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1970-03-11 第63回国会 参議院 公害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十一日(水曜日)   午後一時二十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 中津井 真君                 小野  明君                 内田 善利君     委 員                 鬼丸 勝之君                 川上 為治君                 渡辺一太郎君                 亀田 得治君                 田中寿美子君                 小平 芳平君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   宮澤 喜一君    政府委員        総理府総務副長        官        湊  徹郎君        経済企画政務次        官        山口シヅエ君        厚生政務次官   橋本龍太郎君        通商産業政務次        官        内田 芳郎君        通商産業省鉱山        保安局長     橋本 徳男君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        通商産業大臣官        房審議官     成田 寿治君        通商産業省企業        局立地公害部長  柴崎 芳三君        通商産業省鉱山        石炭局石炭部長  阿部  茂君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害対策樹立に関する調査公害対策基本方針に関する件)     —————————————   〔理事小野明委員長席に着く〕     —————————————
  2. 小野明

    理事小野明君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。  本日、委員長所用のため、委託を受けました理事の私が委員長の職務を行ないます。  この際、各政務次官から発言を求められておりますのでこれを許します。  まず、山口経済企画政務次官
  3. 山口シヅエ

    政府委員山口シヅエ君) たいへんごあいさつがおくれておりますが、私は、このたび経済企画政務次官に就任いたしました山口シヅエでございます。たいへんふなれでございますので、諸先生方にはいろいろ御指導いただかなければならないと存じますが、今後ともよろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  4. 小野明

    理事小野明君) 次に、橋本厚生政務次官
  5. 橋本龍太郎

    政府委員橋本龍太郎君) 今回厚生政務次官を拝命いたしました橋本龍太郎でございます。  衆議院の公害特理事の時代から非常にお世話をかけておりました者でございます。今回、またいろいろ御指導をいただくことになりました。ごらんのとおりの若輩でございますが、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  6. 小野明

  7. 内田芳郎

    政府委員内田芳郎君) 私もお許しをいただきまして、ごあいさつ機会をいただきましてありがとうございました。お礼を申し上げます。  御承知のとおりに、去る内閣改造あと一月二十日、通商産業政務次官を命ぜられました。これからもよろしく御協力のほどをお願いをいたしますとともに、当委員会におきましても、当面の諸問題をよろしく御審議、御協力のほどをお願いいたします。ありがとうございました。
  8. 小野明

    理事小野明君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  9. 小野明

    理事小野明君) 速記を起こして。  公害対策樹立に関する調査を議題とし、公害対策基本方針に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  10. 田中寿美子

    田中寿美子君 私は、通産大臣公害対策基本的な姿勢について最初お伺いしたいと思います。時間は三十分ですから、こまかいことはまた後ほどにさしていただきますけれども、この間、通産大臣所信表明をなさいました。これを拝見いたしますと、通産省もやや積極的な姿勢をおとりになるようになったということでけっこうだと思います。  昨年六十一国会では、総理大臣はじめ通産大臣など公害に関する考えは、高度経済成長のもとにおいては公害必要悪だという立場をとっていらっしゃいました。しかし、問題が世界的レベルでクローズアップされてまいりまして、多少政府もあるいは産業界も認識を改めたんじゃないかと思います。ことにアメリカで、ニクソン大統領公害対策を七〇年代の最優先政策というふうにしていますし、環境改善特別教書を出すというようなことになりまして、日本もまたこれにならう傾向があるんじゃないかと、ただしアメリカのとっております対策規模予算の額はけた違いだと思いますが、アメリカの場合、相当企業に対しても非常にきびしい追及をやっております。最近も大企業十一社、これもシカゴの河川の汚染に関してですけれども、アメリカの司法省が告発をしていると、こういうようなこともあって、相当きびしい追及をしているわけなんですが、そこで通産大臣姿勢を初め伺いたいんですが、七〇年代の企業というのは公害防止をしなかったら生き残れないんじゃないか、人間の生命をあぶなくしては産業の発展ということもないと、こういう意味通産大臣は相当確固たる姿勢をもっていらっしゃるのではないかと思いますが、その辺をお聞かせいただきたいんです。これまで公害対策について私どもがいろいろ検討したり、調査したりしておりますと、しばしば通産省が壁だということに突き当たるわけなんです。どうしても企業の側に立つ通産省というものがそういう立場に立ってきたきらいがございますけれども、しかし、今後は、それこそ公害防止ということは企業の側も先取りしなければならないという考え方に立ってるんじゃないかというふうに思われますので、その辺を最初に伺いたいんです。特にこの所信表明最初のところに「国民の健康の保護生活環境の保全をはかることは、産業政策を進める上での重要課題でございます。」というふうに言われておりまして、公害対策基本法に出ている産業との調和ということばは意図的に避けられたと思います。ただしそのあとのところで、「公害対策基本法の体系を軸として、」ということばで補ってあるのですが、その辺どうしても産業立場に立たれる通産省は、やはり公害被害を受ける者の立場というものを最重点に考えなければならないと思うのですが、その辺も含めて大臣の御決心を聞かしていただきたいと思います。
  11. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 通産省は、産業を所管する役所でございますけれども、申し上げるまでもなく、経済とか産業とかいうものは、それ自身が目的ではないのでありまして、人間人間として意味のある一生を送る、あるいは国として意味のある国のあり方をする。そのために奉仕すべきものであると思います。  終戦後、食うや食わずという状態では、そのほうに頭がいきまして、なかなかそういうふうな考える余裕もなかったかと思いますが、いまやもうわが国は一応の生活は充足されつつありますので、当然のことながら、その原則に立ち戻って、産業経済人間に奉仕すべきものであるということをはっきり確認しておきたいというふうに考えております。また、過去の公害についても、国民意識が非常に高まりますとともに、人間が一番大事という考え定着しつつございますので、これはもう何省とかいうことでなく、行政関係あります者だれもが心がけておかなければならない基本だと思うのであります。したがって、技術が進み、そういう意識がさらに深まるとともに、この問題は当然企業の側にいろいろなことをわれわれが求めなければならない、企業の側に向かって条件がきつくなるのは私は当然であると思っておりますが、ただいまのところ、環境基準であるとか、あるいは規制基準であるとかいうものがぼつぼつ設定をされ始めたという段階でありまして、これがもう少し整備されてまいりますと、意識定着技術進歩等に伴って、それらの基準に違反したものは社会的な、あるいは法的な制裁を受けなければならないということがもっとはっきりしてくるだろうと思っております。したがって、私のただいまの考え方は、そういう意識行政の中にも、これは何省ということに関係なく定着をさせる、これはしつつあると思いますが、それをもっとはっきりさせるということが私のいまの仕事だと思っておるわけでございます。
  12. 田中寿美子

    田中寿美子君 いまのことばからしますと、これは通産省だけの関係ではありませんけれども、公害対策基本法の第一条二項の、産業との調和というようなところは、やがて取り去っていいのではないか。産業企業に関しての保護その他は通産省というちゃんとしたお役所もあることですから、公害対策に関しては、もっぱらその公害被害をなくすという立場考えるというたてまえで行政をやっていってよろしいのではないか。人間を最優先するという意味から、将来この産業との調和という第二項を除くべきではないかというふうに考えますけれども、御意見いかがですか。
  13. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) あそこでああいう表現がしてございますのは、法律ができますときのいろいろないきさつでああなっておりまして、あれは私は一つの歴史的な所産であろうと思っております。つまり、片一方で、とにかく産業は引っ込んでいればいいんだというようなことであっても困る、当然そこには、産業産業で育たなければならないのでありますから、ワンサイドゲームでは困るというような意識があったものと思います。しかし、考えてみて、田中委員の言われるように、国が経済をやり、産業をやるというのは当然のことで、産業が全部、ことに第二次産業などなくなってしまえばいいんだというようなことを考える人も、これもまたいないでございましょうから、意識定着してまいりますれば、私はあまりあそこのところにこだわらなくてもいいだろう、こう思います。
  14. 田中寿美子

    田中寿美子君 そのお考え私けっこうだと思います。  それで、いま世界的に三大公害というものが言われていて、大気汚染水質汚濁産業廃棄物——昨年私も海外旅行しましたときにも、主として公害のことを考えながら旅行しましたけれども、アメリカやイギリスで言っていることは、この三つがやはり一番大きな問題であるということでした。そこで、大気汚染関係なんですけれども、この中で大臣は、公害防止技術開発促進していくということ、それで、たとえば排煙脱硫技術開発は四十四年度で完了した、それから四十五年度重油の直接脱硫技術開発する、こういうことが書かれているのですけれども、これは具体的にいえば、四十四年度に終わったその排煙脱硫装置技術はどのように具体化するような計画を持っていらっしゃるのか。それから重油の直接脱硫技術開発、これは続けてやるのでしょうけれども、これも具体的に、たとえばどこの工場でどういうふうに設置していくというようなプランを持たなければ意味がないと思うんですね。実際の対策を進めていく上で具体的にはどういうふうに当てはめていかれるのかということを少し伺いたいと思います。
  15. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 後ほど政府委員から補足をして申し上げることにいたしたいと思いますが、排煙脱硫につきましては、いわゆる大型プロジェクト一つとして工業技術院が長いこと、数年間研究をしてまいったと聞いております。そしてそれがほぼ実際の規模と同じぐらいなプラントでの実験が完成をいたしましたので、工業技術院段階では、これでまず技術的には完全である、そこで今度は、幾つかの電力会社においてその技術をそのままひとつ実地に使うということにたしかなっていると思います。  それから重油の直接脱硫は、ただいまから技術的に検討を続けていくということでございまして、これは実地に使えるという——まだ入口のところにいるのではないかと思いますが、念のため政府委員からお答えをいたします。
  16. 田中寿美子

    田中寿美子君 ちょっと関連して、それでは政府委員の御説明のときに、排煙脱硫装置というのは相当たいへんな費用が要る大型のものだと思いますが、そして重油の直接脱硫というのは、これはもう少し中小プラントなんかに向けて使おうとしていられるのかどうか、その辺もあわせて具体案があったらお聞かせ願います。
  17. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) お答えいたします。排煙脱硫装置につきましては、工業技術院で完成した技術に基づきまして、来年度東京電力中部電力、並びに関西電力につきまして、完全なこれは大型プラントではないですが、中型のテストプラント的な設備を具体的に着工することになっておりまして、東京電力につきましては容量は十五万キロワット、中部電力につきましては十一万キロワット、関西電力につきましては六万キロワットに対応する排煙脱硫するということでございまして、開発銀行の新技術開発事業団、そこから六分五厘の特利を適用いたしまして、この設備促進をはかりたいというぐあいに考えております。
  18. 田中寿美子

    田中寿美子君 費用はどのくらいかかりますか。
  19. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 四十五年度と四十六年度合計で申し上げますと、三社合計で約二十五億円ということになっております。  それから重油脱硫装置でございますが、これは目下工業技術院研究中でございますが、その研究技術とは別に、たとえば出光興産の千葉工場はすでに外国から輸入した技術実施しておりまして、これは金額は約七十億円程度というぐあいに聞いております。工業技術院技術につきましては、その技術の完成した暁におきまして、各工場にどういう形でアプライドするかということを別途検討したいということでございますが、排煙脱硫並びに重油脱硫につきまして、やはりこの設備は非常に大型で、かつ、多額の金額が要るものですから、これを採用する工場は、主として大企業になるというぐあいに考えております。
  20. 田中寿美子

    田中寿美子君 それで直接脱硫して低硫黄になった石油、この石油の低硫黄化ですね。そういうことが全体に行なわれませんと、中小企業では使えないわけですね、低硫黄化具体策としてはどういうことを考えてらっしゃいますか。
  21. 成田寿治

    説明員成田寿治君) 石油の低硫黄化につきましては、エネルギー調査会の低硫黄化部会で昨年の九月ごろから慎重に検討しておりまして、ことしの一月に答申が出て、いろいろな具体策が立てられております。おもなものを申し上げますと、一つは、いまお話のありました重油脱硫を進めていくということでございます。これは、脱硫につきましては、いまお話しの直脱と間脱両方方法がありまして、四十四年度末、ことしの三月末におきましては直脱、間脱合わせまして三十二万バーレルくらいの規模になる予定でありまして、これを四十八年度ごろには六十四万バーレルくらいにふやさないといけないという考え方がとられております。  それからもう一つ方法としましては、ハイサル原油を入れて脱硫をやるのも一つ方法でありますが、最初から低硫黄ローサル原油を大いに入れることが一番必要なことでありまして、これにつきましても、いまインドネシアとか、あるいはアラスカのノースロープとか、あるいは最近西アフリカでの入札も出ておりますが、そういうところの新しいローサル油田開発を進めていく、あるいはローサル原油の買い付けを促進するという方法も大規模になされておりまして、大体、現在サルファ分が一%以下をローサル原油といいますが、四十四年度におきましては二千五百万トンぐらい入るのでありますか、四十八年度では五千四百万ぐらいの原油を入れたいというふうに考えております。そういう意味いろいろ促進もやっております。それからもう一つ方法としましては、ローサル重油を海外から入れるという方法でありまして、原油でなくて製品輸入のかっこうでローサル重油を入れると、そういう方法も割り当てのワクを拡大して、まあ供給力に限界がありますが、入れる方法、そういういろいろな方法考えまして、四十八年度におきましては、低硫黄化部会では、燃料油の全体のサルファ分を一.八%に下げる必要があるという答申が出ておりまして、現在は燃料油の平均が大体サルファ分二.三でありますので、これを一・八に下げていくというのは、相当な強い促進策をやっていかないと、なかなか達成できないんじゃないかというので、今度の四十五年度予算におきましても、脱硫をやった場合の重油につきましては関税を、まあ全部ではありませんが、一部還付するという促進策もとられて、予算案に計上して御検討してもらうことになっております。
  22. 田中寿美子

    田中寿美子君 石油のことは、またいつかもう少し詳しくお聞きしたいと思いますが、大臣、その硫黄分を少なくした石油が一番必要なわけなんですが、そのために今度は関税軽減をなさるわけですが、いまお話にあったように、脱硫した分石油に対して還付するというふうにおっしゃいましたが、そういうやり方が全体じゃなくて、税金そのものを下げられるものもあるわけなんでしょう、その辺を……。そして私がお聞きしたいのは、関税軽減した部分ですね、確かに公害対策脱硫のために使われるという保証がどういうふうにされるのか、その辺をお聞きしたい。よく地方に参りますと、石油にかかっている税金脱硫に回してくれと、これは知事さんたちもよく言われるわけなんです。関税の中から脱硫費用をほしいということをよく言われるわけですね。そういう考え方もあるわけなんですけれども、そもそも減税をしてやる場合に、それが確実に脱硫費用に充てられるようになるのかどうかということ。それから私は、そういう場合には軽減した部分がちゃんと公の機関に入って、そして脱硫あるいは低硫黄化費用に回されるような方法をちゃんとしておくべきではないかと思うのですが、その辺を。
  23. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘のように、重油脱硫のための原油関税軽減と呼んでおりますが、これは私ども普通のことばで申せば還付でございます。何か関税法上のむずかしいことばづかいがございまして軽減と言っておるようでございますが、いわゆる還付でございます。それと別途にもともと低硫黄のものを輸入いたしましたときには、やはり関税でそれを奨励する意味での軽減なり還付をすべきではないかという議論がございまして、私どもそれを予算折衝のときにかなり推進をいたしました、通産省といたしましては。ところが、いままでこういう措置をやったことがございませんので、実は内訳を申しますと、関税収入との関係、つまり歳出歳入をある程度財政当局が見当をつけておりましたこともありまして、輸入された低硫黄分のものについての減税ということは今回は実現いたしませんで、片一方だけがある程度実現したということになっておりますが、私としては、先々輸入された低硫黄分のものについての関税上の何かのインセンティブ、この点も実現したい、こういうふうに私としては考えております。  それからただいま御指摘軽減還付されました金額はたしか本年度は平年度でございませんので、三十九億でございますか、これがどういう仕組みになりますか、ただいま御説明を申し上げます。
  24. 成田寿治

    説明員成田寿治君) 関税脱硫した場合の軽減還付措置は七月から実施になりますので、平年度では五十一億になるんですが、七月から実施ということで計算上三十九億になりますが、これは関税軽減でありまして、原油で入ってきたときには、はたしてその原油脱硫装置にかかるかどうかということははっきりわからぬのでありますが、すぐ精油所に入って脱硫をやった分だけが一キロリッター三百円だけ軽減するという手続をとりまして、脱硫をやらない場合には軽減措置は受けない、確実に行なった場合に受けるということになっております。したがって、計算上三十九億でありますが、それがいろいろな事情で予定計画より脱硫量が少なくなると金額は減るし、あるいは脱硫量が実際計画よりふえる場合には三十九億がふえるということになりますが、とにかく脱硫を実際行なった場合に限って戻すというやり方になっております。
  25. 田中寿美子

    田中寿美子君 時間が二時五分過ぎまでだそうでございますので飛ばします。  大臣所信表明の中に、瀬戸内海水質汚濁防止のための予備調査というのがありまして、水質汚濁に関しても相当積極的な姿勢を見せていらっしゃるのですが、この点はむしろ経済企画庁のほうは非常に控え目なんで、この辺をもう少し伺いたかったんですが、次の機会に譲ります。  それで産業廃棄物のことについてですが、これからこれが非常に重大な公害になってくると思うんですが、一体年間どのくらいの廃棄物を出す見込みをしていらっしゃって、どういう対策をいまもっていらっしゃるか。それから所信表明の中に排水処理技術合成高分子廃棄物処理技術研究というのがありますね。これも急速に実現化しなければいけないと思うんですが、合成高分子廃棄物というのはプラスチックですね、こういうものに対してどういう具体的な措置をしていらっしゃるのか、この産業廃棄物はたとえばパルプの工場なんかに行っても、処理したあとかすというのか、スラッジというのが山のように置いてあるわけです。あれをどこでどういうふうに処理しようとなさっていらっしゃるのか、どこの官庁でやろうとするのか、水の中に投げ捨てたのをどこで取り締まるのかたいへんな問題があると思うんです。産業廃棄物についてどういうふうになさるのか、その計画を聞かしていただきたい。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これはまことに新しい問題でございますので、事務当局として確固たるお答えはできるのかどうか存じませんが、実は産業構造審議会産業公害部会産業廃棄物委員会というものを昨年つくりまして、ここで専門家研究をしてもらっておるわけでございます。昭和四十五年度には、工業技術院試験所がございますので、ここでプラスチック廃棄物をどういう処理技術をもってすれば処理できるか、これの開発を実はしなければなりませんのでその開発、それから現在どのようにそれらが処理あるいは処分されているかという状況の把握も十分でございませんので、実態調査もやる、こういうことにいたしております。
  27. 田中寿美子

    田中寿美子君 それでこれは非常に急がないと、今後非常に山のようになっていくと思うのです。たとえばカドミウムの問題なんかでも、あれを神通川、神岡鉱山に行きますと、過去に使ったかすが積んであって、それがたまっているところに雨なんか当たる、風が吹きまして、そしてそれが流れてくるというように、過去の堆積したものがやはり害を及ぼすということがあります。ですからそのつどこれを処理していく方法というものを、各工場の中に一ぱいスラッジがある、それは当然私は工場側がこれは処理する義務があると思うので、そういうことについて通産省も見通しを持たなければならない。それが水の中に捨てられたときに、その水を処理する段階になりますと、これは非常に所管が、全然どこも最終責任を持ってくれるところがないような状況になっております。  それからもう一つ、私は水の中に洗剤が捨てられることが非常に問題がある。これも工業用家庭用と両方あると思うのです。こういうものもぜひ調べて、これを早く処理しなかったら、後に重大な被害を及ぼしてくると思います。最近いろいろ食べるものや飲むもの、そういうものの中からたくさんの有害なものが出てくるというようなこともそういうことの累積したものじゃないかと思いますので、その点と、それからこの前の六十一国会のときに、木曽川のアユがたくさん死にましたときに、あの上流のメッキ工場から出していたシアン、クローム、ああいうものに対して規制するんだと言われた。これは経済企画庁のほうで言われたと思いますけれども、それは排水口のところでの規制は経企庁がやると思うのですが、中に入って、零細工場が相当多いんですが、劇物や毒物を取り締まる段階で、これは厚生省がやるんだとか、あるいは工場の担当だから通産省がとか、もっとほんとうの監督ができないか、私たちのほうで、そこにちゃんと監督官を置くことを義務づけるべきじゃないかという意見もあったのですけれども、こういうことについてはどういう対策をお持ちでしょうか。
  28. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) ただいまの御指摘の木曽川のアユの浮上の問題でございます。これは直ちに各省共同の上、かつ相当の県当局、その他とも十分連絡の上、一斉検査をいたしまして、現在におきましては一その対策につきまして完ぺきな体制をとっておるわけでございます。その所管の点につきましては、水質基準の設定は経企庁でやっておりますが、各工場排水口におきます規制につきましては、その工場を所管する所管大臣の責任になっております。したがいまして、たとえばメッキ工場でございますと通産省がその直接の責任に当たるわけでございます。ただ業種、その監督並びに規制をきわめて敏速にやるために、現在におきましては、大半の権限を都道府県知事に委任しております。常にこういう問題がございますと、都道府県と緊密な連絡のもとに通産大臣の監督を都道府県知事のほうでも十分尊重した形でやっていただくという体制になっておりまして、その段階におきましては通産局の職員、あるいは都道府県の職員、これは工場に立ち入りまして相当詳細な調査もした上で具体的な指導をいたすというような体制にいたしております。
  29. 田中寿美子

    田中寿美子君 結論的に大臣、私ももっと詳しく言えばたくさんありますが、非常に公害対策は主務官庁が多くて責任をとってもらいにくいのです。企業の側の対策は、主務官庁は通産省だと思うのですが、被害者側の主務官庁は厚生省、この二つは相当協力して責任を持つというような方向へ公害行政を進めていくおつもりはないか。いまのように並列で、どれもこれも一緒で、厚生省が多少主務官庁的な役割りは果たすけれども、公害対策会議の会長は総理大臣であって、あまり意味をなさないような状況を直していくような、それの主導権をおとりになってみる気はないかどうか。
  30. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) かつて一ときでございますけれども、世の中から何となく厚生省が被害者であって、通産省が加害者であるというようなことが言われたことがあったようでございますけれども、いまそういうことを言っておる時代ではございませんし、また、そういうことを私ども考えておりません。被害者はもうお互い一人一人全部でございますから、一緒になって行政をやるのだということで、私どもの役所もそういう気持ちでやっておるつもりでございます。一応のそういう公害関係基本役所はこれは厚生省だということで私はよろしいと思います。よろしいと思いますが、通産省は、企業に対しては直接にものを言うことができる立場でありますから、そういうときには十分その立場をフルに私は使って、厚生省の行政協力していくべきだと考えておるわけでございます。
  31. 内田善利

    内田善利君 時間の関係で、私も大臣所信表明につきまして二、三お聞きしたいと思います。  非常に前向きの姿勢所信表明で賛意を表明するわけでございますが、公害防止計画について「昭和四十五年度早々には、千葉県市原市など三地域についで計画の策定作業が完了する予定であり、」と、このように所信表明されたわけでございますが、この問題につきまして、具体的に実施面において多くの問題があるわけでございますが、特に費用関係につきましてお聞きしたいと思いますが、費用の負担研究会を設けて五月には結論を出される、このように聞いておりますが、企業の負担が明確にされていない点があった、そういうことなどから地方自治体の関係者が非常に困りまして、企業に日参してやっと実現を見たというようなこともありますし、今後はぜひとも企業の負担を明確にすべきである、と同時にまた、公害防止施設に対する金融、これは十分用意されておるかどうか、こういった点について大臣の御意見を伺いたいと思います。
  32. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 市原、四日市、水島、この三地域につきまして、昨年公害防止計画策定の基本方針の指示を総理大臣からされたわけでありまして、いま御指摘のように、関係府県で計画をつくっております。これは間もなく提出されまして、政府が審査し承認するということで、その場合に、具体的にどういう予算の裏づけをするか、これは考えなければなりませんか、それをいま私どもの内部で検討しておるところでございます。事業者にも一部負担してもらう、また、その金融も必要だということも当然であると思いますが、なお詳細に政府委員から申し上げます。
  33. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 企業負担の問題は主として二つの方向で検討しております。  第一番目は、厚生省に公害防止計画委員会というのがございまして、これが公害防止計画が出てきた場合にどういう形で負担をしたらいいかという、どちらかといえばマクロの形の検討を進めておりまして、この委員会にはもちろん通産省も入りまして、いろいろその委員会の過程におきまして議論に参加しております。国と地方公共団体と企業の配分のしかたというものを考えておる次第でございます。それからもう一つ方法は、通産省産業構造審議会公害部会に費用負担小委員会というものを設けまして、これは公害対策基本法二十二条に、国あるいは地方公共団体が公害防止のために事業を行なう場合には事業者もその費用の一部または全部を負担する、ただし、その詳細については法律で定めるという規定がございますが、この二十二条を受けまして、具体的にどういう事業についてどういう形で企業が負担すべきであろうかということで、これはことばをかえて申しますれば、ミクロの検討になっております。そのただいま先生の御指摘になりました五月末の結論というのは、この小委員会が一応五月ないし六月を目標に一応の結論を出そうということで考えておりますので、その点かと推察するわけでございますが、以上の結論を総合いたしまして、まあ本年半ば以降におきましてある程度の線ははっきり出したいというぐあいの考え方で進んでおります。
  34. 内田善利

    内田善利君 この金融面は、十分用意されておりますか。
  35. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 具体的な金額につきましては、公害防止計画がどの程度の規模で、どういう形で出てくるかまだ詳細に把握しておりませんので、金融的な面につきましても、したがいまして、まだあまり突っ込んだ検討はしていないわけでございますが、やがて出てまいりますと、総理府のほうにその問題を具体的に検討する各省連合の連絡会がございますので、その場で詳細に掘り下げていきたいという段取りでございます。
  36. 内田善利

    内田善利君 総額どれくらい見込まれておりますか。
  37. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) ただいまのところ、まだ金額につきましては、県から何らの連絡は参っておりません。
  38. 内田善利

    内田善利君 コンビナートあるいは火力発電所の建設についてですけれども、各地に計画されて実施されているわけですが、この際最も問題になるのは、建設あるいは増設について公害防止計画実施当事者である地方自治体の長である知事等の権限が無視されていると申しますか、中央の通産省あるいは電力審議会等できめられて、地方自治体が無視されている、こういう実情があると聞いているのですが、この点についてはどうなのか、今後の方向として大臣は、こういった権限を地方自治体にも委譲していくお考えがあるかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
  39. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まだいっとき地方が企業誘致というものにかなり熱心でございました時代が御承知のようにありまして、そういう時代にはまあ企業のほうがかなり大きな顔をして地方に立地していったわけでございますけれども、この節はだんだん公害意識が高まるとともにその辺の関係が変わってまいりまして、なかなか地方に立地しようとしても、当該地方団体あるいは府県が簡単な条件では受け付けないということになってまいりました。これはもう御承知のとおりでございます。そういう関係が出てまいりましたので、自然地方自治体の発言力が強くなってまいりました。けっこうなことだと思っておりますが、行政面でもしたがって先ほども申し上げておりましたが、事の迅速を期するために、地方の都道府県の長に権限を委託するというようなことをだいぶんやっておるわけでございます。
  40. 内田善利

    内田善利君 厚生省との関係にもなりますが、先ほども田中委員から質問があっておりましたが、公害行政の一元化について非常に重要な課題になっておると思うんですけれども、実施面において非常にむずかしい問題もあろうかと思いますが、このいまの問題につきまして、公害防止計画についてもその主管者が通産省、厚生省両省にわたっておりまして、その実施面についてもいろいろ意見の食い違い等があって、地方自治体が非常に困惑しておる、困っておる、このようなことも聞いておるんですけれども、大臣は、前向きにこういった意見の統一をしていくというようなお考えはないかどうかお伺いしたいと思います。
  41. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは昔のように、いわゆる被害者加害者というような意識に分かれて、二つの役所が争いましたら、これはとてもものごとは片づきませんわけでございますけれども、このごろはそうでありませんで、通産省が積極的に協力をするという姿勢になっておりますから、そういう意味では、むしろ企業に直接ものの言える役所立場から協力するということで行政の目的は十分に達するのではないかと思います。  ただもう一つ問題を具体的に考えますと、環境基準であるとか排出基準であるとかいう具体的な基準になりますと、何ぶんにも問題が世の中に取り上げられましてからまだ十年足らずでございますから、非常に理想的な基準が直ちに設けられ、また実行が可能であるかといえば、これは漸進的でなければやれないというような場合もございます。そういうところは両方がよく相談をしていくということだと思うのでございます。
  42. 内田善利

    内田善利君 もう一つ所信表明についてお聞きしますが、今度昭和四十五年度から、鉱山保安局と企業局の立地公害部とを統合再編成して、公害保安局を設置するということでございますが、この新組織への模様がえによって、どういう前進が期待されるのかお聞きしたいと思います。たとえば小名浜の製錬には適用されておりますが、隣接しておる同じように製錬をしておる東邦亜鉛のほうには大気汚染防止法の適用がない、それで基準を当てはめられないというようなことが起こってといるわけですが、公害保安局を設置することに聞よって鉱山保安法の中に同様な基準を織り込むすいう、そのような前進が見られるのかどうかおきしたいと思います。
  43. 橋本徳男

    政府委員橋本徳男君) この新しい局の設置でございますが、御承知のように、鉱山保安局といいますれば、これは鉱山保安法に基づきまして鉱業の災害防止、それから鉱山関係から出ますいろいろな公害の予防というものをやってきたわけでございます。ところが、これは御承知のように、歴史的に考えてみますれば、どちらかといいますと、鉱山保安というのはいわば鉱業警察的な役割りというふうな側面が非常に強うございます。それに比べまして最近の公害を担当しておりまする通産省企業局の立地公害部でございますが、これは新しい手法に基づきましていろいろな公害の予防関係を新技術その他の開発を通じていろいろ防止をしているといういわゆる行政的色彩が非常に強い。ところが、最近におきまする鉱山あるいは製錬所における公害問題というのは、何ら一般の工場公害と性質的に変わるところはない、いずれも空気を媒介し、水を媒介し、騒音、こういった形で公害の発生の形態が非常に類似してまいっておるわけでございます。したがいまして、これを統合することによりまして、行政的ないわゆる手法のいい点も取り入れるし、また、鉱山保安関係の鉱業警察的な従来からの役割りのいいところも取り入れるというふうなことによりまして、業者が合体して強力な公害対策をやっていきたい。それによりまして、通産省内における専門的な生産関係部門に対する発言力も強化されるというふうなことになりまして、非常にそういった面で大きな前進が得られるのではないかというふうに考えておりまして、その実施の内容等につきましては、逐次法の整備その他も考えざるを得ないというふうに考えております。
  44. 内田善利

    内田善利君 どうか前向きの姿勢お願いしたいと思います。  次に、時間の関係で九州の大牟田の大牟田川のカドミウム検出の件について一言お聞きしたいと思いますが、この川は御存じのとおりにきたない川で、もう川というよりもむしろ工場排水口といったような川でございますが、昭和四十三年にはトータル水銀も検出されて問題になった川でございますが、通産省で四十四年の四月、昨年の四月、三池製錬所に対して重金属の浄化装置に欠陥があるということで、施設改善命令を出されておるわけですけれども、このときの事情を承りたいと思います。
  45. 橋本徳男

    政府委員橋本徳男君) 実はこのカドミウムの問題につきましては、一昨年神通川の三井鉱山で御承知のようなイタイイタイ病が問題になり、厚生省の公式な見解といたしまして、こういったイタイイタイ病に対するカドミウムの影響ということが公式に明らかになったという段階を経まして、さっそく全国にございまする五十五の亜鉛生産の山並びに製錬所に対しまして、カドミウムにつきましての防止対策を一斉にやっていったわけでございます。それで、昨年大牟田川につきましても、二月、五月ということで水質の調査をいたしましたところ、基準との関連性はその段階におきましては明確ではございませんが、いずれにいたしましても、たとえば工場の排出口におきまして〇・三とか、あるいは〇・四とかいったようなPPMのカドミウムの排出が見られるというふうなことで、さっそく五月にはその工場長に対しまして改善の勧告をしたわけでございます。そうしまして、それを計画的に進めるというふうなことで保安法に基づきます改善の命令も出しまして、その施設が一月に完備いたしました。それから行きますれば、排出しておるものはゼロが一つつく程度に、〇・〇五といったようなところに低下してまいりました。こういう状態でございますれば、完全に無害であるというふうに確信しております。
  46. 内田善利

    内田善利君 この問題について、カドミウムが〇・四ないし〇・三排出口において出たということを国民に知らせて不安を抱かせるおそれがあるかどうか。あるいはこれを市当局保健所等あるいは県衛生部等に通報して注意したほうがいいぞというような横の連絡、こういうことが全然なされていないわけですが、国民の健康を守るという立場から、この点についてどのように大臣はお考えになるかお聞きしたいと思うんですが。
  47. 橋本徳男

    政府委員橋本徳男君) こういったカドミウムにつきましては、どちらかと言いますれば、最近におきましていわゆるそれと疫学的な関連性というものが明確化されてまいりまして、昨年そういった数値の出ました段階におきましては、これが利水地点においてどういうふうな影響をし、またどういうふうに今後改善していくべきかといったような明確な実は基準がないというふうなところから、これを一般に公表することによって逆にまたいろいろな不安を醸成させることはどうかというふうな観点から、現地における発表もおそらくしなかったのだろうと思うのでございます。しかし、その後、いろいろ厚生省その他におきまして疫学的な関連性というものを明確化されましたので、今後は、昨年の後半以降におきましては、あらゆる地域におけるそういった検査の結果は、一応、それにつきましてのよしあしといったようなものを見解を入れまして、発表を実はしておる次第でございます。  ところが、いま先生御指摘のように、そういった面におきまする県、それから監督部、それから市、こういったところの連絡は一応従来もそれぞれの立場からやってはおりましたけれども、あるいは御指摘のように、不十分な点もあったかと思うのでございます。したがいまして、この二月から県、市、通産局、監督局入れまして四者の連絡会というものを正式に設けまして、相互の情報の交換並びに対策の相互研究というものをやっていくというふうなことになっておりまして、まあそういった面におきまする現地におきまする連絡調整、そういった点は、過去におきましては、残念ながら御指摘のような点もなかったではないというふうに考えておりますが、今後は十分にそういった連絡を密にいたしまして、住民の不安を取り除くような対策を進めたい、こういうふうに考えております。
  48. 内田善利

    内田善利君 大牟田川の場合は非常にどろが——スラッジといいますか、どろがたくさんありまして、干潮の場合にはもうどぶになっておるわけですね。このスラッジを何とかして企業側で取り除けないものかということなんですけれども、もうお手あげの状態で、市当局も県当局もお手あげの状態。そのカドミウムを含んだどろも高濃度のカドミウムを含んでおる。厚生省の長谷川技官は、まあアルカリ性ならばだいじょうぶだと言っておられますが、私の見ましたデータでは、PHが酸性の場合に相当量のカドミウムがあのどろの中に含まれておる、こういう実情で、まあ満潮になったような場合はカドミウムが相当量溶け込んでくるのではないか、そのように感ぜられるわけです。私立の久留米大学の工業試験所長のお話では、食塩が含まれておればカドミウムと同じようなデータが出てくるというお話もありましたが、カドミウムがあれだけ存在しておるということは、やはり付近の住民にとっては非常に不安なわけでありまして、特にあの大牟田川の河口には約一キロにわたって有明海のノリ漁場があるわけです。こういったことを考えますと、非常に不安が地域住民にあるわけですけれども、この点について早く不安を取り除いていただきたい。まあ環境基準も、いまだにカドミウムも入っていない、そういうような実情であります。もうすでにカドミウムが存在しておるということがわかってから、まだまだこういった対策の手の打ちようがおそいと、そのように感ぜられます。また、特にシアンがいま問題になっておりますが、経企庁のほうでもシアンは基準はゼロだというようなことも指摘されておりますが、このシアンも相当量大牟田川に流れておる。こういう非常にきたない汚染された川でありますので、ひとつ通産省のほうにおかれても、この点、排出口のみに限らず、国民の健康を守るという立場から、ひとつこの水の面については十分配慮をしていただきたい、このように思うわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。
  49. 橋本徳男

    政府委員橋本徳男君) 大牟田川におきまするどろの問題、これは非常にどろが発生いたしまして堆積しておりますが、御承知のように、下水道もございますし、それからまた大牟田川の周辺にございます非常にたくさんの工場関係、それからの廃液と、こういったような形で堆積されておる。したがいまして、だれがどうかということは非常にむずかしい問題でございますが、どろだけならよろしいのですけれども、この中にはカドミウムがあるということになりますれば、それが将来非常にいろいろな影響を及ぼしてくる可能性なきにしもあらずということで、問題は、化学的には要するに、大牟田川の水質が、水質保全法によりましてPHを中性の状態に維持しなければならないという形になっておりまして、中性の形において大牟田川が維持されておりますれば、カドミウムが溶解することはないのでございますが、いずれにいたしましても、そういったようなものが結局魚とか、あるいはいまおっしゃいましたようなノリとか、こういったようなものに影響するおそれなしとしないというふうなところから、現在こういったものへの状況をいま先ほど申しました四者の連合の形におきまして調査をやっておりまして、その調査に基づいてそういったどろの問題をいかに処置していくべきかというふうなこともあわせて四者連合で現在検討中でございます。もうしばらくその辺はお待ちいただきたいと思います。
  50. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 一月二十五日の毎日新聞にこういう記事が出ているのですが、「石炭引取りに赤信号」という表題で、要するに、三池炭ともう一カ所の石炭が硫黄分が非常に多い。だから、各電力会社がそれを使用することを拒否しよう、こういう意見が出たという記事が出ておるのですが、通産大臣は、この問題、石炭と公害関係についてどういうふうに考えていらっしゃるのですか。時間がありませんからあまり一問一答できませんが、もし電力会社硫黄分が多いというので、日本の石炭を使わないとなれば、これは石炭会社にとってはたいへんであり、三池が四百万トン、それから松島炭ですか、これが百万トンといえば、この五百万トンがたちまち関係してくるわけなんですね。そうすると、石炭産業にとってはたいへんなことになる。それじゃいままでのとおりやれといえば、亜硫酸ガスの問題で公害を起こす、こういう関係になってくると思うのです。この矛盾ですね、これを通産大臣どう処理なさろうとするのか、そこをひとつ伺っておきたいと思うのです。
  51. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これはもうまことに御指摘のように困った問題でございまして、今度大気汚染の排出基準が強化されましたので、この問題が表面化いたしました。そこで私どもとしては、山元でもいろいろ苦労はしておるようですが、それでも硫黄分が高い。そこで炭鉱のことでございますから、電力会社にはそれをなるべく引き取ってもらう、硫黄分の少ない重油をあわせて使ってもらう。低硫黄重油をあわせて使っていく。それから煙突なども高くしてもらうというようなくふうで電力会社お願いをしたい、こういうふうにいま考えておるのでございます。そういう折衝が行なわれつつあるのでございますが、御指摘のようにたいへんやっかいな問題でございます。
  52. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これが早く解決しないと、結局被害を受けるのは国民ということになるのですが、石炭の問題、これを石炭会社にできるだけ処置せいといったって、石炭会社は処置できないと思うのです。処置しないと思うのです。それじゃ石炭会社にどういうふうなことをやれというのか、それともその石炭を使って硫黄分を出すところの電力会社に、それはけしからぬから脱硫装置を早くつけて人民に被害を与えないようにしようというのか、通産省としてどういう積極的な態度をお示しになるのか、いまの大臣の意見では、どうにも、どちらも消極的な考えで、結局その被害国民はこうむっていかなければならぬ、こういうことになると思うのですね。私たちは、やはり被害を受ける国民立場に立って、とにかく被害のないようにしろ、こういうことを大臣には申し上げたいのですが、大臣、もっと積極的な態度を示していただきたいと思います。
  53. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そこなんでございます。結局、電力会社のところで排出基準に違反しなければよろしいわけでございますから、そのためには、石炭のほうは硫黄分がどうしても高い、これをどうにもできぬということであるならば、硫黄分の低い重油を今度はあわせて使って、そこで結局、最終的に出てくるのを排出基準に合わせる、煙突を高くするのも一案でございますが、そういう形の解決しかちょっとないのではないだろうか。それをやってもらおうというのでございます。
  54. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうなりますと、硫黄分の低い重油を使って石炭を減らせとなると、今度は石炭の需要量がぐっと減ってしまうわけでありますね。そうなると、この石炭問題としてどういうふうに大臣考えられるのですか。石炭つぶしてしまっていいのですか、どうなんですか。特に硫黄分の多い三池炭鉱なんというのは、これはたいへんなことになってしまって、三池炭鉱つぶれてしまうかもわからぬ。そういう場合に大臣は、どういうふうな処置をなさるのか——いやこれは大臣が答えなくちゃ。政治問題だよ。
  55. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはちょっと先ほど申し上げ方が悪かったのかもしれませんが、重油を使いますときには、重油の中にかなり硫黄分の高いものと低いものとございますから、それは石炭は石炭でとりまして、いままでたいておった重油よりも硫黄分の低いものをあわせて使いましたら、全体の硫黄分はそれだけ落ちるわけでございます。そういうことをしてもらおうというわけでございます。
  56. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もういっぺんだめを押しますが、現在どおり石災は電力会社にたかす。しかし、それでは硫黄分がたくさん出るから、現在までたいておったものよりも硫黄分の少ない重油を併用することによって石炭から出る硫黄分を薄めていこう、こういうお考えなんですね。どうなんですか。
  57. 阿部茂

    説明員(阿部茂君) 石炭業界側でもこの問題についてはいろいろと努力をしております。その点を二、三申し上げたいと思います。  まず、確かに御指摘のとおり、主として三池炭鉱、それからその近くにございます松島炭鉱、この両方がいま当面一番大きな問題になっております。そこででき得れば、この両炭鉱の炭はもともと原料炭として非常によい適性を持っておりますもので、もともと一般炭あるいは電力用炭として使うよりは原料炭として使うことが国家的にも、ただいま原料炭が非常に不足しておるということ、それからまた炭鉱側としましても、山元手取りといいまして、その苦しい経営の今日、少しでも山元の所得収入というものを多からしめたい、こういうわけでございまして、その見地から、ただいま三池におきましては、昨年来、新鋭の選炭設備を拡充強化しておりまして、これがこの五月ごろ完成いたす予定になっておりまして、完成の暁には、たとえば三池の炭が現在年間総出炭量六百万トンのうち約百八十万トン程度、つまり三割程度かただいま原料炭として使われておりますが、これが五月完成の暁には二百五十万トン程度に、急速に原料炭としてふえていくであろう、かように考えておる次第でございます。さらにまた、一般炭といたしましても、ほかに低サルファの炭を出す山が一カ所あるわけでございまして、 この三池、松島の高サルファ炭とほかの山の低サルファ炭を流通上なるべく上手にこれを調整混合いたしまして、そして電力用炭としてできるだけ今後も使っていただくように、私どももあるいは石炭業界も関係部門と大いに目下折衝を重ねておる次第でございます。
  58. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あんた、そんな無責任なことを言ってたって、三池炭はね、それは原料炭も出ますよ。しかし、三池炭のうちの五百万トンというものはね、これは一般炭として使われてんですよ。原料炭には不向きな石炭なんですよ。だから、こういうことになってるんだ。もしもあんたが、原料炭としてそれじゃほかのところに使わすと言うなら、その保証があるか。三池炭が、一般炭が売れなくなっただけの炭を原料炭としてほかの産業で使うという保証をちゃんととってんのかどうか。とってないだろう。とってないで、こうしてもらいたいというような、そんなこと言ったってだめなんですよ。ここにちゃんと新聞にも書いてありますよね。これ以上電力側が負担することは困ると。だから、三池、松島炭の取引を四十五年度以後ゼロにしてもらいたいというのが、これが電力会社の意向でしょう。そしたら、これをゼロにしたら、どれだけゼロになるかといえば五百万トンがゼロになっちまう。三池炭四百万トンの松島百万トン、これがゼロになる。その石炭をどこに向けるかということです。あんたは原料炭として向けるというが、その五百万トンの原料炭、引き受けるところはどこか言ってごらんなさい。それをはっきりしなきゃ解決しないですよ。
  59. 阿部茂

    説明員(阿部茂君) ただいま私は、先ほど大臣の御答弁のところで、低サルファ重油との混焼によります点をお述べになりまして、これは当面一番大きな施策でございますことは間違いございません。しかし、石炭業界のサイドにおきましても、みずからかような方法によっていろいろと手を打ちつつございますということを申し上げたかったので、特にその点を強調したのでございますが、いま須藤委員が御指摘の点につきましては、当然低サルファ重油等との混焼によりまして、この公害との協調の問題を逐次これを量的に緩和していきたいと、こういうように業界あるいは関係機関と折衝を重ねておる次第でございまして、一挙にドラスチックにそれが変わっていく、こういうわけではございません。
  60. 小野明

    理事小野明君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  61. 小野明

    理事小野明君) それじゃ速記を起こして。
  62. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ硫黄分の少ない重油をたくことによってね、必ず今日以下に、いわゆる基準以下にちゃんと落とせるという確信があるのか。そのためには重油をどれだけ買うのか。そんなにたくさん重油があるならば、いまちゃんと重油をたいたらいいじゃないか。そしたら問題が解決してくる。われわれは、国民被害を受けることを最もおそれるんですよ。だから国民被害を受けることをなくすというのなら、たちどころに、その被害のない燃料を使うようにしたらいいじゃないですか。それを石炭を混ぜて使うとか、ややこしいことを言って、どっちつかずのことを言っているのじゃ問題は解決しませんよ、根本的に。こういう矛盾をどうはっきりするのか、これは通産大臣が決をとられる以外に私は道がないと思うんです。そういう技術的な問題じゃないと思うんですよ。
  63. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 少なくとも当面としては、そういう処置でもいたしませんと三池の山元は非常に困るわけでございますから、山元にもいろいろくふうをしてもらいますが、もう石炭はとりませんと電力会社が言ってもらっても困る。さりとて排出基準は守らなければなりませんから、当面そういう措置をやっていくということを申し上げているのでございます。
  64. 小野明

    理事小野明君) 速記をやめて。   〔速記中止
  65. 小野明

    理事小野明君) 速記を起こして。  この際、総理府総務副長官より発言を求められておりますので、これを許します。
  66. 湊徹郎

    政府委員(湊徹郎君) ただいま御紹介いただきました湊徹郎であります。  過般一月二十日に総理府の副長官を拝命いたしたのでありますが、私、浅学非才まことに微力でありますけれども、山中長官とともに当面するいろいろの問題、特に公害の問題については今度の国会に出してございます公害紛争の処理法案、一応窓口ということで担当いたしておりますので、今後いろいろと皆さんにお世話になると思います。長官同様、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
  67. 小野明

    理事小野明君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  68. 小野明

    理事小野明君) 速記を起こして。  では質疑を続けます。
  69. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 さっき大臣並びに政府委員が三池の炭を原料炭のほうに回すとおっしゃったが、いま日本の原料炭は大体どのくらい必要なんですか。
  70. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 輸入炭を含めまして大体五千万トン程度と記憶しております。
  71. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ三池の炭をそちらのほうに回せば輸入をそれだけ減らすということなんですか、どうですか。
  72. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 鉄鋼生産は相当急激に伸びておりますので、鉄鋼生産の伸びに応じた石炭需要の増大の中で吸収されるというぐあいに聞いております。
  73. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ外国炭を輸入するのを手控えてそれを三池炭で間に合わしていこうという考え方ですね。
  74. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 増加分のうち若干部分の輸入炭を減らして、三池炭から回ってくる原料炭で補う考え方と聞いております。
  75. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その計画を数字で出してください。そこまで言えば、ちゃんと数字をはじいているはずだ、計画で。出してください。
  76. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) ただいま鉱山石炭部の職員退席いたしましたので、後ほど連絡いたしまして御連絡いたしたいと思います。
  77. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは次に問題になってくるのは、三池炭を一番使ってるのは大体関西電力だと思うんですよ。そうすると、関西電力に従来どおり三池炭を使わして、それで硫黄分基準内に減らすために、うんと硫黄分の少ない重油を併用すると、こういうことになりますね。そうすると、その重油の価格というものがそれに加わってくると思うんですね。その場合コストは一体どうなってくるんですか、コスト関係は。
  78. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) コスト関係につきましては、ただいま詳細なデータを持ち合わしておりませんが、硫黄分関係で申し上げますと、関西電力が所在しております神戸、尼崎あるいは姫路地区の排出基準から逆算していきますと、大体総合的なS分は一・二五%というぐあいに考えられております。で、ただいま石炭の平均的なS分が一二ないし一・二、これはカロリー換算いたしますと二・〇ぐらい。したがいまして、石炭の供給力も十分考えた上で、無理のない数字を関西電力系統の電力会社でたくといたしますと、重油のほうのS分は、本来は一・八ないし一・九程度の重油をたいておるわけでございますが、その重油を相当S分を低くいたしまして、一・〇前後の重油をたけば、目標である一・二五程度のS分には到達できるであろうというような、S分の相関関係からわれわれのほうとしては数字を現在詰めておりまして、現在石炭サイドから出てくる炭と電力側で買える炭と、いま突き合わせておるわけでございます。ただいま先生御指摘の新聞にあるようなドラスティックな状態は出ておりません。近いうちに両者の話し合いがまあまあいいところでまとまるのではないかという見通しを持っております。
  79. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大阪市民はいま関西電力の亜硫酸ガスで非常に悩まされてるんですよ。だから、その亜硫酸ガスを下げろ下げろという運動をやってる。で、関西電力、それを下げなくちゃならぬということにはなってるらしいんだが、なかなかなってこないんです、実際は。しかし、そうなるときに関西電力としては高い——硫黄分の多い石炭をたけと言われてたく、それで硫黄分を減らすために高い金を出して硫黄分のない重油をたいて、減らしましたと、ここまでね。そうなると、まあ従来よりも重油だけ費用かかさんでくるわけですね。そのときに関西電力はそれを理由に電力の値段を一般家庭に上げてくる。一般国民に、亜硫酸ガスを減らしたからこれだけ電力の値段を上げるんだと、こういうことが出てくるんじゃないかと思うんですよ。それはわれわれとして了承できない。われわれは健康を守るために下げろと。下げるのはちゃんときめられてるんでしょう。それをやったからといって値段を上げるというようなことは筋の通らぬことだと。そこはあなたたちはどういうふうに判断しているか。
  80. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 現在の段階におきましては、すべての電力会社を通じまして大気汚染の防止に対する取っ組み方、以前とは格段の進歩があります。特に関西電力は火力をたくさん持っておりまして、なおかつ大気汚染が非常に激しい地区の発電所をたくさん持っているわけでありますが、関西電力自身が現在大阪地区で行なわれておりますブルースカイ計画の中心になっている、ぜひブルースカイを回復したいというような考え方で本問題に取っ組んでおることは事実であります。したがいまして、ただいま御指摘の石炭の引き取り問題につきましては、われわれが観測するところ、以前の考え方よりは、以前の考え方とはだいぶ色彩が変わってまいりまして、できればなるべく安い重油がほしいし、また、重油をたいて亜硫酸ガスを減らしたいけれども、しかし、全体の政策の中で、石炭とのバランスの中で、できることであればその辺は十分検討して対処したいというふうな形で議論が進んでおることも事実であります。したがいまして、企業局の立地公害部といたしましては、通産省で取り上げております石炭対策公害対策、この対策両面を成立させるための具体的な数量というものを石炭局あるいは公益事業局といま鋭意検討中でございますが、先生の御心配なさるような重大なる事態を引き起こさないような形でこの点は収拾していきたい、またその自信があるということでございます。
  81. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 関西電力東京電力は年間二百億ほどの収益をあげているんですよ。たくさん収益をあげておるわけです。その会社が何で率先して脱硫装置をつけることに踏み切らないのか、これが一つの問題ですよ。そうして今度は、そういうことがもしも起こるとすると、そうすると発電のコストが値上がりするんだというような理由をつけて、われわれ一般に売る電力料金は上げてくると思うんですよ。そういうことは絶対政府は認めない、させないという方針なのか、そこをぼくは政府の方針としてはっきり聞いておきたい。いまも外で、ここで話したんではないけれども、通産大臣に、たいへんな問題だと、そうですと、これはコストの問題が起こってくるのだということを通産大臣もちょっと言っていらしたが、ぼくも必ずコストの問題になってくると思うのです。そういう場合、だから通産省として絶対コストの値上げをさせない、そういうことを理由に。そういうことがはっきりここで言えるかどうかですよ。そうでないと国民は、亜硫酸ガスは減ったけれどもコストは高くなった、こんなばかなことになってくるおそれがある。あれだけの二百億からのぼろもうけをしている会社なら、みずから率先して脱硫装置をつけて、国民に迷惑をかけないようにすべきだとぼくは思うんです。通産省はどういうふうに考えますか。
  82. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 料金値上げの点につきましては、これは私、企業局の職員でございまして、そのお答えをただいま申し上げる立場にないものでございますので、後ほどまたお答えをさせていただきたいと思いますが、ただいまの関西電力脱硫装置についてでございますが、先ほど御説明いたしましたとおり、関西電力は、現在堺の発電所で排煙脱硫装置というものを具体的に計画しております。四十五年度に着工ということで、まだ技術的に若干の不安がありますので、能力としては六万キロワットということになっておりますが、これでめどがつけば相当大規模排煙脱硫、これは非常に効果のある方法でございまして、これを採用すれば発電所関係の、少なくとも亜硫酸ガスについては大部分の問題が解決されるという技術でございますが、おそらく四十六年度以降は本格的にこの設備の導入にかかるのではないかというぐあいに考えております。
  83. 田中寿美子

    田中寿美子君 それじゃ、さっき通産大臣にお尋することでしなかった分を通産省の方にお尋ねしたいと思います。この所信表明の中で「公害の発生地域から個別工場の移転を促進するため、中小企業金融公庫からの融資を新たに行なう」ということが書いてある。いままでも公害防止事業団とかそれから中小企業振興事業団から、中小企業の行なう公害対策に対する費用の融資をしていたと思うのですが、それが中小企業に対して一体どのくらいいままで出しているかということがわかるかどうか。それから今度新たに設けられたのは、これは工場の移転のためだけですか。その移転という場合には、どういう工場考えているか。あるいは具体的に案があるから予算措置をしたのだろうと思いますが、地域とか工場、たとえば中小工場だとしたらどんなような、たとえばメッキ工場団地みたいなあんなような考え方かどうか、具体的に重ねてお聞きしたいと思います。
  84. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 最初に、中小企業金融公庫の関係を御説明いたしますと、中小企業金融公庫では従来から公害ワクというものを持っておりまして、四十四年度はそれが十億でございまして、その十億のうち、全額使い切れるかどうかはまだはっきりしておりませんが、若干は余すのではないかという見通しでございます。先生御指摘のとおり、その十億の分につきましては、いわゆる公害施設に対する融資でございまして、現在国で持っております公害関係の法律で指定された地域における特定施設、それについての融資。それから四十五年度から新しく追加されましたのは、そういった設備を持つ工場が移転する場合に、その移転の費用も含めて工場建設の関係設備投資についての融資を行なうということでございまして、ワクが十五億円でございまして、前年度のワクに対しては五億円の増加ということになっております。したかいまして、融資を受けられる工場は、現在いろいろの法律で指定されております指定地域内にある工場で、法律で指定された特定施設を持っているもの、それが他の地域に移転する場合ということでございます。  次に、公害防止事業団の関係でございますが、御指摘のとおり、工場団地の造成あるいは共同アパートの造成、これは主として中小企業対象の事業に対する国の対策でございまして、この面の対策は、来年度予算では公害防止事業団の関係は、契約規模で申し上げますと、前年度の百六十億が四十五年度は二百千億に増加いたします。ただし、この百六十億と二百十億は、大きく分けまして融資事業と直接公害防止事業団で実施する事業二つに分かれまして、二百十億のうち融資が九十億で、土地造成関係費用が百二十億でございまして、この百二十億のうちにただいま申し上げました共同アパートあるいは団地造成が含まれております。参考までに、この百二十億は前年度百二十億で、横すべりになっております。
  85. 田中寿美子

    田中寿美子君 それで、いまも四十四年度の融資金額が余る見込みだとおっしゃいましたね。消化し切れない理由はどこにあるかということなんですが、地方に参りますと、中小企業公害対策をしなさい、施設を持つべきだというようなことを言っても、自分たちにはとてもそれだけの能力がない、一体どうしたらいいのかというようなことで、たいへん要望があるのですか、それで、それが徹底していないと思うのです。地域のほうにどういう指導をしていらっしゃるかということで、それがないと、今度もせっかく取っても余るし、実は大きな企業は自分の費用でやるべきだと思いますけれども、中小企業に対してはやはりずいぶんと手を差し伸べないと、公害防止はできないと思うのです。そうして、中小企業のあるところというのは、非常に無数にたくさん一緒になって、どこがほんとうの発生源であるのかということがつかみにくい場合が多いわけですから、こういうふうなことも指導をどんなふうにしていらっしゃいますか。
  86. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 従来、中小企業に対する指導が不十分であった御指摘は、確かにそのとおりであろうかと思います。従来は、通産局あるいは県を通じまして、われわれといたしましてはできるだけの努力はしたつもりでございますが、その面非常に不徹底のそしりは免れなかったと、現在反省しているわけでございますが、四十五年度につきましては、この面を十分検討いたしました上で、中小企業公害問題を対象にいたしました相談所というものを商工会議所に置きまして、国の事業として中小企業公害に対する技術相談を含めまして、一切、とにかく何でも問題があったら持ってきてください、親身になってその問題の相談に応じますという体制をつくる計画でございまして、現在、日本商工会議所のほか、各地域で公害問題が特に著しい地域の商工会議所十三カ所を選びまして、国から事業を委託いたしまして、本問題の展開をはかりたいということを考えておる次第でございます。これができ上がりますと、中小企業としては相当の利用度が上がってくるのではないかというぐあいに期待しておる次第でございます。
  87. 田中寿美子

    田中寿美子君 厚生省が、住居地域の中に非常に騒音を発するような中小工場があるというようなものに対して騒音団地を奨励したい、あるいはたいへんにおいを出したりする、始末の悪いメッキ工場みたいなもの、そういうところに共同の工場アパートをつくらせるような方法をとっているというような説明が、前にあったのですけれども、もちろんこの通産省での指導も厚生省と連絡してやっていられるものかどうかということですね。そうしてその指導についても、当然そういう被害を受ける側の立場を代表する者の相談が必要だろうと思うのですが、その辺をどうしていらっしゃいますかということと、それからまた、これはばく然とやっても、これだけの財源、全体から見ればやはりわずかなものなんで、何かに重点的に、たとえばそういう騒音の激しい工場だとかメッキ工場とかいうふうに重点的に考えていらっしゃるかどうか。
  88. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) ただいま御指摘の、公害発生工場の団地化の問題でございますが、これはおそらく厚生省からの説明は、公害防止事業団で団地を造成してそれを譲り渡すとか、あるいは工場アパートをつくりましてそれを譲り渡すとか、そういった問題を説明したことと思いますが、この団地造成あるいは工場アパートの造成につきましては、完全に厚生省と通産省両者相談してやるということになっておりまして、その間の連絡は常に緊密にとっております。それから工場団地造成で公害産業の移転を促すという問題につきましては、現在まで主として行なわれておりますのは、たとえば鍛造業とかあるいは製かん業——製かん業と申しますのは、鉄の板をたたいてボイラーをつくる。あるいは鉄構業——これは鉄とそれから構造の構でございますが、鉄構業とか、そういった非常に騒音の激しい業種が中心になっております。それから工場アパートの例で見ますと、たとえば水産加工関係——はらわたその他で非常に汚水を出すというようなものを工場アパートに集めまして、共同処理をするというようなところに重点を置きまして、先生御指摘のとおり、業種を十分選定の上、重点的に実施をするという方針をとっております。
  89. 田中寿美子

    田中寿美子君 それじゃ今度は、排気ガスの規制のことでお伺いしたいのですが、自動車の排気ガスの環境基準が設定されたのですが、この規制は運輸省が当たるわけですね。通産省では、これにどれくらいタッチされるのかということと、私は、自動車をつくるメーカーに責任を持たせるべきではないかと思っているわけですがね。ですから、COの排出量の少ない車をつくらせるという指導をどんなふうになさるかということです。
  90. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 直接その規制は、御指摘のとおり運輸省でやっておるわけでございますが、その発生源である自動車の生産に通産省としてはタッチするという考え方で、現在いろいろ、工業技術院におきます技術研究を通じ、あるいは重工業局自動車課を中心にいたしまして、自動車のエンジンについて、なるべく公害源で寄与率の少ないような形でその将来の構造を考えるような指導を行なったり、あるいは企業局といたしましては、産業構造審議会公害部会に、自動車小委員会というものを設けまして、民間の諸先生方のお知恵を拝借いたしまして、主として技術的な問題を中心にいたしまして、公害なきエンジンを持った車というような方向を一つの理想として掲げまして、いま鋭意作業中でございますが、以上の対策を総合いたしまして、自動車のエンジン構造を中心にする技術開発、また、その技術開発を具体的に車にアプライいたします実施面の検討、そういったところに中心を置いて通産省としては対策を進めておるわけでございます。
  91. 田中寿美子

    田中寿美子君 その公害なきエンジンというのは、そういう技術開発だけでほんとうに完ぺきなものができるのでしょうか。その辺はいろいろアメリカなんかでも考えているようですが、将来燃料をどういうふうに持っていくというような見通しを持っていらっしゃるか。  それで、この間——去年の十月ですけれども、カナダのバンクーバーへ行きましたときに、あそこはダットサンが非常に進出して、年間八千台も売っている。それからフォード、フォルクスワーゲンと競争してちっとも遜色ないというのでたいへん誇っていられたのですけれども、そのときに、それじゃあの排気ガスについて考慮しているのかと尋ねたら、いま全然考慮していない。つまり、輸出の基準は、もちろん日本の輸出する自動車についての基準はありますね。それは考えているけれども、それ以上考えていない。で今後あそこに市場がさらに拡大していくのだという気持ちを持っていたようですけれども、あのままであんなことをしていては、いまにボイコットされるときもくるのじゃないかという危惧を抱いたのですけれどもね。ですから、公害なきエンジンというものはどういうものなのか。燃料はガソリンでいいのか。そういうようなことを伺いたいと思います。
  92. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 技術的な詳しい点、知識が不足で御質問に答えられないで非常に残念でございますが、通産省でやっております中身を若干御説明申し上げますと、たとえば電気自動車の開発、したがって燃料は電池になるわけでございますが、電池の重量をいかに軽減し、その持続力をいかに長くし、それからコストをいかに安くするか、という三つの問題に取っ組んでおるわけでございますが、これは将来の一つの目標といたしまして、非常に実り多き目標ではないかというぐあいに考えております。  それからただいまカナダの車についての御指摘でございますが、現在の輸出体制といたしまして、世界各国で適用しております排気ガス規制に関する基準は、その輸出の段階でこれを完全に守りませんと相手側で受け入れないというようなことで、特にアメリカを中心にいたしまして、相当高度の規制にも対応する形で車の構造というものはでき上がっておるわけでございます。将来その規制はますます強まるであろう、日本でも強まるであろうし世界各国でも強まるであろうというようなことを十分念頭に置いた技術的な検討というものを、先ほど申し上げましたいろいろな場で現在進めておるということでございまして、もちろん自動車メーカー自身も死活の問題でございますので、この点は社の全力をあげて取っ組んでおるというのが実情でございます。  それから燃料につきまして、特にガソリンにつきまして、現在オクタン価を上げるために四エチル鉛を入れておる。この鉛の害が非常に多いようにもう従来から指摘されておる点でございまして、アメリカでは相当この面の研究が進みまして、やがて鉛のないガソリンが現実に使われるところまで来たというようなニュースも聞いておるわけでございますが、日本の実情はそこまで行っておりませんで、いかにしてこれを解決するかということに全力をあげて石油精製会社をはじめ関係者が検討中であるという段階でございます。
  93. 小野明

    理事小野明君) 速記をとめて。   〔速記中止
  94. 小野明

    理事小野明君) 速記を起こして。  本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。   午後三時二十三分散会