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国務大臣(山中
貞則君) まず
最初の、不幸にしてそういう事故があった場合の補償はほとんど行なわれていないということは実はそうじゃないんで、講和前の補償の取り残しの問題はいつも
議論しておりますからお互い承知していることですし、そのあとは、外国人賠償法によって大体
——金額の多寡、不服、不満は別にして
——まとまっておりますが、中には、時期はいつでしたか、アメリカの少年がライフルで
沖繩の台所で働いておった主婦をそれだまでけがさせたという、これは一件は賠償金を納めて、残りの二家族は納めないでいつの間にか本国に帰っちゃったということが最近わかったというようなこともあるようです。このようなことははなはだ、幾ら民間人が起こしたことであっても、やはり施政権者たるアメリカがこういうような状態を認めたというか、知らなかったというか、結果そうなっちゃったということは、私は非常に不幸なことだと思って、この問題もいずれ真相を
調査してみたいと
考えておりますが、それ以外は、やはり外国人賠償法で一応はきちんと賠償も済んでいるということになっております。その多寡あるいは不服等は、もちろんけがなんかした場合、それでおれは満足だなんて喜ぶ人はいないと思いますから、それは別として、そういうたてまえになっているということでございます。
来年度
予算につきまして、私のほうでこれが満足だという金額でももちろんありませんが、ただ、かってやたらと
要求した一般
予算においては各省二五%増のワク内ということで詰めておりますし、かといって、
沖繩はもう一九七二年における予想される
予算ではこれはもう内地の府県としての
予算に移るとすれば、私どもがいま
要求する四十六年度
予算が現在の琉球
政府の最後の形の
予算、復帰前最後の年の
予算であるということになりますから、これはもう何十%増とかなんとかいう問題、
日本政府が
沖繩にどのようなことを最後の年にしてあげられるかどうかという問題にこたえなければならない
予算でございますから、精一ぱいの努力をして、筋の通るものは筋の通るように理論づけたつもりであります。しかし、最終的に七百三億という金額については、山野
長官がわざわざ参りまして、
現地で、それぞれの専門の
予算の
関係者並びに
主席とも詳しく長時間にわたって相談をいたしまして、ほとんどは
意見を一致いたしたものが多うございます。私たちとしては、いままでのように、琉政は幾ら
要求し、総理府はそれを幾らに切っちゃって、大蔵に持っていってさらに幾らに減っちゃったという、当初
予算から最終妥結が幾らになった、こういう三段飛びはいかぬ。だから、
沖繩、琉球
政府の
予算要求の全額と、私たち
沖繩・
北方対策庁並びに
沖繩の出先というものが共同作業でもって
意見が一致したところまで十分に詰めようじゃないかという作業をいたしまして、
気持ちよく
意見が一致したものの例としては、たとえば琉球
政府は復帰の前の年に税務署を全部鉄筋でつくりかえようというような
予算があったわけです。これは大蔵省が聞いたらきげん悪いでしょうけれども、何も金のないこんな復帰前に取らんでもいいじゃないか、あとは大蔵が、
自分たちの税金を徴収する役所ですから、
自分たちの
予算でちゃんとつくってくれますよ、こういうものはやめて、金が取れるならほかのものをやろうじゃありませんかというような相談をしまして、そういうような
意味の、じゃこれは落としましょう、これはやめましょうというようなことで、ずいぶん調整はできました。しかし、最終的には
屋良主席が
記者会見されて、九十三億ほどまだわれわれとの間に
予算の総額において違いがある。もちろん、琉球
政府のほうが多いわけです。しかし、ここに至っては、私たちも一緒に作業をしたんだから、これからは総理府の
要求する
予算の満額の獲得に努力をしたい、一緒に
協力したい、こういうことを
記者会見しておられるようであります。また、そのような報告も受けました。その九十三億の中には、たとえば内地にはない制度、年休買い上げ
——休暇を取らなかった者は買い上げていくという制度とか、いろんな復帰のあとにおいては
考えられない制度等がございまして、これらをどのような形で処理するか。一括全部買い上げて処理してくれという
要求に対して、いや復帰の年におやめになる人は既得権として
考えなければならないけれども、身分が継続する人は、それを引き継いで全部そこで清算するのはあまりにも金額も大きいし、理論的にもむずかしいというような
議論等が詰まりませんで、そういうものも累積しますと九十三億ほど私たちが琉球
政府の最終的な御要望に沿い得なかった幅がございます。しかし、これは両方ともよく事情を知って
意見の合わなかった金額ということでございますので、幸いにして今回は琉球
政府も、七百三億の
要求そのものについては
自分たちも同
意見であるということで、共同歩調をとって
予算編成の最終決定に努力するということが確立できたものと信じております。