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説明員(
吉田太郎一君) お答えいたします。
金利の
改定につきましては、もう御
承知のとおり、戦後ずっといわゆる低
金利政策という形で、
わが国の
金利の
水準を
国際水準にさや寄せしようということで一貫してできる
機会をとらえて
金利を引き下げていくという
方針がとられてまいりました。それがおよそ二十年ぐらい続いてまいったわけでございますが、最近の
状況を見ますと、
わが国の
経済の実力はもう国際的にも遜色のない形になっております。また、
金利の
水準につきましても、国際的に見まするとむしろ
先進諸国のほうが
割り高であるというような
状況にも立ち至っておるわけでございます。これからの
経済の
運営の
あり方といたしまして、
経済を安定的に発展させてまいりますためには、
金利の
機能、
価格機能と申しますか、そういう
経済の合理的な働きを活用することを通じまして
経済を安定的に発展させていくということが大切であるという
考え方に立ちまして、また、
経済の
国際化というような
環境の中で
運営をしていくためには、そういう
経済法則にのっとった
運営が大事であるということにつきまして
金利機能を活用してまいろうという
考え方がだんだん深まってきたわけでございます。
現在の
資金需給の
環境を見ますと、むしろ
資金需要が非常に強く、現在形成されております
長期の
金利の
あり方は、具体的には
公社債市場における相場という形で反映されるわけでございます。これが
発行価格と
実勢とがかなり乖離してまいっておるという
状況が去年の秋くらいから顕著になってまいったわけでございます。したがいまして、こういう
資金需給の
実勢を反映しない
金利の姿をできるだけ実情に応じたものに改めていこうという立場から、まず、
長期の
公社債市場に
関係のある
金利についてこれを改めようということで、ことしの一月に入りまして、
事業債のグループ、
A格債、
B格債、
C格債とございます、そういうものにつきまして、その
金利の
改定が、
産業界と、それからそれを引き受ける
証券業界との間で話し合いがまとまったわけでございます。
その結果、
公社債の
発行の
価格のうち、
社債につきましては、いままで、
表面利率七分三厘、
発行価格九十八円五十銭というものが、この際、
表面利率を〇・三%上げまして七・六%にいたします。そして
発行価格を九十八円にいたしまして、
上げ幅といたしまして〇・四一八%を上げるということになりまして、これを三月から
発行いたします
社債から適用することになっております。
こういう
社債の
金利が
改定されますと、それと競合いたしますほかの
債券にも当然及んでまいるわけでございます。この結果、
長期信用銀行等の
発行いたします
債券、いわゆる五年ものの
利付債と称せられるものにつきましても同様の
改定が行なわれる。これは
社債ほどの幅ではございませんが、やはり〇・三三八の
上げ幅をもちまして三月債から実施されることとなっております。
こういうように
社債と
金融債が上がりましたことに伴いまして、同じくそれと競合いたします
貸付信託五年もの及び二年ものにつきましても、それに応じて順々にその
金利の
引き上げが波及してまいります。
貸付信託につきましては、五年ものを〇・二%上げることになりまして、三月の二十日から実施される予定になっております。
現在までのところきまっております
引き上げの
状況は、大体以上のようなものでございます。ただ、こういう
資金吸収の面における
金利が上がってまいりますと、それをもとといたしまして
貸し出しを行ないます
貸し出し金利にも当然及ばざるを得ないわけでございます。この結果、
金融債を
発行いたしております
長期信用銀行、これは三行ございますが、これの
長期貸し出しの
金利を八・二%から八・五%に〇・三%
引き上げることにきまりました。そして、これを四月一日の
新規貸し出しから適用するというようになっておるわけでございます。
以上が、今日までにきまっております
金利の
引き上げ状況でございます。
この結果、どういうことがさらに波及してまいりますかという問題でございますが、おそらくは
貸付信託の波及してまいります金銭信託、やはり五年ものというものがございます、これをこのままに据え置いておりますと、営業上はなはだ支障があるということで、
業界の間でどの程度の
上げ幅にするのが適当かということを現在相談をしておる
状況でございます。
なお、さらにそれらが波及するものとして考えられますものは、銀行の定期預金あるいは割引
金融債等がございますが、この辺のところについてはまだ
決定はいたしておりません。
以上でございます。