○渡辺武君 そうしますと、日本の
物品税制度、間接税制度の従来の歴史を
考えてみますと、戦前は主として奢侈品ですね、これに
課税されておったというのが特徴だと思います、大まかに言いまして。ところが、戦争中になりますと、先ほどおっしゃいましたように、戦費調達のため、それからその反面で言えば大衆消費の抑制というような性格があって、かなりいろいろな
品目に税金がかけられていた。そうして、終戦後しばらくの間は、その消費抑制
——もちろん戦費調達というのはなくなったわけですから、消費抑制という性格はだんだん取り除きながら整理が行なわれてきたわけですね。ところが、昭和三十七年ころからいわゆる大衆消費になる可能性のある耐久消費財などが
課税品目の中に大量に組み入れられ始めたという特徴があるのじゃないかという
感じがするわけです。
そこで、その点から
考えてみますと、やはり、
物品税というのは、これは何といっても特殊な奢侈品にかけなければならぬ。そうして、大衆に課
税負担のかかるようなものについては、極力これは制限しませんと、野放しにしていけば、ますますもって大衆
課税の性格が強くなると思うのです。ですから、一時期一部の階層が、たとえば先ほど
お話がありましたパッケージ型クーラーだとか、あるいは冷風扇ですね、こういうようなものは、一部の家庭の消費財であったかもわからぬけれ
ども、漸次これが大衆の家庭の中に入っていって大衆消費財になっていくというような場合に、これは
税率を引き下げるとか、あるいはまた、大衆に課
税負担をかけないようにこれをやめるとかというような措置をとることが正しい
物品税制、間接税制のあり方じゃなかろうかというふうに私は思っているわけです。ところが、それに反して、昭和三十七年ころから、まさに大衆
課税の性格を持った
物品税制にかなり大規模に移行し始めた。これが
一つの大きな特徴になっているのじゃないかというふうに思うわけです。昭和三十五年に日米安保条約が結ばれて、そうしていわゆる高度成長政策というようなものもその後に打ち出されるということで、まさに国の財政が一部の大企業の高度成長のために最大限に奉仕され始めたという時期と歩調を合わせて、
物品税の大衆
課税的な性格がますます強くなってきているというふうに理解せざるを得ないように思います。
ところで、今回、
大蔵大臣は、
物品税の性格を根本的に変えるというような趣旨のことを述べていらっしゃいますけれ
ども、その性格を根本的に変えると言われているその内容をもう少し具体的に御
説明いただきたいと思います。