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岩間正男君 矛盾を感じないというのは、一方のほうはどんどん大きくなっちゃって、そして基礎的な
研究が足りないから、そこにはっきり矛盾が出てきて、その矛盾が今度の
中曽根発言になったのじゃないですか。そのあなたの御答弁自身に矛盾がありますよ。私は、そういう点から、つまり、
中曽根構想による基本法三原則のじゅうりんというのは、今日まで政府がとってきた
原子力政策の必然的欠陥と言わなければならない。あなたがいま言われたそのこと自身が、そういう矛盾のあらわれとして受け取れる。そういう筋合いのものだと思うのですね。
私は、あまり時間がありませんから、そういう中で特に最後に指摘しなければならないのは、こうしていま
日本は水爆製造能力の潜在保有国としての地歩をやはり着々として築きつつあるという事実ですよ。これは非常に重要なことです。これは平和的利用と言っているけれども、一方では、
濃縮ウランのそういう
方向は、当然、これは水爆の工程と同じだという点では、それは一ぺん転換すれば水爆に持っていくことができる。これは認めることができる厳然たる事実です。だから、たとえば、愛知外相は、昨年渡米したときに
アメリカのフォーリン・アフェアーズ誌に次のようなことを述べている。愛知外相、「ある私的算定によると、十年後の
日本の国防
予算はおおむね現在の中国が通常兵力とおそるべき高価な核兵器
開発の両方に費やしているところに匹敵するものになることを
意味するとのことである。」、さらに、「要するに、
わが国は自国の安全保障については、通常兵器・核兵器の別を問わず、全面戦争の場合はもちろん除いて、相当
程度自らの手段に依存することが、いまや可能となったのである。」、こういうふうに言っている。だから、私
たちは総合的にこれは見なければならない。これは原始的な、あるいは核のそういう専門的な
立場だけではできない。国策です。そうしますと、こういう潜在したそういうものを持っているのだし、そういう背景が、こういうふうに愛知さんにフォーリン・アフェアーズ誌の
発言をなさしめている。佐藤総理も、この愛知論文と前後して、
日本がアジアの主役になることを明らかにしました。現に、
日本が進んでおり、それをもとにして発表された、このたびの
中曽根提案こそは、アジアの盟主
日本が、朴正煕、蒋介石、チュー、キ、ロンノルといったようなかいらい、こういうものを従わせていく上で、かっこうな武器になることは明らかだ。核を握るものは権力を握る、こういう言い方、しかも、私は、ここでやはりもう
一つ先の問題を明らかにしておかなければならない問題は、ニクソンが描いている青写真、つまり佐藤構想なんかともつながるのであります。そういう中で
日本がアジアの主役になる、そのためには核を握らなければならない、そういうものを、これは
アメリカと
共同開発という形で実は考えている。そうして、
日本の
科学技術は、実は側面からこれをささえるところの役割りをはっきり、になっている、この点をやはり明確にするということが、今度の
中曽根訪米におけるこの
濃縮ウランの
発言、これは非常に大きなセンセーションを
アメリカに起こしたのでありますから、そういう点からこれを指摘せざるを得ないと思うのです。
最後に、
長官にお伺いしたい。そういう危険な背景を持っているときに、先ほどあなたが、あくまで平和利用の三原則を貫く、これを守る、守ることが少なくとも
科学技術庁長官の任務だと、こういうふうに言われたことを再確認してよろしいですか。その点を私は明確にしてもらいたいと思います。