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1970-11-06 第63回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十一月六日(金曜日)    午後一時八分開会     ―――――――――――――    委員の異動  九月五日     辞任         補欠選任      河田 賢治君     岩間 正男君  十月十二日     辞任         補欠選任      岩間 正男君     野坂 参三君  十月十九日     辞任         補欠選任      野坂 参三君     岩間 正男君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     理 事                 高橋文五郎君                 柳田桃太郎君                 林  虎雄君                 多田 省吾君     委 員                 後藤 義隆君                 宮崎 正雄君                 渡辺一太郎君                 横川 正市君                 瓜生  清君                 岩間 正男君    国務大臣        自 治 大 臣  秋田 大助君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    小林  朴君        法務省刑事局刑        事課長      前田  宏君        自治省行政局選        挙部長      中村 啓一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件公職選挙法改正に関する調査  (選挙制度に関する当面の諸問題に関する件)   〔理事高橋文五郎委員長席に着く〕     ―――――――――――――
  2. 高橋文五郎

    ○理事(高橋文五郎君) それでは、ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会開会いたします。  本日、井川委員長が所用のため出席できませんため、私が委託を受けましたので、委員長の職務を行ないます。  選挙制度に関する当面の諸問題に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 横川正市

    横川正市君 久しぶりで公職選挙法特別委員会が開かれるわけでありますが、委員会での案件事項をずいぶんだび重ねて重複指摘いたしておりますけれども、ほとんど見るべき解決をいたしておりませんので、きょうは大体その問題点を拾って大臣質問をいたしたいと思うわけでありますが、まず新聞で報道されるところによりますと、第五次選挙制度審議会答申を得て、一部公選法改正をいたしましたあと、これが実施段階に入ってからもまだ日が浅いわけでありますが、再び与党の中にも、また衆議院連絡懇談会の中ででも、改正意向というものが出されてきております。その内容あとで触れるといたしまして、まず大臣に、選挙制度審議会答申取り扱いについて、これはおそらく尊重とかなんとかということばで言われることだろうと思うのでありますけれども、実際に尊重をしているというたてまえでおられるかどうか。第五次答申答申を受けて改正された一部改正とあわせてひとつお答えいただきたいと思います。
  4. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) もちろん答申趣旨尊重をいたしておるところでございまして、いろいろ現在の状態につきましても御議論がございましょうし、また現状をある程度変更の必要を認めておるという議論に対しましてもいろいろ御議論があろうかと存じますが、総じて政党政治活動選挙の際におきましてもその政治活動の自由は十分尊重されなければならないと考えております。
  5. 横川正市

    横川正市君 私は答申取り扱い関係して今日出されている問題に二つの方向があると思うんです。一つは、選挙をやった結果、政党が、党利党略といってしまえば身もふたもありませんが、現実に合わしてみたら答申はどうであったというたてまえからの改正意見一つあるわけなんです。それからもう一つは、根本的な問題で、答申を得るまでにはこれは自治省選挙局を通じて十分意見も具申をし、またいろいろな資料提出をし、しかも第三者の意見も相当聞いた上で答申というのが出されるわけですから、その答申を受けてはやはり自治省としてこれを完全実施をする、いわゆる尊重という立場をとるか、それとも実際に選挙施行官庁として、その答申について、より前向きで検討されたものを出してくるか、いずれも選挙法改正については二つの道筋というものがあるんじゃないかと思うんです。  そこで、前者政党間の問題ですから質問の素材にはなりませんが、選挙を担当されている自治省として、答申を受けて改正するというような意味の準備というものはやられておるわけですか。それとも現行で改正する意思はないというたてまえをとっておられるのか。もしその前者であるならば、その内容についてと、それからそこまでに至った経過を御説明いただきたいと思います。
  6. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) ただいまも申し上げましたとおり、政党政治活動の自由たるべきこの大原則はあくまでも尊重しなければならないという基本観念に終始立っておることはもちろんでございます。  そこで、第五次選挙制度審議会で得られました答申、この答申はもちろん尊重し、その原則はもちろん変える必要はない。しかし、実際の適用運用におきましていろいろ行き過ぎが生じまして、自由そのもの原則尊重され、この原則変更を加える必要はこれは認めませんけれども、実際の運用におきまして実際上いろいろ不都合が出てくる、あるいは行き過ぎがある、したがって、現実に照らしてはやはりここを、こういうふうに直したほうがベターではなかろうか、公正にして冷静な、そうして自由な選挙のあるべき姿からいってどうかと思われるような状況がある程度世論となりました段階におきましては、これはやはり考うべき問題点があるのではないか、こういうふうに考えております。しこうしてこの点につきましては、自治省といたしましても検討の要を認めると同時に、ひとつ皆さまにおかれましても十分この点をいろいろ御検討願い、やはり政党間の合意と申しますか、最大公約数と申しますか、そういう点を十分見きわめた上でその御意見尊重して、改善を加うべきものは改善をしたらどうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  7. 横川正市

    横川正市君 内容についてはあとでまた触れるといたしますが、次に第六次制度審議会答申取り扱いでありますけれども、これは御案内のように、参議院の地方区の定数是正、一部減一部増という問題が提起をされました。その決定までの経緯選挙局から出されました審議会資料でも明らかなとおり、相当多岐にわたる意見がありまして、その意見を最終的には一、二票くらいの差でもって議決をしたという経緯もあります。しかし、答申のたてまえを私ども尊重するとすれば、答申に沿ってすみやかに具体化されるということになろうかと思いますし、さらにまた、これはこの答申を受けてより現実的にものごと解決しようとするならば、これはやはり一つの前向きの案というものも考えられると思うのでありますが、この第六次の答申を受けて、その取り扱いをどうされるのか、次のもうすでに臨時国会あるいは通常国会、それから参議院選挙日取りもすでに決定をされているわけでありまして、そういう一定の日程の中でどういう取り扱いをされるか、この際ですから明らかにしていただきたいと思います。
  8. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 参議院選挙日取りは、ただいま決定されておると先生おっしゃいましたが、まだ正式決定をいたしておるわけではございませんが、まあ法律規定等からいきますと、およそこの限度になりゃしないかというおよその目標が考えられる点は、自治省としても見解を申し述べたことはあるわけでございます。そこで常識上それらの期限があることでございますので、十分これに間に合わさなければなりません。したがって、遅延を許しませんが、通常国会劈頭にひとつ提出をさしていただく、文字どおり劈頭と言わなくても最初のころに、たいしておくれない期限に出したいと、こう考えております。しこうしてその内容はもちろんこれまた第六次選挙制度審議会の御答申趣旨十分尊重をいたしまして提出をいたしたいと考えております。しかしながら、この点につきましては、ただいま先生も御指摘のとおり、答申決定につきましてはいろいろの経過があり、また数票の差をもって表決できめたというような点もございまして、そこに実際上いろいろいわゆるプラマイの結論につきましては御意見もあろうと存じますから、それまで時間の許す範囲におきまして関係方面の御意見を十分お聞きをいたし、その上で答申趣旨尊重して出したいと、こう考えております。
  9. 横川正市

    横川正市君 事実上沖縄の加えられる二名については、現在定数よりかオーバーになること、これは審議会でもそのことを満場一致で議決をいたしておりますから問題ないと思う。すなわち二百五十名の以内でものごとをきめなければいけないという線は、沖縄の復帰に伴う国政参加で事実上は二百五十二名というワクになっているわけです。それからこの決定された時点における各都道府県の人口といいますか、これも非常に流動的な状態が出てきております。東京とか大阪とか神奈川に対して栃木、群馬、岡山というような名前をあげて決定をいたしましたが、おそらくことしの人口調査の結果からしますと、やはり依然として四名区は六年四名、三年で二名ずつですが、六年で四名区で六年で二名区の人口よりかあるいは下回る場合も出てくるというような事例がなきにしもあらずだということも考えられます。具体的にまだ人口は出ておりませんが、熊本の四名と岡山の、改正されれば二名というんですが、これはまあ明らかに数の上で逆転するんではないかというようなことも言われているわけですが、そういうような場合がもし明確になったときは、これはどういう取り扱いをいたしますか、二百五十名のワクの問題と関連して。これはまあ、きめられたまでの経過からすれば、これは異例な結果ということが出てくるわけですが、見解はどうかお聞かせいただきたいと思います。
  10. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) ただいま申し上げたとおり、答申趣旨尊重すべきことは一方にございますが、同時にその答申趣旨は、いわゆる定員の四名、二名に関しまして、人口との関係が不合理にならないようにという趣旨から出ておることもまた当然のことでございます。ところが、その後の事情で、ただいま御指摘のように岡山熊本でございますか、基本台帳登録人口からいくとどうも逆なようなことになりゃしないかというおそれもあるわけであります。そこで、この問題はあくまでもやっぱり人口国調によるべきだと思いますけれども、それを想像しても、もし不都合な場合があった場合はどうするかということは、これは当然考慮しなければならないと思います。ただ、あくまでもここで仮定に立って申し上げることは差し控えたいと存じますけれども、ふやしあるいは減らしたにつきましては、沖縄の問題は別といたしまして、参議院定数変更を避けたいという趣旨と同時に、その中にやはり人口比定員との比において著しい不合理だけはこれを避けたいという御趣旨があるわけです。それがそのときにわからなかった。ただいまそれが、もしはっきりしたという段階ならば、当然これは形式的な趣旨に、御答申の結果と形式的にあるいは違うかもしれませんが、その趣旨をやはり尊重するという立場で何らかの考慮が必然的に要求されてくるのではなかろうかと、まあ考えておりますが、その事態に処しまして、これは善処をいたさなければならないかと存じております。
  11. 横川正市

    横川正市君 私は、まあこれは明確に、その地域の増減を明らかにして、答申をしたときの事情が同じような事情で変化があったからといって、そう適用制を拡大するというようなことは、ちょっと不可能なんじゃないかというふうに思います。  それからもう一つ問題なのは、これは論議をしましたけれども十分解明されなかった点で、いずれの県もこの参議院制度制定当時の人口と比べていささかふえてこそいれ、減少した県が一県もないという、そういう事情下にあって、なお制定当時の趣旨というものを生かす方法は一体どうしたらいいかという、この趣旨が実は論議過程では未成熟だったと思うんです。そうでなしに、二百五十名のワクということにとらわれて配分すればということが逆算された傾向というものがありますから、これはぜひ検討されるときには考慮に入れて十分御検討いただきたいというふうに思います。  それから次に、この第七次制度審議会発足なんですが、前回の委員会のときにも、すみやかなる発足と同時に、その内容について改正すべき点があれば改正して、より審議会としての機能を発揮させる方法はどうかという質問をいたしましたときに、大臣からは、すみやかに発足させたいということであります。内容についても検討したいということでありました。これは、発足についてはどういう段取りになっておりますか。
  12. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 発足につきましては、前々から申し上げておりますとおり、あまりおくれないように早くいたしたいと考えて、実は先月中にもできたならば発足させたいという意向を当委員会及び衆議院公職選挙特別委員会でも申し上げたところであります。遺憾ながら先月中に発足を見なかったわけでありますが、ただいませっかくいろいろ努力をいたしておりますので、これもほど遠からぬうちに発足の運びに取りつけたいと、せっかく努力をいたしております。  それから人事編成内容につきましては、いろいろ御論議ありましたところを十分踏まえまして、いろいろ検討いたした結果、今後人選の実情とあわせつつ、いろいろいま練っておるところでございますので、いましばらくお待ちを願いたいと存じます。
  13. 横川正市

    横川正市君 問題なのは、特別委員としての国会議員を同じ審議会委員として参加させるかどうかという問題と、それからもう一つは、一年という期間になっておりますけれども、一年ではまことにあれですね、専心してやりましても論議は尽きませんし、中途半端なまま任期が終わるということは、いままでの六次までで、ほとんど完全な形での答申が出たというのはあまりないわけですね。ですからこの審議会に重点的にかけられる問題点は、今度の場合は参議院全国区を比例代表制にしたらどうかということは、ほぼこれは一、二抜かして、多数の人たちがそうすべきだという意見を持っておるでしょう。それをかりに行なうとすればどうするかという問題が論議をされる。それからもう一つは、これは各国すでにそれぞれ実施をいたしておりますが、年齢引き下げの件ですね、十八歳にしたらどうかというような問題がありますが、これも一つ案件になろうと思いますけれども、今度かけられるとすれば、この人的構成期間あるいは六次で残されたものを新たに私どもが十八歳未満の……まあ十八歳の選挙権の問題が取り上げられるのではないかと思います。審議会に委託するとすれば、項目としてはどういう内容のものを考えられるのですか。
  14. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 順序が逆になりますが、お答えを申し上げますれば、年齢引き下げの問題につきましては、御承知のとおり、わが国は選挙権二十歳でございますが、世界各国二十一歳というところも相当数ございまして、これらの点から考えますれば必ずしも年齢が高きに過ぎるということはないと思いますが、しかし、欧米のいわゆる先進国といわれる諸国、英国、西独あるいはアメリカ等におきまして、十八歳に引き下げ実施に踏み切ってすでに実行されたところもありますし、また、法律手続の終わられたところもございます。こういう先例も十分考えまして、これが法律制度全般に及ぼす影響あるいは青年の政治意識調査等々、関係項目につきまして、十分検討をしながら考慮をしてみたいと思っておりますが、次の第七次選挙制度審議会答申を得るにつきましての討議項目にひとつこれを加えるというところまではまだ踏み切っておりません。  それから特別委員の点につきましては、いろいろ御議論がございますが、今後また御議論を重ねていただきたいと思いますが、自治省といたしましては、現在、これを直ちに前例と違う措置を講じようという点にまではまだ踏み切っておりません。  審議委員任期の点につきましては、私個人といたしましては二年がしかるべき――少なくとも一年では短きに失するのではなかろうかと思います。しかし、これも問題によりまして、時期によりましては、あるいは二年ということがかえって問題の解決を延ばすというような具体的事情になる場合もあろうかとも存じますが、私は、現在二年くらいは妥当ではないかと個人的には考えておりますが、それでは直ちに二年に踏み切って法改正等実施しようかとまではまだ正直に申し上げまして――各方面の御意見をもう少し検討し、かつ、お尋ねをした上でやってもおそくはなかろうかと、発足を見た過程におきまして御論議も願いましたならばいいのではなかろうかと、このように考えておる次第でございます。
  15. 横川正市

    横川正市君 私は、この人的な構成の中での特別委員取り扱いは、実は、この審議会に率先して参加をいただいた公益委員といいますか、学者とか文化人、そういう人たち意見の中に、政府答申取り扱い姿勢と関連してある一つの抵抗みたいなものが出てきて、そうしてせっかく人選の中に入りながらお受けしないというような傾向がだんだん出てきて、そのこと自体審議会の質が低下したと言えば現在の審議委員の方に申しわけないのですが、まあ非常に前向きで積極的にというような姿勢方々がだんだんお受けしないという、こういう結果になってきていると思いますし、それから、私は党から審議会委員に初めて選ばれて一年間精勤をしたわけなんですが、その精勤をした中での与党審議会委員方々、これは同僚である大竹さんは別ですが、大竹さんはまず精勤されておりますけれども、まことに出席が悪くて、これはもう、名実ともにいないほうがましだと思われるような出席率内容です。たまに出て来て前の案件をひっくり返す役だけですね。これは与党というバックでひっくり返すだけですから、これはまことに審議会が前向きに進まない。こういうブレーキになっているわけです。それからもし選ばれるとすれば、この点が十分配慮されて、この審議会で熱意をもってやれるという、そういう人選であれば私どもはこのことをとやかく言わないのです。しかし、それがおざなりにやられてきたために審議会自身が権威を失墜しているということがありますので、この点を問題として提起をいたしました。  それから期間は、いかにも一年――実に精勤をいたします。一カ月に二度、三度と委員会を開いて、他の委員会では例を見ない審議をいたすわけでありますから、それでもなおかつ一年では満足な答えを出すことができない。私は最低二年というのが必要要件ではないか、このことは審議会委員になった者はまず満場一致賛成されておることではないだろうかというふうに思います。この点をあわせてひとつ構成については考慮していただきたいと思います。ですから、すみやかに発足をさせて、期間だけならばこれは法律改正をしてそのまま自動的に期間延長ということはあり得るのじゃないかと思いますが、そういった処置はどうか。先般のときには審議の途中ですが、国会開会中に特別な処置各党話し合い期間を延長したらどうかというような意見もあったのでありますけれども、そのままに期間切れになってしまった例もありますから、この点もひとつ考慮していただきたいと思います。  それから満十八歳の年齢引き下げの問題なんですが、これは答申を得てやるおつもりですか。それとも政府自体としてこれはまあ独自に提案をされるという考え方でしょうか。そのどちらをおとりになりますか、出すとすれば答申を得てお出しになりますか、どちらを選ばれますか、ひとつ見解をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) これはかりに選挙権年齢引き下げを実行しようとすれば、当然これは審議会にかけましてその御答申を得てやることが妥当であろうと考えております。しかし、いま先ほど申し上げましたとおり、審議に付するかどうか、その題目にあげるかどうかということにつきましては、もう少しく部内の検討を経た後にいたしたいと考えております。
  17. 横川正市

    横川正市君 これは納税義務選挙権の問題とか、あるいは公選法と民法の関係とか、あるいは西独とかアメリカでは兵役の義務との関係とか、日本でいえば志願年齢といいますか、それとの関係とか、非常に問題は多岐にわたって、選挙法独自の年齢引き下げということになるか、その他の問題とどう関連するかということもありますので、私は、これはやはり審議会構成の問題にも相当関連をしてくるんじゃないかというふうに思いますから、この点は配慮されてひとつすみやかな決定をしていただくように、この際ですからお願いをいたしておきます。  それからどうもこれは個々の私は事例をあげて質問をするのはきょうはやめておきたいと思うのでありますけれども、もうすでに新聞は、来年行なわれる参議院全国区の選挙立候補予定者として明らかになっている人たちですね。この方々が現職中の地位というのを利用されて、そして事前活動にきわめて活発な活動を展開をしている、このことはさき衆議院特別委員会でも指摘をされて、調査をされることを約束されておるようでありますけれども、私はきょうは、そういう立場にある人たち立候補をしようとされる、あるいはするかもしれないという段階にあって、違法となるものとそれから適法となるものとの明確な選挙法上の見解というものを明らかにしてもらいたいと思うんです。いまのような、何といいますか、形式的なあいまいさの中でやりほうだい、これは少なくともさきの三十四年の答申ですか、高級公務員立候補の制限の問題がすでに答申として出ているわけです。実施をするのには非常に消極的にならざるを得ないような幾多の問題があります。これは私ども承知いたしております。しかし、それだからといって、これは野放図、野放しになったのではない。やはりこれは制限すべきだといわれるほどの弊害というものを考えられてそれに付随して答申が出て実施がおくれている、こういうことだと問題をとらえるべきだと思うのですが、一体個々の問題で、たとえば私は予算委員会で四国を回っておりましたら、私どもと同じような席で二階で非常にたくさんの方々が大宴会をやっている、だれだといったら、これは農林省の次期全国区の立候補予定者関係者あいさつのために来ているのだと。出席をしておった知事が、そっちのほうにもあいさつに行かなければならないので、ちょっと失礼しますというような具体的な事例にぶつかるわけです。こいつは一体現在の公職選挙法から照らしてみて適法なのか違法なのか、明確に判断をしないで、しかも野方図野放しにしておくということは、これはいかぬと思うのです。私はきょう取り締まり当局を呼んでおらない。取り締まり当局を呼んでおらないのはなぜかというのは、なぜ取り締まらぬというのではなしに、その前段に違法なのか適法なのかもう少し明確にしたらどうかと。選挙取り締まり当局でなしに、施行当局意見として出すべきだと、私はそう思うから、きょうは関係者を呼ばずに大臣に御質問するわけでありますが、どうですか。いままであった事例は具体的な問題として調査しますということは、衆議院でお約束をした。しかし、きょうは私はもうそういう立場の人に、やれることとやれないことと、もう少し細部にわたって明確にしたらどうか。それを取り締まり当局に渡して、そして具体的な取り締まりの対象として取り上げてもらう。非常に不明朗だと思うのです、このことは。大臣見解をひとつお聞かせいただきたい。
  18. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 個々事例につきましては、ケース・バイ・ケース、具体的事情によって判断さるべきものと思います。しかし、その判断をするにいたしましても、一定のやはり基準というものはおよそ考えられるべきものではないかと存じます。この点につきましては、すでに局議で大体を決定いたしておるところでございまして、昭和四十二年六月の局議決定というものがございますので、さらに詳細御質問ならば、事務当局からお聞き取りをいただきたいと存じますが、もちろんこれとても、さらにいろいろ事例を重ね、判例を重ね、研究を重ねて、さらに正式決定を期すべきものだと存じますが、一応の基準というものは局議で決定をしておる次第でございます。
  19. 横川正市

    横川正市君 私は形式的なことで取り扱うのでなしに、少なくとも国の行政をあずかったということは、これは個人の財産では私はないと思うのです。次官とか局長とかをやったから、それでは行政を担当しておった当時の、たとえば予算の配分権であるとかあるいは仕事を実施するときの印鑑を押す責任者であった。それは高級公務員の財産ではないはずなんです。これはもう、少なくともそれを財産と心得ているからこそ、高級公務員の当選率は高いわけです。少なくともこれは道義的に違法と思われる点があれば、これは私は行政担当者として十分理解をすべき問題だと思うのです。  それからもう一つは、そういう現職当時に世話になったからという理由で、退任あいさつですか、それを迎えて宴を張る。しかも、見知り知らない人たちまで招集をかけて大々的な宴を張るということは、これは一体どういうことなのか。宴を張るようにすると、世話になったから、やめたのでお礼だと。これはもう、財産ならそういうことが言えると思いますが、当然の仕事としてやられたことを、それを今度はお礼として迎えるというしきたりですね、これは日本の国情から見てきわめていいことだという風習だととられているとすれば、私はいささかこれは利用し過ぎたことにならないか。いずれにしても、高級公務員の地位の利用というのはどういうことなのか。選挙法に照らして、ただビラがどうだとか、広告がどうだとかということではなしに、もう少し厳格な姿勢というものが必要なのじゃないか。与党とすれば一人でも当選すればいいから、目をつぶっている。これでは、正義というものは貫けないと思うのです。その辺の取り扱いを私はもう少し厳格にすべきではないかと思うのです。だから地位利用というのはどういうことなのか。そして、そのことが明確になれば取り締り当局はもう少し取り締まれるわけです。それが明確でないから、何とはなしに世俗的な風習とか人情とかということで片づけられてしまう。そういうきらいがあると思うのですが、この点は見解として明らかにしていただきたいと思います。
  20. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 総じて高級官僚はその地位に現在ありまして、その地位があるがままにおいて、次の近づいた選挙に出馬を予想される状況で選挙運動を効果的に、相当影響力を及ぼすような行為を行なうことによりましてやはり選挙の自由、選挙の公正に影響を及ぼすようなことがあっては、これはならないと思います。厳重に自他ともに、その人自身また官界として十分自粛自戒をして、さようなことがあってはならないようにすべきなのであります。同時に、しからば、具体的事態はどうかという点につきましては、ただいま申し上げましたとおり、ケース・バイ・ケースの実情によりまして最終的な判断が下さるべきものでありますが、それにしても、こういうことはただいま言ったような選挙の自由と公正をじゅうりんするものである、あるいはそのおそれがあるという点につきましては、局議の形でわれわれの見解を示しておるところであります。それは十分検察当局におきましてもその用に供せられておると確信をいたすのでございまして、総じましてこの高級官僚による地位利用における選挙の公正と自由を害するということにつきましては、十分警戒過ぎるほど警戒をして警戒に過ぎることはないと私は思っております。
  21. 横川正市

    横川正市君 それは非常に抽象論みたいなかっこうで、現実にはもう大手を振って歩いていることを国会で取り上げたから、厳重にとか、十分警戒をしてとか、そういうふうなことで実はおさまらないことなのではないか。新聞がずっと全国的な立場に立っていろいろスクープして、新聞に出たその人間だけが実は違法行為をやっているのじゃなくて、少なくとも予定される候補者が、高級公務員の地位利用というのは、これはまことにけしからぬ。その地位を利用しなければ当選しないという、まことにこれはもう当然であるごとくに地位を利用されているこの現実、これをやはりもっと道義の面からいって明確にしてもらいたい、こういうふうに思うわけなのです。ですから、やれることとやれないことと明確にしろというのは、選挙法に照らしての問題もあるし、道義上の問題もあるわけですから、これはひとつ自治省でもっと明確にして、取り締まり当局が逡巡しないで取り締まれるような内容のものをひとつ明らかにしてもらいたい、こういうふうに思います。これは抽象論でなしに、お願いをいたしたいと思います。ですから、いまここに出ている自動車関係とか、厚生省関係とか、農林省関係とかという、これはもう毎回の選挙で札つきの方々ばかりです。厚生省なんて過去のあれで何百人といってこの前違反をあげたところですからね。それを今度は何か選挙が終わったあとで救済措置をまた現役の人が考えてやったとかやらぬとか尾をひっぱっている問題、今度また新しい人が出て同じことをやっているわけです。それを野放しにしておく手は私はないと思います。ですからそれは明確にしていただきたいと思います。  それからこの前ちょっと何か総理の四選後の記者会見でも問題になったようですが、総理の政治姿勢として、言ったことはやる中で、やらない最大のものは政治資金の規正じゃないかというふうに言われて総理はだいぶむっとしたなんという記事が出ているわけなんですが、私はこれは規制問題というかっこうでやられるか、それとも現実的に規制せざるを得ない方向でやられるかという、この後者の問題できょうはひとつ質問をしたいと思います。  それはたとえば法定費用という費用があるけれども、法定費用が有名無実になっているが、少なくとも政党活動選挙とを一つにまとめて、使われる金のワク、これを決定するような方法は一体どうなんだろうか。  それからもう一つは、選挙の中に非常に矛盾点として出てきておりますのは、ビラの制限とか、自動車の制限とか、事務所の制限というのは選挙法で候補者はがちっとやられるわけなんですが、ところがそれ以外、たとえば確認団体の場合には、これはもう自由に、費用の制限なしに行動できる。そうすると、一地域で候補者は車一台しか使っていないけれども、候補者を取り巻く政治団体は車を何台出してもいいというようなことで、その政治団体の運動とそれから選挙運動との中に一つも一貫性のない状態にいまなっているわけなんです。だから私は選挙運動も政治団体の行動も、これを一つの予算のワクの中でこれを縛ってしまうというような方法はどうだろうか、こういうふうに一つの案としては考えるわけなんですが、これについてどうお考えか。  それからもう一つは、きょうも朝日は「選挙自由化の後退に反対する」というふうに出ておりましたけれども、実は金のある者はきわめてオープンな選挙ができ、金のない者は自由化されたけれども制限を受けたと同じしか選挙運動ができないという悪平等を実は私は公正な選挙運動に直すべきだという点で、私どものほうでは、たとえば新聞とかテレビとかの政党の宣伝、PRですね、これは公営にしたらどうなのか。公営にして回数を明確にしたらどうだろうか。これはすべての政党が同じような取り扱い方をされるように、新聞の場合の政策宣伝もテレビのPRもあるいは週刊誌等の折り込みも、これはもう全部回数か、あるいは種別か、いずれにしてもこれを公正な方法でPRのできるような、そういう制限を加えたらどうなのか。いまはこの選挙の自由化自由化というその自由化が実は非常に大きな悪平等を来たしておるのでそれを制限をしたらどうなのか、こういうふうに思うわけなんですが、まあ二つの面から法定費用のワクといいますか、中に選挙運動も政治活動も入れる。あるいはこの運動の中で一つの制限を設ける。公正な運動を行なうために公営を強化していくというような方法をとったらどうか、こういうふうに思いますが、御見解をお聞きしたいと思います。
  22. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 高級官僚の地位利用の問題につきまして見解を申し上げたとおりでございます。むしろこれが実効ある方法をお尋ねになっていると思います。これにつきましてはやっぱり検察当局等の活動に待たなければなりませんが、少なくとも自治省といたしましては先ほど申しましたとおり、高級官僚の地位が選挙の公正と自由に影響を及ぼすような形というものは決しておもしろくないので避くべきでございますから、局議の事項等はもちろん検察当局の御承知のところでございますが、さらにこの点について連絡を密にいたしたいと考えております。  第二段の選挙費用の制限の問題、確かに問題点を指指されたと思います。  現在の選挙方法及びこれに対するいろいろ制限等が、個人本位の選挙のところに一部政党本位の政治活動の自由の原則による活動とがこれがこう二つありますので、そこにいろいろ問題をかもしあるいは矛盾をかもしておるという問題点指摘されたのではなかろうかというふうにも私感ぜられるわけであります。  この点につきましてはやはり二つの要素が現実はございます。これをどういうふうにうまく調整と申しますか、一本化すべきか。私は総括的に申しまして、政党本位の金のかからない公正な選挙ができるような方法、その方向にひとつ考えていくべきではなかろうかと考えておるわけでございます。しかし、そこに政党政治活動の自由の原則というものは十分考慮され、これをそこなわないようにしなければならないことは当然でございまして、ひとつこの点につきましては、皆さま方からもいろいろ御意見を徴しながら今後問題の検討と解明につとめてまいりたいと思いますが、現実そこらの調整を確かに真剣に考慮されなければならない段階に来ておると存じておりますので、今後ともその点を自治省といたしましても検討してまいりたいと考えております。
  23. 横川正市

    横川正市君 それからこれはどういう取り扱いにあるかお聞きいたしたいと思うのでありますが、新聞の地方紙ですね、地方紙は地方購読者拡張のためにいりでもある部数は刷っておることは私も承知しております。常時購読者以外にですね。ですから常時購読者が十万、十一万刷るとか十二万刷るとか印刷をしておる。ところが、選挙になりますと、特定の人の宣伝のために急激にそれが三倍も五倍も増刷されて、そして各戸無料配布される。これはまあ新聞は報道の自由がありますから、だれをどう掲げようとこれはまあ自由であるということを利用されて、そして特定の候補の宣伝がしかもまんべんなくすみからすみまでこういう地方紙を使って宣伝をされている事例が非常にあるわけなんですね。これは一体どういうことになるのか。どうも私は選挙法から見て適法とも違法とも判断しかねるもんですからこの際お聞きをしておきたい。
  24. 中村啓一

    説明員(中村啓一君) 横川先生の御指摘になりました件につきましては、若干技術的な点もございますので私からお答えをさしていただきたいと思います。  新聞選挙の際におきます頒布の態様につきましては、御指摘のようにたいへん問題があると思います。特に政党の機関紙につきましてその問題が大きく論議をされておるところであろうと思っております。  で、お話しのように、いわゆる販路の拡大というような意味で、ある程度無料で従来の会員なり党員以外に配るということもあり得ることかと思いますが、現状でしばしば見られますように、各戸に無差別に配布をするというような点は、当然法の予定をしておる通常の方法とは言いがたいと思っております。ただたいへん残念でございますが、そういう非常に大量に物量作戦になるという選挙は往々にして地方の首長選挙にございまして、かつ、その選挙につきましては、いわゆる大きな政党が複数で候補者を支持されるというようなことになりますので、にわかづくりの、ことばは悪いかもしれませんが、政治団体が確認団体になるというような面から、いわゆる通常の頒布の態様が明確でないというままにどんどん、どんどんと拡大された実行がなされておるように存じられます。私どもその点はお話しのように、通常の頒布というものが明確になるように何か考えるのが実情に沿うのではないかというふうに存じておる次第でございます。
  25. 横川正市

    横川正市君 これは私どもいつでもそういうことで苦い経験をいたしておるものですから、見解をただしたんですが、もっと明確にしてもらいたいというふうに私は思うんです。もっとも政党機関紙についてもある程度自由化される方向をとっているようですが、しかし、地方紙の場合、私はこれは無料頒布ではなしに、いずれかの政党が金を出すか、個人が金を出すかして、増刷した、増す刷りしたそのものを、おそらく一括して購入し、全体には無料配布をしているというのが、これが実態だろうと思うんです。ですから、そういうことが金の授受がわからないから取り締まりの対象にならぬとかなるとかということじゃなしに、そういう事実があれば必ずそういう現実が伴っているわけですから、そういう点からも、この点については、私はやはり規制すべき方向での明文が必要じゃないかと、こう思います。  それともう一つは、在外邦人といわれる、いわゆる海外に居住する日本人の選挙権の問題なんですが、日本にもちろん国籍を持ってそれぞれ外国に公務または会社、法人等の必要な要員として駐在する、あるいは旅行者は抜きにいたしましても、学問とかあるいは研究のために外国に滞在をする、そういうような方々選挙権の問題なんですが、非常にいままではおそらく留守宅に配布されてそのまま棄権票になるんではないかと思います。もちろんこれは選挙期間が短い市会とか町会とか村会等のような場合には、あるいは不可能かもしれませんけれども衆議院とか参議院とかというような場合には、いまいずれの国からでも航空便で四日が大体到達時間になっておりますから、一週間ぐらい見ておけばまず投票行使というものは可能になるんではないか、これは不在投票の問題と関連して考慮されてしかるべきじゃないかというふうに思います。ことに外務省あたりからは相当多数の方々が在外公館に勤務をいたしております。最もこの日本の国益を代表している方方が選挙権の行使をしない、長い方は何年もしないという、こういう状態に放置をされているわけなんで、これはやはりこの際何らかの方法をとって、公民権行使をできるような方向をとるべきじゃないか、こういうふうに現地の方々の強い要望もありましたが、ひとつこれについて見解をお聞かせいただきたい。また、実現しようとすれば何が隘路でできないのかという問題も含めてひとつお答えいただきたい。
  26. 中村啓一

    説明員(中村啓一君) ただいま横川先生のお話のありました件は、確かに従来からの選挙の管理面をめぐりましての問題点一つでございます。この問題につきましては、一つは海外でそこに活動される人は生活の本拠が海外にあるということになりまして、日本に住所要件がない。したがって、選挙人名簿の登録のしょうがないという問題が一つございます。それからもう一つは、お話のありましたように、具体的に投票をするについて物的あるいは時間的に到達可能かどうかという問題がございます。前者の住所要件につきましては、現在船員について特別な制度をとっておりますので、まあ、そういうことも考えあわせますと、たとえば海外に生活の本拠を有する者の住所がたとえば東京都にあると推定するような制度をつくるとか、いろいろな研究の余地はあろうかと思っております。それから投票のしかたにつきましては、お話にもございましたように、もっと海外旅行中の人の不在者投票ということも含めて在外公館等が投票していい場所に指定をされるような形で進められないかというような論議も従来やっておるところでございまして、私どもとしては、お話にありましたように、不在者投票制度のさらに一歩を進めるという全体のかね合いにおきまして御指摘の点も十分研究をしてみたいと思っておるところでございます。
  27. 横川正市

    横川正市君 最後に大臣に、これはまあ政党の良識に待つ以外は方法はないかもわかりませんが、選挙費用の政党間協定ということで成功している例が西ドイツにすでに出ている。アメリカとかイギリスでは法定いたしておりますけれども、その法定をしても抜け穴だらけで、その具体的な内容では非常に違法が行なわれているという事例を今度のイギリスの場合ではやはりそういう事例が非常にたくさんあったといわれております。さき西独選挙の場合、政党間が協定をして、そうしてポスターとかプラカード、それから演説会とか、あるいはその費用をたとえばCDU、CSU、SPD、千五百万マルク、あるいはFDP、千三百五十万マルク、金にいたしますと、前者が十三億五千万円、後者が約十二億円というような限定費用というものを政党間協定できめまして、そうして公正な選挙を競う、そういう前向きの姿勢をとって、しかも非常な成功をおさめ、選挙も静かである、それから各党間が公正であるというようなことが行なわれたといわれておる。私は協定が成功して、法律が不成功というのは、これはどうもくみ取りにくい問題ですが、こういう事例もあることですから、これは先ほど申しましたように、運動を片一方では制限しているけれども、片方では抜け穴だらけの法律を併用させておくというようなことはすみやかに改善すべきだ、こう思いますので、この点は参考として示して要望をいたしておきたいと思います。
  28. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、最初に政治活動の規制の問題で御質問申します。  私たちは、従来戸別訪問の自由化あるいは文書図画活動の自由化ということは一貫して自由化すべきであるという方向でまいりました。私自身もこの参議院選挙法改正特別委員会あるいは選挙制度審議会等におきましても、一貫してこの政治活動の自由を規制するような問題に対しましては反対してまいったわけであります。そうしてあくまでもこの政治活動選挙活動は、戸別訪問あるいは文書図画の配布等は自由にすべきであるという観点に立って主張してまいりました。その観点から考えますと、今回、自治省案かあるいは自民党案か知りませんけれども、いま協議されているような政治活動を規制するような案ですね、まあ自由化の行き過ぎを是正するというような名目で、実は政治活動選挙活動の自由を規制するような案ではないかと私たちは思うわけでございます。特に機関紙の問題あるいはシンボルマークの問題あるいはビラ、パンフレッド、チラシ等の問題におきましては、これは私たちはあくまでも自由化の方向で向かうべきであるというように考えます。ですから規制には私たちは反対でございます。ただ、この前もこの席上で申し上げましたように、まあ去年の府中の市長選挙並びに都議会選挙におきまして、市長候補を出していない団体におきましては、都議会の選挙における政治活動も非常に規制された問題がありました。これは非常にアンバランスだと思います。そういった面は、自由化を拡大する方向でアンバランスを是正すべきである、このように私たちは主張してきたわけです。この問題は、やはり私たちは選挙法改正改正すべきである、こう思います。特に自治省案を見ますと、都道府県会議員選挙の場合は、首長選挙と重なる場合は、これは自由化の方向でアンバランスを是正すべきであるという方向を打ち出しているようでございますが、来年行なわれる予定の東京都知事選挙並びに同じ日に行なわれる東京の区会議員選挙、この選挙も非常に問題があると思います。ですから都道府県会議員選挙のみならず、やはり東京都の区会議員はいま九二%が政党化しております。やはり都道府県議員選挙の場合と同じように、東京都の区会議員選挙の場合も、この都知事候補を出していないような団体におきましても政治活動は自由にさるべきであるという、自由化を広げる方向で検討すべきではないか、このように思うわけでございます。これは決して何も具体的にどの党がということではなしに一般論として申し上げるわけであります。この点はいかがでございましょう。
  29. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 実態を見ておりますと、最近、都道府県議員と指定都市の議員の選挙において政治活動が盛んに行なわれていることですし、また知事を出している政党と出していない政党間のアンバランス等もありますので、これはやはり一定の規制を加えたほうがいいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、特別区や一般の市町村の議会議員選挙にまで同様の規制を加えることは、実態に徴してその必要がないんじゃないか。総じて政党活動選挙の際の選挙活動の自由は当然許さるべき原則に立っておりますけれども、しばしば申し上げておりますとおり行き過ぎがあって、これは自由というものがむしろ実情はその趣旨に合わない、金が現実にかかり過ぎる、政党も悲鳴をあげている、また騒々し過ぎる、町じゅうが文書でまことにはんらんするというような実情は、これはどうかと常識的に考えられる、こういう点は是正をしてもそれは決して自由の原則をじゅうりんしたことにはならないのではなかろうか。もちろんこういう点については政府ないし与党の専恣によってさるべきものではございません。十分これが実際の措置につきましては関係方面のコンセンサスを求め、十分御意見を徴しまして、そのときにおける、その実情においての健全な政治常識が指向する大体の線をにらみ合わせてある種の制限はやむを得ない、こういうような慎重な態度でまいったらよろしいのではないか。それすらもこれは自由のじゅうりんであるととがめられるべきものではないのではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  30. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま大臣の御答弁にありました政治活動あるいは選挙活動に金がかかり過ぎるというような問題を私はいわゆる政治資金規正法を改正いたしましてその面でやっていけばいいのであって、その他の規制は私はむしろ問題ではないか、このように思います。  それから私は五月十三日のこの特別委員会の席上におきましてシンボルマークの問題につきましては次のように申しました。「それから京都の場合は、例のシンボルマークは両方ともやったらしいですが、投票当日なんかは非常に問題があると思うんです。」ということで、私は決してシンボルマークそのものを規制すべしという意味ではなくて、投票当日シンボルマークがはんらんするということは、ちょうどある新聞にも婦人団体の要求として非常に投票の秘密を侵害するおそれがあるのじゃないか、こういう陳情もございましたので、そういう意味で申し上げた。やはり選挙事務関係者等は当日はシンボルマークをつけることは遠慮しているということを私たちは調べております。そういった関係で、私はむしろこういったことは当日の選挙活動は、また政治活動は禁止されているわけでございますから、その際に選挙当日においてシンボルマークがはんらんしている、そしてそれが投票の秘密を侵害するようなことにもなりかねないということは、やはりこれは政党間において話し合いも必要なんじゃないか、こういう意味で私は申し上げたわけでございまして、先ほど申しましたように、シンボルマークそのものを規制すべしという意味ではございませんで、選挙の前の日まではよろしいのではないか、これはこう思います。それは私の意見でございますが、ただ最後に、大臣のいまの御答弁にありました東京特別区に関しましてはその必要がないのじゃないか、こう申されましたけれども、私はこの東京の区議会の九二%は政党化しているという実情にかんがみまして、一般の市町村とはちょっと違った傾向がありますので、これは都道府県会選挙並みに、たとえ首長選挙と重なってもその政治活動の自由は許していくべきである、このように自由化の拡大の方向の特例を認めるべきである、こういうふうに私は提案しているものでございます。その点に関しましてはやはり一考あるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  31. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 特別区の問題は、確かに多田先生のお話はいろいろ示唆に富んでいると思います。いろいろ問題もあろうと思いますが、私はなるべく、政党化はされておりますけれども傾向もございますけれども、現在ではこれの規制はしなくてもいいのじゃなかろうか。結論は先生と一致するのじゃなかろうかと思いますけれども、しかし、十分この点その趣旨が、実は立案の趣旨が私と多少先生とは違うので十分検討してみたいと思っておるのでございます。  シンボルマークの点につきまして、必ずしも私の見解を求められてはおりませんけれども、先生のお考え方よくわかりますが、シンボルマークの点につきましてはいろいろ議論が人によってはあります。しかし、選挙当日少なくともシンボルマークを遠慮する、あるいはそういう協定をする、そういうふうにすることは私はけっこうなことかと存じますが、少なくともシンボルマークがビラやポスターの代用をするような形で利用をされるという点は、ポスターなりビラの制限の規定がございます現状に照らしまして、この点の規制は最小限やむを得ないのではないか、それはその個人のからだにつけておるというもの以外のものに、当然ビラやポスターと抵触するという見地のものはなると思いますが、少なくともその点につきましては、ポスター、ビラにまがうものについては、ビラ等の規制とのやはり公平を考えまして、ある程度の規制が必要ではなかろうか、こういうことがまあ考えられますが、ここいらもひとつ御検討をわずらわしたいと考えております。
  32. 多田省吾

    ○多田省吾君 私はまあくどいようでございますけれども、投票日前日までのシンボルマークはこれは自由であってよろしいと、しかし、当日だけはこれは選挙の秘密を侵害するおそれがありますので、これは問題ですから、政党間で話し合いたいということを申し上げているわけでございます。ですから、大臣と当然見解を異にいたしております。  それからいまのもう一つの問題である、結局首長選挙と都道府県会議員選挙が重なる場合の問題、あるいは東京都区議会選挙が重なる場合の問題は、大臣のお話は何だか制限する方向でアンバランスを是正するようなお話でございますが、私たちはあくまでもそうじゃなくて、むしろ自由化する方向でアンバランスの是正をはかるべきだと、そして、それに東京都区議会もやはり九二%の政党化をしている現状、都道府県会議員選挙も大体同じような傾向にありますので、これは同じように取り扱ったらいいのじゃないかと思います。このように申し上げております。むしろ念のためにこの点をもう一回お考え願いたいと思います。  それから次に申し上げたいのは、いわゆる来年の参議院選挙を前にして、いわゆる高級公務員の地位利用による事前運動問題がたいへん問題になっております。ただいまも横川委員から質問がありましたが、ことしの八月に、すでに来年立候補予定の元運輸省自動車局長黒住忠行氏の立候補あいさつ状が仙台市等において配られまして、これには退官のあいさつの中に、次期選挙立候補する、あるいは自民党の公認を得たのでよろしくと、こういう意味の文言がありまして、これは県警で調べられまして警告が出されているわけでございます。またさらに、小林章議員が残暑見舞い配布の中に、やはり公認問題等にも触れまして、これも警告を受けているわけでございます。またさらに、渥美前児童家庭局長の略歴配布の問題にからんで、これも事前運動の警告を受けているようでございます。また最近、前建設技監古賀雷四郎氏の島根県主催歓迎パーティーがございまして、これは参議院選に出馬予定の元高級公務員が、それに対して県が歓迎の会をやったことはちょっと選挙上問題があるんじゃないか、このようにも言われておりますし、こういった問題があとを断たないわけです。また、最近も、運輸省の野村自動車局長が、どうも九州各地におきまして前黒住局長の選挙運動をやった面があるんじゃないか、こういうことで、福岡県警でも事前運動で捜査をしているというようなことが取り上げられております。私たちは、この問題は事前運動の疑いのみならず、やはり公職選挙法にございますところの、高級公務員の地位利用の疑いがあるのではないか、このように思うわけでございますが、ひとつこの問題は大臣及び警察庁の刑事局長さんのほうから、どのようなお考えで警告をされ、また捜査をされているのかこれをお伺いしたいと思います。
  33. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) この問題に対する私並びに自治省の基本的見解につきましては、先ほど横川委員にも申し上げたとおりでございまして、厳正な態度を今後とも持してまいりたいと考えておりますが、事実関係につきましては、検察当局の活動にまつところでございます。
  34. 小林朴

    説明員(小林朴君) 刑事局長がちょっと所要がございまして出席できませんので、私担当の捜査二課長でございますけれども、かわってお答えをいたしたいと思います。  事前運動の取り締まりにつきましては、警察といたしましても、選挙の公正を確保するというような面を重点に置きまして、厳正公平な取り締まりにつとめておるわけでございますけれども、特に悪質な事犯につきましては、事前において検挙するというようなこともやぶさかではないわけでございます。ただし、また事件によりましては軽微なものもございます。また事前運動にまぎらわしいようなものもございます。こういうようなものにつきましては、一応警告をいたしまして、事案が蔓延するというようなことを防止するというようなことをはかっておるわけでございます。先ほどお話がございましたような、事前運動等にまぎらわしいあるいは事前運動の疑いがあるというようなものにつきまして、警察といたしましてそういう事案を一応明らかにして、適切な措置を講じてまいりたい、また現在もそういうふうに講じておるということでございます。
  35. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま事前運動の取り締まりに関しましてはお答えいただきましたけれども、私はこういう事例に関しまして、高級公務員の地位利用という罪も考えられるのではないか、このように思いますが、それに対してはどのようにお考えですか。
  36. 小林朴

    説明員(小林朴君) この地位利用の問題につきましては、現職の一応公務員という立場にある人が、その地位の持つ影響力を利用いたしまして、そうしてやった場合に該当する、こういうことでございますので、地位利用の疑いがあるのではないかというふうに見られるものが、実は仙台で八月にありました気象台の総務課長があいさつ――退官のあいさつ状でございますけれどもあいさつ状に若干の選挙運動にわたるような文言が入ったあいさつ状を会員に配ったというようなことで、その疑いがあるんではないかということで、私のほうは捜査をいたしたわけでございます。そういうような場合には、地位利用に該当するというように考えられるわけでございます。
  37. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ大臣からお答えは詳しくいただきたかったんでありますが、時間の都合上から、私のほうから申し上げますと、現在の公職選挙法の第百三十六条の二にもはっきりと、「次の各号の一に該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない。」とありまして、こまかい規定も一、二、三、四、五と、二項目目にはいろいろなそういう具体的な例があげられております。またさらにこれに関連しまして、公職選挙法の二百三十九条の二、これにも「当該公職の候補者となろうとする選挙区において職務上の旅行又は職務上出席した会議その他の集会の機会を利用して、当該選挙に関し、選挙人にあいさつすること。」こういったことは選挙違反であるとしてきびしく戒められておるわけでございます。こういったやはり高級公務員の地位利用による選挙違反の疑いというものは、これは国民にも大きな影響を及ぼすわけでございますから、これは厳格に取り締まっていただきたいと思います。したがって、こういう地位利用の姿がありますから、もうすでに昭和三十四年の第七次選挙制度調査会及び三十六年の第一次選挙制度審議会におきましては、「高級公務員等が、在職中にその地位を利用して運動を行い、選挙立候補することは、選挙公明化の見地からきわめて好ましくないので、退職後一定期間立候補を制限する等適当な抑制措置を講ずること。」と、このような答申が出ております。しかし政府は一回もこの答申を法制化したことはございません。したがって、私たちは昭和四十一年以降、このことに関しましてやはり責任ある行政に携わる者が一定期間立候補しないというこの趣旨を生かしまして、党のあれとしまして、法の定める特定の職に二年以上在職した高級公務員について参議院選挙に限り退職後二年以内は立候補できないとこういう選挙法改正案をたびたび提出してまいりました。私は政府においても当然二回も調査会及び審議会答申もあるのでございますし、最近こういった来年の参議院全国区の選挙に関連してたびたび警告を受けるような事例が重なっておる現状におきまして、こういう高級公務員の地位利用を封ずる改正案を政府として出すべきではなかろうかと私たちは思います。このことに対して大臣はどのようにお考えになりますか。
  38. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 御趣旨はそれなりに理解ができます。しかしながら、二年後にまたむしろやればいいということではないわけでございまして、いつでも地位を利用して自由公正なる選挙を害するということがあってはならない、この趣旨が守らるべきことと、同時に立候補のやはり自由というものも個人が持っておる、たとえそれが高級官僚でありましょうとも持っておる一つの権利に類するものではなかろうかと思います。しかし、それが高級官僚なるがゆえにやはりそれはやむを得ないのだという考え方もあろうかと存じますが、われわれといたしましては、やはり立候補の自由というものを尊重しつつ、地位利用を固く禁ずるという趣旨の徹底によりまして、この間の問題が解決されるのではなかろうかという見解に立ちまして、立候補の二年間制限という考えには現在のところ立たないわけでございます。
  39. 多田省吾

    ○多田省吾君 この「退職後一定期間立候補を制限する等適当な抑制措置を講ずること。」というのは、これは調査会及び審議会答申でございまして、大臣はたびたび答申尊重していきたいとおっしゃっていることでございますから、これは尊重すべきであると私たちは思います。何も私たちは二年後また立ってもいいというようなこういう問題ではなしに、やはり高級公務員の地位利用の影響というものは二年間抑制すれば非常に小さくなるのでございますから、抑制措置としては効果があるのです。こういう面から申し上げるのでありまして、現実高級公務員の地位利用を厳格に封じていかなければならないということは当然のことなんです。これを当然のこととして、さらに抑制措置としてそういった退職後二年間は立候補してはならないという立候補制限をすべきではないかと申し上げているわけでございまして、その点は大臣の御答弁、私たちはちょっとふに落ちないのですが、そして現実にこういった問題が、今回だけではありません。昭和三十七年のときはやはり厚生省環境衛生局長が立候補をしまして、そのために連座した保健所課長の自殺事件、こういったものも起きておりますし、いま捜査第二課長からもお話しのように、現実高級公務員の地位利用ではないかと言われるような事例が起こっているわけでございます。こういった点を封ずる意味におきましても、最もこういった責任ある行政に携わって道義的にも国民に対して慎まなければならない高級公務員が最もこういった違反をするということは非常に遺憾でございますから、このことは早急に政府として措置すべきではないか。このように考えますので、もう一回その点に関して納得できる御答弁を伺いたいと思います。
  40. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) おことばを返すようで恐縮にも存じますが、多田先生の御趣旨また公明党の御趣旨、かつまた選挙制度審議会答申趣旨十分尊重をいたしておるつもりであります。一連の高級官僚の地位利用禁止の措置の中に、またその実際上の態度の中に十分答申趣旨尊重されておるつもりでございまして、形式的にそのとおりあるいはなってないじゃないかという見解もあろうかと存じますけれども答申趣旨を踏まえて十分措置をいたしており、また、関係者のその方面のその種の御意見、御趣旨十分尊重してこれを措置いたしておると、こういうつもりでございます。
  41. 多田省吾

    ○多田省吾君 まだまだ納得できませんが、次にまいります。  この選挙違反にからんで、もう一点お尋ねいたしますが、前回も私が本会議で佐藤総理に質問いたしましたときに、明治百年恩赦、特に選挙違反恩赦は考えていないと、こういう答弁があったにもかかわらず、その直後やはり明治百年恩赦で選挙違反の恩赦が大量に行なわれました。また再来年の沖縄復帰に関して考えられることは、いわゆる沖縄恩赦ということで、来年の参議院選挙あるいは統一地方選挙における選挙違反のいわゆる恩赦が行なわれるのではないかという予想のもとに来年選挙違反が激増するのではないかと非常に心配されているわけでございます。このことに関しまして、自治省としてまた自治大臣として、どのようにお考えになっておられるか。この点もあわせてお尋ねしたい。
  42. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 私はいま多田先生のお話を伺ってがく然といたしました。私はそんなことを考えてもみないし、考えつきもしなかったところでございまして、私はさようなことがあってはならぬし、またさようなことを予想されて選挙違反はかまわないのだというような、そんな不届きな考え方をすべきではないことは当然のことでありまして、自治省としてはさようなことを毛頭予想をいたしておりませんし、考えてもおりません。
  43. 多田省吾

    ○多田省吾君 大臣は考えもつかなかったと申されますけれども、事実これは新聞にも大きく取り上げられている事項でもございますし、また明治百年恩赦のときには、佐藤総理大臣は考えていないと言いながらその選挙違反の恩赦を強行したということもございますから、私は念のために大臣にお伺いいたしたのでございまして、これは私の独断で申し上げるのではなしに、現実にそういったことも新聞に大きく報道され、またこういったことが前回の例にかんがみて心配されるから申し上げたわけです。次に先ほども横川委員から質問のあったことでございますけれども、第七次選挙制度審議会発足が、いわゆる自民党の総裁選挙等の一連の行事もありまして延び延びになっておりますけれども、この際、自治大臣のもとにおいて、どういうお考えでこの第七次選挙制度審議会発足させようとしておられるのか、またその時期、あるいは前から申し上げておりますように、そのメンバーにつきましても、私たちはやはり国民各層の代表を加えるべきではないかと、こういう要望も申し上げておりますが、そういった点に関しましてひとつ明確にお答え願いたいと思います。
  44. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) その点につきましては、先ほど横川委員の御質問にお答えいたしましたところで大体尽きておるかと存じますが、ここに要約をいたしますれば、なるべくすみやかに第七次選挙制度審議会発足させたいとせっかくただいま努力をいたしております。  委員人選等につきましては、当委員会並びに衆議院特別委員会その他関係各位のいろいろ御意見を参酌いたしまして、それを踏まえて、事実上いろいろ個人的な御都合もありますので、その点を十分考慮しつつこれが組織編成をいたしたいと考えております。  なお、一、二特殊の点につきましては、先ほど横川先生にお答えいたしましたとおりでございます。なるべく早く再発足できまするように、重ねて申し上げますが、処置をいたしております。  任期等の点につきましても、先ほどお答え申し上げたとおりでございます。御了承を願いたいと存じます。
  45. 多田省吾

    ○多田省吾君 前々から第七次選挙制度審議会発足につきましては、十一月の初めころというお話もございました。ところが、いまはなるべく早くとその時期も濁しておられるようでございますが、やはり大体いつごろの御予定か、それをはっきりおっしゃっていただきたいわけでございます。  それから諮問事項も、従来は、衆議院選挙制度、あるいは衆議院定数のアンバランス是正、あるいは参議院全国区の選挙制度の問題、こういった問題をおっしゃっておられたようでございますが、そのほかいわゆる十八歳まで選挙年齢引き下げる問題、こういった問題は従来は諮問しないということでございましたけれども、今度行政局長もヨーロッパから帰ってきたようでございまして、その年齢引き下げ問題等においてもいろいろな視察をやってこられたと思いますが、そういったこともあわせ考えて今後諮問事項はどのようになさるおつもりか、この二点をお尋ねしておきたいと思います。
  46. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 第七次選挙制度審議会発足につきましては、従来できますれば十月中、おそくも十一月中旬までにはというつもりでお答えをいたしておりました。十月は、まことに遺憾でございまして、すでに経過いたしました。十一月、多少予想よりややおくれぎみになるかもしれません、現在もう上旬という時期でございますから。しかし、著しく従来の考え方に相違しない時期においてこれが発足をぜひ実現させたいとせっかく努力中でございます。  答申内容につきましては、衆議院定員の著しい現状におけるアンバランスの是正あるいは参議院の全国区の問題等を含めまして、公正にして金のかからない政党本位の選挙、公正にして自由な選挙ができますような点を考慮いたしまして御答申を願いたい、こういうふうなことを一応考えております。  ただし、お尋ねの、選挙年齢引き下げの問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたとおり、行政局長等をヨーロッパに派しましていろいろ調査いたしました結果、いましばらく部内の検討を、先ほど申し上げましたように、青年の政治意識調査、その他各法律との関連、またさらに今後の欧米における動向等を慎重に考慮をいたしたい。総じて、決して否定的に考えておるわけではございませんが、慎重を十分期したいと考えておりまして、いま直ちにこれを諮問事項に付したいということまでは至っていないのでございます。
  47. 多田省吾

    ○多田省吾君 次にお尋ねしたいのは、第六次選挙制度審議会答申にもございましたが、自治省選挙部を選挙庁にして設置する問題、あるいは選管の機能、機構の強化の問題、これは自治省におきましても昭和四十六年度予算に概算要求されているようでございますが、その見通しはどうなのか。やはり審議会答申もあったことでもあり、また行政改革という問題は当然でございますけれども、立法府をつくる、この選挙をあずかる問題といたしまして、やはり選挙庁の設置ということはこれは大事な問題でございますので、大体どのような話し合いが行なわれているかですね。それから地方の選管の機能強化の措置も考えておられるのか。何といいましてもいま都道府県あるいは地方の市町村等の選管の組織の問題であるいは事故も非常に多いわけでございますから、こういったことは最も重大な問題として自治省でもお考えにならなければならないのじゃないかと、このように思いますので、はっきりした見通しをこの際おっしゃってください。
  48. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 健全な民主政治の確立の基本の条件として、民主的な公正自由なる選挙制度の確立の必要なることは多言を待ちません。しこうして、これがために選挙管理運営に関する機構の整備と強化充実の必要なること、また論を待たないところでございます。従来選挙局が行政合理化整理の名のもとに部に格下げされましたことはまことに遺憾でございまして、皆さまの御叱正を以来こうむったところでございますが、またしこうして、これが機構の充実強化につきましては、関係方面からいろいろ御叱正なり、また御指導なり、御声援を賜わっておるところでございまして、この点感謝をいたしており、また選挙制度審議会においてもその議論がるる述べられておるところでございます。これらの御意見に徴しましても、われわれといたしましては選挙部をあえて選挙庁に格上げを予算概算要求の中に含めまして強硬に申し出ておるところでございます。具体的にまだ折衝には入っておりませんが、ひとついわゆる行政の合理化の通常の形式とは別に、特に行管等の配慮を得てわれわれの考え方の実現に邁進をいたしたいと考えております。  なお、地方の選挙管理委員会等の強化、近代化あるいは投票開票事務の機械化等につきましては、自治省としても十分意を用いておるところでありまして、その他、運営等におきましては、委員会への人員の派遣、配置、その人につきましても、地方公共団体に格別の考慮を希望し、求めておるところでありまして、しこうして、一連のこれらの審議会の強化、拡充等につきましては交付税を通じまして配慮いたしたいと考えております。
  49. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、私は政治資金規正法改正の問題についてお尋ねをいたします。  佐藤総理大臣は自民党総裁に四選された直後の記者会見におきましても、政治資金規正法の改正が首相の公約であるが実現していないではないかと、自信はあるのかと、こういう質問に対しまして、これからやると言っているのに自信があるかと聞くのはずいぶん失礼な話じゃないかというようなことで憤慨されたというような報道がなされておりますけれども、ほんとうにこれは大きな問題でございまして、そのように憤慨なさるぐらいなら、いままでこういった問題を総理の政治力をもって通してしまうべきであると、このように思うわけです。今度の第七次選挙制度審議会発足が近いというのに、第五次選挙制度審議会において緊急措置すべき事項として答申されたこの政治資金規正法の改正案、しかも総理が小骨を抜かないとして実現を約束したはずの改正法案がまだ実現の運びになっていないということは、非常に遺憾であると思うわけでございます。また、これは国民全員が希望する問題でもございますし、さらにこの政治資金規正法によるいわゆる政治団体の報告事項につきましても、最近たいへん問題になっておりまして、全国的な政治団体千四百九十五ですか、その団体のうちでもまだ報告していない団体が過半数以上に及んでいる、こういう問題もありまして、こういった問題にからんでもやはり政治資金規正法案は改正すべきであるという、大臣もそのようにおっしゃっておられるわけでございますが、ほんとうに総理大臣の御発言等から考えても、担当大臣である自治大臣は、今度の臨時国会あるいは通常国会にはっきりした答申どおりの政治資金規正法案を出すべきじゃないか、出すことをまたここで約束すべきじゃないか、こう思うわけなんでございます。前回におきましても、この政治資金規正法につきましては口を濁されて、まだはっきり出すとはおっしゃってもおりませんし、いたずらに調整時間なんかは必要ないわけでございまして、この政治資金規正法案は、あくまでも四選された佐藤総理のやはり政治課題としても、この際はっきりすべきじゃないかと、こう思います。この点いかがでございますか。
  50. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 政治資金規正法の改正の問題につきましては、慎重にかつ真剣に考慮をいたしております。従来三回提案をして、しかも日の目を見ない。それは政府はその気がないからだという御批判もあるわけでございますけれども、やはり三回問題になってどうしても通らないというところに、ここにやはり問題があるのではなかろうか。先ほど多田先生はいろいろ金がかかって困るというならば、政治資金規正法でそこを規制したらいいじゃないかというお話がございました。それもそうかとも思いますが、しかし、実情は、ほうっておきますというと、選挙でございまして、お互い競争過多の結果使わざるを得なくなっておる現状、こういう点をやはり真剣に考慮いたしまして、その実質を根源にたずねまして、そこを直しておくということがこの際必要ではなかろうかというようなことが考えられるわけで、そういう見地に立ちましていろいろ検討をいたしておるのでございます。金がかかるのだから、これがいろいろ諸悪のもとだから、金を制限してしまえと、こういう考え方は十分考えられますが、同時にひとつ金がかからないようにしていくということもほんとうに必要なことではなかろうか、こういう見地から検討をいたしておるわけでございまして、その点をひとつ御了承を願いたいのでございます。したがって、それが準備にはいろいろ整備すベき諸条件もございますので、これが提出につきましてはいましばらく御猶予を願いたいと存じております。
  51. 多田省吾

    ○多田省吾君 いまの大臣の御答弁をお聞きしておりますと、ちょっと問題がすりかえられているような感じを受けます。私が先ほどまあ金がかかり過ぎるからという理由で政治活動選挙活動を制限するのは、それは考え方がおかしいのであって、そんなに金がかかるというんだったら、まだ政治資金規正法だって改正案が実現していないじゃないかと、こういう意味で申し上げたのです。政治資金規正法案につきましてはその他に重大な問題として、やはり法人や団体の政治献金というもので大企業と政党の密着ができまして、そのために黒い霧が発生している。やはりこれは政界腐敗の大きな原因になると、こういう観点から政治資金規正法は改正すべきでございまして、それに関連して、やはり無尽蔵に、それは政治活動選挙活動なんかは当然政治資金規正法でがっちりやっていくならば、これはできないのは明白でございまして、そういう面で考えるべきだと言ったのでございまして、この政治資金規正法というものが何もこの政治活動選挙活動の資金の問題だけで言っているわけではございません。やはり黒い霧発生という重大問題があるわけです。ですから、私たちも政治献金は個人に限る。しかして会社法人、団体等の政治献金はやはり政治腐敗の根源でございますから、それは禁止すべきだという、そういう意味の政治資金規正法案をつくるべきだと、そういう観点が強いのでございまして、それをすりかえられるとちょっと私たちも困るわけです。その上でお尋ねいたしますけれども、いま大臣のおっしゃったようなことは何も理由にならないのでございまして、やはりこれは佐藤総理は、政府として出しているとは申しましても、やはり自民党の総裁でもございますし、小骨を抜かないという約束をしたにもかかわらず、相当やはり骨抜きになっておるわけでございますから、そういった観点でやはりこの四選後の記者会見におきまして、やろうとしているのに自信があるかと聞くのは失礼じゃないかと発言をなされているのにかんがみて、これは相当自信をもって政治資金規正法を改正する方向に向かうのじゃなかろうかと、だれしも国民は期待しますよ。その総理大臣のもとにあって政治資金規正法案を今後出すべき自治大臣がいまのような消極的なお考えでは私たちは困ると思うのです。ですから、総理の勇ましい発言に合うような自治大臣の前向きの姿勢を私たちはお伺いしたいわけです。ほんとうにもう一回お尋ねしますけれども、この臨時国会ないしは通常国会においてはっきり政治資金規正法を出されるのかどうか、出されないようなお考えで第七次選挙制度審議会発足なさるおつもりなのか、この問題をあらためてお尋ねします。
  52. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 多田先生の考え方をたくみにすりかえ利用して申したつもりは全然ございません。選挙制度審議会発足にあたりましても十分政治資金規正法の問題等も考慮しなければならないことは当然でございまして、そのことを十分考えております。政党の、また政治家の個人としての所要の政治資金と、やはり中心にある選挙制度のあり方、あるいはその他の問題等、問題が多岐に関連をいたしております。しこうしてこれが過去三回、何べんも繰り返して申し上げますが、いろいろ問題を生じて通過しないという点につきましては、これらの点を広範に慎重に考慮をすべきものがあろうかと存じておりますので、一つ一つそういう条件のある程度の成熟、整備等も考えなければなるまいということを慎重考慮いたしておるつもりでございます。したがって、いつこれらの点をまとめて出すかということにつきましては、いましばらく御猶予を願いたい、こう申し上げているわけでございます。
  53. 多田省吾

    ○多田省吾君 全く消極的な御態度には私たち非常に残念に思いますけれども、次に政治資金規正法にちなんで、この正式に届け出された政治団体においてだいぶ報告漏れがありまして、これが最近問題になっております。特に、現四閣僚にからむ七団体が、日本国政調査会によって告発をされた問題も起こっております。私も前回の本委員会において、全国千四百九十五団体の四十四年上半期及び下半期における報告漏れのある団体について資料を要求いたしまして、これをちょうだいしたわけでございますが、ほんとうにこれはまだ報告してない団体が、自民党のみならず各党にも及んでおりますし、相当有名な方もだいぶまだ出しておられないような姿がありますので、実はあ然としたわけでございますけれども、法務省の方にお尋ねしますけれども、この告発にちなんでその七団体だけを調査されるのか、それから全国の千数百団体を全部調査されるのか、あるいは同じような意味で、各県に届けられている一万近い政治団体があるわけでございますが、そういったものを全部調査されるおつもりなのか、そしてどういう考えでこれの告発に対して臨んでおられるのか、これをひとつ簡単にお答え願いたいと思います。
  54. 前田宏

    説明員(前田宏君) ただいまお尋ねの点でございますが、いまお話にもございましたように、去る十月の十五日に七団体の会計責任者あるいは代表者の方、合計十三名になるわけでございますが、その方につきまして東京地方検察庁のほうに政治資金規正法違反ということで告発が出ているわけでございます。東京地検におきましては、まだ告発を受けて間がないわけでございまして、具体的にどのような捜査をしているかということを申し上げるほどの段階に立ち至っていないわけでございますが、一応告発人の方から事情を伺ったりあるいは関係資料を収集するというような段階であるように聞いております。したがいまして、この告発のありました事件をまず処理するのが先決かと思いますが、その後いまお尋ねのありましたような他までやるかどうかということは、それとの関連におきましてまた問題も慎重にやらなきゃいかぬ点もあろうかと思いますが、検察当局のほうにおいて当然法に触れるものでありますれば、それ相応の適正な処理が当然になされるべきものと、かように考えております。
  55. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、来年の参議院選の日取りにつきまして、いま自治大臣は、まだ決定をしていないけれども、一応の目標と自治省見解というものを申し上げたと、そういうふうにおっしゃっておりますので、そのことを具体的にお尋ねしたいのです。  それからそれにからんで、非常に早い時期に見解を発表されましたけれども、はたして、いま予算編成の問題等もありますし、また通常国会日取り等の問題もあります今日の段階において、そういうおよその目標を決定できるのかどうか。その辺も非常に疑問がありますので、あわせてお尋ねしたい。
  56. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) まあ、参議院選挙が来年あることは自明のことでございまして、統一地方選挙のことにつきましても最終的な見解及び日取り等が決定段階になりましたので、さしずめ、おそらく皆さまの知りたいところも参議院選挙であろうかと、いろいろの関連があるだけに、あらかじめ法規上からはこういうことになるんだということを申し上げておくことは必要かとも存じましたので自治省見解を申し述べた次第でございまして、それが事務的な日取り、取り運びの順序、内容につきましては事務当局から御説明をいたさせます。
  57. 中村啓一

    説明員(中村啓一君) 多田先生からお話のありました来年に任期が満了になります参議院議員選挙の段取りについてでございますが、御案内のように、任期満了は来年の七月三日でございます。したがいまして、一般的に参議院の通常選挙はこの七月三日の前三十日以内に行なうのがたてまえでございます。したがいまして、一般的に申しますと、参議院選挙は六月三日から七月二日の間に行なうというのがたてまえでございます。  ところで、これは全く事務的に申し上げるわけでございますが、この六月三日から七月二日という三十日の期間が国会の閉会の日の翌日から起算をして三十日以内にかかります際には、任期満了前三十日以内にやるという幅がなくなりまして、国会の終わった日の翌日から起算をして三十一日以降三十五日以内に行なわなければならないということになるわけでございます。そこで、かりに六月の三日から七月二日という三十日の間が国会の閉会後三十一日以降になり、三十日と三十一日の期間がダブらないという形でやるといたしますと、通常国会期間が百五十日という前提に立ちましてことしの十二月五日に通常国会を開きませんと、先ほど申し上げました六月三日という日が国会の終わった日から三十日をこえている日に当たらないということになるわけでございます。  ところで、これは私どもの申し上げる筋ではございませんけれども、いまの政治日程から申しまして通常国会が来月の五日に開かれるということはなかなかむずかしいんじゃなかろうか。むしろ臨時国会等の動きを考え合わせますと、いずれにしろ来年の通常選挙日取りは、通常国会の終わった翌日から起算して三十一日以降三十五日以内に行なわざるを得ないというふうに思っております。そこで常識的に申しまして、七月三日が任期満了でございますので、その直前の日曜日ということになりますと六月二十七日というような日が浮かんでまいります。で、六月二十七日というような日になるといたしますと、国会は十二月の二十五、六日に召集なさって百五十日間の会期を見込むことによって、大体閉会の日から三十一日以降三十五日以内に六月二十七日という日が浮かんでくるというような、そういう事務的な作業の末で、大体全体の政治日程をおきめいただきます際の参考というようなつもりで先般、大臣のところで予定表をつくった次第でございます。
  58. 多田省吾

    ○多田省吾君 予定された時間もまいっておりますので、あと二つ簡明にお答えいただきたいのですけれども一つは、来年の参議院選挙にからんでテレビを使用する予定であるそうでございますけれども、区市の選挙管理委員会等からもなるべく時間は長くというような要望もしておりますが、具体的にどのようにお考えになっておられるのか。
  59. 中村啓一

    説明員(中村啓一君) 参議院議員の選挙に際しましてのテレビの利用は、衆議院と同じように、政見放送を実施をすることにいたしたいと思っておるわけでございます。この時間の点につきましては、私どももいろいろその後も関係放送当局と打ち合わせておりますが、現在の能力をもってしては、いまの一人五分以内というのを延ばすことはとうてい不可能だということでございます。
  60. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、地方選挙の公営化促進の問題でお尋ねをいたします。  現在、茨城県議会の予定されている選挙につきましては、いわゆるポスターの掲示場、それから立ち合い演説会、選挙公報、この三つとも公営で行なうということが決定したようでございます。また、富山県でも十二月の県会で条例化しようという動きがあるようでございます。来年の統一地方選挙にからんで、こういった県議会における公営化の問題でございます。いままでは当然国会議員と知事選はこれは義務づけられておりますけれども、この統一選挙のような場合には三つのうちの一つぐらいをやるようにという、政令のほうもそういうことになっているようでございますが、これを来年の統一選挙におきましては大幅に促進するお考えはないのかどうか、このことをひとつ簡明にお答え願いたい。
  61. 中村啓一

    説明員(中村啓一君) 多田先生のお話しのように、ぜひ公営が取り入れられるように、公営を多くやってもらうように指導をいたしたいと思っております。  いまお話のありました、一つに限ってというふうにしておりますのは、六大市を含む地域につきまして、その知事と府県会議員の選挙、それから市長と市会議員の選挙――指定市でありますが、――その四つが同時に行なわれることになりまして、知事、市長につきましていろんな公営があり、さらに任意公営として府県会議員ないし市会議員の公営があるということで、管理能力からまいりまして、従来、指定市を含む地域についてのみは、府県会議員と市会議員について一つの公営に限って使うことができるということにいたしておるところであります。しかし、できるだけよりよく知ってもらうために公営を多くしたいという気持ちでありますので、六つの大きな指定市の関係者ともよく打ち合わせまして、管理能力が許せば、いままでの一つという制限について検討することも十分やぶさかではないというふうに考えておるところであります。
  62. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、先ほど横川委員からもお話がございましたけれども、ちょっと気になる点がありましたので……。参議院地方区の定数是正の問題で大臣は、六人増六人減につきましては国勢調査の結果も見てからというようなお話をなさいましたけれども、実際、来年の通常国会の初めに定数是正を出されるんなら間に合わないと思うんです、はっきり言って。たとえば熊本県と岡山県の逆転の問題等は間に合わないと思う。これはことしの三月三十一日の住民基本台帳人口によってはっきり逆転しているのでございますし、また国勢調査の結果等を見ないできめていかなければ、ちょっと通常国会の冒頭には間に合わないのじゃないかと思いますが、この問題はちょっとまだ自治省としても非常に考え方がおそ過ぎるんじゃないかと思うんですが、ちょうどもう一カ月も前でございますから、早くこの問題は考えるべきじゃないかと、こう思いますけれども、これはどうなんですか。
  63. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) やはり定数を考える基礎の人口、これはやはり住民の基本台帳登録人口、それによったということでは、これではどうも理屈が成り立たない。したがって、やっぱり国調によるべきではないか、その国調では間に合わないのじゃないかという御意見でございますが、参議院の、この場合は県全体としての人口の大小、それの差も問題でございますけれども、ここをつかまえることでございますので、いわゆる統一地方選挙のいろいろ定数の、地方の問題をやりました場合とは事変わりまして、概数が明確になりますならば把握処置は決して不可能ではない。また、これについて確定するまで必ずしも待たなければできないということではこれはない、こう思いますときに、概数は十二月中に出るということでございますので、それを見ました上でやはりやるというのがとるべき態度である。そうしますれば、どうするかはもちろんいま申し上げかねます。また、きめてもありませんが、どうも人口が逆転しているのに、あの現状のままでいいということは言えないと思います。そこで、それを、概数を待ちまして、これはいずれとも何とか処置をしなければいけない。合理的な処置をしなければいけない。合理的な処置をすることは、形式的に違う結論が出ましても決して審議会趣旨を没却したということにはなるまい。それには、はなはだ短時間ではあるが間に合わないことはない。通常国会の冒頭になるべく出すというについては、十分間に合うしかるべき余裕はあるのじゃなかろうかと、こういうふうに考えております。とにかく、この問題は当時と基本の事情が変わるわけでありまして、そうして処置する時間的余裕はその間にございますので、緊急に誤らざる処置を講じたい、こう考えております。
  64. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ大体わかったつもりです。まあ来年の都道府県会議員選挙の統一選挙定数是正は、どうしても概数ではだめだと、やはり五月ごろ確定しなければだめだというお話もあったわけですが、今回は選挙制度審議会答申もあり、また概数でもやむを得ないのじゃないか、それでやっていきたい、こういうお話だと思うんですが。  それからもう一つ問題は、沖縄や、また最初の参議院選挙のときにおいて、あるいは東京とか、大阪とか、神奈川県の増員分に対しては、一挙に二名の選挙をやるのか、一名ずつ三年ごとに増加していくのか。沖縄では二名一緒にやったのですね。また、最初の参議院選挙におきましては、これは憲法の定めるところに従って、六年議員も、三年議員も一緒にやったと思うんですね。今度の場合は一名ずつふやしていくのか、二名一ぺんにふやしていくのか、これは二つの場合が考えられると思います。いまの大臣のお答えだって、結局は見通しの問題ですからね、やはり見通しの問題で、増減両方ある場合はどうなのか。あるいは、まかり間違って増のみということも考え得る場合はこれはどうなのか。これを一つお伺いしておきたい。これで私の質問終わります。
  65. 中村啓一

    説明員(中村啓一君) 多田先生のお話のありました新たにアンバランスの是正をやります際におきます最初の選挙につきましては、先生のお話しのように、減員をやるということでありますと、おそらくその減員につきまして、一名ずつそれぞれ任期関係で減らしていくということになりますので、増員も一名ずつということになろうかと思います。まあそういう事情でないという場合に、三年議員と六年議員と一ぺんに一緒に選ぶということについては、やはりかなりの抵抗感が――沖縄の場合は別でありますけれども――あるようでありますし、それらの点については、まだいま詰めておる段階ではございません。
  66. 岩間正男

    岩間正男君 時間の関係から、簡単にお答え願いたいと思うんですが、公職選挙法改正問題について質問したい。  第一に確かめておきたいんですが、政府公職選挙法改正法案を近く開かれる臨時国会に提案する意向であると聞いておりますが、これに違いございませんか。
  67. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) そのつもりでございます。
  68. 岩間正男

    岩間正男君 ところで、昨年六月これは改正したばかりの法案ですね。これがまあ一年足らずでまた改正される。それをしなければならないということについてどういうふうに自治大臣はお考えになるか、よく朝令暮改ということばが使われるんですが、これははなはだしいと思います。そしてまたこれは国会の権威にも関するし、また各政党がこれは満場一致でこの法案は通したものです。そうすると各政党全部がこれは責任を持っているわけですね。これをもう簡単に、自由化をせっかく目ざした、そういうものをここで改正するということになりますと、政治的な一体、姿勢、責任の問題になると思いますが、いかがですか。
  69. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 形の上ではまさにおっしゃるとおり朝令暮改という形があるということは当たるかと思います。しかし、実情に徴しましていろいろどうも行き過ぎであるというような世論等も喚起されまして、政府といたしましては慎重に各方面の御意見を徴した上で決定をいたしたものでありまして、決して政府のほしいままなり、意思のもとに考えたものではないわけでございます。去る国会におきましてもこの点につきましていろいろ、たしか当委員会であったかと思いますが、御質問もございました。私の意見も徴されたわけであります。その当時、私といたしましては実情等も十分検討してと、まあいわば煮え切らない御返事もいたした記憶がいまもございます。その際にあの実情を自治大臣として何と見るかというようなお話もあったわけでございます。自由な政党政治活動という原則はもちろん尊重し、あくまでもこれが基本の観念は守らなきゃなりませんが、その中におきまして自由な、そして公正な選挙活動に関連する、政治活動にだれもどうもその点は改めたら、自由の範囲の中において許されるべきことではないだろうか。そのまま放置しておくことがかえっておかしいというようなものがありましたなら、これはひとつ世論に徴し、かつ御関係者のコモンセンサスによりまして処置をするということは私は自由の原則の名のもとにおきましても許さるべきことではなかろうかと、また当然の処置ではなかろうか。こういうようなふうに考えまして、ただいま各方面の御意見を徴しましてこれが一部改正を考えた次第でございます。
  70. 岩間正男

    岩間正男君 中身を検討すればわかるんですが、自由化の方向じゃなくて再び制限の方向なんでしょう、そうすると、これは私はどうしてもこの六十一国会で公選法改正したそもそもそのときの動機は何だったか、選挙の公正と自由を求める国民の世論、これが非常に長い間制限選挙に対する反対をしておる。どうしても自由化を求める、当然このような下からの世論によってこれがなされたんじゃなかったかと思うんです。どうですか、その点。
  71. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) これがなされました背景はまさにおっしゃるとおりであると存じます。
  72. 岩間正男

    岩間正男君 さらにその世論のもとに第五次選挙制度審議会はこの世論を取り上げるという方向で、「文書図画の頒布は、必要な合理的制限を除き、自由化する」。その他の演説回数等の問題もありましたけれども、ともにこれを答申したわけです。政府はその答申に基づいて改正に踏み切ったんですね。私はまあそこでいまあらためてこの答申の当時のこの報告書を読んだんです。そうすると、この自由化の理由として、報告書の第二委員会委員長の報告がありますが、こういうことを述べておりますね。「政党本位の選挙においては、言論による選挙運動の最も本来的なものとして、選挙運動が公正に行なわれる最小限度の規制を除き自由化すべきこととされた」。これがまさにこのときの答申のこれは趣旨である、少なくとも私はそう思うわけです。この趣旨をもっとわれわれは突き詰めてみますと、まず第一に、今後の選挙運動は個人本位から政党本位の政策論議に移行すべきことだ。こういう精神が貫かれている。  第二には、そのためには、言論文書による運動を選挙運動の本位にすべきものだということが第二には述べられている。  第三には、したがって文書図画の頒布を可能な限り自由化すべきだ、こういうことにあると思うのですけれども、この答申の精神というものを突き詰めてみると、政府は、この答申の本旨に従ってて公選法改正したのではなかったのですか。私はこの政府の態度というものをここであらためて確認していいと思うのですが、いかがです。
  73. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 政党本位であるべきこと、政策本位であるべきこと、したがって、文書、言論本位であるべきこと、しこうしてそれが趣旨であることはそのとおりでありまして、また当然のことであります。この趣旨によりまして行なわれた結果、行き過ぎが世論で考えられるという点についての是正が行なわれている、こういう点でございまして、その点趣旨本位というものは当然のことであります。こう考えております。
  74. 岩間正男

    岩間正男君 まあそこで是正といわれておりますけれども、その是正によって元も子もなくして精神が殺されるということはあり得るわけです。だから制限規定ですから二律背反ですよ。やり方はりっぱな自由化の方向に進んでいくというのに対して、制限をまた加える、またここで規制をやるというのですから、二律背反なんで、そこのところいかにことばで、どんなにつくろったところで、やはり精神というものはどうしても没却されてしまう。当時これに対して、いま振り返って見ますと、私も当時ここに参加しておりましたが、当時の速記録を見たわけです。社会党の皆さんも公明党の皆さんも、また各派も全面的にこれに賛成した形です。またわれわれ共産党も、各政党がその政策を有権者の前に明らかにし、正々堂々と政策論争を展開し、有権者の信を問うことこそが、政党政治の当然のあり方であるという点で、これに賛成したわけです。しかるに改正案を実施後わずか一年で、法案の実施がまだ十分に固まっていない、そういう現在再びこれを制限しようとする、しかもそれだけじゃなくて、その制限をさらに都道府県会議員、さらに政令指定都市の議員にまで拡大しようとするのですね。そうするとこれはどういうことになるのですか。その制限のしかたが、実は今度の改正ということを口実にして、さらにそれを拡大する。いままでの自由化の方向とは全く反すると言わざるを得ないのであります。明らかにこれはもう世論の無視であり、時代逆行ではないか。だから世論はあなたもごらんになったと思いますけれども、これは非常にいまきびしくやり方を非難しているんじゃないですか。これはたとえばきょう、きのうあたり盛んにこの問題は論議されております。各大新聞におきまして、これはお読みになっていると思うんです。これが一つのあらわれでありますけれども、世論は非常にやっぱりこういうやり方に対して不安の念を持っているし、不信を免れない、こう思ったわけです。いかがです。
  75. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 私は自由の尊重、この原則にいまわれわれが加えようとする改正が反しておると、その精神を没却をしておる、こういうふうには考えられないのであります。岩間先生、これは文字どおりそのままにしなければそれ以外には二律背反であって、反自由、それしかもう立場はないんだという御見解に立っておられますが、私はそうは考えられないのでございます。原則、原理を実際に適用する場合におきましては、世の中の実際の処置におきましては理屈はそのとおりだけれども、それはそのとおり行なわれることが同時にいろいろ不都合を生ずるものがあるという場合には、その最小限度において不都合と思われる点を除去していくことは自由そのもの原則をやはり尊重する道に十分かなうので、そういう道と余裕と立場現実の問題においては十分あり得るのだと私は考えておるのでございます。しこうしてそれについては、民主主義の原則に従いまして関係者の自由な御討議のもとにおいてこういうふうにすることが、かえって言論を尊重し、公正な、自由な、静かな選挙を行なうにかなう道ではなかろうかといわれる点に従うことは私は許さるべきことでありまして、決して自由の原則の没却でもじゅうりんでもないのではなかろうかと、しこうして地方の選挙におきまして知事候補者を出していないところには政党のいろいろ政治活動の自由が適用されないということが非常に不公平であり、アンバランスである、均衡を欠くというような問題もありますので、その点を改めたいというわけでございまして、これは自由を制限する範囲を拡大しようという観念ではないのでございまして、政党間の取り扱いのアンバランスを是正をしていこう、そしてその範囲は決して自由を限定し、その精神を没却するものではないと、こういう趣旨に出ておりますので、その点を御了承願いたいと思うのでございます。
  76. 岩間正男

    岩間正男君 まあ、せっかくの詳しい御説明でありますけれども、たとえば文書図画の頒布を見ましても、この頒布のしかたがもう非常に特定されている。内容については種類が限定されている。これは重大な問題ですよ。この問題は詳細にやる時間の余裕がありませんけれども、とにかく政府がいま出されておるようなそういう意向をわれわれも承っているわけです。それからいま地方議会の制限の問題について、これはむしろ自由の緩和だといわれているけれども、これは私はここでちょっとあなたにもとに戻ってお聞きしたい。実は私七月に聞いておりますからね。これは七月の九日ですね。本委員会で私聞いたのです。都道府県議員の選挙の制限も行なわれるのではないかという私の質問に対しまして、秋田さん、あなたはもう言われているわけですね。ここに速記録ありますから、読んでみます。こう言っているわけです。「われわれは、その点につきまして何らかの制限を加えなければならないだろうかというような考えは、いまのところ持っておりません。風評がございますれば、それは単なる風評でございまして、いまのところ、私としては従来の態度を基本的には変えておりません。」、こうはっきり答えている。そしてあなたですか、これを補足して立って、やっぱりいま申しましたように、候補者を持たない団体は選挙活動ができない。したがって、選挙活動をやるためには、候補者のそういうところを、いままでの制限を撤廃する。そこで私はそれに対してさらにそれは自由化の方向に行って検討しているのか、したがって、いままでの自由であった地方選挙に対する制限は加えないと、こう考えてよろしいかと、特に私は追及しているわけです。ところが、いまのことをあなたたちはそういうことも考えて抱き合わせをしているのでしょう。どうでしょうか、今度はさらにそれを拡大して、そうしてこの制限が、今度の公職選挙法改正されれば、これはずっと及ぼされていく。さらに政令の指定都市の市会議員まで、これは及ぼされていく。これは明らかに制限なんだ。いいところだけ取り上げていきますけれども、これはやっぱり私は事実に反すると思う。  そこでこれは秋田自治相にお伺いしますけれども、当時は考えておりませんというのに、今度は行きがけのだちんじゃないと思うのですけれども、抱き合わせに地方選挙の制限まで入ってまいりました。そういうことになると、これはどういう心境の変化ですか。あのときの答弁と食い違う。どうなんです、どういう一体心境の変化、状況の変化があったんです。この点を聞かしてください。
  77. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 心境の変化はございません。私は要するにいまわれわれが考えておるような改正というものは自由の没却であり、制限であるとお考えになっておられる基本からそういう御質問が出ると思いますが、それはまあ完全な自由からいえば一種の規制といわれるかもしれませんが、私はただいま御説明申し上げておりますとおり、自由の原則というものに背馳してはいない、没却してはいない。やはりそれをすこやかに、むしろ健全に発展せしめる方向にあるんだ。その趣旨におきましていわゆる自由を制限するという考えは、いかなる種類の選挙にも考えていないという趣旨でございます。しこうして地方におきましては、むしろ知事さんを出しているときに選挙をやる。ほかの選挙の方はいろいろの文書図画等の政党活動の自由の恩典に浴しておられません。むしろそこに浴させるという趣旨を考えて、いまの御答弁を申し上げているわけでございまして、私といたしましては、決して心境の変化なり、あるいは前と反対のことをいま考えておるというふうには考えておらないわけでございます。
  78. 岩間正男

    岩間正男君 先ほど断わりましたように、あなたは今度抱き合わせで、いまそういうように自由化のちょっとした一面がある。そこのところを、そこだけを言われる。しかし、一方では制限する問題については触れようとなさらないですね。だから、そういう形ではやはり非常にこの改正案に対していろいろな疑惑を持ち、不満を持っています。  そこで私は次にお聞きしたいんですが、それなら今度公選法改正する、こういうことを考えておるようですが、この理由はどうなんです。この理由をはっきりさしてください。これは私たちがいままで速記録の中で読んでおりますけれども、この席上であなたの理由を簡明にお聞かせいただきたい。
  79. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) しばしば申し上げておりますとおり、過去、最近の選挙の実例に徴しましていわゆる行き過ぎがある。かえって公正な静かな選挙というものの趣旨に反するような実情が感ぜられるという点からこの点を改めると、これは決してしかしながら自由を制限をし、束縛をするというようなことは考えていない。これは具体的な方法によりましては、それはいかに抽象的にそうしないんだと申しましてもそれではなりませんで、その点は、ひとつ十分関係者の御意見を徴しまして、その実際の体験等も徴しまして、妥当と思われる線を見つけたい、こう考えておるわけでございまして、要するに、行き過ぎがある。常識でございますが、理由はその一語に尽きるかと思います。
  80. 岩間正男

    岩間正男君 まあことばのあやではこれは解決しないんで、事実がどうかという問題になります。  そこで、いまあなたが述べられたのですが、そのような判断に立ち至ったあなたが述べられたその理由は、これは最近の選挙の結果ということでありますが、むろん最近の選挙の結果というのは京都の選挙をさすのでしょう。そうでしょうな……。  それから、そういう中で、いかにも物量作戦をやった、これは行き過ぎだと、それからその火ぶたを切ったのは、これは共産党だというふうな、まぎらわしいことを言っておられますけれども、これは違いございませんか。
  81. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 私は共産党が火ぶたを切ったとか、そういうようなことは一つも考えておりません。ただ、過去の実例に徴して改善を加えたい、こういうふうに考えておるだけでございます。
  82. 岩間正男

    岩間正男君 それでは、だれが火ぶたを切ったのですか。
  83. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) だれが火ぶたを切ったというふうな考え方、発想はいたしておりません。実例の結果に徴しまして、改善すべきものは改善したらいいだろう、こういうふうに考えております。
  84. 岩間正男

    岩間正男君 だから、それは非常に抽象的だし、そこのところはだめですよ、それでは。実態をつかまないでどうして、あなた、そういう見解が出てくるんでしょう……。それならば、京都選挙の実態というものは、あなた方はおつかみになっておりますか。これは、自治省として、選挙部長、当然おつかみになっているのでしょうな。そうでなければ、こんな法の改正なんというものはできるものではないのだ。京都選挙の、これは調査しているでしょうな。それを大体話してください。だれが一体火ぶたを切って、どういうふうになって、どういうふうな会が、政治団体がつくられていて、だれが大量の文書を流したか。それをちょっと話してください。つかんでいるでしょう。ないとは言わせませんよ。
  85. 中村啓一

    説明員(中村啓一君) 京都府知事選挙の実情につきましては、あるいは岩間先生、十分御案内のところかと存じますが、明るい民主府政をつくる会と若い京都を育てる会という二つの確認団体ができまして、両団体がそれぞれ、毎日毎日、出されました文書、これは機関紙の態様を帯びたものもありますし、ビラの態様を帯びたものもございますが、選挙運動期間を通じておそらく数百種にのぼるかと思います。また、いわゆるシンボルマーク等は、全くポスター――いわゆるポスターと同じようなやり方で張られておるというのが実情であったかと思っております。
  86. 岩間正男

    岩間正男君 それだけですか。あなたたち、もっと記録的に、科学的に調査しないで、そんなことができますか。法案をいじるなんて、できますか。根拠のない上に立って、砂上の楼閣みたいな形でやれますか、あなた。  ここに、私も前後八回行っておりますからな、京都の選挙は非常に重大な選挙だと思って……。これは具体的に自分も知っているし、タッチもしていますし、実情を見て知っています。ここに書いてあるのを簡単に読んでみましょう。  「一月も二十日を過ぎたころ、京都市内の目抜き通りには「時の人、柴田まもる氏帰る」の立看板がいっせいにたてられ府民の目を驚かせました。そして市内には、自民党や勝共連合の宣伝カーが走り回り「独裁府政をやめさせよう」「共産主義は間違っている」と叫びたて、柴田氏が京都入りした二十七日以後からは、「京都を明るくする会」のビラの全戸配布がはじまったのです。  そのころはまだ、共産党、社会党など民主勢力の側の統一選挙体制はできあがっておらず、これが成立し、蜷川知事の出馬表明が正式におこなわれたのは、一月三十一日のこと。京都市内は知事選告示の一月半も前というのに自民党など三党連合の側の大宣伝によって異常な選挙に一方的にまきこまれていったのです。  柴田陣営の出足は早く、二月にはいると京都北部の丹後地方を皮切りに〝大南下作戦〝と豪語した大宣伝戦が開始され、全国から動員された宣伝カーが「柴田」の名前を連呼し民主府政を「共産府政」とののしりまわり、府下の電柱という電柱には「柴田」の顔ポスターがいっせいに張りめぐらされました。  また柴田派の「京都を明るくする会」の結成大会(二月二十二日)は近畿放送テレビを通じ全府下にカラー放映されるという手回しのよさ。  こうして三月十八日の告示までに、バラまかれたビラは十種類、機関紙「若い京都」一号~三号までおのおの約五十万部が府下全戸を対象に配布され、ほかにも、自民党機関紙「自由新報」が三回、民社党の発行したビラが出ています。  当時、まだ民主勢力の側は反動側の宣伝に対応できる体制はととのっておらず、中傷・デマ宣伝にさらされました。」  「明るい民主府政をすすめる会」の常任幹事として連日事務所につとめている人は、こういう事態について非常にこの真実を語っております。  それからもう一つの問題ですが、先ほど答弁にありましたね。通常配布というのは全戸に配るというようなことはこれは行き過ぎだというようなお話し、さっきありましたね。しかし、これをやったのはどこですか。これは明らかにやはり「京都を明るくする会」であるということはこれは間違いでしょう。ここにも証拠があります。ここにありますよ。ちゃんと配った、知事多選の弊をつくというのは、ここにちゃんと注意を書いてある、この注意の中にこういうことを書いてあるわけですね。「若い京都」の中に、若い京都で「通常配付イコール全戸無料配付」だ、だからためらわずやれと、こういうことをはっきり指令している。それからさらに「告示以後、柴田派の宣伝はいっそう拍車をかけられ、告示直後の三月二十日夜には」「「柴田まもるは実行します」の活字と柴田氏の四枚の顔写真をのせ、府下六十万戸の有権者に軒なみ、無料でバラまきはじめたのです。」こういうかっこうで、しかもいま申しましたように、違法ではないとしてこれをばらまいた、「民主府政の会」の代表は、この直後京都府警捜査二課にこのような見解を聞いたら、全戸配布ならそれが通常の配布の規定で違法ではない、こういう妨げるのはかえって選挙妨害だというようなことでだんだんエスカレートされていったのであります。それからさらにビラの内容ですが、出されたビラですね。その内容ここにたくさん例がございますけれども、これは民主府政や共産党に対する誹謗とデマ、中傷で、たとえば「京都はこれでよいのか!蜷川府政、独裁と暴政の二十年」そういうビラがあった、「蜷川はんはこわい人どすワ」こういうビラ、「〝暗黒〝と〝恐怖〝の二十年間」などという、こういうのです。こういう事実というのはこれはまぎれもない事実であり、私も直接このからだをもってこの部分の相当な部分をこれは見ております。あなたたちこれをつかんでいるんですか。つかんでいないんですか、つかんでいないで、こういう判断の上に立って、あなた法案を改正したりできますか。科学的じゃないでしょう。どうなんですか。さっきのような答弁は、それは何ですか。あたりさわりのない、それだけしかつかんでいないのですか、これは選挙は少なくともほんとうに科学的に研究し、その上に立って科学的の法改正を考えている当事者のやり方じゃないと思う。いかがですか。
  87. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) そこのただいまのお話は何に掲載されたものでございましょうか、いまのお読みになった新聞
  88. 岩間正男

    岩間正男君 これは赤旗です。赤旗であるけれども、同時に私が証言します。これは事実だ、このとおりだ。
  89. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 事実はあるいはそのとおりであったかもしれませんし、またいろいろの事実の時と前後等、まあ私は存じませんが、あるいはあったかとも思います。それからそのいろいろ実例等の資料、そこにお読みのような資料を見たこともあるやに思いますが、全部そういうものを踏まえまして、だれかれがしたということよりは、こういうことによる過度ないろいろな行き方というものが問題になったわけでございます。その点を十分考慮いたしまして、だれがした、だれが先だれがあと、だれがより大きいということは別問題といたしまして、あそこにあらわれました結果、文書合戦の行き過ぎその他あるいは事前活動における自動車の使用状況等、一連のものを見まして、この点は改善を加えられるべきものである、こういう判断に立った次第なのでございます。
  90. 岩間正男

    岩間正男君 そういうふうに抽象論に問題を戻して、そして事の真実を明らかにして、その上に立って真実を守り、不当なものはこれを切っていく。そういう方向で日本の民主主義を守る、議会制民主主義を守る。重大な危機ですからね、こういうことがじゅうりんされては。そういう立場に立たなければならないのに、これは一般に抽象的にそういうお話がございました。むろん自民党に不当なことがあればこれに対して断固とあなたがやるのだったらいいのですけれども、なかなかそういう形にはなっていない。実際はこれは京都の選挙だ。京都選挙の中でそういうものの火ぶたを切ったのは、まさに政府の側じゃないかということが陰のほうでいわれているのは事実です。あなたが公式の座で言ったか言わないか、これは国会の速記録を調べればわかるわけです。私は、ビラ合戦の問題というのは、こういう事実を前にしたらどういうことになるのだろうか。これがほんとうにビラが制限されておった場合にはどうなるか。実にこれは日本の民主主義にとって重大な問題があるということで次の具体的な一つの例をあげます。これがビラが制限されておったらどうだ。議会制民主主義はどうなるか、日本の民主主義はどうなるかという最もいい例だと私は思います。三月三十一日に暴力集団である赤軍派による「よど」号の乗っ取り事件が起こった。そうすると、当時京都におりました自民党の田中幹事長は京都・宇治の演説会で「あの暴力学生は共産党内の過激派だ。つみとがもない人を犠牲にする連中をこのままのさばらせていいのか」こういう演説をした。そうして三党連合は、ここにございますけれども、「赤軍日航機による乗取り、これが共産党の正体だ」こういうビラを大量にばらまきました。これは御存じですかどうですか。これは大臣御存じでなきゃまずいですよ。そっちの事務局どうですか。
  91. 中村啓一

    説明員(中村啓一君) ただいま御指示になりましたビラは承知しておりません。
  92. 岩間正男

    岩間正男君 承知していない、全然、選挙部長ですよ、そんなことを。いいですか、これを京都全域にばらまいた。それが全く事実無根、デマ宣伝であり、手段を選ばぬ中傷であり、ためにするものであったことはその後の経過が何よりもこれを証明しています。そうしていまや天下周知の事実です。そうでしょう。だから、たとえば例をあげましょう。四月六日、共産党舞鶴地区委員会は、つまりこのビラは舞鶴で大量に印刷し配布しようとしたものですが、代表谷垣和夫氏ですね、これは舞鶴の地区委員長で市会議員ですが、公選法百四十八条一項、同二百三十五条二項、つまり虚偽事項を公表した、こういうことで「京都を明るくする会」の代表前尾繁三郎氏を相手どって仮処分を申請したわけです。これに対して京都地裁舞鶴支部橋本達彦裁判官はその申請を受け入れてビラを差し押えた。この事実を自治相どうお考えになりますか。
  93. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) その事実は私存じませんでしたが、それは検察当局の処置として当然やられるべきものとしてやられたことだろうと思います。
  94. 岩間正男

    岩間正男君 法案を出す前に、もう一回京都の真実を、そうしてその上に立っての真の民主的な選挙法をわれわれは努力しなければならないのじゃないですか。その点は、あなた、こういう事実をほんとうにつかまえて、京都が今度の法案改正のこれは動機になったのだというが、この京都についての認識というのはほとんどない。ゼロなんです。そうでしょう。このような事実無根の許しがたい悪質なデマ宣伝を当然このまま黙っていられるわけじゃないでしょう。この事実無根を粉砕するために、そうしてその真相を明らかにしてしかも対決上宣伝を展開することは当然正当防衛ですね。また、選挙民にその真実を明らかにして誤りない判断の材料を提供することは、したがって選挙の公正を期する政党としてはまさになさねばならない義務である。これを怠ったとしたらその政党というのは価値がないだろうと私は思う。当然過ぎる当然の行為といわなければならぬと思いますが、自治相いかがですか。
  95. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) そういう悪質なデマは、従来の公職選挙法からも当然許さるべきものではありません。また、それに対する処置がとられることも当然でございましょう。そういうことに対する道を封ずるということが今度の改正趣旨ではございません。そういう点も十分踏まえまして処置を当然考えらるべき問題でございまして、ただいかなる制限をどの程度に加えるべきか、これは十分考慮さるべきことでございます。そうしてそういうものが許さるべきでないということは今度の改正とはこれは本質的に私は別問題だと存じております。当然そういうことは許さるべきものではない。そういうものを払拭できる機会が封ぜられるということがあってはこれはならないと存じております。
  96. 岩間正男

    岩間正男君 そう言われるけれども、今度の文書等の制限というのは、中身を見るのでしょう。種類が限定されるのでしょう。そうして限定された中でこんな臨機応変なものはできますか。こんなすごい話にならないデマ宣伝、きたない許すことのできないこんなデマ宣伝がどんどん大量に出されたときに、これに即応してこんなこと出せますか。押えることができますか、監督するほうは、権力者は。こういうことで一体公正が期せられますか。だからどうしてもやはりこういうような不当なことが一方で行なわれないようにするために、当然これは政党の自粛というものがあるわけですよ。こんなきたない許すことのできない、それによってほんとうに国民の信頼を失なうようなことに、私はこれは佐藤総理にあとで廊下で会ったときに、総理が言っていた、岩間君、京都で勝ったねと、あたりまえじゃないか、京都の市民の顔を全くさかなでをしたあの宣伝、これで勝てるわけはないのだ、京都の市民は蜷川二十年の民主府政の中で訓練されているのだ、しかも非常にナイーブな気持ちを持った人たちが――私も京都はしばしば行くから知っている。ところが、それにさかなでするようなきたない、黒い霧の宣伝をやったわけです。これに対して当然対決するための手段というようなもの、これは言論の自由から、もしも行なわれるとすれば、これに対して向けなければならない。ところが、制限だけはする。そうして実際は、一方のほうは野放しにされるという形では対決ができなくなってくるのがいまのやり方です。  それから、いま見ますというと、今度の姿は、最初は共産党、社会党の民主勢力、連合勢力が宣伝戦の上では反共、反動の物量作戦にふい打ちされた。しかも防衛戦を余儀なくされた。後に力をあわせて反撃に立ち上がって、反共デマを事実と道理に基づいて正々堂々と政策を訴えて宣伝戦を強めた。無事に選挙の勝利をかちとった。これはまぎれもない事実です、これは私はずっと見ておりますから。  そうすると、いまのような形で、私は非常に制限というものが、あられもない方向にこれは利用されている。まさにこういうやり方では、実際これは党利党略ということになるのではないですか。こういうまぎれもない事実をごまかして、そうしてしかもこれはたな上げにして口をぬぐう。そして、しかもこれは反共宣伝に一いかにも共産党が京都の選挙にまでエスカレートしたのだというふうに宣伝する。反対にこれを口実として選挙戦での正当な政策宣伝活動そのものに反動的な規制を加えようとする。こういう例が明白にあるのじゃないですか。だから、先ほどあげました「民主府政の会」の常任幹事の蜷川陣営の谷口浩二という、これは京都総評の事務局長でありますが、こういうことを言っております。「われわれがすき好んで宣伝を開始したのではなく、敵側が権力を背景に先制攻撃をかけてきたので、やむなく防衛に立ち上がったにすぎない。それを逆にとって法改正をしようというのは、まったくの党利党略ではないか」、こういう憤りの声をよこしている。私はよくこの気持ちはわかります。そして、しかも今度は制限して、このような反撃の機会さえ失わせる方向に制限されるということになったら、一年前のある国民の世論により、第五次審議会答申尊重して改正した、自由化の方向をとったということが、まるでこれはどうなんです、角をためて牛を殺すようなことになりませんか。どうなんです。
  97. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 先ほども申し上げましたとおり、それがいかなる責任者の名のもとに出された文書かは別問題といたしまして、かりにそういうことが今後あったといたしますと、それに対する反発の機会を失わせるために制限をしようというようなことは毛頭考えておりません。また、機会を失わしめるような制限のしかたであっては、これはいかないと思います。そこはやり方によりまして、十分そういう場合についても文書合戦が過度にならない範囲において、またそれに対する十分――かりに、そういうことがあっちゃならぬわけですが、それが万一あったとすれば、それが反発する機会が許される方法が当然考えられてしかるべきである。そういうものを封ずる意味において、そういう具体的内容において改正をしようというふうには考えておりません。そこはひとつ了解をしていただきたいと思います。
  98. 岩間正男

    岩間正男君 それは秋田自治相はそうお考えになるのはよくわかりませんが、残念ながら法の運用というのはたいへんなことになっているのですよ。私は残念ながらあなたのことに触れざるを得ない。  沖縄でいま選挙をやっていますね。私は沖縄から二、三日前に帰ったばかりです。そこで選挙前に自民党のたとえば今度のいまやっている西銘氏とかあるいは稲嶺一郎氏とか山川氏とか、こういう人たちと名前を並べて、秋田大助自治大臣と三人並べたポスターで大宣伝しましたね。これは選挙が始まるとどうなんですか、撤去されるべきものなんですか。これは部長にお伺いします。
  99. 中村啓一

    説明員(中村啓一君) その現物の記載内容にも関連するところがあるかと存じますが、一般的にはお話を承りますと、政治活動用の文書図画ではなかろうかと思われます。政治活動用文書図画につきましては、現在、選挙の告示前に張られて、それが選挙運動期間中に入りましても、これをもって直ちに違法というようなことではないような形になっておるわけでございます。
  100. 岩間正男

    岩間正男君 これはどうなんです。そういうふうにあなた説明されたけれども、二百一条の五「ただし、当該選挙区の特定の候補者の氏名又はその氏名が類推されるような事項を記載したものを使用することはできない。」と書いてありますが、これはどうなんですか。これはただし書きです。どうなんです。ここに、秋田さん御存じないかもしれませんが、たくさん張ってありますよ。何万と張ってあります、これは東部のほうに行くと、中部のほうに行くと。こういうやつですね。山川氏と一緒のやつとか、稲嶺一郎、西銘順治、秋田大助、こういうものが、しかもこれは撤去を注意されたのじゃないのですか、高いところにやってある。手が届かないところに張ってある。私は目に余った。なぜかというと、選挙の元締めが法律そのものを一これはどうですか。ちゃんと法律に何しているでしょう。法律のただし書き忘れてはだめですよ、選挙部長。そうでしょう。まぎらわしいのじゃない、明らかです。だから制限を全部撤廃すれば問題がなくなるわけです。制限をしていて、一方ではこんなことをしている。そうしておいて一方ではこういうふうに奨励されて、組織的に何万というビラが張られている。私はどこへ行っても目に余った。これでいいのでしょうか。そして、これは、張っている人は違反と心得てやっているのか、とにかく違反をやっている。それをやらした原動力は、そのきっかけになったのはあなたなんです。それが選挙の元締めだ。神さまとまでは言わない。選挙の元締めがこういうことをやっている。これはどういうことになりますか。政治姿勢としてどうです。いっそのこと、だから全部制限を撤廃すればいい。われわれはこんなことで、制限しろというふうなことのために言っているのじゃありません。しかし、いまあなたがさらに用法を制限して、そういう余地がないようにするためだと言われるが、ところがこれは行き過ぎを奨励することになるのです。現行の法律、現行法なんだから。そうでしょう。だからこれは改正しても、また悪い方向へ改正される危険性が十分にある。これでは民主主義は育たない。これでは議会制民主主義は全くたいへんなところに追い込まれることになる。せっかく国民の世論で自由化の方向に口を開いて、そしてこれからまだむろん、幼いから今後時間もかかるでしょう。しかし、それを角をためて牛を殺すような方向に持っていくというような、こういう制限法というのはこれはだめだ。だから、ことばのあやだけでは、これは問題は解決しないというのです。だからここにやっぱり列挙をしたなにがありますが、これについて一応、あなたの政治姿勢見解をひとつ述べておいてください。
  101. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) それは法律見解は、私法律家でございませんけれども、常識上選挙の前の演説会のビラがそのまま残っておるのじゃないかと思っております。もしそうであれば、これは私は、私の立場もございます、私がやらしたものでも毛頭ございませんけれども、すみやかに撤去を私は求めたいと存じます。
  102. 岩間正男

    岩間正男君 それは週刊誌がありますけれども、ここにもありますね。ちゃんとあって、自由民主党の名があって、その下に自由民主党秋田大助、それから稲嶺一郎、西銘順治、三人顔を並べたものが、ちゃんとみんなあるのです。ビラなんですよ。だからどうも私は公職選挙法をやっているからなお頭にきたんだがね、そうしてその元締めのあなたがこういう、そうすると法というものは、法の尊厳とかなんとかいうものは、これはどういうことなんです。そうしていまこれを制限の方向に持っていく、自由化と明らかにやっぱり反する方向に持っていくということになるとこれはたいへんなことになるんじゃないか。だから私はそういう点からさらにもう一つお聞きしたいのでありますが、それは当委員会が京都に調査に参られましたね。それで報告書を私読んだわけですね。私参りませんので、私のほうの春日さんは自由参加したわけですが、そのあとで報告書をいただいたから、これを読んだ。そうすると、これは報告書の中に書いておりますけれども、ここに出た公述人は非常にむしろ積極的にこの今度の自由化の方向というものを、いろいろ、完全に一〇〇%とはいわぬけれども、非常に積極的な方向を出している。たとえば上京区の連合婦人会長の和田早苗という方は「選挙公害であったといわれるが、ビラは読みたくなければ捨てればよい。今まで無関心であった人も政治、地方自治を身近かに感じ、政治意識を向上させ、学習討論に利用するなど効果があった。政策の争点も明らかとなり、自覚ある真実の投票ができた。これは正しい選挙の第一歩ではないか。シンボルマークも自主的につけたのであって、そのことによって自覚を高め、意識の向上に役立った。したがって選挙の自由妨害、投票の秘密の侵害などは当らない。選挙期間中の陰険さもなかったが、中傷と批判を見分ける意識は必要で、このため政治学習を中心とした婦人のための常時啓発事業はますます強化されたい、」、こういうふうに述べておる。京都教育大学教授の五十川武雄氏は、確認団体、政党政治活動は婦人層特に農村婦人層の自覚を向上させたことを指摘いたしております。京都新聞編集委員の森博氏は「むしろ事前運動、戸別訪問を認め、文書図画を自由化し、選挙は、身近かな賑やかなお祭り騒ぎであってよいのではないか。」と、一そうのむしろ自由化をこれは求めている。それからこの中で特徴的なのは、やはり買収、供応が――この極悪犯、選挙で買収、供応ぐらいはれんちなものはないのです。こういう犯罪が非常に少なかった、報告書の中でこう述べております。これは当然当委員会委員の皆さんがこれについて統一的な見解を述べられたのだと思います。「選管側の選挙管理のうえからの規制意見とは対照的に、地元代表側は、自由にして明朗豁達な選挙へ移行するための一つ過程として、選挙公害も否定することなく、その可能性を前向きに受取っているように思われたのである。」というふうに、あそこの京都の選挙民たちの気持ちというものをこうつかんで報告された。「選管側の選挙管理のうえからの規制意見とは対照的に、地元代表側は、自由にして明朗豁達な選挙へ移行するための一つ過程として、選挙公害も否定することなく、その可能性を前向きに受取っているように思われたのである。」ここです、私の言いたいのは。うしろ髪引っぱってもとへ戻す、逆行させるのじゃなくて、そういう幾ぶんなにもあるでしょう、それはまだ慣れないということもありますから。そういう問題の中で、それを単にいまのような制限することじゃなくて、それをむしろほんとうに正しい方向に、しかも積極的にそれを育てていくというのがこれは重要なんじゃないでしょうか。私はそういうふうにこの当委員会委員諸氏の報告書を読んだわけです。どうでしょう、こういうこの気持ちというものは今度の一体選挙法改正によってそこなわれるのじゃないですか、いかがですか。
  103. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) ただいまのお読みになりましたような諸説、十分理由があろうと思います。伸び伸びと選挙をさせる点を強調をされておる、確かにそういう面については私もうなづけるものを持っております。ただ、またもとへ戻ってしまうというお感じを抱かれるかもしれませんけれども、実際面におけるいろいろの、ことに文書合戦の行き過ぎということは、ひとつ皆さんお考えを願いまして、行き過ぎ改善されるのが妥当ではなかろうか、そうしてそれは決して自由の障害にはならない、そうして伸び伸びと選挙をする面はさらにまた十分にそのように進めていかなければならない、こういうふうに考えられる次第でございます。
  104. 岩間正男

    岩間正男君 とにかく私は法案の内容を、これは事前にわれわれにも検討する機会があるのですか。これはとにかくいろいろあなたたち相談されていると思いますが、それにわれわれはまだ接したことはない。野党でも話し合い――共産党はこの中に入っていないようでありますが、だから十分に具体的なことは――幾ぶん聞いておりますけれども、それでやってみれば、私一、二あげましたけれども、どういう性格のものか明白だと思うのですね。  私は、そういう点から以上いろいろ述べましたけれども、今度の公選法改正は世論の高まりに全く目をつぶっていると思いますね。それから選挙制度審議会答申の本旨にももとっている。それから時代と民主主義にこれは逆行するものだ。その背後には、私はこれは佐藤総理が肝を入れているところを見ると、やはり四選後の体制づくり、露骨な反動的な体制づくりというものがある、こういうふうに考えざるを得ない。したがって、これに反対して改悪を許さないことは、これは議会制民主主義の擁護を主張するそういう政党、そういう人たち、それは当然私はとるべきだというふうにこれは考えるわけです。ことに全会一致であの法案を通してきた立場から考えれば、そういう連帯も、当然これは国民に負った責任を持っているのだ。だから国民の方向じゃありませんよ、これは。だから当然私は、同時にここで自治大臣に考えてほしいのですが、この世論の指向する方向に虚心たんかいに耳を傾けて私は法案の提出を見合わせるべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、これはどうですか。たとえばこれはここにもありますけれども、朝日新聞のきょうの社説をお読みになったですか、どうですか。お読みになりましたか、お読みにならぬですか。
  105. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) まだ読んでおりません。
  106. 岩間正男

    岩間正男君 これはやはりお読みになったほうがいいと思うのですが、どうでしょうか。世論がやはりほんとうにこれは心配していますよ。特に選挙を行なった京都市民の気持ちというものは、ほんとうにこれは、当委員会からも派遣されて先ほど述べたように、いろいろいわれているわけです。それを法的にいじって、こんなことでやっていくということは考えられない。どうですか、撤回の意思はございませんか。
  107. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 御趣旨はよくわかりましたが、私としては、ただいまのところ撤回の意思はございません。  繰り返して申し上げますとおり、政党政治活動の自由の原則の大旨をそこなわない範囲におきまして、いろいろ世論もございますので大勢に従いたい。そしてもちろん世論の中に反対の世論もあり、賛成の世論もあり、いろいろでございますが、いまのところそれらを総括考えまして、私は政党政治活動の自由の原則をそこなわない、むしろ公正にして自由な選挙を確保するという意味における政治活動の自由原則に基づく改正というものは考えられてしかるべきものであるというふうに私はいまも考えておる次第でございます。
  108. 岩間正男

    岩間正男君 最後に――これで私の質問を終わりますけれども、そう言われますけれども、何ら科学的な根拠の上に立っていない。この問題の契機をなしたものは京都の選挙だと、ところが、京都の選挙についてはほとんど御存じでない。どこから、どういう問題が起こって、どうなってどうなっていったか、その経過というものはほとんど御存じないということが、これは今日の私は質問において明らかになった。それからこの事務を扱っている選挙部長がほとんどやはりこれはわからない。ただもうばく然と一般的にこれはつかんでいる。あるいは知っていてもここで発表されないのかどうか、その辺はわかりませんけれども、とにかくそういう形である。そうして選挙改正といってこれはどういうふうになりますか。どういうことになりますか。それはためにする、ほんとうに選挙を考えるのでなくて、ためにする一つのやはり最初からもうそういう反動的な逆行の意思を持ってそれにふさわしいところのそういう選挙改正を考えておるということを何より立証したのがきょうの質問のこの形じゃないですか。結論じゃないですか。だから少なくとも、ほんとうにいま申されたことばのような文字どうりそうであったならば、あなたはまあ京都の選挙というものをもう一ぺん虚心たんかいに十分にほんとうにこの真相というものを探って、その上に立ってはっきりこの選挙のあり方というものを探っていくのが当然で、そうお答えになると私は期待しておったわけです。ところが、全然そういうことなしに是があり否があり、どうあろうがきめてしまったことはあくまでやっていくのだというような御答弁です。これは当委員会としても、また委員会調査までこれはされた同僚諸君の御努力に対しても、私はどうも正しくない。それから昨年の全会一致であの法案を通したときの精神から言えば、何よりもこれは国民の期待というものを裏切る、こういうことになると思います。まあ、御答弁要りませんけれども、私ははっきりこの点を指摘しておきます。そうでないとこの質問の意味というものが不明になりますから、この点を指指して私は質問を終わります。
  109. 高橋文五郎

    ○理事(高橋文五郎君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時二十三分散会