○大矢正君 「本問題の解決策に関する
日本政府の基本的考え方は次の通りである。」ということで「わが国としては輸入の増加による重大な被害またはそのおそれがある品目に限り、すなわち選択的なベースにおいて、また
国内業界の納得と他の
関係主要
輸出国の合意を得た上でなければ
輸出自主規制を行なうことはできない。」、「ただし、本問題は米国がガット十九条に従って処理することが本筋であり、前記1の措置はそれが実施されるとしてもガット十九条援用までの「つなぎ」の措置にすぎないことは前記二において述べた通りであり、また米国がガット十九条を援用する場合はわが国はガット上の権利を留保する。」、「ガット十九条援用の場合は輸入国側がまず被害の
認定を行なうという米側の主張は理解しうるが、この場合においても
輸出国側と代償等に関し、十分協議が行なわれることとなっている。」、「さらに米
国内においても重大な被害またはそのおそれの
認定が権威ある機関としての関税委員会によって慎重に行なわれるということも十分承知している。」、「しかしながら、現在問題となっているのはこれと全く趣きを異にしており、米国は実質的に輸入規制に同等の効果を持つ
輸出自主規制を
輸出国側が行なうことを要求しているのであるから、この場合にはその実施に当たる
輸出国側と十分協議を行ない、被害またはそのおそれについて、その納得を得ることが必要なことは当然と考える。」、続いて「
日本政府として包括的規制は絶対に受け入れられないことは前記二に述べた通りであるが、選択的なアプローチについては、前記三の基本方針に従い、米国
政府よりさらに補足的な資料の提供および説明を受けて話し合いを進める用意があり、そのためにジュネーブにおいて予備会談を再開することを再び提案したい。」、次いで「個々の品目について選択的に輸入の増大による重大な被害またはそのおそれを判定するに当たって
生産、輸入、
価格、雇用等通常考慮すべき
経済的諸要因によるべきことは従来ジュネーブ予備会談等において説明してきたところであるが、これまで米国
政府から提供された資料および説明はなお不十分であり、それによる限りは被害またはそのおそれを与えている品目は見出しえないといわざるをえない。」、「しかし米国
政府において前記四のジュネーブ予備会談の再開を受諾され前記五に述べた被害判断の要因に準拠しつつ、たとえば輸入対消費比率が現在すでに相当高く、しかもそれが
上昇傾向が顕著である品目について被害またはそのおそれを立証しようとするのであれば、
日本側としてもそれを傾聴し、さらに話し合いを深めてもよいと考えている。」、「また米国
政府において関税委員会を活用して公聴会を開催し、各界の意見を広く聴取するなど公正な手続により特定品目について輸入の増大による重大な被害またはそのおそれの事実に関し調査を行なわしめるならば、
日本政府としては米国との話し合いにおいてその結論をできるだけ尊重する用意がある。」、「ただし、前記六および七のいずれの場合においても事実の
認定に関する討議が進行した段階において、他の主要
輸出国をもまじえた多数国間協議に移行しなければならないことは二月十日付け
日本側「覚え書き」に述べた通りであり、またその協議は何らかの形でガットのカサの下にはいるようにすることが必要と考えている。」、「前記の各要件が満たされた場合には
国内関係業界の納得と協力を得た上で
輸出自主規制を行なうことにやぶさかではないが、半面、業界の納得なくしてそれが行ないえないことは同じく二月十日付け
日本側の「覚え書き」に述べた通りである。」、次に、「規制の
対象となる特定品目以外の員目についての米側提案については前記二に述べた通り、
日本側としては愛諾することはできないが、この点についての
日本側の考え方はすでに昨年十一月の第一次ジュネーブ予備会談において説明した通りであって、米側においてそれらの品目について新たに規制を要すると考える場合には、米側が被害またはそのおそれを示す資料を添えて、あらかじめ設置された米国および主要
輸出国より成る委員会に問題を付託し、同委員会で協議が整った場合には
輸出国において
輸出自主規制を行なうこととするが、協議
期間は原則として一カ月以内をめどとし、協議がこの
期間内に整わない場合には米側で輸入規制を行なうこともやむをえないということである。ただし、この場合においても
輸出国側がガット上の権利を留保することはいうまでもない。」、「
期間、伸び率等の項目については本来、規制そのものの是非、また規制を行なうとした場合にはその
対象品目について合意されたのちに改めて協議されるべきものと考えられるが、米側第二次提案における主要項目についての
日本側見解を述べるならば次の通りである。」、「
期間については前記三の2で述べたごとく
輸出自主規制は米国がガット十九条を援用し得るまでの「つなぎ」の措置であるのでできる限り短
期間に限るべきであり、新通商法発効後「一
年間」または一九七一年末のいずれか早い時までに限られるべきであると考える。」、次に、「このように本来、短
期間であるべき規制について、あらかじめ規制わくの伸び率を一律に定めておくような考え方はとり得ないものであり、かつ米側第二次提案の考え方はシーリングを米国
国内市場の規模の変動に合わせて調整しようとするものであり、すなわち将来にわたって米
国内での輸入品の
シェアを固定することになるので、
日本側としては絶対的に受け入れられないところである。」、「規制わくの大きさおよび伸び率は前記の考えをも含め、本来各商品一律に決めるべきものではなく、個々の規制
対象品目の与えている被害またはそのおそれの態様によって、それぞれ別個に適切なレートが定められるべきものである。したがって、この点についてもまず品目ごとの被害またはそのおそれの究明が先行すべきであって、その結果としての被害またはそのおそれの判断に基づいて合理的な伸び率が検討されるべきであると考える。」。
これが、私どもが新聞その他によって知り得たエードメモワールの全文でありますが、このとおりのものであると解釈してさしつかえありませんか。