いものであります。で、全取引の段階につきまして付加価値税がかかります。納税者は非常に数の多いことになります。ただし、前段階の全取引段階で課税されました税額は控除されます。これが付加価値税の大きな特色であろうかと思います。税率は、先ほど申し上げましたように、基本税率、標準税率を基礎にいたしまして、軽減と割り増しという三本立てになっておりまして、軽減税率は、基礎的な食料品、肥料、書籍、燃料などにかかります。これは一七・六%という端数のついた税率が沿革的に残されております。それから割り増しのほうは、自動車、毛皮、ラジオ、テレビ、貴金属、これは三三・三分の一%ということでございます。——ちょっと失礼しました。軽減税率は一七・六のほかに、もう一つ七・五という軽減税率がございまして、食料品などが七・五、書籍などが一七・六でございます。その軽減税率の中に、エビアンの水とかバターとかパンとか牛乳などが入っておるということでございます。大体、そのような内容になっております。
  117. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 結局、前段の問題については、多年何回か問題になってきたのは、何といっても高級織物ですね。こういうものは答申からも具体的に指摘をされ、論議の中でそういう意見が出され、大蔵省もそういうものを十分理解をしておる。そういうことになって、間接税割合を十分重点に今後総ざらいをしてみよう、こういうことでありますから、当然高級織物をやるとすれば、かつて問題になったように、これは売り上げ税というようなかっこうになってきはしないか、こういう心配を実は持つわけなんですが、その辺の検討の経過と今後の見通しについて、どういうように一体判断されているのか、具体的にお示しを願いたい。  それから後段の問題につきましては、確かに、いま説明がありましたように、計算方法としては、総売り上げ高に対して税率をかける。いま二三%と言われましたが、私は二〇%と記憶しているんですが、二三%というのは年度別でいつになっていますか、最近ですか、これはあとで教えていただきたいと思います。そういう税額から、原材料分とか、あるいはサービスの購入価格であるとか、あるいは資産価格、こういうものの控除体制というものは認められておるわけですね。それで、一応この控除計算をして、結局、この粗利益ですね、あら利益、これに対してかけていくというんですから、言ってみれば、日本のいまの税制に適用していくなら、所得税売り上げ税——私は売り上げ税に近いと思うんですがね、そういうかっこうになっていかざるを得ないんじゃないか。フランスの場合に、いまその歴史的な経過も説明されたようでありますが、印紙税収入として当初設置をされ、途中で売り上げ税に切りかえられて、そして今回付加価値税に切りかえられた、こういう歴史的な経過があるんですね。そういうことで、EECで先進諸国だといわれるそういう関係国の税態様というものを検討して、日本が今後間接税総体を洗い直すということであれば、売り上げ税もしくは付加価値税というものは当然浮かび上がってくるのではないか、こういうふうにわれわれは予想するのであります。だから、第二の問題として、そういう問題についての見通しはいかがでしょうか。
  118. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 先ほどもちょっとお答えいたしましたが、間接税にもう少しウエートを置いたらどうかという考え方は、最近十年間に直接税のウエートが一〇%上がり、間接税ウエートが一〇%下がったと。それは所得税中心とする直接税が弾力性が大きいからだという現状を踏まえまして、この勢いで直接税の負担がふえていったんではぐあいが悪かろうということで、所得税を補完する制度としての間接税にもう少し目を向けていったらどうかという考え方でございますので、ここで根本的に税制をひっくり返して間接税にうんとウエートを置いていくということではありません。あくまで、これ以上直接税のウエートが高まっていったら少し行き過ぎになりゃしないか。まあ現在の六五%が直接税というところぐらいがほぼ限界であって、これ以上直接税がふえては困るのではないかという考え方でございますので、いろいろ間接税議論をいたしましても、一挙にこの間接税ウエートと直接税のウエートをひっくり返すというようなことはいまあまり日程に上がっておりませんので、物品税の問題をいろいろ議論いたしましても、それが直ちにEEC諸国にあります付加価値税制度のようなものにつながっていくというほどのいわば基本的な構速改革という税制度の改革ということではありませんので、その点は御了解いただきたいと思います。  それから高級織物のことでございますが、これは確かに間接税と直接税の関係をどうするかというふうな問題でなしに、物品税の中の体系の問題として問題になっていることは事実でございまして、過去においてしばしば御提案しましたけれどもうまくいかなかったということがあるにもせよ、今後とも引き続いてもう一ぺん考え直してみなければならぬと思っておりますが、なぜ高級織物に課税がむずかしいかと申しますと、一つは、高級品ほど芸術品であるという関係がございます。この芸術品というのが、一、二の著名な芸術家がおつくりになる絵とか彫刻とかいうものと違いまして、非常に伝統的なものであり、しかも、農家の方が農閑期に織るというようなものでありますので、非常に高級で高いものほど大ぜいの人の手がかかっており、しかも、それが中小の企業者である。したがって、課税技術上把握が非常にむずかしいということがあるわけであります。大体は家内工業でありますということもありまして、今日まで何回か議論しながらそのままになってきておるわけであります。したがいまして、今後とも、高級織物についての検討はいたしますが、そういう家内工業的なものであるということ、しかも、もしその家内工業的なものをのけてしまいますと、今度はむしろ値段の高いものが課税対象から抜けていってしまうということになりますので、なかなか実際問題としてうまくいかないということで、たいへん頭を痛めているということでございます。
  119. 田辺昇

    説明員(田辺昇君) ただいまフランスの付加価値税税率で二〇%と二三%の違いを御指摘されました点は、実は、従来までは一九%でございましたけれども、これは税込みの価格を基準とした税率でございました。最近、EECの中の税率の統合の動きが近くなってまいりましたので、ほかの国と同様に、税抜き価格に対する割合とし、その際、小数点以下の端数を処理いたしまして二三%としたということでございます。  それから付加価値税の問題は、物品税制との問題でいろいろと御議論がございますが、いまヨーロッパを中心として議論されておりますのは、そういう増徴という、税額の増収を期待するという問題もさることながら、主として国際間の貿易関係でこのような間接税が国境において調整を認められるいわゆるボーダータックスアジャストメントという問題がございまして、これがOECDなりガットの場におきましていろいろと検討され、そのような検討のいろいろなはね返りとして、EECの外にあります北欧諸国、さらにアメリカなりイギリスにおいて同じような統一的な付加価値税制に対する反応があるというのが現状ではないかと思います。
  120. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 大臣もおりませんから、方向等については省いてまいりますが、結局、いまの説明でもおわかりのように、付加価値税というものは、非常に冷酷な大衆課税じゃないかというふうな考えを持つのですがね。そういう点の見解を一つお伺いしたい。  それからもう一つは、これは、いまの日本経済情勢全般を考えまして、非常に財政収入の要請というものが強く、ことに税制面で出てきておるわけですね。それが増税政策となってきているわけですが、大蔵省からの成瀬理事の要請に基づかれた資料をずっと見ましても、たとえば個人の一人当たり負担割合、こういうものを見ても、昨年度は七万何がしに対して、今年度は九万何がし。所得も上がったとおっしゃるでありましょうが、とにかく年々増徴政策をとられていることは間違いないですね。こういうことから推して、やはり景気調整いわば需要抑制ということの最大効果は、何といっても増税政策にあることは間違いない。これは過去の歴史からいってもそうだと思うんですね。そういうことにいま日本の税態様全体が大きく動きつつあることは間違いない。そういう意味合いからいっても、たばこ消費税であるとか、売り上げ税であるとか、付加価値税であるとか、こういう問題の導入は避けられない空気になっているんじゃないかと思うんですが、その見通しは一体どうですか、事務当局としての見解でけっこうです。
  121. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 付加価値税制度をとります場合のアプローチの仕方として、いまは間接税との関係で御議論がございますが、付加価値税は一方は法人税あるいは所得税との関係議論もされておるわけでありまして、付加価値税の高いところは、当然所得税なり法人税のほうが低くなってまいります。そこで、間接税の問題としての問題のほかに、直接税との関係において付加価値税をながめて見ますと、法人税所得税は所得のあるところにのみ課税が行なわれる。つまり、赤字であれば課税が行なわれないわけでございますが、付加価値税の形態をとりますと、赤字のところにも課税になってしまうというので、まさに、おっしゃるように、冷酷ということばを使われましたが、そういうようなことが出てくるわけでございます。そこで、付加価値税というのは、単に間接税体系の一環としてのみ単純に考えられませんで、直接税の体系そのものを変えていくことになってまいりますので、そういう意味で、簡単には取りつけないという感じがするわけでありまして、その点は、先ほど私がお答え申し上げましたように、少なくとも来年度、再来年度付加価値税に取り組んでいくということはとてもむずかしいということを申し上げましたのも、そういう意味を背景にしてのことでございます。  それから一人当たりの税負担額がだんだんふえていくではないかということは、ただいま御質問の間にもコメントをつけられましたように、国民所得が上がってまいりますれば、だんだん家計が相対的ではありまするが豊かになってまいりますれば、やはり税負担が上がってもある程度やむを得ないのではないか。特に、わが国の場合は、いわゆる蓄積がない。道路、住宅等にもあらわれておりますように、総生産はたいへん上がってまいりましたが、蓄積が非常に不足している。その蓄積は、個人の蓄積も不足しているが、社会的蓄積も不足しているということでございますので、十兆三千五百億円の道路計画であるとかあるいは新幹線網の計画であるとかというお話が次々と出てくる現状からいたしますと、やはりそのような要請にはある程度こたえていかなければならぬのではないか。いま新経済社会発展計画考えられておりますのも、そう大きな負担率の上がりではなくて、まあ二%というようなことで考えられておるわけでありますが、大体の方向としては、やはり国民所得の中におけるところの負担率割合は、急激なものであってはいけないと思いますが、少しずつ上がることはやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  122. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 これで本題に関係のないものは終わりたいと思いますが、いま法人税とのかね合いの問題、こういうことでありますが、今回の税制改正に関して法人税率の引き上げを大蔵省としてはやったわけですが、努力は認めますけれども、しかし、内容としては全く不備なものですね。こういうものが成功しなかった最大の原因は、やっぱり利子、配当の支払いに対する権衡上の問題が原因じゃないかと考えるわけです。そういうものを解消していくということになると、どういう動きかそれはわかりませんが、われわれが聞いている範囲では、今後付加価値税ということにしていけば、全体の税の総組み入れの中で法人税率がきまってくる、そういう利子、配当の支払いの問題についてはもう一挙に権衡問題の解決がつくと。しかし、いま御指摘になったように、そういう結果、中小企業とか赤字企業に対しては、全く過酷な税金を課していくことになるわけですね。まさしくそういう冷酷な税制ということを言わざるを得ないのであります。はたしてどういうふうに解決する方向を見出していくのか、私はその辺に今回の法人税率の改正の目的を達成し得なかった理由があるのじゃないかと思いますが、その一点についてお答えをいただきたい。
  123. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 非常に広範な御質問でございますが、法人税率の引き上げは、これは過去において三八%から三五%に下がってまいりました経緯も頭に置きまして、いまの経済の調子がたいへんよろしく、かつ法人の所得が非常に大きく伸びておりますということを考えまして税率の引き上げが行なわれたわけでありまして、いま御指摘がありましたような、将来の付加価値税制度へもし移行することありとせばそれとの関連においてということでの御質問がありましたが、そこは全く切り離して考えているわけでございまして、そういう意味では付加価値税の問題というのは私どもの頭の中にはほとんどないと申し上げたほうがよろしいかと思うのであります。  それから利子、配当の問題につきましては、これはむしろ単純に所得税負担の公平という見地からだけの問題でございまして、これもまた付加価値税の制度ということとは実は私どもの頭の中では結びつけて考えているわけではないわけでございます。  なお、ただいまの御質問に関連しまして、おそらく法人税の仕組みの問題——例の実在説であるとか擬制説であるとかという仕組みの問題との関連であるいは御疑問をお持ちかと思いますけれども、この点につきましてはやはり非常にむずかしい問題でございまして、先ほど御指摘がありました長期見通しの中においても、非常にむずかしい問題だからもう少し検討を続けようということになっておるわけでありまして、いずれの問題をとりましても、付加価値税の問題とはいずれも別個の問題として考えておりますことを申し上げておきたいと思います。
  124. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それで、具体的な改正の内容について若干質問するわけですが、この八品目の内容というものは、結果的には、現行の暫定税率というもので非課税範囲のものを、四十五年度は五%にふやし、四十六年度は一〇%にふやして、四十七年度以降は本則どおりにしていくということですね。言ってみれば増税体制だと思うんです。そこで、先ほどうち松井委員も質問されておったのでありますが、この提案理由の目的は、いわば、八品目につき、暫定的に非課税税率軽減等の措置を講じてきたが、このうちパッケージ型ルームクーラー、ステレオ式の拡声用増幅機等は、すでにその目的を達成したものと認められると。言ってみれば、いまのカラーテレビなんというものも、この普及率というものは大体目的を達した。それは、われわれが国会の国政調査でそれぞれの会社に行ってみても、そういう企業の体制というものをいま進めている。たとえば、こういう高成長を持続させておる中心産業の電機メーカーといったものは、大体二年後ぐらいになったらおそらく変換期が来るだろう、そういうことを想定して会社の経営システムなりというものを全部切りかえておる。こういうことを考えてみますと、確かに、指摘されているように、そういう部面に与える恩典というものはほぼ見切りをつける段階だろうという考えだろうと思うんです。では、一体、今後そういう高成長をささえる中心産業はどういうものを考えるか。四十五年度の予算ですと、それは、資源開発であるとか、情報化問題、こういう産業に国の財政投資の中心というものを置かれつつあるわけですね。だから、今回のこの八品目というようなものは、そういう方向で将来増税体制に移行しますね。ということは、どう言うんでしょう、需要部面において相当減少する、あるいは拡大する、こういうふうな見通しの問題としてどんなふうに考えられているのか。中心産業とその他の産業、それから消費部面、こういうものの調整といいますかバランスといいますか、そういう問題についてどういうふうに考えられておるのか。いずれにしても、これは増税対策ですから、四十五年ないし四十六年、七年と、それぞれ税率が高まっていく、このことによって結果的に相当増収というものを考えておるのか、あるいは、それほど増収はされませんと、こういうふうに考えているのか、その辺はどういうふうな見解でありますか。
  125. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) この暫定税率という制度は、そもそも新しくこういう品物を物品税課税対象品目にしましょうということを一応まずきめまして、そうすると、原則は本則のほうできまっておりますように、製造課税であれば二〇%なり一五%なりになります。ところが、課税することにはなりましたが、その品物はまだ生産量が非常に少ない、価格も生産量が少ないし技術がおくれておるがゆえに比較的高い、それでは何年間かは非課税にしましょうとか、あるいは税率を低くしておきましょうという制度でございますので、まあ言ってみれば増税には間違いございませんが、本則に戻るということでございますので、ほかの品目とのバランスからいいましていつまでもそういう恩典といいますか特例を残しておくのはまずいということから出てきておるわけでございまして、新しく新規物品物品税対象に取り上げます場合とは違いまして、必ずしもいわゆる増税というものとはやや趣は違うものではないかと思っております。  それからこれによってどのくらい増収になるかという御質問でございますが、その点は、これらの八品目によりまして平年度で約八十億税収がふえることになります。将来の方向として、いま盛んに財政投融資その他で重点事項であるところの情報化産業あるいはその他のものがだんだん重点が置かれているが、そういう産業についての生産品について物品税がどんなことになりそうかというお尋ねに対しましては、現在の物品税のものの考え方は、奢侈品的なものであるとか、嗜好品的なものであるとか、便益品的なものが、その背後にあります担税力を予想されるであろうということから課税対象になっておるということでございまして、一方、最近重点産業というか国の産業政策としてウエートが置かれております情報化産業等の問題は、これは、どっちかと言いますと、いわば事業用、営業用の品物の問題でありますので、比較物品税になじみにくい問題であるということから考えますと、最近特に産業政策上重点が置かれておりますそういう分野の中からいま直ちに物品税対象物品になりそうなものが生産されてくるということにはならないのではないか。したがって、直接の関係はないのではないかと思っております。
  126. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まあ暫定措置ですから、改正の時期というものはあるわけですけれども、再々言っているように、間接税全般、物品税、そういったものを総体的に総ざらい点検していく、こういう趨勢ですね。だから、今回改正をした趣旨というものは先ほど指摘をされたとおりでありますが、これを見送ってそのまま現行どおりで暫定措置として延長措置をとって、大蔵大臣も四十六年度に向けては総点検をしますと、こう言っているのですから、総体的な物品税検討をされる中でこういうものが処理されてもいいんじゃないかと思うんですがね。今回あえて八品目についてこういう措置をとったということは、その全体の作業部面からいけばちょっと部分的なものとしてやられているので、抜本的に検討するとすればそういう作業に譲ってもいいんじゃないか、こういうように考えるわけですが、その辺の見解はどうですか。  それからもう一つは、同じように、成瀬理事の要求によって出された資料の中で、第一種の物品のあれですね、貴石、真珠、真珠製品、あるいは貴金属、こういうものについて二〇%課税と実はなっているわけですね。税額について四十三年度で八十六億三百万円程度でありますかね。こういった税率は、いわば奢侈品としてもう少し上げてもいいんじゃないかというふうに考えますが、こういう問題についてどういうふうにお考えになっているか。たとえば嗜好品であるたばこなどは、たばこの銘柄によっては五八%も税金をかけられているわけですね。こういった問題も、私は、特定のいわば相当裕福な人が大体こういうものをお買いになるという傾向だろうと思うんですね。だから、こういう問題も見のがし得ない問題でありますから、抜本的に検討されるときには当然相当検討されてしかるべきじゃないだろうかというふうに考えるんですけれども、この辺の見解はどうですか。
  127. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 八品目につきましての暫定措置について、今回法案を提出いたしましたことと物品税全体の見直しの関係と申しますのは、本来、物品税は、御指摘のように、全体として見直しの時期に来ていることは事実でございます。本年度も場合によってはということを考えないではございませんでしたけれども所得税法人税、利子配当等のほうで率直に申し上げて手がまわらなくなりまして、物品税はどうしてもことしはできなかったということでございます。ところが、暫定措置の八品目のほうは、本則のほうで課税をするということがきまっており、そしてしばらく軽減をしましょうということもきまっておって、その期限がこの三月三十一日に切れますので、ほうっておきますと本則税率に戻って一ぺんに高くなりますから、それは従来の経緯に照らしましても問題であろうと。確かに、いままでとは違って、非課税にしておく必要はなかろう、順次物品税課税してよかろうということではあるけれども、そうだからといって一ぺんに本則税率に戻るのはいかがなものであるかということで、本則のほうできまっておりますからあと送りができませんので今回御審議をお願いするということになったのでございまして、全体の見直しとは別の問題として理解をしていただきたいと思います。  それから見直しの際の問題として、税率がアンバランスではないか、貴石等につきまして小売り物品で二割であるということは、その奢侈的性格から言えば非常に低いのではないかと、たばこ等からの御指摘がございましたが、まさにそのとおりでございます。ただ、二割になっておりますのは、実は、物品税の中で貴石というのは一番把握の点で問題がございます。いわゆるもぐりと申しますか、俗なことばでかばん屋さんというのがありまして、それがかばんの中に宝石を入れて家庭を訪問してそれを売って歩くという行商の形の販売をとっておられる方が、つまり一人でやっておられるわけですから、数としては非常に多いわけでございまして、お店に宝石を並べて売っておられる方よりも、業者の人数としては圧倒的にかばん屋さんの数が多いわけであります。そこで、そういう場合に、小売り課税でございますので、その税率が高くなってまいりますと、いろいろな形での脱漏、たとえばまるっぽ脱漏という場合もありますし、その価格を申告する場合に半分だけ申告するという形をとっておる脱漏もありますし、そういう意味での問題がございまして、品物の性格上はもう少し税率が高くてもしかるべきだということは私どももそう思っておりますが、高くすると今度はいわば把握率がひどく下がってくるということとの関係上、いまのところこの辺のところに落ちついておるということでございます。ただし、御指摘がありましたように、来年検討する場合には十分検討いたしたいと思います。
  128. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 最後に一点だけですけれども、この物品税の暫定軽減措置をずっと見ますると、たとえばカラーの大型、中、小型と、これが本則では二〇、一五となっているわけですが、四十五年度は五、五、四十六年度は一〇、一〇、あと本則税率に四十七年度入る、こういうことですね。ところが、白黒の大型、中型、小型というクラスになりますると、本則は二〇であって、五、一〇、本則税率、こういう順序で移行させて若干品目の内容についてその復元率が違うようなところがあるわけですね。どういうことを土台にしてそういうものは今回税率の設定にいったのか。たとえば、区域調整、ないしは消費需要の抑制とか、あるいは消費拡大とか、こういう問題が基本になって税率負担の割当をあれされたんだと思うのですが、その辺の見解はどうですか。
  129. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) まず、トランジスターテレビにつきましては、二十一型以上のものは基本税率が二〇%になっておりまして、中型、小型は一五になっております。その中で、小型の十二型以下、小型というのは十二型以下でございますが、十二型以下の白黒のトランジスターテレビにつきましては、現在と申しますか、これまでも五%の課税が行なわれておったわけでございますが、この理由は、同じくトランジスターでございましても、技術開発の段階から申しまして、白黒用のものは比較的早く開発をされましてコストが下がってきましたので、先に本則税率にまでは下がりませんものの、暫定税率ではありますが、五%課税をされてきたわけでございます。それに対して、カラーのほうは、同じトランジスターでございましても、何か技術的に非常にむずかしいことがございまして、トランジスター部分の価格が高いということで、カラーのほうは全体として、まだ本則税率も暫定税率も設けないで、非課税のまま来ている。だから、白黒のほうでも、大型と中型のものにつきましては、これはその中間的な性格のものでございますが、カラーの分と同じ扱いになっていると、こういうことでございまして、それから先今度から課税対象に取り上げますにつきましては、暫定的に階段を登るように五%ずつ上げていく。ただ、一〇から一五に上がる場合と、一〇から二〇に上がる場合、いずれも、本則税率が二〇のものについては、最後のところは、五%刻みでなしに、一挙に本則税率へ持っていって、カラーにつきましても白黒につきましても、大型であると小型であるとを問わず、昭和四十七年度には全部本則税率になると、こういう形にしましたので、部分的に、五%刻みでなしに、一〇%から二〇%に飛ぶようになったわけでございます。
  130. 藤田正明

    政府委員藤田正明君) 戸田委員からいろいろ御質疑があったわけでございますが、増税というふうなおことばがあったわけですけれども、確かに増税になると思います。しかし、それもいたし方のないことであると思います。御存じのとおりでありまして、財政需要と申しますか、社会資本充実がいま非常に要望されているわけであります。特に、産業基盤よりも、これもさることながら、生活基盤の社会資本の充実が要望されている昨今ではないかと思います。社会保障もさることながら、また、義務教育の点においてもさようなことだと思います。そこで、直接税特に所得税中心にして減税をするということを大蔵大臣もしばしば言明しておるわけでございますが、このような旺盛な財政需要の中におきましてしからばどこから税を生み出すか、財政需要にどうやってこたえるかということでございまして、その点におきましては、何らかの形において増税ということが必要になってくるわけであります。その間におきまして、国民重税感を持たさないとか、あるいは不平等なことであってはいけない、担税力のあるところから取るのだというふうな原則がございますが、この際は、ウエート間接税は非常に低いわけでありますから、これをそのままほっておけばますます低くなるわけでございます。間接税につきましては、大いにひとつ検討しようじゃないかというのが現在の姿でありますし、これを税制調査会にかけて大いに審議してもらう。特に、間接税物品税の問題でありますが、物品税につきましても、社会の消費態様も変わっておりますし、昨日までの奢侈品とかいわれたものが、昨今は、大量消費と、あるいは消費の平準化というふうなことになってまいっております。実際が非常に激しく動いているのが昨今の現状ではないかと思います。それらに対応するような物品税をやはり考えなければならぬ。決して物品税が小さくなるとか品目が下がるということではないと思います。しかし、この品目が拡大されていくために、すぐに売り上げ税なり付加価値税につながるというふうには考えておらないわけでございます。申し上げましたように、付加価値税というものはいろいろな問題がございます。付加価値税云々というよりも、間接税の直接税を補完するという基本的な原則をもって間接税をどうやろうかというのが現在の問題点ではないかと思います。先ほど成瀬委員からも申されて、経済の発展が悪なのか善なのかということもございますが、政治にしろ、経済にしろ、教育にしろ、住みいい社会、健全な社会を育成するということが、最終目標なのでありますから、すべてそういう面に向かって、経済がそれをそこなうような姿で発展するならば、これは悪とも言えますし、ブレーキをかけなければならぬと思います。そのような基本的な考えからこういうふうな税制もやはり考えていかなきゃならぬのじゃないか、かように思っております。
  131. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 午後二時三十分再開することといたしまして、休憩いたします。    午後一時三十六分休憩      —————・—————    午後二時四十四分開会
  132. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員を再会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、津島文治君、今春聴君及び青木一男君委員を辞任され、その補欠として玉置猛夫君、増田盛君及び長屋茂君が選任されました。     —————————————
  133. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 休憩前に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  134. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私、重ねて申し上げる必要はないんですけれども、いま委員長の言われたとおりひとつお願いします。  まず、最初に、新経済社会発展計画の中で制度金融あるいは政策金融について触れている点があるわけなんです。それで、かなり抽象的ですから、これについて具体的に御答弁願いたいと思うんです。まず、九〇ページですね、「金融・資本市場の整備とともに、その合理的な市場機構が機能する分野をできるだけ拡大することを主眼に、各種の制度金融、政策金融のあり方につき、長期的総合的な視野にたって再検討する。」と、こういう文章があるわけですね。それからもう一つ、かなりそれよりは詳細に九三ページでこう述べておりますね。「金利の資金配分機能を高めるためには各種の制度金融、政策金融の再検討が重要である。経済の一部には、金利の資金配分機能にのみ委ねておいては、国民経済的見地からみてとくに緊要度が高いにもかかわらず、所要の資金を十分に調達しえない分野がある。このため、輸出、農林漁業、中小企業などの分野に対し、政府関係金融機関等を通じて金利の優遇や資金の確保のための制度金融、政策金融が行なわれており、今後とも必要な分野については必要に応じその充実に努める。しかし、このような制度金融、政策金融については、金融・資本市場の合理的な市場機構が機能する分野をできるだけ拡大するという見地にたち、情勢の変化に照らしつつ、その必要性の有無や程度等について再検討し、つねにその改善をはかる。この点とくに日本銀行による輸出金融制度の硬直化した現状については、国際収支や内外金融の動向等に照らし再検討することが望ましい。」と、こう述べておるのです。この輸出金融については、もうすでに具体的に手が打たれたわけですね。ところが、制度金融、政策金融については、ここでかなり抽象的に述べているにすぎないわけですから、もう少し具体的にこれについて内容を明らかにしていただきたい。それから来年度あたり国会にこれに関する何か法案なりそういうものをお出しになるのかどうか、この点について伺いたい。
  135. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) 簡潔に申し上げますと、まず、金利機能の活用をはかるということは、主として民間部門におきましてできるだけ金利機能の活用をはかって、各種の金融機関相互の間でまたそれぞれの市場におきまして、資金需給の実勢に応じた金の動きが出てくるということを当面のねらいといたしております。そうして、できるだけその分野を広げてまいりまして、それによりまして、現在たとえば政府関係で特利であるとかそういう特殊の金利を適用しております分野はできるだけ縮めてまいる。そうして、その民間の自由なる金利機能の働く分野に卒業生をどんどん送り出してまいると同時に、新しい経済体制に即応しまして新しい特別の金利を適用しなければならない分野も片方に出てまいりますので、そういうものについては新入生として入れていくことにやぶさかでないという趣旨でございます。そのうち、たとえばとりあえず卒業生として送り出すべきものは、輸出金融というようなものはただいままでの外貨蓄積の状況等からいってこれはもうなるたけ普通の金利のほうに送り出してまいるということでそれが行なわれたことはただいま御指摘のとおりでございますが、次に何をしからば特利のほうからはずして一般の金利機能——プライスメカニズムの金の流れの中に送り出すかということにつきましては、当面これという事項はただいまはございません。しかし、絶えずそういう観点で研究いたしまして、これはもう普通の民間の自由なる金利機能の活用にゆだねるべきであるというものが出てまいりますれば、すみやかにそちらに移すということであろうかと存じます。
  136. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この新経済社会発展計画では、各種の制度金融、政策金融の再検討が重要であると。再検討するわけですから、これまでなぜ再検討しなければならぬかという事情があるわけですね。いま輸出金融だけ一つとらえたのですけれども、ほかにもあると思うのです。それからこれは私の意見ですけれども、最近のように国際収支の黒字がどんどんふえてまいりますと、そういう点では、金利機能とか、金融による景気調整的な機能、そういうものが弱まってくるのじゃないかという気がする。したがって、今度は、直接的ないろいろな調整とかそういうものが、たとえば日銀なら窓口規制とかそれからオペレーションとか、何かそういう金利機能のいわゆるプライスメカニズムではどうも十分な影響を及ぼし得ない状況が出てくるんじゃないか。そういうこととにらみ合わしてやはり考えていかなければならぬと思います。だから、特になぜ新経済社会発展計画で各種の制度金融や政策金融の再検討の必要をここで強調されるのか。二カ所にわたって述べられているのです。そのバックグラウンドですね、こういうことが強調されるについては、そういうことを必要とする事情があるわけですから、それを明らかにしていただかないと納得いかない。これじゃもう非常に抽象的で、さっきのお話では輸出金融だけが具体的でございますから、もう少し具体的に。それから今後の長期的見通しに立ってどういう段取りでやっていくのか、この点を伺いたいと思います。
  137. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) いままでの経済社会発展計画と新経済社会発展計画との間の一番大きな相違点は、二つあろうかと存じます。一つは、経済の効率化について国際的な視点をとらえると、国際的な視点ということばが今回は入ってまいりました。それからもう一つは、経済成長のテンポを適正なものにする。そして、そのための発展基盤を培養するということ。この二つがいままでの計画とのおもな相違点であろうかと存じます。  そこで、その二つにつきまして、まず、国際化ということを控えましては、やはり、制度金融、政策金融、それら全体を考える、そして新しくするということによりまして、金融体質ひいては経済体質全般を強化いたしまして、これで国際化時代の荒波を乗り切るというつながりからそのような制度金融、政策金融ということがうたわれておる。それからまた、経済成長のテンポを適正にして発展基盤を培養するということにつきましても、特に最近の都市公害の問題、そのほか流通の問題、そういう問題を踏まえましてやはり制度金融、政策金融を考えてまいらねばならない。  さらに、具体的に申し上げますれば、まず、国際化という観点から申しますと、たとえば開銀の場合で申しますと、国産技術の振興、これが非常に力を入れられております。それから産業体制の整備でございます。それからまた、流通の近代化、卸センター、倉庫と、これが国際化に対応する点でございます。それから第二点の経済発展基盤という問題に対応いたしまするものは、大都市の再開発、私鉄、駐車場、流通センター、産業公害の防止、それから原子力の開発利用、これらがすべて経済発展基盤に連なる問題でございます。それらすべてを総合いたしまして新しい情勢に対応してまいろう、こういう考え方が具体的にはあろうと存じます。
  138. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体まあ方向はわかってまいりました。そこで、政策金融あるいは制度金融の中で開銀の占める地位というものは相当高いわけですよね。いただいた「財投対象政府関係機関等融資残高」という資料、これを見ますと、四十四年十二月末で、開銀がざっと一兆五千六百億、その次に輸出入銀行が一兆二千四百七十億、まあトップですよね。こういう点から見ても、開銀は制度金融ないし政策金融の中で比重が大きいわけですよ。そこで、これは毎年開発銀行融資の運用基本方針というものを閣議できめられるようですね、開銀からいただいた資料なんですけれどもね。これまでは、経済社会発展計画——前の発展計画ですね。新しく最近出た発展計画じゃない、その前の発展計画、四十二年度から四十六年度、この期間を計画期間としている発展計画、これをもとにして運用基本方針というものを閣議決定しているんですね。ところが、さっき質問しましたように、新しい経済社会発展計画が出てまいりまして、その中で私がさっき引用しましたような制度金融、政策金融についての方向が打ち出されているわけですよ、再検討しなければならないと。その再検討の内容についてはいま御説明がありまして、大体の方向はわかりました。そこで、今度は、開発銀行のほうの運用基本方針です。この新経済社会発展計画に基づく運用基本方針というものが出されなければならないというわけですが、これはどうなんでしょうか。
  139. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) 昨年は六月十三日の閣議決定で運用基本方針が出されておりますので、本年もおそらくその時期ごろに、同じような形で、ただいま申し上げましたようなことを盛り込みまして運用基本方針がつくられるものと存じております。
  140. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、かなり従来よりは範囲が非常に拡大されるように思われるのですけれども、四十三年度の運用基本方針しかここに資料として出されていないのですけれども、四十三年度は、産業基盤の充実強化、それから産業体制の整備、技術開発、国際収支の改善に寄与する産業の育成合理化、産業間地域間の均衡ある開発発展、それから大都市再開発と流通近代化、この五つがおもな柱になっておりますね、今度は、新しい経済社会発展計画によって運用方針を打ち出すとなると、これにどういうものがプラスされていくんですか。
  141. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) これはこれから閣議できめられますことでございますので、ただいま私からその中身につきまして予想を申し上げるのもいかがかとは存じますが、おそらく、方向といたしましては、いままでのものよりも物価安定についての面がきめこまかくなるという点と、それから国際経済国際化の時代に即応する対応策についてもう少しいろいろな点が入るということ、それから大都市再開発関係がやや詳細になるというような方向で閣議で検討されるのではないかというふうに予想をいたします。
  142. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その中で、いま物価安定が新しい項目として加わるのじゃないかというお話があったのですが、これについては私は非常に疑問に思う点があるんですがね。これまでの開銀の役割りとして、いわゆる産業体制の整備というものがあるんですよね。寡占化体制の整備、そういうふうに言われているんです。これが物価安定と矛盾するのじゃないかという気がするんですね。いわゆる寡占化体制がだんだん強化され、経済が集中化されていく。そうすると、もうすでに物価はかなり下方硬直性になっていますね、開銀の一つの重要な役割りとして、いわゆる寡占化体制の整備、いわゆる産業体制の整備、そういう寡占化体制の整備と物価安定というもの、これは矛盾するのじゃないかと思う。その矛盾の面はどういうふうに調整をされるのか、どうも私は疑問に思うわけですが、その点はいかがですか。
  143. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) 御指摘のように、寡占化の体制になりますと、とかく価格の硬直性という現象を起こしまして、いわゆる管理価格あるいは寡占価格というようなものを生じてまいるわけでございますが、開銀が融資をいたします場合には、いやしくもそのような情勢を助長するような金融は決してこれを行なうべきではないし、また、今日までそのような金融を行なった事実はないというふうに考えております。ただ、御指摘の点はたいへん重要な点でございまして、開銀融資に限らず、いわゆる規模のメリットというものは、これは常に競争原理というものが他方に適正に働きまして、そのメリットが消費者のほうに還元されるという形でなければならないというふうに考えておりますので、そういう見地は、開銀のみならず、すべての金融機関が絶えず念頭に置いて融資をなすべきものだというふうに考えております。開銀の場合におきましては、特にいままで同一業種で最も少なく融資をいたしました実例なども調べてみましても、それによって寡占価格、寡占体制、管理価格、そういうものを生ずるような融資の例はないように考えております。
  144. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 寡占化体制によって管理価格が形成されることは、これはもう経済法則として否定できないと思うのですが、寡占化体制形成によって下方硬直性が強くならないように、また、これまで物価を硬直化させるようなそういう融資は行なってきていないというお話があったのですが、それはまさかそういう管理価格を形成させたりあるいは物価の下方硬直性をもたらすように開銀が積極的融資をするはずはないと思うんです。しかし、問題なのは、開銀の一つの役割りとして、いわゆる体制金融といいますか、寡占化体制を推し進める、そういった役割りを持ってきているでしょう。これは、一つは、自由化時代における国際競争力を強化する。そのために、さっきお話があった企業の合併集中、そのときに開銀が大きな役割りを演ずるということになっています。これが開銀の一つの大きな使命になっているわけですね。これだけじゃありませんが、その点が、今後特に物価問題が、当面の問題だけでなく、七〇年代を通じて非常に重要な政策課題になっている。そういう状況になってきているときに、これまでのようないわゆる寡占化体制を強めるというような開銀のそういう機能、役割りをこれまでと同じように考えていっていいのかどうか。むしろ、逆に、今後の要請としては、なるべく競争原理を導入するということになっていくのでしょう、金融面でも、あるいは産業面でも。それと矛盾するわけなんですね。ですから、いままではそうした役割りを演じてきたわけですけれども、ここでいわゆる新しい情勢を迎えていく、そうして新経済社会発展計画で制度金融なり体制金融の再検討を強調されておって、その中の一つとしてはやはり物価の安定というものが今後非常に重要であると、そのための再検討も必要ということを言われたわけですけれどもね。ですから、これまでのような寡占化体制を強化するというふうな行き方でいいかどうか、ここが私は一つ検討対象になるのじゃないかと思うのですが、どうなんですかね。
  145. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) その点はまことに御指摘のとおりでございまして、もちろん初めから物価関係に悪影響を及ぼすような意図は持たないにしても、結果においてそういうおそれを生ずるというようなことがいやしくも徴候として少しでも出てまいりました場合には、常にその点については何度でも検討をいたしまして、できるだけ慎重な配慮をしていくべきものというふうに考えております。
  146. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次に伺いますが、私が言うまでもなく、政策金融は、補助金及び租税特別措置による減免税、そういうものとそれから民間金融の中間的な金融であると思うんですよ。国民の税金でまかなう面は、これは補助金的な性格を持っておる。それからまた、一面では、安い金利で供給する場合は、租税の減免税的な性格を持っている。しかし、また、民間資金を利用するような場合は、またそこに民間金融的な面もある。だから、その中間的な金融だと思うんです。しかし、民間金融と違うところは、何といっても政府の財政資金が投入されていくという点だと思うのです。したがって、こういう点を考えますと、開銀が融資をしてそうして企業を育成していくその場合、その企業の採算がとれるようになり、また、自由化時代に競争にたえるようになり、そういうようになったにもかかわらず、依然としてそういう過保護的な金融というものが続けられることは、これは適当ではないと思うんです。民間企業と違いますから、もう必要でもないものに補助金をやるとか、必要でないものに減免してやるとか、同じような性格の問題がそのときに起こってくると思うんです。それについては、これは十分に注意をしなければならないのじゃないか。そうした過保護的な金融を続けちゃいけない。それは絶えず十分に点検しておく必要があるのじゃないかと思いますが、その点はどうでしょう。
  147. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) その点も全く御指摘のとおりでございまして、政策目的を達したもの、あるいは民間金融にゆだね得る状態になったもの、そういうものは直ちに開銀の貸し付け対象からはずしまして、他方、また、経済社会の進展に即応してそのときどきの要請にこたえて、新たな融資対象が出てまいればそれをどんどん入れてまいる。前回も申し上げましたような新入生、卒業生の交代を活発にやってまいるということは、非常に大事なことであろうかと思います。たとえば、三十年代の前半まで開銀貸し付けの主要項目の一つでございました普通鋼というようなものが、三十年代の後半以降対象からはずされておりましたし、あるいは電力につきましても、特別の原子力発電とか石炭火力といったようなもの、あるいはいわゆる重電の延べ払いというような特殊のもの以外は、卒業生として送り出しているというようなこと、それらはただいまおっしゃいましたような趣旨に沿ってやられておることでございますが、これはもうほんとうに始終活発にやってまいらねばならないというふうに考えております。
  148. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 開銀総裁として、実際に運営されまして、そういうことを痛感されるようなことがございますか。また、これまでございましたか。
  149. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) ただいま銀行局長からお答えいたしましたように、保護の状況が過度に失することのないように、私ども現実の運用の面でも心がけているわけでございまして、幾つかの例を銀行局長が御指摘になったのでございますが、重電機延べ払いと申しまする、大規模な容量を持ちます電気の機械の延べ払いを六分五厘でいたしておったのでございますが、昨年来七分五厘にする。同時に、新規重電機は、ちょっと製作に時間がかかるようでございますので、年度にわたりまして継続することがございまして、新規の融資の対象にすることは四十五年度からやめる。たとえば電子工業にいたしましても、これはいろいろ種類がございまして、比較的零細なもの、やや大きいものとございますが、従来七分でございましたから、これを本年度から七分五厘に半分ほどは引き上げるというようなことをやりまして、特例の扱い、あるいは融資対象、そういう点から申しまして、常にそういう配意でやっておる次第でございます。
  150. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いま総裁から伺いましたように、そういう具体的なメーカーがあるようでございまするから、やはり最近では技術的な開発なりテンポが非常に早いですから、そういう点については絶えず点検されて、これは国民の税金の分が相当あるんですから、過保護にならないように、そういう点は絶えず点検をするように要望しておきます。  それから次に伺いたいのは、財政資金の運用面におきまして、公共投資等とそれから政策金融との割り振りというんですか、これをどういうふうに考えられておるんですか。たとえば四十四年度を見ますと、運用資金で三兆七百七十億円のうち、公共投資は二兆六百九十一億円、それから政策金融が一兆百七十九億円となっているんですね。今後、社会資本の立ちおくれから、公共投資にかなり重点を置く必要がある。しかし、政策金融でも、開銀あたりが今後地方開発とかそういう方面に融資の範囲を広げていくと、競合面が出てきますね、そういう点が。この公共投資とそれから政策金融との割り振りの比重ですね、これはどういうふうに考えられてこういうふうな割り振りにされるのかですね。何かこれに基準があるのか、大体のあれですね、その点を伺いたいんですけれども
  151. 田中敬

    説明員(田中敬君) 基準があるかという御質問につきましては、特別の基準というものはあらかじめ前提として編成をいたしたことはございません。過去からの経緯その他で結果的にこういう形になったというふうなことでございます。  それともう一つ、先生のお手元にも資料としてあろうかと存じますけれども、公共投資等と政策金融を分けます手法でございますけれども、お手元の資料にありますものにつきまして、いわゆる政策金融の中に大きなウエートを占めておりますのは、実は、中小三機関の金融でございますとか、住宅金融公庫のいわゆる住宅金融とか、こういうものが全部入っておりますので、あるいは先生が問題になさっていらっしゃるような産業金融というようなものにしぼって考えてみますと、そのシェアというものは相当低下しておる。御必要でしたら、別途資料をお出しいたしたいと思います。
  152. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃ、そういう資料を、それは必要ですから、あとでいいですけれどもいただきたいと思います。この政策金融一兆百七十九億円の内訳ですね。  次に伺いたいのは、政策金融の対象ですね、それは、産業面だけについて見ましても、さっき銀行局長からも話がありましたが、最近では大体三つの点に対象がしぼられてきておる。一つは、これはまあいままででもそうであったのもありますけれども、採算がどうしても合わないと、そういう産業に対して開銀等が融資をする。それから第二番目は、特利を含めた長期低利の融資ですね。第三番目は、いわゆる資金配分機能というのですか、国際競争力を強化するとか、あるいはさっきの問題のあった寡占化体制の強化とか、それから新規産業、最近よく言われます新しいプロジェクトですか、新技術に関連する、そういうようなものですね。さっき申しましたように、過保護になる可能性のあるものは、長期低利の特利を含めたその金融であることはさっきも指摘されまして、過保護にならぬように十分注意されるということを言われたんだが、この資金の配分機能の面における国際競争力の強化とか、あるいは寡占化体制の整備とか、こういう面はこれまた過保護になる危険もあると思うんです。ですから、絶えずこれはかなり目を光らしておかなければならぬようなそういう要素があると思うのですが、この国際競争力の強化についても、ある時点においてはかなり政策金融でめんどうを見なければならぬ状況にあっても、次の時間がたつと、それはもう十分に何も保護しなくても競争できるというそういう状態になっている場合もあると思うんですよ。それから寡占化体制の整備でも、合併集中によって、日鉄みたいなのは典型的なものだと思うのですけれども、そうして日鉄が合併して鋼材が下がったかというと、あまり下がっていない。むしろ一時より上がったんですね。ですから、そういう逆の作用を及ぼすような場合があるわけですね。国民の税金で開銀を通じて合併集中を促進した、そうして寡占化体制を強化したところが、物価が硬直的になっちゃって、むしろマイナス面が出てくる面もあると思うんですよ。そうなると、全く本末転倒になっちゃうんですね。逆効果みたいになる、そういう可能性が十分あると思うのです。だから、政策金融なりあるいは開銀融資は楯の両面みたいなものがありますね。これをよほど運用については気をつけませんといけないと私は思うんですがね。非常に政策金融が重要であると同時に、また、他面においては、いまお話ししたようなデメリットも出てきますからね。この点は、だから、大蔵省のほうでも、あるいは総裁においても、絶えず点検され、監視されると思うのですけれども、われわれは国会でもこういう点は十分監視しなければならぬわけですけれども、一年に大体一回でしょう、こういう審議をするのはね。ですから、こういう際に十分にここでわれわれ意見を述べて、そうしてわれわれの意見を覚えておいていただいて、国会でこういう点について問題にされたということをやはり頭に置いておいていただいて、マイナス面が出てこないように監督されまた運営されるということを希望するわけなんです。その点について、銀行局長あるいは総裁から御答弁がありましたら、伺いたいと思います。
  153. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) 先ほど来申し上げておりますように、その点につきましては絶えず重々注意してまいりまして、いやしくもデメリットの面があらわれませんように、常に国民消費者大衆にメリットが還元されるという方向で運用されるように注意してまいりたいと思っております。
  154. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 銀行局長からお述べになったことで尽きておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、従来もそういうような頭で卒業生はできるだけ出すようにしております。今後も引き続きそういう方針でやってまいりたいと思います。
  155. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 注文ばかり多くなりましたが、今後、開発銀行としては、自主技術の開発ということも相当重要な役目になっていくと思うんですがね。ことに、いままでの技術導入を見ますと、ずいぶんいわゆる対米依存的な傾向が強いわけですね。それからロイアルティーなんかも相当大きくなっておりますわね。これはやっぱり開銀あたりで今後開発する一つの分野ではないかと思うのですが、この点について、総裁、いかがでしょう。
  156. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) おっしゃいますように、国際化という時代に相なりまして、日本も国産技術というもので自分自身の産業の基礎をつくるという時代になってまいりました。前からも国産技術の振興ということにつきましては若干の金が出ておるわけでございまして、四十一年度ではたとえば三十五億くらいの金が出ておるわけでございますが、実は四十三年度に新しく国産技術振興という柱を立てまして、六分五厘という特利を設ける。この系統につきまして非常に資金の需要も多うございまするし、だんだん国産技術を自分でやろうじゃないかという意欲も強くなってまいったのでございますが、逐年金額が増加いたしまして、四十五年度は百五十億という金額になってまいりました。私どもの融資の全体の割合から言いましても、四十一年は一・七%ぐらいでございましたが、現在は五%くらいになりまして、私どもの融資の中では最も成長の著しい項目になっております。
  157. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これまで、日本経済の高度成長をささえてきた産業として、いわゆる三Cということがよく言われましたね。自動車とか、カラーテレビとか、クーラーとかね。それが、いわゆる町の経済評論家あたりによると、一九七二年ごろまでに大体頭打ちになるのじゃないか。その後いろいろ新しい産業開発が進むのじゃないか。海洋産業とか、あるいは情報産業とか、あるいはメガロポリスとか、いろいろ言われておるわけですが、そういう今後の新しい産業開発ですね、そういうものについてやはり開銀の果たす役割りというものは大きいのじゃないかと思うんですね。何かそういう研究をされていますか、開銀でですね。
  158. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) いわゆる新規産業という問題につきましては、私どものほうも従来からある程度の努力をいたしております。たとえて申しますと、いまおっしゃいました住宅産業という問題がございます。これにつきましても、プレハブでありますとか、建材とかというものがございます。この融資は、最近数年やってきており、これからも今後いよいよふえるであろうかと思っております。  海洋産業につきましても、私どものほうで、二、三件、これは海洋掘さくの関係でございますが、そういう関係で取り扱ったケースがございます。これも今後相当伸びる項目であろうかというふうに思っております。  情報産業ということになりますると、これは電子計算機の関係が多いものでございますから、これは比較的前から手がけておりまして、最近におきましては御承知のように本年度百五十億というような金を、いわゆるJECCと申しますか、電子計算機のレンタルの会社に融資をしております。それ以外に、先ほど申しました電子工業の面におきまして、これは電子計算機の入出力部門に対する融資、これもまた急速にふえてまいろうかと思っております。  そういう意味で、なおそれ以外、いろいろ新規産業という面があろうかと思いますが、先ほど来申し上げました原子力発電あたりもそういうものかと思います。そういうものは従来もある程度手がけておりますが、木村委員仰せのように、これから相当急激に伸びてまいる項目であろうかと思います。
  159. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あまり時間がございませんから、できたら資料にでもしてわかったら御提出願いたい。それは、今後の開銀の開発対象として大体三つあると言われているんですが、一つは技術開発プロジェクト、それから第二はいまお話がありました先端産業の育成、第三が公共的プロジェクト、この三つについて、具体的にどういう作業をやられているか、そういうものありましたら、これは今後の日本の産業開発の、何というんですか、いまの進行ぐあいなり方向を知る上にわれわれとしても非常に参考になると思うんですよ。ですから、そういう作業をおやりになっていましたら、資料としてでも——いま、この三つについて、簡単に要点だけ御説明していただければしていただいて、あとは、それに関連するいろいろな資料がございましたら御提出願いたいと思うんですが。
  160. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 最初におっしゃいました技術開発の点は、先ほどちょっと概要を申し上げました。数字につきましては、後ほどととのえまして差し上げます。  先端産業と申しますると、いろいろなものがあると思うのでありまするが、先ほど申し上げましたように、情報産業、住宅産業、あるいは海洋開発というようなことにつきましては、私どものほうの従来やっております実績をつくります。  公共的ということになりますると、これはいろいろの幅があるかと思うのでありまするが、私どもがやっております都市開発の関係、あるいは流通の関係、あるいは、今後におきましては相当公共事業の民間委譲という問題がございまして、これに伴いました問題が出てまいると思いますが、いままでのところはまだわずかなものでございます。実績のございます分につきましては、資料を整えまして差し上げることにいたします。
  161. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 後者の公共的プロジェクトにつきましては、私のほうの質問もあまり具体的ではなかったんですが、要するに、新しい国土計画に沿うところの、いわゆる混合方式とか、あるいは民間デベロッパーに開発を委託するとか、そういう問題です。それで、たとえば、東大阪の住居センターとか、大阪府の開発公社、神戸の世界貿易センター、東三河開発、鹿島開発、最近では道路、港湾、鉄道等の分野にもそういう民間のデベロッパーの参加が予想されているというんですが、そういう実態を知りたいわけなんですよね。そういう資料はございますか。
  162. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 先ほど申し上げましたほかに、いまおっしゃいます土地造成の関係につきましても若干のケースはございまするし、これはまだわずかなものでありまするが有料道路につきまして若干のケースがございます。そういうものを取りまとめて資料として差し上げたいと存じます。
  163. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃ、開発銀行関係ひいては政策金融についての最後の質問なんですが、二点あるわけです。  一つは、この前にもちょっと質問したんですが、金融再編成について考慮すべき点として、いま、制度的に非常にばらばらになっておるんですよ。で、私は、新しい情勢に備えて金融再編成をやる場合には、民間の金融機関の再編成だけでなく、もっと広範にやるべきだと。それは、資本市場、それから政策金融、制度金融、それから政府のほうのたとえば郵便貯金ですね郵貯なんかもやはり問題になると思うんですね。ところが、現在、こういうものを審議する制度としては、一つは金融制度調査会、それから財政については財政制度審議会、それから証券については証券取引審議会というのがありますね。それから郵政については郵政審議会というのがあるんですよね、郵貯の利子やなんかについての。現在、大体われわれがわかっているだけでも四つあるわけですね、制度的に。みんなばらばらなんですよね。みんな有機的な関連がない。みんなばらばらに調査会を持っている。金融制度調査会は、これまで大体市中銀行の立場を擁護するような立場にあったということは、これはもう相当批判があったわけですね。過保護的な政策がとられてきたといって相当批判があったんですよ。それから証券取引審議会は自分のなわ張りのことばっかり考えていると、証券は証券で。それから郵政のほうは、また、簡保の運用とか、あるいは郵便貯金の運用について、やはりそういう立場考えている。ですから、私は、四つそういう審議会とか調査会があるんですが、今後何かこれを総合したようなものが上に一つやっぱり必要ではないかと思うんですよ。それでほんとうに総合的な金融の再編成というものがそこででき上がるんじゃないかと思うんですね。私は、開銀の問題それから政策金融の問題に首を突っ込んで少し調べてみましたら、そういうところに突き当たってきたわけですよね。自分じゃ総合的な金融再編成考え考えろと言うけれども、じゃどこでそれを考えたらいいか。制度的に見たところが、この四つもあるんですね。これは何とか総合的な一つの金融再編成を審議するそういう機関にまとめられないか。もちろんこういうものがあっていいんですけれども、これをまた踏まえてそういう機関があれば、今度は証券取引審議会でそういう自分のなわ張り的な意見が出てきても、そこで調整できる。それから市中銀行の利益ばっかりはかるような金融制度調査会の意見が出てきたら、そこで調整できるとか、そういう機構がやっぱり一つ必要なように思ったんです。これが一つです。  それからもう一つは、これは非常にしろうと考えかもしれませんが、間接金融と直接金融の問題なんですね。まあ長期信用銀行を例にとっては悪いかもしれませんが、これなど私は非常に不経済な運用じゃないかと思うんですよ。預金を集めるでしょう、それで金融債を持たすでしょう。それを融資するでしょう。そうしますと、非常にそこにコストが高くなると思うんですね。ちょうど、消費者が原産地に行って物を買ってくれば安く買えるんですよね。ところが、そこに卸売り、小売りいろいろあって、そこでコストが高くなる。もちろん、普通の商品の流通の場合には、それぞれの流通機構というものが存在理由はあると思うんですよ。思うんですけれども、金融について見ますると、直接、社債なり貸し付けしちゃったほうがコストが安いのに、中間に金融機関が入って高くなってしまう。だから、そういう間接金融と直接金融について再検討する必要があるのじゃないかと、こう思うのですがね。これはしろうと考えかどうか、この点、金融効率をよくするという意味でも、私は今後一つ考えるべき点じゃないかと、こう思ったんです。  この二点についてお伺いをいたしたい。
  164. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) まず、第一点でございますが、たいへん有益な御示唆をいただいたわけでございますが、それらの四つの機関におきましてそれぞれ議論をいたしました結果を答申として受けまして、それを政府の内部の各部局におきまして十分協議をいたしましてまとめてまいるというプロセスをただいまとるようにいたしておりますことと、それからもう一つは、ただいま御指摘のございましたとおりの、縄張りと申してはおかしゅうございますが、いろいろな感じがある点は、できるだけ委員の人選ということを通じまして垣根を低くしてまいるということにつとめておるわけでございます。  それから第二点の長期金融機関につきましては、これは金融制度調査会におきましても非常に議論のございました点でございますが、確かに、ただいまおっしゃいましたように、いきなり貸さずに長期金融機関というものを通ずることによってコストが高くなるではないかという議論も片方にはございましたが、しかし、片方におきましては、それによりまして、都市銀行といたしましては、いつでも換金できる金融資産というものの形で底だまりの部分の預金を持ち、そして、それを集めて長期金融機関が貸し出す場合の貸し出しの性質は、それぞれの系列とかそういうものにとらわれないたいへん中立的な立場における中立的専門的な金融ができる、その点に金融債というものの非常に大きな機能があるということで、これは大いに認められてしかるべきではないかという議論と両方ございまして、いろいろ今後とも議論のあるところかと存じますが、金融債というものを媒介とすることによりまして、ただいたずらに資金コストが高くなるというだけではない、非常に大きなメリットも他面に認められてしかるべきではないか、専門性中立性というような面において融資が非常に生きてまいる、そして、また、その預金をもって金融債を購入する一般の市中金融機関といたしましては、そういういつでも換金し得る金融資産を持つという形において一つの機能を果たしておるのではないかというふうな議論、それがございしたことを御報告申し上げます。
  165. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 直接金融として一番重要なのは、私は資本市場の育成だろうと思うんですが、どうも、日本の場合、資本市場が育成されていない。特に銀行の貸し出しなんか非常に大きいですね、高度成長のための金融としましてはね。ですから、そういう意見もかなり専門家の中にもあるわけですね。この際、間接金融、直接金融については再検討してみる必要があるんじゃないかと思いますから質問したわけです。これは意見ですから、御答弁は要りません。開銀関係の質問はこれで終わります。  次に、物品税について簡単に伺いたいと思います。
  166. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  167. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 速記をつけて。
  168. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まず、最初に伺いたいのは、来年度四十六年度の予算編成に関連して物品税の引き上げを行なうのかどうか、その点です。  それからいま審議の対象になっております物品税の引き上げにつきましては、非課税から本則まで一挙に行かないけれども、その中間段階を設けて多少課税していくということですわね。私はわからないのは、いま非課税の段階では、対象になっておる品物は非常に高いですね。テレビとかいろいろな耐久消費財は非常に高いです。お金持ちしか買えない、相当余裕のある人でなければ買えないというときは非課税なんです。だんだん大衆が買えるような段階になると課税してくるんですね。そこのところが私はおかしいと思うんですね。物品税につきましては、奢侈税的な課税というものも一方にあるんでしょう。だから、そこのところがどうもおかしいんですね。だんだん大衆化するようになると課税がされてきて、初期において非常に高くて一般の人が手が届かないようなときには課税がない。むしろそういうときにはうんと課税しておいて、それでだんだん安くなったら、これをもう課税はむしろしないで、そうして大衆に買いやすいようにしていくのが私は順序じゃないかと思うのですがね。その点は、どうも逆のように思うのですがね。それは、産業のメーカーのサイドで考えるからそうなるんでしょう、政府のように。消費者のサイドで考えると、どうも矛盾していると思うのですが、どうなんですかね。
  169. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 第一の来年度以降の物品税増徴のようなことを具体的にどう考えているかという点の御質問でございますが、必ずしも増徴ということではなくて、全般的に物品税を洗いがえる必要があるかと思っております。それは、一つは、課税対象をどうするかということ、それから税率をどうするかということ、それからもう一つは、非課税物品なり特殊用途のための非課税物品なり免税点なりをどうするか、この三点を総体的に洗いがえされるべきことだと思っております。その結果、総額としてふえることになるか減ることになるか、その辺はまだ全然見当は持っておりません。増徴というより、むしろ物品税については全体としての洗いがえをまず基本的にはやりたいということでございます。  それからどうも物品税は暫定税率関係で見ると、大衆化して大衆が使えるようになっていくと物品税をかけるというのはおかしいではないかという点でございますが、一般的に申しますと、こういうものは、何と言いますか、新しい商品が開発されまして、そこで、ほかの商品とのバランスから考えて新たに物品税をかけたほうがいいのではないかということになりますと、まず本則で課税対象物品にそれを掲げる。ところが、そのごく初期の段階では、どうしても商品のコストが高いということになりますから、そこで、ある程度大量生産になってくるまで非課税にしておくか暫定税率を置くかして激変緩和をする必要があるということから暫定税率制度があるわけでございます。しかし、それを片方のサイドからごらんいただきますと、おっしゃるように、ちょうどこう大衆化してくると物品税がかかるという形になるのは、確かにそういう面があると思います。しかし、趣旨はそういうことではなくて、大量生産になる段階まで多少応援をしてそうして大量生産化していけば、輸出もまた可能になる、そうなると単位当たりのコストが下がってくる、こういうことをねらいとしておるわけでございます。  なお、一言だけ付け加えさしていただきますが、今度の場合のテレビの例で申しますと、今度暫定税率で上げていこうとしておりますのは、トランジスターテレビでございまして、全く同じような効用のある真空管テレビのほうはすでに完全に課税になっておりますから、真空管テレビとトランジスターテレビとの競争関係にある二つの商品のバランスということからいえば、やはりこの辺で本則税率に戻るまでのことをねらいとして途中として暫定税率でいかしていただきたい、こういう趣旨でございます。
  170. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 物品税の明年度の洗い直しについては、大蔵大臣所得税から間接税へ比重を移していくという考え方の一貫じゃないのですか。それとも、全然関係なく、洗い直しによってそれは増税のほうに持っていくというのですか。これまでのほかの委員質疑をずっと聞いておりまして、前は、大蔵大臣は、直接税よりは間接税のほうへ移行する、あまり直接税の負担重税感が強いものだから、間接税のほうに移行する、そういう考え方を明らかにされたんですね。ところが、その後だんだん質問していくと、総合的物品税、たとえば売り上げ税とか付加価値税、そういうものは考えていないというんですね。それを考えると、やはり物価問題と関連してくるからだと思うんです。過去に取引高税という苦い経験が二十三年にあった。それで、なじむなじまないというお話がありましたから、考えを変えたと思うんですよ。考えを変えて、そうした総合的な物品税——取引高税とか付加価値税ではなくて、個々の物品税について洗い直して、それを増税に持っていく、そうして全体の税体系としては所得税から間接税のほうにウエートを移していく、そういう構想になってきているのじゃないですか。
  171. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 物品税は、三十七年に大改正をいたしまして、それから四十一年に大改正をいたしております。そこで、間接税、直接税のウエートをどう置きかえるかという問題とは別に、そろそろ来年度あたりは物品税総洗い直しの年に当たってくるというのが一つでございます。  それから先ほどちょっと説明が足りませんでしたが、今度それと角度を別にした問題として、ちょうどその機会でもあるということもありますけれども、若干間接税のほうにウエートを置いて考えていくべき時期ではないのか。その場合に、木村先生御指摘のように、売り上げ税なんかはどうもぐあいが悪いということになれば、総体として物品税にいままでよりはもう少しウエートを置いていくという方向検討が行なわれる可能性が多いということは、先日来の大臣の御答弁でも大体そういう方向にいっていると思います。ただ、その場合に、私どもとしましては、初めからそっちをふやそうということを頭に置いているのじゃなくて、一ぺんまず洗い直しをずっとやりまして、それと今度は来年の財政支出のほうとにらみ合わせながら、もし必要あればそういう方向にも考えられるということでございまして、いわば作業としては相互にからみますが、二段がまえみたいのようなことで考えられるのじゃないかというふうに思うわけでございます。
  172. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 直接税重点から間接税のほうへ重点を多少移行していく、そういう構想になってきていることは、いまの御説明でわかりますし、大蔵大臣もそういうふうに言っているのですが、この背景には私は二つあると思うんですよ。その一つは、どうしてもインフレーションの問題がある、物価高の問題が。ヨーロッパのフランスとかドイツその他の国で流通税がかなりウエートが大きいのは、戦時立法がそのまま改正しないで存続しているんでしょう。戦時になぜああいう物品税的な売り上げ税的なものが採用されたかといえば、インフレーションによって所得が十分に捕捉できなくなったし、それからインフレーションになると、累進的な超過累進の課税だと、うんと高くなりますね。ですから、物価がどんどん上がり、インフレーション的になってくると、所得税体系は耐えられなくなってくるんですね。日本でもそうだと思うんですよ。だから、そういう状況のもとにおいては、二つしか方法がないんです。一つ間接税のほうへウエートを移していくか、あるいはもう一つ物価値上がりを食いとめるか。物価値上がりを食いとめれば、いまの超過累進は急激に上昇しないでしょう。ところが、いままでどんどん物価が上がり、名目的所得がどんどん上がるものだから、いまの超過累進構造では耐えられないから間接税のほうへ移行せざるを得ない、こういうような必然的ないまの税体系物価との関係ですね。そういうところから間接税への移行というのが出てきたのではないか。これは、歴史的に諸外国税体系の変化を見ますと、そうなっております。日本だってそうでしょう。ただ、日本はあのとき取引高税が実行できなかったので——われわれも反対しましたが、実行できなかったので、ずっといまの所得税体系が続いたものですから、毎年毎年諸外国に見ないような物価調整減税的なものをやらざるを得ないと、こうなってきたんでしょう。
  173. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 確かに、おっしゃるとおりでございまして、物価の変動というものが非常に大きな影響があることは事実でございます。特に物価が上がりますこととの関連上、ノミナルに所得税負担がふえてくる。それがとても重圧感になってくるから、所得税減税はどうしてもやらなくちゃならない。そうすると、片っ方で減税をやりながら、もし相当な財源が必要であるとすれば、どこに税源を求めるかということから間接税という話が出てくることは事実でございます。  ただ、もう一つ問題は、現在、経済が伸びてきた、国民所得も大きくなり、一人当たり国民所得もふえてきたが、どうも、社会資本ということばであらわされておりますが、いろいろな意味での蓄積が不十分だということがあって、かなり歳出要因の圧力が強いということもございますので、もしかりに物価変動が全くないということを考えたときに、それでは間接税にもう少し重点を置くという議論を誘発してこないかどうかというと、それがなくても、社会資本、つまり予算で申します歳出要因の圧力が相当ありますので、かりに物価が動かないということがあっても、だんだん財政需要を調達するための何か税源をさがせという圧力はやはりどうしても加わってくるのじゃないかと思いますのですが、しかし、これはたいへんむずかしい議論でございますので、感じで申し上げてもいけませんのですけれども、いずれにいたしましても、現在の所得税割合が六五%ということが間接税のほうに少し皆さんが目を向けるようになっておられる一番大きな要因ではないかと思うのでございます。その辺は、よくこれから勉強させていただきたいと思います。
  174. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ間接税的なものに移行せざるを得なくなってきておる要因としては、新経済社会発展計画にもありますように、高福祉高負担です。新経済社会発展計画でも五十年度は二%負担率を上げることになっているでしょう。その上げる財源はどこかというと、間接税じゃないですか。私はそこにねらいがあるのじゃないかと思います。  それからもう一つは、時間がありませんから続いて申しますと、間接税を上げないと、今度は法人税を上げざるを得ないというのでしょう。法人税の増税がいま問題になっておるでしょう。それで、二%上げるべきであったのが一・七五に財界の反対によってなったんですけれども、各企業にこんなに格差が出てきている。ところが、資本金一億円の会社も資本金千億円の会社も、税率は同じでしょう。こんなばかな話はないと思うんです。ただ一億円以下と一億円以上、この二段階ですよ。それから年収三百万円以下と三百万円以上とね。こんな全く比例税的なものですよ、法人税は。超過累進をどうしてもとるべきだと思うんですよ、法人税についても。そういう段階に来ていると思うんです。こんなに格差があるんですね。ところが、それをやりたくないから、間接税のほうで増徴している。それから間接税増徴するということは、法人税の方便になり手段になる。積極減税しなくてほんとうは増税しなきゃならぬのを、それを食いとめる手段になる。どうもそういうような気がするんですね。  この物価値上がりという問題と、高福祉高負担の問題と財源の問題ですね、それから法人税の増税を回避するためと、その三つのねらいがあるんじゃないですか。ですから、そういう客観情勢から見ると、どうしても間接税重点の税制に転換せざるを得なくなってきていると、そういう状況じゃないですか。
  175. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 実は、経済社会発展計画で租税負担割合が若干上がるということにつきましては、現行税制で計算すればこうなるというような計算を非常に厳密にやっておるわけではございませんので、かりに間接税の問題に触れる触れないにかかわらず、触れなければどうしてもそういう姿にならぬかどうかということはちょっとここでお答えいたしかねますのですけれども、大体の最近の傾向といたしましては、国民所得が伸びますというと、所得税のいわゆる弾性値が非常に大きいものでございますから、それで、減税をもししなければ、かなりその部分はふえていくだろうと思います。経済発展計画国民所得の中における税負担率を二%高く見て、それではつじつまが合わなくなってきたので間接税増徴したらどうかという議論が出てきたといういまの先生の御見解は、私どもの頭の中では実はそういう考え方はしておりませんので、間接税増徴議論はむしろ所得税減税スピードとの関係で必要になってくるんじゃないかと思っておるわけでございまして、経済発展計画との関連から申しまして、直接にそう間接税増徴しないと全体の財源が足りなくなるということではどうも私どもの頭の中ではないわけでございます。  なお、全体としまして、率直に申し上げて、経済発展計画といまの租税制度の構成の問題とは必ずしも非常に厳格に結びつけて作業いたしておりませんので、最近出ましたばかりでございますから、来年度以降の税制と関連してこれから検討さしていただくということになろうかと思います。
  176. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は、まだだいぶ物品税については質問が残っているんですが、それから関税についても残っているんですが、時間が来ましたし、ほかの方の御質問もあるようですから、あまり一人でばかり質問しているのも御迷惑なので、私はこれで終わります。あと大蔵大臣が来ましたら、時間の割り当て等がございますれば、それに従ってやりますから、一応これで終わります。
  177. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 きのうに続いてちょっと特恵関税の問題について伺っておきたいと思います。  きのう私はヘップのことで資料をということでいただいたわけでございますが、業者の状態、それから原則無税シーリング方式ということは非常に大きな問題となるんですけれども——なるかならないかわかりませんが、そうなったときに一体国内企業に対しての影響がどういうふうにあらわれてくるか、そういう点について伺っておきたいと思います。
  178. 上林英男

    政府委員上林英男君) 昨日も御説明いたしましたように、国内産業の影響をも考えまして、一定のワクのものにつきまして特恵税率を適用する、その特恵税率は原則として無税にいたしますけれども、特に国内産業上困難が多いものにつきましては、これをセレクティブ品目と称しておりますが、その品目につきましては特恵のカット幅を五〇%にとどめると、そういうような配慮をいたしまして、国内産業のほうに不当な圧迫を生じないように配慮を加えているものでございます。
  179. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 私の申し上げたいと思いましたことは関税局長と同じでございまして、ただいま局長の申されたような考え方で具体的な作業を進めておる段階でございます。
  180. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は、特定な企業を一つ取り上げていま御質問しておるわけです。ヘップ業者、ヘップ業については一体どういうような影響があるか、国内市場、国際輸出市場、その点についてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  181. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) ヘップサンダルにつきましては、ヘップサンダルだけの統計は実は捕捉が困難でございまして、サンダルということで申しますと、輸出の総計が昨年におきまして五十四億五千万円でございました。このうち、約半分の二十五億円がアメリカ向け輸出でございます。それで、輸出面から申しますと、アメリカの特恵の動向が非常に気がかりになるわけでございますけれども、ただいままでのところ、アメリカとしましては、はきもの——若干の例外はございますけれども、この品目につきましては特恵の対象から除外するような意向でございます。あとEECに一割ほどの輸出がございますが、その他香港、インドネシア等の輸出がございますので、もしアメリカがただいま申し上げたようなことになりますれば、輸出への影響は比較的軽くて済むのではないかと思います。  輸入でございますが、ただいままでのところ、輸入はまあ実績がほとんどないそうでございます。で、輸入につきまして特恵を与えるかどうか、これは今後の問題でございまして、この業界は先生も御承知のように非常に零細業者が多い業界でございまして、その実情は十分勘案しまして処置いたしたいと考えております。
  182. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 問題は、年間輸出五十四億、アメリカに対して二十五億円、これはサンダル全部が含まれていると思いますが、輸出のほうではアメリカがもしいわゆる特恵関税の対象にしなければ、これはあまり問題はないだろうというふうに思いますけれども、その点はアメリカに対しての交渉あるいは申し入れ、そういう点はやられたかどうか、やったらその経過と結果を教えてほしいと思います。
  183. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 昨年、非公式に、アメリカに対しましては、当方の非常に打撃の多いものにつきまして負担の公平の観点からアメリカ側で配慮してもらうように申し入れてございます。現在におきましてアメリカがUNCTADの特恵特別委員会に提出しております案の中には、このはきものは入っていない——ただしそれは最終案ではございませんけれども、入っていないというのがいまの現状でございます。
  184. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 非公式に申し入れたときの、何というか、向こう側の態度、そのほか何か言質等はございましたか。
  185. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) アメリカ側としては、当方の説明は聞いたわけでございますが、先方としましてもいろいろ国内にも問題があるからということでございました。国内に問題があるからというのは、否定的な意味ではございませんで、アメリカ産業自体に特恵を与えることに問題があるということを先方は表明したというように聞いております。
  186. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 先ほどアメリカは、はきものの中でも特恵の対象にするものがあるという話でしたけれども、それはどういうものですか。
  187. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) スキーぐつとか、それからこれはオランダなどのくつだろうと思いますが木ぐつ、それからぞうりなどでございます。
  188. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは御承知のように業界が非常に零細ですし、先ほどの答弁では日本に対しての輸入の実績はほとんどないという話なんですけれども、現在、韓国そのほかの進出は、海外市場でもありますけれども、国内市場でもかなり活発なようです。そうすると、いわゆる基準年のきめ方いかんによっては影響が出てくるだろうということが考えられるわけですけれども、現在では、基準年は、きのうの答弁だと一九六八年というのを基準年にしたい、するかもしれんという話であったわけですが、大体どの辺に置くということになりそうですが。
  189. 上林英男

    政府委員上林英男君) 昨日もお答え申し上げましたが、まだ基準年をいつにとるかというようなことは具体的に決定をいたしておりません。これは今後OECDその他の場におきましていろいろと討議をいたしましてからきまってまいる問題であろうかと思っております。
  190. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 実際の作業上は、一九七一年あるいは七二年といっても、統計等が完了するのはその二、三年前のものでなければできないだろうというふうに思うのです。そうすると、見通しとしては年末には何とか案がというお話もありまして、そうなると、いまの時点から考えれば、これはおくれたとしても六九年、あるいは普通でいけば六八年、その辺のところを基準年にせざるを得ないのじゃないかと、こう推定するわけですが、どうでしょう。
  191. 上林英男

    政府委員上林英男君) 仰せのとおりでございます。ただ、それをどの年度をとってまいりますか、おそらくたとえばEECもシーリング方式をやります場合、何年を基準にとるということになってまいりましょうし、わが国の統計はわりに比較的早くできるわけでありますが、諸外国の統計はおそいというような実情もございまして、あるいはそういうところの調整をとっていくということで何年になりますかはっきりいたしませんけれども、いまの段階で予測してみれば、おっしゃるとおりであろうかと思います。
  192. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そこで、いま一つ問題が出てくるのは、基準年のとり方で、わが国の統計は早い。そうすると、わが国に対しての輸入の実績が伸びてきている国々、つまり特恵供与される国の受益国のほうから見れば、比較的新しいほうの基準年にしようということになってくるだろう、そういう点の予想もされるんじゃないかと思いますけれども、これは一律的な基準年でいくように全品目がなるのですか、それとも、あるいは六九年、あるものは七〇年、あるものは六八年、こういうふうになるのか。
  193. 上林英男

    政府委員上林英男君) こういう問題が決定をいたしてまいりますのは、OECDなりあるいは特恵特別委員会なりでお互いに相談し合いましてきめてまいるわけでございますので、具体的にどうなるかということは、ある意味では、いま申し上げますのはすべて推測でございます。しかし、おそらく、そういう場において基準年度をいつにしようかというような話は、EEC側との相談できめてまいりましたり、あるいはまた、その国々の実情に応じてやろうというような話になるかもしれませんので、その点は、いまからどうなるであろうかということをはっきりとは申し上げられません。ただ、いま考えられますことは、もしことしやるとすれば、あるいは六八年を基準年にするとか、六九年の統計がアベイラブルであればそれをとるとか、そういうことになろうかということを考えておるわけでございます。
  194. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 くどいようですけれども、その基準年のとり方によっては、かなり業種によっては圧迫を受けたり受けなかったりということも起きてくるだろうと想像がされます。そのときに、もしそれが受益国の間で選択できるような状態、そういう場合には、有利なほうをこちらはとってもらわなければならぬと思うんですけれども、その辺の考えはどうでしょう。
  195. 上林英男

    政府委員上林英男君) どの年度をとったら有利かといいますのは、率直にいいますと、産品によって違いましたり、いろいろございますと思います。したがいまして、どの年度をとりますかということは、つまり、何回か申し上げますように、EECあるいはほかにもオーストリアがシーリング方式を考えているようでありますけれども、主としてEECが同じようなシーリング方式を考えている大きな国でありますので、そういうような動向を見ながら、もちろん御質問のような点も頭に入れなければならないと思いますけれども、そういうことで考えさせていただきたいと思います。
  196. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは通産省の側かもしれませんが、サンダルについては、最終的にシーリング方式になったとした場合に、五〇%のいわゆる選択をつけるかどうかということが一つの問題だろうと思うんですが、ぜひとも私はつけてもらわなければならぬと思うんです。というのは、初めは例外品目にしてほしいというやり方で来たわけですが、こういうふうなシーリング方式というものになれば、今度はセレクティブ品目に入れてもらわなければならないということははっきりしておりますから、その辺のところはどういう方針をとっておられるか。
  197. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) ただいま御指摘の具体的品目につきましては、実はただいまやっておりますUNCTADの特恵特別委員会でも、発展途上国から具体的な品目の提示を求められましてこれを断わっている状況でございますので、いまこれを入れる入れないということにつきましては、はっきりしたことを申し上げかねると思うわけでございますが、先ほど来先生のお話もございますように、この業界の実態は十分認識いたしまして、しかるべく措置したいと思っております。
  198. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いずれにしても、セレクティブの品目に入りましても、ケネディラウンドの最終目標税率の一〇%の半分の五%ということになるわけですから、現行の一四%という協定税率よりは三分の一程度に下がってくる。これはかなりショックは大きいだろうということが予想されますので、いまの答弁以上は現在では出ないと思いますが、これは意見ですが、十分配慮してもらいたいと思うし、また、その決意を変えないでいただきたいということを、これは要望にとどめておきます。  それからちょっと物品税の問題で私は一つ聞いておきたいのですが、先ほども総洗い直しの話がありましたが、道路財源の十兆三千五百億円をまかなうためにトラック税という新税を考えたいという声が出ている。しかし、それを見ますというと、自動車取り引き税があり、自動車税があり、しかもそこへ、運行するに際しての揮発油税がかかる。そうして、それにプラスするところのトラック税というようになると、何となくこういうように四重五重に税金のかかってくるものというのはいずれを見ても消費税的な感じのするものでありますけれども、ほかに例があるのかどうかということですね。私は、これは、税制上、もし創設されるとなれば、すごい差別が出てきて、不公平さ不公平感というのはぬぐえなくなるという感じがするわけでありますが、そういう点から質問しているんですけれども、どうですか。
  199. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 道路財源をどういうふうに調達するかという場合に、確かに、現在、揮発油税、あるいは自動車取得税、自動車税、軽自動車税、軽油引取税、石油ガス税と、いろいろ体系ではかなりややこしくなっております。その意味において、少し交通整理をはかったらどうかということは、もし自動車に関する新しい税を考えるという場合には当然検討されなければならない問題だと思っております。ただ、いまのトラック税につきましては、現在乗用車には課税になっておるけれどもトラックなりライトバンなりあるいはまた観光バス等については、営業用であるということもあって課税になっていないということでありますので、むしろ乗用車に対する物品税とのバランスから議論になっておるわけでございます。トラック税というものが新しく考えられる考えられないは別にしまして、現在自動車関係の税が多分に何重にかになっておるということにむしろ問題があって、トラック税は、どっちかというと、すでに課税対象になっておる乗用車に対する物品税とのバランスで問題になっておるということであろうと思います。いずれにしても、もしそのようなことがさらに具体的に日程にのぼります場合には、その辺をよくいわば交通整理をしていかなければならない問題だというのは、御指摘のとおりでございます。
  200. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 ただいまトラックだから交通整理ということを言われたわけでしょうけれども、整理をしたいということでわかりますけれども、もし動かせるすれば、トラック税は物品税の中に入れるということになるわけですか。
  201. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) いろいろな案がいま出ておりますが、自動車に関する税として一般に伝えられておりますのは、物品税としてトラック税ということが考えられ、一方において全く別の体系として一種の自動車保有税意味車検税というような議論があるわけでありますが、車検税ということになりますと、現在の府県税である自動車税と完全に似たような税になってくるということで問題が出てくるわけでありまして、そこで、まず、もしそういう新しい財源が必要であるということになった場合に、トラック物品のほうに着目しての課税という方向にいくのか、もっと広く自動車保有ということに着目していくのか、そこらで分かれてまいると思います。
  202. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これはきのうからの審議で私思ったんですが、きょうも特に脱硫装置の問題についてはいろいろ関税のことで質問がありましたけれども、いろいろ、一方では税について税制上の上から非常に優遇されているし、その上に公害防止事業団からも融資されるという形があるのに、一方ではこういうように税について次から次へと新設をはかられる。やはり、やるならばやるときちっとした体系的なものが必要じゃないか。その点では、総洗い直しをやる際に、全部物品税にするとかなんとかということはないと思いますけれども消費税全体を洗い直しをするときには真剣になってこれは考えてもらわなければならない。そうしなければ、不公平感というものがあと強くなってくる。そうでなくても、自動車が昔と違ってもう大衆的なものになっているだけに、怨嗟の声ということが起きてくることはもう必至だと思います。あらためてその点の決意だけ聞いておいて、終わりたいと思います。
  203. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) いまのトラック税の議論は、一方におきましては物品税体系の問題として議論されてきております。それから他方は、やはり道路財源の問題として議論されております。どっちからしましても相当真剣に検討しなければならない問題になっておりますが、その際に、ただいま御指摘の点を十分私どもも日ごろから痛感しておりますので、検討対象とさしていただきたいと思います。
  204. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  205. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 速記を始めて。
  206. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 過般、物品税でいろいろ審議をしておる中で、家電関係のカルテルの問題、あるいは再販、いわゆる管理価格の問題ですね、そんなのが公取で審議中だと聞いておりますが、いまこれはどんなふうになっておりますか。
  207. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) おっしゃるとおり、昨年、六社と、それから松下の、いずれもテレビの関係でございますが、結審いたしまして以来、審結案の作成をやっている段階でございまして、わりあいと近い機会に一応の案を得たいという段階にまで来ております。
  208. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは後刻でけっこうですが、あなたのほうで、これは起訴状と言うのかどうか私はようわかりませんが、検察と同じで起訴状でいいのか、起訴状の写しがもらいたいと思うのです。それから判決のほうが出れば、またそれはそのときで、まず起訴状の写しは参考資料としていただけましょうか。   〔委員長退席、理事小林章君着席〕
  209. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 審判開始決定書と申しまして、これこれの理由でかくかくの法律を適用すれば独禁法第何条の違反になるという趣旨の審判開始決定書というのがございます。それがまあ起訴状に当たるものかもしれませんが、それをおっしゃっているのだとすれば、いつでもそれは差し上げるようにいたします。
  210. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 いや、私は、そういうことじゃなくて、もう少し具体的な事項が書かれて、そうしてこうなんだからおまえのところはカルテルだよと、こうなんだからおまえのところは再販価格の法に触れるのだという、そういう具体的なことは書いていないのですか。
  211. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) そのとおりでございます。審判開始決定書というのは、たとえば、三洋電機外六社が、どういう会合で、現金正価、小売り正価なるものの一番最低はこの程度でいきましょうというふうにして、また、マージンも、卸で幾ら幾ら、小売りで幾ら幾らというふうなことをどうも話し合っていたようである、したがってこれは云々と、そういうようなことが書いてございます。
  212. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それじゃ、その資料をひとついただきたいと思います。ぼくはその資料が早くあるとよかったと思うんですが、法律案の審議を終わることになっておりますけれども、それはそれとして、相当長く念入りにかかっておみえになりますが、なぜこんなに受け付けてから結審まで持っていかれるのですか。それから今度は結審があってからまだ時間がかかるというのは、これはどういうことなんですか。
  213. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) これは、独禁法違反事件の場合は、まず、事実についてこちらがかようかようであるというような認定をいたしておるのに対して、その事実関係についての争いがあり、それからその次には法律の適用の問題について、非常に詳細な、微細な点にわたるまで証人を呼んだり、また、それの証拠についてお互いが法律上の争いをやり合ったりということで、たいへんたくさんの数の人を呼んだりして何回にもわたってやっておるというようなわけでございます。   〔理事小林章君退席、委員長着席〕 それで、審判に非常な手間をとったというような事実がございます。結審いたしましてからほぼ十カ月ぐらいたっておるのでありますが、その間時間がたっておりますのは、やはり具体的にそれをどういうふうに考えて適用していったらいいかということについての論理構成と申しますか、それと、その裏づけになる証拠というものの選択、それについて非常に慎重に、たとえ裁判になっても絶対に負けることのないようにという観点から見ておるということのために時間がかかっております。
  214. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうしますと、こういう問題が出たとき、これは名前を言ってもいいのですが、松下ですね、あと家電六社ですけれども、どのぐらいかかっておりますか、大づかみに所要年限といったほうがいいでしょう、期間は。
  215. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) いまのおっしゃる意味は、被疑事実を見つけてからの話でございますか。
  216. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうです。
  217. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) それでは、三洋電機外五社、この件についてでございますが、審査を開始いたしましたのが昭和四十一年十一月八日でございます。それによりまして勧告をいたしましたのが同じく昭和四十一年十二月十四日。勧告をいたしましたところが、それに応じないということで、すぐ審判開始に切りかえたわけでございますが、審判開始決定が同じく昭和四十一年十二月二十七日で、第一回の審判が昭和四十二年の一月三十一日、それから審判が三十九回行なわれまして、結審が昭和四十四年の六月七日でございます。  それからもう一つの松下電器産業の件でございますが、審査開始が昭和四十一年十一月八日、勧告が昭和四十二年七月二十一日。これも同じく勧告を受け入れないということで審判開始をいたしましたのが昭和四十二年八月十四日。第一回の審判が同じく昭和四十二年の九月十八日でございます。自後二十八回審判を行ないまして、結審に至りましたのが昭和四十四年の五月八日ということになっております。
  218. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 相当長期審判になっておるわけですが、こんなにかかって実際実効があがるものかどうかという点ですが、拙速ではたいへんだと思いますね。それから誤った結審をやられてどっちも傷つくようなことがあれば、なおたまったもんじゃないと思うんですね。しかし、それにしても、こんなにかかっておっては、これは消費者のほうがたまらぬと思うのですがね。実際問題としてカルテルをやられておる、実際問題として管理価格でやられておったとすれば、せっかくの自由競争の中で需給関係で値段がきまっていくものだというのに対して、たいへんなことになると思いますが、今後何か運用上もう少し実効のあがるというようなことについて検討はされておりませんでしょうか。非常にむずかしい問題でしょうか。
  219. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) ただいまのお話は、二つあると思います。一つは、私どものいたしますいわば勧告とかあるいは審決とかいうことは、まず、そういう価格の協定とかあるいはやみ再販とかいうようなことをやっている事実を排除する、取りやめろ、破棄しろと、こういうことでございます。それはできるだけ早く実行できたほうがいいわけでございまして、その点では、まず審判なりあるいはそういった手続なりの問題をできるだけ早くするようにしたらどうだと。それが、いま成瀬委員のおっしゃるとおり、拙速でははなはだ困るのですけれども、できるだけそういうことを迅速に処理できるようにわれわれとしてはつとめなければならない、それが第一点であります。  第二点は、その実効があると申しましても、私どものほうは、協定はやめろ、それを破棄せよ、自由に戻せということを言うのでございますが、現実の実態はいろいろな形でまたかりに協定が破棄されましても動いている。独禁法というのは、あるいは独禁法に基づくいろいろな審決なり何なりというものは、一体具体的に値上げを阻止するだけの力があるかとか、どうとか、こういう問題がよく議論されております。この点に関する限り、私どもは、いわば物価庁と申しますか、物価それ自体をつかまえて云々するというのでなくて、それのもとになる自由にして公正な競争の条件を確保するという立場に立っておるわけでございますから、そういう意味で、価格それ自体をいきなりどうすると、こういうようなことには私どものほうはならないわけでございます。しかしながら、一たびそういうかりに不当ないろいろな公正な取引を乱すあるいは自由な競争を制限するような行為があることに対して、常に公取がそういうことはいけないというふうにして手を入れていく、ことばは悪うございますが、ということ自体、また、そういうことが表に出ること自体が持つ一つの警世的な効果と申しますか、警世というのはことばが悪いですね、戒めになる、世間の人もそれを知る、そういうようなことによる効果というものは私はあると思います。そういう意味で、いわば直接的ではございませんが、間接的な効果はあると思います。
  220. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 現にいまカルテルを認めておられる数は、大づかみにわかりましょうか。
  221. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) いわゆる独禁法適用除外カルテルと申しますか、独禁法に基づくカルテルまで含めて八百九十四くらいだったと思いますが、もし内容について詳しいことであれば、事務局長から答弁させます。
  222. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 独禁法の適用除外になっておりますカルテルの数でございますが、これはただいまうちの委員長から申し上げましたように、昭和四十四年十二月末で八百九十四ということになっております。  それで、その経過でございますが、昭和二十八年の三月の末で五十三ありましたのがだんだんにふえてまいりました。ピークが昭和四十一年の三月末で、このときは千八十二と適用除外カルテルの数がなっておりますが、その後少しずつ減りまして、四十四年の十二月末で八百九十四ということになっております。
  223. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは、長いのはどのくらいになっておりますか、適用除外が。
  224. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) ここには全部の適用除外についてのあれはございませんが、中小企業団体法関係のカルテルでございますが、それで見ますと、四十四年の十二月末現在、安定事業、つまり数量制限とか価格制限、これに関しますものが四十二、それから合理化事業に関しますものが二十四、これが三年未満の数字でございます。それから三年以上五年未満、これが安定事業に関しますもの五十一、合理化事業に関しますものが一つ。それから五年以上十年未満、これが安定事業に関するものが百六十九、合理化事業に関するものはありません。それから十年以上継続しているもの、これが安定事業に関しますもの百九十、合理化事業に関しますものはありません。結局、四十四年の十二月末現在におきまして、全部の数は、中小企業団体法の適用除外カルテルの数が四百五十二、安定事業に関するもの、合理化事業に関するものが二十五、合計四百七十七ということになっております。
  225. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは通産省あるいは中小企業庁等といろいろと御相談になると思うんですが、まあ、ぼつぼつはずしていいようなものが出てきてはいやしないか、実際はどうですか。
  226. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) それはただいま検討中でございまして、中にはあると思います。それでそれがはっきりいたしますれば、こちらは協議を受けるわけでございますが、期間延長の際——大体一年ぐらいで更新しているわけです。そのときに、これはやめてくれというような申し入れをいたしたいというふうに思っております。
  227. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 とにかく、ここ五年なり、あるいは長くいえば十年といえば、経済の変動というものはたいへんなものなんですね。それが何年か続いておると。確かに、不況カルテル等のものでも、なるほどあるときには必要であったけれどももう終わったと、あるいは地域的に必要だったけれどももう終わったと、合理化も何にもならなくなっちゃったと、いろんなことでもう少し独禁法の運用というものが、価格形成の上に大きな役割りを果たしておるわけですから、定員数から見ましても非常に少なく、しかも、仕事もいま言ったように非常にデリケートな仕事であって、しかも、及ぼす影響というものは非常に大きなものですから、運用そのものが非常に慎重ですね、そんなことでたいへん御苦労であると思いますけれども、しかし、与える影響はほんとうに大きいですから、価格なんかに与える影響は非常に大きいですから、私はそういう意味では期待は持ちたいわけです。ですから、たいへんお仕事のえらいところへ過大な注文をしては恐縮だと思っておりますけれども、それにしても、もう少し時間短縮というものをやる上において——これがだんだん長くなる傾向がかえって不利になれば、私がもし当事者であって不利なことをやって疑いを持たれたらどうやったらいいかといえば、四、五年やっておればもう管理価格の目的は達しちゃうんですよ。争いになって審決が出るときにはもうそんな用件はなくなってしまうんです。社会環境というものは済んじゃっているんですね。それじゃ何をやっていたんだと、ほんとうにから鉄砲みたいな、から回りになっちゃうから、そこのところを実効をどうするかということが問題だと思うんです。われわれのほうも、どういう知恵があるかというと、いまここでないんですが、何かから回りしているような気がしてならないんです。ですから、そこをどうやっていただくかということです。ですから、谷村さん、えらい恐縮な話ですけれども、あなたのところで——ぼくは、普通、これだけ寡占化してまいりますと、どんなものからどれだけカルテル行為をやったかということはなかなか証拠はつかめぬかもしれませんが、いま、やっているほうが常識であって、やらないと思うほうが非常識じゃないかぐらいじゃないかと思うんです、これは悪く想像すると。いやいや、そうじゃない、もっとみんな商業道徳に目ざめて、ほんとうにそういうことはしておりませんよ、こう言われるかもしれぬけれども、実態はどうもむしろ利潤追求、いわゆる生存競争に生き抜かなければならぬというところが強くなってきて、しかし、せっかくここのところまで到達したのだから今度は保全に回らなければならぬということでそういう傾向が強いのじゃないか。そういう中におけるいわゆる公取委員会の果たす役割りは物価対策の大きな一つのきめ手なんですよ。柱といえばほんとうに大きな柱だと思うんです。そういうことに対してどういう立場をとっているんですか。
  228. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 先ほどから伺っておりまして、あとのほうのいわゆる寡占企業等における管理価格の問題、これは確かに今後における経済の中での大きな問題になってくる気持ちを私も同様にいたしております。  その前に成瀬委員から御指摘のありました例の長くなっている不況カルテル、特にこれは中小企業が多いわけでございまして、とりわけ先ほど事務局長が申し上げました百九十の中小企業のいわゆる不況カルテルの中のたしか百五十ぐらいが繊維関係であったと記憶いたしておりますが、一様に長くかかって、構造改善を片方ではいろいろしていかなきゃならないという状況、これにはずいぶん所管の省も苦労しておられるようであります。御承知のように、先般も物価のほうの一種の提言が出まして、行政介入もある程度考え直したらどうだというのに対して、通産大臣以下通産当局もこういう問題をもう一ぺん洗い直してみようと言っておりますので、私どものほうも、先ほど事務局長が申しましたような形で毎回申しておることでございますから、それはそういう方向で進めたいと、こう考えております。  しかるところ、もう一方の管理価格の問題という、ことばはちょっとむずかしいのでございますが、いわゆる寡占企業等において、おっしゃるような意味のはっきりとした協定とか申し合わせとか話し合いとかいうのはないけれども、何となくお互いがお互いこういう情報社会でございますから話がわかって、ある種の有力な企業のところで価格というものがきまりますと、あとがそれに追随していくというそういう形の問題、これは私どもが極力競争条件の整備につとめ、あるいは海外との貿易関係、特に輸入関係どもこれをできるだけ自由にして競争条件を整えていくという方向、これがいいと思うのでございますが、実はもうアメリカでもヨーロッパでもそういうのが大きな問題になってきていて、これにどういうふうに対処していったらいいのか、ただ独禁法、アンチカルテル法というようなものだけでやっていけるか、それとも、もっとある程度介入と申すとおかしいのでございますが、政府がその行動を正すような形でやっていくのがいいのかどうか、たいへんな議論が最近も行なわれておるようであります。私どもももちろんそういうことの実態の調査などもいたしますけれども、たとえば価格だけの競争ではなくて、もう一つの、消費者に広告宣伝等によりましてイメージを植えつけてしまって、そこに一つの、これを別のことばで言うと製品差別化というふうなことばがございますが、私はこれでなきゃきかぬのだというふうに思い込ませるような、そういう世の中にだんだん変わってきている。単純に自由な価格競争が行なわれるようにと思っても、なかなかそうはいかないようなそういう状況もある品種については出てきております。  それこれいろいろ考えてみまして、これからの管理価格的なもの、あるいは寡占企業あるいは企業が大規模化することによる価格形成の姿をどういうふうに持っていったらいいのかということは、私も実は公正取引委員会に参る前に独占禁止懇話会のメンバーになっておりましたときから自分自身でもどういうふうに考えたらいいかということでいろいろ考えておったのでございますが、私自身どうも責任の立場にある程度立つようになりまして、ただ、私ども立場だけからでは必ずしも十分手が尽くせない問題じゃないか、かように考えて、成瀬委員のおっしゃるような気持ちと相当似通った気持ちでものごとを考えております。ただ、ちょっとおっしゃったような、公然の秘密として当然そういう話し合いがあるのじゃないかというふうには、はたしてそう言えるかどうか。日本はそれでもまだ競争条件の激しい国であるという実体は私はかなりあるというふうに思っております。
  229. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もうぼつぼつ予算委員会の採決に入るころですが、今度の予算であなたのほうは何か人員を要求されたり——この前、渡辺さんのときに二十七名ぐらいの人員要求その他をしたということですが、今度は何かそういうようなことをやられておりますか。
  230. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) どこの官庁でもそうでございますが、できるだけ十分な仕事をしっかりいたしたいというつもりで人員の要求をいたしましたが、その結果は、いわゆる定員はできるだけふやさないという方針ではございましたけれども、私どものほうに九名の増員を認められてございます。
  231. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 トータルはどのくらいになりましょうか。
  232. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) ちょっといま数字を拾いますけれども、三百四十八人が去年の定員だったと思いますけれども、それに九名ふえますと、三百五十七名になるかと思いますが、いまちょっと数字を拾いますからお待ちください。
  233. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 四十五年度で三百五十一名ということになっております。
  234. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 実は、ちょうど十年前、「昔陸軍今総評」ということばも一つあった。それから「官僚」ということばもありましたね。いま何と言われるのか。やはり「公取」が一番風当たりが強いときです、何といったってね。政治的に見ましても、公取の動き方いかんによってはいろいろな問題が出るだろうと思って、谷村委員長えらいところへお行きになって、これは大蔵よりもえらいでしょう。これはたいへんだと思うが、しかし、だれかがそういう姿勢を正すことをやらなければならぬ。ほんとうは石原さんみたいに開銀あたりに行ったほうがよっぽどよかったと思うが、(笑声)ひとつ姿勢を正すように公取の御健闘をお祈りしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  235. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  236. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 速記をつけて。
  237. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは問題は小さいといえば小さいわけですが、私のちょっと知り得た情報によってですが、ずっと古い話で、二、三年前にあった話ですが、ある企業が一つの相互銀行から金融を受けて、そうしたら経営がうまくいかなくて倒産した。その倒産になるのも、一つの相互銀行が、おまえの持っているものはみんな持っていらっしゃい、そのかわりおまえのところを一手にめんどうを見てあげましょう、よその銀行へ二つも三つもやっているのはいざというときにたよりにならないから、みんなわしのところで一緒にやりましょうというので担保をかき集めて、金融をとめられたから不渡りになって倒産してしまった。そうしましたら、どうやったかというと、担保は借りておるものに対して十分あるわけですね。そこで、返せという。金はないから返せませんよ。それじゃ私のほうは競売にいたしますと、こうなる。それから競売というのも、何も法律的に違反ではないわけです。ところが、御案内のとおり、競売であの物件で競争入札に行く人は業者が限定されていますね。これがまた話し合いをされることは常識的に想像される。ですから、相談をして一回流しますと、大体一割ないし一割以上ダウンするのがあたりまえですね、普通の相場よりも。二回、三回くらい談合でやらしておいて、四番目くらいに入札されますと——これは裁判所も認めておりますように、一応時価で実施する、そうしてこうやって大体落としてまいりますから、四番目くらいの入札になると、時価の半分くらいになってしまうのです。それでも、なおかつ、銀行は、貸しておる金を全部返してもらえるわけです。こういうやり方は、過保護を受けておる銀行のとるべき筋じゃないと思うんですね。もっと言えば、銀行は、今日、担保の関係がありますから、不動産業をやっておることはどこの銀行でもやっています。それが裏で業者と結託をされておったら、たまったものじゃないですよ。これは殺すも生かすも自由なくらいな、追いはぎで体ぐるみ裸にすることまで自由になっちまうというような、そういうことができるわけですけれども、これを何かチェックするというか、何か方法はないものでしょうか。
  238. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) ただいまお示しのような事件が比較的最近多うございまして、そこで、ちょうど昨日、検査の際の心得の一つといたしまして、従来は、実は、銀行検査の場合には、貸し倒れを生じない債権確保を確実にやれということが明治以来と申しますか、非常に強い要請であったわけでございますが、最近の情勢におきましては、債権確保はもちろんのこと、しかし、反面におきまして、やはり社会性、公共性という面からいきましていわゆるあこぎなことをやるということはよろしくないと、そういう意味で、法律的にはただいまのような手続は実はとやかく言うべき点がない場合のほうが多いし、それからまた、実際にその担保を処分いたします場合に非常に急を要しますものでございますから、どうしてもいまおっしゃいましたように値段が比較的に安くなってしまうというような点が間々ございますが、しかし、そういういわばあこぎなやり方をあまりたびたび重ねるというようなところにつきましては、ひとつ検査の際に十分調べてまいって、しかるべき警告を発する、注意を与えるというようなことを主眼として検査の際に見てきたらどうかということを申しましたばかりでございますが、やはり銀行検査におきまして、債権確保ということの反面におきまして、そういう公共性、社会性という観点を十分に重視してまいらなければならないというふうに考えております。
  239. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、これは今度の銀行監査をやられるときの一つの行政指導の柱に取り上げられた、そしてそういうことのないようにということですか。しかし、これは法律的に何かやるというわけにはまいりませんか。
  240. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) 法律的には、いろいろ検討はいたしておりますのでございますが、なかなかむずかしい問題がたくさんございまして、一つ何かの方法を講じましてもまたその裏があるというようなことで、そういう回収不能になりましたような人とそれから金融機関との間の力関係、そのほかいろいろな基本的な条件から見まして、法律的にこれを救済するような方法、これは法務省でいろいろ御研究願っている過程のように承っておりますが、そういう法律的な方法よりは、ただいま申し上げましたように、やり方としてそれぞれの方法なり処分なりというものがございますので、そういう点について検査の際に十分注意してまいる、そしてそういうやり方がたび重なったところに対しては警告を発するという方式が一番実効の上がる方法ではないかというふうに考えております。
  241. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私も、警告と、こうおっしゃったのですが、まあ調査されただけで相当効果が実際にありますから銀行にはえらいおそろしいもののようですから、そういうことでけっこうだと思います。それでいいと思います。なお、そういう問題がまたずっと出てくるようであったら、一度法律のほうの問題としても御検討願えれば非常に幸いだと思っております。
  242. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  243. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 速記を起こして。
  244. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣に、時間がございませんから、五点質問いたします。  第一は、金融再編成の問題ですが、民間金融機関の再編成については一応中間答申というのが出ておりますが、私は、単に民間金融機関だけでなく、資本市場もそれから制度金融とか政策金融も含めて、総合的な金融再編成を考えなきゃならぬと思います。ところが、制度的にはばらばらのようですね。たとえば民間金融機関については、その制度を審議する機関としては金融制度調査会、それから財政は財政制度審議会がある。それから証券については証券取引審議会というのがある。それから郵政審議会というのがあるわけですね、郵便貯金のほうは。みんなばらばらだと思うんですよ。だから、こういう制度が審議会とか調査会とかあるんですが、これがそれぞれみんな都合のいい立場で再編成を考える。たとえば、金融制度調査会では、市中銀行の擁護とか保護の立場に立った再編成が考えられているとか、あるいは、証券取引審議会のほうは、自分のなわ張り争い的な、そういう立場考えられる。これでは、私は、新情勢に対応する全体の金融の再編成は総合的に行なえないんじゃないかと思います。そこで、四つのいま申し上げました審議会とか調査会がありますから、これを総合したような機関を一つつくって、全体として、資本市場も含め、あるいはまた政策金融も含め、あるいは市中銀行も含めたそういう再編成をやらなければいけないと思う。この金融再編成についての御答弁を願いたいのが第一です。  それから第二は、物品税につきまして、四十六年度予算編成にあたって物品税の引き上げは具体的にどういうことを考えられているのか。いま、物品税の洗い直しをやると。それで、大蔵大臣は前から所得税中心から間接税中心に移行するというようなことを言われているのですから、そこで、四十六年度に一いま洗い直しをやっているそうですから、じゃどういう品目について引き上げるのか、この点が第二の質問です。  それから第三は、入場税の問題ですが、本年度入場税の減免をやろうと思ったけれども物品税との関連で困難であった、四十六年度はぜひこれを考えると言われましたが、入場税の減免措置は、あれはわれわれは撤廃を要求しているのですけれども、ことに芸能関係についてはですね、芸能関係についての入場税の撤廃をするのかどうか、それからもし撤廃はしないけれども入場税についてはこういう減免措置を考えているということの考えがあったら、それを伺いたい。  第四番目は、課税最低限の問題ですが、私調査してみたんですけれども、夫婦子供三人で百三万円まで引き上げたんですけれども、戦前は夫婦子供三人で千百十七円です。最近の日銀の消費物価指数で換算してみたら、百六万円なんですよ。戦前の基準に達していないんですね、いまの物価に換算して。だから、少なくとも戦前基準にまでこれは引き上げるべきである。これは今度四人世帯にしたら、さらに引き上げなければならぬわけですね。だから、こんなにもう経済が成長しているのに戦前の基準まで達していないというのは問題だと思うんですよ。ですから、できたら補正でこれをやってもらいたい、補正で。これは自然増収は必ずありますから。なかったら出してあげます、ちゃんと出ますから。だって、成長率が違っちゃったんでしょう。物価の値上がりも予想より違っちゃった。必ずふえます、千億、二千億は。三千億ぐらい必ずふえます。  それから最後に、きょうもうここで予算が通って四十五年度予算がいよいよ実施の段階に入る。この実施運用について、もうすでに私が主張するようにこの予算は景気刺激的な予算であります。ところが、政府が最近私の立場にどうも賛成せざるを得なくなったようでありまして、繰り延べ的な予算の措置を講じているようです。四−六月については補正が出ておくれましたね。このおくれを回復しないというんでしょう、そのとおりにしておいて。実質的には繰り延べになるんですね。もし繰り延べにならぬと、下期にうんと使うことになりますからね。ですから、やはり大蔵大臣は非常に頭がいいですから、もう見抜いちゃって、インフレになるのだ、木村の言ったとおりになるだろう、これは繰り延べ的に運用しなきゃならぬと、そういうふうにお考えになっているように最近の実績見ると考えられるのです。その点、私は、立場は違っても、これはいいことだと思うんです。  この五点について質問いたします。
  245. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まず、冒頭に、私がことしはインフレになるのだということを賢明に見通しているというお話しですが、そういう見通しは持っておりません。何とかして物価の上昇を取り押えたいと、こういうことを全面的にいたします。  五点についての質問でございますが、まず、第一は、金融制度なんかのあり方の問題です。これは、お話しのとおりだと思います。各審議会がそれぞれの立場でどうしても偏向があろうかと思います。その点は十分調整しなければならぬというふうに考えます。それで、制度的にも、偏向がないようにという配意はしております。つまり、委員を、証券取引審議会でありますれば、金融関係の人も入れる、財政関係の人も入れる、こういうことです。それから金融制度調査会であれば、証券の関係の人も入れると、こういうようなことになっておりますが、その間偏向があっては困りますから、大蔵省において十分調整をとるように努力いたしております。新たに総合調査会をつくってそうして論議をすると。これは屋上屋になるのではないかというような気がしますので、そういう考え方はどうかと思いますが、御趣旨はごもっともでありますから、その方向で努力をいたします。  それから物品税につきましては、昭和四十六年には総洗いというか洗いがえをしてみたいと思います。それで、物品税対象品目税率課税最低限、そういうものを全部調査してみまして経済情勢に合うようにいたしたい、さように考えております。それからその際に、新しい対象を設けるかどうか、そういう問題が大きな問題になると思います。私どもは、道路問題、あるいは新幹線問題、いろいろそういう金のかかる問題に当面しておりますので、何か考えなければならないと、こういうふうには考えておるのですが、まだその何かというものが何であるか、そういうものは具体的に構想が固まっておりません。  それから入場税の課税対象はという話でございますが、これは、この前から申し上げておりますように、入場税については再検討いたします。そして、課税最低限の引き上げ、これが大体主であろうかと思います。木村さんはなまものについての免税について非常に御熱心でございますが、これはうまくそういうふうな考え方ができるかどうか、はなはだ私も心細く思っておるのであります。まあこれは全面的に検討してみますが、いま申し上げられることは、課税最低限を適正なところに持っていくということで、その他は今後の検討問題ということに御了承願いたいと思います。  それから標準世帯のとり方でありますが、これはお話しのとおりです。戦前基準年次を物価換算しますと、私ども計算では百五万円ということになる。まあ百三万円というのですから、大体これは同じ水準だというふうに思いますが、戦前比較との場合に考えておかなければならぬ問題は、戦前は所得税というもののウエートが非常に少なかった。とにかく、今日、税収入が九〇%税収になっておる。その中で直接税が六五%になっておる。戦前はどうかというと、税収入が大体半分です。その中で所得税の占める割合というものは三五%、そういう状態と今日の状態の課税最低限の比較、それを同じ額であるかどうかという見方をするのはまあどうかという問題もあるのです。それからいま、国民所得が、何倍になっていますか、五倍以上になっておると思います。まあたいへんふところがよくなっておる。その際における課税最低限が一緒であるその響き——私は、百三万、百五万と大体同じかっこうになっておるが、その響き方はどうかということもまた考えていかなきゃならない問題だというふうに思います。しかし、私は、前からも申し上げたように、最低限につきましては、この上とも積極的にその引き上げ方に努力をします、こう申し上げておるのですから、それでひとつ御了承願いたい、かように存じます。  それから予算の繰り延べ、これは私はいまこの段階で、今日予算が通る、せっかく皆さんに御審議いただいた予算を繰り延べいたします、そういう言明はできません。そういう気持ちになれません。これはそのとおり実施いたしたいという一念であります。しかし、これは景気の動向とにらみ合わせまして、その執行にあたりましては調整はしなければならぬ、こういうふうに考えておりまして、第一・四半期の支出につきましては、大体公共事業費が景気と関係があるわけですが、これが前年は一四%になります。今年は公共事業費は総予算の中の一二%方に押えるという考え方をとっているのですが、そういう考え方をとらなくてもそうなっちゃう。なっちゃうのは、暫定予算十七日間ということになりますので自然にそうなっちゃうのですが、多少景気調整の意味も加えまして自然の成り行きにまかして、そうして特に取り戻しはしない、こういう考え方をとっておる次第でございます。
  246. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 物品税の問題で一つだけ、これは大臣でないと御答弁が出ない問題ですからお伺いしたいのですが、消費税の表示制度の問題です。価格の中に現在の物品税にしても消費税にいたしましても税金が入っておると、そういうことで、国民にとっては、一体値段の上がったのは税金によるものなのか何によるものなのかわからない。はっきり申し上げれば、品物を購入する場合に、税金は幾らであるということがはっきり表示されればされるほど、税に対する関心も強くなる。それが財政についても関心が高まり、私はそれがほんとうの財政の民主化という意味で好ましいことだと思っているんです。いままでもいろいろ検討はなされたかと思いますし、きのうの答弁では傾聴に値するなんという答弁があったんですけれども、直接税の負担感が大きいから、間接税のように知らないうちに取られるような方式がよくて、表示制度をしないほうがいいという、そういう意見では、ちょっと感心できないと思うんですが、税額の相当額を購入する側の人がそれだけは負けろというようなことが起きたりしては困るというようなことも言われているわけですけれども、はっきりとアメリカがやっているようにこういうものは区分して表示をするということをしたほうがいいのではないかということが考えられるわけなんですが、この点について、これは政治的な問題だと思いますので、事務当局の答弁ではとても出てこないことでございますので、大臣の御答弁をお伺いしたい。
  247. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 鈴木さんのおっしゃられる御意見は、私は、一つの理論である、そういうふうに思います。決してこれは理由のないことではないと、こういうふうに思います。しかし、他面において、業者が商品を販売する場合におきまして、税とそれから税以外の部分と区別をする、この方式になじんでおりませんものですから、そういうようなことで業者がいやがるという傾向もあるのです。それから同時に、私が常に申し上げておることでありますが、負担感ですね、こうはっきり税金が出ますと、おれはこれだけ税を負担するのかと、こういうようなことで、負担感をなるべく緩和しようという考え方と多少食い違うような面も出てくる。これは一利一害だと思います。私はここでどっちがいいのだという判断をつけかねる問題ですが、せっかく御提案の問題でありますので、十分各方面の意見を聞いて検討してみたいと、かように思います。
  248. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 以上をもって、四案の質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  250. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 四案のうち、物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案に反対でございまして、反対の理由を申し上げたいと思います。  本委員会でも、一体、物品税とは何ぞやというような定義等の問題まで議論が出たわけでございますが、いずれにいたしましても、物品税の性格なりあるいは設置の政策目的が世上の変革しているのに対して対応性を欠いておる。物品税法全体を総洗い直すべきである、また、洗い直すというような答弁等も政府側からございましたけれども、とにかく従来の成り行きにまかせて今日までやってきたというのが実情ではなかろうかと思います。したがって、税の公平性というものを失しておるのではないかというのが第一点でございます。  第二点は、政府間接税増徴するというようなことをほのめかしておみえになりますが、一番大切な問題は、物価と関連をいたしまして管理価格の問題でございます。こういう疑いのあるものに優遇措置は絶対にすべきではないし、また、税制上過保護をするというようなことは絶対に慎むべきであります。  この二点で反対でございます。
  251. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 四案のうち、物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について反対をいたします。  その反対の理由は、いま成瀬委員からの討論の中にございましたけれども、私は、物価との関係において賛成しがたい。特に、ここのところで道路財源等としてトラック税そのほかの新設等が言われておりますが、自動車の税金については、自動車取得税、あるいは自動車税、そのほかに揮発油税というふうに過重に税金がかかっている一方において、そうでない品目もあるというように、不公平さが非常に多い。総洗い直しをするというような言質もございました。当然それを期待しておりますが、そういう点においてまず反対の第一。  第二番目は、管理価格の形成されているような物品、これに対しての優遇措置ということは、税法上は行なうべきではない。それが今回もそのまま継続されるような形で出てきたということは、非常に遺憾と言わざるを得ない。  この二点をもって反対の理由といたします。
  252. 渡辺武

    ○渡辺武君 日本共産党を代表して、物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案に反対いたします。  この法案は、家庭用電気器具など大衆消費物資に物品税の重点を置こうとするもので、大衆収奪と物価値上がりを一そう激しくするものであります。  また、きのうの私の質問に対する大蔵当局の答弁で明らかなように、政府は、今回の措置によって、事実上売り上げ税にかわる効果を果たさせ、売り上げ税創設への道を開こうとしています。  日本共産党は、生活必需品にかかる物品税と、国民生活に大きな打撃を与える売り上げ税に反対する立場から、本法案に反対し、討論を終わります。
  253. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより順次採決をいたします。  まず、日本開発銀行法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  255. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 多数と認めます。  よって、本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  256. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 全会一致と認めます。  よって、本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  257. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 多数と認めます。  よって、本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、関税定率法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  258. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 多数と認めます。  よって、本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
  259. 沢田一精

    ○沢田一精君 私は、ただいま可決されました四法律案のうち、日本開発銀行法の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、公明、民社の四党共同の附帯決議案を提出いたします。  その内容につきましては、お手元に配付いたしましたので、朗読を省略させていただきます。  何とぞ御賛成くださいますよう、お願いいたします。
  260. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) ただいまの沢田君提出の附帯決議案を議題といたします。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  261. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 多数と認めます。  よって、沢田君提出の附帯決議案は、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。福田大蔵大臣
  262. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。
  263. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十五分散会      —————・—————   〔参照〕    日本開発銀行法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は次の諸点に関して十分に配慮すべきである。 一、経済社会の高度発展に対応して、日本開発銀行が政策金融機関としての機能を十分に発揮し得るよう制度および運営について検討を加え、また融資の選定にあたっては、公害対策、都市再開発、地方開発等において、国民生活優先の融資に努めること。 二、民間金融機関と政府関係金融機関および政府関係金融機関相互間の業務分野の総合調整について改善に努めること。  右決議する。