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1970-09-02 第63回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年九月二日(水曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員異動  八月十七日     辞任        補欠選任      温水 三郎君     山崎 竜男君  八月三十一日     辞任        補欠選任      峯山 昭範君     三木 忠雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         森 元治郎君     理 事                 若林 正武君                 渡辺一太郎君                 和田 静夫君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君     委 員                 長田 裕二君                 亀井 善彰君                 今  春聴君                 佐田 一郎君                 菅野 儀作君                 田口長治郎君                 長屋  茂君                 初村瀧一郎君                 矢野  登君                 山本敬三郎君                 大橋 和孝君                 安永 英雄君                 二宮 文造君                 三木 忠雄君                 渡辺  武君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        警察庁刑事局捜        査第二課長    小林  朴君        行政管理庁行政        監察局長     岡内  豊君        法務省入国管理        局審判課長    植村 英満君        外務大臣官房領        事移住部旅券課        長        佐々木正賢君        大蔵政務次官   藤田 正明君        大蔵省主税局長  細見  卓君        大蔵省関税局長  谷川 寛三君        大蔵省理財局長  相沢 英之君        大蔵省理財局次        長        小口 芳彦君        大蔵省理財局国        有財産第二課長  庄司 俊夫君        大蔵省銀行局長  近藤 道生君        農林省農地局管        理部長      小山 義夫君        林野庁長官    松本 守雄君        通商産業省企業        局商務第一課長  竹村  豊君        通商産業省鉱山        石炭局審議官   磯西 敏夫君        中小企業庁指導        部長       小斎  弘君        建設省計画局建        設業課長     檜垣 五郎君        会計検査院事務        総局第一局長   中込 良吉君        会計検査院事務        総局第四局長   田中  稔君        会計検査院事務        総局第五局長   石川 達郎君        日本専売公社総        裁        北島 武雄君        日本専売公社総        務理事      遠藤  胖君    参考人        国民金融公庫総        裁        澤田  悌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十三年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十三年度特別会計歳入歳出決算昭和四十三年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十三  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和四十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和四十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 森元治郎

    委員長森元治郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る八月十七日、温水三郎君が委員辞任され、その補欠として山崎竜男君が、また、八月三十一日、峯山昭範君が委員辞任され、その補欠として三木忠雄君がそれぞれ委員に選任されました。     —————————————
  3. 森元治郎

    委員長森元治郎君) 昭和四十三年度決算外二件を議題といたします。  本日は、大蔵省と、それに関係する日本専売公社及び国民金融公庫決算につきまして審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森元治郎

    委員長森元治郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 和田静夫

    和田静夫君 富士銀行の十九億円の不正融資事件について、まず若干の質問をいたしたいと思います。  銀行は、その公共的な性格からいって、たいへん手厚く保護を受けているわけでありまして、したがって、そういう意味ではたいへんな不祥事件が起きていると言わざるを得ません。まず、十九億四百万円といわれる富士銀行不正融資事件について、専門家たちは異口同音に、とても考えられないことだと、こう述べているわけであります。そこで、事実関係をまず少しこまかく教えていただきたいのでありますが、菅沼といわれる人は金東善の振り出したいわゆる輸出手形、それを割り引くという形で融資をしていた、こういうふうに伝えられております。そうすると、当然輸出割り引き手形には一定の期限がある。それはどのくらいの期限でありますか。
  6. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 今回の不祥事件につきましての手口でございますが、一口で申しますと、輸出関係資金前貸し、または輸出貿易手形の買い取りという事実が全くございませんにもかかわらず、それがあったかのように仮装をいたしまして、ただいまの菅沼副長独断によりましてトムソン通常手形貸し付けをいたしたわけでございます。したがいまして、ただいまの輸出関係は全く存在いたしませんことで、その関係書類や何かは一切菅沼自身独断処理をしてしまいまして、伝票だけを起こして、実際のトムソン富士銀行との関係は、通常手形貸し付けという形になっておるわけでございます。したがって、輸出関係貸し出しの詳細な書類とか、そういうものは一切出ておらないわけでございます。手口といたしましては二つございまして、一つ輸出関係資金前貸し、これは外為手貸しで、融資形式一般手形貸し付けと実体は同じであるということ。それからもう一つは、輸出貿易手形の買い取り、これは買い入れ外国為替として経理いたしております。いずれも菅沼係副長でございますために、外国為替係だけで非常に不備な手続のままで済ましておるわけでございます。
  7. 和田静夫

    和田静夫君 いってみれば、輸出手形としての条件は一つもなかった。すべて行なわれたことは、菅沼個人独断で行なわれていた、こういうふうに理解をしていいわけですね。そうしますと、もう一つは、菅沼と金東善との間で昨年の二月からことしの三月まで続いたと、いろいろなものを総合してみると、報ぜられているわけです。そうしますと、十九億四百万円という金額はどういう形で形成されたのか、教えてください。
  8. 近藤道生

    説明員近藤道生君) まず経過から申しますと、トムソンに対する雷門支店からの貸し出しは、四十二年の八月末にすでに一千八百五十万円の手形貸し付けがございました。これは、この当時におきましては全額預金担保でございまして、いわゆる正常な取引であったわけでございます。それが四十二年の九月末では残高が二千二百二十万円となりまして、九月の月中に三百七十万円の貸し出し増加が行なわれております。これは菅沼支店長決裁なしに行なった独断融資で、つまり今度の不正融資は四十二年の九月から始まったということでございます。このころから、まず手形貸し付けによる不正融資が始まっております。そうして、ただいま御指摘がございましたように、四十四年の二月からこの手形貸し付けのほかに買い入れ外国為替を仮装いたしましての不正融資が行なわれるようになりました。そうして、その残高は毎月増大いたしてまいったわけでございます。そこで、この両者を合わせまして十九億四百万円、ほとんど大部分のものが四十四年の二月からの買い入れ外国為替を仮装しての不正融資、これがほとんど大部分でございます。一部が先ほど申し上げました四十二年九月からの分、これがきわめて一部あるということで、合わせて十九億四百万円ということに相なっております。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 四十五年の二月から三月の段階で約十億余り、九億何がしかの金額が一挙に貸し出されている。それはそういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  10. 近藤道生

    説明員近藤道生君) そのとおりでございまして、九億円ぐらいのものが急速に増大したというふうに報告を受けております。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 最初質問——必要な書類等のいわゆる操作がなされていませんから、いま申し上げる部分についても、おそらくそのことはなされていないと思うのですが、LCの審査状況などというものも結果的には存在しない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  12. 近藤道生

    説明員近藤道生君) その点について、やや詳細に申し上げますと、正式の買い入れ外国為替の場合には、買い入れる手形のほかに、先刻御案内のように船荷証券輸出認証信用状その他関係書類が必要でございますが、本件の場合におきましては、手形その他関係書類が一切なしに、全く架空に伝票を起こしまして、その資金株式会社トムソン当座勘定に受け入れて使用さしていたわけでございます。そうして、その伝票菅沼自身、または係員に命じて記入させた場合もございますが、検印、印のほうは菅沼限りということで、特にあやしまれなかったようでございます。なお、当座勘定動きからトムソン動きに疑念を持ちまして、預金係が係長に申し出たという事実もございますが、菅沼は、トムソンとの外為取引につきましては自分が支店長に一切まかされておるのだということで、その場を切り抜けておるということでございます。  それから、買い入れ外国為替伝票の起票でございますが、これは買い入れ外国為替支払い伝票明細表、それから取引先当座勘定への収入伝票及び受け入れ手数料収入伝票が二者記入されまして、買い入れ外国為替勘定については当日分を一括して別に支払い伝票がつくられるというたてまえでございますが、そしてそのうち、この買い入れ外国為替支払い伝票明細表本店のほうに送られまして、本部電子計算課に送られるということになっておる、これがたてまえでございますが、菅沼がやりましたことはこの明細表電子計算課に送らなかったということと、支店でこれを伝票として使用せしめて、別に作成すべき支払い伝票はつくらないというやり方でやっておったわけでございます。そこで支店からは、営業店月次損益検討の目的で本部あて支店管理表が別に出ております。この表の中に外国為替関係損益という表がございますが、その表に外国為替勘定動きが記載されておるわけでございます。そこでたまたま外国部業務係担当者がその表を検討いたしておりまして、雷門支店買い入れ外国為替勘定が非常に多いにもかかわらず、外為関係損益がたいへんな赤字になっておるということに気づきまして、外国部審査係連絡して調査をいたしたということが今回の事件発覚端緒になったわけでございます。なお、本店買い入れ外国為替が発生いたしましたときは円で受領する、円貨受領のものを除きましてはすべて本部に移管されることになっておりまして、支店にそのまま残されるということは非常に限られたものになるわけでございますが、本来その限られたものであるはずの金額雷門支店の場合には非常に大きいということがいまの注目を引いて、発覚端緒になったということでございます。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 富士銀行の場合には支店専決融資が許される限度というのは、一体幾らなんですか。
  14. 近藤道生

    説明員近藤道生君) これは店によって違いますのでございますが、たとえば雷門支店の場合は、一債務者に対する融資というものが担保分と無担保分とに分かれております。まあ担保がある場合には五千万円に満たない数千万円、それから無担保の分がそのまた約半分以下といったようなことになっております。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 したがって、たとえば私たち個人でこの院内にある大和銀行支店から三けたの金額を借りようと思ったって、これはみんな本店決裁だからということになりますよね。ところが今度の場合は、これくらい巨額のものが動いておりながら、いってみれば雷門支店裁量でもって行なわれるなどということは、常識的には考えられません。しかももう一つは、トムソンとの関係で、いってみれば虎ノ門支店が当然取り扱うのが至当ではないかと常識的には考えられる。それが雷門で取り扱われる。こういうような事態をずっと考えてみますと、菅沼個人だけの裁量というような形ではなくて、かなり上層部までがこの事態については理解をしながら、そうして菅沼の手元でやらさせておった。そういうふうに類推をし得る向きがいろいろの資料の上からも考えられますけれども、その点については銀行局長立場でどう考えられますか。
  16. 近藤道生

    説明員近藤道生君) ただいままでの報告並びに調査の結果によりますと、特にそういう点についての心証というものは私どもは得ておらないわけでございます。  なお、並行いたしまして、富士銀行から警察当局連絡——ども連絡がありましたと同時に、警察当局へも連絡をいたしまして、現在司直の手でいろいろと取り調べが進んでおりますので、詳細はその調査が進んだあと全貌が判明してまいるかと思いますが、ただいままでのところでは、いまおっしゃいましたような点での心証というものは全くございません。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 たとえば富士銀行の頭取の新聞発表記者会見なんかを読んでみますと、支店長次長がこの外国為替にうといのにつけ込まれたというような背景になっているのですね。しかし先ほど来、質問答弁の中にあったように、輸出手形にかかわるところの正式の様式あるいは処理行為というものは一切なされていないわけですよ。そういう意味では、外国為替にうとかったとか、うとくなかったとかいうようなことは、まさにこれは虚偽であって、そういう意味から考えてみても、銀行全体を動かす影響力を持った人がこれを黙認をしておったとしか考えられないのでありますが、この辺はもし警察のほうの調べが進んでおるとすれば、警察庁関係ではどういうところまでお調べになっておりますか。
  18. 近藤道生

    説明員近藤道生君) ただいま御指摘の点は、まことにある意味でそのとおりでございまして、支店におきましては不正のものであれ伝票が作成されている以上は、手形貸し付けまたは買い入れ外国為替勘定残高がふえてまいりますから、そうして毎日すべての勘定残高支店日計表に記載されまして、本来支店長検印を経て本部へ送付されておるわけでございます。したがって、支店内におきましても買い入れ外国為替残高の異常な膨張には気づくのが当然でございます。これが見過ごされていたということは、まさに弁明のしようがないところでございますが、外国為替部門は従来からとかく特殊な専門分野として見られる傾向がございますが、今度の場合、支店長あるいは次長が積極的にこの部門チェックするという役職としての基本的な動作に欠けておったというところに、非常にたいへんな基本的な問題があったというふうに、現在までのところでは事態の本質を理解いたしております。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 支店長次長チェックするいわゆる機能、能力に欠けておったというだけでは済まされない性格をこれは持っておる。済まされない性格を持っておるという意味から考えてみますと、私はたいへん富士銀行内で力のある人がこれにからんでいない以上は、こういう非常識な、ばかなことが行なわれるはずはないと思います。その辺のことはさらにこの展開を見ながら指摘をしたいと思うのですが、しからば不正融資発覚をした正確な時期というのは一体いつなんですか。
  20. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 銀行当局がこの不正事件のことについて初めて気がつきましたのが三月末であったというふうに聞いております。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 私が調査をした範囲では、どうもいま言った非常識な状態でありますから、当然本店の側では気がついた。しかしそれは銀行特有やり方からいって内部でもってそれをおさめようとした。そのことがさらに事件を大きくしてしまうという形になった、事態を悪化させた、そういうふうにまあ思われます。そういう点については、そういうふうにお考えになりませんか。
  22. 近藤道生

    説明員近藤道生君) ただいまのはちょっと私はあれでございましたが、銀行当局が気づきながら報告がおくれたことについてどう思うかというふうな御趣旨でございますが、その点につきましては今回の事件が非常に金額が多かったこと、手口がかなり長い期間にわたって行なわれたこと、それから本人が失踪いたしてしまっておったというようなこと、まあそれらのことで全体の把握にある程度時間を費やしたかとは思われますが、ただ、私どものほうに報告がまいりましたのが六月末でございます。そこで、私ども並びに警察当局にもその時点で報告がございました。  そこで、かねがね私どもといたしましては、このような事件が起こった場合には直ちに当局あるいは警察当局連絡をするようにということでやっておりますので、その点につきましてはもう少し早く報告があってもよかったというふうな感じを持っております。
  23. 大橋和孝

    大橋和孝君 いまの答弁を聞いておりますと、銀行業務では二重チェックとかいわれて非常にチェックをされているはずだと。それからまた、こういう金額貸し借りの額がふえる場合には、個人に対してのずっと出し入れの記帳がされているはずですね。こういうものがあったならば三月の終わりころまで、四十二年から行なわれているのがわからないままであったという、現在の銀行業務はそういうものであるのかどうか。それであるなら、私は国民の側から、銀行というものはもっと信頼のできるもので、ほんとうに固くやられるということを念願して、またそういうように評価されている。ところが、こんなことが行なわれていることは、もうチェックもしてない、個人にどれくらい金が行っているかということもわからない、しかも個人がやっていてその支店長も知らない。銀行局長立場でいまそういうことを言われて、今後銀行行政に対しての国民信頼というものにこたえられるかどうか。私は、いまのこの問題についてもいろいろデータを集めております。こういうことが、私は国民の側から、今後金融機関に対する信頼度、こういうものから考えたならば、こんなことはあり得ないことなんだ。先ほど和田委員のほうからもそうおっしゃっているわけですが、それをさらさらとあなたがまだそういうことを言っておられる。私は、銀行というものは今後何をするものかわからないと国民から考えられてもいたしかたがないと思うのです。もっとその点を含めて明確な態度を示していかないと銀行全体、金融全体の問題になってくると私は思うが、どうだろう。これは大臣、一体どうですか、いまのようなことも含めてひとつ聞かしていただきたい。
  24. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまの問題は、事実関係銀行局長から……。これはどうも真相がまだはっきりしないので、厳重に真相調査いたしまして、その根源をつきまして反省すべき点は反省していく、こういう決意でございます。
  25. 大橋和孝

    大橋和孝君 私の質問の焦点は——聞きたいところは、これだけの金額昭和四十二年からことしの三月まで、相当長い間にいろいろなされていって、しかも現在もう——この問題はあとから追及されると思うのですが、犯人は香港へ逃げておるというような状況——それがもう四月たっておるというような状況で、いま現在真実を調べるという状態では、私は銀行を監督される立場にあるものがどうもおかしいのではないか。それは、いま局長のほうから御答弁願いたいが、チェックするシステムにもなっていようし、本人貸し借りをやっていく場合にはそれがずっと日にちを追うて記載されておるはずと思うのです。われわれの聞いている範囲ではそういうふうにされて非常に銀行業務というものは明確になっておる。そしていろいろなところでチェックされるわけだからチェックポイントがある。それだからして、こんなことがなされてわからないでおって、これからまだいろいろ調べてみなければわからないというような状態銀行大蔵省のほうがおられることに、どうも私は国民の側から見れば非常に疑惑を持つことになるのだ。私は、もっといままでにできたことはないか。あるいはまた銀行局長のほうでは知っていても、ある程度その金融機関のやることを信頼して、そしてそれをまかしておったのか。こういうようなことなんかはもう少し明確に答弁していただきたい。
  26. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 金融行政の姿勢を含めまして銀行監督のあり方につきまして非常に反省もし、今後いろいろな点で改善をいたしてまいらなければならない、指導監督を一そう厳正にしてまいらねばならないというふうに私ども自身も痛感をいたしておるわけでございます。  ただいままでの状況最初に御説明申し上げましたような状況でございまして、本来、内部編成組織がしっかりして、ただいま御指摘もございましたように、国民大衆のお金を預かる銀行といたしましては、その信用基盤なくして存立の基盤はあり得ないわけでございますので、そういう信頼の基本をゆるがすような内部編成組織の手落ちというようなこと、あるいは人事管理の問題、そのような問題について銀行側もただいま責任を痛感して善後処理、今後の処置方針、いろいろと研究をいたし、国民信頼を裏切らないような方向で、もろもろの施策を改善検討いたしてまいりたいということを考えておる次第でございます。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 先ほどちょっと答弁が違っていたんですが、私の言いたいのは、三月末に明るみに出るまでの間に富士銀行本店の側は、この事態について察知をして内部的に何とか処理をしようとした、そのことがさらに事態を悪化させた、そういうようにも判断をしていますけれども、そういう事実はありませんか。
  28. 近藤道生

    説明員近藤道生君) そういう御趣旨でございましたか。その意味では、それまでは本部において全く気づかなかったということが事実であろうかと、いまの段階では考えております。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 それでは、三月の段階大蔵省も知った。そこで当然、銀行局としては特別報告義務等を課せられた。そういう行政指導を当然されていると思いますが、いかがですか。
  30. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 本件につきまして、その後の債権確保やり方あるいは事件全貌、それらにつきまして詳細に新事実が判明し次第、連絡を受けるようにいたしております。そうしてまた、その連絡に基づいて個々に必要事項を指示いたしております。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 銀行法施行細則の第八条によりますと、銀行営業年度経過後二カ月以内に大蔵大臣業務報告書を提出すべし、こういうふうになっておりますね。そうしますと、銀行営業年度というのは四月から九月、それから十月から翌年の三月ですから、当然この不正融資にかかる期間業務報告書大蔵省は昨年の十月から十一月と、ことしの四月から五月に受けているはずです。それでこの問題についてもちろん申告が虚偽でしょうから、大蔵当局としては知るすべがなかった、こういうことになろうと思うのですが、それはそういうふうな理解でよろしいですか。
  32. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 大蔵当局も知るすべがございませんでしたし、富士銀行本部も、その報告作成の段階ではまだ知らなかった期間のほうが多かったように思うわけであります。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 私は、富士銀行本店というのは当然知っていた。内部的な操作でもってこれを何とかしようと思って、大蔵省に対する報告についてはおそらく虚偽報告をしただろう。そういうふうに考えますが、ところでこういう事件が明るみに出てみますと、単に書類報告に基づいて、それを大銀行なるがゆえに黙認をしている、こういう形のものがいままでの慣行的なものですね。そういうものが今後もそういうふうな形でよろしいというふうに、これは大臣お考えになりますか。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今回は非常に特殊な事件だと思いますが、この経過等も調べてみまして、反省を要するところがありますればこれを反省してまいる、かようにいたしたいと考えております。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、反省しなければならない点があったとするならば、指導のあり方は変えられる、こういうことですか。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 反省すべき点がありますればどしどし変えたいと、かように考えております。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 十九億の金が、先ほども述べられたとおり、一度雷門支店トムソンの当座預金口座に振り入れられて、そしてそこから金何がしが引き出していっている、こういうふうになっていますが、その引き出していった額ですね、それらについてはもうすでに詳細におわかりですか。
  38. 近藤道生

    説明員近藤道生君) ただいままでの報告では全額引き出されておりまして、その使い道については全くわからないというふうに聞いております。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 全くわからないということでありますが、一体この金はどこへいってしまったのですか。
  40. 近藤道生

    説明員近藤道生君) その点がただいまの段階では残念ながら両当事者ともに失踪いたしておりますような状況でございますので、全くわからないというふうに聞いておるわけであります。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 これは警察庁も含んで全くわかりませんというような答弁では許せるような問題ではないと思うのですが、大臣、これはどうですか。全くわかりませんということで済まされる問題でないと思います。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりと思います。ただ現段階におきましては、私が報告を受けているところでは全くわからぬ、さようなことでございますが、いまこれは検察当局警察当局が捜査をいたしておりますので、いずれはある程度の具体的な事実がわかってくるのじゃないか、さような期待をいたしております。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 たとえば現金の一部が韓国系の某銀行に積まれておって、それが一億円という定期預金になっておるなどというようなことがありますね。それもやはり行くえの一つじゃないですか。
  44. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 実はいろいろと端摩憶測はあるわけでございますが、その確実の度合いが全くわからないということでございます。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 香港でもってどうしてその所在がわかったかどうかということはあとの問題でありますが、金何がしと富士銀行の代表が会って、そうして担保の問題について話し合った。その場合に明らかに特定銀行にあるところの定期預金の一億については、担保として、あるいは返済金として充てますなどというような形でやりとりが行なわれております。そうすれば、少なくとも明るみに出ている一億の行くえというものは、これは一億というものはその行くえとして判断をしていいのではありませんか。
  46. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 担保になるべきものにつきましては、たとえばただいまおっしゃいましたような預金関係でざっと一億五千万、それから代手——代金取り立て手形でざっと八千万くらい、自動車、機械といったようなもので五千数百万というような調子で、大体担保の確保につきましてはいろいろの手が講ぜられておるわけでございますが、ただ貸し出された金がどの方面に向かったかということにつきましては、ただいまのいろいろの担保がはたして貸し出された金によって得られたものかどうかという点も含めまして、まだ今後の司直の手による捜査の結果にまたなければ判明しないことばかりでございます。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、司直の手による捜査の結果判明するというのですが、現在の過程はどの程度のところまでおわかりになっていますか。
  48. 小林朴

    説明員(小林朴君) 警察のほうの調べはいま始まったばかりでございまして、まだ申し上げられるような状況にはなっておりません。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 たとえば富士銀行と金との間のやりとりで、七、八億のものについては本人が何か返すと言ったとか返さぬと言ったなどというやりとりが報ぜられていますね。それは、そういうやりとりがあったと確認してよろしいですか。
  50. 近藤道生

    説明員近藤道生君) トムソンの社長が国内におりましたときから、ただいま御指摘の香港で会いましたとき、その両方を含めまして先ほど申し上げましたような担保の確定がほぼできたということでございます。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 そこで私は、たとえば本人が八億なら八億の金額についてはこういたします。その八億ぐらいの金額というのは実は本人がある時期において必要とした金額、その八億のいわゆる借りをめぐって、第三者が介在をしながら、そこに上積みをされながら、十何億というようなばく大な金のいわゆるやりとりが生まれていった。そういう意味においては、ある意味で逆に考えてみますと、おれの必要としたところの金はおれは返す。しかしながら、この悪事を握りながらそこに便乗してきた金なんというのは、おれは知らないなどというような形で開き直っているというようなことも私は考えられると思うのです。そういうようないろいろのニュースがあります。いろいろの言われ方があります。そして二、三の特定の人物の名前が浮かんでいますが、そういうようなことについて、これは大蔵省としての今後の調査の中では確定をされていきますね、いくと判断をしておいてよろしいですね。
  52. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 司直の手による捜査あるいは銀行自体の調査、それらのものを通じて、実際の実態の究明ということは、できるだけ私どももいたしてまいりたいと思っております。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと伺いますが、富士銀行担当の大蔵省関係銀行検査官はどなたですか。
  54. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 銀行検査官は、御承知のように各銀行を検査するつど変えておりますので——メンバーを変えておりますので、たとえば富士銀行担当の専門の検査官というようなものはございません。全体の検査官を検査があるつど編成をいたしまして、そのつどメンバーを変えるということでやっております。
  55. 和田静夫

    和田静夫君 今度の場合、当然銀行法二十一条なら二十一条の主務大臣の検査権に基づいた検査ということが行なわれますか。行なっていらっしゃるわけですか。
  56. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 銀行検査は大体、特に犯罪捜査のためにやるということではございませんが、できるだけ頻度を多くいたしまして、特に預金者保護という観点から銀行の資産内容につきましてできるだけひんぱんな検査を行なうということでございます。ただ都市銀行の場合、大体従来、機構、定員その他の関係もございまして、まず二年半ぐらいという感じの検査周期であったわけでございます。しかし今回のような事例もございまして今後できるだけこの周期を短くいたしてまいりまして、富士銀行のみならず金融機関に対する検査というものをできるだけひんぱんに行なってまいりたい。ただ、たとえばこういう事件があってすぐに行くというようなことではございませんで、あくまでも検査は抜き打ちに、いつ行くかわからないというたてまえで検査をする、今回の検査につきましても事前に通知をして検査をしたということのために、菅沼に工作されて非違が発見できなかった、富士銀行本部の検査が。そういう事例もございまして、大蔵省の検査はあくまでも抜き打ち検査ということをたてまえにしてやっておるわけでございます。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 これから調査をされていって、結論が出てから、大臣のおことばによれば反省すべきものがあれば反省をして、改めるものは改める、こういうことですが、ところで今度の場合、歴然として「業務報告書又ハ監査書ノ不実ノ記載、虚偽ノ公告其ノ他ノ方法二依リ官庁又ハ公衆ヲ欺罔シタ」という三十四条の役員の報告義務違反というものが成り立ちませんか。
  58. 近藤道生

    説明員近藤道生君) ただいまおっしゃいました報告義務違反の場合は、銀行がそれ自身の意思において欺罔をいたしたという場合でございまして、今回のように本部自身も欺罔をされておったという状態、そういう状態の場合には本条には該当しないと考えております。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 それでは、あなたの名前で七月十六日に通達が出されていますね。そしてその通達は、かなり銀行局長としては富士銀行の今日やっていることについて腹に据えかねている、そういうにおいがふんぷんとする文章ですね。したがって富士銀行に対しては——頭取はたいへんな影響力を持っている人だから、あなた方はめったなことを言いたくないだろうが、かなりの不満を大蔵省銀行局、また銀行局長としてもお持ちになる——私はお持ちになるのは当然だと思うのです。なぜならば、後ほど指摘もしたいと思うのですが、明らかに犯罪行為であるということがわかっていながら告訴もしないということでありますから、そういう意味ではこの海外逃亡を逆の意味では助けたわけですから、そういうようなことを含んで問題点が非常にあります。私はもう、てんからそれらのことをずっと考えてみれば、これは明確に役員自身が知りながらこの報告義務違反を行なっておるというように判断をいたしますが、総合的に考えてみて、いま私が述べたようなことが言えると、局長はお思いになりませんか。たいへん私は常識的な論理だと思っておるのですが。
  60. 近藤道生

    説明員近藤道生君) むしろ今回の事件は、最初に申し上げましたように内部牽制組織の不備、たとえば日計表支店長が常時チェックしていくべきことについてのたいへんな基本的なミスというようなことが非常な大きな要因をなしております。それらの点につきまして富士銀行の幹部といたしましても、かなり痛切に反省をいたしておるように見受けられるわけでございまして、そのような方向で今後富士銀行内部内部牽制組織その他を改善いたしてまいる。それからまた、私どもといたしましても、富士銀行のみならず各銀行につきまして、そのような方向で不備の点を是正さしていくということに努力いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 私は、三十四条の役員の報告義務違反、あるいは三十五条の役員等の職務違反の事実などということが、おそらく今後間違いなく捜査が進んでいくならば明らかになると思うのですが、今日の段階でも取締役や監査役の解任を命ずる意思が当然大蔵大臣にあってしかるべきだと思うのです。私は、頭取は罷免をされるべき筋合いのものだと、こう思うのです。大蔵大臣の所信を伺いたい。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まだ、先ほどから申し上げておりますとおり事実関係がはっきりしない。まあ一応私ども富士銀行から報告を受けておるというところでは、これは本部は知らないと、こういうふうに理解されます。そういう状態ですから、なお検察当局調べを待ちまして、責任があるといたしますれば処断をする、かように考えております。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 いま一番最後のところが聞こえなかったのですが、責任があるということが明らかになった場合には明確に罷免をする、処断をされる……。
  64. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そうです。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 それをちょっと確認しておきたいと思うのです。
  66. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 明確になればですよ。そうは考えておらないけれども、明確になりますれば法によって処断をする、こういうふうに考えております。
  67. 大橋和孝

    大橋和孝君 このいまの大臣答弁やら局長答弁を聞いておりまして、先ほどから私は非常に疑問に思うわけでありますが、この銀行業務を管理しておられる立場で、そうしてこの大きな金額がこうした不正になってきた、しかも発覚されておるのが相当早かった。そういうような話でありまして、いまのようにそれが発覚すればというような状態で、銀行局として、あるいはまた大蔵省としてこれを把握しておられていいのかどうかということが私は非常に疑問です。先ほどから申されたように、信頼する金融機関に対する、そういうものの取り締まりにおられる立場として私は非常にその了解に苦しむわけですね。われわれ庶民として考えて、そういうことが起こり得るとはとうてい考えられないことだ。そういうことが起こっておって、しかもそれがほんとうであるかどうか、事実が発覚するまでは——発覚してからの話で、そうは思っていないというような大臣のいまの御答弁を聞いておりますと、私は庶民感情としてはほんとうに受け入れられないような感じ方を持つわけです。あるところに報じられておりますところでは、一月なんかはほとんど毎日のように二千何百万円というのが六日、七日、八日、九日というような調子で、ずっと出しておられるというので、どうせ偽りのメモでございましょうけれども、そういうものを出されておるということから考えて、そういうことを聞いた国民の側は、おそらくその金額が出されてきたということに対して——そうしてある一人の人がいかに巧妙にやったにしても、金融機関でそういうことが行なわれてきておるのに、これをいままでの間にチェックすることができなかったことだけに問題がある。私は、銀行業務に対してはそういうことが起こってはならないので、定期的に、抜き打ち的にやはり監査もしておられるし、またいろいろな手を抜いた、変なことの起こらないような、手の抜けないような方式はとられておると思うのです。それが今度の場合には虚偽をチェックする場所があったにもかかわらず、案外チェックされていない、こういうところに私は非常に大きな疑惑が起こるわけです。いまの答弁の中で、過去にもう少し検査をされておったんじゃないか。言うならば、銀行のほうまで、大蔵省のほうまでどうもこの内容がわかっておったのじゃないかというふうに疑われるような状態にあるわけですが、もしわからなかったとするならば、どういうところの検査ではどういう欠陥があったというようなことを、できればもっと明らかにしておいてもらわないと、銀行局としていままで富士銀行のあり方をずっと調べてきた、こういうわけだからわからなかったこともやむを得ない、こういうようなことが明示できますか、できたらしてください。それくらいのことがないと、いままでわからなかったのは何かあたりまえのような形になっておるとするならば、逆にいえば、こういうことがまだまだ幾らでも行なわれるということにも考えられるわけです。こういうことはいままでの銀行業務の監査の中で起こらなかったやつを、こういうふうに巧妙にやったのでわからなかった。なるほどということを国民理解しなければ、私はいけないと思うのです。司直の手によって明らかにされる前に、そういうようないままでの過去の段階でそういうことができないような仕組みにあったかどうかということを、もう少し明確になるように、いままでの検査の結果、これをひとつ示していただきたい。
  68. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 監査につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな制約から、都市銀行の場合二年半ないし三年というようなことで従来きております。そこでたまたまこの前回の検査の際には、まだトムソンに対する貸し出しが全くございませんで、その点は問題として取り上げられなかったわけでございます。ただ、一般論といたしまして内部牽制組織、特に人事管理、このような点については特別の注意を喚起したという事実がございます。そういうことでございまして、非常に御指摘のように大きな金額——国民信頼に沿わない、そういう事態になりましたことはまことに残念でございます。今後都市銀行の検査等につきましても、できるだけ周期を短縮してやってまいりたいというように考えておるわけでございます。
  69. 大橋和孝

    大橋和孝君 銀行局のほうではそうであって、二年半も回らないから、そのときたまたま監査できなかったということは了解できるわけです。そうなると今度、銀行業務というのをやっている——富士銀行に限らず、銀行そのものには、こういうようなことが起こり得るということがあるのか。いろいろデータを調べてみましたが、このごろの、何と申しますか、不正事件というのはかなり金額が大きくなってきていますね。これはもういろいろあげてみればいっぱいあるわけです。どこの銀行にもミスというやつがたくさんあるわけですが、金額にしても四十何億あるのですね、一年間に不正貸し付けの金額が。そうしてまた、その金額もずっと増加してきている。けれども、今度のような場合はちょっと常識的に考えられない。で私も、先ほどちょっと触れたんですが、もう二重三重にチェックをされて貸し付けなんかされるわけだから、銀行の中では、それがいかにそういう常習犯であるとかいう相手であり、また銀行内部のほうの相当優秀な方であったにしても、こういうことが行なわれることは絶対にあり得ないシステムになっておると思いますね、いままでは。そういう点をやっぱりあなたのほうから考えられて、今度のこれは一体どこに間違いや欠点があったのか。そういうようなことくらいは、いままでずっと——二年おきにしましても、こう監査をしておられた観点から見れば、これはどういう点で間違いが起こったとか、あるいはまた、こういうことの納得できるような、いままでの監査の経験——いろいろな面から見て銀行内部状況、こういうものに対しては、これだったらやむを得ないことであった、なるほどうまい犯罪行為であったので、これはわからなかったといって、大衆が受け入れられるような状態に、まあわれわれはいまないわけなんですから、これに対して局長のほうでは、これは一体どう見ておられるか。もう私たちの常識からいったら当然そういうものはチェックされるポイントに出てこなければならない。もう支店長も知らなかった、本店の監査役も役員も、みんな知らなかったということで何か済ましている。これからわかったらどうこうしますということでは、私はどうしても了解できぬわけですから、こういうものであるだろうということが起こるかもしれないとか、こういうところにいままでのこの事件から振り返って見れば欠点があったということを、ある程度ここで明確にしておいてもらわぬと、これからの話も続いていかないわけですね。そういうところ、もう一ぺんいままでの経過から振り返ってみてこうだということを、ひとつ考えてみてください。
  70. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 最初に申し上げましたように、今回の事件を顧みまして具体的に最も抜けておったと思われる点が二つあるわけでございます。一つ支店長なり次長なりが日計表を見ておりまして何ら不審を抱かなかったということ、これはやはり人事管理上の問題にも連なる問題であり、職員の研修教育、訓練というようなことにも連なる問題でございまして、やはりこまかな点を見て大きな点を見のがすというようなことがないような訓練が平生から望ましいということが一点でございます。  それからもう一点は、外国為替の専門家というものについて、外国為替関係は全部それにまかせてしまって、ほかはめくら判でいくというような風潮があったのではないかと思われる点でございます。その点につきましては、富士銀行も先月の八月から、いわゆる自店検査制度というものを改正いたしまして、担当外の役職者にその部門の検査を行なわせる。まあ従来自分で自分を検査しているということでございましたために、たとえば為替の係長が係員の非違を発見するということはできたわけでございますが、係長自身が今回のようなことを引き起こしたというような場合には、自分が自分で検査をするということで抜けてしまうということでございますので、今回は他の担当の係長があえて検査をする、しろうとであろうと何であろうと、その点は少し勉強をしてもらって、あえて他の部門を検査するというような制度に、八月に自店検査制度の改正が行なわれたわけでございます。まあそれらの点が今回の事件における一番反省すべき点でもあり、今後そういう方向で他の銀行についても当然指導がなされなければならないというふうに考えるわけでございます。
  71. 大橋和孝

    大橋和孝君 いまのお話を聞いて、私特にまだ奇異に思うわけですが、日計表をこしらえるところの目的というものは、金の動き支店長なりが知るわけですが、これは本店のほうには全然報告はないものですか。それからまた、この為替の問題はまあ専門家がいないということがいろいろ言われておるのですから、そうらしく私どもも感ずるわけでありますけれども、いずれにしても、これはその人にまかしてしまって、めくら判を押すというようなことを局長は言われましたけれども、そういうようなことがほんとうに一般銀行でも行なわれておるのか。これはもう、そんなだったらチェックポイントと言われておるものをやられても、これはナンセンスになるわけですね。ですから私は、そういうようなことにあとで改正されたにしても、いままでの中にそういうことが行なわれておるとするならば、私は、その業務動き方というものは非常に変則だと思うわけですね。ですから私ども金融の問題についていろいろな相談を受けながら、少額の金融に対してもあらゆる点で苦しんでおるわけで、一つのポイントが抜けておればなかなか少額の金額でも貸し出されないわけですね。そういうような観点から考えたならば、私は、これだけ大きな金額は一係長クラスの人が自分でこれをチェックをして、それで済んでしまうのだというような業務が行なわれているということは想像ができないわけですね。小さな金額動きまでもあれほどチェックしておられるのに。ですから私は、そこのところに何して、いまのありふれた答弁ではなくて、実際国民の側からこの問題を見たときに、ああなるほどそれはしようがないなあ、そういうこともあり得るのか、これは今後注意してもらおう。こういうようなものが出てくればいいですけれども、いまのようなありふれた表立っての——こう聞いたからこう答えたという、その答弁だけでは、もう金融機関全体に対しての何と申しますか、不信というものが出てくるわけだと私は思うわけですね。これはもうこれだけ大きなシステムを持った銀行で、これだけの大きな金額を動かして、しかも、それを処理されているときに、専門家だからそれにまかせてある——実際そうなんですか。どの銀行に行きましても、そのような状態でその処理がされておるのか、私はちょっと想像ができないのですが、そう受け取ってよろしゅうございますか。
  72. 近藤道生

    説明員近藤道生君) この事件がたまたま非常に大きくそういう点が極端に出た事件であるということはもちろんでございまして、軒並みに全部こういうやり方になっておるということでは毛頭ございません。しかし少なくとも、こういう事実が一件でも出たということは、やはりこれに似たようなことの萌芽がほかにも全然あり得ないということにはならないと思いますので、その点について、私どもといたしましても銀行行政のあり方をも含めましていろいろ考えておるわけでございます。たとえば七月十六日の通達にも触れておりますように、やはり一番基本的な問題は量の競争、そういうものにうき身をやつすという基本的な姿勢に問題があるわけでございまして、やはり国民大衆の金を預かっておるのだという、そちらのほうの自覚、いわゆる公共性の認識と申しますか、そういう点についての認識がもっと厳粛なものでなければならないのではないか。ただ預金量の増大を競うというような行き方はいかがであろうかというようなことを特に指摘いたしておるわけでございますが、そういう感じを持っておるわでございます。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 いまとの関係で、もう一つ、ぼくは富士銀行の場合はたいへん重要なことが指摘されなければならないと思うのです。それは冒頭局長答弁にもありましたとおり、おかしいじゃないかと気がついた係員がとにかくいるわけですね。その係員に対して菅沼何がしがこれは本店と話がついているのだからまかせておけばよろしいと、こういったことだけでその疑問が消えている、内部的に。その疑問の消え方は何かというと、私はこう思うのです。われわれみたいな小口の金の貸し借りならばたいへんきびしいが、大口のものに対してはやっぱりわれわれ程度ではどうにもならぬのじゃないかという係員の認識がある。そして富士銀行の頭取そのものは、言ってみれば社会的には何か政府関係機関の要職等を含んでかなり活動をしておる。そうすると、この頭取と副長との間にはこういう約束があるのではないかという類推を行内において呼ぶ。そういう状態というものが私は富士銀行の中にあると思う。それで疑問を差しはさみながら一係員が泣き寝入りをする、そういうところにも私はつながっておると思う。そういう意味において私は、大臣は事実関係が明らかになったならば処断をいたしますと言われましたけれども、その前にやはり今度の事件を契機にしながら、いま申し上げたような意味のものが全体の行員の意識の中から消えるように、そういう意味において、たとえば頭取の辞任が自発的に申し出られるなどというような措置というものがとられてしかるべきではないだろうかと考えるわけであります。これは意見であります。  そこで次に移りますが、香港でもって銀行の幹部が六月の中旬に金東善と会って、そして担保の取り押えなどについて話し合いがなされたと、こう聞きますが、これは事実ですか。そして、なされたとするならば、その内容はどんなものですか。
  74. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 会いましたことは事実であると聞いております。  それから、その内容につきましては先ほど申し上げましたように担保固めが主たる内容であったというふうに聞いております。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 その場合に、たとえば香港で菅沼を見ましたとか、あるいは不正融資を受けた本人連絡してきましたとか、などなどというようないろいろのことで香港所在が明らかになった。それで香港に飛んだ、こういうふうにいわれておるんですね。私はそんなことがあるだろうかと思うんです。ですけれども、何か有力な第三者の機関なりあるいは外国関係関係するところの大使館筋なり、そういうところとの連係があって、香港におけるところの会談なら会談が行なわれたなどということになっているように思いますが、そういうことはありませんか。
  76. 近藤道生

    説明員近藤道生君) そういうことはないようでございます。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 あるかないかの問題等を含んで、警察庁は、これからの捜査の中で、いま私が申し上げたような問題についても明らかにされる用意がありますか。
  78. 小林朴

    説明員(小林朴君) 私どものほうは、もちろん事件全貌というものを明らかにすることが仕事でございますので、そういう捜査に関連をいたしまして、必要な段階になってまいりますれば調べをするというようなことになろうかと思います。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 この問題は、明らかに犯罪であるにもかかわらず、なぜ告訴をしなかったんですか。
  80. 近藤道生

    説明員近藤道生君) 告訴の時期、内容等につきましては、常時警察当局連絡をしておるというふうに報告を受けております。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 これは、告訴はされていませんね。
  82. 小林朴

    説明員(小林朴君) 告訴はございませんけれども本件のような問題につきましては必ずしも告訴が要件にもなっておりませんので、私どもといたしましては捜査の開始をいたしております。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 捜査が開始されていることはわかっておりますが、そこで私がここで触れたいのは、早い機会に告訴がしてあったならば——これは外務省に聞きますが、たとえば国外逃亡がなされているような事態というものを、旅券法第十三条の刑法にかかわる問題との関係でもってチェックすることができたのではないかと考えるんですけれども、いかがです。
  84. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) 御説明いたします。  旅券法第十三条によりまして訴追中の者ということで、検察あるいは警察当局から申し出があれば、旅券の発給段階において旅券を発給しないことができるというふうになっております。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 私が言ったのは、したがって訴追をされておったならば、いってみれば、あなた方のほうは不用意に旅券を出すことがありませんでしたね。
  86. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) そのとおりでございます。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと銀行局長、なぜいまのような意味から言って、告訴をすることを富士銀行に指導されなかったんですか。
  88. 近藤道生

    説明員近藤道生君) その点につきましては、全く司直、警察当局との話し合いにまかせております。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、警察に聞かざるを得ませんがね。富士銀行頭取との間でもって、告訴をするしないの相談があって、あなたのほうはどっちみち、このことはやっていくから、したがって別に告訴をしてもらわなくてもよろしいというふうに述べられたんですか。
  90. 小林朴

    説明員(小林朴君) その点につきましては、話し合いがなかったと思いますけれども、この事件は先ほどの話によりますと、一年がかりの犯行のように聞いておるわけです。そういたしますと、それが発覚をいたしまして、その一年間の金銭の収支状況を明らかにする、そうして実際の被害がどの程度生じたかというような結論を出すということになりますと、人を傷つけるとかあるいは殺人をするとかいうような一般の犯罪と違いまして、犯罪事実を固めるのに相当の期間がかかるんではないかというふうに私思います。したがいまして、直ちに告訴——発見された段階がもし三月だといたしますと、それから調査をするのに相当の時間がかかるんではなかろうか、かように私は考えるわけでございます。これは全く私個人の推測でございますけれども、したがいまして告訴をするといたしましても、直ちに本人が逃亡したといわれております四月から五月にかけての段階におきまして、告訴がなされるような状況が出てくるかどうかという点については若干疑問を持っております。以上でございます。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 それはあなたとの本質的なやりとりじゃありませんが、十九億四百万円というものがなくなっていることは明らかなんであって、したがって五月に逃亡するまでの間に告訴をされておるならば、外務省の旅券課のほうはそう簡単に旅券をおろすはずがないですね。したがって、告訴を指導しなかった、あるいは富士銀行の頭取が何かの思惑があって、旅券を早期にとってやって、逃がしてやるほうが便利だと考えたがゆえに、告訴に踏み切らなかった。そういう意味においては、国外逃亡を私は助けたと思うのです、結果的には。いかがです。
  92. 小林朴

    説明員(小林朴君) 告訴をするかしないかの問題につきましては、私のほうも全くわかりませんのですが、本件が先ほどの銀行局長のお話でございますと、六月の末になりまして表面化をして、警察のほうに話をするというようなことになっておりますので、そういう点におきましては、その段階においてもうすでに容疑者自身が国外に逃走しておるというようなことになってまいっておりますので、どうもそういう点から考えてまいりますと、銀行側がもし事件——十九億というものが固まった段階というのがいつになるのか私存じませんけれども、そういう連絡を官庁関係にとれるというような段階が来たのが若干おそくなってきておるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 これはもうほんとうに頭取を参考人としてここへ呼んで、この次でも一ぺんやってみないと、この辺のいきさつが、いま言われたような答弁じゃわかりませんから、私は正式に富士銀行の頭取を本委員会に参考人として呼ぶことを求めます。これは、取り扱いについては後ほど理事会ではからしてもらいますが、そういうことで、委員長、取り計らっていただきたいと思います。
  94. 森元治郎

    ○末委員長森元治郎君) 和田君のただいまの発言については、後刻理事会で相談をいたします。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 菅沼たちの旅券の種類、これは数次往復用の旅券、そう理解してよろしゅうございますか。
  96. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) 数次往復用の一般旅券が出ております。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 これは正式にはいつ申請をし、いつ交付されましたか。
  98. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) 私のほうの記録によりますと、菅沼正男本人は本年の二月三日付で一般旅券発給申請書の提出をしております。これは東京都にしております。それでこの申請書の提出と同時に、本人に対する旅券の交付予定日といいますか、これは東京都庁のほうで十日という日付になっております。それで、事実関係だけ述べますが、三日に申請がございまして、発行年月日、これは五日になっております。それで念のために申し上げますが、私のほうで東京都のほうから申請がありました一件書類につきましては、審査をいたしまして、その審査が終わり次第コンピューターのほうに回しまして機械の処理をさせます。それで。パンチによる処理が終わったときの日付をもって発行年月日ということになっております。それでこの発行年月日が五日になっておりますが、そのあと、翌日東京都のほうに発送しております。それで本人が実際に旅券を受け取ったのは二月の十八日に受け取っております。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 昭和四十四年の七月十五日参議院外務委員会、ちょうどいま委員長をつとめられている森委員長も外務委員会に出席をされていますから読み上げるまでもないことなんですが、政府委員の山下重明君が「現在のところ大体二週間ぐらい平均してかかって、おそい場合は三週間ぐらいになる」旅券の交付ですね。したがって旅券法の改正の問題の論議がこういうふうに行なわれて議事録もとってある。そうすると二週間から三週間かかるものが、この旅券に関してのみは二日でおりた。そこには何も介在しませんか。
  100. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) ただいま御説明いたしましたように、二日でおりておるということでございませんで、発行年月日が五日になっておるということでございます。実際に本人が受け取っておるのは十八日でございます。それで念のために私のほうで過去の書類を全部——この付近の分を調査いたしましたのですが、数次往復用の旅券だけを見ますれば、大体外務省のほうに入ってきた日に審査いたしまして、すぐ翌日機械に回しておるという事態でございます。それで一般の旅券といいますか、これは大体日に二千件前後受け付けておるのでございますが、そのうち数次往復用の旅券は約百件前後でございます。それでできるだけ早く事務処理をするように私のほうでやっておるのでございますが、その付近の数次往復用の事務処理を見ますと、大体このスピードでやっております。別に本件のみ特別どうのこうのというようなことはございません。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 これはどこの国々に行くことになっていますか。
  102. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) 申請書によりますと、ずいぶんたくさんございまして、アジアでは韓国、台湾、香港、マカオ、フィリピン、インドネシア、カンボジア、タイ、マレイシア、インド、パキスタン、シンガポール、それからアメリカへまいりまして米国、カナダ、メキシコ。それからヨーロッパは英国、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、オーストリア、ベルギー、オランダ、デンマーク・スペイン・ギリシア・中近東でトルコ、レバノン、こういうふうになっております。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 いまとなってみれば旅券法二十一条に基づく虚偽記載は明らかですね、菅沼の場合は。
  104. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) 私のほうでは書類の形式上の審査ということでやっておりまして、これによりますと、記載とそれから添付書類がございまして、数次往復用旅券の申請理由書等々がついておりまして、その理由に基づきまして出しております。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 それは富士銀行の職員菅沼という申請なんですか。
  106. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) この記載によりますと、最終的な略歴としまして、四十四年六月以降は日本フード・マシナリー株式会社取締役貿易部長ということになっております。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 申請したときの身分関係はどうなっておりますか。
  108. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) 申請をしたときの身分関係は、ただいま言いましたように、日本フード・マシナリー株式会社取締役貿易部長という肩書きになっております。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 この旅券法のいわゆる虚偽記載を調べるのはあなたのほうですか、あるいは警察のほうですか。どうなるのですか。
  110. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) 旅券法の、何といいますか、虚偽記載云々というようなことでございますれば、これは私のほうでもちろんやりますし、警察当局のほうでその事実が判明するということがあれば、警察のほうでもやると思います。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 あなたのほうでは、すでにこの事態についてはお調べになっているのですか。
  112. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) 私のほうでは、警察のほうから本件に関し捜査上必要があるということで、捜査協力の依頼を受けておりまして、関係書類その他について必要な情報を提供しているのでございますが、警察当局とも種々連絡いたしておりまして、捜査の結果は私のほうへも知らせていただくということになっておりまして、その結果どういうふうにしょうかということを追ってきめたいというふうに思っております。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 きめたいと思っております——もうあの事態は明らかなんですね、虚偽であるという事態は。あなたのほうで独自に調べて、したがってこの旅券の発行については誤りであった、そういう結論を出す条件というものはととのっているのじゃないですか。
  114. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) いままでの調査の結果は——私のほうで調べたところによりますと、関係書類に押してある印鑑その他すべて間違いのないものだというところまではわかっております。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、申請のときに菅沼が申請書の職名どおりのポストにいたことは間違いないのですか、あなた方はそういうふうに判断されたのですか。
  116. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) その点につきましては、私のところは警察当局のお調べもあるだろうということで、そちらのほうの調査結果も待っておる次第でございます。現実にそのとき、この人はほんとうにそこにいたのかどうかということになりますと、私のほうだけの力ではなかなか調査も完全にできない次第でございまして、そういうこともございますので、警察当局調べの結果を待っておるということでございます。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 もう一ぺん確認しておきますがね、旅券法改正問題やその他の論議の中でどっちみち関連をしますが、そうすると、申請があった、東京都から回ってきた書類だけさっと目を通した、コンピューターに回す、二日しかかかりませんね。
  118. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) 申請案件が非常に込んでいない限りは、私のほうに書類が到着次第、審査を終わりまして、大体翌日程度に現在もやっております。コンピューターのほうへ回すということで処理をしております。
  119. 和田静夫

    和田静夫君 金東善の旅券というのは、どうなんです。
  120. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) 金東善の旅券につきましては、私のほうでは全然関知しておりません。
  121. 和田静夫

    和田静夫君 関知していないというのは、韓国で出ているやつを使っているということですか。
  122. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) おそらくこれは韓国から出ておる旅券ではないかと思っております。
  123. 和田静夫

    和田静夫君 警察当局は、これをお調べになっていますか。
  124. 小林朴

    説明員(小林朴君) 私のほうはおそらくそういう問題について捜査を進めておると思いますけれども、私は現在ここにはその結果を持ち合わせておりません。
  125. 和田静夫

    和田静夫君 法務省の関係になるかと思いますが、金がかつて密入国が発覚をして、そして時効が成立をしておる。そこで問題になったのは他人の名前をかたって外人登録証を持っておったこと、あるいは有馬名義で旅券をかつて取得したことなどで公正証書不実記載に問われて懲役八カ月、執行猶予つきでありますが、判決を受けたことがあるといわれていますが、それはそのとおりですか。
  126. 植村英満

    説明員(植村英満君) 金東善につき御説明申し上げます。金東善昭和二十五年六月ごろわが国に不法入国いたしまして、自後日本にずっと在留しておったわけでございますが、昭和三十七年四月に日本人になりすましまして、日本人旅券を持ちましてアメリカに行き、その年の六月二十二日に羽田空港に帰ってきたということで刑事事件がございまして、私のほうに警察からの通報でわかりましたのは三十九年五月でございます。それから退去強制手続を進めまして、三十九年九月に法務大臣から在留特別許可を受けております。
  127. 和田静夫

    和田静夫君 そこでその間いま抜かされましたが、密入国者として一たん強制収容をされた経緯があると思いますが、ありませんか。
  128. 植村英満

    説明員(植村英満君) 御説明申し上げます。本人は退去強制の過程では東京入国管理事務所というところで手続を扱いましたが、その間収容令書が発付されたこともございますが、仮放免ということで、大臣裁決のあるまで仮放免になっていたことがございます。
  129. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、いま言われたとおり特別に在留資格を認められた。そこでその在留資格を認められるにはいろいろの条件があると思うのですが、どんな条件が必要ですか。
  130. 植村英満

    説明員(植村英満君) 御説明申し上げます。  退去強制がされるものにつきましては、本人は最終的には法務大臣に対して異議の申し出をすることができるわけでございます。この異議の申し出のありましたものにつきまして、法務大臣は、特別に在留を認める事情があるときは、異議の申し出が理由がないときでありましても、出入国管理令五十条でもちまして、恩恵的措置といたしまして在留を特別に許可することがございます。本件につきましては、記録等によりますれば、本人には家族状況といたしまして、当時日本女性と結婚しておったこと、それから昭和二十五年六月、平和条約発効前に、不法入国とはいえわが国に入国してそのときまで生活しておる、そういうような事情が考慮されたのではなかろうかと存じます。
  131. 和田静夫

    和田静夫君 とにかく不法入国は不法入国ですね、時期はいつであろうと。それで家族の状況——結婚しておったというけれども、すぐ離婚をして、転々と日本の女性五、六人を変えておる、そういう形であるわけですね。したがって、それが法務大臣が特別に在留を認可する理由になるにはたいへん薄弱だと思うんですね。で、私は、たとえば身元保証人がたいへんな大ものであった、あるいは一部伝えられるように、有名な政財界の黒幕がこの特別在留の問題に介在をした、同時に今度の十九億の金の行き来の問題にも介在をした、同じような名前があがってきておるというような人もあるし、その辺はどっちみち頭取を参考人として呼んだ席上でもう少し詰めますが、あるいは前の警視総監の秦野さんがいろいろ世話をやいたなどという形もある。まあいろいろのことがありますが、この添書書類の、いわゆる公式な書類での身元引き受け人ですね、これはその当時の日本人妻にどうもなっているようでありますけれども、たいへん疑惑に満ちている点がありますが、特別在留資格を得るまでの経過をたとえば私が知るために、この決算委員会で資料を要求をしても、それは資料としてはお出しになれない筋合いのものですか、あるいは限定をして出せる筋合いのものですか。
  132. 植村英満

    説明員(植村英満君) 御説明申し上げます。  資料の提出につきましては、退去強制手続では法規の規定によりまして必要な書類をつくりますし、御指摘のありました身元引き受け書は、これは内海という当時の日本人女性の妻から出ており、一件記録はございますので、委員会からの御要求があれば検討さしていただいて、提出できるものは提出するようにしたいと思っております。
  133. 和田静夫

    和田静夫君 それでは、いま申し上げた資料を正式に要求をいたします。よろしいですか。——そのときの特別在留の許可期間はどれだけだったんですか。
  134. 植村英満

    説明員(植村英満君) 一年でございます。
  135. 和田静夫

    和田静夫君 一年のうちに、そのときの条件を満たさなかった——言ってみれば、そのときの便宜的な日本人妻とは一年のうちに別れてしまったなどというときには、すぐそれは取り消しになりますね、本来的には。
  136. 植村英満

    説明員(植村英満君) 一年ごとに在留期間の更新というものをいたしますので、そのときに在留状況を見ましてチェックいたします。それから、この金東善について申し上げますと、本人はその後、在留特別許可を受けたときの日本人女性とは離婚しました。離婚しましたということがわかりましたために、その後のときには一年から半年に在留期間を短縮された事情もございます。
  137. 大橋和孝

    大橋和孝君 いまの特別に処理されて、そして一たん強制的に収容所に入れられて、そして国外追放になったというふうなわけでありますが、それは当然私どもは、こういう問題があって、それがそうならなくてそのまま滞在をした、こういうようなことに対してはいままでの日本居留の問題を処理する上においては、かなり明確にされておったように思うわけですが、今度の場合は、それが何と申しますか、私どもの聞いている範囲では非常にあいまいに処理されているわけです。こういうようなこれは、他の事例と比較して、今度の事例はどうであったからしてこういうふうになったのか。先ほどの説明を聞いておると、日本人妻がおったから、あるいはまたその時期が二十五年ごろであったからと、そういうようなことがいまあげられたわけでありますけれども、その他の事例ではそうでない場合が非常にたくさんあったのではないか。この場合のほうがむしろ特殊な事例になっているのではないかと、私どもは了解しているんですが、それがそうでないということは、どういうふうになっているか、あなたのほうの見解をもう少し明確に聞きたいと思います。
  138. 植村英満

    説明員(植村英満君) 御説明申し上げます。  三十九年九月の大臣裁決でございますが、当時の状況といたしましては、このような日本人の女性と正式に結婚しておる。それから不法入国の時期が平和条約以前であるというようなものにつきましては、大体、大臣の特別在留許可を受けておる事例が多うございました。特にこの点で本件だけを特別に扱ったというようなことはないと存ずる次第でございます。
  139. 大橋和孝

    大橋和孝君 特に、先ほども和田委員のほうから追及があったんですが、一年ごとにこれは更新されるわけであって、条件がそのときにはもう変わっておる、こういうようなことも十分発覚しているわけですから、そういうときには、もうすべての事例には当てはまらないわけで、この事例だけが特別だと私は解釈するが、そうじゃないですか。
  140. 植村英満

    説明員(植村英満君) 日本人妻との離婚問題がございましたが、その日本人妻と離婚したというだけでもって、すぐもう次の在留期間を認めないのだ、あるいは退去強制をするというふうにまでやっているかどうか。この点は、その実情はそこまではいってなくて、一年をまず半分に切って——一半年に切って在留状況を見るということも、実際には在留管理の面では行なわれていることでございます。
  141. 大橋和孝

    大橋和孝君 それから今度はちょっと私、外務省のほうに聞きたいんですが、今度この菅沼の旅券が非常に短期間におりたわけなんでありますが、ことに非常に多国にわたっての、しかも緊急に行かなきゃならぬような状態で旅券の申請が行なわれたと思うんですが、こういうような緊急の業務用に旅券を申請するような場合には、勤務先発行の証明書なんかも要るようになっているはずですが、この辺はお調べになってどうなのか。それからまた、この旅券を渡すときにチェックする点は、どういうふうな点を特にチェックされたのですか、あまりチェックなしに進めてしまわれたというふうに解釈されるのでありますが、その点なんかが今度の旅券を出された場合に対して非常な疑義の点がある感じなんですが、どうですか。
  142. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) この申請書によりますと、緊急に出してくれという申請ではございません。先ほど説明したように、その当時におきましては大体私のほうで事務処理し得る、標準的なスピードで事務処理しているわけでございます。  それからもう一つの点でございますが、数次往復用の旅券につきましては、本人及びその所属会社のほうから数次往復の必要性の理由書というものと、もう一つは数次往復用の目的がなくなったときには遅滞なく数次往復用の旅券を返納しますという二つの書類をとって出しております。それでただいまのお話にありましたように、相手国といいますか、相手国にあるしかるべきところからの保証状その他というふうなものをとってございません。それでもっぱら書類上必要性を認めまして数次往復旅券は出すというたてまえになっております。
  143. 大橋和孝

    大橋和孝君 そのチェックする中で、私はやはり当然、先ほどから議論になりましたあとでありますけれども、あなたのほうではよく認識していなかったと言うけれども、やはりこの肩書きの間違いというものは、そのときにもう少しチェックすれば当然わかっておったのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  144. 佐々木正賢

    説明員佐々木正賢君) 書類上の観点だけから見ますと、全部ととのった形式になっておりまして、理由その他も納得できるものだと判断されました。
  145. 大橋和孝

    大橋和孝君 私、これも警察庁のほうにちょっとお尋ねしたいのですが、これは巧妙にやったからわからないというものでありましょうが、こういうふうにして多額な不正行為をやって、そしてこれが香港に飛んでしまえば、もうそれでいいということになって、これがたやすく旅券もおりる、こういうようなことになりますと、私は、これは非常に今後犯罪の上には大きな影響を及ぼすと思うわけですね。もっとこれは端的に言うならば、犯罪を計画して、そしてほかへ飛ぶ用意をしておいて、犯罪をやったらすぐ行けるということになってしまうだろうと思いますので、私は、今後こういうことは非常に重要な点で、どこでチェックするかということを犯罪を防止する意味においても考えなくちゃならぬと思う。だから私は、警察庁のほうで考えられる犯罪のいろいろな追跡のいままでの経過から見て、こういう旅券をおろす上においてはもう少し——もっとこれからあと状態で外務省にお尋ねしたいと思うのですが、案外書類の上ではわからぬ、しかも非常に短期間のうちにおろされてしまって、しかもその裏には犯罪行為があるということでは、私は非常にこれは国民に与える今後の不安というものに対しても大きなものがあろうと思うのです。こういうことに対してはやはり警察庁としては、いままでの経過で、その旅券等の発行と、そしてそういう高飛びができる条件というものを、どんなふうに見ておられるのか、いままでの過去の例はどんなことがあったかを、ひとつ伺っておきたいと思うのです。  それから第二点は、これは国際刑事警察機構といいますか、ICPOというのがあるわけですが、こうしたものが日本のほうにも連係があるわけでありますから、香港なら香港へ行った人、これに対して、この犯人の引き渡し、こういうことなんかも、もう少し簡単にできるのではないかというふうなことも思うのでありますが、それはまだ告訴はしてないからできないのか、あるいはまた、そういう点もあろうと思うし、それからまた犯人の引き渡し条約ができているのは現在アメリカだけで、あとはできてない。こういうことも聞いておるわけですが、そうなれば特にまた、国際協力関係で何かをしなきゃならぬと思うのですが、そんなことに対してはどんなふうになっているのか。特にまた、国交のないようなところだったらなおさら、この間も北朝鮮のほうにあったような事件もありましたが、こういうような問題もあるわけでありますから、犯罪の防止の上からいっても、こういう問題に対してはもっと何と申しますか、国際間で何かいい方法を考えなければならぬのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、こういう点についても非常に私は問題があるだろうと思う。  それからもう一つ。この間の三億円の事件では警察庁のほうも捜査に対して非常に力を入れられた。今度十九億円事件があったのに対しては、その告訴をされるされないについて警察庁調べによって利点、不利点もあるでしょうし、またそれは必要もないという答弁もありましたけれども、私は、そこのところの力の入れ方といいますか、その反応のしかたというものが国民の感情から見てみますと非常に手ぬるいではないかという感じがする。私は、こういう意味警察庁側から、こういうふうな問題に対して、国民の犯罪に対する防止の意味からも、こういう取り調べのいろいろなむつかしさはありましょうけれども、これをどう克服していくというかまえなんかもないと、何か通り一ぺんの——通り一ぺんと言ってはぐあいが悪いが、順序を追うた答弁だけではどうも国民の感情としては全然受け取れないような状態がここにかもし出されつつあるということで、私は警察庁において、捜査過程と今後のこういうふうな見解について、国民の前に納得のいくような防止的な考え方も出しておいていただかないと、こういう問題を取り上げた上において非常に今後影響するところが多いではなかろうかと思うのですが。
  146. 和田静夫

    和田静夫君 時間がありませんから、一緒に答弁をもらいます。  警察関係一つは、いまの足取りというものをどこまで追われているのかということが一つ。たとえば東南アジアに金がいると言われてみたり、あるいはヨーロッパにいると言われてみたり、すでに日本の国内に帰ってきていると言われてみたり、いろいろ情報があります。その辺をどういうふうに一体——まあ発表できないと言われればそれまでですが、できる範囲内でやってもらいたい。  もう一つは、菅沼の家族が全然行くえ不明と伝えられております。この辺はどういうふうに調査をされているか。家族の方を含んで考えなければならない、何といいますか、生命に危険が感ぜられるような状態というものが一体ないのか、あるのか。わかっている範囲内で。
  147. 小林朴

    説明員(小林朴君) いまの御質問に順序を追ってお答えしてまいりたいと思いますが、第一番目に、旅券のチェックをする、犯罪の容疑があるものについて——ということでございますけれども、これは、私どものほうでも犯罪の容疑が明らかであるものにつきましては、旅券の発給というものについてチェックをしてもらうように外務省のほうに連絡をするというような仕組みをとっておりますので、こういう点は問題ないと思うのですが、ただ、本件のような場合、容疑が何なのか全然わからないというような段階におきまして海外に容疑者が逃亡する。そういたしますと結局、逃亡をいたしましてから犯罪が何であろうかという捜査の段階になるわけでございます。そういう場合に、犯罪の容疑事実が固まりましてから、あるいは外交ルートを通じ、あるいはICPOを通じて犯人の行き先を探し、それからその身柄の引き渡しというような問題が問題になってまいります。そこで、この場合にどういうような方法があるかと申しますと、先ほど先生のほうからお話がございましたように、条約に基づいて犯人の引き渡しが行なわれる場合というのがございます。これは現在のところ、日本はアメリカとの間において実施をいたしておるわけでございます。その他は国内に逃亡犯罪人引渡法というのがございまして、この第三条に基づきまして相互主義を日本はとっておるわけでございまして、日本のほうでも相手国から犯罪人が逃亡するというような場合に、こちらでも逮捕をしてそれを送るというような条件をつけまして、向こう側から今度は日本の国で犯罪を犯した者の引き渡しを求める、そういう場合に、原則的にはお互いに身柄を引き取りに行くことになるわけでございますが、そういうような相互主義の保証によりましてお互いに犯罪人の引き渡しをするというようなことが条約に基づかない国の間においては行なわれるわけでございます。ICPOの関係によりますというと、これはそういうような公の交渉、外交ルートを通じましての交渉をする以前におきましてICPOで実は各会員国の間で、逃亡犯人の引き渡しに関しまして警察権を行使し得る権限といいますか、そういうものに関連をいたしましてインターナショナルサーキュラーという回章が出ておるわけでございます。その回章に日本の場合は昭和三十三年に同意をいたしておりまして、その同意国におきましては今度はお互いに、本人が自分の国内におるだろうかと、その所在を探す、それからそれがどういうような活動をしておるか、あるいはその同意を得まして実況検分でございますが、検分をいたしたり、尋問をすることもできるというようなことになってございます。まあそういう形で所在を探すわけでございますけれども、それも結局は、先ほど申しましたような外交ルートを通じて犯人の引き渡しに関する話し合いがつかない限りは、ただ国内でそういうふうにお互いに警察権を行使し得るというだけでございまして、あくまでもそういう公式ルートによりますまでの間に捜査をするというようなことになっております。それからもう一つの方法は、旅券法に基づくわけでございますけれども、旅券を失効の手続をとっていただきまして、そして失効によりまして帰国を要請するというような方法があるわけでございます。これは旅券法の十八条、十九条等に基づいて行なわれる方法でございますけれども、現実にそういうような形で行なわれたものがございます。で従来——どものほうで現に詐欺等を犯しましてスイスに逃げた犯人がございます。この場合は先ほど申しましたような条約国ではございませんけれども、お互いに相互の保証をすることによりまして、将来スイスから犯人が日本に逃亡するというような場合には、それと同じような形で引き渡すということを原則にしまして引き渡しをした例もございます。その他たくさん例がございますけれども、そういう問題がございます。  それから第三点でございますけれども、この十九億円の犯罪捜査については手ぬるいではないかというお話でございますけれども、三億円事件のように事件がすぐに固まる。固まると申しますか、だれが見ても窃盗なんだ、あるいは強盗なんだというような、そういう事件、あるいはだれが見ても傷害事件だというように、すぐに事件がはっきりするものと、本件のようにまあ企業の中で行なわれる犯罪というものにつきましては、どこが犯罪になるのか、まあ先ほどからも議論になっておりますように、通常正しいやり方であればこういうようなやり方であったと、しかしそれと違った形においてこういう意外なことによって犯行が行なわれたというようなことを固めてまいりますのに、非常に時間がかかるわけでございます。こういう捜査は、非常にじみちな情報等に基づく捜査によりまして、時間がかかるわけでございます。時間をかけてそういう実被害がどういうふうになったか、それから先ほどからもお話がございますように、そういうお金を何に使ったんだろうかというようなことを相手の企業も分析をいたしてまいらなければならないわけでございます。そういうものが固まってまいりましてから容疑者の犯罪事実というものが初めて明らかになるというようなことでございますので、若干三億円事件のような形で直ちにその犯人を追うというような形にまだならないわけでございます。現在はそういう段階でございますので、御了承をお願いしたいと思うわけでございます。  それから、本人の足取りあるいは家族の問題はどうかということでございますけれども、先ほども申しておりますように、本人につきましては海外に現在いる状況でございますし、それを外交ルートを通じて明らかにするというような形、あるいはICPOを通じて依頼をするというような形になりますと、犯罪事実を固めておかなければなりませんので、いま直ちにここで申し上げられるような状態ではございません。それから家族の問題につきましても、当然事件に関連して必要な範囲調べることになるわけでございますけれども、あまり私事にわたる段階については、この席で申し上げますことを差し控えたいと思います。
  148. 和田静夫

    和田静夫君 外務省の旅券の申請ですね、申請関係書類を資料として要求します、先ほど来答弁をしてもらったやつ。  それから法務の関係で、もう時間がありませんから簡単に述べますが、株式会社トムソンの登記に関する一連の資料を提出していただいたわけですが、これで問題は、商業登記規則の八十二条あるいは九条等による印鑑ですね。有馬という人間は本来存在しないと思うのですね。ところが印鑑がある。そうすると、この印鑑証明はどうなっているのか、それが落ちていますからね。その辺の関係が明確になる資料を出してください。私は、ここの部分というのはかなり重要だと実は思っている。しかしこの部分は、時間がなくなりましたから、きょうはこの程度でやめます。したがって、これは資料を要求いたしておきます。  最後に、何といっても富士銀行の頭取というのは全国銀行協会の会長でもあるわけでありますが、私は、全国の銀行の姿勢を正させるという意味からも、非常に重要な責任ある立場にいらっしゃると思う。で、これは警察関係も含んで意見を申し上げたいのですが、たとえば三井練馬支店の問題にしても、日銀の問題にしても、銀行関係の問題というのは、ほとんどいままでうやむやに終わってしまっています。あるいは最近三和銀行ですか、あるいは一昨日はどこかで一千万というような形の事件が起きていまして、銀行の中におけるところの犯罪というのは国民の目から見た場合は好ましい状態にあるものではない。そういうことがひんぱんに起こっているわけでありますから、そういう意味で私は、この富士銀行の頭取——全国の銀行協会の会長という立場にあるその人が、言ってみれば銀行側のモラルの確立をこの機会に求めておやめになる、あるいはそういうような形での意見をやっぱり大蔵大臣が開陳される、そういうことが私は今日非常に必要だと思っているんです。大蔵大臣の所見をもう一ぺん伺っておきたいと思います。
  149. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 本件銀行内部の規律の問題としては、正すべきは正す、これは先ほど申し上げたとおりです。ただ、いま銀行協会長に触れられましたが、これはまた別の資格の問題だというふうに考えております。
  150. 和田静夫

    和田静夫君 何も銀行協会の会長としての責任を云々をしたつもりは全然ないので、銀行協会の会長という要職にあられる方なので、銀行家全体のモラルを確立させる、そういう意味において、富士銀行頭取としての彼が、今日やっぱりこの事態に遭遇をして出所進退を明らかにするべきだと、またそういうような立場での大蔵省銀行との関係における指導というものがあってしかるべきだと、私はそういうふうに申し上げたのです。
  151. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 富士銀行頭取はたいへんな地位の人であります。これは十分自発的にその責任追及は考えるであろう、かような考えです。自主的にひとつ考えていただきたい。そういうふうに考えています。
  152. 和田静夫

    和田静夫君 主税局長大臣に、非常に時間がなくなりましたが、次の問題で一つだけ端的に質問をしておきたいのでありますが、大蔵省はほんとうに来年度から法人所有地も含めていわゆる負担調整を撤廃して固定資産税の課税対象の時価評価を断行する、大臣そのおつもりがありますか。
  153. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはなかなか重大な問題でありまして、方向としては私は時価評価の方向に行くべきじゃないか、そういうふうに考えておるんです。考え方としましては、空閑地税、遊休土地不利用税ですか、そういうような考え方があるんです。しかし、何が不利用地であり何が空閑地であるかということが非常に判別がむずかしいんです。そこで、まあいろいろ考えていまするけれども、土地の所有に対しましての課税、これは固定資産税が一番現実的であろう、こういうふうに考えられる。ところが固定資産税の評価は非常に現実とは離れているんです。だんだんだんだんとこれを現実に近づけていくという考え方をとるべきじゃないか、そういうふうに考えておるわけでございます。これは急に一挙にというわけにまいりませんけれども、その方向に何か考えていきたいものだなあというふうに考えております。
  154. 和田静夫

    和田静夫君 その場合、私は当然農地の扱いというのが問題になると思うんですね。純農村地帯で税率をそのままにして、そして固定資産税の課税対象を時価にしてしまいますと大幅な負担増があらわれます。これは農民にとっては非常な痛手になる。これを避けるべきだと私は思うんです。大都市周辺においては思い切って時価評価をすべきだ、それは私もそう思っています。その場合の具体的な提案として私は、まあ固定資産税は全国共通の税金ですから、大都市周辺だけにかけられる税金、いわゆる都市計画税、市街化区域に入った土地についてはその都市計画税の税率を思い切って引き上げる。逆に固定資産税については、全国一律でありますから、評価は時価にするけれども税率を下げる。そういうことの操作をやれば純農民の負担増を回避することができるのではないだろうか、そういうふうに考えているのですが、いかがですか。
  155. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これを具体化するにあたりましてはいろいろな考え方があろうと思うのです。それからまた、急激にやることはできない。まあ弾力的に、漸進的にやらなければならない。また御指摘のように農民の農地ですね、農地のことについてどういう考慮を払うかということ、これは特別な検討を要する、こういうふうに思っております。まあいまお話にもありましたが、いろいろ多角的に検討しまして、ひとつ方向だけはそういう方向に持っていきたいと、こういうふうに思っております。
  156. 和田静夫

    和田静夫君 まあ短時間のやりとりですからあれですが、私はもう一つその場合に考えなければならないものに、固定資産税の時価評価というのは土地税制の基本として私は必要だとは思っておりますが、その場合に、零細な土地所有者ですね、それを守るための控除制度あるいは段階的税率とでも言いますか、そういうものを設けるべきだと思いますが、検討の段階で主税局長、これはどうなっていますか。
  157. 細見卓

    説明員(細見卓君) おっしゃるように、固定資産税が単に地方の財源であるというだけの観点でなく、非常に広範な土地問題に対する税制として一番大事な税にいわばなりつつあるわけでありまして、そういう意味におきまして従来のように非常にいわば即物的に土地だけをとらまえて負担をかけるというわけにいかない。それを負担する人の問題というようなもの、あるいはそれの規模の問題というようなものも、あわせ考えなければならないのではないかというような意見も漸次出てまいっております。ただ事務執行の問題もございまして、市町村の事務量の問題もございまして、いろいろ今後検討してまいる問題の一つであろうかと考えております。
  158. 森元治郎

    委員長森元治郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後〇時十六分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会
  159. 森元治郎

    委員長森元治郎君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和四十三年度決算外二件を議題とし、大蔵省とそれに関係する日本専売公社及び国民金融公庫決算につきましての質疑を続行いたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  160. 黒柳明

    ○黒柳明君 私は、きょうは専売公社を中心にいろいろお尋ねしたいと思うのです。特に、たばこの大量販売、それに伴う値引きの問題、それが現行法では問題があるのじゃないか。さらには特定小売り人ないしは専売制度そのものについての若干の質問をいたしたいと思います。  まず冒頭お伺いしたいのですが、たばこの総売り上げ、四十三年、四十四年、あるいは四十五年の見込み売り上げ総額でもおわかりいただければ、三年くらいをひとつ金額をお教え願いたい。
  161. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) お答え申し上げます。  たばこの売り上げは、これは便宜割り引き控除前の定価代金でございますが、それで申し上げますと、四十三年度が七千三百六十二億円、それから四十四年度は八千二百六億円、それから四十五年度は見込みでございますが、八千六百六十八億、さようなことでございます。
  162. 黒柳明

    ○黒柳明君 私は、特に大量販売ないし値引きの問題については、パチンコ屋に大量にたばこが景品として流れておる。パチンコの景品はたばこが九割を占める、このようなことも聞いております。そのパチンコ屋に流れるたばこについて焦点をしぼってみたいと思うのですが、それで、ただいまおっしゃった概算七千億あるいは八千億ですね、そのうちどのくらいが、量としてたばこ屋に流れるのか、もし何か具体的な数字でもあれば、その数字をお示しいただいて、大体推定このくらいはたばこ屋に流れているだろう、こういうものがあればお教え願いたいと思うのですが。
  163. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) これは全国的な悉皆調査というものは、技術としてもむずかしい点がございますし、公社としても完全なものはできておりません。でありますけれども、地域的にはある程度の推測をしておるのがございます。たとえば大阪の北支局で推定をいたしましたものは、大体北支局の売り上げの一一%くらいはパチンコ店へ売られておる。それから名古屋の中出張所で調べたことがございます。これは金額というよりも本数の見当でございます。売り上げ総数の一二%前後というようなものがパチンコ屋に売られておるというような推定調査がございます。したがいまして、私ども従前から大体総売り上げの一割くらいというものがパチンコ店に売られておる、かようなふうに一応想定をいたしております。
  164. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうしますと、大体四十三年が七千三百億、四十四年が八千億、本年が八千六百億くらい、その一割くらいがパチンコ屋に流れているだろう。そうすると、大体七百億から八百億くらいのたばこがパチンコ屋の景品として流れておる、こういうようなおことばだと思います。そういうふうに理解してよろしいかと思いますが、そこでまた、これももし数字があったらお知らせいただきたいと思うのですが、パチンコ屋に関係がないたばこの小売り店、そこで一番売れるようなところですね、たとえば銀座の三越あたりは繁華街であり、一番売れるところじゃないか、あるいは新宿あたりも相当売れるのじゃないか、そういうところと、今度はパチンコに関係がある小売り店、そういうところの売り上げ、それはどのくらいの額になっておるか。もし数字的におつかみであるならば、ひとつ例をお示し願いたいと思います。
  165. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) パチンコ店には卸していないだろうというふうにほぼ推定のできます一般の店売りで、多いのが大体月四百万円くらいの売り上げのところが大体一番多いようでございます。したがいまして年間に直しまして五千万円程度、いま先生から名前の出ました三越あたりで月三百五十万、かようなふうになっております。  第二のお尋ねでございましたパチンコ関係に相当売っておるのではないかというふうに想定をされますものはどうかというお尋ねでございますが、東京、大阪、名古屋の比較的大きな地方、その管内で年間六千万円以上、つまり歩率が少し安くなる段階でございます六千万円以上売っておりますたばこ販売店というものは、四十四年度で二百六店ということに相なっております。したがいまして、その中で、いろいろ店によりまして一店当たりの売り上げがばらばらでございます。東京では約三億円くらい年商しておるというものもございます。大阪では一億五千万円、名古屋では、これは特別大きいわけでございますが、四億八千万円をこえておるというような店もございます。したがいまして、こういう大きなものは逆にパチンコ店に相当部分を売っている、かように推定をいたしております。
  166. 黒柳明

    ○黒柳明君 いま御説明のあったことを若干整理しながら前に進みたいと思います。  年間大体七千億から八千億売り上げがあり、逐次伸びている、そのうちの一割、七百億から八百億がパチンコ店に景品として流れているであろう、相当大量です。しかもパチンコに関係がない普通の小売り店で売られているのが銀座の三越あたりで月に三百五十万、年間五千万くらいが最高だ。にもかかわらず、パチンコ屋に卸しておるような店としては、東京あたりで三億、大阪で一億五千万、名古屋で四億八千万、こういう店がある。要するに、さらに六千万円以上のうちが二百六軒ある。東京、大阪、名古屋。ということは、ひっくるめて言いますと、相当大量にパチンコ屋にたばこが景品として流れ、相当大量に販売されているんじゃないかと、こういうことがいまの数字から私は類推し、裏づけられるわけですが、この事実は、公社としてもある程度の数字をおつかみである、こういうことです。そこで私がお尋ねしたいのは、通常商慣習の上から、大量販売には当然割り引きないしは値引きが伴うのじゃないか。そうすると、このたばこの場合は、当然、私が言うまでもなく、現行専売法で値引きということは違法じゃないか。過去においてもこの値引きという事実、パチンコ屋に景品として卸されるたばこに対して値引きという事実があったし、いまも相当あるんじゃないか、もしまたあるとするならば、これは現行専売法から見て違法なんじゃないかと、こう思うんですが、その点いかがでしょうか。
  167. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) 先生御指摘のように、値引きと申しましょうか、定価外販売と申しておりますが、定価外販売の事実というものは過去にもございましたし、今日でもあると思います。定価外販売というのは専売法の違反でございますので、過去におきましても、年度によって多少の検挙件数の増減がございますけれども、年間七十件から三十数件といったような検挙件数、定価外販売の検挙というものがございます。私ども定価外販売を一面で取り締まり、また定価で売ることを当然のこととして小売り店を指導しておりますけれども、遺憾ながらそういう事実はあるわけでございます。
  168. 黒柳明

    ○黒柳明君 で、総裁にお伺いしますけれども、公取の委員長であられて、こういう問題についてはやっぱり厳正公平なお立場でおられたし、当然専売の総裁になられてそういう態度は貫かれてきたし、また、これからもそうであると思うんですけれども、要するに、これからいろんな事実というものを指摘したいと思います。また具体的に数字を出したいと思います。ともあれ、いままでの御答弁の中で、相当多量に——現行専売法、まあ私申すまでもなく、三十四条の三項、要するに小売り人は小売りの販売価格を切って売ってはいけないと。にもかかわらず、いろいろな仕組みがありますけれども——現実に売られている、相当数売られている。またこの事実というものを、私あとで述べますけれども、具体的に持っておりますが、こういう事実に対して、まず総裁が、ここはどういうところに原因があったか、こうなった原因、それをまず一言お述べていただきたいと思います。
  169. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 先ほど遠藤理事が申しましたように、いままで過去において相当な定価外販売が行なわれておったようであります。現在も行なわれておろうかと思います。こういった点について、どうしてこういうものが起こるかという原因でございますが、これは私個人の推測かもしれませんが、先ほどお話にもございましたように、専売法では小売り定価でなきゃ売れないということになっておりますが、その専売法のたてまえは個人の消費者をもととして考えられていると私は考えております。ところが戦後のこういったパチンコ店という遊技場への大量の需要というものが、戦後新しくできたわけでございまして、こういったものに対する一般商慣習、大量ならば安くなると、こういったような商慣習がたばこの販売についても出ておるのじゃなかろうか、これが原因と私は考えております。
  170. 黒柳明

    ○黒柳明君 それは一つの原因だと思いますね。要するに二十四年に制定された専売法、そのときには今日のようなパチンコの隆盛、要するにパチンコ屋に大量に流れるたばこを予想しなかったときですから。しかし専売の責任というのはどういうふうにお考えになりますでしょうか。
  171. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 法律は厳然としてあるわけでございまして、定価外販売は専売法違反でございますから、こういった点については専売当局といたしましてはやはり十分な取り締まりをやるべきであったわけでございますし、また現在もすべきであると思います。ただいま検挙件数なども報告を遠藤理事からいたしましたが、私は、過去のこういった取り締まりが必ずしも十分なものとは思っておりません。おそらく取引の内容もだんだん巧妙になってくるなどの点もございましょうけれども、取り締まりの点については私は遺憾の点があったと感ずるのであります。十分でなかったと、こう思われます。この点はまことに遺憾に存じます。
  172. 黒柳明

    ○黒柳明君 私は、もう一歩前の時点においての責任をこれから明らかにしていただきたいんですね。確かに取り締まりが手ぬるい、それから現行専売法に違反であるならば、これはさらに取り締まらなきゃなるまいということは、これはもうもっともだと思うのですけれども、その前における、要するになぜこういうふうな一割——七百億も八百億ものたばこが、全部が全部じゃなくしても、相当数専売法違反、値引きされてパチンコ屋に売られているのか。どうしてそうなったのかという、その責任はどこにあるのかというんです。それを一回総裁にお聞かせいただきたいと思います。ということは、これから私質問を続けますけれども、富士商事株式会社という一つの、パチンコ専門とは言わなくても、本来これは菓子問屋なんです、営業品目の中にたばこは入っておりません、菓子問屋ですけれども、たばこを——これは専売のほうからいただいた資料ですから、私のほうから言いますが、年間大体十億のたばこの売り上げがあります。この富士商事株式会社の傘下に二十の営業所があります。これは完全に名義は富士商事ですから、まあ言うならば自分の傘下の営業所、子会社みたいなものですけれども、ただし、二十の子会社は、営業所は小売りの免許を持っている。富士商事は持っていない。この富士商事はもう御存じのように隅田支局と小石川支局にたばこを取りに行って、それで相当数の東京都内のパチンコ店にそれを卸す。年間十億。隅田支局で五億、小石川支局で五億。ところがこの富士商事というのは免許を持っていない。免許がないから、小売り店の依頼でたばこを取りに行くのはいいです、委託で。それを売るのは違反じゃないですか、パチンコ屋に卸すのは。どうですか、この点。
  173. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) ただいまお話のございました富士商事の傘下にあります小売り店、これは小売り店の指定をいたしております。その小売り店が、パチンコ屋に定価で卸します限りは、それ自体は違法ではございません。それから富士商事の本店が卸している、まあ経済的な実体としてあるいは卸し類似のものと思いますけれども、形の上として小売り店の依頼を受けて配達をするという形を取ってやれば、それも直ちにそのこと自体が違法というわけにはいかない、かようなふうに思います。
  174. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、たとえば、私がある小売り店の名義を借りて専売公社に行ってたばこを一万個持ってくる。それで私がそれを関係者に割り引いて販売する。これは違法じゃないですか。
  175. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) 割り引いて販売をするところは違法であります。
  176. 黒柳明

    ○黒柳明君 この富士商事も八%から五%割り引きしているわけです。そういうことを踏まえて、当然この富士商事というのは、先ほど申しましたようにパチンコ屋に景品たばこを流すためにある。まあトンネル会社といいますかね、普通で言うならば。割り引きしてそうして十億という巨額なたばこを持ってきて、それを富士商事の名前で各パチンコ屋に卸して、納品あるいは領収、全部富士商事になっているわけです。ですから完全にこれは個々の小売り人の依頼で取りに行くのはいいわけです。それは私もわかっています。依頼で配達するのはいいです。ところが実態は、いまも言いましたように全部これは営業所です、富士商事が中心で親会社です。ですから富士商事として免許を持っていない富士商事が依頼でたばこを持ってくる。そこまではいいとして、その富士商事がじかにそれをパチンコ店に販売する。そして納品書も富士商事、領収書も富士商事、こういうことですね。しかも、この富士商事ははっきり八%から五%の割り引きをしている、こういう事実があるとすれば、これは完全に専売法違反であり、さらに問題は、この免許がないものがこういうことをできるのかということなんですが、いかがでしょう。
  177. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) 先生の御指摘のとおりの形で事実そのとおり行なわれておれば、専売法違反だと思います。
  178. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあこの資料は専売のほうからいただいた資料です。総裁、ですから専売のほうが私のほうよりもよく知っているのじゃないかと思いますが、念のため、ひとつ。そういうべらぼうな方法でいま行なわれている、何のためにそれじゃ小売り人に対してあれほどきびしい審査をして免許を与えておるのか、こういうことですね。ところが、免許のないものがこういう販売から何からすべてやるということは、これはうまくない。これは当然いまの大量販売ということでパチンコ屋に卸すという、こういう悪いことまでも惹起しちゃったわけです。  それからもう一つ、この富士商事、ほかにいっぱいありますけれども、この傘下の二十営業所、小売り店は、これは特定小売り店ですね。特定小売人というのは、そもそもどういう性質のものか。
  179. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) 普通の町筋でお見かけいただく通常のたばこ小売り店、これを一般小売り店、この一般小売り店に対しまして、たとえばビルディング等の中で、そのビル内の利用者だけを主たる販売の相手方としてたばこを小売りするような店、それを特定小売り店と名づけております。
  180. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると十三条ですね、製造たばこ販売事務取扱手続の十三条の中には、おもにビル、旅館、学校、劇場、要するに利用者の範囲が限られているということです。当然先ほど小売り店で一番売れるのが三越の三百五十万、ビルなり学校なり、限られているということは、非常に販売分量も少ないだろうと、こう想定されますが、そういうこともこの特定販売人に対して言えるんじゃないかと思いますけれども、それはよろしゅうございますね。
  181. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) ただいま私どもの便宜の区分として一般、特定ということを申し上げています。しかし、形式的には小売り店という性格そのものでは特別な差はないわけで、大体そういうようなものであろうということで指定をいたしました。さらにまた、特定小売り店でございましても、非常に大きな利用者の多いビルディング等の中でやっているものの中には、相当な売り上げをあげるというものもございます。したがいまして、特定小売り店というものは一般小売り店よりも売り上げが少ないんだというふうにはきめにくいわけでございます。
  182. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうでしょうね、いろいろ状況が変わりますから。しかしながら、また繰り返すようですが、最高が五千万くらいでしょう、繁華街の一番いいところで。ところが、これは十億もの販売をあげているわけです。しかもこれは調べますと、こんな多いところじゃないです、ビルの範囲というものは。ずうっとこれを見ました、全部じゃないにしても五、六カ所見ました。これは決してそんな三越とか、年間五千万とか四千万とか売れるところじゃないわけです。限られているわけです。ビルの中の販売人というものはごくごく少数でしょう。百個か二百個のところもあります。にもかかわらず、十億もの取引が行なわれているということは、これはもう特定小売り人、販売人じゃなくて、要するにパチンコ屋にいっているからです、明らかに。こういうことにも大きなミスがある。それじゃなぜ特定小売り人という、そういう限られたところに売られるたばこの数量は、常識的に少ないにもかかわらず、こういう膨大な数になったか、その原因はどこにあるか。要するに、総裁、専売公社は、これを認めて流しているんですよ。百個であった小売り店が五百個にしたい、あとの四百個は、当然いままでの実績、その小売り店の資産等よく検討されることは私も知っています。ところが四百個はパチンコに流すということになると、すぐそれを許可してくれる。こういうことからこういうべらぼうに巨額な、一割の七百億、八百億という数字、こういう特殊な——販売店でありながら十億もという数字にもなっちゃって……。こういうことについて、先ほど私がどういうふうな原因だったのか、専売公社の責任をどうお考えになりますかと言うのはここにある。総裁、こういう事実に対して、私は一〇〇%専売が悪いとは言いませんよ。一つの経済の流通機構、こういうことにも関係あると思います。しかしながら、一割もの巨額のもの、相当数のその中の分量が値引きされ、専売法違反であるという事実、こういうパチンコ店専門のたばこ卸屋、しかも、そこが特定販売といいながら十億もの巨額な販売をするようになったのはどこに原因があるかというと、いまも言いましたように、専売のほうで認めて、それを増加して今日の一割になっちゃった。そこらあたり総裁どうお考えでしょうか。
  183. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) やり方としては私たいへんまずいところがあると思います。その点は率直に認めなきゃならぬと思います。この専売法違反の調査、検挙に当たりますものは、専売監視員という制度がございますが、これが担当しております。営業許可のほうはまた販売促進をやるほうで、こういった点もまた十分考えなければならぬと思います。で、やっぱり販売担当するほうといたしましては、できるだけ売りたいという気持ちが非常に強い、これはもう確かでございます。専売監視のほうはなかなかそこまで手が行き届きかねる。外国たばこの違反の検挙が大事だ。それから、やはり一つには、心理的には大量の販売には値引きが伴うというやっぱり意識が専売監視員にもあるかもしれません。そういったことから、やっぱり取り締まりの手がにぶるということも私は想像されるのであります。こういう点から言うと、専売公社のやり方はもっと反省しなきゃならぬと、こういうふうに考えております。  ただし、今後のやり方といたしましては、やっぱり現在の制度のままにおきましては、私はなかなか抜本的に直らぬのじゃないか、こういう感じがいたします。これについては、やはりまた新しい制度を考えまして、現在の専売法に予想されなかった事態が一応生じておるわけでありますから、こういった経済の実態も踏まえながらやはり対策を立てていく必要があろうかと、こう思います。それにつきましては、場合によっては法律の改正なども必要であろうと、かように考えますが、これはひとつ真剣に取り組んで、何とか改善の方向に持っていきたい、こう考えております。
  184. 黒柳明

    ○黒柳明君 冒頭に申しましたように、大量販売、さらに割り引き——いま大量の販売のことについて焦点をしぼって質問しているわけですが、いまここで問題になったのは、やっぱりこういうビルないし十三条で限られている特定小売り人、それがパイプになって、こういうパチンコ屋のたばこ卸の大きな窓口になっている。本来ならば数量がほんとうに少数で、あるいは若干フレキシブルでしょうが、当然限られるべきものが、巨額なものを量的に卸している。こういう特定小売り人に対してどう処置をするか。  もう一つは、先ほど本部長さんがおっしゃった、まあこれが事実とするならまだまだあるんです。渋谷のW商事——これは個人的な名前を出してもどうかと思いますんでね——それから新宿のT商事、あるいは名古屋でも大阪でもみんなあります。そういうパチンコ専門みたいなそういう商事会社みたいなものができている。そこらの町のたばこ屋がパチンコ屋と手を結んで幾ら流しているなんていうものじゃないんですね、今日は。ものすごく巨大な組織になっている。それでパチンコ屋にたばこを卸すことも専門になっちゃっている。そういうことも総裁は御存じかと思うのですが、この大量販売については、特定小売り人に対して、限られた分量しか本来販売し得ないであろうというところに対して、パチンコに流すために巨額な量が流れている。そういういまの特定小売り人システムについての考え、それからもう一つは、こういう免許を持ってなくしてそれで販売をやっている、こういう、それこそ何といいますか、即座に取り消さなければならないこういうところに対する、会社に対する態度、さらにはそれからふえんして先ほど若干言いましたように、こういうことが許されるなら、現実的にはもう値くずれしているわけですね。ほんとうはホープだったら五十円ですか、すみません私はたばこを吸わないものですから。ホープ五十円、ハイライト八十円でなければ買えないと思っていたのが、若干大量に仕入れてきますと四十五円で買える、七十円、七十五円で買えるということが事実なんです。しかもこれは専売公社が半は承知の上でどんどんその量を増してきたというか、今日の一割にしてきた。ですから、こういうことが許されるならば、むしろこういうことを奨励していただいて……。専売公社は安いたばこを売っているんですよ、たばこを安く買える方法があるんですよ、どこの会社でも、どこの団体でも、一つの小売り人の名義を通して専売公社の支局に行って大量に買ってきてどんどん割引して関係の人に売ればいい、こういうことが現実に許されているわけですね。そういうことについてどういうふうにお考えになるのか。いかがでしょうか。
  185. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 当面の問題といたしましては、いわゆる特定小売り店という許可を得て、そして大量にそういった値引き販売をやっておると思われる者に対しましては、私どもとして専売法違反の疑いを持って調査いたしましてそして必要な処分をいたします。今後の問題といたしましては、私は制度問題としてもう少し考えなければならないと思いますが、当面そういった目に余るものについては、ぜひこれを厳重に取り締まっていきたいと考えます。
  186. 黒柳明

    ○黒柳明君 それは富士商事みたいなものについても同様ですね。  大量販売については以上のことですけれども、それから、当然それに伴っての値引きがあるわけですね。値引きすることが要するにうまくない。当然大量販売で値引きが伴っているわけです。値引きのことを専売公社の方にいろいろお話しいたしましたけれども、事実はつかまえるのはむずかしいということで、これは私ども調査したうちのごく一部ですが、総裁お聞き願いたいと思うのです。これは新宿の、名前を言うことを差し控えますがすぐそこですから。Sという店、三百八十台のパチンコ機械があります。七月五日にハイライト七千二百、単価八十円で五十七万六千円、ホープのショートが三千六百、単価五十円で十八万円、計七十五万六千円を小石川支局から受け取っております。このときに小売り人からもらったリベートは五万二千九百二十円で、七%のリベートをもらっているのですね。はっきり値引きされている。それが七月十日、十七日、二十四日、二十九日ずっと合計しましてリベートが二十四万五千七百円、大体総額三百五十一万です。一週ごとに小売り人からパチンコ屋はたばこをもらっております、大体ハイライトは七千、ホープは三千から二千。それで、つい先々月です、七月の総額は三百五十一万円、リベートは七%で二十四万五千七百円。それから名古屋の、非常に名古屋はこれは発達しているところですすれども、名古屋のTというのは二百八十台のパチンコの機械がある。同じく七月三日にはハイライト三千二百、二十五万六千円、ピースのロングが八百で八万円、ホープのショートが六百で三万円、「ひびき」が四百で二万八千円、計三十九万四千円。リベートは五%で一万九千七百円、同じく七月九日、十五日、二十四日、七月の総額が計百五十八万四千円、リベートが七万九千二百円で五%、以下同様です。どこのパチンコ屋に行きましてもはっきりすることは、公然の秘密として別に悪いことでも何でもないということ、いままでやってきたということで教えてくれます。また、たばこ屋だけじゃなくて、そう言っちゃほんとうに申しわけないんですが、総裁の公社支局の、ある担当官に聞くと、こういうことを教えてくれる。新しくパチンコ屋やるんですけれども、どこへ行けばたばこをもらえるんでしょうか、どこへ行けばどれくらい値引きしてくれるんでしょうか、あそこよりあそこのほうが値引きがありますからあそこへ行きなさい、こういう事実がある。こう言う担当官はだれであるか、どこの支局でどう答えたとかいうことは、そこまで申したくないんですけれども、もし教えてくれと言うなら教えてもけっこうですが、パチンコ専門の係が支局にいるわけですよ。こういう状態になっている。それはそうでしょう、これだけの巨額なものを卸すのですから。当然パチンコ担当の係官がいてもあたりまえだと思います。こういうことを私は総裁がいまお知りになったら、あるいは前からお知りになったならば、こういう事態というものについて、公社の中でも半ばオープンでそういう事実というものについて一生懸命仕事をやっていらっしゃる方がある、こういうことですから、先ほど言ったように、これはもう公社としての責任、ここまで持ってきたのは。総裁が冒頭におっしゃった、どういう責任か。現行法が制定されたあとの、いまのパチンコのこの隆盛じゃなくて、公社がこう持ってきたのだと、私はこう言いたいんですけれども、もし総裁がこの点が不明確ならばお調べいただきたいと思いますけれども、私がいま述べた数字ないしそういう説明あるいはお答えの中で、ひとつ総裁は、ここまできた、あるいは公社の中でそういうパチンコ専門の、専門とは言わなくても係がいるということについても——総裁がいまお笑いになって、本部長どうなんだよなんということは聞こえませんけれども、そうおっしゃったんでしょう。何となくそう思います。そういうことがいま現実問題になっている。ぜひ認識していただきたい。これについて抜本的な手を打ってもらいたいと、こう思うんですが、改善策のほうについては、これからまた述べてもらいたいんですが、こういう事実を聞いて、どうなんだということはあまりお知りじゃないだろうと思うけれども、どうお感じになりますか。
  187. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) パチンコ専門の係があるとは私思いませんが、先ほど申しましたように、やっぱり販売担当の者と監視担当の者と気分の違いが確かにあろうと思います。これは率直に認めなければならぬと思います。販売関係は販売促進という考えが頭にありますので、いまのようなことにあるいはなったのではないか。そのほかパチンコ専門みたいなものがあるということはまことに恥ではありますけれども、こういうことにまいりましたのは、やっぱりもとはと言えば私は公社の責任だと思います。こういった点は、結局根本を正すことによってそういうことをなくしたい、こういうふうに考えております。
  188. 黒柳明

    ○黒柳明君 もとはと言えば公社の責任だということで、もともあともなくて公社の責任なんです、これは。その点ひとつ、総裁は真剣に先ほど取り組むとおっしゃったその実をぜひお示し願いたいと思うわけなんです。  そこで、改善策の前に、こういう小売り人ですね、要するに値引きしている。当然これは免許の取り消しということが専売法にも出ているわけですね。専売法に違反する。そうすると、こう見ますと、免許取り消しというのは私の近くにも小売り人がいるんですけれども、要するにノルマを達成しない場合には小売り人の免許を取り消されるんですよ。ところが、こういう重大なる専売法違反していても免許取り消しじゃなくて罰金ですね、いままでは。そういうふうに私認識しているんですけれども、どうなんでしょうか。この免許取り消しばかりが能じゃないと思うんです。要するに専売が売らんかなという姿勢、それと人体に影響を与える、これに対してどういうふうに考慮するか。WHOの勧告をもとにして一番最後に述べたいと思いますけれども、それの一環として、売らんかなの姿勢、いま言ったような大量販売、パチンコ屋にこれだけのものを売っちゃった、こういうこと。ですから小売り人の免許取り消しということは、専売法に違反した場合には取り消しなんです。ですからノルマを達成しない、取り消し、そういう面だけで圧力を加えるのじゃなくて、本来やっぱり法に照らしてみて違法なものは免許取り消しという項目があるわけですから、当然こういうところまで考慮するぐらいのきびしいやっぱり態度がありませんと、この問題は相当解決には問題がある、こういうふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
  189. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) そういう違反がありました場合には免許を取り消した事例もございます。それで、私ども情状の重いものは取り消すつもりでやっております。
  190. 黒柳明

    ○黒柳明君 ちょっとお声が小さくて聞きにくかったんですが、小さくなるのもやむを得ないと思いますけれども、そこまで私、云々しません。  そこで、もう時間もありません。総裁にいま言ったようないろいろうまくない点がある。もとは公社が悪いのですと総裁もおっしゃる。もとも初めも公社が悪いのですけれども、そこで問題は、これをどういうふうにして総裁としては改善していかれるつもりなのか、ひとつ具体的に、お隣に大蔵大臣もいらっしゃることですし、大蔵大臣もやっぱりいまみたいな、これはもうたいへんな事実、要するに専売というのは定価の制度、小売りの制度、それから国庫納付金の制度、こういうものが当然つきまとうわけですけれども、定価がくずれちゃっている、小売りのシステムはくずれてしまっている。納付金については、これから問題なんですけれども、そういうすべて専売のシステムがくずれているわけですよ。それについて、もういまのこの大量販売、パチンコに流すということを認めるのか、あるいは先ほど専売法も改正せざるを得ないかもわからないとおっしゃいましたけれども、そこらあたりひとつ前向きに、いまのこの問題が多い制度に対してどういうふうに公社としては前向きに取り組んでいかれるのかということを、ひとつ具体的にお話し願いたいと思います。
  191. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) この対策はなかなかむずかしいと思います。率直に申しまして内部でもいろいろ検討いたしております。当面は、ともかく目に余るものはこれは専売法違反でやらなければならぬと思いますが、それでは解決しない。そういたしますと、やはり制度自体に手を加えなければならぬのじゃないか、こういうことは考えておるわけであります。それに対しましてはいろいろな考え方もございましょう。まあたとえば特定の取引につきましては、一般の小売り価格よりも低い値段で公社が直接売るというようなことも考えられましょうし、その他いろいろ問題があるわけです。小売り人に卸売り機能を持たせたらどうかという問題もあると思います。あるいは現在の定価制度をひとつ考え直したらどうか、こういう問題もあります。それぞれ非常に大きな利害得失がございますので、こういった点、内部で十分検討いたしまして、もし法律の改正を必要とするならば、これはひとつぜひ近いうちに法律改正をお願いしたい、こういうふうに考えます。
  192. 黒柳明

    ○黒柳明君 いままで聞いたところによると、この消費税制度なんかのお考え、あるいは最高価格制度なんというようなこともお考えがあるとかないとか聞きましたが、その点、総裁いかがでしょう。
  193. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 消費税制度は私は直接関係があるようには思いませんが、いまの定価制度ですね、これはこれの値段でなければ売っちゃいかぬといったような、こういう件については、これは特定の場合は例外を認めてもいいのじゃないか、こういったことは考えられます。あるいはまた最高価格制度にしたらどうかという問題もあると思います。こういった問題も含めまして、十分ひとつ内部で検討するとともに、関係するところ大きいわけでございますから、各方面の御協力、御理解を得て、ぜひ前向きでもってこれを改善の方向に持っていきたい、こう考えております。
  194. 黒柳明

    ○黒柳明君 すみません、大蔵大臣お待たせいたしまして。  問題点はいま言いました。直接的には大臣には関係ないわけですけれども、抜本的にこの問題を解決するための法改正、要するに二十四年の専売法が今日に合わない、改正もという総裁のお話です。あるいは最高価格制度もと、こういうことをおっしゃっています。あるいは安く売るためには公社が直接にと、こういうこともおっしゃっています。そうすると、いまの国庫納付金なんかが問題になるわけです。そういうようなところから、ひとつ大蔵大臣、いまちょうど予算の編成時期でもありますし、あるいはいまからこれを抜本的に手を加えるならば今回の予算編成に間に合わないのじゃないか、こういうふうにも考えますし、ひとつ、大臣、こういう点についてどうお考えになるか、お話し願いたいと思います。
  195. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) たばことパチンコに問題のあるところを御教示願いましてありがとうございました。私もさほど問題があるとは承知しませんでした。専売公社のほうはよく承知しているようであります。ですから問題のあるところはすみやかに検討し、法案が必要であるという結論になりますれば大蔵省といたしましても手がけていきたい、かように考えております。
  196. 黒柳明

    ○黒柳明君 すみません、簡単なものでもう一回。  最高価格制度の導入とか、あるいは現行専売法の改正なんということは、いますぐこの場での御答弁もあれでしょうと思いますけれども大蔵大臣としてどのようにお考えになりますか。
  197. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 価格体系をどうするかというような具体的な問題になりますと、私いまここでお答えできるだけの準備をしておりません。ですから何ですが、いま総裁から申し上げましたように、たとえば私もあなたの話を聞いておって、これはパチンコ屋に対しては直売制みたいなものが必要かなというような感じもいたしておった次第でございます。とにかく専売公社が第一次的に立案をしなければならない問題である。その立案ができましたならば、大蔵省も積極的に取り上げてまいりたい、かように考えております。
  198. 黒柳明

    ○黒柳明君 最後に一、二点ですけれども、WHOの勧告です。喫煙の健康への影響、これは国連の機構が、こういう事務局の報告として、こういう思い切った——一つの商品に対して、こういう抜本的な勧告をしたという例はない。こういうように伺っておりますが、その中で、総裁、私言うまでもなく、要するにたばこの害、気管支炎、肺ガン、慢性気管支炎云々、要するにその名の病気を促進するという、喫煙の重大な影響を認めている、こういう項目もありますし、喫煙を減らすように専門家の会議を招集しろ、喫煙を減らしなさい、あるいは巻きたばこのタール、ニコチンの量及び巻きたばこの喫煙に伴う健康への害について、包装や広告に記載することを義務づける立法化措置を行なうこととか、要するにラベルに危険だとアメリカのたばこには書いてある。あるいは最後にはなくす方向で、たばこの宣伝ないし消費の促進を縮小して、最終的にはなくせ、こういうのですよ。たばこを吸われる方には非常に問題の勧告だと思うのですけれども、これは一がいに——できないとは思いますけれども、従来からいわれている、やはりニコチン、タールは危険である。これがはっきりここでは危険なんだと、危険であるということをラベルに書け、最終的にはなくす方向で宣伝なんか縮小し、最終的にはなくす方向にまで縮小しなければだめだと、特にこういうのは青少年に対しての影響を考えてだということも加えられてあります。いま吸っている方は、どうあろうと、やはり減らそうというわけにはいかないと思いますけれども、やはり青少年の層、これから喫煙する層は、やはりこういった健康に害があるということのPRが徹底すれば、やはり喫煙も当然少なくなる、こういうことです。ところが若干、私の感じでは、いまの専売の姿勢は売らんかな、いまの公社の大量販売、パチンコ屋と同じような売らんかなの姿勢が、出ました中期計画を見ましても、売らんかなの姿勢がみごとに出ているわけです。非喫煙者の実態まで調べて、そうして販売を促進するというみごとな販売政策をとっておるわけです。さすがに総裁、りっぱだと思います。ただしWHOの勧告も決して無視してはならぬ——無視はしていない。審議会は今年じゅうには結論が出る、こういうことをおっしゃるかと思いますけれども、こう断定したものの言い方をして、たばこの害というものについて勧告しているが、これについて審議会で、まあ本年じゅうにということを、ここでひとつ、きょうこの場で総裁のひとつ固い決意というものをお聞かせ願いたいと思う。あるいはこれはこれであって、あくまでも商品は商品で売らなければならない、こうお感じになるのか、その点ひとつ最後にお伺いしたいと思います。
  199. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) WHOの決議に基づきまして、事務局長から各国に示唆があったわけです。それに基づきまして、大蔵大臣も、御承知のように大蔵大臣の諮問機関である専売事業審議会に対しまして、喫煙と健康に関しての専売公社の業務運営について御諮問なさっているわけです。これが今年一ぱい続くかと思いますが、いま言ったことにつきましては、私伺うところによりますれば、特別委員をさらにお加えなさって御審議を願うし、あるいはまた、各方面の権威者等から参考人として御意見を承って、その上で専売事業審議会の御意見をおまとめになるそうでありますから、いま私がとやかく申し上げないほうがいいかと存じますが、私どもといたしましても、WHOの勧告、決議がございましたときに、あらためていままでの対策をも検討いたしました。たとえば昨年ニコチン、タールの量を店頭に出したあの方法は不徹底であったので、今度ステッカーを使って店頭にわかりやすいように張りつけるとか、あるいはまた未成年者の喫煙禁止についての趣旨を徹底させるPRをするとか、さらにまた喫煙科学の研究を強化する、あるいはまたさらにニコチン、タールを少なくするような新技術の開発につとめますというようなことも考えているわけです。現在実行しつつあるわけです。まあ大蔵大臣の諮問機関である専売事業審議会の御答申が出ますと、それに沿って、それを踏まえて大蔵大臣からあるいは御指示があるかとも存じます。そういった御指示については、私どももちろん十分従うつもりでございます。これは、今後専売事業審議会で十分御検討いただいて大蔵大臣に御答申いただく、そういうことでございます。
  200. 黒柳明

    ○黒柳明君 審議会は審議会として、従来から言われている、まあ各国でも断定している、包装紙に健康に害があるという、そういうものについて入れるという意思はございませんか。そこだけ最後に。
  201. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) ただいまのところは入れるつもりは私はございません。
  202. 黒柳明

    ○黒柳明君 どうも……。
  203. 二宮文造

    ○二宮文造君 だいぶ時間もおそくなってまいったわけでありますが、私は港区の北青山に所在いたします国有地の払い下げ、または貸し付けを中心にしながら国有財産の管理の問題について若干お伺いをしたいわけであります。  そこで、まずその経緯でございますが、いま申し上げました北青山二丁目に所在いたします国有財産を、昭和二十六年でございますが、それを社団法人日本ボウリング協会に払い下げないし貸し付けをいたしておりますが、その今日までの経過についてあらましを説明していただきたい。
  204. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 御質問の点でございますが、国は昭和二十五年の五月に米軍総司令部の要請によりまして、ボウリング競技の普及、科学的研究、指導あっせん等を目的として設立されました社団法人日本ボウリング協会に対しまして、港区北青山二丁目所在の土地、これが一六八六平米でございます。五一〇坪になりますけれども、これをボウリング競技場の敷地として払い下げております。で、その後、社団法人日本ボウリング協会から、ボウリング競技場の運営上払い下げ地のところでは狭隘であるということで、隣接する国有地の貸し付け申請が出てまいりました。昭和二十六年の八月におきまして二七二五平米、約八二四坪でございますが、これを昭和二十九年貸し付けまして、さらに昭和二十九年四月に一一四五平米、約三四六坪でございますが、これを貸し付けております。しかしながらボウリング競技場建設及び運営は、事実上株式会社東京ボウリングセンターにより行なわれておりましたために、国有財産有償貸付契約を変更いたしまして、昭和三十八年四月一日から株式会社東京ボウリングセンターに貸し付けることといたしております。  さらにその後、ユニバシアード大会が東京において開催されることとなったのに伴いまして、株式会社東京ボウリングセンターに貸し付け中の国有地、それに隣接する国有地がございますが、それがテニスコートとして利用されるということになりまして、境界を定めました際に、土地五二〇平米、約一五七坪でございますが、それを株式会社東京ボウリングセンターに、昭和四十年四月国有財産有償貸付契約を変更しまして貸し付けております。  大体の経過は以上でございます。
  205. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、こまかいことをお伺いするようになります、といいますのは、やはり管理の問題でございますので、地番とそれから坪数と平米と、もう少しこまかく正確に、年次を追ってお知らせを願いたい。
  206. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 順を追って申しますと、一番初めに売り払いました土地、これが港区北青山二の二六の四、これが一一七六・五九平米、三五五・九二坪、それから同じく港区北青山二の二七二、これが三六二・五七平米、坪で申しまして一〇九・六八坪、それから新宿区霞岳町一四の二、これが一四七・一七平米、坪数で四四・五二坪、この総計が二八八六・三三平米、五一〇・〇一二坪ということになります。  次に、昭和二十六年八月一日貸し付けの土地がございまして、これが貸し付けにつきましては、全体の地番と平米について申し上げますけれども、いろいろ分かれておりまして、一番初めに港区北青山二の二六の九、これが二三六〇・五五平米、七一四・〇七坪、次に同じく港区北青山二の二六の五、九九・五〇平米、三〇・〇九坪、三番目に同じく港区北青山二の二六八の二、四二四・九四平米、一二八・五四坪、四番目に同じく港区北青山二の二七三、五七三・一九平米、一七三・三九坪、以上港区の計を申しますと、三四五八・一八平米、一〇四六・〇九坪となります。それに新宿区霞岳町一四の三、ここが九三二・八五平米二八二・一九坪で、全体の合計で申しまして港区、新宿区の両区にわたりますけれども、四三九一・〇三平米、一三二八・二八坪、以上が貸し付けの地番と面積でございます。  以上でございます。
  207. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、貸し付けあるいは払い下げの段階で、社団法人日本ボウリング協会がボウリング競技場をつくることを指導あっせんする、こういうふうなまあ目的で、それらの払い下げ、貸し付けを受けたわけですが、実際は東京ボウリングセンターとあとで改名をされました会社が直ちに建築をしてしまっているわけですね。ですから協会がそういう競技場をつくるために払い下げないし貸し付けを受けたのか、東京ボウリングセンターが競技場をつくるために社団法人日本ボウリング協会を設立したかっこうで受けたのか、この点はどうなんですか。
  208. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) ただいまの点につきましては、国が社団法人日本ボウリング協会に対して土地を払い下げたということになっております。
  209. 二宮文造

    ○二宮文造君 貸し付けもそうですね。
  210. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 貸し付けも同じでございます。
  211. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、これは都税事務所で調べたわけですが、昭和二十七年の十一月一日に、まあ現在東京ボウリングセンターと改名されておりますが、その会社が競技場、ボウリング場をつくってしまっているのは、これは違法ですね、貸し付け目的、払い下げ目的に反しますね。この点どうでしょうか。
  212. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) この点につきましては、国は売り払い並びに貸し付けを社団法人日本ボウリング協会に対してしたわけでございまして、その実態がそうなっているという御指摘の事実につきましては、貸し付けに関する契約に違反しているのではないかというふうに推定されるわけでございますけれども、当時そういう事実を確認しておったかどうか、その点が古い事案でございまして不明の状態でございます。
  213. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、先ほどの説明が年次を追って貸し付けの経緯を御説明になっている途中で引っくるめてしまって、現在から振り返っての地番ないし坪数の説明になりました。そのように非常にここはややこしいわけです。で、古い話は私も大蔵省に聞いたんです。ですけれども二十六年当時の契約書はないと、少なくともいま大蔵省にある契約書の一番古いのはこれでございますと、こういうふうに出してこられたのが三十五年の七月六日にボウリング協会と有償貸付契約を結んだ。その契約書がいま手持ちしている一番古い契約書でございますと、ここにその書類の管理の不備ということを私一点お預けしておきたいわけですが、まあいずれにしても、三十五年七月六日に締結した契約書を出してこられました。それにも私は非常にふしぎなのは、これは青山北町三丁目無番地と、こういう表示になりまして、一一七〇・九三坪、これの有償契約の表示になっておりすが、いま申し上げたように契約書の年月日は三十五年七月六日です。ところが中をじっと見てみますと、「貸付期間は、昭和三十四年四月一日から三十七年三月三十一日までとする。」と、こういうケースです。少なくともわれわれ契約というものを考えるときは、これから未来にわたって入るときに契約をするのが当然だろうと思いますのに、大蔵省の有償契約は過去にさかのぼって契約をするんですか。そういうシステムになっているのかどうか、この点お伺いしたい。
  214. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) その点につきましては、当初以降におきまして、東京ボウリングセンターが協会から土地を借りているとか、そういうふうな事実が明らかになってまいりまして、それに対して実態を合わせるというふうな必要が生じたわけでございますけれども、たまたま三十七年におきまして東京ボウリングセンターのほうから、そのような実態に合うように契約を改めてもらいたいという要望が出てまいりまして、その時点に合わせまして、ただいま御質問にございますような日付の契約をしたわけでございます。何ぶんにもその当時の様子がよくわからないのでありますけれども、御指摘のようなことにつきましては、事務的には停滞があったというふうな点が考えられまして、その点は非常に遺憾に思う次第であります。
  215. 二宮文造

    ○二宮文造君 次長、ゆっくり答弁していただきたいんです。私の質問——いまの答弁は次の質問に対する答弁なんです。  私がいま申し上げたのは、三十五年の話をしたわけです。三十五年の七月の六日の有償貸付契約書が、日づけはそうなっているのに、この中を見ると貸し付け期間昭和三十四年四月一日からになっている。一年以上もたって、過去にさかのぼって契約を結ぶのが大蔵省の通例の有償貸付契約のあり方ですかと、こう伺っているわけです。
  216. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 御指摘の点でございますけれども、貸し付け契約を改めるというふうな場合におきましては、貸し付け料の問題等がございまして、これにつきましていろいろ折衝とかあるいは要望等もあるわけでありますけれども、折衝を重ねるというふうなことがございまして時日がかかりまして、実際問題として契約を締結するというふうなときには、時日の経過から契約の面ではさかのぼるというふうな状況が起こる場合があるわけでございます。
  217. 二宮文造

    ○二宮文造君 お話でございますけれども、貸し付け料はこの時点には変更いたしておりません。昭和三士二年の四月一日からですね、三十七年の三月三十一日までは同じような貸し付け料になっております。貸し付け料の交渉が三十四年の四月一日から三十五年の七月六日まで難航したという事実は、この貸し付け料の中からは出てまいりません。要するにです、この契約事項は非常にずさんであると、こういう一点に私は尽きると思うのです。ただ、そこで問題になりますのは、この三十五年の七月六日の有償貸付契約書によりますと、その第十二条に「乙は、申の承認を得ないで、当該物件の賃借権を第三者に譲渡し、当該物件を転貸し、又は当該物件の使用目的を変更してはならない。」、もうすでに建物は建っているんですよ、昭和二十七年の段階で二階建てのボウリング場が一あとで社名変更になった株式会社東京ボウリングセンターの所有権で建物は建っておる。その建物は建っておるのに、それも全然ここに、有償貸付契約の中に表示しないで、いかにもボウリング協会が貸している——しかもこれは、印刷された契約書をそのまま生かしましたというにしては、あまりにも管理がずさんじゃないでしょうか。この時点でもまだボウリング場が建っているか建ってなかったか確認できなかったというのでは、これはちょっと私も納得できないのですがね。どうでしょう。この十二条とそれから東京ボウリング場の建築の問題とをどういうように解釈されますか。
  218. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 契約の当初におきまして国がいたします貸し付け契約その他につきましては、二十五年当時におきましても同じような条項があったんではないかというふうに推定されるわけでございますけれども、そういう点から申しますと、当初の貸し付けについては、遺憾ながら違反の事実があったんではないかというように想定されるわけでございますが、その点は先ほども答弁したわけでございますけれども、いつの時点までそういうふうな実態について存知しなかったかどうか、そういう点が実は過去の事案でございまして、はっきりしないわけですけれども、大局的に申しまして、こういうような契約上の条項が当然推定されますので、それらの点についてはたいへん遺憾の処置であったというようなことであると思います。
  219. 二宮文造

    ○二宮文造君 私ここで二点指摘をいたしました。一つは、その有償貸し付けを契約しておきながら、その物件がどのように管理されているかということについて、その後の、何といいますか、指導が適切でなかったという点が一点。それからもう一点は、契約がさかのぼって契約をされる、こういうあり方は好ましくない。今後の問題として、これはまあ前からのつながりがあってという事情もわかりますけれども、やはり国が行なう契約ですから、やはり過去にさかのぼって契約をするというのはまずいのじゃないか。これが二点であります。  それから第三点は、同じようなことがまた言えるわけです。昭和三十九年七月二十三日の借り受け人の変更契約書——覚えておいてください。三十九年七月二十三日です。これはボウリング協会から東京ボウリングセンターに借り受け人の名前を変更したわけです。よろしいですね。とにかくその社団法人日本ボウリング協会がもとの借り受け人だったものを、この時点で東京ボウリングに変えます、こういう契約書でありますけれども、その場合も、第三条に「本契約は、昭和38年4月1日からその効力を発生するものとする。」ここでも契約の期日とそれからその効力を発生する期日とが一年以上さかのぼっているわけです。  それから、さらに今度は昭和四十年十二月二十三日の「有償貸付契約書一部変更契約書」、これは要するに日本ボウリング協会から株式会社東京ボウリングセンターに借り受け人が変わった、その貸し付けをふやしたわけですね。その契約一部変更の契約も昭和四十年四月一日から効力を有する。しかも、契約は四十年十二月二十三日、本件に関する限り全部契約書の効力発生がさかのぼって効力を発生する、こういう国有財産の管理は好ましくないのじゃないか、なぜこうなったか、これは私いろいろ類推するわけですが、事実問題をあとからあとから追っかけて、そうして処置をしたのではないか、こう思うのです。このように事実問題をあとから追っかけていくというようなやり方は好ましくないと思うのですが、その点どうでしょうか。
  220. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 二点御質問があったわけでございますが、いずれも同じような事態でございます。初めの問題でございますが、昭和三十九年の七月二十三日付をもって昭和三十八年四月一日までさかのぼって効力を有するという契約の内容になっているということでありますけれども、これはやはり当時を想像するわけでございますけれども、料金の改定問題とか、あるいはその他の問題等がありまして遅延して、そうして遅延したままで日付をさかのぼったらしいということになるわけでございまして、いずれにせよ、双務契約でございますので、これらの件につきましては法律上の問題いかんというようなことはないと思われますけれども、行政事務としては御指摘のような問題があろうかと思います。
  221. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、さらに私ふしぎなのは、この北青山二丁目の二十六番地の四、その類地の分も含めますけれども、二十六番地の四の土地は、昭和二十六年三月十九日に国が社団法人日本ボウリング協会に売ったんですね。この点どうでしょう。代金の決済はついたんでしょうね。
  222. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 御指摘の土地は売却しております。
  223. 二宮文造

    ○二宮文造君 それが昭和三十二年の十月になりまして、大蔵省が保存登記をしているのはどういうわけです。所有権の保存登記。二十六年の三月十九日に売っておきながら、代金も決済しておきながら、三十二年の十月二十九日だったと思いますが、大蔵省で所有権の保存登記をしている、どういうわけでしょう。
  224. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) この点につきましては、国は国有財産を売り払った場合におきまして、所有権の移転登記につきましては、買主から登記嘱託請求書の提出を求めまして、嘱託登記をするというふうになっておりまして、想像いたしますのに、社団法人日本ボウリング協会からの登記が——嘱託請求書の提出がおくれたのではないかというふうに想像されます。
  225. 二宮文造

    ○二宮文造君 違うんですよ、私の言うのは。売った土地をそれじゃなぜ——大蔵省が所有権の保存登記をする前は、この土地は一体どこの土地ですか。あらためて大蔵省が三十二年十月二十九日の受付で保存登記をやっているのですが、保存登記をやる以前はどこの土地ですか。なぜここで売った土地を大蔵省があらためて保存登記をしなければならぬ——所有権の保存登記をしなければならぬ事実が発生したのでしょう。
  226. 庄司俊夫

    説明員(庄司俊夫君) 本地はもともと国有地でございまして、社寺財産として明治神宮に無償貸し付けをしておった土地でございまして、それが戦後社寺の用に供する必要がなくなって国のほうに返還を受けた土地でございまして、もともと国有地でございますので、登記上は特に国有地として登記がされておらなかったところでございます。したがいまして、その土地の一部を売却いたしましたので、売却するにあたっては、国有地としての保存登記をしておきませんと移転登記ができませんので、したがって、まあ事務は御指摘のとおりおくれましたが、三十二年に保存登記をいたしまして、それから移転のための手続をとった、こういうことでございます。
  227. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、二十六年のときは国有地として登記になっているでしょう。社寺用地として登記になったまま放置していたのですか。二十六年、売った時点の登記簿の記載はどうなんです。
  228. 庄司俊夫

    説明員(庄司俊夫君) もともとの国有地は特に登記上は登記をしておらないわけでございます。
  229. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ登記しない土地を売ったわけですね。登記しないで売ったわけですね。ですから、そこにも事務のずさんがあるわけです。物件を確認しない、所有権を確認しないまま売買契約をやった、売買を実行してしまった。それから六年もたって所有権の保存登記をした。それから、私、また買うほうもずいぶんゆっくりしていると思うのです。昭和二十六年の五月にお金を払っておきながら、このボウリング協会が所有権移転の登記をしたのが三十七年の十二月十四日なんです。十一年間も登記しない。大蔵省の所有権の保存登記は六年もおくれている。それからまた五年おくれて社団法人ボウリング協会が所有権の移転登記をした。これはかってだと、こういう言い方もあるかもわかりませんけれども、私は例の虎ノ門の国有地売り払いのこの契約書を見ました。ところが、これはたしか昭和三十八年ころの売買契約書ですけれども、この売買契約書には所有権の移転及び登記については厳然とこの契約書の中にうたっております。たとえば第六条の二によりますと、「乙は、」——買い受け人ですね。買い受け人は「売買物件の所有権が移転した後三十日以内に、甲に対し所有権の移転登記を請求するものとし、甲はその請求により遅滞なく所有権の移転登記を嘱託するものとする。」このように、売買の事実が発生しますと、少なくとも数十日の間に登記は完了すべしと、こういう契約書になっております。ところが本件の場合は、十一年間もその登記がなされなかった。こういうことは一体どうなんでしょう——まあどうなんでしょうと言ったってもう過去のことですから云々しませんが——ここに私は問題がある。なぜか。固定資産税の課税を免れてしまっているわけです。日本ボウリング協会は、物件所有のときから昭和三十七年登記のときまで、固定資産税を脱税しているのです。同じくこの建物も、株式会社東京ボウリングセンターが二十七年に建て、三十七年に増築をしておりますが、三十七年まで——要するに三十六年まで建物の固定資産税を免れております。こういうことは、結局国のほうが売った物件に対する登記の義務を忠実にやらなかったから、間接的に地方税の脱税に協力をしてしまった、こういう結果になるのですが、この点はどうお考えになりますか。
  230. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 御指摘のような点につきましては、最近は契約に伴いまして可及的すみやかに登記の手続を済ますというふうに改まっておりますけれども、この件につきまして、そういうふうな遅滞があったということは事実でございまして、遺憾であると思います。
  231. 二宮文造

    ○二宮文造君 それからもう一点、私はお伺いしたいのですが、先ほど次長から説明いただいたのですが、あまり早口なので私記録をすることができませんでした。物件の地番と貸し付けの年月日です。それから坪数、平米ですね。それをあらためて資料として御提出をいただきたい。  そこで、それはそれとして、あの新宿区霞岳とおっしゃいました、霞丘じゃないんでしょうか。霞岳町ですか、霞岳町の一四番地の一ないしは北青山二丁目の二六八ですね、この地番の坪数は一体何坪なんですか。貸し付けている部分です。
  232. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 御質問の新宿区霞岳町の一四の一という土地はございません。
  233. 二宮文造

    ○二宮文造君 貸し付けのほうですよ。売り払いのほうは一四の二で……。
  234. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) ただいま食い違いがございましてたいへん失礼いたしましたけれども、その後分筆等がございまして、地番は多少数字が変わっているわけでございますけれども、御質問に関連する土地は新宿区の霞岳町一四の三に九三二平米八五、二八二坪一九という土地がございます。
  235. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。分筆したのですね、三に。  その下の二六八というのはどうです。
  236. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 御質問のございました港区北青山二の二六八の二の土地というのがございますが、これは四二四平米九四、一二八坪五四ということになっております。
  237. 二宮文造

    ○二宮文造君 その分も分筆したのですか。分筆登記はいつです。
  238. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 分筆登記をしております。日付は四十五年の八月五日でございます。
  239. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。じゃいま問題になりました一四番地の一、その地名は略します。新宿区の一四番地の一、これがまた地番変更したそうですが、その土地と、それから北青山二丁目の二六八の二とおっしゃいましたね、その隣接の土地はどうなっているのでしょう。東側と言っていいのでしょうか、公図の上では。
  240. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) ただいま御質問の土地は二つとも国立競技場の用地となっております。
  241. 二宮文造

    ○二宮文造君 国立競技場の用地は、どういうかっこうになっているのでしょうか。国立競技場に国が現物出資をしたのでしょうか、あるいは国立競技場に貸し付けたのでしょうか。どうなっているのでしょうか。
  242. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 国立競技場に対する国の現物出資でございます。
  243. 二宮文造

    ○二宮文造君 現物出資をしたのはいつでしょうか。
  244. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) オリンピックに関連しましての出資と思われますので、その付近の時点かと思われますけれども、この点はなお突きとめまして、不日お答えいたします。
  245. 二宮文造

    ○二宮文造君 会計検査院の方、おられますか。国が現物出資をしますのに、国有財産の分筆もしない、ただ地番と坪数だけで現物出資ができるのでしょうか。境界もはっきりしない。分筆登記もやらないで、オリンピックに関連して国立競技場をつくった、そのために国が現物出資をした。いま伺ったところによると、分筆登記は昭和四十五年八月五日だというのです。ですから、登記簿に何の痕跡もとどめないで、ただ書類上だけで現物出資ができるほど国の国有財産の経理というものは簡単なんでしょうか。また、それを見ていらっしゃる会計検査院の心証を私はお伺いしたい。
  246. 中込良吉

    説明員(中込良吉君) この事実につきましては、私としてもただいま初めて承知した次第でございまして、この内容について十分検討した上でお答えいたしたいと思います。
  247. 二宮文造

    ○二宮文造君 いや、内容検討もヘチマもないのです。いまの答弁のとおりなんです。オリンピックの当時に国が現物出資をいたしました。その土地に対しては昭和四十五年八月五日に分筆登記をいたしました。そうすると、登記簿においては全然何にも記録されないまま現物出資というものができるのでしょうか。それほど国立競技場の経理とかあるいは国有財産の経理というものはずさんなものでいいんでしょうか。普通の会社が、いわゆる土地、建物というものを貸借対照表にあげます場合には、その裏づけがなければ国税は通りませんよ。国の経理の上でそういうことでいいのかどうか。内容を調べてじゃないのです。内容はいま厳然と出てきたのです。それに対して会計検査院はどうお感じになるかと、また、通常はどうしなければならないか、この点をお伺いしたい。
  248. 中込良吉

    説明員(中込良吉君) これは、通常は先生おっしゃるとおり登記簿をはっきりとして、現物出資ということになろうと思うのです。ただこの場合、どういう事情でこういうことになったかということにつきましては、私としてもただいま初めて知ったわけでございまして、そういう点を検討した上でお答えいたしたい、こういうふうに思います。
  249. 二宮文造

    ○二宮文造君 これでまた管理上の問題で注意をしていただかなければならぬ面が追加されたわけです。  それからさらに今度は、貸し付け料の問題ですが、昭和三十八年の段階で、それまでは貸し付け料を時価の百分の四、こういうふうに算定をされていたやり方が、昭和三十八年の四月の段階から相続税課税標準価額の百分の四、こういうふうに基礎を変えておりますが、通常、時価を基礎にする場合と、それから相続税の課税標準価額を基礎にする場合とは、かける率が同じとすれば、どちらが高いでしょうか。
  250. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 本件の場合には、相続税価額のほうが高いという結果になっております。
  251. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですから、営利もやっていることだし、企業も順調にいっていることだから、少し貸し付け料を上げようということで、国はそういうふうに相続税の課税標準価額を基礎に置いて、若干ここで貸し付け料が値上がりになっております。もう一つ私はお伺いしたいのですが、固定資産の評価額と、それから相続税の課税標準価額とは、どちらが通常高いというふうに御理解でしょうか。
  252. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 通念としては相続税のほうが高いというような考えでございます。
  253. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、昭和四十四年四月一日から昭和四十五年三月三十一日、この一年間の貸し付け料は——総計千三百何坪になりますね——それが五百七十五万一千七百七十一円、こういうふうに記録が出ております。で、それを坪当たりの単価にいたしますと、あの北青山の土地で、坪一年間に四千三百三十円、大体、月に坪三百五十円の貸し付け料ですね。ところが東京都の税務事務所でいただきました資料によりますと、この北青山二丁目二十六番地の四の宅地、この宅地は一一七六・五九平米、この評価額は九千五百六十七万一千二百九十円、平米当たり換算いたしますと約八万一千三百十一円、坪に換算いたしますと大体二十五、六万円くらいの評価にしております。よろしいですか。港税務事務所の固定資産の評価額によりますと、坪が二十五万ないし二十六万、それに百分の四をかけますと大体一万円になります。ところが、いまの貸し付け料は、いま申し上げましたように四千三百幾らですか、坪が。四千三百三十円。あなたがいま答弁をされたのは、通常、相続税課税標準額が高い、こうおっしゃっておりますけれども、固定資産の評価額よりも半額以下、四割。しかも北青山の土地で、目抜きの土地で、月に坪三百五十円の賃貸し料、これではあまりにも賃貸し料が低過ぎるのではないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  254. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 御指摘の点につきましては、その当時の貸し付け料の算定でございますけれども、これは昭和四十二年度分の相続税の課税標準価額を見まして、それをもとにして算出しているわけでございますけれども、その当時の状況によりますと、算出された貸し付け料を前年次の貸し付け料と比較いたしますと、二・五倍以上の倍率になっております。で、その当時におきましては、この激増緩和というふうな意味におきまして、前年次の貸し付け料の一・三六倍に押えるという方針が出ておりますが、この方針を適用した結果、そのような数字が出たのじゃないかというふうに考えます。
  255. 二宮文造

    ○二宮文造君 大体申し合わせの時間がきましたのでこれで終わりにしたいと思いますが、この土地はもうすでに建物も建っている。また過去に契約もある。おそらく国のほうが考えるのは、適当な機会に適当な価格で処分をする、こういう腹のようであるかと思うんですが、この点はどうでしょうか。
  256. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) この土地につきましては、ただいま先生の御質問に対しまして御説明申し上げましたとおり、まあ私どもとしましてもなかなかふに落ちない経緯がございます。まあ当初は駐留軍の強い要望等もございまして、日本ボウリング協会に貸し付けるというようになったその経緯もこれにはからんでいると思います。いずれにいたしましても、現状におきましては、この東京ボウリングセンターにできるだけ早くこれを売却するという処置をとることが適当ではないかと思いまして、センターのほうからの希望もございますようでありますので、至急これは検討いたしたいと、かように考えております。
  257. 二宮文造

    ○二宮文造君 ただ、さらに、これはいつの契約書ですか、昭和四十四年六月二十四日、これの有償貸付契約書によりますと、三十八年四月一日から五十六年七月三十一日、十八年間の貸し付け期限をもって契約をしているのですね。私思いますのに、いま局長答弁されましたように、この協会が借り受けた、あるいは払い下げを受けた、これは非常に私はすっきりしない。しかもその社団法人日本ボウリング協会の設立当初に、大蔵出身の国会議員が数名名を連ねております。したがって、そういうふうな事情に非常に詳しい方々が社団法人の名前で借り受けをして、契約書に違反するような転貸しを平然と行なってきた、ボウリングの競技場をつくったほうが主体で、そこへまた力のあるものを乗っけたのか、どっちかその力関係はわかりませんけれども、出発のときが非常にすっきりしない。さらにまた、契約がさかのぼって行なわれているということについても、私はすっきりしない。またそれから、ボウリングセンター会社のほうへすでに協会が払い下げを受けた土地を売ってしまっております。四十二年に売却をして、四十三年にボウリング協会が目的を果たしたと称して解散をしております。そういうふうな経緯を考えてみますと、これは通常考えられるような、何といいますか、地上権、これを勘案する必要はない、出発が契約違反で始まっているこの物件に対して、いまの借り主のそういう権利を一〇〇%認める必要はない、こう私は思うわけです。  さらにまた非常に手が込んで、先ほども説明しましたように、建物についても十年以上も登記をしない、そうして固定資産税を免れてしまう。土地に対しても十一年も登記をしない、同じように固定資産税を免れてしまう、こういうふうな経緯を積み重ねている。それらの条件を加味したときには、通常私は払い下げの場合には居住者に有利な払い下げをすべきだと主張いたしますけれども、この件に関する限りは、そういう経緯を振り返ってみれば、地上権、居住権というもの、あるいは使用権というもの、そういうものをあまり勘案する必要はないかと思うのですが、売り払いに当たっての算定の心がまえといいますか、腹がまえをひとつ局長にお伺いしたい。
  258. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) このセンターに対する貸し付けにつきましては、いろいろな経緯がございまするが、借り主につきましては借地法上の保護もございますので、なかなか簡単に割り切るわけにいかないと思いますが、お話しのような趣旨もあると存じますので、なおこの点は慎重に検討したいと、かように存じております。
  259. 二宮文造

    ○二宮文造君 最後にいたしますが、大蔵大臣、聞いていただいたとおりであります。国有財産の管理は、戦後の軍の用地だとか、いままた当該の問題である社寺用地だとか、そういうものが返ってきまして非常に管理がむずかしかったという事情、人手の問題等もよく私は承知できます。ですけれども、いま私がそれぞれ御説明いただいたような問題、これが将来にわたってもこういう事務の手落ちというものが続くと、これは管理上重大な問題だと思う。特に私問題なのは、国立競技場に現物出資をしておきながら、それがこの時世で本日ただいまの時点まで分筆登記をしない。ということは、ボウリングセンターとそれから国立競技場との境界が、登記簿の上でははっきりしないことになるわけです。国が一方には現物出資をした、一方には貸し付けている。ところが同じような地番のまま置いてしまっている。登記簿上どこが一体争いになるか、こうなってきたときには、もうほんとうにその隣の土地を抱き込んだほうが得だというふうなものを残した現物出資のしかた、契約のしかたをやっている。これは非常に問題だ。国有財産の管理の問題について、以上指摘しましたようなことを中心にして今後の取扱い方について大臣のお話を承りたい。
  260. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま二宮さんから非常に貴重な資料また御意見等を拝聴しまして、たいへんありがとうございました。  国有財産につきましては、今後とも厳正にこの管理、処理に当たっていきたい、そういうふうに考えております。私はなるべく売らない、国有、公有でという方針、こういう方針がいいのじゃないか。それからまあいろいろな機会にこういうふうな土地はふやす、そういう考え方。ケース・バイ・ケースでいろいろ違いますが、心してまいりたいと、かように思っております。
  261. 渡辺武

    渡辺武君 私は、大蔵省関税局が全税関労働組合に対して行なっております法を無視した不当な差別について質問したいと思います。  現在、税関で働いている労働者は、ほかの官庁には見られないほどに数多くの定期昇給の延伸、それから昇任、昇格の延伸、勤勉手当カット、特別昇給差別、研修差別などの措置を受けております。しかもこれが全税関労働組合員に集中しているというのが実情であります。たとえば特別昇給者数をとってみますと、昭和四十年度から四十四年度の五年間に合計千百七十一名が特別昇給をされておりますけれども、そのうち全税関労働組合員はわずか二十名の特別昇給を受けたにすぎないという実情であります。特に昭和四十三年、四十四年には、総数で四十三年度が千百七十五名、四十四年度が千百七十一名というこの特別昇給者がありますが、全税関労働組合員は一人も特別昇給を受けていないという実情であります。もう一、二の例をあげますと、たとえば神戸税関で十年以上の勤続者でまだこの特別昇給をしていない人、これを申し上げてみますと、十五年から十九年も勤続している人の例をとりますと、神戸税関で総数六十一名が一回も特別昇給をしていない。ところが、そのうち五十二名が全税関労働組合員だという実態であります。また、横浜の例をとってみますと、横浜税関では昭和二十五年に高校卒で採用された者をとってみますと、いまだに一回も昇給されないという者が五名ありますけれども、その五名のうちの四名が全税関労働組合員という実情であります。また、昇給、昇格した職員の数をとってみましても、たとえば昭和二十五年に高校卒で就職した者のうち、今年三月末現在いまだに六等級にとどまっている者、これは東京税関で三名、ところがそのうち三名とも全税関労働組合員。横浜の税関で一名ありますが、この一名もまた全税関労働組合員。大阪の税関で六名ありますが、そのうち五名が全税関労働組合員。神戸税関で七名ありますが、そのうちの七名とも全税関労働組合員という実情であります。また、昭和二十六年、五級職試験に合格して税関に就職した者の例をとってみますと、東京でいまだに六等級にとどまっている者が五名ありますが、全員労働組合員。横浜で二名ありますが、これまた全員労働組合員。大阪で一名、神戸で一名ありますけれども、両方とも全税関労働組合員だという実情であります。で、勤勉手当カットについても、たくさん実例がありますが、省略しておきます。  もう一つ申し上げてみますと、たとえば研修、これについても非常に差別的な扱いが行なわれております。たとえば税関の研修者の受講者、これが昭和四十年から四十四年度までの五年間、普通科の研修では千七十二名ありますけれども、これに参加することのできた全税関労働組合員はわずか一名にすぎない。高等科研修を受けた者が二百六十二名ありますが、全税関労働組合員は一名も研修に参加することができないという実情であります。これらのことは、差別を受けた労働組合員個人が精神的、経済的にも大きな打撃を受けているということはもとよりのことでありますけれども、何よりも問題にしなければなりませんことは、大蔵省関税局の、労働組合に対して組合員であることを理由にした不当な措置、不当労働行為を行なっているということを十分に疑わせるものじゃないかというふうに思います。  私は、きょうは時間がありませんので、定期昇給の延伸の問題だけを取り上げて、まず最初大蔵省当局に伺いたいと思うのですけれども、私が通産省と労働省に依頼して資料をいただいたところによりますと、通産省では昭和四十四年度についていえば、定期昇給延伸の措置を受けた人は総数百二十三名、通産省の全職員一万四千名のわずかに〇・八%にすぎません。しかもこの定期昇給延伸の措置を受けた百二十三名は、病気で長期欠勤しているという人がほとんどで、そのほかには汚職その他で懲戒処分になった人が数名あるということであります。成績良好の証明を受けられなかったために昇給延伸措置を受けたという人はほとんどいないという御説明がございました。また労働省の例をとってみましても、定期昇給延伸の措置を受けた人は四十四年度が二百十九名、労働省の全職員の〇・八%に当たっておりまして、労働省でも成績良好の証明が受けられなかったために延伸措置を受けたという人はほとんどいないという説明がございました。  で、私は、この質問に備えるために大蔵省に対して、昭和四十年度から四十四年度の五カ年間の定期昇給延伸者数及びその理由別の内訳についての資料をいただきたい。特に大蔵省本省、財務局及び税関についてお願いいたしましたけれども、いまだに資料をいただいておりません。ほかの省庁で出していただけたものがなぜ大蔵省からはいただけないのか、いまこの席で御答弁いただけるかどうか、その点をまず伺いたいと思います。
  262. 藤田正明

    説明員(藤田正明君) ただいまの渡辺委員質問でありますが、理由別の延伸者の数を参考資料として個人要求資料として請求したにもかかわらず、大蔵省はなぜ提出しないかというふうな御質問かと思います。  いろいろとこの問題に関しましては大蔵省内部でも協議をいたしましたが、人事管理権と国政調査権と申しますか、個人要求資料という問題につきましてどこに限界があるのかという点には、はなはだまぎらわしいものがあると思います。人事管理上の不満はそれぞれいろいろと救済の道がすでにとられておりまして、国政調査権をもって人事管理の面をどこまで入ってこられるのか、この点に疑問がございますので、一応個人要求資料としては提出を差しとめた、遠慮さしていただいたと、こういうことでございます。
  263. 渡辺武

    渡辺武君 単純な人事管理の問題じゃないんです。いまも申しましたように、労働組合員に対する不当な差別待遇なんです。だからこそこの資料の提出をお願いしたんです。しかし、そういう事情で提出できないということがいま御答弁がありましたので、なおいま申し上げたような理由から、資料はいずれなおくわしくお願いしたいと思います。  関税局のほうから私が四月四日にいただいた資料で御質問したいと思います。この資料によりますと、税関職員の定期昇給延伸者数は昭和四十年度が百五十四名、四十一年度が百五十名、四十二年度が百五十七名、四十三年度が百九十一名、四十四年度が百五十八名でありました。四十四年度の税関の職員数は七千六百名ですから、その比率は二・一%、先ほど申し上げたほかの官庁と比べてみれば、はるかに比率が高いというふうに言わなければならないと思います。この多数の定期昇給延伸者は、どういう理由でこういう措置を受けたのか、その原因別の内訳をお述べいただきたいと思います。
  264. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) お答え申し上げます。私のほうは人事院の規則とか、それから給与関係の法律に基づきまして、定期昇給の延伸にいたしましても適正な処理をしておると思っておるのでございますが、何ぶんにもただいま政務次官からお答え申し上げましたように、個々にどういう理由で延伸をしたかということを表にして出しますことにつきましては、やはりこれは人事管理上のいろいろな要請がございますので、全体の数字は、いまお話がありましたように先般御提出を申し上げましたけれども、勤務成績が悪いからとかいうようないろいろな理由をつけました理由別の資料につきましてはお許しいただきたいと、かように思って、総体の数字でお許しをいただいた次第でございます。
  265. 渡辺武

    渡辺武君 大蔵省、特に関税局が必要な資料を出したがらないだろうということは私も予想しておりました。予想どおり、理屈はいろいろつけておりますけれども、予想どおりの態度をとっておられることは非常に遺憾です。私が全税関労働組合の調査資料から知りましたことは、昭和四十年から四十四年までに定期昇給延伸の措置を受けた組合員は五十六名、四十四年度は十七名です。しかもその原因はすべて成績良好との証明が得られなかったということであります。別のことばで言えば、定期昇給延伸を受ける要件として、まあ六分の一以上の日数を欠勤していたというようなこと、あるいは懲戒処分を受けていたというような理由があげられますけれども、そのどれにも該当しない。すべてが成績良好との証明が得られなかったという理由だけでこういう処置を受けておる。以上のことは、税関においては成績良好であるという証明が受けられなかったという、そういうほかの官庁には見られない理由で定期昇給延伸者が多数出ている。しかもこれが全税関労働組合員に集中しているということを物語っていると思います。  そこで人事院のほうに伺いますけれども、人事院は給与法第二条三号に基づいて給与法の実施及びその実際の結果に関するすべての事項について調査する権限を持っておりますし、調整を命ずる権限を持っていると思います。また八号で給与法の完全実施についての責任を負っていると思いますけれども、各省庁のいま私が述べましたような実態について調査されておられるかどうか。それからまた、特に大蔵省関税局のいま申し上げたような事態について調査されておるか、今後調査する意図がおありかどうか、この点を伺いたいと思います。  さらに、税関で行なわれている以上のような事態は、国家公務員法二十七条に、はっきりきめられております「平等取扱の原則」に著しく反するのじゃないかというふうに思います。また、同法百八条の七、ここに、はっきりうたわれております「不利益取扱の禁止」の規定に著しく違反するというふうに思いますけれども、その点どのように考えられますか。
  266. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 私ども給与の管理をいたしております立場といたしまして、その実際の実施運営のあらゆる面につきましてできるだけ情報をとっておくということが必要だと思います。そういうことでございますけれども、当面の問題につきましては、まだ人手の問題もいろいろございまして精密な調査はいたしておりません。しかし、やはりそういう関係につきまして、各省庁の動きといったようなことにつきまして、窓口を通じましてときどき情報を得ておるという状況でございまして、全体といたしましては数%、二、三%以内というふうに考えております。  それから後段にお話になりました昇給延伸問題の適否の問題になってまいりますけれども、いわゆる普通昇級と申しますのは、勤務成績が良好であって、かつその勤務期間を一年以上行なったという場合に一号昇級させるというたてまえになっておるわけでございますが、その関係につきまして、いま申し上げました勤務成績が良好であるということと、良好である勤務期間が一年以上であるという二つの条件だけが昇級の要件でございまして、それ以外についてのものが入ってくるということは、昇級の問題としては不適当でございます。その二つの点だけでこれはやるべきものというように考えております。
  267. 渡辺武

    渡辺武君 一般論についてはいずれあとからいろいろ具体的に伺っていきたいと思うのですけれども、いま私は、大蔵省関税局で労働組合員に対して不当な差別待遇をやっている疑いが十分濃厚だということを示す資料でここで申し上げたのです。この点について今後調査されるおつもりがあるのか。それからまた、私はこれは国家公務員法に違反しておる、「平等取扱の原則」、これに著しく違反しておるというふうに思うけれども、この点はどのように考えられるのか。この二点をお尋ねしたわけです。
  268. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 私ども給与の実施当局といたしましては、全体といたしましての各省庁の運営の仕方というものを総括的に見ておるわけでございます。したがいまして、その各個々の問題につきましては、やはり個々の問題として処理をするというふうにすべきものと考えております。で、ただいまの問題につきましては、やはり個々の問題といたしまして、そういうたてまえ、さっき申しました二つのたてまえに従ってやられておるかどうかという点につきまして、救済機関がございまして公平審査機能がございますので、そこで処理をするということでまいるつもりでございます。
  269. 渡辺武

    渡辺武君 救済機関があるという御答弁でございますが、それは確かに非常に不十分なものではあるけれども一応そのような機関があることを私知っていますよ。知っているけれども、個々に労働者がそこにいろいろな問題を持ち込むのを待つのではなくして、私はここで責任の持てる数字をはっきり申し上げたわけです。根拠のある、疑うに足る点があるということを申し上げたわけですね。ですから人事院として法に基づいて当然その点についてよく調査するということは、これは私は人事院の義務だと思う。その点どうでしょうか。調査されるべきものだと思いますけれども……。
  270. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) もちろん私どもといたしましては、そういう面につきましてできるだけ各省庁の間に不均衡がないかどうかという点につきましての調査といいますか、こういう関係はいたすべきものと考えます。当面の問題は、先ほど申しましたように私ども立場といたしましては、いわば昇給延伸等の割合というのは大体各省庁を通じまして二、三%以内という程度のものでございまして、聞くところによりましても大体その範囲内の話のようでございます。したがいまして、もちろん組合員であるからといってそういう昇給延伸ということがあってはならないわけでございまして、また、そういう問題がもしあるとすれば、やはり個々の問題といたしまして、私どもが個々の問題を具体的に調べるというのは、やはり給与法の担当者としてはちょっと問題がございますので、やはり個々の問題の取り扱い部局において取り扱うということがたてまえでありますし、適当であるというふうに考えるわけでございます。
  271. 渡辺武

    渡辺武君 どうも答弁にならぬ答弁を伺っているような気がしますが、時間の都合がありますので次に移りましょう。  関税局長さんに伺いますけれども、全税関労働組合にいま私が申し上げましたように成績良好であるという証明が得られないという理由で定期昇給延伸措置が集中的にあらわれているわけですけれども、この成績良好であるという証明を得られないことを理由にした定期昇給延伸措置はどういう法律的な根拠に基づいているか、その点を伺いたいと思います。
  272. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) これは給与法に、定期昇給の直前一年間におきまして勤務の状況が良好でなければいかぬというふうに書いてあるわけでございまして、そこで私申し上げたいのでございますが、先ほど公務員は平等に扱われなければいかぬというお話もございました。当然でございます。当然でございますが、りっぱな勤務をした者も、そうでない者も一律に定期昇給の時期になったら昇給をしていくということは、かえって悪平等じゃないでございましょうか。私もちろん同じ仲間でございますから、みんなが昇給をしていただいて楽しく働いていただきたい、かように思います。しかしながら、一部にはやはり総合的に判断をいたしまして——これは決して一人の課長とか係長がやるわけではございません、部長もありますし、税関長もございます、みんなが判断をいたしまして、これはやはり給与法なり人事院規則によりますところの勤務成績が良好でなかったという判断が下されましたならば、やはりこれはそのような扱いをしませんならば、これは働く意欲がなくなるんじゃございませんでしょうか。そういうことで、決して私どもはどの組合に所属しているからなんということでは差別はしておりません、規則どおりにやっております。ただ私、残念ながら各税関のだれそれが何組合に属しているというようなことは承知しておりませんから、いまいろいろお話がございました何人組合員がおるということでございましたが、それは全く承知しておりませんということでございまして、決して不公平な取り扱いをしておりません。法令の定めるところによりまして、全体として国民から付託されました大事な仕事でございますから、みんなが張り切って楽しく働ける状態を現出したいと思ってやっている次第でございます。
  273. 渡辺武

    渡辺武君 いま決して差別はやっておらないという御答弁がありましたが、実際に差別があるからこそ私はここで取り上げて質問しているわけです。  そこで、給与法に一年間勤務成績が良好な者はということがあるからやっているんだということをおっしゃいました。しかし、やはりこの関税局、これはやはり一つの官庁ですよ、官庁が仕事をやる場合には、法に基づいてやらなければならぬ、それは確かにおっしゃるように給与法の第八条六項、これにはいまおっしゃったような趣旨のことが確かに書かれている。しかしそれについてもこの八条六項を適切に処理するためのそれぞれの規定が明示されているはずだと思うのですよ。あなたのようにみんなが成績良好な者かどうかということを判断して考えるべきだというような、そんなもんじゃないと思うのです、私は。そんな立場に立っておったら恣意的な人事が行なわれる可能性が非常にあるわけです。ですからその点、もう少し厳密にお答えいただきたい。
  274. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 具体的には、御案内と思いますが、人事院の規則の「九−八の運用について」というのが出ておりますが、その中で「勤務評定記録書その他その者の勤務成績を判定するに足ると認められる事実に基づいて」いま申しました勤務成績がいいかどうかということを判断しておるわけでございまして、決して恣意的にやっておるわけではございません。人事院のお定めに従いまして、そういう管理者がつくっておりまする記録書によりまして判断をしておる次第でございます。
  275. 渡辺武

    渡辺武君 いま局長の言われた「人事院規則九−八の運用について」というものですね、これは人事院の通知でしょう。そうですね。
  276. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) さようでございます。
  277. 渡辺武

    渡辺武君 これは法律じゃないんですよ。そうですね。これは人事院規則の解釈についての人事院の一片の通知にすぎない。これを法律だというわけには絶対にまいらないものなんでございますね。しかし関税局がこの人事院の通知に基づいてやっておられるということは、いま伺ったところで、はっきりしました。そうして、そのことによって私が一番最初指摘しましたように、全税関労働組合に対して不当な差別的な処置が行なわれているということだと思うのですね。  そこで伺いたいのは、この人事院のいま言った通知ですね、これの第一項、確かにおっしゃいますように「この条の第一項に規定する」、つまり第三十四条ですね、人事院規則の第三十四条の「第一項に規定する昇給させようとする者についての勤務成績の証明は、勤務評定記録書その他その者の勤務成績を判定するに足ると認められる事実に基づいて行なうものとする。」、勤務評定に基づいて勤務成績が良好かどうかを判断する、また監督する立場にある者が労働者に対してその者の勤務成績が良好かどうかということを判断するということで、その労働者が定期昇給適格者かどうかということを判断するというのがこの通知の第一項の趣旨だと思いますけれども、そういうことをやりますと、必然的にこの税関側が恣意的に人事を行なう、定期昇給についても恣意的にそれが適格者かどうかということを判断するということになるんじゃないでしょうか。この中には勤務評定をやる人、あるいは労働者の成績が良好かどうかということを判断する人——官側の人ですね、この人の主観が十分に入ることができる余地がある。この規定によれば当然に主観的な判断がそこに働いて、そうしてまた官側の恣意的な処置によって定期昇給が行なわれる可能性が——おそれが十分に出てくるんじゃないでしょか。その点どう思いますか。
  278. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) まず最初に、私のお答え申し上げたのは不十分でございましたが、もとは、さっき申しましたように勤務成績が良好で一年間勤務したときには昇給させることができるとなっておりまして、その御解釈がさっき申しました一連の通達になっておるわけでございます。もとはやはり法律でございます。単なる通達と申しますけれども、すべて法律につきましては、私が申し上げるまでもございませんが、何でもかんでも書くわけにいきませんので、この法律につきましても、いまの勤務成績が良好というのはどういうふうに判断するか、いろいろ手続等もおきめいただかなければならぬ、それに私どもは従ってまいるわけでございますから、私どもは法律の事項に基づくものでございますから、これは法律と同じような効果を持つものと観念しております。そこで、いまお話の勤務評定が恣意的に行なわれる可能性があるというお話でございますが、そう申しますと、これは役所だけではございません。一般の会社その他人間の組織の中におきまして、やはり同じような勤務評定が行なわれておるわけでございますから、そういたしますと、これはすべて前提が私どもと違うわけでございますが、私どもはそういう心配が起こったらいかぬから、一人の人には評定をさせません。ずっと係員はその段階で相互牽制しながら評定をするとか、課長はだれがやるというように、だれということをきめておりません。決してそういう恣意的に判断が起こらぬように——仲の悪い者がおるかもしれません、それが評定して、それが通ってしまったらたいへんなことになります、決してそんなことにならぬように万全を期しておりますから御心配のことはないと思います。
  279. 渡辺武

    渡辺武君 一人でやっているのじゃないから恣意的にならぬという御答弁ですが、それはちょっと御答弁にならぬですね。一人であろうと、二人であろうと、この労働者を使う立場にある人たちということについては変わりはないですからね。部長であろうと、係長であろうと、両方が一致して全税関労働組合員だから、あれは何とかしていろいろな点でもって何とか押えつけていかなければならぬというふうに意思を一致さえするならば、その点から同じような評定が出てくるということは可能性が十分にある。それを許すようになっている、ここが問題だと思います。もう時間がありませんので、さらに詳しい質問は次回に譲りますけれども、しかし局長自身も私は御存じだと思うのです。国家公務員法、これには労働者の給与についても、あるいはその他の文面についても、あるいはそのほか労働者の利益に関することについてもすべて法定するというたてまえをとっていると思うのです。これは御存じのとおりだと思うのです。これは国家公務員法が、あれが国家公務員からストライキ権を奪うということと関連して制定された法律であって、労働者の労働条件というのは、これは団体交渉を通じて実現していくということが、これは私ども正しい立場だと思うのです。しかしその労働組合からストライキ権を奪うということからして労働者の、国家公務員の労働条件については法律で定めるようになっているからだいじょうぶなんだというふうにいままで説明されてきました。いつか自治労がILOの人権委員会に提訴したときに政府側は、国家公務員についても、制定法の定めるところによって十分利益を享有しているというような趣旨答弁をILOに対してやっておられる。そのことからして政府も国家公務員の労働者の利益については法律でもって定めているからだいじょうぶなんだという立場を私はとっているのじゃないかと思う。もし、かりにこの立場に立って考えてみるとするならば、給与についてもはっきりとこれは法定されている。いま局長は、いや、いろいろな通知その他も出て、これは法律と同様の権威を持つものだと理解しているというふうに言われましたけれども、通達その他、通知その他が、これが問題だと思うのです。これがほんとうに法の趣旨を生かしたものとして、法の趣旨に基づいてやられていれば私はそれはそれなりに権威を持つと思う。しかし、法の趣旨を根本的にねじ曲げるような通知、通達であるならばこれは法律違反になってくる、こういうふうに思わざるを得ない。私はこの「人事院規則九−八の運用について」という人事院のこの通知ですね、これの第一項、これは国家公務員法及び給与法及びこの給与法に基づいてつくられた人事院規則、これの根本的な趣旨をねじ曲げていると思う。この点についてはいずれ質問の中でさらに明らかにしながら皆さんの御意見も伺ってみたいというふうに思っております。
  280. 矢野登

    ○矢野登君 私は中小企業対策あわせて中小企業の税制問題、特に大きい税の財源を担当しておる石油関係の諸問題について関係者にお尋ねいたしたい。  大体私最初には二時間の時間を委員部の方々にお願いしておきました。ところが一時間半になって、けさになって一時間でがまんしろというようなことだったんですが、ただいま時計を見ますというと二十五分と、こういうことになる。言論の府である以上、もう少しわれわれの主張が主張としてできるように今後お取り計らいをお願いいたしたい。この点をお願い申し上げます。  時間がございませんので、私のほうで持っておる数字を申し上げたり、それに対してイエスかノーかをお答えになったりして短時間に進みたいと思いますが、大蔵省まで進みたいと思っておるのですが、政策面の問題が先になるものですから通産省のほうに先にお尋ねをさしていただきたいと思うのです。  最初に、中小企業の実態について、こういう数字を持っておりますが、これが間違っているかどうか御確認を願いたい。中小企業の事業所数が第一次産業を除いて四百二十五万、これは全産業の九九・五%になっておる。それから就業人口は農業を除いて二千四百万、これは全就業人口の七九・七%。それから製造業の出荷額、商業の販売額がおのおの全体の約五〇%を占めておる。それから輸出の資材、材料については全輸出量の約四〇%にいっておる。こういう数字を持っておるのですが、これは間違っているかどうか。
  281. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) こまかい数字は持ってきておりませんが、私の記憶でほぼそういう数字であろうと思います。
  282. 矢野登

    ○矢野登君 次に、最近の中小企業の倒産の状態、これも私数字を持っておるものですから申し上げますが、昭和四十年度に六千百四十一件の倒産がございました。この負債総額が五千六百二十四億一千万と、こういうような数字でございます。これが順次進んでまいりまして、四十三年には一万七百七十六件という倒産、しかも負債総額は七千九百七十四億八千九百万と、こういう数字になっておるが、本年の七月まで、五年七カ月のトータルを見ますと、倒産件数が四万五千百十九件、負債総額が何と三兆一千八百八十八億九千二百万、これが倒産した四万五千件の負債総額でございます。この数字に対して何か間違いがないかどうか御確認をお願いします。
  283. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) どうも先ほどと同様のお答えを申し上げて申しわけございませんが、こまかい数字を持っておりませんが、たしかその程度であろうと思います。
  284. 矢野登

    ○矢野登君 さらに、御承知のように経済の国際化時代に入ってきたということ、しかも国内においては労働力の確保難、これはもう説明の余地がないと思うのですが、最近では金融引き締めのあおりが中小企業に非常に強い、こういうことを考えますと、この倒産の数は本年などはさらにふえてくるのじゃないか。今後年々こういうような状態でいったならば、この中小企業の倒産というものはさらにとんでもない方向に進んでいくのじゃないか。中小企業の暗い面はあわせて日本の全産業面に影響してくるのじゃないか。こういうことで、一九七〇年代は明るい時期を中小企業が迎えられるのか、あるいは今後の中小企業をどう育てていこうとしているのか、ひとつ通産省の御意見を承わりたい。
  285. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) おっしゃいますように、先生のお話のように企業倒産がだいぶ多くなっております。最近における経済の伸展に伴いまして、だいぶいろいろと技術革新その他変動が激しいものでございますから、中小企業の中にはこれに追いつかないで倒産するものがかなり常時出ている状況にございます。特に最近は金融引き締めの影響がかなりあるんではないかと考えておりますが、長期に見まして、私ども中小企業の実力をつけるという意味で、技術指導なりその他いろいろと力を尽くしておりますが、最近行なわれます自由化の問題、それから近くまた検討されます特恵問題、これらの問題をとらえまして事業の転換とか、その他いろいろな対策を今後検討いたしまして、実力をつけながら極力倒産等の多くならないようにつとめてまいりたいというふうに考えております。
  286. 矢野登

    ○矢野登君 了承しました。  それについても、中小企業で一番現在困っている問題は、労働力の確保という問題がこれは一番大きい問題じゃないか、こういうふうに考えておりますが、本年でもけっこうなんですが、大企業と中小企業に分けて、大学、高校、中学、この新しい就業者がどういうふうに配置されているか、もし数字を持っておりましたならお聞きしたい。あわせてその初任給も大企業、中小企業の区別をしてお聞きしたい、こういうことでございます。
  287. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) 申しわけございませんが、その関係の資料を持ってきておりませんので、いま数字を申し上げられないのでございます。
  288. 矢野登

    ○矢野登君 こうした資料をぜひほしいと思うのですが、後日でけっこうでございますから、お願いしたいと思っております。  あわせて、中小企業基本法第三条第八号「中小企業における労働関係の適正化及び従業員の福祉の向上を図るとともに、中小企業に必要な労働力の確保を図ること。」こういうことがあります。第五条には「政府は、第三条の施策を実施するため必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。」こういうふうにあるのですが、この中小企業の労働力確保対策として、予算あるいは施策の面でどういう方向に進んでいるか、ひとつお聞かせ願いたい。
  289. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) 先生のお話のように労働力不足という問題、もうかなり深刻になっておりますが、今後ますます長期に続くものと考えております。なかなかこれに対する適切な手がございませんのですが、根本的には、中小企業庁といたしますと、職場を魅力あるものにするということが一番大事だと考えております。そういう面で各種の指導等を行なってまいりたいと思いますが、直接的には、金融その他によりまして福祉施設その他の施設を設けていくことが緊要と考えまして、労働省と協力いたしましてこの方面に力を注いでまいりたいと思います。
  290. 矢野登

    ○矢野登君 時間がないので急がせていただきます。  大体労働力確保というような問題でも、問題を考えますときに、そこに生まれてくるのが生産性の向上、こういう問題が表に出てくるんじゃないかと思います。こういう点から考えまして、これはちょっと古いのですが、四十一年度の統計でございますが、従業員数、それから中小企業の付加価値生産と給与、こういうような面から、これは労働省の統計だと思うのですが、従業員千人以上の職場の付加価値生産性を一〇〇として、給与を一〇〇として見ておるのですが、九百九十九人から三百人までの職場が付加価値生産性が七七、これに対して給与は八二%を出しております。それから二百九十九人から百人までの職場で生産性が五九%、これに対して給与は七一%出しておる。それから九十九人から三十人まで生産性は四五%なのに、給与のほうは六四%、二十九人から十人までが三九%の生産性に対して五八%を出しておる。こういうような数字を持っておるわけでございますが、現在ではかなりこの数字も変更されているのではないかと思うんですが、依然として中小企業の生産性はみじめなものである。したがいまして、こういう方向の進め方、労働力の吸収、生産性の向上がなかったならばこれが考えられない、こういうふうに思うんですが、最近一番地方の中小企業で問題になっております下請代金支払遅延等防止法、こういうものの実効がどこまであがっているか、こういう問題についてお尋ねしたい。
  291. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) 中小企業庁といたしますと、下請に対する支払いという問題非常に関心を払っております。ただし、現在に至るまで私ども注意しておりますが、法律に抵触するというような事実をあまり耳にしておりませんでございますが、私ども、大企業もかなり中小企業に対して考慮してもらっておるというふうに感じております。
  292. 矢野登

    ○矢野登君 実際をたびたび耳にすることがあるんですが、どうもざる法じゃないか、仕事をもらうほうの立場で、支払いが現金じゃなければ、六十日の手形が八十日になったから、百日になったからという文句を言えないというのが中小企業の立場である、こういうようなことをよく耳にしております。したがいまして、現在こういうようなことで各事業所、大企業は六十日以上遅延して支払ってはいかぬというような命令が出ておっても、実際面において、はたしてそれが実行されているかどうか、大蔵省なり銀行なり、こういう方面とタイアップしてほんとうに見ていかなければ、常に弱い立場にある中小企業が大企業に対してそういう問題を提起して一々対抗できるかどうか、こういう点からひとつお考えをお聞かせ願いたい。
  293. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) 中小企業庁といたしまして、下請、中小企業の発展ということは最大の関心事でございますし、特に代金の支払い問題という重要な問題でございますので、お説のようにいろいろな手段を講じまして実情を今後とも注意してまいりたいと存じます。
  294. 矢野登

    ○矢野登君 昨年非常に中小企業が首を伸ばして待っていた問題に中小企業振興法案というようなものが通産省の手によって出されたんじゃなかったかと思うんですが、これがどうも途中で流れてしまったあの原因はどこにあったか、一体いまの国会議員は中小企業というようなものに対してどれだけの理解を持っておるか、こういうようなことまで地方でわれわれいわれております。こういう問題の今後の取り扱いがことしはどうなるのか、中小企業庁の御意見を承っておきたい。
  295. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) お説のとおり、残念ながら前回国会におきまして継続審議になりましたのですが、中小企業庁といたしまして、次の国会にはぜひ通していただきますように、法案も十分練っておりますが、その他周知徹底をはかりまして、いま着々準備を進めておるところでございます。この次にはぜひ通していただきたいと考えております。
  296. 矢野登

    ○矢野登君 それから経営指導の面の問題についてお尋ねをいたします。私ここに数字を持っておりますが、三十八年中小企業指導法というのができまして、経営指導が行なわれております。現在商工会議所、商工会等を通じて指導員が全国で四千七百名、それから中小企業団体中央会の関係で、これが組合の指導でございますが、四百五十一名、こういう数字が出ておりますが、この数字、間違いございませんか。
  297. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) 間違いございません。
  298. 矢野登

    ○矢野登君 間違いないとすればお聞きしますが、商工会議所、商工会の会員の対象が三百五十万事業所、三百五十万の事業所があって四千七百名だとすると、一人当たりの担当が七百四十五事業所、こういうことになるんですね。一体、スーパーマンでもなかなか一人当たり七百四十五の事業所を指導する——あるいはあるときは業者の意見も聞いたり指導をしたりということで、こんな人数でできるかどうか。それからもう一つ、中小企業団体中央会の組合の指導が対象三万六百十二という数字になっておりますが、これは一人当たり六十八組合を指導している、こういうふうな数字になっておりますが、一体一人当たり六十八組合を指導する、あるいは会議関係は七百四十五の事業所を指導する、これでほんとうに指導法という法律ができて、こういうような人数でこの法律の趣旨、目標を完全に消化できるかどうか、非常に形だけの指導法の内容ではないか、こういうふうに考えられるんですが、この点についてお伺いしたい。
  299. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) お話のとおりの面がございますが、ただ、この制度をつくりましてから今日に至りますまで、私どもも人員の拡充並びに待遇改善に極力努力してまいりました。まだまだ足りないと存じますが、毎年人数もかなりふやし、また待遇改善にも順次目的を達しつつございます。ただ、おっしゃいますように、確かに人数の不足の面、特に商工会議所におきまして、人数の不足を非常に感じておりますので、昨年度から試みに中小企業振興委員というものを設けまして、現在全国の大きな商工会議所、大きな順に七カ所に及んでおりますが、この振興委員が、いまの指導員一人に対して振興委員五人の割合で置いてございます。この振興委員が民間の業界の有力者でございますが、この方々が中小企業の実情をいろいろ指導員にお教えくださいまして、連絡していただきまして、これによりまして人数の不足をかなり補ってまいりたいと思っております。私どもいまのところ好評であると存じておりますので、このような方法で逐次改善してまいるつもりでございます。
  300. 矢野登

    ○矢野登君 ただいまのお答えで、人員の拡充に力を入れておるというので非常に安心をしたわけでございますが、地方では、大体いまのところ国の方針に従ってでき得る限り人数を減らしたいというのが通産省の進み方で、減員があるというと、あとそれの補充が許可にならない、こういうようなことを聞いておりますが、そういうことはございませんか。
  301. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) いまのお話の件は、誤解があると存じまして、指導員を配置いたしました際に、当初無計画に膨張いたした面等いろいろございます。したがいまして、現在御承知の人員削減等もございます。それから例年の増員の関係もございます。そういうことで、極力将来増員されてまいりますと、そういうことは心配ないのでございますが、現在非常なアンバランスがございますので、極力アンバランスを是正してまいりたいということから、指導員が多く置いてありますところについてはそういうような話がまいりますために、いまのようなお話になったと存じます。決して私ども全体を減らすという気持ちは全然持っておりません。
  302. 矢野登

    ○矢野登君 特に、中小企業庁の指導部長さんでございますのでお願いしておきますが、一人当たり六十八組合を、一人当たり七百四十五の事業所を指導するというような立場にあることでございますから、この人数がかりにも一人でも減るというようなことなしに、もちろん適正な配置ということは大事なことでございますが、今後お進めを願いたい、この点を特にお願いを申し上げておきます。  それから過当競争の排除というのが中小企業で非常に大事な問題ではないかと思います。中小企業には昔から商売がたきということばがございますが、これは現在の中小企業の過当競争の姿を一言で言いあらわしたことばのように私には考えられます。中小企業の対策という面からいって、最も考えなければならない問題はこの過当競争の排除じゃないか。中小企業近代化促進法の中には、こういう文句が入っております。店舗等の集団化事業、小売り商業連鎖事業、小売り商業店舗共同化事業、計算事務共同化事業、こういう文句が入っていますね。こういう方向で近代化を進めなければいかぬと、こういうふうに入っております。結局中小企業の近代化は協業化あるいは共同化というほうに進めなければいけない、ところがこの逆に進んでいる傾向がないか、こういうことでございます。  ここで石油関係について一、二お尋ねしたいと思うのですが、石油精製業が御承知のように石油業法によって許可制となりました。これは三十七年かと思っているのですが、ところが最近になって非常に小型の精製業者がふえておる。三十五年から十二の精製業者がふえておる。この精製業者を取り巻く小売り業者、スタンド業者というのは、これはあらゆる場合にふえてくる。この小型精製業者をどうして現在のようにふやさなければいけないのか、ここに非常に過当競争が生まれてくる、こういうことでございます。これも持っておる数字を申し上げますが、現在石油関係の税金は八千七百億円——八千七百億の税金というのは、現在の法人税が——正確に申し上げますと、問題の石油消費税が七千五百六十一億、原油の輸入税が千二百十一億で八千七百七十億という数字になっております。これに対して法人税が、これは記憶でございますが、法人税が二兆四千億、大体の数字でございます。それから所得税が二兆三千億、大体一千億の違いだと思ったんですが、それに比べまして、この石油税というのが大体三分の一強であるということ、国民全体が、国内の全法人が納める税金の大体三分の一が——負担の度は第二にして、それを石油業界が集めているんですね。したがいまして非常に大きい仕事をこの石油販売業界はやっておる。ところが最近になりまして、三十五年以降十二の石油精製業者ができたということ、この石油精製業者を取り巻く販売店はあらゆる場合に過当競争に飛び込んでおる、こういうことでございます。こういう問題を、時の中小企業対策の根本が過当競争を防ぐということであるとしたならば、この中小精製業者を無制限にどんどんどんどん許可しないで、従来の業者の設備拡張というようなことで、販売面がそんなに混乱しないような対策が必要ではないか、こんなことを考えますが、企業庁ではどんなふうにお考えか御意見を承りたい。
  303. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) いまの先生のお話、全般としてお説のとおりであろうと思います。具体的な問題になりまして、個々にいろいろケースがあると存じますが、中小企業庁といたしましては、なるべく過当競争にならないように留意してまいりたいというふうに存じております。
  304. 矢野登

    ○矢野登君 過当競争にならないようということですが、実際は極端な過当競争に入っておる。これは鉱山局のほうの仕事になるかと思うのですが、三十九年からすでにスタンド建設というものは非常に数が多過ぎる、こういうようなことでスタンド建設懇談会というのをつくりまして、調整をはかってきた、今日まで。ところが、これがほとんど調整の効果があらわれておらない、こういうことでございまして、きょうは時間がきてしまったのでこまかいお話を承る時間がございません。したがいまして、お願いしておきますことは、現在のスタンド建設というものにもう一歩目をみはっていただきたい。おそらく指導部長さんも町へ出られて気づかれることと思うのですが、新しい工事場イコールガソリンスタンド、こういうような感じで私見ております。おそらく指導部長さんもそうした状況をまのあたりに見られておるのではないかと思う、こういうふうに考えております。どうかひとつ中小企業を守る上において、過当競争の排除ということが根本問題だということを御認識願います。  なお、お願いばかり申し上げますが、現在そういうような関係で業界は商業組合を結成して、調整規程の許可をいただきまして進んでおります。そのうちに、従来の問題でこういうのがあるんですね。組合員は、石油製品を、そのものの最近一カ月間の油種別、等級別平均仕入れ価格に仕入れ及び販売に要した運賃を加算した価格以下で販売されてはならない、こういうことなんですが、これを申し上げますと、組合はもうほんとうに憲法としてこれにすがって進んでおるんですね。ところが、この内容は仕入れした金額と運賃だけ、そうするとスタンド業、スタンド経費なんか見るということはこの中に入っていない。一体どうしてこういうことが通産省の調整規程の中に出ているのか。もちろん仕事をやるのには金利もかかれば、あるいはその他の経費も多分にかかる。こういうものを全然見ないで仕入れ価格と運賃だけ、それ以下に売るのは安売りだ、これは安売りするのはなくなる。もちろん現在の低物価政策の時期でございますから、そうしたことにこの条文が利用されているのだというようなことになりますと、あまりにも悲惨な中小企業である、こういうことになります。こういう問題について、この条文おわかりでしょうか、石炭局のほうですな、これをお取り扱いになっているのは。石炭局のほうでおわかりになりましたら……。
  305. 磯西敏夫

    説明員(磯西敏夫君) ただいま先生のおっしゃいました石油販売業の調整規程でございますが、御存じのように四十二年十月からこういう調整規程を実施してまいったのでございますけれども、ことしの九月までで一応切れるような状況になっております。その点の問題につきまして、業界のほうからさらにそれを延長してくれ、あるいは価格安定の問題について、さらに不当廉売をしないように強化をしてくれ、こういうような要望が出ております。その辺を一応見まして、いま先生のおっしゃいました仕入れ金額プラス運賃の問題、さらに経費の問題もございましょうが、その辺も総合的に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  306. 矢野登

    ○矢野登君 この点は業界非常に心配しておりまして、通産省のほうへはすでに陳情書も出ておることと思いますが、ぜひともこの問題が実現するように御配慮をいただきたいと思います。  時間でございますが、いまひとつお願いしたいと思うんですが、これは仙台の卸商センター問題について鉱山局並びに指導部のほうにお願いしたいと思うんですが、この卸商センターという問題は、仙台の郊外に十五万坪の敷地を求めて仙台卸商センターというのができました。卸売り業者が大体二百九十名入居の見込み、経費は仙台で百億六千万を使うという。この責任者が元の仙台通産局長をされた方である。こういうことなんですが、内容は、ことしの初め、大体二月と思うんですが、この卸商センターがただいま申し上げた給油所をつくりたいということなんです。そのときにはすでに石油業界ではそのまわりに七カ所の給油所を設置した。その卸商センターができるので、中小企業者であるスタンド業者が七カ所のスタンドをつくってあるんですね。したがって、その七カ所のスタンド業者はこの卸商センターに給油所をみずからやられては、自分たちの七つのスタンドがあがってしまう、何とかしてこれを食いとめてもらいたいということで、八方運動したんだが、なかなか効果があがらないので、私のところへやってまいりました。この七人の業者は私も以前から顔見知りの間柄でありましたので、通産省に当時の審議官である成田さんを訪問いたしまして、それから仙台の通産局にも当時の、名前は忘れましたが、鉱山部長を訪問したり、宮城県庁に知事さんを訪問いたしました。そうして陳情した内容は、卸商センターの建設を理由に、しかも国から相当の資金が行っているはずなんです、それが小売り業を苦境におとしいれるような対策はやめてもらいたい、こういうことで成田審議官にお願いしました。これはあくまでも卸商センターをつくるのが目的で国が拠出をしておるので、それは非常にまずいことである。私のほうからも現地のほうへ話をしておきますというようなことでございましたが、私はやはりじっとしておられない気持ちで現地へ行ってみた。現地へ行って、当時の鉱山部長に会って内容を聞きました。業者の団体の願いをひとつ聞いてやってくれないかということでお願いしたんですが、その当時の鉱山部長は、わかりましたと。そのとき非常に不愉快な返事があったんですが、そのことばは、通産局のメンツには関係するが、先生がわざわざ来たんだから、そういう方向に進みましょう、こういうような返事だった。それから知事さんを訪問して、その当時宮城県では、業者が地方税の軽油引取税というやつを年間二十三億宮城県に納めている、その税源なんだから、知事さん、ひとつこういうのは仲へ入って、その七つのスタンドを枯らすというようなことのないようにお取り計らいを願いたいということで知事さんにもお願いをしてまいりました。ところがその問題が現在もまだきまりついておりません。その後新聞を見ますと、これは内容を披露する時間がございませんから見出しだけを申し上げますが、「もめにもめる仙台卸商センター 連盟仙台も態度硬化 ついに政治問題に発展」「文書交換五十三回 十六カ月も未解決」と、これは新聞の見出しだけを申し上げます。「現地解決の望み消ゆ 仙台卸商SS問題宮城石商ついに絶対反対」を決議、こういうのが出ております。その次に「仙台卸商センター問題、こじれる一方センター側着工強行 未確認のまま通産局もにえきらぬ態度」、これが六月三十日の新聞に出ております。その後六月十六日には「仙台卸商センターの給油所新設問題また振出しにもどる 石商側、態度を硬化 センター側の背信〃善意無視した〃 通産にも責任?未確認なのに建設黙認」、こういうこと。それからこれは六月十日の記事でございますが、「仙台卸商センターSS建設に着工 石商の憤激に〃油〃 解決のメド遠のく」、こういう新聞の論調で進んでおります。さらに仙台の石油組合の副理事長が辞職をしてしまった。「両副理事長が辞表 仙台卸商センター問題めぐり 宮城石商収拾へ動く」、これは副理事長が二人とも辞職した。おとといの電話で私のところへ言ってきたのを聞きますと、理事長も今度は辞表を提出した、こういうことなんですね。私が仙台へ行ったのは二月の初めごろと思うのです。雪に埋もれた仙台に足を運んだのですが、そのとき鉱山部長は、通産局のメンツには関係しますが御趣旨に沿うよう進めますと、こういうことでございましたが、その後通産局が、かりにも何十億の金を出しておるはずなんです、あなたたちこれをやめなさいと言えば円満にきまりがついた問題じゃないか。しかも、二百九十幾つの卸売り業者が一カ所に集まって仕事をやる場所に何ゆえにスタンドが必要か。まわりに七つものガソリンスタンドが建っているのにもかかわらず、何ゆえに卸商センターがスタンドを建設しなければならないか。国から借りたお金で相当建物は建つでしょう。しかし危険もある。しかも、最近油を中心とした公害問題もこんなに騒がれている時期に、何ゆえに通産局がこれを押える方法を講じなかったか、こういう問題です。これに対してひとつ御意見を承りたいと思うのですが、時間がございませんので簡単にひとつ、どういう方向に進んでいくか、この問題に対する御意見を承りたい。
  307. 小斎弘

    説明員(小斎弘君) 先生のお話の件につきましては、私も新聞等でちょいちょい拝見しております。本件に関しましては、卸商が集まりまして団地を形成いたしまして、つまり流通近代化の線に沿って卸商が集団化するということを行ないまして、この自家用として、共同経済事業としてスタンドを持ちたいということで進めてきたように聞いております。ただ、このようなことをいたしますのは、団地を設けます際にいろいろな経済共同事業を行ないますのですが、周囲に悪い影響を与えるようなことがあるといけませんので、私ども十分注意しておりますが、通産局が指導いたしまして関係の業界とも話し合いをするという方向で進めておるというふうに聞いておりますので、私ども現地で円満に話し合いが解決することを期待しておるわけでございます。
  308. 矢野登

    ○矢野登君 もう一つお願いします。
  309. 森元治郎

    委員長森元治郎君) 簡単に……。
  310. 矢野登

    ○矢野登君 現地のほうで解決と言いますが、なかなか、地方地方のもつれというのは地元で解決するというようなことは非常にむずかしさがあると思います。日本ではまだ官尊民卑の風がありますから、ひとつ私の希望するところは、通産省あたりでも乗り出してこういう問題を解決していただきたい。現地にまかしておくと、すでに十五カ月もこの問題がきまりつかないでいる、こういう問題です。希望するところは、指導部もあり、石炭局もあることでございますから、どうかぜひとも中央で乗り出して、こういう問題を、特に中小企業のために、ひとつ解決の方途を考えてもらいたい。この点をお願いしまして私の質問を終ります。どうも……。
  311. 三木忠雄

    三木忠雄君 時間の制限がありますので、私も限られた時間の範囲で、特に本日は国有地の無断の転用、あるいは無断使用等の問題、あるいはまた国の補助金、特に構造改善、あるいは開拓。パイロット事業等で優良田にしたその土地を、一夜にしてこれをゴリ押しをし、ゴルフ場に転化した。いわんやまた、そのゴルフ場めがけて会員の人たちが、そのとおり実行されると思って会員権を購入したが、あにはからんや、そのとおりなっていない。こういうような問題点について、私は一つの、石川県に起こった問題を通して、きょうは問題を進めたいと思っております。特に、各省にまたがりまして、問題が多岐にわたると思いますが、ごかんべん願いたいと思います。  最初に、石川県の片山津カントリークラブの第二日山コースの建設に伴う、特に佐美地区の問題について。この地区については、九月一日のオープンで開始されたところでありますが、この佐美地区のゴルフ場建設までの、そうして九月一日オープンまでの経過について、農林省から御答弁願いたいと思います。
  312. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) 佐美地区の開拓地でございますが、これはお話しの片山津のゴルフ場に接続をいたしました約五十五ヘクタール、五四・八ヘクタールの区域でございます。その大部分は山林原野の地目になっておりますが、一部一二・九ヘクタールが畑という地目が含まれておるわけでございます。これをゴルフ場にいたしますために、地元の会社が農地法の所要の手続を経ないで、本年三月ごろから整地工事に着手をしたのを四月になって発見をいたしました。で、石川県当局が会社に対して工事を中止させたという経緯がございます。で、その後、この会社が五月の二十日ごろに農地法違反をしたことはまことにまずかったということで、この会社と地元の関係農家の代表者、双方から始末書が出され、同時に、あらためて農地転用の手続を取らせてもらいたいという申し出があったわけでございます。この件の処理につきまして、いろいろ検討をいたしたのでありますが、ちょっと特殊なところでございまして、昭和三十二年ごろから耕作が放棄されておりまして、三十七年ごろには全面積が耕作放棄されたというふうなことで、地目は先ほど申し上げました一二・九ヘクタールばかりが畑でございますけれども、見たところの現況は全面原野と申しますか、あるいは灌木がはえておりまして、ちょっと農地法の適用対象地域ではないかのごとき状態であったので、地元が誤認をしたという点がございます。それから砂丘地の中の畑でございまして、かんがい施設等もございませんで、なかなか有利な作物を今後指導するとしてもなかなか見当たらないというふうな判断、それから開拓地でございますが、これはもと国有林から所属がえを受けまして、農地法の規定によりまして開拓地として農家に売り渡した分でございますが、特別の国が投資をして建設工事を行なったところではございません。開拓地として戦後入殖、地元の増反者のために売り渡したといったような特殊事情がございましたので、地元がまことに申しわけなかったという始末書を出してきておりましたので、以後そういうことのないようにということであらためて農地転用の手続をさせて、去る八月二十一日にこれの転用の許可をいたしましたわけです。  それからなお、この中に農家に売り渡しをいたしておりません国の所有に属しております開拓道路の部分がございます。この部分が一・一ヘクタールばかりでございますが、これにつきましては、農地法の八十条の規定に従いまして、旧所有者でございます林野庁のほうへ所属がえを行なったということにして、なおその間わずかな期間でございますけれども、無断でゴルフ場にしてしまった部分がその国有の開拓道路の部分にございますので、その部分についての損害金を徴取するというふうな処理経過になっております。
  313. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは誤認でゴルフ会社に地元があるいは販売したと言われておりますけれども、実際にこの地元の始末書あるいはその経緯を調べてみますと、これは誤認とは言われないような事実が数多くあるわけです。私も昨日、現地を見まして、あるいは現地に住んでいる人たちの声を聞きますと、誤認できるような問題ではない、いわんやここには地元の販売を推進したのは某県会議員が推進して、そうして販売しているわけです。こういうふうな形になりますと誤認とは言えない、あるいは台帳にちゃんと載っているような問題です。こういうような問題は、はたして農林省が誤認を認めて、そうして始末書で済ました、以後そういうふうな問題はないようにする。しかしあとで述べますけれども、これと同じ問題が隣のやはり新保地区にも無断農地転用があるわけです。こういう経緯について、どう農林省としてはお考えですか。
  314. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) この隣接地に新保地区がございまして、これはいろいろ公共投資をしました地区で、これははっきり農地——当然農地法の適用もあることはだれの目にもはっきりしている土地でございますが、この佐美地区のほうは、私、現地に行っておりませんのであれですけれども、経緯を調べますと、昭和三十二年ごろから耕作放棄が始まって、三十七年にはもう全面積耕作放棄をしておったという経緯から察しますと、一般の農地法の適用関係に詳しくない人たちは、これは農地でないというふうに判断をされたのも、ある意味では無理からぬところがあったのかというふうに考えておるわけでございます。しかし農地法は、必ずしもその土地に耕作しておりませんでも、耕作しようと思えば容易に耕作し得る土地は農地法の適用対象地であるという解釈で運用しておりますので、本件の土地はやはり農地法違反であったことは、そのとおりだということで、先ほど申し上げたようなてんまつの処理をいたしたわけでございますが、いずれにしましてもこの点については農地法についての趣旨の不徹底の点もございまして、あるいは地元のこういった事業が今後もあるいは同様の事件を引き起こしかねないということも察せられますので、これからの監督等につきましては十分きびしくやってまいりたいと思っております。
  315. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで、まあこういう農地法違反の問題を、具体的に工事はどんどんそういう指摘があっても着々進められた、こういうわけですけれども、この担当した会社はどこの会社ですか、建設省、おられますか。
  316. 檜垣五郎

    説明員(檜垣五郎君) これにつきまして、北陸観光開発会社のほうに私のほうから連絡いたしましたところ、これは自分のところで、自営という形式でやったということで、どういう建設業者が関与したかということは明らかにいたしておりません。さらに重ねて、県のほうを通じまして聞いてもらったわけでございますけれども、やはり同様な回答が返ってきておりまして、そういった次第でございまして、私どもどういう建設業者が受けたのか承知いたしておりません。
  317. 三木忠雄

    三木忠雄君 時間も限られておりますので、これは会社の問題は、私も現実に株式会社治山社がやったということも現地からいろいろ状況を聞きました。この問題については深く追いませんが、いずれにしても国有地の無断使用をし、そうして八月の二十一日に農林省としては転用の許可をしておる。そうして八月の二十五日に林野庁に国有地の部分については所管がえをされているわけでありますけれども、この所管がえをされてからの林野庁の見解ですね、林野庁のとった手続等についてお教え願いたいと思います。
  318. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 八月の二十五日に農地局の開拓財産から林野庁が返還を受けております。その後、八月三十一日に北陸観光開発株式会社に貸し付けをいたしております。
  319. 三木忠雄

    三木忠雄君 それは、国有地は面積がどのくらいで、どういうふうに貸し付けられたか、その詳細をお聞きしたい。
  320. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) その土地は、面積一・一ヘクタールほどでございます。元開拓道路敷地でありました。その両側はもうすでに転用許可を受けたゴルフ場の土地でございます。
  321. 三木忠雄

    三木忠雄君 その貸し付け、賃貸契約の内容等について御説明してください。
  322. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 賃貸契約の内容は、昭和四十五年九月三十日まで貸し付けをする、約一カ月の期間でございます。貸し付け料が二万四千八百七十二円となっております。面積は一・一五七三ヘクタールでございます。
  323. 三木忠雄

    三木忠雄君 これでこの国有地が林野庁に移管されて、まあわずか一週間もたたないうちに確かにもう八月二十一日には農地転用してしまって、すでにもうゴルフ場になってしまっていたわけです。したがって、林野庁としてはやむを得ないと、こういうふうに答弁されているわけでありますけれども、実際にこのように、あるいはゴリ押しでとにかく農地を転用し、また転用してゴルフ場をつくってしまった。そこに国有地があった、もうできてしまったのだからしかたがない。こういうふうな態度です。私が申し上げたいところは、売ったほうは某県会議員が確かにわからないで売ったと、こういうふうな言い回しをしているわけでありますけれども、そのために始末書を取ったと言われる。あるいはまた、そこに工事をしているほうは地元の有力者、代議士も入っている。あるいはまた、その北陸観光開発の社長は新聞社の社長である。あるいはこういう点、あるいはまた、こういうふうにわずかの期間中に国有財産を許可してしまうという、こういう問題に対して、私は、ちょっと林野庁の態度がうなずけないじゃないか、こう思うわけでありますが、どうでしょうか。
  324. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) まあ通例開拓財産として不要になりましたものが元国有林であったという場合には、返還を受けるのがたてまえになっております。そこでこの場所も開拓財産として不要になったから返還を受けるかどうかという話が始まりまして、林野庁が返還を受けた、こういったような土地を返還を受ける場合に、国有林野経営上必要のないという土地である場合には、多くの場合普通財産にいたしまして不要存置林野というものにその土地を入れましてなるべく早い期間にまあ処分をするというのが通例でございます。その処分をする場合には、時価で国損にならないように適正な価格で処分をするというのが一般の例でございます。
  325. 三木忠雄

    三木忠雄君 私がふしぎに思うのは、この八月二十五日から九月三十日まで——これはゴルフ場はずっと永久に続くはずのゴルフ場だと思うんですね。ところが九月三十日までのわずか三十七日間を賃貸契約を結び、聞くところによると十月以降は売買されるそうです。不要な土地とは言われますが、売買される。そこで私がふしぎに思うことは、八月の二十五日に林野庁に移管をされて、九月一日にこのゴルフ場がオープンしなければならない。したがってここに私はいろいろないきさつを聞いております。八月の三十一日までに許可をとらなければこのゴルフ場は背任行為になってしまうんだ、どうか何とかやってくれという、いろんなあちらこちらの圧力が加わった。こうして国有財産であろうと何であろうと、とにかくやってしまったものはやり得だと、罰金さえ払えばいいんだと、こういうような考え方で国有地を無断で使用したり、あるいは転用したり、あるいはまたそれを平気でやっていくという行き方に対して、私は憤りを感ぜざるを得ない。いわんやこの新聞広告には、すでにこのゴルフ場は新保地区も含めて四月二十二日に新聞広告で、もう会員権の募集が行なわれているわけです。これはゴルフ場のこの一面広告にちゃんと出されているわけですね。こんなばかな話はないわけですよ。国有地を無断転用し、使用し、そして四月には会員権募集をしてしまって、しかも四月限りだと。これでまじめに会員権を買った人は、はたしてどういうふうな考え方を持つだろう。実際私は九月一日のオープンの状況を見ました。このとおりのゴルフ場じゃないわけです。正直にいえばこれは背任行為じゃないかと思うんです。こういうような問題を、林野庁はわずか一週間の間に、こういうふうに簡単に国有地を許可してしまう、まあ大小はいろいろあるでしょう、あるいはその地域のいろんな事情はあるかもしれない。しかしながら、決して私は、ゴルフ場にしたというのが悪いというのじゃないのですが、こういう行き方があらゆるところに無法地帯みたいな形でつくられていった場合に、これは国有林の、群馬県にも問題があります、あるいは葉山にもある、私は数多くのこういう問題の資料を持っております。しかし、こういうような問題が数多く行なわれているという事実を、林野庁長官としてどういうふうにお考えになるか、もう一度答弁願います。
  326. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 実は、この件につきましては、私もきのう聞いたばかりで、こういうことは知らなかったわけでありますが、こういった面積の少ないものは普通、営林局長権限で貸し付けその他をやらしております。そういった地元の繁栄のために行なわれる必要な土地で、ほかにかけがえのない土地で、しかもこれは国有林として存置する必要のないところだという場合には、法規に従いまして貸し付けをするなり、処分をするなりしておるわけでありますが、この帯状に長い元開拓道路敷地である、国有林として永久に持っておっても役に立たない、土地の高度利用からしましても、適正な時価であるならば、そういった地元の繁栄に役立つ、最近のレジャー産業といいますか、そういうもののお役に立てるのも一つの方法ではないかということで、これはひとまず貸し付けようということで処置をしたと聞いております。
  327. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは貸し付けた理由はいろいろありますけれども、実際にこういう短期間に九月一日にオープンという見え透いた、地元がほんとうに納得のできない、こういうようなことを平気でやっているという、このやはり林野庁の姿勢ですね。こういう問題はやはり考えていただかなければならない問題じゃないかと思うんです。その点を私は指摘したいと思います。これは佐美地区の問題です。  それから次の問題といたしまして、構造改善事業あるいは開拓。パイロット事業を行なった新保地区についての問題を伺いたいと思うのですけれども、この新保地区の問題につきましては、いろいろ石川県会においても、あるいはまた衆議院農林水産委員会でも少し話題になったそうでありますが、その後の経緯について御説明願いたいと思います。
  328. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) 新保地区につきましては、ことしの四月ごろに地元のほうからこの土地を他用途に転用したいという陳情が石川県庁にございました。ところが、この地区は先ほどの佐美地区と違いまして、農業構造改善事業を昭和三十九年から四十年にわたって実施しておりますし、その後開拓パイロット事業を昭和四十三年から四十四年にわたって実施をしております地域でございますので、それは転用は適当でないということで石川県庁で断わったわけでございます。その後五月に入りまして、それでは転用はあきらめたけれども、米の生産調整の問題がございましたものですから、転作をしたいという陳情がさらに県庁にございました。県はこの土地がゴルフ場の隣接地帯でございますし、それからまた転作の作物は何かということで聞きましたところ、芝を栽培をして売りたいという話であったものですから、これは問題があるということで、県庁がその土地をゴルフコースにしないということと、それから芝をつくるのは確実に地元の農家がみずから芝をつくって売る経営をするのだということと、それからこの地区は未墾地を開田した地区でございますので、そのために公共投資をしておりますので、道路とか水路とか畦畔とか、そういった形質は変更しないということ等を守る、そういう条件つきで米の生産調整の一環として転作を認めることにしようということで、地元とのお約束ができたわけであります。ところが六月の下旬になりまして、突然地元の加賀市のほうから石川県庁に、実はその土地がゴルフ場に無断転用されているという報告がございまして、県があわてまして現地調査をして、六月末に文書をもってゴルフ場の工事の中止を命じたような経過でございます。  そこで、その後の処理でありますが、そういう形で米の生産調整がこのような形で悪用されたということで、まず無断転用されましたその水田を農地に復旧させる、回復させるという方針をとりまして、北陸農政局長から石川県知事に文書をもちまして、地元に農地に復旧させるように措置をしなさいということを指示をいたしました。これを受けまして石川県知事は八月二十日に地元の土地改良区の理事長あるいは関係農家の代表者及びゴルフ場を経営しております会社に対して客観的に農地と認められる状態に復旧をしなさいという具体的な指示を文書をもっていたしました。これに対して地元のほうも、その石川県知事の指示に従って復旧工事をいたしますということで、聞くところによりますと、九月二日と申しますからきょうでございますが、きょうあたりから復旧工事に着手する予定になっているというふうに報告を受けております。
  329. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで農林省は通達をしましたですね、客観的に農地に原形復旧すると。この客観的に農地に原形復旧するというのは、どういうことですか。
  330. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) 一部芝に転作をして売るということと、それがゴルフ場であるかどうかということとは境目が微妙な点がございますので、石川県知事のほうからも農地に復旧させることを指示いたしました内容で、若干具体的にその復旧のしかたを言っているわけですが、その復旧のしかたとしましては、グリーンとかティー・グラウンド等、いわゆるゴルフ場として必要な施設は全部こわすということ、それからバンカーのようなものは埋めていく、それから中央及び周囲に農地に復旧する場合には農道が必要になってくるわけですが、そういう必要な道路を設置し、またこの土地はだいぶん低湿地でございますので、排水の問題があるわけで、排水のために道路の側溝をつくり、あるいは排水路、そういうものをつくって農地の状態に戻す、こういうことでございます。
  331. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで農地のように戻して、この地はもう農地転用は将来とも行なわれないと、こう解してよろしいでしょうか。
  332. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) いま、この問題は突然に出てまいりまして、先ほども申し上げたように、地元の加賀市から、実はこういうふうになっているという報告を受けて、あわてて措置をしたような経過でございますので、いまのところ私どもは、農地の状態に復旧させることについての指示、調整に全力をあげておりまして、そういうふうに農地の状態に戻ったあと、どういう作目が可能であるか、一度水田であったものを埋めてしまったものですから、どういう土が入っているかということも、実はまだよく調査ができておりません。そういうこともございまして、まずきょうあたりから農地復旧の工事が進むといっておりますので、その農地復旧の工事が完成したあと、どういう作目が可能であるかというようなことの調査に引き続き入りたいという姿勢でおります。あらためてさらに、会社のほうが農地転用をしてくれというようなことを言ってくるというようなことは、私ども想定をしておりません。と申しますのは、先ほどの佐美地区のところで——私実はゴルフをやらないので、あまり詳しいことはよくわからないのですが、十八ホールを全部佐美地区のほうに入れてオープンをしたように聞いておりますが、そういうことは実は私全然ただいまのところ考えておりません。
  333. 三木忠雄

    三木忠雄君 本省のほうは農地転用は想定したいと言われているのですけれども、これは八月五日ですかね、農政局では原形復旧——もとの水田とまではいかないけれども芝に転作したのを田地にしてほしい、農地転用は来年にしたい、こういうふうな約束ができているわけですね。そういう点が非常に不明確。それと同時に、農民をだますのもはなはだしいと思うのですけれども、実際にそういうふうな口約束をしながら工事を中止された。まあ六月二十九日に工事の中止命令が出ているはずです。それにもかかわらず、七月二日には不動産の賃貸契約がちゃんと結ばれているわけです。その賃貸契約書を読んでください。
  334. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) 賃貸契約というのは、だれとだれとの間でどういうふうに行なわれたことをさしておられるのか、よくわかりませんが、私どもそこまでは立ち入っておりませんので、そういうことは承知いたしておりません。
  335. 三木忠雄

    三木忠雄君 立ち入ってないとおっしゃるわけですけれども、これはゴルフ場とそれから善良な農民との間に実際に不動産の使用賃貸契約書がかわされているわけです。これは北陸農政局——も、あるいはまた県のほうにも、あるいは市のほうにも、あるいはこの取引をされたところにも全部行っているのじゃないかと、こう私は思います。その点については御存じないでしょうか。
  336. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) そういうことは、北陸農政局もそこまでは知らないはずでございます。また農地転用事務の処理としてそこまで立ち入ることはないはずでございますので、私ども本省はもちろんですが、少なくとも北陸農政局もそこまでは知らないはずでございます。
  337. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは、その農地転用は来年にしたい。その条件と符節を合わすように、この北陸観光開発とこの新保地区の土地改良区との間の賃貸契約書の中に、たとえば一つの条文でありますけれども、「甲は貸借物件をゴルフコースとして使用する。」、この条件は何かということははしょりますけれども、農地転用した後にこれはゴルフコースとして使用する、こういうふうにちゃんと賃貸契約ができているわけです。ゴルフコースとして将来は必ずやるんだ、農地転用はできるんだ、おれがやるんだ——こう言った人がいます。賃貸契約書、見せますよ、読んでください。これは賃貸契約を結んだのは北陸観光の社長です。契約書を見せますよ、どうぞ読んでください。——あまり言いずらいのだったら私申しますけれども。これは私どうして言うかというと、農民かみんな——これはあとで言いますけれども、補助金の適正化違反の問題もあります。結局、最後にだれにくるかといえば、全部農民にくるわけです。こういうふうなそしりを農民に受けさせるのはかわいそうだ。ある意味ではうまく話がまとまっているそうです。うまくいくそうですが、農民の人たちは決してそうではない。たとえば北陸観光の取締役の宮下さん、あるいは加賀市の新保地区の島崎さん、土地改良区の理事長の酒本さん、立ち会い人として衆議院議員の奥田さんが入っている。こういうふうなことで、みんな地元の人は必ず代議士がやってくれるんだ、あるいはいろいろな人がやってくれるんだといって、全部そのとおりになると思い込んでいるわけですね。あるいは記者会見の席上においても土地改良区の理事長は、自分たちが言ったことを何で農政局やあるいは県のほうはやらないんだ、代議士が言ったとおりじゃないか、こういうふうないろいろ圧力がかかってくる。こういうふうな問題は、実際思い違いをしていって、そうして農民を苦しめるというような結果に私はしたくない。やはりこういう問題は公正に取り扱っていかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、どうでしょうか。
  338. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) いまお示しのあったような文書については、私は全然存じませんけれども、最近の時点で原状回復を指示いたしまして、地元のほうも農地の状態に戻す。その場合に、もともと開田をした地区でございますけれども、水田の状態にまで戻させるかどうかということについては、御承知のような米の需給事情でございますので、水田の状態にまでは戻さなくてもいいのではないかというあたりまでは私どもも配慮いたしたのでございますけれども、それ以上に、いろいろいまお話があったような農地法の適用について、いやしくも世間からとかくの批判を受けるような扱いは全然いたすべきものでもございませんし、また私どもも、その点については十分姿勢を正して、本件処理をしてまいりたいと思っております。
  339. 三木忠雄

    三木忠雄君 時間も限られておりますので、この問題について行政監察局としていろいろ調査をされたと思いますが、この問題について伺いたいと思います。
  340. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) この問題につきましては、地元の新聞でもいろいろ報道されておりまして、私どもも非常に関心を持ちまして、現地の監察局に指示いたしまして調査はさせております。大体先ほどいろいろ農林省の方から御説明のあったとおりのいきさつでございますが、ただ、いまお話がございましたように、一応原状回復はされるけれども、一年間だけであとは転用するのだという約束があったということまでは、私ども調査報告には書いてございません。そういう点はございますけれども、全体として非常に不明朗な事態であるというふうに感じております。
  341. 三木忠雄

    三木忠雄君 この補助金をつぎ込んで、いろいろ適正化違反とまで言われている問題について会計検査院はどういうふうに調査されましたか。
  342. 田中稔

    説明員(田中稔君) 構造改善につきましては、四十二年度の事業を四十三年の七月に検査をいたしておりますが、その際に施設もちゃんとできておりましたし、別段指摘するような事態でもございませんでした。それから開拓。パイロット事業は、石川県につきましては四十一年に検査をやったきりで、それ以来やっていない状況でございます。
  343. 三木忠雄

    三木忠雄君 それじゃ私は会計検査院にお願いしたいんですが、こういうような問題がとかくうわさされる、補助金までとって問題になっているこの土地について、やはり検査にいかないという問題ですね。会計検査院の姿勢というものに対して現地でも非常に一ある有識者は、会計検査院というのは二年に一回ぐらい回ってきて、差し向けられたところを回って検査して帰っていくのじゃないかという、とかくの批判があるわけです。こういう問題についてもっとびしびし取り締まっていかなきゃならないのじゃないかと思うのです。もう一つは、この補助金に対して返還を命ずる意思があるかどうか。
  344. 田中稔

    説明員(田中稔君) 二年に一度ぐらい適当な場所をというお話でございますが、何さま私どものほうも人員、旅費の制約がございまして、大体二年ないし三年に一回、各県を回らざるを得ないという状況でございますが、一応許された旅費の範囲内で極力効率的な検査をしていきたいというふうに思っております。それから補助金返還の問題でございますけれども、私どものただいままで知り得ましたところによりますと、農林省のほうの指導によりまして原状に回復して補助金の目的を達したいという方針のようでございますので、私どもといたしましては、そういうせっかくの方針でございますので、ここしばらくは推移を見守っていきたいというふうに思っております。
  345. 三木忠雄

    三木忠雄君 もう一度ちょっと……補助金はどうするんですか。そのまま返すんですか、返さないんですか。
  346. 田中稔

    説明員(田中稔君) 補助金返還にかえまして、補助金の目的を生かすように原状回復をいたしたいということで指導をしていらっしゃいますので、私どもとしてはその推移を見守っていきたいというふうに考えております。
  347. 三木忠雄

    三木忠雄君 農林省は、これはどういうお考えですか。
  348. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) この地区は構造改善事業と開拓。パイロット事業で補助金が出ておりますが、両方とも同じような出し方に大体なっておると思いますが、私どものほうの所管は開拓。パイロット事業をしておりますので、その点について申し上げますと、この補助金は、国が県に補助金を出しまして、この開拓。パイロット事業は地元の加賀市が事業主体としてやっておりますので、石川県が国から受けた補助金をさらに加賀市に出しておるという、間接補助事業の形態をとっておりますので、国が県に出しますときに条件をつけておりまして、この補助事業によって取得した財産については事前にそれを処分しようとするときには、あらかじめ知事の許可を受けるようにさせなさいという条件をつけている。それを受けて、石川県知事が加賀市に補助金を出しますときには、そういう条件をつけております。したがいまして、今度の場合、水田を無断でゴルフ場にした。その結果、用水路、排水路あるいは道路等の施設を全部ひっくり返してつぶしてしまったわけでございますので、補助事業によって取得した財産をあらかじめ知事の許可を得ることなく処分してしまったという条件違反に該当をいたしますので、いまこの部分について石川県知事から地元の加賀市のほうに補助金を返還しなさいということを言っておりまして、加賀市のほうも、それを返還する財源の準備ももう整えて、返還手続に入ることになっております。
  349. 三木忠雄

    三木忠雄君 時間もありませんので、最後に農林省に。この土地を将来ゴルフ場にしない。こう私たちは受け取ってよろしいですか。
  350. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) 先ほども申し上げましたように、その十八ホール、私ゴルフをやらないので、わからないのですけれども、十八ホールというのは単位だそうでございまして、十八ホールを、先ほどの佐美地区と、それからこの新保地区の両方に分けてコースをつくるような計画があったやにうわさを聞いたのでございますけれども、そこのところは原状回復、新保地区については原状に戻す、農地に戻す。それから佐美地区のほうは十八ホール全部つくるという形でオープンするというふうに処理されておりますので、私はゴルフ場にこの地区をもう一度申請してくるということは想定はいたしておりません。
  351. 三木忠雄

    三木忠雄君 この問題は以上で終わりますが、通産省に伺いたいのですけれども、これは法務省からの資料をいろいろもらっておりますが、最近国有地あるいは国有林の払い下げ等で、ゴルフ場ばかりでありませんけれども、特に多いのはゴルフ場の設置のために国有林野あるいは国有地を利用する傾向が非常に多いわけであります。このために、完全にゴルフ場ができるとしてゴルフの会員権を購入するわけです、たとえば四十万とか五十万とか。しかしながら、それを持ち逃げされたり、あるいはまた、できるという予定のところが、農民からの反対があってできなかった。その金は返還されない、あるいは詐欺事件が起こっている。こういうような問題が非常に多いわけでありますが、私は最近のゴルフブームで四百万あるいは五百万の会員がいる、ゴルフをする人がいると承っておりますけれども、こういう人たちを保護するという意味で、この問題にもう少し積極的な姿勢を示したほうがいいのじゃないか。こう考えるわけでありますが、通産省はどういうお考えですか。
  352. 竹村豊

    説明員(竹村豊君) ただいま先生御指摘の点でございますけれども、ゴルフ場の建設でございますとか、あるいは経営の現状につきましては、御指摘のように会員の利益保護の見地からみますと問題がないというふうには考えられないわけでございますけれども、経営等の健全化をはかる方法といたしましては、やはり基本的には民間の自主的な努力によることが一番望ましいと考えておりますが、幸い昨年の九月に社団法人日本ゴルフ場連盟が発足いたしまして、その目的といたしましては、ゴルフ場経営の改善あるいは合理化のための事業を行なうということを目的としておりますので、現在、その活動に期待しているという段階でございます。
  353. 三木忠雄

    三木忠雄君 最後に、政務次官に御答弁願いたいのですけれども、やはり国有地の払い下げあるいは国有林の利用、こういう問題に非常に不明朗な問題が数多く出ているわけでございますが、こういう問題については、今後適正に地元の人たちにも——非常に利用されたとか、あるいは悪用されたとか、そういうことのないように、私は厳重なお取り計らいをお願いしたいと要望しまして、時間がありませんので質問を終わります。
  354. 藤田正明

    説明員(藤田正明君) ただいま三木委員の言われたことはそのとおりでございまして、今後大蔵省といたしましても、国有地の払い下げあるいは貸与ということに対しましては慎重に事を運んでいきたいと思います。特にまた米の問題で生産調整に関連をして、このような事件が起きたことはたいへん遺憾でありますが、今後はこのようなことにつきましても慎重にやっていきたいと、かように考えております。
  355. 二宮文造

    ○二宮文造君 関連。  林野庁長官大蔵省にお伺いしたいのですが、先ほどのお話では開拓農地を所管がえをして、林野庁へ移したわけですね。これは所管がえと言うのですか。
  356. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) 所属がえと申します。
  357. 二宮文造

    ○二宮文造君 所属がえをして、林野庁に移した。ところが、林野庁は、その移した理由は、もとは国有林だったということで移したのですか。こういう場合は、いわゆる普通財産でしょう。普通財産になっていくわけですから、大蔵省へ返すのが当然じゃないでしょうか。  それから、もう一点お伺いしたいのは、先ほどの長官のお話を聞いておりますと、そういう不要存置林野は、私ども、国有林は大体公共用に供されることが一番趣旨に合うものであって、民間に払い下げをするのはとかくの問題を引き起こしがちだ。以前にも共和製糖の問題で国有林の払い下げないしは交換については慎重にしなければならぬという林野庁の姿勢を明確にされた、あの事態を振り返ってみますときに、今度の場合わずかに一・一ヘクタール、しかも、それが所属がえをして、一週間以内にわずか一カ月少々の貸し付け契約をして、そうしてその貸し付けを実績にして売り払いをするというのは、あまりにも見え透いた行動ではないか、こう私は思うんです。大蔵省の普通財産の場合ですと、国有財産の審議会があります。ところが国有林野については審議会がありません。したがって、役所サイドでかってにやってしまう。そうしていま三木君から質疑をしたようないろいろな問題が出てくるわけです。今度の場合の林野庁のとった態度はあまりにもスピーディーであるし、また巷間国民信頼を欠くような事務の取り運び方であり、今後の場合も考えられるので、そういう国有林野不要存置林野という名義をつけて、そしてとかくのうわさの出るような処分のしかたをしてしまうというのは好ましくないんじゃないか。今後の姿勢として長官からお伺いしたいし、また政務次官から開拓農道としてはもうすでに使用に供しない、また国有林野としてももう用に供しない。しかし、それが農林省の管轄するものであった、こういう場合は、おそらく私は大蔵大臣の管轄するいわゆる普通財産の中に所管がえをすべきじゃないか。そうして巷間にうわさをまかないような適正な処分のしかたをすべきではないか、こう思うんですが、この事件を振り返りながら将来の姿勢を長官にお答え願いたいし、また政務次官にもお答えを願いたい。
  358. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) この場合については不要存置林野として農地局の開拓財産から受け入れをしております。林野庁の所管をいたしております国有林野事業特別会計所属の財産には普通財産と企業用財産と二つございまして、不要存置林野というものは、国有林経営上必要がないというものを不要存置林野としまして該当に照らして貸し付けなり処分なりをしておるのでございます。いずれにしましても黒い霧とかまあ騒がれまして、その後そういった取り扱いをやるたてまえになっております。また、これを売り払い等の処分をいたします場合には、管理審議会というのがございまして、民間の人、関係官庁の人を入れた審議会が営林局にございます。そういうものにはかりながら進めていくというたてまえをとっております。
  359. 藤田正明

    説明員(藤田正明君) ただいまの二宮委員の御質問にお答えいたしますが、国有財産の引き継ぎの問題でありますが、国有財産法の第八条の行政財産が普通財産になった場合も特別会計の場合にはその省庁に引き継いでよろしい、そうしてまたそのような慣例になっておるということでございまして、この場合はやはり林野庁に引き継ぐのがその慣例に従ったものだと思うのであります。
  360. 二宮文造

    ○二宮文造君 もう一度。そうです、その点はよく承知しているわけです。承知しておりますけれども、林野庁サイドあるいは営林局、そういうところでそういう貸し付けなり、あるいは一ヘクタール以下ですと——この場合は幸い一・一ヘクタールですから、営林署では問題にならぬと思いますけれども、営林局サイドで処分していきますと、従来のような黒い霧につながるような問題も国有林野に関してまた出てこないとも限らない。ですから、そういう意味でやはり国有財産の払い下げとか貸し付けとかいうものには、特に何といいますか、経験の豊かな——問題がなかったとは言いませんけれども、経験の豊かな大蔵省大蔵大臣の所管事項のほうに回したほうが、今度の場合は全部横に国有林がないわけですから、いわゆる開拓財産としての企業用財産ですね、これを普通財産にかえたでしょう。これもおかしいです。振り返ってみればおかしいことばっかりですけれども、事はすでに起こったあとです。ですから、将来の問題として、これと同じようなケースが出てこないとも限らないので、どこかでチェックを置くべきじゃないか、こういうわけで提案をしたわけです。法のあることは承知の上です。
  361. 藤田正明

    説明員(藤田正明君) ただいまの二宮委員の御意見に関しましては、確かに国有財産の総括庁としての大蔵省が経験も豊富でありますし、今後そのような各省庁の特にまた特別会計を持っておりますところとは、よく協議の上で検討をいたしてみたいと思います。
  362. 三木忠雄

    三木忠雄君 最後に法務省と自治省、各省にお出で願ったわけでありますけれども、限られた時間でありますので、特に論及できませんことをおわびをしておきます。
  363. 森元治郎

    委員長森元治郎君) 本日は、この程度にして散会いたします。    午後五時九分散会      —————・—————