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1970-10-13 第63回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月十三日(火曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————    委員異動  九月十一日     辞任         補欠選任      田渕 哲也君     向井 長年君  十月十二日     辞任         補欠選任      野坂 参三君     岩間 正男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正義君     理 事                 平島 敏夫君                 久保  等君                 矢追 秀彦君     委 員                 金丸 冨夫君                 鍋島 直紹君                 船田  譲君                 横山 フク君                 大矢  正君                 沢田 政治君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣  西田 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        経済企画庁国民        生活局水質公害        課長       白井 和徳君        科学技術庁研究        調整局長     石川 晃夫君        科学技術庁原子        力局長      梅澤 邦臣君        厚生大臣官房国        立公園部長    中村 一成君        水産庁漁政部漁        業調整課長    油井  恭君        水産庁調査研究        部長       松下 友成君        通商産業大臣官        房審議官     礒西 敏夫君        通商産業省公害        保安局公害部公        害第二課長    根岸 正男君        通商産業省重工        業局産業機械課        長        宗像 善俊君        通商産業省化学        工業局化学第二        課長       丸田 幸栄君        工業技術院長   太田 暢人君        海上保安庁警備        救難監      粟野 次郎君        建設省計画局地        域計画課長    三浦 孝雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力開発に関する件)  (海洋開発に関する件)  (環境科学技術等に関する件)     —————————————
  2. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月十二日、野坂参三君が委員辞任され、その補欠として岩間正男君が選任されました。     —————————————
  3. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、派遣委員報告を聴取いたします。  先般行ないました委員派遣について御報告を願います。沢田君。
  4. 沢田政治

    沢田政治君 派遣委員は、宮崎委員長平泉理事沢田委員の三名で、岩動委員岩手県だけ現地参加されました。期間は、去る六月一日から五日間であります。  今回の視察は、今日、いわゆるビッグサイエンスと言われております原子力宇宙開発に関する分野開発状況を見ることを中心といたしており、視察いたしました個所は、国際電電茨城衛星通信所東京電力福島原子力発電所科学技術庁航空宇宙技術研究所角田支所日本重化学工業松川地熱発電所日本原子力船開発事業団むつ定係港建設現場等であります。  以下、視察個所の概要について簡単に御報告申し上げます。  宇宙開発時代の到来を迎え、通信衛星開発され、実用化されたことによって、従来、海底ケーブル無線等によって行なわれておりました国際間の通信通話方法に大きな変化をもたらしました。衛星中継体とする通信は、電信電話はもちろんでありますが、テレビの国際中継を可能にしたことも特徴の一つであります。  茨城衛星通信所は、直径二十七・五メートルの大型アンテナを備えた地球局でありまして、通信衛星を相手に電信電波の送受を行なっております。わが国でも、本年二月、初の国産衛星「おおすみ」の打ち上げに成功して、世界第四の宇宙国となっておりますので、将来独自の通信衛星を打ち上げることが期待されているのであります。  また、宇宙技術に関する研究業務の増加に伴って、去る四十年に設立されました航空宇宙研角田支所では、ロケット性能向上に役立つように、液体ロケットエンジン固体ロケットエンジンについての研究を重点的に進めておりました。わが国では、「おおすみ」の打ち上げには成功はしましたが、いまだ宇宙開発を進めていく上に、それに必要と思われる基礎的研究先進国に比べておくれていると言われており、その後の打ち上げ実績を見ましても、その点が指摘できるところであります。政府は、基礎的研究重要性を考え、積極的に試験研究機関施設整備充実研究費の増額、試験体制効率的整備、人材の養成等をはかることが必要であると思います。  次に、地熱発電は、温泉地帯をボーリングし、地下から噴出する蒸気をタービンに導いて発電するもので、普通の火力発電所と違って、ボイラーと燃料が要らないわけであります。このため、火山国であるイタリア、ニュージーランド、アメリカ等の諸国で早くから開発が行なわれておりますが、わが国では、日本重化学工業岩手県の松川温泉地域において新技術開発事業団の委託を受けて開発し、去る四十一年に、出力二万キロワットの本格的地熱発電所を完成しました。地熱発電は、いまだ小規模出力にすぎませんが、水力発電のように季節によって発電量の増減がなく、常に一定の出力が得られること、燃料が要らないこと等の利点がありますので、電力の需要が増加している今日、電力エネルギー源多様化という観点からも意義があると思います。現在、国内では、調査中のところは別として、地熱発電実用化しているのは、松川発電所と九州電力の大分県大岳発電所出力一万一千キロワット)だけであります。認可を受けて工事実施中のところは、秋田県八幡平大沼三菱金属鉱山株式会社発電所と思います。現在、地熱開発を行なう場合、鉱業法温泉法、その他の法律に関連があり、許可を受ける際に種々煩瑣な手続を要しますので、開発が行ないやすいように、地熱発電法とでもいうものを制定してもらいたいと、関係者から要望がありました。  次に、原子力関係について申し上げます。  わが国における原子力開発利用は、各分野にわたって着々と進められておりますが、中でも、原子力発電は本格的な実用化段階に入っております。すでに営業運転に入っている原子力発電所では、原電の東海と敦賀発電所でありますが、今回私たちが参りました東電福島原子力発電所も、第一号機は建設最終段階を迎えておりました。  福島原子力発電所は、福島県双葉郡の太平洋に面した地点にあり、周辺人口密度は低く、人家が少なく、地形は平たんで、地盤条件もよく、冷却水用の海水が使いやすい点が、発電所立地の大きな理由とされております。第一号機は、アメリカから沸騰水型軽水炉を導入しての建設であり、その電気出力は四十六万キロワットであります。第一号機は、七月に燃料を装荷し、あと、試運転を続け、十一月ごろより営業連伝に入る予定とのことでありました。この一号機に隣接して、第二号機の建設が、原子炉格納容器組み立て工事中心に続けられておりましたが、この二号機の炉型は一号機と同じでありますが、電気出力は七十八万四千キロワットと、大容量となっております。二号機の場合は、三石機に比べ、主要機器の中で国産化の比率が高くなっているとのことでありました。運転開始は四十八年五月ごろを予定しております。  原子力発電安全性の問題については、関係者が細心の注意を払っているところでありまして、発電所の構内だけでなく、その周辺にも放射線監視装置を設けて、放射能の測定を行ない、その結果を地元住民に周知せしめるための体制が、と福島当局との間に確立されておりますので、地元住民不安感を解消するために役立つことと思います。  原子力発電は、エネルギー供給の中核として今後とも急速に増大していくものと思われますが、それに伴って問題となりまするのは、燃料であります。その大部分を海外に依存しておりますので、電力会社海外鉱山会社長期購入契約を結んだり、ウラン鉱共同開発を行なう等の対策を講じてはおりますが、増大の一途をたどる必要量をいかに確保するかが重要な課題ではないかと思います。  原子力開発利用一つに、原子力船があります。世界で四番目、わが国初原子力船むつ」は、特殊貨物船として建造中でありましたが、昨年六月に進水し、その後、船体の艤装を行なっており、七月には青森むつ港に回航され、そこで原子炉関係主要機器据え付け工事を行ない、昭和四十七年一月に完成する予定となっております。その後、聞くところによりますると、若干おくれる見通しとのことです。  原子力船は、原子力船であるため特別の施設を持った定係港が必要とされますので、むつ市の下北埠頭定係港建設中であります。定係港は、原子力船核燃料交換貯蔵、船内に発生し蓄積されている放射性廃棄物の陸揚げと処理がおもな業務となっております。  私たちが現地に参りましたときは、いまだ「むつ」は回航されておりませんでしたが、定係港のおもな施設は、長さ百七十六メートル、水深八メートルの岸壁原子力船岸壁に接岸して作業を行なうため、燃料交換用に使用できる七十五トンの大型岸壁クレーンや、燃料交換設備放射線管理設備廃棄物貯蔵設備等であります。原子力船は、いわば移動する原子炉でありますため、その安全性については十分な配慮が払われて建造されておりますが、定係港安全性の確保についても、もちろん留意されており、たとえば、燃料交換用建物は厳重な放射線遮蔽構造となっておりますので、放射線汚染物建物の外に出ることは全くないようになっているとのことでありました。  最後に、青森当局その他関係者説明によりますと、下北地方開発計画として、むつ湾小川原湖工業地帯の構想があり、すでに半島の太平洋岸に大規模原子力発電所建設する計画があり、さらに、将来、鉄鋼、石油精製石油化学等が進出し、きわめて大規模工業地帯となることが予想されており、過疎地域積極的開発が期待されるとのことでありました。  しかし、工業基地化は、地域経済の発展をもたらすでありましょうが、その反面、今日全国各地で問題となっているように、公害の生ずるおそれが多分にありますので、地域開発の推進にあたっては、地域住民の生活安定と向上を念頭に置いて、公害問題等について地域住民に不安を与えないよう、最善の対策を立てておくことが肝要であり、特に科学技術進歩によって公害事前に防除することの必要性を痛感した次第であります。  今回の視察にあたり、種々御協力を賜わりました関係者に感謝の意を表して報告を終わります。
  5. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 別に御発言もなければ、派遣委員報告は、これをもって終了いたしました。
  6. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 次に、本調査について質疑のおありの方は順次御発言を願います。  大矢君。
  7. 大矢正

    大矢正君 去る九月の上旬であったと記憶をいたしますが、中曽根防衛庁長官が訪米をされまして、この目的とするところは、日米防衛関係に関する話し合い中心であったことは申すまでもありませんが、それに付け加えられて、特にウラン濃縮工程技術的な知識わが国に提供してもらいたいという立場に立っての話し合い、あるいはまた、日米その他第三国も入りましてのウラン濃縮工場設置等についての意見の交換がなされたと新聞で報じられておるのでありますが、中曽根防衛庁長官が話された内容は、おそらく原子力行政をあずかる科学技術庁として十分承知をされていると思いますので、その話の内容をこの際明らかにしてもらいたいと思うのであります。なぜかなれば、これは非常に重大な問題であり、一歩誤まりまするならば、原子力基本法を踏みはずすにもひとしい重大な内容が入っておりますので、ぜひ明快に御答弁をいただきたいと思うのであります。
  8. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) 大臣がいらっしゃいませんので、私から知っている限りのことを申し上げたいと思います。  中曽根長官は前の科学技術庁長官でもございまして、濃縮ウランの問題については非常に御関心がございました。その関係から御発言されたようでございます。内容につきましては、大体私の知っています範囲内におきましては、日本でも濃縮ウランそのものは、昭和六十年になりますと六千万キロワットとなりまして、相当な量になります。その関係から、濃縮ウランの需給の問題について民間としてどう考えるのかということが検討課題になっております。その関係上、濃縮ウラン技術アメリカから出されるかどうか、これについてはいろいろニュースがございまして、たとえば、ヨーロッパユーラトム、その辺のところも、濃縮ウランの問題について、アメリカ技術を入れようか入れまいかという風聞もございます。したがいまして、中曽根長官お話は、要するに、濃縮ウランそのもの技術アメリカがそのうちによその国に公開するだろうかどうだろうかという雰囲気をお聞きになるという立場でおっしゃいましたところでございまして、われわれのほうの行政的立場濃縮ウランの問題について現在どうするかというのは、原子力委員会検討中でございまして、その関係は全く関係なしに、中曽根長官が、アメリカの様子と申しますか、そういう態度といいますか、そういうものを聞き出せるのかということで御発言になった、そういうふうに聞いております。
  9. 大矢正

    大矢正君 そういたしますと、中曽根さんは、個人的に、過去においては科学技術庁長官をやっていたし、原子力については知識もあるところから、みずからの発想に基づいて、またみずからの意思によってなされたということであって、おたくのほうは、その問題について事前にも、また事後においても、何らかの経過の報告なり内容説明は受けていない、あくまでも中曽根個人がかってに話したことである、こういうように解釈をされるわけですか。
  10. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) 中曽根先生がおいでになります前に、何か、うち大臣濃縮ウランのことも気にしているのだがというお話がちょっとあったようには聞いておりまして、したがいまして、お帰りになりましてから、うち大臣、私もつきまして中曽根長官とお会いいたしました。そのときは、中曽根長官は、いま私が申し上げたような意味で言ったので、その後のことについては、これから先の日本濃縮ウランのことについては、長官よろしく頼む、こういうお話でございました。
  11. 大矢正

    大矢正君 まだ肝心の点がぼけておりますから、最終的な詰めの議論はいたさないといたしましても、ウラン濃縮研究開発基本計画というものが昨年の八月の二十八日に決定をされて、わが国わが国独自でウラン濃縮研究開発を行なうのだという一つ方向が示され、具体的には予算面で、若干ではありますが、四十五年度予算に頭を出し、そうして、それぞれの項目に基づいて、今日の段階では、ガス拡散法あるいはいま一つ方法が、いずれがよいのかという問題は四十七年度までにおおむね研究を終えて、四十八年度以降、その二つうちのいずれをとるか、あるいはどうするか、という基本方針を定めるという方向が、原子力委員会の基本的な考え方となっておるはずでございますね。にもかかわらず、一国の大臣が、かってに自分発言アメリカへ持ち込んでいってやるということに対して、あなたのほうとしては快く思わないと私は思うし、単に快く思わないだけではなくて、これは大きな逸脱ではないかという感じがいたしますが、これはもちろん大臣が来てから私は念を押したいと思いますが、もう一度、あなた方自身が、大臣がなされた行為を正しいと思われるのか、お答えをいただきたい。
  12. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) ただいま先生のおっしゃいましたように、濃縮ウランの問題につきましては、四十七年度までに、ガス拡散法と、それから遠心分離法、この二つ日本独自での自主開発という基礎研究をしまして、四十七年度ころには何とかその二つうちのどちらがいいかをきめて、それからほんとうの本格的な研究を進めるという体制を、そこまでが原子力委員会としてきまっております。したがいまして、四十七年度ころには、原子力委員会で、この問題につきまして、世界情勢並びに日本技術進歩程度等で、その後の本格的研究を立てる予定でございますが、しかし、現在のところ、濃縮ウランにつきましては、各電力会社計画が非常に早まっております。その関係上、われわれが数年前に考えました予定よりも、六十年度には約二千万キロワットの増ということで、二十年先の計画をした場合の約五年間が先に早まってきたというのが現状でございます。したがいまして、いままでのような考え方濃縮ウランが得られるかどうかという問題は、内々原子力委員会でも相談をされておりました。したがいまして、現在、いま先生おっしゃいましたその関係上から、世界情勢という考え方から、われわれのほうも、アメリカあるいはヨーロッパ大勢等を相当調べておりますが、まあ今度中曽根先生がああいう発言をされたというところで、向こう態度がどう来るかということは、私たちとしては、非常に私たちの仕事を進める上においては役立つ答えなり、あるいは雰囲気が見られるのじゃないかという期待はございます。しかし、いま先生おっしゃいました中曽根先生が言ったことがどうかということにつきましては御答弁しかねますが、私どものほうが決してこれでもって非常に悪影響とか、行政的に非常に困る、そういうことはないように感じております。
  13. 大矢正

    大矢正君 あなたが悪影響がないという意味は、どこに悪影響がないという意味を述べておられるのですか。アメリカに対してないというのか、あるいは日本国内に対して、特に原子力行政その他原子力開発関心を持つ人々に影響がないとおっしゃられるのか、どちらですか。
  14. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) 中曽根発言がございまして、それがヨーロッパに通じまして、したがいまして、ヨーロッパユーラトム等においても、やはり日本濃縮ウランについてどういうふうな考え方を持っているだろうか、自分たちのほうもそれに対する考え方についてどうかというようなことについて、雰囲気がある程度、今度のIAEAの総会等のときに、個人的に言ったことが、向こうヨーロッパの国の人等に会いましたときに、いろいろ濃縮ウランの問題が出ておりました。したがいまして、濃縮ウラン情報を取るという意味において、いま申し上げたわけでございます。
  15. 大矢正

    大矢正君 あなたは情報とおっしゃいますが、情報じゃないでしょう。技術的な知識日本に提供せいと言っておるわけですね。世界に公表された情報中曽根さんは提供せいと言っているんじゃない。そんなものは本を見ればわかる。印刷物を見ればわかる。公開されているものは。そうではなくて、公開されないもの、すなわち機密に属するものを日本の国に提供せいと言っておるわけでしょう。それがないならば、中曽根さんがなぜ発言する必要があるんですか。公開したり公表したりしてもいい、そんな情報なら、中曽根さんはそれをあえて出せということを言う必要はないわけでしょう。何を言っているかと言えば、それはあくまでも、濃縮工程に関する技術的な知識、すなわち、アメリカにおいては機密に属している事項を提供せいと、こう言っているわけでしょう。
  16. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) 私が申し上げたのは、中身の問題でございませんで、いわば各国濃縮ウランにどのくらいの興味を持ってきているか、それから濃縮ウラン技術というもの、遠心分離方法というものは各国もどういうふうにやっているか、そういうふうな雰囲気でございます。したがいまして、先生おっしゃいますように、ガス拡散技術そのもの情報を出すか、あるいは技術的な中身はどうかという情報は全くございません。ただ、そのガス拡散技術アメリカにおきます技術、それからあとは英国とフランスが持っておりますが、そういう持っているところがガス拡散でまだいくのだろうか、あるいは遠心分離法がそのうちにどういう位置になってくるのだろうか、そういう考え方雰囲気でございます。したがいまして、技術中身がどう出るかということの情報は全くございません。
  17. 大矢正

    大矢正君 あなたとここで議論しても、大臣が来なければ話になりませんが、私が非常に理解に苦しむことは、あなたのところの大臣アメリカに行かれてそういう話をされたというのならば、言った内容は別としても、あるいは言う内容に問題があったとしても、筋としては誤りではないと思うんです。筋からだけ考えれば。防衛庁長官がなぜアメリカへ行ってそういうことを言わなければならなかったのか、あるいはこういうような情勢日本国内にあるのかどうかということが、根本的に問題が一つあるわけです。しかも、そういうことをアメリカへ行って言われても、あなたのほうは何らそれに対して追及もしなければ、そういうことは、言うならば越権行為ではないかということを言いもしないという、あなた方の態度自身に私は非常に疑問を感ずるわけです。しかも、この内容が、新聞報道で公表されているところによれば、共同濃縮工場をつくるというような話すら提起したと、こういわれておるのでありまして、そうなりますれば、科学技術庁には、あなたのところには大臣がおられるんだが、大臣はもう全然関知しないうち防衛庁長官濃縮工場をつくる話までアメリカへ行ってやるというようなことで、はたして行政というものが正しく運営されるのかどうかという点について、私は多くの疑点があるわけであります。あと大臣にお伺いすることといたします。  次に、わが国原子力発電についてお尋ねをいたしますが、私の手元に、中央電力協議会が四十四年の十二月に決定をした四十四年度から五十三年度までの電力長期計画というものがあります。この長期計画に基づきまして、わが国原子力発電というものがおそらく今後着工され、そうして運転をされていくものと思われるのでありますが、今日、この内容におおむね変更はないかどうか、お尋ねいたします。
  18. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) 先般、電調審で出しました答申でまいりますと、——いま先生は四十四年とおっしゃいましたが、四十五年にでき上がっております。それでまいりますと、昭和五十年に原子力発電が八百七十万キロワット程度になります。それから昭和五十五年に二千七百万キロワット、それから昭和六十年には六千万キロワットということで、少しそれで早まった形になっておると私は存じます。
  19. 大矢正

    大矢正君 私のところには、科学技術庁原子力局監修のこの本しかありませんから、この本を参考にしてお尋ねをしておるわけでありますが、アメリカ原子力発電に関するいろんな情報を聞きますると、アメリカでは、原子力発電所建設のテンポがかなり昨年から後退をしておるように承っておりますが、どういう理由で、アメリカ自身が、原子力発電所建設後退をし始めておるのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
  20. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) 一つ、私たちの想像も入りますが、考えておりますところでは、いま米国におきましては、原子力発電機器そのものの値段が上がっております。それから、初めに建設費が非常に原子力関係は高うございます。その関係から、資本金、それに金利の上昇というものが引っかかりまして、相当建設費が上がってくるということで、少し延びてきているというのが一つでございます。  それからもう一つ、社会的な問題では、アメリカでは比較的、川あるいは泉、そういうところのそばに原子力発電所ができます。したがいまして、温排水の問題というのがいま問題になりまして——日本では海の回りでございますが、向こうは、川あるいは泉というところでございますので、温排水が引っかかって、場所の選定、そういう地元の対策等で延びているように考えられます。
  21. 大矢正

    大矢正君 そこで、アメリカのそういうような事情をわが国に当てはめてみた場合に、当初予定された内容よりも、たとえば送電原価の問題、あるいはもっと大きな意味では、建設単価の問題等等において計画後退しておるというふうに聞いております。で、あなたのほうに資料があったら、この際お示しをいただきたいと思うんでありますが、すでに運転を開始しております東海発電所、それから敦賀発電所、この二つは現に運転開始をいたしておりますが、この二つは、当初の計画と実際でき上がった今日において、その建設単価あるいは燃料費、そしてそういうものを含めた最終的な送電原価の上で、どういう変化があらわれてきているか、お示しを願いたいと思います。
  22. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) ちょっといま私資料持ってきておりませんので、後ほど資料でお届けさせていただきたいと思います。
  23. 大矢正

    大矢正君 私のところにも若干の調べた内容はありますが、ともあれ、総論的に言うと、わが国原子力発電所建設も、アメリカと同様に、当初の計画を大きく後退をして、送電原価にいたしましても、また建設単価にいたしましても、建設費それ自身にいたしましても、大幅な上昇を見ているという事実があります。それから、いま一方、わが国原子力発電は、いま局長のお話によりますと、アメリカと異なって、海岸線に沿うて建設をされておるから、河川に温水が出るのと違って影響が少ないと、こうおっしゃいますが、現に、各地で、原子力発電所建設された際における温水が海に及ぼす影響について、非常に多くの反対が出ておるわけであります。あなたもそのことは御存じのことだと思うんであります。にもかかわらず、当初の計画よりさらに急テンポで原子力発電所建設するための計画の認可なり、あるいは工事の認可、そういうものを進めるということは、もちろん、あなたの科学技術庁が認可するわけじゃありませんが、しかし、技術的な立場で見ても、私は大いに問題があると思いますが、あなたのほうでは、そういう面について何らかの検討された内容があるかどうか、お尋ねをいたしたい。
  24. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) 現在、エネルギー全体の問題として、火力発電がこういう状態でございます。それから、水力もあまり伸びない。そうしますと、やはり電力の需要を満たして、少しでも中をとっていくのは原子力だと思います。しかし、五十年でもわずか八百七十万キロワットでございますが、そういう関係からも、安全に原子力ができますならば、原子力発電所を設備していきたいという方針を考えております。もちろん、いまの温排水の問題もございます。これにつきましては、われわれのほうも、ことしから予算要求をして考えておりますが、温水のところでどの程度魚が生育するか、あるいはそういう点につきましての研究を実際的に見せて考えていったらどうかというのも現在考えております。
  25. 大矢正

    大矢正君 いまの問題と安全基準に関する問題とは、非常に関係の深い問題だと思いますが、私は安全基準という、そのものの内容は詳しくは存じませんが、私が知り得ている限りにおきましては、アメリカにおいて原子力発電所が大型化するのに伴って、安全基準というものをますますきびしくさらに検討をし直して、さらに安全基準をつくり直すという方向アメリカは対処している。そして、そういうことのために、ある意味において、この原子力発電機器メーカーが実際に工事に機器が間に合わない、建設が間に合わないという理由一つにもなっていると、こういうように聞いております。ところが、日本の場合は、しろうと目に見ますると、非常に簡単に原子力発電計画なり、それから建設の認可がおりるというような状態は、どう考えても理解に苦しむ。アメリカ自身、なるほど、いっときはかなり急速に原子力発電所建設されたが、しかし、大型化するに従って、これではいかぬ、安全基準はもっときびしくやはりつくり直さなければいかぬということで、それが原子力発電所建設ブームをある程度押えたほど大きくなっているのに、わが国の場合には、何らそういうものが問題視されないということは、どう見ても、どう考えても理解に苦しむわけですが、あなた自身どういうふうにお考えになりますか。
  26. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) 現在、私たちがやっております安全審査は、いま先生おっしゃいますようにルーズではございません。と申し上げますのは、前に日本原子力の設備をします場合には、アメリカより値段が高うございました。これは、安全審査を非常に十分にしまして、極端にいいますと、たとえば海に捨てる濃度をアメリカの十分の一に持っていくという程度の安全審査をしております。それから過大評価につきましても、できるだけの過大評価をして、それの最大事故を想定して、それに安全であるというふうに審査を慎重にいたします。その関係から、日本におきましては非常にシビアな安全審査だというのをアメリカの人も言っております。それから、こういう技術につきましては、軽水炉と申しましても、いろいろ中身が変わってまいります。したがって、年に一度は、大型になってきた場合等についての安全審査のやり方の打ち合わせ等はアメリカともやります。で、私の考えといたしましては、安全審査はアメリカ以上にシビアにやっている、こういうふうに考えております。
  27. 大矢正

    大矢正君 安全審査のための基準というものは、いまあなたの説明によると、大型化するに従って、さらにきびしいものに変わってきたという御説明でありますが、これは資料としていただけますか。当初、原子力発電所が東海あるいは敦賀あたりにおいて建設される当時の安全基準というものはこういうものであったが、しかし、今後、たとえば美浜なり福島なりというものについてはこういう基準をさらに設けたとか、あるいは今後またさらに七十万、八十万、百万という、大型化するについてはこういう安全基準を設定せにゃいかぬとか、そういう基準の内容というものを、その時期、情勢の変化に応じて当然定められてきたとおっしゃるんでありますから、それを資料として提出していただけますか。
  28. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) 実は、安全審査そのもののやり方でございますが、もちろん、安全基準というのはございますので、それの資料はお届けいたしますが、実は、炉ごとに、一号基、二号基それ自体、中の技術の使い方も変わっております。したがいまして、それの入り方によって安全審査のところでやっていくわけでございます。したがいまして、私の考えでは、前にやりました方法にシビアに追加してきているという、こういうところも見たほうがいい。追加もあると思います。できる限りの資料はつくって差し上げたいと思っております。
  29. 大矢正

    大矢正君 最後に、大臣がお見えになりましたから、先ほど一度議論をしたところでありますが、事務当局が答弁をするというよりも、大臣から御答弁をいただかなきゃならない問題でありますので、この際、あらためてお尋ねをいたしますが、先月の上旬に中曽根防衛庁長官アメリカに行きまして、アメリカ側に対して、ウラン濃縮工程技術的な知識日本に提供してもらいたいという立場で、強く話し合いをされたということとあわせて、日米、またその他第三国も含めて日本が入った形でウラン濃縮工場建設したいという申し出も同時に行なったと、こう書いてありますね。私は、どう考えてみましても、防衛庁長官アメリカに行かれてそういう話をされるということは、これは筋違いだということは、もちろん根本にありますね。あなたが行かれてやるんなら、これはまあそのことの是非は別としても、筋は通るわけであります。まず、筋違いだということ。そして、そのことが、結局、将来日本濃縮技術をみずから持つことによって、あるいは積極的にそういう運動をすることによって、核兵器の基礎をつくるのではないかというような不安だって、私はなきにしもあらずだと思います。それから、かりに濃縮技術というものが全面的に公開をされたということでありますれば、これは原子力基本法に沿うていることでありますから、また話は別でありますが、しかし、今日の段階で、アメリカがこの濃縮技術を細大漏らさず天下に公表するはずのものはない。とすると、そこに機密協定というものが生まれてまいりまするし、そうすることがいわゆる原子力基本法に沿わないことになるわけで、そういういろんな点から見ますると、非常に疑いを持たざるを得ないわけです、この間の行為に対して。しかも、原子力委員会においては、ウラン濃縮に関する開発の基本的な計画というものもきめて、四十七年までは、そのいずれが、技術的に、またコスト的に、いいのかどうかということを見きわめ、その時点で、あらためて国際的な動向も加味して、どうするかという方針を出そうという、はっきりした原子力委員会開発基本方針があるにもかかわらず、中曽根防衛庁長官が、かってにああいうことを言うということは非常に問題だと思いまするし、行政をあずかる科学技術庁長官としても、この際黙っていられないところではないかと私は思うのでありますが、お答えをいただきたいと思います。
  30. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 中曽根防衛庁長官が訪米をされまして、その機会に、アメリカにおいて一つの希望的な提言を行なわれたということは、新聞にも報道されておりまするし、私も、帰りましてから事情も伺いました。もちろん、これは、私がそういうことの交渉を託したわけでもございませんし、また、中曽根長官も、全くこれは政治家個人としての立場であるということを前提としてお話しになったことのようであります。また、そういうように、帰ってからもはっきりお話がございました。御承知のように、先ほど来いろいろ御議論があったと存じますが、日本原子力発電が非常な急速な速度で伸びておるわけでございますし、したがいまして、この濃縮技術を早く開発をして、そうして将来に備えるということはきわめて重要な事柄であると存じます。そういう立場で、原子力委員会におきましても、一つの方針をきめまして、そうして、いま二つ方法について、そのいずれを採用すべきかという結論を見出すべく努力をいたしておるわけでございます。もちろん、現在、濃縮ウランアメリカに全面的に依存をしておるわけでございます。また、アメリカはガス法を用いてやっておるわけでございますが、従来も、私、就任以前におきましても、また就任後におきましても、日米間のいろいろな会合等の際において、わがほうからアメリカの当事者に対してそういう希望を申し出たということは、一再ならずあったようでございますが、日本に対して技術を公開してくれるというようなことが非常に困難なことであるという認識にわれわれは立っておるわけであります。したがいまして、今度もアメリカにおいてそういう提言をされましたようでありますけれども、それに対する明確な回答は受けておられないようであります。  実は、帰りましてから、私も事情を聞きましたし、また、閣議におきましても、そういう御発言が、個人的である立場においてこういうことを言ってきたという報告がございました。私は、そのことについて、ことに、この濃縮ウラン技術の、まあ何といいますか、日本に対する技術の導入といいますか、そういうことについての御発言と、もう一つは、共同でこのウラン濃縮工場建設ということと、二つあるようでございます。技術の問題につきましては、これは、いま私が申し上げましたように、日本側としても、アメリカ側に、そういうことが可能であるならばという希望的なことは従来も話をしておったようでございますから、そういう希望を申し出られたということは、あえて、個人的な立場でなされたとしても、そう重大な問題ではなかろうと思います、まあ立場の問題は別といたしまして。それから、共同で云々という問題は、全くこれは私も初めてそういう御提言があったことを知ったわけでございまして、そこで、実は、閣議の席上におきましてもそういうお話を伺いましたが、私は、かりに濃縮技術の問題等をアメリカから云々ということがあるといたしましてもですね、共同で云々というようなことについては、これはまだわれわれそこまで十分考えておらないことでございまするから、これは将来の問題といたしまして、もう一度——もう一度じゃありません、われわれが検討してみるという——全く無価値なものであるかどうかということは、私は言い切れないと思います。そこで、それにいたしましても、ともかくいずれにいたしましても、わが国がみずからそういう技術開発し、その能力を少なくとも持つということは、何よりも大事であるというようなふうに考えましたので、私は、特にその閣議の席上におきましても、その問題は別といたしまして、既定方針に従って、四十七年末にはひとついずれの方法がよろしいかという結論を出したいということでやっておるが、そのために、こういう話があることによって、手をゆるめるんでなくて、かえってむしろ積極的に日本濃縮ウラン開発技術を、その研究開発をすることを、もっと急ぐ必要がある。大蔵大臣にも、特にその席上において、私からそういう要望をいたしたわけでございます。  十分なお答えになったかどうかわかりませんが、そういうことでございまして、報告は受けましたが、私どもといたしましては、そういうことも、一面、全くそれは検討の価値のないことであるかどうか、そういう可能性があるかないかということと含めまして、ひとつ適当な機会に、また原子力委員会でも話し合ってみたいとは思いますけれども、とにかく既定方針どおり、わが国濃縮ウラン開発技術研究開発ということに、いままでより以上強い姿勢で臨んでいきたい、かように私は考えておる次第でございます。
  31. 大矢正

    大矢正君 民主・自主・公開という原子力基本法にのっとったこの三大原則は、やはりどんなことがあっても守るという前提を、大臣としても、はっきりしてもらわなければいかぬのだが、かってに、しかも、防衛庁長官たる者が、アメリカに行って、何のあなた方に相談がないとおっしゃるのだから、何の相談もしないで、ああいう提案をするということは、もってのほかだ。
  32. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 基本法に定めておりまする基本方針というものは、これは厳守してまいるつもりでございます。
  33. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 矢追君。
  34. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 最初に、海中公園の問題について伺います。  今回、全国で十カ所の海中公園が指定されましたけれども、最初に厚生省からお伺いしたいんですが、この指定に至るまでの各省庁との協議、それからその経過について述べていただきたいと思います。
  35. 中村一成

    説明員(中村一成君) 海中公園制度に関しまする法律といたしまして、前国会におきまして自然公園法の一部改正を成立させていただきまして、その法律の施行が、ことしの五月十六日に公布を見たのであります。厚生省といたしましては、実は、法案を提出する以前から、海中公園の候補地につきましては詳細に調査検討いたしておりましたので、法律の公布を見まして、直ちに関係の各省と協議をいたしました。関係の自然公園審議会に御諮問を申し上げまして、審議会の御答申を六月の末にいただきまして、七月一日に十カ所を告示した、こういう経緯でございます。
  36. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この指定の場合に、いろいろな問題が出てくると思いますが、各省にお伺いしたいのですが、最初に通産省のほうから。  大陸だな鉱物資源の開発という面から見て、通産省として、いままでの海中公園指定にあたっては、どのような主張を厚生省にしてこられたか。また、今後、その大陸だな鉱物資源の開発調査が現在進められておりますけれども、それが全部終わるにはかなりの時間がかかると思います。その前に、海中公園としてどうしても指定しなければならぬ地域が出た場合、開発を先にするか、あるいは公園をそこにきめるか、そういった点の調整という問題が出てくると思いますけれども、その辺については、今回の指定についてはどういうふうな主張をされたのか、これからはどういう方針で臨まれるのか、その辺をお伺いしたい。
  37. 礒西敏夫

    説明員礒西敏夫君) お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいましたように、海洋開発の問題については、御承知のように、いわゆる大陸だなにおきまして、石油資源、天然ガス、そういう鉱物が相当あるように調査されておりますので、その辺の開発につきましては、海洋開発の重要な問題として、われわれとしては取り上げている次第でございます。しかしながら、ただいまおっしゃいましたように、国定公園、国立公園あるいは海中公園との調整の問題につきましては、ただいま厚生省から御説明ございましたように、各省の大臣との協議というふうな条項がございます。それにのっとりまして、御案内のように、五月十九日に六つの海中公園について協議が出てまいりました。われわれといたしましては、この出願の問題ともからみますので、各通産局に照会をいたしまして、六月六日に回答を得、われわれといたしましては、六月十九日、すなわち協議があった一カ月後に、全面的に差しつかえない旨の回答を厚生省あてに出しております。今後の問題につきましても、かような具体例にのっとりまして、十分調整をはかりたいというふうに考えております。
  38. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 具体的な問題について調整をはかりたいと言われますけれども、やはり、現在の日本のあり方というものは、かなり重工業に重点が置かれておりますから、資源開発ということには相当力を入れられるだろうと思います。そうなった場合に、早くその調査を終わらなければ、結局、公園の指定もできない。大体、公園のあるようなところというのは、サンゴ礁とか、そういうのがおもでございますけれども、そんなところには資源がないというふうになれば、それはありがたいわけですが、もし、あとから出てきた場合の問題とか、かなり問題が出るのではないかと思います。調査を急がなければならぬ、むしろ資源のほうを先に……。その点の見通しというのはどうですか。
  39. 礒西敏夫

    説明員礒西敏夫君) 御案内のように、石油及び天然ガスの採掘にあたりましては、物理探鉱から探査をやりまして、それから試掘をやりまして、採掘と、そういうふうな形式に、実態もそういうぐあいになっております。物理探鉱の段階におきましては、空中探査もございますし、その辺の、いわゆる漁業とか、あるいは自然公園とか、そういうものに対する影響はほとんどないと、こういうぐあいに考えていいと思います。問題は、試掘、いわゆるボーリングの段階にあると思いますが、この辺につきましても、地元都道府県知事と、鉱業法第二十四条によりまして協議をすることになっておりますので、その辺を十分協議をして、通産局長が出願許可を与えるというふうになっておりますし、実際にそういう問題でいろいろ調整がつかない場合におきましては、現在、保留というふうな形をとっております。もちろん、先生のおっしゃいました海洋開発というのは非常に重要でございますので、その辺は十分考慮に入れまして——ただ、地元との調整、そういう問題もやっぱり尊重しなくてはなりませんので、その辺を調整しながらやっていきたいというふうに考えております。
  40. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 厚生省にお伺いしますが、いま言った中にある、海中公園として指定された海域から、もし鉱物資源が出るというふうなことがわかった場合に、その場合はどういうふうにしますか。
  41. 中村一成

    説明員(中村一成君) ただいま通産省からもお答えがございましたとおり、海中公園の地区につきましては、海中公園の特性からいたしまして、おそらく先生お話のようなケースはあるいはなかろうかと思いますけれども、しかし、現実にそういう場合もあろうかと思われます。これは、陸上におきますところの国立公園、国定公園におきましても、鉱山の試掘の問題であるとか、あるいはその他、産業開発と自然公園の保護という問題は、陸上におきましてもいろいろある問題でございまして、常に関係の各省と十分調整をいたしまして、そうして優先をきめるというふうに強調してまいっておりますので、海中公園につきましても、これから先そのような事態が起こりました場合においては、十分調整をはかりたいと思っておりますが、私どもも海中公園の地区の指定にあたりましては、極力海中の景観を保護すべきところを厳格に守るという意味におきまして、いたずらに海中公園を広げて公園を指定するといったようなことのないように、厳正な態度で臨んでおりますので、私どもといたしましては、少なくとも、先般指定いたしました海中公園地区におきましては厳正に自然の保護をはかるべき地区だと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  42. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その海中公園の指定のあり方の——私はちょっと不勉強だったからかもしれませんが、先日串本へ行ってまいりましたが、海中公園というのは非常に小さい地区で、三カ所ぽつんぽつんと指定されているだけです。そういうふうな指定のしかたが正しいのか。結局、サンゴ礁が非常にきれいに見えるところをされたもので、海中公園も公園とは言えなくて、海中の美しいところの地域というふうな、そういう考え方じゃないかと思います。どうしてそれを、もっと大きな網を張って、あの地域全般を海中公園ということにはできなかったのかどうか。これは各方面とも同じ状態だと聞いておりますけれども、その辺の、非常にローカルライズされたところに指定されているという問題——これは向こうの地元の話なんで、この辺、ほんとうかどうか、それはちょっとわかりませんけれども、これは水産庁との関係があるのだというようなことを聞いたのですけれども、その辺のことも水産庁の方からお伺いしたいし、そういうのは関係なしに、厚生省としてそういう狭い地域にされたのか。ということは、実際に漁業の問題はあの辺はないわけです。漁民の方は、別にあそこでとろうとは思っていないし、あそこにはいないし、全般を指定されてもよかったと思うのですが、その辺はどうですか。
  43. 中村一成

    説明員(中村一成君) 確かに、先生の御指摘のとおり、ことしの七月指定いたしました海中公園の地区は、一つ一つの地区の広さといたしましては、あるいは御想像されたよりも狭いという印象を受けられたかもしれません。たとえば、吉野熊野国立公園の場合も、串本海中公園地区で申しますと、全体として三十九・二ヘクタールという広さでございます。したがいまして、確かに、あるいはこれは狭いじゃないかという印象をお受けになったかもしれませんが、私のほうといたしましては、先ほど申し上げましたとおり、この海中公園地区の、実は周辺一キロメートルというのが、これが、海中公園地区ではございませんが、法律上規制される地区になっておりますので、したがいまして、一応これにおいて十分に保護がはかれるというふうに考えておりますことと、また、先ほども申し上げましたとおり、やはり公園地区に対しましてはいろいろな行為が制限をされるわけでありまして、したがいまして、その公園地区の指定にあたりましては、やはり厳正に保護すべきところに限るというような態度でいくべきであるというふうに私どもは考えて指定した次第でございます。  これは、ことしの夏指定いたしました地区につきましてはそれでいいわけでございますが、蛇足を加えますと、これから先指定しますところの地域につきまして、たとえば沖繩なら沖繩の海域におきましては、これは相当広い地域にわたりまして、あるいは保護しなくちゃいけないのではなかろうかと考えておりますが、一応七月の十カ所につきましては、あの広さで十分であるというふうに考えております。
  44. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 水産庁のほうに伺いますけれども、いまの問題とも関連して、要するに、漁場とこういう公園との関係ですが、それについては特に漁民との問題が出てくるわけですが、その点はどのように考えておりますか。
  45. 油井恭

    説明員(油井恭君) お答えいたします。  海中公園の指定でございますが、漁業との関係につきましては、必ずしも利害相反すると申しますか、海中公園でも自然保護等が特に考えられた内容でございますから、ある面では漁業と共通する自然保護等の問題があるやに思っております。ただ、御案内のように、海中公園法によりますと、ざっくばらんに申し上げまして、海底の起伏が非常に多いところ、あるいは水がきれいなところ、自然の環境が非常によろしいところ、しかも海中動植物が豊富なところ、というようなところが条件に相なっておりますが、そのところ自体は、まさにまた、漁業としても非常に重要なところになるわけでございます。そこで、いま先生御指摘のように、そういった地域には、古くから漁民がかなり生活を依存している地域が多うございますので、私のほうといたしましては、海中公園の指定にあたりましては、あくまでも、従来の漁業の一般的な生産活動に支障を与えないようにということと、ある面では、海中公園法の趣旨に相共通する問題もございますので、その辺のことを十分調整しながら協議に応じたい、かように考えてやってまいった次第でございます。ただ、その場合に、やはり、水産庁の問題というよりも、むしろ、現地の漁民の意思を十分尊重する必要があるので、協議に若干時間がかかる点もございますけれども、あくまでも両者を調和させるような方向で今後も協議に応じてまいりたい、かように考えております。
  46. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま大体のことはおっしゃいましたけれども、もし、指定されたところが、将来——川魚というのは動くわけですから、非常に豊富な漁場になった場合、ここでは絶対魚はとれない、こういうことになってしまうのか、あるいは時間をきめてとるようなことができるのか、その点はいかがですか。
  47. 油井恭

    説明員(油井恭君) それはやはり今後厚生省さんと協議する問題になろうかと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、いままでもいろいろ御相談申し上げて、いままでの一般的な産業の生産活動が阻害されないというようなことが基本になっておりますので、それを前提といたしまして、自然公園の発展と同時に、漁業に支障を来たさないようにというようなことで対処してまいりたい、かように考えております。
  48. 中村一成

    説明員(中村一成君) ただいまの水産庁の御答弁と同じでございまして、この海中公園の制度で保護しますところの動植物と申しますのは、特に保護すべき価値のあると申しますか、自然景観の保護あるいは自然の保護上必要なものに限るわけでございますので、したがいまして、一般の漁業資源としての魚類等につきましては、これをとることは何ら制限いたしておりません。制限されますところの海中の動植物につきましては、厚生大臣が農林大臣と協議いたしまして、その種類をきめて告示することになっております。したがいまして、各公園ごとにそれぞれ制限されるところの動植物等をすでに告示いたしておりますけれども、一般の魚類におきましては全然関係がないというふうに理解をいたしております。
  49. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、建設省にお伺いいたしますけれども、海中公園地区に指定された場合、必ずそこに観光開発の手が伸びるわけです。いろいろな施設建設されるわけですけれども、国立公園に指定されている場合は厚生大臣の認可が必要でありますから、ある程度問題はないとしても、もし、民有地等の場合は、制限があってもいろいろの抜け道ができる。したがって、悪質な、といいますか、観光業者が自分たちのもうけだけを考えてどんどんやりますと、海を汚染するとか、あるいはせっかくの海中公園をこわしてしまう、そういうようなことも出てくると思うのですけれども、その点はいかがですか、建設省としては。
  50. 三浦孝雄

    説明員(三浦孝雄君) 建設省の立場から申し上げますと、いろいろの地域が考えられますけれども、一つの手法といたしましては、建設省が所管しております都市計画法によりまして、そのような土地利用の規制ができるというふうに考えております。また、必要に応じまして、水質汚濁等につきましては、下水道事業をこのような地域に積極的に整備するという方向検討いたしたいというふうに考えております。
  51. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま言われた下水道の問題ですけれども、海中公園周辺の場合は特に下水道をつくらなければそういう施設はつくらせない、そのぐらい規制をしないと、ちょっとまずいと思うのですけれどもね。それから、そういう業者がつくる建物につきましても、その辺の設計の段階で、これはまああまり自由を侵害するということで問題があるかと思いますが、私は、白浜と串本しかまだ見ておりませんけれども、白浜の場合の水中展望台というのは非常にちゃちなものなんです、実は内容が。せっかく、回りのきれいな海、海の底に魚等がおりますし、もう少しましなものをつくらせる指導はできなかったのかどうか。まあお金の問題とか、いろいろあるかと思います。「ハイプレイランド」というところができているんだけれども、せっかくのあの辺の美観を私はそこねつつあるのじゃないかという気がいたします。串本の場合は、わりあい大きな水中展望台が現在できていますが、まだ橋ができておりませんので中へは入れませんでしたけれども、現在グラスボートだけが動いている。あの辺一帯を開発するいろんな建物の見取り図ができておりまして、見てまいりましたけれども、はたして、その海中公園というもの、またその地域の海、それとの調和ですね、そういう点、やはり相当きっちりしないと、企業がどんどんもうける態勢で入ってくるわけですから、むやみやたらに建てられるという可能性も出てまいります。しかも、地方自治体というのは、どうしてもそういうものに来てもらいたい。町長だって、どんどん来てもらいたいというような姿勢ですから、どうしても企業がただ自分たちの利益だけを考えて、海をよごすこととか、あるいはそういったことは考えないでやる点が十分考えられますので、そういう点に対して、建設省としては何かできるのか、あるいは、厚生省として公園を保護する立場からある程度そういうチェックなり意見なんか言えるようになっているのか、その点をお伺いしたい。
  52. 中村一成

    説明員(中村一成君) お答えを申し上げます。  ただいま先生御指摘になりました二つうちの潮ノ岬のほうは国立公園の地域内でございますので、お答えを申し上げますが、この海中公園の指定をするにあたりまして、私どもは、海中公園の保護のためには、ただいまもお話しのとおり、海域におきますところの、あるいは海中におけるところの、特に水の汚染の防止ということを重要なものと考えて、私どもといたしましては、海中公園の地区の周辺の陸地でございますね、これは、国立公園あるいは国定公園の区域内であって、しかも特別地域に指定をする、そういう前提で指定をいたした次第でございますので、したがいまして、海中公園の周辺の陸域につきましては、特に建築物等の制限もございますので、その点につきましては、私どもとしましては、できるだけ保護をはかっていける体制にあると思うのでございますが、さらに、しかし、たとえばいま御指摘の下水道等につきましては、建設省等のお力も得まして、十分にいくように努力したいと、こういうふうに考えておりますが、さらに、できますならば、私どもといたしましては、海中公園の地区の特に水質の汚染防止のためには、陸上の自然公園におきますところの河川、湖沼と同じように、何らか特別な措置が必要なんじゃなかろうかということで、ただいま別に検討いたしておる最中でございます。
  53. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 建設省、下水の問題について……。
  54. 三浦孝雄

    説明員(三浦孝雄君) 先ほどの答弁に加えまして、実はまあ建築基準法を建設省は所管いたしておりますので、この建築基準法の運用によりまして建築確認ということをしておりますが、この面からやはり建築物につきましては取り締まりをしていきたいというふうに考えております。  なお、下水道につきましてでございますが、現在、下水道事業におきましては、下水道整備緊急措置法という法律によりまして、四十二年から五カ年間の事業の方向づけがなされております。この中で、都市計画事業として実施される下水道事業に限定をしてやっているということでございます。御承知のように、ただいま第三次の下水道の整備計画につきましていろいろ検討しているところでございますが、この中で、海中公園の指定地域につきましても、必要に応じまして、ただいま厚生省からお話がございましたが、厚生省とも協議いたしまして、地方公共団体が実施いたします場合には積極的に指導していきたいというふうに考えておるところでございます。
  55. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 時間がありませんので、大臣にお伺いしますけれども、この海洋開発につきましては、どうしてもわが国としては、もっと力を入れてやらなければならない課題一つだと思いますが、いまの質問でおわかりだと思いますけれども、やはり、海洋開発という頭から、日本の海を、回りをある程度きちっとしなければならない。たとえば、鉱物資源あるいは石油資源等の開発のための調査はもう一番先にやってしまって、この辺とこの辺は、これはやろう、それから漁業の問題も、これからは遠いところへ行ってとらなければならない。また、外国はなかなかとらせない。日本の非常によごれているところは魚がだんだん減ってきている。だから漁場もつくらなければならない。だから、どの地域をそれに指定する、公園はどこにするとか、ここは観光開発にしていくとか、政府として大きな立場から、やはりそういう基本的な、完ぺきな指定はできなくとも、大まかな開発計画は立てていかないと、このままほうっておきますと、片一方ではどんどん海がよごれる、片一方では公園が指定されても、いま言ったように、業者がどんどん出てきて、観光開発という名のもとに一ぱい建物ができて、結局、その結果、下水が完備していないから、また海がよごれる。だんだん自然はそこなわれてしまう。そういうような結果になってくると、非常に混乱が生じると思うわけです。そういった点で、海洋開発を担当しておられる科学技術庁長官として、これから日本の海をどう利用するか、これに対してどういうふうな計画で臨まれようとしているか、その点、お伺いしておきたいと思います。
  56. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 矢追先生の御指摘のとおり、海洋開発をこれから積極的に進めてまいります上に一番大事な問題は、今後の環境保全の問題だと思います。で、海洋の汚染問題、まず、これは第一に、汚染源に対する規制が先決のことであると思いますが、これにつきましては現在いろいろな法律がございます。水質保全法でありますとか、あるいは油濁防止法、いろいろな法律がございまして、各省庁におきましては、これらの規制の強化をはかっておるところでございます。  そこで、科学技術庁としてどういう構想を持っておるかというお尋ねでございますが、まず、科学技術庁といたしましては、環境保全問題として、あるいはまた海洋開発の一環として、防止技術、この総合的な開発にまず力を入れてまいりたいと考えております。  そこで、現在ございますところの海洋科学技術開発推進連絡会議というのがございますが、ここでは海洋科学技術に関するところの実行計画をつくりまして、そしてその作業を進めておるわけでございますが、その重大なポイントとして取り上げておるものの二、三を申し上げますと、海底石油掘さく、海洋構造物の建造等に伴う汚染の防止技術開発、それから汚染防止等海洋環境保全のための沿岸海域の潮流とかあるいは地形の基本的な調査、汚染の監視、測定等を重点的にあげているわけでございますが、そこで、いまお尋ねの要点は、その広い日本周辺の海洋をどういうふうに開発する考えであるか、地域的にこれらをどういうふうに、どういう配分で考えていくかというようなことがお尋ねの要点であると存じますが、ただいま私どもは、単なる海洋の科学的な開発技術というだけではなくて、もっと、いまお尋ねになりましたような立場に立って海洋開発を進めていくべきであるという考え方からいたしまして、これはもちろん国会の御承認をちょうだいしなければなりませんが、海洋開発の審議会をつくりたいと考えておるわけでございます。そして、その審議会におきまして、技術よりもっと高度の立場から、この海洋開発の基本的な計画をひとつつくっていきたい、しかしながら、時間がかかりますから、それに先立って、懇談会という形式で、まずいち早く発足しよう、こういう考えで、すでに各省庁と話を進めておりまして、近くその結論を得ると思います。そして、審議会を前提としての懇談会を発足させ、続いて審議会に移行いたしまして、そこにおきまして、ひとつ海洋開発の基本的な計画を立て、そしてまた、この汚染の問題につきましては、ただいまも申し上げましたような、われわれの立場におきましては、方向でひとつ進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 だから、海洋開発につきましては、公明党のほうで二回ばかり振興法案というのを提出しましたけれども、残念ながら、審議されておりませんけれども、開発公団あるいは総合研究所、さらに、いまの審議会と言われました、われわれとしては海洋開発委員会という制度を考えております。またぜひ御検討願いたいと思います。  それから、いまの海洋汚染につきまして、時間がありませんので、簡単でけっこうですから……。いろんな水質の環境基準等がきめられましたけれども、海洋汚染の防止という立場から、やはり常時監視体制、チェック体制というものがまだまだ完備してないと思いますので、この点について各省からお願いしたいと思います。運輸、これは油、通産省は重金属等の工場排水、それからさらに経企庁、それから公害対策本部としては、いまの汚染の監視体制について地方自治体にまかせるという話が出ておりますが、地方自治体としてもなかなか力がないと思いますが、その点はどうなっておるか、簡単でけっこうですから、お願いします。
  58. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) お答え申し上げます。  工場排水の監視体制につきましては、水質保全法によりまして指定されている地域につきましては、これは通産省の地方通産局及び都道府県が行なっております。それから、指定水域になっておりません水域につきましては、都道府県が条例等によりまして基準をきめまして、それに基づきまして監視を行なっておるわけでございます。そのほか、いろいろ重金属等についてどのようにしておるかというお話がございましたが、四十五年度から、特に健康に有害な物質である重金属等につきましては、排出する工場の総点検を実施してまいっております。これらの工場の工程実態とか、あるいは汚水処理法の実態等を調査しまして、強力な指導を実施しておる次第でございます。
  59. 白井和徳

    説明員(白井和徳君) 水質の監視測定には二通りあろうかと思います。一つは、工場のほうの排水口についての監視測定対策でございまして、これにつきましては、先ほど通産省のほうからお話がありましたように、工排法に基づきまして所要な監視測定体制を確立し、また、工業用水全体につきましては、経済企画庁といたしまして、指定区域におきましては現在必要な監視測定体制をやっておりますが、必ずしも十分な体制だとは考えておりませんので、今後、国、地方公共団体を通じまして所要な法改正を通じまして監視測定体制につきまして万全を期していきたい、かように考えております。
  60. 粟野次郎

    説明員(粟野次郎君) お答えいたします。  海上保安庁は海水油濁が水産資源等の国民生活環境に影響のある重大な問題でございますので、海上保安庁が所有しておりまする巡視船艇約三百隻、航空機二十機のうちで、油濁の事件が多発する海域がございますので、それに重点を置きまして効果的に運用いたしまして、取り締まりに当たっておる次第であります。その実例を申しますと、昭和四十二年度におきましては、私どもが確認いたしましたのが九十一件、それから昭和四十三年度には百十三件、これは二四%増しになっております。昭和四十四年度におきましては百二十九件で一四%増というふうに検挙をしております。今後の方針といたしましては、この広大な沿岸海域をこの種の防止の取り締まりをいたしますにはきわめて困難でございますので、巡視船艇、航空機の増強をはかりますとともに、本年十月一日より私どもの第三、第四、第五及び第六管区の海上保安本部に海上公害監視班を設置いたしまして、順次警戒に当たっておる次第でございます。さらに、油濁防止のための講習会やポスター等を配布いたしまして、防犯思想普及をはかりまして、関係行政官庁と密接な連絡をとりまして厳重な取り締まり及び油濁の防止につとめておる次第であります。
  61. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 これらの問題は、また時間と場所を改めてやりたいと思います。  最後に、いま長官公害防止機器の開発というようなことをおっしゃいましたけれども、現在、公害防止装置というのは、かなりいろいろできております。ところが、この公害防止装置が、はたしてきちっと役に立っておるかどうか、その排出基準あるいは大気汚染の防止の基準にきちっとマッチするようになっておるかどうか、それをチェックする機関というのは、現在のところ、全然ないわけです。ただ、業者が集まりまして大気汚染及び水質汚濁防止装置に関する排出基準の順守にかかる申し合わせ、こういうのがあるだけで、はたしてそれが有効であるかどうかについてのチェックというのは、そういう面でのチェックはされてない。いま言われたようないろいろな監視体制はできておりますけれども、その機械がどうであるこということは、これは全然チェックされておりませんので、いま公害防止産業というのはだんだん成長して、株も相当上がっておる。そういうことで、かなりわれわれの家庭にもいろいろパンフレット等が来るわけです。この間も薬局で見ましたら、マスクが売ってありました。このマスクが一酸化炭素をちゃんと取るとか、亜硫酸ガスをちゃんと取ると書いてあります。現物はちょっと持っておりませんけれども、そういう宣伝があります。この間は、自動車の排気ガスが九割ぐらい取れてしまうというふうなパンフレットが家に入っておりました。西ドイツのパテントがある。そういうのがかなり出回ってきた場合、やはりそれをチェックする機関がなければならない。実際、前に塩釜で御承知だと思いますけれども、非常に問題になっておる。これは公害防止事業団のつくった公害防止器の設計ミス。要するに、その器械のミスがあったわけです。十分チェックをされていないで使われておる。使ってみて、だめだといって地元が騒いでおる。  それから実はきのう公明党調査団の結果発表をいたしまして、けさの新聞に出ております。福島県磐梯町のカドミウム汚染、これは水田でいままでの最高が出ているわけです。御承知のように、水田で四二・三八あるいはアズキ畑で四六・五二という非常に高濃度のカドミウム汚染がありました。ここの工場のやはり排水口のところ辺でも相当出ているわけです。排水口ではもっとひどくて、二五六・八PPM、カドミウムですね。亜鉛が一四、九七三PPM、鉛が一、五三〇PPM、こういう非常に高いのが出ております。ここは、ちゃんとシックナーを使っているところです。もう一つ、二重に操作をやっているわけです。それでもこれだけ出ているわけです。実際使わなかったのか、その装置が悪いのか、その辺はわかりませんけれども、どっちみち、そういうシックナーというものを、やはりこれがきちっときいているかどうかということをチェックされなければならないと思います。そういう点について、いまの状態でいかれるのか、あるいは現在のそういうチェック体制はどうなっているか、将来そういうようなことで、あるいは規制というようなことも考えられますし、その点については政府はどう考えておられるか、各所轄官庁からでけっこうですからお答え願いたい。
  62. 宗像善俊

    説明員(宗像善俊君) 公害防止をいたしますために、公害防止器械をどういうふうに開発普及させていくかということは、非常に大きな問題であるとわれわれは考えております。私ども産業機械行政を所管する立場といたしまして、ぜひいい公害防止機械を開発させ、そして普及させて公害の防止にできるだけ努力をしたいというふうに考えております。現在、製造販売されております公害防止器械は、大体公害関係諸法令で定められております排出基準を満足するものではないかというふうにわれわれは考えておりまして、その効果は、これらの機器を設置するかしないかということによって格段の差異をもたらすものと考えております。ただ、価格とかあるいは操作性の面で、中小企業でも容易に設置できるように今後ともさらに開発改良を進めていかなければならないというふうに考えております。  公害防止機器の性能をチェックするかどうかということについてですが、ただいま先生からお話のございましたように、社団法人の日本産業機械工業会の産業公害部会を中心といたしまして排出基準を守る申し合せをいたしておりまして、現在、この申し合わせに百三十八社が入っておりまして、法令で定められた排出基準に合致しない装置を製造をする、販売をしているというようなことがありました場合には、この申し合わせから除名をするというような制裁を加えることによって、各メーカーがりっぱな器械をつくるようにというふうに業界でも努力をいたしておりますし、われわれといたしましても、この申し合わせが守られるように各般の指導を加えている次第でございます。  私どもの所管といたしましては、産業機械という、メーカーに使われる器械の面から、公害防止機器の問題を申し上げました。消費者のマスクの問題その他の問題につきましては、別途お答えいたします。
  63. 丸田幸栄

    説明員(丸田幸栄君) お答え申し上げます。  防毒マスクには、鉱山で使われますものと、それから一般事業所で使われるものとございますけれども、鉱山において使用される鉱毒マスクにつきましては、鉱山保安法に基づきまして規制が行なわれておりまして、性能につきましては通産大臣が検定を行なって、この検定に合格したもの以外のものは使用を禁止されております。それから一般事業所で使われるものにつきましては、労働省の労働基準法に基づきましてその規格が定められておりまして、その性能について労働大臣の検定を行なって、これに合格したもの以外は使われない、使用が禁止されているわけでございます。これらの規定は、一般日常生活において使われることを想定してはきめておりませんが、一般に使われるとしましても、この基準に合致している限り十分ではないかと考えているわけでございます。
  64. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 通産大臣にお伺いしますけれども、いま言われたように、違反に対する処置というのは、いま言われた除名、それから運営委員会で詳細な事情を釈明しなければならぬ、非常に弱いと言えば弱いわけです。結局、やはり、これは申し合わせでなくて、私は法律化をしなければならない、このように思いますし、特に排出基準についても、やはりいろんな地域によって違う場合も出ておりますし、そういった環境基準の設定自体にも問題があるわけですけれども、やはりそういうことを考えると、どうしても甘くなってくるのではないかと非常に心配するわけです。現実に、私自身、この器械はこれだけきかなかったではないかという証拠といいますか、そういうのは持っておりませんので、そういう点については、具体的な点はいまのところ、ありませんけれども、将来私は必ず起こってくると思う。特に工場の場合、排水シックナーをつくる場合、高いので、どうしても値切る、そうすると、つくるほうは、どうしてもいいかげんなものをつくってしまう、そういう点がかなり考えられてくる。特に、これから中小企業等も、そういう公害防止ということがやかましくなりますと、どうしても費用がありませんので、安いのでごまかすということが出てきますので、その点について、やはり私は、法律化をするか、あるいは条例を定めて、できたらJIS程度のものまでつくられてはどうかと思うのですが、その点はいかがですか。
  65. 宗像善俊

    説明員(宗像善俊君) 公害防止機器ですが、どういう性能を持っているかということにつきましては、これはユーザーサイドで公害を防止するためにどういうふうな措置をすべきかということについての技術知識が高まってくることが前提でございます。もちろん、その前に、法令あるいは条例によりまして、公害はこういうふうに排除しなければならない、工場の排水はこの程度にしなければならない、大気汚染をしないように、こういうふうに排出しなければならない、こういう法令による制限がございまして、いかにそれに合うようにユーザーが各種のメーカーに機器を注文してつくるかということになるわけです。現在の体制のもとでは、いい機械をつくった人間が、そしてそれが安くできた人間が、売り込みが可能になるというかっこうになるわけでございます。この辺のことは、一応いまのところでは、業界の公正なる自由競争にまかせておこうというふうに考えているわけでございます。これがさて、さらに公害を防止するのに万全であるかどうかということにつきましては、むしろ、ユーザーの公害防止に関する知識の発達を待たなければならないのではないか、そのユーザーが発達した知識を持って、そして機器メーカーに発注をするということになるのではないかというふうに考えておりますが、いま先生の御指摘のように、JISの制定というようなことも、公害防止機器については新しい産業であるだけに、おくれておりますので、技術的困難性はあると思いますが、できるだけそういう方向検討したいというふうに考えております。
  66. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 最後に、いま、ユーザーのほうからの、ということが出ましたけれども、そのユーザーが良心的に公害を本気になって防止装置をつけるようになってくればいいのですけれども、大体いまの企業——大企業も含めてですけれども、要するに、公害はうるさいという考え方を非常に持っておるわけです。ですから、かっこうだけつくって、役所が調べに来たときだけ排水がうまくいけば、それでいいのだというところが多いわけですよ。われわれが調査に行っても、たいてい機械をとめております。その日は、きょうは機械は休みだからと言って、夜中に煙を出したり、流したりしているわけです。しかも、現実に各地を回りましたけれども、結局、そういう企業は積極的に公害防止という良心的な立場に立たない。そうすると、いまユーザーから、これはだめなんだからということは私は望めない。だから、やはり公害という面からの、そういう頭の上から、人間尊重という立場の上からの規制ということはどうしてもしなければならないのではないか、その点を一つ要望しておきます。  それから、最後に長官にお伺いしたいのですが、この公害防止機器の研究開発は現在工業技術院等で行なわれておりますけれども、いまもちょっと科学技術庁の方が言われましたが、その点は、本年度はどうなっているのか、来年ぐらいからどういうふうにされるのか、あるいは科学技術庁としてはやらないで、それは工業技術院にまかせることになっているのか、その点を伺って、終わりといたしたいと思います。
  67. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) 具体的な問題でございますので、私からお答え申し上げますが、この公害を含めまして海洋汚染等につきましての防止技術と申しますか、こういうような技術につきましては、現在、海洋科学技術審議会等におきましても検討されているわけでございます。また、海洋科学技術開発推進連絡会議においてもこの問題は取り上げられまして、早急に、今年度並びに明年度において一歩でも前進するように解決に努力したいということで進んでおるわけでございます。この内容につきましては、この海洋汚染の問題につきましては、監視の問題、さらに測定技術の問題、あるいは機器の問題、こういう問題に取り組もうということで、現在、推進連絡会議におきましては、この具体的な項目について実行計画を作成中でございます。これができ上がりますと、わが国のそういうものに対する科学技術の取り組み方というものが、ますますはっきりしてくると考えております。具体的にどういう項目についてどういうふうにやるかということにつきましては、そのテーマが確立いたしましてから具体的に検討を進めたいと思っておりますし、また、従来から科学技術庁におきましても、特別研究促進調整費等を使いまして、こういう方面の研究を促進するように努力中でございます。
  68. 太田暢人

    説明員(太田暢人君) 工業技術院におきましては、かねてから、この公害防止の研究は非常に重要でございますので、非常に力を入れてやっておりますけれども、その中に、先ほど先生お話公害物質の分析関係研究も一環としまして大いに力を入れたわけでございます。それから、特に分析の研究としてではございませんけれども、いろいろの公害の防止の技術研究していきますと、その過程におきまして、まず最初に分析表が確立されなければいけない。それで、そういうことで、いろいろの公害物質に関します分析表の確立、それから、よりすぐれた分析表も見つけていく、こういうふうな研究も力を入れてやっております。今後とも、その方向に関しましては十分力を入れてやっていきたいと思っております。
  69. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 岩間君。
  70. 岩間正男

    岩間正男君 中曽根防衛庁長官の訪米に伴う濃縮ウランの問題ですが、これは先ほど大矢委員からも質問があったわけです。しかし、事は非常に重大、日本の将来の燃料政策をどうするかという基本的な問題、さらに国防との関連も、これはある問題です。そういう問題ですから、この際、その衝に当たっていられる科学技術庁長官にお伺いしたいと思うのです。  第一に、先ほどの応答によりましても、濃縮ウラン技術的な知識の提供を求める、もう一つは、共同開発をやるために合弁会社をつくる、第三国を入れるのでありますが、そういう提案をこれは行なったわけですね。当然、これは、原子力委員会委員長として、また原子力問題担当の閣僚として、西田長官に対して事前に相当詳しい話があり、打ち合わせもなされたのじゃないかというように考えるわけです。そうでないとすれば、非常にこれは平仄が合わない。つじつまが合わない。事前に打ち合わせがあったということは先ほどちょっと話がございましたけれども、どの程度の打ち合わせをされたのか、お伺いしたいと思います。
  71. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 打ち合わせという程度のものではございませんけれども、いつかの機会に、立ち話をしましたときに、今度行って、濃縮ウランの問題について、技術公開と申しますか、技術日本に導入すると申しますか、そういうことについて、向こう側の意向をそれとなく聞いてみよう、こういう話があったことは事実でございます。その際に、私、先ほどもお答えいたしましたが、従来もアメリカ原子力当局と、いろいろな会談等があった際に、わがほうからそういう希望を申し出た、希望を開陳したと申しますか、そういうことはあったようでありますけれども、なかなかこれは困難なことであるというように私は聞いておりますし、なかなかこれはむずかしいことのようだというように話をいたしまして、まあしかし、そういうことを個人的に打診されるというようにおっしゃっておりましたし、私は、そのことは差しとめるというようなことはいたしませんでしたが、打ち合わせと申せばその程度のことで、個別な打ち合わせのようなことはございませんでしたが、そういうことをちらっと申されましたことは事実であります。
  72. 岩間正男

    岩間正男君 私、時間をあまり持ちませんので、要点で、お互いにこれは審議をやりたいと思うのです。その点よろしく。  そうしますと、儀礼的にちょっとあいさつをしてきたくらいのことなんですね。しかし、濃縮ウランについて打診してみたい、そういうことは話されたのだから、科学技術庁長官としては、これは個人的とは言えない、重大だというふうに感じられたと思うのです。この点、まあいまのお話で大体わかりました。  それなら、中曽根さんが帰ってこられ、それから提案内容について閣議に報告されたということのさっき話がありましたですね。これはどの程度のことを報告されたのか。それから閣議では了承したと言っていますけれども、これはほんとうですか。それから、西田長官は、閣議でそのときどのような態度を表明されたか、お聞きしたい。
  73. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 誤解があるといけませんから……。事前お話があったということの内容は、技術の問題、濃縮技術の問題だけでありまして、共同開発ということについては触れておられないということをはっきり指摘しておきたいと思います。  それからお帰りになりましてからそういうことが報道せられましたので、私のほうからお会いいたしまして、そうして詳しく状況を伺いました。そのときのお話も、閣議の報告内容とは全く一致しております。それで、これは全く個人的な立場で、中曽根長官もかつては科学技術庁長官もおつとめになりましたし、そういう立場で、将来のウラン濃縮のことについて、いろいろ御心配になっている気持ちはよくわかるわけであります。そこで、一つは、ウラン濃縮技術日本に公開と申しますか、いわゆる技術導入に協力してもらいたいということ、一つは、できるならば、可能であるならば、日米、さらに第三国を加えて共同ウラン濃縮工場建設するといいますか、そういった方向がとれないか、とってはどうかというような意味のことを打診された、提案と申しますか、打診されたというように思います。それに対して、まだ確たるその回答、返事は来ておらぬが、いずれ返事をするということであるけれども、まあある程度の反応はあったように思う、こういうことでありまして、これは全くそういう打診程度であるから、あとは外務省、それから科学技術庁がひとつこのことは検討してほしい、こういう趣旨のお話でございます。  そこで、私は、遠心分離法ガス拡散法二つ方法について、技術的な解明を現に行なっておるところである、それからまた、最近、南ア等におきましても新しい濃縮技術開発されたという報道も、実は内容はわかりません、まだ中身はわかりませんけれども、そういうような報道もあることでもあるしいたしますし、そこで、そういう問題を将来検討するということは考えられないこともないけれども、しかし、わが国が現在とっておる態度、つまり、二つ方法について積極的にわがほうが、とにかくその技術開発するということが最も重要であると思うからして、ひとつそういうことについて財政当局も十分な配慮をしてほしいと、こういうことを強く私は閣議で要望いたしたわけでございます。したがいまして、これは相手のあることでございますから、どういう返事が来るのか、何もまだわかりませんし、もし必要があるならば、私のほうでも、しかるべき機関で検討の機会があるいは将来あるかもしれませんが、いまのところは、そういう中曽根さんの個人的な提案に対して伺ったという程度でございます。
  74. 岩間正男

    岩間正男君 いろいろ実はお聞きしたいんですがね。この程度でいきますと、時間が非常にオーバーしてまずいですから、聞いたことに端的にお答えを願いたい。親切にいろいろと詳しく御答弁いただくのはありがたいことなんですけれども、運営の協力の問題もありますから、お願いいたします。  閣議においては、結局、向こうに行って個人的に打診したということを了解したと、こういうことなんですね。それで、それに対して、またついでに長官が、いろいろいま申されたことを、あれこれ表明されたと、こういうことなんですね。そうすると、今後これは——向こうから返答は来てないということなんですが、これは、政府の方針としては、この提案の線で関係諸国との交渉を行なっていくと、こういうふうな考えはあるのですか、ないのですか。
  75. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) それは、今後政府が、原子力委員会というのがございますから、ここが十分な内容検討をやってみなければ、何ともまだ結論は出せないわけでございまして、いま何とも申し上げられないと思います。
  76. 岩間正男

    岩間正男君 この問題、これは技術長官の把握のしかたに少し問題があるのではないか。実は相当重大な問題だと思うのですね。向こうではレアード国防長官に会ったでしょう。ロジャーズ国務長官、それからキッシンジャー大統領特別補佐官に会ったでしょう。そして、向こう中曽根訪問に対する反響としては、一番大きいのは濃縮ウランの問題ではないか。向こう新聞ではそういうふうに伝えたと私らは見ているわけです。これは非常に大きな反響もあるし、向こうの、何よりも産業の動力であるエネルギーの問題、こういうものが関係している。だから、もう少しこの点については、責任ある長官として、やっぱりもっと明確にしておく必要があるというふうに考えるわけであります。そういう点からお聞きするんですが、原子力基本法との関連の問題です。  御承知のように、原子力基本法では、原子力研究開発及び利用について、それが平和目的に限られることを明らかにして、そのために「民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、」という、いわゆる自主・民主・公開の三原則を定めていることは、私がくどくど申し上げることはない。この三原則を貫くことは、原子力行政にあたって、私は西田長官に課せられた職責の中で最も重大な点だと思うんです。この点は、はっきりと、そう認めておられますか、いかがですか。
  77. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) そのとおり認識しております。
  78. 岩間正男

    岩間正男君 そうしますと、中曽根長官のこのたびの提案ないし打診でありますか、これは、非常にこの問題と関連して重大な問題を含んでいるというふうに考えられるわけです。先ほど大矢君からも、これは一応ある程度の指摘がございました。この点、私はその三つの原則についてただしておく必要がある。あなたは基本的に三原則を守り貫くと、また、これが長官としての第一の任務だということを御答弁になったわけでございますから、その立場からただしていきたいと思います。  わが国ウラン濃縮については、昭和四十三年六月二十日の「核燃料政策について」という決定で、これは一応の定めがあるはずですね。これは御存じだと思うんです。まあ念のために読み上げてみますと、「ウラン濃縮については、これまでの試験研究の進捗状況をも考慮して各方式の研究開発を行なうが、これらの試験研究に一応の区切りがつくと思われる昭和四七年度頃において、各方式の研究成果の評価を行ない、可能な限り一方式に研究開発を集中する。各方式の評価は、学識経験者により構成される機構を設けて行なうこととする。」、これが将来の核に対する一つの方針としての大きな原点になっておるわけですね。ところが、どうでしょうか。それを無視して、あらかじめ原子力委員会の議を経ることなくして、わが国の核政策に関する重要な問題が突如として対外的に提案されておる。こういうふうになりますというと、まあ中曽根防衛庁長官政治家個人の資格で行なったということを言明していますが、公的な目的で訪米した現職の閣僚による提案であってみれば、アメリカ側は、少なくとも半ばは公的なものとしてとらざるを得なかったと思う。ことに、先ほどあげました三人の、いまのアメリカの閣僚の中でも非常に重要な職にいる人たちに全部話したのですからね。非常にこれは大きな問題になって、日本の意向はどうなんだということについて検討された。そういうことになりますと、どうなんですか。これは筋論が先ほど大矢委員からも出されましたけれども、こういうやり方で、はたして基本法でいっている民主という、この原則にこれはかなったやり方だというふうに長官はお考えになりますか。
  79. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) あくまでも個人の資格で——交渉というふうにとられておるようでありますけれども、個人の資格で向こうの意向を打診をしたと、こういうことであると思います。われわれといたしましては、わが庁といたしましては、あくまでも民主的に法律の定めるところに従って運営をしておるつもりでございますので、あえて意向を打診をされたことがそのことに抵触するというふうなことには、これはならないと思います。
  80. 岩間正男

    岩間正男君 同じ閣僚として、あなたが中曽根さんを防衛される気持ちはわからないわけじゃありません。しかし、事は公的なんです。そうして、筋目を正すということは、非常にこれは重大なんですね。こういう線がくずれたのじゃまずい。新聞の伝えるところによると、これは余談になりますけれども、この前も何か山中長官とやり合ったらしい、沖繩問題で。相当激しくこれはやり合ったらしいですね。二日沖繩に行って様子がわかるはずがないのに、いろいろな発言をして、こんなことをやったらいいじゃないか、うちへ帰ってみたら、やっているんだということで、これはわれわれコラム欄で見たんですが、最近非常にそういう形で出てきておる。そういうことでは行政の系統は乱れるんじゃないですか。こういうことがやっぱり民主的な態度を貫くということになりますか。少なくとも、これは西田長官といえども、そうは言い切れないんじゃないですか。腹の中で、どうもそれはやり過ぎじゃないかというふうに考えが出てくると思うのですね。そういうふうに思います。きのうも、内閣委員会、隣の部屋でやったわけですけれども、やっぱり私は筋を正しておくということが必要だと思うんですよ。同じ閣僚の中でも、やはり筋は正しておく。そうでないと、あなたの立場というものがどうもわからなくなりますよ。そういうふうに思います。そういう点から考えましても、私はこの点は民主的じゃなかったということが言えると思う。  次に、公開というもう一つの原則からいって、今回の点が非常に問題になってくると思うんですね。一九六〇年に、アメリカは、西ドイツ、オランダに、遠心分離による濃縮技術情報を極秘扱いにすることを申し入れているし、日本に対しても、一九六七年に、外務省を通じてアメリカから同様の申し入れがあったはずです。その結果、当時原子燃料公社の研究者が研究内容を学会で発表しようとしたそのまぎわに、これは押えられておる。そういう問題すら起こっている。このように他国の研究にまでアメリカは秘密を要求してきているんです。  ところで、濃縮ウランの工程は、これは全く水素爆弾の工程と同じものであるという立場からこの事実を考えますと、アメリカが秘密主義をとっているのは当然のように思うわけです。非常にこの点は彼らとしても慎重にならざるを得ない。こうして、技術アメリカの最重要の国家機密一つになっていることは、これは長官も御存じだと思います。したがって、この技術の提供を受ければ、この技術の秘密が要求されることは火を見るより明らかな問題だと思います。その結果、基本法の公開の原則というものは、これは完全に侵されることになる。それとも、秘密をアメリカは要求しないだろうという、そういう何か保証がありますか。この点、いかがですか。
  81. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) いろいろ中曽根先生がおっしゃいました考え方というものは、向こう技術をいつまでしまっておくかどうかということのニュアンスを出すために、すべて例示でものをおっしゃったので、それについては、全然、日本としてはどう考えるか、考えておりません。そういう関係から、当然、私たちのほうが、向こうから何らかの問題が万が一あった場合には、公開の原則、それから自主、民主、これを守りながら考えていかなきゃいけないというふうに思っております。
  82. 岩間正男

    岩間正男君 まあ、そういうことを言っていますけれども、むしろ、最近はそれはやっていないでしょう。アメリカの例を最近の事例で見ますと、こうですよ。アメリカは、ウラン濃縮工場の民有化を、当初一九七二年から実施する予定であったはずです。ところが、昨年に至って、事実上これは延長する措置がとられて、そして特別機構をつくって、そこで行なうことになった。これが最も国益に合致する、こういう立場になってきている。こういう傾向から見まして、これは公開というのは非常に事実上困難であり、どうしても基本法の重大な原則とこれは抵触せざるを得ない。こういう面は、これははっきりしていますね。その点はそう考えざるを得ないと思うのですが、何かそれとも、そういうものを公開する、そういう確証がありますか。保証がありますか。長官、どうでしょう。
  83. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) アメリカ側も、日本がきちんとした、いまの三原側の上に立って原子力開発をやっておるということは、よく承知しておると思います。したがいまして、もしかりにあのような希望的提案を行なったといたしましても、それに対するアメリカ側の考え方というものが、十分日本立場というものを理解し、承知の上でどういう態度を示しますか。私どもは、従来の経験から考えますと、そう簡単に技術の提供に応ずるというふうには考えておらないわけでございますけれども、実際に事態がどういうふうに——事態と申しますか、推移がどうなりますかというようなことによりまして、われわれはわれわれの立場に立って、ひとつ判断をしていかなきゃならぬと、こういうふうに思います。
  84. 岩間正男

    岩間正男君 アメリカから返答が来るのか来ないのか、これはわかりませんけれども、しかし、中曽根提案の現時点における問題を私は問題にしているんです。基本法による三原則を守るという立場を政府はとっている。そうして、その責任者である技術長官は、はっきりそれを当委員会でも言明された。そういう立場に立っているときに、個人の資格とはいいながら、閣僚の一人である現職大臣向こうに行って、公開の原則を破壊する、そういう可能性のあるような形の発言をされておるんですから、これはやっぱり問題です。政治的に私は問題だと思う。これを問題にしなければ、これは綱紀紊乱というもので、これは佐藤総理の出席を求めて、はっきりさせなければならぬ問題だと思いますが、そうでしょう。そうでなければ、から念仏になる。先ほど基本法を守るとあなたは言われた。言われたけれども、そういう立場に立ってみれば、もう少し厳正にこれはたださなければならぬと思う。  次に、中曽根提案によれば、先にあげた原子力委員会の「核燃料政策について」という決定と違って、濃縮技術は、これはアメリカにたよることになるんです。それは、この分野での他国の技術開発を警戒し、核のかさによる支配を続けていこうとするアメリカの意図に沿ったものです。この問題については、科学技術庁原子力開発利用長期計画自体がはっきり次のように言っておるわけですね。これもちょっと聞かしていただきたいんですが、これはあなたたちの出された資料でありますから、これは釈迦に説法でありますけれども、念のために読み上げます。長期計画の中で「しかしながら、わが国原子力発電が軽水炉のみに長期にわたり依存することは、軽水炉が燃料の消費量が多く、しかも、その燃料である濃縮ウランは、当面、米国一国にその供給を依存せざるをえない点等を考慮すれば、将来におけるわが国原子力開発利用に関する自主性の確保ならびに核燃料の安定供給およびその有効利用をはかるうえに、必らずしも望ましいことではない。」——あなたたちのとっている方針とどうですか。これは長官発言というのとは明らかに抵触する。あなたたちはこういうことを言っておるわけでしょう。そうすると、中曽根提案というのは、このあなたたち自身が望ましくないと認めている対米従属の方向に進む、そういう危険を持ったものであることは明らかだと思う。この点、どうです。
  85. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) われわれが述べておりますことは、現在はアメリカにのみ依存をしておるけれども、将来わが国原子力発電その他が急速に伸びてまいります立場において、それだけに依存していくことはどうであろうか、こういうことを述べておるものと思います。したがいまして、わが国におきましても、原子力委員会の方針に従って、自主的な技術開発にいま懸命の努力をいたしておるわけでございまして、いま、何か、そういうふうなことをやればアメリカに縛られてしまうのではないかというふうにおとりになっておられるようでございますが、私どもの考え方は、自主的な開発にまず全力をあげる、そして、将来これはどういうふうに国際情勢が推移していくかわかりませんし、ですから、アメリカとは限りませんけれども、どこかと共同でやるということは全く絶無である、全くそのことは全然考える価値のないことであると言い切れるかどうかという問題は、私はまだ将来に残された問題であろうというふうに思うわけでございます。
  86. 岩間正男

    岩間正男君 だから、自主的な、民主的な開発そのものに……。結局、アメリカ依存ということで、アメリカ共同してそういう開発をやる、合弁会社をつくるということになれば、これはむろん、全部アメリカ濃縮ウランということになってくるわけです。原料も、そうなればアメリカ一辺倒にならざるを得ない。そうなれば、どうして自主を貫くということができますか。これはできない。明らかに矛盾なんです。いまあなたの話を伺いましたけれども、どうも筋道が通っていないように思う。だから、そういう点から考えれば、この自主の方向は貫くことができない。  こう、私は二、三点について質問したわけですが、このように中曽根構想というのは、自主・民主・公開という、基本法、平和利用の三原則というものを三つとも破り捨てようとしておるのです。この点は認めざるを得ないですよ。こうならざるを得ない筋道を、日本原子力政策は、そもそもの当初から推し進めてきていますが、時間の関係から、この点を私は詳細に指摘することはできません。日本原子力発電の実情を見れば、はっきりそういう方向になっているじゃないですか。たとえば、電力会社は、燃料サイクル確立の見通しもないままに、あと先も考えずに、無政府的に軽水炉の導入をしているではありませんか。昭和六十年の原子力発電量は、先ほども話がありましたが、これは六千万キロワットと見込まれている。ところで、現在アメリカにある三つの濃縮工場の合計した能力は、これは電力量に換算して一億八千万キロワット分ですから、そうすると三分の一、三つの工場のうち一つ分は日本の需要だけでこれは必要とする、そういうふうになるわけですね。これは認められると思うのです。どうですか、そういうふうになりますか。
  87. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) いま先生のおっしゃったとおりでございます。したがいまして、濃縮ウランのその後の利用を減らすために、いま新型転換炉、高速増殖炉の研究を進めまして、新型転換炉が五十五年ごろには、できるだけいまの濃縮ウランを使わない炉として入ってくる、それから六十年度には高速増殖炉が入って、プルトニウムを燃料にするという考え方を進めているわけでございます。
  88. 岩間正男

    岩間正男君 ところが、さきに述べた「核燃料政策について」によりますと、四十七年度ごろ研究方式をきめるというぐらいしか、原子力委員会核燃料についての見通しは持っていないのが現状でしょう。しかも、電力界の動きは、そのまま放置するどころか、長官自身が、ことしの白書——これ、私たちいただいて、原子力白書を見たわけです。はしがきに、こういうことが書いてありますな。あなたがお書きになったんだから、おわかりだと思う。まあ念のため……。特に「原子力発電につきましては、軽水型炉によるわが国初の商業用発電炉が敦賀に完成して万国博覧会に原子の灯をともしたのをはじめ、他の原子力発電所建設も逐次これに続き、従来の見通しを大きく上回って、発電所建設計画がすすめられております。ここにわが国における原子力発電もいよいよ実用期を迎えたものといえましょう。」——このようなことを涼しい顔で言っているわけですね。これは、さきに引用した長期計画のことば、こういうものと矛盾するように思われるのですがね。どうなんですか。一方では発電の計画はどんどん進めておる。そうして、これに対する基本的な方向としては四十七年にちゃんときめる、こういうことなんでありますが、どうなんです。この二つというものは、どうも、やっていることと言っていることは違うじゃないですか。
  89. 梅澤邦臣

    説明員梅澤邦臣君) 原子力発電は、先ほども申し上げましたように、日本のエネルギー需給に一番役立つ、やらなければならない問題でございます。したがいまして、いまの実用化を軽水炉として急いだわけでございます。そのほか、国産炉でそのあと研究を進めていく態勢をとっております。それに伴いまして燃料対策が出てまいります。燃料につきましては、燃料サイクルを考えて、濃縮ウラン、それから、濃縮ウランを使いますと、プルトニウムが出てくる。その燃料の有効利用という考え方、その間に、初めはどうしても濃縮ウランが必要になってまいります。したがいまして、濃縮ウランの確保についてどうするかということで、アメリカ濃縮ウランの供給を、いま現在のところは、七三年度までに合計二十六基分の濃縮ウランについての確保を考えたわけでございます。その間に、やはり農縮ウラン技術というものは独創技術でやらなければならない、したがいまして、濃縮ウラン技術を上げることは当然並行して必要であるという考え方から、濃縮ウラン技術の立て方を考えたわけでございます。それで、いま先生のおっしゃいました四十七年度ごろにはどうしても濃縮ウラン研究を進める、これは技術を積み上げてまいりますので、そのタイミングは、研究がうまくいきますとタイミングが早まりますが、なかなかその点は独創技術でございますので、早まりません。その関係から、できるだけ早くその濃縮ウラン技術を確立していきたいというのが、並行してそこで立っておるわけでございまして、これには私たちとしては矛盾を感じてはおりません。
  90. 岩間正男

    岩間正男君 矛盾を感じないというのは、一方のほうはどんどん大きくなっちゃって、そして基礎的な研究が足りないから、そこにはっきり矛盾が出てきて、その矛盾が今度の中曽根発言になったのじゃないですか。そのあなたの御答弁自身に矛盾がありますよ。私は、そういう点から、つまり、中曽根構想による基本法三原則のじゅうりんというのは、今日まで政府がとってきた原子力政策の必然的欠陥と言わなければならない。あなたがいま言われたそのこと自身が、そういう矛盾のあらわれとして受け取れる。そういう筋合いのものだと思うのですね。  私は、あまり時間がありませんから、そういう中で特に最後に指摘しなければならないのは、こうしていま日本は水爆製造能力の潜在保有国としての地歩をやはり着々として築きつつあるという事実ですよ。これは非常に重要なことです。これは平和的利用と言っているけれども、一方では、濃縮ウランのそういう方向は、当然、これは水爆の工程と同じだという点では、それは一ぺん転換すれば水爆に持っていくことができる。これは認めることができる厳然たる事実です。だから、たとえば、愛知外相は、昨年渡米したときにアメリカのフォーリン・アフェアーズ誌に次のようなことを述べている。愛知外相、「ある私的算定によると、十年後の日本の国防予算はおおむね現在の中国が通常兵力とおそるべき高価な核兵器開発の両方に費やしているところに匹敵するものになることを意味するとのことである。」、さらに、「要するに、わが国は自国の安全保障については、通常兵器・核兵器の別を問わず、全面戦争の場合はもちろん除いて、相当程度自らの手段に依存することが、いまや可能となったのである。」、こういうふうに言っている。だから、私たちは総合的にこれは見なければならない。これは原始的な、あるいは核のそういう専門的な立場だけではできない。国策です。そうしますと、こういう潜在したそういうものを持っているのだし、そういう背景が、こういうふうに愛知さんにフォーリン・アフェアーズ誌の発言をなさしめている。佐藤総理も、この愛知論文と前後して、日本がアジアの主役になることを明らかにしました。現に、日本が進んでおり、それをもとにして発表された、このたびの中曽根提案こそは、アジアの盟主日本が、朴正煕、蒋介石、チュー、キ、ロンノルといったようなかいらい、こういうものを従わせていく上で、かっこうな武器になることは明らかだ。核を握るものは権力を握る、こういう言い方、しかも、私は、ここでやはりもう一つ先の問題を明らかにしておかなければならない問題は、ニクソンが描いている青写真、つまり佐藤構想なんかともつながるのであります。そういう中で日本がアジアの主役になる、そのためには核を握らなければならない、そういうものを、これはアメリカ共同開発という形で実は考えている。そうして、日本科学技術は、実は側面からこれをささえるところの役割りをはっきり、になっている、この点をやはり明確にするということが、今度の中曽根訪米におけるこの濃縮ウラン発言、これは非常に大きなセンセーションをアメリカに起こしたのでありますから、そういう点からこれを指摘せざるを得ないと思うのです。  最後に、長官にお伺いしたい。そういう危険な背景を持っているときに、先ほどあなたが、あくまで平和利用の三原則を貫く、これを守る、守ることが少なくとも科学技術庁長官の任務だと、こういうふうに言われたことを再確認してよろしいですか。その点を私は明確にしてもらいたいと思います。
  91. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) いろいろお述べになりましたが、まあ岩間さんの御感想として伺っておきますけれども、これは、中曽根さんもああいう、何といいますか、打診をされる前に、わが国は非核三原則はもうはっきりと守る、それから核装備はしないのだということを明らかにされて、ああいう打診をされたということは、これは岩間さんも御承知だと思うのです。したがいまして、こういう提案なりあるいは打診なりがわが国の核装備につながるのだと、こういう御判断は、私どもは全くこれはわれわれの考えとは一致せざる見解であるというふうに思います。そのことは、はっきり申し上げておかないといけないと思うのでありますが、先ほどから申しておりますように、私どもは、原子力基本法というものに基づきましてこの原子力開発というものを進めてきているわけでございますから、その点につきましては、先ほど申したとおりでございます。
  92. 岩間正男

    岩間正男君 私は、内閣委員会で中曽根さんとだいぶ長くつき合ってきた。とにかく、ほらのうまい人です。ことばで言うことと、やっていることとは、ずいぶんこれは違っているんですね。だから、三原則を貫くのだと、かりに言ったとしても、まるで反したことをやっているわけです。きのうも、問題がありました、沖繩の人の気持ちを尊重するのだと、まるで違うようなことをやっている。だから「巧言令色鮮矣仁」と言うのだ。そういう形での日本一つの矛盾、そういうものの中で、やはり国民の関心をそらすようなことでは私はまずいと思う。  あなたは、やはり科学技術庁長官としての任務からいえば、当然、これはやはり、基本法を貫きます、自主・民主・公開の三原則はあくまでも守ります、こういう立場を、これを貫くかどうかという点、これは再確認してよろしゅうございますね、くどいようですが、もう一度。
  93. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) そのとおりに考えております。
  94. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 他に発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会