運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-11-17 第63回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十一月十七日(火曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員異動  十一月九日   委員瓜生清君は逝去された。  十一月十日     補欠選任        松下 正寿君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         栗原 祐幸君     理 事                 小林  章君                 成瀬 幡治君                 松下 正寿君     委 員                 青木 一男君                 青柳 秀夫君                 伊藤 五郎君                 鬼丸 勝之君                 矢野  登君                 木村禧八郎君                 横川 正市君                 上林繁次郎君    説明員        大蔵政務次官   藤田 正明君        大蔵大臣官房審        議官       嶋崎  均君        大蔵大臣官房審        議官       中橋敬次郎君        大蔵省主計局次        長        橋口  收君        大蔵省主税局長  細見  卓君        大蔵省理財局次        長        赤羽  桂君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○租税及び金融等に関する調査  (当面の財政及び金融等に関する件)     —————————————
  2. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  議事に入るに先立ちまして、一言申し上げます。  本委員会理事として長くその職責を果たされました瓜生清君が、去る十一月九日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。ここにつつしんで同君の長年にわたる御功績をしのび、各位とともに黙祷して御冥福をお祈りいたしたいと思います。  どうぞ御起立を願います。黙祷。   〔総員起立黙祷
  3. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 黙祷を終わります。     —————————————
  4. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 委員異動について御報告いたします。  ただいまの瓜生清君の逝去に伴いまして、十一月十日、松下正寿君が委員選任されました。     —————————————
  5. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 次に、理事補欠選任についておはかりいたします。  瓜生清君の逝去に伴いまして理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名により御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に、松下正寿君を指名いたします。     —————————————
  7. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 次に、租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どなたからお答えいただいたらいいのかわかりませんが、四十五年度補正予算ですね、これはいつお出しになりますか。
  9. 藤田正明

    説明員藤田正明君) いまのところ、まだはっきりと申し上げられませんが、歳入の状況あるいはその他のことの見通しをほぼしっかりとしたものを持ちまして、おそらく二月ごろになるのではないかと思います。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この臨時国会にどうして出さないのですか。それじゃ公務員給与支払いはどうするのですか。二月ごろに出すなんというのはおかしいじゃないですか。
  11. 嶋崎均

    説明員嶋崎均君) 私からお答えするのはどうかと思いますけれども、昨年の例にもありましたように、給与法関係関係法案につきましては今回の臨時国会に御提出申し上げるということになると思います。財源的には、御承知のように、給与関係については、ことしは当初予算においてその五%を積み増しをしておるというようなこともありまして、十二月、一月分の給与支払いというようなことについては支障がないというふうに考えております。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは技術的には支障がなくても、そんなことは私は財政法からいって許さるべきじゃないと思うんですよ。昨年の例もあると言うけれども、昨年は例になりませんよ。昨年は一応補正は組んだんでしょう。昨年はこの給与関係でどういう補正を組みましたか、それを述べてください。なぜことしは組まないのですか。
  13. 嶋崎均

    説明員嶋崎均君) 補正につきましては、昨年の場合も、年内に補正予算を提出しなくて、年を越して補正予算を提出したはずでございます。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 昨年を例にとっても、昨年は総選挙ということがあったんでしょう。それから通常みたいじゃなかったですよね。昨年は、御承知のように、十一月二十八日の閣議公務員給与改定のための四十四年度一般会計補正予算案閣議決定しているんですね。二十九日に国会に提出する予定だった。ところが、解散があった。それで、昨年末の臨時国会にこれを提出するために閣議補正を決定しているのですよ。そうでしょう。ですから、給与改定のときには、補正予算を組んで、単に法律だけでなくて、そうして国会承認を得て、それで支払いをするということが、これは財政法上当然のことですよ。それで、もし組まなければ、いわゆる先食い先食いでしょう。給与先食をしていくわけですよ。だから昨年は結局そういうことになったわけですがね。これはもし今年度そういうことを認めますと、これはずっと慣例になってしまいますですね。昨年は総選挙があったからいたし方がないとしましても、ことしはそういう緊急な事態じゃないのですからね。しかも、財源がないことはないでしょう。財源は十分あるわけですから、節約にしましても、予備費もありますし、それから自然増収もあるのですから、なぜ財政法手続に従って補正を出してこないのですか。もしわれわれの立場からいえば、ただ法律だけ出してきて、予算を伴わない、そういうような状況のもとでは、これは給与法律審議することはできないですよ、ほんとうは。財源があるのになぜ予算を出さないのですか。そういうことが慣習になれば、これは国会予算審議権を無視することですよ。これは財政法からいっても当然のことですよ。できるのになぜしないのですか、これは国会軽視ですよ。こういうようなことを慣習にするということは、私は許されないと思う。これは当然私は議運あたりで問題にされるのじゃないかと思っていたんです、実は。ところが、新聞を見ると、予算委員会を開くか開かないかでもめているなんというのは私はおかしいと思ったんです。当然給与については予算が出るものと思っていたわけですから、予算委員会を開くのは当然だと思っていた。ところが、予算委員会を開くか開かないかで議運でもめている。私はこんなおかしいことはないと思うんです。だんだん調べたら、補正予算をどうもこの臨時国会に出しそうもない。いまのお話ですと、年を越えるんでしょう。こんなことは許されていいわけですか。今後もこういうことを続けるわけですか。
  15. 藤田正明

    説明員藤田正明君) 木村委員のおっしゃることにつきまして、財政法上の違反であるとは思いません。ただ、臨時国会中にそういう補正予算を出すかどうかということにつきましては、いまのところ出さない予定であります。そうしてまた、予備費なり諸経費節約によってその給与に対する不足額が補われるかどうかということも、ただいま検討中であります。そのようなことでありまして、現在では一応来年の二月ごろに補正予算につきましては御検討をいただく予定にしておる次第であります。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは財政法上許されることだと言いますけれども、しかし、財政法精神からいってこういうことは国会審議権を軽視するものだ。それでは、これから具体的に伺っていきますよ。こういうやり方がいかに財政法精神を無視するものか、聞いていきますから。四十五年度人事院勧告完全実施する場合に、どのくらい財源が要りますか。
  17. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 速記をとめて。   〔速記中止
  18. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 速記をつけて。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、今後ずっと、時間的にも財源的にも余裕があっても、こういうような状態を今後続けるわけですか。その補正臨時国会に出さないで、そうして年を越えての通常国会に出すということにするんですか。これは私は二段がまえにすべきだと思うんですよ、一応ここで財源があるんですから。それから経理はきちんとしなきゃいけないと思うんですよ。ここで財源があり、時間の余裕があるならば、ちゃんと予算を出して、はっきり給与改定による財政支出国会承認を得てやって、次にまた、公害とか、あるいはまた米の買い入れの増による食管の補正とか、いろいろ出てくるわけですが、それをまた年を越えた通常国会補正として出してくればいいわけですけれども、あとで質問しますように、この前もそうだったんですが、ここで臨時国会に出さないで通常国会に出すと、これは先食いですから、十二月のを一月、一月のを二月、二月のを三月、三月のを年度を越えてくると、ぎりぎりに行ってどうしても予算を早く通さないと給与支払いができないというところに追い込まれるんですよ、いつも。この前もそうなんですよ。そうすると、国会十分審議をしたいと思っても、給与支払いができないからどうしても早目に予算を上げてくれということになり、上げないと混乱を生ずるので十分審議を尽くさないで上げざるを得ないという状態に追い込まれていくわけです。そういうことは、私は国会審議権を軽視することになると思うのです。財政法精神からいって、そういうことはやるべきじゃないと思うんです。その他にも問題がありますけれども、一つの問題点はそういうことなんですよ。ですから、政務次官国会議員ですから、国会審議権を守るという立場はやっぱり堅持していただきませんとね。時間的にも財源的にもできるんじゃないですか。どうも悪い癖ですよ、そういうやり方はですよ。
  20. 藤田正明

    説明員藤田正明君) いま木村委員がおっしゃいましたように、毎年そのようにいつも補正をずらして先食いをするというふうなことになるとは考えておりません。ただいま申し上げましたように、予備費なり経費節約による財源見通しはまだはっきりいたしておりませんし、二度にわたる補正がいいのか、あるいははっきりしないうちにもそういうふうな補正予算を組んでいいのかという問題もございます。それらを勘案いたしまして検討中でありますが、おおよその見通しとしては来年以降になるであろうということを申し上げた次第であります。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さっき言いましたように、四十四年度の場合は、ちゃんと予算を組んだんですよ、臨時国会に出すために。そういう手続をちゃんとやったんです。しかし、国会が解散しちゃったんで、そこでこの審議ができなくなったわけです。だから、昨年は大蔵省はそういう手続をとったんですよ。昨年の例もあるから、ことしもその例にならって補正は出さないというんでしょう。しかし、昨年は、総選挙というそういう緊急事態が起こったからなんです。一応手続はやったんですよ。それは認めるでしょう。閣議決定したんですから、手続をとって。ことしはなぜとらないかというんです。昨年よりもっと補正を出しいい条件にありながら、なぜことしは出さないのかというんです。昨年は総選挙でいいあんばいに出さないで済んじゃったが、ことしは、なまけるわけじゃないかもしれませんが、どうして出さないのですかというんです。そういうところが、国会で黙っているから出さないなんていうことだったら、私は許されないことだと思うし、また、ほんとう国会のほうで、議運あたりその他でこれは取り上げられたのかもしれませんけれども、私は知らないのですけれども、もし国会で取り上げられなかったら、国会はこんな不見識はないと思うんですよ。そんな不見識なことはありません。  ですから、私は、ここであらためて、昨年は組んで臨時国会に出す手続をとりながら、ことしはなぜとらなかったか。昨年よりも財源的にも時間的にも十分余裕がありながら、なぜ出さないのかというんです。昨年は例にならぬですよ。
  22. 橋口收

    説明員橋口收君) 昭和四十五年度予算に対する補正の問題でございますが、これに対しましては、去る十一月九日、当委員会大蔵大臣から戸田委員の御質問に対してお答えがございましたような検討段階でございます。財政事務当局といたしましては、八月に人事院勧告が出まして以来、高額の人事院勧告を実施するために財源措置についての検討を進めてまいってきておるわけでございます。また、給与費以外にも幾つかの追加的な財政需要が予想されるわけでございますが、これに対しましてどういう財源手当てをするか、十一月九日の大蔵大臣お答えにもございましたように、幾つかの財源措置について検討いたしておるわけでございます。特に、過去に前例のないような高率の節約各省にお願いをいたして現在折衝をいたしておるわけでございます。ただ、これも従来に例のないような高い率の節約でございますので、各省との関係におきましてまだ完全なセットをいたしておらないわけでございます。前回委員会大臣は約二百億円ということをおっしゃったわけでございますが、まだ完全に各省との間に節約額の合意も得られておらないような状況でございます。さらに、それ以外に、例年幾つかの項目につきましての不用額も生じてくるわけでございます。さらに、給与費につきましても、何がしか不用額が生じてまいります。それらの既定予算ワク内における節約不用等措置におきましてどの程度金額が出るか、さらに、一方、追加的な財政需要としてどういうものが予想されるかということにつきまして、現在事務的に詰めつつある段階でございます。  したがいまして、予想される次の国会にどういう財政的措置をとるかということにつきましては、前回委員会大臣お答えにもありましたように、現在組みかえ補正以上に何がしか措置を必要とするかどうかについてぼつぼつ問題を煮詰めつつあるというお答えがあったわけでございます。先ほど政務次官からお答えがございましたのは今後のいわゆる見通しでございますが、かりに予算補正が必要となり、しかワク内の補正だけでなくて追加的な補正が必要になるということになりました場合には、どういう取り扱いの方針で臨むか、補正予算取り扱いの時期、金額等についてはさらに検討を進めたいというふうに事務当局としては考えております。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、この臨時国会補正を出す出さぬという問題だけではない、四十五年度補正そのものを出すか出さないか、そのことを検討中というのですか、通常国会には必ず出すということなんですか、四十五年度補正を。
  24. 橋口收

    説明員橋口收君) 先ほどお答えいたしましたように、幾つかの予想される追加的な財政需要があるわけでございます。ただ、それがどういうものでどういう金額であるかということを的確にお答えする段階にはないわけでございますけれども、幾つかの予想されるものがございますので、それを一切の需要金額を含めましていまの既定予算ワク内で処理ができるかどうか。ただ、その場合にも、先ほど申しましたように節約ということをいたしておりますので、節約によって項間の移動が生じます場合には、当然にそういう組みかえ補正が必要になるわけでございます。したがいまして、組みかえ補正だけで済むかどうか、他の幾つかの財政需要とあわせまして給与問題もその全体の中で処理をしたいということで、現在事務的に作業をいたしておるわけでございます。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしたら、節約があれば当然組みかえ補正は出さなきゃならぬので、したがって、組みかえ補正にしろ補正を出さなきゃならぬというのは、これは明白じゃないですか。補正を全然出さないでやっていけるというんですか。前に、八月十八日の新聞では、「経費節約で八百億、補正予算は避ける」というような見出しの新聞報道があったわけですが、補正を避けるといったって、節約が出てくればこれはどうしたって組みかえ補正は出さなきゃならぬのです、財政法上からいって、節約をやれば。ですから、もう補正は出すことは必至じゃないですか、節約の場合ですよ。もしそうでなかったら、前の実行予算みたいになってしまいますからね、組みかえ補正を出さなければですよ。一たん組んだ予算節約する場合には、財政法上当然国会承認を経て変更しなきゃならぬですから、組みかえ補正というものはどうしても必要ですよ。ですから、補正を出すことは、これはどうしても財政法上からいっても必要なんですが、しかし、この補正を避けるような、何か財源的にまかなえれば補正を出さなくても済むようなことを言われたのですけれども、どうも私はその点はおかしいと思う。補正を出さないで済むはずがないと思うんですよ。
  26. 橋口收

    説明員橋口收君) 節約につきましては、先ほどお答えをいたしたとおりでございますが、節約の結果によりまして項の間に移動を生ずるという場合には、当然、前回委員会でも大蔵大臣お答えいたしましたように、ワク内補正、組みかえ補正ということが必要になるわけでございます。ただ、節約をいたしまして項間の移動を生じないというようなことであれば、これは補正の必要はないわけでございます。ただいま検討いたしておりますが、約二百億円というような大きな金額になってまいりますと、項間の移動なしで済ませられるかどうか、これはよく検討いたしてみたいと思っております。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 節約が二百億見当ですか。前の新聞報道では、節約対象になるものが八百億というんですか、それとも、節約が八百億というんですか、八百億を上回るだろうというのですが、二百億ぐらいの節約、そんな僅少で済むのですか。
  28. 橋口收

    説明員橋口收君) 八百億という数字は、私はちょっと承知いたしておりませんが、節約対象にいたします経費人件費等は当然除かれるわけでございますので、いわゆる行政経費対象になるわけでございます。したがいまして、節約対象額そのものはそんなに大きな金額にはならないわけでございます。それに対しまして八%の節約率——ただ、全部の経費が八%というわけにはまいりませんので、軽減の率を適用いたしました経費につきましては約四%、そのほか節約対象除外経費というものもあるわけでございます。したがいまして、過去七%というのが一番高い節約の率でございますが、ことしは八%という非常に高い率の節約各省要請をいたしておるわけでございます。高い率の節約要請をいたしますと、やはり節約は困難である、あるいは低い率を適用してほしい、あるいは除外経費にしてほしいというようないろいろな折衝があるわけでございます。  われわれ事務当局といたしましては、高い率の節約折衝いたしますことは、予算編成作業を一方にやりながら小型の予算折衝をやるというふうなことで、現在各省との間で折衝いたしてほぼまとまりかけてはおりますが、まだおおむね二百億円見当という程度数字しか申し上げられないわけでございます。これは節約の結果二百億円が財源充当できるということでございまして、節約対象経費は相当大きな金額でございますが、しかし、折衝の結果は、大体二百億円見当ではないかということを前回委員会大臣お答えしたわけでございます。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 では、具体的に伺っておきますが、四十五年度人事院勧告完全実施の場合に、所要財源は、国家公務員の場合、一般会計特別会計、それぞれどのくらいの予算が必要ですか。
  30. 橋口收

    説明員橋口收君) 特別会計につきましては、特別会計内部で自まかないで処理できる金額が相当あるわけでございますので、したがいまして、最終的に一般会計負担になりますのは千二百四十億円でございます。先ほどちょっと申し上げましたように、給与費につきましては、積算がなかなかむずかしいという点もございますので、本年度の当初予算給与費の中から多少の余裕が出ることも予想されますので、一応の計算の結果が千二百四十億円ということでございます。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 千二百四十億というのは、これは一般会計だけですか。
  32. 橋口收

    説明員橋口收君) 所要財源としては千八百八十五億円でございます。それに対しまして当初予算におきまして五%相当額の六百四十四億円を計上いたしておりますので、差し引き千二百四十一億円ということになるわけでございます。これは、先ほどもちょっと申しましたように、最終的に一般会計負担になる金額でございます。特別会計としての所要財源は別にございますが、会計内部での処理が可能な金額もございますので、特別会計から一般会計へのつけも含めまして最終的には千二百四十億円見当が必要になるということでございます。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 特別会計のほうはどのくらいですか。
  34. 橋口收

    説明員橋口收君) 現在手元に資料を持ちませんので、調査の上お答えいたしたいと思います。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 では、ぼくのほうから言いますけれども、間違っていなければ大体四百二十億といわれておりますが、それで両方合わせまして重複分を差し引いて、当初予算に組んでいる五%分を除いて、二千三十億、約二千億ということです。そんなものですかね。
  36. 橋口收

    説明員橋口收君) 二千三十億見当というふうに承知いたしておりますが、最終的にそれは特別会計も含めての、一般会計特別会計含めて当初予算に計上しております五%相当額金額を差し引いたものが約二千億見当だと思います。ただ、そのうち特別会計会計内で自分で処理をできる金額がございますので、最終的に一般会計でめんどう見る金額が千二百四十億円見当になるわけでございます。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 地方公務員は大体どのくらいになりますか、概数でいいのですが。
  38. 橋口收

    説明員橋口收君) 先ほどお尋ねがございました先生一般会計特別会計でございますが、御指摘金額のとおりでございまして、一般会計所要額が千八百八十五億円でございます。特別会計が四百二十億円で、合計いたしまして二千三百五億円でございます。したがいまして、重複分を差し引きますと純計が二千三十億円でございます。先ほど申しましたように、最終的に一般会計負担になりますのが千二百四十億円ということになるわけでございます。  それから地方団体関係でございますが、所要額は二千四百億円でございます。五%計上額が千四百億円でございます。したがいまして、差し引き純所要額が約千億円ということになるわけでございます。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一般会計負担分財源措置はどうなのか。財源対策は、当初予算に五%の給与改善費が計上されておりますね、六百四十三億。それに経費節約分予備費充当がありますわね。それにしても、どうしても不足分が出てくるんじゃないですか、財源不足が。そこら辺を伺いたいんです。そうすると、経費節約は二百億ぐらいと言われましたね。予備費はどのくらい、いま残額は五百五十八億と聞いておりますが、その中からどのくらい使用されるのか、給与改善費以外に予備費使用予定されているものがありますね。良質米奨励金とか、生産調整奨励金追加とか、そういうものがありますわね。そうしますと、どうしても経費節約予備費充当だけでは足りないんじゃないですか。その辺はどうなんですか。
  40. 橋口收

    説明員橋口收君) 四十五年度予算に千百億円の予備費を計上いたしたわけでございますが、十一月九日現在の予備費使用残は五百五十八億円でございます。ただ、先生から御指摘がございました米の生産調整奨励補助金はすでに支出をいたしておりますので、今後予想される予備費に対する追加需要といたしましては、米の品質改良奨励金二百三十八億円がございます。そのほか、災害関係でもある程度金額予定する必要もあろうかと思います。したがいまして、予備費は五百五十八億円ございますが、ある程度のものは四十五年度予算執行の過程において必要となるものと見通されますが、先ほど来お話がございましたように、一方、これに対する追加の財政需要額としましては、公務員給与の千二百四十億、あるいはその他幾つかの予想される費目なりあるいは金額というものがございます。ただ、それが今日の時点におきましてどういう費目についてどの程度になるかということにつきましてまだ成案を得るに至っていないわけでございます。  一方、財源措置といたしましては、節約につきましては大体二百億見当かなというふうに思っておりますが、そのほかに、七兆九千億の予算でございますから、ある程度不用額も生じてまいるわけでございます。そのほか、現在の給与費につきましてもある程度のゆとりが出るかというような感じもいたしておるわけでございます。その他予算執行の過程においてできるだけ財源発見の努力を続けまして、どの程度財源措置が可能になるか、それらの点も見きわめた上で、今後どうするかということについては、前回委員会大蔵大臣からお答えがあったとおりでございます。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の計算ですと、かなり財源不足が出てくるように思うのです。それで一応私の計算を申し上げますが、そちらのいま作業しているのとやや違うように思うので、どういう点が違うか指摘していただきたいと思うのです。まず、最初、国家公務員一般会計分千八百八十五億については、当初予算で五%アップが計上されておりますね、六百四十三億、これで一部をまかなう。それから経費節約分、これは私は八月十五日の新聞で見たのですが、一応八百億が目途となっているものですから、八百億節約と一応私は見たわけです。そうしますと、すでに計上されている給与改善費経費節約分を入れますと千四百四十四億で、四百四十一億財源が足りないという計算になったわけです。さらに、今度は予備費のほうにつきましては、残額が五百五十八億でありますが、さっきのお話のように良質米奨励金二百三十八億、これも予定されておりますから、これを差っ引きますと、純残高が三百二十億ですね。そうしますと、四百四十一億の財源不足に対して三百二十億しか予備費が残っていないということになると、百二十億財源が足りないということになる。こう私は計算してみたのですが、こういう計算にならないですか。問題は節約ですけれどもね。
  42. 橋口收

    説明員橋口收君) これは計算だけの問題でございますので、なかなか申し上げにくい点もあるわけでございますけれども、八百億というのは、われわれも八百億ぐらい節約等で出ればたいへんありがたいのですが、ちょっと八百億というのは無理というふうに考えております。昨年四十四年度の実績で申しましても、節約が百十一億円で、それから不用額が二百七十一億円、両方合わせまして三百八十二億円ということでございます。したがいまして、まあ昨年よりは予算規模が増加いたしておりますし、節約の率も高くいたしておりますので、かりに昨年の百十一億のところは二百億、ここで百億ぐらいは確保できるのじゃないかというふうに思っておるのでございますが、さらに、不用額が昨年二百七十億でございましたが、一体どの程度出るかということにつきましては現在多少の作業はいたしておりますが、まだもう少し時間が経過いたしませんと不用額についての見通しはつけにくいわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃいました八百億円というのは、節約と不用合わせての意味であろうと思いますが、はたして八百億まで行きますかどうか、これが一つの問題でございます。そのほかに、いまの計算では、追加的な財政需要というものを給与費だけに限定をしておるわけでございます。二百三十八億円という米の品質改良奨励金は計算に入れておいでになりますが、それ以外に追加的財政需要がないという計算になっているようにいま拝聴したわけでございますが、災害関係でも今後予備費に期待する金額もあろうかと思います。それから補充的経費と申しますか義務的経費というものも一ある程度異同をいたしてまいるかと思います。そういう点もアイテムとしては幾つかわれわれの計算の上に出てくるわけでございます。ただ、どの程度になるか、どういう費目があらわれるかということにつきましては、まだ的確な予想が立てにくいわけでございますので、先生のただいまの計算に即して申しますと、八百億円ということが一つ問題であろうかと思います。それから今後の追加財政需要を二百三十八億円の米の品質改良奨励金だけに限定しておられるというところも一つの問題点ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりました。そうしますと、節約八百億というのは非常に大き過ぎますから、これをかりに不用分をあれしてもかりに三百億円としても、五百億くらいはよけいに見積もっているとすれば、財源不足というのはさらにもっと大きくなるわけですね。さっき百二十億と一応財源不足を計算したんです。そのほかに、米の政府の買い入れの増加とか、あるいは災害とか、そういうものも経費が要るわけですが、それから生産調整の奨励金の追加支出は要らないんですか。当初予算には一応三百十七億を組んであるというのですが、しかし、この追加は必要ないのかどうか。
  44. 橋口收

    説明員橋口收君) いま先生のおっしゃいました三百十七億円は、追加支払額でございます。当初予算には八百十億円は計上いたしておったわけでございます。三百十七億円は追加支払い分がございます。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは、結局、財源不足自然増収でまかなうということになるのですが、問題は自然増収の見積もりなんですが、どのくらいいま見積もっていますか。
  46. 細見卓

    説明員(細見卓君) これは先般大蔵大臣お答え申し上げましたように、現段階で確たる数字を申し上げるところまでいろいろな資料がそろっておらない段階でございますので、いましばらくお待ち願いたいと思います。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうして自然増収の大体の見積もりが言えないのですか。新聞では三千五百億とか四千億とかいわれておりますが、大体の見当がわからぬと、あとで質問しますけれども、交付税が三二%自治体に渡すのですが、それがどのくらいになり、そうして四十四年度にはそれを担保として借り入れしましたよ、政府が。だから、そういうことをやるのかやらないのか。それから九百十億政府が借り入れになっていますね、その返済の問題もあるわけです。そこで、私は、どうも政府は自然増収の見積もりを、そういういろいろな関係があるので、大体わかっておるのに、なかなかわからぬというようなことを言っておるのじゃないかと思うのですがね。最低どのくらい、かたいところで三千五百億円くらいは見積もれるんでしょう。
  48. 細見卓

    説明員(細見卓君) 先ほども申し上げましたように、いろいろ新聞などにいわれておりますのは、たとえば上半期の予算に対する収入歩合いが、昨年の決算に対する収入の進捗割合に比べまして、九月末で三%くらいよくなっております。これがちょうど収入で四七%〈らいの予算に対する進捗になっておるわけでございますので、これを倍にすれば三千億とか四千億とかいう数字も、一応、いまのお話じゃございませんが、数字としては出るわけでございますが、ただ、先般も申し上げましたように、昨年の下半期の経済はなお好調を続けてまいったわけでございます。ところが、御承知のようなことで、今年そのような好調を期待するというわけにはまいらぬと思います。先般も申し上げましたように、この上半期をもちましてそういうトレンドは交錯してクロスしたと思わざるを得ないわけでございますので、そういう意味で、下期の落ち込み方というものをどの程度見るか、非常に苦慮しておるわけであります。それから九月決算はまだ全体はわかっておらないわけでありますが、関西にあるいろいろな企業につきましては、むしろことしの三月期と比べて横ばいあるいは若干の減益すら出ておるというわけでありますが、予算は御承知のようにかなりの増収を見込んでおるわけでございまして、それらを勘案いたしますと、先ほど申し上げておりますように、現在のトレンドをそのまま延ばせばかなりの自然増収は出るわけでありますが、それが今後維持できるということは予測できない。しかも、今後も収入として約半分のウエートを占めておるというわけでありまして、現在金額を予測するということは非常にむずかしい、かように考えております。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じゃ、金額は言えないとすれば、こういう点についてはどうなんですか。これは新聞報道なんですけれども、さっき言いましたように、国が地方から借りておる交付税ですね、累積が四十五年度には九百十億円になっておる。これを四十六年度は三百十億、四十七年度、四十八年度はそれぞれ三百億円ずつ返済するということになっているですね。そこで、四十五年度自然増収の中で繰り上げ償還を考えているということが伝えられているんですよ。これは四十五年度自然増収の額いかんによると思うのですけれども、そういうことを一体考えているのか、考えていないのか。
  50. 橋口收

    説明員橋口收君) これは予算補正をいたします場合の一つのレイアウトになるわけでございますので、現在の段階においてはそういうアイデアを持っておるわけではございませんが、かりに自然増収が出るということになりますと、そのはね返りとしての交付税交付金というものもふえてくるわけでございます。そういう義務的経費というものも今後の追加財政需要の一つの項目になるわけでございますので、その辺もあわせて今後検討を進めたいというふうに考えておるわけでございます。いまの段階で三百十億円の処理を本年度で行なうということについての方針をきめておらないわけでございます。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうですか。これは、これまで、四十六年度三百十億で、四十七、四十八年度で三百億ずつ、それで完済するという計画になっておりますけれども、必ずしもこのとおりにやるということじゃないのですか。どうなんですか。
  52. 橋口收

    説明員橋口收君) 九百十億円の返済の約束は、ただいま御指摘があったようになっておるわけでございます。むろん、現在の段階におきましては、そういういわばスケジュールで返済をするということになっておるわけでございます。ただ、先ほどは多少よけいなことを申し上げたわけでございますが、計算上の問題としては、かりに自然増収が出てまいりますと、そのはね返りの地方交付税交付金の増ということもあるわけでございます。したがいまして、われわれ事務当局の頭にいろいろなことがあるわけでございますが、ちょっといまの段階ではどうするということは申し上げにくいわけでございます。
  53. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 かりに自然増収三千五百億とすれば、その三二%約千億ぐらいがはね返りとしては出ますわね。それが出るわけでしょう。
  54. 細見卓

    説明員(細見卓君) 三税の一定割合でございますので、自然増収も、それは多く出てまいります場合、従来の例でありますと、多く三税ではありましたが、しかし、今後の型が、従来のように八割三税であるとか、あるいは九割三税であるとかいうのは、いま少し推移を見ませんと、自然増収が全部三税、あるいは何割が三税だというのも、いまきめかねようと思います。
  55. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 だって、従来のあれが大体わかるのじゃないですか、三千五百億なら何割ぐらいが三税というのが。そうすると、たとえば三千億とすれば約千億ですよ。
  56. 細見卓

    説明員(細見卓君) 従来の事例で申しますと、大体平均いたしましておしなべて八割前後というところにあったかと思います。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、千億近くにならぬですか、はね返りが。
  58. 橋口收

    説明員橋口收君) これも計算だけの問題でたいへん恐縮なんでございますが、いままでの過去の前例は、これは確定した数字でございますので、これを申し上げますと、四十四年度一般会計歳出予算補正では、地方交付税が九百九十四億円になっております。四十三年度は七百三十五億円、四十二年度が七百四十九億円となっております。
  59. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 補正の一つの大きなポイントは、このはね返り分をどうするか、これが一つ。昨年度も問題になったんですけれどもね。  それと、もう一つは、国債の発行額ですね。これを四千三百億一応予定しておりますが、それを減額するのかどうかですね。
  60. 赤羽桂

    説明員(赤羽桂君) 国債の減額の問題でございますが、これはもちろん本年度自然増収を見きわめませんと、幾ら幾らふやせるということは申し上げかねるわけでございます。前回大臣よりの御答弁で申し上げているわけでございますけれども、補正予算財源に充てて余りがありますればもちろん減額をいたすと、かようなかまえでおるわけでございます。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 なんだか、自然増収もおおよそ見積りもあるんだけれども、交付税のほうのはね返りをどうするかとか、あるいは国債の減額をどのぐらいにするかとか、いろいろそういうことも考慮されており、さらにまた、四十五年度自然増収を四十六年度予算編成との関連で四十六年度充当しようという考えを持っているんじゃないかというような気がするんですがね。どうも、四十四年度予算編成のときに、十二ヵ月予算ではなく、十五ヵ月ぐらいの予算のような形で補正なんかも考えているようだと思ったんですが、そういう予算の編成の考え方は、事務当局のほうはそのほうが便利かもしれませんが、国会立場からいうと、財政年度区分というもの、これを乱すもので、われわれその点をはっきりさせなきゃならぬと思っているんですが、いまのお話を聞きますと、なんだか非常にはっきりしないいろいろなことがあるんですがね。  そこで、結局、もう時間がありませんから、最後に詰めて質問しておきますけれども、まず、一番最初に質問したいんですけれども、臨時国会給与費補正を提出しない根拠についてはまだ明らかでありませんから、これはその根拠をもう少しはっきりさせてもらいたい。つまり、四十四年度給与改善のための補正提出の準備がなされて、さっき言いましたように、閣議で決定したわけです、はっきりね。この予算も、四十四年度一般会計予算補正、これは五百七十七億九千三百万円、はっきりこういう予算を組んで国会に提出したわけです。それで、衆議院解散含みとして四日間の国会であったために、提出はされなかったんですね、組んだけれども。組んだけれども提出はされなかった。しかし、一応、財源的にも、時間的にも、解散がなければ、これは予算を編成して国会に提出すべきであるという、そういう原則に立ったわけですよ、四十四年度は。だから、補正予算を組んだわけです。したがって、昨年国会に出さなかったから、ことしも国会に出さなくてもいい、こういう先例にはならないと思う。一応国会に出すつもりで閣議決定したことは明らかです。しかし、解散含みの四日間の議会であったから、国会には提出しなかったということになったわけですけれども。  そこで、これまでの御答弁では、どうしても四十五年度給与改善費につきまして補正予算を出さないという理由がはっきりしない。もう少しはっきりすべきです。これを出さないことは、私は国会審議権を軽視するものだと思う。もう少し納得できる説明を求めたいと思います。最後に詰めの質問として第一にこの点をはっきりさしておいてください。
  62. 橋口收

    説明員橋口收君) 昨年は、御指摘がございましたように、政府としての補正予算の案を閣議でおきめいただきましたが、いろいろな事情で国会への提出は行なわなかったわけであります。ただ、昨年とことしと事情が違うかという御質問であろうかと思いますが、昨年は、先ほど来御説明申し上げておりますような既定経費の節減あるいは予備費の取りくずし等によりまして給与費の増額をまかなうことができるという、いわば組みかえ予算補正の一つのレイアウトができたわけでございます。事務当局立場で申しますと、昨年はそういう補正予算についてのワク内補正の一つのレイアウトができたわけでございますが、ことしはなかなかそのレイアウトをつくるということがむずかしい状況にあるわけでございます。そのむずかしい状況につきましては、先生から御指摘にもございましたような幾つかの要因がございまして、なかなかレイアウトがつくりにくい。  まあそういう事情等も一ありまして、現在、来年度予算の編成作業を進めて、節約を含めたいろいろ本年度予算処理についての実行過程の検討も進めているわけでございます。ただ、今日の段階で、どういう内容で、どういう段取りで、どういう時期に、どうするかということにつきまして、まだ事務当局としての成案を得るに至っておらないわけでございます。したがいまして、給与費とあわせて補正予算を提出するかどうかということにつきましては、先ほど政務次官から見通し等についてのお話もございましたが、昨年とはいま申しましたが幾つかの事情の相違のある点についても御理解を得たいと思うわけでございます。
  63. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、給与支払いはどうなりますか。予算措置をしないで給与は払えないでしょう。どうするんですか、本年内に払えないと思うんですが。給与支払いはどうするんですか。ベースアップはやらないのか、やるのか。
  64. 橋口收

    説明員橋口收君) 公務員給与は、御承知のように、法律に基づいて支給をされるわけでございますので、給与法の改正が行なわれますと、国としては給与を支払う義務が生じてまいりますので、ベースアップ後の基準に基づいた給与支払いについては遺憾のないように措置をする必要があるわけでございます。  で、これは大ざっぱな計算だけの問題でございますが、ベースアップが一二%でございますので、一二%のベースアップということは、べースアップのためには大体一ヵ月分の給与を必要とするというような計算になろうかと思いますので、したがいまして、かりに年内に補正予算についての国会の御承認を得ないという事態になりましても、ある程度までは現在の既定予算の範囲内で処理ができるわけでございます。したがいまして、その辺につきましても現在問題を掘り下げて検討いたしておりますので、ただ、申し上げられますことは、給与法の改正が行なわれましたら、その基準に基づいての給与支払いは国としては当然行なわなければならないということでございます。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法律案ができて法律を通せばそれでできるということは、これはまあ当然政府にその義務ができるんですが、しかし、この予算措置としての財源措置としての予算国会に出さないということになれば、結局、給与先食いということになるんですよね。実質的にはそうでしょう。昨年もそうだった。そうなるんでしょう、一ヵ月、一ヵ月。大体、一ヵ月、一ヵ月先食いしているということになるんです。実質的にはそういうことになりませんか。
  66. 橋口收

    説明員橋口收君) これは、いま先生の御指摘のおことばにもありましたように、昨年も実はそういうことになったわけでございます。したがいまして、法律の規定に基づいての支給には万遺憾なき措置をとる必要があるわけでございます。ただ、多少理屈を言わしていただきますと、裏づけの財源措置支払いの義務とは一応直接の関係はないわけでございますので、とりあえず既定予算ワク内での処理についての遺憾のないような措置をとるということになろうかと思います。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは、法律的にかりに財政的に許されるとしましても、実際問題としまして先食いをやっていきますと、最後に、三月の給与支払いの問題が、今度は四十六年度予算ですね、これが成立しませんと給与支払いに差しつかえるというようなことが出てくるんですね。それで、どうしても最後に審議が制約される、追い込まれてくると。そういう状態が出てくると思うんです。そこで、私は、きちんと予算措置をすべきであるということを主張しているのですけれども、この点はもう振りかえの措置で政府は出す意思がないということは非常に遺憾だと思うんですけれども、当然出さなくちゃならないと思う。こういうことを慣例にされると、それが国会審議権無視ということで、法律が出てきているからかまわないというだけで私は許すべきものじゃないと思うんです。だから、何でも支払いさえすればいいというものでなくて、やはりちゃんと手続に従って、財政法の民主的手続に従ってやらなきゃいけないということをこの際強調しておきたいと思います。  それから最後にもう一点伺っておきたいのですが、次の臨時国会は公害国会といわれるのですが、いろんな法律が出ておりますね、十二ぐらい出ておりますが、これについての予算措置ですね、これがあまりはっきりしていないのですけれども、この十二の公害関係法案に関連する予算措置はどのようなことになっているのか、この点を伺っておきたいと思います。
  68. 嶋崎均

    説明員嶋崎均君) お答えいたします。  臨時国会に提出を予定されておる公害関係の法案は、公害基本法等の改正法案をはじめ、十二ないし十五程度の法案が考えられている模様でございますけれども、法案の内容は、主とし規制の強化の問題、それから地方公共団体へ権限の委譲を行なうという関係のものが大部分でございまして、直ちに予算措置を伴うというような性格のものは非常に少ないようでございます。ほとんど内容的には予算措置を格別必要とするというような形のものではないというふうに理解しております。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ほとんど予算措置がされないというと、そうすると、補正予算を組まないで今度の臨時国会に提出される公害関係の法案の完全実施が可能かどうかということが問題だと思うんですよ。たとえば今度は知事にかなりの権限を委譲しますね、地方公共団体にね。そういう場合に、予算的な裏づけがなくてできるんですか。ことばはちょっとあんまりよくないかもしれませんが、政府が全然ふところを痛めないで、そして取り締まり法案だけ出して、それで公害防止ができると思っているんですかね。公害関係についてのほとんど予算的裏づけがないんで、これで一体公害防止が十分できるかどうか、非常に疑問に思うんですけれどもね。  それからもう一つ伺っておきたいんですが、今度の臨時国会だけでなく、通常国会に、公害関係費としてどのくらいのものを予定されているのか。
  70. 橋口收

    説明員橋口收君) 臨時国会に提出されます法案に関連しての施行費等につきましては、四十五年度の当初予算ワク内で措置が可能であるというふうに一応考えております。ただ、ことしの夏、予算につきまして流用の措置をとりまして、公害関係の諸経費に十数億円を振りかえたようなことをいたした次第でございます。来年度の公害関係予算につきましては、現在各省から要求が出まして査定をいたしておるわけでございます。四十五年度の公害関係経費は、大体七百億円弱、六百七、八十億円というふうに記憶いたしております。来年度予算といたしましてこの七百億円弱の予算がどの程度金額になるか、これは今後における調整の問題であろうかと思います。ただ、大臣からもしばしばお答えがございますように、来年度予算の一つのレイアウトのポイントといたしまして公害関係対策費というものを念頭に置いているわけでございます。今後の作業を通じましてそういう方針を漸次明らかにいたしてまいりたいというふうに考えております。  それから国と地方との関係でございますが、規制権限その他公害関係の事務を地方に委譲いたしました場合には、問題の性質によりましては、補助金なり、助成金なり、あるいは委託費なり、そういう経費が必要になってくるということも十分予想されますので、そういう点も含めて十分に検討いたしたいというふうに考えております。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 公害防止について国なりあるいは地方公共団体が何もたくさん予算を組めばそれでその効果があがるというものじゃなくて、それは企業責任というものも相当強化しなきゃなりませんし、企業に負担を負わさなきゃならぬと思うんです。それにしても、これまでの公害対策費は、ほとんど基地対策費でしょう。大部分が基地対策費でしょう。七百億幾らとさっき言われましたが、私はそんなに多くないと思うんです。それはどういうものを内容に含んでいるのですか。ほとんど大部分が基地公害ですよ、これまでは。いわゆる最近言われる公害対策費らしいものはほとんど計上されていませんよ。ですから、今度四十六年度に公害対策費として計上されるものは、どういう内容のものか、これまでとたいへん違ってくるのじゃないかと思うんです。実際問題として、企業に負担を負わせるといったって、なかなかいまの状態で企業は負担を負えないということになれば、政府の予算的裏づけのある組織がどうしてもかなり必要だと思うんですが、その辺はどうなんですか。従来はほとんど基地対策費ですよ。
  72. 橋口收

    説明員橋口收君) 先ほど七百億円と申しましたが、正確に申しますと六百六十六億円でございます。そのうち、大きなウエートを占めますのは下水道事業でございます。そのほかに、公共事業といたしまして、緩衝緑地あるいは都市河川の環境整備事業等がございます。先生が御指摘になりました基地公害の関係は、防衛施設庁の経費でございまして、これは約百二十億円見当でございます。したがいまして、下水道事業等の公共事業及び防衛施設庁の行ないます基地公害を除きますと、御指摘のように、公害対策経費としてはそんなに大きな金額を計上いたしておらないわけでございます。ただ、国が行ないます公害対策事業と、地方の行ないます公害対策事業との一つの分野調整の問題もあろうかと思いますが、国は研究開発あるいは幾つかの公害についての測定事業については責任を持ってこれを行なうという体制で進んでおります。したがいまして、純然たる意味の先生の御指摘の公害対策経費は、おそらく百億に満たない金額であろうかと思いますが、本年度予算要求を見ましても、各省から研究開発なりあるいは公害の測定事業なりにつきましては、相当程度要請は出ております。厚生、通産、農林等から相当程度要請が出ておりますので、やはり国の行なうべき公害対策事業の分野というものを、踏まえながら十分な査定をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これで終わりにします。最後に伺いますが、結局、四十五年度補正予算を出すか出さないかはまだ未定である、出さないかもしれない、あるいは出さない方向で作業しているのか、その点をはっきりさしてください。私はどうしても出さなきゃならないと思っているんですけれども、政府は補正を出さないで済ませるというような方向で作業をしているようにさっきも受け取られたんですよ。どうも、私は、その点が割り切れないんです。臨時国会に出さないということについても、さっきお話ししたように私は遺憾だと思います。ところが、臨時国会だけでなく通常国会にも四十五年度補正は出さないかもしれないというようなそういう答弁もあったので、その点はもう少しはっきりしていただきたいと思います。
  74. 藤田正明

    説明員藤田正明君) ただいま主計局次長からいろいろと答弁がございましたが、先生がおっしゃるように、出さないとか出すとかということは決して申し上げておりませんし、要するに、補正財政需要とそうしてまた財源の問題がはっきりしないので現在検討中でございます。出すようになろうかと思います。おそらく出すようになろうかと思いますが、それはただいま検討中でございまして、出さないような検討はいたしておりません。
  75. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 最初に銀行局長に簡単にお尋ねして、あと主税局長にお尋ねしたいと思います。  まず、最初に銀行局にお尋ねしたいのは、金融年報なりあるいは経済統計月報等によりますと、農協の預金が四十五年の六月に五兆一千億、それから政保が約五兆、損保が一千億、金融資力でパーセントに直しますと、農協が五・七%、政保が五・五%といえば相当な金融資力であると思いますが、こういうものが日銀の資金ポジション指導等のワク外にありますが、こういうものを今後ともこういうようなかっこうにしておくものなのか、何らか金融体制上いろいろな点で検討をされるのかどうかという点が一つ。  二つ目に伺いたい点は、銀行の自由化と言ったって、何が行なわれたかといったら、配当が増になっただけなんです。元来ならば、預金金利の引き上げであるとか、あるいは貸し出し金利の引き下げというようなことが先行をされてしかるべきだと思うんですよ。株主配当だけが増になっているということになると、何か国民として納得のできないものがある。なぜなら、銀行というものは、民間というよりもむしろ公的な機関として国家から相当な恩恵を受けているものが明らかで、たとえば富士銀行でいえば一割四分の配当をする。各目はどうあろうとも、一割四分の配当です。公共事業でいえば、電気とかガス会社は、大体一割見当で押えられておるんですね。そういうことから勘案して、どういうふうに銀行局というものは今後の指導をやられるのか。それから不正の金額がどのくらいあるかというと、年間平均してみたら約四百億ある。平均して四百億以上あるんですね、ことしなんかは。去年もあった。そういうようなことから考えてみて、どうも、銀行の姿勢と申しますか、そういうものに対して大蔵省の行政指導が——私はあまり銀行局が実際は銀行に干渉してもらいたくないわけなんです。だけれども、これじゃ少しえら過ぎやしないか、銀行の方向が間違っておるのじゃないかという感じがしてなりませんが、今後の指導をされるときの大きな柱というとどんなものがございますか、その辺のところを伺っておきたいと思います。
  76. 中橋敬次郎

    説明員中橋敬次郎君) まず、第一点の御質問でございますが、今回一段落いたしました金融調整を反省いたしまして、確かに、御批判のありますように、今回の金融調整がたとえば三割規制にすぎなかったのではないかというようなことが言われております。それは主としましては日銀の資金ポジションの指導が都銀十五行を対象としておりましたから、その貸し出しのシェアを見てみますと、民間の貸し出しの中で都銀の占めますウエートが約三割でございますので、三割規制ではないかという批判があったことは事実でございます。そこで、成瀬委員のいま御指摘のように、政保、損保あるいは農業の系統金融機関の持っておりますところの預金、あるいはそれに見合いますところの貸し出しのウエートがかなりある。そういうものが今回の金融調整のワク外にあって影響を及ぼしたのではないかというお考えも出てまいるかと思います。確かに、私どもも今回反省いたしまして、そういう金融調整の場におきましてもう少しこれが強く及ぶ体制というのは、幸い今回の金融調整ではその必要がございませんでしたけれども、奨来いつの日かそういうことが必要になる場合もあるという前提のもとに、いろいろ反省もし研究もしておるわけでございます。その場合に、ただ単にいま日銀の資金ポジション指導が三割規制でございましたけれども、そのほかにもいろいろ金融調整措置というのがございます。たとえば、その中で、わが国ではまだ程度は非常に低うございますけれども、預金準備を日銀に積ませるという制度がございまして、これは率は少のうございますけれども、なお今後の金融調整のもとにおきましては、諸外国の例からもかんがみまして、かなり大きな役割りを果たすのではないかというふうに思われております。その場合に、実は、この預金準備を積む関係のある金融機関の貸し出しが、民間金融機関の全体の中で占めますものは約半分ぐらいでございます。あるいはまた、公開オペレーションによりまして日銀がいろいろ金融上の操作をやっております。それにつきましても、そういうオペの対象の金融機関というものの貸し出しのウエートが、民間の金融機関の中でどのくらいあるかということを反省いたしますと、やはりこれもほぼ五割ぐらいのシェアを占めております。したがいまして、単純に先ほど申しましたように都銀十五行の資金ポジションが三割規制であるからということで、全体の金融調整が三割にしか及んでいないということは、こういったほかの制度をかみ合わせ、あるいは都銀が占めますところの質的な重要さというものから考えれば、必ずしも三割という数字に代表されるものではないと思いますけれども、先ほど申しましたように、もう少しこういった新しい角度からの検討を加える必要があるということは十分言えるわけであります。その場合に、まず第一に考えられますのは、先ほど触れましたように、預金準備制度というものをもう少し幅広くあるいは層を厚くするという問題がございます。層を厚くする問題につきましては、実は率の問題が検討対象になります。それから範囲を広くするという問題が、先ほど成瀬委員指摘のように、生保、損保あるいは農協系統の金融機関というようなもの、あるいは現在相銀、信金でもある一定の資金量以上のものしか対象にいたしておりませんけれども、こういうものをどうするかという問題がございますので、今後とも十分検討してまいりたいと思っております。  それから第二の御質問の点でございまして、銀行行政については、自由化が実は配当の自由化だけに終わっておるのではないかという御批判でございます。確かに、現在までのいわゆる金利の動きというものが、金利の持ちますところの調整作用というのを十分活用していないという批判がありました。この点につきまして、前回におきますところの金利改定において、臨時金利調整法に基づきますところの告示で、預金金利の最高限度を規制いたします際に、従来かなりこまかく規定いたしておりましたのを、たとえば一年定期を想定いたしました五・七五一本に規定をいたしまして、その中において、日銀のガイドラインの指導ということはございますけれども、弾力化しようではないかという機運が出てまいったことは事実でございます。それで、まだその幅は非常に少のうございますけれども、そういった法的な形式からまずそういう預金金利の自由化の一歩を踏み出したのが現状でございます。貸し出し金利のほうにおきましては、これはかなり最高限度も高うございまするから、あるいはまた、プライムレートがたとえば八・五ということにきめられましても、それを基準にいたしまして金融機関と相手先の企業との間での協議でもってかなりバラエティーをもってきめられておると思います。問題は、やはり、預金金利というものを、最近の金融機関の収益の状況あるいは経済の動向からの貯蓄増強の必要性から申しまして、もう少し金融機関の利益を預金者に還元してはどうかという気待ちがわれわれにもありますし、また、預金者には一そう強くあるわけでございます。そういう観点からも、私どもとしましては、できるだけそういう方向で今後の預金金利の問題を考えてまいりたいと思うわけでございます。ただ、もちろん、そこで急激に預金金利の規制を撤廃いたしまして、あまりにも激しい過当競争が生ずるということは、銀行の公共性の問題から見ましてできがたいと思いますけれども、そういった方向に逐次進みつつあることは事実でございます。問題は、配当の自由化でございまして、一五%の最高限度がございまするけれども、その中で金融機関がこの九月期からの配当をかなり自由にし得るという体制になったわけでございまして、御指摘のように、いままで九%、一〇%であった銀行の配当が、最高は一二%、それに記念配当を二%つけまして一四%というようなところも出てまいりました。その配当率を高くするために業容の拡大に走るということは、これは厳に戒めなければならぬことだと私ども思っております。いま、配当率を算定いたします算式におきましても、実は、利益そのものだけが反映するような方式をとっておりませんで、たとえば経費を一般基準よりも圧縮をしました場合にはそれが有利に働くように、あるいは自己資本を一般の基準よりも厚くしましたならばそれが有利に働くようにという配慮もいたしておるわけでございます。しかし、その中でも、そういう算式の結果出てまいります配当をいたずらに高くするだけが金融機関のよさを誇示するものではない。金融機関のよさというものは、質的に安定的な資金の供給という問題を十分果たさなければなりませんから、そういう面での配当の問題を考えてまいりたい。いままで、とかく、一律配当のもとにおきましては、経営自体が非常に過保護であって、能率ということを十分考えないという弊害がございましたものを、この点から打破してまいりたいという気がございまするけれども、金融機関の効率化という問題につきましては、おっしゃいますように、経費を少なくする努力をする、あるいは預金金利で預金者に利益を還元するという方向、ないしは貸し出し金利を十分適正に持っていく、いたずらに貸し出し金利を高めるということだけが銀行の仕事でないというような点については、今後とも配慮をしてまいりながら金融機関の効率化という問題と、それから銀行の占めますところの果たさなければならない公共性という問題、両方を進めてまいりたいと考えております。
  77. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは意見だけですが、少なくとも、先ほど申しましたように、預金者あるいは貸し出しを受ける人たちの保護が優先されて、それから配当が増になるというなら、私は順序はそれでいいと思います。ところが、片一方では歩積み・両建てはやっているわ、貸し出し金利は下げていないわ、いろいろなことがあって、銀行はまだなすべきことがたくさんあると思う。それをやってから増配に行くというなら、これは納得できると思うんです。そういう点について、大蔵省として、銀行サイドでなくて、もう少し国民サイドに立った行政をやってもらいたいということだけ申し上げておきます。銀行局の質問は以上であります。  次に、主税局長にお尋ねしますが、四十六年度の税制改正について、けさの日経等にも出ておりますが、いまいろいろなことがいわれておるようですが、それの柱になっているのはやっぱり四十六年の自然増の話が出ておりますが、これが一兆六千億くらいと書いてある。これはそれとして、これでいいのかどうか。  ところで、四十五年は、一体あなたのほうが予想をされた——何月まで集計ができておるかしりませんが、これは国税庁の問題だと言われるかもしりませんが、そうでなくて、主税局は税制改正は自然増が一体どうなるかというのが一番大きな柱になっておるようですから、そういう意味でお尋ねしておるのですが、一体四十五年度の見積もりとそれから実態とはどうなっておるのか、その辺のところをまず御答弁願いたい。
  78. 細見卓

    説明員(細見卓君) 日本の新聞は非常にりっぱでございまして、われわれが考えていないような数字もちゃんと書いていただけるのですが、一兆六千億というような数字を申し上げたことは一度もございません。  ところで、本年度自然増収でございますが、先ほど木村委員に申し上げましたように、九月末の税収が現在手元にわかっておるわけでありますが、それによりますと、予算額六兆九千三百八十四億に対しまして、三兆二千四百五十四億、つまり四六・八%進捗いたしておるわけであります。これを、昨年の決算額に対しまして、つまり最終的な収入額に対しまして、九月末はどこまで進捗しておったかというのを見てみますと、それが四三・七でございまして、つまりその意味におきましては三・一%この調子でいけばテンポが高い。つまり、半期で三・一%高いわけでありますから、全体とすれば六%ぐらい収入増になるのではないかというような御意見がございます。それは、しかし、先ほど来申し上げておりますように、計算上そうなるということでございまして、たとえば一例を申し上げてみますと、ことしの上期、つまりこの税収に入っています七月までの法人の前年同期に対しまする伸びが、六ヵ月法人で三割ぐらい、一年法人でございますと四割近く伸びております。こういうテンポがこの先起こるかということでありますが、昨年の下期は前年同期に対しましてやはり三割ぐらいの伸びを示しておったわけです。したがいまして、ことし昨年同期に対しまして三割を下回るというようなことになりますと、税収は三・一%の増加のテンポどころか、むしろ減少の傾向になるわけです、相対的に申しますと。  なぜかと申しますと、私どもの税収の見積もりにおきましても、上期に対しまして下期は若干の増を見て予算を立てておるわけでありますから、そういう意味で予算の積算との関係におきましては減に立つ要素になるわけです。で、ことしの三・一%収入ぐあいが良好になっておると申しましたものの中で、法人が三・八——約四%くらいよくなっておるというようなことで、法人のウエートが非常に大きいわけです。その大きい法人が下期どうなるかということについて、なかなか予測ができません。確かに、給与などにつきましては、上期はある程度伸びてきておりますし、給与が全体として減るというようなことはないと思いますが、これもボーナスのようなかなり大きな二ヵ月分あるいは三ヵ月分の給与に相当するような大きなボーナスが昨年に比べて同じテンポで伸びるかどうか、絶対額はあるいはある程度出ようかと思いますが、率として伸びるかどうか、私どもも給与の伸びを見ますときに、同時にボーナスの伸びも税の中では見込んでおったそういうものが全体として伸びるかどうかということになりますと、かなりいま正確に予測するというわけにはまいりません。  それからもう一つ、昨年度の税収に非常に大きな影響を持ちましたものは、昨年御審議願いました土地税制の改正によりまして譲渡所得が非常にたくさん出てまいったわけであります。それが申告所得の増として昨年の税収は大きく伸びております。先般、この委員会におきまして、木村委員あるいはそのほかの方々から、昨年は補正予算に対して非常に自然増収が出たではないかというようなお話もございましたように、確定申告の見方というものはなかなかむずかしいわけであります。その確定申告におきまして、昨年度は、いま申し上げましたように、譲渡所得が非常に大きくなっております。  それからもう一つ、確定申告の際に大きな要素になります配当所得がつまり合算になって申告所得になるわけでありますが、配当率その他は若干落ちてきておりますし、減配の会社もかなり出ている状況であります。  そういうものを総合勘案いたしますと、ことしの税収を正確に予測いたしてどれくらいの自然増収が出るというようなことを申し上げるのにはちょっとデータが不足でございまして、いま確たる数字を申し上げかねることは、先ほど木村委員お答えしたような次第でございます。
  79. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 説明はどっちでもつくと思うんですよ。出ませんよという説明なら、一番つけやすい。出るということになるならば、これはまた出るという数字をあなたのほうはおっしゃるわけだ。しかし、四十六年度の税制改正をやろうとするときには、そんなことを言うけれども、四十六年の自然増がどのくらいあるんだ、だからこのくらい減税しますよと、いままでのあり方というものは絶えずそういう説明であったわけです。そうじゃなくて、そういうものとは切り離しちゃって、不公平を直すとか、あるいはみんなの生活がどうこうだから減税するという立場に立てば、またおのずから論点が違ってくると思うわけですが、どっちをとられるわけですか。
  80. 細見卓

    説明員(細見卓君) それは両方兼ねなければならないのではないかと思います。そういう意味で、先般もこの席上で大臣からもお答え申し上げておりますように、所得税につきましては、何としても、所得税の減税は終わったんだというようなことでなくて、明年も引き続き実施いたしてまいりたい。所得税、住民税を含めました負担の軽減については、明年度の税制改正の一つの柱であるということをお答えしているわけでありまして、これは自然増収の額等に関係なく、構えとして所得税の減税を行なっていきたい、こういうことをお答えしているわけでございますが、額その他になりますと、これはやはり明年度自然増収と算出の規模というものとも微妙にからんでまいりますので、それはやはりかね合いの問題ではないかというふうに考えます。
  81. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 話がちょっと別のほうに行きますが、税調が二十日から始まるわけですか、小委員会が。いつも、大蔵省は、税調にはからなければ大蔵省の態度がきまらない。それで、それにならって国会に法案が出てくるわけです。そうして、審議すると、いつも、税調で税調でということになるのだが、一体税調と大蔵省関係、あるいは国会のこの場の関係というものは、どういう関係になっておるのか。税調というものは非常にウェートの高いもののように受け取れるんだが、税調で一度スクリーニングしなければ大蔵省は税制その他の改正というものは行なわないのだ、こういうふうに理解しておっていいのか。
  82. 藤田正明

    説明員藤田正明君) 税制調査会はあくまでも諮問機関でありますので、政府といたしましては、各般からの知識のある有能な方にお集まりいただきましていろいろと諮問を出しているわけであります。決定機関でもなければ、何らそのような決定権はございません。あくまでも国会審議を通して決定を願うわけでございます。ただ、政府といたしましては、いろいろ衆知を集めて考え方を是正できれば、より公平な税制ができればという考えでありますので、あくまでも諮問機関でございます。
  83. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 諮問機関だとおっしゃる、これはわかる。しかし、今後法律案が出てくると、税調に諮問した、そして結果がこうだったからこうだということが大きなよりどころになっている。そうすると、税調の意見を聞くなら、一ぺん国会にも、こんなことを聞きますよと——出てから議論することはあっても、出る前にも、一ぺん、こういうことをはかりますということを大蔵委員会等で説明をされてもいいんじゃないですか、あるいは、そういう意見を徴される機会があってもいいと思うが、どうでしょう。
  84. 細見卓

    説明員(細見卓君) 政府として明年度の税制改正についてどういうことを考え、どういうことを諮問しておるかということにつきましては、国会に私どもあるいは政府の責任者をお呼び願ってお聞き願えるわけでありまして、私どもなりに明年度の税制改正はどういうふうにしたらいいかということを考えるにあたりまして、あるいは決定するにあたりまして、衆知を集めるという意味でございまして、国会の御審議は税調の論議にも増しまして尊重いたしていろいろと考えてまいるわけでございます。
  85. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あんまりそれでごたごたしていてもあれですから、それじゃ、税調にはかろうとしている今度の減税の改正の主たるものは何と何と何でしょうか。
  86. 細見卓

    説明員(細見卓君) 税調に具体的にはかるというのではございませんで、いままで、税制調査会は、部会を三つにわけまして、直接税、間接税、あるいはさらに基本的な税制の長期的なあり方というような、三つの部門について御審議願い、その場合には、直接税、間接税については国税であると地方税であるとを問わないという形で御審議を願っておるわけでありますが、それぞれの部会におきまする論議は、税制調査会の御要望もあり、われわれの意見もございまして、税制に関するいろいろな基礎的な資料あるいは計数といったようなものをごらん願って、それを基礎にしてかなり御自由な立場で議論をしていただいて、その議論の過程が煮詰まってまいったものが税制調査会としての御意見になってくるわけであります。もちろん、その間におきまして、われわれが、所得税の問題はどういたしましょうかというような一般的な御諮問はいたしますが、あるいは意見は申し上げますが、所得税のこれをどうしようあれをどうしようというようなことは、むしろ調査会側の御発議を待ってやるわけであります。  そういう意味で、現在まで税制調査会の審議におきましていろいろ問題が出ており、われわれが現在までの審議の経過からしてこういうことが大きな問題になっておるなと感じておりますことを、いまの成瀬委員の御質問に答える意味で申し上げますと、一つは、所得税の減税、あるいは住民税を含めました所得に対する課税の減税の問題、それから第二番目は、物品税あるいは入場税を含めまする間接税についてどういうふうに明年度考えていくか、あるいはさらに長期的にどういうふうに考えていくかというような問題さらには道路整備の財源、さらに広範にわたる総合交通政策の財源としての自動車関係の税といったようなものが大きな柱になっておるようであり、ますし、さらには明年度期限が到来いたしまするいろいろな特別措置、具体的に申せば、たとえば輸出振興の税制でありますとか、あるいは交際費の課税の問題でありますとか、そういったようなものが委員の皆さまの関心を引いた問題であったように思いますので、明年度の税制改正の答申におきましても、おそらくこれらの諸点を中心にして御答申いただけるのではないか、かように予測いたしておるわけであります。
  87. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうしますと、たとえば直接税はどんなものでございましょう、あるいは所得税はどんなふうにしたらいいでしょうというふうなものなのか、あるいは、もう少し大蔵省としてはこれくらいのことなんだからというもう少し骨子めいた、もっと具体的に申せば数字をあげられて意見という形で出されるものなのか、あるいは、質問に答えるという形で出されるのか知りませんが、税調に対して大蔵省側の意見は言われるんじゃないですか。
  88. 細見卓

    説明員(細見卓君) 審議の過程で、事実にわたる説明あるいは事実の解釈などにつきましてはいろいろ申し上げますが、われわれはこうしたいと思っておるというような形では申し上げないのを慣例にいたしております。
  89. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、国会で、たとえば定額控除がこれは少な過ぎるんだと、十万円じゃだめですよ、もっと上げなさいと、具体的に数字をあげて議論しますね。そういうものを出してここで議論したものが税調では反映しないということですか。
  90. 細見卓

    説明員(細見卓君) 私どもの意見じゃなくて、国会で十万は少ない、十五万円に上げろ、あるいはもっと上げろというような議論があったことは御披露しております。
  91. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それはどういうかっこうでですか。たとえば、あなたのほうが積極的に、国会のおおよその意見というものはこういうところですよというふうなことで報告されるわけですか。税調の傍聴は許されるのかどうか知りませんけれども、おそらく非公開だと思うから聞いておりませんが、それじゃ、国会で議論されたことが、どういう形で、ただ委員の人たちが勉強されて速記録等を読んでやっておみえになるものなのか、国会ではこういう意見ですよといって集約してそこに報告をされるのか、どうなんでしょうか。
  92. 細見卓

    説明員(細見卓君) 税制調査会の税制改正の審議の発端は国会における議論の紹介から始まるわけでございまして、国会でこういう御議論があったということを、審議に先立ち、あるいは審議を始めるにあたっての基本的な配慮すべき問題として御披露申し上げております。で、この審議会は公開にはいたしておりません。これは公開にいたしますと会場その他の問題がございますので、公開にはいたしておりませんが、関係者は随時お入りを願っており、会議の内容につきましてはそのつど新聞の方々に内容を御披露するという形で実際上の公開措置をとっておるわけでございます。
  93. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 具体的にお尋ねしますが、定額控除ですね、十万円はとてもだめだと、国会ではもっとうんと上げなさいというようなことが出たときに、あなたのほうは、それに対して、これは引き上げなさいよというだけの話なのか、あるいは、住民税と所得税との課税がアンバランスになっていますですね、そういうような問題についても具体的なものとしてお出しになるのか、抽象論でお出しになるのか、どうなんでしょうか。ということは、私は、そういうふうにきっちりやられるなら、国会もこの場で意見を集約していかなければならぬと思う。紹介されるというなら、よほどのまとめた、もっと言えば、あなたがまとめて税調に報告されるというなら、その原稿ぐらいは一ぺん見してもらわなきゃいかん。あるいは、こういうことを紹介されましたというその税調の速記録というものがあるなら、速記録を出してもらったほうがいいと思う。
  94. 細見卓

    説明員(細見卓君) 政府の諮問機関でございますので、おっしゃるような正式な手続はいたしておりませんが、国会の御議論としてこういうことがございましたというものは税制調査会にも提出いたしますし、同時に、新聞その他のプレスにもお出しいたしております。それからまた、衆議院などでときどき税制調査会長をお呼びになったりするときがございます。そういうときには必要な参考資料として差し上げていることはございますが、あくまでも政府のいわば諮問機関でございますので、そういう速記録をつけるとかどうとかいうような公式なことはいたしておりませんが、形こそ非公開でございますが、実質的に公開というたてまえで運営しておるわけでございます。
  95. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まあ意見を言えば切りがございませんですけれども、これはこれとして、それでは、いま所得税の減税案というようなものがいろいろ取りざたされておりますですね。あなたは、日本の新聞が非常に優秀で、まあ憶測記事と、こう言われるかもしれませんけれども、そうではなくて、何らかの形で形があるからこそニュースというものは書かれるわけです。新聞というものはそういうものなんですから。あなたは直接言わないかもしれないけれども、だれかがどっかで言ったということがあるから、大蔵省の大体の方向というものはここら辺にありますよと、あるいは、税調の意向というものは那辺にありますよとだれかがレクチュアしているからこういう記事になっていると思うんですが、そこで一番問題になりますのは、所得税の減税はどのぐらいやろうとしておるのか。具体的な問題で、定額控除をどれだけにするとか、あるいは基礎控除はどうだとか、扶養控除はどうだとかいうことよりも、私が聞きたいのは、所得税の最低課税限をどこら辺まで引き上げていってどうやろうと。そして、そのときに問題になるのは、いまあなたがおっしゃる国と地方との関係、住民税との関係ですね、それをどうするかという問題が大きな問題になっていますから、その辺のところをどうしようとしておられるのか、大蔵省の方針ですね。
  96. 細見卓

    説明員(細見卓君) 大蔵省は、いまも政務次官からもお答えいたしましたように、税制調査会の答申を待って、それをもとにして方針をきめるわけでございますので、いろいろ大蔵省の考え方だとかあるいは政府が減税の方式をきめたとかいうようなことを言われることがございますが、そういう意味のものは現在のところ一切ございません。税制調査会に所得税の減税を含めまして明年度の税制改正一般を諮問いたしておるわけであります。ただ、私どもといたしましては、先般この席におきまして、大蔵大臣が、所得税については減税一段落という説もあるが、そういうことでなくて、自分としては所得税の減税を引き続きやってまいりたい、その具体的な規模につきましてはいま税制調査会にはかっておるところである、ただ、その場合も、どちらかと言えば、税率よりも控除が中心になった改正が行なわれるのではないかと期待しておるというようなことを申しております。ただ、それも大臣の希望でございまして、税制調査会におきましてはそういう大臣の意向も受けましてこれから明年度の税制改正について慎重に御審議願うということになる段取りかと思うわけでございます。
  97. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それじゃ、こういうことを申し上げておきますが、所得税と住民税の課税最低限というものは、地方自治体の税収入との関係もありましていろんな問題があると思いますけれども、これが違っておるということはおかしいと。それからもう一つは、付加税にしたらどうかというような考え方もあるようですね。もしそういうことになれば、これこそきちっと最低課税限が合わなければならないことになるわけです。ですから、そういう方向もあり、それからどう言ったって国税のほうが上で地方税と違うということは、やっぱし納税者からいって感情的にも納得できない点があると思うから、これはぜひ早くやっていただきたい。  それからもう一つ、過般、新聞で、いかにも国民をばかにしておるのじゃないかというようなことで、松下幸之助の、あの人は収入がどれだけある。それは給料としてはどれだけだ。しかし、非常に多いのは配当じゃないかと。だから、配当で二〇%でもらうのだからそれが非常に多い。松下氏があれがもし給与所得だとしたら、あんなものじゃないでしょう。配当で最高二〇%に押えられておるからああいうかっこうになるわけですね。これは非常に不公平だと思うんですよ。だれが見たって所得の公平ということはないと思う。ただ法律があってそういう不公平なことをしておるというふうにしか受け取れないわけです。なぜそういうたくさんの人たちだけ優遇するのか。国民の政治に対する不信とかいろんなものになる一つの問題だと思うんですよ。あるいは、悪いことをする一つのどこかの理屈になっておると思うんですよ。ですから、私は、こういうことは、所得というものは収入と見れば、個人で見れば同じわけなんですよ。なぜ配当所得だけが優遇されなければならないのか。なぜそういうものがなければならぬのか。それは説明はできると思うけれども、ほんとうに国民の納得のできる説明はないと思うんですよ。ただ証券を優遇するとかなんとかということだけじゃいかぬと思うのです。ですから、これは私は早急にやめるべきだと思う。ここで自民党の人たちが何とも言わぬので参議院の決議にならぬわけですけれども、これはみんな、自民党の人たちも全部そう思ってみえると思うんですよ。国民の大半ということよりも、ほとんどはそう思っておると思うんですよ。なぜこういうことができないものか。また、そういうことを税調にもしはかるとするなら、大蔵省がもっと積極的に出て、税調の委員の人たちがおかしいことを言ったら、かまわぬといってやるだけの姿勢があってしかるべきだと思うが、どうでしょうか。
  98. 細見卓

    説明員(細見卓君) 御記憶のように、昨年度の税制改正におきまして、配当控除につきましてはその切り下げを行なったわけであります。そういう切り下げが行なわれました背景といたしましては、国会を通じまして、あるいは新聞紙上その他を通じましての、配当所得者が、税制としての法人税と所得税とのメカニズムはどうであうと、なかなか納得がいかないということが大きな議論のささえになりまして、法人税制を根っこから根本的に改正するということがない限り配当控除を改正してはならないというようなことを言っておれないと。とにかく、やはり国民に信を得るためにも、配当所得について適正な税負担を考える方向として昨年度のような改正が行なわれたわけであります。  それから先生いまお触れになりませんでしたが、いま、所得税について不平あるいは不公平だという議論が出ます一つは配当所得、いま一つは医療所得に対する課税でありますので、その二つにつきましてどうぞよろしく御審議願いたいわけでございます。
  99. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、せっかくあなたも税調に対していろんな意見を言われると思いますから、いま申しましたように、ここで、大勢の意見として、いま申しましたように、配当所得の優遇措置というものは、即刻、期限があろうとなかろうともうやめる。あなたが触れられた医療の七四%というのは、何と言ったって過保護ですよ。これは当然なことであるから、こういう問題についての所得の不公平というものを是正するというのが、私は、減税とともに大きな柱でなきゃならぬと思うんですよ。柱というものは不公平をなくするというのが何より大切なことだと思います。それはひとつ審議を願いたいと、こうおっしゃるんだけれども、ここでは、いま申しましたように、自民党の人たちも、もしこういうまるいテーブルで向き合って話をすれば、必ずそういうことになってくる。それこそほんとうに参議院の大蔵委員会として議決でもしてやる。政府がまた提案してはおかしいことになるんですよね。なかなか党としておやりにくいと思いますけれども、私はこれは強く税調に反映をしていただきたいと思います。  それからその次にお尋ねしておきたい点は、私は意見だけ申し上げますが、自動車新税に対してこういう意見があるんですよ。一体、自動車というものは公害の発生源じゃないか。何と言ったって自動車は公害の発生源じゃないか。もう一つは、走る凶器じゃないか。道路はいま自動車に専有されてしまって、歩くところがなくなっちゃった。で、自動車税だけで道路なんというものはできていないんだと。税負担でというなら、歩く人たちも負担をしておる。もし自動車だけに道が取られるとするなら、せめて歩道をつくるものぐらいは自動車が特別負担したっていいじゃないか。もっと言えば、そんなことをして税金をかけるということになると自動車が高くなって買う人が少なくなるよという意見もありますが、それもわかりますが、しかし、被害者側に立ちますと、強制保険あるいはそういう損保ぐらいじゃなくて、自動車を持っておる人がそういう事故をやった場合には、損害補償をする能力のある人が自動車を持っておるべきじゃないか、単に自分が都合がいいとか悪いとかいうぐらいじゃいけませんよと、そのぐらいのものでなければならぬじゃないかという意見もあります。それからもう一つ、これは大蔵とは特別に関係ありませんけれども、免許を取得する場合に、三人ぐらい保証人をつけておく。これは諸外国で例はあるわけですけれども、そうすれば、その人たちがそういう事故を起こした場合にやはり補償の責任を負わされるということになれば——いま交通刑務所等に入っておる人たちでほんとうに不適格な人があるわけですね。たとえばてんかんのけのあるというようなことは、なるほどこの前一度精神病の鑑定をしたらどうだというようなことが一度国会で問題になって、これは人権侵害じゃないかというようなことがいろいろと問題になったと思いますが、しかし、そういう保証人がつくということになれば、親族はそういういろいろなことになりますから、おのずからそちらのほうでチェックされてくる。そういう人権の問題も解決する問題があると思います。  ですから、そういうような立場からいって自動車新税というものはやるのはあたりまえじゃないかという意見があるわけですね。それに対して反論もあると思いますけれども、私は、どちらをとるかということになると、なかなか容易な問題じゃないと思いますけれども、しかし、これだけ自動車がふえてまいりますと、道路をどれだけつくってみても、道路を二階建てにしろ、三階建てにしてみても、どうにも解決する問題じゃないと思う。ましてや、排気ガスの問題等を考えればたいへんな問題だと思いますから、自動車というものをどこかで制限していくというなら、やはり自動車税というようなものは相当大幅にかけてしかるべきじゃないかという意見があるのですが、これに対してどういうふうにお考えですか。
  100. 細見卓

    説明員(細見卓君) いま私どもが伺っておりまする自動車に対する課税等を主張なさっておる方々の御意見というものは、どちらかといえば財源論でありまして、道路を整備するために必要な財源を自動車に求める、あるいは、さらに広く総合的な交通体系を整備するためにその財源を自動車に求めるという御議論が主として私どものほうに聞こえてまいっておるわけでありますが、同時に、テレビあるいは新聞紙上等におきまして、先生のような、むしろ自動車を抑制したらいいではないかというような御議論のあることも承知いたしております。ただ、その場合に、山村でありますとかあるいは僻地でありまして自動車がいわば唯一最大の交通機関になっておるような地区をどうするかというような議論もございまして、先生の御議論のように、大都会の自動車とかあるいは交通頻繁な街頭の自動車の場合を見ます場合には、御意見のようなお考えも出てこようかと思うのですが、一方、そうした自動車に頼らざるを得ない地区もかなり日本にあるという、そういうところに抑止的な税までかけていいだろうか、これは道路財源とか総合交通政策の財源に自動車の課税を求めることにつきましてもある議論でございますが、抑止的ということになりますれば、ましてそういう面をどう考えるかということは今後検討してまいらなければならない問題であろうかと思います。
  101. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 いままでバスが通っておりましたね。そうしたら、自動車がふえたために、バスを走らせなくなっちゃって、バス廃止とかなんとかいうそういう問題が出てきた。これは自動車がふえたためにそういうことになった。ですから、あなたのおっしゃる農村関係の交通機関の問題というものは違う議論だと思います。もっとよく実態をつかめば、そういう議論はバスの問題で解決できるわけです。それが、いま、バスが走らなくなるので、むしろ、車のある人はいいけれども車のない人はどうなる、バスが赤字じゃないか、私鉄が赤字じゃないかという、そういう問題にもなっておると思います。これは主客転倒した議論じゃないか。町の中でも、日曜歩道、遊歩道なんというものをやって、通さぬようにしている。あるところでは、バスとタクシーだけは走ってもいいけれども、普通のものは走らせぬよというようなふうに、公害の問題からしてチェックしているような動きだと思うのです。だから、私は、落ち着いて根本的な問題として対策を考えてもらいたい。日本の産業がどうなるとかいうようなそういう問題もそれはあると思いますが、もっと大切な問題は歩く人の権利が守られるということ、命の、公害の問題とも関連してまいりますから、十分ひとつ御検討がいただきたいと思います。  それから、その次にお尋ねしておきたい点は、この間のトランジスターのカラーテレビの問題ですね。これはちょっと私はだまされた感じがした、端的に言って。主税局も、あれがあんなふうになるなら、提案理由ももうちょっと違っておったと思う。もうトランジスターのほうが真空管よりも安くなっておるというのが実態なんですね。ですから、あのときはなるほどああいう暫定税率をきめたのだが、いま不買同盟等も出ておるときに、これはたいへんな問題だと思うんです。しかも、見通しを誤ったのだから、誤った点は改めるにやぶさかであってはならぬと思うのです。すぐ即刻改正すべきだと思うが、どうですか。
  102. 細見卓

    説明員(細見卓君) テレビの状態につきましては、いままさにいろいろなことが一度に起こって混乱状態みたいな状態で、生産秩序がいつ回復するか私どもにはよくわかりませんが、おっしゃるように、暫定税率を本年きめて、明年一年でいよいよ本則にもどるわけであります。そのときに、いまのようなテレビの生産状況を踏まえまして、先生の御指摘のように改正すべきかどうか、いま少し実情等も勉強いたしまして、各方面の御意見を税制調査会にはかりまして、どういう方向で改正するか、ほかにも暫定税率を設けておるものもございますし、それらとの関連もございまして、慎重に検討をいたしてまいりたいと思います。ただ、いまのところでは、まだ私どもはトランジスターのほうが価格としては割り高になっておるのではないかと、かように思っております。
  103. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 いや、割り高だとかおっしゃるが、あのときの問題ともう雲泥の違いですよ。あなたも提案理由を説明したんですよ、ここで。あのときと全部違っておるんですよ。だから、間違った立場で提案をしたんだから。それだけ電子工学というものは、日新月歩くらいじゃなくて、もうほんとに進んでおるわけですね。ですから、違ったと思うんですよ、トランジスターは。しかも、全部トランジスターじゃないですか。あのときは、日立が初めてで、もうちょっとあとだろうというような見通しでああいう三年間の形になっておったと思う。全然環境が違ってきたということなんだから、私は即刻直すべきだと思う。売れ行きがどうだということは、これはあれだけ悪いことをして、寡占価格で価格操作をやっておって、しようがないですよ。そんなことは考える必要はないと思うんですよ。それは寡占価格をあやつっておったああいう人たちが悪いんで、いま不買同盟をやるというのは、私は住民がいろんなことで消費者物価の問題でやってまいりますと、やはり不買同盟というのがきめ手だと思う。ああいうことは奨励したほうがむしろいい、奨励すべきだと思うんです。それによって寡占価格と消費者価格というものの調整というものができるわけです。ですから、私はああいうことは非常にいいことだと思う。それ以外に調整の仕方というものはないですよ、寡占化に対してやるということは。ですけれども、いま言ったように、それとこれとを混同して、売れ行きが悪いからまた保護せにゃならぬなんということと混同されては迷惑だ、間違っておるということだけ申し上げておきたい。それだから、これは意見になるが、税調があるんで、私はそこできつく言ってもらいたいと思う。  その次に申し上げたい点は、家具のことで、主税局長もお聞きになっておると思いますが、国税庁が調査するときに、図にかいたものを持って行って、それはなぜかというと、こういう机の足がスチールだと税金がかからないとか、免税点があるのでどうだとかいって、あるいは、電話を置くならテーブルは無税だけれども、電話じゃないものを置くときは同じものでも用途によって税がかかったりかからなかったり、あるいは、胸像を乗せる台だというと税金はかかる、だまって買って持ってきて像を乗せておけばそのものには物品税はかかっていないというような、むちゃくちゃなことなんだね。だから、税金を取るほうも難儀で、税法だけのあれじゃいかぬで、図をかいておいて一つ一つこれに当てはまるかどうかといって一生懸命やっている。これじゃ、税務署もたいへんだと思うが、税を払うほうも、まじめに払おうとしてもなかなか容易じゃない問題があるんですよ。だから、こういうものについては、抜本的に一ぺん検討をされる必要があると思います。あるいは、奢侈品に対する考え方も、もう違ってきたんだね、免税点やいろいろな問題で。化粧品なんか、高いものほど売れるということだ。いままでは五百円の値をつけておいたものを千五百円の値をつけたら売れていったと、そういういろいろな問題がありますね。ですから、奢侈品とか免税点に対する考え方も、物品税全体を考えられるときに一度洗いざらい検討されてみる必要がある。特に直間で申しますならば、間接税をふやそうとするなら、そういう立場に立ってもう一度洗い直してもらいたい。こういう意見に対してはどうですか。
  104. 細見卓

    説明員(細見卓君) たいへん有力な御示唆をいただいたわけでありまして、いまの机と台の問題にいたしましても、台が非課税になっておるからおっしゃるようないろいろな問題が起こるわけでありまして、現在のように生活が非常に多様化してまいりますと、机でも一つのものでいろいろな用途に使えるわけでございますから、そういう意味で、奢侈品であるとかないとかというような区別じゃなくて、やはり同種類のものについては少なくとも課税上のバランスをとってさらに徹底いたせば、一般的な消費税——選別的に課税するのでなくて、一般的に課税する消費税のほうが消費税の税制としてはすぐれておりますし、したがって、また、免税点のようなものもこれを設けないほうが税制としてはすっきりした形になるわけでありますが、日本に一般消費税が導入できるかどうかというような問題につきましては、今後慎重に検討してまいらなければならぬと思います。ただ、当面の物品税改正におきましては、御指摘をいただきましたような点、私どもも、物品税を、拡大均衡とでも申しますか、そういう形で均衡をとりながら——一挙に課税品目をそう大幅に広げることはできませんが、少なくとも拡大均衡という考え方で処していかなければならないのではないか、これは私どももかねて考えておるところでございますので、御意見はよく伝えまして、その方向で改正ができますように努力してまいりたいと思います。
  105. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう一、二点ですが、公害対策のことで先ほど木村委員からもありましたが、このごろ公害の発生源の会社と住民との間に、お前のところはこういうくさいにおいを出しておる、だからどうだということで、いくら装置してもできないからということで会社を閉鎖される、そういう工場が出てまいりましたね。たとえば愛知県の名古屋市のアイセロという会社、会社でいえば約三十億投資しておる、これが閉鎖される。これはたいへんなことだと思う。普通の会社の倒産による閉鎖と違うと思う。こういうふうに積極的に閉鎖されるというようなところに対して、私は税制上優遇措置を与えてもらいたいと思う。ただ単に倒産した——倒産したときもやっぱり閉鎖しますね。そういうかっこうのものであってはならないと思うんですよ。これに対する優遇措置というものは考えられぬでしょうか。
  106. 細見卓

    説明員(細見卓君) 税でございますから、何らかの形で所得が発生して、それを税制上免税にするとか優遇するとかいうことはできるわけでありますが、所得が発生いたしません段階において税でできることは比較的限られておろうかと思います。むしろ、そういういわば企業経営的に困ってこられたというような場合におきましては、融資とかあるいは補助金とかいうようなのが効果的に働くかと思いますが、税制の上におきましても、いまの公害のために工場が継続しにくいというような場合におきましては、それほど大きな害を出しておる企業でなくて、つまり多数企業があるから公害にはなるのですが、個々の企業としては基準以下であるというようなものにつきましては、おっしゃるような、それが市街地である、あるいは既成市街地であるから、工場としては成り立たない、あるいは住民の不安が大きいというようなものについては、一般の企業は買いかえをして、つまりその土地を売ってより新しいところに——通常地価その他も安いわけでありますから、既成市街地の土地を売ることによって収入が得られる、そういう場合には買いかえが特別に認められるようになっておりますし、さらに、公害がある程度きつい企業、公害と申しますか、環境を害する程度がある程度大きい企業につきましても、公害事業団が行なっております団地等に土地を求めて建物を求めていかれる場合には、普通の企業と違っていくらでも買いかえができるという形になっておりますので、税としてできますことは、いま申しましたように、所得が出てきたときに免税なり優遇なりをする、その所得の出てくる形として既成市街地のある程度の地価の高いところを売られたときに譲渡所得が発生する、それを課税上免除するということは税としてはできることでありまして、新たに資金を創出するということについては、これはやはり補助金なり融資なりの方向で考えていただく問題じゃないか、かように考えます。
  107. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 局長、それは現行法の考え方で、それはそれでいいんですよ。そうじゃなくて、ほんとうにもう閉鎖してしまうんだと。そうすると、たとえば決算がありますね、黒字だろうと赤字だろうと。そういうものに対しては税をかけないとか、あるいは、書きかえの問題になりますね。土地を売って他へ買えばそれは買いかえですからいいわけですが、そういうような移転の問題と違って、ぼくは、新しいアイデアとして、そういうふうに閉鎖されるところが出てくるから、新しい税制上の優遇措置を考え出す必要があるという考えなんですよ。いまある法律で適用をどうこうということを言っているわけじゃない。そうじゃなくて、そういうところに対して新しい措置を講ずる必要があるんじゃないか。たとえば、いま言ったように、工場を閉鎖する。それは、売れば、普通でいうなら倒産でもそれに対する所得が発生されますから、税の問題がありますね。ほんとうに閉鎖したところが売った場合は税金は取りませんとか、いろいろな問題で新しい観点に立って公害対策としてそういう措置を講ぜられる必要がないかと、こういうことを言っておるわけです。
  108. 細見卓

    説明員(細見卓君) 将来の問題として公害の問題は考えてまいらなきゃならないと思います。ただ、現段階におきましては、まだ公害関係法律が整備されておりませんので、いまのような場合に、工場閉鎖を何らかの形で行政官庁なり何なりが認定して、あなたは閉鎖すべきであるとかいうようなものが何か一つないと税制には乗りにくいと思います。自発的におれはやめたというだけではなかなか乗りにくいと思いますが、そういう法制が整備されるとかいうようなことになって、しかも、それが閉鎖以外の方法が認められないと、一種の土地などにつきまして強制収用がございますが、ああいうような形にまで規制が及んでくるということになれば、収用その他の場合の税制上の措置と比較しながらバランスのとれた税制上の優遇というのは、将来の問題として考えていかなきゃならないことになるのかもしれませんが、いまのところは御意見として今後慎重に検討さしていただきたいと思います。
  109. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 将来じゃなくて、もう現に起きているんですよ。どうして起きているかというと、大体条例でみんな公害条例を持っているんですね。そして、いろいろと設備改善の指導をするわけですよ。ところが、設備改善をやってみてもやれないという問題が一つあるんですよ。やったって不可能だ。それからうんと金がかかっちゃってどうしたって採算が絶対にとれないというようなことがあって、もちろん住民と経営者との交渉もありましょうが、その中には地方自治体が入っていろいろと行政指導をやるわけですよ。それでもなおかつどうにもできないから、経営者のほうがなるほどこれじゃどうにもなりませんよ。自治体はやめなさいとは言わぬですから、経営者がやっぱりそこは判断ですね。しかし、自治体としてはここまでやりなさいと要求はしてまいりましょう。そのときに、会社のほうとしては、それが採算ベースに乗るか乗らないか。あるいは、ほんとうになくてはならぬということならば、経営者が判断してやられるわけですから、私は、将来の問題とせずに、もう来年からこういう問題はやっておかないと、法律のほうは手おくれになっちまってどうにもならないから、いまの公害対策として一つの考え方として積極的にむしろ今年度の税制改正のほうで取り込むべきじゃないか。あなたみたいに将来のいろんなことを言って流されちまったら、公害対策は進まぬですよ。今度の臨時国会じゃなくても、あるいは通常国会ぐらいにでも、そういう問題を出しておく必要があるじゃないか、そのことがいわゆる公害対策じゃないかというふうに考えておる。どうも、局長の答弁はずれている。
  110. 藤田正明

    説明員藤田正明君) 私も、成瀬委員の御発言は、まことに適切な御発言だと思う次第であります。前向きの公害対策としてそのような必要があろうかと思いますが、何しろ経営者の判断にゆだねるという点が非常に微妙な問題もございますが、それらに関しましてどのような拘束なり制限なり、あるいは一つのきまった形を持ってくるか、先ほど申し上げましたように強制的な地方自治体の何らかはっきりしたものがあればこれはまたそれらを判断の中心とすることもできますが、なかなか微妙な問題もございますし、検討を大いに要する課題だと思いますが、前向きの公害対策としてはこの問題をぜひ取り上げたいと思います。
  111. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 お前はやめなさいという判断は、それは、騒音が出ますと、立ちのきなさいということはすすめますよ。しかし、企業をやめなさいということを言ってしまえば、損害賠償を地方自治体が全部負わなきゃならぬから、税の問題でなくなっちゃう。全部買うということなんです。そこまでいかないと思うんですよ。ですから、そこまで話を突き詰めてくればそういう問題になると思うのです。ですから、地方自治体等が行政指導をやっても見込みがないというような何か内申がついたとか答申がつくというくらいのところで妥協をしてもらう。そうでないと、いま言ったようにやめよということは言えない。やめよということなら、全部損害賠償をやらなくちゃならぬから、そういう問題じゃない。ですから、そこら辺のところを、十分話が煮詰まってくれば、やろうということで前向きで検討されれば、いま言ったような結論になると思います。ですから、そういう点でやってもらいたい。  もう一つは、地方自治体が立ちのきしてやりなさいと言う。それで、新しい土地を買いますが、一番困っていることはどういうことかといえば、私なら私が、騒音が出ますためにこっちへ引っ越して土地を買いますが、あと地の処分がどうにもしようがないんですよ、借金になりますから。あと地を地方公共団体が買ってくれさえすれば世話は要らぬわけです。しかも、それは、適切な値段で買ってくれなきゃ困るわけです。しかし、地方自治体にはそういう財源がないわけです。なかなか、大蔵省が、地方自治体がそういうための起債を起こしてワクを設定しておこうと——これは二億や三億じゃないですからね。相当な金額になると思います。ですから、そういうものをなかなか大蔵省が地方自治体に認めないようですから、実は建設委員会でそういうふうにしたらどうだろう。もちろん土地の所有は相当持っておっていいと思います。たとえば道路の立ちのき問題のときの換地にしてもいい。その土地を小公園にしてもいい。大体住宅が多いから立ちのきをせよということになりますから、いろいろな問題に使えると思うのですが、なかなか大蔵省が主計局の問題だろうと思うのですけれどもワクを認めないがために、地方自治体は非常に困惑をしておる。出て行きなさいと言ってみても、立ちのいた人の、善意で立ちのきますが、あと地が売れないために金利負担がえらくてどうにもならないのですから、そこら辺のところを公害対策でやらなきゃならぬと思う。これは大蔵省自体の直接の関係はないと思いますけれども、何らかの関係で地方自治体との折衝の中でそういう問題が出てきた場合に、相当なワクを認めてやってほしい。  それからこれは意見でございますから、答えはよろしゅうございますが、最後に、先ほど交際費の問題が出ましたが、私は法人税との関連で若干言いますならば、交際費を四百万円を三百万円にしてみても二百万円にしてみても、交際費は同じことなんですよ。会社が結局使うことについては、何ら交際費を押えていこうというその目的は達成せぬと思うんですよ。もっと別な方法で交際費をなくするというようなことを考えなければならぬじゃないか。千分の二・五を二・〇にしたって、交際費が少なく済むというわけじゃないと思うんですね。四百万円を三百万円にしたって、交際費が少なくなる問題じゃないと思う。そういうことじゃなくて、もっと抜本的な、交際費というものをどうするかということは、法人税の問題とからんでくる。宣伝費の問題とからんでくる。ですから、法人税というものをこれは交際費でかけませんとかという名目を立てるから、むしろみんなが使わにゃ損だと。また、使っておれば当然利益から落とされるという観念があるから、みんな使うんですよ。そうじゃなくて、あれも所得の中にみんなあげるようにしちゃって、そうしていろいろなことで考えていったほうが、交際費というものをチェックするほんとうの使命を果たすと思います。ですから、何といいますか、そういう小手先じゃなくて、もう少し法人税全体の中でどうする、もうかる会社は配当をやってもいいじゃないか、あるいはもっと蓄積のほうへ回せるように、いまバランスの悪いことですから、そういうような考え方で交際費というものとあわせて法人税というものを検討する必要がある、こういう考え方なんですが、ちょっともう少し説明しないと御了解しにくい点があるかと思いますけれども、ぼくはそういう考え方を持っているんですが、どうでしょうか。
  112. 細見卓

    説明員(細見卓君) 確かに、交際費課税というのは、ただきびしさだけを増していくといいますか、しかも、それは、法人の負担であって、必ずしも負担関係ははだに感ずるというようなものでなくて、結果的には製品に転嫁していくというような事態にもなっておるというような批判があることは私どもも承知いたしておるわけでありまして、そういう意味で、私どもは、やはり交際費の問題は基本的に経営者なり従業員の人のモラルの問題がある。その意味では、そうした人たちに対する所得税の税率というのが高過ぎるというようなことも含めて考えなきゃなりませんし、法人税の問題としては経費を節減してあるいは合理化をはかって努力した人と、たまたま非常に事業が当たって交際費その他を派手に使っておっても同じように大きな収益が出るというような企業と別にしたほうがいいじゃないかという御議論もあるわけですが、利益の種類を税制の上でより分けて課税をするということは、言うべくして非常にむずかしい問題でございます。そういう意味で、交際費課税の問題も、私どもも、巷間言われておりますように、ただ否認割合をふやしていくのが能ではない。何か税制が会社の浪費というものを押えるように有効にこの交際費課税が働くという方法、妙案はないかなといろいろ苦慮しておるところでございますので、いずれまた詳細に成瀬委員から具体的な方式につきまして御意見を伺いまして、それらを取り入れるべき方向がございましたらぜひ取り入れさしていただいて、何かいい案がないかといま検討いたしておるところでございますので、後ほどまた具体案につきまして御教示いただきたいと思います。
  113. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 所得税にしろ、法人税にしろ、簡単に言えば高過ぎるわけですよね。ですから、みんなが、もうかったらどうせ税金に取られちゃうじゃないか、だから使わにゃ損だわいという観点が非常に多いわけですね。これが、ほんとうに会社に蓄積される、あるいは個人の所得に転嫁されるとかなんとかということになれば、話はおのずから異なってくると思うのです。ですから、とにかく——まあいろいろなことは言えると思いますが、あなたがおっしゃるように、さて、それではどうするということになると、なかなか容易な問題ではないと思います。しかし、このまま捨てておけば、統計を見ますと交際費が何兆円使われておるといったような形になるだけで、それでは私は問題は済まされぬと思います。やはり六〇%は認めるんですからね。だから、交際費というものはなくしてしまったら、そういう区別ができない。これだけ落とせますよというそういう思想をなくすることが交際費のむだ使いというものを一番少なくする方法だろうと、極論を言いますと私はそう思いますが、まあこの点については一度あなたのほうも十分検討していただきたいと思います。  あと、資料として、どうせ臨時国会が始まりますから、そこで出てくると思いますが、私は、国税庁に、大口脱税、大口滞納といったようなものを、今年度分でございますが、お出しを願いたいと思います。——政務次官、よろしゅうございますか。
  114. 藤田正明

    説明員藤田正明君) 提出いたします。
  115. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 以上でございます。
  116. 栗原祐幸

    委員長栗原祐幸君) 本件に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十四分散会