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1970-03-17 第63回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十七日(火曜日)    午前十一時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 大谷藤之助君                 川上 為治君                 近藤英一郎君                 竹田 現照君    委 員                 井川 伊平君                 八木 一郎君                 山本敬三郎君                 阿具根 登君                 大矢  正君                 小柳  勇君                 林  虎雄君                 浅井  亨君                 矢追 秀彦君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   宮澤 喜一君    政府委員        通商産業政務次        官        内田 芳郎君        通商産業大臣官        房長       高橋 淑郎君        通商産業省通商        局長       原田  明君        通商産業省貿易        振興局長     後藤 正記君        通商産業省繊維        雑貨局長     三宅 幸夫君        中小企業庁次長  外山  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○輸出中小企業製品統一商標法案内閣提出) ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (繊維問題に関する件)     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  前回に引き続き、輸出中小企業製品統一商標法案について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 小柳勇

    小柳勇君 先日に引き続いて重要な問題を質問いたしまして、あと時間があれば各条の逐条的な問題点を質問いたします。  まず第一は、この統一商標法案を出すに至りました背景について、各個ばらばらで、先日大臣に質問いたしましたが、きょうのこの論議の冒頭に、担当局長から、どういう意向でこの法案をこの国会に出したのか、まとめて答弁を願います。
  4. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) お答え申し上げます。  最近の日本経済的地位は向上いたしてまいりましたが、従来からの日本輸出状況を見まするに、おおむね中小企業製品というものが輸出の約四〇%、四十数%というのを占めております。特に軽工業品関係におきましては、中小企業製品が七〇%あるいは七五%、こういう程度でございます。ところが最近に至りまして、発展途上国が漸次軽工業品関係の力を増してまいりまして、これが安い労賃と、まあ労働時間も非常に長いようでして、それがコストにはね返りまして、国際市場日本製品追い上げられている。それだけでなく、日本自身市場におきましても、一例をあげますれば、香港フラワーのように、かつては日本輸出品目であったものが、最近では全部香港あたり製品に取ってかわられました。日本は現在香港フラワーの全部輸入市場になっております。こういう状態で、発展途上国追い上げが出てきております。これが一つ。それからさらに、今度アメリカ等市場におきまして、日本軽工業品シェア——絶対量は減ってきておりませんが、全般的な毎年の輸出全体の伸び方に対しまして、軽工業品伸び方が少ない——特に米国市場におきましては、わが国の軽工業品シェアというものは毎年下がってくる一方でございまして、追い上げと、それから世界市場におけるそういった現実のシェアの下がり方、さらにまた、後ほどあるいは問題になるかと存じますが、ここ二、三年来とみにスピードを上げてまいりました特恵関税の問題、これもまた日本中小企業に対して、その輸出をも含めまして、たいへんな影響がございます。さらにまた国内問題のみに限定をいたしますと、国内経済の繁栄はけっこうなことでございますが、労務者が非常に不足をいたしまして、労賃上昇というものがきわめて響いてきております。したがいまして、従来のように、たとえば労働集約的な産業、そういったものは漸次労賃上昇によるコスト高というもので非常に困ってきておる、こういう事態でございます。したがいまして、非常に大ざっぱな申し方をいたしますれば、日本中小企業、特に軽工業品を主といたしております輸出産業におきましては、むしろ従来の労働集約的なもの、価格が安いというもの、したがってそれは品質の問題にも関連してきますが、そういうものは、むしろ発展途上国産品にあるいはその場所を譲っても、日本の物としては品質をよくして——非常に高くなってきておる労務者を使って品質のいいものをつくる、したがって当然それに見合ったような海外市場での価格でそれが販売できるようにするということが非常に必要であると存じます。  付随して申し上げますならば、従来そういう労働集約的な産品というものは、国内におきましても、特に海外市場におきまして、流通形態等を通じまして、非常に流通経路も、いわゆるバイヤーの買いたたきというような現象で、うまく整備されておりません。流通関係等ももっとこれからは優良なバイヤーをつかまえ、そのバイヤーのルートに乗せて、特にそれの一助として、この法律の眼目といたしておりますように、自分商標によったマーケットというものを確保して、この商標のついておるものならば品質も優良である、したがって若干の値が張ることもしかたがない、こういうぐあいの感じを向こうの国に与えさして、自分自身商標によるマーケットというものをつかんでいく、こういうことが、とりもなおさず中小企業の今後輸出を伸ばしていく、いいものをそれにふさわしい値段でということのその一助としてが統一商標法の立案に至った全体の背景であるかと存じます。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 いまの政府委員答弁は、現在の軽工業輸出品では追い上げがきびしい、各国との競争で見劣りがするから、この商標をつくって、品物高級品をつくって、それに見合う品物販売競争をしていこう、こういうふうなことを聞きました。そこで、問題は二つですが、この統一商標をつくる前に、国内生産の現場で、もっと品物が高級になるように、いまの組合の機構なりあるいは審査機構なり、そういうものをもっと力を入れて、商標をつくる前にいい品物をうんとつくる、いまの品物より一そう高級なものをつくることにまず力を入れなければならぬと思うが、そのほうには今度のこの予算では一体どういう施策をしておりますか。
  6. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 先生のおっしゃるとおりであると存じます。まずいい品物をつくりますためには、その中小企業自体あるいはその中小企業の個々の企業のみでなく、その企業をも含めた業界全体のレベルアップということが必要でございまして、これは中小企業政策ということで、従来とも通産省といたしまして鋭意中小企業体質改善ということに努力をいたしてきた次第でございます。その一つあらわれ方として、この販売面、特に国外販売ということで、輸出に対する今回の法律が意図するところでございまして、申し上げますならば、あるいは中小企業関係予算というものは、すべていま先生がおっしゃいましたように、その中小企業自分自身企業体質を強めて、そうして企業体質を強めるということが優良なる製品をつくる技術開発力培養あるいは販売路の確保というものを通じて、中小企業自体というものがレベルアップしていくということにつながってくるかと存じます。したがいまして、中小企業関係予算全部が、いま申し上げましたように、中小企業というものの地位を上げていく、ひいてはそれがりっぱな品物品質のいいものをつくっていくことに私はつながっていくことだと思います。ただ、中小企業全般予算がそれだという、漠然たるお答えになりますが、特に、直接に輸出品高級化ということにつながってまいります予算、申し上げますと、たとえば技術開発関係といたしましては、国立公立試験機関に対する補助金及びその事業推進費といたしまして、四十四年度におきましては二億三千五百万円計上いたしましたものを、四十五年度には、ただいま予算審議中でございますが、二億九千七百万円、前年比二六%増、このように予算を計上して、いま御審議を願っておるわけでございます。  第二番目に、補助金とか融資制度につきましては、第一に、補助金関係は、中小企業技術改善費補助金といたしまして、試験研究設備に対しまして五〇%の補助をする。大体、これは四十四年度の実績で見ますと、九十六件くらい実績があったのでございますが、四十五年度には百件余を予定いたしまして、これまた前年度に比べまして二六%の増、絶対額にいたしまして四十四年度の一億三千万円の予算に対しまして、四十五年度では一億六千四百万円を計上いたしております。融資関係でございますが、これは四十五年度から新たに中小企業金融公庫に、中小企業向けの国産新技術企業化等貸し付け制度というものを創設いたしまして、五億円のワク、これは貸し付け限度が五千万円、利率は当初三年間は六・五%で、以後七%にする。大体期間は十年で据え置き期間二年、このような金融制度を開いております。  その他、非常にきめこまかく一般の技術指導をやっておるわけでございますが、その一つに、巡回技術指導という制度がございます。従来巡回技術指導というのは、約年間三千くらいの企業に対してこれを実施いたしてまいりました。これは、中小企業の中でも比較的まあ規模の少し大粒な企業になりがちでございましたが、四十五年度からは、もう少しこれを全般的に広げ、同時にまた一部の比較的小規模な中小企業対象として、年間に約一万三千企業に対して簡易巡回技術指導を設けて制度の拡充をはかる。これは特段に多くいたしまして、四十四年度は三千四百万円の予算でございましたものを、対前年度比四六%増の四千九百八十三万円という予算を計上いたしております。  それからさらに研修制度でございますが、現在中小企業振興事業団あるいはまた地方自治体技術研修制度を行なっておりますが、この予算といたしましては、第一に、中小企業振興事業団としては、公設試験研究機関の職員を対象といたしまして、四十五年度九百九十万円、これも約前年度に比べまして五十%アップ。それからその次に、中小企業技術者対象といたしまして、四十五年度に二千五百万円の予算を計上しております。それから都道府県等地方自治体で行なう研修費といたしまして、これは国と地方自治体受益者とがそれぞれ三分の一ずつを負担するということで、四十五年度には昨年よりも五百万円ほど多い七千万円余を計上いたしております。研修内容といたしましても、その対象府県をふやし、さらにまた、研修コース自体もふやすことを考えております。  そのほかの金融措置といたしましては、従来から行なっております中小企業金融公庫構造改善貸し付けの問題、あるいはまた、中小企業金融公庫の同じ特定中小企業輸出振興貸し付けということで、それぞれ前者におきましては四十五年度八十億円のワクを計上し、後者におきましては四十五年度五十五億円を計上いたしております。  かようなのが特に中小企業関係の本法案技術レベルアップに関する予算状態でございます。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 いま局長からは、全般的な中小企業振興政策製品レベルアップの問題で予算の説明がありましたが、当面問題にしているのは、先般の答弁で、さしあたり燕の食器だとか西陣織りだとか、めがねワクだとかいう、統一ブランドをつくる熱意のある品物があるわけですね、業者が。近い将来にこれこれしたいというものがありましょうが、当面、今年度、たとえばこの法案が通ったあとの燕なり西陣から、統一商標をつくりますが、もっとレベルアップをしなければなりません、いまのままでは競争できませんと言った場合に、どのくらいの予算の裏づけで、これをめんどうを見てやろうとしているか、ことしの予算にはないようだから、それを聞いているわけです。
  8. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 先般の技術指導、特に燕あるいは西陣その他この法律対象といたしております業種につきましても、これは先ほど全般論で申しましたが、予算の中で技術レベルアップということは、その金融面それからまた補助金面でカバーしていけるものと、かように考えております。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 提案の中に、どこか私は忘れたけれども、希望がある場合は、特に貸し付けをするようなことが書いてあったように思うけれども、その計画はなかったのですかね、あったように思うけれども……。
  10. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 統一ブランド推進のための四十五年度の財政の融資といたしまして、統一商標法国会で御可決いただきますれば、中小企業金融公庫輸出振興貸し付けワクをこの貸し付け対象業種にのぼせる。これは利率が七・五%で貸し付け期間十年ということになっておりますが、これを考えております。そのほかに統一ブランド事業推進のための四十五年度予算といたしましては、たとえば海外PR、それから海外統一商標というものを確保いたしますために、外国で登録するために補助金を出す。これは特許庁の予算に計上してございますが約八百三十二万円。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 わかった。外国のやつはあとで聞きますが、技術レベルアップしなければ、現在の後進国追い上げに、いまの品物では競争できないというのが大きな目的だから、そのためには、いまの品物を、こちらのほうの現地生産品物を、特に上級品をつくるようにしなければならない。そのためには人手も必要だし技術も必要だし機械も必要であろう。あるいは指導員も増強しなければならぬであろう。そういう費用を、ここにおたくから出ている資料の中に、「補助金交付等」と書いてあって、「統一ブランド事業を積極的に推進するため、統一ブンラド事業に対して補助金交付等を行なう。」、これは今年度どれくらい予算を組んでおりますか。これを知りたかったわけです。
  12. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 四十五年度予算といたしましては、先ほどちょっと申し上げました外国登録質補助金とか、海外PRをするための補助金——これが約二千七百万円——それから海外展示会等に対する補助金約七百五十万円、こういうものを計上いたしております。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。これは統一ブランドができたあと外国向け予算ですね。私が言っているのは、いまの国内生産軽工業品では、もう近い将来外国競争できない。いわゆるいままでは安かろう悪かろうで通ってきたわけだ。たとえば私が数年前中近東を回りますと、メイド・イン・ジャパンの品物がたくさんある。聞いてみると日本品物は安かろう悪かろうという評判だ、じかに聞くと。それでは太刀打ちできぬから統一ブランドをつくって、安かろう悪かろうではなくて、日本のこの統一ブランドのついた品物はいい品物だ。したがって、値段はこれだけだけれども、後進国品物よりもいいんだということで、これから輸出をふやそうというんでしょう。それにはブランドをつくるだけでは——ブランドのやつはこれからあと質問しますけれども——それだけでは、もうブランドをつくりましたから、さあ品物はよくなりましたということにはならない。この間言ったゾリンゲンの場合は、いい品物があった、ゾリンゲンマークのついた。それをまねする模造品が出ている。これがもうゾリンゲンマークであるけれども、この品物が悪いという評判になったから、政府は周章ろうばいして、その悪い品物には商標をつけないようにやったのがゾリンゲン統一ブランド日本のやつは政府が考えているのは、そうじゃなくて、いまの品物では外国競争ができなくなりつつありますから、統一商標をつくって、品物レベルアップをいたしますと言っておる。少しあなた方頭をかしげておるけれども、大臣もこの間言った。統一ブランドだけでは品物はよくなりませんぞと。燕食器だって西陣織りだってめがねだって、商標をつけただけでは品物はよくなりませんぞと。それ相当にてまえのほうで金をかけなければならないと言っておる。統一商標をつけるから、品物をよくするから、特に金を何とかしてくださいというのを、政府めんどうを見なければ、仏つくって魂入れずになりますから、ここにたまたま書いてあるから、補助金は幾らですかと聞いている。ないならないでいい。
  14. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 統一商標のこの法律は、現在すでにある品質というものが、一定のレベルに達しておるものが、これが買いたたかれたり、あるいは自己商標というものを確立して海外自己商標によるマーケットを確保していないものを、これを本来のその価値にふさわしいような市場価格を形成して、それの声価を一般的に上げよう、こういうことでございまして、したがいまして、現在の事態においてずっと下のレベルを上げて、持ち上げて、そしてその上に統一商標をくっつけて出す、それは大事なことでございますけれども、そういうこととは若干食い違っておると思います。したがいまして、むしろ現在あるのが過小に評価されておって、本来それだけの高価格で売られるべきものが、もっとたたかれておる。それが結局国内中小企業にちゃんとした利潤をもたらさないという状態でございますので、もちろんこういった統一商標制度というものが普及いたしまして、海外品質が評価されてきますと、やはりああいういいものをつくって出せば、それだけのちゃんとした値段で売れるということが中小企業全般にわかってまいりますれば、当然従来に増して技術というものを向上させて、いい品物をつくるように出てくるのでございましょうが、したがって、これは間接的にはそういう低いレベルのものを統一商標をくっつけて引っ張り上げる効果というものは十分期待されるところでございます。そのずっと低いほうのものをここで上へ上げるというのは、これは全般的な中小企業対策関係予算、特に技術力開発培養というほうの予算、あるいは金融制度というもので見ていくべき性質のものかと存じます。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 少し苦しい答弁やっているけれども、あなたがいま答弁されたが、一番冒頭に、この法案背景を聞いたわけだ。あなたがおっしゃったのは、第一は国際競争の激化、第二は発展途上国工業製品に対する特恵関税の供与が実施される状況にあるから、何とかしなければならない。それから労働力不足労賃が高くなりました。それから輸出販売等の弱さで買いたたかれる。したがって高級品をつくりませんと発展途上国との競争に太刀打ちできない。そのために統一ブランドをつくりまして品物高級化してまいります。そして輸出を増大してと、こうおっしゃったんだが、いま、少しレベルダウンをされました答弁をしたが、それにしても、もう一つこのあとに質問するやつをいま質問いたしますが、いまたくさん品物が出ております、現在やっているのだから。たとえばそのときに上から二割くらいのところに一つ基準をつくるとする。そうしてそこに品物統一ブランドができたとする。そうすると、これは基準になる。そうするとあとの八割から七割のものは基準に達しなければ輸出できないでしょう。マークをつけるわけにはいかないでしょう。そうすると、いま現在非常にがんばっているけれども、人手不足機械不足資金不足高級品ができないものは、手入れをしないとその品物は切り捨てになる。この基準に達するものは輸出できるが達しないものは輸出できないでしょう。一番下に基準をつくると、これは高級品にならない。いずれにせよ、全般高級化するにしても、ある基準の下のほうを引き上げるにしても、手入れをしなければ、ただブランドをつくっただけでは全般的な燕の品物はよくなりませんでしょう、あるいはめがむのワクはよくならないでしょう。それには、統一商標をつくるには手入れをやって、この組合関係者機械を入れたいから、特に統一商標をつくると同時に、国内のほうの企業融資できますかと言った場合に、それはきみたちのほうでやってくれ、うちのほうは外国のほうに宣伝だけ何とかしようということでは片手落ちではないか。また、片手落ちではなくても、政府の配慮が足りないのじゃないか。たまたまここに補助金交付と書いてあるから、予算が組んであるのかと思ったが、ないので、どうしますかと聞いている。今年なかったら来年はどうしますかということを聞いている。大臣にもあとで聞くが、衆議院に行っているから。何としてもたいへんです。統一ブランドをつくって、あさって参考人を呼んでまた聞きますが、もう少し政府の心がまえがちゃんとできていなければ、統一ブランドをつくってもしようがないと思いますから、政府の決意を聞いておきたい。
  16. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) いま小柳先生のおっしゃった、どの辺のところに基準を置くかという問題でありますが、これは法律組み立て方として統一商標規程というものを主務大臣に申請しまして、その認定を受けることになっております。その際に、これは申請する団体自分たちでそのレベルをきめて、こういう基準品質基準をきめた、それで認定をしてもらいたい、こういう申請をしてくる。したがって、もしその団体レベルというものが、上二割なら二割で、下が切り捨てられるという基準にはなってこない。しかし、あまり下ですと、いま先生のおっしゃったように優良品海外に送って、そうして声価を高めるという法律目的に合いませんから、それは認定の際に十分考慮しなければなりませんが、特段に少数の業者のみがつくるようなものは、それは団体全体としてきめてくるわけでございますから、そのレベルというのは下が切り捨てられるというようなことにはならないと思います。ただしかし、それがあまり低い基準では、何のためにこういうものをやるかということもわからないわけでございますから、その辺のかね合いが、申請するほうも認定するほうも、この点十分考慮しなければならない点であると思います。  それから特に後段のほうで先生のおっしゃいましたように、低いレベルのものをもっと高めなければ、全体として法案の意図するところが達成できないのじゃないかという御質問は、全くそのとおりだと私も思います。全体のレベルを上げて、中小企業優良製品というものが、冒頭に申し上げましたように発展途上国追い上げなり、国際競争力全般として下がってくるということに対抗するためには、全般的なレベルアップということが必要でございまして、これは従来の中小企業施策の中で特に技術開発力培養という点に十分に注意をいたしまして、今後とも予算措置それから金融措置あるいは税制措置等々で中小企業対策というものを通じて十分に考慮すべき点であると思います。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 燕を調べてみますと、日本輸出金属洋食器工業組合に参加しているものが二百三十社、関を含めます、関が十四社、関連企業二千五百社ですよ。その会社は、あなた苦しい答弁しているけれども、どこかに基準を置かなければ……。現在も、政府は御存じだろうと思うが、八割輸出、二割が国内ですね。その八割輸出しているものを全部が全部オーケーとしていないんですね、その検査は。いまあそこの組合理事長通産省から委任されて検査しているようだけれども、検査基準などもあとで質問しますけれども、全部が全部合格しないわけでしょう。その関連企業二千五百社が統一ブランドができたためにたいへんだと、検査がきびしくなって輸出のほうもたいへんだ。あとこれに関連しては、いままで外国から商標を、商標まで持ってきて、これこれの商標でつくれと言われたものも、今度統一ブランドに移行していかなければならぬでしょう。せっかくつくりますね、品物を。そうしますと、ここに一般の中小企業近代化資金や工業化資金より別途何らかの色をつけておきませんと、熱意が、いま四グループあるようですけれども、その他のものは統一ブランドをつくったってめんどうだと、外国輸出しなければならぬとかなんとかいうようなことで、かえって敬遠して、この法案というものが孤立してしまいやせぬかと思うんですが、あなたがさっき中小企業近代化資金を通じてと言われたけれども、何とかめんどうを見るぐらいの決意を、あなたが一人でいけなければ、ひとつ次官と相談して答弁できませんか。
  18. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 確かにおっしゃるとおりだと思いますが、全体の自分製品レベルアップというのは、一番最初に大事なのは、その中小企業自体、その中小企業をも含めた業界自体が、自分たちがそこにレベルアップしようという自助努力と申しますか、自分の決意でございます。たとえば統一商標というもの、これによって品質基準というものはきまったと、全体の総意できめるわけでございますが、きまったけれども、とても自分たち、きわめて一部のところが、自分たちのところはとてもその基準に至らないと、したがって自分のところは基準品質に到達しないから安く買われてもしかたがないと、こういうぐあいに初めからあきらめてしまったものは、これはとてもこの法律で救うと申しますか、対象にして扱っていくわけにはまいらぬかと思います。そういう自助努力というものがまず基本になりまして、そうして全体の総意として、あるレベルのところに品質基準をきめるわけでございますから、少ないほうの、もしそこに到達していないというようなものがかりにございますれば、それに当然やはり到達すべき自助努力も必要でございますし、それを国として助成していくということ、これは全体の軽工業製品レベルアップということも当然ねらいと申しますか、間接的な目標といたしておりますので、それに対する今後の通産省中小企業庁としての熱意、努力は十分に払っていきたい、こう思っておるわけです。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 たとえば西陣織りの場合、聞いてみるというと、ただ西陣という地域だけでブランドをつくってもらっても困ると。それは品物、ネクタイだとか服地だとか、そういう考え方が一つ。ところがネクタイといいますと、西陣だけじゃなくて博多織りもありますし、絹織り物としてあるわけだ。だから、全国的な、メイド・イン・ジャパンとして、それでその絹織り物として出すとすれば、統一商標がどうなるのか、いろいろありますけれども、ただ結論として言えることは、こう言うんですよ、一様に代表者が言うことは、よい品物統一ブランドをつけるという思想をとってください——よい品物にしかつけないという思想だね。これはめがねワクも一緒です。福井県のほうは、たとえば大阪のほうも含んでおるようですけれども、大阪も入れてよいが、大阪の品物もよいが、ただ安いものを福井のめがねだといって統一ブランドをつけてもらっちゃ困りますよと。とにかくそこでも、福井県のめがねワクにしても、よい品物統一ブランドをつけるようにしてやってくれ。そうしますと、とにかく今度統一ブランド外国輸出するという方向がきまりましたら、その統一ブランドをつけるためには、いわゆる悪い品物はよくしなければならない。企業努力だけではなかなかできない。たとえばそのうちめがねワクという統一ブランドができますと、それを何年かしますと、十年か二十年たったときに、マークを買います、それに短時日の間に追っついていかなければならない。だから全般的な話はわかりますけれども、いま予算がきまってないからあなたは苦しい答弁をしているようだけれども、この際に——これまた次の機会に大臣から答弁もらっておきますけれども、この際に、国外的なこの三つの補助金、三つありますね、外国登録費補助海外PR補助海外展示会費補助と。これ予算あります。これは予算が組んでありますけれども、そのほかに国内でそういうふうにおくれた業者がこれから統一ブランドをつけるために努力をするという場合は、別ワクに何とかめんどうを見るという方針を、通産省としてひとつ確立してもらいたい。これが私の希望条件ですが、意見があれば言ってください。
  20. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 全く仰せのとおりだと思います。この統一商標法が施行されまして、そうして特にそういう特定貨物と申しますか、それが指定をされまして、その業種がきまってまいりましたならば、特にその業種に関しまして全般レベルアップ、優良な品物にだけこれがつくように、それに及ばないところは技術開発技術向上というものをするように、特にその業種に関してそういう指導と予算面の措置をするように、中小企業庁とも十分に連絡をとりまして、私どもとしてもできるだけの努力をいたしたい、かように考えております。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 じゃ、いまの問題は特にお願いしておきます。そうしませんと、いまのめがねとか、あるいは食器とか、西陣の絹織物以外のものは、なかなかこれは飛びつきませんよ。統一ブランドができましても、よそごとのようにやられては何にもなりませんから、もう少し国内産業にこの統一ブランドをつける意思があるならば、政府としても、あるいは各機関も援助いたします、予算面でも援助いたしますという体制をつくって、統一ブランドがせっかく生きるように今後お考えになってもらう。それからさっきの発言の中で輸出販売機構の弱さというものがありましたが、外人バイヤーから買いたたかれる。これも今後早急に是正しなければならぬ問題ですが、これは通産省だけでなく、ジェトロやあるいは在外公館などでも努力してもらわなければならぬけれども、現状とそれからこれに対する対策とをお尋ねいたします。
  22. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 従来からずっと外人バイヤーの買いたきというのはあったようでございます。たとえば中小企業者のある一つ製品をつくっているところに行きまして、そうして集団的に、たとえば陶磁器の関係でございますとか、あるいは洋食器についてもそうでございますが、一軒一軒を回りまして、そうしてこの甲というところはここでは大体このぐらいの値段だ、あなたのところは一体幾らだ、これがこうだからもう少し勉強しないか、そういうようにあちらこちら回って、だんだんだんと過当競争を助長するような、そういうたたき方をして、そうして買っているという事態が非常に多かったようであります。ただ、これはまあ一番従来の中小企業者を圧迫し、苦しめておった事態でございますが、何せ、中小企業者は数が多い、その横の結束がない、それから海外の事情にうとい、はたして自分たち値段というものが実際の仕向け地先の外国市場でどのくらいで売られているかという事情もわからないということで、どうしてもそういう手に乗せられてきたというのが、残念ながら現状でございます。一例をあげますならば、金属洋食器につきましても、最近の一番新しいデータによりますと、若干、昭和三十年代に比べると少なくはなったけれども、依然としてあるということであります。で、たとえば値段で言いますと、金属洋食器でございますが、日本のFOBの輸出価格の四倍から五倍でアメリカやヨーロッパで売られておるという、小売り価格が四倍から五倍になっておる。たとえば五十ピースのセットものでFOB価格が七ドルからハドルくらいであったものが、米国の小売り価格では三十ドル、こういう状態でございます。さらにまた、最近の外国バイヤーの言い方では、日本で買わなくても香港、韓国、台湾で買うともっとずっと安くできますから、私は買わなくてもいいですよと、こういうたたき方が最近出てきている、こういう状況のようであります。これはしたがって生産する中小企業者自体の横の結束ということも非常に必要でございますが、なかなか数が多くてそれが非常にむずかしい、つきましては、たとえば統一ブランドというものをつくるということで、自分たちの商品はこの商標をつけて海外に売り出す、したがって急に飛び込んできた外人バイヤーにそれぞれ各個撃破をされて、自分たちの本来の値打ちよりももっと低く買いたたかれるという状況はやめようという、統一商標法を契機といたしまして、その横の結束と申しますか、これを軸としてそういう意識がだんだん強まってくる、そういうことがやはり必要であると思います。統一商標規程を申請する際に、もちろんこれはそれぞれの団体、具体的に申し上げますれば、商工組合とかあるいはその連合会等でそういう趣旨も十分説明されますでしょうし、それからまた、その総意の結集がございませんければ、この統一商標規程の申請というものができないわけでございますので、そういうことを一人一人の中小企業者がよく考えて、そして——この外人バイヤーの洋食器の場合ですと若干少なくなってきていると思いますけれども、新しいファクターとして発展途上国との競争関係まで持ち出してきている抜け目のない者まであるようでありますから——それに対処していく以外に方法はないだろうと思います。一番問題は、そうやって買いたたいたものをまた集荷するのがおるようでありまして、それが集荷したのに自分自身マークをくっつけて、そして自分市場というものをだんだんつくって、そこの中で売っておる。それが先ほど申し上げましたように品物によっては日本のFOB価格の五倍から六倍、陶磁器製品等でも現に私もこれは非常に憤慨をしたことがありますが、アメリカ、カナダ市場等でたいへんに高く売られておるという実態を目に見たことがございますが、そういった統一商標というものによって自分商標による市場を確立していく、まあすぐ急速にというわけにはまいりませんが、この流通形態にしても大体外国バイヤーがそうやってくるというのは、あまり組織的な形じゃなしに、何かもう一つもとになるのがありまして、それをまとめるのがあるわけでありますから、そういう程度の悪いと申しますか、そういう流通組織にいままで乗って日本のものがさばかれておったというのが非常に弱いところでございます。したがって、日本中小企業製品といえども品質の優良なものについては今後ともいい流通組織をつかまえて、そこでそれに乗っかり、そこで自分自身商標による市場というものを確保する方向に進めていかなければならないと思います。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 いまあなたの言われている悪い流通機構とよい流通機構、そこのところを質問しているわけです。これは提案理由にも書いてありますが、「ややもすれば仕向け国の輸入業者の主導権のもとに輸出されてきたたために、」と書いてある。それで、この輸出機構の弱さのために、せっかくのいい品物が買いたたかれているという、そこのところの機構の説明と、それじゃその機構をどう改めようとしているかということを質問しているわけです。
  24. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) これは海外における流通組織あるいはまたその流通組織と日本の生産業者との結びつきというものを、法律でどうするこうするということでなく、全く実力と努力によってこれは漸次変えていく以外にはない問題だと存じます。どちらかと申しますと、従来の日本の大部分の軽工業品というものは、いい流通組織に乗っていなかったというのが実情のようであります。向こうのずっと下のほうの流通組織というものに集荷され販売されて、その間に大きな小売り価格との開きができてくるということでありますので、この統一商標というものをつけて、品質はいいものだということをこれからも十分にこれを契機として海外PRをしなければなりませんし、売り出す中小業者自身もそういう自覚を持って横の団結、協業を進めなければなりませんし、そういう海外に対してもジェトロを通じ、その他の機関をも通じてPRを行なって、日本のこういう商標のついた商品というものはいいものなんだ、従来のように買いたたかれる性質のものではないんだということを、その商標がついていれば品質の点は十分安心して買えるものだということを、若干時間はかかりますが、それで漸次推し進めていく以外に方法はないと思います。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 また外務省からも来てもらって、この次、出先機関の取り組みなどについては別途質問いたしますが、たとえばA、B、Cと外国バイヤーのランクがあって、現在はそのいわゆるAクラスというようなバイヤーよりも、むしろCクラスのバイヤー日本品物を買いたたいている。だからこの際統一ブランドをつくって、このマークのついた品物はいいんだということで、Aクラスの扱い社に扱わせるような方向に持っていきたい、こういうことですね。
  26. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) そうでございます。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、あと日本品物高級化するという目的では、さっき言いましたように、やはり日本品物をとにかくよくしなければならないですね。そうすればそれに適当な値段、あまり高くてもこれは商売にならぬから、適当な値段をつける。それを出先機関のほうでうまく売りさばいてまいる。したがって先般ジェトロに対する政府の取り組み方も質問いたしましたが、ジェトロからもあさってまた来ていただくはずですけれども、政府としてジェトロに対する予算措置、今後の援助の措置なりあるいは指導方針なりを、先般、大臣からちょっと概略的に説明がありましたけれども、論議の筋として、局長からひとつ説明を願いたい。
  28. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 先般、先生おっしゃいましたとおり、大臣からもジェトロの方向について大略のところをお答えいたしたところでございますが、ジェトロ自身のこれからのあり方というのは、従来の業務のほかに、最近におきます日本経済的地位の向上、それからさらにそれに伴って海外からの日本に対する期待あるいはまた一部では日本に対する嫉妬心もまじった非難、そういったものを解消して、将来長きにわたって日本経済的に発展し、しかも国際的な協調のもとに、みんなにそういう悪い感じを間違っても持たれることなしに進んでいくような方向でのPR、したがって、従来ジェトロがやっておりました特に単品の輸出振興ということだけと申しますか、それに重点が置かれていたものを、もっと多角的に、日本の今後の貿易推進のあり方に即応したような方向に進めていかなければならぬことは、確かに一番大事なことであると思います。  で、ジェトロの今後やるべき方向としましては、この法案を離れて、一般論を申し上げますならば、たとえばプラント輸出の促進の問題等にからんでまいります日本海外投資の促進の問題、あるいは発展途上国の一次産品の買いつけによる日本との片貿易の是正の問題、あるいはまた全般的に東南アジア地区でときどき声が起こっておりますような、まあ非常に悪いことばで言いますと、日本人はエコノミック・アニマルだ、商売だけ、売ろう売ろうということだけだというぐあいの非難を解消せしめるために、その発展途上国自身の経済発展にも役に立つような方向に日本の貿易、それから経済協力面というものをも進めていかなければならないと存じます。こういう方向に向けてジェトロ自身も現在体制を整備いたしておりますし、私どももまた日常のジェトロの監督、業務連絡を通じまして、新しい時代に即応したジェトロの動き方、これからの方向というものを十分に促進してまいるようにいたしたいと存じます。  で、特にこの法律関係いたしました点につきましては、従来のPRにしましても、今後まあPR関係というのは、最近の情報化時代の進展に伴いまして、いろいろな方法それから新しい手法というものが毎日毎日進んでまいりますので、新しい手法を取り入れ、新しい時代感覚とともにこういった日本製品というものは決して発展途上国のたとえば産品を押えつけたりなんかするものではないんだ、日本日本としての自分自身技術力の高さ、優良製品というものを通じて独自の立場で、国際間の協調を旨としながら進んでいくというふうに、PRの具体的な一つ一つの問題を進めていくべきじゃないか、かように考えております。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 ジェトロに対するあれはわかりましたが、具体的に一つ質問しますが、燕の工業組合で三年前にシカゴで消費者家族のテストをしたそうです。日本商品に対する評判をテストしたらしいが、日本商品のよさを知らないものが九〇%、こういうデータが出ているのですがね。こういうものをジェトロにまかせないで、政府として、安かろう悪かろうとかさ、いま日本商品はよろしいとかさ、品物はいいが値段は高いとか、そんなことを調査したことがございますか、政府で。
  30. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 政府自身としてそういうところまではいままでにやったことは、実績はないはずでございます。まあ散発的ではございますが、いろいろ、たとえば海外への出張、海外での会議、あるいはまたこれは在外公館の活動状況にもなりますが、日本におります日本駐在の各国の商務官との会合、そういったものを通じて、散発的にいろいろなニュースを入れたことはございますが、組織的に、いま先生の仰せのそういう調査ということはいたしたことはございません。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 これは御存じでしょうけれどもね、先般シドニーの総領事官におる通産省から出ている領事といいますかね、それに会っていろいろ話を聞いたのですが、いまオーストラリアからたくさんの品物日本は買っている。これは日本の貿易も豪州に大きく貿易を拡大しなければならぬけれども、政府機関としてはただ一人だけだ。出先機関の、通産省政府の役人は私一人ですと。ソ連からは貿易事務所がありまして十三人来ているが、十三人が調査し、市場の開拓をし、本国と直接しょっちゅう連絡しながらその品物の売買をやっている。だから外務省本来の仕事ももちろんそれはたくさんありますから、通商関係の仕事じゃ私がたった一人でやっているのだ、たとえば投資をふやしてもらいたい、とにかく石炭をあそこからほとんど原料炭を日本に買っているんですけれども、一方的に値段を上げる、鉄鉱だってそうだ、日本にほとんどもう大部分がきているのでしょう。そんなものをたった一人で受け持ってやっているのだと。で、市場の調査なんかどうかというと、そこはなかなかできない。実態を見て本国に連絡するだけで精一ぱいだ、そういうふうな状態であるから、もちろんこれは、いま私が言ったような調査もしておらぬだろうと思う。もちろんそれは社会主義の国と資本主義の国だから、どの商社を代表してというわけにまいらぬから、一般的なことしか総領事館も大使館も仕事はできない。だから通産省の役人が何人おられてもあるいはできないかもしらぬけれども、これだけ積極的な演説を通産大臣もされた以上は、もう少しジェトロを強化するとか、あるいは通産省の役人を、各出先機関の重要なポイントには、大使館や領事館には、置くとか、そうして金をかけて市場の開拓の調査をするとかしなければ、統一ブランドをつくりましたから品物が高級になりまして、どんどん開発途上国の品物よりも追い越してまいりましたという、簡単にそうまいらぬのじゃないかと思うのだが、そういう面についての取り組みについて見解を聞いておきたい。
  32. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 全く私どもがかねてから思っておりますことを小柳先生から仰せいただいて、全くそのとおりだと私思うのでございますが、まあ、これは先先もおっしゃいましたように、ああいう社会主義国家というのは、これは商社活動というものはございませんで、通商部代表というものが行って、それが商社活動の分をもカバーしてやっておるということで、おのずから陣容の違いは、これはまあ出てまいるわけでありまして、日本の大使館あるいは総領事館等におりますものだけでなしに、日本としては自由な在外商社員の活動その他がありますから、その点は体制の違いと申せますが、全般的に見まして、私ども経済関係を担当いたしております通産省の役人といたしましては、直接に通産省の貿易、産業行政に携わりましたものが、もっと数多く在外の公館に出向いたしまして、そうして諸般の経済活動、調査活動をやること、それからさらにまたジェトロの在外駐在員、現在二百数十名ジェトロは在外に人を出しておりますが、この上とも在外機関をもっとふやしまして、特に統一商標の普及のみならず、全般的な海外経済活動というものを進めたいということは、かねてから念願をいたしておるところでございますが、まあここ逐年の趨勢を見ますと、だんだんによくなってきておるとは存じますが、まだまだ今後のそういった人員の増加等についてなすべきことが十分にあると思います。この上とも私ども努力したいと思いますので、何ぶんよろしくお願いいたします。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 これ最後ですけれども、意見も加えますが、この前の私の質問のときに、海外における日本製品の評価はどうかと、こう言ったのに正確な数字的な答弁はなかった。それはまあないはずだ、政府はいまやってないから、調査を。したがって、ことしはその予算通産省にないようだけれども、どこかの国で、たとえば東南アジアだとか、あるいはアメリカとか、欧州とか、何カ所か今年度中に日本製品の評価についてアンケートとったり、市民の声を聞いたり、消費者の声を聞いたり、そういう調査活動をやる決意はございませんか。これは局長だけでは何だろうけれども、次官も聞いておられるから、大臣と相談をして、この次に正確な方針をきめて答弁をしてください。きょうは答弁はいいです。これで私の質問はきょうは終わっておきましょう。
  34. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  35. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  36. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、繊維問題に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は発言を願います。
  37. 大矢正

    ○大矢正君 先日の対米繊維交渉に関連をいたしまして若干の質問をいたしたいと思います。  まず、大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、この間のこの委員会で、私は当時新聞に報道をされました、俗に言われるエードメモワールについて、その内容を公表するようにお願いをいたしたのでありますが、大臣からは日米両国の外交上、また国際信義上、公表をすることができないし、あわせてこの覚え書きに基づく質問に対して答弁をすることはできないという趣旨のお答えがありました。ところがアメリカ側は、あなたがそういう答弁国会でされているにもかかわらず、公式に発表をしたかどうかはわかりませんが、アメリカの議会、繊維業界、また一部報道機関に、日本から手渡したこの覚え書きがわかるような、内容を知ることができるような便宜を与えたという事実が出てまいりました。そこで私はまず第一にお伺いしたいことは、最初申し上げましたこの委員会におけるあなたの答弁と、その後におけるアメリカ側の意識的な覚え書きの発表、こういう事態について、あなた自身どういうお考えを持っておられるか、過日の委員会でついに覚え書きの内容を知ることができなかった私どもの立場と気持ちも判断した上でお答えをいただきたいと思うのです。
  38. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 先般、大矢委員にも申し上げましたように、エードメモワールというものは、両国間で合意のない限り公表しないことが外交上の約束でございますので、先般お尋ねがございましたときにも、それに基づきまして、残念ながらそれについては申し上げられないということを申し上げたのであります。ところでその後、いろいろ複雑な事情がアメリカ側にもあったようでございますけれども、外務当局を通じて確かめました範囲では、アメリカ側はこのエードメモワールについて発表したことはない、公表したことはないという立場だそうであります。また、他方わがほうがこのエードメモワールの公表についてアメリカ側から了解を求められた、あるいは公表することについて合意したことも、これもない由であります。したがいまして今日のところ、私どもといたしましては、その外交上のルールをやはり守らなければならないというふうに考えておるわけでございます。他方でいかなる事情によるものでありますか、アメリカ側においてわがほうのエードメモワールが一部に漏洩をした、そうしてその結果それがわが国にもまた報道されておるということは、私も新聞紙上で見ております。
  39. 大矢正

    ○大矢正君 あなたに経過を聞いているのではなくて、あなたは一番最初に私どもが質問をした、日本経済新聞に載ったエードメモワールに対しての答弁では、外交上できないのだ、国際間における外交文書を公表するわけにはいかないのだ、こうあなたはおっしゃったから、私もその時点では、何らか他に知る方法があるならばこれを知りたいという気持ちはありましたが、その段階で一応引き下がったわけであります。だがしかし、アメリカ自体として、日本の新聞社が日本国内でこれを知ったのではなくして、アメリカ側が、これは政府側でありますが、政府側が故意か意識的にかわかりませんが、公表ということには、ことば上ならないだろうが、知り得るような便宜を与えたという。そうしてそのことによって逆に英文のこの覚え書きを日本文に直したものが現に新聞に掲載されているというこの事実、これに対してあなた自身どうお考えになるかということを聞いておる。そしてそれを知ろうとするわれわれの気持ち、その気持ちも踏まえた上でお答え願いたいと言っておるので、経過の説明を私は聞いているのじゃないのです。
  40. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカ側にどのような事情がありまして覚え書きの内容なるものが公表以外の形で漏れたかということになりますと、私にははっきりそれはわかりません。公表をしたのでないことは明らかでありますから、もう一方的に公表をしたのであるとするならば、これは外交上のできごととしてわが国としてもものを申さなければならぬのでございましょうが、そうではないということでございますから、アメリカ政府の公にとりました立場というものについて、そういうものはないわけでございますから、私どもが批評をすることはできない。ただ、それがどういう形でか漏れたということにつきましては、いろいろな事情があるのでございましょうが、それは私つまびらかにはいたしません。
  41. 大矢正

    ○大矢正君 あなたのお答えは、私に言わせれば逃げ口上でね、現にアメリカは、日本側からこういう——彼らに言わせればですよ——こういう誠意のない回答をよこしたのだから、この際議会は直ちに立法措置に踏み切るべきであるというような意見も出て、アメリカの議会は立法措置についての検討に入ったという事実はあるじゃありませんか。そういうような立法措置の検討に入ったということは、日本側の回答というものがこういう内容であるということが明らかになっているから、そういう措置に踏み切っているわけでしょう、アメリカの議会というものは。わが国の議会は何ら知らしめられないで、政府がどういう態度とどういう回答をアメリカに行なったのかということは、依然として不明のままに、アメリカの議会だけが先に進んでいくということは、私に言わせしめるならば、日本国会というのはそれこそ開発途上国の、おくれた、国会とは形ばかりだというような、そういう国会にまで成り下がってしまうことになりはしませんか。アメリカの議会で、現に日本側の回答がこういう内容である、したがってけしからぬ、よって立法措置を講じようではないか、あるいはこういう制限措置を法律的につくろうではないかと言っておるのに、日本国会は何もわからないで、これから繊維交渉というものがどういう進展を見せるのかという議論さえできないというばかげた話というのは私はないと思うのであります。あなた幾らここでもって、公式ではない、したがってわれわれも公式に発表はできないと、こうおっしゃいますけれども、もしわれわれが、それではいままで新聞その他に報じられた内容に基づいてここにあなたに具体的に質問した場合に、あなたはお答えをくださいますか、どうですか。
  42. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 一国の政府が、他国の寄せました公のエードメモワールに対して、もし誠意のないというようなことを公に申しましたといたしますと、これはゆゆしいことでございます。またエードメモワールを両者の了解なしに公に発表したということがあれば、これもゆゆしいことであります。私の聞いております限りは、それは両方とも、政府の公のことばでもまた行動でも、ないということでございますから、私はそれ以上申しません。何かの誤りで事の内容が漏れたのであろうというふうに想像いたしますが、ところで、相手方のそういう誤りで何か起こったというときに、わが国がそれに対して外交上のルールをすぐに破っていいものかどうかということになりますと、私はそうは考えておらないわけでございます。したがって、わがほうのエードメモワールというものを公にお目にかけるということは、やはり御遠慮すべきであろうというふうに考えております。ただ、先ほどから大矢委員の言われますように、事実問題として、アメリカの国会の一部に、われわれの出しましたエードメモワールがわかっておるといたしますと、わが国会におきましても、当委員会のように、この問題に直接に関心をお持ちの委員会においてお尋ねがあれば、私は事実上エードメモワールの内容について申し上げざるを得ない、こうは思っております。ただ、それは日本政府がエードメモワールを公表したという、外交上のルールを破ったという形では行ないたくない、こう思っておる次第でございます。
  43. 大矢正

    ○大矢正君 この間、衆議院のある人と私個人的に雑談をいたしましたら、最近、対米繊維の交渉問題について、国会で宮澤さんに質問すると、宮澤さん非常にいやな顔をする、こういう話を聞きました。私全くそのとおりだと思うのです、感じとしてはね。ただ、あなたに私が申し上げておかなければならぬことは、国会というものは行政機関の下請じゃないわけですからね。この点だけは、はっきりしておきたいと思うし、ある意味においては、あなたはこの覚え書き、あるいはこれに類するようなことは、行政官庁が行なうべきことで、あくまでも行政権に属するのだ。そういうものに立法府である国会がくちばしを入れることは行政権に対する介入ではないかと、極論すればそういう考え方をあなたが持っておられるから、先般来のような態度をとられるのだと思うのであります。行政府と立法府というものが相協力をして国益を守り、そして日本産業を守り、そしてまた世界に向かって正しいことを主張するということは、決して間違いでは私はないと思うのであります。この委員会も、あなた方から出される法律審議する、単にそれだけの機関じゃないわけです。私がはっきりここで申し上げておきたいことは二点あります。あなたが大臣に就任されたのでありますから、二点あります。  一つの問題は、なぜわれわれが繊維問題でこれだけあなた方に食い下がるかという理由であります。これは何も行政権に対する私たちの介入ではないのであります。この委員会におきましても、日米繊維交渉の問題につきましては、昨年の四月の十五日に、アメリカの言うことは不当であるから、強い態度でアメリカの不当な要求を拒否しなさいという決議を行ない、それに対して大臣は、全く言われるとおりであるから、私もがんばりましょうと答弁している、この事実がありますね。衆議院におきましても、本会議において同様なことが可決をされ、同じような答弁がされておるわけであります。したがって、この委員会あるいは衆議院の本会議における決議に基づいて、われわれがこの決議が行政機関の中で正しく運営をされているのかどうか、その主張が行政府として貫かれておるのかどうかということを、この委員会で、あるいは本会議で確かめなければならない立場がわれわれにはまず第一にある。決して私は介入の問題ではないわけです。  第二の問題は何があるかといえば、私どもは、あなたが所管する通産省から提出をされる法律を、ただ黙って審議をして、賛成か反対か、挙手をして採決をするという問題だけがここにあるわけじゃないのです。われわれはわれわれなりに、あなた方の行なう行政というものが正しいのかどうかということを、同時に、出された法律が正しいのかどうかということに対して、それぞれの立場において判断をし、ある場合においては、たといあなたが希望された法律でも拒否するという立場というものは、ここに明瞭にあるわけであります。あなたがかれくなな態度をいつまでもとられてもしおられるとすれば、われわれはその覚悟でもってこれからこの委員会に臨まなければならない。しかも、通商産業省という行政は生きた行政です。産業を相手にし、企業を相手にし、言うならば、動いているもの、生きているものを相手にするのであります。コンピューターでもって何年後の経済はどうなるという、そんな経済の予測をしたり、米が幾ら上がれば物価に何%はね返るかというような、そういう数字をころがしていくような問題ではないわけです。あなたの産業政策が一つ間違うことによって、日本産業にとっては重大な問題が起こり、そこに従事する多くの人たちが呻吟しなければならぬ問題があるから、私はこの際、お互いに言えるものは言い合って、ここで正しいとする方向があれば、与野党一致し、行政機関も一致して、結束して国益を守るという方向が必要なんじゃないかと私は思うから、先般来しつこく、くどいようだけれども質問しているわけであります。私のいま申し上げましたことが間違いなのかどうか。そしておまえの言うことはなまいきだとあなた自身お考えになっておられるのかどうか。その辺からまず私はお伺いをしなければ、具体的の話の中身に入っていくわけにいかぬので、あなたの決意をこの際、聞いておきたいと思う。
  44. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、御指摘のように、御決議もございますし、また、国会が一般に国政調査についての権能を持っておられることもよく承知をいたしております。したがって、私ども、提出いたしました法律案、あるいは予算関係あるとないとにかかわらず、国政についての広い御調査に対しましては、お尋ねがあればできるだけお答えを申し上げ、また、御要求のある資料を提出する義務も行政府は負っておる、そういうふうに考えております。ただその際、ただいま問題になっておりますような、外交上の慣例として両国の合意のない限り発表してはならないという文書につきましては、これはお目にかけることができないということは、これも御了解いただけるところであろうと思うのであります。
  45. 大矢正

    ○大矢正君 通産大臣、お尋ねをしますが、先日の委員会におきまして、あなたは、去る十二日の日本経済新聞に対米覚え書き全文といういわゆるエードメモワールが出た際に、私が質問をいたしましたら、それは読みましたというお答えがありました。それからおそらく、十五日に同じく朝日新聞が、繊維問題の対米覚え書き全文というものを、これは日本国内でキャッチをしたのではなくて、アメリカにおいて、アメリカ側の何らかの形における機関から入手をし、それを逆に日本語に訳してここに載せた全文がありますが、あなたもおそらくこれをお読みになったと私は思うのであります。といたしますると、当初載せられた日本経済新聞の全文と、それから十五日の朝日新聞に載りました対米覚え書きの内容、私は克明に一行ずつ拾って、合わせてまいりました。もちろん片方は日本語をそのまま載せたのでしょうし、片方は訳したものでありますから、表現に多少は違いがあるとは思いますが、ともあれ、あなた自身考えてみて、このいずれがより現実に手交した覚え書きに近いと考えられるか、お答えを願いたいと思う。どちらがより近いと思うか。
  46. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘になりました、三月十二日の日本経済新聞に記載のものと、三月十五日朝日新聞記載のものと、詳しくは読んでおりませんけれども、まあ趣旨とするところは同じようなものであるように考えております。
  47. 大矢正

    ○大矢正君 そういたしますると、私は日本経済新聞に載ったこの日本語版全文というものを前提にしてあなたに一つ一つ説明を聞いてもよろしゅうございますか。
  48. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) どのようなお立場の御質問であろうと、それは大矢議員の御自由だと思います。私の立場といたしましては、たまたま、ただいま朝日新聞の記事に御言及がございました。これは、朝日新聞の書かれておりますところでは、アメリカ側から入手いたしました英文の日本語訳であるということでございますが、これを見ておりますと、その内容とするところは、私どもがワシントンの大使館をして米国政府に手交せしめました覚え書き、エードメモワールの内容と実体的に同じことが書いてございますし、また翻訳につきましてもきわめて正確のようでございます。したがって、私といたしましては、先ほど申し上げましたような理由、これはまあお考えによっては、つまらぬ理由だとお考えかもしれません。しかし、交渉の段階のまだ一歩でございますし、今後両国ばかりでなく、世界各国との外交上のわが国の信義ということを考えますと、たとえ先方に非公式にどのようなかりに落ち度があるにいたしましても、われわれが公式にルールを破るということは避けたほうがいいと考えますために、私はわざわざ片方の英文から戻りましたものにつきまして申し上げておるわけでございます。実際上、ここに朝日新聞に掲載されているものは、私どもが覚え書きで申し述べましたことの実体をそのまましるしておりますし、翻訳も正確であるというふうに考えております。それとの御言及で、さらにそれが日本経済新聞に書いてあるのとそれなら同じことが書いてあるのではないかとおっしゃいますれば、私もそれはそのとおりであると考えておるのであります。
  49. 大矢正

    ○大矢正君 具体的に中身に入ります前に、われわれ一般に日本語として使用した場合に、非常に意味の違うものが感ぜられる。たとえばこういうことがあります。「わが国としては輸入の増加による重大な被害またはそのおそれがある品目に限り、すなわち選択的なベースにおいて、また国内業界の納得と他の関係主要輸出国の合意を得た上でなければ輸出自主規制を行なうことはできない。」と、こう書いてある。すなわち、ここでは国内業界の納得と他の国、すなわちアメリカに輸出をしている国との間に合意がされる、こういうことが必要であると書いてある。内容的には同じであるかもしれないけれども、ところが、朝日新聞に出ておる内容によると「また日本国内業界の理解と」、こうなっておる。片方では「納得」と書いてある、片方では「理解」と、こう書いてある。日本語として見た場合に、片方は日本の業界が納得をしなければ、あらゆる、ここに書かれた一切のことはできないですよ、こう言われておる。片方は、理解さえしてもらえばできるんですよ。これは、だれが見ても非常な違いじゃないですか。その辺のこと、あなた自身どう考えられます。納得と理解は同じものだとあくまでおっしゃられますか。
  50. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) これは実体問題として何度かお答えを申し上げておるわけでございますが、かりに理解ということばをあなたの言うことはわかる、しかし、自分は反対だという意味を含み得るといたします。納得ということは、あなたの言うことはわかった、私も賛成をいたしましょうということであるといたしますと、私どもが本件について申しておりますことは、これは自主規制でございますから、規制する側が自分がその気にならなければできない、こういうことでございます。
  51. 大矢正

    ○大矢正君 といたしますると、結局のところは、業界が納得をしなければできませんと、こういう解釈になるということですね。
  52. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 業界の納得と自発的な協力がなければできないということでございます。
  53. 大矢正

    ○大矢正君 それでは、あなたの言っていることは、どうも日本経済のほうに近いようだから、日本経済のほうで一つ一つ私が読み上げて確認してもらいましょうか。私はあなたの立場を考えて、アメリカからの英文のやつを直して日本で載せられた、言うならば朝日新聞のほうで議論をしたほうが、外交上、あなたの立場もよろしいのではないかという気持ちも半分ありましてね、昔は参議院に一緒におったわけですから、多少の仁義ぐらいは心得ておるつもりでありますから、そういう気持ちでありましたが、いまあなたはそういう必要性はさらさらないようなお話だから、そういたしますると、日本経済のほうを中心にして私は読み上げてまいります。あなたは出さないのですからね。私が読み上げて、速記に残して、これを将来の足がかりにする以外にないわけですから、その辺はひとつお含みおきを願いたいと思います。  まず、第一の問題でありますが、「毛および化合繊製品の米国への輸出問題に関する一九七〇年二月十日付け日本側の「覚え書き」および二月十九日付米側の「覚え書き」に言及する。」と、これがまず第一点になっておる。  第二点は、「すでに繰り返し表明してきた通り日本政府は一九七〇年一月二日付けの米側提案を討議の基礎として受諾することはできない。本米側提案に関する日本政府の見解はすでに米側に通報したところにより、明確であると信ずるが念のため改めて述べれば次の通りである。」という前文に間違いはないですか、考え方として。
  54. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) これは、いま私も、そのもとのものを持っておりませんが、考え方としては間違っていないと思います。
  55. 大矢正

    ○大矢正君 そこで第一に、「前記米側提案は形式において総わくおよびグループわくが撤廃されている点において一九六九年十二月十九日付け米側提案と異なっており、包括的規制を排除したかのごとくみえるが、特定わく品目以外のものすべてについてもカテゴリー別にトリガー方式によるシーリングを導入している点において実質的には全品目を対象とする包括的規制と異なるところがない。」、「この点、日本側はかねがね包括的規制は絶対に受け入れないとしてきたものであり、きわめて遺憾である。」こういう態度を表明した。これは間違いないですね。
  56. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 大筋において間違いないと思います。
  57. 大矢正

    ○大矢正君 大筋においてという意味はどういう意味ですかね。
  58. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 一つ一つのことばづかいについて、はたしてこのとおりであったかどうかということは、いま申し上げられませんけれども、全体のこの文章のトーン、言いたいことは、ここに言っているとおりだという意味でございます。
  59. 大矢正

    ○大矢正君 次に、「また本提案は十二月提案に比して特定わく品目の輸出限度を若干増加せしめている点は多少の改善と認められるが、それでもなお一九七〇年の輸出わくは全体として一九六九年輸出水準よりも減少をみることになる。この点、スタンズ商務長官が昨年、来日された際をはじめ、しばしば米側が表明した本規制は輸出の減少をもとめるものではないとの言明に反するものである。」続いて「本提案が五年という長期かつ固定的な期間を提案していることは、この種の輸出規制は米国自身がガット十九条による措置をとりうるまでの過渡的かつ便宜的な措置でなければならないとの日本側の主張に反する。」この辺はどうです。
  60. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 前段も私どもの計算ではそうなりますし、後段につきましては、本院でも申し上げたことのある点でありまして、私どもの考えを反映しておることは間違いありません。
  61. 大矢正

    ○大矢正君 「本問題の解決策に関する日本政府の基本的考え方は次の通りである。」ということで「わが国としては輸入の増加による重大な被害またはそのおそれがある品目に限り、すなわち選択的なベースにおいて、また国内業界の納得と他の関係主要輸出国の合意を得た上でなければ輸出自主規制を行なうことはできない。」、「ただし、本問題は米国がガット十九条に従って処理することが本筋であり、前記1の措置はそれが実施されるとしてもガット十九条援用までの「つなぎ」の措置にすぎないことは前記二において述べた通りであり、また米国がガット十九条を援用する場合はわが国はガット上の権利を留保する。」、「ガット十九条援用の場合は輸入国側がまず被害の認定を行なうという米側の主張は理解しうるが、この場合においても輸出国側と代償等に関し、十分協議が行なわれることとなっている。」、「さらに米国内においても重大な被害またはそのおそれの認定が権威ある機関としての関税委員会によって慎重に行なわれるということも十分承知している。」、「しかしながら、現在問題となっているのはこれと全く趣きを異にしており、米国は実質的に輸入規制に同等の効果を持つ輸出自主規制を輸出国側が行なうことを要求しているのであるから、この場合にはその実施に当たる輸出国側と十分協議を行ない、被害またはそのおそれについて、その納得を得ることが必要なことは当然と考える。」、続いて「日本政府として包括的規制は絶対に受け入れられないことは前記二に述べた通りであるが、選択的なアプローチについては、前記三の基本方針に従い、米国政府よりさらに補足的な資料の提供および説明を受けて話し合いを進める用意があり、そのためにジュネーブにおいて予備会談を再開することを再び提案したい。」、次いで「個々の品目について選択的に輸入の増大による重大な被害またはそのおそれを判定するに当たって生産、輸入、価格、雇用等通常考慮すべき経済的諸要因によるべきことは従来ジュネーブ予備会談等において説明してきたところであるが、これまで米国政府から提供された資料および説明はなお不十分であり、それによる限りは被害またはそのおそれを与えている品目は見出しえないといわざるをえない。」、「しかし米国政府において前記四のジュネーブ予備会談の再開を受諾され前記五に述べた被害判断の要因に準拠しつつ、たとえば輸入対消費比率が現在すでに相当高く、しかもそれが上昇傾向が顕著である品目について被害またはそのおそれを立証しようとするのであれば、日本側としてもそれを傾聴し、さらに話し合いを深めてもよいと考えている。」、「また米国政府において関税委員会を活用して公聴会を開催し、各界の意見を広く聴取するなど公正な手続により特定品目について輸入の増大による重大な被害またはそのおそれの事実に関し調査を行なわしめるならば、日本政府としては米国との話し合いにおいてその結論をできるだけ尊重する用意がある。」、「ただし、前記六および七のいずれの場合においても事実の認定に関する討議が進行した段階において、他の主要輸出国をもまじえた多数国間協議に移行しなければならないことは二月十日付け日本側「覚え書き」に述べた通りであり、またその協議は何らかの形でガットのカサの下にはいるようにすることが必要と考えている。」、「前記の各要件が満たされた場合には国内関係業界の納得と協力を得た上で輸出自主規制を行なうことにやぶさかではないが、半面、業界の納得なくしてそれが行ないえないことは同じく二月十日付け日本側の「覚え書き」に述べた通りである。」、次に、「規制の対象となる特定品目以外の員目についての米側提案については前記二に述べた通り、日本側としては愛諾することはできないが、この点についての日本側の考え方はすでに昨年十一月の第一次ジュネーブ予備会談において説明した通りであって、米側においてそれらの品目について新たに規制を要すると考える場合には、米側が被害またはそのおそれを示す資料を添えて、あらかじめ設置された米国および主要輸出国より成る委員会に問題を付託し、同委員会で協議が整った場合には輸出国において輸出自主規制を行なうこととするが、協議期間は原則として一カ月以内をめどとし、協議がこの期間内に整わない場合には米側で輸入規制を行なうこともやむをえないということである。ただし、この場合においても輸出国側がガット上の権利を留保することはいうまでもない。」、「期間、伸び率等の項目については本来、規制そのものの是非、また規制を行なうとした場合にはその対象品目について合意されたのちに改めて協議されるべきものと考えられるが、米側第二次提案における主要項目についての日本側見解を述べるならば次の通りである。」、「期間については前記三の2で述べたごとく輸出自主規制は米国がガット十九条を援用し得るまでの「つなぎ」の措置であるのでできる限り短期間に限るべきであり、新通商法発効後「一年間」または一九七一年末のいずれか早い時までに限られるべきであると考える。」、次に、「このように本来、短期間であるべき規制について、あらかじめ規制わくの伸び率を一律に定めておくような考え方はとり得ないものであり、かつ米側第二次提案の考え方はシーリングを米国国内市場の規模の変動に合わせて調整しようとするものであり、すなわち将来にわたって米国内での輸入品のシェアを固定することになるので、日本側としては絶対的に受け入れられないところである。」、「規制わくの大きさおよび伸び率は前記の考えをも含め、本来各商品一律に決めるべきものではなく、個々の規制対象品目の与えている被害またはそのおそれの態様によって、それぞれ別個に適切なレートが定められるべきものである。したがって、この点についてもまず品目ごとの被害またはそのおそれの究明が先行すべきであって、その結果としての被害またはそのおそれの判断に基づいて合理的な伸び率が検討されるべきであると考える。」。  これが、私どもが新聞その他によって知り得たエードメモワールの全文でありますが、このとおりのものであると解釈してさしつかえありませんか。
  62. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 政府が外交上守らなければならないと考えております立場がございますために、大矢委員並びに委員長はじめ当委員会にお手数をおかけしておりますことを、たいへん恐縮に存じます。  ただいま大矢委員が御朗読になりましたものの内容は、私どもが日本大使館を通じて、三月七日に先方に手渡しましたエードメモワールの実体をとらえているものと、こういうふうに申し上げることができます。
  63. 大矢正

    ○大矢正君 そこで私は、あなたがかたくなにいつまでもこの覚え書きの全文を、現にアメリカの国会では周知の事実となっているのにかかわらず、提出をされないということのために、長時間にわたって読み上げなければならない結果となったわけでありまして、まことに残念であります。  そこで、この対米覚え書きの内容がいま明確にされたわけでありますから、お尋ねをいたしたいのであります。  それは「被害の認定」ということでありますが、被害のないところに、あるいは被害のおそれがないところに規制はないということを、しばしば大臣も、佐藤総理も含めて、答弁をされているわけでありますが、この被害の認定もしくは被害のおそれの認定ということは、私どもの判断では、解釈のしようによっては非常に幅のあるものではないかという気がいたすわけであります。そこで、被害の認定というものは、この中に、たとえばその要件というものが載せられておりますが、それ自身、どういう判断のしかたをするかということは、これからの問題として残るわけですね。たとえば生産の問題ここに書いてあるとおり、あるいは価格の問題、あるいはアメリカ自身の雇用上の問題とか、そういういろいろな要素がある、被害の認定もしくはおそれの認定には。したがって、考え方として被害の具体的な認定をどこに線を引くかということは非常にむずかしいわけでありますから、それを裏返して、わが国としてはこういう場合に被害ありと考えるのだということがなければならないと思うのであります。その点は、政府としてどのように考えているか。たとえば、この中では、アメリカの関税委員会というものが公正な資料と、またそれぞれの立場の人の意見を聞いて認定をした場合には、日本政府は認めるんだというような意味の文章がここに載っているわけであります。といたしますると、アメリカの関税委員会において、かりにこれは被害が現に出ているあるいはそのおそれがあると認定をした場合には、わが国はそのことに対して、いやそれは違うと言えないということになりはしませんか。だから私が申し上げていることは、抽象的に生産がどうの、それから輸入対消費比率はどうのというようないろんな要素を、一つ一つこれ以上になった場合ということは言えないと思う。さすれば、日本側としては、被害の認定というものについては、こういう場合には被害ありと認めざるを得ないという何かがなけりゃならぬと私は思うのであります。その点がこの覚え書きの中においても不明確でありますので、この際、お答えを願いたいと思います。
  64. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) ガットの十九条に申しますところの被害または被害のおそれとは何かということにつきましては、一般的に、それは輸入品と競合する製品あるいは同種の製品生産する米国側の産業について生産価格、収益状況、雇用あるいはその品物市場に占めるシェア等々、いろいろなものを総合して判定するということを抽象的に申し上げることはできるわけでございますが、どの程度をもって被害あるいは被害のおそれとするかということについては、従来ガットで何度も議論がございましたが、公に定められた基準というものはございません。したがって、これはそのときに即してお互いに考えるより方法のない問題であると思っております。  なお、関税委員会の判定について御言及がございましたが、従来私どもがアメリカの関税委員会の被害の認定を見ておりますと、これはかなり総合的にただいま申し上げました要素を勘案し、また関係者の意見を聞きましたりした上で、被害の認定をしておるようでございまして、私どもはアメリカの関税委員会の被害の認定は、既往に関する限り、一応国際的にフェアなものである。そういう評価をいたしております。
  65. 大矢正

    ○大矢正君 まあ私が申し上げるまでもなく、ガット十九条に従ってかりに被害がありと輸入国側が認定もしくは判断をして、相手国すなわち輸出国に対して規制を求めるという場合におきましては、おのずからそこに、それに見かわる代償なりあるいはそれが日本である場合には、その報復措置といいましょうか、そういうものはとれることになるわけでありますが、あくまでも原則的に日本が、アメリカが希望はしたけれども、自主的に規制をしたのであるということで、被害を認めた場合には、結果論的には、これはその代償を要求するとか、報復的な措置はできないという解釈になるわけですか。それでもできるという解釈になるのですか。
  66. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 前々から申し上げておりますように、これがガット十九条の発動でございましたら、相手国は当然に代償が要求できるわけでございます。そこで、自主規制といわれておりますことの意味、このことばはいやなことばであることは、先般大矢委員が言われましたとおりでございますが、そのことの意味は、本来的に代償というものは求めない。これは従来の自主規制というものがすべてそうでございますから、これは本来的に代償というものは伴わないと考えるべきものであろうと思います。
  67. 大矢正

    ○大矢正君 であるから私は問題があると、こう言うわけです。なるほど、ここには一年間という短期間の取りきめといいましょうか、話し合いといいましょうか、そういう表現は覚え書きの中で使ってはおりますが、この問も議論が出たとおりに、綿製品は十何年にもわたっておるという事実があるわけでありますから、幾ら日本側が一年間だと言っても、まだまだ力関係で押されて、それが長期の取りきめになってしまう、しかもガット上の権利を留保することができないという状態で、日本は踏んだりけったり、代償一つもらうことができない、報復一つできないで、あくまでも日本が自主的に規制をしているのだという、まことにこの、あなたのことばをかりれば、いやな形で表現をされ、損をするのは日本だけだという結果になる。しかもその被害の認定というものは、アメリカの関税委員会にまかされる。こういうことになると、非常に強いことをこれは書いているようだけれども、私に言わせれば、結局はしり抜けではないのか。たとえそれは出発点が自主規制ということであっても、現に自主規制じゃないわけですね。この間から議論しているとおりに、アメリカの要求に基づく規制です。繰り返して申しますが、日本が規制をしなければ、日本自身が困るという立場においての話じゃないでしょう。アメリカが困るから日本、おまえは自主規制してくれないかというアメリカ側の要求に基づいているわけです。そして今日では自主規制ではない、アメリカの要求に基づく規制でありますから、私は正確にガット十九条によるところのたとえば代償なり報復措置の権利、権限というものを一〇〇%留保できるかどうか別にしても、そういうものはあってしかるべきものではないのかというように私は考えるのだが、私のこの考え方は、この覚え書きとは、若干いまあなたがお答えになったように違うかもわかりませんが、そういう弱点なり盲点というものに対して、大臣自身どう考えますか。
  68. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それはこう申し上げればよろしいのかと思います。かりに両国が協議をいたしました結果、被害または被害のおそれが一切ないということになりますと、私どもは業界に対して自主規制を求める根拠を失いますから、したがって、その場合には自主規制ということは起こり得ない。次に、両国協議の結果、被害または被害のおそれがある品目については、あるということにかりになったといたします。その際にアメリカ側はガット十九条が発動できない状態でございますから、われわれはたとえ被害または被害のおそれが証明されたとしても、そういう自主規制には応じられないという立場をとることもできますし、または、被害または被害のおそれが証明された品目については、業界の納得を得て自主規制をしてもらおうという立場をとることもできるわけでございます。前者の立場について申しますと、私どもはもし被害または被害のおそれが立証された場合には、たとえアメリカ側が十九条が発動できない状態でありましても、むしろそういう状態でありますがゆえに、十九条が発動できるに至りますまで、業界の納得を得て自主規制をしておくことが、両国国交全般の立場から見て好ましいのではないか、もともとそういうことがなければなおいいことでございますが……。そういう判断をしておるわけでございます。
  69. 大矢正

    ○大矢正君 あなたと私の議論のすれ違いがあるのですよ。それはわが国が代償を求めたり、報復措置をすることの権限がある場合には、それを現に保持している場合には、アメリカの関税委員会というところで、アメリカ自身がこれは被害があります、被害のおそれがあります、それが立証されますということで、かりに日本が規制をする際には、それに対応する処置をとればよろしいのだから、それで対等に問題は解決ができる。しかし被害の認定とか立証を含めて、そういうものは関税委員会にまかせてしまう、まかせるということばが適切でないか知れませんが、その関税委員会の意思を尊重しますと、こういう形で表明をしてしまい、一方においてわれわれが報復なりあるいはまたそれに加えて代償というものを取る権利がないという場合には、一方的にわれわれだけが損をするのではないのかということを私は聞いているわけです。
  70. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 多数国が相談をした結果、最終的にそういうことになるといたしまして、それを一方的な損と見るか見ないかは、やはり両国間の国益、それから世界の自由貿易というものの大きな流れ、それが失われることによる損失等々、いろいろなものを総合して考えなければならないと思いますので、私自身は、業界の納得が得られるのであれば、それがわが国にとって損失になるという考え方には、にわかには賛同できないというふうに考えておるわけでございます。
  71. 大矢正

    ○大矢正君 私も約束を守りますから、もう二時ですし、二時に大臣あけてくれということでありますから、それは守りますから、最後にお尋ねをいたしますが、これはさっきから何回も言っているとおりに、業界の納得ということが前提でありますと、こう覚え書きで断わっているわけでありますから、よもや業界が納得をしないのに、繊維業界が納得をしないのに、政府間において何らかの形で、自分たちだけの政府側だけの判断で、これは被害が出ている、あるいは被害のおそれがあるというようなことで、業界自身を縛るような取りきめなり、その他政府間における——やり方はいろいろあるでしょうが——話し合いをまとめるようなことは絶対にないでしょうね。
  72. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたとおり、自主規制ということは私どもにとりましても愉快でないことでございますので、当該業界にとってはさらに不愉快なことであろうと思うのであります。そこで、当該業界がたいへん喜んでみずから進んで自主規制をするというようなことは、これは常識的にはなかなか考えにくいことでありまして、業界としては、おそらく将来末長く商売を続けていく上で、この際はやむを得ないか、というようなことが、せいぜい納得という意味合いであろうと、私は正直に申しますと考えます。  もう一つの要素といたしましては、かりに自主規制を業界にやってもらう、するということになりますと、自主規制の仕事というのは、御承知のように輸出組合がたくさんの事務員を置きまして、毎日、毎日チェックをしてこそ初めて有効な自主規制ができてくるのでありまして、これは役所がこれにかわってやるなんということはとうていできません。それだけの知識が役所にはございませんしエキスパートもおりません。いわんやアメリカ側がかってにそれをやれるかと言いますと、なおさらやれないわけでありますから、事実問題といたしましても、業界がやる気になってくれなければ自主規制というものはできないということでございます。
  73. 大矢正

    ○大矢正君 あなた、肝心なところの、最後のところをいつも答弁しないんだね。ちょうどテレビかラジオか新聞か知らぬが、解説者みたいなもので、ああいうのもあります、こういうのもあります、こういうのもありますということを言って、自分のことは一言も言わない。私が聞いているのは、そういういろいろな分析があるだろう。しかしてあなたはどう思うかということを聞いておる。あなたはその肝心なところにくると、ぱっとはぐらかす。私はあなたが答弁をされている衆議院の商工委員会やら予算委員会やら、この繊維問題に関する速記録を全部読んだ。あなたはこのわれわれのような程度の低い頭ではなくて、頭脳明晰な方のようだから、そういううまい答弁ができるのかどうかわかりませんけれどもね。さっきも私申し上げたとおりに商工委員会という委員会というのは、産業政策をやる委員会であって、電子計算機でものをはじき出す、そういう役所じゃないわけだから、人間と人間の気持ちなり感情というものが、やはりいろいろな場合に出てくると思うし、そういうことがまた単に人間問題だけではなくて、産業政策にも影響を及ぼすところなんだから、あなたももう少し人間味のあるというか、あるいは普通の人間が聞いたらなるほどなと思うような、あとで速記録を見てみたら、なるほどうまいこと逃げておるわというようなことでほめられるような答弁ではなくて、もう少し面と向かってまともに答弁をするような考え方をこれからは持ってもらわないと、あなた自身通産省という大世帯をこれから担当していく上において、特にこの委員会とは、私どもはいやだと言っても、あなたのほうがこう押しかけてきて、法律を通してくれ通してくれといって、あなたやらなければならないでしょう。さすれば、あなたと私どもこの商工委員会との間には、その間に何らかの通うべきものがなければならないんだよ。電子計算機ではいけないわけなんだよ。そこを私はあなたに強く希望して、答弁は求めません。ひとつあなた自身ゆっくり考えて、この次に顔を見せてもらうときに、それがどの程度示されるか、私は心待ちに待っておりますよ。
  74. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 本日の質疑はこの程度にとどめたいと思います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  75. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時六分散会      —————・—————