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政府委員(
橋本龍太郎君)
渋谷委員も十分御
承知であり、先ほどからそうした点を踏まえて御質問いただいてきたわけであります。
生活保護そのものは、
わが国の現行
憲法のもとにおいて、
最低の
生活水準に達し得ない貧困の御家庭に対し、何らかの事情のある家庭に対して手を差し伸べて、国としてできる限りのお力添えをしていこうという考え方から出てきたのであります。これ
自体は、私
ども今後もなお伸ばしていかなければならないものであると基本的に考えております。しかし、いやしくも不正な
手段で
保護を受ける、言いかえれば、みずからそれだけの権利がないものが、その権利を詐取するというような行動に対しては、これは厳正に法を
運用し、排除していくように全力を尽くしてまいるという点では、従来と、とってきた方針には変わりはございません。ただ、ただいま御
指摘のありましたような
ケースが、現行十分にチェックし得ないために出てまいりましたことはきわめて遺憾であります。今日までも、私は、
関係係官はみずからの全力は尽くしてまいったと考えておりますし、今後ともにその全力は尽くしてくれるであろうと、そのようにも考えております。法の厳正な
運用には今後も十分な努力をいたしてまいるつもりであります。そして、同時にいわゆる個別
ケースの
監査にできる限り十分な力を入れて、先刻申し上げましたように、特に
福祉事務所の
活動等に制限を受けやすい、困難の多い地域、いわゆる
大都市を
中心とした地域については、特に十分な
監査を行なってまいりたいと考えております。また、その結果、具体的な
不正受給の事実が
発生いたしました場合、また不適格な
事例が
発生いたしました場合、それ相応の処置をとっていくことも、これは当然であります。
ただ、最後に
渋谷委員に一点、これはお願いをいたしたい点がございます。ただいま
特定の
福祉事務所、
ケースワーカーのつくり上げた書類でありますと称するものを一部この委員会の席上に、その写真版を御呈示になりました。公労員にはいわゆる機密の漏洩に関する責任がございます。いやしくも個々の
国民の御家庭の中にまで特に立ち入ってまいります福祉行政におきまして、その個々の御家庭の完全にプライバシーに属すべきことが必要以上に世間に明らかになることは、断じてこれは国としても妨がなければなりません。特にそうした点では
ケースワーカー等、こうした仕事に従事される
方々に対しては、そうした点で個人の家庭
生活に対する機密の保持について十分の責任があるわけであります。これがいずれの場所からどのようにして
渋谷委員の手元に届けられ、資料として提供せられたものであるか私は存じませんが、でき得ますならば、そうした
関係の書類、特に
特定の公務員に対し機密の漏洩の疑いさえ起こり得るような書類に対しましては、でき得る限り資料として御行使いただく範囲にとどめられ、むしろ機密漏洩その他の問題で、私
どもが、真剣に努力を毎日繰り返しております
ケースワーカー等に対して処分を考えなければならぬような
事態だけは起こさないように御
協力を願いたいと思うわけであります。私
どもとしては、個々の
ケースにつきましても、従来も
能力のあとう限り全力は尽くしてまいったつもりであります。不幸にして、いま御
指摘を受けるような幾つかの問題点が提起をせられました。具体的に氏名その他をあげられました二つの
ケースについては、さっそく厚生省としても責任をもって
調査をいたし、その
調査の結果によって
不正受給の
実態あるいは不適法な受給の
実態が明らかになりました場合には、法の示すところによって厳正に処分をいたします。同時に、今後個々の
ケースにつきましての
監査にもでき得る限り万全を期してまいるつもりでおります。