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国務大臣(
根本龍太郎君) 御指摘のように、東京に関東震災のようなものが出た場合における非常にむずかしい問題が潜在していることは事実でございます。その際に特に問題になるのが、例の御指摘のデルタ地区でございます。これは一面においては、地震に対して非常に脆弱な地盤を持っている。しかも、あそこは非常に木造家屋が密集している。火災が起きるということは、これは当然考えられます。一方において、防潮堤は相当充実しておりまするが、
内部から、満潮時に裏回りで水が入ってきた場合に、火と水と両方から攻められてしまって、避難の道もなければ、避難するところの
施設もないというところに非常にむずかしい、しかも深刻な問題がございます。このために、御指摘のように、
昭和四十年来東京都並びに
建設省が建築学会あるいは学者の先生の皆さんに深刻にこの問題について取り組むようにお願いしまして、そこで一応の構想が出てきたのが、防潮堤を整備するということのほか、いま御指摘のように、全体としてのあそこの都市再開発をしなければならない。で、一応都市再開発した場合において、
周辺に、中高層というよりも高層に近い防災建築をつくりまして、その中に緑地その他適当な
施設をつくることによって、そこにいざという場合には避難しますれば、火災からも水害からも防げるという、そういう幾つかの拠点をつくっていかなければならない。それから、うちから入るところの堤防について十分に配慮していかなければいけない。それから市街街路の整備をいたしまして、街路が同時に避難の道路になるというような
計画を立てておることは
和田先生から言われたとおりです。ところが、それに対して何しろ五千億以上も金がかかる。これはとうてい東京都だけではできないだろう。そこで年次をもちまして、少し息の長いことでありまするが、十年くらいは最小限度かかるであろうが、
政府としてもできるだけ土地再開発のための年次
計画によってこれを助成してまいりたいということと、これは私一人の構想で、いま党並びに
関係方面からのいろいろの賛同と同時に激励を受けているのですが、実はこういう都市再開発をやる場合において、税金による援助だけではなかなかむずかしいわけです。そこで私は、現在の
日本開発銀行、これに大きくこうした都市再開発に協力してもらわなければならない。そこで百尺竿頭一歩を進めて、私は社会開発銀行をつくるべきである。そうして、この都市再開発なりあるいはまた地域開発、それから公害を伴う中小企業の産業の安全性、こういうものをひとつバックアップするところの国家的な特別な金融機関を設けるべきではないかという
意見を私は出しているのでございます。現在高度成長下で相当収益がある大企業はかなり自己資本でやりますけれども、中小企業とか地域開発になりますというと、とうてい一般金融機関ではこれはめんどうを見るわけにいかないし、またいまの中小企業金融公庫とかあるいは
国民金融公庫等の現在ありまするものでは、とうてい資金源も足らないし、また
条件に合わない。してみれば、
日本開発銀行の今日までやってきた仕事が大きく
日本経済に稗益しているのはけっこうでありますが、いまや、
日本開発銀行が社会開発銀行的な使命を持っていっていいではないか。私は、あの地区に中小企業はたくさんございまするから、自己資金のほかに、そうしたものと
政府の助成と、こういうふうなことをしていきますれば、都市改造と同時に、防災的な
一つの施策ができるじゃないか、こういうふうに考えまして、いま
政府部内においても、またその他
委員会等を通じて、国会の皆さん方の御支持を得て、そうしたものを裏づけたいと考えて努力している次第でございます。