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1970-07-08 第63回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年七月八日(水曜日)    午前十時十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         森 元治郎君     理 事                 若林 正武君                 渡辺一太郎君                 和田 静夫君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君     委 員                 長田 裕二君                 今  春聴君                 菅野 儀作君                 長屋  茂君                 初村滝一郎君                 矢野  登君                 大橋 和孝君                 大森 創造君                 沢田  実君                 二宮 文造君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        行政管理庁行政        監察局長     岡内  豊君        法務省民事局第        三課長      枇杷田泰助君        大蔵省主計局主        計官       相原 三郎君        大蔵省理財局国        有財産第二課長  庄司 俊夫君        大蔵省証券局企        業財務第一課長  松本 健幹君        厚生政務次官   橋本龍太郎君        厚生省薬務局長  加藤 威二君        農林政務次官   宮崎 正雄君        農林省農地局長  中野 和仁君        農林省畜産局長  太田 康二君        林野庁長官    松本 守雄君        水産庁長官    大和田啓気君        運輸省港湾局管        理課長      満所 清吾君        建設政務次官   田村 良平君        建設省道路局長  高橋国一郎君        自治省財政局財        政課長      森岡  敞君        会計検査院事務        総局第一局長   中込 良吉君        会計検査院事務        総局第三局長   中村 祐三君        会計検査院事務        総局第四局長   田中  稔君    参考人        日本赤十字社血        液事業部長    佐野利三郎君        農林漁業金融公        庫総裁      大澤  融君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和四十三年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十三年度特別会計歳入歳出決算昭和四十三年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十三  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和四十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和四十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 森元治郎

    委員長森元治郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  この際、参考人出席についておはかりいたします。昭和四十三年度決算外二件の審査のため、日本赤十字血液事業部長佐野利三郎君を参考人として本日御出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森元治郎

    委員長森元治郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  4. 森元治郎

    委員長森元治郎君) 昭和四十三年度決算外二件を議題とし、前回に引き続き総括質疑を行ないます。  この際、参考人にごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中のところ御出席いただきまして厚くお礼を申し上げます。本日は委員質疑にお答えいただく形で御意見をお述べ願います。  それでは御質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 大橋和孝

    大橋和孝君 きょうは厚生大臣が非常にお忙しくて御出席できないということでありますので、大臣にお伺いしたい点もたくさんあるわけでありますが、それはひとつ次官のほうで十分に御処理を願いたいと思います。  私は、きょうはちょうど献血推進月間とかいわれて、いま行なわれているところでありますので、ことにこの献血制度がどんどんといま普及をいたしまして、日赤では献血によってほとんどの輸血のための血液の問題は処理されることになっているわけでありまして、ことに最近の血液需給対策を中心といたしまして、きょうはひとつ血液の問題について、厚生省それから大蔵省それからまた赤十字当局に対して、少しいろんなことをお伺いしてみたいと思うわけであります。特にこのごろ厚生省では、ごく最近に「血液事業現況」というのを発表されているわけでありますが、そのものの中につきましてもいろいろお伺いしておきたい点があるので、ひとつお伺いしておきたいと思うわけであります。特にこの決算にも関係がございまして、特にこの血液日赤のほうにおいて全国的な問題を処理される上においては、非常にこれはいろいろな問題があろうと思うわけでありまして、これから決算の面にどうなっていくのか、将来、来年度予算に対してはどういうふうにされるのかということが非常に私は重要な問題でもあると同時に、非常にいまとなっては国民も関心が多いところだと思いますので、そういう面につきましてもひとつお話を伺いたい。こういうふうに思っておるわけであります。特に私は、その中で国は一体この血液の問題に対してどのように取り組んでおられるのかという点が一つの大きなポイントだと思うのであります。特に予算の面、決算の面において、過去数年間においてどのような取り組みをされて、そして国のほうは、もう日赤ということばかりでなしに、この血液問題に対してどういうふうに考えて予算措置をしてこられたのか。これが予算の面では数年間にわたってどういうふうに行なわれてきたか、その予算の取り組み、どのように使われたか、そういうことをひとつ詳しく聞かせていただきたい。
  6. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 血液の問題でございますが、これは血液の事実上の実施につきましては、先生御指摘のとおり日赤に大部分おまかせして保存血液を集めていただいているということでございますが、国も予算的な面においてこの重要な血液事業が円滑に行なわれますために、予算面でも相当の金を出しておるわけでございます。具体的に申し上げますと、昭和四十三年度血液関係対策といたしまして三千五百五十万、それから四十四年度は四千九百五十万、四十五年度が三千百五十四万、こういう金額でございます。そのほかに例の公益事業補助金というのがございまして、たとえばお年玉のはがきとか、あるいは自転車振興会、あるいは船舶振興会、こういう方面に働きかけまして、そういう公益補助金をできるだけこの血液事業に振り向けてもらうという努力をしておるわけでございます。公益補助金の合計といたしまして四十三年度血液関係に一億百五十六万でございます。四十四年度が八千四百万、それから四十五年度は一億八千万、こういうような、これは国の直接の金ではございませんけれども、そういう関係補助金をできるだけ血液のほうに回していただくという努力をいたしております。そのほか都道府県のあるいは市町村地方交付税というようなものがございます。それにつきましても、できるだけこれは交付税のほうにこの血液関係事業費として回してもらっております。これはただいま手持ちでは四十五年度分でございますが、標準県当たり六百二十六万という交付税の積算の基礎になっております。これは四十四年度が九十九万でございますので、四十五年度におきましては約六倍の交付税を組んでもらっておるということでございます。それから市町村につきましては、標準市町村当たり四十五年度でございますが八十六万円、四十四年度が四十四万円でございますので、これも約二倍の交付税を組んでもらっておる、こういう状況でございまして、国の直接の補助とそれから公益補助金あるいは地方交付税、そういうような、いろんなそれぞれの趣旨は違いまするけれども、そういう方向から金を出して、そして血液事業が円滑に進むようにという努力をいたしておるところでございます。
  7. 大橋和孝

    大橋和孝君 その使われている状況を詳しく。どうなんですか。
  8. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 使用状況でございますが、使用状況につきましては四十三年度三千五百五十万という金でございますが、その重点献血受け入れ施設整備費補助金でございます。それが二千五百九十三万円、これが一番大きなものでございます。そのほかは血液製剤対策費といたしまして、これは血液製剤製造技術者講習会とかあるいは献血制度推進のためのいろんなPR費とかいうようなことで四百七十六万ということでございます。そのほかに血清肝炎関係研究費、これが四百八十五万、そういうような状況になっております。四十四年度も大体重点は同様でございます。四十四年度献血受け入れ施設整備費補助金、これが三百五十万でございます。それから血液製剤対策費が五百八十一万、それから血清肝炎関係が四百五十万、そのほかに四十四年度といたしましてはもう一つ新しい重点項目といたしまして血液製剤関係研究を大いにやるべきであるということで、とりあえず国立予防衛生研究所血液製剤研究する建物をつくりまして、それの費用が三千五百七十万でございます。四十四年度の特色といたしましてはそれが大きな予算項目になっております。それから四十五年度献血受け入れ施設整備費補助金が三百五十万、それから血液製剤対策費が九百二十四万、それから血液製剤開発研究費、四十四年度建物施設のほうに金を振り向けましたので、四十五年度から実際に研究を始めてもらうという、その研究費が一千七百二十九万、こういうところが使途の大きいところでございます。それから公益補助金関係はおもに血液センターとか、あるいは移動採血車あるいは血液運搬車、そういうものを購入するための費用に振り向けておるのでございます。
  9. 大橋和孝

    大橋和孝君 ちょっと日赤業務部長のほうから伺いたいのですが、日赤のほうではこの予算面でいわゆる国なり公益のあれからはどれくらいずつ入れられて、これをどういうふうに向けて使用されておるのか、日赤本体とではどれくらいのウエートになっておるのか、それをちょっと伺いたい。
  10. 佐野利三郎

    参考人佐野利三郎君) お答え申し上げます。  いま薬務局長の御答弁になったとおり日赤としてはいただいております。
  11. 大橋和孝

    大橋和孝君 日赤のほうでもらっておられる、先ほどおっしゃっておりました公益のほうの分ですね、これはいま厚生省のほうからは話を聞きませんでしたが、あなたのほうはそれをどれくらい受け入れて、ウエート——比重がどれくらいになっておるのか、どれくらいの足しになっておるのかということを私は聞きたいのですが。
  12. 佐野利三郎

    参考人佐野利三郎君) 日本赤十字社といたしましては、いまいただいたその金がもう精一ぱいで、その金で施設整備をやっておる、こういうことでございます。
  13. 大橋和孝

    大橋和孝君 ちょっと大蔵省のほうに続いてお伺いしたいと思うんですが、いまのようなぐあいにして聞いておりますと、私は、いろいろな意味におきまして、このわずか三百五十万とかいうふうなことで、あるいはまた五百万とかいうふうな金額を聞いていますと、おそらくこういうことではなかなか血液行政というものが円滑にいかないと思うし、また、これは国がこの血液行政に対して行なっている施策としては非常に、何といいますか、少ないというふうな感じを持つわけでありますが、厚生省からこの血液行政に関する施策に対して予算要求大蔵省にされておると思うのですが、これに対して十分予算をつけていらっしゃるのかどうか。それからまた、もしもそれが削られておるとするならば、どういうわけでそれは削られておるのか。それからまたどれくらいどうなって削られておるのか。それからまた四十六年度予算についても、もうぼつぼつ細目についての折衝があると思うのですが、その中身はどういうふうになっておるのか。また考えられておるのか。厚生省のほうの答弁とあわせてお伺いしたいと思うので、厚生省のほうからもその要求しておるところを聞かせていただきたいし、大蔵省のほうからは、どういうふうなお考えになっておるのかということも聞かしていただきたいと思うのですが、その点についてどうですか。
  14. 相原三郎

    説明員相原三郎君) 先に大蔵省のほうからお答え申し上げます。  先ほど局長のほうから御答弁ありましたように、この考え方といたしましては、一つには献血体制整備と申しますか、その方向で三十九年以来実施しておるわけでございます。ほぼセンターなり、あるいは運搬車のたぐいは整備が終わったと考えておりますが、あとは地域の実情に密着した血液センターの出張所と申しますか、そういうものの整備方向を進めたいと思っております。さらに新しい問題としましては血液分画製剤の問題がございまして、それにつきましては四十四年度から予防衛生研究所施設整備し、さらに四十五年度といたしましては設備、研究費というものを新たにつけたわけでございます。さらに血清肝炎の問題が非常に大きいということで、これにつきましては五百万計上して、トータルとしましては三千万になっておるわけでございますが、この数字につきましてはいろいろ御批判もあるかと思います。ただ限られた財源で非常に多くの財政需要をまかなわなければならぬという事情も十分これ御承知のとおりでございまして、いろいろな施策均衡をはかりながら精一ぱいやっているというふうに考えております。  四十六年度の問題につきましてはまだ御相談もございませんし、いま厚生省の中で十分御研究中でございましょうから、概算要求が出ました段階で十分御相談申し上げたいと思っております。
  15. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 四十六年度予算については、ただいま主計官のほうからお話がありましたように、まだ数字は固まっておりません。現在いろいろ検討中でございますが、考え方といたしましては、従来の考え方をさらに推進いたしまして、大体献血は九〇%までいっておりますけれども、しかし地域的には血液がまだ不足しているところもあるということでございますので、さらに献血思想普及あるいは献血組織の確立ということのために予算を計上いたしてまいりたいということと同時に、来年度の問題の重点といたしましては、先ほど申し上げましたように、今後の大きな問題は血液製剤研究開発であろうと思います。その問題に非常にウエートを置いて予算要求をしてまいりたいと思います。それから血清肝炎につきましても、なかなかこれが減らないという現状でございますので、その予防対策というものを前進させる、そういうような構想で数字を固めて予算要求をいたしたいというふうに考えております。
  16. 大橋和孝

    大橋和孝君 何かお話を聞いていると、答弁をさっとなにしているようですが、そうすると厚生省のほうにお伺いいたしますけれども、あなたのほうはいまもらっている程度しか要求していないわけですね。これくらいで血液行政は国のほうとしては金額的にはこれでやむを得ないと、均衡上。こう考えているのですか。要求はしたけれども、どのくらい削られたのか。削られた点があるならばはっきり言ってもらわないと四十六年度から前向きにならないと思うのです。私は、きょうは特にいろいろ日赤の中で一手で引き受けてやられてからのいろいろな問題点、あるいはまたそれで起こっている事故というようなものも全部調査しておりますから、ここに持っております。しかし、そんなつまらぬことを言いたくない。きょう言いたいことは、そういうことのもっと先にさかのぼって、根本的には何が原因かといえば、やはり血液行政に対する国の取り組み方が足りないために、日赤でもなかなか消化し切れないという状態であろう、金もない状態であろうというふうに私は思うわけなんです。ですから私は、いま厚生省が国として血液行政に対してどう関心を持ち、どのくらい予算をつけているかということを初めに話をしなければわからぬと思うのですが、通り一ぺんの、こういう考え方だ、ああいう考え方だというだけだったら、私のほうでも承知しているし、ここで何も貴重な時間を費す必要はないのです。問題点は、あなたのほうはどういうふうに考えて、これくらい要求をしているけれども、これだけしか満たされていない。これが原因のためにこういう状態になっているということを明確にえぐらなければ、ここで問題にする必要はないと私は思う。そういう観点から私はいまお尋ねしている。あなたのほうは要求したものはどうか、それでどうなっているのかという考え方のもとでどれだけの差があるかということを、私ははっきりと言ってもらいたい。こういうふうなことで質問しているわけですから、言える程度ははっきり言ってもらいたい。そういう考え方だったらきょうの意味は何にもならぬ。上つらだけの答弁では何にも意味をなさぬわけですから、はっきり言ってもらいたい。いいかげんなことでやってもらったら必然的にいままでの悪かった点を全部えぐり出してあなたのほうの前に出さなければならぬようになってきます。私、資料を持っておりますから全部出しますから。そういうばかな、うしろ向き議論をしたくない。前向きの議論でどうしたらよくなるかということを言いたいから、私はこれを言っているのだから、ぼくの気持ちを十分考えて答弁をしてもらわなければ、ついつまらぬことに議論が発展していくということもあり得るから。そう考えているのです。
  17. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 予算要求査定との関係でございますが、これは大体予算要求したとおりは入らないというのが——大体どの年度予算でも全額入るというのは非常にまれでございまして、大体二倍ないし三倍の要求をしてそうして査定されてくるというのが、大体どの経費についてもまあ私どもの経験しているところではそういうことでございます。したがいまして、先ほど申し上げました金額は、要求はもちろんそれより大きい要求であったわけでございます。ただ、私どもといたしましては、特に血液がほかに比べて非常に経費査定されているということではないと思いますが、また、これだけの金額で、しかし十分だということはもちろん申し上げられないので、これはもう少したくさんいただいたほうがけっこうだということは言えるわけでございますが、ただ、私どもといたしましても、その査定に一応服したという関係でございますので、いまの段階でこれに非常に不満だったということはこれは申し上げられませんけれども、しかしこれは予算というものは多々ますます弁ずであって、これで十分かと言われますと、これで十分だったとは言えないということであろうと思います。具体的に数字を申し上げますと、四十三年度要求いたしましたのは一億七十七万でございます。それから四十四年度は九千九百六十三万でございます。それから四十五年度は八千五百九十三万、こういう要求数字になっております。
  18. 大橋和孝

    大橋和孝君 まあ、あんまりここでそういうことを徹底的に話をするのも、済んでいることですからあれですけれども、私はいまそうした気持ちで、そういう点において質問さしてもらっているということを十分配慮してもらって、私はここでもっと、言うならば血液行政のためには来年度はこういう意向でやりたいから、ことしよりはこれだけぐらいかかりますよ、もっとふえますよというぐらいのことは、私はいま考えておってもらえるのじゃなかろうかと思うので、それを誘い水として出したわけでありますから、もしそういうことで、差しつかえなくて、今度の事業として、来年度としてこの血液事業には厚生省のほうではこう考えている、国のほうではこう考えているというものがあるならば、ある程度のものは、ここで明確にできるものはしてもらいたいと思うのですが、その点はどうですか、もう差しつかえない程度にひとつ説明してもらえますか。
  19. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) むしろ厚生省としては、大橋先生の御質問に対してはお礼を申し上げなければならぬ、応援をいただくわけでありますから。率直に申し上げまして、まだ局長段階まで数字も実は参っておりません。本日御質問を受けるに際して、あるいはそういう質問が出た場合にお答えできる点もあるんじゃないかと原局担当課のほうともいろいろ相談をしてみましたけれども、まだ基礎的な数字計算している段階でありますので、きょうの時点で、考え方先ほど局長が申し上げましたとおりでありますが、数字の点まで明年度概算要求について申し上げることはお許しを願いたいと思います。
  20. 大橋和孝

    大橋和孝君 まあ私も数字の点ということではないのですが、特に私はそういう点を、方向としては相当厚生省としては血液事業に対して前向きにうんと補助をするという決意を示さなければ、私はこの血液事業はたいへんなことになるというような考え方を持っているからであります。  私は、ちょっと大蔵省のほうにお尋ねしてみますと、いままででも、先ほどの御答弁にもありましたように、ほかのほうの経済の状態、いろんな重要度によって比較してやるから、これで正しかったと私は思うのですよ。——かもしれませんけれども、あなたのほうでこれを見ておられて、来年度はもう少し要求もふえるだろうし、つけてやろうという決意を持たなければいかぬと思うのですよ。その点はだいじょうぶですか。
  21. 相原三郎

    説明員相原三郎君) たいへんむずかしい御質問で……。きょうの御質問趣旨をよく拝聴しまして、また十分厚生省とも検討いたしたいと思います。
  22. 大橋和孝

    大橋和孝君 じゃちょっと血液行政に対して中身を伺ってみたいと思います。輸血による血清肝炎の問題を第一番目にちょっと取り上げてみたいと思います。  これは、西欧先進国ではアメリカあたりもわずか二%ぐらいですね。ところが日本では一五ないし二〇%もある。これは売血の制度、売血をやめてしまって献血にすればこれが非常に少なくなるだろうというのがあのときのキャッチフレーズだったと私は思うわけです。現在では大体効果があがりまして、先ほどからお話しになっているように九七%も献血によって行なわれている。これで日赤機関の中で、先ほどお話しになったように整備もほぼ完了したという状況が出ているわけです。ところがいま血清肝炎現況はあまり少なくなっていないと聞いているわけですね。これは一体どこに原因があるのか。一体これに対してはどこに原因があり、どういうことをしたらこれがなおるのか、こういうことに対しては日赤のほうではどう考えておられるのか、厚生省のほうではどう考えておられるのか、一ぺんちょっとそういう点について伺いたい。
  23. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 確かに血清肝炎につきましては、私どもも売血がなくなりまして献血がほとんど九〇%になっております。あとは預血でございますが、そういうことで、きれいな血が集一まってきているということでございますので、血清肝炎は当然減るだろうというぐあいに予測しておったのでございますが、必ずしも減少していないという現状でございます。現在でも、まあ統計の取り方はいろいろございますが、二〇%前後の血清肝炎の発生を見ているということ、そういう数字が出ております。その原因はどうしてそうなっているのかということはむずかしいのでございますが、一つは、流行性肝炎と申しますか、そういう肝炎にかかったことのある人が献血をする、あるいは黄だんにかかった、過去にそういう肝臓の疾患にかかった方々が献血される、そうしますとその血液輸血いたしますと肝炎にかかるということになるわけでございます。そういうことがやはり原因ではないかというぐあいに考えておるわけでございます。それで、今後の方針といたしましては、採血時の健康診断を徹底させるというようなこと、あるいは肝臓機能の検査の試験法、そういうものについてもさらに検討を進めてもらう。そういうことで若干の予算も計上いたしておりますので、まあ今後の血液対策一つの派生的な問題でございますが、重要問題といたしまして血清肝炎の問題をできるだけ少なくしていくということに努力をしてまいりたいと思います。
  24. 佐野利三郎

    参考人佐野利三郎君) お答え申し上げます。  日本赤十字社といたしましては、採血器具の改善をする、あるいはGOT、GPTの試験の改善をする、トランスアミナーゼの測定を四〇以上となるようにするとともに両方の検査もやる、あるいは注射器は一ぺん使ったら使い捨てにする、そういった改善をいたしたいものだ、かように考えております。
  25. 大橋和孝

    大橋和孝君 日赤のほうは今度はメンバーもかえられて非常にこの問題に対して真剣に取り組んでもらっているようでございます。また基準もつくって全国一律にやりたいというようなお話を聞いておりますから、私は非常に取り組み方に対してまじめさがやり方にもあると思うのですが、しかしこれは外国の文献を見ましても、最近では流行性肝炎血清肝炎、これに対しては二種類のビールスがあって、そしてそのビールスMS2型と1型と多少違う。だからして血清肝炎のほうはその2型ではあるまいかというふうな説も出ていることも私は聞いておるわけでありますが、いろいろ研究はされておりますが、その研究と実際との結びつき、それからまたおやりになることに対して、いま両方の担当者から話を聞きましてもそれに努力いたしますという状態であった。ところが過去から血清肝炎の問題というのは非常に大きな問題になっているわけでありまして、輸血することによって別な肝炎を起こすようなことでは、輸血そのものが非常に薬であるか毒であるかということにあとからまた反論されるわけでありまして、考えてみるならば、私は、この輸血というものに取り組んだ際には、この血清肝炎という問題というものは、もう外国では二%になっているのですが、こちらでは十倍もあるのですから、その差を切り詰めることはもっと具体的な方法でやらなければならないと思うのですが、ただ、いまおっしゃっているようなその検査のレベルを上げるのも一つの方法でもありましょうけれども、外国なんかと比較してみますと、もっと考えなければならない点が私はあるんじゃないかと思います。ですから、こまかいところで言えば、日赤あたりで、調査に行って聞いてみると、二百CCでとっていれば、何千CCという輸血をするという場合には、たとえば二百CCずっとって、二千CCを必要とするときには十人分からとるわけだ、そうすれば、その間じゅうにはそうした中に危険のあるものが含まれているとすれば含まれる率は多いのであるから外国では四百CCとっている、四百にすれば半分になるじゃないかという議論も聞いてまいりました。けれども、それは一つ議論でありまして、それは少なくなる一つの方法ではありましょうけれども、もっともっと私は根本的に、いまの医学の進んだ段階でこういう事業をやっていくときには私は何か措置ができるわけじゃないかと思うのです。ですから、私はここで、ただいま厚生省にも尋ねてみたいと思いますが、ならば、これを早急にするためには何ということをしたら一番いいとお考えになっておるのか、それのためにはどれぐらいの経済援助といいますか、財政的な援助をどこにやったらいいとお考えになっておるのか、ある程度のはっきりしたところを聞いておかないと、われわれ門外漢としては非常に不安であるし、私がここで申し上げているのは国民の側に立って、国民の皆さんの側に立って質問をしているわけでありますから、国民の側にしてみれば、一体、輸血をしてもらわなければ死ぬし、輸血をしてもらえばあとから肝炎がくるわ、それが二〇%ですから五分の一にはそれが起こってくる、こういうような状態に置かれておっては、それはもうダブルパンチやそこらじゃなくて、病気になった、その上にそういった心配が次に起こってくる、経済的にまた金がかかるというような、いろいろな条件を病人は一ぺんに受けることになるわけですね。こういう点から考えたら、私は、血液行政を監督しておられる側で、国でこれだけのことをしたらこれだけのことになるという見通しがいまさらなくては困るだろうし、一番当初には売血というものが非常に害をなしたのだから献血にしたいという、これに私どもは賛成してそういうことにしてもらっているわけでありますが、ほぼそれが九七%という状態になってなおかつあんまり減っておりませんということを言うこと自身は、私は血液行政を担当しておられる担当官としては非常に不名誉であるし、もっともっと施策をしてもらわなければならぬ段階にある。だからして私が一番初めに予算はどうなっていますんだということを聞いたわけでありますが、それはやむを得ない、了承する範囲内だということであれば、ますます厚生行政としては非常に問題になるのじゃないかと思うわけですが、いまのところでどう改革しようとするか、重点はどこに置こうとするのか、何と何をやるのだということぐらい明確にしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  26. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 日本におきまする黄だんの発生頻度というものが、アメリカ、ドイツ、特にヨーロッパあるいはアメリカに比べて相当多いという数字が出ております。したがいまして、この原因はよくわかりませんけれども日本人の間に、これは輸血等は別でございますが、黄だんにかかる人が多い。これは食物の関係とか、いろいろなことがあるかと存じますが、そういうことで、諸外国、ヨーロッパ、アメリカに比べて日本に比較的黄だんが多いという一つの前提があるわけでございます。そういたしますと、輸血の場合にもそういう黄だんにかかった人の血が入ってくる確率が多い。こういうことから日本輸血の場合に血清肝炎の発生が諸外国に比して多いということに一つ原因があろうと思います。  それの対策といたしましては、やはりしたがって、そういう輸血保存血液の中に血清肝炎にかかっている、あるいは黄だんにかかった、そういう方々の血がなるべくまじらないようにするということが一番大事なことであろうと思います。それで肝機能の検査と申しますか、肝臓障害の検査というものが、いま一応GOTとか、そういう方式があるようでございますが、これも一〇〇%確実なものではないというような話も聞いております。私はやはりそういう血液が肝臓障害のある血液であるかどうかということを、すみやかに、しかも正確に判定するということがいまの段階で一番大事じゃないか、それによってそういう血液は除外していく、保存血液の中からそういうものを除外していくということができれば、血清肝炎の発生はぐっと減ってくるというふうに考えるわけでございます。したがいまして今後の研究といたしましては、そういう血清肝炎の的確な、しかも迅速な検査方法、そういうものに重点を置いて、そして検討、研究していただくということが一番重要であろうと存じます。そういうことで昭和四十五年度には約五百万円の研究費を計上いたしたんでございますが、四十六年度はまだ数字はきめておりませんけれども、そういう血清肝炎という問題、なかなか重要でございますので、相当の金額を計上してそういう研究をやっていただきたいというぐあいに考えているわけでございます。
  27. 大橋和孝

    大橋和孝君 特に私は、この問題は大事でありまして、まだまだ血清肝炎を起こしているものを調べるだけでは、なかなかそう把握できないだろうと思うんですね。ですから、こういう問題について一体諸外国と比較してみられて、諸外国はどういうふうになっているのか、特にこういう血液行政の中で外国あたりはどういうふうに取り組んでおるのか、こういうものをちょっと聞いて、できれば東欧諸国も含めてどういうふうにこれが処理されておるか。この点だけについてちょっと調査があれば聞かしてほしい。
  28. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 私の手元にあります資料は、さっき申し上げましたように外国における黄だんの発生頻度が非常に低い。たとえばアメリカにおきましては、これは一九五〇年の調査でございますが、〇・二三%、あるいはドイツは一九六一年、〇・一六%というぐあいに非常に発生頻度が低い。それに対応しまして日本では、たとえば一九六六年には六・三%というように黄だんの発生率が非常に高いという数字があるわけでございます。したがいまして、まあ外国のそういう輸血血清肝炎との関係については、私自身の手元に調査した資料はございませんが、さっそく調査してみたいと思いますけれども、おそらく外国におきましては比較的そういう黄だん等の発生頻度が低いために、輸血の中の血液にも血清肝炎にかかるような、そういう血液が少ないのではないかというぐあいに考えているわけでございますが、さらに調査をしてみたいと思います。
  29. 大橋和孝

    大橋和孝君 それはもちろん私もそう思うんですよ。そう思いますけれども、いまあなたのパーセントで示されたように、非常にその頻度は多いけれども、今度の輸血をする場合の発生頻度というのは、その差よりはぼくはもっとはるかに日本のほうが多いように思うんですよ。そういうことから考えてみると、私は輸血そのものによってのやり方、そういうことによってこれがもっと防げるものが、防がれていないのではないか、こういうふうに私は考える。非常にパーセントの上からいっても、あるいはまたいろんな行政の面から私もちょっと外国のものも調べてみておりますから、そのことはよく存じておるわけでありますけれども、私はその発生率はもっと高度であるように思うんですよ、輸血による血清肝炎の発生率は。一般に肝臓疾患が日本人に多いというパーセントから考えるよりは、より発生率が多いように思う。こういうような点について私はまだ解明できないわけですから。というのは、裏返して言えば、日本にはまだ血液行政の中に不備な点があるということがぼくは裏づけられるんじゃないかと思うんですね。そういう点を考えて、どこをやっていくのだ。いまおっしゃっているのは、肝炎だけを早く発見して、肝炎の人だけは血液をもらうのを排除すると。そういう考え方じゃなくて、もっと進んだことにやらなければならぬのじゃないかと思うんですが、これは日赤あたりは外国と比較してどういうふうにごらんになっているか。将来はどういうふうにしていこうかという、もう見通しをつけていられると思うんですが、この点のところはどうなっていますか。
  30. 佐野利三郎

    参考人佐野利三郎君) 日本赤十字社といたしましては、率直なところを申しまして、実際これが輸血によってなったのかどうか、そういうことを正確に追跡調査をしてみたい、かように考えております。  いずれにいたしましても献血でやれば肝炎が減る、こういうことで献血一本になったのに、日赤がやっても一向に減らぬ、こういうことではまことに不名誉でございますので、実際これは輸血によって肝炎になったのかどうか、こういうものをひとつサンプルを取りまして調査をしてみたいということで、いま部内で検討中でございます。  なお先ほど申しましたように、それと並行して、採血器具の改善とかあるいはトランスアミナーゼの値の測定基準を上げるとか、あるいは注射器を二回、三回使うことをやめて、輸血の際に起こる血清肝炎を防ぎたい、かように考えておるところでございます。
  31. 大橋和孝

    大橋和孝君 いまこの問題だけを考えてみましても、私は、国がこういう問題に対しても相当力を入れてやらぬといかぬ。先ほど聞いたような四百八十五万円ですか、そんな程度の金でこの肝炎の問題だけに補助をしておるようなことでは、私はてんで問題にならぬのじゃないかと思うんですね。ですから私はここのところで、これもあとからお話を申し上げて、具体的なところでまとめてみたいと思いますけれども、こんなふうなことを日赤のほうに全部おんぶしてやるというような考えでなしに、私は、これは国の機関で、こういう問題一つ取っても、もっと徹底的に輸血学会の学者の先生方あるいはそういうことに対して研究の深い方々の集まった輸血委員会か何か、何でもいいですが、そういう委員会を設けて、そこで議論をされて、そこでいろいろなディスカッションの上に立って、今度それを研究に移すところの研究機関、こういうものをひとつ国で持つべきじゃありませんか。こういう状態になって、いま、いかにも国民はあの売血のために、もうボーダーライン層から血液をどんどん取るために血清肝炎が起きたというふうに受けとめて、献血にさえしてもらえれば肝炎はなくなるだろうというイメージを持っていたわけですね、あのときから見て。それでやった、みなが協力して。最近の血液を取ってもらうための協力というのは、国のほうではどう認めていますか。ほんとうに働いているところの労働者から、あるいはまた高等学校を終わらぬかくらいの若い学生たちから、とにかく取りやすいところから全部取ってもらうためにPRして、彼らはこのいい血液を困っている人たちに献血をするんだという精神で出しているわけですよ。そういうようなことをやった。出している人もまた受ける人も、この献血によって肝炎もなくなるし、また清い血をもらえるのだということになっておるのに、むしろ前よりも肝炎が多い。あるいはまた減ってないという状態に置いたままで、いまさら国のほうが何の研究機関も持たずに、それに対する何ら組織的なものを持たないで、まあ四百万円なり五百万円なりをつけて、研究をしておりますと。また日赤本社に聞けば、一ぺんそれは肝炎が本物であるか本物でないか調査をしてみますと。これはいかにも国民に対しては私は受け取られない答弁だと思うのです。私は日赤がそれくらいのことしかできなかったら、日赤はなぜひとりでそういうものを引き受けたか。できないものだったら、ここまでしかできないということをなぜ言わなかったか。私は前の委員会でもそういうことを数回にわたって言ったことがある。日赤だけでやってそういうことができますか。日赤でやってもらうことは私は反対しない。献血も反対しない。それはしっかりやってもらわなければならないが、国がもっと金を出してやらなければいけないのではないかということを申し上げておった。それじゃ同じになってくるじゃありませんか、こんなことをやっていたら。まかされてやられておる日赤のほうでは、これからぼつぼつ本物の血清肝炎であるかないか調査をしたいと思いますと。私ども国民から受ける感じは、何という答弁かと言わなければならない。しかし現在、日赤に対して言っても、それ以外できませんわね。ですからそういうようなことで、特に私がそこで言うならば、日赤はことにこれは独立採算ですね、特に日赤全体でやるんでなくて、ところどころの独立採算でやっておるというんだから、これはおいてをやですね。話を聞けばもうそこらの所長、それは日赤から月給をもらっておるから、血液センター所長でありながら金ももらってない、奉仕している人もいる。ですから、幾ら日赤は奉仕の精神に徹しているということかもしれませんが、奉仕にも限度があるから、これはいけないと思う。私は、ずっと調査してあちらこちらの日赤も回って、血液センターを見てきました。けれどもその中で受けるところは、いまこのような日赤状態で、独立採算でがんじがらめにしておいて——こんなことでこんな大事業血液事業というものは円滑にはいかぬ、私はそう思って帰りました。これは個人の考えだから間違っているかもしれませんが、私はそう思いました。私は医者としてもそういうふうに感じます。こんなような状態でもって、どうしてこの肝炎が防げますか。私はそういうことも言えると思うのですね。そういう点で、私は、もっと国が研究機関あるいはまたそういうような組織をこしらえて、この血液問題に関する委員会なら委員——名前は何でもかまいませんけれども——をつくって、そういうことで血液学者も、あるいはまた行政官も、あるいはまた日赤のそういう担当官も、みんなが入って、そこでいろいろな問題を研究しながら——またその研究機関という特別な機関をつくって一この輸血の問題に関してはもっと徹底的に解明して、そしてこれの指令のもとに各血液センターがいろいろな情報ももらうし、出すし、そうしてそれを中央に集めて、きちっとしたものができていくということでない限り、私は、この問題は一つも解決できないのではないかと思うのですが、この点についてはどんなふうに次官はお考えになりますか。
  32. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) いま大橋先生の御指摘になりました中には、これは国としても考えなければならぬ点も多々含んでおるというふうに私も受けとめます。  ただ、先生血液事業日赤だけにおぶさっておる、あるいはまた非常に大きなウエート日赤にかけておる、これが一つ問題点だというような御指摘もございました。ただ、血液というものは、あるいは血液事業というものは、いわば人間の生命・健康の重要な構成要素であるみずからの血液というものを、他の人々への健康増進のためにあるいは生命の維持のために役立てようという非常に深い人道的な心、また国民のモラル、こういうものを基盤にしなければ育たない性格のものであります。国が強制して血液を集めることのできる性格のものではございません。それだけに、諸外国の例をとりましても、たとえば赤十字が完全に血液事業の一切を行なっておるという国、これもそれこそスイスあるいはカナダなど、多くの国国がございます。またわが国と同じように、血液事業の上で赤十字が非常に大きなウエートを占めておる、これもあるいはアメリカでありますとか、ソ連でありますとか、あるいは西ドイツでありますとか、オーストリーでありますとか、非常に多くの国々がございます。逆に、確かに血液事業というものそのものは国が完全に国営で行なって、赤十字はPRのみを行なっている国も、あるいはハンガリーでありますとか、アルバニアでありますとか、あるいはポーランドでありますとか、幾つかの国々がございます。しかし大半の国は、先生がすでによく御承知のとおり、血液行政というもの、血液事業というものの主管の大半を赤十字が負っておることは、世界的に見てこれは一つの、赤十字というものの発足以来の使命感というものがささえた歴史であろうと私は思います。この場合に、日本においても、私は、国が直接具体的な個々の施策の中において、出先機関で完全に国で直接に行なうこと、これが望ましい姿だとは思いません。赤十字をはじめ、むしろやはり民間の方々、これは国の強制によらずして、民族そのもののモラルの問題として、他の人々に対する愛情の問題として、おのずから円滑に行なわれていくことが最も望ましい姿であろうと思います。  ただ、御指摘の中にありますように、一つの例として出されておる血清肝炎等の問題点の解明、これは国が多くの責任を負わなければならないことは事実であります。三十八年以来、国としても研究を続けてまいったものが必ずしも所期の効果をあげておらないことも、これは否定のできることではございませんし、その意味での行政当局の責任というものは確かにございます。そうして四十四年度において国立予防衛生研究所の中に血液部門の庁舎をつくり、そうして研究を今日行なわせておる。国として、血液事業という、また血液行政という、その国民の健康の中に占めるウエートというものを決して等閑視をしておるものではないということだけは御理解を願いたいと思います。はたして専門の学者の方々による委員会等をつくることが、こうした問題の推進のために最善の姿であるかどうかは、私は必ずしも先生と考えを一にいたしません。むしろそういう意味では、先ほど来の御指摘を大蔵省主計官も聞いておられますし、私ども自体も、明年度概算要求の上にも血液行政というものにでき得る限りの配慮を加えてまいるつもりであります。むしろ私は、こうした事業をたとえば本院のこの委員会の席上に取り上げられたことが、国民の目の前に報道されることによって、今日なお関心をお持ちいただけない方々に対しても、血液事業というものの重要性を認識していただくということにきわめて大きな役割りをお果たし願えるものだと、かように考えます。
  33. 大橋和孝

    大橋和孝君 いや、何か国立予研でやっていることがさも十分の関心を持っているところのシンボルのように言われては——私がいま申し上げているのはそうじゃなくて、そういうばらばらのことをやっていて何らそれが直結していないじゃないか。いまおっしゃるように、日赤にまかしているようなことが外国でも相当多いです。外国は、あなたのお調べになったのはどういうところで調べられたか知りませんけれども、ぼくのぼくなりに調べたところでは、外国のどこの国でも日本のように、ほんのちょっぴり補助をしただけのところはありません。もっともっと国のほうがこれに関心を持ってやっています。私は、それは言えると思うのです。それでありますから、まだ二〇%も残っているというような状態で、まだ努力をするということを表明しているわけですね。それがいまのような状態で、わずか三百五十万、四百万、五百万の補助で、これで血清肝炎対策費が十分であるということは言えないわけなんですよ。ですから私は、もっと国がかまえるかまえで、国立予研なら国立予研の中でもよろしい、そして国立予研でやっていること自身が、もうその担当しているところが血液センターと直結しているような形で、血液センターの中に幾人かの人もその中へ入ってこなきゃ、何といいますか、連絡が密にならない。もちろん、それはここでやられていることはわかっておられるでしょうと思います。しかし組織的にそれくらいにして、そしてそこら辺に出てくる予算も、また直接こういう形でそのセンターにも予算をこういうふうにつけなきゃいけないのだということが初めてあらわれてくるわけでありますから、そういうような機微にふれた運営がとられるものをつくる。もっと国が研究そのものには根本的な姿勢でやる。やることによって、いまおっしゃっているようなことを——決して国が全部集権的なことをやってくれとは言わない。次官の側からもそういうことは好ましくないと言われるから、もろ手をあげてわれわれ次官と意見が一致するわけです。決して国だけで行政をやられるということは、それはもうよくないだろうと思いますし、多くの人でやられるということはけっこうだろうと思います。だから日赤にやらせているからそれでいいということにはならないので、その人たちも日赤の人たちもそこに入るような形でしなきゃならぬ。学者ももっと広く、たとえば血液学会もあり、輸血学会もあるわけですから、そういう人たちもそこへ一緒に入るような形になって、もっと研究の幅を広げて深めていくし、あるいはまた横の連絡もとれるしという、そういう組織をつくらぬ、限りは——いまは国立予研に対する費用そのものも貧弱であります。こういうようなことが行なわれている限りでは、私は、おくれているいまの状態で、もう献血だったらほぼ肝炎もなくなるのだという国民の期待に対しては、あまりにもその期待に沿わない状態である。こういう点を打開するにはどうしたらいいかということを私は考えているわけでありまして、ただ、何といいますか、観念的な議論の取りかわしではなしに、私は外国の例も考えてもらって、厚生省としては、国としてはどうしたらいいとお思いになるのか。もう一ぺん日赤のほうに対しても、こういう問題に対してはどうしたらいいとお思いになるのか、あなたのほうのお話では、日赤で完全にやりますとおっしゃるのか、いまのところでは何か調査だけらしいのですが、調査だけではまたなかなかたいへんですからね。将来どういうふうにするのかということもひとつ聞かしていただいて、国民の側に立って、ああそうやってもらえばこれはもう肝炎もなくなるのだというふうなことになれば、私はどういうふうにやられてもそれはいいと思うのですから、そういう点はもう少し具体的に、いまの段階では、来年度予算を踏んまえて、ひとつ方向転換をするというところは方向転換をして、そしてやるべきところには深めていく、あるいはまた、どうしていくというある程度方向ぐらいは、こういう状態のところではひとつ検討してもらいたい。また、いまそれができないとするならば、持ち帰ってもらって、日赤日赤、国は国で方向を明確にしてもらう、こういうことにしなければ、やはり国民の側としては納得のいかないところにきているんじゃないかと、私はこう思うんです。
  34. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 先ほど大蔵省自体も申しましたように、この金額で十分なものであるかどうかということは、大蔵省の発言自体の中にもありましたとおり。また私も、国の責任というものが庁舎をつくる、それだけで果たされたのだということは決して申したつもりはございません。むしろその責任をわれわれ感じますということを申し上げたわけです。ただ、輸血学会その他について先生多少誤解されている点もあるかと思いますので申し上げますと、血清肝炎調査委員会というものが輸血学会の中にございます。これの中には、慶大の島田教授を中心として五百万円の金額によって供血者のスクーリング及び頻度調査等をすでにいたしております。そしてその連絡は緊密にとり続けておるわけでありますし、それとは別に東大の吉利教授、これは血清肝炎の専門家でございまして、こちらにおいても病原体の検索あるいは治療方法等について、いろいろ治療助成金で百五十万円の助成をいたし、研究をお願いいたしておるわけであります。私どもとしましては、現状関係の学者の方に御協力を願えるその範囲内の努力はいたしてまいったつもりであります。不幸にして効果があがっておらぬという点については、先生御指摘のとおりであります。また予算的に見てこの金額が十分なものであるかどうか、それはおのずからまた別の問題もあろうと思います。ただ、今後、私どもとして先生の御意見の中でちょうだいいたすべきものはいたすつもりであります。現実にそのような姿になっておることだけは御報告をいたしたいと思います。
  35. 大橋和孝

    大橋和孝君 そういうふうにして研究をされておるということは、もちろん私もわかっておりますが、その段階で進まないところはどこにあるか、これはもう少し突っ込んで聞きたいところなんです。まだその効果があがってないところには責任を感じておるとおっしゃっておりますが、その責任を感じておるだけじゃなくって、もう来年度においてはどの程度どういうふうにしたらこの問題がどう一歩前進をして解消されるのだというところまで、もういまごろになって煮詰めておかないと、これだけやっておりますと、あるいはまた日赤によってやってもらっていますというだけでは——私はあとからまた日赤については、いろいろ経済的な体制づけの問題について伺いたいと思いますよ、思いますけれども、まあ血清肝炎が一番大きな問題ですから、血清肝炎の問題についていまいろいろ国の考え方を、それからまた日赤考え方を相当詰めて考えておいてもらわないと、何かこういう議論をしただけに終わってしまって、来年度に対してどれだけの効果があらわれたということにならぬわけですから、むしろこの問題は、そんなに研究をしています、あるいはまたこうやっていきます、こういう人事体制も変えます、あるいはまたこういうふうな基準もつくりましたということだけでは意味をなさぬですよ。実際の肝炎が少なくなるためには、こうやってこうやればこれだけ少なくなるだろうという見通しがありますというふうな段階にまで、何かお金を入れるなり財政措置をとるなりしなければならない。この段階に私はきていると思うんですね。そういう点からいって、私、先ほど申し上げましたのは、そういう研究機関をつくってやってもらっているということは私も承知しております。しかしこれをもう一歩進めるためには、私はもう少し緊密な連携のとれたやり方をもう一歩進めて、ひとつ組織してもらうべき段階じゃないかということで、私は問題を提起しているわけです。それはせぬでもちゃんと東大でもやっている、あるいはまた予研でもやっておる、やっておることは——こうやって全部日赤でやっているのだという、それは事実です。そうやられているわけです。そういう方向も立てられておりますけれども、まだそれでもできてないのですから、できるためにはもう少し何かそこで強力な機関で何かの予算をつけてこの研究をやる、こういうことを考えてもらうことはできないのかどうか。私は、国としては、もうそんなふうなばらばらなものでなしに、もっと私はぴしっとやることは、別に組織をつくらなくてもいいんじゃないか、厚生省の中でもよろしいのですよ。かまいませんよ。私は、そんなこまかしい、わからないことは申し上げませんけれども、少なくとももっと国がこういうふうな予算の背景の中で、こういうことをこっちにはこうやる、こっちにはこうやる、こういうふうにまとめてこういうふうにしていく。それが下において直結するということになっていくことで、初めてこれだったら来年くらいにはこれが予防できるだろう。——こういうことくらいの話し合いのできる機関というものがいまないじゃないですか。もう研究室ではいろいろあるいはやっているでしょうけれども、それなら、これとこれと、こういう総合されたものをやったらどのくらいになるかということのあれができていますか。できていれば、私はここでそんなことを議論することは、むしろ屋上屋を重ねることになると思うのです。
  36. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 私は、医学的な問題に関しては完全なしろうとでありますし、先生は政治家として大先輩であると同時に、医学者としても高名な方でありますので、専門家としての違う御意見は私どもとしては参考にしたい部分が多々ございます。ただ、現在の血液問題懇話会、これも先生御承知だと思うのであります。むしろこれを通して研究問題を行政的に反映をさしていただいておるつもりでありますし、私は機構をつくること、それが研究を促進することだとは必ずしも思いません。そうして専門の学者の方々に、ある意味では行政的な任務をそうした仕組みをつくることによって負っていただくような場合には、かえって私は専門家の足を引っぱり、学者としての研究の足を引っぱる心配もいたします。だからこれは、それこそ医学の大先輩である大橋先生からの御指摘でもありますし、私どもとしても専門家の意見をこれはむしろただしてみたいと思います。むしろ、こうした医学的な研究あるいは科学的な研究というものについては、行政当局、事務ベースの人間がその機構を考えますよりも、むしろ私どもは専門家の意見によって今後の行動をしてまいりたいと思います。その中にただいま先生の御指摘のような考えが出てくれば、おのずから私どももそれを反映してまいるつもりであります。その点、むしろ専門家の見解にそれらの点もゆだねさしていただきたいと思うわけであります。
  37. 大橋和孝

    大橋和孝君 それから、もう一つの観点からいえば、日本の場合は、もう一つ、全血を使う輸血ということが非常に多過ぎるのじゃないか。これは少しそういうことが言えるのではないかと私は思うのでありますが、そうなってみれば、いま全血を使わないで輸血の目的を達しようとする場合に、その製品は非常に高いということ、それからまた非常に少ない、手に入らない、そうしてまたそれが楽に使えないという条件があるために、私はこれは発展していないと思うのですね。だからそういうことからいえば、私は血液行政の中では、もういまになってきて、少なくとも外国以上に日本のほうがもう経済の上からいっても外国より上回っているわけですから、また医学の研究の面からいっても外国より上回るくらいの条件にあるわけでありますから、そういう点からいったら、私はこの輸血の問題に対してももう少し変わっていい段階だろうと思うのです。私は、これはもっと分画製剤のほうに行きやすいような対策が講ぜられなければならないし、いままで講ぜられなかったこと自身が私はちょっとおかしいと思うくらいであります。ですから、これに対しまして、最近は予研のほうでも研究されて日赤のほうも幾らかやっておられるという話も出ておりますし、データも私もらいましたけれども、データの中に、ごくわずかではありますけれどもつくるようになってきている。しかし、それをつくるためには、ずいぶんロスも多いという話も聞いております。もっともっと、外国のパテントなんかを受けているところの製薬会社あたりを見てみますと、その差はだいぶあるようだし、それは小さな問題ですが、外国あたりではそういう開発に対してはかなり力を入れているわけです。ですから私は、こういう分画製剤というものをつくる場合には、これに対しても、私は前にも申したのですが、何もかも日赤がやることは、献血行政の——いわゆる日赤精神、献血精神でいいというばかりでなく、私はそういう分画製剤なんというようなものに対しては、もっと日赤から切り離して、そうしてもっと——最近はそういうふうなことにはなっているような話も聞いております。廃血になったものなどもそういうふうに処理をされておるような話も聞いておりますけれども、私はむしろこうした段階になってきましたならば日赤の行政とはずして、そうしてこれは製薬ベースでそれをもっと開発さして、そうして全血の、血液全体の輸血をもっとウエートを減らしていけば、私はだいぶ目的が達せられるのじゃないか。こういうことはわれわれ医者の中でも知っているのですが、なかなか手に入らない、ものすごく高くつく、この状態では私はなかなかそうは利用できない、こういうことになるのではないかと思うので、この分画製剤の問題に対してもどういうふうに考えておられるか。私はそういう意見を持っているが、それに対してはどうか。
  38. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) これは先生の御指摘のとおりだと基本的には私も考えます。現実に先生よく御承知のとおり、日赤において保存血液期限切れのほとんどのものは、現在では民間技術を使って血漿分画製剤を製造しておる。そして日赤としてそのもの自体が製剤化しておりますのは、地域的に見て輸送の困難な北海道だけというふうに私ども聞いております。そして、そういう意味では民間技術を駆使してまいるということ、これはきわめて大切なことでありましょう。ただ同時に、今後のことを考えてまいりますと、すでにその採血の大半がいま日赤に集中しつつある。今後なお採血の中心というものが日赤に集中してまいります場合に、新鮮な血液を必要とする新鮮血液製剤関係のもの、これはやはり日赤を中心として製造を進めてまいらなければならぬだろうと、現実の問題としてそのような感じが私どもはいたしております。ただ保存血を中心とした血漿分画製剤関係、これは現在でもむしろ民間技術にたよる部分が大半であります。そういう意味では、民間各企業において優秀な技術を独自に開発され、あるいは海外の技術の優秀なものを導入されることによって、よりすぐれた血液製剤がつくり出される、これが私どもとしても望むところでありますし、むしろそうした方面が今後伸びていかなければならぬという点に対しまして、私ども同感でございます。
  39. 大橋和孝

    大橋和孝君 この分画製剤の中でも、この間もちょうど種痘禍の問題についてVIGの問題が問題になりましたですね。結局この種痘によって最も力価の上がった血液を分離して、そこでガンマグロブリンをつくれば、今度の中毒禍が起こったときにすぐ使えば助かるんだ、これは治療にも絶対必要な薬である。また、これを使うことによって予防ができる。だからして、そういう体質の弱い人にはこれを少し使うことによってあの種痘の災いも避けられる、こういうふうなことはもう学問的にはっきりしている。こういうのが結局日本にはなかったために、あのように種痘禍の人もたくさんでき、死んだ人もたくさんできた。こういうことに対して、私は国としても相当大きな責任を感じなければならぬと思う。これが分画製剤の中に出ておるわけです。ですから、これはこの分画製剤をつくるためには、私は採血はやっぱりできるだけ献血のシステムでしてもらわなければならないけれども、私はそこまでちょっと、いまの行政でなっていることに対して、とやかくは申したくありません。いまおっしゃるように、日赤がほとんど血液を取る窓口になっている、これはそれでいいと思うんです。ですけれども、私はそこのところに一つだけ疑義を感ずること、たとえば免疫価の高い人、はしかはそうです。はしかは、これは一度やった者はあれは全部できておりますから、他のガンマグロブリンでも効果はありますが、しかし、そのほかにいろいろ病気に使うガンマグロブリンはあるわけでありますが、こういうような問題は破傷風にしろあるわけでありますが、そういうようなものをつくるためには、私は何と申しましょうか、ある程度免疫のできた人から血液をもらわなければならぬ、そういう人を分離してやるということになれば、日赤で取ってもらって、そういうものを集めればいいと私は思うわけでありますが、そういうようなものを含めて、私はかなりの内容を整えない限り、そういうものはできないと思うんです。いま輸入されている——今度は種痘禍のためにたくさん外国から輸入されました。輸入することに決したということも報道されております。こういうのを考えてみると、その高い薬をたいへんですよ、これは。ですから、もっと日本のいまの経済の状態からいえばできることなん、だから、もう少しそういうことも日赤とも切り離しながらこれを考えていけるような、その指導をする国の、何と言いますか、立場——こういうものもひとつやらない限り、いまの状態はそう脱却できぬと思うんですね、この分画製剤の発展ということに対して。それから、この分画製剤がうんとできて、血球なら血球は必要な人に出せるし、あるいはまた血漿なら血漿は必要な人に出せるということで、これを分離する。特に最近やられているような加熱処理ができるようになれば、私はこれはずいぶん防御になっていくんじゃないかと思います。また、それの製造過程についてはいろいろ問題がありますから、それに対しての研究も進めなければならぬと思いますけれども、そういうことをすることに対しての力というものは、いわゆる血液行政の中で相当ひとつクローズアップしてもらわなければ、いつまでたってもおざなりになってしまうということです。だから私は血液事業の中で、研究もさることながら、一面においてそういう分画製剤というものをつくるための行政指導というか、あるいはまたその方向づけというか、これに対してどういうふうに取り組んでいくかということは、もっとこの時期ははっきりしてもらって、これに予算の裏づけをしてもらってやるべきじゃないか。何もかも日赤さんお願いしますというだけでは、日赤精神ありがたいというだけでは済ましておけない、こういうふうに思うのです。またそういうところを十分検討していかないと——私は日赤さんがおいでになっている前でこういうことを言うのは言いにくいことだが、そういうことも割り切って、こういうことを考えていかなければどうしてもいけない。また研究のほうにおいても、そういうことも十分の配慮の上に、もっともっと直接にコミュニケーションのとれる状態をつくらぬ限り、なかなかうまくいかぬ。また、これは製薬会社だけにまかしておけば、製薬会社はかってにお金もうけだけに走っていくということになれば、これを受ける患者の側に立ってみれば、高くてなかなかそれを使ってもらいにくいということになる。こういうことを考えていくと、もとは人間の命の一部分である血液であって、これを十分にうまく利用することによって、そして効果が一〇〇%あがって、しかもそれで副作用がない、こういうふうなことは、いまごろになっては、もう少しはっきりこれ、これ、これをしようじゃないかということにしてもらいたいと思うのです。そういう点でひとつ特に予算面の裏づけをして、そしてこれが決算に結びついて、ほんとうにこれがよかったという運営がされるように、予算の組まれる前提として、血液問題を相当のウエートで考えてもらわなければいけない。もううしろには、毎日、毎日ですよ、毎日、毎日、病気は少しなおったけれども肝炎のためにどうにもならないという人がたくさんあるわけでありますから、こういう人が全国でみな見ておるときに、まあ研究をしよう、研究をしようということでは、おざなりに終わりそうなんですが、われわれ患者を見ておりませんと、そういう議論で終わりやすいと思うのです。そういうことであってはならない。私はこの分画製剤あたりでも、もう少し本気になってやれば、もう少し外国のレベル以上のものが日本にできてあたりまえだと思う、いまの日本状態からすれば。それが微々としてなかなかそれができていない。これを使おうと思ってもたいへんだということでは、私は非常に嘆かわしいと思うのであります。これに対してはどういうふうに国としては取り組まれるか、それをひとつ聞いておきたい。
  40. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 先ほどからの先生の御質問中に、主計官もきわめて感激したような顔をしてうなずいておられましたし、会計課長はにやりにやりとほくそえんでおりますから、おそらく大蔵省としても予算をつけていただけるだろうと思いますし、また厚生省自体としても、これは必ずしもVIGばかりではございません。血液行政全体について薬務局自体が考えるべき点が多々あると思います。ただ、いま御指摘になりましたVIGあるいはガンマグロブリン、むしろこれは技術的な問題よりも、はっきり申し上げますと、いかにしてその供血者を確保するかという問題、これが一番先行するわけであります。私どもは決して日赤にすべてをおまかせをします、全部日赤さんやってくださいと申し上げるつもりはございません。現実に、やはり採血の中心が日赤にあります限り、やはり日赤血液事業というものを中心として今後の方針も考えていかざるを得ないと思います。それだけに、VIGだけに限りますなら、日赤を中心として、この供血組織の中に、種痘接種者の協力を仰いで、開発、製造について努力をしてまいりたい、かように考えておりますが、むしろその場合には、製造そのものよりも、供血者をいかにして確保するかということが先決になりますだけに、やはり日赤に相当の御協力を願わなければならぬと今日考えておる次第でございます。
  41. 大橋和孝

    大橋和孝君 おことばを返すわけじゃありませんけれども、私もそれはそれでいいと思うのです。血液を業者にやらせるということは私も反対です。やはり採血部門は日赤に取ってもらって窓口は一つにする、それは私は次官がおっしゃる意見と同じです、それでいいと思うのです。ところが、いま、日赤にお願いしてというのがあったですね、どうもこういうことでは……。
  42. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) ということではなくてと申し上げたのです。
  43. 大橋和孝

    大橋和孝君 日赤さんにそれをやってもらって、そういうふうな種痘の免疫価の高い人から取ってもらう、こういうふうでは私はちょっとそこのところにギャップがあると思うのです、私の考えでは。それをもう少しストレートに入って、そういうことに対しては日赤ともっと気脈を通ずるような一つのポストがないと、取ったやつは回してくださいよと言っておったんじゃ、それは回らないかもわからないし、回るかもしれない、血液が足らない場合にはね。だから、やはりそういうものの製造というものがおくれちゃうわけですよ。私は日赤の中でそういう部門をつくってもらって、それはけっこうですから、つくってもらった部門とその薬をつくっていく過程の間に、もっと通じたものがないといけないと思うのです。したがって、年次計画にどれくらい要るのだとすれば、たとえばVIGの問題だって港湾労務者の場合なんかだったら、そういう天然痘の危険にさらされているから、ある程度適宜受けていますね、種痘は。そういう人は、何といいますか、わりあい高いあれじゃありませんか、免疫価は。こういう人なんかに、もしもらえたならば、そのもらえた血液輸血に使ってしまわないで、そちらに使ったほうがより人を助ける場合には大きいかもしれません。そういうことなんかもきちっと区画整理というか、交通整理をして、できるようなことも考えなければ、私はこの薬の開発というのはできないと思いますね。もとはやはり人間の生命の一部分の血液がものになるのです。しかも献血を取る対象はその免疫を持っている人でなければならぬということになる、私はそういうふうになってくると思うのですね。だから、私はそういう意味では、ただ日赤さんの一つ血液業務の中だけでなしに、縦の系列を一つつくると、こういうことをひとつやっておかない限り、この問題は前進しないと思うのですよ。ですから、私はそういうことに対しては異議は申しませんけれども、もう少し、さっきの研究のところでも申したと思いますか、ざっとはいれるものをつくって、こういうものの開発はしていただきたい。少なくとも、この血清によって全血を使わなくても輸血のある程度目的を達せられるものは達成する、あるいは赤血球だけでもって補えるものは補うというような形で打ち出していけるような材料をつくってもらうための措置というものを、ここでひとつ明確に出しておいていただきたい。そこのところがいまの次官の考え方と違うところであって、もう一つ踏み出してもらいたい、いまの血液行政に取り組んでもらいたい、こういうふうに思うのですね。
  44. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 確かに先生御指摘のとおり、私ども年度予算要求におきましては、血液製剤研究開発ということを、来年度薬務局の予算要求重点項目一つとして要求してまいりたいと思います。で、VIGも同様でございますが、そのほかにもいろいろ血液製剤として必要なものがたくさんあるわけでございます。加熱人血漿になりますれば、肝炎ビールスも死にますから血清肝炎も起こらないという点もございますし、確かに採血した血を全部輸血する必要のある場合もございますけれども、その中の血漿だけでいい場合も相当あるわけでございます。そういう場合に血液を分画して製剤しますれば、血液を非常に有効に使える。しかも、なまの血液でございますと、二十一日しかもたないのですが、血液製剤にしますと、そういう期間的な制限も相当緩和されるというようなことで、この血液製剤の開発ということには、これは最大限の努力をしてまいりたいと思います。それで三十五年度で初めて研究費予算が計上されたわけでございますが、今後引き続きましてこの予算額をふくらましてこの血液製剤の開発、これは国が重点的にやらなければならない、まあメーカーのほうでもやるでございましょうけれども、国ができるだけこれをやっていくと、そうしてその血液製剤の製造は優秀な施設を持ったメーカーがやる、日赤のほうにはできるだけ血液を集めてもらう、そういうぐあいな分担関係においてこの血液行政を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  45. 大橋和孝

    大橋和孝君 それはもうわかり切っていることですから、私はもう申し上げまいと思っておったんですが、この日赤の業務の中に、私は一つ触れておきたいと思うのですが、いま分離採血してないですね、日赤のほうでは。しているのですか。血球だけを返して血漿だけを取るという採血のし方はしていませんね。してないと私は思っているのですが、しておればまたお知らせ願いたいと思いますが、これは私は少しやってみてもいい方法じゃないかと思うのですね。必ずしも血液をみなもらって血球を捨てなくても、血漿だけをもらって血液はまたお返しする、これでやれば、いままでのデータで——私勉強が足りませんけれども——ほとんど貧血なんかということは起こらないで済むわけですから、私はこういうようなことなんかもやれるのじゃないかと思います。こういうことに対しては一体、やはりこの血液というものは全部日赤が窓口だから日赤でやるのがいいのか。こういうようなことに対して何か研究されたことがございますか。意見はどうですか。もしそれならばもっと広く使ってもいいのか。これは日赤でやるほうがいいとお考えになっておるのか。私は日赤でやったほうがいいと思うのです。そうして血漿を取ればもう少し分画製剤をつくるのに楽になる、私はそういうふうに思うのですが、そういう点なんかはどういうふうに国としてはお考えになっておるのですか。
  46. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 確かに先生のおっしゃるとおり血球返還採血と申しますか、赤血球を採血しました直後に血球だけをまた供血者に返すと、結局結論的には血漿だけをいただくと、そういうことにいたしますと、これは供血者も体力の消耗が非常に減少されますし、それによって非常に血漿がたくさん取れるということがございますので、ことに血液製剤のための血液といたしましては、血球返還採血方法というのは一番いいと思います。これをどういうぐあいに現在の献血の中に組み入れるかということは、技術的にはなかなかむずかしい点がございます。しかし、血球返還採血という方法は私どもも魅力のある方法だと思いますので、これをどういうぐあいに現在の献血組織といいますか、献血の方法の中に組み入れていくかということについては、いましばらく時間をかしていただいて研究さしていただきたいと思います。
  47. 大橋和孝

    大橋和孝君 これはもう先ほど申したように緊急な問題ですからね。もうこの肝炎のあるのを防ぐのに一番いい方法なんだから、私はこれはもっとやるべきで、至急方向を定めて、いまもいろいろやられていることは知っています、いろいろなことを。知っていますから、ここで申し上げる必要もございませんから申し上げませんけれども、どうぞひとつこの問題は早急に、来年度には予算も組み、何もし、ぱっとやれるようにしてくださいよ。分画製剤は、これはすぐできるのですから、できるものを、それをやらないためにできないということは、これはけしからぬじゃないですか。すぐやってください。私はそれを要望しておきます。  もう一点だけ申し上げておきます。日赤のほうに聞きたいのですが、この間、うちの新聞でちょっと聞いておりますが、いろいろなことを計算してみると日赤は引き受けたけれども赤字でどうにもならぬ。だから今度は少し血液の価格を、千五百五十円ですか、いま。これを五十円か七十円上げてほしいと、こういうような話があるやに聞くわけなんです。ですから、私は一体これ血液というものを計算して、まあ物価も上がっている、人件費も上がっているから、いままでどおりではいかぬ。独立採算で縛られていると、こういうことだからいかぬということはわかるわけですね。先ほどちょっと話が出たように、所長さんも月給を血液センターからもらわずに日赤からもらっているから、無料奉仕している。何やらどこそこにもこんなのがあるという話ですね。人数もこれだけ少しでやって、独立採算で一このごろでは血液を取るのに一人もついておらずに、二人両方に針を刺してがばがばと血液を取っておる。で、ときには事故が起こったということもあるわけですね。だから、こういうようなことでは、私は独立採算で縛って、安うやらんならぬために、もう患者の生命にまで影響すると、こういうようなことになったらたいへんなことなんですから、だから私は、そういう点からいって、一体いまの状態でどういうふうにして赤字になって、どんな仕組みになっているのだ、日赤の中は。それをひとつ聞かしておいていただきたい。私は、こういう日赤にお願いをすると言って、三百五十万や四百万を補給しているようなことでは、私は、この採血そのもの、血液献血の中で補っていくということ自体にも、問題が起こってくるだろうと思うのですね。そのうち血液がなくなって困るという時期が起こってくるのではないか、私はこういうふうに思うのです。血液を取って、他府県との連絡をとって有無相通ずるようにやっていらっしゃるようですけれども、私はいまの情報化時代といわれているのに、もう中央なら中央に、どこに何型の血液があるということが毎日その時間時間にわかって、そして次には、どこでは日にどれくらい要るそうだ、あるいはまた状況によってはこういうことが起こりやすいということになれば、そちらのほうへよけい回すとか、これはいまごろ飛行機もあるし、あるいは自動車網もできているわけですから、私はもっと金を入れればコンピューターによって、いまどこにどのくらいあるか、二十一日間あるんですから、せっかくもらった、生命の一部分である血液を二十一日で廃液にするのが五%以上あるんだが、これをあたりまえのように思わないで、これは全部使ったら廃液にすることがなくなるわけです。廃液にしてもいまではこれは分画製剤でつくられますから——いま、いいもので捨てるものがたくさん出てきます。ですから、私はそういう意味から言っても、もっと合理化しなきゃならない。値を上げるということもやむを得ないようにおっしゃっていますけれども、値を上げるということに持っていく前に、私はやはり国からある程度のものを入れて、そしてそういうぞんざいな——期限が来たら捨ててしまうというようなことが起こらないようにしたいと思うのです。私は日赤さんに一ぺんお尋ねをしておきたい。この千五百五十円を何ほか上げなきゃならぬ——新聞を読みましても、そういうようなことを談話で発表していらっしゃったようであります。だからして一体それをどういうふうに考えていらっしゃるのか。そう安易に血液の値段を上げることばかりでいくんじゃなしに、もっと日赤さんとしては、こんなことはできませんよと言って、国のほうに突き上げるべきじゃないかというふうに私は思うわけでありまして、そういう点も含めて、一ぺん価格の状態を聞かしてください。
  48. 佐野利三郎

    参考人佐野利三郎君) 四十四年度決算がようようまとまりました。その決算を分析いたしておりまして、昨年度供給いたしました血液の本数が百九十一万八千本でございますが、それに要しました原価は三十四億八百万円でございます。それに入りました価格は、先ほど申しましたものに千五百五十円をかけるわけでございまするから二十九億七千四百余万円。実質的には四億三千四百万円の赤字でございます。一本当たり約二百二十六円の赤字でございます。したがいまして、日赤先ほども申し上げましたように、独立採算でやっておりまするので、所長さんたちには半分以上が全部無料で奉仕をいただいておりまするけれども、なおこういう状況でございまして、どうしてもこれを切り抜けるには価格を考えていただく以外には私たちとしてはない、かように考えるわけでございます。  なお先生お話の中に、看護婦が両方やっている、こういうことでございますが、そういう採血者の衛生環境にかかる問題につきましては、看護婦等は十分確保してございまするので、そういうおそれは絶対させないということで、十分指導監督をいたしておりますことを申し添えます。  いずれにいたしましても、四億三千四百万円の赤字、ことしはもしこのままでまたベースアップ等をやりますと、おそらく単年度で十億近い赤字が出るだろう、かように考えます。血液の全体の売った価格が三十億前後のところに、昨年度が四億、ことしがまた十億赤字が出ますと、とうてい支払いができない。びん代等の支払いができない、あるいは職員にも月給が遅払いになる、こういうことが予想されるわけでございます。いずれにいたしましても、価格の問題はひとつぜひ上げていただくようお願いをいたしたい、かように考えております。
  49. 大橋和孝

    大橋和孝君 お忙しいようですし、時間も切れておりますので、もう終わりたいと思います。もっといろいろたくさんのお話を、日赤からもおいで願っておるので、聞きたかったんですが、もうこれでやめますけれども日赤のほうは、いまおっしゃっているように四億も赤字になって、ことしがまた十億、十四億になる、こういう話ですね。だからして価格を上げなきゃならぬというふうなたてまえでございますけれども、千五百五十五円の決定になったときは、まだ何といいますか、あのころは五百円か何ぼのあれをとっていたわけですから、それを引こうということで、千六百五十五円のやつを百円引いたわけだったんですね。それで当分の間はこれでいけるという話を聞いたというふうに私は了解をしている、これは私の記憶が間違いでなければ。それが日赤がやられましてから三年ですか、それからその間に急上昇をいたしておりますから、こういうことにもなったと思うのですが、五百円のうちの百円だけ下げたわけであって、四百円になった、これは五分の一ですね。それが今度あれになってきてから、またそのように赤字が出てきている、これは出てきているんだから、間違いない赤字だと思うのですが、こういう問題に対して厚生省のほうでは物価が上がった、人件費が上がったから、当然その血液の価格を上げさせよう一それだけでは済まされない問題が私はあると思う。やはり国の側からいえば、もっとこういうことに対しての補助というものを深めて助成をして、そしてこの価格にすぐはね上がらないような方法をとるとか、あるいはまた、私がさっきから申し上げているように、血液は大事業であります。こういう問題でありますから、日赤にまかせるのじゃなくて、もう少し国もその中に援助を入れて、そうして共同的にもう少しこれを国としてかまえていく。しかも輸血を受けなければならぬような患者の状態はどうかといえば、死ぬか生きるかという窮状にあるわけです。だから生活が豊かでない人もたくさんある。こういう場合に輸血をせんならぬ、こういう問題になってくることで、国民の側としてみれば非常に大きな一重三重の負担ですね。こういう場合に血液の価格を安易に上げていくという傾向でなしに、それをストップしていくように、国のほうからもっと何かの方法を考えることが私は必要でないかと思うのですが、この点について独立採算制でほうっておいていいのかどうか。また、そのことに対しては根本的な問題ですから、ここらで議論するだけではなかなかおさまらないということも私はよく承知をいたしておりますけれども、根本問題ですね、あるいはまた閣議にも持っていっていただく。こういう問題は根本的に考えてもらって、血液事業というものに対する国の取り組み方ということは、先ほどから私冒頭に申し上げたとおりであります。ですから、こういう問題を解決しなかったら、この問題はなかなかたいへんな問題だ。単に血液の値段を上げて独立採算がとれていく、日赤はやってくれてありがとう。これでは私は、国民感情としてはどうしてもおさまらぬ点があると思います。こういうときに血液の価格を上げることは絶対にやめて、もう少し血液事業全体に国として取り組んで、日赤としてももっとやっていけるような方法を考えてもらいたい。そういうことがどうしても必要なことではないかと思う。あるいはここで次官から説明を受けることは無理だろうと思います。ですから、大蔵省は大蔵大臣、あるいは厚生省厚生大臣、あるいはまた国、政府全体としての考え方の中にこれを反映してもらって、こういう安易な方向に持っていくのじゃなしに、血液事業というものに本心から取り組んでもらう。こういうことに対してひとつやってもらいたいと思うのです。それで最後に希望を申し上げ、次官からは特にその点を強調してもらいたい、こういうふうに思います。
  50. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 私どもは、日赤のほうから保存血液の価格引き上げについて実は日赤としての御要望なりあるいは内容等については拝聴したことはまだございません。それだけにその数字中身等も私ども全然存じません。いまこの機会に回答申し上げるわけにはまいりません。確かに理論的に申すならば、人件費の暴騰あるいは諸物価の改定ということは血液価格の改定にも結びつく要素ではあります。しかし、現実にその他の面も考え合わせなければならぬ点が多々あることは先生の御承知のとおりです。これについては、むしろ正式に日赤から要請された時点において、私どもとしてはその数字を検討させていただきたいと考えております。それと同時に、根本的な問題として各センター間のブロックごとのコンピューター導入というようなことについても御指摘がございました。私どもは、先ほどの御要望にもありましたような血漿分画製剤等の関係もございます、またその調査状況等もございます。コンピューターを直ちに導入することが望ましいものであるかどうかは、もう少し考えさせていただきたいと思います。しかし、それと同時に、その他の設備について、日赤から当然要望が出てくると思われるものもありますし、また当然私ども自体が考えなければならぬと思うものも現実にございます。それだけに、数字は十分検討させていただきます。その中の優先順位の検討はさせていただきます。必要なものについての予算要求は、するところまでするつもりでおります。
  51. 大橋和孝

    大橋和孝君 主計官、せっかく来てもらったので所感を述べて——大臣に。
  52. 相原三郎

    説明員相原三郎君) 厚生省から要求がありました時点におきまして十分御相談をしたいと思います。
  53. 森元治郎

    委員長森元治郎君) 暫時休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      —————・—————    午後零時五十三分開会
  54. 森元治郎

    委員長森元治郎君) それでは委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十三年度決算外二件を議題とし、質疑を続行いたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  55. 沢田実

    ○沢田実君 私は漁業補償の問題についてお尋ねをいたします。  名古屋南部の臨海工業地帯埋め立て補償金といたしまして約二百億円の補償がなされております。その中の下之一色漁業協同組合に対して昭和三十六年に二億六千万円、これは第一次の補償です。三十七年に三億七千五百万円、第二次の補償、三十八年には漁業権消失に伴う全面補償として三十五億円、合計四十一億三千五百万円の補償金が支払われているようであります。その配分について組合の中から、正当な配分がなされていないというようなことで、約六十名の方々が民事訴訟を行なっております。第一審が係属中でございますが、その問題はともかくといたしまして、その問題を例にして漁業補償の一般的な問題を御質問申し上げたいわけですが、その名古屋のいま申し上げた事件について水産庁のほうで掌握していらっしゃれば、その現況をまず御報告願いたいと思います。
  56. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) いま御提出のありました問題でございますが、大体お話のとおりでございまして、三十七年の十月十日に漁業補償の協定が妥結になったものでございますが、その内容といたしましては、漁業補償協定の当事者としては名古屋港の管理組合の管理者、当時の名古屋市長が一方の相手方でございますし、幾つかの漁協が他方の相手方でございますが、お話の中でお触れになりましたけれども、名古屋市の中川区下之一色の漁業協同組合・組合長理事の横江さんという人が一方の当事者でございます。漁業補償の対象の工事といたしましては、名古屋港の管理組合及び運輸省が施行する名古屋港の整備事業及び伊勢湾の高潮防波提の建設事業でございます。漁業補償の対象となりました漁業権等の内訳を概略申しますと、まず放棄した漁業権の内訳といたしましては、共同漁業権が百一号の全部と——区画漁業権の詳細は省略いたしますが、数個ございます。区画漁業権の全部というものが放棄した漁業権の内容内訳でございます。そのほか他の漁業協同組合との入漁契約による漁業でございまして、協約締結の際に組合員あるいは準組合員が操業いたしておりました許可漁業、自由漁業の一切を放棄するということがその内容でございます。漁業補償金額お話のとおりの数字でございます。そうしてこの問題につきまして、補償金の内部の配分について争いがございまして、民事訴訟の対象になっておりますこともお話のとおりでございまして、その民事訴訟のありますことからいたしまして、組合所有の財産が仮処分を受けております関係で、この組合の清算事務が進捗をしないで、まだ手続中という側面をこの問題は持っておるわけでございます。  以上が大略、下之一色漁協の漁業補償の配分にかかわる問題のあらましでございます。
  57. 沢田実

    ○沢田実君 運輸省の方が来ておりますので、補償額算定の基準等について、運輸省から御説明をいただきたいと思います。
  58. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) お答えいたします。  運輸省のほうで基準をつくったのは昭和三十八年くらいでございます。それ以前はいろいろの基準がございまして、たとえば、駐留軍の用に供する土地の損失補償基準要綱、これは古く昭和二十七年にできております。あるいはまた、電源開発会社がダムを建設する場合に水没した場合、それによる損失補償の基準もございます。これは二十八年にできております。それから建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失補償、これは昭和二十九年にできております。古くはこういう基準がございまして、まあ一応ございましたのですが、港湾を建設する場合にどのような基準をとるかということは、その時代では非常に区々まちまちであったのでございます。  そういうことからいたしまして、早くりっぱな基準をつくる必要があるということで、公共用地審議会というものが建設省の付属機関として設置されまして、これが三十六年にできたのでございますが、それに基づきまして、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というものができまして、これが閣議で決定されております。この閣議決定を受けまして、昭和三十八年に運輸省の訓令二十七号というものができております。これは公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱、こういうものでございます。さらにこれを受けまして、昭和四十一年に運輸事務次官通達によりまして、その運用方針を詳細にきめております。こういうことによりまして、港湾管理者においても、国のこういう補償基準に準じて措置するよう指導しておるわけでございます。  以上でございます。
  59. 沢田実

    ○沢田実君 いま申し上げた名古屋港全体の組合について、約二百億の補償がなされたわけですが、その補償金の要綱だけはお聞きいたしましたが、実際にその額を算定するにあたって漁獲高をどれだけにするとか、魚価をどう見るとか、いろいろな算定の方法があると思うのですが、どういうことを基礎にして二百億の金額を御決定なさったのか、お尋ねをしたいと思います。
  60. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) その基準の内容を概略申し上げますと、漁業権を消滅する場合でございますが、平年の漁業収益額でございます。これは買収時の前五年間の平均の漁獲高の数量、これに買収時の魚価を乗じて得た額から、買収時の価格による年間漁業経費——つまり過去五年間の平均の漁業による収益からその買収時の漁業経費を差し引いたもの、つまり漁業の利益でございますが、これに年利八分、〇・〇八でございますが、これを〇・〇八で除して得た額に、さらに八〇%をかけておる、こういうことでございます。わかりやすく申し上げますと、つまり補償する場合の時点における年間の漁業の利益を元といたしまして、それがちょうど八分の利子に相当する、そういう利子に相当するための元本を確保するということでございます。これは八掛けにしておるのは調整の比率でございまして、そういうことで漁業権を失った人に対してこういうふうな年利八分の所得を得るような補償をしているということでございます。これが先ほど申し上げました電発の方式でございます。  それから運輸省できめております公共用地方式といいますのは、評価前の三年から五年間の平均の漁獲数量に魚価を乗じて得た年間の総漁獲額、つまり過去三年ないし五年間の平均の水揚げ量から、それに要した経費を差し引くのでございます。これが漁業の収入でございます。これを、先ほど申し上げました〇・〇八で除した金額を補償金額としている、こういうことでございます。
  61. 沢田実

    ○沢田実君 その算定の式はわかりましたが、漁獲量等につきましては、組合の主張あるいは県の水産課の発表、あるいはまたその他の調査等がございまして、いろんなものがございます。そういうようないろんな調査の何を基礎にして決定なさったか、その点もう一歩突っ込んでお教えいただきたいと思います。
  62. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) これは水産庁で計算しております水産の統計によっているわけでございます。
  63. 沢田実

    ○沢田実君 水産庁の統計は県単位だと思うのですが、愛知県全部の漁獲高、これは出ていると思いますが、該当する漁業組合の数量というのは、どういうふうにして算定なさったのですか。
  64. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) 県の統計その他、市場の調査等を勘案して数字をきめているのでございます。
  65. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、営業を行なっておりますいわゆる漁家の一軒一軒の、たとえば過去三年間における漁獲高はこれこれだというものを算定したものではなしに、官庁における統計を基礎にして大体決定する、こういうことが例になっているわけですか。
  66. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) 大体そのように解釈しております。
  67. 沢田実

    ○沢田実君 その補償額を決定するにあたっては、水産庁としては全然そこに関係しておりませんか、あるいは意見等を聞かれておりますか。
  68. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 個々の漁協が漁業補償を算定いたします場合に、水産庁は直接タッチいたすことはございませんけれども、当然、県の水産課の専門家が相談にあずかるわけでございまして、非常に困ったような問題が起こりました場合については、水産庁に相談がございまして、水産庁としてしかるべく指導するというのが普通の姿でございます。
  69. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、運輸省といたしましては、全体の補償額については漁業組合と相談してきめるけれども、個々の配分については全く関係なしということでしょうか。
  70. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) 個々の配分につきましては、関係はございません。
  71. 沢田実

    ○沢田実君 約二百億の補償額の中で、国から幾ら、あるいは愛知県が幾らというような内訳がございましたらお示しをいただきたいと思います。
  72. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) 約二百億のうち——湾の沖のほうに防潮堤がございます。これが国の建設事業でございますので、その防潮堤に見合う金額につきましては国から支払っております。その金額は二億円でございます。
  73. 沢田実

    ○沢田実君 あと愛知県あるいは名港管理組合の負担分はわかりませんか。
  74. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) 数字はただいま持っておりませんが、後ほど資料を取り寄せましてお知らせいたします。
  75. 沢田実

    ○沢田実君 水産庁にお尋ねをしたいと思うのですが、先ほど若干お話がございましたが、漁業権の問題については、水産庁のほうではどのようにお考えになっていらっしゃいますか、お伺いをしたいと思います。
  76. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 漁業権は漁業法にも明確に記載されておりまして、いろいろ種類がございますけれども、それは当然、漁業権の免許に基づいて沿岸漁業者が漁業をやる、いわば漁業を行なう場合の基礎でございます。土地に準ずるものとして、権利としては相当大きいものというふうに考えているわけでございます。
  77. 沢田実

    ○沢田実君 その漁業権は漁業組合にあるのか、個人にあるのか、その辺についてはどうでしょうか。
  78. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 漁業権は漁業権の種類によりまして当然漁業協同組合に免許するものがございますし、また、個人に対して免許するものもあるわけでございます。
  79. 沢田実

    ○沢田実君 個人の漁業権に対する補償、これは個人のいろいろなことを基礎にして算定されるんだろうと、こう思います。それで、その漁業協同組合が漁業権を持っている。しかし実際に営業するのは漁民でございますので、その漁業権を行使する権利が漁民にあるわけです。漁業補償は、その協同組合が持っている漁業権に対する補償であるのか、漁業権を行使する組合員に対する補償であるのか、その辺についてのお考えはどうでしょうか。
  80. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 漁業補償が漁協の持っております漁業権に対して行なわれる場合は、もちろん形式的といいますか法律上の問題といたしましては、当然、漁協に対する漁業権補償という形になるわけでございます。しかし実態といたしまして、漁業権が漁業協同組合に属します場合にも、多くは、漁業権の行使規則というものがございまして、それに基づいて関係者といいますか、組合員が漁業権を行使いたしておるわけでございますから、漁業権が補償される実態といたしましては、当然、漁業権を行使する漁民が考えられる、そういうことでございます。したがいまして、漁協が漁業権の補償を受けました場合に、漁業権を行使いたします漁民が、当然、漁業協同組合から漁業権が行使ができなくなったことに対する補償を得るわけでございまして、それは漁協と組合員あるいは行使者との関係ということになるわけでございます。
  81. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、漁業補償をする側においては、個人の漁業権に対しては個人という考え方、それから協同組合の持っている漁業権に対しては協同組合に対して補償するんだと、その配分については全く組合員の自由だと、こういうふうなお考えでしょうか。
  82. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 組合員が漁業権の補償に対する、いわば分配金を受けます場合のルールでございますが、これは私どもいろいろ県の水産課長あるいは水産部長等々と会議を持って相談をする機会があるわけでございますけれども、当然、漁業権の補償が行なわれるルールがあるわけでございますから、それに準じて各組合の実態——これは漁業権が補償されるルールそのものによりまして各個人個人に分けるということは、これはその地方地方の実態によって多少の摩擦もあるわけでございますから、漁協の中の実態をにらむことと、それから漁業権が補償されるルールということの二つを頭に置いて、適正に配分をするようにという指導をいたしておるわけでございます。
  83. 沢田実

    ○沢田実君 水産庁では、そういうふうに補償ルールがあって、それで民主的に配分するように指導していると、こうおっしゃっていますが、先ほど申し上げました名古屋の例を具体的に二、三申し上げてみますと、漁業補償というのはおそらく漁業をやっている人が補償を受けると、こういうふうにわれわれ考えているわけですが、漁業組合の組合長あるいは組合の職員、こういう人たちも漁業補償を受けるのが適当かどうかわれわれは疑問を持っております。これは実際問題、理事長も漁業を営んでいる専業の漁業者と同じだけの補償を受けております。そこに働いている事務員も同じように相当額の補償を受けております。しかもその算定については、同じに入社した同じような女子職員が、片方は二百万円、片方は百万円というような、端数はついておりますけれども、その算定は一体何を基礎にして行なわれたんだろうかというような金額が支給されております。しかも漁業を営んだ経験のある人でさえ六十万円ぐらいしかもらってないのに、組合長は一千万円ももらっているというような、何を基礎にして配分したんだか全くわからないようなことが実際に行なわれております。まあそういうようなことなんですが、そういうふうに組合の、漁業を営んでいるいわゆる漁民でない人が補償を受けるというようなことについては、水産庁はどんなふうにお考えでしょうか。
  84. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 漁協の組合長あるいは職員が漁業補償がもたらされるような、いわば漁場の壊廃ということによりまして、漁協が解散され、職を離れるという場合の処置は、一般に職員で申し上げますれば、退職金あるいは退職金の引き当ての問題として処理されるのが普通でございます。ただ場合によりまして、漁協がそれですっかりなくなるという場合に、そういういわば一種の組合の直接関係者に対する廃業の手当というような意味で、それが漁業補償の内容として行なわれるという場合も間々あるようでございます。また、それがございません場合でも、この私どもが調べた限りでも、この下之一色の漁協につきましては、そういう廃業手当というものは漁業補償の中に含まれておらなかったようでございますが、そういう場合でも、組合のいわば総意としてそれが行なわれる場合が私はないことはないというふうに思います。したがいまして、これが退職金の一部として支払われることは、絶対に悪いということではございませんで、むしろ組合の民主的討議の過程を経て、いわば公開された場所で十分議論をされて、組合員の納得が得られているという状態であれば、私は必ずしもそれは悪いことではないというふうに思います。これも、漁業補償を一般に配分する場合に、どういう条件で行なわれたかという問題に帰するのではないかというふうに承知いたしております。
  85. 沢田実

    ○沢田実君 この名古屋の問題は、具体的に一つ一つ議論する考えはございません。ということは、現在民事裁判中でございますので、それはそれとして、これ以上申し上げませんが、いま長官がおっしゃったような状況のもとに、こういうことが行なわれているわけではないわけです。しかも四十一年から裁判が始まって、いまだに第一審も終わっておりません。配分委員会というのがございまして、その記録もございますが、そういうようなことをきめているわけでありません。ただ、その組合長が主張していることは、これは組合といわゆる企業者との交渉によって握り金でもらったんだから、どういうふうに配分しようと組合のかってなんだ、こういうような考え方で組合の責任者が、組合員が納得できないような方法で配分しているところに問題が起こっておるわけです。そういうことが一つ問題点でございますので、また後ほどその点については申し上げたいと思います。  それで運輸省の方、先ほど計算についてはわかりませんが、何年を基準にしてその二百億円の計算をなさったか、過去五年間ということでしたが、昭和三十三年を基準にして過去五年間で計算なさったのか、その点の基礎になる年次について教えていただきたいと思います。
  86. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) 補償契約は三十七年に締結されておりますので、これは当時はいまの新しい基準ができておりませんで、電源開発方式という方式によってやっておりますので——三十七年に契約を結んでございますので、三十六年からさかのぼりまして五年間と、こういうことになるわけでございます。
  87. 沢田実

    ○沢田実君 第一次が昭和三十五年、第二次が三十六年、第三次が三十七年にもらっておるわけでございまして、あなたのおっしゃる三十六年から過去五年というと、三十五年の計算はどうなっておるんですか。
  88. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) いま申しましたのは、三十七年の三十五億円についての計算でございます。したがいまして三十六年、三十五年に補償いたしました金額は、それぞれ一年ないし二年ずつさかのぼっているわけでございます。
  89. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、運輸省としての考え方では三十七年に払った第三次の補償については、三十六年から過去五年間さかのぼっているのだから、三十六年に組合員であった者は全部資格がある、こういうお考えですか。それとも、締結時の三十七年の何月ですか、その締結されたときに組合員であった者は配分を受ける資格があるとお考えでしょうか。
  90. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) 配分の資格については私どものほうではあまりタッチしていないのでございまして、組合全体について補償金を支払うということを考えているわけであります。
  91. 沢田実

    ○沢田実君 水産庁長官にお尋ねしたいのですが、いま話のあった三十七年締結の分につきましては三十八年に支払われているわけですが、三十六年の中卒者——その幹部の子弟について一人前支払われております。ところが、一般の漁民の子弟についてはほとんど支払われていないわけです。ですから、いわゆるボスの子弟だけ三十六年の中卒者にも一人前支払われて、そうでない者は全く考慮しない、こういうふうに全く不公平なことが行なわれております。そういう補償についてはいつ現在の組合員に補償するのだということは、先ほどおっしゃったルールについてはどんなふうにお考えでしょうか。
  92. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) きわめて具体的な問題として訴訟の対象になっておることでございますので、あまり具体的な論評を差し控えることがよろしかろうと思いますけれども、組合が補償を各人にいたします場合に、当然、組合員である事実とそれから組合員であったことの期間の長短、そういうことが補償金を決定する場合の一つの要素になるだろうというふうに考えております。
  93. 沢田実

    ○沢田実君 長官がそういうふうなお考えを水産庁なら水産庁として通達を出すなり、あるいは補償額を決定するについては、閣議決定の要綱が出ているわけですから、配分についてもこういうふうな基準に従って配分をしたいというようなことをおつくりになることが私は大事じゃなかろうか、こう思います。  それで、いま長官が答弁してくださったようなことが各組合で行なわれていれば問題ないわけです。組合の中には、不満がほとんどなく、まことに調子よく配分が行なわれているところも若干ありますが、私が調べた範囲内では、問題の起こっているところと起こっていないところと半々くらいのように見ております。ですから、たとえば名古屋の例を申し上げましても、二百億の補償額の中で民事訴訟を起こしたのが数組合ございました。ほとんどの組合は、長い間訴訟するには金もかかりますし、これは和解をしてしまいました。一つの組合だけが、非常にはなはだしいところがこうしていまだに争っているわけです。しかし、長い間の争いにはどうしても漁民のほうが弱いわけです。ですから、水産庁としては漁民を守っていく立場にもありますし、指導監督の立場にもありますし、全国的に行なわれる今後の漁業補償については、こういう問題が起こらないように、円満な配分が行なわれるように配慮すべきであろう、私はこう思います。  そこで、実はきのうも東京湾に参りましたが、非常に航行船舶がたくさんになりまして、東京湾はもう満ぱいの状態だ。そこで、あそこにあります第一海堡、第二海堡、第三海堡のこと等が問題になりまして、第三海堡を撤去して航行が安全にできるようにというような説明も実はございました。ところが、そういうことを考えますと、まず問題になりますのが漁業補償の問題です。ところが、先ほどお話がございますように、漁業補償の決定額については全く水産庁はタッチしていない。配分についても、いままでの経過をお聞きしてみますと、何ら発言する機会がなさそうに思います。特定の問題が起きて、県から特に連絡があれば、それに対して答弁をするというようなことですが、愛知県のごときは、これだけの問題が起きていながら水産庁のほうに報告になっていないようです。皆さんに聞いてみますと、実際に県庁に行って、こういう問題だから何とかしてくれと、再三訴えておるようです。どうにもならないので裁判に訴えておるのが事実のようです。ですから、いまのような体制では、全く水産庁としては、漁業補償については総ワクの決定についても、配分についても全く関係していない、こういうふうにしか私には考えられません。あるいはまた、伊勢湾等におきましても、工場誘致をして、次から次へと埋め立てが行なわれております。工場ができますと、また海岸をよごしてまいります。そうして漁獲高が少なくなると、また漁業補償をする。また工場が進出をしてまいります。こういうわけで、企業の進出と漁業補償とは、これはもう  いつも問題になることなんですが、そこで、特に水産庁としては、私どもは、漁民を守っていく立場に立たなくちゃならないのではないか、こんなふうに考えます。そこで原子力発電所ができれば——静岡県の浜岡でもいま盛んに漁業補償が問題になっております。そういうふうに港をつくるにしても、工場をつくるにしても、何にしても漁業補償がいつも問題になります。そういう中で、いまのような水産庁のあり方ではたしていいのかどうか、私は疑問に思うわけです。水産庁長官はどういうふうにお考えになりますか。
  94. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 漁業補償の事例は、四十一年から四十四年までに二百二十件ほどございますけれども、どうもそのうちの半分もえらい紛争の種になっているものではないであろうと思います。それから漁業補償という事柄自体は、実は漁民が進んで漁業をやめたいということではございませんで、いろいろの事情で漁業をやめざるを得ないということでやめるわけでございますから、心中はなはだおもしろくない悲哀の情もありますわけで、この問題がこじれることも、一つは、私はそういうやむにやまれない気持ちがあるということだろうと思います。  それから漁業補償に対する水産庁の態度でございますけれども先ほども申し上げましたが、水産課長あるいは部長等の会議のあらゆる機会をとらえまして、たとえば、漁協に配分委員会等をつくってオープンでやってくれと、だれかの恣意によってかってに配分そのものがきめられることがないようにしてほしいということを再々申し上げているわけで、漁業補償について水産庁がいわば何もやっておらない状態ではないというふうに思います。ただ、全体としての補償の額は、これは先ほど運輸省のほうからお話がありましたように、いわばルールがございますけれども、漁村の中でどういうふうに配分するかということを中央がきっちりきめるということは、これはかえって実情に合わない点が私はあろうということで、差し控えているわけでございます。ただ、これから漁業補償の問題はいろいろ出てくるわけでございますから、私ども十分研究をいたしまして、一つのぴっちりこれによるという、そういう意味の基準ではなくても、たとえば、漁業補償金を個々に配ります場合に、組合員であるか、準組合員であるかということも、おのずと一つの要素でございましょうし、組合員であることがどのくらい長かったか、ごく最近入ってきたかどうかということも、考慮すべき要素でございましょうし、どれくらい魚がとれるか、あるいはどの程度漁業に依存しているか、あるいは漁船なり漁具なりをどの程度持っているか、持っていないかという、そういういわば当然考えるべきこと、それを考えないで個人配分をすれば非常におかしいということが確かにあるわけでございますから、私ども十分研究をいたしまして、先ほど申し上げましたように、配分委員会等をつくってまずオープンにやるということと、それから配分をする場合に、そういう事情を考えて、公正に配分すべきであるという、そういう趣旨の指導といいますか、通達を早急に検討いたしたいというふうに考えております。
  95. 沢田実

    ○沢田実君 長官がここでそういうふうに御答弁になりますと、水産庁としては非常におやりになっているように聞こえます。ところが、実際問題そういうふうにおやりになっているのだとすると、ここ数年間民事事件で争っている名古屋のことはおわかりになっているはずなんです。それも私が申し上げて初めてわかったというふうに、事務当局がおっしゃっておるように、こういう問題すら耳に入っていないようですから、さっき、二百の半分も争いはないというふうにおっしゃっておりますけれども、私が聞いている範囲では、二百は聞いておりませんけれども、たくさんの問題が起きていることは事実だと思います。  それで、順序を立てて申し上げますと、まず補償額を決定する場合に、水産庁が参加するかどうか、そこからひとつきめていっていただきたいと思います。
  96. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) これは、先ほど運輸省からお話がありましたように、公共用地の取得の方式でありますとか、あるいは電発方式でありますとか、すでにやや確立された原則があるわけでございますから、それに従って全体としての漁業補償を考えるということは、これは当然でございます。それ以外に、特に水産庁として新しいルールをつくって、それで指導するというふうには現在のところ考えておりません。  ただ、私が申し上げておりますのは、全体としての漁業補償がきまりました場合に、個々人にどういう配分をするかというその時点につきましては、いままで水産庁が無為無策で何もやっておらなかったというふうには私は思いませんけれども、さらに漁民のために心を尽くしてこの問題の処理に当たりたい。その内容といたしましては、配分についてのいわば手続に関する事項と、それから個々人に配分額を決定いたしました場合に考慮すべき事項と、その二つを通達等をもって明らかにすることを至急検討いたしますというふうに申し上げておるわけでございます。
  97. 沢田実

    ○沢田実君 確かに電発方式あるいは閣議決定の要綱はできております。だが、先ほど申し上げましたように、たとえば一つの組合に対する補償額をきめる場合に、その組合の漁獲高というようなものははっきりしないわけです。水産庁の統計と県の統計と組合の統計と、みな違うわけです。そこで、両者が話し合って額をきめるということにならざるを得ないわけです。これをただ、たとえば東京湾なら東京湾の例を考えますと、神奈川県あるいは千葉県、そこに企業者のほうとのいろいろなことがあるわけですけれども、いろいろな漁業権が入り込んでおりまして、第三海堡一つ取るにしても、その漁業補償の額の決定については、なかなかたいへんな問題だと思います。その補償額の決定について、水産庁は全く参加も何にもしないのだ、いわゆる企業者と漁業組合とできめて、それでやむを得ないのだ、要綱をきめてあるのだからそれでいいじゃないかということではたしていいかどうか。  それから、先ほど申し上げましたように、埋め立てをしまして、そこに新しい工場ができますと、廃液を出しまして海がよごれます。いままでいわゆる漁業者があげておった漁獲高というものは年々減ってまいります。そうして減ってきたところでまた工場を拡張するから漁業補償だと、こう言われる。だから、漁民はいつも海をよごされて漁獲高が少なくなったところで漁業補償を約束されて、みんな海をつぶされてしまう、こういうことが繰り返されております。そういう段階で、はたして企業者と漁業組合だけの交渉で補償額をきめていくのが、それがはたしていわゆる漁民を保護するということになるのかどうか。そういう点で私は、補償額の決定について水産庁が何か発言する機会を得ることが大事じゃないか。長官がそんなことを言っておったのでは、運輸省なんか入ってくれるなというにきまっています、水産庁が入ってくるとうるさいから。私は入ってきめるのが一番いいんじゃないかと思います。  それでは漁民の立場に立った場合、非常にかわいそうじゃないか、こう思うわけです。もう一回その点、長官のお考えはどうでしょうか。
  98. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 漁業補償の問題は大小いろいろありますけれども、相当大きな場合につきましては、当然、企業者と漁業協同組合の話し合いだけではなくて、県が中に入るのが通常でございます。そうして県が中に入りましていろいろ問題がありました場合に、水産庁に相談があることも普通でございます。私が申し上げておりますのは、そういう状態を非常に変えて、まず水産庁が乗り出すというふうに、そういうふうにしないことがいいのではないかということで、私は企業者と漁協だけの話し合いで、いわばそういう力関係だけでこの問題がきまるというふうには考えておりません。もしそうでありますれば、これは水産庁として当然何らかの措置をとるべきものであろうと思いますが、県が中に入って公正妥当なところで大体きまるというのが普通でございます。
  99. 沢田実

    ○沢田実君 そういうふうに県の水産課等が水産庁と連絡をとってやれば、愛知県の問題なんか、これは起こらないだろうと思います。そうなっていないところに問題がありますので、その点を御考慮いただきたいことが一点でございます。  それから、省が違う場合の問題というのはまた複雑なわけですが、水産庁、それから企業者が農林省というような、八郎潟の例なんかを見てみましても、やっぱり問題が起きまして、不平が出まして、しかもその配分については、県のほうの側の何か審議会かで配分の基本をつくってもらった上で配分してさえ問題が起きている。そこでまた何か農林省と県で若干金を出して、その問題を解決したというような事例もあるわけです。ですから、漁業補償については、私は、そういうふうに各所に問題が起きて、農林省の場合なんかもまた金を出して解決したというふうになっていますけれども、愛知県の場合は、県でも名港管理組合にまかしたのだから知らない。名港管理組合に行けばそれは県のだからわからない。県のほうに行けばてんで問題にならない。だから漁民が悩んでいるのを、水産庁でも知らないでいる。こういうふうな現状を考えますときに、そういうふうな問題が起きた場合に、どこに行けば問題を解決してくれるのか、水産庁で問題を解決してくれるかといえば——いまのままでは不十分じゃないか、私はこう思います。ですから、配分のいわゆる要綱みたいなものを通達なさることはけっこうでございますが、そういう問題が起きた場合に、積極的に水産庁はそれの解決に努力をされるような、そういうお考え方については、長官のお考えはどうでしょうか。
  100. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 漁業補償の問題は、当然、第一義的には県の仕事でございますけれども、県の仕事だからといって水産庁が、非常に問題がこじれたりした場合にほうっておくというつもりはございません。これは十分水産庁の問題として、問題の深浅、複雑さの程度に従って、水産庁は自分の仕事として扱うということも当然あり得るわけであります。
  101. 沢田実

    ○沢田実君 最後に、次官にお願いしたいのですが、名古屋にこういうような事実があります。また、いま長官が答弁されておるとおりで、長官も通達を出してくださるそうでございますけれども、農林省としての、この問題についての御意向を伺いたいと思います。大臣によろしくお伝えを願いたいと思います。
  102. 宮崎正雄

    説明員(宮崎正雄君) ただいま長官からお返事をいたしましたとおりでございますが、本日の御質問趣旨大臣によくお伝えいたしたいと思います。
  103. 森元治郎

    委員長森元治郎君) 速記とめてください。   〔速記中止〕
  104. 森元治郎

    委員長森元治郎君) それじゃ速記を起こしてください。
  105. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと各省にまたがるような問題になりまして、たいへんお手数をわずらわして出席をいただいたわけでありますけれども、これから質疑をさしていただきたいと思います。  最初に、非常に大綱的なことでありますけれども建設政務次官あるいは農林政務次官が御出席でございますので、法律的な解釈は別として、運用の問題で、どういうお気持ちでいらっしゃるか、それをまず冒頭にお伺いをしたいわけであります。  御承知のように、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、この第三条に「各省各庁の長は、その所掌の補助金等に係る予算の執行に当っては、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに特に留意し、補助金等が法令及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」、二項にそれと裏表のことが規定されておりますけれども、この第三条について、両政務次官から、補助事業の運用にあたっての特に留意しなければならぬ、特に第三条の解釈をどういうふうになさっているか、この点を冒頭にお伺いしておきたい。
  106. 宮崎正雄

    説明員(宮崎正雄君) 補助金が交付されております事業につきましては、ただいまお話がございましたように、われわれはその法律の趣旨にのっとりまして、その交付の目的が十分に達成されますように、適切な指導を一そう強化してまいりたいと考えておるのでございますが、もし補助金の使用ないし事業の運営が補助の目的を逸脱し、あるいは補助の条件に違反すると認められました場合は、状況に応じまして、補助金の全部または一部の返還を命ずる等の適切な措置をとりまして、法律の趣旨を貫徹いたしたいと、こう考えておる次第でございます。
  107. 田村良平

    説明員(田村良平君) お答えいたします。  御指摘のとおり、補助金の交付にあたりまして、それが目的に合致するように公正に適切にこれは運営されるのであります。したがいまして、建設省といたしましても、これらの問題は御意見のとおり、また、法の定むるとおり、厳正に公平に目的達成に完全に使用するということがたてまえでございます。
  108. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、香川県の津田町——詳しくは香川県大川郡津田町に所在いたします農事組合法人大仙農事組合にかかる小規模草地改良事業ですか、この補助事業について、並びにそれに関係をいたします俗に上野線と称しておりますが、志度町町道の補助に関する件、これを中心にして質疑をしてまいりたいと思うわけです。  ただ、私このように補助金の問題を取り上げますけれども、国の補助事業が地方の、特に開発のおくれた地域の道路なりあるいは産業なりに非常に有効な結果をもたらしていることを否定するものではありません。しかし、一部にいま私が申し上げたような、また、この法律の第三条に規定するような精神が欠けている補助事業もあるのではないか、こういう心配で特にこの問題を取り上げてお伺いをするわけでありますが、そういう意味で、まず最初に農林省のほうからお伺いしたいのですが、この当該の大仙農事組合にかかる小規模草地改良事業の概略を御説明いただきたいと思います。
  109. 太田康二

    説明員(太田康二君) 本地区の事業実施について簡単に概略申し上げますと、御承知のとおり、これは先生が御指摘になりましたように、小規模の草地の改良事業でございますので、まず事業実施に至る経緯といたしまして、昭和四十二年度に香川県が小規模の草地改良調査計画を実施いたしたのでございます。そして、その調査結果に基づきまして事業主体、これは御指摘の大仙農事組合になるわけでございますが、実施主体は小規模草地改良事業計画を樹立いたしまして、昭和四十三年度事業申請をいたしたのでございます。そこで、四国農政局長事業計画の内容を審査いたしまして、当該計画が適正なものと認めまして、昭和四十三年の八月一日に香川県知事からの事業の承認協議——これは一応、県知事が事業を認めまして、農政局長と協議をいたすことになっておりまして、この協議に対しまして異議のない旨の回答をいたしておるのでございます。  昭和四十三年度に単年度事業事業を実施いたしまして、総事業費が四千百二十六万円、このうち国庫補助が千八百十六万九千円ということでございまして、一応、当初計画がだいぶ大きな計画であったわけですが、事業の実施の段階に至りまして、若干、規模の縮小がございまして、草地の造成面積が四十五ヘクタール、それ以外に牧道、雑用水、障害物避難舎、監視舎等の設置もいたしておるのでございまして、牧場の計画といたしましては、利用家畜といたしましては乳用牛が二百五十頭、それから肉用牛の関係を百頭ここで放牧利用をするということでの計画になっておるのでございます。
  110. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは四十三年度事業になっておりますが、会計検査院の方いらっしゃいますか。——この当該事業についての実地検査はなさいましたか。しませんでしたか。
  111. 田中稔

    説明員(田中稔君) 昭和四十四年の五月二十日に実地検査をやっております。
  112. 二宮文造

    ○二宮文造君 その実地検査をなさって、当該事業について、事業の申請とそれから現状と特にどういう点で変わっておったかということを、もし、そういう点がありましたら、ここで述べていただきたい。
  113. 田中稔

    説明員(田中稔君) ただいま申しましたとおり、四十四年の五月二十日に検査をいたしたわけでございますが、この検査で、私どもは口頭で注意したわけでございますが、その第一点といたしましては、三百五十頭の牛を入れるという計画に対しまして、実績がそれほど進んでおらないからということが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、草地の中で牛に水をやります給水の施設がございますが、給水槽のモルタルが不足しておる、それから基礎のフーチングの厚さ、鉄筋量に一部不足がある、だからその点を手直しするようにというのが第二点の指摘したところでございます。  それから第三点といたしましては、水道の配管の位置が設計より若干相違しておるということでございましたので、この点も指摘してございます。  以上三点、現地において指摘した次第でございます。
  114. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと聞き漏らしましたけれども、計画の飼育が、三百五十頭の計画が進んでないというのは、把握をされた当時においては何頭ぐらい飼育されておりましたか。
  115. 田中稔

    説明員(田中稔君) 実は計画に対しまして実績がそれほど進んでないという事実は確認いたしましたですけれども、正確に何頭入っておったかというところまでは確認してございません。
  116. 二宮文造

    ○二宮文造君 もう一点お伺いしますが、当時この当該地域付近に別の施設がつくられるというようなことを小耳にはさみましたか、はさみませんでしたか。
  117. 田中稔

    説明員(田中稔君) そういう事実もございませんし、うわさも全然耳にいたしませんでした。
  118. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、今度は農林省のほうにお伺いしますが、いま国庫補助を千八百十六万九千円と、こうおっしゃいました。県費の補助が四百十二万三千円ございますが、これも農林省のほうは御承知だと思いますが、どうでしょう。
  119. 太田康二

    説明員(太田康二君) 県費補助は、先生御指摘のとおり四百十二万三千円でございます。
  120. 二宮文造

    ○二宮文造君 さて、それで、私のほうから、これはちょっと補助事業としてうまくないのじゃないか——現地の事情を私も見ました。そしてそれをこちらのほうに持ち帰りまして、農林省畜産局とも接触を持ちながら今日まで約一カ月を経過したわけでありますけれども、その間に本省のほうからも、大事な問題だというので調査もなさったと思うんですが、いわゆるその計画とそれから現状と食い違いが出てきているおもな点について御指摘をいただきたいと思います。
  121. 太田康二

    説明員(太田康二君) まず計画の段階で面積が四十五ヘクタールを草地造成するということで、ヘクタール当たり収量が四十五トンという計画であったようでございます。この点につきましては一部改廃等がございまして、実績は四十四ヘクタール、ヘクタール当たりの収量は大体四十トンということに相なっておるようでございます。  それから、家畜の飼養頭数でございますが、先ほども触れましたように、当初の計画では三百五十頭放牧するということでございましたが、その内訳を申し上げますと、搾乳牛が百五十頭、乳用の育成が百頭、それからいわゆる乳用牡犢でございます——乳用のホルスタインの雄子牛でございますが、これの肥育が百頭という、合計で三百五十頭ということになっておったのでございますが、現在飼養されておる頭数は搾乳牛が四十二頭、乳用の育成が二十一頭、乳用牡犢が百九頭、合計百七十二頭ということで計画と食い違いがあるようでございます。
  122. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと、牧道の問題とか、それからその他リフトの問題とか——私、説明しましょう。  その牧場に隣接をしまして、通称ナショナルハイランドというレジャー施設が完備いたしました。私思いますのに、こういう草地を造成して、そして放牧をする、そういう地域に不特定多数のお客さんが来るバスをそこへ引っぱり込んでくるようなレジャー施設は、いうところの畜産の振興とはうらはらになるのではないか、また、牧場の対象地の中のちょっとやや高地にわたってのリフトをつくって、そこへまた客を運ぶ、要するに畜産振興なのか、あるいはレジャー産業としてこの地域が伸びていくのか、いまやその性格が非常にあいまいになっております。それとの関連で御説明願いたい。  また同時に、大仙農事組合の設立当時、つい最近までの代表者はだれか。それからレジャー産業をやっている会社の代表者はだれか、これをお伺いしたい。また、その代表者の略歴はどうか、御承知ならばお伺いしたい。
  123. 太田康二

    説明員(太田康二君) 順次申し上げますと、この事業実施主体は、先ほど申し上げましたように農事組合法人の大仙農事組合というものでございまして、事業実施当時は大山政行という方がこの組合長であったようでございますが、四十五年二月から松下一という人にかわっておるようでございます。この農事組合法人の設立は昭和四十一年十一月二十一日というふうに承知をいたしております。  それから、先ほど先生からもお話がございましたが、牧場の現況を見てまいりますと、現在草地改良事業の実施地区内に常磐総合開発株式会社、これは代表取締役は当初の農事組合法人の組合長でありました大山政行氏であるようでございますが、観光センターをつくられまして、これが四十五年四月二十六日に完成して営業をしておる。その中に高原の温泉とか、ナショナルハイランド——子供の遊園地、屋外ステージ、ロッジ、リフト等がつくられておるようでございます。  それから、そういったことがございましたために、観光施設用地といたしまして造成草地が一部転用されまして、なお牧さくの一部につきましても撤去されて、牧道の幅員も当初四メートルのものが六メートル程度に拡幅されているというようでございます。私たちの現在までの調査によりますと、造成草地の転用はロッジの用地としまして約〇・一五ヘクタール、それからこの観光施設の駐車場、それからここに至るまでの牧道として設置されました道路の道路敷として拡幅いたしておりますから、その関係で約〇・七〇ヘクタールくらいが先ほど申し上げましたように転用されておる。それから牧道の関係でございますが、先ほど申し上げましたように拡幅が行なわれておりまして、約三百メートルの起点に料金徴収所を設置いたしておりまして、ここで入場料を徴収しておるようでございまして、これは観光センター内の催しものにより料金が異なっておるようでございますが、料金を徴収しておる。それから雑用水施設を草地造成事業に合わして実施をいたしておるのでございますが、この水につきまして一部、観光施設のほうで利用をいたしておるというふうに聞いております。  それから家畜の放牧の状況は、私たちの調査によりますと、先ほど申し上げましたように搾乳牛が四十二頭、育成牛が二十一頭、それから乳用の牡犢が百九頭、合計百七十二頭ということでございます。  それから草地の状況でございますが、若干の地点で裸地等があるようでございますが、大体四十四ヘクタール、これは大体四十トンの収穫ということで、草地自体はかなりりっぱに維持管理されているのではないかというふうに考えております。  大体、以上のとおりでございます。
  124. 二宮文造

    ○二宮文造君 略歴を御承知ならば。
  125. 太田康二

    説明員(太田康二君) 何か、大山さんは、かつて県会議員をされておられた方だと、そういうふうに聞いております。
  126. 二宮文造

    ○二宮文造君 十分詳しく御承知だろうと思うのですが、特定の人ですから濁されていると思うのです。県会議員に立候補して二期当選したのですが、昨年の一月にゆえあって辞職をしております。ですから、本来であればいま任期中なわけですね、来年改選になるわけですから。それをひとつ頭に置いていただきたいと思うわけです。  それで、いま、百七十二頭現在飼育している、こういうような話でありますが、これは付近の人の話でございますから私も確証があるわけでもありませんし、また、私が確認をした面もありますけれども、どっかに隠れていたかもわかりませんからはっきりは申し上げられませんが、まあ大体五十頭から七十頭しかいないのではないか。これは世間の話でございますから、確証はありません。そこで百七十二頭といま報告をいただきましたが、確かに係官がいらしたときはいたようでございます。一々数えて、いたようでありますが、それだけでは頭数が正確にいたとはならない。ここ一年あるいは二年の購入飼料からの逆算とか、あるいは農事組合法人が備えつけております金銭出納簿とか、そういうものからはっきりと百七十二頭、いろいろな推移をたどりながら百七十二頭現在いるという傍証もあって、百七十二頭とここで報告をいただいたかどうか、それを確認しておきたいと思います。
  127. 太田康二

    説明員(太田康二君) 実はこの点につきましては七月一日、二日にわたりまして私のほうの係官を現地に派遣いたしまして、確認してきたものでございますが、これはあとから出てくる問題だろうと思いますが、この乳用牡犢に対しましては地方競馬全国協会のほうから管理費の補助をいたしておりまして、そういう関係もございまして、いま先生から御指摘がございましたような作業日誌とか、購入飼料の割合とかいうようなもので、実際に、はたしてどれだけの頭数の肥育をいたしていたかというようなことは、これから精査いたしまして最終的に確定をいたしたい、まあもうちょっと厳密に当たる必要があるだろうというふうに考えております。
  128. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは報告をされました百七十二頭にはそういう傍証はない、今後の確認にまつと、こういうことでございますね。
  129. 太田康二

    説明員(太田康二君) ええ。
  130. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃけっこうです。  いま畜産局のほうから説明をしていただいたこと、これは一つ一つが大きな問題をかかえているわけです。ただ私、一つ答弁がないんですが、牧場のまんまん中にリフトを渡す、これがはたして牧場経営にじゃまにならないか、あるいは牧場のまんまん中をレジャーセンターに入ってくるためのバスが、あるいは乗用車がどんどん入ってくる、これが牧場経営の支障になるかならないか、この二点についてお考えを伺いたい。
  131. 太田康二

    説明員(太田康二君) リフトの問題は、われわれが計画いたしておりました草地改良の計画地区には入っていなかったというふうに承知をいたしております。  それから、リフトがあり、牧道が拡幅されて観光道路になり、そのために自動車がレジャーセンターにどんどん入ってくるというような問題につきまして、確かに牧場がともするとそういった観光施設と結びつきやすいというようなことがありまして、われわれもその点には日ごろ注意を払っておるのでございますが、確かに家畜の衛生等の問題につきまして問題がなきにしもあらずというふうに考えておりますが、そのことが直ちに牧場経営に非常な支障を与えるというようなことはなかろうというふうに現段階においては考えておる次第でございます。
  132. 二宮文造

    ○二宮文造君 農地局長が見えているようですからお伺いしますが、このナショナルハイランドの建っている、建築されている土地というのは元開拓農地です。開拓者に売り渡されて、そしてまた今度は大山氏個人にも売り渡された土地の上に建っているようでありますけれども、この農地が、あるいはいまの草地がこういう施設に転用されたについて、いわゆる所定の手続をとって転用されているという報告がありますか、あるいは無断転用ですか、この点をお伺いしたい。
  133. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) ただいまの点でございますが、県からの報告によりますと、約二・七ヘクタール程度の転用があるようでございます。無断で転用されているようでございます。それにつきまして県のほうからたびたび成規の手続をとるようにという注意を与えているという状況でございます。
  134. 二宮文造

    ○二宮文造君 ここにも問題が残っております。それからまた、その牧場自体にもいまおっしゃったような問題が残っております。リフトが牧場経営に対して支障はない、あるいはいまの牧道が観光道路になっていることが牧場経営に直ちに支障はない、こういうお話でありますけれども、所定の三百五十頭の頭数になってまいりますと、いまおります地域だけではとうていこれはもう飼育できないわけでありますから、計画どおりのことになりますと非常に支障を来たしてくる。これはひとつ当然お考えにならなければならぬと思うわけです。現在ならば巷間五、六十頭、七十頭くらいといわれておりますから支障がないかもしれませんが、その点を踏まえていただきたい。  牧場については以上でございますが、あとでまた出てまいりますから、ここで次の問題に入ります。  これは建設のほうへお伺いしたいのですが、この観光施設——その前に農林にもう一ぺん戻ります。  開拓財産というのがございます。たとえば開拓地の開拓道路——開拓農道と称しておるそうでございますが、この開拓農道は国有財産だと思いますが、この管理なり運営なりについてはどういうシステムになっておりますか、お伺いしたい。
  135. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 御指摘の開拓財産の管理、維持、あるいは保存ということになるわけでございますが、これにつきましては農地法の第七十八条の二項、それから施行令の十五条の規定に基づきまして、都道府県知事がその管理をするということになっておるわけでございます。
  136. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、毎期、国有財産の増減の計算書が出てまいりますが、その計算書の中にはその開拓財産も含めて報告されるんでしょうか、されないんでしょうか。
  137. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 総括的には、もちろん農林省は管理をするわけでございます。そういう年々の変動は全部報告されて記帳されておるわけでございます。
  138. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと一県知事に管理をさせておる、また、国は国有財産の増減について総括的に報告をすることになっておるとしますと、農林省にもそういう開拓財産の台帳がなければいけないと思うのですが、その台帳は備えつけてありますか、ありませんか。
  139. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 個々の地区の台帳はございません。農林省に総括をいたしました台帳があるわけでございます。
  140. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、大体開拓農道というのは通常は僻地です。管理責任者である県知事といえどもなかなかその管理の手は届かないと思うのです。そのせっかく設置された、つくられたそういう開拓農道が、その付近の住民、あるいは故意にする人によっていつの間にか道路がつけかえられたり、あるいは自分の敷地の中に取り込まれたり、こういうような、県知事も承知しない、あるいは農林省も承知しない、こういうふうな事件が出てくるのではないか。国のほうに台帳があり、そうして常に管理者である県知事と連絡をとりながら管理をしていきますと、そういう間違いもないでしょうけれども、国には総括的なものしかない。個々のものは県には置いてある、県知事に管理さしておる、それではたして毎国会に提案されます国有財産の帳じりが正確なものと私思えないと思うのですがね。これはどうでしょうか、具体的な事実はあとで申し上げますが……。
  141. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 御指摘のように、また私先ほど答弁申し上げましたような管理の実態になっておるわけでございます。現在こういう地区が全国で約一万一千五百地区にわたっておりますので、御承知のようになかなか目が届かないという面もあるかと思います。そのためにわれわれといたしまして、県のほうに実地検査の旅費等も配分いたしまして、できるだけそういうことのないように措置をしておりますけれども、何しろ僻地にあります小さな道路でございますので、確実に本省のほうでどこの地区のどこがどういうふうになっておるというふうにまで把握がしにくい、そのために県知事のほうにその辺は委任をしておるというかっこうになっておるわけでございます。
  142. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで具体的な問題を続けてお伺いしたいのですが、先ほど畜産局長から、牧場の入り口にゲートをつくってそこで入園料をとっておる、こういう話がありました。牧場の入り口にゲートが建っておる、そこで入園料を払わなければ中へはいれない。しかし、それから通ずる道は開拓農道であったはずですが、現在も県が管理しなきゃならぬ開拓農道であるはずなんですが、その実態をお伺いしたい。何メートルの開拓農道がありましたか、幅員と……。
  143. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) この開拓地は、先ほど最初にお話がありました津田地区という名前で二つに分かれておるわけでございますが、御指摘の場所のほうは上野工区のほうで三千三百七十五平米あるわけであります。道の長さにいたしますと千二百五十メートル、幅は二・七メートルということになっておるわけでございます。ところが、先ほど畜産局長に御質問がございましたように、この開拓道路の一部が拡幅をされておるところと、ほんの少しのようでございますが、約百八十平米ほど花壇になってつぶされておるようなところ等ございまして、実際上開拓道路と拡幅されました牧道とが併用されておるという実情になっているようでございます。
  144. 二宮文造

    ○二宮文造君 もちろんそれは無届け、無許可、違法でそういうふうなことになっているのだろうと思います。これは答弁要りません。違っていたら答弁してください。  それで、開拓農道が二・七メーターで千三百ですか、あったと思う。それを牧道に変えたわけです。したがって、ここに国費の補助として牧道千三百メートルについて三百九万二千円、県費の補助として六十八万七千円ついております。この牧道は開拓農道にも一部なっている。しかも、開拓農道というのは一般公衆用の農道のはずなんです。それをゲートで締め切って、入園料を払わなければ通行させないということは、これは開拓農道は道路法に基づく道路じゃありませんでしょうから、道路法を準用することになると思うのですが、違法だと思います。しかも、この開拓農道に前後しまして津田町の町道、志度町の町道と、こういうように町道がつながっております。要するに、これは巡回の道路なんです。巡回の道路を、牧場の敷地内の開拓農道をこの事業者がかってに取り込んでだれも入れさせない、届けもしないで幅員を広げる、こういう事実が出てきたわけですが、この点については監督官庁である農地局はどうしますか。
  145. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 確かに御指摘の開拓道路は一般の農民の道路でございますので、特定の人しか入れないというようなことは事の性質からして違反といいましょうか、おかしいと思います。そこで、われわれとしましては、ただいま中国農政局あるいは県のほうに、原状に回復するようにという指導をしておるところでございます。
  146. 二宮文造

    ○二宮文造君 原状に回復するというのは開拓農道と牧道の区別をはっきりしなさいということですか。それとも、ゲートを取っ払えば原状に復したことになるのでしょうか。これはどちらでしょう。
  147. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) ちょっと説明が先ほど不十分でございました。先ほど私説明申し上げました中で、現に開拓道路をつぶしてしまっているところは、そこは原状に戻してもとの道にしなさいということを言っているわけです。それからあとの牧道と開拓道路が重なっている場合でございますが、あの開拓道路がずっと前にできましたので非常に荒れておった、それを別の金なり何なりで補充をするということ自体は、正規の手続をとらなかった点については問題があろうかと思いますけれども、そのこと自体は分けろといってもなかなか無理なことではないかというふうに思います。ただ、いまの有料にしておるということについては非常に問題があるというふうに考えております。
  148. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま牧場の関係地のまん中ですね、いわゆるまん中のことを私はお話をしたわけです。  今度、建設のほうへまいりますけれども昭和四十三年と四十二年の町道改良費として国のほうから四十三年は四百万の事業に対して二百万、四十四年度は二口に分けまして七百五十万、七百五十万、半額が国庫の補助ですから合計七百五十万円の補助を出して町道の改良をした、要するにその牧場に入っていく町道です。いまお話しになった開拓農道は牧場の中にある開拓農道、その牧場に県道から分かれて入っていく約二千六百メートルの町道、これについて九百五十万の補助金を出して町道の改良をしているわけですが、このいわゆる申請の目的、申請者、そういう概略について建設省のほうからお伺いをしたい。
  149. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) ただいま御指摘のありました町道、上野線といっておりますが、町道上野線は県道大串鴨部線という線から分岐いたしまして、ただいま御説明のありました上野地区に通ずる道路でございまして、昭和二十一年から開拓農道として施工され、その後、昭和二十八年に町道に認定された道路でございます。この上野線は昭和四十三年度に、農林省のただいまの御説明のように補助が出まして、草地改良事業を行なっているわけでございますので、その草地改良事業の関連道路ということで志度町長より香川県知事を経由いたしまして、補助の申請がなされまして、昭和四十三年度から特殊改良一種事業ということで採択しておるわけでございます。ただいま先生の御指摘のように、昭和四十三年度には事業費四百万円、これは国庫補助が二分の一になっておりますので、国の補助額は二百万でございます。それで実施しまして、昭和四十四年度には引き続き国庫補助の申請がございまして、最初は七百五十万の補助額であったのでございますけれども事業完了するために、施越し施工とわれわれ通称言っておりますが、施越し工事の申請がございましたので、それを許可いたしまして同額の七百五十万円を補助いたしまして、合計で千五百万円の補助ということになったわけでございます。したがいまして、国庫補助額はその半分の七百五十万で、残余の金が申請者のほうの単独の金ということになるわけでございます。こういうふうにいたしまして、それ以外の負担につきましては町の単独事業として改良をやったように聞いております。
  150. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっとそこでこまかいことをお伺いしますが、志度町の単独事業並びに国庫補助金事業として、この町道の改良をする用地の問題がございます。これはまた別に林野庁にお伺いしますが、その補助を申請します場合に、町から付属書類に予算書の抜粋がつけられてまいりますが、その予算書の抜粋、要するに、こういう事業をいたします、財源はこれでございます、こういう抜粋された予算書が架空のものか誤りのものか、いずれにしても町議会に提案された議案と違うような予算書の抜粋を添付して、そうして補助を申請することはどうでしょうか、妥当でしょうか違法でしょうか。あるいは、この予算書の抜粋というもの、付属書類は必要な書類でしょうか、要らない書類でしょうか、それをお伺いしたい。
  151. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) ただいまの御説明の申請書には、そういう書類は正式書類になっておりませんので、なくてもこれには応じられることができます。従来の補助の場合は、市町村道につきましては国の施策に直接関係のあるものしか現在採択しておりません。したがいまして、特殊立法、たとえば山村振興法とか離島振興法とかあるいは企業合理化促進法であるとか、過疎法であるとか、そういうような法律に基づきまして市町村道の整備の必要になったものと、それ以外には、ただいまの農業関連事業とか、あるいは工業団地の関連事業というふうなことでもって、それに達する道路等につきましては、つまり国の施策に応じたものについては、これは県知事の審査を経まして、知事から申請のあるものにつきましては一応これを認めることにしておりますので、そういう町議会の議決の書類等については、正しい申請書の書類となってはおりません。
  152. 二宮文造

    ○二宮文造君 それじゃお伺いいたします。建設大臣から志度町長に対して補助金交付決定通知書、こういうのが出ております。その「記」に——いわゆる別記です、別記の四の(一)の(イ)の中に、「補助事業等に要する経費の配分を変更するとき、(建設省所管補助金等交付規則別表第一に掲げる軽微な変更を除く。)」と、こうなっておりますが、その場合には、交付の条件は国のほうへ連絡をしなきゃならぬ、こうなっております。そうしますと、いわゆる予算書の抜粋がくっつかないと、経費の配分がどうなるのかということについての判断ができないと思うんですが、それでも予算書の抜粋は必要ありませんか。
  153. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) ただいまの建設省の取り扱いは、適性化法に基づきまして、それぞれ設計書によりまして本省で協議することになっております。したがいまして、その設計書によりまして、たとえば延長が延びたり、あるいは構造を少しよくするような場合に、工費の増ないしは工費の減が起こる場合がございます。それによりまして額の決定を行なっておりますが、したがいまして、ただいまのように、そういう書類を正式には求めておりません。
  154. 二宮文造

    ○二宮文造君 求めてないものがどうして建設省にあるんですか。そちらからいただいた付属資料の中に、予算書の抜粋をくっつけてくるのはどういうわけですか。
  155. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) ただいま書類を、どんなものか調べておりますが、正式にはそういうものを求めておりません。ただいま聞いてみますというと、施越し工事、先ほど申し上げました完了するものにつきましては、当年度と同額までは施越し工事を従来認めておりますが、その施越し工事の、書類といたしましては、参考に取り寄せた程度というふうに聞いております。
  156. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は前もって通知をしてありますから、それが付属資料であるという答弁をすると答弁に困るから、そういうふうに言いのがれをされるのではないかと、これは私の推測ですが、いずれにしましても、志度町から出ている予算書の抜粋は全部事実ではありません。どういうふうに事実でないかといいますと、地元負担金を予算書の中に計上いたしてないのが一件、中にある金額がもうめちゃくちゃなのが一件、こういう申請書のあり方です。なぜ地元負担金を計上しない予算案の抜粋を出したかといいますと、地元負担金をここに載せますと、これは特定の人のための町道であるということがわかるわけです。なぜかといいますと、工事費四百万円、二百万は国庫補助、二百万は受益者負担、町費は一銭も使わない。国は三回にわたって九百五十万の補助をいたしておりますけれども、その残余、町単独でやりますという分まで全部です、国庫補助以外のものは全部、一特定業者の受益者負担金になっております。しかも、いま道路局長の言われたのは、草地造成のためにという、国の政策目的に合致するところに対して補助をつけましたと、こういう話でありますが、その地元負担金を負担いたしておりますのは、御承知だろうと思いますけれども、常磐総合開発株式会社が負担いたしております。  昭和四十四年十二月二十四日に、志度町長とそれから常磐総合開発株式会社の社長大山政行氏との間に覚え書きをかわしました。その覚え書きによりますと、町道上野線改良工事に伴う受益者分担金と今後の町道維持管理について志度町長玉木栄一と、常磐総合開発株式会社大山政行との間に下記のとおり覚え書きを締結する。(一)、受益者分担金について、計二千三百七十五万円(ただし実績一認可金額であって清算金額でない。)、納入期限は昭和四十五年五月末日とする。内訳、第一工区七百五十万円(ただし昭和四十五年度において町より三百七十五万円を返還する。)、これは、いわゆるいま御説明のあった施越し工事として国のほうから三百七十五万円補助金が入るとお返ししましょう、それまではあなたのほうで七百五十万円負担してもらいたい、こういう内容です。第二工区は同じく三百七十五万円(七百五十万円のうち国庫補助金三百七十五万円)、合わせて七百五十万の工区になるわけです。それから第三工区七百五十万円、第四工区四百五十万円。用地買収費四十万円。(二)としまして、町道の維持管理について、上野線完成後の町道維持管理については常磐総合開発株式会社と町が協議の上でこれを決定する。要するに、道路局長おいでになるとわかりますけれども、もう全部山ですから、県道から牧場の上も民家は一軒もありません。開拓者は全部もう離農しました。そうしますと、拡幅をして改良をしてそこを通るのは、草地改良のための車が通るのではなくて、レジャー施設に通うバス、乗用車が通るための道路です。こういう特定の業者、しかも、裏でこういう覚え書きを締結するような特定の業者に、国が町道改良と称して九百五十万補助することがはたして適当な補助事業かどうか、これをお伺いしたい。
  157. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) ただいまの件につきましては、先ほども申し上げましたように、市町村道につきましては、国の施策に重大な関係のあるものしか採択しないのが原則になっております。したがいまして、金も非常に少ない額でございますので、各府県にある程度の額を示しまして、その県内における県知事の裁断のもとでもって、わずか、各県二、三カ所程度でございますが、数カ所程度でございますけれども、知事に一応チェックをしていただきまして、こちらに申請するようになっております。したがいまして、われわれ本省といたしましては、知事の申請を一応チェックいたしますが、その時点におきましては草地改良事業を農林省でも起こすことがわかっておりましたので、これは国庫補助として採択することはいいんじゃないかということで採択したわけでございます。その後、町と、先ほどのレジャーセンターの開設者との関係はどうなっておるか、われわれ実は存じなかったわけでございまして、つい最近になってこういうことがわかったわけでございますが、ただ、先ほどの道路の補助をした場合のその裏負担につきまして一つまり、裏負担と申しますのは道路管理者が負担すべき分でございますが、それにつきましては、通常は道路管理者がみずからの金でもって負担するのが原則になっております。しかし、受益者負担という考え方もございまして、道路法の第六十一条では、その受益者に負担金をかける場合の徴収範囲及び方法などを地方公共団体の条例で定めて取ってもいいということになっておるわけでございます。残念なことに志度町におきましてはそういう条例がございません。志度町に聞きますというと、町議会の議決によって受益者から負担金を徴収したとしているようでございますけれども、たとえ町議会の議決を経てもこれは違法であると言わざるを得ないと思います。まあ本件のような場合におきましては、当初からそういうことがわれわれにわかる場合は、これは決して補助事業として採択するつもりはございません。たまたまあとになって実は判明したようなことでございまして、言うならばこちらの調査が不十分であったということは言われるかもしれませんが、決してこちらがみずからそれに力をかそうというような悪意を持ってやったものでないことは御了解いただきたいと思います。
  158. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですから私は冒頭に、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律をわざわざ政務次官に御解釈を願ったわけです。その第三条には、「公正かつ効率的に使用され」なきゃならぬ。「国民から徴収された税金その他の貴重な財源」を、県知事にまかしてあるから、県のほうから申請してくれば国はめくら判なんですか。しかも、こういう予算書の抜粋をつけながら、その予算書の抜粋には、地元負担金というのを計上しないで、町で、あたかも町費でまかなうような資料を出して、いかにも一般公衆のための町道であるようなていさいをとって申請をしてくる。この町の姿勢、また事実を知っていたかいないかにかかわらず、そういうものを本省に申請をしてきた県の姿勢、それをまたうのみにした本省の姿勢、こういうものに私は納得のできない点が出てまいります。  行政監察局の局長が見えているようですが、私がいま指摘したこういう問題に限って、行政監察局の御見解を伺いたい。
  159. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) お答えいたします。  ただいまいろいろお伺いいたしました範囲では、補助金としては、適正にかつ効率的に使用されたものではないのではないかという疑いが非常に持たれるわけでございますが、私どもといたしましても、現地の監察局がございますので、先週の金曜日に現地に連絡をいたしまして、調査をするように命じておりますので、その調査結果を待ちまして、関係各省とも打ち合わせまして、是正すべきものは是正したい、こういうように考えております。
  160. 二宮文造

    ○二宮文造君 会計検査院は、この町道改修について検査をされましたかどうですか。また、いま道路局長は、補助金を申請するのに、当該市町村予算書は付属資料には要りませんと、こういうことでございますが、財源措置も明確にならないような事業費について、国がそれを補助することが適正かどうか、会計検査院の御判断を伺いたい。道路局長は要らないと言ったんです。予算書はわからなくても補助は出せる、こういう補助の出し方、そういう建設省の姿勢が正しいかどうか、会計検査院の見解を伺いたい。
  161. 中村祐三

    説明員(中村祐三君) 検査の件につきましては、この補助事業は、先ほどお話がございましたように、四十三年度と四十四年度の両年度にまたがっておりますが、会計検査院の実地検査はその四十三年度分だけにつきまして、昨年すなわち四十四年の五月三十一日にいたしております。四十四年度分については、いまのところまだ実施しておりません。  それから第二点の、申請の際の書類の添付でございますが、これは先ほど建設省の道路局長から御答弁がありましたように、そういう資料は必要ないというふうに承知しております。
  162. 二宮文造

    ○二宮文造君 それではその補助事業がどういう財源でまかなわれるか、そういうことは明確でなくてもよろしいということですね。
  163. 中村祐三

    説明員(中村祐三君) ただいまお答え申し上げましたのは、先ほどお話のございました具体的な予算書という付属書類添付の必要はないということでございまして、申請の際には、町費負担分はどういう財源でやるということは資料としてついておるようでございます。
  164. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまの会計検査院の御答弁で、道路局は姿勢を変えますか変えませんか。財源はどういう財源でまかなわれるかということは、補助決定について重要な材料である、こういうような御見解ですが、いかがですか。
  165. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 先ほどの議会の議決の予算書等の必要は相変わらずないと私は存じます。ただ、私どものほうの現在の書類の添付には、申請書には、補助金の地方負担金、自分たちの負担する分をどこから出すかということは摘要に記載されておりまして、この場合には一般歳入と書いてございますが、から負担することになっております。
  166. 二宮文造

    ○二宮文造君 それじゃもっと問題を掘り下げてみましょう。この町道について常磐総合開発株式会社が総計二千三百七十五万円の負担金をする、こういう覚え書きを締結していることは先ほどお話し申し上げたとおりです。そこで、この工事が一体どういうふうになされたかといいますと、昭和四十四年の四月二十七日に一件、これが三百十九万円の工事請負です。これは関係がありませんから、請負業者の名前は出しません。それから昭和四十四年十月二十一日に三件、工事請負をやっております。一つはNとしておきましょうか、N土建が、あとで変更して六百九十八万円の工事請負金額、その次に大讚建設工業というのが請負額百六十九万円で一件、もう一件は観音寺の常磐建設株式会社というのが、これが五百万円、以上三件の工事請負を締結しております。それから昭和四十四年十二月一日に東讚建設——名前が出てしまいました、東讚建設というのが六百八十二万円工事請負をしております。昭和四十五年の三月九日に先ほど申しました大讚建設工業株式会社が二百五十六万円、同じく昭和四十五年四月十七日、大讚建設が四百五十万円、こういうふうな工事請負を志度町とやっております。  そこで、この常磐建設株式会社が五百万円、この常磐建設株式会社は大山政行氏の会社であります、経営する会社であります。奥さんが監査役になっております。それから、三件工事請負しております、百六十九万円と二百五十六万円と四百五十万円、合計約九百万円近くですが、この大讚建設株式会社といいますのは、その社長がいままで大山氏の選挙責任者、選挙参謀としてやっております。こういう非常に関係性の深い業者が、しかも、この大讚建設の場合は、あとの場合は全部工事保証人が連記になっておりますが、大讚建設工業の場合は工事保証人の署名がありません。その辺に私は、この工事自体、検査、あるいは竣工検査が軟弱に行なわれたか、粗雑に行なわれたのではないかというような心配も出てまいります。現実にこの町道は、完了して間もなくこわれております。これは道路局の方が確認済みのはずであります。こういうふうな複雑怪奇な内容を持って、補助目的である草地とは関係のない者が受益者負担を分担する、その申請を志度町長は、予算書にない仮の予算書をつくって副申として県を経由して国に出す。この工事は非常に業者に関係性の深い者が工事請負をやっている。現実にその工事はこわれている。こういう事実をずっと積み上げてまいりますと、この町道改良についての補助事業は誤りではないか。しかも、目的は果たしていない。特定の人のために便宜を供与するにすぎない。こういう事実を私はいま指摘をしておきたい。たいへんなことですよ。公文書偽造ですよ。以上は間違いございませんという一札が入っているんです。読みましょうか。志度町長が添付してきた予算書は、「本書は原本に相違ありません」、こういうただし書きをつけ、町長の名前を書き、判を押して県を経由して本省に来ているんですよ。相違ありませんというのが相違あったらどうします。これは私は、全国にこういう問題があるんではないか、こう思います。ですから、道路局の姿勢を改めてもらいたい。  同じくこの用地の問題につきまして、道路を拡幅する、周囲は国有林です。国有林を貸与を受けなければ拡幅できない。したがって、高松の営林局を経由して林野庁に用地を貸してもらいたいという、こういう申請が志度町長から出ております。この経緯について林野庁からお伺いしたい。
  167. 松本守雄

    説明員松本守雄君) お答えいたします。  拡幅の用地の申請に対しまして、四十四年三月二十四日付、また同じく四十四年十二月十九日付、同じく四十五年一月二十日付で、それぞれその用地を貸し付けの契約をいたしております。
  168. 二宮文造

    ○二宮文造君 申請目的はどうでしょう。
  169. 松本守雄

    説明員松本守雄君) 町道の拡幅工事をするためにということになっています。
  170. 二宮文造

    ○二宮文造君 その理由です。なぜ町道を拡幅をしなければならないか。
  171. 松本守雄

    説明員松本守雄君) 林野庁の所管をいたします国有地につきまして、貸し付けをする場合、国有林野法とその規則によりまして、道路法のいう道路敷——県道とか町道とか、村道、そういうものについては、無償で貸し付けをすることができるというたてまえになっておりまして、通例、町村道、県道でもそうでございます。そういった公道に対しましてはただで貸しておるのが通例でございます。
  172. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは併用林道ですよ、町道オンリーじゃありません。併用林道です。しかも、ここに申請書がございますが、その申請の理由は、「終戦前後ごろ上野開拓地として開発されたのですが、現在さらに牧野に再改造され、二百頭の乳牛和牛が飼育されております。また土地資源の有効利用のため飼養頭数は近く倍増される予定です。」したがって、そういうふうな工事もし、また、産物の運搬のために、いまの幅員ではどうしても足りないから、いわゆる地域開発の意味で貸してもらいたい。こういう申請です。  ここでやっぱり志度町長から予算書を添付しております。これは林野庁の場合は、その町道がどういう財源で拡幅される、そういうことを認定される意味で、これはおたくの場合はどうなんですか、付属資料として必要なんですか、必要でないんですか、貸し付けの契約をする場合に。
  173. 松本守雄

    説明員松本守雄君) 町道の場合は、施行規則によりまして、町議会の議決書の謄本を添えることにいたしております。
  174. 二宮文造

    ○二宮文造君 したがいまして、昭和四十四年二月十七日申請の書類に、予算書の抜粋が添付されておりますが、昭和四十四年二月十七日の日付で、「本予算書抄本は、昭和四十四年二月二十五日開催予定の町議会において更正議決の見込みである。」、こういうただし書きをつけて、予算書抜粋を添付しておりますが、これには、歳入のほうに負担金の計上がありません。同じ二月十五日に町議会に提案をされた議案には、二百万円の負担金が計上されております。謄本を添付する必要がある、こういういまの答弁でありますけれども、添付された資料と町議会に提案された予算書とが違っている場合は、林野庁としてはどうします。
  175. 松本守雄

    説明員松本守雄君) いま、町から添付されました議決書の写しと実際に議決されたものが違っておるという先生お話でございまして、その事実をいま調査をしておるところでございます。それが違っておる場合にはどうするかということでございますが、当然その違いを訂正をしていただきまして、手続を追認をするということになろうと思いますが、問題は、無償で貸し付けをしておったという点をいま先生が問題にされておるのではないかと思うのであります。林野庁としては、その町村道が町村の営利を目的とする場合以外は、通例の措置として町村道の貸し付け料を免除いたしております。
  176. 二宮文造

    ○二宮文造君 調査はなさる必要はないです。私ここに議案書を持っております。すでにおたくの係員との間に詳細に照合済みです。また、次の日付で出ている資料を見ますと、次の昭和四十四年七月十五日付で出ておりますそれに添付されております資料を見ますと、そのあとに「本予算書は、去る七月二十一日開催の本町議会において補正議決されたものであります。」と、町長の印が押されておりますが、七月二十一日には議会は開いておりません。補正予算のための第一回の定例会は九月三十日です。町議会で議決もされてないものを、あたかも議決されたような書面を、予算書の抜粋をつくって、そして貸し付け申請書をつくってくるようなこういう町の姿勢というものは一体どうお考えになりますか。決して間違えたんじゃない。こういう言い方をするのは悪いかもしれませんけれども、一部の特定業者、一部の利害関係人のために町が場所を提供したのではないか、これは建設省にも同じことを私は言いたい。こう私は思うのですが、長官のお考えはどうでしょう。
  177. 松本守雄

    説明員松本守雄君) 最初に町の態度につきまして、はなはだそういった事実と違うものを添付したとすれば残念であります。それから、ただ町道である以上一般に私道とは違うわけです。だれでも通ってよろしいと、道路法にいう公道でございますから、町道として申請をされる限りにおいては、国有地を貸し付けをいたしまして料金は取らないということになろうかと思います。
  178. 二宮文造

    ○二宮文造君 どうも姿勢があいまいですね。そうすると林野庁も一蓮托生だというふうな判断になりますね。それでよろしいですか、そういう考え方で。しかも、これは先ほども言いましたように併用林道です。併用林道というのは財産の管理はどこにあるのですか。
  179. 松本守雄

    説明員松本守雄君) これは昭和十九年でございますが、営林局において開設をいたしました林道でございました。それを昭和二十一年に開拓道路として林道の終点から先を開設をいたしております。それからさらに町道に認定をいたしましたのが昭和二十八年、それから併用協定をいたしましたのが四十四年でございます。したがって、併用林道と申しますのは、町村道であるものを国有林で使わしてくれという場合に大体併用協定をするわけでありますが、この場合は認定をいたしましたのが昭和二十八年でございますが、まだ供用を開始しておらなかったということで、逆に町のほうから併用さしてくれと、町道としてその林道を併用さしてくれという申請がありまして、それによって同時に町道としての供用開始も行なわれたということで、同時点で併用協定を結んでおります。
  180. 二宮文造

    ○二宮文造君 私が伺うのは、いわゆる当該の併用林道ですね、これはどこで財産として計上しているのですか。林野庁の財産ですか、町の財産ですか。
  181. 松本守雄

    説明員松本守雄君) これは町道に認定をされますと、町道として管理をしてもらう、林野庁の管理から離れるわけであります。併用の協定の内容は……。
  182. 二宮文造

    ○二宮文造君 財産の計上です、管理じゃない。財産を計上するのはどっちですか。
  183. 松本守雄

    説明員松本守雄君) 町のほうでございます。
  184. 二宮文造

    ○二宮文造君 間違いありませんか、林野庁長官
  185. 松本守雄

    説明員松本守雄君) まことに失礼をいたしました。敷地は林野庁のもので、管理は町でございます。訂正をさせていただきます。
  186. 二宮文造

    ○二宮文造君 いわゆる林野庁の財産、国有財産、道路敷は。よろしいですか。その国有財産を、町と先ほどの常磐総合開発株式会社との間で、でき上がったあとは管理いたしますと、こういう覚え書きをすることは、林野庁としては納得できますか。しかも周囲に国有林があるのですよ。林野庁の道路敷なんですよ。
  187. 松本守雄

    説明員松本守雄君) 林野庁としては土地を町道として貸し付けをいたしまして、しかもそれを併用林道として町に管理をしてもらうという場合は、あくまでもその管理責任は町にございまして、そういった民間——私的な要素が入るのは好ましくない、このように存じます。
  188. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、大体これであらかた問題が出てきたわけです、さらに私非常にこまかくやられていると思うので感心したのですが、草地を造成するという大義名分で農林省から補助を取った。同じく政府資金を預っております農林漁業金融公庫から、当該地を共同担保にして約二千万近い千八百六十何万かの貸し出し金を受けております。さらに、運転資金として香川県の信連から四千万の貸し出しを受けて、これはだいぶ返済をしているようであります。こういうことをやっている。また、先ほど畜産局長からお話があったように、地方競馬全国協会から二百六十七万円ですかの助成金を取っている。しかし問題は、私が先ほど畜産局長に念を押しましたように、はたしてこの土地がまじめに牧場として経営をしていこうとしているのかどうか。現在の状況から判断します限り、そのウエートはむしろレジャー施設のほうにかかって、そのために補助対象事業が荒らされている。開拓農道が締め切られて取り込まれている。あるいは牧場のまんまん中にリフトがあって、いわゆるレジャーの客のための利便に供している。そのために、またレジャー施設のために農地法のいわゆる条文が踏みにじられている。結論として、香川県のほうからはこういうふうな勧告書が出ております。一つは、大仙農事組合に対して、いわゆる小規模草地造成事業としてあなたの態度はよろしくない、改めてもらいたい、さらに常磐総合開発株式会社についても、開拓財産の管理についてよろしくない、開拓財産の維持保存をはかれ、また、大仙農事組合あるいは総合開発の大山氏に対しては、農地法の励行について、また、当該の農業委員会、津田町の農業委員会に対しても、文書をもって、農地法の条文を守るようにしなさい、こういうふうな話になっております。もうすでにこれは口頭で何回も注意はしたけれども、守られない、守る意思がない、したがって、県としては異例のことですが、文書で勧告をしております。しかし、これが巷間問題にならないうちにこういうふうな手だてが打たれたんなら私は納得するんですが、私どもが調査に入って、これは補助事業としておかしいではないかと、県なりあるいは林野庁なり、畜産局なりあるいは建設省なりと交渉を始めて、初めてこういう態度に出てきたわけです。非常によろしくない。  それからまた、こういう事実もあることを指摘しておきます。この牧場の所在地は津田町です、津田町から水が上がっております。というのは、この大仙牧場はもともと水のないところなんです。水がない。だから、開拓者が入ったけれども、営農ができないのでみんな離農してしまったわけです。そういう土地を牧場に当てたわけです。そして牧場の所在地は津田町ですから、水がないものですから、津田町と大仙農事組合とが契約をしまして、一日三十六トンの水を送りましょうと、ただし津田町民の給水に支障があるときにはお断わりします、こういうふうな契約をしておきながら、いまちょっと調べたところによりますと、四月中に——四月中といいますのは、四月二十六日にナショナルハイランドがオープンしたわけです。四月中に二千二百五十四トン、五月に五千六百十六トン、六月に三千七百三十九トン、これだけの水を、大仙農事組合ではなくて、契約者は大仙農事組合なんですが、志度町にあります、このナショナルハイランドの所在地は志度町なんです、ちょっと道をまたがって、志度町と津田町とつながっておりますから、そちらのほうに送水をして、事情を知っている町民の非難をあびております。これはまさしく契約違反です。ですから、ずっと一連をお聞きいただいた皆さん方にはおわかりと思うんですが、大体ここは、この当該土地は、畜産経営には適当でない土地なんです。なぜかといいますと、ここは開拓農民でさえも、たばこを植えようとしてもどうしようもなくて離農したんです。六十一町歩を大体二千五百万ぐらいで買い占めたそうです。これは話ですから私はわかりませんが、牧草をつくったと、牧野をつくったといいますけれども、それは別に山土をのせて、ほんとうに当座の急場しのぎの牧草地帯になっているはずです。したがって、雨が降りまして、だんだんにいわゆる山土が流されてまいりますと、これはしろうとの判断ですけれども、おそらく再び牧草を播種する努力はしないであろう、早晩この牧場はレジャーセンターに変貌していく、あるいはキャンプ地に変貌していく、こういうことが付近でいわれております。もう町道もついた、あるいは水も上がった、レジャー施設もできた、瀬戸内海を見おろすほんとうに風光明媚なところですから、もうこれで二千五百万で買った土地がいまは数億に変わっている、こういうふうに巷間うわさをする人もおります。  ずっと私いま列挙して頭にあることを申し述べたのですが、はたしてこういうことが妥当な補助事業であるか。自治省にお伺いしたい。先ほど建設省に出した付属資料としての、町予算書の抜粋の——これは誤りとしておきましょう、故意とは私言いません、あるいは林野庁に提出した町予算書抜粋の誤り、そういうもので補助金なり土地の貸し付けなり、そういうことが行なわれるのは町財政の運用として妥当なやり方であるかどうか、直接監督官庁である自治省の見解を伺いたい。
  189. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) お答えいたします。  私ども事実をつまびらかにいたしておりませんが、御指摘のようなことでございますと、これはやはり政府に補助金申請あるいは貸し付けの申請とあわせて出される書類に誤りがあるということは不都合なことだと、そういうことのないように私どもとしては指導しておるつもりでございますけれども、とにかく引き続き強力に指導してまいりたいというふうに思っております。
  190. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから林野庁長官にもう一ぺん確認をしておきたいんですが、もし、あの申請書に添付されました予算書に地元負担金が計上されて、その地元負担金が一部の特定業者が負担をするのだと、こういうことがわかった場合でも、あの拡幅の敷地は林野庁は貸与しますか、無償で。
  191. 松本守雄

    説明員松本守雄君) 町道として申請をされ、町道として維持管理をされる限りにおいては、やはり無償として貸与になるわけです。
  192. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでよろしいでしょうか。一般国民は納得できないと思うんです。まあ長官はお忙しいから現地へ行っていただくわけにはいきませんけれども、レジャー施設関係者以外の者は通らないんですよ。だからこそ、町が負担すべきものを全額特定業者が負担したのです。ただ、かっこうは町が町費をもって、町の財源として、もうその地元負担なんか全然伏せちゃって、町費を財源としてやります、形はそういうかっこうだが、実態は一もし実態のまま申請をしてきたら林野庁は貸しますか、実態のまま申請してきたら。これは常磐総合開発株式会社が負担をするのですよ。常磐総合開発株式会社はあそこにレジャーセンターをつくりたい、バスを入れ、乗用車を入れるためにはこれは狭いから町道を拡幅したいのだ、したがって私どもで全部それは負担をいたしますと、こういうふうな実態で申請をしてきたときに、それでも貸しますか。
  193. 松本守雄

    説明員松本守雄君) 先ほども申し上げましたように、重ねて、やはり町道として申請がある以上それを貸し付けをすると、しかもそれは無償であるということには変わりがないわけでありまして、ただその町道が、対象である町が営利事業をやるという場合には、これは無償からはずされることになるのでありますが、町が営利事業としてでなく町道として申請をされる場合にはやはり無償の条項が適用されるものと考えます。
  194. 二宮文造

    ○二宮文造君 その林野庁長官の解釈については、世間は納得しないと思いますね。それはあくまでも表の手続上の問題でして、中身については、もしそれでまかり通ってよろしいということになれば、もう林野庁にいわゆる国有林を管理をしていただくそういう資格はなくなってしまう。ですから、私はくどくは申しませんが、その実態をしっかりと調査をされて、しかるべく町当局なりあるいは特定の業者なりに林野庁としての立場を明確にするようにひとつ御注意を願いたいと、こう思います。
  195. 松本守雄

    説明員松本守雄君) 最後に、いま先生お話もありましたので、林野庁としても調査をいたしましてなお検討はいたしてみるつもりでございます。が、これは営林署長が貸し付けをしておりまして、林野庁まで上がってきていない事案でございます。こういう問題につきましては、今後とも十分注意してやるように指導してまいりたいと思います。
  196. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから農林漁業金融公庫の方、お見えになっておりますか——恐縮です。先ほど私ちょっと一気にしゃべってしまいましたけれども、大仙農事組合についておたくの融資関係、この概略をひとつ御説明いただきたい。
  197. 大澤融

    参考人(大澤融君) 先ほど金額を言われましたが、現状において千八百七十九万円貸し付けをしております。御承知のように、先ほどお話のありました県と農林省とが協議をしてきめた補助事業、その補助裏に対して自己負担部分の八〇%まで融資するということで貸し付けをしております。当初の貸し付け決定をいたしました金額は二千六百九十二万円ということでございましたが、最終的に四十四年の十二月でございますが、洗い出しますときには、先ほども御説明ありましたように、事業の規模の縮小がございまして、それに合わせた金額として先ほど申し上げたものを現在貸しておるわけでございます。
  198. 二宮文造

    ○二宮文造君 窓口は香川県の信連ですね、信連を経由してお貸しになった。また、信連のほうも当初四千万の貸し出しをして現在半分ちょっと過ぎくらいの残高になっているようですが、これも公庫として御存じでしょうか。
  199. 大澤融

    参考人(大澤融君) 香川県の信農連を委託機関として私どもお金を貸しております。この事業をやりますのに、協調融資というか、運転資金としておっしゃるとおりの金を信連からも考えておることは私どももよく承知しております。
  200. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでおたくが担保に取って抵当権を設定しておりますが、共同担保目録の中に入っておりますいわゆるハイランド用地ですが、ハイランドの用地にはすでにレジャー施設が建っていることを御承知でしょうか。おたくの担保設定のとき、根抵当権を設定したときはさら地だったわけです。ところが、その後そこに施設がどんどんどんどん建っている。いわゆる原状が変わってきているということを公庫は御承知でしょうか、どうでしょうか。
  201. 大澤融

    参考人(大澤融君) 私のほうは、ハイランドの敷地のほうは無関係でございまして、融資対象地四十一ヘクタール余り、これに担保を設定している、こういうことでございます。
  202. 二宮文造

    ○二宮文造君 ところが、そうでないのです。ちょっと私の手元に資料がいま見えなくなりましたけれども……。
  203. 大澤融

    参考人(大澤融君) 融資対象地として二百七十六筆四十一ヘクタールを担保に取っておりますが、ハイランドに使われている土地と多少重複したところがあるかどうかということは、ちょっといまここで判明できませんが……。
  204. 二宮文造

    ○二宮文造君 あります。地番ではっきりしております、地番で。ちょっといま私、頭の中にあったのですがね、謄本を取っておりますから、それを見るとわかる。私、いまひっくり返しているのですが、謄本が見えなくなりまして、ちょっとわかりかねますけれども、ハイランドの地番と、ハイランドの建っている地番とそれからおたくが共同担保目録の中に設定しているその地番と合致している。要するに、おたくが根抵当権を設定している土地の上にハイランドの施設が建っているという事実を私、番地で照合して出ております。どういうふうにして照合したかといいますと、県知事にあてて公衆浴場の許可証を申請しております。あるいは、興業場としての許可証を申請しております。知事は認可しております。その地番とそれからおたくが共同担保としてとっている地番と符節を合わしております。そういうことはよろしいかどうか。いわゆる根抵当権を設定したその土地が融資者が知らない間にいろいろなかっこうに変わっていくということは、担保物権を善良に管理していることにならないのじゃないかと思うのですが、この点はどうでしょう。どのように変貌しても根抵当権だけ取っているのだからよろしいという見解でしょうか。どうでしょう。
  205. 大澤融

    参考人(大澤融君) 根抵当じゃございませんで、抵当権の設定でございますが……。
  206. 二宮文造

    ○二宮文造君 え、抵当権。
  207. 大澤融

    参考人(大澤融君) おっしゃるように、私どものほうの承認なしに担保をよそに移譲するとか、あるいは譲渡するとかいうようなことはしないという約束になっております。
  208. 二宮文造

    ○二宮文造君 だから、それがそうなっていたらどうするのですか。
  209. 大澤融

    参考人(大澤融君) そういう義務を果たさないという場合には、特約条項によりまして、事情に応じて、たとえば期限の利益を失わせて償還を求めるというような措置をとることになります。
  210. 二宮文造

    ○二宮文造君 県知事の昭和四十五年四月二十五日、公衆浴場営業許可証(特殊)、この中に公衆浴場の名称、ナショナルハイランド、公衆浴場の所在地、大川郡志度町大字鴨部——カモベと書きますが、カベと読みます。飛ぶカモと書きますが、カベと読みます。五千百八十六の十八。いま私が手元に持っておりますのは大川郡志度町大字鴨部五千百八十六の十八、この地番であります。ここに謄本持っております。その謄本の末尾に、抵当権設定、昭和四十三年十二月二十七日、いわゆるその県信連を取り扱い店として農林漁業金融公庫の抵当権設定がしてあります。番地もあります。ですから、いまおっしゃったその善良な管理という面に触れるのではないか、この点はひとつ御調査を願いたい。
  211. 大澤融

    参考人(大澤融君) これは香川県のことでもありますし、支店で管理をいたしておりますので、私、いまは知りませんが、よく調査をしてみます。
  212. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、いよいよ、もう整理に入りますが、それぞれ行政監察局、会計検査院、建設政務次官農林政務次官あるいは自治省の関係者から、この問題についてるる私の述べましたことについて、総まとめとしてこの対策をどうしていくかということについて御答弁をいただいて終わりにしたいと思います。それぞれお願いいたします。
  213. 宮崎正雄

    説明員(宮崎正雄君) 最初に申し上げましたように、補助事業につきましては、その精神と原則  に基づいて処理いたしたいと思います。本日審議された内容を前提といたしますなれば、これは道義的にも法令的にも相当問題があるとわれわれは考えております。私の感想を申し上げますというと、善意が裏切られたと、こういう感じが非常に強いのでございます。ただし、最初に申し上げましたように、補助金の使用ないし事業の運営が補助の目的を逸脱し、あるいは条件に違反したということが認められました場合には、それぞれその扱いにつきまして法令できめておりますので、したがって、さらに事実関係を明確にいたしました上で、それぞれの法令に基づいて善処いたしたい、こういうふうに考えております。
  214. 田村良平

    説明員(田村良平君) お答えいたします。  ただいまの御指摘を承りまして、私自身も、とんでもない事件だと考えます。政府をだまし、県をだましたか知りませんが、きわめて計画的に行なわれたとするならば、たいへんな問題であると思います。そういうことを考えますと、せっかく国が地方行政に対してあるいは地方自治体に対して、住民の福祉のためにとうとい税金を支出した、それを知能犯的にうまいこと搾取する、とんでもないことであります。建設省としても、この問題にメスを入れまして、現在許されます法令の最善の措置を集めまして、かかる事件を契機として、行政の自粛自戒という点からも、将来を含めてりっぱな行政の道をしくべきだ、かように考えております。したがいまして、最初お答えいたしました国庫補助事業は適正に、効率的に使われるべきだという目的を逸脱するような事件につきましては、徹底的に解明をしなくちゃならぬと考えております。  以上御答弁申し上げます。
  215. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) いろいろ事情をお伺いいたしましたが、先ほどもお答えいたしましたとおり、私どものほうといたしましても現地の監察局に実情を調査させておりますので、その調査の結果を待ちまして関係各省ともよく打ち合わせまして善処したい、かように考えております。よろしくお願いいたします。
  216. 田中稔

    説明員(田中稔君) ただいまの先生お話によりましていろいろ問題があるように思われますので、早急に本年度の会計検査をいたしまして事実の確認をいたしたいと思います。
  217. 二宮文造

    ○二宮文造君 それぞれ御答弁いただきましたが、ただ私冒頭に申し上げましたように、国の補助事業全般がまずいというのでは決してありません。また地方の立場としましては、こういう補助事業を正しい意味で推進をしていただくことが、地域開発に非常にプラスになる。現に香川県あるいは徳島県におきましてはいわゆる阿讃山脈を地域としまして、その方面の開発をはかるために、いわゆる畜産の振興というものをそれぞれの県が県是として、これから大いに乗り出そうとしております。そういうときに、小規模の草地でこういう問題が起こって、何かくそもみそも一緒になるような御判断をされたのでは私は困る。この場合を特殊な問題とお考えいただいて、それぞれの所期の方針に向かって厳格に行政指導していただきたい。それをもって他を推しはかるということはやめてもらいたいし、あわせてもしも他の方面に同じようなケースがないとも限りませんので、事業全般について御留意を願いたい。  なお、個々の問題につきましては、聞きおきますという程度ではなくて、具体的に今後こういう措置をとったと、御連絡、御報告をお願いしたい。これをあわせお願いをしまして、答弁は要りません、御了解をいただいたものと私受け取って質疑を終わりにしたいと思います。  たいへんありがとうございました。
  218. 森元治郎

    委員長森元治郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  219. 森元治郎

    委員長森元治郎君) それでは速記をお願いします。
  220. 大森創造

    ○大森創造君 前回に引き続き質問をいたしますけれども、法務省の昨日のお答えは、新十七階建てのホテルの登記は、ホテル側が増改築ということであなたのほうに持ってこられたということは、確認いたしますね。
  221. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) 十七階建ての建物は増築という形で四月に申請が出されて、その後取り下げになっております。
  222. 大森創造

    ○大森創造君 それを却下した理由を。
  223. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) その増築と申しますのは、十四階建てとして登記されております家屋番号一番の六の建物の床面積が増加をしたということで増築の登記の申請が出ておるわけでございます。ところがその一番の六で十四階建てとして登記されております建物と、それからこのたび問題になっております十七階建ての建物とは、客観的に見まして別棟の建物という評価をすべきであって、一番の六の建物の同じ建物の床面積がふえたという評価をすべき事案ではないというふうに法務局のほうで判断をいたしまして、したがってそのように修正をすべきであるといったことを勧奨をして、その結果、帝国ホテル側のほうでは検討するということで取り下げております。
  224. 大森創造

    ○大森創造君 そのとおり。その法務省の見解があくまで正しいのです。これは御承知だと思いますけれども、あれは全然さら地です。一回ライト式の建物を全部取りこわして、登記面で出ております何もなくなったところのさら地に、今度は十七階建てを建てたのだから、これは増改築ではありません、だれが見ても。ですからいま枇杷田さんのおっしゃることは正しいのです。だけれども、きのう私が申し上げたとおり、それならばといって、十七階のものを、さら地に新築をいたしますという登記はできないぞということは、私がきのう申し上げた点です。なぜかなれば、大蔵省にお伺いしますけれども大蔵省のほうの申請書類は増改築ということになっているでしょう。改築ということで一切の手続を進めておりますね。
  225. 庄司俊夫

    説明員(庄司俊夫君) 大蔵省のほうへ出た申請は、現状変更申請ということで出ております。
  226. 大森創造

    ○大森創造君 現状変更申請ということは改築ということであり、私のところに書類がありますけれども、時間がありませんから読み上げませんけれども、改築ですね。新築の申請ではございませんね。それからきょうは参っておりませんけれども、東京都の首都整備局にあてた書類も増築ということでなされておりますから、このことはお認めになりますね。要するに法務省のほうには増築、改築というふうに申請せざるを得なかった、いままでのいきさつから見て。東京都のほうへの届け出と、大蔵省への届け出は増改築ということになっているのだから。だけれども、今度は法務省のほうからは正論を言われて困ったのはホテル側だといういきさつになりますね。これは大蔵省、お答えをいただきたい。事実に基づいて私は申し上げているのだから。
  227. 庄司俊夫

    説明員(庄司俊夫君) 私のほうになされました現状変更の申請でございますが、内容といたしましては、それまで使っておった建物を万博等がくるので、施設をもっと拡充いたしたいということで、施設の拡充ということを考えまして、既存の旧館に変えまして新館を建設したい、こういうことで申請があったわけでございますが、それは私どもの扱いといたしましては、従来の建物の全部または一部を取りこわして、新たにそこに建てるというのは改築というふうに考えておるわけでございます。
  228. 大森創造

    ○大森創造君 そのとおりだけれども、事実は違うでしょう。法務局のおっしゃるとおり、いままでのライト式建築は全部廃止をして、取りこわしてしまって、全然新たなさら地になった、そのさら地に新築をしているのが事実でしょう。ここにおられる人だれもが知っておりますよ。帝国ホテルに行ってみたらわかる。増築ではないですよ、改築ではないですよ。そこで、枇杷田さんのほうでは改築でも増築でもないので、だから変更増築登記をしようと思ったけれども、実情に合わないから、法務省では却下をした。却下をしたが、東京都並びに大蔵省のほうには、いろいろいきさつがあって増改築という申請をしてしまった手前、新築という正しい本来踏むべき登記を出せないであろうということを私は申し上げた。その事実に変わりがないならば、どうします。大蔵省といわず東京都といわず法務省といわず、どうこれは決着しますか。
  229. 庄司俊夫

    説明員(庄司俊夫君) 不動産登記上の扱いについては、私どものほうでは詳しく承知いたしておりませんが、私どものほうの扱いといたしましては、帝国ホテルが先ほども申し上げましたように、現状を変更いたしたいということで、現状変更の申請をしてまいりまして、それに対して私どものほうで、この変更申請は妥当であるということで承認をいたしまして、その承認を得てから後、建物の取りこわしをして現在の新館を建設したということになっておるわけでございます。
  230. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、大蔵省並びに東京都のほうはごまかされたことになりますね。だって、全然取りこわしてしまったのだから、そして新築をしたのだから。
  231. 庄司俊夫

    説明員(庄司俊夫君) 建物の改築という場合には、既存の建物の全部または一部を取りこわして、そこに新しく建てることも改築という概念で考えておるわけでございます。たとえば木造の建物があって、これを鉄筋に改造いたしたい、こういう場合も、私ども現状変更ということで考えておるわけでございます。
  232. 大森創造

    ○大森創造君 現状変更ですか。いままであった建物を全部取りこわしてしまって一そうするとまるっきりさら地ですよ。そこへ十七階建ての建物を新築したというのですよ。その場合に大蔵省は、増改築の書類を受け付けてしまって、もうどうにもこうにも、にっちもさっちもいかなくなっちゃったから、いまのような説明をされているのだろうけれども、それでいいのですか。
  233. 庄司俊夫

    説明員(庄司俊夫君) 貸し付け契約書の中に現状変更についての規定がございまして、貸し付けを受ける者が現状変更いたしたい場合には、あらかじめ、要するに事前に地主の承諾を受ければ変更をやってもよろしい、こういう規定があるわけでございます。帝国ホテルはこの規定に基づきまして私どものほうに対しまして現状変更の申請を出してまいりまして、それに対しまして、こちらのほうで現状変更申請は穏当である、妥当であるということで、現状変更の承認を帝国ホテルにいたしたわけでございます。そして、あとで帝国ホテルは建物をこわしまして、そしてそこに新館を建てた、こういうことでございます。
  234. 大森創造

    ○大森創造君 それはまずいでしょう、いまのような説明は。あなたのほうではそういう答弁をせざるを得ない立場でしょう。これは昭和四十二年六月十日の朝日新聞を見ますと、こういうことが書いてあるのですよ。関東財務局——国有地ですから関東財務局が所管ですね。「「取りこわしとなれば、当然借地権は消える。新しいビルが建った場合にも、借地契約を結ぶことが、国有財産の活用方法として妥当か、どうか」というのが関東財務局の言い分。」いいですか「一方、財務局徳田博美管財部長は「新しい建物を建てるなら、当然適正価格で買うか、それが出来なかったら国に返還すべきだ。帝国ホテルが出来たときの経過からみても、借地経営を続けることには問題があろう。」」、私の考えでは、いままでの建物を取りこわしてしまって残っていないのですからね、何も。取りこわしてしまって、今度は新しく十七階建てのビルを新築するという場合には、私は新たな借地契約が必要だろうと思うのです。そのことが当時関東財務局の見解で議論をされたのです。事実新築なんですから。そこで、サンケイ新聞にこういうことが当時出ておりました。「剱木亨弘文相、西村英一建設相は二日の閣議後、佐藤榮作首相と会い、東京・日比谷の帝国ホテル旧館の保存問題について話し合った。そのさい、首相は「帝国ホテル側は旧館改築に当たって、その敷地となっている国有地の払い下げを国に求めているようだ。この申請は認めないよう大蔵省に指示する」と述べた。」、ですから、全然さら地になってしまって、そこに全く新しい建物を建てるという場合の扱いはどうだということが、関東財務局その他の方面でずいぶん当時議論になったわけです。いままでの借地権というのは消滅するわけですから。全然新しく建てるのですからね。世間の常識からすると、その場合には、国とホテル側で新たな借地契約を結ぶのです。これが常識です。これはひとつ法務省に聞きます。そうでしょう。あるいは会計検査院にもお答えいただきたい。
  235. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) 借地法の七条を見ますと「借地権ノ消滅前建物カ滅失シタル場合二於テ」云々という規定がございまして、滅失をいたしましても、当然には借地権は消滅をしない。ただ、異議を述べれば若干の効力があるという規定のしかたがなされております。この「建物カ滅失シタル場合二於テ」というのが、台風とか地震とかによる滅失のほかに、取りこわしによる滅失が含まれるかという問題はございますけれども、取りこわしによる滅失も含まれるというのが判例、学説とも通説になっているように承知いたしておりますので、その説によりますれば、取りこわし、滅失によりましても、借地権は当然に消滅するものではないというふうに解せられようかと思います。
  236. 中込良吉

    説明員(中込良吉君) ただいま法務省の方が申し上げましたように、これは当然に消滅するものではないということになります。
  237. 大森創造

    ○大森創造君 当然に消滅するものではない。帝国ホテルの場合にはこれはどうなんですか。新たな借地契約を起こすべきではなかったか。このケースの場合、それが常識ではありませんか。
  238. 中込良吉

    説明員(中込良吉君) 本件につきましては、そういう条件について検討したのでございますが、増改築ということでございましたので、これは借地契約を新たに結ぶ必要がないというふうにして検査をいたしたわけでございます。
  239. 大森創造

    ○大森創造君 増改築じゃないでしょう事実が。増改築という解釈になるのですか、帝国ホテルの場合は。世間一般にそういうようなことをやっていいのでしょうか。
  240. 中込良吉

    説明員(中込良吉君) 当時の検査の内容によりますと、一応、取りこわして、そのあとに改築する、増築するということで大蔵省のほうにも申請が出ておりましたし、そういうふうな処理で検査したということになります。
  241. 大森創造

    ○大森創造君 大蔵省のほうにそういう申請を出しちゃったから、会計検査院やそれから法務省はそういう解釈をとるでしょう。逆じゃありませんか。私の申し上げているのは、大蔵省に書類を出すとか出さないとか、東京都にこういう申請を出して受け付けてしまったからということじゃない。筋道からいうと、帝国ホテルの場合は、全然さら地にしてしまったのだ、全く何もなくなってしまったのだ。そこへ十七階のビルを堂々と新築するということになると、あれから何年か過ぎているからこういう解釈をとらざるを得ないということとは違います。純粋な法解釈として、現状を全部取りこわしてしまって、そのあとに十七階のビルを建てるという場合には、そういう解釈は生まれないと思うのですがね。だから関東財務局では、こういうことを当時見解としては言っているわけです。新たに今度帝国ホテル側に、国有地ですから買ってもらう、条件が違いますよ。このいままでの建物ができていて、それを全く取りこわしてしまった場合の扱いと、それからそのままとは、全然条件が違いはしませんか、世間の常識から言うと。建物が幾らかでも残っている場合には、その底地価格というのが違うでしょう。さら地にした場合——ホテルの場合は全然さら地にしてしまったのだから、そうして新築をしたのだから。だから法務省のほうは増築の扱いはしないのだという見解を述べた。増改築の登記をしようとしたところが枇杷田さんのほうではこれは違うと  いって却下した。それで、その矛盾をどうしますか。大蔵省やそれから東京都並びにいまの見解のようなことならば、枇杷田さんのほうは当然その登記の申請書類を受け付けてしかるべきでしょう。ところが受け付けられないでしょう。
  242. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) 登記の手続から申しますと、既存の登記された建物の床面積が増加をするという場合には、いわゆる増築による床面積の変更の登記という形で申請がなされるわけでございます。まさに四月に提出されました登記申請は、一番の六の建物の面積がふえたという形で増築の登記の申請があったわけでございます。それは間違いであるということで取り下げということになったわけでございますけれども、改築という場合に、これは登記の上では改築という形の登記は、そのものの表現を使うものはございませんで、あるものについては増築ということになる場合もあるでしょうし、それから木造が鉄筋コンクリートに変わるという構造変更の問題もございましょうと思いますし、それから新築による表示の登記という形で出てくる場合もございましょうし、ともかく改築の登記というものは登記上はないわけでございます。  本件の場合には、まあ改築であるかどうかということは、従来とのつながりで評価すべきことでございますが、登記の上では、まさにでき上がった物自体をどうとらえるかという観点で考えますので、そういう面から考えました場合には、少なくとも増築ではない、新築による登記というふうに見るべきであろう。その新築というものが、借地法その他で規定されております改築に当たるかどうかということは、これは別の問題だというふうに考えております。
  243. 大森創造

    ○大森創造君 何だかわからぬですね。わからぬですよ、いまの話は。ぼくは専門用語じゃないかと思うんだな。これはそんなことを……。新築でしょう、まるきり新築だ。だから増築だの改築という登記では許可はできないと、あの登記は受け付けないという態度を法務省はおとりになったと、きのうからきょうも答弁されているんだ。その場合、事実に即して言ってみれば、全くの新築なんですよ。だから法務省の枇杷田さんのほうの見解は、増築だ、改築だというややこしいことでは違うと。現状は全くの新築だから、増改築という申請の登記は受け付けられないというて却下したのですよ。だから新築でしょう。事実上新築であるということはお認めになりますね。
  244. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) 新しい建物をつくったという意味ではまさしく新築でございます。
  245. 大森創造

    ○大森創造君 新しい建物をつくったんですよ、事実。その場合、大蔵省の申請手続と内容と、それから東京都建設局のほうに出した書類が実情と違った偽った増改築というもので申請しちゃった食い違いをどうするんだということを聞いているわけですよ。そこでもう大蔵省とそれから東京都のほうへは、がっちり増改築ということで申請がなされてしまったので、いまさらそのことを認めるわけにいかなくなっちゃった。しかし、筋道は明らかにしてくださいよ、枇杷田さんのほうでは。増改築ということで大蔵省と東京都のほうに出しちゃったが、同じ登記申請を持ってきたところが正しく解釈したんだ、法務省のほうは。だから却下したのですよ。これが根本ですよ、事実関係は。そこでこう書類を受け付けてしまっちゃったので、にっちもさっちもいかないので、こじつけの議論を言っているんだろうと私は思うんだ。枇杷田さんが最初見解を言われたことが正しいんだよ。それで押すべきですよ。それで押した場合にはどうするかということを考えてみるというと、これは大蔵省も東京都建設局のほうもホテル側も、いまさらそういうわけで困っちゃったということですよ。困っちゃったからというて、新しいへ理屈の法解釈を出して押しつけちゃ困りますよ、私はそう思う。これは第三者機関みたいなものをつくって私の議論が正しいか、それからいま大蔵省その他が言うている見解が正しいかということを判断させてごらんなさい。ここで限られた時間で問答したって始まらない。現実は私こっちだと思うのですよ。枇杷田さんがきのうからきょう言われたようなことが私の見解を支持している。子供ができちゃったから、にっちもさっちもいきません。にっちもさっちもいかなくちゃ困るんだ、決算委員会の場なんだから。理屈は理屈として、こうだという理屈を出してほしいと思うのですよ。さて、できた子供はどうするかということは、私もいろいろ御相談に応じましょう。だけれども、その事実はひとつ認めてください。そうでないとわからぬですよ、そういう話は。こじつけの議論だろうと思う。事実困ったと言っているんだこの問題を、あなた方の部下は。きょうは寄り切っちゃおう、時間もないし——それでは済まされない。
  246. 庄司俊夫

    説明員(庄司俊夫君) 建てた建物はまあ新築ではないかというお話でございますが、新しく建てたという意味においてはまさに新築といっても別に私どものほうは異存がございません。要するに私どもが扱っております現状変更は、従来あった建物を取りこわして、そこに新たに建てるような、現状を変更する場合には事前に承認を得てください。でその承認を得る場合には、従来よりもその土地が増加する、あるいは使用期間が延長される、そういうことに伴う特別の加算金というものをいただきまして、そして建物の取りこわし、建て直しというものを承認したわけでございます。そういう事情でございます。
  247. 大森創造

    ○大森創造君 わからないんです、私はその説明が。  これはひとつね、あとでどっちが正しいか吟味してみましょう、一たん私もこういうことを発言した以上。常識で私はわからぬのです。  私の言うこと、正しいと思っているんじゃないですか、腹の中で。だけれども、抜き差しならないということじゃありませんが、いまさら。そういうことを言っています、あなた方の下僚は。そうでなければね、これは朝日新聞とサンケイ新聞に出ているように、あれですよ、談話が出るはずはありませんよ。これは、関東財務局は一番このことについては関係の深い所管の直接の官庁ですからね。取りこわしということになれば当然借地権は切る。新しいビルが建った場合には借地契約を結び直すことがたてまえだというようなことを言っているんですよ。借地権そのものは継続しても借地権の内容は違ってくるわけですよ。全然さら地にした場合は、いままでの借地権が、全く消滅したとは言わないけれども、条件が違ってきますよ。そこで今度はそのことが、やはり文部大臣や建設大臣ども関心があったんでしょう、そこで最後の断として、総理大臣が「その敷地となっている国有地の払い下げを国に求めているようだ。」、払い下げが私は当然だろうと思うのです、当時。しかしそれではちょっとホテル側も困るので、払い下げということになるとまとまった金が要りますから。そこで「この申請は認めないように大蔵省に指示すると述べた。」と、それできまったわけです。多分に政治的ですよ、これは。関東財務局の意見としては、全くの新築で、さら地になっているんだから借地契約を結び直すべきだ、それが世間の常識ですよ。  そこで、いろいろないきさつがあったんだけれども、これは払い下げをさせないで貸し付けたほうがよろしいと、そういう指示によってきまった。これは助かったのはホテル側です。  そこで、この問答を繰り返しても始まりませんが、私は私の見解が正しいと思う。枇杷田さん、増改築ということで登記を持ってきた場合には、それを受け付けるようになりますか。
  248. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) 先ほど若干専門的な用語を使っておわかりにくかったと思うのでありますけれども、登記のほうでは増築による床面積の増加という手続はございます。それできてもだめだということなんですけれども、改築というのは登記のほうでは新しい建物を建てる場合にも、場合によっては改築という概念が当てはまる場合もございましょうし、そうでないものもあるわけでございます。したがいまして、増改築という一つのことばでどうだというふうにおっしゃられますと、ちょっとお答えしにくいわけでございまして、少なくとも増築による変更登記というものは、私どもとしては認められない事案であるということは申し上げられます。
  249. 大森創造

    ○大森創造君 増築でも改築でもないでしょう、あの十七階は。
  250. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) 改築ということばが何を意味しているかということは借地法などに書いてございますので、この解釈になろうかと思いますが、これは従前の建物を中心にしてそれがどのように改めてやるかということが改築の概念でございます。しかし登記のほうでは、その従前の建物を建てかえたというふうなことは、これはもう全然別の建物でございますので、改築前と何かの関係があるような形の登記はいたしません、新たに全部建てかえた場合には、したがって新築による登記ということになるわけでございます。本件の場合が前の建物との引き継ぎ関係でどういうことになっているかということは私どもよくわかりませんので、客観的に見た場合には、少なくとも新しい建物がそこに出現したということで、新築による登記をすべき事案であろう、かように考えております。
  251. 大森創造

    ○大森創造君 それでいいと思うんですよ、ややこしいのはこっちですよ。新築なんだから新築の扱いにし直したらどうですか。
  252. 庄司俊夫

    説明員(庄司俊夫君) 建物の物理的な建設が新築であるかどうかということが問題ではなくて、私どものほうで問題にしておりますのは、従来ありました建物を取りこわしをいたしまして、そこに新しい建物を建て直す、こういうような場合は契約上現状変更ということになりますので、現状を変更いたします場合には、事前に御申請をいただいて、そしてその申請の内容をこっちが判断いたしまして、妥当であると判断をいたしました場合には承認をする、かような手続を踏んでいるわけでございますが、その際に新しく建物ができるということになれば、経済的な効用も増すであろう、それから貸し付け期間も延長されるであろうということで、それに伴う応分の加算金というものを申請者のほうから徴収いたしまして、そして承認をした、こういうことになっているわけでございます。
  253. 大森創造

    ○大森創造君 建物があって、そしてそれを全く取りこわしてしまって、全然さら地にして、そこへ今度は新築の建物を建てる場合に、事前のそういう報告をして——事前の報告の内容というのは、これを一切取りこわして、そして新築するからどうぞよろしくという申請の内容になるんですか、そのことを認めているんですか。
  254. 庄司俊夫

    説明員(庄司俊夫君) 従来の建物を取りこわして、そこに新たに建物を建てたいという申請を認めているわけでございます。
  255. 大森創造

    ○大森創造君 そうするとどうなんですか、現状建物を取りこわしてしまって新築をする場合には、あれでしょう、現状変更の申請というのはないんでしょう。新築の申請でしょう。手続的にいままでの建物、旧来の建物をまるっきり取りこわしてしまって、全然新しく申請する場合には、いまのような申請の内容ではないんでしょう。
  256. 庄司俊夫

    説明員(庄司俊夫君) 契約書上では使用上の制限という規定がございまして、貸し付けを受けた者が貸し付け物件の現状を変更しようとするときは事前に理由を付して承認を受けなさい、こういう契約の規定があるわけでございまして、いまの従来の建物をこわして新たに建物を建てようとする場合には、この現状変更に相当するものとして私どもは取り扱っておるわけでございます。
  257. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、現状変更という手続によって帝国ホテル側が実際にやったようなことをやっていいんですね、世間一般に。この建物を全部取りこわしてしまって、新たに建てる場合には、現状変更の申請というものを事前に出して了承をいただければ、これは通ることなんですね、世間一般に。ホテルじゃなくて世の中万般に対して通ることなんですね。——それは許されないんです、一般的には。いいですか、もう一ぺん言いますよ。そこに建物があったんです。これをまるっきり取りこわしてさら地にして新築をする場合には、いまのような現状変更の事前の申請をして、そうしてこれはよろしいという場合には、新築は現状変更の増改築ということになるんでしょうか、世間一般的に。それは、私は非常識じゃないかと思う。この場合にだけ許されることではなかったかと思う。そういうことがまかり通るということになれば、だれだってやりますよ、そういうことは。
  258. 庄司俊夫

    説明員(庄司俊夫君) ただいまおっしゃったような場合は、通常改築になるものと考えております。現に、ある法律書の解説におきましてもこういうふうに書いてございます。「まず「増改築」とは、増築すなわち、従来の借地上に、付属または別個の建物を建て増しすることであり、改築とは、従来の建物の全部または一部を取りこわして、新たにその部分を建築することである。」、こういうふうに書いてございます。
  259. 大森創造

    ○大森創造君 私、わからないんですそれは。これはひとつあとにいたします。いずれは、はっきりするでしょうから。いまになってそういうことを言われても困るという感じがするんですよ。このことが問題にならなければ、当時関東財務局でもいろんなこと言いませんよ。そこで政治的に決着をつけたというふうに私は解釈する。  さてそれじゃ次に移ります。  どうなんですか、この前、法務省が合併登記ということを言いましたが、そのことはきょうでもお認めになりますか。合併登記ということなんですか。
  260. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) 昨日は十分調査ができておりませんために、ちょっと誤解がございましたので、それを訂正を含めましてあらためて経過を申し上げたいと思います。  ライト式の建物が取りこわされます時点で、その建物は家屋番号一番ということで登記されておりまして、その付属建物の十階建てとしての建物が同じ登記用紙に登記されておったわけでございます。ところがその十階建ての建物と、主たる建物のライト式の建物の間にはどうも主従の関係がない。これは全く別の登記用紙に登記すべきであったものを間違ったという申請がございまして、したがってそれを分けるという申請があったわけでございます。分けると申しますと十階建ての建物のほうを錯誤によって抹消するようにするという申請がございました。その申請によりまして調べましたところが、なるほどそういうような事情でございましたので、その十階建ての部分を登記簿から抹消して未登記の物件になったわけでございます。たまたまその登記をする前に、登記簿上では七階建ての建物がやはり同じ敷地構内にありまして、それと十階建ての建物との間に増築がなされてくっついておったわけでございます。地下部分と一階部分と、それから八階部分との関係にくっついた増改築がなされておりましたので、それは結局七階建ての建物、家屋番号で申しますと一番の六の建物でございますが、それの床面積がふえた結果になっておるということで、その一番の六の建物の床面積の増加をする変更の登記をいたしたわけでございます。その結果、現在の登記簿で表現されております地下五階つき十四階の建物という表示になったわけでございますが、昨日も十四階というのはおかしいじゃないかというふうな御意見もございましたけれども、これは十階建てのほうの建物に実は屋上のほうに塔屋が三階ございまして、それから中二階があったわけでございます。古い登記の手続といたしましては、中二階とかあるいは塔屋とかいうものを別表示にして表現いたしておりましたけれども、登記簿的に申しますと、塔屋とか中二階とかいう表現は適当でないというので、昭和四十年ころからそれを通し階数で表現することにいたしましたので、四十三年の七月二日の申請の時点では、あらためて登記するときに十四階建てという表現をいたしたわけでございます。したがいまして、一番の六で地下五階つき十四階の建物として表現されておりますものは、前の七階建ての建物と、それから十階建てとして表現された建物と、その中間を結んだ部分を全部含んだものとして登記されておるということになります。したがいまして、登記のほうの手続のことばをもっていたしますと、それは増築による表示変更の登記になるわけでございますので、昨日、合併ということばを使いましたけれども、それは誤りでございますので訂正させていただきたいと思います。
  261. 大森創造

    ○大森創造君 合併登記というものはできなかったでしょう、抵当権が設定になっておりましたから。抵当権設定はお認めになりますか。
  262. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) その問題の登記がなされました四十三年七月二日現在で抵当権の登記がございますから、全く別建物をあわせて登記をするという合併の登記は、やったならばできなかった事案でございます。ただ、ただいま申し上げましたように、客観的に一番の六の建物等ももうすでに一体をなして、物理的にもう完全にくっついてできておりますために合併の登記ではない。床面積の増加の登記の手続によるべき事案であるというふうに判断されましたので、抵当権がついておりましたけれども、その手続を進めたわけでございます。
  263. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、抵当権は設定されていたということなので、この事実は変わりはないので、ほんとうは合併登記したかったのだけれどもできなかったということですね。
  264. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) 帝国ホテル側はどのような考えを持っておったかは、私どもにはわかりませんけれども、申請といたしましては増築による表示変更の登記の申請が出されたわけでございまして、そのような申請を受けるべき客観的な状態にあるかどうかということを登記官側で審査をいたした結果、まさにそれは一体の建物となっておるということから、その登記を受理いたしたわけでございまして、合併の登記が一たん出されて審査をしたということはございませんので、そのような点での検討は、法務局側ではいたしておりません。
  265. 大森創造

    ○大森創造君 事実は、昭和四十三年の七月二日に表示変更登記をしたことは事実だが、その内容はといえば、昭和三十六年の十二月十一日に変更増築として十四階建てと、こういうことになっているのだけれども、その十四階は、地上十階、それから中二階があって、それから塔屋三階というのがあって十四階に相当するというけれども、その建物についてはオープンしたのは昭和三十三年の八月一日ですよ。それで昭和三十六年十二月十一日に変更増築したときには、十四階建てでも何でもないのですよ。これは食堂を増築しただけですよ。こういう登記が許されるのですか。
  266. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) 最初の登記簿で十階建てというふうに表現されております部分は、三十三年に付属建物としての登記の申請がなされて、その登記をいたしたわけでございます。その時点でよく調べてみれば、ライト式の建物と主従の関係には立たなかったという認定ができたかと思うのでありますけれども、そのときの登記所の判定といたしましては、付属建物になり得るということで登記をいたしたわけでございます。その後、十階建ての建物のほうと、それから一番の六の七階建てのほうの建物との中間に増築がなされまして、そしてその二つの建物との間が完全に結びついてしまったという関係がございますので、それを四十三年の七月二日の時点でとらえてさかのぼってみますと、結局、一番の六の建物が増築をしたんだというふうに見られるケースでございますので、そのような措置をいたしたわけでございます。
  267. 大森創造

    ○大森創造君 そういう変更増築ということは実情に合わないですよ。だからきのうはるる申し上げたんだけれども、そういう登記の手続をすることが許されますか。
  268. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) 十階建ての建物のほうが登記がなされております場合には、これはそのような方法はとり得ないわけでございますけれども先ほど申し上げましたように、四十三年七月二日の申請で付属建物からはずすという登記の申請がございまして、客観的にはライト式建物の付属建物というふうには評価し得ない面がございましたので、それを抹消いたしました。その結果十階建ての建物のほうは全く未登記の建物ということになりましたので、その未登記部分は一番の六の七階建ての建物と物理的にその時点ではくっついておりますために合わせてやったということでございますので、これはあまりめったにないケースでございますけれども、不動産登記手続上それを特に拒否する理由はない事案でございますので、それを受理したということになろうかと思います。
  269. 大森創造

    ○大森創造君 そのことについても疑問がありますけれども、押し問答しないでその次の問題に移ります。  大蔵省のほうに出された書類によるというと、税金の問題はきのうは資料がなかったということでございますが、昭和三十七年度からずっと見てみますというと、税金の総額というものと、その内訳の合計の金額がだいぶ違う、これはどういうふうに解釈されますか。
  270. 松本健幹

    説明員松本健幹君) 御指摘ございましたので、三十六年の分から現在までの報告書を出しまして全部調べてみたわけでございます。若干時間が足りませんので、詳細な詰めが実はできなかったわけでございますけれども、現時点までにわかっておりますところによりますと、御指摘のように事務処理上のミスがございます。たとえば三十八年の九月期あたりは、御質問にございましたように総額が内訳よりもむしろ少ないといった、そういった矛盾が出ておるわけでございます。いろいろ内容理由を分析したわけでございます。その結果わかりましたのは、固定資産税に対応する部分を除く部分でございますけれども、固定資産税と都市計画税につきまして、国際観光ホテル整備法に基づきます都条例によって減免措置が講じられておるわけでございます。この減免措置の分が実は脚注にございます内訳の数の中に含まれて、控除されないまま載っておりますものですから、その分だけが総額よりもふくれてしまっておる、こういうような事情があるようでございます。全体について調べましたところでは三十七年の九月期と三十八年の三月期、三十九年の三月期、四十一年の三月期と、この四期につきましては、減免分が控除されまして記載されておりますけれども、それ以外の時期につきましては、減免分が控除されないまま脚注の内訳の中に記載されております。本表のほうの総額の数字は正確でございますけれども、そういう意味で脚注にございます内訳の分につきましては計数的にふくれておるというようなことでございます。
  271. 大森創造

    ○大森創造君 そうしますと脚注の合計と合わないということは、単なる事務上のミスというふうに御解釈ですか。
  272. 松本健幹

    説明員松本健幹君) 先ほど申し上げましたように、現時点では事務上のミスであるというふうに判断する以外に理由が発見できません。
  273. 大森創造

    ○大森創造君 それはおかしいな。事務上のミスというふうにあなたの常識では判断しますか。そんなミスじゃないでしょう、これは。あなた、思ったこと言ってください。事務上のミスというふうに判断できますか、これは。  それから、昭和四十年度以降、これはどういう意味ですか、脚注の中の税金の内訳、固定資産税というのがゼロになっている。これも事務上のミスかな。固定資産税は納めているでしょう。これはゼロに変化した理由はどういうことですか。
  274. 松本健幹

    説明員松本健幹君) ただいまの御質問は、都市計画税につきまして、四十年の三月期までのところでは、一応都市計画税という項目を立てまして記載されておりますけれども、四十年の九月期からゼロになっている、これはどういう理由かというような御趣旨だろうと思います。この点でございますが、四十年の九月期から都市計画税というのは、通常いわゆる固定資産税、都市計画税あたりを含めました固定資産税というふうに呼んでいるというようなことやら、都市計画税自身の金額が約三百万程度でございますものですから、実は都市計画税の金額は固定資産税の項目の中に含めて記載されているわけでございます。
  275. 大森創造

    ○大森創造君 それは確認したんですか、事実そうなんですか。
  276. 松本健幹

    説明員松本健幹君) ちょっと報告書だけではチェックできませんものですから、公認会計士に意見を聞いてみたわけでございます。公認会計士はその点を十分確認しているようでございます。
  277. 大森創造

    ○大森創造君 それではもう一つ質問して終わりますけれども、四十四年度というやつをあげてみてください。四十四年度で、ここで固定資産税は幾らになっていますか、上期と下期と合計して。
  278. 松本健幹

    説明員松本健幹君) 四十三年度の三月期が税額といたしまして二千八百五十四万六千円でございます。四十三年の九月期でございますが、二千九百三十九万二千円ということになっております。ただこの中には、実はこの金額を十分正しい意味の固定資産税と都市計画税と分解することができません。ちょっと時間がございませんでしたので分解はできませんでしたけれども、この固定資産税の金額なるものは都市計画税込みの金額というふうに理解してよろしいと思います。
  279. 大森創造

    ○大森創造君 そこで固定資産税というものは課税標準価額の百分の一・四ということですね。どなたかお答えいただけますか。
  280. 松本健幹

    説明員松本健幹君) そのとおりでございます。
  281. 大森創造

    ○大森創造君 そういたしますと、逆算いたしますと、課税標準価額は、この敷地についての見積もりは四十三億余りですね。いずれにせよ、そこらになるでしょう、四十三億か五億ぐらいに。
  282. 松本健幹

    説明員松本健幹君) ほぼそういう金額になると思います。
  283. 大森創造

    ○大森創造君 そういうことになりますね。そこで四十三億から四十四、五億という場合に、ホテル側に百十億融資しているわけですね。普通常識からすると、資産があって、それに対する六〇%ぐらいですね、融資の額は。そうすると、百十億の融資を受けるためには百八十億ぐらいの担保価値を認めていることになる。これはどういうことなんですか。
  284. 松本健幹

    説明員松本健幹君) 金融機関の問題でございます。金融機関がどういうふうに判断いたしましたか、ちょっと私よくわかりません。
  285. 大森創造

    ○大森創造君 まあ常識的には百八十億ぐらいの資産の担保価値を認めないというと、百十億の融資はできないと思う。そうすると、税金がべらぼうに安いのか、過剰融資か、どういうふうに解釈しますか。四十三億から四億ぐらいのものに対して百十億の融資がなされている。ちょっと常識外なんでね。
  286. 松本健幹

    説明員松本健幹君) ただいまの御質問と若干趣旨がずれるかもしれませんが、貸借対照表を読んでみますと、資産の合計が二百七十三億でございます、約ということでございますが。負債の合計が——たいへん失礼いたしました。四十五年三月期のバランスでございます。通常担保の対象になります有形固定資産でございます。このバランスによりますというと、有形固定資産の合計が二百四十四億というふうになっております。
  287. 大森創造

    ○大森創造君 それによるというと、税金がべらぼうに安く見積もられているということになりますね、べらぼうに税金が安く見積もられているということになるでしょう。
  288. 松本健幹

    説明員松本健幹君) 税金の問題につきましては私所管しておりませんので、ここでお答えすることはできません。
  289. 大森創造

    ○大森創造君 以上で終わりますけれども、私、十七階の問題はどうしても納得しませんから、あとでひとつ調べてみましょう。どうも私はおかしいと思う。それからいまの税金の問題について、融資の問題についてもまだまだ疑問が残りますけれども、時間がございませんから、以上で終わります。
  290. 森元治郎

    委員長森元治郎君) それでは本日はこの程度にいたします。  なお、明日は大蔵省の部の審査の予定でございましたが、議事の都合により、総括質疑をもう一日行なうこととし、大蔵省の部の審査は後日に延期することにいたしましたので、御了承願います。  散会いたします。    午後四時三十分散会