○
国務大臣(
宮澤喜一君) ある
段階までのことはすでに御承知でございますし、申し上げておりますから、それから後の
段階から今日までを申し上げることにいたします。
アメリカの
貿易自由化等々に熱心なグループの
委員長であります
ケンドールという人が過日参りました。で、本来の
わが国に参りました目的は、万博でありますとか、あるいは
自由化一般であるとかいうことであったわけでありますが、おのずからこの人も
日米間のいま急迫した問題であるこの問題に関心を持っておりまして、何とか打開の
方法はないだろうかということを
個人の資格としていろいろ模索をしておったわけであります。私とも
かなり長い時間そのことについて話をしております。そこで
ケンドール氏
個人としては、私
どもの申しておりますこと、これはすなわちいま
大矢委員がおまとめいただきましたような諸点でございますけれ
ども、これは
ケンドール個人としては
理解のできることである、それはわかったと、しかし、なかなかそれらのことは、先ほど
大矢委員がまさに仰せられましたように、時間もかかることであるので、その
本体論はわかったとして、それに達するまでの
つなぎのような
措置は何か
考えられないだろうかというようなことを言っておりまして、そうしてその末に、たとえばいまから十二カ月なら十二カ月の間、過去の実績あるいはその
一定割合増しということで、暫定的に、いわばこれは
包括になるわけでございますけれ
ども、そういう
規制を
考えてもらうわけにはいかないだろうか。その
期間が済んだ後は、これは絶対に
期間を更新することはしないし、この
本体論につまり入るんだ、こういったような話でございます。そこで私は、まあせっかくの
お話でありますから、一日ほど間を置いたんでございますけれ
ども、
政府としては、やはりその
つなぎのほうの話は、国会の御
意思もあり、また私
どもの
考えております
原則論もあるので、
政府としてはどうもその話を受け付けるわけにはいかないということを言って、断わりましたわけであります。しかるところ、
ケンドール氏は、
政府に対してそういう話ができないとすれば、一人の
アメリカの
財界人として
日本の
財界なり
業界なりとそういう話をしてみたいということでありましたから、私は、それは別段私として反対すべきことでないというふうに返事をいたしました。その結果、
ケンドール氏はそういう
考えで
わが国の
財界あるいは
業界等に多少の接触をいたしたようであります。
なお、それと前後いたしまして、そういう
つなぎの
措置とさらに
本体、
原則論とを合わせて
一つのセットにいたしました案が、これは正確に申しますとどういう表現になりますか、案が流布されたというふうに申すのが一番正確な
ことばだと思います、これが俗に
ケンドール案と呼ばれておるものでございますけれ
ども、この呼び方は、少なくとも私の知る限り正確でありませんで、
ケンドール氏がそういう案を起草したのではないようであります。
わが国の
ワシントン駐在の大使館が一
民間人から入手したものといって外務省に報告してきておりますし、またそれと前後して
わが国の
繊維業界も同じ案をどういうルートかで入手しております。したがって、この案の正確な出どころあるいは
起案者というのは不明でございます。不明でありますが、
ケンドール氏が私に
考えとして申しましたことと実体的には似ておりまして、あたかも
ケンドール氏もこの案というものを自分の頭のどこかに置きながら私に話をしたごとくでございました。それがただいま誤って
ケンドール案と呼ばれておりますものの実体でございますが、そこで
政府としては、
つなぎの
部分にはかかわり合えないという態度は、これは
政府部内、そういうことでまいっておりますし、まあ
業界が、あるいはもう少し広く
財界が、いろいろな見地から
本体のほうが確保されるのであれば、この
つなぎのほうを暫定的な
期間受けとめて、大体その案に沿って善処をしようというのであるか、あるいはいずれにしてもこういう案は受けられないというのであるか、その辺は、ただいま
業界内部でもまた
財界の一部でも、いろいろ
議論をされておる。大体ここまでがかいつまんだ、先般申し上げました以来の
経緯でございます。