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説明員(村中俊明君) 従来出ている種痘後脳炎の発生に対して根本的な対策が立てられなかったのはなぜかという第一点についてのお尋ねでございますが、これも御承知のとおり、重篤な副反応による合併症あるいは特に種痘後脳炎という問題は、学問的にも定型化されていないという学者の見解が現在もあるわけでございます。最終的に確定的なそのような種痘後脳炎の判定というのは病理学的な解剖に待たなければできないというふうな
意見も出ているくらいでありまして、これは各国とも種痘後脳炎の学問的な究明ということについては学者の
相当一生懸命な研究はありますが、残念ながらいまもって種痘後脳炎の解明というのは明らかにされていないというのが私ども承知している種痘後脳炎の実態であります。ただ問題は、一体その種痘とどこまで関係があるのか、あるいは種痘と関係がないのかどうか、ここが私は次に問題になるところだと
考えます。
ただいま関連で藤原委員の御指摘になりました、先般集計されました十名余りの症例について学者の
意見を求めたわけでございますが、この学者の
意見が一部誤解された向きもありまして、この機会に私の見解を申し上げておきたいと存じます。先ほど申し上げましたように、この十一例の症例につきましては、病理学的な解剖を含めた一例については、これは学者の各専門の方々が全く異見がない、これは種痘後脳炎であろうというふうな判断を下されました。それから診断書によって種痘後脳炎という報告のあったものは十一例のうちたしか六例、疑いも入れまして六例だったと記憶しております。この六例というのが、従来、人口動態統計によって国に報告されてくる種痘後脳炎あるいはその合併症の死亡というふうな該当の中に入るわけでございますが、これらの死亡診断書の種痘後脳炎という報告のあったもので
調査資料として検討をされた中には、データについて不足な分はあるけれども、この取り寄せられたデータから判断する限りにおいては、明らかに種痘後脳炎という判断はできないけれども、種痘との因果関係というのは
相当あるものもある、あるいはこれはまず種痘と関係がないじゃないかというものについては残りの五、六例があるだろうというふうな見解がございまして、このときの学者の
意見としてはこういうわれわれ専門家の
意見であるけれども、これを行政がどういう形で受け取るか、今後措置をする場合にどういうふうにこの
意見をとるかということは行政の当局の問題である。この点につきましては、私
自身もその会合では、行政上の
意見を求めることではなくて集められた十一例のデータについて学者の専門的な御
意見を伺うということが趣旨であるということでこれは了解をいただいたわけでございます。多少御
質問とそぐわない点があろうかと存じますけれども、今後私どもが行政的にそういう不幸な転帰をとった方々についてどういう措置をするのかというふうな行政上の配慮の中では、当然そういった、ただいま申し上げましたような対象についても検討の中に入れたいと、こういうふうに現在
考えているわけでございます。十一名の中で学者の
意見の一致した一例だけが今後の行政上の配慮をする場合の対象になるのだということではないということを申し添えておきたいと存じます。
なお、体質的な問題あるいは
予防接種にある程度の関係があるのじゃないかという点についての渋谷委員の御指摘でございますが、現在、ただいま申し上げましたように、関係があるようであり、また接種を受けた赤ちゃんの個人的な体質によるようでもあるという点の検討につきましては、学者の中でも
意見が必ずしも一致していない。私どもが種痘後の副反応をできるだけ避けたいという中には、そういう特異体質をどうやって事前に把握するか、それで該当
——接種しないことが適当と判断される場合には排除する、あるいは時期をずらせる、あるいは予防的な何らかの
方法を講じて接種をするというふうな対象をどうやってえり出すか、さがし出すかということが私は社会的な不安を除く大切な要素の一点だと
考えております。そういうことで、先ほど申し上げましたけれども、予診の
方法あるいは接種の
方法、あるいはおかあさんに赤ちゃんの健康
状態をよく確かめる、赤ちゃんの生活のヒストリーというようなものも頭に入れてふるい分けをするということが私は必要になってくる問題だと
考えまして、先般来、各県に指示あるいは指導しているということでございます。