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1970-03-19 第63回国会 参議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十九日(木曜日)    午前十時十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 川上 為治君                 近藤英一郎君                 山本敬三郎君                 竹田 現照君     委 員                 赤間 文三君                 井川 伊平君                 剱木 亨弘君                 平泉  渉君                 大矢  正君                 小柳  勇君                 林  虎雄君                 浅井  亨君                 矢追 秀彦君                 須藤 五郎君    政府委員        通商産業政務次        官        内田 芳郎君        通商産業大臣官        房長       高橋 淑郎君        通商産業省貿易        振興局長     後藤 正記君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    参考人        日本貿易振興会        副理事長     村上 公孝君        西陣織物工業組        合理事長     滋賀 辰雄君        日本輸出金属洋        食器工業組合理        事長       渡辺貞意知君        福井眼鏡光器        輸出協同組合理        事長       村井 勇松君        日本輸出眼鏡類        工業組合理事長  金森  精君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事の辞任及び補欠選任の件 ○輸出中小企業製品統一商標法案内閣提出)     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  大谷藤之助君から、都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます。  つきましては、直ちにその補欠選任を行ないたいと存じます。  選任は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます。それでは理事山本敬三郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 輸出中小企業製品統一商標法案を議題といたします。  本日は、本法案審議のため、参考人として日本貿易振興会理事長村上公孝君、日本輸出金属洋食器工業組合理事長渡辺貞意知君、西陣織物工業組合理事長滋賀辰雄君、福井眼鏡光器輸出協同組合理事長村井勇松君、日本輸出眼鏡類工業組合理事長金森精君、以上五名の方に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位におかれましては、御多用中のところ、本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。本日は、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承り、もって本委員会の審査の参考にいたしたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  なお、各参考人にはそれぞれ十五分程度の陳述をお願いし、その後、委員からの質疑にお答えいただくことにいたしておりますので、さよう御了承をお願いいたします。  それではまず村上参考人からお願いいたします。
  6. 村上公孝

    参考人村上公孝君) 日本貿易振興会理事長村上公孝でございます。  ただいま御提案の輸出中小企業製品統一商標法案につきまして、日本貿易振興会としての意見を述べさせていただきます。  初めに、本法案には賛成の意を表するものであります。  あらためて申すまでもなく、わが国輸出に占める軽工業品の比率は年々低下しているとはいえ、依然わが国にとりましては重要な輸出品でありますが、その輸出環境はなかなか楽観できないものがあります。  近年、発展途上国製品の、低級品分野から中級品分野への進出がますます激しくなっておりますが、今後特恵供与が具体化いたしますと、この傾向はさらに強くなるものと考えられるのであります。  特に、わが国の軽工業製品の約七五%は中小企業製品でありまして、近年の労働コスト上昇等により、その国際競争力は低下してきております。  今後の軽工業製品輸出振興をはかる方向としてジェトロ在外施設意見は、まず、わが国業界現状相手国市場需要消費構造、あるいは流通機構、さらには外国産業との競合関係について十分その実態を把握した上で対策を進めることが必要であるとしております。  この点についてはジェトロといたしましても、各種事業を通じ、その任務の一つとして常時その実体把握に努力しているところであります。  これによって海外、特に米国中心とする先進諸国消費需要動向を見てみますと、大量消費あるいは使い捨てといった傾向が大きくなる一方、趣向の多様化による高級品市場が拡大するといった方向が見られます。  また、流通機構面では流通経路の短縮、大量仕入れ、大量販売傾向がみられます、さらに、特に各国産業との競合関係では、日本品高級品分野での進出が立ちおくれる一方、マスプロ製品分野では米国が圧倒的であり、従来日本品が相当の地位を占めていた、いわゆる労働集約的な低、中級品分野では、発展途上国の追い上げが激しくなっていることは先ほど申し上げたとおりであります。  したがって、このような現状から見まして、今後のわが国軽工業品輸出戦略といたしましては、大量消費に即応した大量生産のメリットを生かした製品分野への進出もさることながら、所得水準の高いアメリカをはじめとする先進諸国に対しては、消費高度化に対応する高級品分野への進出を積極化することが必要であると考えます。  また、輸出取引におきましては、輸出商品高級化多様化に伴い、ブランドの果たす役割りはきわめて重要なものとなりつつあります。  このような観点から本法案を拝見いたしますと、そのねらいとするところは、品質のすぐれている製品対象として、中小企業結束して統一商標を定め、効率ある海外PRによって商品の声価を高め、あわせて流通機構整備をはかることにより、わが国優良高級品輸出を振興するものでありますので、先ほど申し上げましたわが国軽工業製品輸出戦略上からもきわめて時宜を得たものであり、その成果も少なくないものと期待しているものであります。  ジェトロといたしましては、本法案の適用を受けます品目について海外におけるPR事業あるいは展示事業中心に、お手伝いすることになるわけでありますが、いずれにいたしましても、その最大のねらいといたしますところは、対象品目相手国市場においていかに高級品としてイメージアップするか、イメージづけるかということにあろうかと存じます。  この意味から、この法律が生かされるかどうかは、海外でのPR活動効果的に実施できるかどうかにかかっており、この面のお手伝いをするジェトロとしての責任はきわめて重大であると考えておりますが、同時に、本法案中小企業業界皆さま結束による活動、いわば業界ぐるみPR活動を前提としていることは申すまでもありません。  ジェトロでは、昭和四十二年度より金属洋食器繊維二次製品等について業種別PRを始めてまいりましたが、その後、めがねワク、毛織物などの業界も、ジェトロと共同でPR事業を始められております。  業種によってPRの手法は異なりますが、専門記者の招聘、ブックレットの作成配布商品テスト、広告の掲載などそれぞれの品目に最も適した方法PR事業を行なっております。従来のジェトロでの業種別PR等の二、三の経験からいたしますと、この種PR活動には、まず第一に業界内部の意思の統一結束とが必要でありまして、業界ぐるみで実施するPR活動をいきなり直接売り込みの手段と考えたり、あるいは性急にPR活動成果を求めたりいたします場合には、往々にして業界内部のまとまりが非常にむずかしくなってくるおそれがあります。  そうなります場合には、所期のPR効果を期待することはきわめてむずかしくなるものと考えられます。  この点につきましては、海外PR専門エージェントも指摘しているところでありまして、PR活動はその目標を明確にしておくとともに、地道に息長く続けて初めてその効果が期待できるものであることを十分認識することが必要であります。また、本事業を推進するにあたっては、相手国市場でのこれに適応した流通機構整備が必要になるものと考えられますが、この点についても結果を性急に求めることの危険性は、PR活動の場合と同様であり、これらの面で関係業界の十分の配慮と、たゆまぬ努力が必要であると同時に、政府当局の適切な御指導が特に大切であろうと考えます。  なお、ジェトロといたしましては、PR展示等、本法案対象となる品目対外普及に直結した事業のほかにも、マーケティング調査引き合いあっせん事業等各種事業活動を通じて直接間接に本法案の趣旨を生かすようつとめる所存であります。  以上をもちまして本法案につきましてのジェトロとしての意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  7. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、渡辺参考人にお願いいたします。
  8. 渡辺貞意知

    参考人渡辺貞意知君) 日本輸出金属洋食器工業組合理事長渡辺でございます。  まず、業界概況を申し上げます前に、今回制定されようとしておりますところの輸出中小企業製品統一商標法案、このことにつきましては、私どもこれに先んじまして、すでに四カ年間統一マークをつくりまして、高級品PRに力を尽くしてきておりまして、その効果も徐々にあがりつつある状況下にございますので、ぜひ本案の制定につきまして、議員先生方の格段の御配慮をお願い申し上げたいと思います。  まず、業界概況から申し上げたいと思います。  私ども組合昭和三十二年七月に日本輸出金属洋食器調整組合として発足いたしました。調整組合というのは、たまたま日本から過度に米国輸出が集中いたしました結果、向こう輸入制限を受けまして、タリフクォータ制度が施行されました。それに伴って、これにこたえるために調整組合が設立されたわけでございます。続きまして、三十三年五月に出資組合に改組いたしまして、日本輸出金属洋食器工業組合と改組いたしまして現在に至っております。役員及び事務局といたしましては、理事長一人、副理事長二名、専務、常務各一名、理事三十五名、監事三名、事務局、総務、業務、デザインの各部門職員で二十一名でございます。  事業の概要といたしましては、目下構造改善事業その他組合事業に関する指導及び教育、情報または資料の収集及び提供、調査研究、さらに安定事業に関する制限行為といたしまして、組合員の製造する洋食器の種類それから生産数量出荷数量販売価格その他これに付帯する事業を行なっているわけでございます。  組合員の総数は中小企業社二百二十四社によって構成されております。  なお、規模別組合員推移を見ますときに、従業員数によりまして過去三年間の計算をしてみましたが、四十二年におきましては、十人以下四十社、十一名から三十名の従業員を擁するもの百十二社、三十一人から五十名の従業員を擁するもの二十四社、五十一人から百人までが二十六社、百一人から二百人までが六社、二百一名から三百人までが六社、合計二百十四社でございます。四十三年におきましては、十人以下四十一社、十一名から三十人まで百十四社、三十一人から五十人までが二十六社、五十一人から百人まで二十六社、百一名から二百人までが六社、二百一名から三百人までか六社、合計二百十九社。前年度におきましては、十人以下四十一社、十一名から三十人までが百十八社、三十一人から五十人までが二十七社、五十一人から百人までが二十六社、百一人から二百人までが六社、二百一人から三百人までか六社、合計二百二十四社でございます。なお、これを資本金別に見ますと、個人の場合が四十二年が八十一社、四十三年が八十三社、四十四年が八十四社でございます。百万円以下の資本金といたしましては、四十二年度で三十八社、四十三年四十社、四十四年度四十一社、三百万以下につきましては、四十二年度六十社、四十三年度六十一社、四十四年度六十二社、同じく五百万円までにつきましては四十二年度十一社、四十三年度十一社、四十四年度十三社、一千万円までが四十二年度、四十三年度、四十四年度とも十五社でございます。それから五千万円までが四十二年度から四十四年度まで各年九社でございまして、現在二百二十四社でございます。  生産輸出推移につきまして過去三カ年間の実績推移を暦年で計算いたしますと、四十二年度におきましては輸出の総生産高が五千二百九十九万ダース、金額にいたしまして百三十八億円でございます。四十三年度におきましては五千七百万ダース、金額にいたしまして百六十二億円、四十四年度の計算は、これは検査実績として推定いたしましたものでございますが、五千八百万ダースで、金額にいたしまして百七十五億円でございます。  なお、生産高の八〇%以上を輸出しております商品でございまして、高級品化に努力しておりますが、政府がこの制度を創設することによりまして、ますます企業意欲を旺盛にし、新制度の活用と相まって輸出商品高級化輸出の向上に寄与することとなることを固く信ずる次第でございます。  なお、発展途上国との関係について簡単に申し述べます。特に台湾、韓国、香港におきましては、低級品におきましてはいまや完全に日本のわれわれと競争国であるまでに成長いたしました。七〇年いわゆる今年度においては年間千五百万ダースに達するだろう、あるいはそれ以上になるかもしれないというふうに推定いたしております。しかしながら、彼らは現在の分野におきましてはあくまでも低品位でありまして、技術的にはかなり格差がございますので、構造改善の設備を近代化しながら、なお従来からの技術を生かしまして、さらに方向高級品化に向けまして、今回制定されるであろう統一マークをつけましてPRをすることによって十二分に競合できると確信している次第でございます。なお、高級品PRにつきましては、先ほどジェトロ村上理事さんからのお話がございましたけれどもジェトロお力をお借りいたしまして、業界一致いたしまして四十一年から毎年アメリカを主といたしまして、先年特にアメリカ豪州等二カ所でそれぞれ展示会を行なってまいりました。現在私どもの使命といたしましては、統一ブランドをすでに制定してありましてアメリカ並びに国内における登録は完了してございますし、展示会には多くのバイヤーを招待いたしまして直接商談も行ないますけれども消費者へのPRやあるいは一般参観者も交えまして毎年そのつど出品されます製品に対するカタログ、パンフレット等をつくりましてPRを行なってきておりまするし、なお新聞、雑誌等にも統一ブランドPRをいたしまして日本高級品のイメージアップに努力してきている次第でございまして、徐々に高く評価されつつございまして、今回の制定は、われわれ自身がやってきましたことの大きな裏づけとなりまして、私どもさらに一そうの確信を持って今後ともこの活動を続けてまいりたいと考えているわけでございます。従来、金属洋食器輸出でございますけれども、ほとんど専門輸入業者によって輸入されてきております。しかも、先ほど冒頭に申しましたように、いまから十二年前にアメリカから輸入制限を受けまして、毎年業界代表アメリカ政府その他へ陳情いたしまして、一昨年ようやくタリフクォータが廃止になりまして現在自由であるわけでございますが、たまたまその自由になったわずか二年間の間に、日本からの輸出が多過ぎるという形でガット問題にひっかけて現在これを制限しようとしております。私どもといたしましては、アメリカ市場秩序を正しく保っていくために、政府指導機関と綿密に連絡をとりまして、年々の輸出数量を規制いたしまして、アメリカからそのような問題が起こらないように、またアメリカのみならず英国におきましても、あるいは西ドイツ、EEC等におきましても同様に業者間で話し合いをしながら輸出秩序を守ってきております。今回そういう形の中でアメリカがそういう問題を起こしたということは、たまたま向こうのメーカーが何とか世界市場を独占しようという野望によるものでございまして、現在繊維の問題が一応山場になりましたが、私ども真剣に活動を継続しておりますが、繊維の問題が片づいたあとで、私ども業種も何らかの決定が得られるというふうに考えておりますが、特に問題を起こしました相手方——アメリカにおきます世界で一番だとみずから称しておりますインターナショナル・シルバーあるいはオナイダとも燕はここ一、二年取引が開始されてございますので、そういう点からも緩和していただくようにお願いしてございますし、特に問題がありますものは、低級品競合品目についてでございますので、こういう点から、一そう基本的にでき得る限りの高級化、いわゆる先進国と比肩できるような商品に対しまして、統一商標を付しまして、それに集中するという形は、輸出の正常な発展に大きな役割りを果たすというふうに考えておる次第でございます。  はなはだ簡単でございますけれども、以上概況を御報告いたします。
  9. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、滋賀参考人にお願いいたします。
  10. 滋賀辰雄

    参考人滋賀辰雄君) 西陣滋賀でございます。  まず最初に、西陣織物工業組合の紹介からさしていただきたいと思います。  西陣と申し上げますと、皆さま御承知のとおり、いまから五百年前、室町幕府時代にその名がつけられまして、日本で最も古い機業地でございます。京都の機織りの歴史は、それよりもさらに数百年古く、飛鳥時代大陸文化を移入いたしました際に日本に伝えられたものだといわれておりますが、日本工業の発祥といたしまして京都産業となったものでございます。特に平安朝以降、朝廷あるいは幕府の保護を受けまして、今日に至るまで一貫して最高級の絹織物産地といたしまして、その地位を他に譲ったことはございません。  西陣織物組合は明治に設立されまして、その後、全西陣機業家統合体といたしまして、幾たびかの法改正のたびに継承されてまいりましたが、今日の西陣織物工業組合は、昭和三十三年中小企業団体法の施行に伴いまして設立されたものでございます。現在、組合員は千三百七名で、そのほとんどが絹を主体とする先染高級絹織物紋織物生産しておりますが、業者規模はきわめて零細でございまして、一企業当たり十三台という小規模のものでございます。しかし、そこで私ども生産いたしております生産高は、別表にありますとおり、昭和四十四年一カ年に八百六億の金額を数え、京都市の工業生産高のうちの二〇%という大きなシェアを持っているものでございます。  別表といたしましては、西陣の私のほうの組合では、帯地が六百五十万本、金額にいたしまして三百六十九億九千万、そのほか着尺、ネクタイ金欄室内装飾用織物、マフラー、ショール、広巾地、おもに輸出にやっておるのでございますが、また服地を含めます。その他の織物等々で合計が八百六億ということでございます。  ここで西陣織物輸出の現況でございますが、一年間の輸出高別表2にありますとおり六億強というわずかなものでございます。輸出といたしましては、川島織物をはじめといたしまして十五業者で、その合計が六億五百万ということになっておるわけでございます。  次に、この法律に対する意見を申し上げますが、私たちのような伝統的工芸産業を営む中小零細企業にとりましては、この法律は欠くべからざるものだと考えております。以下それについて実情を御説明申し上げます。  さきにも申し上げましたとおり、私たち西陣産地は、内需用織物産地として育ってまいりました。私は、いま日本絹人繊織物工業会内地産地部会長をいたしておりますが、日本内地産地はどこも生産過剰の様相を呈しまして、競争は激化の一途をたどっております。今後私たちのような中小機業家が経営の安定をはかるためには、どうしても海外の新しい需要を開拓しなければならないと存じておるのでございます。私たち西陣業者は、十一年前の昭和三十四年よりこのことあるを予測いたしまして、組合輸出振興委員会を設けまして輸出振興策を検討してまいりましたが、私たちがこの委員会でテーマとして検討してまいりましたのは、現在の輸出向き織物産地と競合する大衆向き織物ではございません。大衆向き織物をつくっておりましては、日本織物産地の中で最も価格の高い土地の上に工場を建て、日本一高い織り工賃を払わなければならない事情にありますところの西陣では、他の機業地競争できる道理がないのでございます。しかしながら、内需用織物については、この悪条件を克服いたしまして年々その生産を伸ばしてまいりました。西陣織物は値段は高いです。しかし、日本消費者は高くても西陣はよいものだといって買っていただいておるのが内地現状でございます。西陣の諸先輩は、かつてどんな不況に際しましても品質を落とさず、高級品としてのイメージをくずさずがんばってまいりました。そこに自然西陣織りという得がたいブランドが成長してまいったのでございます。私たちが十一年前から輸出振興を唱えたときの目標は、このような高級品海外に送り出そうという思想でございました。このような高級品海外に送り出すその一つの施策といたしまして、われわれはわずかな組合予算をはたきまして、ニューヨークの五番街で西陣展も開催いたしました。香港でもこれを行ないました。あらゆる機会をつかんで総合的な輸出展に参加いたしました。海外調査団も派遣いたしました。いまも毎年毎年組合高級織物サンプルブックを作製し、海外に発送し続けております。しかし、国際経済の壁は、中小企業にとってあまりにも厚いことをこの際知ったのでございます。西陣織は、ハーグの国際司法裁判所の会議室の壁を飾っており、モスコーの美術館にも掲げられております。最近では外務省の御用命を受けましてワシントンのケネディホールの舞台も飾らしていただきました。日本工芸品として、文化財として、西陣はある程度海外にも知られておるという甘い期待を持っておりましたが、商品としての高級品ブランドにはなっていなかったのでございます。一昨年でしたが、香港展示会を行ないました直後、台湾政府特許公報ネクタイ類西陣織の出願が中国人の名前でなされておるのを知りまして、通産省のお力もかりまして、これに対して抗告をし、商標確定を阻止したこともありましたが、海外優秀品ブランドが認められ始めると、すぐこのような問題も起こりがちです。そのたびに、何十万円という訴訟費も払わなければなりませんでした。私たちのような中小企業集団にとって、これだけでも相当な負担になるのであります。  この十年間の輸出振興事業の結果、私たちが痛感いたしましたことは、一つには、海外市場、特に高級品市場においては、イタリー、フランスなど織物先進国が根強い力を持っているということでございます。  さらにいま一つは、それら諸国織物が非常に高価に買われているにもかかわらず、決して西陣のそれに比してすぐれたものでないということでございます。  この二点であります。  もちろん流行の先端をキャッチしているという点では、われわれの及ばぬものを持っておりますが、その他の点では品質的、技術的に決して日本西陣製品は劣るものではないとの確信を得たのであります。  今後私たちが高級絹織物輸出を増加さそうとするときに、まず競合するものは、フランス、イタリーの高級品であります。そこでわれわれとして解決しなければならぬことは、内需面で西陣というブランド高級品といわれているように、海外でも同じ高級品ブランドイメージを植えつける努力をすること。いま一つは、現在フランス、イタリーがそうであるように、また内需面で西陣がそうであるように、日本が流行のセンター的働きができるように努力することであります。  世界の一等国とランクされた日本にとって、デザイン面でも、日本地位がレベルアップされなければならぬことは急務でありますか、同様に、日本世界高級品というブランドを数多く持つことも急務であります。しかも双方ともが長期的な努力を必要とするテーマであります。  西ドイツ、ゾリンゲンの刃物は、いまでこそ世界優秀品としてその名をあげておりますが、それはいまに至るまでのゾリンゲン地区の中小業者のなみなみならぬ努力と、政府の長期的なたゆみない援助によって得られたものと思います。  日本の伝統的な優秀技術が、世界市場にその名を得しむるよう、格段のご配慮をお願い申し上げまして意見とさせていただきます。
  11. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、村井参考人にお願いいたします。
  12. 村井勇松

    参考人村井勇松君) 私、福井県の福井眼鏡光器輸出協同組合理事長村井でございます。  大体福井県の概況をひとつ御紹介させていただきますが、福井眼鏡光器輸出協同組合は、福井県の輸出用眼鏡ワクの製造業者をもって構成しておるものでございます。大体福井県の眼鏡と申しますれば、眼鏡ワクは日本の九〇%を生産している土地でございまして、大体年間百二十億円の生産でございます。三百四十万ダース一年に生産しております。その中で三十五億円が輸出でございます。この輸出も最近に至りまして非常に好調に進んではおりますが、世界各国の眼鏡界を見ますと、何ぼにもならないということで、われわれ一同、一昨年よりジェトロの御指導を受けまして、非常に努力しておるものでございます。  ここにおきまして、本日の統一商標法案に対する意見をちょっと申し上げさせていただきます。  当組合組合員生産するめがねワクは、約半数が欧米に輸出されておりまして、これら諸外国においては、日本品というものの品質の良否にかかわらず——日本としてもずいぶん高級品を出したいという希望でございますが——欧州に行きましても日本製品は二級か三級に扱われておる次第でございます。輸出価格は、そのために今日までの状態が、眼鏡におきましては各国から入札式の注文でございますので、上等な品物、技術の高い品物は日本でできますが、それが認められてないというのが現在の実情でございます。販売機構のことにつきまして、輸入業者にまかせておいたのでは、とうていうまくないということでございますので、統一したブランドによって生産者が直接宣伝をして、販売機構を買いやすくできるようにいたしたいということでございます。従来豊富な労働力が福井県にはありましたが、最近は非常に上昇しまして、都会もいなかも変わらないような労働の賃金上昇でございますので、ここに一段の研究と努力をわれわれは払って、この眼鏡界発展のために努力しておる次第でございますが、だんだん行き詰まり状態でございます。日本の眼鏡のワクは非常に競争が激しいということで、困った次第でございますが、各国は日本に対しまして非常に高級な品物を要求せぬではございませんので、その点で昨年アメリカにおきましてラスベガスで、アメリカの眼鏡卸大会の年に一回の大会に出品いたしまして、非常に好評を得た次第でございます。このために昨年以来ジェトロPR事業に参加をさせていただきまして、そこまで誘導させていただいた次第でございますので、今回の統一ブランドに対しましては、心より早く御援助願いたいということが、福井県眼鏡界としての希望でございます。  かような状態で、簡単でございますが、この統一ブランドに対しまして賛成の意を述べまして、終わりとさせていただきます。
  13. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、金森参考人にお願いいたします。
  14. 金森精

    参考人金森精君) 私は日本輸出眼鏡類工業組合理事長金森でございます。  この日本輸出眼鏡類工業組合の団体の大体の概況を申し上げます。  当組合は、眼鏡類を製造する事業者の団体でありまして、日本のレンズ、サングラスの生産については、当団体の構成員がほとんどを占めておるのであります。また眼鏡類は、年間の生産額が約七十億円——本年はもう少しオーバーすると思いますが——であって、輸出額は四十億円の輸出で、過半を占めておるのであります。  実施してきた事業としましては、いままで出荷の調整をやってきたのでございますが、四十二年度末で一応停止いたしまして、今後の重点事業としまして、統一ブランド事業を推進しようと思っております。  この輸出中小企業製品統一商標法案に対する意見としまして、現在の軽工業品輸出の置かれている情勢に対処するためには、非常にかっこうな施策であると思っておりますので、早急な成立を希望するものであります。  また、わが国のサングラスをはじめとする輸出眼鏡類は、世界各地に向けて輸出されて、その輸出額は年々一五%くらいずつの伸び率がありまして、四十億円程度で、逐年増加の一途をたどっているのでありますが、しかしながら、その内容は企業そのものがあまりにも家内工業に根ざしておることから、外人バイヤーの買いたたきがあり、かつ中級品以上のものになれば、バイヤーズブランドを指定されるなど、外人に主導権を奪われる輸出のケースが多いのであります。その結果、輸出価格も安く不安定で、自分たち製造業者としても経済的余裕がないことから、独自の海外向けPRもほとんどやっていなかったのであります。近い将来に予想される特恵関税供与の実施は、発展途上国の追い上げの脅威を一そう増大することになりますので、長年の努力で開拓してきた輸出市場を失うおそれがあるのであります。こうした軽工業品全般の転機ともいうべき時において、当業界にも情勢の重大さに対する認識が急速に高まってまいりまして、品質の向上努力を傾けております。しかしながら、それは単に技術面の施策だけでは効果が上がらないのでありまして、高級品がそれに相応した価格で販売できる体制をつくることこそ、高級優良品輸出の基礎が確立されることになると思うのであります。  こうしたことから、業界ぐるみで一致団結して統一ブランド事業を推進することが非常に大きな意味を持つと思います。統一ブランドを推進するためには、自分たちとしては、海外の新聞、雑誌などへの積極的PRや見本市への出品などの展示事業をやっていきたいと考えているものであります。  事業の推進方法などの具体的事項については、組合事業としてやることでもあり、零細企業をも含めた団体の総意が反映されたものにすべきだと思うのでありまして、また、そうやることが当然で、総会で皆の意見をよく聞いて決定していきたいし、また、そうやることが当然と思います。零細企業の立場も十分考慮してやっていく所存なのであります。  現実の外人バイヤーの力は非常に強大でありまして、その中でわが国独自のブランドを確立していくことはなかなかむずかしい事業ではあるが、効果をあせらずに、じみちに長期施策として、たとえば五年、十年として、推進していきたいと考えているものであります。  いずれにせよ、現在のわが国軽工業品輸出業界の置かれた立場からして、この法律はまことに時宜を得た性質のものであると思うのでありまして、可及的すみやかに施行していただきたいと思います。業界としましてもこれを大いに活用して、輸出取引の改善に役立てていきたいと思います。  以上であります。
  15. 村上春藏

    委員長村上春藏君) まことにありがとうございました。  以上で参考人意見陳述は終わりました。  続いて参考人に対する質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いま福井のめがねの話を聞いておりまして、ちょっと不思議に思うのですが、皆さんこの統一ブランドが非常にけっこうだという御意見ですが、この統一ブランドの希望工場が百二十一社、それから工場の総数が二百十社で希望するのが百二十一社。残りの九十社はなぜ希望しないのか。そこの点、ちょっとお伺いしたいと思います。
  17. 村井勇松

    参考人村井勇松君) 希望しないという意味でもございませんが、希望はしておりましても、まだ参加していないということでございます。
  18. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 希望はしているけれども参加していないということは、どういうことですか。
  19. 村井勇松

    参考人村井勇松君) 九十社だけが入っていないということでございますが……。
  20. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その入らない理由は、どういうところにあるのですか。
  21. 村井勇松

    参考人村井勇松君) どこに書いてある意味でございますか。
  22. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ここに、これはあなたのほうから出された「福井県」——字が、印刷がはっきりしませんが——「眼鏡工業実態」という資料の中に、1、2、3とありますが、この3のところに、「高級枠としての資格工場」は、総数が二百十社ですね、従業員数が二千九百二十名、統一ブランド希望工場が百二十一社と、こうなっているんですね。そうすると、二百十社のうち百二十一社が希望している、残りの九十社は、これはなぜ希望していないのかということなんです。
  23. 村井勇松

    参考人村井勇松君) 希望していないという意味でなくして、これは百二十一社が統一ブランドを希望しておるもので、あと九十社はそれだけの資格ある工場であるということでございます。希望していないということでもございませんので、いずれ、これが制定されれば、希望されることは間違いないという情勢にあります。
  24. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういうあやふやなことでは困りますので、二百十社がこれに参加する資格を持った工場であるということをあなたはおっしゃいますが、しかし、今日、統一ブランド希望工場として百二十一社という資料が出ているのですから、残りの九十社は希望していないというふうに私たちは理解するわけですね。
  25. 村井勇松

    参考人村井勇松君) そういう意味で書きあらわしたのではなくして、この統一ブランド希望工場に参加されているのが百二十一社ということでございます。九十社は……
  26. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 だから、希望していないということになるのではないですか。
  27. 村井勇松

    参考人村井勇松君) そういう意味でとっていただくと困りますので、まだ認識していないということでございます。
  28. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ認識させるためにどういうことをやっていらっしゃるのですか。
  29. 村井勇松

    参考人村井勇松君) 統一ブランドに協力を願うということをまだ徹底していないというだけのものでございます。
  30. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 百二十一社にそれが徹底して、残りの九十社に徹底していないということは、あなたたち組合の中で、やはりそういう徹底させるという努力に格差があるんじゃないんですか。なぜ徹底しないのですか、九十社には。
  31. 村井勇松

    参考人村井勇松君) これは非組合員がございますので、組合にまだ入っていらっしゃらない方がございますので、(「アウトサイダー」と呼ぶ者あり)アウトサイダーがございますので……。
  32. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 非組合員があるということですか。
  33. 村井勇松

    参考人村井勇松君) はい、そうでございます。
  34. 小柳勇

    ○小柳勇君 遠方のところ御足労願いましたから、各参考人の方に質問をさしていただきます。  まず、輸出眼鏡類工業組合理事長さんにお聞きしたいのですけれども、いまつくろうとする統一ブランドは、高級な品物に基準を置きまして、そうして全般的な品物のレベルアップをして、外国の高級品競争しようという意図で出されておるわけですけれども、これから眼鏡類の一つの基準をきめまして、あとの、それに追いつかない工場がたくさん出る心配をしておるわけです。かえって統一ブランドができるために、品物の基準を少し下げて、その基準に合わせないと輸出に間に合わぬのではないか、あるいは品物が出ないのではないかと考えますが、この点についていかがでございましょうか。
  35. 金森精

    参考人金森精君) めがねは、ちょっと申し上げますと、レンズでもふちでも、めがね類は生産工程中に、たとえば一級品も二級品も三級品も全部あるわけなんです。それで、結局、生産管理の上で、また、仕上げた上で検査して、それで選品するわけなんです。そのときに、一級品として市場に販売するのは、悪いのは全部取り除いて、いいものだけ出すわけなんです。ところが往々にして買いたたかれたりいろいろしますと、このくらいのものを入れておけということに、いままではなっておったのでございます。それで、ばらつきがあるというクレームがちょいちょいついておったわけです。  今後一つの規格をきめますと、それに現在でも持っていく手はみな持っているのでございますから、機械にしろ技術にしろ。ところが、買いたたかれるからそれに合わして出していっているというケースが多いのでございます。だから、ある程度の規格をこしらえましても、いま、市場に向かぬ規格じゃなくて、世界市場に合わしたとにかく規格を制定したいと思っておりますが、それをこしらえたら、それ以下の、俗にいう安物でございますが、そのものもほとんどそれに落ちつくのじゃないかというような考えを持っておりますが、私のほうは総会を開いて、そのたびにそういうことを申し上げておったら、みな、いずれも後進国の追い上げもあるのだから、何とか向上していかなければいかぬのじゃないかということをやかましく言っておりますが、結局買い手次第で、またたたかれたら幾分かそういう品質を、質じゃなくて検査の上の、少しふちのほうにちょっとあわがあるとか、あるいはちょっとかすりきずが多いとかいうようなものが入るわけなんです。しかし、それは統一ブランドとして出さなくてもバイヤーとの相談の上では出るのじゃないかと思います。
  36. 小柳勇

    ○小柳勇君 もう一つ、眼鏡のほうはこれからですから質問いたしておきますけれども、きのう私は政府に対して、高級品をつくるために統一商標をつくって指導していきますと、あるところに基準をつくりますね、基準に追いつかないところの工場は、これからたとえば機械を近代化したりあるいはもっと勉強すれば基準が上がるだろう、それで努力して、この統一ブランドをつくるべく努力するだろう。そのためには、こちらのほうの工場あるいは会社から、金が足らないから特別の金融をしてくれないかという要請が出はしないか、今度のこれは、統一ブランドの外国のほうのPRとか展示会には国が補助しますけれども、こちらのほうの工場のほうは、一般的な中小企業の近代化資金で、構造改善の融資でやっていこうという腹なんです。だから、せっかく法律ができますから、この際、統一ブランドをつけるために努力する工場は特に近代化資金の別ワクに金を貸せないかと政府に迫っておきましたが、こういう問題についてはいかがでございますか。
  37. 金森精

    参考人金森精君) それで、一部分は私のほうでも貸与制度に乗せて、共同、協業化ですか、それもやっておって、第二、第三が続くようにというケースも指導しておりますし、また、大阪においても特に別ワクで補助してほしいと、結局は金がなければどうしようもないのだということで、統一ブランドは実際において必要なんだが、いまおっしゃられたことで、非常に時間をとって申しわけないのですが、肝心なのは、結局そういうところなんでございまして、それを痛切に感じておる次第でございます。
  38. 小柳勇

    ○小柳勇君 次に村井さんにお尋ねしますけれども、おたくのほうの専務さんでしたか、この間いろいろ電話でお話をしましたら、大阪のほうも一緒に組合のほうに加入されれば統一ブランドを考えていいけれども、悪い品物では困る。とにかく、いまの、現在の輸出の品物にかかわらず、よい品物に統一ブランドをつくる方向で検討してくれないかと、これが将来のめがねを、輸出の品物をよくする一番大きな基礎の考え方だというような発言がございましたけれども、大阪はいま組合に入っているかどうか、将来、どういうふうになりますか。大阪地域を含んで統一的なブランドになると思いますけれども、そういうことについて検討されたことがございますか。
  39. 村井勇松

    参考人村井勇松君) ただいま、高級化というブランド福井県は進んでおります。これにつきまして、この高級ワクと申しますのは、ドイツ、フランスに負けない精度、製品ということで、その規格のもとにやっておるわけでございますので、これが日本国中、福井県は参加していただきたいということで、参加していただくことになっております。この点については福井県は、眼鏡ワクについては九〇%生産しておりますので、一応、皆さん、日本人のワクのほうにつきましては御相談して進んでおる次第でございます。
  40. 小柳勇

    ○小柳勇君 まだきまっていない……。
  41. 村井勇松

    参考人村井勇松君) 大体きまりかけておりまして、円満にいっております。
  42. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は、燕の渡辺理事長さんに。おたくのほうで現在、統一マークをつくって、ある基準の審査をやっておられるようだが、これを聞きますと、政府のほうから理事長さんが権限を委譲されて審査しているというお話でございますけれども、その点で現在の情勢と、それに対してアウトサイダーやその他審査に落ちるような工場の不満などはございませんか。   〔委員長退席、理事川上為治君着席〕
  43. 渡辺貞意知

    参考人渡辺貞意知君) 品質の向上というのは、これは企業の宿命として、特に低開発国の追い上げ等も考えまして、これはここで、どうあろうと、どうしても企業を壊滅させないためには、それを乗り越えなければならないという一つの宿命があるわけでございます。それで、組合員全体はそのことをよく自覚いたしまして、それぞれ政府指導に基づきまして構造改善事業を目下行なっている最中でございます。したがいまして、そういう懸念は全くございません。  それから、理事長が権限を持ってきめているというおことばでございましたけれども、私ども組合は、一応、理事会で起案しましたものを総会にはかりまして、そうして総会の議決によって、あらゆる事態につきましてこれを実行しておりますので、理事長権限じゃなくて、総会のお一人お一人の総意を結集いたしまして、これを実施しておりますので、その点、御理解いただきたいと思います。
  44. 小柳勇

    ○小柳勇君 輸出品の検査ですね、理事長が通産省の代行で検査しているという発言がございました、南波さんから。
  45. 渡辺貞意知

    参考人渡辺貞意知君) それは何かのお間違いだと思います。検査は、これは輸出検査法に基づきまして検査機関が検査をする。特にいままでは組合でやっておりました統一ブランドにつきましては、一応、高級品ということで一つの基準を設けましたけれども、今回、統一商標ができます段階におきまして、一応、先進国並みの商品目標とした形にしたいということで、従来組合がやっておりましたものの、より大衆化をはかるようになると、かように考えております。
  46. 小柳勇

    ○小柳勇君 では、電話だから、正確にわかりませんが、こういうことだと思うのです。おたくのほうの組合員はほとんど組合に入っておりますから、アウトサイダーはないようでありますが、その場合に、組合に入れるか入れないかの検査ではないかと思うのですね。品物の一々のでき上がり検査は、検査機関が正式にやるのでしょう。そういうことではないかと思ったのですが、理事長が通産省の代行で検査しておりますから間違いございません、こういう話だったものだから、それに対する組合の中でいろいろ不満が起こりはしないかと思っていたから、いまの聞いているわけです。その点どうなんでしょうか。
  47. 渡辺貞意知

    参考人渡辺貞意知君) 先ほど申しましたように、組合員一人一人の意向を総会で決定いたしまして、それによって執行しておりますので、そういう不満は全くございません。また不満があるようならば、総会の総意でこれはまとまりません。
  48. 小柳勇

    ○小柳勇君 はい、わかりました。  それから西陣織理事長さん、さっきネクタイの話がありましたけれども、産地のブランドにするのか、あるいは品物別のブランドにするのかということで、政府もいろいろ苦心していると思いますが、これは将来の問題ですが、たとえば博多織なんかも、博多織の組合のほうが検討しておるんですよ。県の商工部長から話がありまして、今度帰りましてその人たちを集まってもらうことにしておりますけれども日本の絹織物ネクタイ統一ブランドをつくるのか、あるいは西陣統一的なブランドにするのかということは大きな問題だと思いますが、この点でどういうふうに考えておりますか。
  49. 滋賀辰雄

    参考人滋賀辰雄君) その点でございますが、現在で輸出にさっそく乗るものは一応ネクタイだというふうに考えております。その場合に絹織物としますと博多というものがございますが、量的には微々たるものでございますので、なるべくならば一応西陣の地域的なブランドとしていただいて、博多と西陣でしたら連絡できますので、そういうことで、その他の産地が今後どんどんとやってこられる場合には、一応御考慮していただかなければならないような事態がくるかもわかりませんが、現在では西陣ブランドにしていただきたい。そして特に私たちは、今後は、ネクタイというものは量的にも知れておりますので、室内装飾、インテリア織物、この方面の輸出をがんばってやりたいと、かように思っておりますので、ネクタイということにせずして、先染め織物ということでやっていただくほうが、われわれといたしましては大きく輸出産業に飛躍できるんじゃないかと、かように思っている次第でございます。
  50. 小柳勇

    ○小柳勇君 それからいま一問は、さっきの冒頭の金の話でございますけれども、おたくの公述によりますというと、中小企業がたくさん集まっておりますね。統一ブランドをつくりますと、それに追いつくために相当の御苦心があるんじゃないかと思うんですけれども、現在の中小企業の近代化資金などで間に合いますかどうか。この際、統一ブランドをつくるんだから、ひとつ別ワクで金のめんどうを見ていただけないかという御希望があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  51. 滋賀辰雄

    参考人滋賀辰雄君) その点は確かにございます。われわれといたしましても零細企業がほとんどでございますので、そしてまた高級品となりますと、現在政府でやっていただいております構革ですね、あれにはちょっと乗りにくいのです。あれは種類がわずかで、均一的なマスコミに乗るような商品には非常に適当しておるんでございますが、他品種で少量高級品種をやる場合にはなかなか構革には乗りにくいので、この点はひとつ別ワクで統一ブランドで邁進する業者に対しては、そういう政府のあたたかい金融あっせんとか無利子のなにということをしていただきますれば、業者といたしましてもより一そう積極的に意欲を燃やすんじゃないかと、かように思っておりますので、その点もぜひお願いしたいと、かように思っております。
  52. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後にジェトロの副理事長に。昨年の秋、豪州と南米の産業、貿易の実態を見てまいりました。それで、出先の皆さんのお世話になりました。この際、お礼を申し上げたいと思います。その際に、いろいろジェトロの出先の諸君の苦労話を聞いて帰りました。さっきも各参考人の公述がありましたように、競争が現在非常にきびしいですね。   〔理事川上為治君退席、委員長着席〕 しかも努力しているにもかかわりませず、日本商品の評価というものがなかなか上がってこない。だからPRどもしなきゃならぬ。特に展示会などをしなきゃならぬが、展示場もない。展示会もなかなか国によっては許可しないところもありますし、特に南米は現在でも許可しない国があるのです。量的にもそう出ないし、困っておるというのだが、今後、この法律ができましただけでは、商品高級化にならないのですが、ジェトロの出先機関の皆さんの協力プラス施設などの充実そういうものもしなければならぬが、政府諸君にもまた後日質問しますけれども、現在のジェトロの取り組み方の御意見を聞いておきたいと思います。
  53. 村上公孝

    参考人村上公孝君) 昨年は豪州、南米の私どもの施設を視察していただきましてありがとうございます。その際いろいろ御意見も承りまして改善につとめておりますが、一般的に申し上げまして、私ども海外に約七十の施設を持っております。七十と申しますと非常に多いようでございますけれども、何ぶん世界は広うございまして、いわゆる未開拓市場というところがまだ多く残っておるわけでございます。幸いに四十五年度の予算におきまして、モスコー、キンシャサそれからサンパウロ——サンパウロはいま施設がございますが、これをトレードセンターに昇格するような予算がつきまして、こういうようなことで、漸次施設の拡張もはかっておりますが、すでにあります施設も十分でないところがたくさんございます。ただ一時に全部の施設を拡充するということもいろいろ予算の関係上むずかしゅうございますので、重点的に漸次改善してまいりたいと思っておるのであります。先ほど南米の展示場の問題が御指摘がございましたけれども、確かにそういう国もございます。南米は広いところでございますが、いままでのところメキシコに機械センターがございますほか、リマに一つトレードセンターがあるだけで、大西洋に面したところはないわけであります。それを今回サンパウロにセンターを設けるということで、大西洋側にも一つの拠点ができたわけで、今後われわれとしても大いにこれを拡充していきたいと思っておるわけであります。ただ、ブラジルは、展示場を持つのに非常にやっかいなところでございまして、そういう点、今後ブラジル政府と交渉していかなくちゃなりませんけれども、何とか話し合いをつけたいと思っております。
  54. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから大きな企業はジェトロを相手にしていないのですよ。たとえば日本の大企業などは、もう一人、二人のジェトロの職員にお願いするより、社長みずから四、五人あるいは十数人引きつれて行って、たったったっと調査してしまう。一番頼っているのは中小企業の皆さんのようですね、きょう論議しているようなそういう人たちが一番頼っておる。それにしては予算も足らないし、おたくのほうの予算を調べても大体五十億程度なんです。これでは何ともしようがないということです——これはあとでこの委員会で予算問題で論議しますけれども——その余波として、たとえば一人、二人のところでは車もない、トレードセンターになりますと車はつくようでありますけれども、車もない。ほんとうに輸出に努力をしたけれども、自家用車を買うかあるいは大使館の車に便乗するかというようなことをやっておるようでありますけれども、買ったらどうかと言ったら、とてもとても日本の十倍もするというわけです。四十万円の日本の車が四百万円ということで、とても買えませんというような情勢です。だから私は一、二言っておきますが、特に答弁要りませんけれども、金の苦労話を。たとえば一人のところでもなお車が要りますから、大使館のほうから借りるような形でも、とにかく日本の車を乗り回したい、南米には日本の車はほとんど入っておりません。日本の車を乗り回したいが、日本の車を買っていきますと、むずかしいようですね、入れないわけです。だから大使館の車を借りますというらしいのですね。それからいま申し上げましたように、事務所もたとえば総領事館などにありますと、カタログでもただで公用でやってくれるけれども、自分で事務所を持ちますと関税も取られまして、ばく大なカタログになるから、配れないというわけです。ぜひカタログをほしいけれどもばく大なものになってしまう。そういうものの交渉、それから職員の身分で公用旅券がもらえないというわけです。自分たち政府の片われだと思ってやっているけれども、一般旅券でありますし、公用旅券じゃないというわけです。だから三年なら三年、一般の旅券で動いてもらうというようなものもございますし、それから大使館、総領事館などがやはりジェトロと同じようなことで、もっと密接に連絡を取り合いながら動きませんと、ほんとうの効果が出ないのじゃないか。非常に勉強しております。いろいろな問題を大使館がレクチュアするよりも、ジェトロの皆さんから聞いたほうが全く国内の産業情勢なり貿易情勢なり政治的な動向までわかる。これはいま録音しております。全部、録音して持って帰っておりますが、非常に勉強になりましたが、苦労しながら情報を取っていますね。たとえばリオデジャネイロとサンパウロ間の国鉄新幹線——日本の新幹線の施設の交渉なども、もう総領事館の職員と一緒に情報を詳しくやはりキャッチしておりました。そういう努力をしておるけれども中小企業の皆さんは別に金を出してやってくれという力がなかなかないようですね。だからマーケット・リサーテングなどでも、別に予算が、たとえばサンパウロの場合、二万ドルくらいの予算がついているようですけれども、これはこれに全部予算が入っちゃうというようなことを言っています。で、全般的に予算が少ないのが原因でしょうけれども、それから統一マークをつくることも大事ですよ。それ以上に、やはり人が優秀になって、うんと活動できて、りっぱな施設でりっぱな商品を展示するという、そういう具体的な問題を考えませんと、統一マークをつくることだけではなかなか競争できぬのではないかと思いますが、もしそういうことで具体的に何か御意見ありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  55. 村上公孝

    参考人村上公孝君) 私ども七十の出先におきましては、必ずしも十分でない予算、またはいろんなむずかしい環境の中で、できるだけの努力をやっておるつもりでございます。いろいろお励ましのおことばをいただきまして、心から感謝を申し上げます。  いま、御指摘のありました、車でございますが、特に南米では非常に輸入制限をしているところが多うございまして、なかなか高いということも聞いております。一般的に申し上げますと、車はこれは在外公館におきましても商社におきましても、大体現地での銀行の融資を受けまして、そして一応自分で買ってやるのが原則だと思います。私も在外の経験ではそういうふうにやっておりましたけれども、いま申し上げたように、南米の一部では非常に車が高いので、なかなか買いにくいということもございますが、しかし一方では古いものも高く売れるということもございますので、できれば融資等の関係で何とか買えるようにしてやりたいというふうに思っております。私は去年参りましたときも、大体みんな何とかやっておるようでございます。先ほど御指摘ありましたように、大使館の御好意で大使館の車というような形をとっているところもありましたようでございますが、これなんかも若干問題がございますので、ジェトロとして自前で車を持てるようにしていきたいと思っております。  それから旅券の問題でございます。これは確かにジェトロとしても大問題でございまして、一般旅券で十分仕事のできる、たとえば先進国で大体そうでございますが、そういう国は一般旅券で十分仕事かできます。ところが後進国、共産圏等におきましては、公用旅券でないとなかなか仕事ができにくいというところも現にございまして、ごく一部でございますけれども、公用旅券を外務省にお願いをしていただいておりますが、まだ十分でございませんので、なお追加していただくように、いま交渉して、話はある程度進んでおります。全部公用旅券にしたらどうかという御意見もあるんでございますが、これは先ほど申しましたように、必ずしも公用旅券でなくてもいい、あるいはないほうが働きやすいというところもございますので、その点は国によって個々に考えていきたい。外務省も最近は非常に協力的でございまして、最初はなかなか公用旅券の発行はむずかしかったんでございますけれども、最近は必要のあるところは個々に審査して出すように努力してあげよう、そういうお話をいただいているわけでございます。  そのほか、事務費が足りないところは、どこでもそうでございましょうけれども、われわれとしては直ちに仕事の量に響くものでございますから、予算等におきまして、通産省、大蔵省等に十分状況を説明して、今後ふやしていただくように努力したいと思っております。
  56. 竹田現照

    ○竹田現照君 村井さんにちょっとお伺いしますが、先ほど須藤委員からも質問ありましたけれども、燕と違って福井県はアウトサイダーが圧倒的に多いですね。その場合、こういう統一ブランド制定をした場合、業界内部の、何といいますか、協調といいますか、そういうようなことの問題というものは、全然起きる心配はないのですか。
  57. 村井勇松

    参考人村井勇松君) ただいまのお話でございますが、福井県の状態を一応初めから申し上げますと、福井県にはここに明記してありますとおり輸出組合、卸商組合工業組合、団地組合と四つに分かれておりまして、それを総合して福井県眼鏡協会と申します。大きい仕事は福井眼鏡協会できめまして、輸出に関するものは輸出組合、それから工業に関するものは工業組合、そういうふうに区分けして担当しておる次第でございます。福井県としてその四つの組合組合員数はここに書いてありますとおり、約半数以上、七割を占めておるわけでございまして、非組合員が四百から五百ということになっておりますが、これは状態が三人から五人の下請工場でございまして、組合員の数においてはそういう事情になりますけれども、県当局も実際実態調査いたしまして、福井県では、そういうぐあいに県当局もはっきりそこは調査していただいておる次第でございます。数字の上からただいまおっしゃるとおり四百から五百の非組合員があると申しますけれども、これは組合員の中の下請業者ということでございますので、何ら支障もありませんし、個々に福井県眼鏡協会できめましたことは、みな一致した意見になるわけでございます。どうぞあしからず。
  58. 竹田現照

    ○竹田現照君 ジェトロから送っていただきました海外PRのあれによりまして、「めがね枠」の項の中で、こういうことを書いてあるのですね。「いくら高級品生産することができるといっても、直ちに統一ブランドをつけ、その宣伝を米国で実施することはあまりにも性急すぎることであり、そうすることによって自己満足は得られても、もし準備不足のために混乱が生じたりすれば、長い目でみて業界のためにならないであろう。」というようなことを書いてありますがね。これは最近ジェトロがお書きになったんですか、これは。これどうですか。
  59. 村上公孝

    参考人村上公孝君) それはことば不足でございまして、ちょっと補足したいと思います。  私も先ほどの陳述で申し上げましたように、統一商標を実施するために前提条件がある。まず業界の意思が統一されておって、結束することが必要である。それからその長期構想によりまして、自信をもって進めていくことが大切であることが、外国の専門家からも指摘されておりますように、まず国内体制ができなくちゃいけない。そういうことを言っておるところでございます。それから流通の面もそうでございます。要するに、準備を十分やらないで、ブランドだけを先にやっても、それは無理ですよ。そういう意味でございますので、ひとつ誤解のないようにお願いします。
  60. 竹田現照

    ○竹田現照君 それで、外人の何とかという社長さんもこのことについて書いていますね、めがねのワクの問題について。ですから日本のめがね屋でいいデザインのめがねはと聞くと、みな外国のものをすすめる、日本のものなんか出さぬと、むしろ海外PRより、国内の、日本の中で、日本がいいのだ、日本人自体のめがねで十分じゃということを認識させるということが前段だということで、いまの村上さんのお話にも関連するのですけれども、いまの法律は、海外高級品PRするのですけれども、国内にそういうことをPRする措置というものは、業界としてはどういうふうにお考えになっていますか。ぼくらもめがね屋へ行っても、いいワクと言えばすぐ外国品を出すんです。あまり国産品は出さない、高いものは。そういう点のズレというものはどういうふうにお考えになっていますか。
  61. 村井勇松

    参考人村井勇松君) ただいまのお話でございますが、内地におきまして高級品は舶来品が多いと、内地PRを忘れて外国のPRとおっしゃることばのように拝察いたします。内地での舶来と申しましても数量にしたら何ぼにもなりませんので、これは一つ業界参考として、ある程度自由経済におきましてはいいことと存じております。しかし外国においても必ず外国品がいいということでございませんので、内地PRが足らぬといわれればそれまででございますが、外国においてはやはり日本の品物を非常に崇拝する、日本が舶来を崇拝するがごとく外国においても崇拝している事情がございますので、わずかな輸入のワクにとらわれずに輸出に邁進する、生産はそのほうが数量多うございますので、そういう努力をしております。福井県におきましてもドイツのワクは世界的最高といわれておりますが、数字からいきましても福井県の高級ワクはドイツ、フランス、それからイギリス、一等国へどんどん出ておりますので、向こう向こうとして日本の品物を崇拝している傾向がありますので、決してその点は心配なく、筋道がある限り外国へ売りたいということを希望している次第でございます。数量的に輸入の製品が何ぼであるかということになってくると、これはほんのわずかでございますので、よくお調べになっていただきまして御参考に願いたいと思います。今回アメリカのラスベガスで展示会をいたしましたが、これは八百社以上の卸し屋が参加した大会でございますが、福井県にもかような品物ができるかとびっくりしていただいた次第でございますので、その取引の引き合いも六十何社ございます。その点は大きく見ていただきますと、これは問題がまた変わっておるということでございますので、われわれ業界は命をかけて研究しておりますので、ひとつ御後援を願います。
  62. 竹田現照

    ○竹田現照君 もう一つ村井さんに。  やはりジェトロの報告の中に、調査結果として「日本製めがね枠の米国進出は可能であるが、日本製のデザインを米国において多くの人たちが模倣であると考えており、低価格でないと販売できないとする意見が多いことが判明した。」と、そういうふうに書いてあるんですけれども高級品PRと、この調査の結果として書かれていることの打開策といいますか、そういうようなものはどういうようにお考えになっておりますか。
  63. 村井勇松

    参考人村井勇松君) 大体アメリカに行きましても日本製品は安ものしか入っておりませんし、また、安ものが日本でできるということで今日至っております。高級品は認識がなかったということが前提でございますので、今回初めて一回展示会をいたしまして、かように感じてくれた。先ほど申しましたとおりでございますので、安ものが向こうに信用を得ているということを転換いたしまして、高級ものの宣伝をいたすというところがわれわれのねらいでございますので、安ものは御承知のとおり韓国、台湾香港などでどんどん力を入れておりますし、もういま時期を失したらだめなんでございますので、そのために統一ブランド「文珠」をこさえまして、組合でまた県当局で必死になってここ五年間続けてやるつもりでございますので、その点、そういうぐあいの立場に一ありますということでございますので、御了承願います。
  64. 竹田現照

    ○竹田現照君 渡辺さんにお尋ねいたしますが、これはやはりジェトロのこの報告の中で、「業界の中でも米国偏重の是正を求める声や、「つばめマーク」をつけなくてもよく売れるという現実の前に、このプログラムに熱意を示さない向きもあり、またインポーターとの関係を考慮して、「つばめマーク」のつかない中級品の展示も含められてくるなど、折角スタートしたこのプログラムも岐路にたたされているところといえよう。」、こういうふうに書いてありますけれども業界現状はどうなんですか。
  65. 渡辺貞意知

    参考人渡辺貞意知君) お答えいたします。  元来統一マークを付するグレードを一体どこに置くかという点が、これがむずかしい問題でございます。それで、一応国からも若干援助を受けております関係で、国の意見というものをある程度取り入れないと実行できませんので、それで一番当初考えましたものはその価格——価格がグレートを象徴するわけですので——三ドル以上というようなものから四十一年に発足したわけでございます。しかし一ダース三ドル以上と申しますと、一ダース千円以上でございますので、これはあるいは国内においてもごく微少でございまして、二回目に国にお願いいたしまして、それをさらに五十本のセットで七ドル五十セントくらいまで下げさしていただきました。ところが欧米製品の主体をなすものは中級品以上でございまして、これについて統一マークを打っていいかどうかという考えがなかなか国から了承を得られませんでしたので、一応七ドル五十セント以上というものを統一マークを打つ商品として、それ以下のものもこういうりっぱなものがまだあるんですよという形で併用陳列をさしていただいたということでございまして、今回この商標統一の基準の中で、一応国側の考えといたしましては、先進国商品に比肩するものというふうに御指導がございますので、初めてわが意を得たりでございまして、少なくとも低開発国をはるかにしのぐ、しかも先進欧米諸国に比肩する商品ということになりますと、現在燕をおきましては中級品以上ということになりますので、かなり分野も広くなる。したがってこの法が制定されました暁には、中級品程度から考えてまいりたいと、かように考えております。
  66. 竹田現照

    ○竹田現照君 それは輸出の何%くらい占めるのですか、そのマークをつけるのは……。
  67. 渡辺貞意知

    参考人渡辺貞意知君) 五〇%になります。
  68. 竹田現照

    ○竹田現照君 ちょうど半分ですね。
  69. 渡辺貞意知

    参考人渡辺貞意知君) はい。
  70. 竹田現照

    ○竹田現照君 それじゃもう一つ、この「高級品統一ブランドをつけて、一流のインポーターを通じ販売していこうとする構想も、現実には現在取引しているインポーターの強力な反対や、米国大手メーカーの日本品買付けの前にくずれかかってきたようにも思われる。」こういうふうに書いてあります。それはどうなんですか。
  71. 渡辺貞意知

    参考人渡辺貞意知君) 冒頭に業界事情を申し上げました中に、金属洋食器輸出はいわゆる一〇〇%、何といいますか、ストックオーダーじゃなくて、要するに受注生産という形がとられておるわけでございます。これはストック・オファーになりますと、すでにストックがあるという前提で買いたたかれるという問題もありますし、バイヤーが日本を訪れて、そうして各社を訪問しまして、そこでサンプルをお見せして、価格もマッチして、そうしてオーダーをいただいて、そうしてそれによって生産する、いわゆる一〇〇%が受注生産体制で今日まできております。したがって、そういう形の中で統一マーク構想というものを出しました。それで各専門輸入業者というものは自社ブランドを打ちながら宣伝してまいりました。それで従来統一マークを、四十一年に発足しましたときは、当時ジェトロのニューヨークの支社長さんは、もうこんなりっぱな商品だから、あなた方の意図というものは、もうたちまちにして全需要家に理解されるであろうというふうにおっしゃいましたけれども、私はいろいろな長い伝統、歴史の中で今日まできている関係で、自分たち統一マークを相手方に認定させるためには、もう長い時間がかかるでしょう、おほめですけれども私はそう思いますというふうにお答え申しました。それで当時、統一マークを付したものについては、日本政府PRをしてやろうというようなことがございまして、盛んに展示会をやりました形の中で、ただいま御指摘ありましたように、まだマークをつけたオーダーはないのかというような非常に気短な御質問がございました。それで、二年や三年やったぐらいでこの統一マークがバイヤーから喜んでぜひつけてくれと言われるように思われたらとんでもないことだ、もう英国のシェフィールド製品にしても、あるいはドイツのゾリンゲンにしても、英国のシェフィールドにおいては何百年も伝統をかけて宣伝してきておる、ゾリンゲンはゾリンゲン・マークが制定されましてから四十年でございますが、四十年にして、それ以前の歴史も加えて、ようやくゾリンゲンといえばドイツの刃物だという代名詞になったという歴史から考えまして、三年か四年ぐらいちょぼちょぼと展示会やって、それでインポーターが喜んでぜひそのマークを付してくれというのは、あまりにも事が急過ぎる、とにかく日本ブランド統一マークのついた商品はこんなにりっぱですよという気長なPRをどんどんしなければならぬということを実は申し上げてございまして、先ほど申しましたように、われわれの力を半分としまして、まあ国からも援助をいただきましてやりまして、まだ四年目でございます。したがいまして、近い将来、特に今回、法の制定によってこれがきまったとなりますならば、一段と意欲を燃やして、あるいは統一ブランド商品に対する新しいチャネルの開発ということも考えておりますし、そういう点については、私、四回ぐらいやったことが、これが宣伝されて取り上げられるかという、むしろ批判的な声に対して、いま少し認識を改めていただきたいということを、ジェトロにもあるいは通産にも申し上げている次第でございまして、この機会をもとといたしまして、法が制定されました暁には一そう努力をいたしまして、全組合員がこれに集中いたしまして、必ずその統一マーク日本のイメージ・アップになって、そのマークが入らないものはもう信用できないから買わない、と言うと言い過ぎになりますけれども、それに近いぐらいの効果をあげたい、かように考えております。
  72. 浅井亨

    ○浅井亨君 きょうはお忙しい中を、どうもありがとうございます。  そこで、まず、この統一ブランド法案ができます前提といたしまして、今日までいろいろとバイヤーによって買いたたかれたというようなことがあったと私は思うのですが、そういうことについての被害状況、そういうことをちょっと簡単に話していただければけっこうだと思います。また、そのことに対しまして、バイヤーの選別でございますが、その選別は今後どのようにおやりになるのか、何か対策があるかないか、こういうことをお伺いしたいと思います。
  73. 渡辺貞意知

    参考人渡辺貞意知君) お答え申し上げます。燕はやはり洋食器生産の大半を輸出している町でございまして、従来われわれ生産者から間接に日本の国内の商社を通じまして輸出をしております。それで、その商社そのものはメーカーとバイヤーの中間に立つ存在でありながら、ややもするとどちらかというとバイヤー側について、バイヤー側の意図に従うほうがバイヤーとの密接なつながりがある、つながりが求め得られるというような安易な考え方でバイヤー側についたような時代もございます。その後、いまから十二年前にアメリカ輸入制限をいたしまして、タリフクォータ制度をしきまして、期せずして私ども業界、いわゆる生産陣は直接アメリカ政府日本政府を介して陳情するとかいうような形で業界がこぞって外国へ市場調査に行くというような段階を十数年経ているわけでございますし、特に四十一年から私の発想で、でき得る限り業界の全人員が外国事情を知るということがもう一番基本的な輸出発展につながるというふうに考えまして、展示会のつど出品者あるいは出品者外からも盛んに外国視察を要請いたしまして、現在組合員の約七〇%くらいが外国旅行を経験し、なおかつ外国のお得意先の取引状況を直接調査し、あるいは現地のジェトロへ行っていろいろ事情を聞きながら研さんしてきております関係で、相手側のバイヤーの内容についてもかなり精知しておりますので、そういう点で取捨選択を十分にしてございます。ただ、御存じかどうかわかりませんけれども、一応安定法に基づきまして生産の調整を行なっておりますけれども、それに基づいてこれを取り扱います国内の商社側、これが今度取引法によって調整しておりまして、日本から世界各国へ出されます金属洋食器輸出につきましては二重のチェックがなされているわけでございまして、これも事態の進展とともにかなりいろいろと弊害も出ておりますし、こういう点につきましては通産に対して従来要望もしております。重ねて申し上げましたように、外国事情に全業者が直接みずから出かけて開拓をし、市場調査を行なっているので、バイヤーの選別については非常に心を砕きまして、知識も高いので、現在の状況の中では特に買いたたかれているというような問題はございません。ただ、先ほど冒頭に申しましたように、いわゆる発展途上国の追い上げがございまして、勢い、台湾は安いと、韓国は安いぞというような便乗的な形で、低開発国がわれわれをたたく道具になる場合もございます。しかしながら、一応生産調整をしております関係で、それも何とか避けながら私どもで、組合できめました値段、いわゆるチェックプライスで健全な輸出をしているのが現状でございます。
  74. 浅井亨

    ○浅井亨君 村井さんのほうは、めがねのほうはどうでございますか、いままで。
  75. 村井勇松

    参考人村井勇松君) 買いたたかれるという御意見でございますが、われわれの業界はそれは買いたたかれた時代もありますが、最近はなかなか強くなりまして、だんだんそれは少なくなっております。特に統一ブランドでわれわれが高級化PRをしてからは、アメリカにおきましても日本でかようなりっぱな品物ができるとすれば、安物もかようにレベルが高まってと、最近は非常に認識が深くなった感じで、クレーム、買いたたき等がだんだん少なくなってくるということでございますので、いままでは安物しかないという関係もありますし、高級化した品物を出せばそういうように非常に信用が高まってくる、日本のめがねは、日本製は、ドイツ、フランスにかなり行っているということで、かなりそれは少なくなっている状態でございます。特にドイツやフランスに対して買いたたくというようなことが世界中にもないというようなもので、日本でもそのレベルまで引っぱっていく、またわれわれが希望するようなところまでひとつ引き上げてもらいたい、かように思っております。
  76. 浅井亨

    ○浅井亨君 中小企業のいわゆる輸出振興のための法案でありますけれども、それについてはジェトロですが、ジェトロの機能について皆さん方から何かこういうふうにあっていただきたいという要望があると思いますが、そういう要望を簡単に御説明伺えればけっこうだと思うのですけれどもジェトロに対しまして何もありませんか。要望があるならば。
  77. 滋賀辰雄

    参考人滋賀辰雄君) ジェトロでいろいろやっていただいておりますので、私のほうはそれに感謝いたしておるのでございますが、ただ、まあわれわれのように織物高級品ということになりますと多種少量でございます。それで、ディーラーが大量なものはじきにやってくれるのですが、われわれのように少量で高級品であるというところの商品に対しては、なかなかそういうものを手がけてくれないので、それで私はどうしてもそういう高級品を扱ってくれる一つのまあ協同組合のようなものをつくっていただいて、当分の間は政府とか府、市が援助しまして、その協同組合を育成していただいて、二、三年のうちにはそれによりましてだんだんと貿易がで奉るようになれば、利潤も上がるわけですから、二、三年の間は政府が大きく援助していただいて、そういう専門的なメーカーさんの団体をおつくりいただくようにしたい、かように思っておる次第でございまして、実は私たちも三十九年にアメリカのニューヨークで大きな展示会をやったのでございます。これはジェトロさんのいろいろ世話になってやったんですが、非常に向こう高級品といいますか、非常にまあすぐれたものであると、こんなりっぱなものができていてなぜアメリカに入ってこないかというぐあいに言われておったのでございます。アメリカの御婦人の方はたいがい夜会服の上にストールといいますか、毛のなにを着ていますが、あれのかわりに西陣のこういうものを羽織ったらすばらしいじゃないかというふうなことも聞いたのでございますが、それの橋渡しをしてくれる人はだれもない。珍しいし、すばらしいと言われて、これをおみやげにというようなことにはなるが、少しもルートに乗らないという例がございますので、特にこういう高級品に対しましては、何とかして日本にも横浜にもそういうものに関心を持つそれに意欲的な商社も二、三来たのでございますが、現在のところではそれがまだ組織されませんので、その方も一、二へんやられて棒を折られたということでございます。何とかそういう方法を考えていただきまして、われわれと一緒にそういうものの専門のバイヤーさんの団体をおつくりいただいて、政府から御援助いただくと非常にまあけっこうだと、かように思います。
  78. 浅井亨

    ○浅井亨君 中小企業の振興のためにはどこまでもジェトロというものが中心になって、そうして発展的に向上していくのじゃないかと思いますが、そこで、そのジェトロのほうで予算も少ない、あれも少ないというわけで、なかなか思うようにはまいらないと思いますが、現地の人で、現地人の採用人員は何人ほどおられましょうか。
  79. 村上公孝

    参考人村上公孝君) 現在海外には約二百四十人ほどおります。それに対しまして日本から派遣している職員は二百名でございます。合計四百四十人ほどおります。
  80. 浅井亨

    ○浅井亨君 現地の方々はどれだけおられるのですか。現地採用の方は。
  81. 村上公孝

    参考人村上公孝君) 私ども現地採用者と申しておりますが、それがまあ実際は半分以上おるわけでございます。海外の定員は半分以上が……
  82. 浅井亨

    ○浅井亨君 外国の方ですね。
  83. 村上公孝

    参考人村上公孝君) まあ二世も入れまして、要するに日本国籍でない人でございます。
  84. 浅井亨

    ○浅井亨君 そういう人々が内地に来て、実際の目で内地の状態を知りたいと、日本の、内地のですね、知りたいという、またそれを知ることによってその人が確信も持ち、情熱も持つと思うのですが、そういう現地採用の方で日本の国内の状況を見たいと、目で見たいという方々があるやに聞くのでございますけれども、そういう人に対してはどのようにお考えになっておりますか。
  85. 村上公孝

    参考人村上公孝君) 現地採用者を日本に呼びまして、日本の実情を見せておくことは、おっしゃるように、非常に事業活動のためになることでございますが、ただ予算の制約がございまして、すべてのいわゆる現採を呼ぶというわけにもまいりません。それで、ごくわずかの予算をやりくりいたしまして、まあ長いこと勤めている人を、まっすぐに研修のために呼び寄せましたり、あるいは向こうから使節団が来ますときにそれの案内としてつけてよこす。そういうようなことで、わずかでございますけれども日本に、そういう機会を利用するようにいたしております。
  86. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 新潟からわざわざ渡辺さんおみえくだすったんだと思うので、ちょっと私参考までに伺いたい点があるのですが、私の聞いておったことが間違いならば訂正していただいていいんですが、かつて新潟の金属食器がたくさんの在庫品をかかえて、非常に金融面で苦慮をなすったということを伺ったのですね。そのときに、通産省が骨を折って金融をして、そうして、その結果食器業者の方たちが協業化を進められた。そうして、いま伺っているように立ち直ってこられたように私は受け取るわけなんですが、それはまあ日本中小企業の上で一つのサンプルだと思うのですね。そこで、どういうふうに協業化をやってこられたか。そうして、その協業化の中で除外されていく人たちはなかったのか。協業化というものはあくまでも自主的な形でなすったのか。そういう点で少し話を伺っておきたいと思うんです。
  87. 渡辺貞意知

    参考人渡辺貞意知君) 私、自分のおやじからこの仕事を受け取りましてから約三十五年でございます。したがいまして、戦前のいわゆる洋食器産業時代から戦後を通しまして、私、自分で活躍してまいりましたのでございますが、まあ自分の父からも、私が関係する三十何年以前に、そういう事実があったということは聞いておりませんし、私が直接一線に立ちまして活動する時代になりまして、一度バイヤーが不況で、品物ができても船積みを延期するというような事態がございました。これはいまから七、八年前だと思います。それで組合に何とか金融の道を講じろというような要望がございまして、理事会ではかりまして、そうして、私ども御存じのように地方銀行で一番大きいのは第四銀行でございます。続きまして北越銀行でございます。その他相互銀行とか、あるいは町でつくりました信用組合等がございます、現在——当時も七行こざいましたが——非常に地方産業育成に地方銀行の使命感というものを強く持っておられまして、そうしてストックにつきましてはほとんどそれが積み出される期間、ストック融資をしていただきました。別に問題なく資金も用意できまして、それぞれ延期された期間まで品物を保有いたしまして、出していい時期に全部出しまして、問題は全くございませんでした。したがって、特に国に対してそういう要請をしたこともございませんし、あくまでも地元金融機関の中で処理しております。まあ記憶でございますので明らかではございませんけれども、地元銀行に、全部の銀行に対しまして要望いたしました金額は、いまから七、八年前の金額で約七億円だったと思います。もちろんそれが全部使われたわけではございませんけれども、一応そういう形でストックをかかえた金融逼迫態勢というものをうまく切り抜けました。  それから、そのために特に協業化をしろというようなすすめをしたことはございません。ただ燕は非常に特殊事情がございまして、最終仕上げをするいわゆる分業制度が非常に発達しておりまして、これはある意味では企業が不況になったときに危険分散をそれぞれがいたしますので、非常にそういう意味では企業負担というものは緩和されまして、日本中小企業一つの象徴かと思うのでございますが、共通な現象だと思うのでございますが、しかし、それもごく近年になりまして人手不足で、黒字倒産になりかねないような様相からいたしまして、それぞれが今度政府の御指導によりまして構造改善事業を行なっておりますが、国の法律制定されます一年前に、組合としてそういうビジョンを出しまして、そして地元の市が中心になりまして、それに県が加わりまして、さらに国が加わりまして、そこへ業界が参加いたしまして、お一人お一人の事情を聞きながら、お一人でおやりになる方、あるいは協業組合おつくりになる方、あるいは親企業におつきになる方、そういう形をそれぞれの自分の御意思によって目下それの整理を進めておる最中でございまして、自分で意思さえあれば全業種、全企業がそれぞれの形において全部が生きる道、なおかつ産業全体を保守するという形、そういう体制がとられつつございます。これは産業は強いものが勝てばいいのだということは全くいけないという考え方でございまして、多くのものが集まって大きな生産をするからこそ産業でございまして、そういう意味からもう全企業が形は違ってもそれぞれが存立して、そして今日まできた産業をみんなで守り抜かなければならないという形で組合員全員が一致協力してこれに対処しておりますので、御参考までに申し上げます。
  88. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一つ伺っておきたいのですが、外国からバイヤーが買いにくる、それは各組合の個々の業者に来るのですか。組合へまず来て、組合に注文がくるのですか。そうするとその場合は、組合は各業者の品物をどういうふうなバランスで業者全体に潤うようにアレンジをしていらっしゃるのか、そういう点はどういうふうに扱っていらっしゃいますか。
  89. 渡辺貞意知

    参考人渡辺貞意知君) 一人のバイヤーには必ず組合員の五社なり十社なり、あるいは大きいバイヤーであれば二十社、三十社というものが必ずついているわけでございます。したがってバイヤーが来るということは、それぞれ予知されますので、まずそれを迎えるために、そのバイヤー別にグループをつくっておきまして、そしてグループにはそれぞれ委員長、副委員長がきまっておりまして、そして一つのバイヤーが来る場合に、その委員長ないしは委員長に事故があれば副委員長が全取引者を招集いたしまして、そしてその時点で従来と同じ形、同じ値段で受け入れていい場合はそれぞれがそれぞれの能力によって受注をする。また事情が変わってどうしてもある程度値段を上げなければならない、基礎素材が値上がりしたとか、あるいは労働賃金が高くなったので、それを価格に反映しなければならぬという場合、一応それは組合理事会、総会を通して一つ価格目標が設定されますけれども、さらにそのバイヤーを迎えるためにどういう態勢でどういう交渉をしようかということを共通に申し合わせをいたしまして、バイヤーは個々個々回りますけれども、そういう統一された考えに基づいて各社がバイヤーを迎えますので、それぞれ自分の能力に応じて契約をするという形になっております。ただ、たいへん喜ばしいことは、各社が各社の全能力を出してもなおかつ相手方の需要にこたえきれないほどのオーダーをそれぞれバイヤーが持ってきておりますので、そういう点で、そういうグループ別にきめました事項をそれぞれが守りながらバイヤーを迎えて、そして自分のキャパシティに応じたオーダーを受け取っているという現状でございます。
  90. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。  参考人各位には御多用中長時間にわたって御出席いただき、まことにありがとうございました。速記をとめて。  〔速記中止〕
  91. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 速記を起こして。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五分散会