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鈴木強君 私は党のほうで、いま情報並びに通信の基本政策
委員会の
委員長をしておりまして、微力ですけれども、情報
産業の本来的なあり方、さらに今後の情報
処理のあり方について勉強さしていただいておるわけですけれども、今回協会
法案というものが
提案をされて、
衆議院では四条六カ所にわたって
修正がされたわけですね。附帯決議がついて本院に回ってきたわけです。私はこの
修正並びに附帯決議については全面的に賛成であります。しかもこの出し方についていろいろ批判が出るのは当然でありまして、
日本の情報
産業とこの
処理というものは不離一体のものでありますから、その辺を基本的にどうするかという考え方をもう少し早くおきめになって、そうしてその基本の上に立ったハード、ソフトの
技術開発というものをもっともっと推進しなければならぬと思うわけであります。そういう
意味からいいますと、どうも
日本の今日までの情報
産業あるいは情報
処理に対する
政府の態度というものは、少し後手後手に回っておったのじゃないか。しかし、おそまきながら片ちんばであるけれども、出てきたわけですから、われわれはこれを多とし、さらにこの片一方の片ちんばを早く直していただくとともに、この
法律の施行にあたっては、さらに最善を尽くしていただいて、
日本の情報
産業というものと、それの
処理がうまくいくように私たちはこいねがっているわけです。そういう
意味において、私は少しきびしい批判もするかもしれませんけれども、当たっておりませんでしたら、ひとつ反論していただいてけっこうですから、私はあくまでもよりいいものをつくるという立場に立って、建設的な意見を申し上げるつもりであります。
そこで、いま
久保委員から御
質疑がありましたが、私は本来情報
産業振興基本法というものをつくるべきだと思います。
日本の場合は、科学
技術の基本法もなかなかつくれない。それから宇宙
開発の問題にしてもそうです。宇宙
開発事業団というものが先に出てきてしまうというようなことで、どうも科学
技術の面については、考えてみますと、なかなか
日本はむずかしいですね。なぜ基本がきまらないか。いまさっき大臣はいろいろ先取りをするようなことがあってはいかぬとか、いろいろ言っておられますけれども、すでに
昭和三十三年に
日本の国鉄の鉄道
技術研究所とそれからもう一つは電子工業
振興協会、これが実用化しているわけですね。その前年の三十二年に電子工業臨時
措置法というものがつくられました。これは来年のたしか三月三十一日には、時限立法ですから期限がきます。しかし、この電子工業臨時
措置法というものは、いわゆる
日本の電子工業全体に対する
法律であって、少なくとも情報、
コンピューターというものを主体にした
法律ではないのです。その間JECC等が途中で資金的な問題からつくられて、少しずつはやっておるけれども、今日まで
政府が取り組んできた私は情報
産業へのかまえというものは非常になまぬるかったし、後手後手だと思うのです。そういう
意味で大いに反省をしていただきたい。私は昨年の十月ソビエトの科学アカデミーの招待で約十四日間ソ連の
コンピューターを見てきました。キエフへ行ってみますともう実際国力のすべて、というとちょっと語弊があるかもしれませんけれどもね、金も
技術も人員も投入して、そうしてやっておりますよ。
アメリカのNASAにしても、これは一面には軍事的な目的があるからそれは何兆という金をぶち込んで
コンピューターの
開発には使っております。ソ連もしかり。科学アカデミーなんというのはまことに膨大な国家資金をやって全国に専門の研究所を持ってやっております。キエフが一番の
中心で、大型の
コンピューターを
開発しております。私はそういう
意味で米ソ二大国の
コンピューターの
開発というものは、これは
日本と違いまして一つの軍事目的というものがあるのですから金を出すでしょうし、いま申し上げたような潤沢な環境の中で育ってきたと思うのです。ところが
わが国におきましてはIBMの
特許を基本にしてそれぞれの
会社が、六社が
技術提携をしてまいりました。たとえば富士通は御
承知のように
技術提携をやらずに独自の立場で
開発をしてきた。だから結局IBMがつくった金物と、それにくっついておるソフトというものが一緒にくるわけです。だからしてどうしてもソフトの
開発がおくれてきておる。十年おくれておるというか、私は十年か十二年かはっきりわかりませんが、おくれていることは間違いないですね。それで富士通あたりが
開発したものがいまブルガリアに行ってもヨーロッパのほうへ行ってもこれは高く評価されております。ブルガリアでも私はそういう意見を聞きました。むしろブルガリアの国では
日本の
コンピューターにかなり期待をしているのです。御
承知のようにIBMに席巻されて、おそまきながらヨーロッパでは立ち上がってきておる。そういう中で、ブルガリアの国ではやはり
情報化社会の方向をねらっておりますよ。その際に共産圏の一員ではあるけれども、あえて自由圏の中から
コンピューターについても学ぼうとする意欲を持っておる、私はそう見てきました。ちょうど大平
通産大臣が私が行ったときにブルガリアに来られまして一日御一緒しましたが、そういう中でおそまきながら皆さん方も
外国を見てくれておるけれども、そういう
意味においてソ連、
アメリカの
コンピューターに対するかまえというのは、これは例外ですから言いませんがね。それにしてもわずかな
技術提携の中で今日まで少くともハードがここまできたというのは、やはり
日本の
技術が誇るべきものだと思うのです。そういう
意味において
通産省が
技術指導の面に当たったことは私は高く評価していいと思う。しかしそれがなまぬるいということですね。しかもソフトについてはまだあなたまかせだ、かつてばらばらに各
会社がソフトの研究をして、Aの
会社のやつをBに持ってきても使いものにならぬものもあるし、そんなことを考えずにAだけでやっているから、これはやはりユーザーあたりから見ると困ったものですよ。そういうものを統一していこうというこの
法律のねらいというものは、一つ生きてくると思うのです、そういう
意味からいっては。だからしておそまきながらここでこういうものが一つできたのだから、本来の方向に前進してもらうと、そのために大臣、まず私は、いま
久保委員からお話があったのですが、第一点として、基本法を早くつくるべきですよ。来年、四十六年の三月三十一日で電子工業臨時
措置法も切れますよね。一体これをどうするか。これまでに基本法を出してくれますか。そういうことでなければこれは片ちんばでまたおかしくなってしまう。ちんばが大きくなってしまう。そういうことも考えながら、私はできるだけ早い機会に基本法というものを制定すべきだと思うのです。それは先取りをするということもあります。私は、いまここで大臣にこういうことを聞いておきたい。これは科学
技術庁も来ておりますが、一体
情報化社会とかなんとか、こういつておるのですが、
情報化社会とは何か。
日本の五年先の
情報化社会は一体どういう姿になってくるのか、あるいは十年先には
日本の
情報化社会というものは一体どういう形になっていくのか、皆さんは専門の立場で勉強していると思うんですね、だからこの青写真をやはり私は示してもらいたいと思う。
政府が総力をあげて研究されているでしょうからね。十年後、五年後、まあ五年後がわからなければ三年後でもいいです、一体それはどういう展望で
情報化社会というものがやってくるのか。それに対して
日本のハード、ソフトはどういう
体制でそれにマッチしていこうとしているのか、対応策というものはどういうものを持っているのか、それが基本でなければならない。それでなければ、私はこういうものをつくってみたって、
大型プロジェクトで超高
性能の
コンピューターをつくってみたって——四十六年中につくるということを約束しているからつくるでしょう。でき上がったものを一体何に使うのか、百億とか何ぼとか相当の金をかけてつくったものを何に使うのか、そういう問題が出てくるのですからね。だから願わくば、ひとつぜひこの
法案審議にあたって、基本法制定という立場に立って私はものを言っておりますから、その場合に五年先、十年先の展望というものはどうかということを国民の前に明らかにしてください。そうすれば大体わかるんですよね。