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委員長(
栗原祐幸君) 奥村国際金融局長。
政府委員(奥村輝之君)
国際通貨基金及び
国際復興開発銀行への加盟に伴う
措置に関する
法律の一部を
改正する
法律案の
提案理由説明を補足し、法案の具体的な内容につきまして、御説明申し上げます。
まず、第一に、わが国の
国際通貨基金と
国際復興開発銀行に対する出資額につきまして、
国際通貨基金につきましては現在の七億二千五百万ドルの割り当て額を十二億ドルに増額し、また、
国際復興開発銀行につきましては現在の七億七千二百六十万ドルの出資額を十億二千三百万ドルに増額することといたし、この追加出資に応ずる権限を政府に付与していただくものであります。
この点に関連いたしまして、今回の増資の概要につきまして御説明申し上げますと、
国際通貨基金につきましては、その割り当て額の総額が約二百十三億ドルから約二百八十九億ドルに約三五・五%増額されることになっておりますが、わが国をはじめ前回の増資以降におきまして
経済成長が著しかった国につきましては、特に大幅な増額が行なわれることになっております。
また、
国際復興開発銀行につきましては、各加盟国の
国際通貨基金における出資比率と
国際復興開発銀行における出資比率とをできるだけ同一にしようという従来からの慣行によりまして、今回、
国際通貨基金において特別に大幅な増額を認められた国につきまして、出資額の増額を行なうこととなっており、その結果、
国際復興開発銀行の出資額の総額は、約二百三十二億ドルから約二百五十四億ドルに増額されることになっております。
第二に、両機関への増額の払い込みの内訳につきまして御説明申し上げますと、
国際通貨基金につきましては、増額の全額を払い込まなければならないのでありますが、増額の二五%(一億一千八百七十五万ドル)については金で、一%(四百七十五万ドル)については円
現金で、残り七四%(三億五千百五十万ドル)については、無利子、要求払いの基金通貨代用証券で払い込むことになっております。
国際復興開発銀行につきましては、増額の一〇%のみを払い込めばよいことになっておりますが、増額の一%(二百五十万四千ドル)についてはドルで、〇・〇九%(二十二万五千三百六十ドル)については円
現金で、残り八・九一%(二千二百三十一万六百四十ドル)については、無利子、要求払いの通貨代用国庫債券で払い込むことになっております。
これらの払い込みは、本年十月三十日またはわが国が同意通告をした日のいずれかおそい日から三十日以内に払い込まなければならないことになっております。
第三に、両機関への出資の取り扱いについて御説明申し上げますと、
国際復興開発銀行への出資につきましては、従来どおりの取り扱いといたしておりますが、
国際通貨基金への出資につきましては、外国為替資金特別会計の負担において行なうことといたしました。これは、特別引き出し権
制度の発足等に伴い、同基金とわが国との取引が複雑かつひんぱんとなってきていることをも勘案し、この際同基金に関する他の取引と同様に、出資についても、外貨資金の管理を行なう外国為替資金特別会計に一元化し、かつ、その取引の機動的運営をはかろうとするものであります。それと同時に、同基金に対する出資が、国際通貨
制度上の金融機能の充実強化に充てられるという特殊な性格にかんがみ、なるべく一般財源に依存しないこととするような
制度にしようとするものであります。これに伴い、同基金に対し、円貨にかえて交付する国債につきましては、その名称を基金通貨代用証券とするとともに、同基金が保有する円貨について、基金通貨代用証券により外国為替資金に回収することができることとするほか、基金通貨代用証券について、償還の請求を受けた場合には、その償還の結果、
国際通貨基金の保有する円貨及び基金通貨代用証券の額の合計額が、わが国の割り当て額の七五%未満となる場合に限り、その差額の範囲内において、日本銀行に対しこれを買い取ることを命ずることができることといたしております。このように、日本銀行に対し買い取ることを命ずることができる場合を限定いたしましたのは、これが外国により円貨が借り出されている状態にあるからであります。したがいまして、基金通貨代用証券により円貨を回収した場合または外貨を引き出した場合において、日本銀行が買い取った基金通貨代用証券があるときは、直ちにこれを償還することといたしております。
第四に、以上申し上げましたように、
国際通貨基金に対する出資を外国為替資金特別会計から行なうこととすることに伴い、今回の
国際通貨基金への追加出資のうち、金及び円
現金で払い込むことが必要とされる分の財源に充てるため、外国為替資金特別会計の積み立て金の一部四百四十四億六千万円を限り、外国為替資金に組み入れることができることといたしました。
このほか、今回の増資に伴いまして、次のような
改正をいたしております。すなわち、わが国の
国際通貨基金に対する貸し付け金債権を日本銀行に譲り渡し、及びこれを日本銀行から譲り受けることができることとするとともに、日本銀行におけるその取り扱いについて
規定を設けております。
また、
国際通貨基金への出資額が増額されることに伴い、特別引き出し権の配分の受入れ限度額を新しい出資額まで増額すると同時に、特別引き出し権
制度発足以降の運用の状況にかんがみ、
国際通貨基金協定の円滑な履行を確保するため必要があると認めるときは、右のほか特別引き出し権の配分を受け入れることができることといたしました。
さらに、今回の増資により、わが国は、両機関において加盟国中第五位の出資額を有することになりますので、両機関の協定により、わが国は、両機関の理事を任命し得る地位を獲得することになりますので、両機関の理事は、内閣が任命することといたしました。
このほか、外国為替資金特別会計法等につきまして、所要の
規定の整備をはかっております。
以上をもちまして補足説明といたします。