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大橋和孝君 この分画製剤の中でも、この間もちょうど種痘禍の問題についてVIGの問題が問題になりましたですね。結局この種痘によって最も力価の上がった
血液を分離して、そこでガンマグロブリンをつくれば、今度の中毒禍が起こったときにすぐ使えば助かるんだ、これは治療にも絶対必要な薬である。また、これを使うことによって予防ができる。だからして、そういう体質の弱い人にはこれを少し使うことによってあの種痘の災いも避けられる、こういうふうなことはもう学問的にはっきりしている。こういうのが結局
日本にはなかったために、あのように種痘禍の人もたくさんでき、死んだ人もたくさんできた。こういうことに対して、私は国としても相当大きな責任を感じなければならぬと思う。これが分画製剤の中に出ておるわけです。ですから、これはこの分画製剤をつくるためには、私は
採血はやっぱりできるだけ
献血のシステムでしてもらわなければならないけれ
ども、私はそこまでちょっと、いまの行政でなっていることに対して、とやかくは申したくありません。いまおっしゃるように、
日赤がほとんど
血液を取る窓口になっている、これはそれでいいと思うんです。ですけれ
ども、私はそこのところに
一つだけ疑義を感ずること、たとえば免疫価の高い人、はしかはそうです。はしかは、これは一度やった者はあれは全部できておりますから、他のガンマグロブリンでも効果はありますが、しかし、そのほかにいろいろ病気に使うガンマグロブリンはあるわけでありますが、こういうような問題は破傷風にしろあるわけでありますが、そういうようなものをつくるためには、私は何と申しましょうか、ある
程度免疫のできた人から
血液をもらわなければならぬ、そういう人を分離してやるということになれば、
日赤で取ってもらって、そういうものを集めればいいと私は思うわけでありますが、そういうようなものを含めて、私はかなりの内容を整えない限り、そういうものはできないと思うんです。いま輸入されている
——今度は種痘禍のためにたくさん外国から輸入されました。輸入することに決したということも報道されております。こういうのを考えてみると、その高い薬をたいへんですよ、これは。ですから、もっと
日本のいまの経済の
状態からいえばできることなん、だから、もう少しそういうことも
日赤とも切り離しながらこれを考えていけるような、その指導をする国の、何と言いますか、立場
——こういうものもひとつやらない限り、いまの
状態はそう脱却できぬと思うんですね、この分画製剤の発展ということに対して。それから、この分画製剤がうんとできて、血球なら血球は必要な人に出せるし、あるいはまた血漿なら血漿は必要な人に出せるということで、これを分離する。特に最近やられているような加熱処理ができるようになれば、私はこれはずいぶん防御になっていくんじゃないかと思います。また、それの製造過程についてはいろいろ問題がありますから、それに対しての
研究も進めなければならぬと思いますけれ
ども、そういうことをすることに対しての力というものは、いわゆる
血液行政の中で相当ひとつクローズアップしてもらわなければ、いつまでたってもおざなりになってしまうということです。だから私は
血液事業の中で、
研究もさることながら、一面においてそういう分画製剤というものをつくるための行政指導というか、あるいはまたその
方向づけというか、これに対してどういうふうに取り組んでいくかということは、もっとこの時期ははっきりしてもらって、これに
予算の裏づけをしてもらってやるべきじゃないか。何もかも
日赤さんお願いしますというだけでは、
日赤精神ありがたいというだけでは済ましておけない、こういうふうに思うのです。またそういうところを十分検討していかないと
——私は
日赤さんがおいでになっている前でこういうことを言うのは言いにくいことだが、そういうことも割り切って、こういうことを考えていかなければどうしてもいけない。また
研究のほうにおいても、そういうことも十分の配慮の上に、もっともっと直接にコミュニケーションのとれる
状態をつくらぬ限り、なかなかうまくいかぬ。また、これは製薬会社だけにまかしておけば、製薬会社はかってにお金もうけだけに走っていくということになれば、これを受ける患者の側に立ってみれば、高くてなかなかそれを使ってもらいにくいということになる。こういうことを考えていくと、もとは人間の命の一部分である
血液であって、これを十分にうまく利用することによって、そして効果が一〇〇%あがって、しかもそれで副作用がない、こういうふうなことは、いまごろになっては、もう少しはっきりこれ、これ、これをしようじゃないかということにしてもらいたいと思うのです。そういう点でひとつ特に
予算面の裏づけをして、そしてこれが
決算に結びついて、ほんとうにこれがよかったという運営がされるように、
予算の組まれる前提として、
血液問題を相当の
ウエートで考えてもらわなければいけない。もううしろには、毎日、毎日ですよ、毎日、毎日、病気は少しなおったけれ
ども、
肝炎のためにどうにもならないという人がたくさんあるわけでありますから、こういう人が全国でみな見ておるときに、まあ
研究をしよう、
研究をしようということでは、おざなりに終わりそうなんですが、われわれ患者を見ておりませんと、そういう
議論で終わりやすいと思うのです。そういうことであってはならない。私はこの分画製剤あたりでも、もう少し本気になってやれば、もう少し外国のレベル以上のものが
日本にできてあたりまえだと思う、いまの
日本の
状態からすれば。それが微々としてなかなかそれができていない。これを使おうと思ってもたいへんだということでは、私は非常に嘆かわしいと思うのであります。これに対してはどういうふうに国としては取り組まれるか、それをひとつ聞いておきたい。