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国務大臣(山中
貞則君) 四十五年度予算の編成は、これまでの予算編成のルールとして、昨年の八月三十一日をもって締め切ってございまして、でありますので、私は就任いたしましてすぐ予算編成に取りかからざるを得ない時間的な環境下に置かれましたけれども、それでも現地の事情を十分承りまして、普通ならばあり得ない時期において追加要求をいたしまして、
復帰記念事業の五島嶼における縦貫道路、あるいは水資源の調査費、あるいは戦跡記念公園等を
復帰記念事業として新しく予算をつけたわけでございますが、これは、何しろそのような環境にございましたので、本格的な骨組みになっていないことは事実であります。しかし、おそらく一九七〇年度の
アメリカ側の会計年度中において、二百万ドルの年度執行半ばにおける予算の削減という事実がございましたし、予算教書その他の七一会計年度に対する姿勢から見ても、相当に
アメリカ側の
施政権者としての支出は減るだろうという見通しがございましたので、国税を納めていないところにつかみ金、交付税的なものはいかがであろうかという大蔵省の反論等もございましたが、県政援助費の二十億並びに調整費の十億というものを一応は確保をして、何とか十一月に、七二年
復帰のめどのついた
沖繩に対する予算としての応分のていさいを整えることに一応成功したわけでございますが、その後会計年度の三カ月のズレによりまして、予算編成のころに私が知っていたならばまだ道があったであろうと思われますけれども、現在の
段階で一千万ドル本土
政府に追加援助をしてほしいという要請でございました。その歳入がはたして見積もりが妥当であるのか、あるいは歳出がほんとうに一千万ドル足らないのか等は相関しますけれども、こまかく少し詰めてみたのですけれども^たとえばこちら側の私どものほうの
考え方は、当然経済見通しに対する成長率は対応すべきものとしてそれぞれの租税収入の見積もりに合うわけですけれども、
琉球政府の現在の場合では、少なくとも経済成長の見通しというものに対する成長率に対応しては、予算の分は三百万ドルくらい見積もりが過大であるようでございます、税収において。まあしかし、それくらいのものでは、これは
関係はありますけれども、一千万ドル対三百万ドルでございますから、とても無理なことでございまするし、こまかく、
琉球政府の職員の本土に対比した給与のレベル、そういうようなもの等もありましょうし、また、定員の規模等の問題もございましょうし、いろいろと問題があろうと思います。思いますが、一番今回の一千万ドルの原因になりましたのは、
アメリカ側の
琉球政府に対する援助の総額が五百万ドルくらい減っておりますが、その中の質が実は大いに変わった。ということは、総額においては五百万ドルそこそこの減にとどまったわけでございますけれども、その中にいままで六百万ドルの教職員の給与、すなわち義務負担分の、当然現地側の
琉球政府が、
アメリカ側が援助しようとしまいと、見なければならない義務経費がいままでは入っていて、今回は落された。なお、これと似たようなものですけれども、
琉球政府としては義務経費である高等学校その他を含めた援助が二百八十万ドルくらいある。総計九百万ドル近いものが、
琉球政府としてはまともに、総額においては対比すれば五百万ドルですけれども、
琉球政府自体の行政執行の面において絶対に必要な予算としては九百万ドル近いものが穴があいた。それやこれや、減税もやらなければならない、ベースアップもやらなければならない、県単等もやらなければならないというような事情を踏まえて、
琉球政府の現地における部分的な油税もしくは物品税等を中心とする増税が差し引き三百五十万ドル、あるいは民間の市中銀行からの借り入れ金が三百五十万ドルというようないろいろな苦労も一応はしておられるようでございますが、どう差し引きしてみても一千万ドルがやりくりがつかないという御相談でございます。知念副主席とは私二回会いましてこまかに詰めてみたのですが、ある
意味において知念副主席も、私はわりと数字のほうにこまかく突っ込んで聞くほうなものですから、専門のそういう企画局の、こちらで言う主計局的なものも連れてきておられませんし、ややそこらのところはこまかく断定的な詰めばできませんでしたけれども、いろいろと研究した結果は、やはり一千万ドルではなくとも、相当の金額が、
琉球政府の欲する予算規模を確保しようとすれば、なるほど足らないということは私も同感いたしました。しかしながら、皆さんも御承知のように、本年度予算の成立は先週のことでございまするし、これをいま予算の会計年度が三カ月ずれていたからといって、さしあたり予備費からこれをというようなことも、予備費の内訳が公務員給与の人事院勧告完全実施ということに第一の控除要因を置きますと、災害復旧費すらあるいは足らなくなるかもしれないというような予備費でございますので、とてもこの中から、金額は別といたしまして、先取りをするということはちょっと
考えられない環境にございます。そこらのところをよく懇篤にお話しいたしまして、現地に帰ってもう一ぺん相談してみたい、主席からも、もう少しこちらのほうで研究したいからまあ総務長官にあまり無理を言うなという電話も受けましたということもございまして、一ぺん昨日お引き取りをいただきまして、そうして現地側で議会の
方々ともいろいろ御相談をなさいまして、暫定予算というお話がございましたが、
復帰が固まったのに暫定予算ではいけません、暫定予算というのは、たとえば三カ月の暫定予算をかりに組むとしても、四カ月目にはこうなりますということを
前提にしたものでないと暫定とは言えませんので、全く見通しが立たないから組むのを「暫定」とは言わないわけでありますから、そこのところをよく説明いたしまして、
琉球政府の側でもう一ぺん、どのような手段がとれるか、場合によっては全額不足分を民間銀行から借り入れることが可能かどうか、それらについて、将来利子の補給等を本土
政府のほうで、年度半ばにおいてでも、あるいは来年度予算においてでも見てもらえるかどうかというようなこともお尋ねがございましたし、これは来年度予算のことはちょっとことし約束できませんが、私どもも十分に、
復帰の第一年度において
琉球政府が財源上にっちもさっちもいかない、予算が執行できないというような編成状態にあることを人ごとと思っているわけではございませんが、財政法の仕組み上、いまのところ直ちに、
琉球政府が一千万ドルほしい、足りないとおっしゃってきた、そのものの数字をもうちょっと確認いたしませんと、私自身も自信が持てませんし、現地においても少し相談をしてみたいとおっしゃっていますので、その結果を待ちましてもう一回御相談に来られるかもしれませんし、十分また御相談してみたいと
考えております。