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政府委員(
上林英男君)
関税定率法等の一部を改正する
法律案につきまして、改正案の
内容を補足して御
説明申し上げます。
まず、関税率の改正について申し上げます。
参考として
提出いたしました
昭和四十五年度関税改正案一覧表の総括表にありますように、今回の改正対象品目は合計五百八十一品目であり、その内訳は、新たに関税率の引き下げを行なうもの百十一品目、関税率の引き上げを行なうもの一品目、暫定税率の適用期限の延長等を行なうもの七十五品目のほか、いわゆる関税格差の解消その他の
措置を継続して実施するための法律上の
手当てを行なうもの三百九十四品目となっております。
なお、この五百八十一品目のうち、関税定率法別表の改正によるものは一品目であり、他の五百八十品目は関税暫定
措置法の別表の改正によるものであります。
個別の品目に関する現行税率及び改正案につきましては、この
資料を御参照いただきたいと存じますが、以下、今回の改正のおもなものについて御
説明いたします。
ナチュラルチーズにつきましては、今回、関税割り当て
制度を新設し、国産品を使用するチーズ製造者に対し、国産品の使用量に応じて通常の三五%の関税率より低い一〇%の一次税率による関税割り当てを行なうことにより、国産ナチュラルチーズの使用を促進することといたしております。
次に、バナナにつきましては、明年度も、なお現行の六〇%の暫定税率を継続することといたしております。
次に、紅茶につきましては、本品が開発途上国の関心産品であり、また、消費生活にも関連の深い物質であることを考慮しまして、関税率を三五%から二〇%に引き下げることといたしております。
次に、トウモロコシにつきましては、これから製造されますコンスターチと国産のイモでん粉との競合
関係を調整するため、従来から関税割り当て
制度を実施してきたところでありますが、最近におけるコンスターチ企業の
生産の動向等を勘案し、今回、二次税率を引き上げるとともにスライド関税を採用し、あわせて
制度の期限を三
年間といたしております。
次に、大豆及び菜種につきましては、これも消費生活と関連の深い物資であること及び食用油の自由化を控えていること等の事情を考慮し、関税率をそれぞれキロ当たり二円四十銭及び四円に引き下げることといたしております。
次に、小売用医薬品につきましては、卸売り用のものとのバランスを考慮して、関税率の引き下げを行なうことといたしております。
次に、小型乗用車につきましては、わが国の現行関税率は欧米諸国に比較して高率でありますが、わが国の自動車産業の
生産及び輸出の現状にかんがみ、かかる高率の関税を維持する必要がなくなってまいりましたのみならず、これがかえって輸出の障害となるおそれも出てまいりましたので、今回、関税率を二〇パーセントに引き下げることといたしております。
次に、協定税率が適用されない国の産品に対する関税格差の解消の
措置について御
説明いたします。この問題につきましては、
昭和四十三年三月の当
委員会における附帯決議の御趣旨に沿って、昨年度までに三百五十三品目の関税格差の解消を実施したところでありますが、これらの
措置はすべて明年度にも継続し、ケネディラウンドの進行にあわせて引き下げを行ないますとともに、これまで格差解消の例外となっておりました品目のうち干しブドウ等五品目を追加し、また、
昭和四十三年に新たに輸入の行なわれたもの等三十五品目につきましても、格差解消の
措置をとることといたしております。
以上が関税率の改正のおもなものであります。
次に、関税の減免
制度等の改正について申し上げます。
今回新設されるいわゆる重油脱硫減税
制度は、亜硫酸ガスによる大気汚染公害問題の緊急性にかんがみ、燃料重油の低硫黄化を助成する
措置でありまして、水素添加脱硫装置によって脱硫される重油の数量を基準にして、脱硫重油一キロリットル当たり三百円に相当する金額を、その
原料となる輸入原油の関税から軽減するものであります。
また、
昭和四十四年度に新設されました加工再輸入品に対する減税
制度の適用対象品目としてすでに指定されております十一品目に加え、今回、
国内産業に影響を与えるおそれがないと認められる半導体集積回路等三品目を指定することといたしました。
関税定率法
関係では、輸入豚肉の関税減免
制度の手直しを行なうことといたしました。すなわち、豚肉の
国内卸売り
価格が安定上位
価格をこえて騰貴している場合に限り減免
制度が発動されることとなっております点を改め、安定上位
価格をこえて騰貴するおそれがある場合にも関税を減免できるようにする趣旨でありまして、
国内生産に支障を生じないよう留意しつつ、必要に応じ弾力的に運用してまいりたいと考えております。
また、輸出貨物の製造に使用される
輸入原料品の関税を払い戻すいわゆる輸出戻税の
制度につきましては、その適用範囲を拡大し、蒸気等の発生装置に使用される燃料油の関税負担をも戻税額の算出基礎に加えることといたしました。
このほか、今国会で御審議をお願いすることになっております教育的、科学的及び文化的資材の輸入に関する協定への加入に伴い、同協定上の義務を履行するため、ニュース映画用のフィルム及びニュース用のビデオテープについて免税規定を設けるとともに、国連またはその専門機関が製作した教育的、科学的または文化的なフィルム、録音物等についても免税できることといたしております。
以上で
関税定率法等の一部を改正する
法律案についての補足
説明を終わります。