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1970-10-09 第63回国会 参議院 建設委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月九日(金曜日)    午後一時十分開会     —————————————    委員の異動  九月十日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     沢田 政治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中  一君     理 事                 上田  稔君                 大和 与一君     委 員                 小山邦太郎君                 斎藤  昇君                 高橋文五郎君                 塚田十一郎君                 柳田桃太郎君                 二宮 文造君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  根本龍太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        防衛施設庁施設        部施設取得課長  伊藤 参午君        大蔵省理財局国        有財産第一課長  市川廣太郎君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局宅        地部長      朝日 邦夫君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省道路局長  高橋国一郎君        建設省住宅局長  多治見高雄君     —————————————   本日の会議に付した案件建設事業並びに建設計画に関する調査  (次期通常国会提出予定法案等に関する件)  (住宅政策に関する件)  (東京外郭環状道路計画に関する件)  (グラントハイツ返還に伴う用地利用に関する  件)     —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、まず次期通常国会提出予定法律案の構想について政府説明を求めます。
  3. 大津留温

    説明員大津留温君) お手元に差し上げております資料の一でございます。次の通常国会に提案を予定しております法案総計二十一件ございます。※じるしのつきましたのが十二件で、これは予算関係法案でございます。△じるしが一件で、これは予算関係法案に準ずるもの、それから予算関係のない案件が八件ございます。ただしあとで出てまいりますが、このうちなお提案すべきかいなか慎重に検討中のもの五件を含んでおります。  まず第一が建設省設置法の一部改正でございます。これは前の国会でも御審議をいただいたわけでございますが、これに若干内容を加えまして1に書いておりますように、都市局下水道部を設けたい。これは、御承知のように、公害対策として下水道事業が飛躍的に量、質ともふえます関係で機構も充実いたしたいということでございます。2、3は前回同様、北陸地建四国地建用地部を設けたい、並びに東北地建北陸地建中国地建四国地建企画部を設置いたしたいというものでございます。  第二は下水道法の一部を改正する法律案でございまして、中身は、いろいろございますが、その一つ河川流域を総合的に計画的に下水道整備したいということで、公害対策基本法に基づきまして水質汚濁に関する環境基準の定められました河川流域につきましては、大臣認可をいたしまして、都道府県知事流域総合下水道計画というものを定めることといたします。そしてその流域にかかる公共下水道その他の下水道はこれに適合して行なうという考えでございます。第二点は、流域下水道はその設置者都道府県とするということを明らかにしようというものでございます。第三点は、住宅公団等が大規模な新市街地開発をする際にあわせて公共下水道整備するというような場合には、住宅公団等公共下水道設置者となり得るという規定を設けようというものでございます。第四点は、悪質の下水公共下水道に排出する工場等につきまして、水質の測定、記録の保存、立ち入り検査等を行ない、工場側はそれを受忍しなければならないということにしたいというものでございます。第五点は、下水処理区域内にございます既存のくみ取り便所は、一定期間内に水洗便所に改造するように建物占有者義務づけようというものでございます。この場合に生活困窮者につきましては公的機関が援助をするという内容でございます。  その次は、下水道整備緊急措置法の一部改正法でございまして、これは現行下水道整備五カ年計画を改定いたしまして、四十六年度を初年度とする新たな五カ年計画を策定いたしたいということでございますので、それに伴います法律改正でございます。  次は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部改正でございます。これは緊要な災害復旧事業復旧年限を一年短縮して二年にしよう、その他の災害復旧年限を三年にしようというものでございます。  次は、砂防法の一部改正でございまして、北海道におきます直轄砂防工事につきましては、当分の間十分の九の国の補助をいたしたい、負担をいたしたいというものでございます。  次は、道路整備緊急措置法の一部改正でございまして、道路利用者新税というものを設けまして、その収入額に相当する金額道路財源に充当しなければならないということにいたしたいという内容でございます。  次は、道路整備特別会計法の一部改正でございまして、ただいま申しましたと同じく道路利用者新税収入額相当額をこの会計に繰り入れるということと、その一部を高速自動車国道等有料道路事業に投入するために基金を設けて、それに貸し付けることができるという内容でございます。  次は、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部改正でございまして、これは現在の三カ年計画を改めまして道路交通安全対策五カ年計画を策定しようというものでございます。この対象になる事業は、従来の計画対象となっておりました交通安全施設等整備事業のほか、交通の安全に資する道路改築等事業を含めるという内容でございます。  次は、踏切道改良促進法の一部改正でございまして、この法律が本年度をもって期限が切れますので、さらに来年度以降五カ年間延長いたしたいというものでございます。  次は、住宅金融公庫法の一部改正でございまして、その改正の要点の一つは、市街地開発事業等住宅の供給に資する事業に対しまして、新たに公庫からその事業資金貸し付けを行なおうとするものでございます。第二点は、宅地造成貸し付けにあたりまして、その貸し付け資金限度額について改正するとともに、その償還期間を延長しよう、従来五年以内とありましたのを七年以内に延長しようというものでございます。第三点は、地方公共団体等が行ないます宅地造成工事に際しまして災害防止施設を設ける、またその宅地造成の途中におきまして災害を受けたような場合に、その災害復旧工事に必要な資金貸し付けるという道を開こうとするものでございます。第四点は、中高層耐火建築物等貸し付け等におきまして、その貸し付け条件改善をはかろう、たとえば中高層融資では償還期間を十年とありますのを二十年に延長しようという内容でございます。  次に、住宅融資保険法の一部改正案でございますが、市街地開発事業に伴う建築物、そういうものに対する融資につきましても、この融資保険対象に取り上げようということと、それから保険金てん補率を一〇〇%に引き上げようということ、並びに保険金支払い後の事故債権公庫がみずから回収することといたしたいという内容でございます。  次に、特定民営賃貸住宅建設促進法でございますが、これは大都市地域の市街化区域におきまして、土地の所有者等が適切な賃貸住宅建設し、経営しようとする場合におきまして、民間の金融機関融資一定要件に該当しておる場合には利子補給を行ないまして、その賃貸価格を低廉なものにしようという趣旨のものでございます。  次に、河川法の一部改正法案でございますが、これは都市河川整備をはかるために、一級河川または二級河川のうち一定区間につきましては、市町村長にその管理を行なわせることができるように改めたい。また、その管理費用は国、都道府県及び市町村が分担するようにいたしたいということでございます。そのほか一級河川指定手続簡素化等を行ないたいということでございます。  次は、宅地建物割賦販売法案でございますが、これは前々から問題になっておりました法案で、宅地建物割賦販売をするにあたりましては、その販売条件説明契約の解除及びそれに伴う損害賠償制限等につきまして必要な規制を行なおうとするのが第一点、第二点といたしまして、積み立て式宅地建物割賦販売を営もうとする者は許可を受けなければならないという、許可制にいたすとともに積み立て金保全措置財産状況に対する改善命令等営業に関する必要な規制を行なおうとするものでございます。  次に、宅地建物取引業法の一部改正案でございますが、宅地建物取引業者の財務の健全性を確保するために、免許の要件といたしまして一定財産的基礎を有することを加えるとともに、営業保証金制度についても改善をはかろうというのが第一点でございます。第二点は、取引主任者制度がございますが、これをもっとその責任を明確にいたしたいということと、業者名義貸しということが行なわれておりますので、それの禁止をいたしたいというようなことが第二点でございます。さらに第三点といたしまして、マンション分譲等におきましては契約条項を適正にすること、また瑕疵担保責任を強化する。それから販売開始の時期を制限するというような規制を強化するとともに、前払い金保全のための規定整備するという内容でございます。  次は、地代家賃統制令の一部改正法案でございます。地代家賃統制令は、一定猶予期間を置いてその効力を失うということにいたしたいというものでございます。  次に、検討中の法案でございますが、まず第一に海域管理法案、これは海域開発保全のために必要な管理者制度を定めるとともに、その管理を行なう海域指定立ち入り調査占用許可行為制限等管理適正化をはかる内容のものでございます。並びに海洋開発総合計画沿岸開発事業に関する規定を設けるという内容でございます。  次は、公共工事前払い金保証事業に関する法律の一部改正でございます。公共工事契約保証制度改善いたすために、保証事業会社公共工事工事完成保証を行なうということができるようにしようという内容でございます。  次は、駐車場法の一部改正でございまして、駐車場整備地区に関する都市計画が定められました場合には、駐車場整備計画を定めてそれに基づいて整備を進めなければならないということにしようというのが一点。次に、路上駐車場駐車料金につきまして、限度額を改定いたしたいというのが第二点。第三点は、自動車収容台数が二十五台以上または駐車面積が五百平方メートル以上の駐車場施設につきましては、その構造並びに設備を政令で定める技術的基準によらなければならないということと、さらにそれに適合しない場合の是正命令罰則等規定を設けてこの基準の強化をはかろうというものでございます。第四点は、駐車場整備地区内におきます大規模建築物を新築または増築する場合に、政令で定める基準駐車施設を付置しなければならない義務を課そうというものでございます。  次は、道路法の一部改正でございまして、その一点は車両の通行方法規制を強化しよう、で、その罰則も設けましてその規制を強化しようというのが第一点です。第二点は、道路構造が立体化されてまいりましたのに伴いまして、立体道路管理特例を設けようというのがその第二点であります。第三点は、道路交通の急速な増大に伴いましていろいろ規定整備をはかりたいというものでございます。  最後に、工業化住宅認定等に関する法案、これはいわゆる工業化住宅を購入する人の保護並びにその生産技術開発を進めるという趣旨から住宅性能基準を定めまして、これに適合する工業化住宅認定制度を設けようというのが第一点であります。第二点は、そのために住宅製造業者に対する品質管理指導監督工場等への立ち入り検査、虚偽の表示についての罰則、こういうような規定を設けたいと、こういう内容であります。以上であります。
  4. 田中一

    委員長田中一君) 次に、第六十三回国会以降における政令について、順次政府当局説明を求めます。
  5. 大津留温

    説明員大津留温君) 官房所管といたしましては、建設省組織令の一部を改正する政令、これが六月の十二日に公布いたしました。これは大臣官房審議官を置きまして、基本的な政策に関する事務並びに監察事務を総括整理させるという任務をなすものでございます。それとともに、そうした審議官のもとにそういう事務をつかさどる政策課というものを設置いたしたものでございます。
  6. 朝日邦夫

    説明員朝日邦夫君) 次は計画局所管法律に基づきます政令でございますが、前国会におきまして議員の御発議によりまして成立を見ました不動産鑑定士特例試験及び不動産鑑定士補特例試験に関する法律でございますが、これは法律第十五号といたしまして四月の三日に施行に相なっております。この中で、不動産鑑定士特例試験あるいは不動産鑑定士補特例試験受験資格あるいは実務経験年数の参酌の方法、あるいは受験手数料納付方法等につきまして政令で定めるべく運用されておりまして、その政令国会中ではございましたけれども、試験の時期等の関係もございまして、四月二十八日に政令第九十八号として公布施行いたしております。なお御参考までに、本件につきましては七月十日をもって願書の締め切りをいたしました。士補につきましては十月二十五日、それから士につきましては十一月一日に試験施行予定でございます。ただいま受験申し込み者につきまして資格認定確定作業をいたしておりまするけれども、おおよそ士補につきましては九千人、士につきましては八千人程度の受験者と相なるものと思われます。
  7. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 都市局関係で、下水道法施行令の一部を改正する政令案でございますが、まん中の欄に「審議中」と書いてございますが、実は本日の閣議で決定を見ておりますので、近く公布施行になる予定でございます。内容につきましては、例の水質保全法という法律によりまして公共用水域の排出の基準に、新しくここに書いてございますようなシアン、アルキル水銀有機リン等々のいわゆる重金属類というものが基準に追加になりました。これを受けまして、直接この公共用水域にこういうものを流している工場等は、これは個別の工場におきまして、工場排水規制法によって、その順守義務が追加されるわけでございますが、下水道にこういうものを流しているものにつきましては、第一義的には下水道管理者基準を守る義務が課せられたわけでございまして、したがいまして、この義務を履行する担保方法といたしまして、下水道法におきましては、下水道にこれらの重金属類を排出する工場に対しまして、従来から除外施設というものを設けさす義務を課しておるのでありますが、その除外施設義務をさらに強化すると、こういう項目につきましても、除外施設を設けて、下水に流しなさい。そういうような基準改正をいたしまして水質保全に対処しよう、こういう趣旨政令改正でございます。
  8. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 河川局関係施行令改正でございますが、二ページの一番初めにございます政令につきましては、これは一級河川改良工事の国の負担割合についての政令でございますが、施行令によりまして、国の費用負担特例期限が切れましたので、施行令改正されました。したがいまして、これに伴って施行法改正されましたので、これに伴って今後の特例を延伸する期間、あるいはその対象になっております大規模工事、あるいはそれの事業の額、こういったものをこの政令によって改正をしておるわけでございます。なお、そのほかに北海道関係並びに水資源開発公団に対する交付金関係、こういったものが同様関係してまいりますので、あわせてこの政令改正をいたしております。  それからその次に政令百六十一号、それから次のページの二百十二号でございますが、これにつきましては、許認可等の整理に関する法律施行に伴って改正をされたものでございまして、一級河川管理にかかわります事務の中で、できるだけ地方建設局長に委任すべきものは移していこうというようなことで、いろいろダム管理に関する主任技術者資格認定の問題、あるいは特定水利以下の水利で、大臣認可にかかわるものを地建局長に移す、こういったものの権限の委譲でございます。なお、二番目の海岸法規定をいたしております主務大臣権限がございますが、これは主として、特に必要のあるときに海岸管理者にかわって建設大臣がいろいろな事業を行ないます場合に、海岸管理者権限大臣が直接代行することになっておりましたのを、地方建設局長に移したわけでございます。  それから次に政令第二百十二号でございます。これもやはり同様に特定水利使用に伴いまして、流水の占用をしております場所だとか、あるいは期間だとか、こういったような軽微な変更にかかる手続につきまして、これを地方建設局長に委任をしたものでございます。  それから最後政令二百三十五号でございますが、これは御承知のように河川法の二十八条、二十九条を受けまして、河川管理上支障のある行為についての禁止、あるいは制限をするというようなことで、その内容につきまして、これは水質保全法あるいは公害対策基本法等といろいろ関係がございましたが、そういった水質問題等も各省と協議をいたしまして、その線に沿って今回の改正を見たわけでございます。なお、河川水質保持等につきましては、特に五十トン以上を排水するものについては届け出制をしきまして、できるだけ河川管理者として、河川の流量の把握と水質改善に努力するような姿勢がこの政令で盛られております。以上でございます。
  9. 田中一

    委員長田中一君) ちょっと、百六十一号のほうの道路法第七十六条とは何なの。これを説明してください。
  10. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) ただいまの七十六条は、「道路管理者は、建設省令で定めるところにより、左に掲げる事項都道府県知事又は都道府県である場合にあっては建設大臣に、市町村である場合にあっては都道府県知事に報告しなければならない。」というふうになっておりまして、その報告の内容は、道路整備計画それから二番目が道路に関する工事実施施工実績その他協議するものなどがございますが、そのうちで、同条第五号に掲げる事項、すなわち「道路運送法第百二十四条の規定により提出された意見」について建設大臣もしくは都道府県知事に報告するということになっておりますが、これを簡素化いたしました。建設大臣の項につきまして地方建設局長に委任したということでございます。
  11. 田中一

    委員長田中一君) 次に政令第百五十二号について。道路局長
  12. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 先般の国会で成立いたしました本州四国連絡橋公団法の第四条第一項の地方公共団体を定める政令でございます。本州四国連絡橋公団に出資することができます地方公共団体大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、大阪市及び神戸市の十の団体指定したものでございます。  その次に政令第百六十三号でございますが、これは道路整備特別措置法施行令の一部を改正する法律でございまして、道路整備特別措置法の改定によりまして、いわゆるプール制が採用されることになりまして、二つ以上の道路一つ道路として料金を徴収することができることとされたことに伴いまして、所要の規定整備を行なったものでございます。また、日本道路公団等建設大臣または道路管理者権限を代行して占用許可をする場合におきましては、建設大臣の承認、道路管理者同意等を要する占用物件を限定することにいたしたものでございます。  その次の政令第百八十九号でございますが、高速自動車国道路線指定する政令の一部を改正する政令でございます。高速自動車国道路線としまして、国土開発幹線自動車道予定路線のうち北海道縦貫自動車道室蘭——苫小牧間の外十の自動車道十四区間につきまして総延長約七百四十八キロメートルを追加指定したものでございます。  それから政令第二百二号でございますが、地方道路公社法施行令でございます。地方道路公社法施行に伴いまして、地方道路公社を設立することができる人口五十万以上の市、大阪市外十二市でございますが、大阪市、名古屋市、横浜市、京都市、神戸市、北九州市、川崎市、札幌市、福岡市、広島市、境市、尼ケ崎市、仙台市、以上の十三の市を指定いたしましたことと、それから地方道路公社が行なう付帯業務等規定したものでございます。  政令第二百九号でございますが、本州四国連絡橋公団法施行令でございます。本州四国連絡橋公団法施行に伴いまして、本州四国連絡橋公団基本計画で定めるべき事項並びに工事実施計画書事業計画作成基準等について規定したものでございます。  政令第二百二十二号、本州四国連絡橋債券令でございます。この債券形式、それから発行方法債券申し込み証形式等本州四国連絡橋債券発行に関する事項について定めたものでございます。  最後道路構造令でございますが、ただいま審議中と書いてございますが、先般の道路審議会審議をすでに経ておりまして、ただいま法制局と字句の修正をやっておる段階でございまして、近いうちに公布される予定でございますが、内容につきましては、最近の自動車交通増大等によりまして現行道路構造令が実情にそぐわない面がだいぶ生じてきております。そういう事情でございますので、道路の幅員であるとか、建築限界であるとか、線形等構造一般的基準について、全面的に改正しようというものであります。以上でございます。
  13. 田中一

  14. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 住宅局関係の先国会以来の政令改正について御説明申し上げます。  お手元にお配りしてございます資料にございますように、住宅局関係では四つ政令がございますが、そのうちの三つは、先般成立いたしました建築基準法に関するものでございまして、一つ住宅金融公庫法施行令改正でございます。  公庫法改正は、昨年の予算編成におきまして公庫貸し付け限度額の増額を認められましたので、それに伴いまして政令改正いたしまして、貸し付け限度額を直すという内容政令でございます。一例を申し上げますと、改良住宅につきまして従来四十万円の限度額を四十五万円、それから災害復興住宅につきまして八十五万円を九十万円、そのうち耐火構造につきましては百万円を百十万円というふうに金額の訂正を予算に従っていたした次第でございます。  それから残りの三つ政令でございますが、そのうち二つはすでに制定されておりまして、資料にございますように建築規準法の一部を改正する法律施行期日を定める政令というのが最初でございますが、それは法律によりまして四十五年の六月一日に法律が成立いたしまして、その後一年以内で政令できめるときに施行するという法律規定になっておりますので、これを四十六年の一月一日というふうに政令指定したわけでございます。したがいまして、法律で予想しております一年という期間相当早目施行いたしたいということで、四十六年一月一日と政令指定したわけでございます。  それからその次が、同じく改正によりまして基準法で新しく人口二十五万以上の市が特定行政庁といたしまして建築行政を施行するということになりましたので、準備の関係その他から法律施行前にこの二十五万以上の市を政令指定いたしまして、準備を早く進めたいということで、この規定だけを政令指定いたしまして四十五年の九月二十四日に公布いたした次第でございます。  それから法律改正に伴いまして実体的な基準法内容をきめる政令でございますが、これは資料にございますように、目下鋭意各方面と審議を重ねておりまして、できるだけ早い機会に内容の決定をいたしたいということで現在準備中でございます。
  15. 田中一

    委員長田中一君) 次に、現在審議会に諮問中の諮問案及びこれに対する答申について順次政府側より説明を求めます。吉兼都市局長。
  16. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 都市局関係におきましては、お手元資料にございます昨年の十二月十二日付をもちまして都市計画中央審議会に三件ばかりの建設大臣からの諮問が発せられたわけでございます。  一つは、下水道整備のための方策に関するもの、次に市街化区域におきますところの土地区画整理事業によりますところの計画的な市街地整備のための方策に関するもの、最後には駐車場の整備のための方策に関するもの、以上の三つの諮問につきまして本年の八月十四日に答申をいただいたわけでございます。  この答申の内容につきましては要旨の欄に要点だけを掲げておきましたが、まず下水道整備の問題につきましては、最近の公共用水域の汚濁が非常に激しいものになってきております、著しいものになってきているというふうな昨今の情勢を受けまして、こういった河川等の公共用水域の総合的な水質保全対策を緊急に立てなければならない、そのためには下水道事業整備をおいてないというふうな認識のもとに、答申におきましてはまず下水道整備のあり方としまして、従前のような個々の市町村がばらばらに下水道整備しておったんでは効果、能率があがらない。したがいまして流域総合下水道計画というものを策定する必要があるというようなこと、それから新しい情勢に対処いたしまして第三次下水道整備五カ年計画を発足させる必要がある。そのためには思い切った財源の確保が必要であるといいますこと、それから昨今の公害対策基本法関係のいわゆる企業者負担というふうな思想を、やはり下水道におきましても取り込んでいく必要がある。こういうことから工場排水等につきましての企業者費用負担についての考え方を明確にすべきであるというようなこと、その他関連いたしますこと等はたくさんございますが、以上申し上げましたようなことを中心にいたしました答申をいただいたわけでございます。建設省といたしましては、この答申を受けまして十分に検討いたしました結果、来年度の予算並びに新しい五カ年計画の要求をいたしておる次第でございます。  次は市街化区域におきます土地区画整理事業でございますが、御案内のとおり新都市計画法の市街化区域設定の作業が、年内を目途に逐次その整備がはかられつつあります。この市街化区域が設定されますと、当面十カ年内に当該区域の計画的な町づくりを達成しなければならないというふうなことに相なるわけでございます。いろんな公共施設の整備計画的、効率的にはかっていく、そういうためにもいわゆる当該区域の面的な開発事業を推進しなければならないことはもちろんでございます。その面開発事業をいたします際におきましていろんな手法がございますが、土地区画整理事業というものが一番効果的であるという観点から、この土地区画整理事業をいかに効果的に、能率的にやって−いくかというふうなこと、それから従前とかく土地区画整理事業は非常に着手から竣工まで時間がかかるというふうな批判もございますので、そういう批判に対しまして、いかに立ち上がりましてから短期間事業を仕上げるというためには、事前に十分な調査をいたしまして、その調査の結果、密度の高い調査の結果に基づきまして事業に入るというふうなことも考える必要があるというふうなこと、それから区画整理事業の財源措置等の問題についても適切な答申をいただいた次第でございまして、これを受けまして来年度の都市局関係市街地整備予算要求をいたしておるような次第でございます。  最後には駐車場の整備のための方策につきましては、駐車場のあり方につきましてあらためて今日の時点におきましていろいろ御検討いただき、駐車場の計画整備をこれからいかにやっていくべきかというふうな基本的な考え方、それから整備の推進にあたりましてのいろんな財政的な援助方策、並びに駐車場の各事業主体ごとの整備の分担の考え方というようなことにつきまして答申をいただいたような次第でございます。以上はなはだ簡単でございますが、都市局関係の御紹介を終わります。
  17. 田中一

    委員長田中一君) 次に、高橋道路局長
  18. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 先ほどもちょっと御説明いたしましたように、道路構造令につきましては、先月の二十八日に道路審議会に対しまして諮問いたしまして同日答申をいただいております。  内容を簡単に申し上げますというと、現在の道路構造令は昭和三十三年に制定されたものでございまして、すでに十数年を経過したわけでございますが、その間に道路交通事情も著しく変化いたしまして、特に交通安全に対するいまの道路構造そのものが必ずしも十分でないという反省がなされてきたわけでございます。したがいまして、今回の道路構造令改正にあたりましては、交通安全対策に非常に重点を置きまして、交通事故の分析、それから自動車の性能とか、運転者の心理状況等の調査結果をもとにいたしまして、新しい構造令をつくったわけでございます。  その内容を簡単に申し上げますというと、第一点は、従来の道路は都市部については歩道を設けてあるのを原則としましたが、都市部以外のところにつきましては歩道をつくることは原則とされておりませんような状態でございます。いわゆる混合交通と申しまして、人と自転車と車が一緒の路面を通るような状況だったわけでございますが、今回の改正によりまして、人と車と自転車を完全に分離し、人家のあるところについては歩道を積極的に設けるというふうな構造改正したわけでございます。それから第二点は、いままでの現行構造令は、一般国道、都道府県道、市町村道の一般道路についての技術的基準でございまして、高速自動車国道についての基準はございませんでした。というのは、当時は高速自動車国道がございませんでしたのでそういうことでございまして、その間道路局長通達という形式でもって一応構造基準をきめて、それに従ってやっていたわけでありますが、今回の道路構造令には、高速自動車国道も含めまして、あらゆる道路構造道路をすべて網羅した構造令に体系づけたということになろうかと思います。なおつけ加えて申しますと、一番末端の市町村道につきましては、従来の規格では非常に高規格過ぎるというきらいもございますので、今回はそういう団地内の道路であるとか、足元道路につきましても、規格の低い低規格の道路基準に加えたというふうな改正でございます。第三点を申しますというと、最近諸外国との間の貿易が盛んになりまして、いわゆる八・八・四〇——八フィート、八フィート、四十フィートという大型の車両がコンテナー等によって陸送されるような状況でございまして、それに対処するために、今回の改正では建築限界を広げまして、十分通り得るような措置を講じたいということになったわけでございます。なおつけ加えますと、従来は交通安全の施設等についての基準があまり明確にきめてございませんでしたが、今回の構造令にはその点も留意いたしまして、交通安全を特に強力に推進するような構造にしたわけでございます。  以上でございます。
  19. 田中一

    委員長田中一君) 次に住宅局長。
  20. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 前国会以来住宅局関係審議会に大臣から御諮問いたしまして答申をいただきました案件三つございますが、お手元にお配りしている資料にございますように、第一点は、住宅審議会に御諮問いたしました今後の住宅政策の基本的なあり方に関する諮問でございますが、これに対しまして、四十四年の二月に諮問いたしまして、その後一年以上にわたりまして非常に御熱心な議論をいただきまして、お配りした資料にありますように、都市勤労者に対する公的住宅の画期的拡充、それから民間住宅対策の強化、住宅に対する財政金融政策の転換、土地対策の確立、最後住宅建設のコストの低減をはかるという、こういう大きな問題につきまして、非常に詳細な御答申をいただいたわけでございまして、これに基づきまして、われわれここで御答申いただきました方針をできるだけ実現できるような内容で来年度予算を要求しているという段階でございます。  それから第二点は、住宅産業振興の方策に関する諮問でございますが、これは住宅宅地審議会と建築審議会、二つ審議会ございますが、この両方に非常に密接な関係があるということで、両方の審議会に諮問を申し上げまして御答申をいただいたわけでございますが、ここにございますように、将来の住宅産業の振興につきましては、まず長期的な計画をきめて、それに従って技術の開発を進め、あるいは先ほど法律の御説明で申し上げましたように、認定制度等を確立いたしまして、住宅産業の進歩のために材料あるいは技術等に関するインフォーメーションの機関を設置いたしまして、住宅産業の振興をはかるという趣旨の御答申をいただいたわけでございまして、これに沿いまして、今後住宅産業の振興に力を尽くしたいということにしている次第でございます。  最後に、公営住宅法第十三条第三項に規定する率に関する答申でございますが、これは前二つの御答申に比べますと、非常に事務的な答申でございまして、公営住宅法の十三条に1公営住宅法全体で公営住宅の家賃のきめ方を規定してございますが、十三条によりますと、その家賃のきめ方によらず家賃を変えることができるという規定がございます。その規定の中で、原則的には事業主体が家賃を変える場合には、公聴会を開き、また利害関係人の意見を聞く、それから最後建設大臣の承認を得るという三段階の手続を経て、初めて家賃の変更ができるという規定になっておりますが、この例外としまして、建設大臣建築物価の変動を考慮いたしまして、住宅宅地審議会の意見を聞いて毎年地域別に一定の率をきめまして、この範囲内の変動ならば特に大臣の承認は要らないという包括的な承認を与えるという規定がございますので、その規定に従いまして住宅宅地審議会に諮問をいたしましてこの率をきめていただくという内容でございます。以上でございます。
  21. 田中一

    委員長田中一君) 以上をもちまして、政府側の説明聴取は終わりました。  ただいまの政府説明も含めましてこれより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕   〔委員長退席、理事上田稔君着席〕
  22. 上田稔

    ○理事(上田稔君) 速記を始めて。
  23. 田中一

    田中一君 建設大臣に、この審議会に対する諮問また提案される諸法律案が一応提出されたわけでありますけれども、全部やるとたいへんでありますから、住宅問題だけにしぼってひとつ伺っておきたいと思うわけです。  かねがね資本の自由化によって一体何が一番初め外国の資本が上陸するであろうかという点について考えておりましたが、私はやはり住宅産業、いわゆる住宅というものが上陸するんじゃなかろうかと考えておりましたら、先般の新聞でも御存じのように、東急不動産がたしか日商でしたか、日商と提携して、アメリカからいよいよ住宅建設の資本が四〇%導入されると、これは契約は終わったそうであります。これらのものを踏まえながら、わが国の住宅産業の指導的な方向というものがどこにいっているかということを検討してみたいと思うのです。たとえばここに、いま多治見局長が説明したような住宅産業振興の方策に関する答申、これはむろん諮問したわけでありますが、一体住宅産業というものに対してわが国の行政組織の中ではだれが主務として通例いままで行なってきたかという点であります。たとえば政府資金並びに政府が管掌しているところの資金等を原資として行なう住宅は、それぞれの資金源の差異−違いによってそれぞれの省が扱っておる現状です。たとえば公務員住宅は年間三万戸程度を建設するようにいままでの予算で見ておりますが、いわゆる政府施策以外の公務員住宅並びにそれに準ずるものは三万戸ぐらいあるそうですが、これは大蔵省が主管をしておる。大蔵省はそれぞれ計画を立て発注し建設をしている。また厚生省は厚生年金事業団というものをつくり、そこで病院その他を含めながら還元融資という形で住宅建設を行なっております。また住宅金融公庫は産業労働者に対するところの住宅供給という形を建設省が主管しながらも同じような対象としての厚生省は融資をしておる。また労働省は離職者その他に対する純粋の労働者対策の建設をするという面の予算を持ち、建設をしております。一方これらのもの以外には、いわゆる米作減反の政策からくる農協を中心としたところの土地開発、宅地開発または住宅建設に対して、農林省はかつての農家の改善、改良とともに新しく建設に乗り出してきております。加えて通産省はそれぞれの部屋を持ち民間住宅建設に対するあらゆる面からの検討を加え、建築資材としての部材を中心とするところの民間建築の指導に当たっております。建設省はむろんのこと、われわれが承知しておりますように、住宅金融公庫住宅公団また住宅金融公庫資金を原資とするところの地方供給公社等たくさんございます。その中では一番主軸となる公営住宅はむろんのことであります。そこで、ここにありますように住宅産業振興の方策に関する答申、住宅産業振興というのは何をさしているか。これは民間ばかりではない。政府施策のものもいま申し上げたような関連のものもあり、かつまた民間のものが主軸となって考えられておるんでありましょうが、一体政府としてはどういう方策でどういう住宅振興をはかろうとしているのか。いままでの法律によるところの政令並びに今後のあり方に対する審議会の諮問事項、並びにその結論によるところの立法に、野党としては当然関与したいんであります、与党はそういうことを行なっているでしょう、それをわれわれは常に国会では押しつけられる。こうした住宅問題などというものは決して一党一派の専売でもなければ特定なる国民を対象とするものでもない。それがそういう行政権の中において全うな姿で取り組みたいというわれわれの態度もあるのにかかわらず、常に一方的なもので押しつけられる。  そこで伺いたいのは、いま申し上げたような各種の問題を、むろん建設大臣はそれを一応報告なり経緯なりをつかみながら一つの方向を見出そうということであろうと思いますけれども、四十六年度の予算の編成にあたってこれらの問題の調整はどうなっておるのかということが一つ。  もう一つは、予算要求書はまだ詳細に拝見しておりませんが、むろんこれらの方策が全部予算の上に計上、要求されているものと思います。そこで住宅政策だけに見ても、各省が持っておりますところの予算というものの貸し付けまたは建設資金としてのあらゆる条件というものが統一をした姿を持っておらないのであります。金利がそのとおり。貸し付け限度額が多少、先ほど住宅局長の説明を聞くと、四十万円を四十五万円にするとか八十万円を八十五万円にするという特殊なものはありますけれども、全体としてそれが同じ方向に向かっておらないのであります。建設大臣は、あまり住宅には関係ないというんじゃなくて、非常に関心を持っているものならば、これらの点をただ単に住宅局長あたりから、建設省だけの問題でなくして、他省にまたがっている全体の流れの傾向を承知をして新しい方策を見出そうとするのかどうか、これを伺っておきます。
  24. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) たいへん広範な問題について御質問でございますが、まず第一に一体住宅産業の振興ということは何のためにあるか、といいうことに基本が出てくると思います。これは、要するに住宅を必要とする国民の一番の大事なことは、できるだけ快適にしてかつ低廉なる住宅を提供する。そのために必要なる業界の健全なる発展を期するということが目的でございまして、業界自身のためにのみあるということではないと思います。そういうことで、まず最初問題になりました、資本自由化に基づく外国の技術並びに資本が日本の資本との提携において入ってきている例がある。そのとおりです。これは、一時は日本の業界が、海外から巨大な資本並びに新しい手法に基づく住宅産業の進出がくると業界が非常に困るということで、一時抵抗があったのでありまするが、これは漸次自分たちの体制の整備と、一面におきましては一般国民がより便利にして低廉な住宅を欲するということからいたしまして、政府は御承知のように住宅についても資本の自由化を認めた、こういうことでありまして、この問題は私は国民の合意とそれから業界の合意を得たものと思っている次第であります。  実は一昨日から開催されている晴海のグッドリビングショーなるものを、私きのう若干の時間を割愛して行ってみました。これに行ってみますと、海外の参加も慫慂したけれども、それほど日本の住宅産業に脅威を与えるほどのプロジェクトはまだ出てきていないようであります。やはり住宅に対する欲求並びに慣習上の違い、それから資材等の関係から、むしろ向こうのほうのプロジェクトが、いろいろと参考にはなるようだけれども、直ちにこれが日本の住宅産業を脅威するということにはならないというような感じを受けてまいりました。  その次に、田中委員からいまいろいろ指摘された中で、日本の各省にまたがる住宅政策の統一というような立場から、ただいま御論議があったようであります。これは御指摘のとおり、公務員住宅あるいは一般住宅、それから厚生省によるところの年金等その他の資金を活用するための一つの手法もございます。それから労働者財産形成のための資金もある。それから農住政策に基づく農林省の関与等もございますが、これも要するに、全体として住宅政策は、現在非常に条件並びに量的にも不足しているところの住宅をあらゆる方法をもって充足していくというためにあるものでございまして、形式的画一性はないにしても、その点についてはこれは建設省が主管省として関係省と十分に連絡をとりながらやっている次第でございまして、その間若干のニュアンスの差はありましても本質的には統一されていると、こう思っている次第でございます。なお、家賃とかあるいは資金あるいはその資金コストに重要なウエートを占める金利等がそれぞれの原資によって違っているのは、これはやむを得ないと思う次第でございます。  それから最後に、重要な提案として、政府与党は全然野党の意見をいれずにどんどんやっていくということでありまするが、これはちょっといただけません。というのは、われわれは、もうこのように参議院、衆議院両方面からいろいろの委員会その他を通じて、住宅政策はかくあるべきだというようなことをしょっちゅう言われておりまして、そういうような国会の議員の皆さん並びに野党の各位からも十分に意見を聞いてこれをやっているのでございまして、その点はひとつ御理解していただきたい。ただ、われわれが立法するものと、野党の皆さんが要求するものと完全に一致しない点のあることも事実でございます。その点については、御承知のように、国会に議案提出権がございますから、それぞれの党においてそうした立法権がございますので、そうしたものも十分に道が開かれているのでございまするから、そういうときには各党でそれぞれの住宅政策の立法をなさってけっこうだと思います。ただわれわれとしては、先ほど申し上げましたように、住宅政策にイデオロギーは全然入れておりません。イデオロギーというならば野党の皆さんにむしろその傾向が強いんでないかとすら私は思う次第でございまして、現在のように住宅政策が内政問題の非常に重要な位置を占める今日におきましては、私は虚心たんかいにその意見を聞いておるのでございます。特に建設行政についてたんのうな田中さんの意見は、私は十分聞いてやっておるつもりでございますから、聞き足らない点がありますれば、さらに具体的にお示しございますれば、十分よくそういう点も考慮に入れて、さらに来年の1来年のことを言って、いつまで私が建設大臣にいるかこれはわかりませんけれども、少なくとも私が在任中に関する限りは、そういう態度でやってまいりたいと思いますから、具体的に御指示のほどお願いいたしたいと思います。
  25. 田中一

    田中一君 そこで、いま私が心配するのは、各省が持っておるところの原資というもの、これは五つの建設計画持つとすると——百坪の土地に一軒しか建たないわけです、これは全部かりに宅地を取得するための総計画というものを建設大臣が握っておれば、一個の宅地は一つで済むわけです。むろん選択は建設大臣がするのであります。各省がばらばらにするのではない。こういうところで宅地の仮需要というものをかばう。そうすれば、やはり地価の値上がりということは当然避けられるわけなんです。また住宅金融公庫を原資とするところの住宅供給機関というものは数十じゃありません、数百あるでしょう。これがやはり一つの宅地を、一戸しか建たないという宅地を数十、数百の窓口が、また窓口に集まる方々が、それぞれの機関において——政府に準ずる機関です、これが求めるということによる仮需要というものがどのくらい地価の高騰に拍車をかけているかは、これはおわかりだと思います。私は原資が違うから金利も違うだろうなんていうことは聞かないのです。そういうものでなくして、特定なるだれかに、特定なる云々というものは建設された後の問題であります。建設されるまでは、宅地を求めるまでは建設大臣が全国の住宅建設の窓口になって、これは民間は別であります、個人は別でありますが、行なうべきが正しいのではないか。もしその力があなたの内閣においてそれができないならば、建設大臣住宅政策から手を放す。そして内閣あたりに住宅省をつくってもよろしいし、住宅企業局なんていうものをつくってもよろしいし、そうしていたずらな仮需要というものを押えることを政府が身をもって示すという形の計画を持たなきゃならないのであります。原資が違うからここは金利が安いのだ、これは高いのだというのじゃなくて、国民の税金でまかなうものもあれば、国民が預託しているところの資金の運用もあるわけなんです。それらのものの一切を、一人の主管者が握って運営するならば、その問題は解決される。ことに公営住宅の家賃あるいは国家公務員の住宅の家賃というものと民間との差異というものは、はなはだしいんです。これは事実今度の法律には、法律案としては出ておりませんけれども、あるいは現行法で可能なのかわかりませんが、住宅公団の家賃というものは大幅に上げるということになっておる。これは公営住宅ですらいま住宅局長に話を聞くと、当然物価の値上がりの分は三つの段階、いわゆる国民、利害関係者に聞いて結論を出すんだということを省略して行なうというような冒険は、これはやめなければならないわけです。したがって、政府部内の施策の住宅建設すら統一したところの意見の確立がないわけなんです。おれの所管じゃなければ知らないんだということにはならないんです。あなたの所管で、しょうがなければ、ここで全体の住宅政策、あるいは住宅建設を掌握するところの何かをつくればいいんです。これは設置法等いろいろあるでしょうが、それをこえたところの国民に低廉な負担で持ち得る住宅というものの供給のもとはここにあるんじゃないか、こう私は考えておりますが、建設大臣どうお考えになりますか。
  26. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 建築行政の一元化というようなことでこれが論ぜられておるようでございますが、私は何事も一つの問題をそれだけ孤立して考えれば、もう一元的に何でも観念的にはできます。しかし、社会事情というものは必ずしもそういかないというところに、私はそこに政治的な配慮と解決の方法を見出すということに意義があると思うのでございます。まず、そういう前提に立って申し上げますというと、土地の入手について政府公的機関においていろいろかってにやっておるようなやり方でございますが、原則としてこれは現在では日本住宅公団が大蔵省所管の公務員住宅の入手についてもやっております。地方における供給公社は、これは地方自治体が主としてやっているものであります。そちらにまかしておりまするが、実は必要なものについては住宅公団で相当大規模な土地を入手開発して、その一部を地方供給公社あるいはまた工場用地等にも分譲するというようなことでやっておるのでございます。そういうことからいたしますれば、田中さんが御指摘になりましたように、各省がばらばらにやっておるという事態も絶無とは申しませんけれども、漸次政府政策的に実施する住宅政策における用地取得並びに造成は、住宅公団をしてやらせる、こういう状況でございます。ただ、資金関係等においては、先ほど御指摘のありましたような厚生関係資金あるいは労働省の勤労者財産形成というところで、それぞれのくふうをこらしておるようでございますが、原則として向こうのほうも土地については、できるだけ建設省を中心とする住宅の宅地の取得並びに開発に依存してきておるわけであります。なおまたすでに本年初頭以来、非常に問題になりました地価問題についても、そのために私のほうから提言いたしまして、地価対策閣僚協議会もつくりまして、これを中心としていま各省がそれぞれの措置を講じまして、税制上あるいは資金上あるいは開発の手法等についても、主として建設省の提案に基づいて大蔵省も自治省も経済企画庁もその他も協力していただいている、こういう現況でございます。ただ田中さん御指摘のような事態もありまするので、現状は必ずしもこれで十全とは申しません。漸次そうした方向を強化して一体的な施策を進めてまいりたい。なおまた今後問題になりまするのは、この民間のデベロッパーの開発する土地も、現在ではかなりの限界に来ております、御承知のように。それと新しい都市計画法に基づく線引きの結果、市街地区域に指定されたところについては、これは主として建設省が主体になりまして、都市計画事業あるいは区画整理事業等でいろいろの基礎的条件を整備した上にあるいは住宅地、公共地、その他官公庁等もそこに誘導してくるということで従来に比べますれば、建設省が中心になっての土地政策が今後漸次整備されていく、こういうふうに考えているのでございます。そういう意味でまだ非常に不十分でありますけれども、そうした方向づけはなされているのでありまして、そういう点について、さらに一そうの努力をいたしたいと思いまするので、国会の諸先生から格別なるそうした点についての御指導、御協力を実はお願いしたいと思っておるわけでございます。
  27. 田中一

    田中一君 あなた例外はあろうけれどもと逃げているけれども、例外だらけなんです。一体なぜ建設大臣住宅を専管するというような気持ちを持たないのですか。原資は国家並びに国家関係から出てくる資金です。あなたがお持ちになればいいんです。そうして建設資金建設費、土地の購入費、当然賃貸ならば賃貸の家賃までもあなた自身の窓口からきめればいい。国家公務員なるがゆえに民間の一般大衆よりも安い家賃でなければならないという理由は一つもない。したがって、計画というものは建設大臣が持ちなさい、事実その計画によって建設するのは、どっちみち建設部隊を持たないのですから、適当な建設施工者を選択してやらせればいいんです。先行して一番心配するのは、宅地の取得というこの現実に、政府みずからが多角的な要求——機関によって仮需要という膨大な数にして地価をつり上げるという現状を反省しなければならないというんです。住宅公団が決して住宅公団独自のそういうあっせんという機関を持つわけではございません。民間の宅地建物取引業者なり何なりを手足として、大ぜいの人間を、東京ですらもう一万人という宅地建物取引業者がおります、この人たちを手足として土地の取得に当たっておるわけなんです。ですから、例外ということばで逃げておるけれども、実態というものをもう少し詳しく知らなければならないんです。事ほどさように建設大臣住宅建設の実態を御存じないわけなんです。これはもう住宅局長は自分が所管するところの住宅だけを専心かかればいいんです。ことに最近の傾向としては、住宅金融公庫というこの機関が戦後二十五年にでき上がり、二十年の歴史は持っておりますけれども、この辺で方向転換をして住宅金融公庫は廃止すべきであるというような極端な気持ちさえ私は持っておるのであります。なぜならば住宅金融公庫が一戸当たりに貸す資金では一割ないし一割五分にしか当たらないんであります、極端な表現をいたしますと。もし内容をどうして一割五分かというならば説明をしましょう。公営住宅ですら、今次の予算の要求にどういう形で裏づけをしておるかはまだ見ておりませんが、おそらく今日までの傾向では半分、五割、五〇%ぐらいの資金しか公営住宅に出しておらないんであります。たとえば一種にいたしましても二種にいたしましても、それぞれその資金が三分の二であり、四分の三であるという金額ではないのであります。ただ政策として戸数というもので国民を幻惑しておるのが今日の現状であります。これが過去二十年の現状であります。今日では住宅産業いわゆる住宅建設事業というものは大幅に変貌しております。われわれが二十年前に住宅金融公庫法または公営住宅法をつくったころには、GHQから日本人に住宅なんか、住む必要はないんだと、ころがっていろというような占領政策から出発したことは、あなたも御存じのとおりであります。それがようやく公営住宅法をつくり、国民が家に入れるという希望を持ったのはそのころであります。ところが、今日は他面多角的な住宅供給事業が行なわれております。政府ですら六つの窓口でそれを促進しておる。したがって住宅金融公庫法なり、また住宅金融公庫資金を原資として行なうところの住宅建設機関なり、これらに対して大幅な予算の裏づけと方向を変えなければならぬ段階に来ておるとお考えにならなければならぬと思うんです。私はいみじくも住宅局が四十四年五月に答申を求めた、諮問したところの住宅生産工業化の長期構想とかいろいろあります。いろいろありますが、この中でやはり方向転換を求めているのが、多くの住宅建設に熱意を持ち、それによって、先ほどあなたが言っているように、よくて安い、非常に豊かな住宅に住み得るという希望を持つ国民は、今日はっきりと政府住宅政策の転換を願っておるという事実を知らなければならないんであります。一面住宅建設に対するところの資金は、いま多治見君が言っているように、四十万円を四十五万にしたからといって一体何の足しになりますか。物価はどんどん上がっているんです、上げているんです、政府が。その中でお茶を濁すような形で四十万円を四十五万円にする、八十万円を八十五万円にするだけでは解決されないのであります。全面的に、ほんとうに腰を据えて政府施策のあらゆる住宅政策というものを検討する段階にきていることは事実であります。いまだに二十年前の戦後のあの混乱の中で家を求めたという国民の考え方と、今日ささやかながらも所得が伸びてまいりました、レジャー産業もどんどんふえております、自分の所得のうちの何%か、何十%かをレジャーに使っておりましょう。しかし、健康な堅実な国民は、レジャーよりも家を持ちたいという切実なものがあるんです。公営住宅法にいたしましても、その他の住宅金融公庫法にいたしましても、抜本的な改正をする時期がきたということをお考えくださると、その点については、あなたが現行法のもとにものを言ったんでは、少しも前進にもならなければ、国民はそれを望んでおるんではないのであります。そういう点については、ひとつもう一ぺん御回答を願いたいと思います。
  28. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 住宅を要望する国民に、田中先生が言うように、その必要なる資金の全額を融資してやるべきだということは理想的です。しかし、それをやるとしますと、融資する人の数、具体的に言えば戸数がグーンと減っちゃいます。したがって、政府施策住宅に対する国民の要望との間に、現在ですら非常な、公団住宅に入居する人が少ないと同じように、政府資金に対する要望する人と、それに対する資金を与える人との競争率というか、充足率が非常に少なくなっていると言わざるを得ません。それがはたして政策的に妥当なりや。まあ、金額は全額でなくても、やはり清く広く住宅資金を提供するかというところの、これは政治的な選択の問題が一つあると思うんです。現在は、この資金は全部これは、ほとんど財投資金が主でございますから、この財投資金に対する、あらゆるその要求がありますので、全部が全部住宅だけに集中し得ないというところに、問題点があるということが一つでございます。  そこで、われわれとしてはでき得るだけこの民間ベースで住宅資金が国民に提供されるという道を開くことが必要である。その意味において都市銀行、民間銀行の住宅ローンに対する税制上の優遇をすることによって、相当部分のこの民間資金住宅資金に回るということ。あるいは農協等の資金が、いわゆる農住政策、これは農家の方々の持っておる土地を政府が買い取って、高い値段でそこに住宅をつくり、高い家賃を取るよりも、むしろ農家自身が自分の農地を宅地にかえて、その上に中高層の住宅を建てましてそれを賃貸する、あるいは分譲するという方法をとってもらう。その際に、農林漁業資金との資金コストが違いますから、それについては政府利子補給、補助をするということで、この問題を解決する等、私はやはり現在の日本の実態から見まするならば、多元的な政策をやらざるを得ないと思うのでございます。そういう意味からいたしまして、よく抜本的に、方向転換の時期だ、できるだけ安い政府施策住宅をつくれということは、提案としてはそれ自身の意味はありますけれども、現実の解決政策としては、議論になるけれども、実質的な手法としては、必ずしもこれで国民が要求するような住宅政策の樹立にはならぬというような感じがするのでございます。  その意味において、いまもう一つ検討しておりまするのは、この民間のデベロッパーがわりあいに安く住宅供給ができるために、民間の資金の確保の一つの新しい姿というか、改善を考えるべきじゃないか、それがいわゆる不動産担保証券の活用といいますか、この点がいま不動産銀行等からも提案されておりますので、そうしたことをやはり考えていく時期だ。そういう意味においては、田中さんが言われるように実際に即した抜本的政策転換ということは確かに私は意味があると思います。ただ、それが抜本的転換が全部が政府施策住宅資金利子補給も全面的にやるということになりますと、それに当たった人はいいけれども、それが非常に小範囲にとどまってしまうではないかという懸念がありますので、十分この点は政治的な判断が必要であろうと思います。今後十分に検討いたしたいと思います。
  29. 田中一

    田中一君 どうも根本さん、あなた住宅問題あんまり勉強しておらぬよ、いかぬよ。いま住宅金融公庫に対して自分が融資をしてくれという申し込みが減っているんです。住宅金融公庫に対する申し込みの人は減っているんです。なぜかというと、借りても自分の住む家が建たぬですから。自分の手持ち資金を百万円持っている、だから何とか二十五坪の家をつくりたいといったって、住宅金融公庫から借りる金が足し前にもならないのです。金額を百万円のものを二十万円貸してやって、五人にやったほうが得だという、そのほうが公平だという考え方は不公平であります、かえって。いいですか、地価というものの高騰を考えてくださいと言うんですよ。その五人の人たちはどうしても土地を求めなければならないのです。これを仮需要と言うのです、仮需要。すぐ建たぬけれどももらえたらやろうという。それじゃ、建たないんです、結局。だから私が申し上げているのは、もはや戦後のころの、戦後の混乱時代、私もバラックに住んでおりました。米かついでうちの家族を養った時代であります。その時代に合ったところの公営住宅法なり何なりは、根本的に変える時期が来ているんだ。その対象では満足いたしませんよ、現在の国民はと、こう申し上げている。もう少し心も生活も豊かになってきている、当時から比較いたしますと。インフレも続きました。しかしながらややもすれば自分の家が完全に建つんだというような施策に変えるべきであろうかというんです。これも一つなんです。したがって根本的な考え方を変えてくれというのは、ほしいときに必ず自分の家はできるんだというこの希望であります。  私は一面、住宅公団が低家賃、十年前に入った家賃が安いんです。これは新しく建設された住宅建設費に見合う家賃でありますから高いんであります。ある時期には住宅公団は住宅公団という慣習じゃ問題でございますから、いわゆる法律によって住宅公団家賃という家賃法をつくりなさいと言ったことがあるんです。たとえば十年前にあるいは十五年前に公団住宅に入居したものがそれこそ、いま多少上がっておりますが、一万円か一万二、三千円のところもございます。最近つくる同じ二DKであっても二万五千円、二万八千円という金額になるわけでございます。建築資金に見合う家賃ということになりますと、それは建築材料が上がったり、土地も上がったりしますから、コストが高くなっているということなんです。ある時期はそうした形の改正をして均てんをする。十年前に住宅を持ったというしあわせを受けた人たちは安い家賃である。ようやく八畳一間一万五千円で家族四人が暮らしたという人が十五年暮らして得たときには二万五千円だということになると、これを不公平というんです。政治の貧困というんです。われわれ社会は連帯であります。一人で生きているんじゃございません。資本家と勤労者という、労働者の違いはございますけれども、みんな一生懸命働いているんです。住宅ぐらいはせめて十五年ぐらい前に得た安い家賃の人、これはがまんしてもらう。その方はきっと収入がふえております。八畳一間を一万五千円で借りている人は十五年苦しんできた。同じように収入が増大しているんです。おれの既得権だといっておれの家賃を上げちゃならぬという気持ちはならぬと思います。そこで、いま抵抗をされるとするならば、これは政府の姿勢が悪いからです。政府がみんな、十五年前でも二十年前でも、みんなそれぞれこれから入る人でも生活し得る家賃にするんだという姿勢を示すとこれは納得します。したがって公営住宅法にいたしましても住宅公団法にいたしましても、ましてや住宅金融公庫法などは方向を、戦後二十五年たったこの青年たちが不満なく住めるような質にすることと家賃にすることであります。いま戦後の若者たちが結婚しているんです。いま家を持ちたい時代なんです、戦後の若者たちがですよ。これがアットホームを持ちたいという願望を持ちたい時代なんです。われわれはやみ米を買って家族を養った時代のことを、立法の姿勢がそのまま今日に続いているということはあり得ないんです。転換をしなければならないんです。おそらくこのいろいろな、あなたが指名していろんな意味の答申を受けるというこの学識経験者または利害関係者はおそらく住宅問題に関しては年寄りでございましょう。二十二、三の若奥さんや御主人じゃないでありましょう。そういう方々が現在の青年の心というものが何を求めておるかということを的確に握るのが政治の姿勢、これからの日本のあり方なんです。私どももこうして二十何年間国会住宅問題でやり合っておりますけれども、もう転換する時期であります。そういう意味で、まあ変なことを言うとおかしいけれども、保守党内閣が二十何年間もあぐらをかいていれば前進がない、あったかいです。そうでないところにいまの若者たちの、あるいは母親たちの、父親たちの願望があるのです。若者たちのこの革命的な行動が、学園におきましても勤労者の中におきましても起こっております。何を求めているかということを明確にすること、私がいま住宅問題について質問しておるのでありますから、住宅に関する諸姿勢というものを堅持するときがきておるということを言っておるのです。そこから出発しなければ国民はそっぽを向きます。政治にそっぽを向くのです。そうして現象的には多岐多様にわたるところの住宅産業、住宅供給事業、たくさんなくふうなり発明なり、あるいは資材の開発などを供給しておる現時点を考えなければなりません。最初にアメリカの住宅産業は上陸するだろうと言ったのはそれであります。むろんアメリカのような高賃金のところで1高賃金といったところで、日本人とアメリカ人の社会制度の違いであって、アメリカには御承知のように全然社会保障というものはございません。賃金オンリーで、それも労使の間で話し合って賃金をきめておるのであります。日本には、鼻くそでありますけれども社会保障制度がございます。しかし、これも社会保障制度に対して完全に適用されておるというものも少ないのであります。ここに将来の日本の社会なり姿を考えた場合に、まず切実にだれも彼も同じように求めておるのが住宅なんであります。住宅に対するところの窓口は六つも五つもあるようなこの住宅政策政府が持っている住宅政策住宅建設、これらを検討して、ほんとうに求められるものを与えるのだという姿勢を持たなければならない。そういう意味で私は申し上げておるのです。住宅供給機関というものも、民間を含めて大幅に変貌しております。都市、大都市におけるいまの公害の問題も、ある面まで住宅で解決し得るものもあるかもわかりません。おそらくあると思います。そうした住宅建設、土地の問題、住宅そのものの問題、たとえば小さなうちでも冷房、暖房も見込まれる時期がくるのです。質の改善です。再び軍備を持って戦争に追いやるような形の徴兵制度なんというものをちらちらさせたのでは、国民は承知できない。ほんとうに平和の中で安住する、自分を見つめるというのはやはり家庭であります。そういう意味で私は再度申しますけれども、わが国の持ついまの住宅政策というものは、非常に変貌しておるところの全体の住宅供給事業住宅供給の現象というものをとらえながら、膨大な金を注ぎ込んで、国民の税金を注ぎ込んで、国民から預かっておるところの財投を注ぎ込んで、この法律並びに方向というものを根本的に変える時期だ、こういうことを指摘するわけです。だから、あなたはまあもう一期ぐらい大臣をおやりなさい、一年ぐらい。あなたはよくものを突っ込んで真剣にやるので非常に好きなんです。だからこういうことを言うのです。何も佐藤と競って総裁になろうと思っていないでしょう。かまわないでしょう、びしびしと方向を求めるのです。あなたはよく発言するからぼくは言うんです。どうかひとつこの点について、あなたのいままで一年近い間自分で、そこにいる並び大名から聞いたようなものじゃなくて、あなたが身をもってぶつかっていく——お嬢さんに聞いてごらんなさい、何て言うか。そういうことで、せめてひとつ置きみやげでもいいから方向づけをする。予算は多いに限りませんが、いまのような予算の立て方ではだめです。そうして、いまいろいろ多治見君言っとったけれども、これは現状から一つも出ない。四十万円を四十五万円、八十万円を八十五万円にしたところが、物価の値上がりでもってそんなものペイなんです、できないんです、八十万円を百二十万円にしよう、これならまあ少しは足しになりますけれども、何にもならないんです。こういう点ひとつ、口先とあなたのいままでの短い経験で、そういう並び大名の、あなたのそばにいる部下の言うことだけを聞かないで、ひとつ私の言うことがおわかりならばですよ、置きみやげとしてでもいいから、この方向を求めようではないかというような発言をしてくれて、私の期待にこたえる根本さんになっていただきたい。ひとつ御答弁願います。
  30. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) どうもたいへんな私に対する過大評価をいただきまして恐縮千万でございます。ただ私は、住宅問題については、具体的に、内容については田中さんと必ずしも一緒ではないけれども、発想は相当変えておるつもりでございます。で、実はきのうもあそこの、グッドリビングショーなるものを見て考えたわけですけれども、従来の公営、公団住宅はみんな、障子から畳から、もう相当のものを全部画一的に入れてるんですね。ところが、最近のこの規格化されたプレハブなんかを見ますと、必ずしも私はそういうものは、畳は幾らにして何畳のものをどういうふうに、それでふすまはどうなのかと言わずに、外郭だけを提供して、あとのインテリアその他の施設はそれぞれの入居者自身で、自分で買って入れるか、あるいはまた、それらの家具については、相当このごろは移動が激しいんですから、私は賃貸の供給会社みたいなものをつくったらどうかということを、実はきのうあそこに出品してる諸君にぼくは提案しておきました。そうすると彼らも、そういうふうに政府がやってくれればわれわれも相当フォローしていけると言う。現在の、これは特に田中さんの一番の御存じの建築労務者の、建築労務者、技術者の払底してる今日、金さえやれば住宅ができるという時代でなくなってきてるんですね。どうしてもこれは工業生産化しなきゃならない。しかも、それが一戸建てでやるとすればとてもこれは高くつくから、やはり少なくとも中高層の住宅がプレハブでやられるという時代にいかなければこれはいかない。そうして、この規格は幾通りかこれはきめまして、そうしてこれが政府政策住宅——公団でも公営住宅でも、さらには政府資金でやるもの、あるいは御指摘になりました公務員住宅、幾つかの規格をつくって量産ができるようにする。そうして、その中に入れるいろいろの家具、この中にはいまの、それこそ炊事道具からいろいろと机とかなんとか、これもいかようにでも融通ができるような、これも組み立て式のものを開発していきますれば、私は住居費が相当安くなるんではないか。ところがいままで依然として公営住宅でも何でも、二DKなら二DKというと、一切の、入ればそのまま生活できるということでいくものだから、非常に高くついて、そうして今度はそれに入った人間が、御指摘のように家というものに関する若い人と、まあ明治とはいわぬけれども、大正時代の人との感覚の差があるために、せっかく設備したものが全部変えなければいけない。こういうのはむだなような気がしたので、そうしたことも大いに研究しなければならない、こう思っています。御指摘のように私は十二年前に建設大臣をやったときには、住宅問題がこのような状況でなくて、それからもう十二年のブランクがありますから、たいへんおしかりを受けたように、私の勉強が足りないことは事実だと思います。しかし一般論、何と申しますか訓示的な激励でなく、具体的にたとえば公団の住宅についてはこれこれの規格のものをこういうふうにしたらどうか、そういうふうな具体的な御提案をいただきますれば私も虚心たんかいにそれを受け取りまして、理解し得る限りにおいては措置を講じたいと思います。ただ、現状においては何しろ住宅に関するいろいろの提言は、一つの提案としてはなかなか興味ある問題たくさんありますけれども、これを全般に及ぼすときに、はたしてという、確信をいま持てないところもありまするので、今後一そう勉強いたしまして、できるだけせっかくの田中さんの御指示でありますから、勉強いたしたいと思っております。
  31. 田中一

    田中一君 そこにいる多治見住宅局長だって、もう十五、六年住宅局に関係していたな。いま大臣が言っているように、造作のないうちをつくろうじゃないかということをぼくが提言したのは昭和二十七年です。それは多治見君よく知っているでしょう。ところがあなた、十七、八年ぐらいぼくより住宅政策がおくれているということなんです。これはとうに十七、八年前だな、多治見君、きみよく知っているでしょう。やはり社会党の議員もこう言っていますよと大臣に言ってくださいよ。そうするとぼくがこんなことをいわなくていい。そのとおりなんです。具体的に申しましょう。抽象的に申し上げてもしようがない。したがって申し上げたいのは、政府施策の住宅だけを見ないでください、広く国民が求めている住宅を見なさい。そうすると国が行なっている住宅政策というものがどんなに貧しいものか、どんなに時代の要求からはずれているものかということがおわかりになると思う。それがやはりわかってもらわぬと、何といっても建設大臣ですから、あなたは。ぼくは一議員、国民のかわりにものを言っているのですから。ぼくが行政権を持てば実行いたします。どうも社会党にきそうもありませんから、こうやってあなた方に申し上げているわけなんです。具体的に検討してください。検討を命じてください。問題点は何かということなんです。二十年前の古ぼけた政策だけを持っちゃだめですよ。そうして、もはや御年配の方たち、この方たちは一応曲がりなりにも今日家を持っていると思うのです。ほしがっている人たちは若者たちです。私は住宅三遷なんて言ったことがある、住宅というものは一生のうち三べん変わるべきである。これはもうぼくがいつごろ言ったか、昭和二十二、三年か、二十五、六年ごろですが、まず社会人として女房を持つ、女房と一緒にうちを持つ、うちを持つには一間でもいいです、二間あればけっこう、三間あればけっこうということです。そこに公営住宅なり公団住宅なり1家賃が安いという意味ですよ、入っている。そうして、社会人として一応課長さんかあるいは部長さんになった時分には、お客さんも来るし、子供も大きくなる。四つか五つのものにかわる。年をとって退職したらばそれを売ってもいいですし、貸してもいいです。自分はまた十五坪のうちに入って次の住みかを求めるということになって、金がある人はどんどんそれを建てていけば、そうすれば決して住宅問題というものは、あえて政府にやってくれと言わぬでも済むわけです。昔はそうだったのです、過去は。しかしながら、何といっても人間が多いのです。それも都市集中であります。農村に行けば、人の住んでいないうちが離農して残っているのです。それらの人たちが都会へ都会へと流れてくる。また、甘い条件で若者を呼びますから、どの過疎地帯へ行っても中学卒業者なんかいやしません。そうして、大きなうちを故郷には立ち腐れさしているというのが現状なんです。したがって、大きく変貌しているということなんです。二十五年から見ても非常に変貌しております。生産者、労働者が求めるものは何かというところを原始に返って、いわゆる住宅の中に立って考えて、そこから出発するぐらいの検討をしなさい。これは多治見君なんかずっと長い間住宅行政にぶら下がっていたからよく知っていますよ。いい子が一いい子じゃない、(笑声)いい人が局長になったけれども、それはほんとうに真剣に取っ組んで、今度提案されている法律案というものはなぜこんなものが——批判はあとにしますけれども、なぜこんなものを出すのかということで、きょうはほかの問題も質問したかったのですけれども、こんなものをなぜ出すのかということのほうがぴっときたものですから、住宅問題に集約して申し上げたわけなんです。これはどうかひとつこの際、裏づけの予算の問題もありますし、現状維持でずるずると戸数だけは伸びたという形では、実質的には何も伸びていない。一五%ぐらい予算が伸びたってこれは前年度と同じなんです。物価が上がっていますからね、何にもならないのですよ。そして、予算が伸びた、戸数が伸びたというようなごまかしはやめなさい。それは根本建設大臣らしくないですから。根本龍太郎らしくないですからおやめなさい。もっとずばりとものを言って、いい悪いの問題は別にして、東京海上を一応日の目を見させたような熱意をもって住宅問題に取り組んでいただきたい、ということをお願いします。具体的な問題はいずれお話しをする機会があると思います。   〔理事上田稔君退席、委員長着席〕
  32. 春日正一

    ○春日正一君 たいへん高通な論議のあとできわめて具体的な問題二つぐらい質問したいと思います。  一つは例の東京外郭環状道路、あの問題についてでありますけれども、この前昭和四十二年六月二十九日の建設委員会であの問題、私再検討したらどうだという質問したときには、慎重に検討するという答弁をいただいておったわけですけれども、その後どういう検討がされて、現在どうなっておるか。その辺を聞かしていただきたいのです。
  33. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) お尋ねの東京の外郭環状道路路線の問題につきましては、御指摘のとおり、当院並びに衆議院におきましても当時の建設大臣から検討するというふうな御答弁があったわけでございます。路線の変更の問題と構造の問題両方につきまして、その後鋭意検討を進めてまいったわけでございます。その場合、排気ガスの問題、騒音、振動といったいわゆる公害に関連した問題と、良好な住宅地から立ちのきたくないという住民の要請、こういった点を考慮していろいろ比較路線も想定いたしまして検討を進めたわけでございますが、結局のところ、他の道路との接続の問題でありますとか、その他交通の流れの問題、なかんずく、ことに中央線の沿線につきましては先生もよく御存じのとおり市街地が非常に鎖状に連檐して伸びております。そういう関係で、他の比較路線をとりましても同じような多数の移転家屋が出てくるということがございまして、彼此検討を加えました結果、現在都市計画の決定がされております路線を変更するということは、今日の時点におきましてこれは不適当じゃないか。したがいまして、路線としては現在決定されておるものが適当なものではなかろうか、というふうな実は考え方に立っておるわけでございます。しかしながら、この路線を現実に建設するにあたりましては、前段に申し上げましたような道路構造の点につきましては、昨今の各地で見られますような公害をできるだけ少なくするような方向で検討をいたさなければならぬわけでございます。また、地域の振興と申しますか、新しい当該地域の開発をはかる、つまり幹線道路だけつくればいいというのじゃなくて、その道路に関連しまして新しい当該地域の再開発というような構想もあわせて具体的にはかっていかなければならないというふうに考えまして、目下鋭意検討中でございます。簡単でございますが現在のところの経緯を申し上げたわけでございます。
  34. 春日正一

    ○春日正一君 いまの御答弁聞きますと、何かあの計画決定された路線はどうも動かしようがない。ただやり方としてどういうふうにやっていったらいいかということを検討しているというような印象を受けるのですけれどもね。それで、これはことしの四月八日の衆議院の建設委員会での松浦委員に対する答弁では、結論はまだ出ていない、路線変更については苦慮しておる、工法の検討も含めて慎重に検討しておるというような答弁がされております。原文私はここへ写したのを持ってきていますけれども、要点はそういうことですわ。それから、同じ日に小川委員に対する答弁で、広域的に副都心的な再開発の構想を生かすなら路線は変わってもいいじゃないかというようなふうにも考えておる、という答弁がされておるのですね。大きなプロジェクトを考えて流通機構なりビジネスセンターのようなものをつくってもいいじゃないかというようなことも言われて、これは四月二十八日の和田耕作委員に対する答弁ですけれども、だから必ずしもあすこでなければならぬというふうにきまったわけでもないと、非常にその点では苦慮されてはおるけれどもまだきまってはいないのじゃないかと私は思っておったのですけれども、いまあなたの答弁を聞くと、もうきまっちまって、あとはもう動かしようがないのだ、あとはやりようの問題で、どれだけ排気ガスをなくするかというようなことであるというような印象しか受けぬのですけれども、そこ、はっきりしてくれませんか。
  35. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) ただいま先生から過去の委員会等での御審議の点についてお触れになりましたけれども、前の審議の過程では、こういった幹線道路をつくる際には、単に道路をつくるだけじゃなくて、やはり地域の振興と申しますか、さっき申し上げましたような再開発というような手法も考えて、地域全体の新しい発展ということを考えなければならぬというふうなことは、私どものほうからもお答え申し上げたと思います。したがいまして、そういうふうな再開発等の手法によって路線を変えてもいいというふうな、そういう申し上げ方はしてなかったんじゃないかと私は記憶しております。  それから、現在どう考えておるかということにつきましては、いろいろこの路線につきましては、非常に長い経緯がございまして、非常にむずかしい問題がございます。私どもは現在のルートが絶対これが最上のものであるというふうには実は思っておりません、率直に申し上げまして。しかしながら、こういうふうな経緯でもって長い間検討され、いろんな過程を経て今日に至っておる問題でございます。また、いろいろ地元の方の要請から比較路線等も検討いたしました結果、いまの時点でこれにかわる、はたして最良のこれにかわるようなルートが得られるかどうかという点については、私どもは現在のところは自信がまだないわけでございます。といいますことは、結局するところ、これを実現するためには現在の路線を前提にいたしまして、それに関連いたしますところのいろんな問題を解決をしていくというふうな方法しかなかろうじゃないかというふうな趣旨でお答え申し上げたわけでございます。
  36. 春日正一

    ○春日正一君 もう一度はっきり聞きますけれども、そうすると、この道路をつくるというあの計画決定して筋を引いたところは、まあいろいろ再検討してみたけれども、ほかにかわるところがなかなか見つからぬと、だから苦慮しておると、だからそういうところを再開発していろいろ新しいものをつくっていくというような形にして打開していこうかと考えておると、そんなふうに考えが向いておるというようなことになるんですか。そこんところ非常にはっきり聞きたいんですよ。
  37. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 大体仰せのような考え方でいま私どもおります。
  38. 春日正一

    ○春日正一君 それで、この問題は、あなたも局長になられてからは短かいけれども、前からずっとおそらく関係しておられたんじゃないかと思うんだけれども、あそこへ道路を引くということが、いままで住んでおる人たちの環境を著しくこわすということで、非常に大きな反対ですね。おそらく道路を引くんでこれほど大きな反対という.ものは、ちょっと珍しいくらいな反対でしょう。とにかく地方自治体の議会がすべて一致して反対したし、住民もとにかくほとんどが、相当広い人たちが反対した。だから、あの場合、私行ったんですけれども、これ、いままで七環のときの反対だというと、あの七環道路で土地を取られて立ちのく人が反対したんですね、結局。ところが、そうじゃなくて、いまの外郭環状の場合は土地を取られて出ていく人よりも、むしろ残る人たちがあれ引かれたんでは困るということで、みんなが一致して反対した。そういうことで超党派というような形で反対している。これほど反対しているものを、どうして無理してやれるのか、再検討したらどうかということで、建設省のほうも再検討して見ましょうということだったわけでしょう。そうすると、再検討して見たけれども、どうしてもそこに引かなければならぬということは一体どういうことになるのか、何か住民が納得するようなうまい案があって、あそこに引く、住民はこれじゃ困ると言っている。しかしそれは困らぬように、こうこうこうしますというようなはっきりしたものがあって、それでひとつ話をしてみましょうというなら話はわかるけれども、そういうものが具体的に出てこないうちに、あそこに引くということは動かすべからざるものだというようにきめてしまうということは、これは非常に行政としても無理なんじゃないかという気がするのです。
  39. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) せっかく都市局長と討論をされているのですが、ぼくはひとつこれは政治的な判断として申し上げます。実は私が建設大臣になりましてから、この問題が陳情もございました。それから御質疑もございました。そこで一体外郭環状線の意義からこれは問題にしていかなければならぬ。御承知のように、現在は東京都、特に区部が非常に過密になっている。従来の一切の道路はみんな放射線で、全部東京都心に来ております。そうして東京湾にきておる。今後ますます関越道、中央道、これが発展してきますと、ますますこれが集中してくる。そこでやはり東京都の外郭線に他地区から参りまする多くの経過車両というものをそこでさばかなければ、東京の都市機能が全部麻痺してしまって、公害でひどくなる、そういう発想から出てきたわけです。この点については、いろいろ抵抗があったようですけれども、千葉側はこれは話がついている、埼玉側もついた。ただ残念ながら東京都だけは、特にこれは中央線の沿線に、もう密集住宅地帯がはりついてしまったために、そういう問題が出て、抵抗して今日まできておるということだと思うのです。そこで、外郭環状線の都市全体から見た場合の必要性というものは、あそこの地元が反対しているがゆえにしようがないといって放棄することができない社会問題になってきているわけです。そこで、しからば地元の住民感情並びにその利害を全然無視して強行するということもできません。そこで私が建設省に参りましてからいろいろいままで検討したようだけれども、もう一回現在計画決定しているほかに路線検討をしてごらんなさい。やって、これは東京都側と本省側で相当綿密にやったけれども、これに代替する路線が住民の納得を得て、よりよき条件のもとにやれるところは出てこないという結論になりました。そこで私は、いま春日さんが御指摘したように、七環の問題から見ても、現実に立ちのかせられるべき人たちよりも、周辺の人が非常に抵抗があるということは、やはり七環ができた結果、周辺がたいへん交通公害でやられた、このにがい経験からきた私は発想だと思うのです。そういう観点から、これはただいま都市局長に説明いたさせましたように、単にあそこの道路が必要だから立ちのいてくれということで話ができるはずはない。そうじゃなくて、あの周辺全体の都市再開発を考えるべきだ、具体的に申すならば、もう外郭環状線の周辺に残った人たちの住宅地、あるいはそこにあるいろいろ公的な施設等、都市再開発の手法をもってこれを吸収をして、つくられた後の住環境がむしろよくなるだろうというようなプロジェクトをつくってはどうか。そこまでいくべきだし、そうしていまや新宿をああいうふうに開発したけれども、いま新宿も過密化してきておる。むしろ私は外郭環状線と予定されるところに副々都心をあそこにつくるべきだ、そういうような構想でいくべきなんだ、金はかかるけれども、これはやっていいことじゃないかということで検討を実は命じておるわけなんです。そうして、そのプロジェクトが、なるほどこれならば立ちのいたあとの方々の都市機能がよくなる、かえってその地域の発展になるということになりますれば、あそこの関係の自治体もああいうふうになってくるのじゃないか、そういうことをこれから検討すべきだということを実は命じておるわけです。ただまだそれがひとつの構想というか、その発想だけは私が示したけれども、内容についてはまだいっていないところに、まだ地元と交渉できない段階だと思いますけれども、これは精力的にやって解決していきたい。そうしてそのためには、私はいま発表する段階でないけれども、私自身の一つのかなりな思いつきでありまするけれども、実は事務当局に対しては相当問題あるだろうけれども、私が抱いている構想を何とか生かせということを、実は鞭撻している次第でございまするが、いましばらく時間をかしていただいて、その構想もひっくるめたあすこの地域社会の開発によって、住並びに地域社会全体の私は開発が可能な案ができそうなような気もするのであります。それまでしばらくお待ちいただきたい。その段階まではどうもいままで事務当局並びに東京都が国から相当きつい要請を受けたけれども、代替線はとても出てこない。代替線を出すと、かえって今日以上の混乱を起こすということで、代替線は現在のところ具体的にのぼってきていない、こういう意味で都市局長が説明したことと、こう思いますのでございます。私からもそのよう申し上げたいと思います。
  40. 春日正一

    ○春日正一君 そこで再開発という構想が出てきたわけですけれども、再開発というといろいろあるけれども、どういう再開発が考えられているのか。これはまあ地元の人たちでもそういう話は初めて聞く、いままでの都市再開発といわれると、大体大きなビルか何かが建ってしまって、小さいうちに住んでしまっている人はみんな追い出されるという形の再開発が多かったのです。私はいつもこの委員会で言ってきたけれども、そういうことをやられたんでは、これはなおやりきれぬという印象を受けるでしょうし、非常な不安を受けるわけです。そこで、どういう形でやられるのか、一部沿線全体のあれは二十一キロでしたか、二十四キロですかね、蒲田から大泉まであの沿線全体がそういう再開発で皆さんが喜ぶというような非常な大規模計画になるものなのか、それともこの東名なり中央道なりが乗り込んでくる、そのインターチェンジのまわりだけが一つの副都心みたいな形で再開発されるということになるのか、そこら辺はどうなんですか、こまかいことはともかくとして。
  41. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) 私は相当長期的な展望からすれば、ただ単にあすこの路線をつくるために土地買収をする、そうして後刻道路の何十メートル周辺は再開発するというようなことでは、なかなかこれはおさまらぬと思うのです。やはり私は現状ではあすこはかなりの住宅地として発展したところであり、商業地帯です。そういう点からすれば、しかもまた三多摩地区もまだまだ発展するとすればあそこがショッピングセンターになり、あるいはまたかなりの私は都市機能を持ったビジネスセンターをあすこにくっつけていいではないか。それと住宅、いわゆる職住近接の政策をとっていくということをこれからやったならば、いままでどおりのビルディングの形ではなくて、私はかなりの中高層の住宅になり、そこにいまの公園緑地を入れたり、それからショッピングセンター、あるいはビジネスというあれをつくるというような方法でいっていいじゃないか、そういうものを構想してみるというのはなかなかこれは私の発想が少し大きいものだから、事務当局も少してこずっているのではないかと思います。私はそのぐらいやってあの問題を初めて解決するのじゃないかと思っております。ただこれは私の発想だけでありまして、これを具体的にどういう手法でどういうふうにいまの都市計画法、あるいは区画整理事業というものとどう結びつけるかについて、どうもいろいろ手法的にむずかしいようで、そこでなかなか回答ができていないということです。そういう段階でございますから、まあいま私がこの地位にある限りにおいてはそうした発想に基づいて、少なくともそうしたことで地元と話し得る条件のととのうまでは、これは強行すべきではない、こう思っています。だからその間においては、しばらく私は凍結せざるを得ない。こう思っています。
  42. 春日正一

    ○春日正一君 再開発の問題は、そういうことで大臣の発想ということですけれども、一言っておけば、一番難点になるとすれば、中高層の住宅を建てて家賃が非常に高いものになってくるというような、私再開発法のときの審議のときに述べたようないろいろな問題が、住民にとっては出てくるだろうということですけれども、もう一つ、再開発という話を聞いたあとで、私のほうは一つの問題が出てきたので、私も実は心配したのですが、この図面——御承知のように見てみますと、もう東京の湾岸はきまっちまっている、千葉県のほうもきまっている、埼玉県のほうもきまって、ことしから土地の買収を始めて、来年から道をつくって、もうずっとまわりの道をつくってしまうと、ここは計画決定が一応できちゃうと、いやおうなしにここから行かなきゃならぬように、まわりから攻めてきているという感じが非常にするものですから、そういう形にして住民の大きな反対をまあ無理往生させてしまうような政治をやられたのでは、これはぐあい悪いだろうということで、私この問題お聞きしたんですけれども、そうしたら今度は、ちょうど東名と外環のクロスするところですね、あそこの世田谷区の喜多見というところですね、で区画整理が問題になっているわけです。これは調査費がついて四百六十ヘクタール、東名と外郭環状の接点を含んで副々都心再開発という形で、今年度に測量などの調査費三千四百二十万円ついて、十カ年計画でやるということで測量その他が始まっているわけです。その区画整理の図面ですけれども——大体このここのところがそこに当たるわけですけれども、ここが多摩川で、こっちから東名が入ってくるんですけれども、この区画整理のまん中に大きなインターチェンジができるという図面がもうできているんですね、これは東京都のほうなんですけれども。そういう形になるものですから、ここの住民が一斉に反対しているわけです。いままで外郭環状盾路のときには、世田谷のこの地域だけは反対運動に参加しなかったところです、ほかは全部参加したんですけれども。ところが、そこへ今度はそういう区画整理が出てきた、副々都心つくるのだということで反対しておって、これにはたとえば成城なんかでは、これはまあ与党の、しかも道路関係で最も権威がある議員まで反対の代表になっているというようなことで、反対が起こっているんですね。だから私この話を聞きまして、結局いやおうなしに東名引っぱってきて、あそこにインターチェンジつくって、そこでそういうところは副々都心になるけれども、そういう形で中央道のインターチェンジもできる、関越も何も入ってくるものみなそうなるということになると、その周辺だけは再開発されますけれども、おそらくこれは住宅にはならぬと思いますよ、インターチェンジの周辺というのは。そういうことになるとそれじゃその間はどうなるかと、これはうんと通られて、さっきの話のように、公害の被害を全面的に受けなきゃならぬような計画になっていくんじゃないか。そういうものが現に大臣の構想を離れてこういうものが進んでおる。これはまだ計画決定とか何とかいうんじゃなくて、予備調査の段階のようですけれども、こういう構想のものが発表されて進んでおるということになると、これは沿線住民があれほど反対してきたものを全然無視して、まわりからいや応なしに無理往生させるような形に攻め込んできているんじゃないかというような気がしてしようがないんですけれども、その点はどうなんですか。建設省として当然相談があるわけでしょう、こういうものがもうすでに調査がある以上。
  43. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) ただいまのお尋ねの喜多見地区でございますか、この地域は仰せのとおり、外環の計画路線と東名がクロスしている結接点になっている周辺でございます。それからその喜多見地区から南のほうは、外環あるいは環状道路が多摩川の河川の区域を利用するというふうな構想でございますが、まだそこは都市計画はきまっておりません。したがいまして、ここの地域の外環に関連しました計画は多摩川との関連はございまして、現在はまだ計画がきまっているというものじゃないと私どもは理解いたしております。ただ、喜多見地区につきましては外環に関連する地域以外に一般の都道の幹線道路でございますか、補助線でございましたかに関連した区画整理も計画されているようでございます。これについても地域の住民から反対の陳情が東京都に出ているというふうなことも、私どもは承知いたしております、したがいまして、御指摘の区画整理がいずれ地続きのところでございますので関連はあると思いますけれども、こと外環に関しては、私どもはこれから北のほうに接続いたしておりますところの東名、中央道以北の問題が問題の地域の線との関連もございますので、先ほどからお答え申し上げましたような方向で全体の構想の具体化との関連においてこの問題の処理をしていきたい。ここだけが先に突っ走るというふうなことは適当でないというふうに私ども理解して、したがいまして東京都のほうにもそういうふうに指導してまいりたい、かように考えます。
  44. 春日正一

    ○春日正一君 いまのそこのところですね、そこの区画整理というものはまあ外郭環状と直接関係はないと。いまのあれですね、というふうに言われるのだけれども、それで受け取っておるほうの人もそういうふうに受け取って、喜多見の人たちはとにかく区画整理をされて、そうしてあの辺は非常にいい、良好な住宅地ですね、第一種住宅地域にするような、そういういい良好な住宅地、ここを区画整理をされて道路がうるさくなったりしちゃ困るということで、それだけに反対しておったんですね。それで私ぴんときたんですわ。建設委員を長くやっているものですから、これはどうも外環に関連ありはせぬかと思って、そうして東京都のほうへ行って聞いたりして、こうやって図面もらって調べてみますと、この図面の中にはいま言ったように外環とこれとクロスするところでちゃんとインターチェンジができるように図面に書いてある。これ見せてもいいですよ。あなた方もこれは知っているはずだと思うのですがね。そういうことになりますと、いまとにかくいままでの大臣の答弁でもそういうことで苦慮しておるし、あそこにどうしても必要だと、だから必要だけれどもしかしそのためには住民の被害とかそういうものがないような形でやれるというくふうがつくまでは無理してやらぬという配慮が、大臣もさっき言われている。ところが一方ではそういう形でインターチェンジができてつなげるような形で、こっちのほうの区画整理というものが始まって調査がされている。しかも十年という期限で言いますと、この新聞なんかにも出ておりますけれども、こっちのほうの埼玉、千葉の側はずっと進めてきて、最後のここのところが完成するのは十年後ぐらいだろうと新聞にも書いてありますけれども、そういうと、ちょうどそれと一致するのですね、十年が。だから、私は無理押しをされたのでは困るのじゃないか。それほど、いままで全然反対していなかった人たちが反対してきた、しかも外環がそうなるということもない前から反対しておったのが、あすこの外環にインターチェンジができますよと、そうしてここへいろいろそれに関連する施設やそういうものができてきますよというようなことになれば、この住宅地がめちゃくちゃにされちゃうということで、もっと反対が強くなるだろうと思う。そうしますと、やはりこの問題は関係がないと言われるけれども、そういうもうやむを得ない、引かなきゃならぬだろうと、そうするにはここへどうせ区画整理やるということならインターチェンジのところもというような形で、既成事実がどんどんつくられていっちゃう。そういうやり方でいいものか。そういうことをすれば、住民はますます政府を不信に思うし、反対が強くなるということになるのじゃないか。だから、こういう問題でもやはり十分そういう点は住民の被害の問題というものを考えて、そうして住民が十分納得できるという案を持って住民と話し合ってから計画をきめ、また、事業計画も決定していくというようにしませんと、行政の上から非常にまずいことができる、そういうふうに思います。それでこういうことで計画決定がされて、これは生きているのですね。そうしますと、計画決定されてここへ道路ができるぞというところの人たちは、これからまあ十年先だというふうに新聞には出ている。そうすると、その先まで家を直そうと思っても、どうしたものかという不安がある。特に商売なんかやっておられる方は店を直さないと、つまりお客さんが減ってしまうものだから、直したいけれども、しかし道路がいつくるだろうかと、どうせ立ちのかされるのなら、いまのうちに、地所の上がらぬうちに適当なところを買っておかなきゃならぬだろう。そこに金を出すわけにはいかぬし、そうかといって、いつくるかもわからぬという非常な不安定な状態にあるわけですね。それで聞いてみますと、そういう状態につけ入って、いわゆる土地ブローカーがどうせここは取られるんだから、いまのうちに売っておいたほうが得ですよ、というようなことを言って安く買いたたいて、またよそへ転売するというようなこともやられているというのですね。計画決定ができて、ずっと生きたままでそのまま何年もペンディングでいきますと、そこに乗ぜられた人たちというのは、非常な不安と不利益を受けるわけですよ。だから、私はこの際、やはりこの計画決定というものはそういう大きな暗礁に乗り上げたのだから、一度御破算にしてしまって、その上で、さっき大臣が言われたような大きな構想の立場から、東京に高速で入ってくる車をどうして都の周辺でさばくかというような問題を再検討されたほうが適当じゃないか。そうでないと、これ、きまるまでその線路の上に筋を引かれた中の人たちというのは、非常な不安と不利益を受ける。それをどうしてくれるか、あるいはいやそれは計画決定はしたのだけれども、やらぬからその間はどんどん建てたらいいと、その場合、道路にどうしてもなるという場合には十二分に補償しますとでもいう言明があれば、ある程度安心するかもしれませんけれども、そこらの辺、このままでは二十何キロにもわたる長い間相当な家数があると思いますよ。その人たちがペンディングの中で不利益と不安をこうむらなきゃならぬ。これは何としても救ってやる必要があると思うのですけれども、大臣、何とかこれはできませんか。
  45. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) いろいろと現状に基づく御意見、十分拝聴しました。えてして公共事業については、部分的な立場からすれば非常ないろいろな矛盾がございます。ところで、いま春日さんの言うように、こういうように非常にいまデッドロックに乗っているからこれを解除するということをかりにもしやったとすれば、今度はそれよりより多くの周辺の人はいつ今度はおれのほうが出てくるかという不安が出てくることは事実です。同時に、今度は都心のほうではもう政府が不見識なるがゆえに一たんきめたものをあれやるとすれば、今度はいままでの千葉から埼玉まで全部何のためにこれをやるか、これも解除せよということで非常な混乱がくるのでございます。そこで現状においては解除するということは考えておりません。ただし先ほども申し上げましたように、全体のためのいいプロジェクトであろうとも、地域住民に非常な反対があっておるものを、ただそのまま住民の意向を無視してやらないこと、はっきりこれは申し上げておきます。ただしそこで両方これは話し合いの場をもうけてそうして解決する努力をすることが、政治的な解決の道になると思うのです。そういう段階でありまするので、先ほど申し上げましたように、地元の住民も完全なる納得はあるいはむずかしいかもしれませんが、少なくとも従来の八環のようなああいう公害はない、しかも地元の地域の住環境も改善されて保持される、それからそこの地区の全体の改革になるというように思われる一つのプロジェクトを持ちまして、それから話をしていくということが現在において一番妥当ではないかと私は思う。少なくともそうした手法が、一応の具体的な提案をし得るまでは、これは無理に収用法を適用して何が何でも強権によってやろうという姿勢はとらない。これが現在の私がとるべき態度ではないかと思っておる次第でございます。
  46. 春日正一

    ○春日正一君 じゃあこの問題はまだまだちっとも片づいていないわけですけれども、まあこのくらいにしますけれども、ただ柳町のあの鉛公害の問題を見ましても、いままである道路でも最近の自動車の公害というようなものであらためて道路そのものの構造なりあるいは汚染なりを考えなければ東京というものがやっていけないような状況になっておる。だから当然新しい路線をつくるという場合に、そういう公害を排除できるようなそういう形の配慮が十分されでなければ、ただ道路を引っぱるというだけのことではいかぬし、ただ補償するというだけのことでもいかぬと思う。その点を私は一言つけ加えておきまして、この問題はまあ今後にもかかる問題ですし、十分大臣のほうでもプロジェクトを練った上で私も聞かせていただきたいし、住民の方々とも相談して、まあ大多数!百人が百人といわなくても、大多数がそれならという納得のできるようなものを持たぬ限り、強行するというようなことはしてもらいたくない。この点申し上げておきたい。  大臣お急ぎのようですからもう一つの問題、大臣に先に答弁していただきます。  これは例のグラントハイツの返還に伴ってですけれども、このグラントハイツの返還された用地の利用といいますか、これを建設省としてどういうふうに考えておいでになるのか、その辺大臣の考え方を聞かせておいていただいて、大臣お急ぎなら帰ってもいいから、あと局長からいろいろ聞いた上で、また問題にするようにしたいと思いますから。
  47. 根本龍太郎

    ○国務大臣根本龍太郎君) このグラントハイツは相当な面積でございまして、しかも良好な環境下にあると思います。実はこれについては政府各機関からもいろいろ活用方法についてもプロポーズがあるようでございます。私はこれは首都圏内外このとおり、ことに東京都がこれだけの住宅難である、しかもその住宅難の最大の隘路は宅地でございます。そこで宅地についてはこのグラントハイツをもう全面的に活用すべきだということで、これはもうほとんどの部分を建設省住宅並びに土地政策にこれは回してほしいという要望を出しております。これは中高層の住宅をつくる。これは賃貸を主とします。分譲はしません。そのほうが適当であるといま私は考えております。ただその際、地元の地域社会においてもあれは何とか森林公園にしたいとかいろいろ要望があります。けれども、これはあそこの地元の人はいままで長い間犠牲にはなっておるものの、その地元の自治体だけにこれを差し上げるということもいかがかと思います。しかしながら一面においては地元の地域社会の要望にもこたえる意味で、あそこは都市公園とかその他、住宅団地をつくったならば、それとその地域社会とが共同で使うようないわゆる都市公園的な機能を持ったより広範な地域社会に奉仕し得るいろいろのもの、施設、ある場合には保育園だとかあるいは学校等も必要になってくるでしょう、あるいはショッピングセンターというものも必要になってくるでしょう。そうしたものを一つの地域社会のそれこそ開発のプロジェクトの一環として住宅政策とあわせて使うべきだ、こういうことでわれわれは考えている次第でございます。
  48. 春日正一

    ○春日正一君 それでは初めから質問しますけれども施設庁の方、来ていますか——今度のグラントハイツの返還に伴う米軍の住宅要求ですね。それからその経費、返還の時期、こういうもの、いろいろ言われておりますけれども、その辺返還の条件みたいなものはどうなっておりますか。
  49. 伊藤参午

    説明員(伊藤参午君) お答え申し上げます。  グラントハイツ住宅地区につきましては、他の適当な提供施設に移設するということがあれば返還するという米側の原則的な同意を得ておりますので、その線に沿いまして現在まで具体的計画を調整しております。具体的には特定国有財産整備特別会計に基づきまして、本年度より約四カ年の計画で、総計画額としては三百五十億円を予定いたしております。本年度はその初年度としまして五十億円の予算の成立を見ております。
  50. 春日正一

    ○春日正一君 アメリカのほうで三百五十億円という要求をしておるようですけれども、これは、二千二百戸、グラントハイツが千五百戸分、グリーンパークが七百戸分、これを代替しろということで四カ年で三百五十億、本年度分五十億計上しておるというふうに聞いておるのですが、そういうことですか。
  51. 伊藤参午

    説明員(伊藤参午君) ただいま先生のおっしゃったとおりでございますが、ただ三百五十億円という金額につきましては、米側の要求というわけではございませんで、現在グラントハイツ及び武蔵野住宅地区にあります住宅並びにその他の諸施設を移すために必要な予算として、一応現在考えておる金額でございます。
  52. 春日正一

    ○春日正一君 そうしますと、この五十億円を計上して三百戸と付帯施設をつくる。それを住宅公団か建設して、それで交換してあそこの土地のその分だけ返すという形になるというのだが、そういうことですか。
  53. 伊藤参午

    説明員(伊藤参午君) 先ほど申し上げましたように、特定国有財産整備特別会計でございますので、あと地処分計画としましては、大蔵省その他関係者と調整しておりますが、本年度の五十億円につきましては、一応住宅公団の建築交換方式ということを予定しております。
  54. 春日正一

    ○春日正一君 これは大蔵省のほうへ聞いたほうがいいかもしらぬ。——大蔵省来ておりますか。交換方式という場合、国有財産の処理のしかたとして、これはどういう扱いになるのですか。
  55. 市川廣太郎

    説明員市川廣太郎君) 建築交換契約をいたすのでございますが、住宅公団とそれから国側との契約によりましていまないところに住宅を新たにつくってもらうわけですね、住宅公団に。で、できましたときに、そのできました住宅の所有権を国に移してもらう。その同じ時点で住宅公団にお渡しする土地、これは返還になる土地でございますが、その所有権を住宅公団に移す、そういう契約を、何といいますか、工事に着工いたすより前の時点で行なう、こういう契約でございます。
  56. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、これは本年度五十億というものを予算に組まれて、実施に移されているわけですが、そうすると、来年度以降もこういう交換方式で、つまり三百五十億、二千二百戸建ててしまうまでそれでやるということになるわけですか、そういう考えですか。
  57. 市川廣太郎

    説明員市川廣太郎君) 四十五年度につきましては住宅公団を相手方といたしまして建築交換方式によります契約をいたす予定でございます。それから四十六年度以降の分につきましては、相手方はまだ決定しておりません。おりませんけれども、契約方式といたしましては、同じような方式をとりたいと考えております。
  58. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、相手がだれであっても、つまり特国会計という形でアメリカに要求されたうちを建ててやって、そのかわりに地所を渡すというような形にすると、こういうことですか、どうですか。
  59. 市川廣太郎

    説明員市川廣太郎君) 二千二百戸の建築に要します資金は約三百五十億円でございまして、非常に膨大な額の契約をするということになりますので、私どもの特別会計といたしましてはそのような契約方式をとりませんと、資金繰りが成り立たないという事情もございます。それから相手方がおそらく住宅公団か東京都か、そういう公共団体が相手方となることが予想されますので、建築交換方式をとりましても、実行上困るようなことは出てこない見込みでございますので、全部につきましてそのような契約をやりたいと考えております。
  60. 春日正一

    ○春日正一君 そこ、これは住宅局長のほうに聞きたいのですがね、先ほど大臣はあの跡地は最大限住宅のために使いたいということを言われたのですね。ところが、いままでのような形でとにかく五十億うちを建てたらその分だけもらうというような形でやっていくということになったら、非常に高いものにつくんじゃないですか。非常に高いものにつく。そうすると、安い住宅をたくさんつくるという要求にはこれは沿わないことになってくる。そういう方式の利用方法になるのじゃないですか。
  61. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) ただいま施設庁や大蔵省のほうからお答えございましたように、二千二百戸の移転費が約三百五十億という推定をされているわけでございまして、いま大蔵省のほうからお話ございましたように、これを全部建築交換で住宅公団が引き受けるということになりました場場合は、これは当然三百五十億というのは用地費として家賃計算のほうに入ってくるということになります。現在のシステムとしてはそういうことになります。ただ、先ほどお話ございましたように、まだ最終的な結論が出ておりませんのでどういう形になるかわかりませんが、われわれといたしましては、先ほど大臣がお答えいたしましたように、あの土地は立地条件その他から考えまして、住宅政策に大いに活用させてもらいたいというたてまえでおりますので、ただ公団住宅だけではなくて公営住宅も含めて何らかの形で住宅を建てていきたいということで関係機関と折衝しているわけでございまして、この三百五十億円という金額はこれは仮定のお話でございますが、あそこの面積から考えまして、もしあそこの地価を坪十万円というふうに評価いたしました場合、まだ三百五十億円よりもずっと多い金額、五百億をこす金額という数字が出てまいります。したがいまして、現在の地価その他から考えまして、あの立地では十万円というのが妥当かどうかは今後の検討を要しますけれども、それより相当安くなるということは考えられませんので、われわれとしてはそういった地価を前提として、いろいろな方策でその地価が家賃にできるだけはね返らないように公営住宅のこれは補助金を使う、あるいは公団住宅の場合は低利融資をやるとか、いろいろな方策を考えまして、その地価ができるだけ家賃に響かないような方策をとって住宅を建てていきたいということを検討しているわけでございます。
  62. 春日正一

    ○春日正一君 そこで公園をつくるという話ですけれども、あれだけの面積の中に、五十万坪くらいですね、百五十万平米といいましたか、だからそのくらいのものの中で先ほど大臣も言いましたし地元も非常に要望しておる森林公園とか、そういう公園みたいなものをやはりつくってほしいとか、文化センターをつくってほしいとか、住宅にもそれは付属するでしょうけれども、即住宅にならぬそういう部分が相当要求されるわけですね。それと公団が建てる部分とそれから公営の部分は、どのくらいな比率に考えておいでですか。
  63. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 先ほどお答え申し上げましたようにまだ結論が出ておりませんので、あそこにどういう型式の住宅を建てるかという最終的な決定は、まだいたしておりませんけれども、関係機関と折衝いたします前提といたしまして、われわれのほうの希望的な案でございますけれども、そういったものを幾つかつくりまして、関係機関と折衝のたたき台といいますかそういうものに使っておりますが、その中でごく大ざっぱな数字を申し上げますと、約三分の二くらいは住宅に使わしてもらう。その最終的な結果がどうなるかわかりませんが、そのほか街路あるいは公園、緑地、学校、それから付属施設など、先ほど大臣が申し上げましたセンターその他そういったものをたっぷりとっても、やはりそれくらいは住宅用地に使えるのではないかという想定で、現在折衝しているという段階でございます。
  64. 春日正一

    ○春日正一君 公営と公団の比率、そこが一番問題だ。
  65. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) そこまでまだ数字は詰めておりませんので……。
  66. 春日正一

    ○春日正一君 そこが非常に大事だと思うのですよ。いまのこの方式の調子でいきますと、大体公団に五十億建てさしてはかえてやる、またかえてやるという形になると、私心配するのは、みんな公団になってしまうのじゃないか。そうしますと、やはりさっき大臣の言ったように、十五階とか二十階とか中高層の良好な住宅をつくろうということになれば、おそらく家賃がこれから先つくると四万円、そのくらいになるのじゃないですか。そうすると、その四倍の所得のない者は入れないということになると、十六万円以上ということになりますね。だからそんなものを幾ら建てられてもしようがないので、やはり都営住宅、これならずっと家賃が安くできますし、むしろあの辺の住民はそこを望んでいる。だから都営住宅の比率をむしろ公団の比率よりもずっと多くするというのが、住宅政策の基本にならなければならぬのじゃないかと思うのですけれども、その点が非常に不安定で、東京都の関係者に聞いてみても、非常に少ない、どうも公営住宅にもらえる土地というのは幾らもないのじゃないかというような意見も聞かれてくる。だから私はこれはたいへんなことだと思う。あれだけの地所が東京都内にあって、しかも東京というのは公営住宅建てたくても、さっき大臣が言われたように用地難で十分こなせないような困難な状態にある。そのときにあれだけの地所が返ってきて、しかもこれは住宅に利用できるというのに、公営にしないで公団にするということは、これは非常に大きな間違いだと思いますよ。だからそれを聞いているのだけれども、その点もあなた方のほうでそのくらいの腹がなければ、最初の五十億だって引き受けられないわけです。公団に五十億引き受けさせるときに、今度は公団五十億引き受けるけれども、あとの残りは東京都にどういう形でやらせるとかなんとかいうことがなければまるで無計画でしょう。五十億とりあえず引き受けておきましょう、来年のことはまた来年でという、そんな住宅政策はないと私は思う。必ず計画はあるはずですよ。どのくらい公営を建てさせるのか、そこをひとつ聞かせてほしいのですよ。
  67. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 先ほど申し上げましたように、最終的な案がまだきまっておりませんので、ここで公営幾ら、公団幾らというふうなお話はまだできない段階でございますが、このあと地の利用そのものについても、まだ、東京都には東京都のいろいろなお考えがあるようでございまして、そういった折衝、それから地元のいろいろの要望もまた先ほどございましたようにございますので、そういったものを詰めてからでないと、最終的にはどういう形にするかという結論は出ないというふうに考えております。
  68. 春日正一

    ○春日正一君 くどいようだけれども、とにかく計画がありませんといって、もうことしから始まっているでしょう。五十億というものがもう公団が引き受けてやっているでしょう。それでまだ計画ありませんというのは私はおかしいと思う。それじゃ無計画じゃないか、行きあたりばったりじゃないか、一体何のために役所があるのか。
  69. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 当面本年度の先ほどの五十億円の予算住宅公団に計上されておりますので、そういうお話が出てくるのだというふうに考えますし、また当然そういう印象もあるかと存じますけれども、われわれといたしましては、この中の相当部分をできるだけ公営住宅にさきたいということで考えているつもりでございます。ただ、最終的にこれを公営住宅何戸というふうなお答えができませんので、先ほど申し上げたような答弁になったわけでございます。ただ考え方といたしましては、もちろん先生のおっしゃるように、できるだけ低家賃の公営住宅をこの地区にもたくさん建てたいということで、今後折衝していくつもりであります。
  70. 春日正一

    ○春日正一君 それから大蔵省のほうですけれども、大蔵省として三百五十億出せと言われれば、その三百五十億をその土地から生み出したいという役所自体の立場というものはわかるのだけれども、しかしいまの議論、あなたが聞いておってもわかるように、とにかく東京の住宅問題を解決していくという意味からいえば、やはり一番家賃にかさんでくるものということになれば、土地の代金ですね、特に東京の場合は。公営住宅でもそれだけ高くなりますよ。特に用地費の補助というのがなくなったわけですから、利子補給はありますけれども。だから当然そういう特国会計で出ただけのもので払わしていくという形でなくして、たとえば国有財産法によれば、普通財産なら、たとえば公共団体において緑地、公園、ため池その他に供給する場合には無料で貸しつけができるとか、あるいは道路、公園というようなものをやる場合には有償でも安くできるとか、いろいろ規定があるわけでしょう。そういう規定を使って安く払い下げるということはあなた方考えないのか、できないものなのかということですね。
  71. 市川廣太郎

    説明員市川廣太郎君) 公営住宅を東京都がおつくりになるという部分は、これからきまるというのでありますれば、そこは国有財産法の規定によりまして五割減額することもあります。それからいま一つ公園等になる部分が若干でもありますれば、それは無償で貸し付けするということもございますけれども、総体といたしましては少なくとも三百五十億円は確保しなければいかぬ。私どもといたしましては、三百五十億円だけではございませんで、できたらいま少し処分収入が入らないかということで、現在検討しておるわけでございます。
  72. 春日正一

    ○春日正一君 あなた商売人みたいなことを言うけれども、一つの国なんだから、住宅政策というのは国の一番根本問題なんだから、だから三百五十億円をどうしても取らなければならぬということでなくて、大臣じゃないからあなたに言ったってしようがないけれども、何とかしてほしい。  もう一つ施設庁のほうに一言聞いておきたいのだけれども、これは三百五十億円を二千二百で割ってみると、一戸当たり千六百万円ですね。日本の国民の住宅というのはそんなんじゃないですわ。それをアメリカの軍人が住むために千六百万円もかけた家をつくってやって、その分を払うために、いまの特国会計でもって全部住宅公団なり東京都なりがしょわされて、それで住宅に困っておる日本の国民が高い家賃の住宅に住まわされるというようなことは、これは許されぬと思うのですよ。だからアメリカに対して、大体アメリカの兵隊というのは日本を守るためにおるのじゃないでしょう、これはあなた知っているでしょう。ジョンソンがこの間の発表された証言ではっきり言っていますよ。日本の自衛隊は日本を完全に守り得ると、いまアメリカは日本に一兵といえども日本を守るための軍隊を置いてないと言っていますよ。そんなもののために何で千六百万もかけて家を建ててやって、そのために日本の住宅に困る勤労者が高い家賃の家に入らなければならぬのか。だからもっと値切りなさいよ。せめて日本の公団並みの家に入りなさいと言えませんか、言ったことはありますか。その点あなたにそれを責めてもあれだけれども、言ったことがあるかどうか。防衛施設庁としてアメリカにもっと日本の公団並みの家に入ってくださいと言ったことがあるか、そこを聞かしてください。
  73. 伊藤参午

    説明員(伊藤参午君) ただいまのお尋ねにお答え申し上げます。  先先の御質問に関しまして、私の所掌内だけについて御説明申し上げたいと思いますが、一戸千六百万相当というようなお話につきましては、本件は、グラントハイツ地区は、ごらんになっていただけばわかりますように、住宅以外のいわゆる一つの地域社会というものを構成しておりますので、そのために必要な学校、それから運動施設、それから日用品のこまごましたものを買い整える施設、それから消防署、郵便局といったようなものがございまして、単に総額三百五十億円を建築戸数で割っていただきますと多いようでございますが、一つの町づくりということを考えますと、私どもとしては妥当な数字だと思っているわけです。それから三百五十億円につきましては、先ほど申し上げましたように、私どものほうで一応試算した数字でございますので、当然米側とは今後の折衝によってこの金額というものをある程度節約するということは可能かと思います。ただ、現在グラントハイツ及び武蔵野住宅に現実に米軍人とその家族が住んでおります。それにつきまして私どものほうから積極的に返還というものを要請しておりますので、現在両住宅地区において彼らが営んでおります機能といったものは確保しなければならないというふうに考えております。
  74. 春日正一

    ○春日正一君 もう一つだけにしておきますけれども、これはグラントハイツが千五百戸グリーンパークが七百戸となっておりますね。そうしますと、グリーンパークというものは別なところにあるわけでしょう。その分までグラントハイツの地所にぶっかけるのですか。
  75. 伊藤参午

    説明員(伊藤参午君) 先生御指摘のように、グラントハイツに約千五百戸、グリーンパークに約七百戸ございます。本計画につきましては、東京旧市内及び非常に近い武蔵野市にございますが、そういった都心部の住宅といったものを集約して郊外地区に持っていくということで計画しておりますので、グラントハイツ、それからグリーンパークにも国有地がございますので、これの処分ということも合わして考えているわけでございます。
  76. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、両方で三百五十億ですか、グラントハイツの地所とグリーンパークの地所と両方で三百五十億。だから、それだけあれば、住宅公団がかりに全部それをやったとすれば、両方全部住宅公団のものになる、こういうことですか。
  77. 伊藤参午

    説明員(伊藤参午君) 三百五十億と申し上げましたのは、建築戸数二千二百戸に対する建設関係の経費でございますので、その結果返還になってまいります土地の処分ということになってまいりますと、別にその金額ということでは考えていないわけでございます。建築交換方式で申し上げますと三百五十億分——先生かりに住宅公団とおっしゃいましたので、住宅公団で全部引き受けたとしますと、三百五十億円に見合う土地だけが交換の対象になるわけでございます。
  78. 春日正一

    ○春日正一君 わかりました。
  79. 田中一

    委員長田中一君) 本日の調査は、この程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十一分散会