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1970-04-10 第63回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月十日(金曜日)    午後一時四十三分開会     —————————————    委員異動  四月四日     辞任         補欠選任      瀬谷 英行君     藤田  進君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松本 賢一君     理 事                 若林 正武君                 渡辺一太郎君                 和田 静夫君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君     委 員                 亀井 善彰君                 今  春聴君                 菅野 儀作君                 田口長治郎君                 長屋  茂君                 矢野  登君                 北村  暢君                 藤田  進君                 安永 英雄君                 峯山 昭範君    国務大臣        国 務 大 臣  中曽根康弘君    政府委員        防衛政務次官   土屋 義彦君        防衛庁長官官房        長        島田  豊君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        防衛庁人事教育        局長       内海  倫君        防衛庁経理局長  田代 一正君        防衛庁装備局長  蒲谷 友芳君        防衛庁参事官   江藤 淳雄君        防衛施設庁長官  山上 信重君        防衛施設庁総務        部会計課長    高橋 定夫君        防衛施設庁施設        部長       鶴崎  敏君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   鎌田 英夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十二年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十二年度特別会計歳入歳出決算昭和四十二年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十二  年度政府関係機関決算書(第六十一回国会提  出) ○昭和四十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第六十一回国会提出) ○昭和四十二年度国有財産無償貸付状況計算書  (第六十一回国会提出)     —————————————
  2. 松本賢一

    委員長松本賢一君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三日、初村瀧一郎君が辞任され、その補欠として剱木亨弘君が、四日、瀬谷英行君が辞任され、その補欠として藤田進君が、それぞれ選任されました。     —————————————
  3. 松本賢一

    委員長松本賢一君) 昭和四十二年度決算外二件を議題といたします。  本日は、防衛庁決算につきまして審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。議事の都合により、防衛庁決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、会議録の末尾に掲載したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松本賢一

    委員長松本賢一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言願います。
  5. 和田静夫

    和田静夫君 会計検査院にお尋ねをいたしますが、会計検査院昭和四十二年度決算検査報告には、付表の第一、第二ということで、昭和四十二年度一般会計決算確認額表既往年度一般会計決算確認表というのがあります。ここに載っているのは防衛庁関係費ばかりです。防衛庁関係経費の性格上、そのこと自体はわからないわけではありませんが、問題は同じ項目のものが三年連続載っているということであります。たとえば昭和三十九年度甲II型警備艦建造費昭和四十年度甲II型警備艦建造費がそうですが、昭和四十年度甲II型のほうは艦の本体がまだできていないわけですから理解できるとしても、昭和三十九年度甲II型のほうは艦の本体ができていても部品が届かないために、未確認に三年も四年もなっている。これは四十三年度決算では確認をされましたか。
  6. 鎌田英夫

    説明員鎌田英夫君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問でございますが、三十九年度甲II型警備艦建造費、これは、未確認の掲載の方法は、この前にもちょっと申しましたけれども、防衛庁に関しましては一部未納入あるいは全部未納入と、そういったものにつきまして従来未確認に計上してあったわけでございますが、先生いま御指摘のとおり、四十年度確認額、同じ艦船につきまして——警備艦につきまして、四十年度、四十一年度、四十二年度と、そういったものにつきましてそれぞれ同じものが出ておって金額が違ってきていると、こういうことでございます。四十年度の未確認額、ここにあげてありますのが一億一千四百八十九万七千六百円、これでございますけれども、この内容はアスロック装置関係三件と、それから電波探知装置関係一件ということでございましたけれども、これがその後納入され、検査の結果、妥当であると認定したわけでございます。四十一年度の未確認額につきまして、同じ警備艦で千三百四十三万一千六百円と計上してございますが、これは先ほど申し上げました電波探知装置とは別の電波探知装置千三百四十三万一千円というものが発注されまして、これが納入されていない、当否検査院も留保するということでございまして、四十一年度に計上したわけであります。四十二年度について申し上げますと、これは五インチ砲用装置砲でございます。二千六百九十六万七千円というものがまた新たに発注されまして、その分につきまして未納入当否を認定しておりませんので、未確認に残した。なお、ちょっと申し忘れましたけれども、四十一年度電波探知装置、これはこの四十二年度確認額には入っておりません。これはその後納入されて妥当なものであると認定いたしまして、四十二年度の未確認額からは落ちているわけでございます。四十三年度についてのことでございますけれども、四十三年度決算検査報告作成時点におきまして全部いま申し上げたのはまだ未納入でございます。以上でございます。——失礼いたしました。四十二年度確認額であげております二千六百九十六万、五インチ砲用装薬砲でございますが、これは昭和四十三年度決算検査報告作成時点においてまだ入っておりません。以上でございます。
  7. 和田静夫

    和田静夫君 端的に言って、昭和四十三年度決算検査報告に未確認額表を掲げていませんね。その理由は一体どういうことなんですか。
  8. 鎌田英夫

    説明員鎌田英夫君) 四十二年度まで防衛庁の未確認事項を掲記してございましたけれども、四十三年度にこれを全部落としております。その理由について申し上げます。大体防衛庁につきましては、創設の当時におきましては、非常に何と申しますか、新技術の導入的なものが多くて、中には購入物品で当初こちらが発注したものと異なる品物が入る、あるいはせっかく入っても、しばらく時間が経過したために陳腐化したものが入るおそれがあるんじゃないかというようなことで、納入を待たないと、その購入当否というものの認定がつきかねる。そういうものが多々あるんではないかというようなことで、大体納入されてないもの、あるいは一部未納入のものにつきましては、未確認事項として全部計上しておったわけでございます。まあそのねらいといたしましては、検査院といたしましては検査報告に掲記して、後年度におきまして積極的に検査を継続してやっていくんだ、そういう意図を表明するというのが検査院側意思表示でございますし、またあわせまして、防衛当局に対しましても、実際に品物が入った場合の検収と、それからまだ入っていない、非常に長期間にわたって未納入である、そういうものにつきましては納入促進を強化していただくと、こういうような目的もあわせて持っておったのでございます。まあこれが当初の状況であったわけでございますが、その後も引き続き同様なおそれがあるんではないかというようなことで、未確認額事項をずっと掲記してきたわけでございます。しかしながら、近年におきまして防衛庁関係物品購入というものにつきましては、新技術導入というような調達がかなり——拝見いたしますと、少なくなってきた。それから先ほどちょっと申し上げました、検査院的な目で見た、まあ何と申しますか、発注品と違ったもの、あるいは時日が経過したためにせっかくの品物が陳腐化して役に立たないというような、そういう心配ももうほとんどない。そういう考慮をする必要はないということで、概算払い前金払いといたしましたものについて、その誤りの起こらない、こういうふうに考えられますので、これを未確認事項として特に残しておく必要はないんではないか。前金払い概算払いいたしました契約及びその前金払い概算払いの支払いについてその当否検査いたしまして、それが妥当であるという一応の結論を得まして、掲記しないというようなことになったわけでございます。したがいまして、四十二年度までの検査報告と、四十三年度検査報告というものにつきまして、非常に変わった形になっておるわけでございますけれども、ただ従来から、未確認に計上するしないは、会計検査院一つ判断でございまして、その判断に基づきまして、ことしは先ほど申し上げましたようなことから計上しなくてもいいと、こういうことになりまして落としたわけでございます。しかしながら概算払い前金払い、こういうものを検査報告から落とした、だからといって検査がこれで終わったという態度では決してございません。今後もその納入状況あるいは精算、そういったところまで一貫して十分検査をしていく、こういう方針であることは従来と変わっておりません。現在すでにその点につきましてはトレースいたしまして検査している状況でございます。  以上でございます。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 いまのところは意見がありますから、後ほど述べますが、防衛庁に尋ねますが、いま検査院から大体の答弁はあったんですが、確認をしておきたいんですけれども、昭和三十九年度甲II型警備艦建造費、その四十年度分については、決算検査報告の一七七ページに「艦船機器および通信機器購入代金として前金払したものであるが、一部未納入などのため」とありますが、この艦船機器とは何ですか。
  10. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 搭載機器のことでございまして、先ほど検査院からもお話がありましたアスロック装置電波探知装置でございます。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、アスロック装置電波装置とが納入されたので、四十一年度分で今度は通信機器が残った。そうして未確認の残額も減った。そういう形のことはそれで理解していいわけですが、四十二年度分になると、今度は弾薬部品が出てきて、これが未確認額がふえる原因、こういうことになっているわけですね。これはたとえば最終段階予算余裕が出てきたので弾薬を買った、そういうことですか。
  12. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 艦艇を建造する場合には、大体五カ年程度継続費を組みますけれども、現実の毎年の歳出については大蔵と折衝しまして、一番効率的な、一番金の要らない方法を考えて計画を立てます。そういう意味で、この三十九年度甲II型艦というのは四十三年の三月に竣工すると、それまでに必要な装備を入れる必要があるということで、注文しましてから時間のかかるものは早く発注しますけれども、注文しまして簡単に入るものは、なるべく竣工に間に合わして発注するということでございまして、いま申しました五インチ砲用装薬は、米側のほうでも半年もあれば納入できると、在庫があるということもありましたし、またいま申しましたように、予算執行段階現実歳出が毎年折衝がありますので、その大蔵との話し合いの関係もありまして、四十二年度予算を組んで注文すれば竣工に間に合うということで、初めからの予定計画でそういたしましたものでありまして、予算余裕があるからという問題ではございません。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 実は、ずっと表を追って見てきますと、いまも御説明がありましたが、軍事有償援助にかかる部品機器が未確認になっている事例がたいへん多いわけですね。したがって、その間の事情というのは疑えば、非常に疑える事情を持っているんですが、アメリカからの有償援助は、アメリカにとっては旧式になった余りものが多い。そのためにアメリカ企業自体が生産を停止したりしているためであると巷間言われますが、そういうことはありませんか。
  14. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 結論的に申し上げましてそういうことはございません。われわれとしましても、現在の装備にない最も必要な、最もいいものを入れるということは当然でございます。たとえ、いまのお話のような装薬などにつきましては、アメリカ軍在庫を持っているという前提でございまして、大体いままでの有償援助でわれわれが入手しますものの態様を申しますと、第一点は第一次防、第二次防で米軍から貸与されました装備品部品、これは自分でつくるのはもったいないですし、金がかかりますし、またアメリカ企業に頼んだんでは高くなる、米側在庫からもらったほうが安くて確実であるということが第一点でございます。第二点は、米側機密最優秀品をもらうためには、どうしても一般では手に入らないということで、米軍を通じて機密のものをもらうということが第二点でございます。第三点は、一般的に申しまして日本で生産するよりも買ったほうが安いと、その場合に一般輸入よりも米軍を通じて買えば安いというものがあれば買うと、そういう大体三つありまして、われわれとしましては、いまの装備も必要なものを必要な方法調達しますけれども、先生の御指摘のような、悪いもので、米側がつくってないものというものにつきましては、初めっから計画にはつくりませんので、そういうことはございません。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 そうすれば、契約書で当然在庫のものをねらうなどということになれば、納入期限が明定——明定といいますか、明記をされていると思いますが、その納入期限納期は厳守をされていますか。
  16. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 一般契約につきましては、当然納期が問題になります。そうした意味で、先生指摘のように、未確認事項の中で、国内調達用のものにつきましては、これは契約どおりいっておりまして、当然未確認になる問題でございます。ただ、米側有償援助のものにつきましては、明記した納期が実はございません。と申しますのは、米側のほうで、やはりいまの米側としましては各方面に供給をしておりまして、各国に、あるいは場合によってはベトナムのような問題がいま起きております。そうした意味優先順位がかわる場合があるわけでございます。ただ、われわれとしましては、こういう計画でこういうものを入手したいと向こう側と折衝しまして、大体その期間に入れるだろうということで計画を立てます。そうした意味のわれわれが予定します、また米側が約束するという意味期限はございます。ただ、契約上に言うようなはっきりした何月何日に必ず入れるという納期というかっこうのものはございません。現実は、いま米側との話では、長い——普通は大体二年ぐらいはかかるであろうという前提でわれわれももちろん計画を組みます。もちろん短かいものもございます。その中で、大体私のほうが予定しまして折衝し、向こうがそれまでには納められるだろうと言ったものの中で九〇%強は予定どおり入っております。ただ、残念ながら一〇%弱のものの中に、米側がほかの国へ供給する関係の、あるいは米軍として現在各方面に手を出しておりますので、その関係優先順位が狂ってくるというものが実は未確認になっているというものが多いのでございます。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと戻りますが、そうすると、たとえば船ができても部品やら器械、機器が届かない、納期がないんですから、機器が届かないためにそいつは動かないと、こういうようなことはありませんか。
  18. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) そういう事実はございません。たとえば、先ほど例にあげました三十九年度甲II型艦で申しますと、アスロック関係につきましては一部部品が届かないことがございましたけれども、現実装備はしまして現実訓練はいたしております。五インチ砲につきましてはこれは遅れましたが、ほかの船が持っておりますので当然それは積んでおります。ただ電波探知装置につきましてはこれは遅れまして、やむを得ずほかの機械を積みまして、と申しますのは実は「たかつき」という、その前にできました船がやはりその問題を起こしまして、それに積む予定電波探知機がありましたものですから、それを「きくづき」、三十九年度甲II型艦に積んでおります。その前に「たかつき」につきましては、国内にありました精度が少し悪いということで、予備に回していましたものを積んでおりました。現実としましては予定どおり竣工し、予定どおり就役しまして、予定訓練は行なっております。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 そう言われるならお聞きしますがね。たとえば昭和四十二年度の未確認額表昭和四十二年度甲型警備艦建造費というのがありますね、一七六ページ。それは、「艦船部品武器等製造請負代金または購入代金払したものであるが、未納入のため」、この艦船部品とは何ですか。
  20. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) やはりこれは、FMS予定しました射撃装置未納になっておるということでございます。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、射撃装置のない軍艦が考えられたわけですか。
  22. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) ちょっといま資料がはっきりいたしませんけれども、四十二年度艦であれば大体就役が四十七年度ではないかと思いますので、現在その四十二年度艦が射撃装置を持たずに就役しているということはございません。大体こういう艦でありますと、五年程度継続費竣工までに約五年かかっておりますので、そういう意味ではちょっといま手元にこまかい資料はございませんけれども、問題ないんだと思います。たとえば先ほど申しました三十九年度艦につきまして申し上げますと、三十九年度艦としまして契約が四十年十一月、竣工が四十三年三月、契約がそういうことになっておりまして、大体四年程度工程を組んでおりますので、四十二年度艦でありますとまだ竣工してないのだと思います。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 あまり汗をかくような答弁を求めているつもりは全然ないのです。何か答弁が非常に言いのがれ的であるから、あえて言っただけなんで、言ってみれば、言いたいことは防衛庁武器等調達の中でアメリカとの軍事有償援助による購入契約に関するものについては、ともあれずっと決算をあたってみましたが、守られないことがずっと毎年続いているのに、なぜそのことをやり続けるのかということがたいへん疑問なわけですね。納期予定に間に合わないものがとにかく多額にのぼっていますよ。こういうような形のものを、たとえばいまの射撃装置でいえば何年間の工程があるからと言われますが、専門的でないからよくわかりませんが、射撃装置の有無というものが、船そのもの工程影響を今日のいわゆる水準というものでは、私、与えると思うのです、昔のように、とってつけたようにちょこっと置くだけじゃないですから。その辺のことを考えながら、これは言っているので、それではアメリカとの軍事有償援助による購入契約で守られないものは、四十二年度まででどれだけの額にのぼっていますか。
  24. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 総トータルを申しますと、四十二年度までの合計で、二十八億六千万でございます。で、御参考に申しますと、それのもとになります契約総額が百九十九億でございまして、一四%が未確認ということでございます。ただ、しかしこれは計算上未確認で、品物が着いておりまして未確認というかっこうになりますので、現実に未納入を調べますと、十四億円分、七%が現実品物が未納入と、百九十九億の契約の中で十四億分が未納入というかっこうになっております。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 これは、いつ現在ですか。
  26. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 四十五年三月末現在で、いまその十四億は申しました。それから、会計検査院のほうの現実計算は二十八億六千万がわかっております。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 武器精密度といいますか、そういうものからいって、たとえば納期の遅延というものとの関係では影響がない、そういうことでしょうか。
  28. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) その点は関係ないと思います。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 それでは、アメリカからの納入がおくれた期間国産品で代替するなどの措置が行なわれていますが、それはどのように理解したらいいんですか。
  30. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 先ほどの三十九年度艦の例で申し上げましたように、現実電波探知装置は古い国産品在庫品を使っております。で、実は、ほとんど現在予備品を持っておりませんので、新しい性能のものができますと、諸外国から買ってまいりますけれども、そのおろしました古いものは予備品に使っております。異常の場合に積みかえる。そうした意味で、やむを得ず「きくづき」の前の「たかつき」に国産品を積んだと、しかし、これはいずれ換装する。この積みましたものが修理に入る場合を利用しまして換装するというかっこうになると思います。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 たいへん素朴に考えてみて、何も私は、武器国産化を推進する意味で言っているんではなくて、予算執行決算関係で言っているんですが、いまのような形——たとえば国産品で間に合うようなもの、簡単にかわりにおいておけるようなものであるとするならば、なぜ一体アメリカに依拠して契約を結ばなきゃならぬのですか。
  32. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) そういう点は根本問題でございますけれども、やはり現在の防衛から見ますと、装備のウエートを考えまして、できるだけ精度のいいものを積みたいということでございます。そうした意味で、現在入手できる範囲の、いいものを考えますけれども、いま申しましたように、やむを得ず、品物がないという場合には、一応現在の事情の中では代替品訓練は続ける。しかし、当然そういうものは、何年かたちますとオーバーホールになる。全部の修理をいたしますので、その際に換装を考えるということで、船にも余裕がございませんし、訓練計画が詰んでおりますので、そういうようなことはございます。しかし、今後とも国産を考えながら、いいものはつくってまいりますけれども、こういうような電子機器一流品になりますと、現在はやはりそういうものを入手したほうが精度がいいということと、価格が安いという問題で、そういうことを考えたわけです。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 武器購入代金が前払いされる、アメリカに。そしてしかも、それが全額支払われておる。それにもかかわらず、まあ七%にしろいわゆる未納のものがずっとくる、こういうことですね。たとえば予算効率的使用という観点から考える場合に、このままの形でよいと長官、お考えになりますか。
  34. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 事務的に多少御説明いたしますと、第一点は、有償援助を受ける場合の条件が残念ながら一般契約と違いまして、納期をきめて、それでイエスをきめるというかっこうでございません点が一点ございます。もう一つは、先ほど先生が御質問になり、いままた御質問になったのでありますが、こういう姿がいいのかという問題につきましては、前々長官当時から国会でも問題になりまして、非常にきびしい御方針が出まして、少なくともきょう現在から見て四年前の品物などはどういうことか、全部洗ってみろ、ほかに代替品があったら考えるべきじゃないか。全部すべきじゃないか。それからもう一つ、現在のFMS品物も洗ってみて、契約を解除して、前金は返してもらえということで、その御方針が出まして、だいぶ整理をいたしております。で、今日現在でも、米側に五名駐在員を置きまして、その整理に当たっております。また年度末には全部をもちまして、担当の者が行きまして整理をすると、そういうことで、こういう姿が好ましいと思っておりません。何とかして整理をするということで、前々長官当時から強い指示が出ております。
  35. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 有償援助につきましては、経費の加減とか、性能のぐあい等によりまして、有償援助を取るということが合理的なものもあると思いますけれども、実際の運用面から見ますと、いま政府委員が申し上げましたように、改善する余地か多々あると思います。その点は改善に心がけてまいりたいと思います。
  36. 和田静夫

    和田静夫君 検査院の方、いまずっと質疑をやってきたけれども、お聞き取りになったように、その未確認事項が長期化することの中には、いま指摘されたとおり幾つかの問題があるようです。そのことは明らかだと思うんです。そうすると、先ほど御指摘しましたように、四十三年度以降、未確認額表を掲げないということ、これは国会の審議の上から言っても、たいへん問題だと思うんです。私は何も、未確認事項が即、不当事項だなどというふうには考えておりませんが、いま御指摘もしたように不当事項もあるわけです。言ってみれば、会計法上の趣旨からいって納入方法の改善なんという問題は、検査院が当然指摘をしなければならない問題だと思うのですよ。そういう意味からも、四十三年度以降も未確認額表というものは当然掲げるべきだと、そういうふうに私は思いますので、先ほどの答弁については、私はそういう意見を開陳しておきます。善処をしてもらいたいと思います。  次に、防衛庁会計検査院から指摘をされている不当事項の件でお尋ねをいたしますが、会計検査院の報告は、この二十六ページにありますが、「防衛庁調達実施本部で、航空幕僚監部の要求により、昭和四十二年三月および六月、随意契約および指名競争契約により日本航空電子工業株式会社および極東貿易株式会社からリレータイマー百四十五個を総額」云々という形になっておるわけですね。そこでこの表現からしますと、日本航空電子工業株式会社とは随意契約で、極東貿易株式会社とは指名競争契約でリレータイマーを調達したことになりますが、まず、そのように理解をしてよろしいか。二つ目には、リレータイマーとは何か。そして三つ目には、もし私の理解でよければ、同じ品物についてどうして一方だけが随意契約なのか。明らかにしてもらいたいと思います。
  37. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 御指摘の第一点は、日本航空電子工業とは随契でございまして、輸入のほうの極東貿易とは指名競争契約でございます。  それから、第二点の、リレータイマーとは何かということでございますけれども、現在F104に積んでおります機関砲、まあバルカン砲でございますが、そのバルカン砲は砲門が六門ございまして、大体一分間に四千発たまを撃つという高性能な機関砲でございますけれども、その六門の砲に非常に高速度にたまを供給して、たまが出る。何百分の一秒というような姿で電流を通ずる必要があります。そのリレーでございます。バリカン砲の充弾装置の中で、たまを各砲に順次に適宜に供給するために電気を操作する、そのためのリレーでございます。  第三点の御質問でございますけれども、四十二年度から、このリレータイマーにつきましても、国産をする必要があると。特にこのリレーは非常に高性能でございまして、ほかにも相当な活用法があるということで国産を考えまして、そういう特殊なものでございますので、いまの関係機器メーカーの中でそれに適する企業を選んだわけでございます。ただ、その当時、四十二年度の段階で、数としまして百四十五個という数が必要でございますけれども、いまの初めてつくる段階で国内では十分な数がとれないということで、足りない分は輸入すると。で、輸入であれば、特定の企業を選定する必要がない。最もいい方法で持ってくる企業を選べばいいということで、指名競争入札ということになったわけでございます。
  38. 和田静夫

    和田静夫君 その同じ二十六ページの後段の部分で、F104J航空機技術指令書に一機当たり装着個数が誤って記載されていたということは、どういうことですか。
  39. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 現実にいま104に機関砲を積みまして、それに要します——いま申しましたリレータイマーは一個でいいわけでございます。一機当たり一個でいい。それが技術指令書に三個要ると書いてございます。それで、三個要るという前提で必要数を組んで、予算を組んでいるわけであります。一個でいいものを三個と誤ったということを書いてあるわけでございます。
  40. 和田静夫

    和田静夫君 その一機当たりの装着個数を変更する指令書が出たのは、何年何月ですか。
  41. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 四十三年の八月ではなかったかと思います。
  42. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、この不当事項指摘の中に、「本件調達要求を行なう以前の四十二年一月当時すでに正当な一機当り装着個数が判明していた」と明記されていますが、それを補給統制処が知らなかったという事情になりますが、それはどういう理由ですか。
  43. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 実は、この指令書というのは千五百ページもあります大きなもので、104の数十万に及ぶ部品関係の指令書でありますけれども、それについて、初めに誤って、一個でいいものを三個というふうに書いてあったわけでございます。それを発見しましたのは実は四十二年の一月でございます。ただ、非常にこれはわれわれとしましてはまあ申しわけないというか不幸な事件でございますけれども、104がそういう精度にございますために、その技術指令書を全般的に検討しておりまして、相当のところに直す点があると、大体千五百ページもあります中で百四十ページに及ぶところについては全面的に改正するという必要がありまして、その印刷をして送るという手間をとったわけでございます。で、現実に、いま申しましたように印刷して各担当に渡しましたのが、四十二年の八月に手に入ったと。手に入りましても、そのときには作業を終わっておりましたものですから、会計検査院から指摘されるまで、実はその点をその担当は気がつかなかったという問題がございました。
  44. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、そのいまのような形で指令書が出るまで一年七カ月−一年半以上かかるわけですね。そうしてそこに、すでに誤りとわかりながら予算のむだづかいが起こるなどというものの責任の所在は、一体どこにあります。
  45. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) いま私申しました中でちょっと間違えましたのは、技術指令書が渡りましたのは四十二年八月でございます。一年間違っておりました。四十二年一月にわかったのを印刷をしまして、四十二年八月に渡した。で、まあこの点につきましては、非常に大きなわれわれも間違いをしております。現実にこの技術指令書をつくっておりますのが、航空幕僚監部の航空自衛隊の補給統制処でございます。そこで、その資料の検討について内容をまず初めに間違ったのでございます。それが、今度直すのについての連絡が十分でなかったという二つの問題がございます。で、これは対策と申しますか、当然そういうことについて十分な手当をしていないという、まあ機構上の問題なりあるいは士気の問題もございますので、その点については、今後当然そうでないように新しい教育方法をとりましたし、また十分な指導をしております。もちろんそうした意味で、担当の者は処分をしております。
  46. 和田静夫

    和田静夫君 私は、これを見て思うのですが、たとえば在庫数を調べるにあたっても、第三補給処の分だけをとって、他の補給処の分やあるいは機器修理会社への寄託在庫を考慮に入れなかったというような怠慢を指摘することができるのです。一体防衛庁在庫管理をどのように行なっているのかということを、ずっと読んでみるとたいへん疑問に思うのであります。おそらく、ほかの行政官庁では考えられないような状態だと思うほどなんですが、この補給処が一体何カ所あって、そうして在庫預託している機器修理会社が何社あって、それらの在庫管理はどのように行なわれていますか。
  47. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) いまの空と陸と海と、それぞれ担当は異なっておりますけれども、中央に中央機関がございます、その補給統系の。それに対して、空の場合には、各品種別と申しますか、機体なりエンジンの部品とか、搭載機器とか、あるいはナイキとか、そのほかの部品とかというふうに、現在三つの補給処を持っております。その補給処から必要な各部隊に行って、部隊でも当然整備用の部品を持っております。で、いま申しましたように、空で三カ所、それに補給統制処、それに海の場合には航空機全般として一つありまして、あとは各地方隊にございます。横須賀、呉、佐世保、舞鶴、大湊。陸につきましては、五方面隊の地区補給処がございまして、そこにすべてのものを置いて中央で管理する。それから先の部隊がいまどういうふうに何個あって、どうなっているか、あるいは関係機器会社が幾らあって、その在庫についてはどうなっておるか。ちょっといま手元に資料がございませんが、それにつきましては、現在四十二年度から三幕僚監部とも電子計算機を入れまして、少なくともおもな部隊と中央とその補給処とは電子計算機でつないでおります。全部の在庫状況が中央でわかっておりますし、また各四半期ごとにそれを再チェックするという制度を設けまして、いま先生の御指摘のありました点、あるいは今度の会計検査で御指摘があって非常に不始末をいたしました点については是正をはかっております。
  48. 和田静夫

    和田静夫君 機器修理会社等、先ほど質問して、いま資料がなくて答弁ができなかった部分については、あとで私、資料としてちょっといただきたいと思いますが、この不当事項のあれによって、四十二年度末の在庫が二百七十五個とあって、百三十三個の在庫があり、百四十五個の新規調達を行なったということになっているわけですから、四十二年度初め二百七十八個あったということになりますね。そうしますと、四十二年度はリレータイマーを三個しか使わなかったことになるのですが、リレータイマーというのは年間三個程度しか使わないものですか。
  49. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 大体、まだ実績がございませんが、リレータイマーはいまのアメリカ計算から申しますと、八百時間の飛行をしたらかえるということでございます。そうした意味で、初め104を入れた当時につきまして、そう特殊な故障以外は要らなかったわけであります。これからは大体、その飛行時間に達しますので、これから要るということで、実は四十二年度に手当をしたわけであります。そこで、先生指摘のように、現実の使用状況を見ますと、三十九年に一個、四十年に四個、四十二年に二個。四十一年、四十二年に二個というのが使用実績でございます。いま申しましたように、大体八百時間でかえなくちゃいかぬというアメリカ技術書があるわけでございます。ちょうどいま、104の飛行時間がそれに近づいてくるということで手当をしたわけでございます。
  50. 和田静夫

    和田静夫君 四十二年度、四十四年度のリレータイマーの調達状況はどうなっていますか。
  51. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 四十二年度に、御指摘のようなよけいに買っておりますので、四十三、四十四年度は買っておりません。四十五年度も買う予定はございません。
  52. 和田静夫

    和田静夫君 次に、産軍複合体の問題について若干の質問をしたいと思いますが、いわゆる産軍複合体の危険性については、一九六一年一月、軍人大統領アイゼンハワーが退任直前の告別演説の中で、巨大な軍事組織と大軍需産業の結合体が米国の自由と民主主義を破滅に追いやる危険がある、こういうふうに警告をして以来、世界的に注目を浴びるようになって、わが国におけるそれについては、国会においてもいろいろの角度から取り上げられてきました。そうして最近、財界筋から四次防衛の陽動作戦とも考えられますが、防衛問題への積極的な姿勢を示す発言が非常に目立ってきています。あらためてこの国の産軍複合体の動向が注目をされ始めているわけです。そこで私は、昭和四十二年度のこの防衛庁関係予算項目のうちで、研究開発費五十二億九千九百五十一万三千円ですね。この使途状況を点検することを通じて、この部面における防衛庁と民間企業との協力関係の具体的様相を確認をしたいと、こう思うのです。  その前に、基本的に三点だけ質問をして、正式な答弁前提的に受けておきたいと思うのですが、第一点は、防衛庁が、いわれるところの産軍複合体の危険性について、基本的にどのような見解をお持ちになっていますか。
  53. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) わが国の現在の状況では、産軍複合体の危険性は目下のところはありません。しかし、将来ともそういうものが出ないようによく警戒する必要があると思います。
  54. 和田静夫

    和田静夫君 いわゆる天下り人事は、ごたぶんに漏れず、離職後の防衛庁関係者の民間企業への就職も、相当と言っていいか、非常に盛んなようでありますが、そしてそれが自衛隊法に即した形で行なわれていることはまあ知っていますけれども、いわゆる天下り自衛官と契約高の間にはっきり依存関係が見られると——専門的にこの分野を研究している識者によっても指摘されていますが、こういう現象について、防衛庁はどのように説明をされますか。
  55. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 若干の将ないし将補クラスあるいは高級の佐クラスで、いわゆる軍需産業というところへ就職している者がございます。しかし、それらはほとんど全部といっていいほど、嘱託ないし顧問という立場でございまして、常務とか専務とかいうラインの仕事をやっておる者は、ほとんどと言っていいくらいございません。それから、防衛庁内部におきましても審査をいたしまして、そういうような審査基準——審査をする必要のない者であった場合でも、やはり一応念のため審査をいたしておりまして、営業関係とかそういう発注関係関係するポジションには、たとえ嘱託とかその他の場合でも充てないようにしてもらっております。それで、就職したからといって、それがために防衛庁の発注が影響されるというような事態はないと私は考えます。将来とも、そういう就職や人事関係を通じて発注関係影響が及ばないように、われわれはさらに戒心をしていく必要があると思います。
  56. 和田静夫

    和田静夫君 三点目ですが、たとえば秘密会議の情報が三十分以内に筒抜けになったというような記事がたくさん出ますね。それは信憑性がどれだけあるか別として、われわれの目の触れるところではそういう形のものがある。そうすると巷間伝えられるところの、防衛庁幹部と三菱グループとの特殊緊密な関係というものの真相、こういうものは一体どういうことになりますか。
  57. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いままでの発注量を見ますと、いろいろ歴史的な経緯がありまして、三菱重工業関係がそういう受注能力を持っておったというぐあいで、三菱に受注がかなり多量に集中していたという傾向がございます。しかし、最近は競争原理を導入いたしまして、できるだけ競争原理を入れることが適当であろうという部分には入れるようにやっております。  三菱グループにどの程度の人間が天下っているか、私は数字をつまびらかにしておりませんが、ほかの会社との関係を見まして、それほど人事関係、が三菱に集中しているようには私の記憶にはございません。政府委員をしてその関係答弁せしめますけれども、しかし巷間そういうようなことがもし言われているとすれば、われわれとしてもさらに注意を重ねてやる必要があると思います。
  58. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 三菱重工業関係に行っておりますものは、昭和四十二年、四十三年の二カ年を通じてみまして将が顧問として二名、それから将補が一名——これは嘱託で行っています。一佐が嘱託で一名、これだけが三菱関係でございます。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 以上の三点についてのいまの答弁については、きょうは時間の制限がありますから、四十三年度決算の中で引き続きやりますから、再質問を留保しながら研究開発費の問題に入っていきます。  で、四十二年度歳入決算明細書の百五十ページ、この研究開発の費目を見ますと、大きく分けて二つに分かれていると思います。一つは試験研究旅費に始まり統計機械借料までの部分。もう一つはうしろ三つの委託費の部分。ヒッチ理論ということで最近注目をあびていますチャールズ・ヒッチとロランド・マッキーンの共著「核時代の国防経済学」は、軍事部門の研究開発に触れて次のように述べています。「国防面における技術の進歩は、〃軍、および原子力委員会、航空宇宙局といった、軍と密接な関係にある政府機関〃によって支援される研究開発活動の成功にかかっている。このほかにも、有用なアイディアの源泉があることは、いうまでもない。もともと研究というものは、研究者自身、何を発見するか分らない、という性格をもっている。これまでも、大学や民間研究所や民間発明家によって開発されたアイディアが軍事面に応用されたけれども、その多くは、発明者自身、軍事面への応用を求めたわけでも、予想したわけでもなく、中には、軍事面への応用を喜ばないものもあった(たとえば、ノーベルのダイナマイト、ライト兄弟の飛行機、および核分裂の概念)。また、正式の研究開発機関以外にも、軍の内部には、〃軍事的任務を達成するための新技術や精巧な新装置〃を案出するような、発明の才をもった人材がいる。しかし、軍は、主として、〃正式の研究開発機関で行なわれる進歩〃を購入しなければならない。」  そこでお尋ねをしたいのですが、私がいまこの研究開発費の項目を二つの部分に分けたその前半の部分は、このヒッチらの言っている「軍」、つまりこの場合には防衛庁ですね——に密接な関係にある政府機関における研究開発費であります。防衛庁内部にいる人材の活動費といったものであり、後者の部分は文字どおり民間に対して研究を委託したものである、そう考えてよろしいですか。
  60. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 大体、そのように考えられます。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 それではお聞きいたします。最初の試験研究旅費ということで使われた三千万余りは、どういう人材がどういう試験研究のために使った旅費ですか。
  62. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 現在、防衛庁には技術研究本部がございます。そこに五つの研究所がございます。その研究所が恒常事務として防衛装備品の必要な研究をしておりますけれども、それがこの試験研究費でございます。  項目をちょっとあげてみますと、高張力鋼、非常な強度の特殊鋼の製造模型をつくりまして、その耐圧試験なり、あるいは溶接継ぎ手の耐圧試験などを実施しております。それからジェット機の背景雑音の研究、ジェット機の赤外線の放射特性の研究、それからジェット機が出します背景雑音の測定、こういうことを行なっております。これが金額で申しますと、第一点の、いま申しました特殊鋼の研究が約四百万、ジェット機の背景雑音の研究が約三百三十万、魚雷運動性能の研究、これは高速魚雷の運動性能を調べております、これが約三百五十万。その他こまかいいろいろな勉強をしておりますけれども、そういうような約百七十一件の研究を各研究所が勉強しております。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、次の検査検収旅費ということで使われた八百万、これはどういう人材が何の検査検収のために使ったのですか。
  64. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) これは現実に、防衛庁の研究開発の大きな部分が部外に委託される場合が多いわけでございます。その部外に委託したものにつきまして、途中の検査をし、工程検査をし、あるいは最終的にできました場合の納品の検査をするということの、その関係の費用でございます。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 時間がたちますからあれですが、次の試験研究費の四億八千万、開発試験費ということで三億二千七百万程度、これがどういう機関でどんな研究、あるいはどんな試験のために使われたか。そして次の十一億をこえる試作品費でどういうような機関が何を試作したか。次の二十二億六千万余りの対潜飛行艇の試作費というのは、これは新明和工業が防衛庁と共同開発した対潜哨戒飛行艇PS1のことだろうと思うのですが、そうですが。
  66. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) ただいま先生指摘の第三点目の試験研究費、これは実は先ほど申しました試験研究旅費と一緒にしましたけれども、その実態がこれでございます。それから開発試験費のほうは、現実に現在やっております試作品ができますと、それの技術試験をいたします技術本部——その関係の試験費でございます。場合によっては研究所の中の施設を使いますし、場合によっては表の試験所を使うということでございますけれども、その技術試験を行なっております。それから試作品費を飛ばしまして、対潜飛行艇の問題は、先生指摘のように三十五年からやっておりますPS1の関係の費用でございまして、一昨年の十月に試作機が飛びまして、昨年度一ぱいで試験が終わりました。その関係の費用でございます。それから試作品費、これは十一億というわけで、非常にこれはむずかしいのでございますけれども、四十二年度から初めて試作研究をしましたものにつきましてはいろいろとございますが、自走浮橋なり新捜索レーダーなりジェットエンジンの舶用ガスタービン化を各方面に委託しておりまして、三十六件ございます。ただこれは、あるいは先生の御指摘はそういうことでなくて、もっと大きな問題としまして、先生御存じのように、防衛庁の経費というのは大体過年度支出のものが多いのでございます。ですから、ここに出ておりますものは四十二年度のその部分四十二年度歳出分について検査院確認をしているものでございますので、これは四十二年度以前からかかったものが一部出てきたもの、あるいは四十二年度から始まってあとにつながるものというものがございますが、一応四十二年度でかかっております問題を名前をあげてまいりますと、委託費関係の中型輸送機、高等練習機、それからいま申し上げましたPS1——対潜飛行艇を除きまして、おもなものを申し上げますと、たとえば短距離地対地誘導弾、ハイドロフオイル艇新捜索レーダー、低空域レーダー、新型戦車、新装甲車遠距離探信装置等のものを現実に四十二年度で研究されまして、その中の全部、あるいは部分品なり、あるいは完成品ということで支出が行なわれたものの合計が、この十一億でございます。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 いま部外に委託しているところの会社ですね、その部外はいまでなくてもけっこうですが、あとで一覧表をいただきたいと思います。  まあ、PS1一つを考えてみても、四十三年度と四十二年度と実は同じ費目が見られるわけですね。そうすると、私は、実はたいへん疑問に思ったのは、いつまで試作段階が続くのだろうかということです。試作段階だとあなた方が言っているのに、アメリカの側はたいへんほしがっているようですね。そうすると、佐藤内閣が輸出まで考えている、そういうものが試作段階がいつまでも試作段階。そうすると試作費と研究費というのは一体どこが違うのか、ということがたいへん疑問に思いますが、いかがですか。
  68. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 大体航空機のようなものにつきましては、七年から十年ぐらいの試作期間を要します。現実に、このPS1というのは三十五年からかかっております。三十五年に米軍のUF1という飛行艇をもらいまして、それを改造し、こわして研究しまして、三十八年から現実に設計にかかっておりまして、四十二年の十月に初飛行を行ないまして、試作機を二機つくっております。その技術試験、実用試験を四十四年度一ぱいで終わっておりまして、その二機の試作機ができまして、そのほかに強度試験機がございまして、その強度試験機は技術研究本部のほうで強度試験をやっておりますけれども、その三機の試作機の実用試験が終わるまでを試作といっております。そういう意味ではPS1につきましては現実に試作が終わるとしましても——四十二年の十月でございますが、初飛行を終わった段階で実用機の契約も四十三年度予算で行なっております。そういう段階でございまして、大体三十五年から四十三年まで八年間を要しました研究でございます。現在は完成しております。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 次は、研究用機械器具費、統計機械借料というのは、どういう機関が使う機械器具、どの機関が借りている統計機械ですか。
  70. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) いまの器具費でございますが、これは現在技術研究本部の中に五つの研究所、そのほかに五つの試験所を持っておりますけれども、そこで使います器具、工作機具、あるいは試験機器装備の問題でございます。あとの統計機借料というのは、コンピューターを入れておりまして、そのコンピューターの借料でございまして、これは第一研究所に入っております。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 次に、三つ並んでいる委託費の一つ一つについて尋ねたいのでありますが、何の研究をどのような民間研究機関に委託したものか、これはちょっと具体的に答弁してください。
  72. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 初めに、大きなものから申し上げますが、中型輸送機でございますけれども、これは四十一年度から着手しておりまして、その開発の契約先は日本航空機製造株式会社でございます。それから次の高等練習機、いわゆるTXでございますけれども、四十二年度から開発に着手しまして、これは三菱重工に委託しております。それから小さなほうと申しますか、その二千八百万のほうの技術調査研究委託費でございますけれども、艦艇用ジーゼル機関の研究、これは三菱重工に委託しておりまして、護衛艦用の小型の出力の大きいジーゼル機関を開発したいということで勉強をしております。もう一つは燃料類の理化学試験、これはシェル石油、富士興産、アジア石油の三社に分けて試験をいたしておりますけれども、タービン油、ジーゼル等の燃料油についての理化学試験を行なっております。それから材料の理化学試験、これはチッソ株式会社、日立化成、アグネ技術センター、この三社に委託しまして、強化プラスチックの熱衝撃試験とか、あるいは赤外線強化ガラスの耐熱性試験、そういうものの勉強をやらせておりまして、その合計が二千八百万、そのほかに三件ございますが、トータルが二千八百万ということでございます。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 それで、研究委託という問題について考えてみたわけですが、常識的にこれはアイデア料でございますね。つまり、防衛庁が民間企業に研究委託費を出すということは、そこでのアイデアの誕生に期待をして、アイデアそれ自体に先行投資をすることだと思うのであります。したがって研究委託先が民間企業であろうとも、そこで研究開発された成果は防衛庁のものでなければならないし、理論的に言えば防衛庁は、そのアイデアを他の企業に示してつくらせ、購入するということも可能であるという関係にあると思うのですが、その点、現状はどうですか。
  74. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 現在の開発研究委託費につきましての特許権の扱いと思いますが、現在はその工業所有権に関する長官訓令がございまして、その内容は、民間企業の創意くふうによるものについては民間企業が出願する権利を持つ。防衛庁が創意くふうをして指示したものにつきましては、防衛庁が当然権利を取る。両者はっきりしないものについては協議をしてきめるというのが原則でございます。それから先生おっしゃいましたように、たとえ民間企業が取りました特許権でも、当然契約防衛庁はその実施権を持つという契約になっております。一応現状はそういうことでございます。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 私は、この研究開発というものと購入というものとのけじめをもっとはっきりというか、きっちりつけるということが理論的に可能であるばかりでなくて、現実的にたいへん必要なんではないか、そう思うのです。言ってみれば兵器の研究開発が主として民間企業にゆだねられているという、この国の現状にかんがみて、そのけじめをきっちりつけないままに、ずるずるといってしまうとなると、長官がいかに否定されようとも、私は、産軍複合体どころではなくて、産軍混合体的なものにまでおちいってしまう、こういう面ができ上がっていく、そういうふうに思います。少なくとも防衛庁はきっちりと、けじめをつけた関係を維持していく努力をすべきであると思いますが、いかがですか。
  76. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 現在は、そういう訓令に基づいて動いております。そういう訓令がどうかという問題は、根本的に勉強する問題があると思いますが、われわれとしましても、いまの訓令の範囲でも一応Aという企業に開発を委託したけれども、現実に生産させる場合にはBという企業でもいいという手は打てるのでございます。ある品物については、そういうことをやっているものもございます。たとえば装甲車につきまして、Aという企業が開発したものをBという企業に半分はつくらせる、そのかわりBという企業はAという企業に当然技術料を払うというかっこうでやっているものもございますけれども、いま先生の御指摘のような方向をわれわれも考えたい。現実に、現在われわれが出しております研究開発費というものは、どういうふうになっているのかという問題がございます。まあ、これは企業側の言い分に言わせれば、自分たちのソフトウエアは自分たちが出しているんだ、防衛庁のいまの価格方式ではハードウエアしかもらってない。だから当然自分たちの中におる従業員の考え、あるいはそれをまとめていくという関係のソフトウェア関係については、自分たちの持ち出しであるというようなことを言っておりますけれども、まあそれの実態もわれわれとしても調査したいと思いますけれども、いま先生のおっしゃるような方向で試作は試作で切る、あるいは別な量産段階では別な企業を考える、あるいは試作の段階でも量産の段階でも先ほど長官の申し上げましたような競争原理を入れていくというかっこうで、先生の御指摘のような方向でわれわれも勉強してまいりたいというふうに考えております。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 以上まあ、こまかく質問しましたが、それは冒頭述べたように兵器の研究開発という面で産軍複合体が、現状がどのようになっているかを明らかにしたかったからであります。大体わかりましたが、そこで最後に、今後の問題についてお聞きをしておきたいと思いますが、青木勉防衛庁技術研究本部副本部長は、雑誌「国防」の昨年八月臨時増刊号で、イギリスやフランスや西ドイツ国防省における研究機構について触れながら、次のように言っています。「いずれも中央において、技術機構は用兵機構と同じレベルに立ち、対等の権限と責任をもっており、したがってその下にある研究開発機構も、強力な、そして充実した体制になっている。わが国における防衛研究開発体制のあり方については、これらの国との兵器体系、研究開発規模の違いから、このような体制を参考にするかどうかは、別に考えるにしても、防衛における研究開発のウエイトが、今後、急速に増大することを予想し、体制についての基本的な検討をおこなう必要はあろう。」と述べておられますが、防衛庁が兵器の研究開発機構について現在考えているところを、お聞きしておきたいと思います。
  78. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 日本の防衛生産の技術なりその研究開発体制が非常におくれていることは、まあ歴史というか、その関係としましても、われわれとしましてもやはり防衛というものを考えた場合、その中で装備というものが占める重要性を考えた場合、当然今後とも勉強すべき問題だと思っております。今後の組織なり機構なりについては、当然いま防衛庁ができまして二十周年を迎える時期でございますので、再検討するという時期にまいっておると思っております。技術研究本部のあり方をどうするか、あるいはその機構をどうするか、あるいは日本の研究開発というものについての取り組み方をどうするか、あるいはその関連にありますわれわれ内局の機構をどうするかという問題については、実は現在検討中でございます。まだ私、ここでいま考えていることを申し上げるのは早いと思いますけれども、一応そういうような問題については、問題意識として取り上げまして、いま取り組んでいるという段階でございます。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 最後に、この「よど」号事件について二、三お尋ねをしたいと思いますが、これは本会議やその他でいろいろと聞いておりましたから、重複する部分は除いて、端的に二、三点だけ質問します。  あまり聞くつもりはなかったんですが、実は、八日の本会議長官答弁を聞いておって、たいへんある意味で失望しました。あなたが議員になられてもなおアメリカに留学するなど、たいへん努力をされている時代から、中曽根さんというものに非常な興味を持って、青年時代から見てきましたが、ほんとうに悲観をしたですな、あなたの答弁を聞いて、八日の本会議で。  それで、あれですね。「よど」号事件で防衛庁長官は、どうして結果的にはああいう事実無根の情報というものを矢つぎばやに——あのときまでの私の感覚をいえば、あなたらしくなく——いってみれば、発表したのだろうか。あの情報というものは、一体どこからどういう手だてで得られたものか、明らかにしていただきたい。
  80. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 対空砲火に関する情報とミグ戦闘機の出現の情報は、韓国軍から米軍に参りまして、米軍からわれわれのほうに参ったものであります。それで当時は、非常に情報に飢えて、情勢がわからなかった状態でもありまして、新聞記者の皆さんから盛んに情報はないかと言われて、防衛庁はあまり隠しだてしてはいかんと、そういうお話もございました、正直申し上げまして。それで、それじゃ未確認なものだけれども参考までに申し上げると、こういう情報があった、しかしこれは断片的な情報で確認したものではない。御参考までに申し上げるものだ。そういうことで申し上げた次第なのでございます。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 まあ未確認であっても、そういう形で情報を収集し得る立場にある防衛庁長官、そして記者会見で求められればそのことを発表される防衛庁長官、そうすると韓国軍が朝鮮民主主義人民共和国軍の服装をするなどして、金浦飛行場の擬装工作が行なわれたという、そういう形の情報は、あの当時は得られませんでしたか。
  82. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そういう情報もございました。それは私のいまの記憶では、時事のファックスか何かから先に入ってきたような感じがいたします。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 その擬装工作はどこが行なったものでしょうか。たとえば韓国の政府・軍隊、あるいは米軍、あるいは米韓日という関係において行なわれたものですか。
  84. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まず、少なくとも日は入っておりません。次に、米が入っているかどうかもわかりません。もし想像するならば、あるいは韓国のほうがやったのかもしれません。しかし、それが長い時間的余裕と周到な計画でやったかどうかは、いろいろな疑問の余地がございます。と申しますのは、「よど」号が着いたときに、アメリカのノースウエストの飛行機が置いてあって、あのしりの赤いのが置いてあるのを見て、これは自由世界の飛行場だということを悟ったということであります。米国製のバスや米国製の自動車が動いているのを見て、赤軍派が、これは変だということを勘づいたと、そういう点を見ますと、周到な用意でもしやっておったとすれば、ノースウエストの飛行機などもほかの場所へ持っていっているはずである、そういうふうにも感じますので、真相はわかりませんが、あるいはとっさに、そういうことが行なわれたのではないか、このように考えております。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 一番冒頭のような情報がすぐ入る立場にある防衛庁長官、明らかに日は関係をしていないと明確にいま答弁をされたわけですけれども、そして、周到なものであったかどうかもわからないという答弁なのですが、しかし、ちょっと考えてみますと、たとえばアメリカ軍を通して韓国軍の協力を得たと長官は本会議でも述べられました。そうしますと、韓国軍に安全を依頼されている関係、それはアメリカ軍を通してという関係から類推をすると、いまのような擬装工作についても、いち早くアメリカ軍との関係状況の発表が行なわれる立場にあったのではないだろうかと思われますが、いかがですか。
  86. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) われわれのほうは、「よど」号の安全について非常に心配をしたのでございまして、その安全の問題のみを依頼したわけです。すなわち、米軍を通じまして「よど」号が要撃されないように、そのことを特にお願いをしたわけでございます。それ以上のことは、私らは全然関知いたしておりません。どういう事情があったかわかりません。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 次に、「よど」号の事件が起きたときに、自衛隊機が発進をいたしておりますね。
  88. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それは、「よど」号からのイマージェンシー・コールがございまして、それを自衛隊でキャッチいたしました。それは福島県の大滝根のレーダーと佐渡のレーダーと、たしか二つであったと思います。それによりまして航空総隊からスクランブルの命令がすぐ出まして、最初に小松の飛行場からF86、それから順次受け継ぎまして新田原あるいは築城の飛行場からF86ないしF104がエスコートに出まして、飛行機に異常があったりあるいは変事が起こった場合に、直ちにこちらに通報するとか、状況がわかるように、そばにくっついておったわけでございます。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 二つの段階に分けて考えられると思うのですが、静岡上空で乗っ取り事件が起こって、そして直ちに自衛隊機が小松基地を立った、そして福岡までの間、この目的は何でしょう。
  90. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 「よど」号のそばに常に近接して飛行しておりまして、「よど」号にどんな変事が起こり得るか、あるいは飛行士は手を振ったり何かして、そういう合い図ができるわけでございますから、そういうわけで緊急事態に備えて付き添っておったわけであります。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 その緊急事態というのは、警察行為に対するものでしょうか。
  92. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は法的なことはよくわかりませんが、これは人命救助に備えるための災害出動の一種ではないかと思います。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 災害出動だといたしますと、福岡の飛行場を立って朝鮮半島に向かったときの状態も一緒だということですか。
  94. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) やはり同じであると思います。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、福岡を立って朝鮮半島に向かったときには、アメリカの軍用機とともに自衛隊機が行動している、その事実はそれでよろしいわけですか。
  96. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカの軍用機と行動をともにしたことはございません。わがほうの自衛隊機が識別線のところまで参りまして、そこから引っ返してきたのでございます。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 それでは、その識別線のところまで一緒に行った間、進路変更などについて自衛隊機が果たした役割りというものはありませんか。
  98. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それはございません。自衛隊機と「よど」号とは、波長はUHFとVHFの機器が違うものでございますから、直接交信はできないことになっておるようでございます。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 災害出動と長官は答えられたのですが、災害出動と、言ってみれば米国第五空軍、そして韓国軍、韓日米の軍事体制の一体的な行動というものとは、どういう形に結びつきますか。
  100. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 「よど」号の場合は、日本人の乗客の生命安全を守るという、そういう緊急事態でございまして、その生命安全を守るという点においてのみ米軍も韓国軍も協力してくれ、また、わがほうもそれをお願いをいたしたのでございます。軍事的な意味を持って連絡するとか演習するとか、そういうような連携の意味は全然ございません。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 聞き漏らしましたが、F86が出動したその命は、だれによって行なわれましたか。
  102. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それは航空総隊司令の命によりまして、おのおのの航空団長からスクランブルが出ていると思います。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 それは、長官自身はどういう形でその命が出るまでの間に関与されましたか。
  104. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) スクランブルにつきましては委任がなされておりまして、緊急の場合にはそのつかさつかさによって発進できるようになっております。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 それを長官は後刻受けて、その緊急発進が是であったか非であったかということを判断できる立場にありますか。
  106. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 緊急発進がありましてから、直ちに私のところへ報告かございまして、それを了承いたしました。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 その場合のいわゆる了承は、災害出動という観点に立って了承を与えられたと、そういうことですか。
  108. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、それが何出動であるか、そのときは正確に判断する余裕はございませんが、人命救助のためにそれは必要であると。十分以内に飛び上がっていきましたから、よくやったと思いました。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 その出動は自衛隊法第七十八条との関係ではどういうことになりますか。
  110. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それは、政府委員答弁させていただきます。
  111. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 七十八条は治安出動の命令でございますけれども、今回の事件に関しましては七十八条は全く関係はございません。先ほどから長官のお答えのように、災害派遣という性格のものになります。人命の救助、救難ということで、法文で言いますと第八十三条が根拠になるわけでございます。
  112. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、第八十三条に依拠されるとすると、「その他政令で定める者」が要請したということになりますね。その「政令で定める者」とは何をさしますか。
  113. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 災害派遣は原則的には、お話のように「政令で定める者」——普通は都道府県知事でございますが——の要請によりますが、例外的にはそういう要請を待たないので——緊急の場合には要請を待たないで発進してよろしい、出動してよろしいという条文が八十三条にあります。今回の場合は、直接航空機からエマージェンシー・コール、緊急の通信を受けました。それに基づいて発動した。われわれは、航空自衛隊は、通常、領空侵犯に備えると同時に、こういう場合の救難にも備えて待機をしておりますが、エマージェンシー・コール、まあ船でいいますとSOSのようなものに対して出動した、こういう事態になるわけでございます。
  114. 和田静夫

    和田静夫君 静岡から福岡に至るまでの間、それから福岡から朝鮮半島に向かって飛ぶ、そういう状態のことと二つに分けますよ。前者の場合において、一歩下がって、「天災地変その他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、」という条項に私は該当しないと思いますれども——そして、あなた方が最初に——いま長官がいみじくも正直に言われたように、判断するゆとりがなかったとう思が、あとから法文をくっつけたと思いますが、後者の段階では、福岡の空港であれだけの時間で、あれだけの協議が行なわれて飛び立った。言ってみれば、そこには緊急性というものはないだろうと思います。そうでしょう。緊急性がない。緊急性がなければ、八十三条第一項に基づいた出動でなければならない、派遣でなければならない。災害と考えてもですよ。そうじゃありませんか。
  115. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 板付から飛び立つ際にも86Fは派遣いたしましたけれども、実は長官もわれわれも、板付を飛び立つとは予想をしておりません。いろいろな情報から見まして、板付で事は済むことを期待し、かつ、そうであろうというふうに判断をいたしておりました。しかし結果としては飛び立ちましたので、そういう非常に緊迫性をもって現地で出動をしたということでございますが、ただ板付におりました際も、万一の場合にはやはり、犯人が北上したいということを言っていたという情報があるわけですから、かりに飛び立つ場合にも合図を待っていろというような指示といいますか、方針は示して、どうしても飛び立つ場合にはそういうふうな範囲内にしろというような指示はしております。
  116. 和田静夫

    和田静夫君 時間を約束したので、なるべく時間を守ろうと思ったけれども、どうも答弁があれでないものですから……。いまの答弁というのはたいへんな答弁だと思うのですね。言ってみれば、ハイジャックが起こった場合には、人命の安全を考えるならば、まず犯人の要求どおりにしていこうというのが、大体国際的な常識になっていると思うのですね。その常識がもともとあなた方にはなかった。どうも中曽根長官は佐藤内閣の閣僚の中で一番タカ派だったから、そういう常識はなかったと思いますけれども、そういう判断を抱かせるものがあったら、たいへんな問題だと思うのです。今日、何といいますか、政治的価値の混入があったが、百二十二時間もの長い間の延引、そしてその中で乗客たちがたいへんな苦労をしなければならなかったというのが一般的な常識になりつつあります。国民の世論になりつつあります。もしあれで事故が起こっておったならば佐藤内閣の命取りになったくらいのことですが、ソウルにおりたあの事態を考えてみて、あるいは福岡におけるいろいろのやり方を見ても、それくらいのものなんですよ。それで問題にしているのですが、福岡から朝鮮半島に向かった、板付の空港から朝鮮半島に向かった、あの状態を緊急と、したがって法に照らす行為は必要でない。ただし、書きでいけるのだ、そういうことに私はならぬと思うのですが、どうですか。
  117. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) やはり百何十人という日本人が犯罪行為の中に巻き込まれておりまして、しかもそれが空中で行なわれて、いつ、いかなることが起こるかもしれぬという、生命の危険にさらされておった状態でございますから、時間的余裕の問題ではなくて、そのケースの緊迫性から見て、私は緊急だと思うのです。それが日本の責任分担範囲内で行なわれるにおいては、やはり日本国民として安全にベストを尽くすということは必要だと思いますので、そういう意味で識別線まで日本がエスコートしたということは、私は責任にかなった仕事であると思います。
  118. 和田静夫

    和田静夫君 長官答弁を何も、理解しないという意味で言っているのでなくて、静岡から板付に至る間において、そのことを一歩譲って認めよと言うなら認めましょう。しかしながら、いまの答弁はそれからあとの、言ってみれば、正規の手続を経ずして、ただし書きでいける。こう言われたことに対して、たいへんな疑義があるのです。そんなことではないでしょう、怠られたわけでしょう、問題は。
  119. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 八十三条では、第二項で、先生御承知のとおり「その事態に照らし特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。」というふうに書いてございます。あの時点を顧みましても、こういう要請を受けるいとまのない緊迫した事態であったというふうにわれわれは感じております。
  120. 和田静夫

    和田静夫君 板付の飛行場に、それじゃ「よど」はどれだけとまっていましたか。
  121. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 約五時間程度と記憶しております。
  122. 和田静夫

    和田静夫君 それだけの時間があって、なおいとまがありませんか。
  123. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 時間はございましたが、しかし突如として飛び上がって、そうして北の方へ向かって行ったわけでございます。そういう意味におきましては、突如として起こった行為であり、かつその行為の中には犯罪が含まれ、人間の生命の危険が内包しておったわけでございますから、私は、やはり事態は緊急であったと思います。
  124. 和田静夫

    和田静夫君 これは長官どう言われても、国民は全部あのテレビを見、報道を聞き、そうして朝鮮半島に向かって飛ぶということは国民全体が知っているわけですね。そこを、言ってみれば、たいへん緊急な状態なんだと言われる。どんなに抗弁されようとも、それは通用しない。したがって私は、やはり八十三条なら八十三条の一項、その基本原則を常に守られるという観点がなかった。もう富士の段階で飛び立ってしまった、静岡の段階で飛び立ってしまったのだから、それであとはよろしい。こういうような考えがあなた方の中にあったのじゃないか。
  125. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) われわれの気持ちには、非常に緊迫性が続いておったという印象が強かったわけでございます。あの時点において犯人が機長を絶えず脅迫して、警察ももちろん全力を尽くしておりますけれども、いつ、どういう事態になるかわからないというふうな非常に緊迫した事態の継続であったというふうに当時感じておりましたし、現在振り返ってみましてもそういう感じがいたします。
  126. 和田静夫

    和田静夫君 いわゆるハイジャック処理の国際的な常識に照らしてみて、板付以降の状態というものが起こることはわかっておったのですね。したがって、そのことはもはや予見できる状態でありながら、飛び立った場合に、備えたところのいろいろの手続というものが怠られたということについて、たいへん疑問に思いませんか。
  127. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) あるいは北のほうへ飛び立つかもしれぬという予測もございまして、そのために、もし万一行った場合には、安全航行を頼んでもおりました。しかし、それは万一の場合の手配として準備のために実はやっておったのでございまして、よもや、あのときにぱっと飛び立つとは思いませんでした。  それから、もしあの場合、それじゃ自衛隊機でエスコートしなかった場合のことを考えてみますと、識別線からは韓国空軍がエスコートしていったわけでございますが、日本のほうは何もしないで、人の国の飛行機が韓国のほうでやるということになると、自衛隊としては責任を果たしていないのじゃないかという反問も国民の一部にはあるいは出るかもしれないと思います。山村政務次官の「よど」号が帰ってくるとき、あのときには自衛隊機はエスコートしませんでした。しかし、韓国空軍機が途中までやってきました。それでも、なぜ自衛隊機は迎えに出なかったのかと私は言われました。で、そういう国民の全般的な気持ちから見ると、やはり百何十人かの同胞の生命が危険にさらされているときなので、日本の限界ぎりぎりまではおのおのがベストを尽くしてお客を守ってやるだけの処置をするというのが政府の責任ではないか、私はかように考えます。
  128. 北村暢

    ○北村暢君 関連して。飛び立った事実についていいとか、悪いとか言っているのじゃないのですよ。で、あなた方は板付に着いている間、滑走路に自衛隊機を置いて発進できないようにやっておったわけですね。だから、あなた方は、これは警察行動ではない、こう言うのだが、警察行動とは言いにくいから言えないのかもしれない。しかし、現実問題は、天災でもなんでもない、犯罪行為が起こっているわけです。これをあなた方は人命救助でいくというのだから、それにはそれなりに運輸大臣からの要請なりなんなりあって行くのが——この法律のたてまえからいって、そうなっておるのじゃないですか。そのような何らの要請もなしに自衛隊独自の判断で行ったというから、手続的にはちょっと疑問があるのじゃないですかと、こう言っているのですよ。ですから、行った行動について大臣の答弁していることについて、あの行動がよかった、悪かったということを言っているのじゃなくて、手続的にそれはちょっとあとからでも運輸大臣から要請があったとかなんとかということ——未確認情報を発表するぐらいの機転のきく人なんですから、そのくらいのことをあなたが言うても何にも差しつかえない。今度の場合には、質問者は、あなた方はそういう法規なりなんなりがあることがわかっておって、それにはかかわりなしに、とにかく行けばということで、国民の人気取りかなんかのつもりで飛び立ったのか何かは知らないけれども、明らかにそういうふうにしか受け取れないのです。だから、そこのところをはっきりしなさいと言っているのですよ。だから、人命救助の場合でも要請があって出るということになっているのでしょう。要請がなくてもどんどん行っていいということにはなっておらないでしょう。そこら辺のところをもう少し、人情論や浪花節ではなくて、ちゃんと法律的に尋ねているのですから、法律的にやはり答弁してもらわないと困る。
  129. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 人命救助のような場合には、海上保安庁その他から要請がなくても独自に処置できるようになっておるのです。ですから、この間も下総沖の場合では、海上自衛隊がおそく出たということでおこられましたが、あれは確かに海上自衛隊の落ち度であったと思いまして処分をしたわけでございました。  あの福岡の飛行場におきましては、T33を滑走路の上に置いたのは、あれは飛行場長からの要請がございまして、それで置いたのであります。それは法律的に申せば官庁協力というような形にあるいはなるかもしれません。  それから飛び立ってからのエスコートにつきましては、これはもしいま申せば、まあなるほど運輸大臣の要請があったほうがよろしかったと思います。しかし、なくてもあの際はやったほうがよかったと私は思います。
  130. 北村暢

    ○北村暢君 なくてもいいとか悪いとかいうことではなくて、質問者は、時間的余裕が十分あったのではございませんかと言っておるのですよ、同じ政府間だから。これは何ら運輸省なり、政府間の要請も何もなしに、防衛庁独自の判断で飛んだというふうにしか聞こえませんからね。十分その余裕があったんではないかと、こう言っておるのですよ。したがって、あなたはいま運輸大臣から要請があって飛んだほうがよかったろうけれども、独自でも行けるんだと言うが、しかしそれはやはり手続的には、同じ官庁の中なんだから電話一つで話ができることではないですか。そういう手続を守ろうとする意思が初めから……人命救助なら何でもいいんだと、こういう判断であるのではないかと言っているんですよ。そういう手続的な余裕というものは十分あったんじゃないですか、五時間もあれば。大問題が起きておるんだから、各官庁で話し合いをしてやったと、自衛隊もひとつ手伝ってくれと、これは当然出てくるでしょう。これが何も話し合いなしにやったように言われるから問題があると言っておるのです。
  131. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 御趣旨はよくわかりました。以後慎重に処理いたします。
  132. 北村暢

    ○北村暢君 そう言えばいいんです。
  133. 和田静夫

    和田静夫君 それでは最後にいたしますが、今度の状態をずっと考えながら、どうもやっぱりアメリカとの関係というのが非常に問題になるような——問題になるというのはたとえば情報交換やその他のことをいうんですが、それで何も長官の非をいつまでも責めようなんと思わぬけれども、ああいう情報が結果的にうそであった。ところがそういううその情報に基づいていろいろのことが今後も想定される。そうすると、昨年秋の日米会談に盛られた事前協議、こういう事前協議そのものの価置というものが今後たいへん問題になるような気がいたしますが、今度の事件との対照において事前協議制度そのものに疑義をお感じとりになりませんか。
  134. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 事前協議というものを控えまして、やはり情報の自主性というものが非常に大事であると痛感いたしました。
  135. 和田静夫

    和田静夫君 もうひとつ突っこんで考えてみると、事前協議なんというのは結果的には存在をしないという状態の場合が非常な緊急な状態の中では多いと、こういうふうに言えませんか。
  136. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 幾ら緊急であってもイエス、ノーを考える余裕はあるだろうと思います。
  137. 和田静夫

    和田静夫君 どんなに緊急な状態、国境侵犯が行なわれるというような緊急の状態の中でもイエス、ノーを考える余裕があるとされるならば、先ほど長官が是とした立場、自衛隊機のいわゆる発進を是とされた立場、そのとき緊急出動なり災害出動なりというような判断をする余裕はなかった、ああいう状態の中で、ああいうあなたは判断する余裕がなかったのになぜイエス、ノーを判断する余裕が出てくるのですか。
  138. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) あのスクランブルにつきましては、ふだんから権限を委任しておりましたから、おそらくその権限を委任された権限に基づいてつかさつかさは処理したと、そういう潜在的な意識はあったわけでございます。したがって、それが非合法になろうということは全然考えておりませんでした。
  139. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、もう一ぺん念のために聞いておきますが、今度の経験を通じても事前協議そのものについては、何といいますか、考慮をしてみる必要はない、そういうふうにお考えなわけですか。
  140. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 事前協議の重大性は非常に率直にいって痛感いたしました。しかしまた、事前協議は必要であるという考えは変わっておりません。
  141. 松本賢一

    委員長松本賢一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  142. 松本賢一

    委員長松本賢一君) 速記をつけて。
  143. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、四十二年度防衛庁関係決算の審査にあたりまして二、三問をしたいと思います。  初めに長官に伺いたいと思うんですが、年々増加する防衛予算の中で、いわゆる自衛隊の装備、研究開発費等の占める割合は年々増加の一途でありますが、私は初めに、この自衛隊の装備調達の基本的な考え方といいますか、それについて長官に伺いたいと思います。
  144. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の自衛隊の装備につきましては、戦争に負けてから自己開発が非常におくれておりましたので、やむを得ずMSA協定等によりまして無償援助あるいは有償援助等によって、最初は現品を交付され、それからライセンス生産という形に順次移行して、日本の国内工業能力を高めてきたわけでございます。最近は、調達額全般を見ますと、四十一年度においては千五百七十七億円、このときの有償援助が五十五億円。それから四十二年は二千五十三億円、そのときの有償援助は六十二億円。四十三年度は総額二千七百四十四億円、有償援助が百九十五億円等々で、順次国産の方向へ進んでおります。無償援助につきましては、四十一年度が五十九億円、四十二年度が十四億円、四十三年度が一億円、こういうふうに減ってまいりまして、日本の自主開発の方向に進んでおるわけでございます。私は、やはり自主防衛の一番大事なポイントは自己開発、国産による開発ということであると思いまして、その方向に力を入れていきたいと思います。
  145. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま長官がおっしゃったように、自衛隊の装備につきましては、確かに次第に国内生産の方向に向かっているように思います。実際上、私の手元にあります資料によりましても、四十二年度における装備はその八八・三%が国内調達されるようになっております。そこで、私はまず、防衛費は四十二年度三千六百億、また四十三年度におきましては四千七十四億円と増大しておりますが、このうちいわゆる自衛隊の装備ですね、装備に関する予算支出は一体どのくらいになっているのか、この点について伺いたいと思います。
  146. 田代一正

    政府委員(田代一正君) ちょっと手元に新しい資料しかございませんので、かりに四十四年度をとりますというと、装備関係が総額で歳出予算で千七百億でございます。全体の構成比は、防衛関係費、防衛本庁の予算がこの年四千五百三十四億でございますので、大体三七・五%ぐらいになっておる、こういうことでございます。
  147. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 実は、この装備費というのは一体どういうふうな項目を含むのか、まずこれを数えていただきたいと思います。
  148. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 私が先ほど申しました装備費と申しますのは、これは四十四年度予算の項目で申しますというと、武器車両等購入費、航空機購入費、艦船建造費、それからそれに装備品等整備諸費、それから研究開発のための試作費のみを含んだ額を申し上げたわけでございます。
  149. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、私がきょうこれから質問する趣旨は、要するに膨大なこの防衛予算の中で、いわゆる装備費、研究開発費の占める割合が非常に大きい。そこでやはり私は、こういうふうな研究開発費並びに装備購入する、また調達するにあたっては、なるべく先ほど長官も、できるだけ競争原理を取り入れていくことが妥当である、適当な方法であるということを申されましたけれども、やはり私は、何といってもコストを安くする、少しでも安い、いい品物購入する、そういう方向でなければいけないと思うのです。そこで、そういうことを頭に置いて、私は、きょうはこれから逐次質問していきたいと思います。  それでは初めに、先ほどもちょっと質問がございましたけれども、できるだけダブらないように質問したいと思うのですが、いわゆる研究開発、調達に関する入札契約の概要について説明願いたいと思います。
  150. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 現実契約の場合には、現在当然会計法、その関係法令、予決令、それに基づいて契約いたします。その原則はもちろん競争入札でございます。ただ研究開発なり装備品の場合には、比較的問題は、単なる一般の入札だけではいけない面がございます。一つには、たとえば航空機なりあるいは私どものほうの中心になります武器、これにつきましては関係法令がございまして、その法令で指定されている認可を受けた企業、そういうことが限定されますので、場合によっては随意契約、場合によっては指名競争入札というかっこうになります。それからもう一つは、現在日本の技術が比較的弱いものですから、外国のいい物を買うということになります。その場合には、たとえばライセンス生産をする場合でも外国の特定企業技術を導入する契約を持っているという企業でないと対象になりません。そういう意味でも、競争入札の中で指名競争かあるいは随意契約というかっこうになってまいります。大体これが契約の方式であります。それから先生指摘のように、なるべくよい品物を安く買う方式ということで、現在、言いかえますと、適正価格で調達するという方式を考えなくちゃならない。で現在は、適正価格で契約するということにつきましては、会計法規では、防衛庁としましては市販価格のあるようなものにつきましては市販価格を、予定価格と申しますか、それは競争入札というかっこうでもってまいりますけれども、市販価格のないものにつきましては、原価計算方式という方式をとって、それで予定価格をわれわれが査定しまして、その予定価格を頭に置きまして、あるいは指名競争入札あるいは随意契約というかっこうになってまいります。  もう一つは、これは法規的な話をしておきますが、先生の御質問に含まると思いますので申し上げますが、現実にそれはどういうふうに研究、開発の調達方式が動くのかという問題でございますけれども、どういう装備品を必要とするかということにつきましては、防衛局と各幕僚監部がこの調査に当たります。で、こういう装備品が要るということになりますと、それをどういう方法調達するかという問題につきましては、今度は装備局と各幕僚監部が折衝に当たります。現実は各幕僚監部のほうから要求が出ます。それを装備局のほうで審査しまして、その結果、内局としましては装備審議会という審議会にかけまして、その結果に基づいて技術研究本部のほうで開発、研究に当たります。そして設計なり調査なり計画を立てます。その結果に基づいて、今度は調達実施本部が契約に当たります。契約の段階の監督は調達実施本部が中心になりまして、技術担当部門が協力してその執行に当たっております。できました品物につきましては、それを領収というか、仮領収と心得ますけれども、技術研究本部が技術試験を行ないまして、その結果がいいということになりますと、今度は幕僚監部が実用試験を担当します。その結果がよかったものにつきましては、現実に領収するという姿が現実の流れでございます。いろいろと申しましたけれども、法律問題、現実問題につきまして、たぶん先生はそういうことをお聞きじゃないかと思いましたので申し上げました。
  151. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私が聞いていることとは全然違うわけでありますけれども、私がほんとうに聞きたいのは、要するにこの研究開発、調達ですね。その入札契約の概要、すなわち、もっとわかりやすく言いますと、要するに昭和四十二年、三年。四十四年の資料もございましたら四十四年も伺いたいのですが、先ほどの話によりますと、契約方法は場合によっては指名競争入札並びに随意契約である。一番初めにそういうことばがございましたけれども、場合によってはいわゆる指名競争入札または随意契約、あとでいろいろ説明がありましたけれども、頭にそういうことばがありました。ということは、何となく私たちが頭で考えますと、場合によってはということですから、百のうちほんの少しだけいわゆる指名競争入札であり、かつ随意契約である。こういうぐあいに私たち頭に入ってくるわけですけれども、いまのところ、それぞれの年度において行なわれた金額でもけっこうです。または件数でもけっこうです。要するに随意契約が何件、それから指名競争が何件というように、その概要を教えてもらいたいと思うんです。
  152. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 初めに四十三年度を申し上げますと、総契約額が二千百七十九億でございますが、その中で指名競争入札が件数で五七・八%、金額で一五・九%でございます。随意契約が件数で三九・三%、金額で八三・七%となっております。
  153. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、先ほど局長さんがおっしゃった、場合によっては指名競争入札、随意契約とおっしゃいましたけれども、いまのデータから見ましても九〇%以上がいわゆる一般競争入札ではない。会計法の二十九条に規定したところのいわゆる一般競争入札ではない、そういうことになるわけです。先ほどの質問の方のときに、大臣ができるだけ競争原理を取り入れて、そしてそれを進めることが適当である。そういうような答弁もございましたけれども、現実の面では、こういうふうにほとんどがいわゆる指名競争入札または随意契約になっているということは、この点から考えてみると、非常に、先ほど産軍協同ですか、産軍複合、こういうふうな問題が出てまいりましたけれども、確かに日本の総工業生産力等からいえば、わずかなものかもしれませんけれども、私は、先ほど大臣がそういうふうな、いわゆる産軍複合体は目下のところはない、しかし将来も出さないように注意したい。こういう答弁がございましたけれども、この点から考えてみても、私は、こういうような方向から進んでいくと、自然にやはりそういうような産軍複合という事態が生まれてくるのではないか。この点を心配するわけでありますが、この点いかがでしょう。
  154. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 随意契約が金額的に多いと申しまするのは、大体艦船、それから飛行機、それからたしか戦車も入ったと思いますが、そういうものが外国との技術提携の関係とか、あるいは船台の関係とか——船のようなものは三年先までほとんど受注しておりまして、船台の関係等もあるわけでございます。そういういろんな情勢から随意契約になったものが多いのでございます。しかし、私は着任以来、そういうものであっても、できるだけ国産化を進めると同時に、競争原理を導入してやれるように努力してみい、そういうふうに申しまして、いま少しずつ改善に入ったというところでございます。
  155. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大体、ただいま答弁がありましたようなことを予想しておりましたけれども、確かに技術上等いろんな問題はあると思います。私の手元にあります資料によりましても、これは違う面からいいますと、金額の面だけじゃなくて、やはり件数の面もやはり同じようなデータが出ております。また、防衛庁からいただいた資料によりましても、契約の上位二十五社、これをとりますと、やはり全体の占める割合は年々増加しているわけです。年々増加しているということは特定の業者にだんだん集中しつつある、こういうふうな実績が現実に出ております。これはやはり産軍複合ということになっていく可能性があるのじゃないかと心配なわけです。たとえばアメリカでは昭和四十一年、四十二年とも上位二十五社をとりますと、その契約総額はやはり四〇%以下であります。日本の場合はだんだんだんだんふえまして、四十一年に六二%、それから四十二年には六六%、上位二十五社です。四十三年には七二%と、こういうぐあいに非常に上昇カーブを描いているわけです。こういう点から考えてみますと、私はやはり、これらの装備を一部のいわゆる寡占状態に独占きせるということは、将来非常に問題になってくるのじゃないか、やはり装備調達については、この点に十分配慮して私は調達をやるべきじゃないか、こういうぐあいに思うのですが、その見解を伺いたいと思います。
  156. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そういうような特殊な分野におきましても、できるだけ二社で競争させるようにまず持っていきなさい、そういう指導をいたしまして、その二社の間で競争が行なわれるということを手始めに——ある程度技術能力を持っておりませんと、対抗する力がないわけでございます。いままでの歴史的因縁等からいたしまして、技術能力が片一方だけず抜けて持っているという場合がありまして、対抗力がない。そこで、それをこれから培養をしていくという仕事が現在当面しておるわけでございまして、そういう意味におきましても、培養しながら、とりあえず二つのグループで競争させるという方向に持っていくように指導しております。
  157. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、その問題は一たんおいておきまして、次に研究開発費の問題についてお伺いしたいのでありますが、現在、防衛庁が持っておるところのいわゆる特許、実用新案等は一体どういうぐあいになっておるのか、何件あるのか、この点を伺いたいと思います。
  158. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 現在、特許、実用新案として出願中のものが六十八件、権利になっておるものが特許権で二十五件ございます。
  159. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ちょっと私の言い方が悪かったのかもしれませんが、先般いただいた資料とずいぶん違うのでありますが、もう一回申し上げますが、この研究開発費というのは、相当、何十億というお金が毎年出ております。それによるところの防衛庁の特許並びに実用新案の実情について、もう一回伺いたいと思います。
  160. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 先ほど資料を間違えまして失礼いたしました。もう一回申し上げさしていただきます。  現在の出願件数の総数が三百十一件ございます。それから登録件数の総トータルが百十一件ございます。先ほどはその中の一つの分を申し上げまして失礼いたしました。
  161. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは研究開発費というのは、先ほど私も前質疑者の質問を聞いておりまして、答弁も聞いておりましたが、その中に出てまいりましたメーカーに対する「研究委託契約又は試作契約に伴う工業所有権の取扱に関する訓令」というのがございます。その訓令の第三条及び同契約書の第四条にかかわる工業所有権は現在どのくらいあるか、この点について伺いたいと思います。
  162. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 先ほど申しました六十八件と二十五件、これが訓令に基づきます契約によって協議されたものの数でございます。
  163. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、そうすると、研究委託契約又は試作契約……、この訓令ですね。訓令の第三条における工業所有権というのは、これは防衛庁にあるのじゃないですね、これはメーカーにあるわけです。そのメーカーにある所有権は幾らかと言っているのですが、これは合っていますか。
  164. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 現在、全体としての集計が出ておりません。そういう意味で、お答えする数字をいま持っておりません。
  165. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは長官、ちょっと聞いてもらいたいのですけれども、私がいま言っております工業所有権の件数といいますのは、いわゆる委託研究費が毎年何十億と出ておりますが、それをメーカーと折半して、そしてPXならPXをつくるために研究費を出しているのですね。そのときにメーカーのほうが工業所有権をとるわけです。その工業所有権は特定の飛行機なり戦車なり、武器ですから、その所有権は、いまの私の言いました訓令というのは、要するに長官の許可がなければ、防衛庁以外のところに出すための工業権を使うことはできないというような工業所有権なんです。ですから、メーカーがどんなにたくさん持っておりましても許諾がなければできないわけです。したがって、これを掌握していないということは、これはほんとうに大きな問題だと私は思います。要するに、過去におけるところのたくさんの工業所有権というものは非常に膨大なものになると思うのです。たった六十何件というものじゃないと思うのです。PX1にしましても十三件と出ておりますし、相当なものだと思うのです。ですから、そういう点から言いましても、ただ単に、これはきょう簡単に言っておるのじゃなくして、前にもこのことについてはどうなんだというので、もちろん言っておるわけです。いま、わからぬということは遺憾なわけです。どうですか、この点。
  166. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 実は、総トータルは持っておりませんですけれども、個々の問題については調査いたしました。たとえばPXやCXでは一件もございません。大体が、いまの防衛庁関係でやはり純装備品というか、純兵器に対しましては、大体相手方はとってないケースが多いのであります。PS1につきましては、いま十三件の出願中のものがある、これは大体防衛庁との契約に基づいて会社側のほうで特許を申請するということを考えまして、協議したものでございます。そういう個々の調査はこの場合しておりますけれども、全体として大体数があまりないのではないかという気がいたします。ただ、先生のおっしゃいましたように、そういう実態がわからなくて、もし防衛庁がほかに発注しようと思った場合、つくろうと思った場合にできないのじゃないかということについては、契約上、たとえば向こうが持っているものがあれば、ぶつかれば、それは試作権は当然こちらへよこすという契約条文になっております。会社側がとった特許権があった場合でも、それは防衛庁がそれを他のものにつくらせるということで必要な場合には許諾をする義務が相手方にあるわけであります。
  167. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 局長ね、私先ほどPXと言ったのは言い間違いでPSのことですよ。だから、そうおっしゃいましたけれども、確かにPXじゃなくて、PSなんです、PS1。  要するに、先ほど局長は、これはそのメーカーがとったものを防衛庁に全部差し出すことになっている、そのほかのメーカーにもつくらせるためにと、こういうぐあいにおっしゃいましたけれども、それは一体法律の、法令のどこにきまっているのですか。私が、ここにあります法令によりますと、そういうことにはなっていないのですね。当然この契約によりますと、メーカーは防衛庁以外の用途につくる場合は、要するに防衛庁の許諾を受けると、初めからそういう契約でやっているわけですし、当然メーカーのほうは……。これからずっと詰めていきますけれども、具体的に例もあげますけれども、要するにそういうふうに私はなっていないのじゃないか。もしなっているとすれば、どういうふうなところでそういうふうな例があるのか、それを教えてもらいたいと思います。
  168. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) いまの後段だけを申し上げますと、先生お手元に資料を持っておられるようでございますけれども、この訓令、まあ訓令がそのまま契約になりますけれども、この四条の第二項、「乙は」——これは会社でございます。「防衛庁が乙に帰属した工業所有権に係る装備品等を自ら製作しようとするときは、甲に当該工業所有権の実施を許諾する。」と書いてございます。この規定で、向こうが持っているものについては、当然防衛庁は使えるということでございます。
  169. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、これは、この二項は、私は要するに防衛庁に差し出すことができるというだけで、当然許諾権はやっぱりメーカーにあるわけですね。要するに防衛庁がほかのメーカーにつくらせる、防衛庁がつくらせるというからには防衛庁のいわゆる品物ですね、防衛庁で使う品物じゃないかと、私は思うのですね。私がいま言っているのは、防衛庁以外のという話をしているわけです、こういうことありますか。防衛庁以外のという話をしている。この二項は私ごまかされませんよ、きょうは。この二項は、これは防衛庁防衛庁品物をつくるときじゃないですか。
  170. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) いまのお説のとおり、これは防衛庁が考える場合、防衛庁以外の人が防衛庁品物以外に使う場合には、当然一般の特許法に従ってやる契約によるしかないと思います。
  171. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、訓令契約書の四条の一項しかないと、こうなりますね。ですから私は、これはこの問題が非常にこれから私が質問するときの前提となる大きな問題ですから言っているわけです。それで先ほど、この本のPSの1ですが、それに十三件ありましたけれども、それ以外にはいままであまりないとおっしゃっておりますけれども、要するに、この工業所有権が一体どのくらいあるかということは当然掌握していらっしゃると思いますし、きょうはそこに資料を持ってきていないためであろうと、私はこういうぐあいに解釈いたしますけれども、一体どれくらいあるのかということは、これはあとで資料で出していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  172. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 至急調査しまして、資料を提出いたします。
  173. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこで、私は具体的に先ほど一番初めに申し上げましたように、いわゆる装備調達が割り高になっているんじゃないか、そういうぐあいに思われる具体的な事例について、これから伺っていきたいと思います。  まず、そのPSの1ですけれども、PSの1の研究開発の必要性とその性能について、初めに伺いたいと思います。
  174. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) いまのわが国の防衛の中で非常に大きなウエートを占めますのが、諸国の潜水艦に対する対策でございます。現在、潜水艦を捜索するにつきましてはいろいろな方法がございますけれども、やはり水中に入れましたソーナーが一番性能がいいということでございます。それで、われわれとしましても、航空機なり艦艇なり、いろいろな対潜水艦捜索方式をとっておりますけれども、水上におりて、相当な距離を相当なスピードで行って、水上でおりてさがせるということが最もいい。それができれば最もいいと。ただ、どうしても陸から離れますと波が多くて飛行艇は使えないということがあったわけです。それで、相当な波高があっても、相当な風があっても使える飛行艇ができないかということがこのPS1と申しますか、対潜飛行艇の開発に着手した根本でございます。それで先ほど申しましたけれども、まず開発に着手する前に米軍のUF1という飛行艇を一機もらいまして、それについてそういうような高い波に対抗できるような性能を持てるか、あるいはそういう波の大きいところで短距離で離着水できる性能が持てるかという研究をしまして、その結果ある程度の自信を得まして、現在のPS1というものの開発にかかったわけです。それが必要性でございます。で、性能と申しますと、一番大きな問題は対潜飛行艇は三メーター以上の波高で離着水できる、三メーター以上の波高があっても、おりてソーナーをおろして敵の潜水艦をさがせるということが一番の特徴でございます。あとは寸法その他でございますけれども、大体全長で三十三メーター、全幅で三十三メーター、あるいは正規全備重量が三十四トン、エンジンはT64というターボプロップのエンジンを四基積んでおります。スピードは約三百ノットでございます。搭乗員は九名というのが大体の性能でございます。
  175. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 PS1のいろいろ説明がございましたけれども、もう一つ聞いてからいきたいと思いますが、PS1の研究開発の概要ですね、これについて伺いたいと思います。
  176. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 三十五年からこの研究に着手しまして、先ほど申しましたように、UF1という飛行艇の改造から始まりまして、三十八年度からその結果によりまして開発に着手しまして、現在、四十二年の十月に初飛行を終わりまして、二号機も四十三年度中に完成しました。四十四年度一ぱいかかりまして技術試験と実用試験を終わりまして、試作は完了いたしました。
  177. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私がほんとうに聞きたいところは、もうちょっと奥なんですけれども、いわゆるPS1の研究開発費の割合ですね、これはどういうぐあいになっているのか。それから先ほど工業所有権の件数の話がございましたけれども、その工業所有権の件数と、それからその帰属はどういうようになっているか、伺いたいと思います。
  178. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 開発費は全額、計算防衛庁が負担しております。それから工業所有権は、現在防衛庁側では一件もございません。新明和側で十三件の出願をしまして、そのうち十一件が特許、実用新案が二件ということで、これは出願権あるいは特許権になりました場合でも新明和に帰属いたします。
  179. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一点、頭に聞いておきたいと思うのですが、四十二年度中に二機が完成されたわけですね。それで先ほど四十三年度予算で実用機の契約をしていると、こういうことでございますが、その四十三年度予算では、実用機を何機契約していらっしゃるか。現在、実際上完成したのが何機あるかですね。しかも手元に写真もあるんですけれども、これは一体いつの飛行機かちょっとわかりませんけれどもね。要するにいま、そういうふうに実用機ですね、それはどういうようになっているのか。研究開発の途上は実際上どういうぐあいにするのか。実用機をつくったんだと私は聞いておりますけれども、そこら辺の具体的な飛行機の内容について伺いたいと思います。
  180. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 現在、試作機で二機完成しましたのは、海上自衛隊が使用して、訓練につかっております。それから四十三年度では二機の新量産機を契約しまして四十六年に入手をするという予定になっております。
  181. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、まず初めに新しく四十六年に完成するという対潜飛行艇ですね、PS1は二機ですけれども、一機幾らですか。
  182. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 約一機二十億と思っておりますけれども、いまちょっと詳しい予算はつかめません。
  183. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私の手元にあります資料によりますと、いわゆるPS1の単価は、スペアのタイヤつきで二機で四十億一千四百万、こういうようになっております。非常に高価のものであります。それではこの試作機、いわゆる研究開発費の総額は幾らですか。
  184. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 約八十億でございます。
  185. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 開発費は八十億ということですが、そうすると、この研究開発費でできた飛行機二機は、いま海上自衛隊で使っているということですね。そうすると、私の手元にあるこの写真のも海上自衛隊で使っている飛行機だと思いますけれども、そうすると、試作という場合、私の聞いたところですと、実際は二機つくるのじゃなくて、要するにそれまでにいろいろなことをするのだと私は思うのですが、飛行機をつくる場合に——あまり大きなことを言うとあれですから、PS1にしぼりますけれども、PS1をつくる場合にはどういうぐあいの過程を経て——実際飛ぶのは最終的には二機ですけれども、それまでにいろいろなことがあると思いますが、どういうことか、具体的に言ってください。
  186. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 先ほど申しましたように、このPS1につきましては、三十五年度に約四億をかけましてUF1という飛行機を改造しましていろいろな試験をしております。その後に当然基本設計、細部設計、あるいは細部設計に基づくモックアップというものをつくりまして、それに基づきまして、今度は試作機に入りますが、試作機の場合には二機、いわゆる試験用の試作機をつくりまして、そのほかに一機の強度試験機と一機の疲労試験機をつくりまして、それぞれの強度試験機なり疲労試験機は、実際に使うものとは同じものではございませんけれども、そういうようなものが一応含まれたものを試作と言っております。
  187. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 予算の配分の状況からいきまして、四十年度が四億円、四十一年度が九億円、四十二年度が二十二億円、四十三年度が二十六億円ですね。これがいわゆる総開発費でありますけれども、これを全部いわゆるPS1に使ったとして、いまのUF1ですかの、これの改造機をつくるのに大体四億円かかるのじゃないか、初年度——初年度とおっしゃいましたが、四十一年度にいわゆる強度試験機をつくった。強度試験機は実際の飛行機とは全然違うとおっしゃいましたけれども、強度を確認するための飛行機ですから、私の聞いたところでは実用機と全く同じようにつくるのだ、中の計器だけが違うのだ、こう聞いたのですが、まずこの点を確認しておきたい。
  188. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) いまの強度試験機は、先生のおっしゃるとおりでございまして、中は別でございまして、大体、機体なり翼の強度をためす。その点は実用機と変わらないわけでございます。
  189. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、私は、試作機というからには要するに、機型とかそういうようなものを全部含んでいるわけでありますから、研究開発費のいわゆる試作機というのは非常に高くつくものだ。一般的に言っても、私が防衛庁の皆さんから聞いた話によりましても、いわゆる試作機は非常に高くつくということは聞いております。そうすると、その費用か——まあこの次に続いて二機つくるわけですけれども、その二機がやはり二十億以上というような非常に高いお金になっていますね。まずこの点、やはり現実にあまり安くなっていない、量産体制でないということを私は感ずるわけですけれども、この点についてはどうですか。
  190. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) われわれも高いことは非常に困るのでございまして、現実にかかる費用は、現在の日本の技術あるいは日本の試作段階では、いまのわれわれの査定ではやむを得ないという気がいたします。もちろん、いまの試作機の中には、いろんな新しい、勉強しております問題がございますが、高いことにつきましてはわれわれも思ったより高いという考えは持っております。
  191. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから、私は先ほど、私のつかんだことと全く逆のことを聞いたわけです。それは研究開発費の負担の割合ですが、過去のいろんなデータを調べてみましても、大体民間の会社と半々になっているのです、日本航空棒製造、これは防衛庁とは違いますが、研究開発されたYS11の場合は政府が五四%、民間が四六%、こういうぐあいになっております。先ほど伺いますと全額防衛庁ということでありますが、この点いかがですか。もう一回確認しておきたいと思います。
  192. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 民間機でやります、日航製造でやっておりますYS11は、これは大蔵省の査定で半々とか六、四とか、いろんな補助比率が出ますけれども、私のほうがやっております試作機は、一応防衛庁としましては全額研究費はみるという立場でおります。
  193. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、私の手元にある資料が狂ってきたわけでありますけれども、私の手元に、新明和工業の責任者の発言が新聞に掲載されております。その発言によりますと、いわゆる研究開発費の問題が出ているわけです。私は、当然この研究開発費の問題についてはいろんな問題があると思うのですけれども、要するに、現在のこの研究開発費によって開発するところの飛行機の生産のぐあいが、どういうぐあいになっているかというと、メーカーの人のことばを借りますと、ずいぶんいろんなことを言っておりますけれども、問題のところだけ読んだんじゃ問題ですから、その前からちょっと読みますと、要するに飛行機を安くするための話が出ているわけです。「そういうことを直すためには」——こういう購入を直すためにはですね、「防衛庁なり日本の飛行機に対する購買方式を考え直さなければならないと思うのです。」と、これは新明和のある重役の人の話であります。「これだけの商品を買うのに」——商品というのはPS1のことを言っておる。これはPS1のことで質問しているわけです。「これだけの商品を買うのに原価はこれなんだから、これだけで買うんだ」と、「物がよかろうとどうであろうと、かかった値段で買うということではいけない」と、現実には物がどうあろうと、かかっただけで買うと、そういうふうな——現実にもっといろんな発言をしております。ですから私は、事実メーカーの責任者がこんなことを発表しているわけですね。現在の研究開発の体制というものは、こういうぐあいな体制じゃないかと私は思うんです、実際問題ですね。非常に高額な金額です。ですから私は、確かにそういうような体制は今後改めていかなければいけないんじゃないか。ですから先ほど言いましたように、競争入札、随意契約といいましても、こういうような問題は、私はいま新明和を申し上げましたけれども、それだけじゃない、もっとあります。これは日本航空機製造のほうでも同じことを言っています。これはCXの関係ですが、同じことを言っているんです。要するに、そういうぐあいに非常に現在のそういうふうな兵器の開発の方法というものが、単価が安くなるというような方向じゃないと、そういうふうに直接の担当者が言っているわけです。そしてまた、これは私、ちょっとそこは違うんですけれども、ここで紹介しておきますけれども、研究開発ということについて、従来から民間に半分持て、政府が半分出すというのは無理だと。ですから政府が当然一〇〇%出して——これはメーカー自身のえてかってな言い分もあると思いますが——一〇〇%出して、政府の出したものを民間会社からロイアルティーとして、政府の出した開発費を何らかの形で原価に織り込んでやっていく。そういう方法でやれば開発はもっとうんと安くなるんじゃないか。こう書いてありますので、私は、たとえばCXの場合等も考えてみまして、要するにこの開発費は半々じゃないか、こういうふうに予想しておったわけです。いま全額でありますという話でありましたから、メーカーの言いなりになっている。これを見ますと、メーカーはいま半々だと言っているわけです。たとえば、もう一つのCXの場合はどういうふうになっているかといいますと、これでは、日本の場合は往々にして開発費が初めから値切られる、量産で割り掛けるという形をとっているから、できた飛行機も高いものになる。よそに売ろうと思っても売れないということになるのだ。むしろ最初に、たっぷりした金を開発費として政府が出せば安い飛行機ができる。これはもう重役が言っているんです。かってな言い分かもしれませんけれども、かってな言い分にちゃんと応じたような体制にこのPXの場合はなっているわけです。ですからこの辺の見解、どういうぐあいに思いますか。
  194. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) いまお読みいただきましたその内容には全然逆な点が二つ入っておるのでございます。一つは、いまの防衛庁の開発費は甘いんではないか。いまの購売法がおかしいんじゃないかということに対しまして、いや値切られるものだから高いんだ、あと割り掛けるからというような、これは両方とも、そういう見方があるかと思います。もう一つ、その中でお読みいただきました中で、いまのYS11なり今度のYXなりは、開発費を自分だけで出すために、高くなって売れないんだという言い方も、従来のYXの論議の中にあるわけです。そういうことは一応別としまして、いまの先生の御指摘に対しましては、われわれも早く全く競争さして安いほうをとるという体制が望ましいと思っているわけなんです。ところが現実に、現在の航空機というものを考えた場合に、それだけの力を日本の飛行機工業は持っておりません。先ほど長官からもお話がありましたように、持定のものが強くてというかっこうになっておりまして、早く競争関係の——先生の御指摘のように、両方に試作さして、その結果を見て、それで安いほうをとれるというかっこうになれば、最もいいと思うわけでございます。現在、そういう姿はアメリカがやっているわけでございますが、アメリカのような、あれだけの蓄積がありまして、あれだけの需要を持っているというところでできるわけでございます。たとえば、いまのお話のように、われわれはいまのPS1に一社だけでも八十億近い金をかけております。それが二社といいますと、そこまでできませんとわれわれは買えません。どっちが安いかわからぬわけでございます。そうすると、たとえ安くても、それが六十億であがりましても百億こえる投資が出まして、一社は使えないという姿を起こすわけでございます。そういうようないまの日本の航空企業の現状、これは一応通産省の関係と協力しまして、早くわれわれが先生のおっしゃるような姿に行かれるように、どうすればいいかということについて、一歩一歩進んでいるということでございます。で、現在の防衛庁の発注価格が甘いんではないかと、この点についてはわれわれもほんとうに反省しております。毎日その問題については検討しております。たとえば今度の四十五年度予算につきましては、われわれの検討のほかに、いまの防衛庁の原価方式でいいのか、どうあるべきかということを部会でも検討してもらうというために予算を六十万組んでおります。そうした適正な価格で、皆さんの御批判にたえるような調達方法を考えたいという努力はいたしております。いろいろと御指摘もあると思いますけれども、われわれも反省しながら一歩ずつ前進したいと、そういうふうに考えております。
  195. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それではちょっと違う面から質問したいと思うんですが、対潜飛行艇というのは、これは兵器といいますか、軍用機といいますか、これはどういうふうな部類に属する飛行機ですかね。
  196. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) われわれが対潜飛行艇として企画しましたPS1は軍用機でございます。
  197. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 わかりました。それはそれだけ聞いておけばけっこうです。そうすると、先ほどちょっと質問がございましたけれども、対潜飛行艇PS1につきましては、いわゆる工業所有権が新明和にあるわけです。それで防衛庁の飛行機を四十六年までですか、新しくつくる。現在できているのは二機。それで、それはそこまでの段階ではいいんですが、先ほどちょっと話がございましたように、第三者の用に供するために、当該所有権、いわゆる工業所有権の使用をこれは認可してもらいたいという実態が現実に話に出ておりますし、またそういうこともあるわけですが、こういう場合、これはどういうことになりますかね。この点ちょっと伺いたいと思います。
  198. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 現在PS1につきまして、防衛庁は工業所有権は持っておりません。それから一般としましてはそういうふうな防衛庁が持っている工業所有権のついているものを、防衛庁以外につくりたいという場合があれば一それはまあ現実にそういう問題は出ておりませんが、一般的に申しますれば私のほうで機密とかそういう問題について不利にならないという前提一つございます。それからもう一つ、これは欲ばった言い方ですけれども、防衛庁に価格の低廉とかその他の問題で有利になるというようなことがございますれば、それは許すということになるんではないかというふうに考えます。
  199. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですからね、私の言っていることと答弁と食い違ってるんですけど、要するにこの対潜飛行艇の工業所有権は防衛庁は持っておりません。これは初めから、さっきから聞いているわけです、そのことは。工業所有権は新明和にある。新明和にある。この工業所有権を、新明和自身も実際はもっと量産したいわけです。この新聞の中にも載っております、量産したいわけですね。量産すると、あなたいまおっしゃいますように、確かに飛行機は安くなると思うんですね、私は。確かに防衛庁のためにも私はなると思うんですけれども、この工業所有権の許諾について、新明和から要求があった場合にどういうぐあいな処置をとるかということを聞いているわけです。
  200. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 先ほど申し上げました一般論に返るわけでございますけれども、われわれの防衛庁としまして不利にならないという前提があって、それが価格低廉等で防衛庁に有利であるという判断ができれば、それは許すということになっております。
  201. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、たとえばいま現実に出ている話でありますから私申し上げますが、この飛行艇をアメリカに輸出するという話が出ているわけです(これから飛行艇をたくさんつくれば、防衛庁でも安く手に入ります。まさか私、二十億以上の膨大なお金じゃなくて、もっともっと安く入るんじゃないか。ファントムでも二十億しないんですから、ものすごく高い飛行機だと思うんです。私も今度一ぺん見学さしてもらいたいと思いますが、性能はいいにしても、相当高い飛行機ですね。これから輸出するとすれば、防衛庁の不利にならないということからいけば、私は不利にならないと思うんです。これが輸出ですね。その場合、許可を与えることがあり得るか、こう聞いているわけです。
  202. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) PS1の輸出問題は、いろいろと皆さんも御関心がありますし、これは輸出問題ということで通産省が当たる問題だと思いますが、輸出問題と関係なしに現実にPS1というのは、これは対潜飛行艇という武器であるけれども、全然違った救難機として非常に効果があるということで、現実に運輸省のほうでも関心を持っている問題でございます。そういう意味で、たとえば運輸省でそれをつくられるということについては非常にけっこうだと思いますし、われわれとしましては、この救難機としてのこの方向については認めてほしいというふうに考えております。
  203. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、この問題は確かにその輸出の面になりますと通産省になりますが、通産省の前に必ず防衛庁の手を通らなければならないという工業所有権の問題があるわけです。工業所有権の使用の許諾なしには輸出はできないわけですからね。そうすると、通産省にいく前に必ず防衛庁の手を通らないといけないわけです。ちょっといま、いみじくもおっしゃいましたけれども、救難用飛行艇という話が出ているという話がありましたけれども、おたくの防衛庁の中でも出ているんだと思うのです。そして、アメリカから言ってきているのは、アメリカ海軍の沿岸警備隊が救難用飛行艇として輸入するという話があるわけです、現実に。そういう話を私聞いております。もしアメリカ海軍の沿岸警備隊か救難用飛行艇として輸入すると、そういう話が出た場合、この場合の工業所有権のいわゆる実施に関する許諾はどういうぐあいになるか、この点はどうですか。
  204. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 私は、通産省が救難飛行艇として輸出をするという方針を打ち出した場合には、防衛庁は当然工業所有権の使用の許諾を与えていいというふうに考えております。
  205. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこが問題なんです。それは問題です。なぜ問題かといいますと、この四十二年度決算、四十三年度決算の中にも出ておりますけれども、いわゆる救難用飛行艇として輸出したにしても——実は私きょう書類を持ってきておりませんけれども、四十二年度決算、四十三年度決算に不用額というのが出ています。この不用額というのは何かといいますと、PS1を開発するときに、試作段階でアメリカから電子機器、先ほど言いましたソーナーを輸入したわけです。救難艇として使うにはソーナーを取りはずして救難用にちょっとだけつければいいわけです。このソーナーをつければすぐいつでもこれは対潜飛行艇になるわけです。アメリカが救難艇として輸入するといった場合は、あなたは許可を与えるとおっしゃいましたけれども、現実にすぐこれは先ほどあなたがおっしゃった軍用機になるわけです。ソーナーというものをすぐつければいいわけですね。現在では、防衛年鑑によりましても、ソーナーは国産で開発したとありますが、ほんとうにそこのところ、どうですかね。これはほんとうにいま面接問題になりつつある問題ですけれども、あなたがいまおっしゃったことは、結局通産省管轄のいわゆる武器の輸出ということになると思うのです。これはやはり、ただ単に救難用の飛行艇とはいっても、救難用の飛行艇とは見ることができないのじゃないか、こう思うのですけれども、いかがですか。
  206. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 私が申し上げましたのは、通産省が輸出をするという方針にきまればという前提でして、輸出問題についてわれわれは発言する立場でないというふうに考えております。  それから、技術的な問題を多少申しますと、救難機として改造した場合には、まあもちろんそれにまた改造を加えればできるという問題はあるでしょうけれども、相当な改造が加わると思います。ドアの位置とか、中の機器を全部はずしてベッドにするとか、いまのままでそのまま使うということは不合理というか、不備である。だから救難機にする場合は相当の改造が要ると思います。しかし、それも改造したものだから、どうせもとに戻るというなら、そうなりますけれども、その問題は別として、実際問題は通産省の方針であって、われわれは、通産省が輸出するという方針をきめた場合は工業所有権の許諾は認めましょう、こう言っているのです。
  207. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、あまり追及はしませんけれども、非常に問題なんです、ほんとうにこれは。中のベッドをどうのこうの言うておりますけど、簡単にできるのだそうです。ソーナーをつければすぐ対潜飛行艇になるんだそうです。実際これは通産省が許可をすれば云々とおっしゃっておりますけれども、やはり私は、防衛庁としても八十億円という、ものすごい研究開発費を国が全面的に持ってやった飛行艇です。そういう点では、いろんな面から考えてみても、武器の輸出という問題、非常にコストを安くする問題についても、もっともっと考えるべき点がずいぶんあるのではないかということをしみじみ思うわけです。そういう点について今後十分——私、これ以上追及はしませんけれども、検討していただきたいと思うし、またCXの問題についても、これから問題になる問題ですけれども、そういう点よく検討をしていただきたいと、こういうふうに思います。  それでは次に、あまり時間もありませんので簡単にまいりますが、最後に長官にいろいろ伺いたいのでありますが、防衛費の適正な規模というもの——きょう私、そういうテーマでやりたいと思ったのですけれども、防衛費というのは、できるだけ安くしたほうがいい、これは当然のことでありますけれども、やはり必要なものだけは当然必要なものですから、出さなければいけない。そういう点はあると思いますが、適正な規模といいますか、限界といいますか、こういう点についてはどういうぐあいに考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  208. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) その国の国策や国是によって違いましょうが、少なくとも日本の場合は、さきに自主防衛五原則と申し上げましたものを順守いたしまして、国民生活の安定、発展を阻害しない範囲内で現状に変化がない限りは考うべきである、そう思います。
  209. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 国民生活を阻害しないということは、私は非常に大事な問題であると思います。確かに国民生活というものが、この装備費または軍事予算——そういうものに圧迫されるようになっては、私はたいへんだと思います。確かに長官も前から、先日の資料によりますと、国民生活の安定を最大限に重視して、その限度内において防衛力は整備すべきである。そういう点から、特に社会保障費、研究教育費、公共事業費のパリティを重点に考えていると、こういうぐあいにおっしゃっているわけでありますが、私は、過去のいろんな長官の話を聞いてきたわけでありますけれども、防衛費の予算説明するのに、過去の大臣は、ほとんどの方が国民総生産の何%という言い方をしてきたんじゃないかと思うのです。この点やはりずいぶん今度は、いわゆる社会保障費とか教育費とか、そういうふうなものとのパリティを考えてきめると、こうおっしゃっている点ずいぶん変わってきたように思う。実際、現在のように高度成長が続いていきますと、防衛費はいままで以上に相当大きく伸びていくのではないか、その点から将来国民の生活をおびやかすようなことが出てくるのではないか。非常に案じているわけでありますが、この点いかがでしょうか。
  210. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 峯山委員のおっしゃるのと同じようなことを私も考えてやっておるわけであります。
  211. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一つどうしても確認しておきたいのですが、先日の長官の話の中にもあったわけですが、国民生活の安定ということを最大限に重視する、そのことと、それから防衛力を整備するということ、これは私は、何としても国民生活の安定ということを最大限に重視する、これを主にして、そしてそのもとに、いわゆる装備なり、自衛隊の兵力というものを充実していくと。これはやっぱり従でなくっちゃいけない。私はこの間の長官答弁をそういうぐあいに読んだのですが、これはいかがでしょう。
  212. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国民生活優先という考え方を基本にいたしまして、防衛費というものは、平時においてはできるだけ節制を保つことが賢明であると考えております。
  213. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう時間もありませんので終わりますが、いずれにしましてもきょうのいろいろな質問の中で私は感じたのでありますが、やはりこれから装備調達、それから研究開発費の使い方等を考えてみますと、もっともっと研さんしなければならない点がずいぶんあるのじゃないか、こういうぐあいに思います。いずれにしてもまた、これに続いたいろいろな問題については次の機会に質問したいと思いますので、防衛庁関係質問は以上で終わりたいと思います。
  214. 松本賢一

    委員長松本賢一君) それでは他に御発言もないようですから、防衛庁決算につきましては、この程度にいたします。  散会いたします。    午後四時五十二分散会