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説明員(谷川寛三君) 事務的なお答えを申し上げることになりまして恐縮でございますが、御案内のとおり、わが国の特恵関税供与案につきましては、昨年の十一月にUNCTADというところへ出しております。これにつきましては、御案内と思いますけれ
ども、開発途上国から、いろいろと文句といいますか要望が出てまいっております。
簡単に申しますと、
一つは、農産物でございますが、これにつきましては、私のほうでこれこれの品目につきましてはこういうふうに関税を軽減いたしますというオファーをいたしておりますが、これをなるべくふやしてくれぬかという要望が出てまいっております。
もう
一つは、工業製品あるいは半製品でございますが、これにつきましては、国内産業にとりましていろいろ問題のある方面がございますから、センシチブ品目と申しておりますが、関税の軽減幅も若干制限をしております。それからあとで申しますが特別のセーフガードみたいなもの、これにつきましては、センシチブ品目はさっき申しました農産物と違ってもっと減らしてくれぬか、こういう要望が出てきております。
第三点は、ただいま申しました一種のセーフガードでございますが、話をこまかくいたしますとなにでございますが、時間もございませんので概略申し上げますと、
日本の特恵供与案が、開発途上国からの輸入を無制限に認容しまして、そのあれで特恵を供与するというわけではございませんで、一定のシーリング
——と申しておりますが、過去の輸入
実績によりましてワクを設けております。各物品ごとにそのワクの中でいま申しましたいろいろな特恵をお与えするということになっておりますが、私が申し上げるまでもございません、これはとにかくできるだけ多くの国にこの特恵を受けるようにしてあげたい。それからまた、それが開発途上国の工業化、
経済開発を促進するゆえんでもあると思いますから、そのワクが昨年の
実績がたとえばことしのワクの半分をこえているというような比較的開発途上国の中でも工業化の進んでいる国につきましては、ひとつ御遠慮いただけぬだろうか、そうして、その分はほかのもっとおくれている国に与えたいと思っているということで、まあ追い出し条項と通称しておりますが、そういうあれがございます。それで、比較的工業化の進んでいる国からひとつ撤廃をしてくれぬかという要望が出ております。
まあ大きく分けましていまの三つが各国からの開発途上国からの要望でございます。そこをどうするか、ただいま実は
検討しておりますが、
日本を取り巻く国際情勢を見まして、特に開発途上国に対する
経済援助の重要性にかんがみまして、あまり消極になって各先進国の供与に比べて見劣りのするものでありますと
日本の国際的な
立場につきましても影響があると思いますので考慮する。もう一方は、このために国内産業に対しまして無用の混乱を起こすことは避けなければいけませんので、どうしたらいいか、ただいま
検討中でございます。十四、十五日にOECDの貿易
委員会が開かれますので、それには間に合わせるように
政府で鋭意
検討中でございます。とにかく、国際的にも国内的にも一番いい案をつくろうということでございます。
それからもし順調にまいりますと、いま申しましたOECD、それから引き続きましてUNCTADの特恵の特別
委員会がございますが、そこで議論をいたしまして各国の案がまとまりますと、御案内のとおり、この秋に開かれます国連の創立二十五周年の記念事業の
一つといたしまして一九七〇年代における国連開発計画というのが策定されまして、その中の大きな柱として採用されることになっております。したがいまして、わが国といたしましても、順調にまいりますと、事務的なお答えを申し上げますと、
通常国会に
関係法案を出しまして、各国の施行の状況を見ながらできるだけ早く
実施するような方途を
考えるべきじゃないかというふうに
考える次第でございます。
それからただいまの各省の対策案のお話が出ましたが、これは、まだ全くそのもとになる計画がきまっておりませんで、したがいまして、どういう対策を講ずるかは基本の計画がきまりましてからいろいろな状況を勘案いたしまして慎重に
検討をしたいと、こういうふうに思っております。
影響でございますが、確かに、特恵が供与されますと、国内産業につきまして若干の影響がある。それからまた、各国の案がわかりませんけれ
ども、これからのこっちからの輸出につきましても、競争する後進国の物品につきましては、たとえば
アメリカで非常にドラスチックな特恵供与がなされますと、また影響を受けるかもしれないというふうに
考えております。
たいへん抽象的な答えを申し上げまして恐縮でございますが、そういうことも
考えまして、どうしたら国内産業に無用の混乱を起こすことのないようにできるか、慎重に
検討していきたいと思っております。