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参考人(
岩佐凱實君) いまの
先生のお話でございますが、ベンディングの問題についてはやや詳しくお話をさせていただきたいと存ずるのでございますけれ
ども、
トムソンは、先ほ
どもちょっと申し上げましたように、経営者は別問題といたしまして、事業そのものは自動販売機による清涼飲料水の販売ということで、これは将来性のある成長産業であるということは一応言えると思うのでございますが、そこで
トムソンがいよいよ倒産というようなことになってまいりましたのでございますが、そういうことに相なりますと、当行といたしましては、この
トムソンに対する債権の保全ということもございますが、同時に
トムソンが倒産した場合に生じます業界の混乱を防止するということも必要であり、そして、もしも業界が混乱いたしますと、この自動販売機のオペレートが混乱いたしまして、そしてそのために消費者にいろいろな迷惑をかけてまいるというような点もございますので、その点も配慮いたしたわけでございます。そこで、コカコーラの側といたしましても、そういうようなことが起こりますというと、コカコーラに対する
一般のイメージというものの低下を来たすというようなこともございまして、コカコーラとしても営業を一日も断絶することなしに、ほんとうに信用のできる経営者にこの仕事をやってもらいたいというような希望をコカコーラとしても持ったわけでございます。そこで、
銀行といたしましても債権をより以上いいものにしていくというような観点から、そしてまた、いま申しましたコカコーラの流通面の混乱、それからコカコーラのイメージダウンを食いとめるといったような点も考慮いたしまして、そこでコカコーラと相談いたしまして新しい会社を設立いたしまして、そのコカコーラの自動販売機によるオペレートの仕事をその新会社が引き受けるという目的をもって新会社を設立したわけでございます。それで、かねがね丸紅飯田が、自動販売機による清涼飲料水というものは将来成長産業であるがゆえに、こういう仕事を手がけたいという希望を持って相当な研究を進めておった次第でございます。そういうようなことで丸紅飯田とも相談いたしまして資本金一億円で
——そのうち丸紅飯田は四千万円を出資いたしまして新会社を設立いたしまして、コカコーラからいわゆるフランチャイズを受けて新会社が成立したわけでございます。そして、この新会社の営業の将来でございますけれ
ども、これはいろいろ研究いたしましたところでは、五億円の営業権をもってスタートして、それは大体五年間でもって十分償却できるだけの収益があがっていくであろうという見通しも数字上は立っておりましたが、設立の当初はどうしても赤字になりがちでございますので、安全をみまして、それに二年を加えまして、七年間でその利益によって営業権を償却していくということにいたしまして、その営業権として
トムソンに対して
銀行が持っております債権を新会社のほうへ譲渡したわけでございます。それで、いま
先生の御
指摘がございましたように、そういう新設の会社員それじゃ
銀行が無担保で五億円をその営業権を買い取るための資金として貸すことがいいのかどうかという御
質問の御趣旨であろうかと存じますけれ
ども、まことに仰せのように、普通の場合において新設の会社に担保なしに五億円というような多額の金を貸すことはございません。しかし、これは、いまも申し上げているような次第でございまして、あくまでも私は異例の貸し金であると考えております。しかし、いまもお話し申し上げているように、これは営業を今後において続けていってみなければ、それははたして五年ないし七年で収益によって営業権を消しても、そうして
銀行としてはその債権を
——五億円のゼネラル・ベンディングに対する貸し金を回収できるかどうかは、それは率直に申しまして、やってみなければわからないと言わざるを得ないと思うのでございますけれ
ども、現在におきましての一応のめどといたしましては、七年かければ十分にそれは回収可能であるということでゼネラル・ベンディングに五億円の
貸し付けをやっておる次第でございまして、
銀行の
立場から申しますれば、
トムソンであればこれはいわば回収不可能なものでございますけれ
ども、ゼネラル・ベンディングにそういうことでやることによりまして
——これは一応回収可能というめ
どもついておりますし、また場合によればこの自動販売機による清涼飲料水
——コカコーラのみじゃございません、清涼飲料水の販売の仕事というものがあるいは成長産業としてより以上発展いたしまして、もっと収益がよけい出まして、あるいはもっとすみやかな時期に回収できるかもしれないと
——これは楽観的な見方ということでおしかりを受けるかもしれませんけれ
ども、そういう見方もいたしておるわけでございます。それでよろしゅうございましょうか。