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1970-04-16 第63回国会 参議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月十六日(木曜日)    午後一時七分開会     —————————————   委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      土屋 義彦君     剱木 亨弘君      菅野 儀作君     大谷藤之助君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 川上 為治君                 近藤英一郎君     委 員                 赤間 文三君                 植木 光教君                 剱木 亨弘君                 平泉  渉君                 八木 一郎君                 阿具根 登君                 大矢  正君                 小柳  勇君                 林  虎雄君                 浅井  亨君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   宮澤 喜一君    政府委員        大蔵省国際金融        局長       奥村 輝之君        通商産業政務次        官        内田 芳郎君        通商産業大臣官        房長       高橋 淑郎君        通商産業省貿易        振興局長     後藤 正記君        中小企業庁次長  外山  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        外務大臣官房審        議官       人見  宏君        運輸省鉄道監督        局車両工業課長  犬丸 令門君     —————————————   本日の会議に付した案件輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  四月十五日、菅野儀作君、土屋義彦君が委員を辞任され、その補欠として大谷藤之助君、剱木亨弘君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 輸出保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 小柳勇

    小柳勇君 輸出保険法の一部改正について質問するわけでありますが、この保険改正は非常に技術的な問題でありますから、最後のほうで重要な点だけ質問することにいたしまして、その前提となります海外投資の実態、それからこれに対する政府考え方保険の基礎になります海外投資の問題について、まず質問をいたしたいと存じます。  まず通産省質問いたしますが、海外投資現状について御説明を願います。  まず、地域的な問題、産業的な問題、具体的に言えば、地域別あるいは産業別海外投資現状について御説明を願います。
  5. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) お答え申し上げます。  わが国海外投資は、ここのところ数年来一貫して着実に増加傾向にございまして、一九六九年三月末までの許可累計額が十九億ドル余りに達しております。地域別にこれを見ますると、金額では北米が最も多く、以下中南米東南アジアの順となっておりまして、さらにこれを、発展途上国向け投資を見てみますると約十一億ドルで全体の六〇%ということに相なっております。業種別にこれを見ますると、鉱業——マイニング関係でございますが、鉱業製造業がそれぞれ全体の三割程度でございまして、商業関係が一五%ということに相なっております。それからなお鉱業製造業発展途上国向けが多くて商業先進国向けが多い、こういう状態が見受けられます。さらにまたこれを形態別に分けてみますと、証券得取債券得取がそれぞれ約四二%ずつ、海外直接事業が約一六%、こうなっております。全体を通観いたしますると、わが国海外投資はまだやはり歴史が浅く、欧米先進諸国に比しては立ちおくれておる、かように言うことができるかと存じます。
  6. 小柳勇

    小柳勇君 現状についていま概略説明がありましたが、過去十年といいますとちょっと古いから、五年ぐらい前ですね。過去五年ぐらいの時点と現状と比べて、海外投資動きというものがどういうふうに変化いたしておりますか。
  7. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 過去五年、若干最近の一番新しい資料がございませんが、おおむね三十九年度、それから四十、四十一、四十二、四十三年度までを、つまり四十四年の三月までを比較いたしてみますと、海外投資実績は三十九年度におきまして一億二千万ドル、四十年度が一億五千七百万ドル、四十一年度が二億二千七百万ドル、四十二年度が二億三千二百万ドル、四十三年度は著増いたしまして五億五千二百万ドル、かような形に相なっております。  これを件数別に見ますと、やはり許可ベースでございます、三十九年度が百三十七件、四十年度で百五十四件、四十一年度で百九十二件、四十二年度で二百二十件、四十三年度三百十五件、こういうことに相なっております。
  8. 小柳勇

    小柳勇君 その過去から現在に及ぶ海外投資動きですね、産業別なり地域別動き、たとえば現状については北米、それから中南米東南アジアというように、北米が一番多いですね、約三割、大洋州に至りましては約三・六%ですから、十分の一ぐらいしかないんですが、過去から現状に及ぶ傾向の移り変わりですね。そういうものについて特徴がございますか。
  9. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 特に申し上げますと、先ほどお答えいたしましたように、商業関係というのが海外支店の設置その他で、主として先進国に多いのに対しまして、鉱業——マイニング関係、それから製造業関係発展途上国に多いというのが概括のつかみ方でございますが、特にこのところ一、二年は、わが国経済の、やはり必要性と申しますか、から申しまして、資源確保関係、つまりマイニングその他をはじめといたしまするそういった海外投資が著増いたしておる、こういう状況かと存じます。
  10. 小柳勇

    小柳勇君 現状から将来の問題について少し質問しておきます。あと大蔵省なり外務省に聞きますが、先般、新経済社会発展計画が出されました。まあこれは一つの夢でしょうが、これから将来六カ年間の見通しについては一応これが一つの指標となって日本経済が動くでしょうが、これからの六年なり十年先の海外投資動きを、政府はどういうように指導していこうとしておるか。大きな問題点があればその問題点問題点がなければ、これから通産省としてどういうふうに指導、援助していこうとしておるか。
  11. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) まず第一の問題が資源確保関係であると存じます。これにつきましては、御承知のとおり土地が非常に狭く、かつ資源賦存状況に恵まれていない。こういう日本現状、さらに経済成長率鉱工業生産というものはきわめて大きなテンポで伸びております関係上、資源原料確保という問題が、この新経済社会発展計画を達成する上にもたいへん大きな問題になっております。すでに現状におきまして、たとえば鉄鉱石あるいは原料用の強粘結炭あるいは非鉄金属、ボーキサイトあるいはまた木材資源、そういったものがきわめて大きな、中には一〇〇%まるまるまで海外からの原料に依存をしておるという状態でございますので、今後ともわが国経済の安定的な成長発展のためには、いかにして海外におけるこの資源というものを日本経済の中に含ませて、これを取り入れつつ運行してまいるかということが第一の問題となる。したがって海外投資もやはりその方向に沿うように進むことが望ましい。かように考えております。  第二点は製造業の問題であると思います。これは最近におきまする日本国内土地の狭さからくる工場立地の問題、あるいはまた狭いところに密集して出てくる産業公害の問題、さらにまた最近の趨勢でございまする労賃のきわめて上昇しておるという状況から申しまして、土地広くさらに賃金わが国のそれに比較いたしまして相対的に低い豊富な労働力を利用するということで、やはり製造業関係というものが工業と並んでこういった海外投資の問題になってくるかと存じます。ただその際、国内産業政策との競合という問題も、部分的には起こってまいりますので、この点はよくそれとの調整を考慮しつつ、緩急よろしきを得た海外投資というものはやはり必要である。かように考えておる次第でございます。  おもな特徴はその点かと存じます。
  12. 小柳勇

    小柳勇君 この海外投資地域別許可実績を見ますと、発展途上国向けが五九・四%、これを生産事業だけについて見ますと、八〇%が発展途上国向けです。したがって現状はこうでありますが、先般の統一ブランド法律をつくるときに、後藤局長答弁なり大臣答弁で、安かろう悪かろうという商品をいままではずっと各地にやった。しかしこれではもう国際競争をやれないから、上級品をつくってそして欧米先進諸国上級品と競争して市場をうんとふやしていくのだという答弁がありました。そのために統一ブランド法律をつくった。この海外投資現状を見ますと、いま申し上げましたように現状では発展途上国のほうが生産事業だけで見ますと約八割です。これをなおこれから六年なり十年続けますと、生産品の逆上陸傾向になっていく見通しを持つのです。たとえば低開発国発展途上国日本資本を投下されて、そこで安い労働力製品をうんとつくりますと、今度は日本に逆上陸してくる。日本資本向こうでつくって、日本中小企業なり日本産業を圧迫するような情勢がもう目に見えるんですがね、こういう面でどういうふうな施策をとるか。これは通産省並び大蔵省国際金融局長にもお聞きしたいと思います。
  13. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 先ほどのお答えの中でも触れましたとおり、製造業関係海外進出の問題は、部分的にやはり国内産業政策との競合の問題が起こってまいります。ただいま小柳先生御引用になりましたように、最近若干その傾向は減ってまいりましたが、依然として日本品が、安かろう悪かろうという状態部分的にまだ残っておると。したがって、このイメージを払拭する。イメージを払拭するだけでなしに実質的にやはりいいものを出す、いいものを出して、それにふさわしい価格というもので売れるということを確保したいというのが先般御審議を願いました統一商標法の一番意図するところでございました。で、その考え方は、この海外投資の問題にもやはりつながってまいりますので、たとえば現状におきまして、わが国国際収支並びに外貨保有高等々のいろいろ状況変化に伴いまして、昨年以来たとえば企業海外進出許可にあたりましては、これは大蔵省通産省関係各省よく協議の上、二十万ドル以下の日銀限りの自動許可案件を除きまして、わが国市場への逆輸出によって国内産業が重大な影響を受ける業種、これは主として労働集約的な軽工業品繊維雑貨等が多いわけでございますが、これにまあ属しまする業種海外投資に関しましては、案件ごとわが国への逆上陸を行なわないという企業意図を確かめた上で進出をしてもらうということにいたしておる次第でございます。さらにまた、これは単に日本国内産業との競合という問題のみにとどまらず、第三国市場におきましてそういった非常に低コストの労賃というものを利用いたしまする製品というものは、おのずから価格に反映いたしてまいりまして、非常に日本の産品とそこで競合いたしてまいる、かような事態が出てくるわけであります。しかし、まあこれは非常に地域も広うございますし、国内産業に対するほど一つ一つ案件について十分にその企業意図を確かめた上で禁止的あるいは制限的にこれを誘導するというところまでは強くいたしておりませんが、これにつきましても十分今後考えていくべき問題であるかと存じます。  ただ、根本問題といたしましては、日本における労働力が漸次総体的に減ってくる問題、それで賃金が上昇してくるという問題は、結局のところはそうした発展途上国あたりの、日本とは一サイクル、二サイクルおくれて進んでまいった国々の軽工業というものとやはり競合してまいる。したがって、わが国の軽工業、特に繊維雑貨等中小企業関係におきましては、全般的な中小企業施策の問題とからめて、その産業構造高度化近代化というものを推し進めるということで、漸次そういった方向に展開をいたしていくという中小企業対策というものが、別途基本的に講ぜられるべきである、かように考えております。
  14. 小柳勇

    小柳勇君 大蔵省方針を一、二お聞きしますが、いま通産省方針についてばく然と答弁されましたが、これはまあ前からの、統一ブランド制定のときからのいきさつでありますから、後藤局長言わんとするところは大体わかりますが、大蔵省に対しての問題は、二つ質問したいと思うのです。  一つは、さっき通産省から話がありましたように、これからの海外投資は、まず資源確保、たとえば鉄鉱原料炭などのこの資源確保方向投資しなければならぬであろうということですね。これが一つ。それからもう一つは、海外投資現状は、地域別許可実績を見るというと、発展途上国が大部分である。これを続けていきますというと、製品の逆上陸日本中小企業を圧迫するようになるが、これは非常に警戒しなければならぬ。したがって、この地域別許可をする場合に、こういうものも考慮しておかなければ日本産業自体にたいへんな脅威を受けるわけです。  この二つの面で、大蔵省国際金融一つ方向というものは、どういうふうにおきめ願っておるか、きめてあるか、御答弁願いたい。
  15. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) まず第一の御指摘の点は、これからの海外投資の中で資源開発というもの、これに相当重点を置いていかなければならない、大蔵省どう考えるかということでございますが、まさしく私ども仰せのとおりであると思います。いままでもそういう方針でおりましたが、これから先はそういう点によほどの考慮を払っていかなければならないと思います。ただ、もう少し具体的に申しますと、この海外投資をいたします場合に問題になるのは、国際収支の問題と円の問題と両方あるわけでございます。国際収支のほうは、いま社会経済発展計画の中に示されておるところのああいう計算方法というもの、一定の計算方法でございますけれども、そういうふうに伸びていくといたしますと、かなり余裕は出てまいる。したがって御指摘のような目的に充てられる面がかなり楽になってくると思います。円のほうはどうかということになると、これはまあ財政資金、いろいろな形で財政資金をつけなければいけないのでございますが、また同時に、民間の資金もそのほうに向けられないと、全体としてのそろばんが国としてうまくできないというふうな場合もある。これからも宿題がないわけではございません。いろいろと努力をしなければならない点があるかと思いますが、結論的には仰せのようなところにその重点はなければならぬと思うのであります。  その次に御指摘がありましたのは、発展途上国への投資というものがふえていくと、あるいはふえているこの現状を見ると、これは日本競合するようなそういうまあ言うなれば軽工業部門その他にそういう投資があって、これはまあ少し問題ではないかというふうに私伺ったのでございますが、もしそういうその伺い方が正しいといたしますと、これはまあ確かにいまさっき通産省から御答弁がありましたように、私ども日本中小企業の問題などはよほど頭に置いてかからなければならない一つ大きな問題を持っておると思います。ところが、片や発展途上国のほうといたしましても、いろいろな面で国産化を進めて、これから経済を発展さしていかなければならぬという面があるわけでございます。そこで、その過程においては日本特定部門とそれから発展途上国でいま伸びかかっている部門との間の競合問題が起ってくる。かりに日本がその地域投資をいたさないといたしましても、よその国が出てくるという場合もまた考えられるわけでございまして、なかなかこの間の調整というものは私は微妙なものがあると思います。そこで、まあこの問題はなかなかこう簡単に割り切るわけにはまいりません。個々別々、ケース・バイ・ケース日本に与える影響その他を勘案して問題を処理していく。しかし大きな傾向としては、先ほど通産省貿易振興局長から答えましたような一つのとうとうとして流れる経済方向というものはございますから、そういうものを頭に置きながら対処をしてまいる。しかし摩擦を起こし、これによっていろいろな問題を急激に生ずるということになると、これは困ったことでございます。そこらのかね合いというものを考えて進んでいかなければいけないというふうに私ども考えております。
  16. 小柳勇

    小柳勇君 非常に大臣答弁以上の政治的な答弁で、つかみどころがないのだけれども、まず第一のこの問題の鉄鉱石炭などの資源確保という問題で、国際収支の問題を言われた。これはまあ大蔵省として当然だと思いますけれども、具体的に質問しますと、昨年の暮れにこの豪州辺を視察しましたときに、出先機関諸君が慨嘆しておるのは、あそこの鉄鉱石炭の大部分日本が輸入しておるけれども日本投資額が少ないために向こう言い値をそのまま日本言い値で買わなければならぬ。もう少し日本投資して力を入れればあの豪州経済はもう少し支配——とまでいきませんけれども日本が大きな発言力を持つんだと、もう、じだんだ踏んでいるわけです。ただ、国際収支などに重点を置きますと、往復のものを考えますと簡単にいきませんね。そういうことですから、具体的に、この第一の問題につきまして、豪州あるいはニュージーランドなど大洋州全般の投資が非常に少ないですけれども大蔵省としては、いま私が具体的に言いました問題を中心にして、大洋州などに対する投資は、将来、どう考えますか。
  17. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) 具体的な御質問がございましたので具体的にお答えしたいと思いますが、私どもは、その方面へのそういった資源開発のための投資というものは、前向きの姿勢で臨みたいと思います。現に、この資源開発につきましては、四十五年度の輸出入銀行予算を見ましても、資源開発に直接関係する投資、こういうものと、それから輸入のための資金、こういう項目があるわけでございますが、これは大幅に増加いたしております。四十四年度は二百四十億円でございますが、四十五年度は三百九十億円というようにふえておる。それから基金の予算につきましても、四十四年度の七十億円から四十五年度は百億円というように、まあ、これは必ずしも全部オーストラリアに向けられるとは限らないわけですけれども、具体的に、こういうことで考えております。また、石油資源開発の問題もございますので、これは産投会計から十分大幅な増額をやるということで、四十四年度は九十五億円でございますが、四十五年度は百三十五億円という金額が出ておる。それから金属鉱物探鉱促進事業団、これは事業がだんだん活発化しておりますから、これは金額を申しますと非常にこまかくなりますので省略いたしますけれども相当増額をやっておる。円のほうからはこういうことをやっております。それから外貨資金のほうは、昨今の国際収支は、ごらんのとおりよろしゅうございます。こういうときに、一体、何に外貨を向けておくというのが日本の百年の計画のためにいいかということになりますと、いま御指摘のようなオーストラリアとかニュージーランドとかの地域を、私ども特に特定いたしまして——特定会社のことを申し上げるのは、いろいろとまた差しさわりがあろうと思いますけれども——全体としてそういうところの投資のために日本外貨が向けられるということは、これは時宜を得たものであると、こういうときにそういうことをやっておくのが適当であるというように考えております。
  18. 小柳勇

    小柳勇君 私が質問する問題の一部、石油開発公団など、答弁がありましたから、その問題は省略しますが、石炭はいま豪州石炭を買うようになっていますが、あれの開発のときの事情を聞いてみますと、日本の、たとえば日鉄などが行きまして、二、三人の者が行って数年かかってボーリングやったけれども鉱脈が発見できなかった。ところが、日本が引き揚げたあと、アメリカが資本をうんと投下いたしまして、そして大々的なボーリングをやって、いまの原料炭鉱脈を発見しておる。しかも、あれはほとんど露天掘りみたいな形で、安い費用で出して、そしてその九割を日本が買っておるわけですね。私もその姿を見てまいりましたが、もう少しその開発のときに日本政府が力を入れて、そして投資を見てくれたらといって、もう日本人全部がじだんだ踏んでいるわけですよ。こういうものが石油開発公団にもあるかもしれぬ。近い将来、そういうものが出るかもしれません。だから、そういうものは、もう目の前の国際収支、赤字、黒字で考えますと、なかなか大蔵省としては出せないかもしれませんけれども、それがもう二、三年してすぐ実績があらわれてまいるんですね。そういうことでありますから、まあ通産省資源確保の問題では相当前向きに、海外投資の問題を考えておるようでありますが、いよいよのこの許認可の問題は大蔵省でありますから、通産省が懸命になっておるのでありますし、私ども海外に出てまいりまして、そういう苦い経験なり、出先機関諸君の苦しい実験談を聞きますと、歯がゆいわけだ。だから、これはまあ大臣に聞かなきゃなりませんが、ほんとうに実権を握っている局長が見えておるから、局長がよくひとつそういうことをわきまえて、今後の海外投資の問題のチェックをしてもらいたいと思うんです。  第二点のほうの中小企業の問題ですね。中小企業の逆上陸の問題はもう始まっておる。先般も中小企業の、これは会社代表じゃありませんが、労働組合代表諸君が参りまして、開発途上国に対する日本海外投資がいま盛んにあるために、労働賃金がうんと安いのを、無理しながら生産を上げている。それで、日本品物が入ってまいる。たとえば香港などでは、ホンコンフラワーを例にとりましても、かつて日本のものであったものが、逆に今度は向こうさんの品物になって、日本に逆上陸してまいっておる。こういうものは、通産省もこれは指導をやらなきゃならぬが、大蔵省のほうでもチェックする場合に、海外投資の問題として考えておかなければならぬのではないかと思うんです。その問題についてもう少し大蔵省の考えを、深いところを聞いておきたいと思うんですが。
  19. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) この問題は、先ほど後藤局長が答えましたような考え方を私ども持っているんです。それで、何ぶん産業の問題でもございますから、通産省所管業種、あるいは農林省の所管業種、それぞれの所管官庁がございます。私ども大蔵省だけの立場で事柄を処理するというのは不適当だと思いますので、よく所管官庁の御意見を伺いまして、遺漏のないように処理していくというのが私どもの日常とっておる具体的なやり方でございます。  先ほど話がございましたように、許可をいたします場合でも、いろんな問題があって、日本経済に重大な影響を及ぼすおそれがあるというふうな判断がある場合、こういうときは、私のほうが所管長協議をいたしまして、その上で個別審査をするというようなこともしているわけでございます。あと通産省のほうでこの問題をどう考えられるかということできまる場合が多い。ただ、一言つけ加えさしていただきますと、大きな方向としましては、私ども発展途上国が、やはりそれぞれ自分の操業を持って、そうして伸びていくという問題がございます。国産化の問題がございます。したがって、日本がやらなくても、よその国が出てくる場合もございますから、問題は非常にその場合場合によってめんどうな場合があると思うんです。これは私どもも場合によって、どうしようかと思って頭をかしげて、いろいろと考える場合もございますが、そういう問題は、もちろん通産省のほうでも、全体の世界の動き方というものと国内で当面しているいろいろな問題との調和を、おそらく考えておられるだろう、私どもそう思いながら通産省と御相談を申し上げているわけでございます。
  20. 小柳勇

    小柳勇君 あと経済協力の問題、通産大臣参りましてから質問しますけれども、十四日に出されました経済審議会の経済協力研究委員会の答申を見てみましても、発展途上国製品は「品質、価格等において国際競争力が乏しかったり、供給の安定性が欠けていたり、輸出余力が不足している。したがって、今後、開発輸入の促進に力を入れること」、こう書いてあるわけです。全然逆の、私ども商工委員会でこの前から論議しているのと全然逆のことが答申されているわけですね。こういうものが皆さんの、大蔵省でも通産省でも一つの参考資料になるんでしょうが、答申が、全然逆のことが答申されておるものですから、心配していま質問しているわけです。中小企業庁からこの問題について、いま通産省の意見は聞きましたから、直接担当者として、その問題は、これは具体的な問題です、私どももしょっちゅう陳情受けますから、中小企業労働組合から陳情受けますものですから、逆上陸の問題などについて、中小企業庁の考えを聞いておきたいと思います。
  21. 外山弘

    政府委員(外山弘君) 小柳先生が御指摘しておられまする逆上陸の問題につきましては、これが、体質の弱い中小企業に対しまして影響を及ぼすことは考えられるケースがよくございます。したがいまして、それにつきましては、先ほど後藤局長からも言われましたように、所要の調整を行ないまして、遺憾なきを期するように、私どもも常にお願いをしているわけでございます。ただ全般として国際化が進展していく中で、やはり輸入障壁を越えて市場開発をするとか、欧米の企業進出に対抗するとか、あるいは労働力を利用するとか、こういったような傾向が深まっていくという傾向自身は、大きな流れとしてあるわけでございます。したがいまして、基本的には私どもといたしましても早急にわが国中小企業の体質を改善いたしまして競争力を強化し、これに対処していくことが、そういった方向でやることが肝要であるという認識に立ちまして、中小企業自身がもちろん製品の高級化とかコストの節減といった点をはかるよう構造改善に積極的に取り組むということを私どもも常に指導しているわけでございますが、政府としてもこれに対する支援の措置をいろいろの制度で、御承知のように近促法の改正とか特繊法等によりまして現在やっているわけでございますが、こういった施策をますます強化することが大事であるというふうに思っております。具体的なケースごとの問題につきましては一々私ちょっと覚えておりませんが、問題は業種別に起こってくる関係から、私どもの意向を体しまして各業種別の原局、つまり繊維雑貨局等が具体的にそういった点についての調整についていろいろやってくれている。それらを私どもが相談しながら関係の貿易振興局のほうにお話し申し上げる、こういうふうなことで進んでおります。
  22. 小柳勇

    小柳勇君 国内的な中小企業近代化なりあるいは構造改善の促進は当然やらなければなりませんが、海外日本資本を投下しまして、それから製品が逆上陸して日本中小企業を圧迫することは、ただそれだけでは間に合わぬわけです。中小企業庁のいまおっしゃるようなことでは間に合わぬものですから、大蔵省なり通産省全体として海外投資の際に若干チェックしませんと追いつきませんから、そのことを心配していま質問しているわけですから……。  それから次の問題は、大洋州に対する経済援助の問題は、海外投資の許認可の話は聞きましたが、現在まで東南アジア中心に海外投資など経済協力というものが進められてまいった。ところがこの答申にも書いてありますが、将来は「援助の形態受入国の開発の実態等に応じて、アジア以外の地域についても、今後におけるわが国との経済交流を考慮しつつ、効果的な援助を行なっていく必要があろう。」と、こう書いてあるが、たとえば、私はまだアフリカのほうを見てないからよくわからないが、南米に参りまして、南米の諸君が非常にこぼすのは、日本東南アジアばかり経済援助して、ほとんどわれわれ南米のほうは見忘れていると、こういう苦情を聞くわけです。この皆さんの出された資料から見ますというと、中南米の二〇・八%はまとまって出ておりますけれども、現地の諸君はそう言わない。たとえばブラジルなどは日本人が七十四万人も二世を含めているのに、日本はブラジルから経済協力を頼んでもなかなか渋い、東南アジアばかりに援助するという不満を国会でも一聞いたし、代議士からも聞いたし、あるいは高官からははっきりそうは言いませんが、民間の諸君から聞いてきているのですが、中南米に対する通産省なり大蔵省の考えはどうですか。
  23. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 仰せのとおり経済協力というものは過去十何年にわたって行なわれてきたわけでございますが、これ申すまでもなくその国の経済力と、特に国際収支の問題、あるいはまた外貨保有高の問題等々と関係してまいります。したがいまして現在の方向といたしまして、たとえば一面資源開発資源確保という問題を考えますならば、現在非常に広大な土地がありしかも埋蔵量が非常に大きい、こういわれていて、言うならばまだ十分に踏査されていない資源を多く埋蔵している中南米地域、あるいはアフリカ地域、あるいはまた豪州その他の大洋地域等々、いま、やはり日本経済の拡大に伴いまして、そちらまで手が伸びていくことが必要であり、今後は行かなければならないというふうに考えます。その方向については全く先生のおっしゃるとおりであると考えます。ただしかしながら、いままでのところどうしても——これは大蔵省から答えられるところかも存じませんが——やはり日本経済というものは、これ無限にやはり富を持っているわけでもございませんし、したがいまして、おのずから経済協力というものもやはり限界がございます。したがいまして漸次まあ近きょり遠きに及ぼすというような趨勢というものがおのずから結果としてあらわれてまいり、それが実績となって出てきているということはいなめないことかと存じます。しかしながら、現実に現在の日本経済の世界の中に占める地位というもの、それから今後の発展の方向等々考えまして、先ほど来お答え申し上げておりますように、一つだけ資源確保という見地を考えましても、さらにまた日本経済的地位の向上に伴いまして世界全体並びにまた発展途上国日本に寄せる期待等々、さらにまた遠いとは申せ、先ほどブラジルの例をお引きになりましたが、日本出身の人たちが非常に多いという、日本に縁故の深いというところは、最近非常に交通の便と情報化の時代を迎えまして、地球もだんだんと総体的に手狭と申しますか、手近になってくるという関係もございますので、今後は漸次そちらのほうにも日本経済協力というものはより進んでいくというふうに私どもは考えておる次第であります。また事実民間から、そういった従来ともすればやはり遠くて手が回らなかった地域に対する自主的な進出の要望がございますときは、これは政府といたしましても十分にこれを支援いたしてまいりたい。かように考える次第でございます。
  24. 小柳勇

    小柳勇君 大蔵省のほう。
  25. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) 中南米のお話が出たのでございますが、私ども数字を見ますと、中南米は機会製造業、それから製鉄業——ウジミナスでございますが、それから輸送関係、これは石川島播磨であると思うのですが、こういうものが相当出ております。それからその次に鉱業関係ではチリなどであると思いますが、銅その他の鉱物資源開発というのがございますが、相当のいままで投資が行なわれていると思っております。これから先の方針でございますけれども、私ども地域的にどの地域はどうだとか、あの地域はああだということではなくて、いまの資源開発あるいは国産化計画、これもやっぱり発展途上国の問題を考えますときに、その国の国産化計画というものはやはり日本として頭に置かなければいけませんので、そういう要請があった場合に、これに対してできるだけ前向きの態度で対処していく。特に最近は、先ほどから繰り返して申し上げておりますが、外貨収支の面から見て、これは少し金額を減らしておけとか、これは特にいいからふやしてやろうという態度でなくて、ほかの要因からのチェックはあると思うのです。外貨収支の面から見てそういうふうなきめのこまかい制限をいまやる時期ではないので、私どもとしては外貨面からのチェックというものは少し——少しというか、相当後退させて問題を処理していくというふうに考えておるわけでございます。
  26. 小柳勇

    小柳勇君 きようの論議しているこの輸出保険の問題とも関連がありますけれども中南米などは軍事政権が多くて、一朝にして政権が変わるようなことがあるものだから、そういうものも外務省などでは勘案しながらこの海外投資をチェックしておるのではないかという声を聞いてきましたがね。外務省から、ひとつ、そういうもので特別に海外投資などで、まあ保険の問題は別途論議しますけれども、チェックしているのかどうか、聞いておきたい。
  27. 人見宏

    説明員(人見宏君) 私、中南米を担当しておりますので、当然まあできるだけのことをしたいという考えでおりますけれども、いま御指摘のように、中南米には非常に革命騒ぎも多いようですし、それから軍事政権というのが半分以上現在できておりまして、この軍事政権の性格と申しますのが、大体最近の傾向といたしましては反米ナショナリズムの傾向がございまして、皆さま御承知のようにアメリカの資産が接収されるというようなこともだいぶ例が出てきておりますので、私どもとしてもそういう点は当然考慮しなければならないと思いますが、そういう点の見通しがつけば、できるだけやっていきたいと、そういうふうに考えております。
  28. 小柳勇

    小柳勇君 いろいろ具体的な問題がありましょうから一がいには言えぬでしょうけれども、それではブラジルの鉄道ですね、複線電化の構想があるし、それから日本の新幹線と同じものを向こうで都市間の接続にという構想で、日本政府にも再三再四下話があるようです。私、参議院に行きましたときに副議長が、面会した時間の大部分をその話に費やしまして、機会あるごとにひとつ日本で話をしてくれないかということまで言われておるんですが、まあブラジルも軍事政権ですけれども、そうすぐ政変によって財産没収などというものについては、私の観測では考えられなかったのであるが、そのような話を政府としていまどういうぐあいに受け取り、どんな話になっておるか、お聞きしたいと思います。
  29. 人見宏

    説明員(人見宏君) このリオ−サンパウロ間の鉄道の問題は、四十二年の暮れに現在運輸大臣をしておられますアンドレヤーザ大佐という人がなくなられた大統領と一緒に来られまして、新幹線を見て、ぜひリオ−サンパウロ間にこういうものをつくりたいということが話の発端でございまして、その年の暮れに向こうの千葉大使を通じまして先方から調査団の派遣を要請してまいりました。それで、昨年、技術協力事業団を通じまして調査団を派遣して、報告書を提出、そして現在またごく最近、三月でしたか、先方からわがほうの大使館の人を呼んで具体的に協議したという段階になっておりますけれども、現在の問題といたしましては、その事業団の調査団が提出した報告書、これは第一期、第二期、第三期工事に分けまして、第一期を線路の保守改善、第二期を電化、それからトンネルをつくったり信号機をつくる、そして第三期工事として複線化と、そういう報告を出しまして、先方も一応了承したわけですけれども、ごく最近になりまして先方が、複線化を第二期として、電化の前にやってくれということを言ってまいりまして、それでちょっと技術的にこれは好ましくないという日本側の意見もございまして、その点の調整を要するという段階になっておりますが、それはさておきまして、先方はこの具体的計画をつくるために、さらに調査計画の作成の契約をしてくれということも言ってまいりました。この経費が約二百万ドルですが、そのうちの六十万ドル先方持ち、あとの残りは日本側で持ってくれ、延べ払いで持ってくれというようなことを言っております。これに対する正式な申請がまだ出ておるわけでございませんので、通産省などともまだ具体的に協議してはおりませんけれども、おっしゃるとおりブラジルがそういう国営化だとかいう心配は当面ございませんし、経済情勢も非常に改善されておりますので、私どもとしては前向きでやっていきたい、そういうふうに考えております。
  30. 小柳勇

    小柳勇君 運輸省からいまの問題について進捗状態なり、考え方をお聞きしておきたいと思います。
  31. 犬丸令門

    説明員(犬丸令門君) ただいまの問題につきましては、四十三年に調査団が出ますとき、海外技術協力事業団から海外技術協力協会に人選その他の依頼がございまして、中南米議官から報告ありましたような報告書が出ておるわけであります。経済的な援助の問題はもちろんでございますが、これ以外に技術問題については相当いろいろな問題があると思います。まあこれらの点について積極的に協力を進めていく考えでございます。経過につきましては、中南米議官がおっしゃったとおりでございます。
  32. 小柳勇

    小柳勇君 まだ具体的になかなか進まないようですが、ただ一口に言いますと、われわれは必死だけれども日本政府はどうも熱意がない、こういう印象が各界の人の意見でした。これは二世の代議士とも一晩いろいろ話したんですけれども、二世の代議士もこちらに来て政府に陳情しておるようですが、そういうふうな話でしたし、それから参議院の副議長も、われわれはこんなに必死だけれども、どうも日本がブラジルに対して協力的でないというような口ぶりで、当面この鉄道がほしいのだというような口ぶりでしたので、外務省はもっと詳しい情報が入っていると思いますけれども、そういう口ぶりであったということを、私がここで国会に伝えておきたいんですけれども、具体的な問題はいろいろまだほかにあります。ほかに話を聞いてきましたが、大きな問題はそれでしたから、具体的な問題としてこれが前進することを私希望しておきたいと思うのです。  そこで経済協力のこれからの方向ですけれども、これは大蔵省に聞いておきます。経済協力の方向として、いままで東南アジア重点にやってまいった、特にさっきから問題にしておりますように、台湾なり韓国なり発展途上国の援助というものを中心に日本は考えてきたが、これからの経済協力というものを一体どういうところにウエートを置いてやってまいるか、この経済協力はまた海外投資一つの大きな方向になりましょう。経済協力というものをどういう方向にウエートを置いていくのか、大蔵省の見解を聞いておきたいと思うのです。
  33. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) 東南アジアにいままで重点を置いてきたわけでございますが、これは経済協力というのは非常に広い意味を持っております。中には直接借款というような、外務省と相手国との間の交換公文、これで輸銀とか基金が貸し付けをするという場合もあります。それから投資をするというような場合もございます。それから先ほどブラジルでおあげになった問題は、おそらく延べ払い輸出の問題ではないかと思うのですが、そういうふうな問題もあります。しかし発展途上国においてはいろいろな形をとって日本から協力を受けている、これはすべて商業的な意味を若干持っておりましても、日本側としては財政資金も中に入っていることでありますから、そういう意味で経済協力と、こういうふうに考えられる場合が多いと、私どもも広義の経済協力はそういうものであるのではないかと思っているのでございますが、かつて経済協力については日本方向は非常に総花的であるということがいわれたわけであります。これは日本の能力とも関係がございます。一がいにそういう議論がよかったか悪かったか、いま私どもは言うことはできないのでございますが、やはり私が先ほど申しましたような発展途上国に対する援助とかあるいは協力というような観点から見ると、日本の近隣国である東南アジアというものと、日本としては共存共栄をはかっていく、日本経済がこれから伸びていきます場合に、やはり近隣の国が成長していく、伸びていかなければ、日本経済の伸び方というものもおのずから制約を受ける面がある。しかし、別に近隣の国だけがそうである必要があるのでないので、いま世界は狭うございますから、全世界を見るという考え方もございましょう。しかし、いまの日本の能力からしますと、東南アジアから問題をまず考えていこう。また東南アジアを中心にするという考え方は、私どもいまのところは持たなければならないんじゃないかと思っております。しかし、そうだからといって、先ほどいろいろな種類の経済協力についてお話があったわけですが、あわせてヨーロッパの資本、アメリカの資本でなくて日本資本を求めて、そこの資源を提供しようと、こういう考え方もございましょうし、いろんなケースがございます。ここは一がいに論議はできません。できませんけれども方向はやはり東南アジア重点主義というものを私どもは持ちたいということを考えておるわけでございます。排他主義ではなくてそういうことを考えておるわけでございます。そういうことで、これからのわれわれの経済協力の努力というのは、どちらに向けられるかといえば、いままでとっておりますそういう方向を漸次伸展させていくということに尽きるんじゃないかと思うのでございます。
  34. 小柳勇

    小柳勇君 非常に大きな問題ですから、また別の機会に論議したいと思いますけれども海外投資の問題で、もう一つは、いま日銀の自動承認なり大蔵省のチェックなりということで、その金額によって許認可をやっていますけれども、オープンにして、とにかく自由化することについて、投資の自由化することについては、大蔵省としてはどういう見解を持っていますか。
  35. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) 私ども一言で申しますと、いまの為替管理は、これは本来望ましくないものであると思っておるのでございます。いろんないきさつがあり、いろんな為替収支上の問題があってやっております。で、理想の姿は、こういう管理がないということが望ましい。指導はあってもいいと思うんです。これは若干あってもいいと思うんですが、為替管理というものはないほうがいい。ただ、去年の十月一日から自由化をいたしましたその方式は、二十万ドルまでは日本銀行でやると、二十万ドルをこえる三十万ドルというところは、これは日本銀行が代理して承認をいたします。大蔵大臣の代理で承認いたしますが、問題あるものについてはこれを関係官庁に回すということになっております。やはり自由化が望ましいことではございますが、一挙に一千万ドルまでやるとか五千万ドルまで自由化するというためには、これはなかなか問題も多うございます。したがって、漸進的にやるという考え方で二十万ドルまで去年の十月一日踏み切ったわけでございます。今後一体どうするかということでございますが、私どもは、やはり方向としては為替管理の問題としては自由化を進めてまいりたい。そのときに配慮しなきゃならないいろんな問題はあるだろうと思います。そのことと自由化をしない、いつまでも自由化をしないということとは違うと思います。で、巷間よく聞くところでございますけれども、役所のほうに申請書を出すと何カ月も何ヵ月も引っぱられて、そして書類を場合によってはひき出しの中に入れられる、説明会を十回も二十回も三十回もやらされる——理由がある場合はいいんでございます。しかし行政で、管理行政をやります場合には、こういうことはつきものでございます。いま先生いろいろ御指摘のあった中には、いいものもあるんですね。問題があるものもあるんです。しかし、こいつをやはり制限のもとに置いておきます場合には、そういうふうないろんな問題が起こる。したがって、私どもは国民全体に対し、あるいは企業の手続を簡素化するという義務も、政府としては絶えずこれを再検討して簡素化の方向に進めてまいらなきゃならないと思っておるわけでございます。そういういろんなむずかしい問題を意識しながら、やはり自由化は進めてまいりたいというのが私どもの気持ちでございます。
  36. 小柳勇

    小柳勇君 それではこの三十万ドル以上大蔵省許可するのですけれども大蔵省許可が必要ですが、許可の基準というのは一体何でしょうか。
  37. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) このいま二十万ドル超の場合に許可をするわけですけれども、その案件日本経済に重大な悪影響を及ぼす、こういうふうに思われるときには、これは私どものほうは事業所管省と協議いたしまして、そして事業所管省の見解を求める、こういうことになっておるわけでございます。もう一歩進めて申しますと、今後この残高、この許可の限度が上がってまいりますときには、やはりそれ以上のものというものについては同じような扱いをしなければならないのじゃないかと思っております。
  38. 小柳勇

    小柳勇君 非常にばく然としておりますがね。重要な問題だということで各省に意見を聞かれましょうが、何か大蔵省としてもう少し中身の基準などというものがありますか。さっきからのこれは話につながってまいりますが、さっき私は中小企業の逆上陸の話をいたしましたね。資源開発の問題をいたしましたね、もう少し何か具体的に話してもらいたいと思うのです。
  39. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) これはまあ非常に明確なこまかいたくさんの基準がございますと、私どももやりやすいのでございます。しかし、客観情勢もしょっちゅう変わっておりますし、いま申し上げましたようないささか抽象的で、そういうことではよくわからないという御指摘、これも私は理由のあるところであろうと思います。わが国経済に重大な悪影響を及ぼすと私どもが判断したときには、通産省あるいは農林省その他の官庁に回すということになっておるわけでございますが、ただ、まあ先ほど逆上陸の問題、第三国市場での競争のお話があったわけでございます。これは私どもお話を伺うまでもなく、そういう問題がいろいろと提起せられておることも知っているわけでございます。しかし、これは非常に私どものほうから見まして扱いにくい問題である、しかし発展途上国がその産業を伸ばしていく段階におきましては、日本がちょうどいままでたどってきたようなそういう過程をやっぱり経ると思うのです。私は産業の専門家でございませんけれども繊維についても品質の少し劣るもの、日本はいま高級の品質のものができる、品質の劣るもの、あるいは国によっては造花をつくるところもございますし、あるいは鋳物を得意とするところもございましょう。これは日本の過去の歴史を顧みるとそういう時代があったわけでございます。どこかが、市場を開いてくれるということがなければ日本は今日まで伸びなかったという面があると思うのです。したがって、確かに国内には中小企業の問題がございます。ございますが、これから先日本産業がどういう方向に伸びていくか、これが世界経済の中にあって一番効率の高い伸び方はどこにあるかということも、やはりわれわれとしては考えていかなければならぬと思います。で、この生産性の比較的低い発展途上国競合するような、発展途上国ですら、もう安い賃金でかなりいいものができるようなものに相当力を入れているが、いま日本のどこかの産業部門が鋭意力をそれに集中している、こういうことがあると、やはり長い目で見て、日本産業に対する指導というものは道を誤るものではないかという考え方があるわけでございます。したがって私どもはここが非常に微妙な問題がございますし、日々日本経済というものは伸展しているものでございます。また中小企業の問題についてもいろいろな角度からこれは保護、助長あるいは育成、刺激といういろいろな方法で、いい方向での誘導という努力が行なわれているわけでございます。そういうものの一環として投資問題を考えますと、にわかにそれが中小企業問題に少しでも関係があるからすべてこれはアウトにするというわけにはまいらないと思います。非常に微妙な、これはもう先刻御承知だろうと思います、御存じだろうと思いますが、微妙な問題があまりにも多い、したがってこの許可の基準といたしましては、先ほど申し上げたような非常に抽象的な書き方になる。考え方としてはこれは私ども産業所管省とよく相談し、産業所管省としても、私どもの気持ちから申しますと、やはり私の申します前向きの気持ちで処理をしていただかないと、こういうことはいつまでもうしろ向きでは問題は解決しない、こういう気持ちを持っているのでございます。
  40. 小柳勇

    小柳勇君 なかなか政治的な発言で……。通産省質問しますが、チェックするほうはそれでいいが、投資したいのに投資できない日本産業がありますね。どんどん海外投資したいけれども、たとえば日本労働力がない。いまもう中小企業でも大企業でもそうですけれども、若手の労働力はなかなか入手できない。たいへんなことですよ、人手不足というものは。だから、たとえば安いところの労働力を求めて日本企業進出したい、ところが資本がなかなか思うようにならぬと。海外投資をしたいが、海外投資して合弁会社でもいいし、向こうのほうで企業を何とかやりたいというときにできないような企業に対しては、通産省としてはどうしますか。いまのと逆ですね。三十万ドル以上はチェックするといいますけれども、それと逆の場合はどうしますか。
  41. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 確かに最近の人手不足、それに賃金の高騰といった問題になってまいりまして、したがって日本企業としてどこで生産を行なうかということは、やはり企業にとって選択を迫られる問題でございます。したがいまして、これが海外投資の問題と関連いたしまして、賃金の相対的に非常に低い、たとえて申しますならば、韓国あたりは平均して日本の約五分の一近い低賃金である。それから、それほどでもございませんが、台湾にいたしましても、シンガポールにいたしましても香港にいたしましても、ずっと低賃金である、そういうところへ出ていくという問題でございますが、その際に、出ていきたくても出ていけないという事態も確かに先生仰せのとおり出てくるかと思います。その場合は、むしろそれは許可するとかしないとかいうサイドの問題ではなくして、やはり資金的な問題あるいはまた現地における状況がうまく把握できないと非常に不安を感ずるというような種々の問題かと存じます。したがいまして、こういう点につきましては、片や一面におきまして産業政策的な見地から、日本への逆上陸あるいは第三国市場との関係も考慮いたさなきやなりませんが、同時にまたその企業の自主性、企業における立地の選択の問題等もやはり尊重するようなところでございます。したがいまして全般的にどの業種は出ていってはいけないとか、出ていくことを差し控えよとかいう、そういう規制もございませんし、またそういう指導もございませんけれども、むしろ問題は、自主的なその調査、あらかじめの企業立地的な、その現地における政治情勢、経済情勢あるいは市場調査等々の問題と同時に、また直接にはそれに対する資金援助という問題もからんでまいると思います。この点につきましては、あるいは輸銀の融資あるいはまた経済協力的な色彩の濃厚なものにつきましては経済協力基金からの融資、出資と、そういった点も行なわれておりますし、なおそのほか、通産省といたしましては、あるいはシェトロの機能を通じ、あるいは商工会議所等の委託費を通じ、現地の事情をでき得る限り知悉させるように企業のほうに連絡をいたしております。当然、もちろん外務省とも十分に連絡をとりまして、その点に関する情報その他が入るように、企業のそういった自主性が尊重できるような立場に従来とも指導してまいったところでございます。今後ともそういう方向で進みたい、かように考えております。
  42. 小柳勇

    小柳勇君 時間がありませんから、海外投資の問題は以上にとどめて、外務省ありがとうございました。  時間がわずかですから、あと専門的な問題を質問しますが、輸出保険全般の問題で、輸出保険の責任残高は毎年急速にふくらんでおるのに対して、支払い準備はあまりふえておらぬ。したがって、支払い準備率は急速に低下しておる。一度大きな事故があれば支払いできなくなるおそれがあるが、これに一体どう対処するか伺いたい。
  43. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 御承知のように現在の輸出保険特別会計は、過去二度の政府出資を加えまして現在におきまして六十億円、こういう金で運営をいたしておるわけでございます。そこで、保険の付保責任残高というものは逐年増大の一途をたどっておりまして、これに対して昭和四十五年の三月末におきまして支払い準備金は約百九十億円ということになっております。したがいまして相対的にやはり支払い準備率というものは低下をしておるということは、先生仰せのとおりでございます。今後、この海外投資というものが特に大型かつ著しく増大いたしますということになってまいりますと、一時的にやはり相当多額の保険金支出を必要とする可能性も出てまいるかと存じます。したがいましてこの激動する国際経済情勢あるいは延べ払い案件、あるいは海外投資案件の大型化多様化に伴いまして、保険本来の目的といたしますところの弾力的かつ積極的な運営を行ないますためには、資本金の増額による経営基盤の強化というものが必要かと存じます。したがって今後適当な機会に資本金の増額は行なっていきたい、かように考える次第でございます心
  44. 小柳勇

    小柳勇君 それから海外投資保険の運営実績がきわめて悪いと、したがって、今度のこの改正の大きなねらいにされていると思うが、海外投資元本保険については約五%の利用率、海外投資利益保険はほとんど利用されておらぬ。利用されなかった理由は何ですか。
  45. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 仰せのとおり海外投資元本保険は昭和三十一年に発足いたしました。海外投資利益保険は三十二年に発足いたしたわけでございますが、この元本保険のほうの保険契約は四十三年度末までに件数といたしまして三百五十二件、付保金額は累計二百二億八千九百万円でございまして、四十三年度末までの海外投資許可総額の十九億七千二百万ドルに対しまして、わずか三・五%ということでございます。それからさらに利益保険のほうは四十四年末までの統計でわずかに五件しか付保されていない、こういう状況でございます。かように従来の海外投資元本保険海外投資利益保険、両方とも利用率が非常に低うございましたのは、主としてやはり欧米諸国に比べまして付保対象あるいは担保危険の範囲等が狭いということ、あるいはてん補率が低い、てん補要件がきびしいというような点で限定的であったことがおもな理由であろうかと思いますが、今般御審議を願っております改正によりまして、ほぼ欧米諸国並みの水準にまで上がってまいるということで、今後はその利用が増加してまいる、かように考えておる次第でございます。
  46. 小柳勇

    小柳勇君 次は、今度の改正で四十五年度どの程度の利用率を見込んでおられるかということを聞くんですけれども、てん補率が七五%から九〇%に変えられる、保険料率は現行の〇・四八%から〇・五五%に変えられる、このことによって利用率というものがどの程度あると見込んでおりますか。
  47. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 先ほどお答えいたしましたとおりに、従来の海外投資関係の両方の保険に対します付保率というものは約五%前後でございました。   〔委員長退席、理事川上為治君着席〕 これをここで四十五年度におきまする海外投資の見込み、これは非常に大まかな計算でございますが、約六億五千万ドル程度に達するものと試算をいたします。このうちに発展途上国向けが三分の二ぐらいを占める。そうしますと、大体過去の趨勢から見まして、あるいはまた諸外国との例をも勘案いたしますると、付保率は一五%以上には上昇するということで、四十五年度の付保金額は二百三十億円程度には達する、かように考えております。
  48. 小柳勇

    小柳勇君 次は海外投資保険の悪用される危険はないかという質問ですが、てん補率の引き上げに伴い保険事故の危険性が高くなってから加入するといったふうに、海外投資保険が悪用されることはないかお尋ねいたします。
  49. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) お説のとおりに、今般の改正によりまして今後大型の保険事故の発生という事態も十分に予想されますので、投資受け入れ国の政治情勢あるいは経済状況等々に関する調査の充実に十分努力いたしますとともに、保険引き受けにあたりましては、投資契約締結前に保険の申し込みを行なうことにするということなどいたしまして、危険が高まってから被保険者のほうでいわゆる保険で申します逆選択、自分たちの都合の悪いときだけに保険をかけるという状態を避けまするために十分な方策を講じたい、かように考えております。
  50. 小柳勇

    小柳勇君 最後の問題ですが、引き受け限度額がございますね。昭和四十五年度予算総則で海外投資保険の引き受け限度額が五百億円ときめられておりますが、五百億円をこえる保険の申し込みがあった場合どのように処理しますか。過去において補正予算で限度額をふやしたことがありますか。こういう質問です。
  51. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 先ほどお答えいたしましたように、四十五年度の海外投資保険海外投資の見込み額から計算をいたしますと、二百三十億円程度になるものかと見込んでおります。これの算定根拠といたしましては、海外投資六億五千万ドルのうち、発展途上国向けが三分の二と、それから付保率が一五%程度に上昇するということを考慮いたしまして、さらにそれによりまする利益といいますか、果実が一割ということにいたしますと、円貨にいたしまして二百三十億円という数字が出てまいるわけでございますが、引き受け限度額を輸出保険特別会計の予算総則上計算いたしました五百億円はその二百三十億円の約倍額まで、倍額以上を見込んでおりますので、急速に不足を来たすことはないと、かように考えております。しかしながら、万一不足を来たす事態が生じました場合には、これはやはり補正予算等を御審議をお願いしなきゃならぬかと存じますが、まずいまのところではそういうことはなかろうかと存じます。  なお、御質問の最後の点でございますが、過去におきまして四回ほどこの補正予算をお願いいたした事実がございます。
  52. 小柳勇

    小柳勇君 後藤局長に最後の質問ですけれども、この法案の改正につきましては経済団体や商工会議所などはどのような意見を持っておりますか。   〔理事川上為治君退席、委員長着席〕
  53. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 政府関係の機関といたしましては、通産省に設置されております産業構造審議会、あるいはまた総理府の設置法にございまする最高輸出会議でございます。それからまた、通産省輸出保険審議会等から、それぞれ昭和四十四年中に輸出保険制度の拡充についての要望がございました。民間からは経団連、日本商工会議所からやはり昭和四十四年のいずれも九月に保険制度の強化拡充についての要望がございました。それから日本貿易会、日本機械輸出組合、日本鉱業協会等からそれぞれ昭和四十三年から四十四年にかけまして同様趣旨の要望がございました。要望はそれぞれ若干ずつ違いがございまするが、おおむね今回の改正案につきましては、それらの要望を十分に取り入れて本案を作成した。かような経緯に相なっております。
  54. 小柳勇

    小柳勇君 通産大臣質問いたしますが、朝から海外投資の問題で、これが、この輸出保険の基礎になっているわけでありますので、海外投資の問題について質問いたします。  大蔵省なり外務省の意見も聞きましたし、通産省からも聞いてまいりましたが、大臣には二問質問したいと思うのでありますが、一つ海外投資はけっこうであります。ますます海外投資をして、日本経済的な海外進出なり貿易の伸展をはからなければなりませんが、この中小企業日本中小企業との関連で質問するのでありますけれども海外日本投資をして、海外生産された品物が安い値段で日本に逆上陸する危険性がある。現在も中小企業に働く労働組合などからそういう陳情があります。で、この前の統一ブランドをつくるときの通産省の話では、安かろう悪かろうの日本の商品を一流商品にして、先進国市場を競争しながら日本の貿易を前進せしめるという話がありました。今度は、この海外投資の問題では、その逆に、どんどん日本資本が外に出ることによって、日本に安い品物が逆上陸することも考えられるから、海外投資をする場合はそういう面でチェックしてもらわなければならないのじゃないかと思うが、特に大臣の見解を聞いておきたい。
  55. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 長期的に基本問題を考えますと、わが国経済高度化、労働需給の逼迫、賃金の上昇ということからいたしまして、いわゆる労働集約的なものが、だんだんわが国において、生産性の高い生産をすることが困難になりつつございます。そうして、いわゆる発展途上国において、そういう企業を営むほうが企業として有利であるということは、私は長期的に見れば、これはもう認めなければならない事実でありますし、積極的にそれにわれわれが即応してまいらなければならない事実だというように考えております。そこで、そういう長期的な見通しを、これはもう不可避のものとして考えながら、われわれがそれにどう対応するかということでありますけれども、まずわが国内におけるそういう労働集約的な産業近代化、合理化、あるいはものによりましては、より労働を節約できるようなものへの転業ということも、これも考えなければならない場合があると思います。それらについては、政府は従来から助成をし、構造改善などをやってきましたことは御承知のとおりであります。しかし、それが完全に終わってから初めて海外投資というようなわけにはまいりませんから、そういう仕事を進めながら、片方で海外投資というものをある程度ずつ認めていく、両方が並行するということは、これも私は避けがたいと思うのであります。そこで、問題は幾つかございまして、わが国海外投資が行なわれて、その製品わが国上陸してまいります場合と、第三国においてわが国生産されたものと競争いたします場合とあると思うのであります。で、現在二十万ドルをこえるもの、につきましては、投資は一応政府許可になっておるわけでありますが、聞きますと、従来、行政をいたしますときに、その製品わが国に逆上陸をしないようにという事実上の行政指導をしておるというふうに聞いております。それからまた、非常の手段としては緊急関税というようなことも、これは考えられるわけでございます。しかし、なかなか、それはいつまでそういうことをやっていられるかということにも思いますので、最近は、むしろ、わが国で、いわば攻められる立場になりそうな人々が、積極的に自分のほうから海外に出て行こう、自分のところの労務なり賃金上昇がきつうございますから、そういう動きも出ておりますわけで、ときとしてはグループになって出て行こうという動きすらございます。そこで、私どもとしましては、わが国のそういう労働集約的な産業高度化近代化をはかっていくとともに、一方で、やむを得ない場合のそういう最小限度の措置は残しながら、むしろ、積極的にわれわれが外へ出て行くという、その程度に、少し長期的には考えていくべきではないか。一時的にはいろいろ策がございましょうし、それもしなければならないと思いますけれども、長期的にはただいまのように考えるわけでございます。
  56. 小柳勇

    小柳勇君 もう一問やります前に、まあことばじりをとらえるわけじゃありませんが、ちょっといまの大臣発言で、今後の方針を聞きたいのですが、日本でいまの労働力、なかなか中小企業などは労働力不足で、人手不足で仕事ができないから、労賃の安いところにグループで出て行きたいという動きすらあるといまおっしゃいました。私もそのとおりだと思いますが、その場合に、資金の面などで——あるいは知恵を借りることがありましょうが——政府として、通産省として特別に援助するという方策がございますか。
  57. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、個々にという動きはもうかなりございますが、グループでというのは、だんだんそういう動きがございますが、まだ顕著にというほどでもございません。で、そういう場合に、多くはわが国からの設備の輸出を伴いますから、輸出入銀行の融資はできるということでございますけれども、そういう動きに対して、まだ特に通産省として対策を考えるというところまではいっていないように思います。
  58. 小柳勇

    小柳勇君 そのことをさっき局長質問したわけです。で、非常に政治的な発言がありましたが、具体的には聞かなかったのですが、詰問もしませんでした、大臣も来ていないので。いまのところ、まだ具体的な方策というものは、いまないわけですよ。で、率直に言いまして、いま日本中小企業の皆さんが一番困っているのは、人手不足です。きのうも政務次官は私の部屋でその陳情を受けられたから聞いておられますが、ほんとうに社長や副社長は、来年の新卒を集めるために、もういまから動いているという実態ですね。ひとつ、この際、労働力の多いところに、あるいは労賃の安いところに進出したいという企業もたくさんありましょう。大臣の頭の中にもそれがあったから発言されたと思うけれども、そういう方に対する海外投資の、何と言いましょうか、この海外投資ににせて進出するということになりましょうか、そういう具体的な施策というものも必要ではないかと思うが、もう一度見解を聞いておきたい。
  59. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは、この人たちが、本来国内で協業をなさいといいましても比較的むずかしい場合がございますから、全部をあげてというよりは、むしろお互いに出し合ってという場合になると思いますが、そういう共同作業そのものがなかなかむずかしい、おまけにそれを異国において行なうということになるのでありますから、相当慎重にやらなければなりませんが、私としては、そういう動きが実際本格的にあるようでありましたら、相手が大体中小の人たちでありますから、何かやはり特別なことを考えるべきなのではないか、現在これという有効なことはございませんけれども、私は考えるべきだというふうに問題意識としては思います。
  60. 小柳勇

    小柳勇君 次の問題は、経済協力の問題でございますけれども、十四日に経済審議会の経済協力研究委員会からの決議が出ておりまして、その中で、経済協力を現在まで東南アジアを中心に進めてまいったが、これからアジア以外の地域に対してもわが国との経済交流を行ないながら効果的な援助をする必要があるというこの決議が出されております。東南アジアを中心に経済協力をやってまいったけれども、これからほかのほうにもということでありますが、経済協力の問題についていろいろ問題があります。まだこれは一つの問題ですけれども地域的なものだけですけれども経済協力の問題につきまして通産大臣としては今後どういう方向重点を置いて協力しようと考えておられるのか。
  61. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) これは非常に心配な問題であるということを私は基本に考えておるわけであります。異民族と一緒に仕事をしたこともありませんし、金を持ったこともなかったわれわれ民族でありますが、その初めての二つの要素を合わせて最初の経験をするわけでございますから、どうやって相手の国情に溶け込むかということが一番の私は問題であろうと思います。したがって、なるべく日本という名前がぎらぎらしないような形ですることが本来一番私は中心となるべき考え方ではないか。ただいまのところは二国間もこれも非常に必要でございますけれども、やはり多角的に、いわゆるマルチラテラルな形での経済協力でありますとか、アジア開銀といったような国際機関を通じての経済協力でありますとか、そういうことが私は非常に大切なのではないかと思います。次に、しかし二国間の協力関係もどうしても残りますから、そういうときには向こうに行って金をかせいだら帰ってくるんだというような、そういう印象を先方に与えないようなやり方、またできるだけ向こうの人と一緒になって、先方の気持ちに合うような協力のしかた、そういうことを心がまえに持たなければなりませんし、実は経済協力という、これから二十一世紀にかけての大きな仕事を考えますと、国民の小さいときからの教育、日本の国民のそういうことに対する心がまえの教育ということからほんとうは始めなければならないのではないか、そういうような基本的な考え方を持っております。
  62. 小柳勇

    小柳勇君 終わります。
  63. 浅井亨

    ○浅井亨君 時間もだいぶ迫りまして与えられた時間は二十分程度でございますので、なおかつ大蔵省の方がほかの行事もあるそうでございますので、まず第一番目にお伺いしたいと思いますが、私が聞いているところによりますと、海外投資の自由化につきまして大蔵省通産省との間に意見の相違があるというように聞いておりますが、政府はこの自由化についてどのようなお考えを持っているのか、通産省のほうからと大蔵省のほうから、ひとつお答え願えれば非常にけっこうかと思いますし、また、その海外投資についての具体的な問題をひとつお聞かせ願いたいと、こういうわけであります。
  64. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) これは私が政府代表してお答えすることがいいかと思います。  つまり、これからのわが国資本輸出でございますけれども、どの程度の資本輸出の自由化をしたらいいかということ。政府としては、ただいままあ日本銀行限りで二十万ドル、政府限りで三十万ドル、ここまでが自由化された範囲でありますけれども、私は、この限度はもっと上げていくのがいい。先ほど小柳委員から御指摘のありましたような問題がございます。問題がございますけれども、それはそれなりにとにかくその場の手を打っていきながら、私は資本輸出の自由化の限度というものは時間とともに上げていくのがいいというふうに考えます。
  65. 浅井亨

    ○浅井亨君 大臣でなくても、ほかの方でもと思って質問をつくってきたのでありますけれども、幸いにして大臣がおいでになりましたので、大臣に対して御質問を申し上げたいと思います。じゃ大蔵省のほうはいいです。  本年の九月十四日ですが、このときにDACの上級会議が東京において開催されるということになっていると聞くのですが、当然参加各国からピアソン報告や国連の第二次国連開発の十年ということに対しまして強い要請がわが国にくると思うのでありますが、政府はこれに対してどのような考え方を持っておられるか、話していただきたいと思います。
  66. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) まあDACの会議でございますけれども、問題は二つありまして、一つは、わが国経済協力を国民総生産の一%にするという問題でございますけれども、従来わが国はUNCTAD等との場においても、国民所得の一%ということについては、それを事実上の問題として目標にすることは同意をしておるわけであります。しかし、それを国民所得でなくて国民総生産の一%にするということになりますと、これはまた二割方上になるわけでございますから、これをきちっと何年までにという約束としてコミットすることに一つ問題があるわけでございます。それはもう御承知のように毎年経済協力の金額わが国の場合飛躍的に伸びておりますけれども、諸外国に比べますと国民総生産の伸びが、これがはなはだ大きいものですから、割合ということになりますと、この割合がなかなか伸びにくい。しかしわれわれは、結局実額が他国よりは伸びていけばいいんではないかという感じを持っております。その辺の議論が一つございます。  それから次の問題は、ピアソン報告の、おまけにその一%の中で政府分をたとえば七割くらいにしろということになりますと、これはなかなかいまのわが国経済協力の態様では日にちを限って約束するわけにはまいらないということを率直にこれは申さなければならないかと思うのであります。
  67. 浅井亨

    ○浅井亨君 私のほうも一時間がありませんので、簡単にひとつ……。大体八問ほどあります。大臣からお答え願いたいと思いますが、東南アジア諸国からのわが国に対するエコノミック・アニマルというような、かんばしくないような、そういうイメージを持っているということでありまするけれども、それの打開策はどのようにお考えになっておられるか。
  68. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは、先ほど小柳委員に申し上げましたとおりでありまして、できるだけ多国間を通じての、あるいは国際機関を通じての協力関係を持つ。もっと申しますと、結局現地に行く人たちの心がまえの問題であり、さらには若いゼネレーションの教育の問題であるという感じがするわけでございます。
  69. 浅井亨

    ○浅井亨君 次に、今後日本東南アジア経済援助はどのようにあるべきと考えておられますか。特にこのベトナム戦争終了後のアジアに対してどのように対処されていくか。
  70. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 相手方である若い民族をほんとうに伸ばしてやるというような心がまえでなければいけないと思います。また資源開発につきましても、相手方の資源のことでございますから、先方のよく納得するような形で協力をすることが必要と思います。  ベトナム戦争以後、以後という時点は、はっきり指摘できるような戦争の終結をするかどうかわかりませんが、やはりあの戦争が終わりましたらベトナムの復興とかメコン川であるとか、そういう意味での大々的なこれも、ならば多国間の復興が着手されなければならないと思います。
  71. 浅井亨

    ○浅井亨君 そういうことをお聞きしまして、まあ先のわからぬことでもありますけれども、ベトナム戦争終結後のアジアの経済援助は日米の相対的経済力の比重が大きく変わってまいります。その主役はやはり日本にくる、こういう肩がわりがくると、こう思うのでありますが、こういうことに対しましてもどのようにお考えになっているか。見通しがつかぬといえばそれまででありますけれども、このことについてお話し願いたいと思います。
  72. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 肩がわりという表現が適当でありますかどうか。私は本来アジアのことでありますから、わが国がやるべき任務を三十年間ばかりいろいろな事情でできなくてアメリカがやっておったというようにむしろ考えるべきではないか。わが国が主役になると思いますが、主役がぎらつかないでやる方法はどうかということが問題でありまして、それが先ほど申し上げましたような点だと思います。
  73. 浅井亨

    ○浅井亨君 次に、日本東南アジア経済成長力の格差については、人口の増加率の差が大きいために、いわゆる資本の蓄積がアジアではできないのではないか、そのために生産増加が人口の増加に食われてしまう傾向になる。この大きな原因は科学技術水準の格差にあると思うのであります。そこで、今後この科学技術格差の増大がますます経済格差をもたらすと思うのでありますが、経済技術協力というようなことはもっと強力にすべきものだと思うのでありますが、積極的にそれと取り組んでいくのかどうかということでありますが、これをお答え願いたい。
  74. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 技術協力という形が一番摩擦を起こさないで、しかも相手方の技術水準を上げていく一番いい方法だというように思いますので、これがまあ一番われわれが期待をかける方法であります。その方法としてこちらからチームを送るということも従来からもいたしております。先方から研修生を受け入れるということもいたしております。そういう方向を拡大していくことになると思います。
  75. 浅井亨

    ○浅井亨君 日本は一九六四年以来貿易収支が黒字に転じております。黒字国としての責任を果たすべく、要求が非常に強いと思います。それで、それは資本の自由化、貿易の自由化、後進国の援助の増加であり、DAC勧告についても真剣に取り組まなくてはならない必要に迫られていると思うのであります。このために経済協力審議会の設置も行なわれたわけでありますが、先ほど経済協力研究委員会報告が発表になりましたが、その実行の可能性について、率直にどうだろうかということをお答え願いたいと思います。
  76. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは先ほど申し上げましたところと思いますが、つまりGNPの一%ということに一つなかなか問題があるということ、それからその中で政府援助の部分をかりに七割なら七割ということになりますと、これは日限を切ってはなかなかやりにくい。方向としてはそういうことに反対があるわけではありません。そうあるべきでありましょうが、実情としては日にちを切っての約束はなかなかできにくいことと思います。
  77. 浅井亨

    ○浅井亨君 東南アジアの情勢からしても、日本経済力に相応した国際的責任を果たさなくてはならないと思います。日本の安全保障を確保するという政治的配慮から見ても、東南アジアに対する経済援助を積極的に考えなくてはならない国際環境になってくると思うのですが、これはどのようにお考えになっておられますか。
  78. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 平和国家の憲法が示しております理念から考えまして、万一大きな世界戦争が起こるというときには、おそらく南北間の格差から起こるでありましょうから、われわれはその格差を埋めることが平和憲法を実現するゆえんである、そういうふうに考えるべきだと思います。
  79. 浅井亨

    ○浅井亨君 東南アジア諸国に対する援助の姿勢を本質的に考えていく必要があると思います。その対策はどういうふうにお考えになっておられますか。
  80. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それも先ほどから申し上げておるところと考えますが、若い相手の民族のプライドを傷つけずに、これを育ってもらうように、われわれが何をなし得るか何をしなければならないかということを基本においていたすべきものと思います。
  81. 浅井亨

    ○浅井亨君 一九七〇年の日本は、わが国経済援助の曲がりかどに来ていると思います。で、先進国、後進国双方の期待にこたえるための国家百年の大計を立てるべきだと思いますが、その先行きを、ひとつお考え方をもう一ぺん詳しく説明していただきたいと思います。
  82. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) わが国のこれから七〇年代あるいはそれ以後への経済成長を予測いたしますと、相当の援助をする余裕があると申しますよりは、むしろこれらの国々に対する経済援助が、わが国経済成長そのものの中に組み込まれているというふうに考えるべきだと思うのであります。それらの援助がなければ経済成長もむずかしいし、また、それらの援助をまって初めて経済成長があるといいますが、両方は別の問題ではなくて、同じ問題の二つの部分だというぐらいに考えておくべきだと思います。しかし、そこで百年の大計ということになりますと、おそらくそういう東南アジアの諸国との援助関係の中で、いろいろな摩擦が生まれてくるであろうということを私は心配しております。でありますから、実はわれわれの次に来るゼネレーションが、むしろ東南アジアというのはわれわれとほんとうの兄弟、向こうがよくなれば、こっちもよくなるんだという、そういうものの考え方を若いうちに身につけておきませんと、ほんとうに百年の大計としての仕事は成功裏にはなしがたいというふうに考えます。
  83. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほど小柳議員が本保険申し込み件数は各年度何件あるかという質問をされまして、通産省の方がお答えになったと思いますから、この点は私は省略をしていきますが、この申し込み者の資本金別分類についてちょっと伺いたいのですが、五千万円以下が何件、資本金が。それから五千万円から一億円以上というものがどれくらいか、一億円から十億円までの件数がどれだけ、十億円以上がどれだけか、それぞれの申し込み件数及び申し込み金額をちょっと知らしてほしいのです。
  84. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) ただいま手元に資料を持っておりませんので、後ほど調査いたしたいと存じます。
  85. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 資料がなくてお答えができないということであれば——私はそこから質問をしていこうと思っていたわけですが、今日の質問に間に合わないというならば、それは後日資料としてはっきりわかるように出していただく以外にしょうがないと思うのです。  それでは現在の投資国ですね、どういう国に投資しておるかというぐらいはわかるでしょう。
  86. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) 国別は非常にたくさん国がございますので、地域別に申し上げたいと思います。これは残高で申し上げますと、北米は五億六千九百万ドルでございます。中南米は三億七千九百万ドルでございます。アジアは三億三千百万ドルでございます。中近東は二億九千八百万ドルでございます。ヨーロッパは二億一千七百万ドル、アフリカは七千五百万ドル、大洋州一億九百万ドル、この数字は四十四年十二月末現在でございます。残高でございます。
  87. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それだけ数字が出ておればどの国にどれだけということはあなたはお持ちだろうと思うのですが、持っていらっしゃるでしょう。
  88. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) あるいは御希望の国の明細がないかもしれませんが、一応のものはございます。
  89. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 答えてください。
  90. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) その関係の国を全部言えと、こういう御趣旨でございましょうか。
  91. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 時間が少ないから、あなたが一々小さいところまで答えれば時間取られるだけですから、おもな国をちょっとあげてください。
  92. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) それでは金額、多少大きいのをよりまして申し上げたいと思いますが、アメリカに対するものが四億八千百万ドル、ブラジルに対するものが二億二千二百万ドル、インドネシアに対するものが八千九百万ドル、台湾に対するものが五千四百万ドル、サウジアラビア、クエートに対するものが二億九千四百万ドル、イギリスに対するものが一億七千万ドル、ザンビアに対するものが四千三百万ドル、オーストラリアに対するものが七千四百万ドルというふうな程度でございます。
  93. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 なおあなたの持っていらっしゃる詳しい資料をあとで資料として私にください、いいですね。  それでは、海外投資家は個人が多いんですか、それとも法人なり株式会社、そういうところが多いのか、もしも大きな個人があったらその個人がどれだけ出しておるか、それから会社なんかでの投資金額がわかっていれば、どこの会社はどのくらい出しているということを、大きいところでよろしい、あとで資料としていただきますから。
  94. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) 個人で出しているものはほとんどないと思います。  それから会社別の累計は取っていないのでございますが、後ほど、これは会社別のものというのは非常にむずかしゅうございますので、うまくできますかどうですか、ひとつ研究いたしまして、この資料と一緒に、できますかどうか研究いたしまして……。
  95. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この輸出保険法第十四条の六で、この保険の対象となる海外投資は「国際収支の改善に著しく寄与すると認められる」ことを必要とする、こうなっておりますね。そこで伺うわけですが、まず第一は、「国際収支の改善に著しく寄与する」ということは、一体どういうことを意味しておるのか。これは大臣がせっかくいらっしゃるのですから、大臣にお答え願えたら……。
  96. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) まあこれはいまとなってはあまり意味のある規定だとは思いませんが、つまりわが国国際収支がはなはだ苦しくございましたときに、とにかく資本投下すればそれだけ国際収支もときはちょっとよけいに苦しくなるわけでございます。そこで投資の効果が非常に顕著である、必ずもとへ戻ってきて、それがいわばプラスになるというものにと、こういう意味であったと思います。
  97. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 通産大臣ね、いまになったらこれは意味ないとおっしゃいますが、国際収支の改善に著しく寄与するかどうか、これは将来にわたることなんですね。将来にわたることを、一体何を基準にしてそういうふうに判断をなさるかという点を伺いたいのです。どうなんですか、大臣、これは。
  98. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) この「著しく寄与する」というのは、やはり短期的に考えた場合と長期的に考えた場合とで、当然分かれると存じます。で、大臣からお答えいたしましたように、短期的には国際収支にとにかくそれはマイナスになる、しかし長期的に収益、果実等を生みますれば、これはプラスになると思います。したがってそのときの状況から見まして、当時このような規定が置かれましたのは、やはり短期的な見地を主眼といたしたものかと存じます。具体的に申し上げれば、その投資いたしました企業の収益性いかん、さらに具体的に申しますれば、すぐにそれは一年ないし二年で果実を生んで、それが配当ということになってはね返ってくるかどうかというような基準かと存じます。
  99. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、これまでこの保険をかけた企業はすべて国際収支の改善に著しく寄与をしておったかどうかという点。
  100. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 許可基準としてそういうものが法律上明定されておりますので、中にはいろいろ現地の情勢あるいは不測の事態等生じまして、目算どおりまいらなかったものもある例がございますが、全般的に見れば、国際収支の改善に法の目的に沿って寄与してまいったと承知いたしております。
  101. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そこで言われている「国際収支の改善」すなわち言い直せば外貨の獲得をしたということなんですがね。この行き先を見てみると、ほとんどいわゆる後進国が多いわけなんですね。後進国へ日本資本が行って、そうしてそこで利潤をあげて日本に帰ってくるということは、海外をやはり収奪するという性格がはっきりしてきていると思うのですね。その日本資本海外進出していって、そうしてそこで利益をあげて、そこのいわゆる後進国を収奪して日本に利益を持って帰るという、こういう性格、いわゆるそういうものをこの保険でバックアップしていくというのがぼくはこの法律の性格だと思うのですよ。いや、それはそうじやないですか、そうなるじゃないですか。そこで、私は立場を変えてちょっと質問したいのですがね、最近アメリカから日本にどんどん資本が入ってくる、これは立場を変えて考えてみたら、それは日本人の気持ちによくわかると思うのですが、いまアメリカの資本日本にどれだけ入ってきておりますか。
  102. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) いまの点、政府委員からお答えいたしますが、前段に言われましたことにちょっと私に別の考えがありますので申し上げさしていただきます。  たとえばわが国がアメリカからあるものを輸入しておったといたします。これはドルで決済をしなければならぬ。しかし海外投資をすることによって、貿易がわが国が出超になっております他の国から同様のものが得られるといたしますれば、これは対米の貿易のバランスを今度は輸入先を転換するわけでございますから、改善することができます。そういう意味で、この海外投資というものが、投資先を収奪するのではなくて、たとえば対米輸入をそれだけ節減するという意味でわが国外貨収支に貢献をする、こういう場合が過去において往々ございました。したがってこの読み方はどういうものかと言われますときに、そういうことも事実あったということをつけ加えておきたいと思います。
  103. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大蔵省の方。
  104. 奥村輝之

    政府委員奥村輝之君) 日本資本に対するアメリカの資本の参加の問題でございますが、二種類あると思います。一種類は直接投資の問題でございまして、一種類は間接投資の問題でございます。直接投資の数字はいまちょっとこちらに持っておりませんので、間接投資から申し上げますが、これは昭和四十四暦年度におきまして約七億ドルの証券投資があったわけでございます。で、これは御存じのように、原則として二〇%以内、制限業種の場合は一五%以内ということで投資が行なわれているわけでございますが、国別の集計はまだ完全なものはできておりませんが、最近アメリカにおきまして、この対外証券投資の限度について制限を課しておりますので、その比重は年々落ちてきております。日本に対して、私ども記憶いたしますところでは、三割程度、あとはヨーロッパその他の国のように聞いております。  いずれ数字は正確に調製できましたときにお手元にお届けするようにいたしたいと思います。
  105. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これ、いろいろな問題が含まれているから、時間をかけていろいろとやっていかぬというと、ものが明らかになってこないと思うのですが、委員長から、もう一問でやめにしてほしいという紙が回ってまいりましたから、私はそういうふうにしたいと思いますが、外国人の日本の株の取得というものが最近非常に多くなってきておるのですね。ということは、日本投資をして、そうしてその投資を通じて日本から利益をあげて本国へ持っていくということになるわけですが、これは一月の新聞ですが、最近のは私は持っておりませんが、千六百万ドル外人の投資金額において減ったというのですね、しかし株数においては同じだ、こういう記事が新聞に出ておりますが、ということは、外人が日本投資をして株を取得する、それによって日本の株の価格が上がる。そうすると、上がったところでその株を売り払う、そうしてその差額は持って帰る。そうして今度下がったところで、その金でもってまた株券を買っていく、そうすると株の数は同じだけれども、もう千六百万ドルの金を浮かして持って帰っておるという、一例をあげればそういうことがあるわけでありますね。これがもしもどんどん大きくなってさましたら、アメリカの資本によって日本の株式界がいろいろ操作されるという結果も起こりかねないと、こういうように私は思うんですが、大臣こういうことはどういうふうに考えていったらいいんですか。
  106. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) ここ数年の、外国ことにアメリカの対日証券投資を見ておりますと、先ほど大蔵省政府委員が申し上げましたのは、昨年中におけるネットの金額でございます、七億ドルと申しましたのは。で、毎年その金額がふえてきて今日までまいりました。ということは、実際はわが国に入った証券投資が利食いをすることはございます。利食いをすることはしばしばございますけれども、もうかったところで全部引き揚げてしまうということではなくて、ここ数年ずっとネットの額でふえてきておるということを意味しております。ということは、いいかげんもうけたら引いてしまうということではないということを、今日までのところ少なくとも事実が示しておるわけですが、それに対して私どものほうの政府方針は、第一に投資をし得る限度というものをきめておるわけでございます。それは公益事業あるいは銀行というような、いわゆる基幹産業とそうでないものとをまず区別をして、そうでないものについて、一人について七%、一つ会社について二〇%ということにしておりまして、そうしてその会社で経営について絶対の自信がある、したがって、二〇%という限度に固執をしてもらう必要はないという会社については、希望に従って随時その限度を上げることもある。こういうことでございますから、われわれの企業日本企業が外国資本に制圧をされるというような形は、そういうことはこういう制度から起こっていない、また起こることもないというふうに考えております。
  107. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  108. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでござい直するから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  輸出保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  111. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  113. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  114. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十九分散会