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1970-05-09 第63回国会 参議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月九日(土曜日)    午前九時四十一分開会     —————————————    委員異動  五月八日     辞任         補欠選任      小山邦太郎君     中村喜四郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大和 与一君     理 事                 上田  稔君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 松本 英一君     委 員                 斎藤  昇君                 高橋文五郎君                 塚田十一郎君                 中津井 真君                 中村喜四郎君                 林田悠紀夫君                 柳田桃太郎君                 米田 正文君                 沢田 政治君                 田中  一君                 松永 忠二君                 二宮 文造君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    衆議院議員        建設委員長    金丸  信君    国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君        建 設 大 臣  根本龍太郎君        国 務 大 臣  保利  茂君    政府委員        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  山口 真弘君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        海上保安庁長官  河毛 一郎君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省計画局長  川島  博君        建設省河川局長  坂野 重信君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        運輸省海運局参        事官       須賀貞之助君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○筑波研究学園都市建設法案衆議院提出) ○本州四国連絡橋公団法案内閣提出、衆議院送  付) ○道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 大和与一

    委員長大和与一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  昨八日、小山邦太郎君が委員を辞任され、その補欠として中村喜四郎君が選任されました。     —————————————
  3. 大和与一

    委員長大和与一君) 筑波研究学園都市建設法案議題といたします。  提出者より提案理由説明を聴取いたします。衆議院建設委員長金丸信君。
  4. 金丸信

    衆議院議員金丸信君) ただいま議題となりました筑波研究学園都市建設法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  筑波地区における研究学園都市建設を促進するためには、その建設に関する総合的な計画を策定し、その実施の推進をはかることにより、試験研究及び教育を行なうにふさわしい研究学園都市建設するとともに、これを均衡のとれた田園都市として整備し、あわせて首都圏既成市街地における人口の過度集中の緩和に寄与する必要があり、本案を提出いたした次第であります。  次に、その要旨を申し上げます。  第一に、本案における研究学園都市は、茨城筑波町等四町二村の地域対象とし、その地域研究学園地区及び周辺開発地区とに分けることといたしております。  第二に、首都圏整備委員会は、関係地方公共団体意見を聞くとともに、関係行政機関の長に協議して、研究学園地区における移転研究機関施設公共施設及び一団地の住宅施設等建設に関する計画決定することといたしております。  第三に、茨城県知事は、関係町村長意見を聞いて、周辺開発地区における公共施設及び農業の近代化のための施設等整備に関する計画を作成して、首都圏整備委員会の承認を得ることといたしております。  第四に、両地区計画に基づく事業は、国、地方公共団体または日本住宅公団等実施するものとし、首都圏整備委員会は、その実施に関し勧告することができることといたしております。  第五に、政府は、筑波研究学園都市建設事業実施するため必要な資金の確保をはかるとともに、国は、その実施を促進するため関係地方公共団体に対し、財政上、金融上及び技術上の援助を与えることといたしております。  以上が本案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  5. 大和与一

    委員長大和与一君) 本案については本日はこの程度とし、質疑は後日に譲ることにいたします。     —————————————
  6. 大和与一

    委員長大和与一君) 次に、本州四国連絡橋公団法案議題といたします。  本案は、去る四月二十五日提案理由を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 松本英一

    松本英一君 本州四国連絡橋の問題につきまして、まず、冒頭に二点について特に強調をしておきたいことがございます。  その一つは、本州四国連絡架橋関係各県の四国四県、中国側三県につきましては、昨年と本年において私は実際に視察に行っております。それが第一点。  第二点は、いろいろな問題に関して新聞記事が信用にならないというような答弁があるかもわかりませんけれども、新聞必要性は、政府新聞紙の必要なことを痛感して正式にその発行を認めたのは、明治二年二月八日の新聞紙印行条例によってで、これが始まりとされております。政府が必要を認めた新聞記事でありますので、数字は若干五十や三十とかいうように違うかもわかりませんけれども、あらましにおいては私は信頼すべきものであるという点を強調して質問に入ります。  まず第一点は、昭和二十七年十二月四日に、建設省が一級国道路線を指定する政令によって神戸徳島を結ぶ国道三十号の路線決定いたしました。そうすると、翌年の八月一日に、運輸省兵庫須磨付近より淡路の岩屋付近に至る鉄道及び福良より鳴門付近に至る鉄道敷設法予定鉄路線路加入をしております。次いで、昭和三十六年の四月一日に建設省宇野高松調査対象に採択をすると、運輸省はこれを追っかけるように六月には、宇野から高松に至る鉄道を同じ敷設法予定鉄路線路加入をいたしております。いそのアワビじゃないけれども、瀬戸のアワビの片思いみたいに、あとからあとから追っかけてこられておりますが、この問題についていろいろな疑点があり、そして鉄道併用橋でなくて、トンネルを掘ったらどうかというようなこともしばしば私も聞かされております。運輸省は、トンネルの件につきましては、霧あるいは台風その他の点でトンネルのほうが危険が少ないし、また技術的な問題につきましては、関門トンネルでこれは実験済みであります。運輸省は、このようにしてあとからあとから建設省道路線決定に加えて鉄道線路加入をなされておりますが、この問題について、そうしてさらにトンネル検討をなされたかどうか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  8. 町田直

    政府委員町田直君) ただいまの鉄道敷設法別表関係でございますが、ただいま先生がおっしゃいましたように、昭和二十五年の七月の第八回国会におきまして、四国資源開発のため、その「基本的先決要件たる交通施設、なかんずく鉄道については、島内はもちろん、本州との連絡路線緊急整備を計るべきである。」という旨の決議がなされました。これに基づきまして、昭和二十七年の七月に鉄道建設審議会におきまして、淡路島を経由する本州四国連絡鉄道鉄道敷設法別表に追加することの必要ある旨の答申がなされまして、これが昭和二十八年の八月に、第十六国会鉄道敷設法の改正によって予定路線に編入されたものであります。また、宇野高松ルートにつきましては、その後の調査結果に基づきまして、昭和三十六年六月に鉄道審議会の建議によりまして、敷設法に追加されたものでありまして、本州四国間の道路計画に追随して特に定めたというものではないと考えております。  次にトンネルでございますが、御指摘のように、本来中国四国を結ぶ鉄道路線としてトンネルがいいのか、あるいは橋がいいのかということはいろいろ議論があり、かつ検討したところでございます。しかしながら、ただいまも申しましたように、トンネルにつきましてもいろいろと検討いたしましたが、本州四国間の海峡の横断図は、海底に断層があり岩盤の割れ目が非常に多いとか、非常に困難が多いという実情でございますし、一方、本州四国間の橋をつくろうという話もございますので、本州四国間は鉄道橋ということで調査するということになっておる次第でございます。なお、具体的にそれではトンネルと橋との場合に経費の点でどうかということにつきましては、いろいろ具体的な調査がございますけれども、まだこの国会答弁するほど詳細なものはございませんということでございます。
  9. 松本英一

    松本英一君 九州の博多まで新大阪から新幹線が完成するのは昭和四十九年の末である。そうすると、いまかけつつあります関門架橋、これは自動車道でありますが、これは大体昭和四十八年の十月完成のメドになっております。まあ一年ちょっとの違いですが、その計画、いまのお話ですと、これはちょっとおかしなように聞こえます。なぜならば、建設省のほうが架橋をするべき計画があるというので、これは一緒に乗ったというお話ですけれども、それならばスパンの千五百というような長大橋併用橋でなくて、こちらの下関の、いわゆる関門架橋計画にどうして乗らせなかったのか、私はそれを疑問に思っておりますので、お尋ねをしたい。
  10. 町田直

    政府委員町田直君) 関門についてなぜ橋でやらないのか、こういうことでございますが、トンネル条件というものがございまして、先ほど申しましたように本州四国トンネルで結ぶということは、技術的に不可能ではございませんけれども、非常にたいへんである、という予想ができるわけでございます。しかし関門の場合は御承知のように距離もそう遠くはございません。トンネルで十分やれる、技術的にもまた経済的にもやれる、こういう判断新幹線についてはトンネルをつくる、こういうことにいたしたわけでございます。したがいまして、どうして橋に乗らせなかったかということございますけれども、これは鉄道側判断としてそういうふうにいたしておる、というふうに御理解いただきたいと思います。
  11. 松本英一

    松本英一君 世界長大つり橋鉄道を併用しておる実例がありますか。併用橋として計画され、あるいは架設された中でそういう例があるならばお教え願いたいと思います。
  12. 町田直

    政府委員町田直君) 現在外国道路鉄道併用橋として利用しておりますのは、具体的には三本ございまして、いずれもアメリカでございますけれども、ウイリアムズパーグ橋ニューヨークマンハッタン橋ニューヨーク、及びベンジャミンフランクリン橋フィラデルフィア、この三橋がございます。
  13. 松本英一

    松本英一君 それのスパンをお知らせ願いたい。
  14. 町田直

    政府委員町田直君) ウィリアムズパーグ橋は百八十・七メートル、四百八十八メートル、百八十一・七メートルという三つの長さ、それからマンハッタン橋は二百二十一、四百四十八、二二一、それからベンジャミンフランクリン橋が二百十九、五三三、二百十九であります。
  15. 松本英一

    松本英一君 いまお答えになりましたように、スパンの千メートル以上はございませんか。千メートル以上ではないということに理解をしておるのです。スパンが千二百八十メートルのアメリカゴールデンゲート橋、これは併用橋として計画検討されたが中止それからニューヨークブルックリン橋、カリホルニアのサンフランシスコのオークランドベイ橋、あげればきりはありません。これは全部併用橋として計画されたが、道路のみ使用されている例であります。千五百以上のスパンで、明石−鳴戸の鉄道併用橋をどのようなお考えであるか、それをお伺いしたいと思います。
  16. 町田直

    政府委員町田直君) 御指摘のように千五百メートルのスパン橋そのものが、非常に世界的に珍しいというか、大きな橋だろうと思いますが、それに鉄道を通すことがどうか、こういうことでございます。また外国でも、いろいろそういう点で検討したがやめた例もあるということでございます。その点が一番問題でございましたので、鉄道建設公団におきまして、建設省一緒になりまして長いこと調査をいたしたわけでございます。なお、その間におきまして、財団法人土木学会に、いままでの調査結果に基づきまして、具体的な調査を依頼いたしまして、その結果いろいろの条件はございますけれども、技術的に両方の橋とも鉄道を通すということが可能である、こういう結論が出されたわけでございます。ただしいろいろな条件がございます。したがいまして、それらのものにつきまして、なお今後検討する必要あるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、このような長大橋鉄道を通すということが可能である、こういう結論が出たというふうに、私どもは承知いたしておる次第でございます。
  17. 松本英一

    松本英一君 官房長官にお尋ねいたします。去る二十四日の日の本会議で、私は地方道路公社法案と、それに関連をして本州四国連絡橋公団の件について質問いたしました。その中で、いわゆる架橋誘致陳情合戦が展開されておって、この陳情に関して歴代関係大臣放言食言枚挙にいとまがありませんということを申しました。そうして、坪川建設大臣発言を一例としてあげました。総理は、かかる陳情合戦をどのように解釈されておられるのか、総理自身は苦々しく思っておられようとも、その指導性を欠いた態度についてどう反省しておられるか、という質問をいたしました。その答弁としては、「関係閣僚のさまざまな放言によって収拾のつかない陳情合戦が発生しているとの御発言でありましたが、決してそのようなことはありません。」このような答弁でありました。そうして、さらにつけ加えて「地元住民の直接の代表者である国会議員が、その資格において地元住民の声を代弁することは当然のことであり」と言われております。私は、国会議員方々陳情問題を話して質問をしたのではございません、関係閣僚と言っております。この世界的な大事業にあたって、各地元人々あるいはそれに関係する国会議員人々、地方自治体の人たちが一生懸命にその誘致をなさっておるのは、御承知のとおりであります。私が、ここで食言放言と申しましたのは、関係大臣がそのつどそのつど話が変わっておるという事実であります。昭和四十年の六月に、当時の瀬戸山建設相は万国博に間に合うよう四十年度には着工したいと言明されております。瀬戸山建設中村運輸の両大臣は四十年の九月に神戸市の国際会館において明石鳴門優先の言明をされました。四十一年には三木通産大臣までが最終答申が六月中に出るので、八月までにルート閣議決定する。そうして四十一年の同じ八月の香川県知事選挙の応援のために高松空港に着かれた三木大臣は、架橋について関係各県が張り合い、陳情合戦にむだな費用を使っているが、政府ルート決定を運動で左右されない、四国開発には橋が二つ必要だと言明され、兵庫徳島及び香川−岡山の二本を名指しされ、さらに、どちらを優先するかについては、本年末までに土木学会技術的な結論を出す、それから閣議できめたいと言われております。いま運輸大臣でいられます橋本当時の建設大臣は、その年のやはり八月に、初閣議記者会見で、年内ルート決定はむずかしいだろうと言われており、一方ではことしじゅうにやる、一方では年内にはむずかしい、このように変わってまいりました。そうしてその十月の十六日に、当時の橋本建設大臣は、神戸高速道路一号線の開通式のために大阪に行かれて、本州四国を結ぶ夢のかけ橋の路線決定は来年されるので、四年後の万博に間に合わない。このように万博に間に合うようにしたい、万博に間に合わないと、もう数え上げれば切りがありません。だから枚挙にいとまがないと言ったのです。しかも昨年度だけで、後半八月六日の第六十一国会終了直後に佐藤総理は、この本州四国架橋の問題について四国側意見は案がきまれば一本化するといって、だが九月中旬ごろには決定することになろう、そして八月二十九日に、万博視察後のまた記者会見では、連絡橋は当初の予定では九月に結論が出るはずだったが少しおくれそうである、必要に応じて技術的にも容易なものから順次手がけていけばよい、もうすぐ結論が出ることだし、いましばらく待ってほしい。そうして九月十日には、根本建設大臣ですが、当時の政調会長をしておられました。尾道−今治のルートのいわゆる広島、愛媛の陳情団に対して、三本ともにかけるということになるであろう、一本にしぼったらたいへんなことになる。これは放言ではありません。また、田中幹事長発言、あるいは昨年九月二十五日の松江における一日内閣発言このようなたくさんな事例があるのであります。  それぞれの関係各県、市町村に至るまで、あるいは飛行機で上京し、大挙陳情に来られて、陳情すれば何とかなるという事態は好ましくないことは、私もよく承知しております。だからといって、陳情に来られる地元人たちだけを責めることはできないはずであります。なぜならば、政府幾らきれいごとを言っても、現実には新幹線計画駅の用地を事前に工場用地の名目で買収したり、新幹線政治駅がぽつんとできたり、高速縦貫道計画路線がひん曲げられたりするのであるから、地元人たち陳情効果を信ずるのは、当然のことではないかと考えております。  このようないろいろな放言食言を、本会議でございますので省略をしておりましたけれども、いま佐藤総理の不誠意きわまる答弁について、私は非常にふんまんを持っておりますので、佐藤内閣の大番頭であられる官房長官のこの事実による放言に対して今後どのように考えておられるのか、このことを御答弁を願いたいと思います。
  18. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 連絡架橋の問題につきましては、私もちょうど一年建設省におりましたので、ちょうど瀬戸山西村建設大臣あとをつないだわけでございます。ほかの大臣がどのようなお考えを持たれておったか、私は西村大臣の御方針を踏襲いたしまして、とにかく世界でも非常に珍しい大きな工事になると、しかも工事たる日本気象状況からして一段と困難性の高い事情にある、そういう背景の中でこれを取り上げていくということであれば、勢い慎重の上にも慎重でなければならないのじゃないか。ちょうど私が参りましたころに関門架橋の問題が出ておりました。それが約七百メートルぐらい。で、話を伺いますと、四国本州連絡架橋についても、技術的には見通されるけれども、実際に工事をこなし得るかどうかということは、関門架橋いまやられております。これが実際、いわゆる検討されている技術的に実際の施工上どういうふうに運んでいくか、一つのまあテストケースとしてこれは大事に見ていかなければいかぬじゃないか、同時にこの本州四国架橋の点については、ただいま御指摘のような各ルートそれぞれ非常に熱心な御要望が起こされておる。実際のその工事のむずかしさと各地元要請等には、まあ政府がここへ橋をかける、ないしはその行政がそういうふうにいけばすぐでもできるかというような安易な希望を持たれるということは、非常にあとで困ることになるんじゃないだろうか。したがって、技術的にもしっかり慎重に検討をいただいて、で、技術的にはそうであるが、しからばその四国のあるいは関連地域経済開発、発展の上の経済効果というものはどういうふうになるかというような点も十分きわめた上で、第一は施工上無理がないということ、第二は経済効果と申しますか、経済開発上。それで私は四国方々にはひとつ四国はどの県この県ということでなしに、四国一体ということで、とにかく本四の連絡架橋をできるだけ早くつくり上げるようにするという意味において、こっちでなければいかぬ、こっちだというようなことにあまり力を入れられぬで、四国一体であるということでひとつお考えをいただくわけにはいかぬかと、いろいろのお話しのように陳情が行なわれておりますことは、これは事実でございます。当然のことだと思っております。私自身もそれぞれの地域陳情については深く耳を傾け、傾聴いたしてまいったのでございますけれども、しかし陳情が強いからそのほうに持っていくというわけにはいかぬ。そこにもまた特別の顔があるから、その顔でもって持っていくわけにもいかぬ、あくまでもやはり厳正な行政施策として考えていくようにしなければいかぬじゃないかという、そういう考えで取り組んでおりましたが、したがって、これはもうおしかりを——私も食言したうちの一人だと思います、大体当局の話を聞いてみますと、私は在任中にも技術的な一応研究調査は大体めどがつくと、そうすると、それをまた建設省運輸省というだけでなしに、広く全体の経済という上からいって、経済企画庁でも見直していただいて、そうすればおおよそ四十三年の暮れくらいまでにはめどがつくのじゃないかというような腹づもりでかかっておりましたところが、とうとう私の在任中は、なるほど技術調査のほうはほぼ目安がついたようでございますが、経済的なそういういういろいろの見通しをつけることができなくて、後任者の方に引き継がざるを得なかったという事情になっておるわけであります。  総理大臣がどういうように答弁されましたか、ただいま松本さんからお話がございまして、私も実は速記録を拝見いたしましたけれども、総理大臣歴代建設大臣運輸大臣、この問題に関する経過を、非常に大きな問題でございますから、総理大臣には、私もそうでございますし、ほかの大臣方々もそのときの事情をよく総理に報告をいたしておったことだと思います。私もそういたしておったわけでございます。したがいまして、取り組んでおりますことは、陳情の強弱ないしは陳情者の顔によってこのことがゆがめられていかないようにしなければならないというようにはしっかり持って——総理もしたがってそういうことが頭にあられたんじゃなかろうか、私がいささか関係をいたしておりましたものでございますから、承知をいたして、総理答弁を見ますと、ああ、こういうことであるなと、私はそういうふうに理解をいたしておる次第でございます。したがいまして、これはもちろん民主政治でございますから、陳情が大事であるということ、そのことは松本さん同様に私も高く陳情というのは評価しますけれども、しかし、だからといって行政がそのためにゆがんでいくというようなことのないようには気をつけていかなければならぬじゃないか、そういうことを総理は御答弁になったと私は心得る次第でございます。
  19. 松本英一

    松本英一君 官房長官から、自分も食言をした一人であるといまお話がありました。企画庁に、国土総合開発計画の観点から各ルート検討する、あるいはこのことは長官建設大臣に就任された四十二年十一月の二十七日にそのようなことを言われております。同時にまた顔ではしないというその顔談話もそのときにお話しになっておられます。それで、もう官房長官建設大臣のころのこの問題については、これ以上質問をいたしませんが、長官の時間もございませんので、総理によくお話をしていただきたいということがございます。それは、昭和四十三年の三月三日日曜日の朝日新聞の「こども」「希望社会科」の質問欄に「本州四国を結ぶ″夢のかけ橋″の計画はいまどういうふうになっていますか。」と子供たちの質問を記載しております。架橋関係各県に関係のない静岡県の中学三年生、茨城県の中学一年生、奈良県の小学校五年生、三名の記事であります。これに対し、「計画進む″夢のかけ橋″」と見出しをつけ、子供たちにわかりやすいことばでこの記者は質問に応じております。政府計画、候補のルート、お金と工事期間、誘致運動あるいは技術的な、地震、台風、船の交通、調査費、世界の長いつり橋の建設、いろいろな土木学会、各機関の研究の結果の発表、「建設するルートは、この暮れから春に決る予定だ、といわれています。」「夢のかけ橋の建設は、ルートによって、四国はもちろん、関西や中国地方の発展に大きな影響があります。これだけ大きな事業ですから、かける場所や工法などについて、一部の人たち考えではなく、国全体に最も大きな利益となるような立場から、決めることが必要です。」と、いま長官答弁のような解説でこれを結んでおります。直接関係県でない遠い東海地方や関東の子供たちまでが、いや日本の子供たちまでが、夢のかけ橋にかける果てしなく広がるあすへの夢、そうして大きくふくらんでいく希望の心をしっかりおくみ取りいただいて、そうして私の速記録もお読みでございましょうから、技術的工法、経済効果その点について早急にこの希望の橋が完成するよう御努力を願いたいことを特に要望し、長官の御答弁をいただいて、官房長官に対する質問は終わらせていただきます。
  20. 保利茂

    国務大臣保利茂君) ただいまの松本さんのお話は、そのまま総理大臣に私からお伝え申し上げておきますことを申し上げます。いずれにいたしましても建設、運輸両大臣が心血を注いで苦心をしていただいておりますから、そういったような総理大臣の趣旨を体されて、いまお話しのような趣意に沿うように努力しなければならない、私自身もそう考えておる次第でございます。御鞭撻をお願いいたしておきます。
  21. 松本英一

    松本英一君 建設大臣運輸大臣にお尋ねしますが、これは本会議でも私が質問いたしたのでございますから御承知だろうと思います。四十一年の八月決定ということが関係閣僚から出される前後から中央で、ただでさえ苦しい地方財政の中でしのぎを削る陳情合戦が行なわれたのは、御承知のとおりであります。かけ橋を何としても自分たちのほうへ持ってこようとする関係各県は、それぞれの経済効果あるいは工費あるいは技術の問題等について、それぞれ優位を誇っております。しかし、このかけ橋について、この地元人たちは非常な苦労と日かずをさいて、今日まで陳情に来ておられます。それで行かれるとおわかりになりますが、この関係七県はどこでも、この夢のかけ橋の悲願に燃え切っておるというのでなく、燃え尽くしたような感じがいたしております。この架橋ルートのことにつきましても、どこを優先するとかいうことではなく、私は本会議では同時着工論を言ったのでございますが、その点について、両大臣はどのようにお考えでありますか、具体的に御答弁をいただきたい。
  22. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 本州四国連絡橋の問題については、ただいま松本さんから詳しい歴史的な経過まで御説明になりましたように、非常に地域住民の方々の重大な関心事であるのみならず、今後日本の国土総合開発の観点からも非常に重要な施策の一つでございます。なおまた、そのためにいろいろの陳情運動があったことも事実でございますし、いろいろの調査もしたのでありまするが、現実にこれに着工するという段階になりますというと、御指摘のように、非常にこれは理論的には、技術的に可能であるという結論は出ておりますけれども、現実にこれを着工する場合における機械設備、いわゆる技術開発そのものが非常に立ちおくれておるという事実でございます。その意味におきまして、従来の調査は非常に有効であるのでありますけれども、その調査ができたということで、すぐに着工できる段階ではない。またいろいろと御指摘が今後あると思いますけれども、いまだ、世界の経験のないような台風常襲地域で、しかも瀬戸内海の非常に海上交通の激しいところで、しかも潮流が非常にこれもまた激しいところで、しかも海中でやるというようなことでありますから、理論的に可能であっても、技術的に着工はたいへんな問題がある。そこで、これには専門に調査する一つの統一的な機関を設けるというので、この案を提案されたのでありますが、この公団は、全体について三ルートとも共通の問題と、また特殊な問題がございまするので、それのまず技術開発調査をすると同時に、これの受け入れ態勢の諸般の問題を研究する。これを、ある意味においてわれわれは着工の前提条件でありますから、その意味では三ルートとも同時着工という御意見にわれわれは賛意を表してやっているつもりでございます。そうして、その過程において、技術的にも完全に解決ができ、さらに今度は地元の受け入れ態勢あるいは経済効果等、総合的に判断をいたしまして、この三ルートを物理的に完全に同時スタートでぱっとやることは困難であると思います。同時着工の前提で進んでいきまするけれども、現実に実施する場合においては、そのうちに総合判断の上、三ルートのうち若干の時間差をもって工事に取りかかるという結論になるであろう、と考えている次第でございます。
  23. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 建設大臣からお答えがありましたから、つけ加えて申し上げることもないようでありますが、ただ、日本の全面積は申すまでもないのでありますが、三十七万平方キロメートルでありますけれども、これをひとつ五十年、百年の将来を考えて、どう日本の面積をわれわれの一つの国土開発の総面積と考えるかということになりますと、やはり瀬戸内海あるいは東京湾の内部といいますか、あるいは北海道と日本本州をつなぐ、こういう海域も一つの陸地的面積と考えていいんじゃないか。そうなりますというと、いわゆる三十七万平方キロメートルじゃなくて、やはり六十万とか相当大きな面積に考えられる。ことにわれわれのほうから言えば、内航海運という一つの特別な交通網を持っておるわけです。そういう意味で本四連絡架橋の問題も、これを一つの海として考えるんじゃなく、したがって一種の陸地として考えることが五十年、百年先のやはり日本の総合開発の構想じゃなかろうか、かように私は考えております。そういう意味から言いますと、松本さんがおっしゃったような三ルート同時架橋という問題にも関連が出てくるわけですけれども、きょうの問題、あしたの問題として同時着工という問題には、技術的ないろいろな問題がありましょうけれども、いずれにせよ、一つの新々全総といいますか、将来の開発計画からいえば、これらはある意味では同時着工とも考えられるのでありますからして、したがって瀬戸内海というものを単なる海として考えるか、あるいは一種の陸地として将来は考えるかというところに、やはり今後の大きな開発の目的が違ってくる。ことに四国というものが同じ日本の内地でありながら、一種の孤島のごとき扱いを受けるということは、これはもちろん四国に住む人だけじゃなく、日本の国全体の経済開発といいますか、その面からもこれは非常に不利益であります。そういう意味においてやはりこの問題は相当人間だから夢が持てるんだからして、この大きな観点からやはり考えていくべきである、かように原則としては考えておるのであります。
  24. 松本英一

    松本英一君 私の本会議答弁では、総理はこのように言っておられます。「三ルート同時着工以外に収拾策はないのではないかとの松本君のお考えには、私はいかがかと思います。」このように言われておる。私はそのことがいかがかと考えております。なぜならば、先ほどから申しておりますように、世界長大つり橋計画倒れのものばかりであります。運輸省建設省は東京大学工学部の橋梁研究室に依頼して、大型構造の研究あるいは振幅の研究、それから風洞実験などを委嘱されておりますが、それを見ただけでも、上を自動車が通って、下のトラスをかけた中で新幹線が走るか、貨物が行くか知りませんが、風を受ける影響、そうしてそこから生じてくる橋のたゆみ、このようなものを見て、技術の研究に驚異を感じ、その下を鉄道が通っていくということには、私は実際恐怖を感じました。わが国の橋梁の経験では、西日本においては尾道大橋、あるいは音戸架橋、いまかけつつある関門架橋、完成した若戸大橋、天草五橋、そして西海橋、このような実績を日本道路公団は今日まで持っております。水深三十メートル以内でありますれば、ニューマチック・ケーソン工法であり、それ以上になりますと、オープン・ケーソン工法であります。この明石−鳴戸の千五百以上のスパンになりますと、オープン・ケーソン工法のほかに多柱式工法を使用される可能性があると、土木学会のほうで発表になっております。しかし、鉄道併用橋にすれば、その積載荷重、そのために起こる根入れの工事が、非常に深いところの工事となるのであります。したがって、私は鉄通併用橋でなくて自動車道だけでやられるとするならば、それだけの安全度もあり、工費の削減にもなって、同時着工ができるのではないかと再三、私はお尋ねをしておるわけであります。このような長い年月の、しかも各県それぞれに東京に事務所まで持って、四年間、陳情だけで何にもできないというような孤独感は、もう早く終止符を打つべきではないか、そのように考えております。したがって、この問題について明確な御答弁をいただき、私の質問を終わらしていただきます。
  25. 大和与一

    委員長大和与一君) お二人の大臣から。
  26. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私はまあ学者でもありませんので、併用橋であることがいわゆる風その他に対して弱いのか、単独橋のほうが強いのかということの判断は、私にはつきませんけれども、しかし、私も風洞実験、ことにアメリカでタコマ橋が風のために、台風のためにねじ倒れた風洞実験を私は見にいった際に、その映画を拝見しました。これは併用橋でなく、普通のいわゆる道路橋であります。したがって、風等に関する影響力が、併用橋であるから弱いのか、あるいは道路橋であれば強いのかということは、その映画では技術者も説明しておりません。ただ、相当長いスパンにおいて風の受ける影響からしてねじ倒れるという実際上の映画を見て、いかに技術的に困難であるか、長大橋について技術的に困難であるかという意味での映画であり風洞実験を拝見をしたわけであります。私は、技術——松本さんもそのほうの技術者であると思いますけれども、一応、日本技術者が、この方面にかけては世界一流である。御承知のように、新幹線というものも、世界に先がけて、日本技術者によって新幹線のいわゆる鉄道ができた。そこで、いわゆる千五百メートル以上あるようなスパン道路橋に併用橋を乗せることが、もちろんこれは世界で初めてでありますけれども、世界で初めてやることを日本がやっちゃ悪いというわけじゃありませんから、問題は技術的な研究が、はたしてこれが実際上できるかどうかという問題が、まず第一になります。そういうことからして、従来まで数年かかって、いわゆる学者の間において研究が進められ、まあ基礎調査は一応進んでまいったんでありまするが、先ほど建設大臣が言われまするように、それだけじゃ済まない問題があります。そこで、今回の本四連絡架橋公団なるものは、これらの技術開発、あるいは実施設計等を兼ねて、そうして十分なる自信のもとに併用橋でやれるか、あるいは道路橋でやるかということが、最終結論は、この本四架橋公団で行なわれると思います。ただ、運輸省から考えますれば、従来の専門的な、一流学者によって検討された結果は、併用橋は可能である。こういう前提に立っておりますので、この本四連絡架橋公団も、われわれは、どれをどう併用橋にするかは、これから問題もありますけれども、いろいろ現在の状態においても、一応言える点がありまするが、なお、本格的に検討を加えた上で、そこで、いずれを、一般鉄道、一方をあるいは新幹線というようなぐあいに考えていくということは、これからの問題になりますけれども、私は従来の学者の意見を尊重して、そこで併用橋可能なり、こういう前提に立って進んでいきたいと、かように思っております。
  27. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この連絡橋を、併用橋にするか、あるいは道路単独橋にするかは、ただいま概定されておることは、二ルートは、おおむね鉄道併用にすべきであろうというような御意見のようであります。私のほうとしては、鉄道をどこにつけるかということは、これは運輸省の権限で検討されておりまするので、建設省といたしましては、技術開発の際には、併用橋をつくるという前提でこれは検討しなければならないと思いますけれども、技術開発は、いずれのほうにどういうふうにするかということは、いずれ決定されるといたしましても、技術開発の面については、これは併用橋が可能であるという前提のもとに進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  28. 田中一

    田中一君 私は、橋本さんに別の面からちょっと伺っておきたいのですが、それは第六次の道路整備五カ年計画がいよいよ策定されて、六十兆という膨大な事業費で、いよいよ目的の仕事が進められてくるのです。そこで、この計画の中には、新全総の問題とか、あるいは特定なる地域社会の開発の問題、経済圏の問題等、いろいろな多岐多様な大きなビジョンを盛り込んだ計画であるわけです。そこで、そうした政府の第六次の整備計画として、国民が非常に期待するような現実が、いよいよ出発をいたしますけれども、そこで、これは運輸大臣に伺っておきますが、あなたのほうで所管している道路運送法上の道路計画というものは、この中に若干でも織り込んでいるのかどうか。あるいは織り込んでないならば、現在までに運輸大臣が申請による許可をしておるところの、営利追求のための道路というものが、これからも続々と出てくるというような方向にあるのか、これをいままでの許可をしている有料自動車道についての見解を、ひとつ伺いたいのです。これは運輸大臣から。
  29. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 田中さんのおっしゃることは、いわゆる道路運送法による道路というものと、それから道路法による道路、それから高速自動車国道法、こういう三つの関連において十分な調整が行なわれ、あるいは連絡をとりつつ、総合開発的な総合計画的なものがつくられておるのかどうか、こういうお話と承ってよろしいと思います。もちろんこの道路運送法によって道路を認可する場合、これらの関係計画とは十分に調整はとっております。したがって、まあむだはないつもりでおりますが、ただこの現在の経済拡大といいますか、日本は御承知のように道路関係と申しますというと、いずれかといえば、ヨーロッパに比べますというと百年ぐらいおくれている。これは田中さんは専門家でありますから御承知でありますが、百年近くおくれています。おそらく道路らしい道路が本格的に始まったのは、戦後だと言っていいと思いますが、近代的な道路というものは。そういう意味で一方において経済拡大といいますか、経済の急激な成長というようなものに、従来の道路計画だけではなかなか間に合わないという上に、一種の産業的な開発、あるいは観光的な開発、あるいは地域的な開発が急速に行なわれておることも御承知のとおりであります。   〔委員長退席、理事松本英一君着席〕 そういう意味において、国あるいは地方団体が考えておりまするそうした道路計画よりも、もっとはみ出したものは実際は出ておる。そういう意味において、いわゆる戦後において自動車道事業というものを考えて一般の不特定多数のためのものでない特定のものに対する道路としてのそうした事業的な性格を持った道路考えていいんじゃないか。まあいうなれば、一種の実際的には必要に迫られたものでありますからして、ある意味においてある場所においては個々の例をとるならば、ちぐはぐな面があるのじゃないかというおしかりも受けると思いますが、ただ申しましたように、近代経済の急激な発展に備えるためには、なかなか公共道路一本やりではこれが整備が進んでいかない。こういうようなことから、かような制度も生まれたわけです。  ただこれが将来といえども、このままでもってやっていくべきかどうかというのが、田中さんの最終的な御意見だろうと思います。私は、非常に短期的な視野と非常に長期的な視野とこう分けてみるならば、なかなか高速道路網にいたしましても、一般道路整備にいたしましても、御承知のとおりに、なお今後いわゆる二十年、あるいはものによっては三十年という長期間を要しますからして、したがって現在の経済成長に十分に間に合うとは言えない。その面においては、なおやっぱり自動車道事業の役割りというものはあるんじゃなかろうか。ただ、そういう長期的な長い将来を考えて、これははたしてこれを営利事業として存続すべき問題であるかどうかという問題は、これは将来に残り得るものと考えます。ただ御承知のように、たとえば私鉄の場合におきましてもそれが個人財産といいますか、その財産の上に築かれた場合は、これは永久的な事業として認められております。この自動車道事業にいたしましても、それがその人の個人資本といいますか、民間資本によってその上に築き上げられた場合、これは性格、非常に似ておる点がございます。ただ道路という観念、不特定多数が歩くべきものである、利用すべきものである、こういう観念から言うなれば、そこには一つの問題があるわけでありまするが、当分の間このような制度が、なお現在の日本経済成長を助ける意味においては必要ではなかろうか、かように考えます。
  30. 田中一

    田中一君 これは大臣立ってやられるから、ぼくも立って質問します。この制度は、道路法ができる前の制度なんです。明治四年に太政官布告でこうした有料道路的な道路というものが初めてわが国の維新革命後の一つ事業として生まれてきたわけなんです。道路法はその後の問題なんです。したがって、どこまでも道路については無料公開それで大名が自分の領地において、その領地内における住民のしあわせ、あるいは徳川幕府を中心とする中央集権の中の参勤交代等、それぞれの当時の社会の情勢に応じた構造的な地方道がございます。これらはもう当然あるべきものとしての認められ方をしている。ところが、そうでない特定の道路をつくる場合に金がかかる。その場合にはこういう比率でこうだという形で太政官布告で明治四年に制定されたのが、いま運輸大臣の持たれているこの権限の発生なんです。そうして、昭和になってから御承知のように昭和八年に自動車交通事業法という形になって、こうした要求がほうぼうにできてきたものですから、こうした形で衣がえをした。これが歴史的な経緯なんです。したがって、今回のこの第六次道路整備計画の中においては、こうした形の計画の要素というものは何ら含まれておらんわけなんです。今日、三十年でしたか三十一年でしたか、例の臨時措置法によってわれわれは有料道路という、日本に初めての制度というものを一応認めました。これは国が当時のわれわれの生活すらどうにもならぬ状態の中から財源として得ることができないというので、いわゆる必要悪として私どもは有料道路制というものを認めたわけであります。同時にガソリン税が目的税として道路整備に拍車をかけるように要望もしておりました。ところが、いわゆる百年前の幽霊が資本主義経済の中においてもうければいいという露骨な政策のもとに運輸大臣の主宰するところの道路運送法上の道路というものが存在しているということは、ここに第六次整備計画としてうたっているところのこの大きな計画の中には全然入らない。いわゆるこの整備計画の盲点をついた利潤の追求の運送法上の道路というものが、これからも起きる可能性が多分にある。この今回の六次以降の計画というものは単なるいままでのような陳情とかあるいは悪い政治家がおりました、悪い大臣がいままでおりました。自分の選挙区には相当な金を持ち込んで、災害復旧費を持ち込んで使い道のないものを、ある町村の長は銀行に預けてたというようなことも見たこともございます。しかし、今度の場合には、その特定の地方計画じゃないのであります。新たに新全総としての大きなビジョンのもとに、平和国家としてのほんとうの装いをするというこの計画であるわけであります。その中にあっていまだ利潤追求の道路運送法上の道路が存在することは、これはもう政府としても反省をしなきゃなりません。私は、これは専用道路ならば差しつかえないと思う。自分の工場の敷地内あるいは自分の工場と分工場の間の自分の専用の道路をつくるということ等は、これは一向に差しつかえない。有料道路、国が行なっている有料道路、これは公団その他の道路であります。地方公共団体は、この道路がありながらやはり道路運送法上の道路としての許可を受けて地方公共団体すら行なっております。かりにこれを政治的に言うならば道路の二元行政です。行政の二元的な行政なんです。いま運輸大臣は国鉄を持っている、同時にまた私鉄というものもあっていいではないか、このことばは先だって根本建設大臣もそういうことを言っておりました。しかしまだいいのは国鉄の監督権を持ち、私鉄の監督権を持ち、しかしこれと同時にこれを主管は運輸大臣がなすっていらっしゃる。しかし道路法そのものの主管は建設大臣です。道路運送法上の道路建設大臣なら、一歩下がって賢明な建設大臣はそれぞれ国の計画、地方計画等も勘案しながら将来へのきめこまかい計画が立てると思うのです。したがって認可の問題はそれぞれ国道、高速自動車道並びに地方道等の計画も勘案しながら許可をいたしますけれども、共管とはいえ、今日あなた方の背後にあるところの官僚群というものはなかなか強靱なものであります。それらがそれぞれの結びつきを持って書類をつくるということになると、非常に困難なものがあるのです。先ほど松本君の本四架橋についての質問の中にも、やはりそうした技術の問題あるいは経済効果の問題等それぞれの問題は、あなた方の背後にある官僚諸君が十分に検討しながらこの裏づけをする、それによってあなた方はそれに対する判断をするわけであります。もう私が何を言いたいかということは橋本さんよく知っているはずだから、あまりくどくど申しませんけれども、今日のこの際は、もはや道路運送法上の道路、これが真に第六次以降のわが国の道路計画、むろん村道まで含めたネットワークの中における位置づけをしなきゃならぬ段階がきているのです。道路運送法は廃法になさい。これが最も近代化し、最もわれわれ地域社会におけるところの統一したはっきりした、あるいは混乱のない社会が生まれ、各地域地域との繁栄というものは公平に行なわれるということになるわけであります。たとえば自分の土地に観光ルートをつくり自分で使っているなら一向差しつかえありません。しかしそのために高い通行料を取られ、これが永久であります。これ時限があって、現在の国が行なっている道路公団等々の道路のように、ある時限がくれば公開するというものではないのであります。それらの道路があればこれに並行して地域社会の変革あるいは経済構造の移動等によって違った価値づけをされるという場合には、地方公共団体または国もそこにどうしても道路が必要なんだという場合に、そうした道路があれば、いまのようなあなたの主管するところの有料道路は買収するか何かしなければ、これは解決つかないわけなんです。したがって国が持つところの一貫した道路計画のらち外にあることになります。私はきょうこの道路整備五カ年計画、これを前提として建設大臣並びに運輸大臣は謙虚になわ張り主義をおやめになり、そうして真に国民が求める道路行政であり、これから国土総合開発としての新しい装いの国土、社会を出現するための討議を進めるべき段階にきていると思うのです。結論を申しますと、こういう法律はおやめなさいというのが私の結論です。これに対して建設大臣どうお考えになるか。そしてあなたは建設大臣としても、これはただ単に同僚、閣僚としての私見だから、自分はどうこう言えぬということではなくして、国務大臣としてお二人ともひとつ答弁をしていただきたいと思うのです。
  31. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 田中さんのお話はよくわかります。ただ、いまの行政は一種の縦割り行政のようなぐあいに、この行政がはたしていいかどうかの問題もあります。ただ御承知のように、これは現実の問題ですが、いま今度はいわゆる大幅農道といいますか、大きな八メートルの農道、これは農業自体が自動車を使うという前提、あるいは牛乳等の運送のために、そういうような今度本年度から大幅農道といいますか、そういうものが認められる。また事実農村に広い道路が農道としてつくられつつあります。これも一つは自動車という特殊な問題が出てまいったために起きた一つの変わった現象であります。こういうぐあいにいわゆる時代のいろいろな情勢に従って従来とは使用目的を異にした、いわゆる入れものが変わってくるという事態もこれは御認識願いたいと思います。こういうすなわち自動車が通る、一般の不特定のものも通るわけでありますが、八メートル以上に農道がなりますということ、それをそのまま建設省に移すがいいかどうかという問題も出てまいります。もちろんいわゆる自動車事業といわゆる道路運送法による道路というものも、その発生は一つはそういう事情から生まれてまいったというわけでありますが、縦割り行政のむずかしさというものは、いろいろな面において問題がたくさんあるわけでございまして、たとえば観光行政、これも観光の対象いかんによってはいわゆる厚生省が所管するというものもあるし、運輸省がやるものもあるし、建設省がやるものもある。こういう多様性を持ってきている、社会自体が。こういう意味においてお話は十分にわかりますからして、問題はそれが競合しないように十分に調整せられ、そして総合的にむだのないような使い方をすべきであるというのが結論だと思うのです。したがって、実質的には一元化されたような計画が行なわれ、調整をされるべきであると、こういう御意見はもっともでありまするが、ただ直ちに道路運送法なるものを廃止して道路というものは、一切何もかも建設省に持っていくほうが、はたして実際の運営において妥当かどうかという問題は、なお十分に検討する余地があるのではなかろうか、かように私自身考えておるわけであります。
  32. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先般来この問題については田中さんからいろいろと御教示にあずかり、御主張の点はよくわかっておりますが、私の意見はすでに申し上げたところでございまするけれども、あらためて申し上げますと、究極においてただいま橋本運輸大臣が言ったことと結論は同じになるのでございます。御承知のように農道は全面的に農林省がやっており、林道もこれは林野庁が所管している。さらに大型農道、先般来は御承知のように農免道路もこれは農林省所管にいたしておるのでございます。しかしながら、現実にこういうものを計画実施する場合には、建設省道路局と十分の連携の上、これが実施しておるという状況でございます。と同様のことが、道路運送法上における道路の新設等については、十分運輸省と連絡の上にこれは実施しているのでございまするから、御趣旨の点はまことにそのとおりでありまするから、その趣旨を行政の面において万遺憾なきを期せよという御忠告だと思いますので、より一そうの配慮をいたしまして、御趣旨に沿うように努力したいと存じます。   〔理事松本英一君退席、委員長着席〕
  33. 田中一

    田中一君 農道とか林道とかの問題とはおのずから異なったものです。特定なる地域における、特定なる目的のもとにつくるものはつくりなさいという、それはそれぞれのもう私が自分の何というか、二万坪の土地があって、そこに自分でかってに道路をつくるのは自由です。そうではないんです。道路運送法上の道路、これは当然道路構造令によるところの規格に合っておる道路だと思う。そうすると、これは国道をはじめ高速道路等と何ら異ならない用途と目的とを持ってなされておるわけです。二つございます。専用道路はかまいません。前段にも申し上げましたように、専用道路はかまいません、林道、農道と同じような専用道路はかまいません、それぞれの立場でそれぞれの目的のためにつくりなさい、しかし有料道路はいけませんよ、ということです。その体質から言っても、構造から言っても、どこに差異がございますか。何も五百メートルとか一キロ程度のものをつくるのではございません。相当長い距離のものを持っておる道路があるんであります。箱根の芦ノ湖周辺の小規模のもののみじゃないんであります。したがって、こうした道路というものがこれからもどんどん許可されるということになりますと、日本の産業構造の上に、あるいは将来の新全総という、あるいは新しい経済構造の中にあるところの経済社会発展計画等々の阻害になるということを言っておるのであります。いいですか、根本さん、あなた、この運輸大臣が持っておるこの権限を、あなたの手元に移す、それはいやでございますか、その点、どうですか。
  34. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これはいやとか好夫だとかいうような問題ではないと思いまするが、田中さんの御指摘の点は私もよく理解できるのです。で、御承知のように、これは明治政府が初めてこういう制度をつくった、御指摘のように、当時はいわゆる一般の公共の用に供する準備のないところで、特別なる観光とかそうした産業上の観点から、あるいはそういうものができたものだと歴史的には思うのでございます。現在は、先般もお答え申し上げましたように、観光とかあるいはレジャーというものがいわゆるぜいたくだというものではなくして、国民生活上必要なる一つの国民の欲求として定着した今日、いままでの純然たる産業とか、あるいは地域社会を結びつけるという道路のほかに、いわゆる現在主としてやられておりまする道路運送法上における道路が主としてあるところのいわゆる観光地帯というものも、道路法上の道路をつけなければならないという客観情勢になったということは、これは私も認めます。そういうものは今後道路長期計画の中に入れてこれから策定するつもりでございます。そうなりますれば、公共的なそうした道路がつくられていきますれば、道路運送法上の道路というものはそうたくさん新たにできるということは、必然的に少なくなってくるのでございます。また先般来御議論になっておりました地方道路公社等ができまして、地方自治体がそうした道路運送法上の道路をも吸収しようとする動きも一部出ておりまするので、そうしたもの等を運営していきますれば、私は田中さんが御心配になっている点が漸次解消できるというふうに感じている次第でございます。その意味において、われわれはここで権限争いとか何とかいうことではなくして、そうした道路運送法上の道路運輸大臣が持っているから、そういうものがどんどんと一般に国民が使うべき道路にまでそれが延びてくるということはあり得ないと考えておる次第でございます。その点は十分に運輸大臣とも連携をとりまして、御趣旨に沿うように努力をしてまいりたいと思っております。
  35. 田中一

    田中一君 どうも多岐にわたり、複雑怪奇な行政をするほうがいいんでしょう、それは。もうこれもある面においては利権にも通じますから、そのほうがあなた方にすればお好みでしょうけれども、国民は迷惑するわけです。ことに県や地方公共団体が、建設大臣主管の道路法の道路に対する不信から、運輸大臣が持つところの道路運送法上の道路をつくっているわけであります。これは建設大臣としてあなたの恥であります。建設大臣が的確なる指導を怠っているから、やむを得ず橋本さんのほうに行って、どうも建設省は金もくれなければ計画も認めてくれないから、どうかひとつ君のほうで許可してくれよということになるわけです。こういうことはいけないんです。決してあなた方いいと思っていやしないんです。あなた方の心の中に、何とかしなければならないという気持ちがあるんです。行政というものは簡素化することが一番望ましいんです。だれもこれは道路運送法上の道路だなんて考えている人はいないんです。同じキロ数でも料率の違うところはたくさんあります。その道路は永久に国民が通るたびに負担しなければなりません。こうした制度はこれはやめるべきであります。自分の企業なり特定なる目的を持っておる専用道路ならかまいませんと言っておる、あり得ます。しかしこれは国民全部に供用開始して料金を取る目的でつくられるということに対しては、観光であろうと何であろうと、道路というものの性格から見て取るべきものじゃございません、どこまでも、性格の面からいっても構造の面からいっても。林道または農道とはおのずから異なっておる。建設大臣が主管するところの道路法上の道路とちっとも異なっておらないんです、同じであります。これはもう少し、私は何もあなた方の自民党内閣だからこう言っているわけじゃございません。これは謙虚な気持ちで、運輸大臣並びに建設大臣はこの問題と取っ組むことです。そうして、まず第一にこうした形の地方公共団体の申請に対しては、かわるべき建設大臣の指導と融資あるいは補助、何でもやって、それに対するところの協力をすべきであります。その点はひとつどうお考えになるのか。建設大臣のほうは、ことに橋本さんは、あなたいままで建設大臣をやっていて、その当時は何だこんな道路があるのか、けしからぬじゃないかという気持ちを持って、今度は運輸大臣になると、そうでございますということは、これはいけません。
  36. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私から考え方を申し上げます。  田中さんは非常に厳正公平な人と、私前からおつき合いをしてたいへん敬服しております。もちろん、私はこういう問題にこだわる意思は持っておりません。建設大臣もやったこともありますからして、ただ理屈を言うだけなら、いろいろ理屈はあります。たとえば私鉄がレールを敷く、自分の土地としてその上に走らせる、こうものと、レールがないけれども、その上をやはり走らせる。ただこれは不特定多数の自動車ということがございます。違いがあります。最近全国自動車網というものが法案として出てまいったのでありますからして、多少時代は変わってきている、こういうものができた時代とは。しかしいろいろのこれからの技術開発といいますか考えますというと、特定のものを使う道路、たとえばいまは自動車でありますが、あるいは自動車だか飛行機だかわからぬようなものが走る場合も将来出てくるんじゃないか、そういうようなことがすでに海ではもう出てきておるわけですね。船か飛行機かわからぬ。出発するときは水の上を出発するけれども、間もなくすれすれ飛んでいく。これも一種の船として扱っております。リニア・モーターというのも、これは必ずしもレールの土を走るばかりじゃない、磁気作用によって、車でないものによってそこを飛ばしていく、こういうような技術開発がだんだん行なわれてまいりますというと、道路自体も従来の人間が歩くんだ、自動車が走るんだという観念から変えざるを得ない。ただ、こういうように、いま自動車道事業というものは自動車だけが走るというたてまえでありますけれども、現在建設省でやっております自動車道路網、こういうものも、これは自動車だけが走る、人間は原則として歩けないようになっております。こういうようにだんだん問題は各省が重なり合ってきております。そういう意味において、このような自動車道事業というものを、はたして将来まで運輸省が中心になって、そうして建設省の協議を重ねていくことがいいかどうかという問題は、十分検討する必要があると思います。私はあえて、運輸省もいろんな仕事を持っておりますから、何もかもやる必要はありませんけれども、これらいろいろ田中さん等の御意見も十分に参酌しながら、将来ともに、これは建設省だけの問題ではない、農林省にもありましょう、その他にもあろうと思いまするが、そういうような一つ道路計画あるいは道路建設、こういうものの観点の上に立って行政上のいわゆる何といいましょうか、改革といいますか、そういうものとからみ合わせて、今後は前向きでこの問題は処理してまいりたい、かように考えております。
  37. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 田中さんが御指摘になりました、地方自治体が道路運送法上の道路をつくってきたことは、特にこの戦後の特殊な状況下においてなされたことは事実でございます。しかし、こういうものは地方自治体が永久にこれによって収益をあげるということが目的ではなくして、これが必要やむを得ざる——先ほど来盛んに田中さん言っておるように、必要悪としてやったことだとわれわれも見ておるのであります。したがいまして、今後地方自治体が道路運送法上の道路をつくるということは原則としてこれはやめてもらおうと思っておるのでございます。そういう意味で、経過的には一部のものについては条件づきで一定の期間になったら必ず無料公開すべし、こういう条件をつけてこれはやらしておるのでございます。いま橋本大臣が言われたことの中には、おそらく今後当分の間、この十年ぐらいはいまの道路法上の道路としての計画のないところで、しかも道路運送法上によらなければ、そうした道路が必要であるが、なかなかできないという問題について、あるいは今後問題が出てくるかもしれません。その場合においては、おそらくちょうどわれわれが地方自治体に対して道路運送法上の道路をつくるときに一定期間後に無料公開をせようという条件で認可するということが課題であり、いくということも一つの私は考え方だと思うのでございます。あるいはまた一定の条件のもとに買い取るというような条件をつけてやっていきますれば、田中さんがいま御心配になっておるような問題が、ほとんど大部分が解決ができるというようにも考えるのでございます。そういう意味で、いま運輸大臣から申されたように、この歴史的な経緯のもとに存在しておる道路運送法上の道路というものを、田中さんの御指摘になった線に沿うて運用上でまず解決し、しかる後立法上これを廃止するか、あるいは道路運送法上の道路道路法上の道路とを一本化した立法のもとに整備するのだ、今後十分にこれは研究してまいりたいと考えておる次第でございます。
  38. 田中一

    田中一君 橋本運輸大臣答弁には九十五点あげます。やはり建設大臣の経験者はなかなかいい答弁をします。しかし根本さん、あなたの答弁はちょっと困るのです。なぜかというと、あなたが考えておる今後の第六次整備計画の中にはこれは入っておらないのです。ないのです、何にも。何にもどこにも見えないのです。であってはならないのです。いいですか、あなたは将来買い取ればいいと言うが、買い取るまでにその地域は必ず開発されるのです、道路が先行するのです。あなたが考えてここにいろいろなビジョンを訴えておりますけれども、これは全都道路の先行投資によって開発される問題ばかりなんです。買い取りの問題は、資本主義社会のもうけるだけもうけて、建設費はたっぷり取ってしまって、その後、倍でも二倍でもなければ売ってくれないのが現状です。経済効果、利用の効果をねらってこの計画ができておる。そうしてその地域地域開発され、価値が変動するわけです。あなたが考えておる今後の道路整備計画というものがそれをねらって、はるか先のそれをねらって立てるのは、あなたの今後の、十兆という膨大な事業費をもって進んでいく、そのポイントなんです。民間の道路運送法上の道路をつくるという意図をくじくことです。それがあなたの義務なのです。今度の計画はそれに立脚しなければならない。したがってあなたが持つところの大きな平和国家としての共通のしあわせを得るめたのわれわれの生活というもの、環境というもの、将来への運命というものも含めて、今度この五カ年計画をスタート台としてあなたの双肩にかかるのです。そうすると、もはや申し上げたような道路運送法上の道路の申請がなくなるのです。そこで、先般も言っておるように、大きなビジョンをお持ちなさい。そうして夢でいいから二十一世紀への道路計画をお立てなさいと言っているのです。それができ上がると、これは政府考えている有料道路または無料公開の道路だから、それは許可いたしませんということになるのです。簑輪局長はなかなか優秀な青年——だいぶ年取った青年ですが、道路局長によくこの問題を吹き込みまして、あなただって任期はもう少ないでしょう、あなたの代にそうした大きなビジョンをお描きなさいというのです。でなければ、この道路整備緊急措置法なんか流したっていいのです、それがなければ流したっていいのです、必要がないのです、夢でいいと言っているのです。そうして運輸大臣は謙虚にこれに対して十分検討しようということを言っているにかかわらず、あなたはこれを拡大してもいいじゃないかと言っているのです。それは簑輪局長が言うのかもしれませんけれども、そうじゃない、なくなることが望ましいのです。そういう姿勢が。これから点数を上げますから、もう一ぺん答弁をしてください。
  39. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 田中さんからいろいろ御評価もされるわけでございますが、どうも田中さん、私の言ったことをちょっと聞き違えているのじゃないですか。私はこの道路運送法上の道路を拡大するとは言っていないのです。これは減らすのだと言っているのです。どうもその点が評価はいかようにつけていただいてもいいけれども、申し上げたことは聞き違えなさらないようにお願いしたい。究極においては橋本運輸大臣と同じことを言っているのです。道路運送法上の道路というものと道路法上の道路というものを同じ体系に入れることを、前向きでこれから検討しますと、こう言っているのですよ。でございますから、橋本さんと私とは同じ方向でものを言っているのです。しかもそこまでいく間に、その立法、これは検討しなければなりません。いろいろ関係方面があるから、ここで検討しますが、その間の行政措置としては、しからば法律ができるまでどうするかということが実際上問題だと思っております。そのときにあたりましては、先般以来、私が申し上げているように、いままではレジャーとか観光というようなものは、国民生活上必要欠くべからざるものという認識がなかったために、そういう観光開発等においては道路運送法上の道路がわりあいに許可されておった。しかし、いまや国民生活が、レジャーが生活の必需条件となってきた今日、やはり道路運送法上の道路というものをそういうところまで拡大しなければならない。これをやれば必然的に道路運送法上の道路の申請がなくなる、こういうふうに私は申し上げたつもりでございます。なおまた現在地方自治体が道路運送法によって有料自動車道をつくったものは、これは無料公開するように指導する。またやむを得ずしてそういうものが観光のために、いまの計画には、この十年間計画にはないが、しかしながら、それにもかかわらずこれをやったほうがいいということが運輸省とわれわれのほうで合意してこれがもし認めなければならぬというような事態が起きたときには、現在の道路運送法上でこれをたとえ認可するにいたしましても、地方自治体に対して条件づきで将来無料公開せよということを前提で許すというような方向で検討すべきではないか、こういうことを申し上げているわけでございます。したがいまして、橋本さんと私と同じことを言っておるのでありまするが、評価はこれはどう変わってもけっこうでございます。御自由に御評価のほどを……。(笑声)
  40. 田中一

    田中一君 よくわかりました。九十五点上げます。(笑声)  そこで、まだこの法律の質問はあるわけですけれども、橋本さんのほうの質問がほかの方々にあるようですから、これは残しておきます。どうかひとつ橋本さん、この問題は多くの国民は知らないのです。ここにいらっしゃる方々だっておそらく専門家以外は、ははあ、道路に二つもそんな性格があるのか、道路という行政運輸大臣建設大臣が持っているのかということになるのです。これはどうかひとつ、国民がまどわないような形の一元化をすることが望ましい。  最後に一つ伺っておきたいのは、白河と棚倉の間の専用道路はどういう形で運用しているか。これはちょうどいまから二、三十年前にあの道を通って、国鉄が通っていたのですが、これが廃止になりました、棚倉−白河間が。その後、せんだって道路公団に行って調べてもらったところが、どうもこれは道路運送法上の道路として国鉄が専用しているということを聞きましたけれども、何といってもあそこは単線です。単線に二台の車が走るということは非常に困難じゃないか。もしかりにあれを国鉄だけの専用道路として使っているのならばいざ知らず、これはむろん無料で使っているのじゃないかと思いますけれども、一般の自動車等の乗り入れがどうなっているのか。あるいはまた、その周辺における何といいますか、災害防除といいますか、災害を守る施設というものがどんな形になっているか、それをひとつ説明していただきたい。
  41. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) ただいま御指摘の国鉄の白河のあれは白棚線と言っているものでございまして、国鉄の専用自動車道でございまして、国鉄のバスを運行するためのものでございます。
  42. 田中一

    田中一君 そうすると、一般の車は全然乗り入れていないということですか。一般の自動車は通っておらないのですか。
  43. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 一般の自動車は通っていないわけでございますけれども、現実にはたまさか夜なんかにもぐり込むというふうな事態があることは聞いておりますけれども、たてまえといたしましては、ほかの自動車は通さないということでございます。で、さく等を設けましていろいろやっておるようでございます。
  44. 田中一

    田中一君 やっているようでございますでは困るのですよ。私はこれにも問題があるのです。そんならばどっちみち一般に公開したらどうですか。おそらく建設大臣の所管ならば公開してしまいますよ、もう少し拡幅して。あそこには並行して一般の市町村道があったはずです。これと一緒にして供用すべきです、無料で。その点は橋本さん、そういうこともあるのですよ。何もこれは国鉄バスが通るのだというのではなくて、並行して市町村道があるはずです。これを延ばして整備して一般に供用されるということが望ましい行政じゃないか。これはひとつ、そんなであろうと思うというようなあいまいではなくて、そういう方向にひとつ運輸大臣、持っていっていただきたいと思います。
  45. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 具体的に私も承知しておりませんから、現実を陸運局を通じて調べさせまして、非常に一般の国民に開放すべきほうが好都合であれば、これは建設大臣と話し合いましてりっぱな道路として開放するほうが私もいいと思います。実際がどうなっておりますか、実態等を調べた上で善処したいと思います。
  46. 二宮文造

    ○二宮文造君 申し合わせの時間がありますので、十分意を尽くさないと思いますけれども、私は本州四国連絡橋公団法の問題について若干お伺いをしたいと思います。  この問題に入る前に、どうしてもやはり先ほど松本委員が触れられましたように、これまでの経緯というものについて、やはり若干われわれも反省をしなければならぬと思うわけです。といいますのは、もうずいぶんお話がございましたので、省略をいたしますけれども、この連絡橋の問題についてあまりにも政治があおり過ぎた。歴代大臣食言、あるいは選挙のたびに地元出身の政治家がそれを自分の選挙に利用した、こういうふうなことが先ほども松本委員から明らかになりましたけれども、私もその点を指摘したいと思います。私は四国に住む一人としまして、先ほどの官房長官あるいは橋本運輸大臣根本建設大臣お話を聞いておりまして、四国は孤島である、あるいは四国一つになってこの問題に取っ組んでもらいたい、ずいぶん前向きのお話もありました。また反面、孤島であるがゆえにあるいはまだ開発がおくれているがゆえに、政治家にあおられて地元が異常な熱を燃やした。私もこの問題が昭和三十年前後にスポットを浴びたとき、夢のかけ橋ということばで印象に残っております。ところが、先ほどお話を伺っておりますと、その夢のかけ橋という話題がいつのまにか、きょうの問題、あすの問題にすりかわったというふうな答弁もございました。そこで地元の各県でどういうふうな活動をやったか、こう申しますと、乏しい財政の中で、たとえば神戸市などはこれまでの調査費あるいは誘致費として二億六千万円を消費しております。あるいは徳島県は一億四千百余万円を調査誘致費に計上しております。その他兵庫県にしても、あるいはわずか人口八、九十万の香川県にしても、これは香川県は一億円をオーバーするような誘致費を計上しております。岡山県、愛媛県、広島県、これらの関係公共団体の表に出た金額だけを合計しましても約七億四千万円、これだけのものが使われております。そうして、こういうような陳情合戦といわれる血みどろな戦いが展開されたわけです。この公団法が制定される段階になって、各地元では休戦協定ができた。こういうふうに、いまほっと胸をなでおろしたような気持ちでおりますけれども、新聞記者が特だねを抜かれちゃたいへんだというので夜回りをするのと同じように、各県でも休戦協定ができたようではありますけれども、いつすっぱぬかれるかわからぬというふうな状況で、現にことしはまだいいとしても、この公団が実施設調査に大体目鼻をつけるであろう来年の予算編成期には、再びまた陳情合戦が猛烈に巻き返されるんじゃないか、こういうふうにいわれておりますが、この連絡橋の問題をめぐってこういうふうな醜い陳情合戦、まゆをひそめるような問題が出てきていることについて、これから現実に基本調査あるいは実施のための調査、こういうものに入る政治の踏まえ方です。特に来年の予算編成期には、いまも指摘をいたしましたように、それこそすごい陳情合戦が行なわれるのじゃないかといわれているような現状に対して、まず両大臣から、これは両大臣の共管ということに伺っておりますから、それを受けて立つ、いわゆる政治に介入させない、こういうふうな明確な姿勢を示していただいて、関係地方団体にほんとうに安心感といいますか、政治に信頼を持たせる御発言を、最初に一言お伺いしたい。
  47. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 二宮さん御指摘のように、過去においては非常に激しい陳情合戦をいたしたことは、私もよく承知しております。そういうような現実を踏まえまして、これはいわゆる陳情によって政治的に解決されるということを、事実上これはそういうことでは動きませんよということを明定しなければならない。そういう構想からいたしまして、この本四連絡橋公団というものをつくりまして、いままでは、何回も申し上げましたように、理論的な可能性は学会で証明されておりまするけれども、その理論を現実の工事施設にあるいは機械に、そうしたものに裏づけては全然いないのです。ちょうどアポロ計画が、理論的には可能であるといっても、これができるまでには十年の長きにわたって努力がされている。しかし、その間において何回も何回もやり返し繰り返して、ようやく宇宙開発ができたと同じように、この技術開発ということは非常にむずかしいのです。そういうことを全部たな上げしておいて、そうしてもう来年きめる、再来年きめるというような情報が動くと、ああいうような陳情合戦になってきたと私は思います。その意味において、実は理論的には可能であるけれども、現実にあの台風地帯で千何百メートルの架橋ができるという技術上の裏づけは、何もできておらない。それから、あの激しい航行を行なっておるところに、それを避けつつ運航も安全にし、かつ工事を安全にやるということは、これまたたいへんなことなんです。さらには、潮流の激しいところで、水深四十メートル、五十メートルのところで人間が入っていけないのです。それをどういうふうな施設でその工事を可能にするかということが、理論的には可能であるけれども、そういう設備ができていない。こういう事実を明確にして、そうして客観的に技術上、それから今度は漁業補償の問題がございます、取りつけ道路の問題がございます。地元がどういうふうにこれを解決——経済的に大型プロジェクトとして開発するかということも、これも何ら具体的にできていない。一応の経済的な調査はしておるけれども、これは非常に限られた条件下における、単なる想定にすぎない。そういうものが、今度公団でやられていって、その客観的事実に基づいてこれは判定するということになるのでございます。したがいまして、陳情に基づいてこういうふうな非常にむずかしい技術的な問題は解決できません。陳情したために航行が安全になるということもあり得ませんし、それから四国と瀬戸内沿岸の経済的な開発が、陳情によって有利になるということはございません。そこで、そうしたところのものを、いままでのそうした政治的な運動よりも、これができるまでの、どう地元がその難問題に対してみずからの協力によって解決するかというところに重点を置いていただきたい、こう申し上げたのです。  その結果、いま二宮さん御指摘のように、この公団が設置されると、これで予算化したということの段階になってから、私のところにはほとんど陳情めいたものは来ません。それで、むしろ私のところに入る情報は、どうしたならばこの架橋地元に有利に、これは将来の開発のプロジェクトをどういうふうに持っていこうか、あるいは運航の問題、それから漁業補償をどう解決するかというところに関心が向いておったようなふうに私はいま感じておるのでございます。これは非常にいい傾向でございまするので、これは運輸大臣はもとより、全閣僚にお願いいたしまして、いわゆる陳情は決して禁止することではございませんけれども、陳情したためにそうした客観的な前提条件がくつがえされるものではないということを、はっきりと私は国会を通じて、国民の皆さん、特に関係者の皆さんに申し上げておきたいと思う次第でございます。
  48. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まあ建設大臣からお話がありましたから、私から申し上げるまでもありませんが、ただ私、建設大臣をやり、運輸大臣ということで、その間この問題は相当中心の問題であります。ただ私は、この橋はなるべく早くやりたいと、個人的な感情から言えば、またやるべきだと思う。問題は、いま建設大臣からお話があったように、技術の問題がありますからして、したがってそう簡単にいかぬことはよくわかりますけれども、日本の財政上の事情というものをよくまあこれは言われます。しかしながら、万博はわずか四年にして、四年の間にいろいろ含めて七千億円の金を使っております。この三ルートを開設する費用は約一兆円足らずであります。将来の物価値上がりを見ても、これだけの程度でもってできる仕事である。日本の将来のことから考えるならば、これくらいの事業は、技術開発が可能であり、そうしてやるべき決意がついたら、なるべく早くやることが私はほんとうだと思う。陳情が今日までいろいろなされましたし、まあいろいろな問題がありますけれども、こういうような一兆円に近いものが、とにかく、今後十年かかるか二十年かかるかわかりませんけれども、その間においてこれだけのものができたということは、またある意味においては陳情の力でもあった。過去においては、高松のほうの陳情を私はたくさん受けております。そう意味において、民主政治というものは、ある意味においてはやっぱりそういうことを認めておるところに、私は国民階層が政治に直接なり間接に参与し得る道がある。そういう意味で一がいに陳情を私は排すべきでもない。ただ、二宮さんがおっしゃったように、陳情によって政治が左右されてはいけない、これはもうそのとおりであります。ただ幸いにして、私も、また根本建設大臣も、この地域から遠く離れておりますからして、利害関係を持っておりませんから(笑声)、厳正中立、姿勢を正して行なうことは間違いありませんが、ただ、私の過去の経験あるいは全体的な新全総の姿から見ても、いわゆる一地域が半世紀もあるいは一世紀もおくれておるという状態は好ましくない、一刻も早くこの地域に対して、やはり近代国家の様相を与えるべきである。そのためには財政上相当苦しい面があっても全力をふるって、これはもう四国とか関係の県だけじゃなく、国全体が考えていかなくちゃならぬ。そういう姿勢で私は臨んでいるということを申し上げたいと思います。
  49. 二宮文造

    ○二宮文造君 主管大臣と共管大臣のその微妙な立場の違いで、どちらにでも受け取れるような答弁がありました。ですが、実際問題として、橋をかけてもらいたいというまあ関係地域なり地元民の希望は大きいわけです。ただこの問題はこう右へ行ったり左へ行ったりしてるために、たとえば香川県では番の州という身に余ったような大きな先行投資をして、そうしてまだ路線決定しないために、その利用、活用方法に困るというふうな問題も私は起こってきていると思う。それからまた、鳴門の側にしても、小鳴門という撫養からちょっと離れた島がありますが、そこの開発をどうしたらいいか、ルート決定しないから手がつけられない。尾道−今治ルートにしましても、御承知のように、離島がずっとあります。これを開発するにしても、やはりそのルート決定あるいは橋の着工という問題とのかね合いで開発がおくれている。ですから、将来橋がかかるとしても、そのかかる、かからないの方向がはっきりしないために、それぞれ、地元では多分に迷惑をしているといいますか、まごついているという面があると思うのです。  そこで、その議論は別にしまして、いま橋本大臣が、新全総の計画もあるのだから早くかけるべきだと。月並みな質問になりますけれども、新全総計画による目標年次、昭和六十年までに三本の橋をかけると、こういうことについては、両大臣とも、確約をしてよろしゅうございますか。
  50. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 建設省といたしましては、この三路線が六十年代に完成するという目標のもとにこの公団を設立し、かつ道路計画に入れるという方針をとっているのでございます。
  51. 二宮文造

    ○二宮文造君 六十年代ですか。六十年を目標年次にして三本のルートをかけるというのが新全総計画ですが。
  52. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 正確に申し上げますと六十年までで、六十年代というのは間違いでございます。六十年まで。
  53. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 建設大臣が言われたとおりでありますが、一応計画でありますから、財政上の問題もありますから、昭和六十年度を目途として、ちょうど二宮さんがおっしゃったとおり、そのとおりでけっこうであります。まででなくて、六十年度を目途としてわれわれは努力する、こういうことでございます。
  54. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほどは橋本大臣非常に積極的なお話で、それから根本大臣は主管大臣として非常に冷静な答弁をいただいた。今度は逆で、かけ合いやられているような感じがするのですが、まあそれはそれでいいでしょう。  それで、ただ、先ほど建設大臣が言われましたように、理論的には可能であっても、いざ実際となると、現実にいろいろな技術的な問題が出てくると、るる問題点をあげられました。ですが、先ほどの関係各団体の誘致費とか調査費が、表向きに出ただけでも七億四千万円と私指摘しました。そのほかに、建設省がいままでに約二十九億九千八百余万円、それから道路公団が四億五千万円、それから国鉄が二億七千九百万円ですか、それから鉄建公団が二十三億、合計六十億をこえる調査費を組まれて、今日まで、三ルート、ないしは、そのほかにB、Cという二ルートを加えて五ルート調査をされてきたわけです。いま焦点は、いわゆるAルートとDルートとEルートにしぼられてしまったわけですが、いままでの調査の結果、どういうことが浮き彫りにされてきたか。もちろんいままでに発表されておりますけれども、この際御説明をいただきたいわけですが、まず工期について短い分から並べていただきたいのです、三本のルートについて、年数と。
  55. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 工期につきましては、四十三年二月に発表いたしましたものによりますと、短いものから並べますと、Eルートの尾道−今治、これは、あとから、四十三年二月その後一般道路規格で再検討したのがございまして、これが八年でございます。Dルートの児島−坂出の道路橋の場合が十一年、併用橋の場合が十二年、Aルート神戸−鳴門間の道路橋の場合が十四年、併用橋の場合が十五年ということでございます。
  56. 二宮文造

    ○二宮文造君 次に工費の問題ですが、これも安いほうから順番に並べていただきたい。
  57. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) その当時発表いたしましたもので御説明いたしますと、一番安いものがEルートの尾道−今治の一般道路規格の四車線千四百七十八億でございます。その次がDルート児島−坂出の道路橋でございまして千八百三十三億円、その次がAルート神戸−鳴門の道路橋で二千五百二十一億円、次にDルート併用橋が二千五百五十一億円、一番高いのがAルート併用橋三千七百二十八億円でございます。
  58. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで建設大臣にお伺いしますが、Eルートは全国新幹線計画でもその線は入っておりません。しまして、結局Eルート道路橋という一本にしぼられているような感覚があるんですが、AルートないしDルートについては併用橋道路橋の問題どちらを中心にお考えになっていくんですか。   〔委員長退席、理事松本英一君着席〕
  59. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) いままでの関係方々調査と、それからいままでの鉄道関係の構想からいたしまして、いまの児島−坂出のほうは宇高連絡船がありますから、その意味でこれは鉄道橋と併用にする。それから明石−鳴門の線もこれは新全総においてもあそこに鉄道を敷くべきだというその構想も出ておるということでこれも併用橋にする。それからもう一つの一番東のほうは、これは一般国道として考えておる。これは一応のいままでの今日までの経緯からそういうふうになっているんでありますが、さらに公団ができましてから実施設計に入る段階になりまして、このままでいいかどうかということは再検討をしなければなりませんけれども、現在のところは大体そういう目標で今日までいま申し上げた工事期間並びに金額が算定されておるというわけでございます。
  60. 二宮文造

    ○二宮文造君 運輸大臣、ちょっといま鉄道の問題が出ましたけれども、明石−鳴門、神戸−鳴門ですね、Aルートのほうはいわゆるいま国鉄が路線を持っておりません。したがって新幹線計画であそこに線が一本入るようないまのお話もありましたけれども、あそこの児島−坂出ルート工事関係もありましょうけれども、あそこは在来鉄道路線としてお考えになるのか、あるいは新幹線網の一環としての児島−坂出ルートをお考えになっているのか、この点はいかがでしょうか。
  61. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 御承知とは存じますが、Aルート、いわゆる明石−鳴門線ですか、これは昭和二十八年にいまの鉄道敷設法の中で予定線の中に組み入れてあります。それからDルート高松−児島、これは昭和三十六年にやはりこれも鉄道敷設法の中で予定線に追加してあります。問題は新幹線をAルート考えておるのかどうかという問題でありましょうが、まだ新幹線網は今回の国会で皆さんの御審議を経ておることになっておりますのでその上で、従来は御承知のように附則としてルート決定しておったんですが、新幹線の場合はそのつど運輸大臣鉄道審議会にかけて決定をするということになっております。したがって、これらの技術的な問題が解決いたしますれば、この新幹線鉄道網の方針に従ってAルート新幹線ルートにしたい。そうしてDルート、これは一般の従来の鉄道でやっていきたい、かような方針で考えておるわけであります。問題は技術的な問題がありますので、ことにAルートの場合は技術的な問題がありますから、いま一応予定線に入っておりますけれども、今後新幹線を乗っける場合においては、なお技術的な開発の結果を見た上で正式に決定をしたい、かように考えております。
  62. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと私いままで従来の正式な御答弁になかったような答弁を、ちょっと大臣から伺ったわけですが、いまの答弁ですと、Aルート新幹線、Dルート児島−坂出は従来の鉄道路線にすると、こういうことをいままで考えておったと、こういうお話でありますけれども、いま審議されております全国新幹線ですね、あの中には明らかに岡山それから高松を経由して高知という新幹線が一本入っているわけです。それから一方では山陽線から鳴門へ出てそれから高松へ出て松山そして九州のほうへ抜ける線が一本入っているわけですが、この辺の考え方はどう理解すればよろしいでしょう。
  63. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) たぶん党のほうの、私のほうの自民党に鉄道の基本問題調査会がありますが、現在の立法をいたすまでの作業の過程で、さような一種の付表的なものの考え方がありまして、その中にはあったかと存じますが、もちろんこれらの新幹線鉄道網ができますにつきましては、それらは一つの重要な参考資料でありますが、しかし今回のいわゆる皆さんの手元で御審議を願う新幹線網については、この点を全部一応はずしてあります。そうして今後社会経済の発展等にかんがみて、いまから何十年先まで決定するのは非常な無理がありはしないかという意見も、最終的にこの法案を決定する際には党内にも私のほうにも意見がありまして、そこで作業の途中でつくりました一種の付表ですね、これは一応これからはずそうと、そこではずしまして、そして運輸大臣がこの計画を必要と認めた場合、これを鉄道審議会にかけてそうして決定をする。こういうことになっておりますので、今回皆さんの御審議を願っておるいわゆるこの新幹線鉄道網というものの中には、具体的にこれは入っておらないわけでございます。そうしてただいま申しましたようにいろんな旅客、もちろん新幹線は旅客だけとは限っておりませんけれども、しかし原則としては旅客を中心に考えております。在来線は主としていわゆる貨物を中心にして、もちろん旅客も運びますけれども、比重はさような考え方をいたしておりますので、そこでその面から言うなれば、いわゆるAルート新幹線を通して、そうして四国を縦断していくということのほうが将来開発のためにいいのではないか、かように現在は考えております。もちろん、これは公式決定ではありませんけれども、Aルート新幹線予定線に考え、そうしてDルートを在来線の予定線と考える。かような考え方で今後ともこれらの具体的な問題がきまる場合においては考えていきたいと、こういうふうに考えております。
  64. 二宮文造

    ○二宮文造君 それはそれでまた運輸委員会のほうで関係のほうから質疑をしたいと思います。時間がありませんので、大臣答弁聞きっぱなしということにいたしておきます。  それから、このルート決定するのにあたって非常に問題になるのは、経済効果、これはもうすでに昨年の秋ごろに発表になるような話も一時あったわけですが、新聞なんかをにぎわした問題でありますけれども、これは一体建設大臣、いつ発表になる予定なのか、これをお伺いしたい。
  65. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この経済効果の面は、私が就任する前に一応調査の基礎的なデータはできたそうでございます。ところが、御承知のようにこの経済効果なるものは、前提条件によってこれは変わるのでございます。そこで、それの解決のしかたについて、関係方面で必ずしも意見がなかなか一致しなかった点もあるようでございます。そういうときにあたってこの経済効果なるものができれば、直ちにこれでもうすべてがきまるんだという印象を与えると、非常なこれはむしろ国民に混迷を来たさせるじゃないかということで、私は一時これについてはよほどの前提条件をつけないと、かえって混迷するだろうということを言っておったのでございます。しかしそれにもかかわらず衆議院の建設委員会等で、それはそれでいいから、前提をつけて、これは調査した時点におけるかくかくの条件のときには、こういう経済調査の一応の取りまとめはこうなっておるという前提でいいから出してほしいという要望がございました。それでその旨を事務当局に命じまして関係事務当局間でその点の前文と申しますか、前提条件についての意識の統一をはかりまして、これは今国会中ということで私は約束したので、急がせましておりまして、それに間に合わせなきゃならぬということで督促しておりまするが、事務当局からどの程度までいまなっているか、御説明をさせます。
  66. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) いま大臣の御答弁のように、いま非常に経済調査を急がせてまとめておる次第でございます。経済調査の内容の項目でございますが、いろいろ新しく開発しました計量モデルで電算機を使いまして相当長い期間かけてやったわけでございまして、それによりまして出てきました結果につきましては、四国その他の周辺で国民所得がどれだけふえるかという計量をしております。これはもうできております。  もう一つは、それに伴いましてどれだけの費用を投じてどのぐらいのそういう国民所得が上がるか、これの関係で費用と便益の経済効果と申しますか、こういうものもそれで出ております。やはり問題は、ルートの採算性の問題でございまして、これが非常に、有料道路として料金をどのくらいにするか、併用橋の場合に料金をどのくらいに見るか、これによって非常に変わってまいりまして、採算の問題いま非常に苦慮しておる状況でございます。衆議院の建設委員会審議の状況もございまして、この国会の最後には何とか間に合わしたいということで、いま作業を進めておる次第でございます。
  67. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ちょっと委員長。間違っているわけじゃありません、私、答弁が。ただ、新幹線とか在来線のこと非常にこだわられておるようでありますから、その点ちょっと補足しますというと、新幹線、たとえば山陽新幹線、東海道新幹線、ああいうものが通っておりますと、それは在来線の計画にもう一本レールを入れればいいのですね。ですから、一応は、とりあえずは新幹線をAルート考えておると申しましたが、将来の経済発展においてはレール一本入れればいいわけですからつながる、新幹線が通っているんだから。たとえば今度の関門トンネルの場合も、一応在来線的なものとしてトンネル計画しております。しかし新幹線の車が入るだけの幅があれば、あとレールを一本入れればいいので、ただ将来非常にふくそうすれば、もう一つトンネルつくる必要がありましょうけれども、やはり三十年や四十年の間に、そう二本トンネル関門につくる必要がないということであれば、そこヘレールを一本引いて片方を乗っければいいわけですから、そうかた苦しく、これは永久に新幹線併用橋である、これは在来線の併用橋である、こうお考えにならないでも、新幹線が通りましても、併用橋としまして一般の列車が通りましても、構造の上には全く変わりはない、強度の問題については全く変わりがないので、その点はもう一度補足説明いたしておきます。
  68. 二宮文造

    ○二宮文造君 あまり詰めないことにします、この問題は。  それから、もう時間がありませんので、ちょっと、そのほかのことをお伺いするのをやめて、ポイントだけ二点、三点ほどお伺いしたいのですが、公団の出資の問題ですが、関係地方公共団体としていま八団体ということを言われておりますが、いわゆる兵庫徳島、それから岡山、香川、それから広島、それから愛媛と高知が入って、神戸が入っている。この八団体と言われておりますが、これで大体二億円の出資をまかなわれるわけでしょうか。その点ちょっと。
  69. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは実は国会終わりまして、早急に関係の団体と詰めたいということでございまして、いまの八団体、市を入れまして。そのほかにやはり非常に受益を考えられます大阪市、大阪府の問題をこれからの検討の事項にしたいという考えでございます。
  70. 二宮文造

    ○二宮文造君 その場合に、出資の割合というのはルート別に均等になるのでしょうか。それとも公共団体の規模によってとか、何かほかのものさしで出資のワクをおきめになるお考えでしょうか、その点はどうですか。
  71. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは非常に私たちもむずかしい問題だと思っております。実は出資団体をきめまして、出資団体のいろいろ意向も参酌しなければならないと思います。また地方行政の立場からいいまして、自治省、財政当局の大蔵省その他とも打ち合わせをしなきゃいかぬと思います。ただ私たち非常にいま考えておりますことは、いわゆる調査の段階、各ルート共通的な技術の開発、機械の開発の問題、そういう時期と、おのおの各県、三ルート建設に入って、建設費の一部としての出資、この段階とは少し変えるべきではないかというように考えております。その辺は今後非常に重大な問題でございますので、出資団体がきまりますれば、それで十分協議の上、比率をきめていきたいというふうに考えております。ただ大阪市、大阪府が入りますと、大阪市、府はある特定のルートだけに出資をするということにはならないのじゃないかということもございまして、そういう場合にどういうような分け方をするかということを、あわせて十分検討してきめてまいりたいと思います。
  72. 二宮文造

    ○二宮文造君 いや私が伺っているのは、当面、公団は七月一日に発足するわけでしょう。その発足の当初、やはりその関係団体の出資というものは、政府の二億円出資ということはもう明確になっているわけです。同じように同額を関係団体が出資するということになって、まだいまだに青写真が、どういう出資をするかという、発足の当初の出資をどうするかということが、いまだにそういう答弁だと、いわゆる公団の性格というもの自体、私心配になってくるのですが、発足の当初もまだきまっていないのですか。
  73. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 私が言いましたのは、やはりこれから関係公共団体の出資をどうしていくか、非常に先まで考えた問題でございまして、ことしにつきましては、いまの予算上では地方の公共団体の出資として二億を予定しております。ことしについてはもし八県市、その他に大阪市、大阪府が入りますれば、ことしはとりあえず平等でいきたいと思います。ただ将来の問題といたしますと、やはり先ほど言いましたことをよほど慎重に検討して、出資の比率をきめていかなければならぬという考えを持っております。
  74. 二宮文造

    ○二宮文造君 くどいようですが、平等ということは十で割るということですね、ルートの平等じゃないですね。
  75. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 将来の問題としては……発足のときは出資団体が十でございますれば十分の一ということで出発したいと考えます。
  76. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから法案の中にありますけれども、管理委員地方公共団体の長が推薦した者三名、こうなっておりますが、これはルート別に一名と考えているんでしょうか、それともそうではなくて別途考え方の基準があるんでしょうか。
  77. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これにつきまして私どもの考えといたしますと、やはり各ルートともルートごとにいろいろ特徴がございますので、そういうものの意見を代表するものとして各ルートごとに一人ずつということが妥当ではないか、と考えております。
  78. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから大臣にお伺いしますけれども、技術開発の問題が一点あるわけですが、そのほかに地元の受け入れ態勢ということを盛んに強調されております。受け入れ態勢、協力態勢、これは一体大臣のそういうお話地元側はどう受け取ったらいいだろうか、いわゆる用地の先行投資にしても、これが五年とか七年とかいう目先の問題ですとそれはそれなりに考え方があるのですが、十五年、二十年ということになってきますとそれだけでまいっちゃうわけです。   〔理事松本英一君退席、理事大森久司君着席〕 それからまた財政の都合で、そのつもりで先行投資したのがとうとうアウトになってしまったということになると、ますます大問題であります。地元の受け入れ態勢というものを、大臣は何を地元に要望されるのか、この点を少し具体的にお話していただきたいと思うのですが。
  79. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 地元の受け入れ態勢の一番私が実質上考えていただきたいのは、漁業補償の問題、それから航行、運航のための地元の協力、これがないとたとえいかに技開術発ができましても実質上これは動かなくなり、工事着工ができないということになります。その次がいまの、今後いますぐではございませんが、その出資の問題と、それから今度は公団債を出す場合、どの程度までこれは、すぐに引き受けなくてもいいが、どの程度まで引き受ける受け入れ態勢ができているかということが、やはり一つの大きな受け入れ態勢になります。それからもう一つは、路線が実施設計に入ってから、今度の基本計画がきまりますれば、それぞれ土地の先行取得、こういうことに対する協力がどの程度までいけるか、こういう点が私が申し上げておる受け入れ態勢と申し上げておる次第でございます。
  80. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから海運局長にお伺いしたい。御承知のように瀬戸内海はもういわゆる海運業者が錯綜しております。御承知のようにフェリー業者も相当数、それこそもう海の銀座のようにフェリー業者が錯綜しております。この場合、連絡橋ができた場合に、そういう海上運送業者、これ私ことばの言い方が悪いかもしれませんが、それからまたフェリー業者ですね、含めて、やはり補償というものを頭の中に考えなければいけないのでしょうか、どうでしょうか。
  81. 須賀貞之助

    説明員須賀貞之助君) 先生のお話しのように、瀬戸内海はわが国の海運の本場でございまして、たとえばフェリーボートを例にとりますと、全国の約七割を占めます九十六航路が瀬戸内海にあるわけでございます。ただこの三本の架橋関係があります四国から本土に直接に渡る、こういうフェリーボートはそのうちの二十一航路でございます。これが関係があると考えられる航路の数でございますが、架橋ができた場合に、これについて補償を考えるかどうかと、こういう御質問かと思いますが、現在の法体系におきましては、御承知のように、私鉄の横に国鉄ができた場合、そのために非常に減収になった、あるいはその極に達して廃止のやむなきに至った、こういうような場合にはこれを国あるいは国鉄が補償するという規定はあるわけであります。またそれと同じように民間のバスが走っているところに国鉄のバス等が敷かれましてそれと同じような状態になったという場合におきまして、これについての補償の規定もあるわけでございます。これは地方鉄道整備法あるいは道路運送法の規定によって定められておるわけでございます。これらいずれも同種類の自動車に対する国の自動車、あるいは鉄道に対する国の鉄道、こういった関係の同種類のものについての補償を規定したものでございまして、船に対して道路架橋というようなことについての規定というものは現在二種類のものについてはないわけでございまして、現在の法制ではこれはできないということになっておるわけでございます。
  82. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、多度津−日比ですか、つい昨年ですか航路の免許がありましたね、あれ何会社でしたか。   〔理事大森久司君退席、理事松本英一君着席〕
  83. 須賀貞之助

    説明員須賀貞之助君) 瀬戸内海汽船でございます。
  84. 二宮文造

    ○二宮文造君 その瀬戸内海汽船が航路の免許を受けるに当たって、将来架橋になっても補償を要求しないという念書を四国海運局がお取りになっおりますが、これは何のためにそういう保証をお取りにならなければいかぬのでしょうか。
  85. 須賀貞之助

    説明員須賀貞之助君) この問題について補償すべきかどうかという問題は、非常に問題の多いところでございますが、業界からこの話が出る相当前から、九州におきましても、橋じゃなくて道路そのものが沿岸沿いで非常によくなるために旅客船業者が減収になるというようなことで、この架橋の話が出る前から相当補償の話がやかましかったわけでございますが、現在この四国との架橋の話が出まして、特に陳情があるわけでございますので、問題はありますが、とにかく補償という問題については考えない、いまから、とにかく架橋ができるということにきまりつつある段階において申請するものについては、補償はもちろん目当てではないだろうなと、こういう念を押す意味におきましてとったわけでございまして、それから、将来永久に続けるというつもりかどうかと、需要があるのだということの証左のためにも、そういう証書をとったわけでございます。
  86. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣ちょっと中座されておりましたけれども、連絡橋ができた場合に、従来のフェリー業者ならフェリー業者でけっこうですが、フェリー業者に対して補償が必要なのかどうかということを、いま参事官にお伺いしました。本質的にはその補償の対象にはならないと、こういうようなお話でありました。ですが、新しく免許を受けた一つの会社が、橋ができても補償を要求しませんという念書を海運局でおとりになっているということは、それ以前の業者にはある程度の補償を要求できるんだなという事実関係を明らかにしたことになるんじゃないかと私思いますが、橋の問題、橋ができた場合のフェリー業者に対する補償の問題について、大臣のお考えを伺ってきょうのところはこれで終わりにしておきたいと思います。申し合わせの時間がきましたので……。
  87. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 実は最近カーフェリ等が非常に要望が強うございまして、新規に許可をすることのほうがものの融通の上においてよろしいということから、会社がしっかりしておるものに対してはこれを許可しております。ただ一般通念として、何かそういうような、架橋のようなものができた場合に、従来ややもすればいわゆるそれがために損害を受けたということで補償を要求するようなきらいがあるわけであります。しかし本来の性質から言えば、政府委員のほうから答弁しましたように補償する義務はない。しかし今回の場合においてなぜそんな補償ということばをとったのかというなれば、逆に言えばこういうものに対しては原則としては補償の筋合いはないんだということを逆に明記したということで、二宮さんおっしゃるように過去のものに対しては補償の責任があるということじゃなくて、この種のことについては、いわゆる原則としては補償の責任はないんだという意味を明らかにしたものであります。今後そういう問題が出てまいった場合には、いろいろ法令等を十分に、あるいは慣例等も調査の上でなければ、どうすべきかという問題はきまりませんけれども、本来の性格からいうならば、こういう架橋ができたからといって補償する必要はないというたてまえになっております。
  88. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 この問題については、過去の十数年からの問題でございますし、相当各自治体においても陳情その他で非常に県民が多額の金を消費している。こういうことについてはいろいろ指摘がございましたので、私はその点はもう再度繰り返しませんが、運輸大臣にお聞きしたいのですが、この鉄道併用橋という問題ですが、運輸大臣は海運にも関係しておられますから、実際問題として併用橋というものがいま直ちに必要なのかどうかという面で、私は多少疑問を感ずるわけです。と申しますのは、現在の四国の県民は約四百万人、その過去の統計等から見ましても、非常に輸送面に対する問題が限定されておると、こう思んです。むろん六十年までにそういう計画をお立てになるのでありますから、人口が五、六十万ふえるということも見込まなくちゃいかぬと思います。さらにまた産業開発もできるということも、これは当然見込まなくちゃいかぬと思うんです。しかし過去においてあまりにも長く夢のかけ橋が流布されて以来今日に及んでいる現状から考えてみると、十五年間にこれから三橋の連絡をつくるということでなしに、最も現在必要なものは何かという点が、各大臣にはなければいかぬのではないかということを私は痛切に感ずるわけです。そこで先ほど海運の問題も出ましたが、実際問題としてこの鉄道との併用橋という問題になって、採算的に合わないものをおつくりになるとは思いませんけれども、今日の鉄道の状態から見て、実際にそれが可能なのかどうかという点はどうなってお考えになっているのか。なおまた基本的にこの九州とも、いわゆる大臣の最初主張されましたように、本土と変わらない、いわゆるすべてが陸地帯で本土と同一であるというような立場に立ってお考えになるのか、産業開発だけにウェートを置くのか、そういう考え方で非常に変わってくると思うんです、この問題は。それをどうお考えになっておるのか、この点お聞きしておきたいと思います。
  89. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 御承知のように、これは三年、五年ででき上がる橋ではありませんので、先ほど建設大臣からも答弁がありましたように、昭和六十年度を目途として完成さしたいと、十五年先ということになります。近くとも十五年先ということですから、したがってこの間においていわゆる新全総等ではじき出しております交通量といいますか、まあ交通という面から考えましても、この間の増大は五倍ないし六倍と見ております。交通量五倍ないし六倍、貨物はもっと多くなっておそらく十倍前後になるんじゃないか、こういう点から見ますと、現在ですらも瀬戸内海のいわゆる海上交通というものはまあまあ満腹に近い。へたをすれば非常な海上交通事故を起こす危険があるぐらいに非常にふくそうしております。こういう点から考えると、将来の四国の総合開発というものも考える、そうした観点から言いますというと、私は十年ないし十五年将来を考えるというと、とうていいまのこの海上交通をもって貨物を運ぶあるいは人間を運ぶということは不可能に近いのじゃないか。それは四国をいつまでも孤島にしておくという考えなら別でありますけれども、そうでない限りは、当然日本の全体の総合開発を目ざす以上は、四国のいわゆる将来の人口というものも私は急増してくるのではなかろうか。御承知のようにいわゆる東海道ベルト地帯と言っておりますが、この地帯はもう大体において相当に窮屈になりつつある。人口の集まり方も集中の度が相当高度になっております。これらの集中は逆に他に分散をしなければならぬ。工場がそうであります。あるいは港ももちろんそうなってくる。そういうことを考えますと、どうしても併用橋として鉄道をこれにつけなければ、貨物のいわゆる融通の上においても人間の交通の面からいっても行き詰まるのじゃないか、こういう意味で併用橋はやはり一つの絶対条件である、こういうように考えております。
  90. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 なるほど人口が増加して、そうして輸送面に対する今後の開発をしなくちゃいかぬという点では、理解ができるわけです。そうしますと、私はちょっと調べてみたんですが、三十五年からみて四十三年までの全国の、各県別の輸出の平均が、パーセンテージでいいますと二・四一です。ところが徳島が一・八四です。並びに高知が一・一七です。こういう状態でいま産業的に考えてみれば、愛媛がやっぱり出荷としては一番多いです。その次に香川です。これは産業を中心に考えたときにですね。しかし、私はここで国鉄の問題で大臣にお聞きしたいのは、これも調査してみましたが、これは四十二年の一年間の調査ですが、大体国鉄の乗客が貨物あるいは旅客と区別してみますと、約三〇%の人が国鉄に乗っております。民間航路のこれで二九%、フェリーでやっておる人が三七%、航空機で約四%、こういう現実なのであります。なお貨物についてはこれは国鉄はどうもいま便利が悪いですから、少ないと思いますけれども、七・三%、民間航路の船でやるのが八四・三%、フェリーで八・四%、あるいは航空機も含めておりますが、こういうふうに考えてみますと、旅客の面からも貨物の輸送の面からも、非常に国鉄が少ない。そのことは旅客の場合は現在の実情では連絡船で通わなくちゃいかぬという観点が出てきますから、これは多少ふえるかもしれません。けれども、貨物その他の輸送についてはもっと道路の開発ができ、かつまたこの輸送のコストの面からいっても自動車のほうが便利だということになれば、むしろ高いコストよりも安いほうに産業としてはどうしたって、コストの面から見て、いくことは当然のことであります。こういう面から見て、いまさしあたり国鉄自体が一体それだけの多額の経費をつぎ込んで採算的に合うような、しかも将来性のある見通しのもとにこの架橋併用の行き方がいいのか悪いのか、こういう点をこれは電子計算機があるのですから、いろいろ計算をしてみるでしょうけれども、現実をとらえた場合、しかも国鉄が多くの赤字をかかえておることは御承知のとおり。この二、三日前も放送をいたしておりましたが、五千四百億からの赤字をかかえておる。こういう事態から見て、実際に将来性があるのかないのかというような面で非常にわれわれしろうとが見て疑問視せざるを得ないんです。それよりもむしろまず第一段階として、本土と四国との間の経済面からいく道路がまず必要ではないか、あるいは四国の立場をとるならばこの徳島あるいは高知という後進県、ここにウエートを置いた開発をしてやるべきじゃないか、こういうことが理論的にも数字的にも私は言えるんじゃないかと思うんです。どちらにウエートを置くかによって先ほども申しましたように、非常に変わってくるんですね。そのウエートの置き方をやっぱり明らかにしていくほうがこれは正しいのではないかと、こういうふうに考えております。  なお、私は、数字的に申し上げますと、県民所得も非常に差がございます。県民所得で申しますと、これは徳島が二十二万八千円です。それから香川が二十七万五千円、愛媛が四十二万一千円、高知が二十二万九千円、これは国民経済所得白書の中で私は拾った数字でありますが、こういうふうに県民所得の少ない地域にいまあたたかい手を伸ばしてやるべきだ、こういうふうに考えていくのが正しいのではないかと私は思うんです。しかも土地から考えてみても相当の広い広域を持っております、高知にしましても。こういう点をどちらへウエートを置かれるのかによって、単にその鉄道とこの併用橋をつくるということを考えていくのが将来のためになるのか、どういうふうにお考えになっておるのか。その点をひとつお聞かせを願います。
  91. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) いま数字の点ただいま高山さんがおっしゃったとおりであります。そこでその数字に関しまして私のほうから御説明申し上げますと、国鉄はなるほど全体の貨物の点でいいまして七・三%であります。民間航路、いわゆる船によっての貨物輸送が八四・三%であります。そしてフェリーボートでトラック等を運ぶものこれは八・四%、国鉄と同じような状態でございます。先ほど申しましたように昭和六十年、新全総にいうところの交通量の拡張というものが六倍前後もしくは十倍前後になる、こういう点から考えますというと、何としてもこれは他の貨物を運ぶ手段を考えなければならない方法として、いまこの数字で申し上げましたように、いわゆるまた民間の貨物船によって動く貨物量は三千九百六十八万一千トン、全体の八四・三%であります。これがいま貨物船で運ばれている。したがって、ここも六倍とか十倍というような貨物量が増大する、十五年後には。そういう場合になりますというと、これを運ぶためにはその六倍のもし鉄道等が使われなければ、それだけの貨物船なりフェリーボートを考えなければならぬということになりますね。ということは、いまでも瀬戸内海というものは海上交通の上から危険である。最も海上事故の多発地帯であります。こういう点から考えましても、これら増大していくだろう現状を、大体これはある程度開発を含めての将来の数字ではありますけれども、考えますというと、何といってもこれは大量輸送はもちろん船にもよりますけれども、鉄道を利用せざるを得ないということでありますね。でありますから、貨物の上から考えても、どうしても鉄道併用橋が必要です。人間の点におきましても現在は国鉄が運んでいるものは全体の三〇%、そして自動車の乗っかっているフェリーボート、これが三七%であります。もちろんこれは三七%のフェリーボートでいわゆる普通の自動車が運ばれるやつは、これは道路橋を使うということに大部分なりましょう。しかしながら将来の増大量から見れば必ずフェリーボートが要らなくなるというわけではないと思います。しかし大部分はこれは便利ですから道路を走ったほうが、おそらくこれは影響を受けると思います。また民間の客船で運んでいるものが二九%あります。これらも時間の関係から見ましても鉄道に移り得る可能性がある、先ほど県民の所得が低いという点、これは地方に置かれた大きな条件がありますね、何といっても。たとえば東名道路ができる直前までは厚木あたりは坪五千円にすぎなかった。今回東名道路が開通した三年後にはすでに五万円ないし十万円という価格の相場ができておる。こういうことによって経済の発展の発生源というものができてくるんじゃないか。そういうことによってやはり四国の将来を考えるというと、当然鉄道というものがあって、そうしてそこに経済発展の発生源が生まれてくる。ことに将来そういうことのために相当重要港湾が考えられるとすれば、それはまたそこに発生源が出てくるわけであります。たとえば私のところでありますが、鹿島という所は郡全体の人口を合わせましても十七、八万にすぎない。それが今度鹿島港が開発されまして昭和五十年には人口四十万前後になる。こういう発生源ができますというと、非常に変わった現象が出てまいる。こういう意味においてやはり発生源——経済発展の原因ともなるべき鉄道なり港湾なりというものを考えていくならば、当然このような数字とは変わった数字が出てくるのみならず、私は国鉄としても必ずしも——そういう御心配を願うのはありがたいのでございますが、国鉄財政を御心配くださって心から感謝にたえませんけれども、ある意味においては国鉄の経済再建の上にも私は将来プラスになる要素であろう、かように考えております。
  92. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大臣おっしゃるように、現実を見れば、これはもう現在の輸送の問題からいっても民間で二百八——これは高松宇野ですよ。さらに法人なども九つのなにがあります。しかし二百八という膨大な輸送力をここで持っているわけです。それが必要だと私も思いますよ。けれども将来を考えた場合、しからば水のかげんはどうなるのかといったら、徳島の吉野川しかないじゃありませんか。四国の全体の水をまかなうとしたらその水源はそれしかない、実際問題は水のないところに産業は発展しませんよ。だから十五年先の問題を私はここで論じて、またもう一ぺんこういう問題に触れて話す機会があるでしょう。五年先なりそれは当然お考えにならなくちゃいかぬことでしょう。さしあたりどういうことをお考えになっているかという点から考えてみると、何に基点を置かれるのか。たとえば、産業都市とするならば、水を必要とするならば、何といっても徳島の吉野川を中心として開発せざるを得ないでしょう。けれども現実をとらえて言うならば、香川、岡山のこの現実の輸送力から言うならば、早急に交通対策の一環としても、おっしゃるように鉄道併用橋というのが必要になる。こういう点を私はどちらにウエートを置いて今後やろうとおっしゃるのか、ここらがはっきりしないと、これはわれわれしろうとでも全く、この三架橋を大体目標に置いておると建設大臣は言っておるけれども、大体架橋はできたわ、さあ水の資源は十分でないわ、輸送力はたいして伸びないわ、こういう問題をわれわれしろうとが考えてもできると思うわけですよ。だがしかし、さしあたりいま一つの夢の橋をかけるという政府は大きく宣伝されたのでありますから、どこかに早くこたえてやりたい、やるべきだ、それが政府としても大きな責任があるということを痛感するのです。さしあたりかけなくちゃいかぬという点を、一体将来の産業開発地域を目標にするのか、それとも本土と四国はもう一体のものにしていきたい、大体三つのこの連絡ができれば、あるいはそういうことになるでしょう。それはそのために急ぐとするならば九州からももっと便利のいい西のほうにやったほうが、尾道にやったほうがいい、こういう結論も出ると思うのです。大臣一体どこに重点を置いてますかけたらいいとお考えになっておるのか。これは建設大臣もひとつどこを先にやろうとお考えになっておるのか。
  93. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 前に建設大臣から答弁がありましたから、重ねて私のほうから申し上げる必要もないと思いますが、この公団がいわゆるいろいろの調査を行なうわけです。技術開発の調査、その他経済調査もあらためて本格的にやるわけですから、それによって三ルート技術的にどこから始めるかという問題は、公団が決定されてその結果を待つことになると思います。大体いまおっしゃったように、長い目で見ればこれは三ルートとも完成させなければ、ならぬことは高山さんもお認めでありますから、この点には触れません。  水の問題は、これも建設大臣の所管でありますが、吉野川の上流において大きなダムを現在つくっておるわけであります。やはり将来の四国の工業開発ということを前提にして大規模の一級のダムがつくられておる。こういう意味で四国の工業開発も念頭に置きながら建設省としては全国的な開発を考えておる。これは私がちょうど大臣の当時に考えたのでありますから、ついでに答弁したのでありますが、建設大臣からもこれらに関連して答弁があろうと思います。
  94. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) いろいろと高山さんから御指摘がございました点は、十分これは考慮してやるべきことでございます。膨大なる国費をもってやることであり、かつまた御承知のようにちょうど六十年のころには現在の五道、これが七道になって要求されてきておる。東京湾岸道路というふうに社会資本の充実は、この本四沿線のみならず全国的に社会資本充実のある意味においてピークの時期にさしかかると見なければならぬと思います。そういう点を踏まえまして、実は御承知のように日本経済の発展状況を、現在のいわゆる数量経済学的に見通した点から考えるならば、十分にこれはやれるという想定のもとにこれが実は出発しているのでございます。がしかし、今度は、現実に三ルート同時着工ということは前から言われていることでありまするから、これはそれとして、実施設計、それから技術開発、これはそのことが一つの同時着工とわれわれは見ておるのでございます。しかし今度現実にやるとすれば受け入れ態勢——この受け入れ態勢の内容についても申し上げました。これと今度は資金計画等、これから実質上今度は着工の時期が若干ズレることは事実だと思います。そのときにあたりましては、これは何回も御説明申し上げましたように、陳情とかそういうことでやることではなくして、技術上の裏づけと、それからいわゆる総合的に見た開発利益、それからベイラインにどっちが早くいけるかということも考えなければならないと思います。そうした点を含めてやることでございまして、いまからどの路線からやるということになると、これはかえって混乱を来たし、そうして必ずしもいまの時点でそれをきめるということは非常に無理が出てくるというような感じがしまするので、あとは客観的な事実の積み上げの上判定をいたしたいと考えておる次第でございます。
  95. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 時間がありませんから、これは建設大臣にお聞きしたいのですけれども、架橋の問題もそれはさることながら重要な問題には間違いありません。けれども四国自体は実際の問題、道路開発がまだ未開発地域ですね。現在できておりますのは十一号、三十二号、三十三号、五十五、五十六です。その中で現在完成しておりますのは十一と三十二と三十三なんです。あとはまだ十分なる、いま七〇%ないし六〇%程度の完成しかいたしておりません。縦貫道路予定徳島から大洲までの予定路線が定められておるだけで、あとはまだ未解決です。これができてきますと、ほんとうに四国自体がまた変わると思うのですよ。それをおくれておるのに橋だけをいま調査——これは調査するのが悪いとは私言いません。賛成ですから、やらなければいかぬと思いますが、これをまず建設省としては先にやっぱりこの未定地域考えて、そうして地域の実態をよく見た上で、これはほんとうは本土と結ぶのが四国全体のためになると思うのです。そういうものもまだ出ていない。縦貫道路としてやるならば、もっと基本的な計画を早くきめて、どこを一体通せばいいのか、どうすればいいのか、それに肋骨道路ができて、初めて四国の、一体その連絡橋というものをどうしたらいいのかというのが完全にできてこそ、これは地域開発のための道路であり、連絡橋であると私は思うのです。そういう点をやらずして、おくれているのにかかわらず、いま連絡橋などに三カ所をやるという、予定はよろしい。よろしいが、まず四国全体の問題を考えるならば急ぐべきだと思いますが、それどうお考えになりますか。
  96. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のとおりです。その意味で、今度の新五カ年計画に全部入れるわけにはいきませんでしたが、六十年度までにはこの四国全体の道路網をこの架橋ができると同時にそれができておるというように計画を進めるべきだということを、私は事務当局に指示しておるのでございます。そうでありませんと、一兆円に及ぶところの投資ができて、それは単なるパイプがついて、あとは、下のほうは全然通じないということになったら、これはたいへんなことでございます。その意味で、その点は従来のこの五カ年計画の段階ではこれはとても消化しきれません。それでこの新しい五カ年計画ですでにその第一歩を踏み出させまして、次の段階においては六十年度までにこれをやってしまうということを実は考えておるのでございます。なおまた、これはすでに高山さんも御承知のとおり、その当時になりますれば、私は瀬戸内海というものは現実にこの海上輸送は不可能な状況になっておる時代だと思うのです。そうしますと、瀬戸内海に配置しておるところの産業というものは現在のような経済的な効果はなくなって、さらにタンカーが非常に大型化してきますと、おそらく高知あるいは徳島あたりが一つのこれは輸送の基地になると思うのです。そういうふうになった場合におけるこの四国経済的価値というものは、現在はわずか人口の四%ではあるけれども、経済的には非常に大きな——、いまの中国と近畿とを合わせた表玄関は大阪でもなくなり、広島でもなくなって、私は四国の一番太平洋に面したところが、日本の大きな玄関筋になるというふうにすら思われるのでございます。それほど私は四国というものは単なる四国ではなくして、近畿と中国とを合わせた大きな産業の関係の新しい立地条件を備えたところになるのではないかと考えるので、御指摘の点は十分にいまから配慮いたしまして、この架橋が完成したときには、全部この道路網が四国に配置されるということをいまから研究しておくべきだと思って、すでに事務当局にはその点は命じている次第でございます。
  97. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 建設大臣ね、私が申し上げておるのはその逆なんです。もう少し四国道路網を先にやるべきだ。縦貫道路を先に早く計画を立てて目標を立てるべきだ。そして将来の発展という、運輸大臣もおっしゃっていますから、それはもうさからう余地はございません。反対する余地はございませんよ。発展するかしないかが問題であって、これからの将来を考えてごらんなさい。四国は、しからば産業都市とするのか、一部には観光都市にするのかという点も残ると思うのです、私は。日本の一億国民の中で三千万の労働者がおりますが、これから週休二日制になってごらんなさい。何も商業都市の東京、大阪を結んでおる新幹線に乗らなくとも、むしろ船でゆっくり行ってきたい、こういう環境に人間は変わるのですよ。そういうことを考えてみると、産業本位だけのこれからの開発をすべきではないという結論が生まれるわけです。だからむしろいまの段階では四国を中心とする縦貫道路網の計画を早く立てて、そうして肋骨道路によって地域開発をまずやり、そうして本州と結ぶ、こういう計画をやるべきではありませんか、これを私は主張したいのですがね、並行ではだめですよ。
  98. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) その点は必ずしも私、いまここでそのとおりだとは言えないのです。というのは道路ができてもいまのような産業分布では、四国はやはり本土と結びつかないところにおいて、非常にウィークポイントがあるのでございます。でありますから、本州と結びつくという時期に、いま高山さんが御指摘になったようなものも、受け入れ態勢ができればちょうどいいじゃないか。先にやっても、本土との架橋で連絡しなければ、現在でもフェリーなりあるいは船では結んでおるという状況から見ますれば、私はやはり並行でいいではないかという気はしておるのでありますが、せっかくの御提言でございますから、さらに一そう検討いたしまして慎重に進めてまいりたいと思います。
  99. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 終わります。
  100. 春日正一

    ○春日正一君 橋をかけること自体私は反対しない、これははっきり言っておきます。しかし三本のルートをどうかけるかでやはりいろいろ問題が出てくると思います。そこでこの三本のルートをかけるのに、先ほどのお話では一兆円前後かかるだろうということであったのですけれども、この財源をどう確保するかという点では、どういうようにお考えですか。
  101. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 財源の確保については、これは今後の一つの大きな問題だと思います。現在私たちの構想の中にありますのは、やはり相当民間の資金の活用をはからなければならない、民間の資金の借り入れをやっていきたい。しかし、これだけではとうてい建設費を全部まかなうわけにはいきませんので、国の財政投融資の資金、こういうものを相当入れるということが必要になろうかと思います。その際にこれは新しい五カ年計画の問題の一つの財源的な大きな問題でございますが、有料道路のような事業を遂行いたします財政投融資の資金、これは必ずしもいまの現状では十分でございませんので、何らかの財源対策というものを今後四十六年度の予算編成をめど検討いたしたいというように考えております。
  102. 春日正一

    ○春日正一君 全体としての資金計画はきまっていないというように聞いておりますけれども、大蔵省なんかでは国の出資が一、財投が四、地方出資が一、それから民間融資が四というような割りに考えておるということですけれども、この点についてはどうなんですか、建設省としては。
  103. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ただいま先生おっしゃいました財投四、民間借り入れ四というような一つの案があることは事実でございます。ただし私いま考えますのは、全体の事業が本格化いたしますのはまだ数年先でございまして、その三本の橋が全部かかりますのは昭和六十年くらいを予定しております。その間において国の財投資金のふえ方、民間資金がどれだけ調達できるかという問題は、これはいますぐに予測するわけにはいきませんので、その辺はやはり財投資金と民間資金の問題をもう少し弾力的に考えて資金の調達をはかるべきだというように考えております。
  104. 春日正一

    ○春日正一君 この橋は先ほど来の議論でもはっきりしているように、国家的な事業ですし、地方の事業というものではないと思います。先ほど橋本運輸大臣は、まあいまの日本経済力からいえば、一兆円くらいはと 確かにそうだと思います。日本経済力から言って、十年、十五年の間に一兆円くらいの事業というようなことは、決して無理な仕事とかそういうことじゃないと思いますけれども、しかし負担する地方団体ということになれば、香川県、徳島県、先ほど高山委員も言われたように、人口も少ない、産業的にもわりあいおくれたところが多いというようなことになれば、この負担いかんということで、地方財政を圧迫するというような面も出てくるだろうし、あるいは民間資金を大きく導入すれば、どうしても利息が高くなって通行料もよけいとらなければならぬというようなことになって、そこにいろいろマイナスの効果というものが出てくるわけですから、そういう意味でやはり国の出資あるいは財投というようなものをできるだけ多くすべきじゃないかというふうに考えますけれども、その点大臣どうお考えですか。
  105. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先般来いつも問題になっておるのは、道路は無料公開が原則である。それなのに有料道路が少し多過ぎる。その論法からすれば、いま春日さんの言われたとおりです。が、それにもかかわらず、現在いずれの地方においても有料でもいいから、とにかく早く道路をつくれということが言われているゆえんのものは、若干の負担をしてもやはり道路整備することによってプラスの面がより多く期待されるというところに、私は意味があると思うのでございます。で、そういう点からいたしまして、地元がどの程度のいわゆる民間資金をこれに公団債として協力し得るものかということは、いまの段階ですべてを固定的に考えることはできないと思うのです。その意味で、これは公団が地元の情勢を聞きつつ、資金計画もこれは流動的に考えるつもりでございます。少なくともあそこの道路をつくったために、一般の高速自動車道路、有料道路からかけ離れて高いというものにはこれはできるはずはございません。大体似たようなところでペイするというようにしなきゃならぬと思います。そうなりますれば、民間の資金の受け入れ態勢とそれから建築費償還年限とをあわせてどの程度のものがこれは適当かということが一応概定される。それに対して、いま大蔵省が出資一それから財投四というものも、やはり弾力的に考えなきゃならないと思う次第でございます。しかし現在のところは、大体のところはいまお示しになったようなことでいけそうではなかろうかというのが、現在の一応の試算でございます。
  106. 春日正一

    ○春日正一君 金を出しても道路がほしい、そういう面もあると思うのです。ただ問題は、そういう道路ができて百人が百人全部が同じように便利になるとかもうかるということではなくて、やはり道路ができてもうかる人もあるし損をする人もある。私はその損をさせたくない、これが共産党の立場ですわ。そこで、補償の問題ですけれども、漁業権あるいは土地、先ほど話にあったフェリー、こういうようなものについての補償の基本的な方針といいますか、考え方をお聞きしたいのですが、特に運輸大臣お急ぎのようですから、運輸大臣のほうからフェリー、そういうものの関係お答え願いたいのですが……。
  107. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 先ほども申しましたが、原則としては補償という性格は従来も使っておりません。ただ、現実に与える損害が出てくるわけでありますから、業務上の補償ということは考えてはおりませんが、工事をやるために起きる支障というものはあり得ると思います。これは公団が考えるべきものでありますが、十分その点は考えつつ、しかしながら補償的性格は考えておらない。これは従来の方針でもありますからして、このような方針でやってまいりたいと思います。
  108. 春日正一

    ○春日正一君 その点ですね、先ほども話が出ましたけれども、道路運送法、あるいは地方鉄道整備法ですか、これには並行線をつくって、そのために私鉄が大きな被害を受けて経営困難になったときには補償するというようなことが書いてあるのですね。だから、当然今度の場合、並行線の場合は海の上を走っている連絡船なり、運送なり、あるいはフェリーボートなり、それと並行して道路ができる、あるいは鉄道が敷ける、そうすると便利になるからそっちをみんな通ってしまうということで、営業ができなくなるというような問題になれば、この法律の条項というものは当然適用されるというふうに解釈すべきじゃないかと思うのですけれども、その点いかがですか。
  109. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私鉄の場合、あるいは道路の場合もありましょうが、一つは、これは海上を動いているのと、自分で土地を買収して鉄道を敷いて、そこを動いているのと、少し事情が、実際上の条件が違うわけですね。形は並行線ということだけから見れば似ているかもしれませんが、私鉄の場合には敷設費がかかるということもありますけれども、一方は海上をただ走っているのですから、海上を走る上においての賃料は取られないわけです。したがって考え方としては、いわゆる補償という考え方はしておらない。実際上工事中のためにそういう事態が起きた場合における直接の損害ということが出てまいりますれば、そういう問題については、やはり検討する必要があろう、こう考えます。
  110. 春日正一

    ○春日正一君 私時間がありませんから、この問題でこれ以上議論しませんけれども、しかし、これは必ず問題になってくるし、この法律の規定というものが一つのよりどころになってくるだろうというふうに私は思います。それで建設大臣にお聞きしますけれども、道路運送法とか地方鉄道軌道法のほうには、それがあるのですね。ところが道路法のほうにはそれに類する規定はないと思うのですけれども、どうですか。
  111. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 道路の場合にはそういう規定はございません。実は道路につきましては、一般的に道路をつけますことによって出てまいります反射的利害、こういうものについては、そういう補償をしていないわけでございます。
  112. 春日正一

    ○春日正一君 一般の道路だと、そういう問題は起こらんわけですけれども、今度のように海をまたぐというような形になりますと、いままで海をまたいで、先ほど相当たくさん営業している会社があるようですが、そういうところがこの道路ができたということによって経営が困難になるという事態が起こってきます。そうすると、それはその経営的な問題だけではなくて、従業員の生活の問題がかかっているんですね。だからやはりこの点では、道路法の中に、一般的な規定としてそういう規定をするということでないにしても、今度の橋をかけるという場合には当然起こってくるというような場合には、先ほど言った鉄道軌道あるいは道路運送法にある規定というようなものが準用できるというような考え方を取り入れる必要があるのではないか。そうでないと、事情は確かにわかった、それは補償しなければならぬけれども、法的根拠がないというようなことになると、建設省のほうでも今後困ること出てくるのじゃないですか。
  113. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) いま先生の御指摘のようにいろいろ今後橋をかける場合に、そういうようなトラブルは出てくると思います。私たちの基本的な考え方としては、やはり橋をかけることによって、非常に受益をする方もおります。またそれによって実際には生活に打撃を受ける方も出てくると思います。そういう方については、やはりもっと広い範囲で生活ができるような対策を講じてやるということが必要だと思います。そういう意味で補償というような問題を離れまして、やはりこれによりまして生活が非常に困ってくるというような方には、何らかの社会的な補償の問題以外に、別の生業をあっせんするとか、そういうような何らかの方法で、そういう広い対策を講じなければならないというふうに考えております。
  114. 春日正一

    ○春日正一君 その問題ももちろん残しておきますが、私はもっと詰めたいのですけれども、時間がありませんから、運輸大臣のほうにもう一度お聞きしたいのですけれども、鉄道ができますね、併用橋で。そうしますと、当然非常に近くなるわなんですけれども、四国の特に内海側のほうの人たちは、岡山県なり広島県なり神戸なりに通勤するというような事態が起こってくると思うのですけれども、その場合の通勤通学のバスとか何とかというようなものはどういうふうに考えていますか。一般の鉄道ですと当然それはありますけれども、新幹線というような構想があるわけでしょう。いま新幹線にはバス出さぬでしょう。これはどうしますか。
  115. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただ、新幹線は御承知のように距離が、間が長いですから、新幹線の場合には現在のところいわゆるバスは発行しておりませんが、バスというものは、将来この新幹線が相当十分にできた場合に、一つは中距離新幹線というものも考えなくちゃいかぬのじゃないか。相当いわゆる住宅が拡大される。たとえば東京でいいますと、最近は茨城県の南都地帯までも通勤距離が、サラリーマンの住宅ができています。それがために、この間まで町であったものが今度市になるという状況も出てきますから、そういう場合に、たとえば七十キロとか八十キロというような距離になりますと、そこからもあるいは通勤ということも考えられますから、そういう事態ができた場合に、新幹線の場合でも将来は考えざるを得ないときが出てくるのではないか。ただ、これは在来橋の場合になりますと、当然国鉄が営業のほうの一つの方法としてやはり通勤通学というものが考えられる。その場合に、今度金を取られますから、その点がどういう状態になるかは別といたしましても、そういうような通勤通学はもちろん考えるという方針でございます。
  116. 春日正一

    ○春日正一君 その点は十分考えていただきませんと、せっかく橋ができても、これが大衆的には使えないというようなことになるとぐあいが悪いものですから。  そこで、ついでですけれども、これは建設大臣のほうになるわけなんですが、バスとか自動車で道路で通勤する者、これについてはそういう点についてどのようにお考えですか。
  117. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 実はこの問題、東京周辺の通勤の対策といたしまして、やはり高速通勤バスというような考え方も持っております。ただ、これは建設省だけでできる問題でございませんし、やはり運輸省の主管でございますので、私のほうはそういう施設をつくり、そのあと通勤バスみたいなものを通す場合に料金をどうするか、そういう点につきましては、十分考慮の余地はございますので、検討したいというふうに考えております。
  118. 春日正一

    ○春日正一君 その点は、ひとつ建設大臣運輸大臣も十分考えていただきたいと思います。運輸大臣のほうは、私もうこれで質問ありませんから……。  建設大臣あと一問だけ、ちょっと時間過ぎましたけれども聞かしていただきたいと思います。この大きな計画をつくって工事をやっていくやり方等について、この法案を見ますと、十分民意が反映されるというように、法案の面だけではなっていないような気がするのです。管理委員会があって、といっても、先ほどお話しのように三つのルート一つ一つから一人ずつ入るとか、あるいは学識経験者が四人入るとかという形でやはり、非常に細いパイプでつながっているものですから。私、ここ二、三年、当然、この仕事をやっていけば起こるであろうような問題をお聞きしたのですけれども、もっとこのほかにいろいろな問題というものがたくさん起こってくると思うのです。そうすると、これだけの仕組みでは、それを十分くみ取りきれないようなものになるのじゃないか。その辺で実際やっていく上でどういうようにくみ取ってやっていくかという、そこら辺の考え方ですね。ほんとうに民意を聞いて、みんなから、できるだけ多くの人から喜ばれるような橋にしていく、工事のやり方にしていくというためにはどうしたらいいかという点の考え方、どう考えておいでか、お聞かせいただきたいと思います。
  119. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 管理委員会のほかに、現実にこれらに出資するのは地方自治体であり、地元の住民もあるいは債券を買っていただくことであるので、非常に重大な関心を持っていただいておるわけであります。したがいまして、これは各ルート関連するところの地方自治体、知事はもとよりのこと、市町村長それから議会がそれぞれの要請を持ってきているようでございます。したがって、それらの地方の自治体あるいはそれに商工会議所とか、あるいは農業協同組合とか、こうしたものもいろいろの要請を出してくるようでございますから、そうしたものを十分に慎重にこれを取り上げまして、そしていまお話にあったような、民意が十分くみ取れるようなことでやっていきたいと思います。その意味で十分に考慮いたしますが、別に何か機関を設けてやるということは、そのために考えてはおらないのでございます。
  120. 春日正一

    ○春日正一君 いま大臣考えておらぬと言われたけれども、まあ実施していく経過の中で民主的な審議機関をつくって、いま言われたような意見が十分取り入れられて、しかも、全体の利益という立場から審議されるいうようなことが必要だと思うし、特に公聴会なんか開いてみなの意見を聞くし、公団の方針もよく説明をして、これの一致をはかっていくことは、どうしても必要なことだと思いますが、こういうことについては法律の面にはいまは出ておりませんけれども、実施していく中で検討してもらいたいと思いますが、その点どうですか。
  121. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 工事実施する場合においては、漁業補償等の問題も出てくる場合には、これは当然、漁業関係と折衝もし、公聴会もやらざるを得ないでしょう。それからまた接続道路をつくる場合における土地買収、これは当然またその権利者の意見を聞かなければならぬというふうに、これ十分その点は配慮してまいるつもりでございます。
  122. 春日正一

    ○春日正一君 では終わります
  123. 松本英一

    ○理事(松本英一君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  速記をやめてください。   〔速記中止〕
  124. 松本英一

    ○理事(松本英一君) 速記を起こしてください。     —————————————
  125. 松本英一

    ○理事(松本英一君) 次に、前回に引き続き道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  126. 田中一

    田中一君 問題は財源の問題なんです。そこで、とりあえず伺っておきますが、四十五年度の予算として第六次五カ年計画に対しては十兆七千億要求しておりますね、建設省は。ところが十兆三千五百億となった経緯、三千五百億の減額というのはどこに原因があるか、それを伺っておきたい。
  127. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 当初私たち道路整備の五カ年計画を改定する際に、どのくらいの規模で改定したらいいかという検討をしたわけでございます。御承知のように道路につきましては、長期計画といたしまして昭和六十年までにいまの幹線自動車道をはじめとして主要な市町村道までの整備をするという目標を持ちまして、四十五年以降六十年までに六十兆の投資が必要だというように長期計画をつくっておるわけでございます。この中で、四十五年から四十九年までの道路整備をどのくらいにするかということを検討したわけでございます。ただ、もちろんいまの道路の混雑の状況、また未開発の状況から見ますと、もっともっと早く道路整備をしたいことはやまやまでございますが、やはり財源的な問題を考えないでただいたずらに大きな道路投資の要求をしても、実現がむずかしいということもございまして、長期計画を踏まえまして十兆七千億という要求をしたわけであります。これがいろいろ財政当局の将来の財源の問題も考慮に入れまして十兆三千五百億ということになったわけでございまして、その間で約三千五百億ほど総投資としては減っております。その程度でございますれば、いまの十兆七千億の当初の計画を多少圧縮せざるを得ない点もございますが、有効に使えば、ほぼ所期の目的は達成されるというように考えておる次第でございます。
  128. 田中一

    田中一君 過去の五カ年計画を見ると、大体において三カ年ごとに新五カ年計画が策定されておるわけなんです。これは結局どこにその食い違いがあるか。おそらく地価の高騰その他の理由によって予定された資金がなくなる、三年目にもうなくなってしまうというところから、新五カ年計画の策定をしているのではなかろうかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  129. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) いままでの過去の五カ年計画を見ますと、第一次が四年続きました。そのあとはすべて三年で新しい五カ年計画に切りかえられております。この事情は、その当時その当時いろいろ事情が多少異なりますが、共通しておることは、やはり当初の予想自動車の保有台数が非常にふえたということ、これに伴いましてその当時の五カ年計画の中途でさらに新しい計画をつくりかえなければならぬということ、これが非常に共通している五カ年計画の改定の大きな理由ではないかというふうに考えております。そのほかに、その当時いろいろ所得倍増計画とか経済社会発展計画とか、そういういろいろ経済計画の指標が変わってきたこともございます。一番大きな理由は、当初より予定外の車の増加によりまして、新しい計画を中に織り込むということが、大きな改定の理由ではないかと思います。
  130. 田中一

    田中一君 そうすると、この第六次五カ年計画も二年ないし三年のうちには改定しなければならないんじゃないかということを予想されておりますか。あるいは今度は十兆三千五百億というかつてない相当多額な計画を立てておるから、今度はどれくらいまで続きそうです。何年くらいまで続きそうな見通しなんですか。
  131. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) その点は、まあ将来の問題でございますが、いわゆるいまの十兆三千五百億の中でも、今後の作業で府県の計画その他を聞きまして、これはどういう道路をどのくらいやるかという目標をつけるわけでございます。ただ、私たちやはりいまの時点でいろいろそういう道路計画をいたしましても、五年の間には必ず当初の計画にないものが必要になってくるおそれがございます。そういうもののために一応調整費的なもの二千五百億をとっておりますが、その中で十分まかなえるということであれば、私はいまの五カ年計画はそのまま遂行できるのではないかという考えでございます。ただ私たち、いまの道路整備の五カ年計画によって整備をしておりますほんとうの実情を言いますと、やはり五カ年計画の中ではこれしか入ってないということ、いまの五カ年計画ではバイパスについてはここまでしかできないというようなことにならざるを得ないわけで、そういたしますと、やはり現道の交通処理のためにさらにそれをもっと早く延長をやってくれということが非常に多くなりますと、また五カ年計画改定というようなことにもならざるを得ないと思いますが、そのために調整費というものをとっておりますれば、そういうものを有効に使うことによりまして、五カ年計画というのはやはり最後までできるというようなことも十分考えられると思っております。
  132. 田中一

    田中一君 では第五次の五カ年計画、これ資金の面でけっこうですから、初めの予定された六兆六千億に対して仕事の達成率が、達成額がどのくらいか、三年目にですね、そしてあと残っている二年間のやつがどのくらいか、金はどのくらい残っておるか、これひとつ出してください。
  133. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 第五次の総額六兆六千億の五カ年計画の達成率でございますが、一般道路事業につきましては……。
  134. 田中一

    田中一君 総額でいいから。
  135. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 総額につきましては、予備費を除きまして六兆四千五百億のうち、四十二年から四十四年までには三兆三千八百六十二億、達成率五二・五%を実施しております。
  136. 田中一

    田中一君 それで残ったやつは、二カ年分として残ったのは事業の比として何パーセント、資金としてどのくらい残っていますか。
  137. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 三カ年で五二・五%ですからあと二カ年で四七・五%、金額にいたしますと約三兆七百億くらいが残っておることになります。
  138. 田中一

    田中一君 そこで、今回の十兆三千五百億、このうち相当大きく自民党の道路懇談会ですか、いろいろな政調のほうの機関があるそうでありますが、その中ではいろいろ新税問題が出ているんですね、いままでに。それの多くは今回の予算編成の資金源としては見送りになってきております。そしてもしもこれが足りなくなった場合にはどこからその資金を持ってくるようなつもりでおるのですか。新税を出そうという構想が、いろいろの方面から相当多岐多様な方策が放送されておりましたけれども、どれもとって、おらない。トラック税にしても自動車新税にしても、あるいはいろいろなものをとっておりません、財源として確保したものは。そうすると主として財投にこれを依存しようという形が出ておりますけれども、はたしてそういう新税の構想というものがこのままなくてよろしいのか、あるいは来年あたりから何かそういう構想をもって充足していこうという考えなのか、これは大臣に伺っておきたいのです。
  139. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 端的に申しまして、いろいろ構想が出ていまするが、これが本年度予算編成には閣内における詰めができなかったわけです。御承知のようにいずれもかなり大きな社会的影響を与える財源でございまするので、そのためにこの新道路五ヵ年計画決定するに際しまして、これは四十六年度予算編成期までに大蔵省も特定財源について決定をしようという大蔵大臣発言がありまして、それを前提として、今後国会終了後大蔵省を中心として関係各方面の今度は協議いたしまして、来年度予算編成のときには特定財源を明足したいということでございます。したがいまして、どれがいま可能性があるとか、どれがむずかしいということを申し上げる段階には至っておらないのでございます。いずれにいたしましても財源を確保しなければ、御指摘のように新しい五カ年計画は最終的にこれは完遂できないと見通されておるのでございます。その意味において、十分に大蔵省も責任を持ってこれに対処しようという発言を信じて、われわれは大蔵省と協力してこの問題を解決したいと思っておる次第です。
  140. 田中一

    田中一君 そうすると、結局本年度はとりあえずこれで発足するけれども、本年じゅうに新財源については何かを発見しよう。しかしそれが発見できなければ、これはむろん世論等の——もっとも総選挙も済んだから、あるいは大胆にあまり国民の喜ばないようなものが飛び出してくるかもわかりませんが、少なくとも何らかの形で新税を設けるということでしょうね。というのは、こういうことを伺うのは、一般財投でこれを補うんだということでなくして、とにかく新しい資源を、資源というか財源を求めるということは、いままでの構想の、いままでの今日までの四十五年度の年次予算の中においてそれらも入っておらぬとすれば、必ず何かに、どっかに求めなければならぬということになる。それは建設大臣としてはどういう方向を、どこに財源を求めるかということについては、どういうお考えを持っているんですか。ただ単に大蔵大臣にまかしたから大蔵大臣がやってくれるんだということじゃなくて、おそらく何かの構想があると思うんですが、その点はどうですか。
  141. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 新しい原資として、新税の問題も一応爼上にのぼっておることは事実です。これには国税と地方税も考慮すべきだということを私は発言しています。というのは、先般来いろいろと委員会の御意向もありますように、地方道路を相当充実してやらないと、これはたいへんむずかしいと思うんです。そのためには国税を取ってそれを配賦するか、あるいは直接地方財源をやるかという二つの方法があります。私は国道とか、そういうものは国の税金で取ってやっていくことも必要であるが、一方には固有の地方財源を与える必要があるんじゃないかということで、これは大蔵省、自治省にも私は申し入れております。そのほかにいわば道路債券というか自動車債券というふうなことでやられておりますが、一つの債券を発行して有料道路については考えてもいいんじゃないか、こういう点を申し出ているのでございます。そうしたものを踏まえて、大蔵省を中心として関係方面でこれから協議しようということになっている次第でございます。
  142. 田中一

    田中一君 そうすると、どれをとるかわからぬけれども、とにかく新税は財源は持たなきゃならぬということですね。そこで、ガソリン税の徴収額は今日まで増高しているというように私は見ておるんですが、どのくらいの率で上がっておりますか。したがって、地方譲与税もそれだけ伸びはあるんじゃないかと思うんですが、その点はどうなっていますか。大体において見込みどおりのものはきているのか。相当大幅な増加をしなきゃならぬのじゃなかろうかと思うんですが、その点はどうですか。
  143. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは非常にいままでの例を見ますと、産業界の好況不況によって、かなりガソリン税の収入が変わってまいります。最近のいわゆる好景気が続いておる状況を見ますと、大体一四から一五%ぐらいふえております。ただ、このパーセントというのは、だんだんだんだんベースがふえてまいりますと、必ずしも将来ともこのパーセントでいくわけじゃない。やはりだんだん増加率の一五%というのは今後下かってくるだろう。実際、全体額としてふえるのはふえると思いますが、率としては下がってくるということも考えまして、いまの五カ年計画の中のガソリン税の収入もおおよそ予想をしております。その平均の伸び率でいきますと、大体一三%ぐらいになるかと考えております。
  144. 田中一

    田中一君 一四、五%ぐらい増収があるということですね。
  145. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 増収といいますか、一三%に前年より伸びてくるというパーセントでございます。
  146. 田中一

    田中一君 これは三年ごとでしたね、計算するのは。ちょうど三年になるわけですね、このガソリン税が、的確に道路財源としての金が集まってくるのは三年目になるわけでしたね、あれ。
  147. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは決算調整額というのは、前の前の年の調整額を、増収があった分を道路特会に入れておるわけでございまして、四十五年度で言いますと、四十三年度の増収七十二億ございまして、それを決算調整額として四十五年度の財源にしておるわけでございます。
  148. 田中一

    田中一君 そこでいま大臣から発言があった地方譲与税、これはどうですか。これは大体予定されている額よりもちょうど同じようにふえているわけじゃないんですか。
  149. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは地方道路譲与税と国に入ります揮発油の税収、これは税率で分けておりますから、たとえば四十三年に国のほうで七十二億よけい入ったということになりますと、同じ比率で地方譲与税もふえておるということでございます。
  150. 田中一

    田中一君 有料道路の収入のうち、若干は償却というもの以外に道路事業費として出している分があるんですか。負担しているものがあるんですか。
  151. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは全体の、たとえば道路公団で見ますと全体の料金収入幾らと、それから支出のほうは幾らということでございますので、その辺ははっきりいたしませんが、個々の有料道路について言いますと、いわゆる償還の計画がございまして、それによって借り入れ金を返していくわけです。その場合に赤字、黒字というようなことを言われますが、黒字と称されるものはその償還計画以上は料金収入で返しているというものでございまして、そういうものがいまの有料道路の、道路公団の有料道路の中で相当の数が黒字になっております。
  152. 田中一

    田中一君 いや、これを伺っていると、一〇%は別に分けておるんだということを聞いておりますね。欠損金にはそれを充当しているんだということも聞いておりますから、そういう隠し財源があるのかどうかと思って伺っているわけなんです、隠し財源的なものが。それで、それらのものは原則的なある一定の計画が経過すれば、無料公開にするということになっているのか。あるいは途中で、そのように道路財源として負担しているような原資となっているんではなかろうか、その点は、そういうことはありませんか。
  153. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 損失補てん金一〇%の問題でございます。これは要するに各有料道路個々の個所につきましてそういうものを積み立ていたしまして、これは帳簿上に残しておるわけでございまして、その金そのものは当然その年度の支出のほうに回しておるわけでございまして、帳簿の上でそういう補てん金が幾ら残っておるということで、赤字の道路を無料公開する場合には、その中でいまの毎年毎年の支出の金額をきめて経理をしているわけでございます。
  154. 田中一

    田中一君 用地費ですね、買収の。用地費に対する見込みの違い方、いわゆる用地費が上がったということよって、相当な支出増があるんじゃないかと思うのです。それはどうですか。全体から見て、どのくらい計画よりも上回っておりますか。
  155. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 実は用地費につきまして非常に上がったという例がございます。たとえば、私いま記憶しておりますのは、これは富士宮の有料道路、現在道路公団が供用開始しておりますが、さらにそれから富士市に向かって延伸をはかっております。これは当初計画いたしましたときに比べまして非常に、当初十億ぐらいの用地費を計画しておりましたが、現在になりますと十八億ぐらい必要だということで、全体の計画を直さなければならぬようなことになった例もございます。ただ、高速道路につきましては、そういうことも考えまして、大体一五%程度は予備費として全体の計画の中にとっております。大体その中で操作できておるのが現状でございます。
  156. 田中一

    田中一君 そこで、これは建設大臣に提言するのですが、道路計画は、これは年次計画というものははっきりわかっているわけなんです。そこで、用地の取得が延引するために、相当支出増になるという傾向が最近顕著になってきております。したがって、計画と同時に全域に対して土地収用法の適用を受けるような措置をとったらどうかと思うのです。私はいま土地問題は非常にいろいろな面から問題がございますが、せめて公共事業用地取得には、買収なんという形はやめて、全部収用委員会の判定に待つという姿勢をとったらどうかと思うのです。したがって、前年度にはっきりした計画を立てる、次年度のやつの。そしてむろんこれは長期のものが一番望ましいのでありますけれども、なかなかそうはいかない。まあ、今日、早いやつは六カ月ないし一年には必ず取得されるわけですから、前年にその計画を立てて収用委員会のほうに提訴して、そこでやってもらうということになれば、計画的な取得方法が、工事の手戻りがなくてやっていけるんじゃないか。そうすると、それだけに、買収価格は違わないで仕事の上の手戻りがなくなってるんじゃないか。またこういう傾向がすべて公共事業に対する用地取得の方法としてとられるならば、国民が納得するということになろうかと思うのですが、そういう点はどうですか。この土地収用の問題については、時間があればゆっくりとあなたと話してみたいと思ったのですが、きょうはもうだいぶみんな疲れたらしいから帰ってしまいますから、あなたもおなかすいているでしょうから、これはなるべく早くしたいと思いますが、これはひとつその点はどうですか。おざなりじゃなく真剣にひとつ考えてもらいたい。
  157. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは田中さん御指摘のとおり、非常に私は大事なことだと思っているのです。従来ややもすれば、土地収用をかけると非常にトラブルが起こるということで、収用にかけないことがひとつのたてまえのような形である。そのために今度それをつけ目として特定のものが今度は非常にごね得をやる。そうするとそれがもうずっと伝染をするということでありますので、私は、方針としてはまさしく田中先生が御指摘になったようにいくべきだと考えています。そのために現在の収用法でもある程度までやれますけれども、これは国会の諸先生の御同意を得て、収用法でもう少し強く先買い権というものをもっと強化して、そうして基本計画ができたとき事業認定ができなければこれができないのでありまするので、まあその点のくふうをもう少し御教示を得て、いまの御指摘のような方向に私持っていきたいと思います。これは道路でこれができますというと、今度は河川改修でもあるいは宅地でもこれはやらなければいけないと、ちょうどいま一つの転換期だと思っているのです。みんな国民もこれには従来の立場からもう一歩進んで、やはり公共のためにそうあるべきだという世論がずっと醸成されてきておりますので、ぜひこれは田中先生の御指摘の方向に私は国会も指導力を持ってそのほうに御協力を受けまして、必要とあれば法改正もし、行政官庁としてはこれはもう思い切って進めていきたいと思う次第でございます。
  158. 田中一

    田中一君 その決意は非常によろしいのです。いま言うとおり、何といっても国並びに関係機関は、国会決定されておる予算というものをしょっております。したがって社会において流動する価格というものに追いついていかれないわけなんです。そこでまず黙って収用委員会にまかす、むろんこれには収用委員会に対する強化ですね。収用委員会がそれを受けてどうするかという強化をしなければならない。と同時に、事業主体のほうでは用地係なんというのはやめてしまうのです。大体一定の予算という壁をしょいながら物を買いに行ったって、なかなかそのとおり売ってくれるものじゃございません。予算の壁を持って用地係の諸君がずいぶん苦心さんたんしておるわけです。そのためにつまらない、若い用地係の汚職的なものまで生まれてくるのです。これは何も悪いことをするつもりじゃないのだけれども、どうしてもそれの目的達成のためには無理をするということです。だから初めから事業そのものを全部全線にわたってその判定に待つということ、第三者の決定ならこれは高かろうが安かろうが一応納得するわけです。高い安いというのは主観によって違うわけですからね。法律によって、収用法でもってはっきりきめてあるのですから、そういう形をとって、少なくとも建設大臣の所管するところの各種の事業では全部それを実施する。そうすれば、おそらく国民も被収用者も納得します、必ず納得します。したがって物価の値上がりによるところの価値の変動というものは、そのつど本人自身が、被収用者自身がそろばんではじけるのです、というようなことをひとつ実行していただきたいと思うのです。これは建設省は一番膨大な用地取得をしなければならないのでありますから、ぜひそのことをひとつ考えて御検討願って、そういう形をとっていっていただきたい。これは私は二十六年に収用法ができたときに、それを中心に非常に長く質問してきているのです。これはむろん、学問的に言うと、最後にいよいよどうにもならぬから収用法をかけるのだというのも、そういう理論もある。しかし最初から土地収用法は保護法なんです。決して収奪法じゃないんです、現在でも。どこまでも被収用者の利益を考えている法律だった。ところが、なかなか困難なるものだから、何回も三回か四回の改正を行なって、どうも最近は収奪法的なにおいが、色彩が出てまいりましたけれども、まだおそくはありません。どこまでも収用法というのが被収用者の保護法であるというたてまえから、そのような方途を真剣にひとつ研究していただきたいと思います。そうして、むだとは申しませんけれども、用地係の諸君等に安心して仕事のできるような道を開くこと、それにはどこまでも収用委員会そのものの強化、これをしなければなりません。相当な人手がかかります。そうして、明るい仕事をひとつやっていただきたいと思うんです。いま建設大臣からそういう一つ考え方を聞いて、非常に安心しました。どうかそれを実行しておいていただきたいと思います。きょうはこの程度にいたします。
  159. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま御叱正と御激励を受けまして、私も真剣にこれを取り組むつもりですが、何と申しましても、このけじめをつけませんと、予算ができれば、もうその次に事業認定ができると、逆に地価を上げてしまう。これでは、特定の人は利益を保護されておるかも知れませんけれども、一般の、税金でやることですから、大衆にたいへん迷惑をかける。政府があれで買ったのだからという、それに上回りしてすぐ写真相場になっていく。この悪循環を断ち切るためにも、土地収用法は原則としてやるべきだということを、実は私も事務当局に言っておいてある次第でありますが、現実に今度ぶつかっているところの事務当局はたいへん苦労している。それはいま御指摘のように、土地収用法を全面的にかけるということになれば、現在の土地収用委員会の力ではなかなかむずかしい。それにはやはり法改正の必要があるようでございますので、これをこの次の国会あたりに出すことを検討すると同時に、現行のままででもやれる最大限の運用の活用をいたしまして、その御趣旨に沿うように努力したいと思っております。ありがとうございました。
  160. 松本英一

    ○理事(松本英一君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  161. 松本英一

    ○理事(松本英一君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  筑波研究学園都市建設法案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 松本英一

    ○理事(松本英一君) 御異議ないと認めます。  なお、この日時及び人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 松本英一

    ○理事(松本英一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十四分散会      —————・—————