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田中寿美子君 それでは私、BHCの
汚染牛乳の問題、さらにBHCの環境
汚染とか、こういうことについて、きょう御質問したいと思っております。午前中、主として農林省の方に農薬の扱いその他を
中心にして、それから午後、厚生省の方を
中心に食品衛生の
観点から聞きたいと思いますけれ
ども、関連しておりますので、あるいは両方にわたるかと思いますが、BHCの問題をここで取り上げるということは、今日、BHC農薬がすでに環境
汚染原因となっている、そして非常に重大な問題を非常にたくさん引き起こしておりますから、そこで私は、
公害として取り扱うべき側面がある、そういう
意味でここの
委員会で
お尋ねするわけです。ですから、単に食品衛生の問題とか、それから農薬使用、農政上の問題というところをこえて広範な、人体とか動物とか環境破壊とか、こういうことを伴っているという
意味で御質問するつもりでおります。
BHCの牛乳
汚染のことにつきまして、少し経過をたどってみますと、昨年の十二月、高知で牛乳のBHC
汚染が検出されたという報道がされたわけです。これはわれわれにわかっている経過でお話しするわけです。もちろんもうすでに各地の衛生研究所で調べていられたようですけれ
ども、一般に発表されたのは十二月中旬以後でございます。その前にBHC工業会ですか
——がBHCの製造禁止ということを発表いたしました。当時、厚生省は、BHCの中のベータについてWHOの
基準がないから判断がよくできない、そしてその検出されたものは慢性毒性なんだから心配はないというPRをもっぱらしていられた。金光環境衛生
局長もそういうような談話を発表されて、はっきりとそのデータについては消費者に不安を与えてはならない、あるいは生産者である酪農民に不安を与えてはならないと、こういう
考え方からだろうと思うんですが、データを伏せていらっしゃった。ところが厚生省は、その後、全国八
地方の牛乳検査をされて、そしてその結果が四月の二十二日に新聞紙上では発表されました。それから農林省は十二月の二十六日と一月の二十八日に蓄積
局長の通牒を二回出していらっしゃいます。で、四月の二十一日ですね、厚生省が食品衛生調査会の残留農薬部会と乳肉水産食品部会ですね、その合同部会を開かれて、そしてその結果の意見を発表されております。そしてそのときにデータも発表された。そこで初めて私たちはそのデータを知ったわけです。
念のためここでこの内容のポイントを申しますと、そこで発表されたことは、第一点として、八
地域の牛乳にBHCの異性体が発見された。そのうちベータBHCが大部分を占めている。平均値で最低が北海道の〇・〇〇八PPM、最高が長崎の一・二八八PPM、これが二月の段階のことですね。
それから次に、そしてこれは農薬の使用量と並行している。だからBHC農薬をたくさん使ったところほどたくさん出ているということだと思います。
それから三番目に、諸外国よりははるかに高い数値だと、であるからBHCによる環境
汚染がどんどん進んでいると、つまりこれは
公害だということです、環境
汚染は。
それから第四点で、人体に及ぼす影響はいま直ちに危険ではないけれ
ども、長く続けていれば保健上あぶない。
それから次に、だからBHCを主とするところの有機塩素系の有機塩素剤使用停止などのできるだけ強力な措置をとってほしい。
そして
最後に、
汚染源は飼料であるから、BHCを含んだ稲わらであるから、時期的にはもう四月の二十一日ですから、BHCに
汚染された稲わらを食べる量がだんだん減って次に青草が出てくるから、危険な域は脱しつつあるというようなことが発表された。
で、発表された数字の内容は、この数字だけでも相当の私たちは驚きでございますけれ
ども、
問題点は、許容限度がWHO、FAOの一九六八年の
基準が〇・〇〇八PPM、それに比べますと驚くべき高さだ。たとえば大阪は最高二・四三二、平均で〇・九七〇、長崎は最高二・〇二八、平均で一・二八八、だからWHO、FAOの
基準からしたら三百倍にもなるというような、こういうようなたいへんショッキングな発表が新聞紙上でもされました。で、ここでちょっと疑問に私が感じたのは、発表された時期が四月二十一日、すでに手を打ってあった時期なんではないか。で、畜産
局長の通牒は十二月と一月に出ておる。何となくその発表されたときに感じたものは、間の抜けた感じですね。そこに一体何かがあるのか、なぜそういうふうに、つまり一月、二月、十二月から、いやそれよりももっと前に昨年の夏、各地の衛生研究所で研究をしていた、そして十二月に高知で発表された、それから三月の終わりころに各地の衛生研究所でちらほらと発表が始まった。そして厚生省は四月二十一日にその合同部会の結果を発表した。こういうふうに発表の時期がおくれたのは、何か作為的な感じがするのですが、そこに何かがあったかどうか、その辺、つまりその間何をしていられたのか、つまり時日はどんどん進行していた。一月、二月、三月の段階でBHC
汚染の稲わらを牛は食べていた。そして牛乳には出ていた。それからこれは環境
汚染ということからいえば牛だけじゃないと私は思っておるわけです。ですからまず米にもあるはずです、米のためにBHCは使うのですから。それから土壌にもあるでしょう。水にもあるでしょう。それから野菜に対しては八種類の農薬に十二品目の許容
基準をつくっていらしゃる。だから野菜も調べられたはずだ。それから調べて見ますと、
地方の衛生研究所では肉や魚の、あるいは母乳までも調べているところがあるのです。人体の中の蓄積を調べているところもあるわけですね。そういうような状況があった間にこういう高い数値が出ているのです。どういう手を打っていられたのか、これは農林省、厚生省両方から最初にお伺いをしたいと思います。