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国務大臣(
根本龍太郎君) 今回の
大阪における
地下鉄工事に関連して
ガス爆発事故が発生しまして、多数の
死傷者が出ましたことはまことに遺憾でございます。おなくなりになりました
方々の冥福をお祈りするとともに、
関係者の
方々に対し深甚なる弔意を表します。なお負傷された
方々に対しましては、すみやかなる御
回復をお祈り申し上げ、心から御同情申し上げる次第でございます。
詳細につきましては、この
書類といたしましてお手元に差し上げておりまするが、要点について私から御
報告申し上げたいと思います。
爆発の起こった時期にちょうど私はソ連のノビコフ副
首相一行の
歓迎晩さん会が
首相官邸で行なわれておりまして、ちょうど終わるころにその
情報が
道路局長を通じてメモとして入りました。すぐに私はその場から現地に向かおうと思いましたけれども、すでに
飛行機の座席は満ぱいであり、かつ、新幹線も出た
あとで、行く手段がございません。すでに
内閣からは所管の
通産大臣が出発したということで、翌日の一番早い午前五時
羽田発の
国内航空で参りまして、直ちに飛行場から
現場のすぐ
そばに設置されておりまする
大阪市の
現場対策本部に参りまして、
大阪市長並びにその部下でありまする
土木局長あるいは
関係の
首脳部の人々から、その
時点に至るまでの
経過を
報告いただきました。それからすぐに
現場に行ったのでございまするが、こちらで想像した以上の惨害の著しいのに、私も非常な衝動を受けた次第でございます。一応
当局の機敏な
措置によりまして、
死傷者の
方々の収容は片づいておりまして、そのためにその凄惨な
状況は目撃することはできなかったのでございます。
事故の起こった
ガス管その他を私も
確認したいと思って入ろうとしましたが、まだ危険であるから一切その
そばに行くことは禁止されておりました。したがって、ごく近くから見たのであります。さらに十時から、
警察、消防署を
中心とする
現場検証が始まるということで、しばらく時間を置きまして、十一時から市の
対策本部に
関係者に集まっていただきまして、その
時点でさらにいままでの
経過を聞いたのでございます。
いろいろ詳しいことはここに書いてありますが、そのときに私、
報告を聞いて感じた所感を取りまとめて申しますというと、数日前から
ガス会社あるいは
市当局、
建設現場の
責任者等が、数次にわたって
現場の安全を
確認をしているようでございます。さらに当日も、
現場で
ガスが漏れているのじゃないかということで検証したらしいのですけれども、何でもないといって帰った
あとのようでございます。それからすでに板橋の
事件等がありましたので、
建設省といたしましては、
道路局長名をもって
相当こまい指示を与えておりまして、
地下工事についてはこれこれのことをなせと、こういう
協議をせよということをやっておりましたが、それは一応形の上では実行されているのでございます。にもかかわらずああいう
事件が起こっているというところから見れば、私は根本的にこの
原因を
究明すべきであると感じまして、私は十一時半ごろに
関係者に集まっていただいたときには、特にこれは
建設大臣としてよりも
政府を代表した
国務大臣としての
発言であるから、そう承知していただきたいということで申し上げたことがある。あれだけの
犠牲者が出たために、補償問題で非常に
関係者がややともすれば
責任転嫁をすることによって補償上の
責任を回避するという感情が出がちでございまするから、その問題に一切心わずらわされることなく、まず
原因の
究明は徹底的に科学的にこれはやってほしい。そうでなければこれから各
都市で市街地再
開発やあるいは
地下工事その他の
工事をする場合に、
原因不明のままこういうものが出るということは、これは非常に危険なことである、徹底的にこれは
究明してほしい、ということを厳に申し入れておきました。昼過ぎまでそこの
対策本部でいろいろ
意見を聞いたけれども、まだ具体的な
原因の
究明がなかったので、いずれこれは徹底的に
専門家の
方々の
意見をも聞いてやってもらうということで、一応その日の二時ぐらいの
飛行機でこっちへ帰りまして、それから総理並びに
関係閣僚に
報告し、そのまま参議院の
予算委員会に入りまして
報告をしたということでございます。
翌日の
閣議において私が特に
発言を求めて申し上げたことを簡単に申し上げますというと、まず第一に、一応
工事現場における形式上の管理は良好であるけれども、しかし、こういう
事件が起こったことは、何かいままで指示したことだけでは足らない点があるであろうから、この点は
建設省も
通産省も厳正に反省すべきである。
虚心たんかいに反省して、
原因究明については全く
虚心たんかいな気持ちで
原因究明に当たるべきであるということであります。それから
建設省といたしましては、いままでの
法令、
通達、
許可条件は一応再検討して見る必要がある。いままでよかったということだけでこれは安心できないから再検討を命じたことでございます。それからもう
一つは、この
地下工事については
起業者に
工法をゆだねておりまして、ただ
条件つきでこういうことこういうことを注意せいというだけではいけないのじゃないか、今後はああいう都心などで非常に
埋設物の多いようなところでは、場合によってはこれは
関係省と
協議の上
工法を指定すべきではないか。たとえば
シールド工法的な
工法でやると、こういう
条件で
許可するということも検討すべきではないか。あるいはまた
シールド工法が
実質上できないというときには、
ガス管は他に移設して、しかる後
工事をやれというふうに、厳重なひとつ
条件つきということも
考えるべきではないかという提言をいたしております。
それからまた
通産省に対しましては、
ガス管の
ジョイント部分について密接に、こうやってやればいいということではなくて、
ジョイント部分には二重にでも私は被覆しておいて、もし漏れた場合でもそう大きく出ないようなことも
考えていいではないか。
それからもう
一つは、今度行って私は初めて知ったものでございまするが、
ガス漏れがあった場合にもすぐにとめられないんですね。何か
圧力の
関係で風船みたいなものを
そばにつけて、
圧力を減退させながらとめるということなんだそうです。そうしないとかえって
圧力が急に変わったために
爆発事故が出てくる、そういうことがいままでわかっておるならばそれを改良する
方法をやらなかったのか。当日私が行って聞いたところによると、三時間以上かかっているんですね、この
パイプを遮断するのに。その間どんどん出るからああいうふうな
災害になった。これについては私は徹底的に
究明して、すみやかに
パイプを遮断する
方法を講ずべきである、
技術開発をすべきである。それからもう
一つは
自動検知方法を
開発すべきである。現在では炭鉱などではかなり科学的な
自動探知器というようなものがあって、それもやっていいじゃないか、これもおくれているじゃないかという感じがしました。
その次に、これは
警察に対して私は要望したのでございますが、今度の
犠牲者は
工事関係者はごくわずかで、たしか三名か四名のはずです。数百名の死傷された
方々は全部といってもいいほどその地域の
住民よりも
通行者がそこに集まってきて、見ておるうちにやられた。これはおそらく火が燃えているのにひかれて行ったということであって、
ガス爆発がああいうおそろしいものだということを、
警察もあるいは
一般住民も知らなかったために、制止したにもかかわらず、もうずっと来てしまって、そのうちに
爆発した。こういう
状況から見ますれば、
ガス漏れ事件についてはまず何よりも
避難命令を先に出させる。
現場には絶対に近寄らせないような
方策を講ずる、そうしてから
措置ということをやらなければ、
都会地においては非常に
災害が起こるような気がする、こういうことを
閣議で
発言をいたしまして、そうした点を含んで
対策本部で検討するということで、今日までほとんど引き続いて検討し、
新聞等で発表しているような
対策を講じた、こういう
状況でございます。
はなはだ簡単でございまするが、詳細につきましては一応
書類で差し上げておりますので、これで御了承のほどをお願いいたします。
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