○国務大臣(
内田常雄君) お答え申し上げます。
劇毒法の問題につきましては、私
どものほうでもなお十分研究、勉強させまして、お答えを次の機会にさせていただきます。
それから公害と公害に基づく病気との
関係の認定、これは私は早くやるほうがいいと存じます。ただ、これは私
どもが政治的にいまのこういう環境のもとに早くやればいいということだけで済むものではございませんで、結局はやはりその環境の測定、それに関連するそこの
住民の健康についての精密診査、それもただ一本の健康診査だけではなしに、何か複数診査のような方法をとらないと正確な結論が出ないということがございまして、結局科学技術といいますか、衛生といいますか、そういう方面の問題にも深いかかわりがございますので、私はここで大臣として、実はこういうことだけを言い切るわけにはまいりませんけれ
ども、できる限りそのような諸問題をすみやかに取り上げまして、そして原因結果の認定を急ぐことは、私は大臣として自分の省にも大いに強く要求をしてまいりたいと思います。また認定をいたした場合には、認定のやりっぱなしということではなしに、その原因と結果
——因果
関係というものは同時に早くはっきりさせ、水俣病におきましても水俣病の徴候があらわれましたのは昭和三十年代であったと思いますが、
厚生省が認定をいたしましたのは、十数年もあと、こういうことでございますが、私はそれはもっと早くやって、そしてそれらに対する措置、方向をきめるべきだと考えます。ただ、因果
関係の認定をいたしましても、
お尋ねの中にもございましたが、その公害発生個所と病気との関連において故意があるか、過失があるかということは、これはなかなか簡単に認定できる問題ではないと私は考えますので、それはそれといたしまして、ともかく原因、結果だけは早く認定する。なお、
森中さんもあるいはお気づきかと存じますが、私はこのごろ原因、結果
——因果
関係がはっきりした以上は、今日の高密度の社会といいますか、今日のような
企業、また人間の集中等が起こっておる事態のもとにおいては昔の故意、過失だけの法理をどこまで貫けるか、もっと新しい時代に適する法律というものを考えるべき時期に来ているんじゃないか、また、プレスの皆さま方はそれを承知で無過失
責任の原理を厚生大臣が言い出している、こういうようなことをおっしゃっておられますが、無過失
責任の原理といいますか、ともかく新時代にふさわしい、高密度社会に適する新しい法律というものを私は公害対策については、これはやはり
検討を要すべき時代に来ておるのではないかということを私は常々
——常々と申しますか、最近申し述べておるわけでございます。
それから、公害のポジションが多岐多面であって、はなはだ
国民の皆さん方は御迷惑だ、こういうふうにおっしゃるわけですが、公害の発生の現象、要因というようなものも複雑多岐になっております上に、
行政官庁の
関係するところが非常に多いために、その間
国民の皆さま方にも
行政の政治性というようなことにつきまして不信の念を与えておることも私は看取をいたしておりますので、これは先般の閣議におきまして総理大臣からも特に発言がございまして、公害と取り組む内閣といいますか、各省庁のその取り組みの組織、対応の姿勢についても
検討すべきだと、こういうような発言がございましたが、ちょうどいま山中総務
長官も来ておられますが、あるいは総務
長官、官房
長官の線でこういう問題の端緒をつけていただくことにいたしておりますので、これにつきましても、私は社会、
国民の要望にこたえる
行政運営というものの仕組みを整えるべきだと考えます。
それから水俣病に関連する地方財政の負担のあと始末の問題でございますが、これは私がここでとうてい言い切れる問題ではございませんが、ただ御承知と思いますが、これまでもそういう事態があったことも
中央では認識をいたしまして地方交付税の特別交付金の中に、ある
程度のその歳出要因としてこれを織り込みまして、そうして特別交付税の交付をいたしてまいってきておるはずでございます。
その他の問題につきましては、私は、これはできる限り地方に御迷惑のかからぬように進めてまいりたいと思いますが、正直に申しまして言い切れません。
それから、水俣病の潜在患者がまだ
現地にたくさんおるかもしれない、徹底的に診査をすべし、こういうような御意向であったと存じます。また、それに関連して水俣病認定の
基準を緩和しろ、こういう御要望がございますが、私は、水俣病というようなこと、水銀が原因だという水俣病というものが潜在的にも存在する限り、私
ども少なくとも
厚生省の立場においてそれを隠すことはすべきでない。やはりそれは洗いざらいできる限りの潜在患者につきましても診査をいたしまして、そうしてその疑いがある方々につきましては、やはり水俣病の認定をいたしまして、負担の
関係はどうなるのか別といたしまして、そういうことを考えてまいりたいと思っております。ただ
現地におきましては、言い過ぎかもしれませんが、そのことにつきましては一般の
関係者の方々の間に必ずしもそれを歓迎する空気ばかりではないということもあるようでございまして、それらの点につきましては、これは国と、それから熊本県当局、市、あるいは保健所等の方面と十分に打ち合わしてやってまいりたいと思います。
それから
環境基準の
設定をどしどしやって
国会に出せということでございますが、まことに必要でございまして、今日までできております
環境基準は亜硫酸ガス、一酸化炭素でありますとか、最近、水に関連をいたしまして、
水質についての
環境基準がおおむね、一〇〇%ではないようでありますけれ
ども、九〇%近くできております。これに続いて私
どもは粉じんとかそれから騒音とか、そういうものについての
環境基準の
検討をいたしておりまして、遠からずその結論が出るわけでございますが、それは法律できめるものではございませんので、
国会に提案をして御決定を願うということではございませんが、
行政的に閣議決定をすることになっておりますが、そういうものをきめました場合には、できる限りいい機会をとらえまして、
国会の諸
先生にも御説明を申し上げたり、また、その
基準がどのように適用されるかということについても御説明を申し上げたいと存じます。
それから公害の研究機関がいろいろの方面にございます。地方なんかも非常に熱心でございまして、このごろは公害衛生研究所というようなものがおもなところにはだんだんできております。従来は単に衛生研究所といっておったものを、公害を上にかぶせて公害衛生研究所ということになっておる
状況でもありますが、
中央にも御指摘のように、
厚生省の管下にも幾つかのそれらを取り上げておる機関がございますが、しかし、これを一つにまとめて公害衛生研究所というようなものをぜひつくることが必要だということで、昭和四十五年度におきましても、若干準備費を獲得をいたしまして、マスタープランを計画中でございますので、逐次ひとつ事業に移してまいりまして、できる限り早く御要望にこたえる所存でございます。
それから公害監視員というようなものをふやせ、これはまあ御要望の
趣旨は、たとえば食品につきましては、十分とは言えませんけれ
ども、食品衛生監視員とかあるいは薬の薬事の監視員というようなものがあるわけでございますが、それと同じような意味でという御
趣旨と思いますが、少し型が違うものでございますので、それがいいか、御提案のようなことがいいか、あるいはいまの保健所なり県の衛生部なり、
厚生省の機関なりというものを有機的に連携し、従来その連携が必ずしも有機的ではないし、また
かなりタイムラグがありまして、お互いに非常に迷惑をしたことがありましたが、そういうことを詰めていく面が有効である面もございますので、これは
検討させていただきたいと存じます。
以上でございます。
〔理事
小野明君退席、理事
中津井真君着席〕