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渡辺武君 そうしますと、安保条約に違反して
極東の範囲をはるかに逸脱して太平洋全域に自由に出撃できるという
性格と任務を持った部隊、これが
日本の本土にいま厳としているのに撤退を要求する意思はないということになりますと、このことが、
つまりアメリカ軍の
限界、
長官御自身が衆議院の
内閣委員会で御
答弁された
アメリカ軍の
限界なるものが、これがすでに
極東の範囲を越えて、アジア、太平洋全域に広がっているということをはっきりと物語っていると思う。
つまり、本土の基地がすでに現在の沖縄同様に変えられてしまっているということを私ははっきり示していると思う。また、こういう安保条約を適用されると言われる返還後の沖縄
——あなた方は沖縄が返還された暁には、安保条約とその関連取りきめはすべてそのまま沖縄に適用されますと繰り返し言っているけれども、安保条約の
性格そのものがこうやって変わってしまっている。だとすれば、こういう海兵隊だけではなくして、先ほど申しました中央管理施設あるいは第七心理作戦部隊、こういうようなアジア太平洋全域を相手にしていつでも出撃できるというような部隊が、
つまり安保逸脱の部隊、これが今後沖縄にたくさん残されるということが私は明らかじゃないかと思う。したがって、沖縄が引き続き
アメリカのアジア太平洋の多角的軍事同盟
体制の扇の要の
役割りを演じさせられる、返還後もその
役割りを演じさせられるということも明らかだというふうに思わざるを得ません。少なくとも、
長官の
答弁はそのことをわれわれにはっきりと示しているというふうに思わざるを得ません。この点をはっきり申し上げて私は次の
質問に移りたいと思います。
いまの
長官の御
答弁でも明らかになりましたように、こういう危険な安保条約のもとで先ごろも第四次防構想を発表されましたけれども、それにも見られるように、
日本は急激な勢いで軍事力の拡大、軍国主義復活の道をいまばく進していると思います。こういう動きに対して、
世界各国、特にかつて
日本から
侵略されたアジア
諸国が、こうした動きに対して非難や警戒の念を高めているということは、もうすでに
長官御自身よく御存じだと思う。
日本国民もこの動きに対して重大な不安を
感じております。そこで、こうした国際的な、国内的な非難から体をかわして、できるだけ平和的な装いをこらしながら、実質的には
アメリカに従属したもとでのいわゆる軍事大国にのし上がろうというところに当面の
政府、とりわけ
防衛庁長官の課題があるんじゃないかというふうに見受けられます。
佐藤総理の国連演説だとか、あるいは
長官御自身の訪米発言、あるいは今回の
防衛白書、こういうものを見てみますと、このことが非常によくわかる。
長官は、
非核中級国家としての
防衛構想というようなことを盛んに宣伝していらっしゃいますけれども、私は、こういう
ことばのもとで、まさに
長官が進めておられることは、これが
日本の軍国主義復活そのものだと思う。そこで伺いたいことは、先ほど他の
委員に対する御
答弁の中にもありましたが、
長官の今回の訪米、これの
目的は、これは基地の整理統合だとか共同使用だとか、沖縄
防衛だとか、あるいは日米双方の
防衛責任などについての話し合いということにあったというふうにいわれております。ところが、この火薬のにおいのふんぷんたる話し合いの中で、
長官は、濃縮ウランの技術的知識の
アメリカによる提供、それからまた第三国を交えた合弁事業設立などを
アメリカに提案されておられます。私は、この問題は今後の
日本の核
政策、さらには
日本民族の運命、こういうものにきわめて重大なる影響を及ぼすものだと思います。
そこで伺いますけれども、
防衛庁長官は一体何の資格でこのような重大な提案をされたのか。発言内容の少なくとも骨子のすべては総理
大臣や
科学技術庁
長官には当然打ち合わせ済みのことだったと思いますけれども、その点どうなのか、また、原子力
委員会がこのことを承知の上のことであったのか、以上三点についてまず伺ってみたいと思います。