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1970-04-28 第63回国会 参議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月二十八日(火曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————    委員異動  四月二十八日     辞任         補欠選任      玉置 猛夫君     渡辺一太郎君      加瀬  完君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         温水 三郎君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 谷口 慶吉君                 藤田  進君     委 員                 木村 睦男君                 佐田 一郎君                 重政 庸徳君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 渡辺一太郎君                 鈴木  強君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 中村 正雄君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    政府委員        内閣総理大臣官        房陸上交通安全        調査室長     平川 幸藏君        運輸省海運局長  澤  雄次君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        運輸省自動車局        業務部長     見坊 力男君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        警察庁交通局交        通企画課長    藤森 俊郎君        大蔵省銀行局保        険部長      渡部  信君        労働省労働基準        局監督課長    大坪健一郎君    参考人        財団法人東京タ        クシー近代化セ        ンター理事    須賀  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○タクシー業務適正化臨時措置法案内閣提出、  衆議院送付) ○海上運送法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 温水三郎

    委員長温水三郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、玉置猛夫君及び加瀬完君が委員を辞任され、その補欠として渡辺一太郎君及び鈴木強君が委員に選任せられました。     —————————————
  3. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  タクシー業務適正化臨時措置法案の審査のため、本日、財団法人東京タクシー近代化センター理事須賀清君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案及びタクシー業務適正化臨時措置法案を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。両案に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 最初に自動車行政について若干伺いますが、実は今度、陸運局のほうでは官庁ナンバーのた、ち、つ、て、とのた行をなくするというお話を聞いておるのですけれども、これは登録制度コンピューターを入れて近代化しようと、そういうこととの関連のようですけれども、どうも評判が悪いですね。まあこれは運輸大臣に言ってもしようがないのですけれども、官庁ナンバー自動車がたとえば日曜日ゴルフ場に駐車しておったとか、あるいは料亭の前に駐車されておるとか、そういうふうなことがとかく批判の的になっておるわけですよ。見方によると、そういうことをカムフラージュするためにこの際た行をなくするというような、そういうふうに思っておる国民もあるのです。それはその官庁自動車使用基準といいますか、そういうものをはっきりして、少なくとも公に役所仕事として実施される行事については、これは私はいいと思うのですよ。しかし、私的に自分の同窓会に役所の車を使って行くとか、あるいはゴルフ場に行くということになると、これは問題だと思うのですよ。ですからそういう点はやっぱり政府全体として使用基準というものをはっきりして、正さなければいけないと思います。そういうことは一応問題があるものですから、それとの関連でこうくるわけですよ。だからどうしてた行を今度変えて、官庁ナンバーだか何だかさっぱりわからぬようにするというのはどういうことか伺いたいのです。これはだれに、自動車局長ですか……。
  7. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 官庁ナンバーは、現在の道路運送車両法が二十六年にできたわけでございますが、その前には、いわゆる四万台というものを東京では使用いたしておりまして、そのときにそういたしましたのは、ガソリン及びタイヤの配給の必要性とそれから統計上の必要性からでございます。それが二十六年六月に車両法を制定いたしまして、それからさらに三十年の十月にも若干変えましたが、その後た行ということでもって行なっております。そのた行にいたしました必要性は、統計上の必要性と、それから当時一般会計でもって車両検査手数料を収受いたしておりましたので、官公署のものは手数料が免除でございました、一般会計一般収入印紙一般の車からは収受いたしますために、全体といたしまして手数料が幾ら入っているかという計算をいたします場合には、やはりこちらのほうで計算をしなければならぬ。したがいまして、た行のものを引き算いたしまして、登録の件数からた行のものを引き算すれば、残りが手数料として一般会計に入るという計算をいたしますために、そういうふうにいたしたわけでございます。それからさらに特別会計になってまいりまして、特別会計では特別の収入印紙でもって収受をいたしておるわけでございます。で、今回コンピューターシステムを導入いたしまして、特別会計として手数料を収受いたしますが、これは一般会計でございませんので、特別の収入印紙でございますから、手数料統計上の必要性はもうすでになくなっております。それから今回はマークシートに職業欄を記入することになっておりますので、統計官公署の車が何両あったということは、コンピューターですぐ統計が可能でございます。したがいまして別のナンバーにしなくても職業別統計が可能である。そういうふうなことから、すでに特別会計になっております今回のコンピューターシステム統計も直ちに可能でございますので、た行を分けておくという必要性も一応なくなったものといたしまして、一般ナンバーと同じようにしようということで、今回のプログラムの中にも特別の番号の分は入れなくて、一般の車と同じようにいたした次第でございます。運輸省といたしましては、従来の必要性統計上あるいは手数料計算上必要であったわけでございますが、その必要性もなくなり、また統計もかりに今度は何両官公署の車があるかということは、コンピューターに聞けばすぐわかるというふうになりましたので、特別のナンバーにしないようにした次第でございます。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 従来このた行を使った理由は、いま局長のお述べになったような理由だと思いますけれども、それも理由にならぬのですね。統計上必要だというけれども、統計上役所の車が何台あるかぐらいのことは常時掌握できないということはないですね。それはコンピューターを使おうが使うまいが、それは理屈にならぬですよ。要するに私は、何というのかな、当時は官庁ナンバーだという何か一つの特権的なものがあったのじゃないか。要するに、た行というのは役所ナンバーだ、おれは役所ナンバーに乗っているのだというような、そういう何か思い上がった、言うならばプライド過剰というのですかね、それで、その後だんだん世の中が進化して、料理屋にもだんだん通うようになって、ゴルフも盛んになってきて、ゴルフ場にも行く。それで非常に人の目につくものだから、この際変えよう、そういうことじゃないですか、ざっくばらんに言ったら。今度コンピューターはた行をそのままにしておいても別に支障ないでしょう。コンピューターの場合、このた行をはずさなければならぬという、そういうことじゃないですよ。た行のままにしておってもコンピューターは使える。だからどうもそういう点が、これはうがって考えればいろいろ幾らでも見方はあるのだけれども、だからそういうときに、国民疑惑をやっぱり直して解消していくということになれば、さっき言った自動車使用基本あり方というものをちゃんとすることだと思うのですね。だから技術的にはいままでだって問題ないですよ。それからその後地方税に変わって、たとえば三公社の場合なんかは地方税自動車にかかるようになったでしょう。そういうものは一体どう処理しておったのか。さっきの手数料との関係でね。だからしてもう少しこれは大臣に一応閣議の中でぜひそういう点をちゃんとしてもらいたいと思うのですがね。そうすることによって、私はナンバーを変えても変えなくても、姿勢をちゃんと正していけば疑惑はなくなると思うのですね。いまのようなままですと、たまたまそういう変更するときにたたかれれば、今度は目につきやすいから変えたのじゃないかと、こんなふうな国民批判は確かにあるのですから、それはもう運輸省はちゃんとしていらっしゃるかもしれぬが、必ずしもゴルフ役所の車を使っていないということは——かなりぼくらも乗っていると思う。だからそういう点をちゃんと正すことが先決問題でしょう。ですから行政官のほうとしてはた行を使っておって、それをはずすときの理屈というものは、これは私は納得できない。だけれども、それはそれとして、一応大臣からそういう問題についての今後の役所自動車使用基準というものをはっきりしていただいて、少なくとも私用等には使わない、こういうことを厳達してもらうということであれば私は納得します。
  9. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) お話のとおり、ごもっともであります。まあそのようなことは少ないと思いますが、少ないだけじゃいけませんから、公私の別を明らかにするように、きちっとさせるようにいたします。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 それからもう一つ身障者免許取得の問題ですけどもね。これはまあ長いこと新聞にもずっと出ておりますが、具体的には世田谷の松原に住んでおる荒木義昭君というのが八回無免許運転をしたというのでもって告発されて、そしてきのう裁判がありましてね、東京地裁で、まあ求刑六カ月が懲役三カ月になり、執行猶予二年ついたんです。しかし、確かに法のもとにみんな平等ですから、無免許運転するということはいけないと思います。ですから私はその判決そのものは、まあ行政訴訟をもう一回起こすというようなことを言っておられるけれども、それは争いとして続くでしょう。それは法は法として、私も裁判決定には従っていきたいと思いますけれども、ただ問題は、身体障害者であるがゆえに受験の機会を与えないということですね、ここにやはり問題があると思うんですね。本人はかなり上達して、熟練的な技術だというわけですね、事故を起こしたことない。何とかひとつ身障者運転免許取得については、政治的にも行政的にも一考をわずらわしておく必要があるんじゃないでしょうか。この人は私の世田谷のすぐ近くなんですけど、光明養護学校というのがございましてね、そこへわざわざ近くまで御両親が移ってその子供をずっと通わして、そして幸いにして電気のほうに興味を持ってるものですから、テレビの修理やなんかをりっぱにやってるんですね。ところがどうしても自動車がないとお得意さん回りが不便なんですよ。そこで自動車を習ってりっぱにやれるという自信があるわけです。しかもこれはバイク免許は持ってるんでしょう。十八歳のときに人並みに行きたいところへ行くということで、二年間猛練習をして、府中の運転免許試験場に十二回通ったそうですね。それでバイクのほうだけは免許を取ってるわけです。ところが、四輪車のほうの試験になったら受けさしてくれぬわけですね。言語障害だとか何だとかいって受けさしてくれない。ということで、思いあまって九州、四国までやってるんです。こういうのは行政と実際とのズレじゃないでしょうかね。だから、身障者っていうのをほんとに大事にしてやるという姿勢ですね。まあ政府身体障害者については、みずからも雇用する、それから会社にもできるだけ雇用してほしいという、閣議決定があるはずですね。そういう意味で、できるだけ身障者を大事にしてやる、職業機会を与えてやるという、そういう点からいっても、この法律は少し冷たいんじゃないですかな。何とか考えてやる方法はないものでしょうか。
  11. 平川幸藏

    政府委員平川幸藏君) この問題につきましては、実は警察庁の所管でございますが、私の知る限りにおきまして答弁いたしたいと思います。  免許資格の条件の問題でございます。御承知のように、免許資格につきましては、技能検査のほかに身体検査があります。で、御承知のように色盲でありますとか、そういった者は排除される。問題は、どの程度身体障害者程度自動車運転に対して不適当であるかという問題であるかと思います。確かにその件につきましては、私詳しくは存じませんが、非常にお気の毒な問題であると、このように私考えております。しかしながら、やはり交通事故に直接つながる問題でございますから、はやり慎重にこの点は検討さるべきだと思いますが、なおこの点につきましては警察庁によく連絡しておきたいと、このように考えます。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 警察庁に連絡……。これは急にこう言ったものですから御出席を得てないんですが、委員長のほうでひとつ取り計らっていただいて、担当警察庁から午後来ていただくようにお願いします。  それで、大臣国務大臣ですから、いま私はこの身障者の方を代表した意見を申し上げたんです。ことしの予算委員会身障者の人来ていただきましたが、ほんとうに親の身になってみてもこんなつらいことはないわけですね、自分がいる間はいいけれども、実際自分がなくなったらこの子はどうするだろう、たいへんな心配を持っているわけです。不幸にして心身障害児として出生して、世間の目から冷たく見られて、両親の庇護のもとにある間はいいけれども、両親がなくなったらどうするんだという不安な気持ちで送っているわけです。確かに外見上から見ますと、たいへんなものですよ、私たちが見ましても。しかしそれでも手が不自由な人は足で字を書く練習をするわけです。手と足がない人は口でもって字を書く練習をしているんですよ。そうして何とか自分の意思を世間に知ってもらいたいと。これはやはり身障者を持った者でないと、ほんとうに実際の気持ちはわからないでしょう。しかし相当数そういう気の毒な方々がおるわけですから、せめてりっぱに修理をし、運転もできて、しかもバイク免許は取っているわけですから、そういう者をもう少しあたたかく見てやるのが政治じゃないでしょうか、法律が悪ければ、そこをやっぱり弾力的に考えるとか、科学的な検討を加えて、はたして荒木君がほんとうにだめなのかどうか、実際にやっているわけですから、肝心の運転を。その点、私はもう少し掘り下げて検討してほしいと思うのです。閣議でもひとつ関係大臣運輸大臣からお話をしていただいたりして、何とかこれは、法律法律として、裁判のほうは進むでしょうけれども、何か考えてやっていただけませんでしょうか。
  13. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 欠格条項に触れないたとえば足が少し悪いとか、手が少し悪いという問題は、これは解決がつくと思います。問題は、交通安全に非常な影響のある色盲なんていうのは、これは厳格にやらぬとたいへんな事件を起こします。そういう意味において、そのような交通安全の上で差しつかえない限りは、身障者といえども当然これは資格を与えてよろしいわけでありますから、関係大臣にもよく私のほうからお話し申し上げようと思います。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 それじゃこれはまた警察庁担当の方が見えてから質疑を続けることにいたしまして、自賠法タクシー業務適正化臨時措置法案について質問をいたしたいといます。  きょうはたいへんお忙しい中を財団法人東京タクシー近代化センター須賀理事さんにおいでをいただきましてありがとうございました。  実は先般の運輸委員会でも皆さんのほうの御出席をいただいて質疑をしたかったんでございますけれども、時間的にちょっと間に合いませんでしたから、私はかなり突っ込んだ質疑運輸省当局にしてあります。それで、いまタクシー業務適正化臨時措置法案あるいは自動車損害賠償保障法というものが国会にかかってきているのですけれども、私は、このいずれの法律案にいたしましても、基本になる姿勢というものをぴしっとしていただかなければ、出てきた現象だけによって論議をしてもむだなような気がするのです。そういう意味で今日までのタクシー業界経営あり方、それを中心にした乗車拒否の問題、神風タクシーの問題、サービスがどうもよくないといった問題が国民の中に強く出ているわけです。それは御承知のとおりだと思います。したがって、運輸省のほうでも何回か根本になる問題についても、経営民主化とか近代化とか、行政指導もされておるようですが、なかなかうまくいっておらぬのです。ですから自賠法の場合でも、私は交通安全対策というものをちゃんと確立をして絶対に地球より重い人間の命を交通事故から守っていくという行政姿勢が強く打ち出されて、なおかつ不幸事故にあう方に賠償責任をとるという考え方でなくちゃだめだと思うのです。だんだんと特に大都市におきましては車数はふえてまいります。道路はなかなかよくならない。大きな道路から裏の細い道路までどんどん大型トラックが入ってくる。そうして子供の遊び場もなくなってしまう、事故が多くなってくる、こういうことだと思いますね。それからタクシー経営でもそうですよ。いまのタクシー業界というのは、一体ほんとうに適正にしかも近代的に経営されているかどうかということは、ぼくらよくわからないのです。たとえば労働組合組織のされているような事業所は、これは何といっても労働組合事業民主化のためにもやっぱりやると思いますから、だから経営者のやり方に対していろいろ不満の点があり至らない点があれば、労働組合組合としての立場から皆さんにものを申すでしょう。だからそういうことの中で少なくともいい方向にいくと思います。しかし労働組合組織が、あとから聞きますが、まだまだ少ない、未組織のところが多いわけです。しかも労働組合をつくろうとすると、その幹部をくびにしてしまうとか、不当労働行為的なものが出てくるわけです。だから私はほんとうタクシー運転手さんが、自分の生涯かけてこの仕事をやろうと、そうして生活の安定をそこに見出して、家族とともに幸せを願うという気持ち、そういう気持ちでやはり事業に携わらないと、ハンドルをとってもらわないと、どうもうまくいかぬような気がするのです。ですからその根本を、そういう気持ちになれるようにタクシー業界経営姿勢を正していくということがまず根本ですよ。私どもよく車に乗せてもらいますけれども、中にはずいぶんつっけんどんな、どこへ行って下さいと言っても返事もしません。いよいよおりるときになってからどこですかと言うんです。君何言っているんだ、さっき行き先をこれこれ言ったじゃないかと、そういう運転手さんにはチップくらいやりたく思ってもばからしいからやらないですよ。しかし中には親切で、私はゆうべも乗ったけれども、その運転手さんは世田谷まで非常に気持ちよく乗せてくれました。ついチップも百円くらいやりたくなる。人間そういうものです。だから個々の運転手さんの考え方もあるかと思いますけれども、根本は私はそこにあると思います。私たち経営に立つ人たちの、きょうは忙しかったたいへんだったろう、御苦労さん、その一言のことばでその疲れを忘れるかもしれません。まあきょうはたいへん忙しくて収入が少なくなかった、水揚げが少なくなかった、たとえ百円でも、御苦労さん、菓子を買ってくれ、そういう経営者気持ちというものが出ることによって、労働者は、うちのおやじはよくわかってくれる、よしやろうじゃないかという気持ちを私は持つと思う。それが労働者の本能ですね。なぜそういう打てば響くような運転手さんへの考え方が出てこないかと思うのです。私はどんなむずかしいことを並べても、どんなむずかしいきちょうめんなことを言ってみても、結局はそこにあると思うのです。だからそういう近代的な労使関係といいますか、組合員であろうがあるまいが、そういう気持ち経営者がなって初めてタクシー業界正常化すると思うのです。まあいろいろ政府とやりとりをし、何回か大都市等におきましては特にハイヤー、タクシー適正化のためにいろいろなことを運輸省でやっていただいているわけです。ところがそれが実際に業界の中に入っていかない、また次のやつを出すということで来ているわけですね。私はきょうおいでいただいたのは、昨年来財団法人東京タクシー近代化センターというものを政府行政指導の中でつくったわけですね、そうしてこれがいま問題になっております乗車拒否の問題を含めて、経営が苦しければ運賃の値上げも出てくるでしょう、そういったものも含めまして、この際ハイタクというものが国民ほんとうに愛される業界になってほしい、こういう趣旨で私は設置されたと思うのですね。まあその後たいへん皆さん御苦労されたと思うのですけれども、発足以来近代化センターというものが果たしてきた役割り、そしてこういう点は非常に経営の中に生かされました、こういう点はちょっと無理でございました、それでもっと言うならば、タクシー近代化センターというものが、言うならば任意団体的なものでありましたけれども、今度は法律によって相当な規制を受けている、拘束を受けているということに変わっていると思うのです、この法律によって。ですから私はこの法案審議にあたって、責任がある方から近代化センターの今日までの経過も十分お伺いもして審議参考にしようということで本日はおいでいただいたわけです。ひとつぜひざっくばらんに須賀さんのお考えになっております経営あり方近代化問題点を指摘していただいて、われわれもせっかくつくるタクシー業務適正化臨時措置法案  ですからね、りっぱなものにしたいと思うのです。そういう意味でひとつ御意見を承りたいと思  います。
  15. 須賀清

    参考人須賀清君) 私参考人須賀でございます。本日は財団法人東京タクシー近代化センター理事としてお呼び出しになったと思います。一応私は去る四月の九日までは東京タクシー協会会長をしておりましたが、その節交代になりました。同時にまた、事業者といたしましては帝都自動車交通、いわゆる四大タクシーの一社をあずかっておるものでございます。  そこで、ただいまいろいろお話を承りましてまことにごもっともなことでございます。私も実は昭和四十三年の二月に例の大阪の問題のあとを引き受けましてタクシー協会会長になりました。そのときなりました目標は、第一番目は、タクシー業務正常化、これが第一目標でございました。それからそれに引き続きましていろいろの問題もございましたが、そこで相当いろいろな問題を突っ込んで検討いたしました。ちょうど昨年の春闘時分からこの業界が非常に赤字に転落いたしまして、ほとんどの業者が赤字の状態になったということで、非常な困難な時期に遭遇いたしました。同時にまた、それ以来いわゆる運転者のサービスの低下と申しますか、乗車拒否その他が非常に目立ってまいりまして、新聞紙上もにぎわせた。その間にありまして私は非常な実は苦労をしたわけでございます。そこで、私どもの手でこれを何とか切り抜けなければいかぬ。その当時私が申しましたことは、まず第一番に、これは先ほどもお話ございましたように、タクシー業者自身の自覚がまず第一番である。その次には、どうもほかの自動車産業に比べて労働条件がよくないからこれを改善することが第二番目である。それから第三番目には、先ほども御指摘がありましたように、この業界には労働組合の正常的なものが比較的少ないということであり、労使間の正しい交渉相手としての労働組合の育成というものが必要である。そうして労使間が話し合いでいろいろのものをきめなければならぬ。この三点を主力として実は準備をし 同時にまあ努力したのでありますが、なかなかこの業界は意思統一が非常に困難でございまして、とかくするうちに役所のほうでも、いつまで待っておけない、こっちでも手伝ってやるということで、昨年の八月にタクシー事業の改善策というものが運輸省から出たわけでございます。  これによりますと、やはり第一番にはタクシー近代化センター式なものをつくって、いわゆる良質運転者の確保、それから悪質運転者の排除、そのほかいろいろな福利厚生等をやる。同時にまた、別途としては労働条件の改善をやりなさい。したがいまして、これらをまかない、同時にまた赤字等もありますので、その負担のためにも適正な運賃を考えるべきであるという改善策を出されました。私どもも非常にありがたいことだと思いまして、これは本来ならば私どもだけの力でやるべきことでありますが、やはり同時に、国の助成もひとつお願いしたいということで、これに歩調を合わせておったのであります。  したがいまして、こえて十一月には、物価並びに交通関係閣僚の協議会の決定事項で、ただいまのような内容のいわゆる労働条件の改善、それから良質運転者の確保の問題あるいは福利厚生等の近代化センター法案というものが決定されまして、同時に、これをやるためには、六大都市の運賃の二〇%から二二%を直すべきだという御決定が公表されました。これには感謝いたしまして、是が非でもこの機会タクシー業界をよくしようということで、実は今日までまいったのであります。したがいまして、いまのタクシー業務適正化の問題を、これを法律案として出す。しかし、その間に一日も急ぐから、とりあえずは公益法人、まあ財団法人ですが、財団法人の東京タクシー近代化センターを設立して、いまの業務内容を、同一の業務内容をもってとりあえず発足しようということで、本日私がその資格で参りました。公益法人でございます。したがいまして、この法人は、昨年の十二月の十九日にとりあえず財団法人東京タクシー近代化センターの設立許可を申請いたしまして、続いて二十三日に許可に相なりまして、引き続きまして、今年に入りまして二月十六日にまず第一回の理事懇談会——これはまだ理事会ではございません——一応理事懇談会という形式で、会長に江戸さん、それから常務理事に加藤さん、それから私、川鍋、そのほか個人タクシーの方を入れまして六人でまず懇談会を開き、それから二月の二十六日には正式に諮問委員会をつくりまして、諮問委員会に経過を報告いたしました。それから三月の二十日には、第一回の理事会を開きまして、この節には諮問委員の方十九名を選任いたしまして、それから負担金の徴収方法等につきましてもこの理事会で承認を得、いろいろ諸規程等もつくり、あるいは常務理事の選任も終わった、こういうことでございます。  その当時、この法案のほうもだいぶ進んでおりますので、タクシー協会としてはこれは非常に重要問題でございますので、この法案のほうについても一応タクシー協会としても審議しなきゃいかぬということで、委員会を組織いたしまして、ちょうどこの二月から四月にかけまして、委員会で前後七回ぐらい、ほとんど連日のようにこの法案に対する意見をとりまとめておったのでございます。そういうことで、大体理事会のほうは第二回目が四月の七日に開催いたしまして、四十五年度の事業計画及び収支予算案を検討いたし、これを承認いたしました。続いてこれらの問題を運営委員会にかけるということで第二回の理事会を終わっております。続いて十六日には第一回の運営委員会を開催いたしまして、四月七日の理事会で承認を得ました四十五年度の事業計画並びに収支予算を審議しておるのでございまして、これはいまだに審議中に相なっております。一方、タクシー協会の先ほどの委員会につきましては、やはりこの四月七日に終わっておりますが、前後七回検討いたしまして、もちろんこの法案につきましては、先ほども申しましたように、すでに閣僚会議の決定事項で、これは当然やるべきものであるということにはもう異論はございません。ただ、これを読みまして、第一の登録制度の問題、これにつきましては、もう何の異論もございません。タクシー業務適正化事業等につきましては、相当の資金等も要りますし、なかなか事業として大規模のものでございますので、この点については、十分業者の意向をくんだひとつ検討をしてもらいたいという条件がございます。それから負担金の問題につきましては、実はこれはまあタクシー協会委員会の話なんですが、運賃は上がりましたけれども実際の営業収益はなかなかそれに伴っていかない、それでその他の経費も相当かさむので、なるべく実情に合ったような方法でこれをしていただきたい、一律に、幾らだからきょうから幾らと、もちろんこれは法的にはそのとおりでございますが、実情に即して考慮してもらいたい。なおまた業界が負担金を出す関係もございますので、委員の構成その他につきましても、なるべく業界の意向をひとつ考慮してやっていただきたい、大体この三点が委員会の結論でございます。中にはきわめて反対な意見もございましたが、これはほんの一、二の例外で問題ございません。  以上のようなわけで、今日この近代化センターを運営をいたしておるような次第でございますが、私といたしましては、この業界——自分の力でできない、人の力を借りて、しかもたいへん御迷惑をかけているということに対しましては、まことに申しわけないのでございますが、先ほども申しましたように、一応軌道に乗せてございますので、今後は徐々によくなってまいると、かように確信いたしておる次第でございます。  大体概略を申し上げました。なお御質問等ございますればお話しいたしますが、以上でございます。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、まだようやく開店をしたという状態ですね。率直に言うと開店の作業を終わったというだけで、中身についてはまだこれからという、そういう状態でございますね。
  17. 須賀清

    参考人須賀清君) はい。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 それで財団法人タクシー近代化センターを設立する趣旨ですね、目的、こういうものはいまあなたがお述べになったようなことだと思いますが、それでこれを設立するに際して、要するに経営者だけでものを考えるというのであったのか、あるいはそこに働いている運転者の方もおるわけですから、そういう働く人たちの代表も入っていただいて設立準備をし、意見も十分反映していただくと、そういう方法はおとりになりませんでしたか。
  19. 須賀清

    参考人須賀清君) 設立当初の発起人は三井不動産の江戸さんと、それから業界、私は当時協会の会長でございましたので、私と、それから陸運局の元総務部長の方、これは常務理事になっております加藤さん、それから個人タクシーの全国代表の方二人、この四名が設立発起人ということになりました。その後、理事等につきましても別に業者だけでやるという考えはございません。同時にまた諮問委員会の構成につきましても、これは大体業者五名、それから労働組合のほうから五名、それからあとは学識経験者の方大体十名というような構成でございまして、これはやはり広く一般の方、それからあるいは学識経験者の方あるいは労組それから経営者と、これは同じ比率で考えてございます。ただ、理事会のほうがいま全部出そろいませんので、一応理事のメンバーは、業界から三人——個人タクシーは別ですけれども、三人というのが現状でございます。もちろんこの財団法人は中立ということを目標にしてありますので、決して業界の、何といいますか、息のかかったあれというわけではございません。内容も仕事もそのとおりでございます。ただ、負担金が業界がほとんどでございますので、この点はやはり業界も相当な関心を持つ、これは当然だろうと思います。  以上でございます。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 定款は前回拝見しましたが、定款に基づく役員構成ですね、それから運営委員の構成というのは、全部数どおり満たされたというふうに理解していいんですか。会長その他専務理事の方あるいは常務理事理事、監事、それから運営委員ですね、こういう点はどうなっていますか。
  21. 須賀清

    参考人須賀清君) 理事のほうは全部充足してございません。いま、会長はきまっております。専務理事一名、常務理事二名、このうち専務理事も常務理事もいま欠員となっております。適材の人がございません。常務理事はいま加藤さん一人、それから理事の定員は九名でございますが、いま六名だけきまっております。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 監事は。
  23. 須賀清

    参考人須賀清君) 監事は二名でございますが、いま一名でございます。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 それから運営諮員委員
  25. 須賀清

    参考人須賀清君) これは二十名でございますが、いま十九名でございます。その内容は先ほども申しましたように、業者から五名、それから労働組合から五名、あとは学識経験者、一般利用者の方等でございます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 この運営諮問委員の二十名の方が十九名、一人足りないわけですね。それで、労働組合業界代表者五人、五人というのは、これは全部充足されているわけですね。あと学識経験者——そこに資料ありますか。ありましたら、どんなメンバーか、ちょっと教えてもらいたいのですが。
  27. 須賀清

    参考人須賀清君) 資料はここにございます。お読みいたしますか、それともお回しいたしますか。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 読んでください。
  29. 須賀清

    参考人須賀清君) 関係行政庁は柿内さん、これは警視庁の交通部長でございます。それから学識経験者として清水さん、これは明治大学の教授でございます。岡田清さん、これも成城大学の助教授、同じく高田秀二さん、これは共同通信の編集総局長、それから利用者の方では土屋鉄蔵さん、これは東京都の経済局長、それから作家の中村武志さん。それから事業者では、法人のほうから、高橋直温、それから中川松吉、同じく高橋清、海田健次、三浦宏教、以上でございます。それから労働組合のほうからは伊藤利雄さん、これは日本私鉄労働組合の関東連合会の方、それから大畑拓治さんこれは全国通運労働組合ハイヤータクシー部会の書記長であります。それから青木貫一さん、これは全自交東京地連副委員長、それから小沢文太郎さん、国際労働組合の副委員長、それから菅頭康夫さん、これは全自交の労働組合東京地連の方、以上が労働組合でございます。それから事業者の個人関係、個人タクシーの村田一政さんそれから神長さんと二人は個人タクシーでございます。それから陸運局から福田自動車第一部長、以上でございます。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 それからこのいま須賀さんが言われておった各事業所の、要するに業界の分担金ですね、これの集まりぐあいはどんなふうでございましょうかね。
  31. 須賀清

    参考人須賀清君) これは四月の十八日に各事業所に三、四月分を納めるように通告いたしまして、これはまだ実は納まっておりません。近く納める予定でございます。個人のほうは十六日に通知を出しております。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 個人は集まっておりますか。
  33. 須賀清

    参考人須賀清君) 個人タクシーのほうは十六日、法人のほうでは十八日に通知を出しました。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 私どもは非常に心配をしているのは、いまあなたの御意見の中に十分出ておりませんでしたから、もう一回お伺いしたいのですが、物価対策閣僚会議あるいは交通関係閣僚会議ですね。それから運輸省大都市におけるタクシー、ハイヤーの安全対策を含めたいろんな施策の中からこれが出てきたわけでしょう。ですから率直に、経営に立つ皆さんがなるほどという気持ちでこれを受け入れているのか。分担金なんか見ると、どうもあまり集まらないと、それから役員構成を見ても、みなくしの歯が抜けたようなかっこうになってきているわけですね。ですからこの前も私が運輸省にただしたのは、運輸省としていろいろなことを考えて、それを業界にやってほしいと、こう言っても、それがすなおに業界から受け入れられなきゃだめじゃないかと、だからそれにはここの閣僚会議できまったとか、いやここでやったとかいうことでなくて、そこには十分な業界との意思統一というものをやっていただいて、それで皆さんのほうも、確かに問題があることは間違いないですから、ですから気持ちよく、なるほどということでやっぱり賛成し、協力してまいらなきゃ実を結ばないですよ。政府が言うので、しようがない、これはいやいやだけれどもやろう、もたもたしておると今度法律でもって縛られるぞと、そうなったんじゃちょっとみっともないじゃないか、だから早うみんなやろうじゃないかということで、まあ何というか、不満はうんとあるんだけれども、まとめてスタートさせようというのか。ほんとうにいまタクシー業界に対する国民のきびしい批判を受けて、もう一回ひとつ立ち上がっていこうと、まあある意味においては。そういう意味業界全体の体質をよくして、これはもうあとから聞きますけれども、幾つかの問題があるわけですから、そうしてなるほどこれはよくなったという、そういう実績をあげようとする基本的な立場に立ってものを判断されているかどうか、これがポイントなんです。どうも私はずっと見ておりますと、会長もなり手がないと、それから専務理事にもだれかやってくれというようなことで逃げてしまう。理事の諸君もそうだ。だからせっかく運輸省がやったんだけれども、ものになるかということを私はこの前聞いたんですよ。そうしたら、ものになると、こうおっしゃる。そう思いついたようなものつくったわけでもないんでしょうからね、これは長い歴史と経過の中で考えたことでしょうから、だから、きん然と皆さんが賛成できないのは、ここが悪いんだと、これはだからこの法案審議のときに、こうしてほしいということも私言ってもらいたいんだ。だからだめならだめで、いい点はいいとして、ひとつ業界のほうで一体になってやるという、そういう強い意思があるのかないのか。これはあなたの判断で——ここで私が聞いても、いまのような実態の中の須賀さんの立場ですから、非常にむずかしいと思いますけれども、しかし責任ある立場にあるわけですから、理事という立場に立つわけですから、ぜひひとつこの施策を生かすなら生かすというふうに、だめな点があったらこうしてほしいということを、端的に言っていただいたほうがいいように思うんですが、どうでございますか。
  35. 須賀清

    参考人須賀清君) この問題につきまして少し御説明いたします。  先ほどもちょいと触れましたが、これは法律案が出るんだから業界関係したことじゃないと言ってしまうと、これは将来ちぐはぐになります。そこで私どものほうでは、先般近代化法案に対する委員会をつくりまして、まあこれはほとんど業界の、意見がある方を全部網羅して、こうしてここで徹底的に説明しようという目的のために委員会をつくりました。そして約数回もみにもましたところが、結論としては、これはやはりやらなければならないでしょう。これは絶対反対はいたしません。だけれども、いかにもいまは苦しいから、なるべくこの負担金等の問題については、十分ひとつ考慮してもらいたいとか、先ほど申しました三点ですね、それは結局これは衆議院の附帯決議の中に大体あらわれておりますので、これではやはり委員会をやっただけのかいがあったと、私はさように思っております。ただここで、それでは通知を出したけれどもまだ金が集まらないじゃないかと言いますけれども、これは一応は協会に先に通知がありましたものですから、現協会長のところで話をまとめているという程度のことでありまして、これは払わないとかいう意味では全然ございません。  なお、またしかしそれでもたくさんの業者で、東京だけでも四百何十社ありますので、やはり将来このタクシー業者によく納得さしてものをやりませんと、なかなかしこりが残りますので、私どもの真意は、近代化センター理事といたしまして、あるいは業者といたしまして、できるだけスムーズに納得さしてものを   〔委員長退席、理事金丸冨夫君着席〕 運びたいというために多少おくれておりますので、そういう意味であることだけを御承知を願いたいと思います。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 少しこう遠慮をされてものを言っておるように私は感ずるですけれども、まあそうでなくていいんじゃないですか。こういう場所で皆さんほんとう気持ちを、やっぱり私たちにつかめれば非常にありがたいと思うんです。しかし、なかなか発言の場所もあるでしょうから、私もあえてあなたになお心にないことを言えとは言いませんけれども、心にあることを言えないんだなあ、要するに端的に言うと。それだけ複雑ですよね、率直に言って私の気持ちは。だから、ほんとう業界の体質を改善するということになれば、これは他力本願じゃできませんよ。私はそう思いますよ。経営しているのは皆さんでしょう。タクシー業界というものが、自分がまず体質改善しようという気持ちになって立ち上がらなければだめなんですよ。だから、いまもお話しのように、何かこう言われてきたと、反対もできぬけれども、まあやらざるを得ないだろうという、そういう受け身の形で、なおかつ、できたらひとつ運営費も助成金も交付してもらいたいという考え方なんですね。端的に言って、それは間違いじゃないですか。経営は、皆さんがやはり終始一貫経営しているだけの、経営力量の中で経営していくんですからね。たまたまそういう中から乗車拒否が起き、サービスが低下し、国民批判が出てきたと、だから国としてもこれに対して何らか行政指導しなければいかぬということで出てきたのが、私は閣議の問題であろうし、運輸省の指導方針だと思うんです。行政指導の方針だと思うんです。本来ならば、こんな法律東京、大阪に出るなんて、恥じゃないですか、業界の。しかも運転手さんの登録制から始まって、事故を起こしたら今度何年間免許証を取り上げてしまうなんというような、憲法の基本的人権に反するような法律東京、大阪だけであっても出てくるなどということは、これは天下の恥ですよ、私に言わせれば。どうも経営基本というものを一体どこに置いて考えておられるのか、私はちょっと疑問に思うんです。なるほど料金を認可してもらうのは、これはやはり運輸省ですわね。だから、あなたのほうでかってに運賃をいじるというわけにいかないわけですから、その辺における行政の中の問題は残りますね。残りますよ。だから、そういう点はつらいと思います。つらいと思いますけれども、   〔理事金丸冨夫君退席、委員長着席〕 経営基本はやはり皆さん考え方にあるわけですから、そこは須賀さん正さなければだめじゃないですか。だから、これもできるだけわれわれ援助していくということは当然考えなければならぬけれども、ものの考え方なんですよ、要するに。出発の基本というものがそもそも少しおかしいように私は感じるわけですね。あなた方が自分の力で大いにやって、ここで名誉挽回しようという考えがあれば、おのずからこれはみんなが応援していくんですよ。だから、さっき私が言ったような運転手さんの一つの行動でも、気持ちよくどうせ乗せるんだから乗せてやろうという気持ちがあれば、その乗せた人は気持ちよくタクシー代ぐらいやろうという気持ちになるわけでしょう。それと同じ気持ちだとぼくは思いますね。だからどうも私たち運賃値上げの場合でも、これはまあ私鉄の運賃なんかの場合でもそうですけれども、一体に経営が非常に苦しくなっておる。で、皆さんのほうでは組合員がベースアップするから運賃上げなければならぬのだと、こういうふうにおっしゃる。それじゃ所得政策というものを導入するかと言うと、政府はいやそれはまだやらぬと、そう言っておきながら、今度春闘になると、日経連中心に経営者のほうへ回って、できるだけペースは低くしてくれというようなことを訴えている。私は予算委員会で佐藤長官に文句言ったんですがね、あなた方が所得政策をとるというならとってみろ、日本で所得政策がとれる段階なら、とるのをきめてやったらいいじゃないか——われわれはそれは反対なんですけれどもね——そういうところをわれわれが聞けば、とらぬと言っておきながら、宙に回っては、こそこそでもないですけれどもね、まあ新聞にも出るから。そういうふうに勘ぐられるような行動をとっているじゃないか。だけれども、一体、私鉄経営がはたしてそれだけの値上げをするだけのところにいっているのかどうなのか、私よくわからぬのです、これは。収支計算書を見たって、それはわからぬです。それから皆さんのほうもそうなんですよ。収支計算書を出されるでしょうね、おそらく。料金改定のときには、それをいろいろ運輸省が中を見て、なるほど苦しくなっているというような判定をどういうふうにしてするか、私たちよくわからぬのです。ですから、どうも業界の体質というものがつかめないというのがほんとうのところです、私どもは。だから、その体質を、どういうところに欠陥があり、どういうところに問題があるかということをやはり徹底的に究明して、お互いにそれはひとつ足りないところを直していこうというまあ姿勢を出さないと解決しないように思うわけなんですよ。ちょっとたいへん長い質問で須賀さんに申しわけないんですけれども、ひとつかんべんしていただいて、もう少しそこいらの点を端的に伺えないでしょうか。  じゃもう少し具体的に伺うことにいたしますが、たとえば昨年十一月二十一日の物価対策閣僚協議会、あるいは交通関係閣僚協議会の大都市タクシー事業の体質改善及び運賃の改定についてという方針きめましたね。これは昭和四十三年七月二日に自動車局から出されておる大都市タクシー事業の対策なんかとの関連があると思うんですがね。そこで、特にこの運賃値上げとの関連で、この際皆さんのほうの体質をぜひ改善してもらおうというので、具体的に、たとえば給与水準の引き上げをするとか、それから累進歩合制を完全に廃止するとか、それから保障給部分の引き上げをやるとか、それから労働時間を短縮するとか、あるいはハンドル貸しというのですか、日雇いの運転手さんの雇用を禁止するとか、こういうふうな具体的な項目を指示しておるわけですね。これは先般の二・九通達の問題なんかとも関連があるんですけどね。それで、一部、労働基準監督署の監査の結果延びましたわね。いまは全部認可になったようですし、メーターも全部新しいメーターになったようですけどね。ですから、こういう労働者の労働条件といいますか、こういうものについては特に労使間で確認書を交換しろと、それから就業規則とか賃金規程の改定を行なうように、まあ運輸省なり労働省なりが行政指導をするというふうに、かなり強く指示を具体的に出してるわけですね。後ほど運輸省と労働省から聞きたいと思うんですけどね。こういうふうな具体的な問題について、実施された経過はどういうふうになっておりますか、この五つの項目ですね。ちょっと教えてもらいたい。
  37. 須賀清

    参考人須賀清君) それでは一番最初に、とにかく押しつけられるより、業界自体の姿勢がどうかというお話でございます。この問題につきまして、私が当初、一番最初に申し上げたとおり、私の考え方としては、タクシー問題の一番むずかしい、現代のようなややこしい問題の基本はどこにあるか、これはやはり経営者の自覚以外にないということ、私はこれはもう会長になったときにまずこれを出した。経営者が自覚すればおのずからいろいろな問題は相当簡単に解決がつくんじゃないか。しかし、この経営者の自覚の問題ということは、なかなか一朝一夕に、これお互い対等ですから、これは自分のところの社員を教育するようなわけにはまいりません。しかも、業者は四十何社みなそれぞれ立志伝中の人をつかまえて、これを統一するということは、これは難中の難だと、私はさように思っております。しかしこれが一番大事ですと、したがって、今後、経営者たるべき者の適格性ということについては、免許をされるところでも相当関心を持たなきゃいかぬのじゃないですかということは申し上げてあります。これはもう基本でございます、おっしゃるとおりでございます。  それから、いまの、十一月二十一日の閣僚会議のいわゆる内容でございますが、これらにつきましては、まず労働条件の改善でございますが、これにつきましては私は相当忠実に守ったつもりでございます。したがいまして、まず第一番に、賃金規則ですとかあるいは就業規則等につきましては、これが直接の認可の条件であるということで、労働省が立ち入り検査をいたしました結果、東京では六十八事業所が待ったを食ったわけでございます。その他の給与水準の引き上げ等につきましても、これは私のほうとしてはかつてないことでございまして、まず私は東京会長として各労働組合東京委員長と覚え書きを交換いたしまして、そうして一体運賃値上げの作業をどういうふうにしてやるかという覚え書きを交換いたしました。これはおそらくタクシー業界いまだかつてないことでございます。そういたしますことは、結局このタクシー業界には賃金制度が歩合と固定給とございます。現在の段階で一応歩合は三割程度にとめる。これは歩合の部分です。いわゆる固定給の部分が七割とすれば、歩合給の部分は三割ぐらいにする、七対三にする。歩合の率じゃありません、その部分です。しかし今度は、かりに運賃が改定されますると、この歩合について、昔よく運賃が上がったら下げられたという非難を受けたのは、この歩合を改正するから、したがって運賃が上がっても歩合がふくらまない、こういうことです。今度はそれをそのまま、現在のままにしておくということになりますと、運賃がかりに二割上がって二割増収になるものなら歩合も二割ふえるわけです。それだけ乗務員のほうによけいいくわけでございます。それをそのままにしておきなさいというのが協約の内容でございます。そのままにしておきますと、歩合の部分がふくらまりますから、固定給の部分と七対三の比率が狂ってまいります。これは二カ月くらいの実績を見た上で組み変えをやる、こういう内容のものでございます。その他多少の福利的な条件を加えまして実はやってあるわけでございます。しかしこれはいまの春闘とは関係ございません。一応そういうことで、これは当然しなければならないような体制にしてございます。大体そういうことで比較的忠実にやっておるつもりでございます、私といたしましては。しかし運賃は東京の場合に二割二分五厘上げたというけれども、業界は全然上がってないじゃないないか、中には減っちゃったなんて文句言っている人がおりますが、中には一一%ぐらいしか上がらないということになりますと、歩合の部分もやはりいままで予想していたよりは少ないわけであります。しかしこれは日がたつに従って戻るだろうと思います。一応いまのところはそういう段階でございます。  したがってあと残っておりますのは近代化センター、これを何としてもひとつ魂まで入れて活躍させなければいかぬ、要するに労働条件の改善と近代化センターが、これが二本の柱ということは私どもの信念でございますので、これは何としても片をつけたい、しかし先ほども御指摘のあったように、本来のものは経営者個人の自覚である、これに尽きるわけでございます。あとは労使間の正常化、これが一番根本的な問題であると、かように存じております。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 いまお述べになりました部分は、たいへん御苦労いただいて、満足すべきことではないと思いますが、しかし一歩でも二歩でも前進をして労働者を大事にしよう、そういう考え方御苦労されている点については私ども感謝いたします。なお、これから近代化センター中心にいろいろな問題が出てくると思いますが、できるだけ私どもも本来の目的が達成できるようなものにしたい、こういうような気持ちでこれから審議を進めていくわけですけれども、大事な立場に立つ須賀さんにおかれましても、今後一そうあなたのおっしゃったようなまず自覚、業者の自覚だというのは全くそうだと思います。それから労働条件の改善、労働組合についても何か組合をつくると、これは悪者だということで、設立準備をやっても首にするというのは間違いですよ。ほんとうにいまは近代的な産業を運営する場合にはそこにやはりよき労使関係というものを確立して、労働者意見を尊重して経営の中に生かせるものは生かして、労使一体になってやれるような体制をつくらなければだめですよ。ですからそういう意味で今後ぜひひとつがんばってほしい、こういうことをお願いしておきます。かりそめにも労働組合を——あなた、ちょっと気になったのは、正しい交渉相手を育成するということで、その意味がどういう意味かわかりませんが、それは労働法に基づく労働組合ですから、行き方はそれは違うかもしれません。根本的に労働組合をつくるそのこと自体を否定することでないと思うんです。多少私はこの点は気になるんです。ですから、要するに会社をつぶしてもかまわぬから賃上げをするということはこれはおかしいですよ。私はそう思うんです。ですから一生懸命働いてそうして生産性をあげて労働者もよくしていくということと、生産性をあげても要するに社長がうまい汁を吸ってしまったんではこれは労働者はばからしくて仕事をしませんよ。そこですね。そういう意味において労働組合との関係というものをほんとうによく保っていってほしいということと、組合をどんどんつくらせたらどうですか。つくることを妨げたらいかぬと思います。そういうことだけはぜひ須賀さんお願いします。大体あなたにはありがとうございました。  いま、大臣、お聞き及びのとおりなんですよ。そして従来からわれわれはたとえば乗者拒否をする会社が出てくる。それから雷タクシーでスピードオーバーするとか、あるいは労働基準法上どうもあまりうまくない事業所が幾つかある。そういう場合に、たとえば増車する際にその増車を相当に押さえていくとか、あるいは営業停止をするとか、もっときつい一面行政的な措置ということもやるべきではないか、これはやむを得ない場合ですが、ということも考えておるんですけれども、どうもそういう点が陸運局なまぬるいという声があるわけですよ。それらについて反省すべき点はないでしょうか。これから近代化センターをつくってこの法律案をやるわけですが、ちょっと大臣のその辺に対する御所見を伺いたいのです。
  39. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 反省すべき点がないかというと相当あるんじゃないかと思いますね。したがって、おっしゃるように、やはり悪質な乗車拒否をするような運転手に対して厳重にこれを処理する。及びそういうような運転手を何回も出すような業者に対しては厳罰をもってやる。これは基本方針として今後ともそれはやっていきたいと思います。ただ、お話を聞いておりましても、タクシー事業というものは私は事業として岐路に立っているんじゃないか。いままでのお話を進めてもなかなか改善がむずかしい。たとえば東京旧市内、こういうところにタクシー業というものを新規にこれを認めるといたしましても、坪百万円前後でしょう旧市内は。そして五十台の車を置くためには二百坪の土地が要る。これは二億円ですね。そういうような資本投下をして、はたしてタクシー事業は成り立つのかというと、なかなかこれはむずかしいと思うんですね。古い従来やっておる人は五万円、十万円で土地を買ってやっておるでしょうけれども、それにしましてもなかなかタクシー収入というものは、普通の工業生産と違って、近代化すれば収入があがるという性質じゃないですね、みんなサービス業ですから。床屋さんが幾らいろいろな設備をよくしても、いままで四十分かかってやるのを二十分で仕上げることはできないと同じように、これは基本的にサービス業なんですね。そういうことからいってタクシー業というものは、業者自身も十分に考えて、この程度のものでタクシーほんとうに更生できるかということはなかなかむずかしいと思います。それに対しては——私個人の考え方もありますけれども——したがって今度は運転手のほうについて考えると、これは皆さんも御承知のように運転手をよく承知しておりますが、二十五歳の運転手、四、五年の経験で第一種免許を取った運転手と四十歳の二十年、二十五年のベテランの運転手と、売り上げ、あげる収入は同じわけなんです。ですからどういうことをやっているかというと、業者のほうではやむを得ぬから、そこで本格的な退職金制度というものができない。それで働いている人々は十年働いても二十年働いてもいわゆる退職金というものが十分にもらえない、全く会社に魅力がない、そういうような実態。いわゆる固定給というものはたとえば三万円前後、歩合給というものが五、六万円前後ですね。ただ新しく入った人は二、三千円違いましょうけれども、二十五歳の人も二万五、六千円、十年十五年の経験があっても三万円前後、固定給は。それで水揚げは同じなんです、二十五歳の運転手でも四十歳の運転手でも。あるいは二十五歳のほうが働くかもしれない。そういう非常に違った業態のあり方がある。そこに思いをいたさないと、私はタクシー事業というのは今後なかなかむずかしいと思います。また個人タクシーの場合にも、個人タクシーもしっかりした数字を調べておりませんが、八〇%前後というのは、これは遠く郊外に住んでおります、住宅は。あるいはそこにガレージを持っておる人もあるし、そこにガレージを持っていて、そこに自分の小さな車を乗って来てそこで入れかえてやっている。これが大部分の状態です。これが全部個人タクシーになると利用者のほうは不便になる。どこに電話をかけていいかわからない。たとえば実際に川口に住んでおる、そこに電話をかけて、来てくれと言ってもとても来やしません。そういうふうにタクシーあり方というものが十年前、二十年前と全く時代が違っているということを業者も認識しなければなりません。そういうことを考えないと根本的な解決はしない。もちろん根本的な解決は近代化センター法案だけではできないと思いますが、そういう点、ほんどうに私は運転手の立場も考え、業者の立場も考えるということであれば、かなりいろいろなデータをもとにして研究しませんと、なかなか運転手仕事も向上しないのじゃないか、いわゆる衣食足りて礼節を知るということですから。それを、二十四の人も八万円の収入だ、四十の人も八万円の収入だという事態を放置しておいて、それで運転手仕事を向上しろと言ってもそれは無理です、実際からいって。そういう点はどこから考えたらいいかということです。なかなかいまの程度ではむずかしい。私、将来の問題も考えておりますが、当委員会も非常に御熱心でありますから、あるいは国会が終わってからそういう問題をひとつ小委員会で検討されて、これはほんとうにわれわれ国民生活の足なんですから、足を放置しておいてもいいということはない。だから悪質運転手あるいは乗車拒否ということだけを責めないで、どういうあり方にすればこういうことがなくなるだろうか、あるいは業者にしてもどうすれば近代企業として成り立つかということを考えなければならないときにきていると思います。私は、近代化センターができると業者は年間一万か二万という金を出すようになりますが、はたしていまの状態でそういう金を出せるだろうか。できる範囲でやるほかないが、たとえば千台持っておる人は、二万円にしても二千万円という金を払わなければならない。個人タクシーにしても六千円とか年間何万円という金を出さなければならない、これはたいへん困る、それにはそれだけのちゃんと利益があがるような状態にしなければならない。そういう意味において、これはいま参考人の方がいろいろお話をしておりました。経験者でありますから傾聴に価する面もありますけれども、われわれ政治家はもっと根本を探って、どうしたら近代的な企業として成り立つかということを考えざるを得ないというふうな気がするのです。いまの状態では、いまの制度といいますか、いまの制度では、近代化はなかなかむずかしいのじゃないか。だから最近は全く旧市内においてはタクシーが少いのにかかわらず一つも申請がございません。百万円の土地を二百坪買って五十台として二億の金が要る。そんな二億の金を出してやる人はありません。だから現在旧市内では、タクシーの人でも大体一割五分は運転手が集まらない、来ないということです。なぜ来ないかというと、だから物価安定会議において、できるだけ台数制限をやめろと言ったって、申請がないんだから許可してやりようがない、個人タクシーはあります。だけど個人タクシーをどんどん許可していけば、結局はいままでの業者のタクシーから移りかわるだけですね。ちっとも変わらない、絶対数はふえていかないですね。こういう点はわれわれお互いに政治家としてもっと根本にさかのぼって研究をして、これはすぐあしたにも改正しようというわけじゃありません。せっかくこの間値上げしたので、その状況を見なければなりませんが、やはり十分に考えて運転手もちゃんとした生活のできるように、魅力のある事業としてタクシー業者もこれに魅力を感ずるように、またタクシー会社で働く人も将来ともに安んじていけるような制度、そういうものを考えるためにどうすべきかという問題があろうと思います。しかし、近代化はその第一歩でありますから、ぜひともこの法案を通したいと、かように考えておるわけでございます。約束の時間でございますので、あとでまた午後ゆっくり……。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと先ほどから私は、乗車拒否そのものを責めるということは本末転倒なんだと、だからして、まず経営者経営姿勢を直しなさい、運転手さんは魅力ないですよ、大臣おっしゃるように何年つとめても退職手当はないし、基本給は安い、だからしてまずそこから直していかなければならぬということが前提だと言うのですよ。それからそういう姿勢の中で、なおかつ申請は全然ないというので、あとからまた聞きますが、ですから個人タクシーに切りかえることも一つの方法ですが、将来は総合的な対策というものを、大衆の足をどうするかということを考えながらやっていかなければならないと思いますね。そういう点はあなたとぼくとそんなに意見の差はないわけです。それを午前中ずっとやってきたのですから、なおかつそういうことが直らないじゃないか、なんぼ言っても。何回通達出しても依然として一つも改善されない。だから、そこをもっと業界の諸君とともに意思統一して、ほんとうにやれるものからやっていくということでないといけないのじゃないかということを申し上げたわけです。
  41. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) その点は鈴木さんと全く同意見、私は意見は同じで、賛成しておいてなお根本問題を話したわけですから、その点はおっしゃるとおりですから、賛成なんです。ただそれだけでは今後のほんとうの処置は済まぬから、この問題はひとつ研究していきましょう、こういうことを言っておる。先ほど来のお話は反対というわけじゃないですよ。その点を御了解願います。
  42. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 参考人の方ありがとうございました。  暫時休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      —————・—————    午後一時二十五分開会
  43. 温水三郎

    委員長温水三郎君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案及びタクシー業務適正化臨時措置法案を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。  両案に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 どうも二つの法案が同時にかかっておりますので、質疑するほうはなかなかむずかしいのです、率直に言って。ただ関連性がありますから、そういう意味では妙味があると思うのですけれども、ちょっとこの運営は質疑者を混乱させるところがあると思う。結局そういうことですから政府側も、来ていらっしゃる方にも朝から来てもらっているけれども、あっちに行ったりこっちに行ったりするので、時間をとられてしまってたいへん恐縮に思うのですが、運営がそういうことですから、ひとつお許しをいただいてお答えをいただきたいと思います。  それで、最初に、警察庁の藤森交通企画課長さんにおいでいただいたのですけれども、午前中、御承知のように身体障害者免許の問題を中心に、いま裁判がありまして、残念ながら荒木義昭君は東京地裁で敗訴しているわけですね。しかし午前中、大臣ともやったのですけれども、とにかく身体障害者に対する扱いとしては、世論もあることですし、一考を要する問題ではないかと思いまして実はこの委員会で取り上げたのです。  で、内容は繰り返しませんが、少し荒木君の場合は言語の点で問題があるようですけれども、しかし世田谷光明養護学校に通って、小学校から高校まで勉強されているわけですね。そうしてラジオ、テレビの修理について興味を持っておって、電気メーカーにもつとめて資格を持っているし、自立して出張修理をしたいというので、それには足が問題ですから、すでにバイク免許は十八歳のときに取って、これも二年間猛練習をして十二回目にパスしたという非常に努力家だと思うのです。今回の場合も二十数回受験を申し出たんですけれどもそのつど拒否されてしまったんですね。しかし一方このバイク免許を持っているくらいですから、非常にその方面は卓越しておりまして相当にすぐれた技術のようですけれども、しかし結局無免許ということで八回つかまったということで、それがもとで裁判になったということなんですけれども、考えてみると非常にお気の毒な身体障害者の方ですし、また一面法律はきびしいわけですね。法のもとにはすべての者が平等に服さなければならぬわけですから、そういうことでは、こういう裁判の結果が出たということについては、私はとやかく言うわけではないのです。一面行政訴訟をさらに起こそうという御本人を中心とする動きもあるようですけれども、ただこれが裁判に勝ったとか負けたとかいうだけでこのままにできないことではないかと思うのですね。ですからもう少し身障者に対する道交法第八十八条の規定の運用等についても検討する必要があるし、それから安全性の確保に対する、これも荒木君の場合でもそうですけれども、もう少し科学的に分析をして、運転者として多少欠けている点があるかもしれぬが、絶対的な安全の保持については支障がないということをもう少し追求してみて、何とか免許証を与えるような方法ができないかどうかということを伺ったわけです。これは少し政治的な問題になるので、大臣も何とかしなければならぬだろうということを国務大臣の立場で言ってくれたのですけれども、直接この衝に当たっている方たちから、いままでのいきさつも含めまして、もし考え方がありましたら伺いたいと思います。
  45. 藤森俊郎

    説明員(藤森俊郎君) ただいま御指摘の事案につきましての御意向というふうなものは、実は私どもが一般的にこのような問題がありましたときに常に私どもとしてもたいへん心を痛める問題であるわけでございます。一般的な問題といたしまして、運転免許のような警察許可——これを許可した者は運転できるのだ、許可しない者は許さない——こういうような制度におきましては、その本人のいろいろな事情を入れるということ、それから、もし許可にいたしまして、そして、そこから出てくる結果、交通事故を起こして他人にけがをさせる、あるいは他人を殺すというふうなことを予想しますいろいろな危険性、そういうものの調和の問題であるわけでございまして、こういうボーダーラインのケースがあります場合、私どもとしては非常な大きな問題であるというふうに感じておるわけでございます。ただ、このケースの場合の中身につきましては、一体どういうふうに判断したか、そういう事情につきまして簡単に御報告申し上げておきたいと思います。  結論を先に申しますと、このケースの場合の東京都公安委員会、警視庁の運転免許本部におきます判断を簡単に申しますならば、脳性麻痺の後遺症がございまして、体幹、四肢に強度の麻痺後遺症があって、補助手段を講じてもハンドルその他の装置を随意に操作することができない身体の障害がある。特に丸ハンドルの操作の際に、頭部を振るのだそうです。丸ハンドルをこういうふうにしますと、からだが非常にこういうふうにゆがむ。その際に前方注視が非常にむずかしくなって、前が十分に見られないというふうな状態になるというふうな判断をいたしております。  実は、この方が四輪の問題につきまして、先ほど御指摘がございましたように、たびたび免許の申請をしておられます。それらにつきましては、形の上では欠格事項があるということで受験資格がないということでアウトをいたしておるわけでございますが、実質的には昭和四十年の四月、それから昭和四十一年の九月にそれぞれ実際に試験場において試験と同様に車に乗せてみまして、そして実質審査をいたしております。それで、現在試験場長をしております者、これが当時試験のほうの課長をいたしております。これもたいへんそういう点は十分に判断すべきであるということで、自分で同乗をいたしまして、その点についての実質判断をいたしております。かようなことでございます。  そういうふうな状況で、それからさらに、事故を起こされたことが四十三年にあるわけでございますが、そのあとで、安全運転学校という施設がございます。警視庁の施設でございます。そこでやはりシミュレーターによりまして検査をいたしました。その結果からも、やはりこれについては、そういう適正なドライブは将来とも無理だという判断をいたしておりますので、実質的な問題といたしまして四輪というふうなものにつきまして受験資格を与えるという形は、これはとうてい無理なケースであるというふうな判断を下しておるところでございます。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 経過は大体わかりました。特に試験は受けなかったけれども、試験官が同乗しまして、運転の状況も見ていただいたということですから、そういう点は慎重な配慮をせられているので、私どもその点よくわかりませんでしたから、そういう配慮をしたことについては評価するわけですけれども、しかし、バイクの場合と四輪の場合とは、これは試験の内容も違うわけですし、技術もかなり格差があるわけですから、一がいには言えないと思いますけれども、しかし八十八条に言うところの大型免許、普通免許ですね、それから小型特殊免許、原付免許について年齢制限がございますね。この二号のところに、欠格条件ととして「精神病者、精神薄弱者、てんかん病者、目が見えない者、耳がきこえない者又は口がきけない者」それから三号に「前号に掲げる者のほか、政令で定める身体の障害のある者」、こうあるわけですね。ですからこれはどの号を荒木君の場合は適用して欠格になっているのでしょうか。
  47. 藤森俊郎

    説明員(藤森俊郎君) ただいまお話のございました八十八条の三号でございます。三号は「前号に掲げる者のほか、政令で定める身体の障害のある者」こういうことになっております。これを受けまして道路交通法の施行令がございますが、道路交通法施行令の三十三条というのがございます。三十三条には四つの号を掲げておるわけでございますが、この四号で「ハンドルその他の装置を随意に操作することができないもの」こういう書き方をいたしておりますが、これに該当するということでございます。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 考え方によると、酒を飲んで酔っぱらい運転するのは悪いですね。ですからこういうことは、正常な健康の保持者がたまたま酒を飲んで、アルコールで酔っぱらう、それで事故を起こすというのは、これは悪質ですね。それを防止する法律もあるわけですね。だからして、荒木君の場合は四十三年に事故が一回あったのですか、四国から九州までかなりドライブも実際しているのですね、無免許で。ぶつかった警察官の方も、そんなに運転がへただというようなことも言っていないし、また事実、四国から九州まで自動車で走るということになれば、あなたのほうで判断している、政令にゆだねられている施行令三十三条ですか、この解釈と実際の実態とがどうもわれわれから見て合わないような気がするのですよ。そんなに丸ハンドルでハンドルするときに首をこういうふうに振るかもしれませんが、そのときに前方が不確認のために事故が起きるかもしれないという配慮、これは一つの配慮としてわかりますけれども、しかし、現実にこれだけ長い期間やっているということになれば、そのことも、実際は心配倒れじゃないでしょうか。だから、それは全然これから免許を取ってどういう運転をするかわからぬという場合ではないのですね。いいか悪いかは知りませんが、実際覚えちゃったのですからね。そして、無免許であっても長いこと運転しているわけですからね。そういう実績と法律、施行令の中における矛盾というものが一つ出てきている。だからその辺の判断というのは純法律的に言えば、裁判所が出しておるものに落ちつくと思うのですが、もう少し運用解釈について考える余地はないものなんでしょうか、現実の問題として、これは一つのケースですがね。ですから、こういうものを転機にして、もう少し検討するというような余地はないものなんでしょうか。
  49. 藤森俊郎

    説明員(藤森俊郎君) 御指摘がございますように、この欠格条項をどういうふうに判断していくかというふうなことは、交通の状況その他によってやはり条件が変わってくるという性質のものであろうとは思います。一般的に申しまして、たとえば構造装置で補えるという要素がやはりございます。したがって、車の諸機能というふうなものがそういう身体障害者のある種の部分についてはそれをカバーするに足る機能というふうなものが機械的に補えるというふうなことがだんだん開発されていきますと、その限りにおいてこちらの条件はだんだん緩くすることが可能である、こういう問題が一つある。一方で交通状況という問題がございます。これにつきましては、かりに人間だれしも油断すると、ふっとこうなる、そういうふうなのが昔は平均して三秒ぼやっとしておっても、事故の起こる率が千分の一だと、かりにそういたしましても、それから五年たった現在においては三秒ではもう千分の二十くらい物にぶつかる危険性がふえたと、これは一つの例でございます。そういうぐあいに交通の実態の変化によって条件が変わるということもまた考えられる。これのほうはむしろ悪くなる。したがって、交通情勢が悪くなりますと、こういうふうな免許の条件についての制約というのはきびしからざるを得ないというふうな方向が一方で考えられるというふうなまたプラス・マイナスの要素が多分にあろうと思います。免許というふうなものは、そうしょっちゅう変えるわけにはいきませんけれども、やはりこれらを適用してまいりますのには、そういうふうないろいろの諸条件というふうなものを考えまして適切に運用されなければならぬ。さような意味におきましては、まさにこれらについても常に検討をしていくべき問題だというふうに考えます。ただ、現実のこのケースといたしましては、私どもも直接扱ったわけではなくて、間接に報告を聴取したわけでございますけれども、やはり現在の情勢では困難なケースだというふうに解せざるを得ない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 いろいろこれは見方があると思うので、弁護団が言っているように、「被告は中程度言語障害で、口がきけない者には当たらない。」これはそうらしいですね。「試験場の根拠のない受験拒否で、被告に免許をとる期待可能性がなく、また他に自活の道がないから被告の無免許運転は緊急避難にあたる」と、こう主張して、これは無免許運転に対する裁判ですからね、そういうように弁護団は見ているわけなんです。しかし裁判所のほうはかなり同情しているし、それから検察側も同情はしているわけですけれども、法律のたてまえ、それから無免許運転の危険性というものを考慮して裁判になったといういきさつもあるわけです。ですから、試験は受けて、確かに安全性に対して多少の心配はあるかもしれませんね、ここに運転免許試験場の技能課長さんの加治さんという方が新聞記事に出ているのですけれども、「荒木さんの場合、ハンドルを切るとき、首がはげしくゆれる。一瞬の間にしても前方が見えなくなる。急ブレーキも一般運転者より、やや遅れる傾向がある。そんなわけでお気の毒だが受験をご遠慮願っている。」と、こういうことが出ておるのです。しかし、一般の場合でも、その人が酒飲んで、飲酒めいていして事故を起こすか起こさぬかということもこれはわからぬですね、将来のことですから。だから、絶対的にだめだというのか、それとも安全性の上において多少欠けている点があるのか、その辺の判定もよくわからないのですね、私たちもう少し調べてみないと。ですから、とにかく受験のチャンスを与えて正規に試験をやってみたと、ところがそのために不合格だというならわかるのですけれども、最初から受験のチャンスを与えないというところに問題があるのです、これは。その八十八条の欠格条項というものは、さかのぼってみると、いまのところへまた戻ってくるのですね。聞いてみると、実際には車に乗って一緒にやってみるとどうも無理だということで受験させなかったということですけれどもね。ですから、本人からしてみると、試験を受けてみてこれはだめだと言われたのならこれはわかるのですが、そうでなくて、受験をする機会さえ失われているというところに問題があるのです。そこで、まあ国立身障者センターの前の所長さんのお話を、ここに載っているの見ると、「身障者の社会復帰に、運転免許が果す役割は大きい。個々の身障者運転安全性は、当局の判断にまかせるしかないが、私達の立場からは安全性を科学的に証明する方法をみつけ、免許を取るチャンスを身障者になるべく広げてほしい」と、こういうふうに言っている。これは常識的な私は一つ考え方だと思うのですね。ですから、そういう立場に立って、いま少しくその問題については前向きの姿勢で検討してほしいと思うのですね。いかがでしょうか。
  51. 藤森俊郎

    説明員(藤森俊郎君) ただいまいまの問題でございますが、初めに、実態と手続との問題、ちょっと問題だと思いますですが、と申しますのは、身体障害のゆえにアウトになる場合は、制度といたしましては八十八条でアウトになる場合と、これは欠格者でございますから受験資格がないという場合と、それから、適性があるとして適性検査を受けて、そうして適性がないと判断をされるというのと、こう二段階に分かれておるわけでございますが、で、その場合のどちらかに属するといっても、これは連続的なものでございまして、そこをどこで切るかというふうな、ケース・バイ・ケースの判断になるわけでございます。  ところで、このケースにつきましては、このお方を実質的に判断をしておるわけなんです。実質的に車にまで乗せて判断をしてみて、そうして結局これはもうどうしてもだめだということになった。ただ、それを手続にのせます場合に、これは適性検査をやって何したのだというと、まあ手数料も取ってそれからちゃんとアウトにするのだと、こういうことになる場合と、それから、初めから実質的には見たんだけれども、その内容から見ると、これはもうどうしても八十八条の欠格条項ではないかと、そういうふうに判断されるならば、それはさかのぼってそういう手続はなかったということで処理をするという処理のしかたが二つあるわけでございまして、そうしてその後者のほうの手続しかるべしということになったわけでございまして、実質的には決して門前払いを食わせてそうして判断をしなかったという性質のものではございません。その点は手続の問題としてひとつ御了承をいただきたいというふうに考えます。  それから第二の、身体身障者に、ここに先ほど御指摘がありましたような、この身障者センターの所長さんのお話の立場、この考え方、これはまさに私どものよっておる立場でございます。で、先ほど申しましたようなプラスの客観条件、マイナスの客観条件、いろいろ変動はいたしますけれども、これらの中においてできるだけそういうふうな道を講じたいということが、私どもも誠心誠意講じておるところでございまして、警視庁の試験場をはじめといたしまして、それらの点についてはずいぶんくふう研究もいたしております。それから具体的にいろいろなアドバイスもいたしております。で、数字的に申し上げますと、昭和四十四年中におきまして全国でこの身体障害者関係で一万三千九百人の免許をいたしております。で、これはいずれも条件をつける。車両を限定いたしまして、この種類の車でないとだめだ、それ以外の車はあぶない、そういうような限定をつけます、あるいはいろいろアドバイスいたしまして、車をこういうふうに改造しなさいクラッチのところ、こういうふうにしたらできるかもしれないということでアドバイスをしまして、そうして、そういう適当な車をさがしてやるというようなこともいたしております。それから、装具の問題でございます。装具をこういうふうにすれば、前にこういう人が来てこういう装具をやっていたけれども、あなたの場合こういう装具をやってみたらどうですかということとか、そういう点は、現状におきましてはたいへんサービス的にそういうふうな点についてやっているように私どもは承知しております。御指摘のございました御趣旨は、現在私どもの気持ちであり、心がまえでございます。今後もそういう趣旨にのっとりまして、他に迷惑を与えない、社会に危険を与えないという限りにおきまして、できるだけのことをしていきたい、かように考えております。
  52. 鈴木強

    鈴木強君 一応お考え方はわかりました。私のほうも、もう少しその事件は突っ込んだ研究をしてみたいと思います。そこで法律改正の必要もあるかどうか別として、それよりもむしろ運用の点でしょうね、結局は。そういう面で、もう少し、きわどいところですから、首をちょっと振る、それが前方確認に支障があるかということがポイントのようですから、その辺で、はたして八十八条の適格者として認めるかどうかという非常にきわどいところだと思いますから、科学的なひとつ御検討をいただくことにして、もしまた法律改正があれば、われわれそのことをやりたいと思いますので、いまの最後にお触れになった身障者センターの前の所長さんのおっしゃったお考え方だそうですから、そういうようなことで御配慮いただきたい。  これはこれで終わりまして、その次に労働省から来ていただいたんですが、午前中にちょっとお話のありました二・九通達ですね、これとの関連、特にタクシー業者、ハイヤー業者の事業所における労働環境、たとえば寝室とか休憩室とか食堂とか、そういうものが基準法上にかなっているのかどうなのか、そういうように検査はどの程度一年間にどのくらいの事業所を対象にしてやられておるのか、そしてどういうような勧告を出されて、それが実際やられておるかどうか。さらに基準監督所としてしょっちゅう監視の目を光らしていると思うんですが、そういったような点がどうか、特に二・九通達は例の運賃改定の影響がありました関連がありますから、若干残ったところもおたくの言うとおりになったそうですが、問題は、この中に示されておるような具体的な問題が文書で労働者側、職員側と確認をされておる、あるいはしてないというようなこと、確認されたとしても、そのことが実際に向こうの現場にいって確認をしているんですか。文書だけの報告でやっておるのか。その辺もあわせて最初に報告していただきたい。
  53. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) 鈴木先生の御質問、第一番の点でございますが、特にタクシー運転者が勤務を終えて帰りまして仮眠施設がどうなっておるか、あるいは健康診断がどう行なわれておるかという問題がございます。御承知昭和四十二年二月九日に私どものほうで制定をいたしまして、現行の労働基準法のいわば一歩前進した形を実施通達として行なっておりますいわゆる改善基準の一番最後のところに「仮眠施設及び健康診断」という項目がございまして、「仮眠施設の基準は次によること」というふうになっておりまして、床の高さがたとえば三十五センチメートル以上、天井の高さ二・一二メートル以上というような基準が設けられております。それから、室の面積は同時仮眠者一人当たり二・五平方メートル以上。それから寝具は、同時に仮眠する人数と同数以上であって、毎月一回以上日光消毒その他の消毒を行なわなきゃいかぬ。それから、各人専用のえり布、まくらカバー敷布を備え、常時清潔でなくちゃいかぬ。それから定期健康診断につきましては、夜間勤務の場合の運転者については特に年二回健康診断を励行せねばなりません。それから運転者の健康状況を事業主としては常時把握をいたしまして、異常者がある場合には、その異常者の運転の適否について特に配慮をして勤務状態をつくれというような形の基準をつくりまして、現実には監督をいたしましたときに、いま申しました点については特に臨検監督の際に必ずチェックをさせることにいたしております。  昨年の十月の全国の交通安全週間に調査いたしましたところによりますると、次のような数字があがっております。調査事業所は二千四百五十でございます。そのうち仮眠施設のありましたものは二千二百九十九でございまして、仮眠施設のないものが百五十一でございます。それで、仮眠施設につきまして、ただいま申し上げましたような改善基準に違反をしておると認められましたものが百二十六、二千二百九十九のうちの五・五%になっております。それから寝具等につきまして基準に違反をいたしておりましたものが二百十九、九・四%ということになっております。それから同じ時期の、健康診断につきましては、健康診断を年一回行なっておりますものが五百五十五、年二回行なっておりますものが千六百六十、健康診断をいたしておりませんものが二百三十五、これは全体の九%ということになっておりまして、先生御懸念の点につきましては、違反率は一割、全体として一割以下でございまして、比較的ほかの労働時間等に比べますと良好な状態と考えて差しつかえないと考えております。
  54. 鈴木強

    鈴木強君 仮眠施設と健康診断の場合はわかりました。しかし、実際に二千二百九十九のうち仮眠施設の基準から見てうまくないもの、違反しているものが百二十六件、それから寝具のほうで二百十九件、そういうふうに基準に達しないものがあるわけですよ。まあ基準にまたかりに達しておったとしても、一体どういうふうな状態なのか、まあ私、目で見ていないからわかりませんけれども、そんなふうにあれでしょう、近代的な設備じゃないでしょう。なるほどりっぱだな、そういうようなものじゃないでしょう。どうなんですかね。
  55. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) それはいろいろございまして、たとえば東京のような場所でも資本力のあります大きな企業とそうでないところでも違いますし、地方で、夜間にタクシーの営業で運転者をあまり夜間に使っていないところがございますので、その辺によって若干違いがあると思います。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 それからこの違反をしているようなところは、労働組合がそこにはないところが多いのじゃないですか、そうでもないですか。
  57. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) これは確認をいたしておりませんので明確に申し上げかねまするが、たぶん労働組合等は結成されておらないのではないかと想像されます。
  58. 鈴木強

    鈴木強君 それからこの百二十六とか二百十九ですね。それから健康診断の場合でも一回というのが五百五十五、二回が千六百六十、ないのが九%というような状態なんですけれども、この数は少ないとしても、この事業所というのは大中小と分けますと、いわゆる小の部類のところが多いのですか、どうですか。
  59. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) 仰せのとおりでございます。
  60. 鈴木強

    鈴木強君 それで、こういうところに対してはどういうふうな指導をして、その後これが昨年の十月ですからまだ五カ月ですか、六カ月かな、ぐらいのところですけれども、それにしてもどういうふうな基準監督局としては指示をして、それでその後是正されたというのはございますか。そういう調査はしていないのですか。
  61. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) 臨検監督をいたしまして、現状把握をいたしますと、監督官はただいまのような是正をすべき問題点を見出しました場合には是正勧告書というものを事業主に交付をいたします。事業主はそれによって是正をする第一次的な義務を負うわけでございます。私どもといたしましては、その是正勧告書の中で、特に法違反の程度のきついものをチェックをあらかじめいたしまして、そういう場所につきましては再度監督をいたしまして、その場合、なおかつ状態が直っていないというものにつきましては、原則として送検をいたすことにいたしております。
  62. 鈴木強

    鈴木強君 まあこれは臨検監督監督をしたわけですからね。したがってあれですか、改善命令を出す場合に、たとえば何年何月何日までに改善をしろとかいうような期限をつけた指示というのですか、するのですか。この場合はどうなのですか。
  63. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) あの原則として是正期限は必ずつけております。
  64. 鈴木強

    鈴木強君 この場合はいつまでの期限をつけたのですか。
  65. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) これはたとえば施設について相当手を入れなければならないというような場合には若干の日時をかします。それから直ちに直せるものは直ちに直すように指示をいたします。そう長くございません、期間は。
  66. 鈴木強

    鈴木強君 大体何カ月ぐらいの余裕を置いてあるわけですか。
  67. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) 健康診断のような場合は、なるたけ早い機会にやれということでございますが、施設のような場合には、私どもの定期監督の期間等とかみ合いますので、長いものは半年、短いものは三カ月ぐらいということになります。
  68. 鈴木強

    鈴木強君 時間がここではありませんから、あとで資料として、仮眠施設と健康診断の場合の違反事業所ですね、それからそのおたくのほうで是正を命令した内容をひとつ出してほしいと思います。その点いいですね。  それからその次には労働時間ですけれども、この基準法違反のような労働、長い労働時間ですね、こういうものを実際にやっている事業所というのは監査の結果どのくらいありますでしょうか。
  69. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) 昭和四十二年にこの是正基準が制定いたされまして、四十四年までに毎年春秋二回づつ監督をいたしておりますが、その結果を見てまいりますと、総延べ数で八千三百九十四の事業所につきまして監督をいたしました結果、労働時間につきましては七千七百八十の事業所が残念ながら何らかの形の時間違反をいたしております。昭和四十四年の統計で申しますと、昭和四十四年の秋で二千四百六十一の事業所の監督をいたしましたが、そのうち労働時間の違反は千二百九十一でございます。だいぶ是正はされてきております。
  70. 鈴木強

    鈴木強君 私たちもよくわからないのですけれども、たとえばハイヤーなんかの場合は二日間出て四十八時間つとめて十二時間休むのですか。そういう業者もあるようですね。それからあとはまあ相当な早朝から夜おそくまで十何時間とかいうような長期の時間をしているようですけれども、これは基準法との関係でかなり違反をしている点があるということですね。いまその点が件数で出たのですけれども、具体的に勤務時間の点でどういうふうな状態になっていますかね、大まかに言って。三直なら三直でやっているのか、勤務時間というのは。一体どういうふうになっているのか、個々の運転手さんの時間を調べた場合に。
  71. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) 私ども承知いたしておりますところでは、特にタクシーの場合は大体運転手の方は二日連続勤務が一般でございます。たとえば午前八時に出まして翌朝の二時まで連続して自動車運転して、二時に帰庫いたしまして、それから若干の取り片づけあるいは自動車あと整備をする、あるいは自動車の洗車をするというようなことで引き揚げるという形になっております。あるいは毎日毎日出勤をするシステムのところでは八時間から十一時間の間の勤務時間であるようでございます。続けて二日にわたって勤務するところでは十六時間が原則のようでございます。労働基準法では実は一日の労働時間が八時間、一週の労働時間が四十八時間というきめでございますので、二日で十六時間というのはぶっ続けでもいけないことにはなっておりません。ただ、あとで、御承知のように三十六条協定で超過勤務を定めます場合に、超過勤務を自由に、三十六条協定があるからといって、長くつけ加えますと、非常に疲労、過労を招きますので、十六時間の場合の超過勤務は二時間というふうに限定をして指導をいたしておるわけでございます。
  72. 鈴木強

    鈴木強君 労働組合のあるところは、これは三十六条協定で取り上げますから、ですからまあまあ勤務時間の点はいいと思うのです、私は。労働組合のないところは過半数の職員の賛成を得るとかなんとか、それは法律的にはあると思いますけれども、なかなかそれが実際には実施されていないと思うのですね。だからこの点はかなり強力な行政指導をやりませんと、相当にオーバーワークで、しかも基準法上の割り増し賃金すら払っていない。日曜出勤とか祭日出勤とか、そういう点についてもかなり違反があるのじゃないかと思うのですね。したがって、そこいらはきびしくもう少しやっていただく必要があると思うのですが、監督官の人数のこともあるでしょうし、まあ春秋二回、八千三百九十四の事業所をやっていただいているというわけですから、かなりたいへんだと思いますよ。たいへんだと思うけれども、結局おたくでめんどう見ていただかなければ、いいことにしてその基準法に違反する行為が起こるわけですから、ぜひ今後ともこの問題については、たいへんでしょうけれども、個々の事例をもっとはっきり世間にも発表していただいて、そうして基準法上の少なくとも最低限、勤務時間というものが守られるようにしてほしいと思うのですが、どうですか。
  73. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) ただいま先生からいろいろ御注意いただきました点につきましては、重々戒心をいたしまして監督を進めてまいりたいと存じております。なお、御承知のように今回の運賃引き上げに関連いたしまして、私どもと運輸省との間で行政上の話し合いをいたしまして、今後は道路運送法並びに労働基準法上の違反の問題については両省で相互に情報をすみやかに交換をいたしまして対策をとるということに相なりましたので、お説のような趣旨で監督ができるものと考えております。
  74. 鈴木強

    鈴木強君 まあこれは午前中もかなり詰めて大臣にも私意見を申し上げたのですけれども、労働基準法——これは最低ですね。したがって、もっと労働時間も短くしてやるということが筋だと思うのですが、タクシー業界の場合にはどうしても現在の基本給というものは少ない。結局割り増し給付が多いものですから、一生懸命たいへんなところを走行して、そうして水揚げを多くしなければ生計が立たぬというふうな、そういう賃金のきめ方にうんと問題があると思うのですよ。だから、どうしても業界の体質を改善していきませんと、乗車拒否とかスピード違反だとかいうようなことが絶えない。その本質をやっぱり見きわめて、そこに問題点を置かないと間違うように思うんです。これはけさほどから大臣からもいろいろ意見も聞いたし、私の意見も申し上げたんですが、そこで四十四年十一月二十一日の物価対策閣僚協議会と交通関係閣僚協議会の、これもけさ須賀さんにちょっと伺ったんですけれども、体質改善対策というのは少なくとも閣僚協議会でおきめになったことですね。そうして労働条件改善のために関係行政機関ということになると運輸省とか労働省になると思うんですが、運輸省、労働省では次に掲げる事項が確実に実施されるように、両省間で賃金確認書を行なうように指導しなさい。その中に給与水準の引き上げ、累進歩合制の完全廃止、保障給部分の引き上げ、労働時間の短縮、日雇い運転者の雇用禁止という五つが取り上げられておるわけです。これは運輸省、労働省でその後どういうふうになっているか、十分に指導もされ実情も把握されていると思いますが、向こうの近代化センター理事須賀さんのお話を聞くと、たいへんりっぱにやられているように伺いますけれども、労働省から見たこれらの五つの問題については一体どういうふうになっておりますか。最後の日雇い運転者の雇用禁止ということもこれは雇用問題としては大事なことですからね。たとえばこういう問題もいい意味においてハンドル貸しというのも——悪いことはいけないと思いますが——やはりあの週休制をとっているところで、ある一日のある日に週休のために欠務者が出ますね、その欠務者を補充するために、まあ考え方は日雇いになりますわけです。そういうようなことで補充者を会社のほうで雇ってやるというような場合もある。それである程度固定化してくる場合と、全くその日だけやる場合と違いますが、ある程度固定化している場合は、そういう方法もぼくはあると思う。ですから、これは基本的な労働省の問題にかなり影響があることですから、まず労働省としていままで見た限りにおいて実際どういうふうになっているか、これを伺いたい。
  75. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) ただいま先生の申されました大都市タクシー事業の体質改善及び運賃改定について、交通関係閣僚協議会及び物価対策閣僚協議会の御決定の中で、累進歩合制の完全廃止につきましては、就業規則を総点検をいたしまして、形式上はまず就業規則の上から累進歩合制を全部廃止をいたしました。まああとは実際上その就業規則を当該事業所が守っておるかどうかということでございます。これは監督で全部チェックをいたしておりますので、累進歩合制の完全廃止につきましては、かねてから指導はいたしておりましたけれども、ほぼ廃止の状態になっておるのではないかと存じます。それから保障給部分の引き上げ、給与水準の引き上げ、これは御承知のように就業規則と同時に賃金規程その他も審査をいたしまして、体制につきましては、あるいは制度につきましては、いろいろ指導をいたしたわけでございますが、これは現実には実際の水揚げとの関連で労使間できめる労働条件の問題になろうかと存じます。ただいま春闘の時期でございまして、おそらくそれぞれの企業ではこれらの点については労使間のお話し合いが進んでおられることと存じております。昨年と違いまして、ことしは四月に交通安全週間がございまして、実は四月の半ばに東京を中心といたしまして全国一斉に例年の監督をいたしております。その結果が実は五月の中旬になって全部あがってまいりますので、その結果を見てあれでございましたら詳細御説明申し上げたいと思いますが、残念ながらいま私の手元には具体的な資料がまだあがってきておりません。それから労働時間の短縮につきましては、監督の結果、相当顕著に効果をあげておりますが、一面では従来多少やみの長時間操業をいたしておりまして、その結果が水揚げの上昇にはね返っておった。しかしながら、労働時間をきびしく規制されたために、その部分の水揚げの状況が減ったというようなことも実は私どものところにまいっているような現状もございます。この辺は非常にむずかしいかね合いがあろうかと思います。それから日雇い運転者の雇用禁止の点でございますが、これは道路運送法の施行規則に明確に規定されておる事項でございますので、法律にあるいは規則に抵触するような形での日雇い運転者の雇用禁止というのは当然であろうと思います。ただ労働組合が労務供給契約を結びまして、一定期間を定めて、あるいは一定の時期に協約に基づいて雇用した場合は、私どもは厳密に運輸規則には該当しないものと考えております。これは運輸当局のほうからお答えをいただきたいと思います。
  76. 鈴木強

    鈴木強君 書面の上で廃止され、あるいは改善されたということになっても、そのまますなおに認めていいのかどうか、信用していいのかどうかということは、やはり問題があると思います。だから課長おっしゃるように、今後実際の監督の中でそれが実施されるかどうかということをはっきりする必要があると思うので、形だけ整ったからそれでいいということじゃなくて、もう一歩進んでひとつ行政指導なり、あるいは基準監督上の立場からその是正されたことが実際にやられているかどうかということを、厳重にひとつ監督してもらいたいと思う。  それからこれは運輸大臣にもちょっと伺いたいのですが、けさの論議で、ちょっとあなたが席を立たれましたので中途半端になっているが、いつも大臣おっしゃるように、できればこれは非常に大事なことですから小委員会か何かつくって、もっとほんとうに深く突っ込んでタクシー、ハイヤー事業に対する行政あり方、それから事業あり方、こういうものをやる必要があると思う。そうして抜本的な対策を立てない限りは、いつも末梢的な問題を追いかけているから、その根本を見きわめないで堂々めぐりをしているけれども、そこで交通輸送全体の立場に立って、一体タクシー、ハイヤーというのはどういう効果を持ってどういうような使命を持っていくべきか。これは地下鉄とかバスとか国鉄とか私鉄とかいろいろあるけれども、そういうものとの総合的な交通政策の中でタクシーというものは一体どういうふうなあり方をもって今後やっていくのか。同時に、その経営を成り立たせるためには、大臣のことばでちょっと私感じたのですが、たとえばいま増車しようといっても、三・三平方メートル百万円もするような所を買って車庫をつくってみたところで営業は成り立っていかぬ。だから増車しようとしても申請者がない、これも事実かもしれません。それは場所によるでしょう。ですから、そういうようなことを考えてみると、まさにいま国鉄の赤字というものは二兆四、五千億の長期負債を持って、これは橋本さんが言うように十年間料金を値上げして、そうして収支ペイする、黒字にするということはこれは不可能だ。だから根本的に独立採算というものを取っ払って、赤字があったら国が補てんするというような政策をとらないと、国鉄の再建は成り立たないということを言っている。これは予算委員会の分科会でも伺ったのですが、磯崎総裁自体が、多少そういうことを言わなければならぬかもしれぬということを言っている、それほどむずかしいのです。だからして、タクシー業界そのものも根本的にせんじ詰めていくとそういうことが出てくると思う。大臣ちょっとそこのところを触れたのじゃないかと思うのですが、そうでないとしたら、またそこのところも明らかにしてもらいたい。だから業界がいかに体質改善をし、いかに考えてみても、なかなか独立採算、収支ペイをするという経営はむずかしいのじゃないかという大臣のお考えですか。その辺がちょっとあいまいでしたから。そういうことと同時に、おっしゃるように退職手当制度も企業としては非常に貧弱である。しかも基本給が低いから、割り増し給をやる場合でも、あるいは将来退職手当を換算する場合でも、基本給が安ければ何十年勤めたって何万にもならない。せいぜい厚生年金ぐらい。よほど大きいところでないと企業年金もないわけですから、そうなると月二万円ぐらい、年金はちょっと、物価はどんどん上がってくる、貨幣価値は下がってくる。そういうときに老後の保障が運転者の方にあるかといったら、それはもうないわけです。だから、そういうふうな労働者基本的な待遇改善と、それから一体タクシー業界というものが全体の輸送政策の事業の中で占めるウエートはどうであって、それを一体国家的にどうするかというところまで論じなければ、一企業ではたいへんなところにきている。これは東京とか大阪とか、おそらくそういうところを指していると思いますが、だからして、一体いま労働者から伺ったのですけれども、歩合制と固定給との割合が七・三だとか。六・四だとかいろいろいわれているんですけれども、とにかく悪いことは間違いないんですよ。したがってタクシー運転者の基本的な賃金のあり方というものは一体どういうものがいいのかということですね。これは経営とも関係があるわけです。これを一回検討してみたことがありますかね。私はそれとからみ合ってこないといけないと思うんですね。そういう点を私たちもまだ少し研究不足であるし、勉強不足であると思いますから、これからも大いに勉強しようと思うんですが、たまたま大臣がちょっと午前の終わりのまぎわにおっしゃったことの中で、ちょっと私も大臣の真意がつかめなかったものですから、多少自分の主観をまじえて質問したわけですから、私の受け取り方が誤っておったら、それは直してもらいたいのだけれども、そういうふうにむずかしいものだと思うんですがね。
  77. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) これは非常にむずかしい問題だから、法案皆さんから早く通してもらったあとで、ひとつ日をかけて十分に将来に備えて研究会をお互いにやりましようじゃないかと、そのむずかしい条件ということを申し上げたわけです。したがって、いま私がこうすればいいんだという名案はまだ持っていない。私案として考えないこともないけれども、これは業者なり運転者の方々の御意見も聞いてみなくちゃわかりませんから。ただ先ほど言ったように、現在の状態では将来企業としてはなかなか困難な企業じゃないか、そうなれば現在の状態をどう変えるかという問題はいろいろあります。ただ、これにはヨーロッパ等に行なわれておるタクシー業のあり方等も検討してみる必要があると思うんです。もう一つは、大都市といいましてもこれもまた一つの制限があるのですが、大都市タクシーと地方タクシーのまた存在の条件が多少違うんですね。そういうような幾多違った条件がありますので、いわゆる普遍妥当性といいますか、全国どこでも通ずるという名案はなかなか出しにくい。大都市交通のあり方があり、地方においてはこういうタクシーあり方があるという一つの区別が必要であろうと思います。そこで最初のことに戻って、鈴木さんが言われるようにタクシーはどういう使命を持っているのか、これも大都市と地方とでは違います。これはわざわざ申し上げるまでもなくおわかりでしょうね。ただ、大都市におけるタクシー役割りというのは非常に重要だということは、御承知のように路面電車もなくなってまいったし、かつまた消費生活も多いのでありますからして、したがって人間だけが乗るというだけじゃなく、ちょっとした小荷物を持って乗る場合もあります。そうなりますというと、バスや地下鉄より便利だという点もあります。しかし大きな意味からいえば、地下鉄とあわせてタクシーというものが都内交通の大宗になっているんじゃないかとこれは言えると思うんです。いわゆる中長距離のタクシーを目的に使ったらこれはたいへんなお金になりますから、原則としてはこれには使わない。緊急以外には使わない。われわれ国民生活の中に占めるいわゆる大都市タクシー役割りは、地下鉄とあわせてかつての路面電車の役割りをしておる、こう見ればいいと思います。それよりもタクシーのほうがもっと便利だ、家から家に行きますからね。そういう意味タクシー役割りは一応大きく言えば限定してよろしい。それほど国民生活に密着した、必要なわれわれの足の一本であるにかかわらず、その仕事自体は、なかなか近代企業にふさわしい形態をとることがむずかしい点があります。ただヨーロッパなりアメリカあたりではどうしているのか、私まだ調べておりませんけれども、おそらくああいう国においては歩合制等がないのじゃないだろうか、普通の会社同様に固定給一本でいっている。まあ時間外があるかどうかこれは別ですけれども。日本の場合はそれがむずかしいのは、一つはトラック運転手というものとタクシー運転手は違うわけなんですが、トラック事業というものも自家用車というトラックがある、自家用車という名前において家の仕事もやっている。これはやっちゃいかぬことになっておりますが、ものによっては認めるのがあります。たとえばダンプカーとか、ああいうものになりますというと自家用は認めておる。こういういわゆる、ドライバーの仕事の内容が違う。そうしてまたそれによっての収入の差がある。たとえば簡単に申し上げて、タクシー運転手をもし本給一本でやるということになれば、   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕 大学卒業並みの初任給を与えたにしましても、四万円なら四万円と、それに従って毎年定期昇給がある、こういう制度を考える場合に、トラック運転手が初めからある程度の年齢になれば七万とか六万とかいう金になりますというと、なかなか引き合わないいろいろの点がありますので、一がいにタクシー運転手あるいはタクシー企業だけをとらえただけでは、まだこれは解決がつかない点があります、他の関係事業から。これはひとつ皆さんとともに勉強すべき問題だと、そういう意味で申し上げたのです。
  78. 鈴木強

    鈴木強君 にわかに結論の出ることではないと思うんですけれども、われわれにどうしてもわからないのは、一体、料金を上げるときいつも思うんですけれども、実際に料金を上げて経営が健全化し、従業員の諸君が従来の気持ちが一転して、よし、やろうと、それでサービスをよくしよう、こういう気持ち乗車拒否をなくし、取っ組んでくれるならぼくは上げたっていいと思うんです。ところが、上げてみても結局上がった分が経営のどこに入っていくのか、それから労働者諸君の待遇にどう回っていくのかわからぬものですから、だからどうも反対だという声が出てくるのですよ。それは企業ですから、ペイしなければなりませんよね。そうして従業員の諸君も朝から言っているように、待遇を改善して、ほんとうに第一線に立つ諸君はこれは接客部門ですよ、一つのサービス業ですから、乗ったときに、いらっしゃいと言わなくても、笑顔を向けて、どこですと言ったら、はいと言って、どうもお待たせしましたぐらいのことを言うようなほんとう気持ちになるようなぼくは政策が出てこなきゃだめだと思うんですよ。社長は社長室におって、幾ら水揚げが上がったかなんといって計算だけして、幾らもうけがあったかなんということを考えているだけじゃだめです。だからして、やっぱり旅館経営をした場合でもそうですよ。第一線の女中さんに経営者がちゃんとサービスしておれば、われわれが玄関に立つと、いらっしゃいと言って手をついて気持ちよく迎えてくれますよ、自分のうちに帰って女房が迎えるように。ところが女中さんにサービス悪くしておれば、またたくさんお客が来て今夜忙しいなといやな顔する。だからぼくらもそういう旅館に行ったら、次はもう絶対に行かぬですよ。友だちにも言いますよね、あそこの町に行っても泊まるなと。そういうところは、夜、めしでも食いながら聞いてみると、これはひどいものです。休暇は全然くれないし、言うならば、かってに働かしているようなもので、いまだんだん人がいなくなったものだから、やはりだいぶ変ってはきているようですけれども、やはりそういうような経営主のものの考え方がすぐ第一線におる従業員に響くわけです。だから私はやっぱりほんとう運転手さんが気持ちよく働けるような形になっていくならば、上げていいと思うんです。上げて、ほんとうに全体のタクシー業界をよくするならばやったらどうですか。値上げをおそれてもいかぬと思うんです。だからほんとうにもしそういうふうになるなら、上げることを理解しますよ。ところが、それが一体Aという会社はもうけているのかもうけていないのか、皆さんのほうでは収支計算書を出さして、そうしてどうも経営が苦しくなってきた、したがって二十何%上げなければしようがないという申請がある。そうかそうかと言って、いろいろ調べるでしょうけれども、判こ押すわけで、それがはたして、その二十何%上げたもので業界の体質がよくなって、それがサービスの向上につながって乗らしてもらうわれわれお客さんがいい気持ちになれるのかどうなのかという、そこまで追及してもらわなければ困る。中途はんぱなものを上げてみたって、依然として乗車拒否は残るし、お客さんには突っけんどんだ、これじゃ困るのですよ。私はもうちょっとそういう意味においてタクシー業界経営の全体というものを国民の前に明らかにして、そしてこの際こうしたら乗車拒否もなくなるし、うまくいくんです、現在のタクシー運転者の待遇というのはこういうふうに悪いんです、だから三百六十五をもっと走ってやろうというようなことにもなる。そうすると、もうこういう交通の中では、水揚げするのには無理しなければならぬ。ついセンターオーバーしているというようなことが出てくるわけですね。そこのところをもうちょっと総点検をし、国民の前に明らかにすることによって、私は国民に理解してもらうために、まず第一段階としてそういうところから突破口を開かなければいかぬと思うのですよ。だから理解、納得できる運賃改定だったら国民は私は理解すると思うのですよ。ところが、いつでも上げたらよくなると言って、上げてみてもちっともよくならぬでしょう。逆に乗車拒否がふえるから、何だばかにするなというようなことになる。だからそこのところの根本が一本抜けているように思う。そこらにもう少しメスを入れてやってもらえば多少なり前進すると思います、私は。全体をやることができないから、せめてそこからどうですか、できませんか。
  79. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 鈴木さんのおっしゃることもごもっともです。それは方針として賛成ですから、乗車拒否がなくなるように、それに運転手もサービスするように、管理者も頭を低くして、そうして愛されるタクシー業者、愛される運転者、こういうことになってもらいたいことをわれわれも希望するし、その方針で指導したいと思います。   〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕  そこで、私は先ほどもちょっと申したのですが、タクシーによく乗るんです。大体私は名前を気をつけないで乗りますけれども、私が乗っているのは大体中以上のタクシー会社らしいのですが、そこで運転手さんにいろいろ話を聞くんです。先ほど言ったように、タクシー業というものはもうかるかどうかと聞いたら、運転手はもうかりませんよと言う。ごまかしているんじゃないかと聞いたら、業者のほうもごまかせません。われわれが一人一人ちゃんと持っていくんだから、ごまかせませんよ。ほかに収入はないんだから、ちゃんとこれだけ売り上げましたと言って持っていくんだから。悪い運転手がごまかすならできるかもしれぬが、ちゃんとした会社ではごまかしがきかないと。そうすると大体においてもうからぬ。もうからぬらしい。管理者といいますか、庶務課長とかなんとかというのがいますね。そういう人は給料は高いかと聞いたら、われわれとあまり違わない、同じくらいだと言っておりました。大体もうからぬ商売らしい、聞いてみますと、お気の毒ですが。鈴木さんのように理解ある方がいてやはり従業員の待遇改善のためにはある程度の値上げもやむを得ないと。私もこの間値上げしたばかりで、また上げるとは言いませんけれども、そんなことを言ったらまたしかられますから。ほんとうに近代的な考え方で、タクシーの今後はどうなんだ。地下鉄と同じように走らせて、料金もそれと近いような料金がタクシーの運命だ、これは少し考えなくちゃいかぬと思うのです。そういう意味できょうの問題ではありませんが、しかしこのタクシー業務適正化臨時措置法が通って、これが実施できれば、私は相当改善ができる。そこからいま鈴木さんのおっしゃったような話は、この措置法案によって大部分解決できると思う、その問題は。だがそれだけでは将来解決できない問題抜本的な問題が私はあるのじゃないかということを指摘しただけで、この法案はやはりわれわれが前進するためには第一の方針である。ことに研修問題とか登録制の問題とか、あるいはドライバーに対して休養施設を行なうとかということは第一の方針ですから、満場一致で通してもらいたいという気持ちを強く持っているわけです。
  80. 鈴木強

    鈴木強君 近代化センターをつくっていま私が提起したようなことが一歩なり二歩なり前進するというふうに大臣は御判断をされるでしょう、しかし私たちはなかなかむずかしいと思うから、けさもセンターの理事をお呼びして、あなた方のお心がまえはどうなんだということも伺ったわけですよ。だから政府のほうがそう思っても、業界がその気にならなければ、これはすれ違いですね、したがってむしろ経営というのは、経営者が第一義的に、いかに立て直していくかということを考えるべきであるので、私はその点を須賀さんにもお願いしたわけです。そうしてなおかつ国家的な援助を得てやらなければならぬというものはやる、しかし、それがただ単にひもつきになって業界をコントロールするということになっちゃ困る。そこは介入をなくして、ほんとうタクシー業界全体の健全な経営というものを考えていけばいいと思うのですけれども、そういうときに皆さんが任意団体としてつくった財団法人が、何か一本抜けているのですよ。だからはたしてそういう中で法律に基づく近代化センターというものがつくられても、その効力がうまく発揮できるかどうかということについて私は疑問を持つわけですよ。大臣がおっしゃるようにそんなスムーズにいけるかどうかということを疑問を持っているから、私は根本の問題を聞いているわけです。だから厚生福利施設をよくするとか、労働時間をよくするとか、いろいろな面においてプラスの面もありますけれども、また一面、憲法に保障されたタクシー運転手さんの基本的な職業を奪うような、たとえば何日間にしてもそういうふうな免許停止の処分もあるわけですから、そこらが根本的に、そういう停止をしなくても済むような、運転手さんの立場から言えば、自由かってな、さっきも言ったような乗車拒否だって、根本にさかのぼれば待遇の問題にからんでくるわけです。だから待遇をよくして、乗車拒否をするというようなことはこれまたいまのような経営の中では、そうしなければ水揚げがうまくいかぬということからして、やむを得ずやるというような雰囲気に理解されるようなこともあるわけです。だからそういう要素を潜在しておいて、ただ乗車拒否だけけしからぬということは、これはたいへん間違っていると思うのですよ。だからそういう意味においては、やはり根本の体質を直して、なおかつやるというのはこれは運転手が悪いわけですから、これは断固阻止するということはわかるけれども、そこまで基本が整理されていないんですよ。だからわれわれはそういう点についても非常に基本的権利の問題ということからしても、問題があるということを指摘しているわけです。ですからしてせっかくつくるのであれば、いいものにしたい、さっきから言っているように。だからしてみんなで英知を集めて危険なところを是正をし、いいところはもっとよくして所期の目的を達成しよう、そういうお互いの気持ちでいま質疑をかわしているわけです。  いま理事会のほうの打ち合わせによりますと、あと一時間ぐらいで自賠法の決着をつけたいということですから、私は一たんタクシー関係法律案に対する質疑は中断をしておいて、自賠法のほうにこれから少し質問を変えたいと思います。まだまだタクシー業務適正化臨時措置法案については私はたくさんの質疑を持っておりますが。総理府の方たいへんお待たせしてすみません。  今回の自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を承りました。制度発足以来十四年たっている。したがって社会情勢の変化もあるし、その際再検討する必要があるということで法律の内容を変えようということですけれども、総理府の方にちょっと伺いたいのは、私はこの法律のねらいというのは、いかにして事故を防ぐか、その対策を総合的にどう樹立するか、こういうことが国家的な見地において行なわれ、そうして安全対策を考えて、なおかつやむを得ず不可抗力的に起きてくる事故に対して、その責任をどういうふうに賠償していくかという考え方に立たなければいかぬと思う。ですからして、そのためにはただ単にこの法律だけを審議しても困るわけです。ですからそういう意味においてまず基本的な、政府として総合的な交通政策、安全政策というものをどういうふうにしていかれようとするのか。五年後に人口は幾らになり車両は幾らにふえる、それで道路交通はどういうふうに整備されてくる、したがってこの法律が改正された場合にどれだけの効力があるか、こういう相互関連の中でものを考えないといけないと思うんです。だからしてまず総理府のほうから今後考えておる交通安全対策について、そういうものをひとつ説明してもらいたいと思う。
  81. 平川幸藏

    政府委員平川幸藏君) それでは事故対策につきまして御説明申し上げます。まず、今後の問題に先立ちまして、従来とりました政策を簡単に御説明申し上げたいと思います。  実は、交通事故の激増に対処するために、政府昭和三十年に交通事故対策本部というものを内閣に設置いたしたわけであります。ところが、さらに交通事故が激増する趨勢にございますので、強力な組織を持つということで、昭和三十五年に総理府に総務長官を長といたしまする交通対策本部を設けたわけです。自来、この交通対策本部におきまして総合調整をやってきてまいっております。御承知のように先生御指摘のとおり交通担当の省は十数省にのぼりまして、それぞれ懸命に対処しておるわけでありますが、一番大事な点は施策の総合性ということでありまして、それをまた強力に推進するということであると考えます。もともと総理府自体にも総合調整権はございますけれども、いま申し上げましたように交通対策本部という特に新しい組織をつくりまして、昭和四十年に交通事故防止に対する緊急対策というものをつくったわけであります。これが現在までの交通安全対策に対する基本的な一つの柱になっております。  その柱を簡単に申し上げますと、まず第一点は交通安全施設の整備拡充ということでございます。第二点は交通安全思想の普及徹底ということでございます。それから交通秩序の確立ということでございます。第四点といたしまして被害者の救済対策ということを掲げて、現在まで十数次にわたりましてそのつど問題を取り上げまして、交通対策本部決定をいたしまして下部機関に流してその実施を推進しているということでございますが、御指摘のとおり実はこれらの施策は法律に基づく施策ではございません。  そこで政府といたしましては、昨年の例を見てわかりますように、死者においては一四%の増、負傷者におきましては一六%の増という非常に大きな増加率を示しておりますので、これは何とかして少なくとも横ばい、あるいは減らすという目標を掲げまして、実は現在交通対策基本法という法律を提案しております。これは現在参議院で審議されておりますが、そのねらいといたしましては、従来やっております施策は、御承知のように法律的に権限を与えられておりませんので、それに対する施策につきましても、たとえば地方公共団体に対する勧告権というようなものも今度の法律では盛り込んでおりますし、それから都道府県の対策会議から中央に対する報告義務も課しております。そういう非常に強力な組織をつくって、国においては横の施策の統一性を保ち、それから国と都道府県、市町村の縦の施策の総合性、緊密性を持たせる、こういうことで国の施策を強力に推進していきたいということでございます。  その具体的な内容は、交通安全対策基本法の第二十二条に掲げております基本計画というものに尽きると思いますが、その基本計画で考えておりますことは、将来の交通事故の予測、これをまずしたいというふうに考えております。この予測を、単に現在の傾向を引き伸ばすということではなくて、合理的な、科学的な、実証されたデータをもとにいたしまして、ひとつ的確な予測をしたい、こういうことでまず予測をいたします。その予測に対しまして可及限にできるだけ少ない事故に押えるという目標を設定いたします。その設定のためには施策が必要になりますが、先ほど申し上げましたように、交通安全施設を整備拡充するとか、あるいは交通規制の合理化を行なうというようなことをやっていきたい、こういうことを考えておる。それから第三点といたしましては、国と地方公共団体との施策の統一性を保つために、国におきまして地方公共団体が順守すべき基準というものをつくりまして、これによりまして都道府県の安全計画をつくっていく、こういうようなきめこまかな内容を持った法案でございます。  これが成立しました暁におきましては、この基本計画に、ただいま申し上げました四つの国の施策を盛り込んでいきたい、それを強力に推進していく、こういう考えでおります。
  82. 鈴木強

    鈴木強君 これは問題が大きいですから、短時間の間にわれわれが理解するような十分なお答えをいただけないと思うのですけれども、特に従来からやってまいりましたこの緊急対策、交通安全対策何カ年計画といいましたですか、三カ年計画ですか、それが終わって今度は第二次の三カ年計画に入るわけですね。そういう場合に、第一点にあげられた施設の整備拡充の問題ですけれども、たとえば歩道橋というのがありますね。歩道橋は当時は非常に喜ばれたのですけれども、最近は何か歩道橋があることがどうとかいって、裁判ざたになるような問題も起きている。それからもう一つ、要するに歩道、特に街路地における歩道ですね、これがないわけです。ガードレールなんかを少しばかりやってもらっておるのだけれども、あれはあぶなくてとても歩行者は難儀しておるわけですね。だからそういうふうな施設の整備拡充とおっしゃるけれども、従来の経験に徴して道路整備そのものも根本的に変えなければならぬと思うのですけれども、何かその歩道橋だとか歩道とかいうことでなくて、たとえばあるところは地下へ地下道を掘っていくとか、何かそういうふうな新しいアイデアというのはどっかで研究しているのですか。
  83. 平川幸藏

    政府委員平川幸藏君) 先生の御指摘がありましたように、実は交通安全施設緊急整備三カ年計画の第二次の計画の現在まん中の年に当たります。これは第二次は四十四年から四十六年にわたります総額千六百五十億で、これは地方公共団体の単独分も含めまして千六百五十億で実施しております。  御指摘のありましたように、たとえば歩道橋あるいはガードレール、そういった個々の施設がもちろん大事でございますけれども、問題は、交通安全施設全体がバランスのとれた形で設置されることが必要だと思うわけです。そういう意味におきまして、実はわれわれといたしましては、今後の政策立案の過程におきまして、建設省と警察庁と有機的な話し合い、あるいは計画の総合性を保っていきたい、このように考えておるのであります。御指摘になりましたたとえばガードレール、歩道橋につきましても、たとえば利用するについて非常に不便であるというような声も出ております。こういった点につきましても、建設省におきましては実はエスカレーターをつけるというようなことも検討しております。事実、自転車が通り得るような歩道橋も全国に二、三カ所あるようでございます。今後この点につきましては、経費の関係はございますけれども、できるだけ利用しやすいような歩道橋をつくっていきたい、こういうことも研究しております。これは建設省の土木研究所で研究しております。それからガードレール等につきましても、あるいは信号機等につきましても、はたしてどの程度効果があるのか、効果測定が非常に必要だと思います。これは実は昭和四十二年に建設省と警察庁がそれぞれの立場で効果測定をやっておるわけでありますが、実は総合的な効果測定ができないわけであります。先ほど申し上げました基本計画をつくる場合におきましても、一番大事なことは政策が科学的に実証されたものでなければならないということだと思いまして、実は総理府におきましては四十五年度予算におきまして七百五十億の予算で交通事故と交通安全施設の相関関係を、どういう関係にあるかということを、信号機、ガードレール、それから線の引き方、それからたとえば道路標識、それから照明等も含めまして、それから道幅——幅員、ですね、そういったあらゆる、あらゆると申し上げますとちょっと語弊がありますが、できる限りの範囲で交通安全施設と交通事故との関係が科学的にどういうことになっているのかということを調査したいというように実は考えておるわけでございます。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 これは大いにまだまだ研究すれば新しいアイデアが出てくると思いますから、マンネリ化しないように、やはり新しい道路行政というものもどんどん進んでいくでしょうから、道路のつくり方もひとつ研究していただくことにして、特に既設の道路ですね、その後交通がどんどんふくそうして、いまでは歩道も半分削って、そうして従来一車線とちょっとくらいのところを二車線にするとか、そうすると、今度は歩道が狭っちゃうわけです。歩く人から見ると、今度は非常にけしからぬということになる。しかし、一面、非常に狭い道路を活用しようとすれば、片道二車線にしようとしてそういうことになっていくんですけれども、しかしやはりそれをやる場合に、どっちの方向を向いていくかということで、要するに自動車の通行だけを考えられて歩道を考えると、これは不満があるわけだから、そこでその通る歩行者の立場と、それから自動車を持っている人たちの立場というのは、やはりどこでマッチするかということを考えてやらぬと、各地で問題が出てくる。それでわれわれが一番困るのは街路ですね、要するに市街地でないところはある程度またいいと思うのですけれども、市街地なんかの場合は、これはたいへん困るのですよ、歩道がないと。いま第三次の二年目の半分までいって、全国で市街地で歩道のないところというのはどのくらい残っているのか、そうしてそれを何カ年計画くらいで歩道をつくろうとするのか、そういう計画がわかっておったら示してもらいたい。
  85. 平川幸藏

    政府委員平川幸藏君) 第二次三カ年計画におきまする歩道の設置率の状況でございますが、第一次の計画におきまして実はこの法律では指定区間という区間がございまして、都道府県と国が相談いたしまして、この指定した区間につきましての交通安全施設をやっていく、こういうことになっているわけです。この指定区間に対する歩道率というものを申し上げますと、第一次の昭和四十三年までにその指定区間に対しまして二九%でき上がております。第二次の四十六年度までで五四%の歩道率になっております。先生御指摘のように、すべて歩道がない道路なんというのは考えられない、おかしいじゃないかという御意見ごもっともだと思います。われわれといたしましては、今後この少なくとも指定区間というのは交通事故多発地点でございますから、こういった地点に対しましては一〇〇%歩道をつけたいと、こう考えてはおりますが、実はこの指定区間というのは裏通りとか細街路もかなり入っておりまして、実際上物理的には拡幅しない限りはできないというところもございます。したがいまして、建設省の考え方といたしましては、大体最終目標として八〇%まではこの指定区間につきましては歩道をつけたい、ないしはガードレールをつけたい、こういう方向で目下検討しておるわけでございます。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、ここに交通安全対策委員長もいるのですけれども、交通安全基本法という法律がいま提案されておりますけれども、それとの関連で、第三次の交通安全長期計画というふうなものは、法律の制定にかかわらずおやりになるわけですね。そうしていま残っている、四十六年までに五四%ですから、まだ四六%残っているわけでしょう。しかし、少なくとも歩道と車道とに区別をしないなんということはおかしいのでね、これはどこの国に行ったって、少なくとも最低限歩道だけは確保してもらいたい。そうしないと事故も少なくなりませんよ。ああいう歩道がないための事故というのはうんと多いわけですからね。これはぜひやってもらいたいと思うのだが、第三次計画ないしは第四次ですね、というようなものを逐次重ねて一〇〇%やるということは、もう一つ基本方針じゃないですか。
  87. 平川幸藏

    政府委員平川幸藏君) 御指摘のとおりで、実は交通安全施設整備三カ年計画と道路整備第六次五カ年計画と関連いたすわけでございますが、第六次五カ年計画は御承知のとおり十兆三千五百億円で内定いたしております。ところが、この内容につきましては、まだこまかい内容まできまっておりません。したがいまして、この十兆三千五百億の道路計画の内容とかみ合うわけでございますから、この点につきましては今後建設省におきましても、そういう御趣旨を体しながら、できるかけ歩道のない道路はないように努力をいたしたい、こういう意向でございます。
  88. 鈴木強

    鈴木強君 その点は、まあぜひひとつ促進方をお願いいたします。  それからもう一つ、室長さんのおっしゃったように、この施設の拡充をやる場合ですね、国と地方公共団体がタイアップしてやろうということですね。たとえば歩道橋をつくった場合ですね、その費用については国が何%か補助してますわね。そういうものを最近どうも減らそうとかね、要するに地方自治体の財政が多少よくなったというふうなことを理由にして減らそうというふうな動きがあるように私は聞いているのでけれどもね。それじゃ固るのです。困るのですね。だからして、やはり基本的に国がこういう施策を、どうですかな、できれば全額出してやればいいんだけれども、そうもいかぬでしょうから、それぞれの地方自治体も御協力をされて、少なくとも従来補助しておった程度の補助はやって、減らしちゃ困ると思うのですがね。その地方自治体と国との施設に対する補助金の出し方ですね、こういうことについてももう少し研究をする必要はあるのじゃないかと思うのです。ただし、私は減らすために研究せいと言うわけじゃないですよ。もう少しふやしていって、できるだけスピードアップしてやる。あまり地方自治体に大きな負担をかけないようなそういうくふうをしていただきたいと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
  89. 平川幸藏

    政府委員平川幸藏君) 現在の法律の補助率の内容を簡単に御説明申し上げますと、一般関係道路につきましては、補助率が二分の一になっておりますが、特に通学路につきましては歩道橋、ガードレール等につきましては三分の二の補助、高率補助をしております。で、この補助率を、私、現在の段階ではこれを減らすとかそういうことについては一応関知しておりませんし、聞いておりません。そういうことで御了承願いたいと思います。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 それで、その検討、もう少しふやす検討はできないのですか。
  91. 平川幸藏

    政府委員平川幸藏君) この点につきましては、実は建設省の権限にも属しますので、私どもでよく御意見の点は連絡してさらに検討いたしたい、こういうふうに思います。
  92. 鈴木強

    鈴木強君 これはね、交通安全対策の面ですからね。おたくのほうで調整権持っているわけですからね。そういう意味では、私は、それは建設省がおやりになることかもしれぬけれども、基本の方針のきめ方については、おたくがイニシアをとっていいと思います。総合調整権持っていますからね。そういう意味においてひとつ十分御配慮いただきたいと思います。  まあいろいろまだありますけれども、時間がもうきていますから、この基本的なことについてはこの辺にとどめて、次に、自賠法の内容について若干聞いておきたいと思います。  まあ今度の法律改正の中身は、ここにもお述べになっておりますように、改正点は五つになっておりますが、まず、今度改正しようとするこの前段の問題として、自賠保険によってですね、いま全国で実際にどの程度人たちがこの保険に入っておって、それでその保険の経営の状態は一体どういうふうになっておるのか。なかなか治療費の支払いその他について難儀をしているということですけれども、経営の実態はどういうふうになっておるのか、収支の状況ですね、保険金とそれから療治費を支払う場合の収支状況はどうなっているか、まずそれを説明していただきたい。
  93. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 自賠の加入は、まず普通の自動車——軽自動車以外の自動車でございますが……
  94. 鈴木強

    鈴木強君 できたら車種別に。
  95. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 普通自動車と軽自動車と原付自転車と分けまして、四十三年度で普通自動車につきましては九百二十九万九千でございます。これは加入すべき対象車両数の九九・九%で、ほとんど一〇〇%近いものが加入をいたしております。それから次は軽自動車でございますが、軽自動車は三百六十一万四千台でございまして八〇%の加入でございます。それから原動機付自転車でございますが、これは五百十三万三千両でございまして六四・五%でございます。  それから保険の収支でございますが、これは運輸省のほうでやっておりますのは再保険でございまして、元請は保険会社が元請をしております、それの再保険をしております。再保険の特別会計におきますところの収支は、四十四年度におきまして九百九十三億円の収入に対しまして一千五億の支出でございます。九八・八%という率でございます。保険会社の関係につきましては保険部長が来ておられますので、大蔵省のほうからお話したほうがいいかと思います。
  96. 渡部信

    説明員(渡部信君) ちょっと申し上げます。四十三年度で申し上げますというと、保険料収入は千二百二十三億円、これに対して四十三年度中に契約を締結した車が事故を起こした場合に支払うべき保険金額は二千百七十七億円と推定され、差し引き九百五十四億円の赤字、こうなるわけでございます。
  97. 鈴木強

    鈴木強君 大蔵省のほうは四十三年度をとっておられるのですが、四十四年度わかりませんか。
  98. 渡部信

    説明員(渡部信君) 四十四年度はまだ推定でございまして、確定したところではございませんが、保険料収入は二千二十六億円、これに対して支払うべき保険金額は三千三百三十二億円で、差し引き千三百六億円の赤字となる見込みでございます。
  99. 鈴木強

    鈴木強君 その点わかりました。それで昨年十一月に最高保険金額を五百万円に引き上げたわけですね。保険料率も平均して二倍程度に引き上げたわけでしょう。その保険料率の引き上げによって換算した場合には、どうなりますか、これは。
  100. 渡部信

    説明員(渡部信君) お答え申し上げます。  ただいまお答え申し上げました四十四年度というのは保険料改定後の見込みでございます。
  101. 鈴木強

    鈴木強君 保険料を改定して、なおかつ千三百六億円も元請の場合赤字になるというのは、これは今度政令で保険金額も改正できるわけですね。保険料率も保険審議会の告示によって——大蔵告示でやれるわけですから、われわれはその点は法制的にここでタッチできないわけですね。だけれど、それじゃ、あれじゃないですか、この法律を改正してやろうとしてみたってあまり意味ないじゃないですか。こんなに赤字が出てしまって、結局そこをまたいじらなければならないわけじゃないですか。
  102. 渡部信

    説明員(渡部信君) お答え申し上げます。  先生御承知のことと思いますが、昨年自賠責保険審議会におきまして料率改定というものが論議された場合に、私どもは当初、過去の累積赤字、すなわち四十三年度までの累積赤字が約千七百億円をこえておりました。それからさらに、いわゆる契約保険料率が改定になるというと、いわゆる昨年の十一月一日現在で、なお既往の契約が有効であるという車がございますので、それらの契約分につきましては、その十一月一日時点を境として新しい保険料分を追加納付してもらうか、あるいはそれらのものは免除すべきかという、こういう話がございましたが、結局そういうようなものは免除する、こういうことになったわけでございます。  そこで、先ほど申し上げました千七百十三億円の赤字の償却を何年にするかということでございましたが、当初われわれは三年程度と、こう考えておって、その場合の引き上げ幅が約二・七二倍というようなことを予想しておったんですが、諸般の事情によりまして、それがいわゆる二倍程度に押えられた。そうなるというと、いわゆる過去の累積の償却というようなものを、これは十年間程度にせざるを得ないとか、先ほど申し上げました十一月一日現在で既往の契約がまだ有効であるということに対する支払いをしなければならぬというようなことで、その辺の事由がからみ合いまして、保険料を改定してもなおかつ三千億円にのぼる——四十四年度だけでは千三百億円にのぼる赤字になる、こういうような結果に相なった次第でございます。
  103. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、実際に支払わなければならない金の中で千三百億からの赤字があるわけでしょう。したがってそれは資金の運営はどういうふうにしておるわけですか。何か借り入れ金が何かをやっておるんですか。それは非常な根本的な解決ではないわけですね。
  104. 渡部信

    説明員(渡部信君) お答え申し上げます。  ただいま申し上げました赤字が出るということは、いわゆる契約年度ベースで申し上げますと、四十四年度中に保険契約を締結した車両が四十四年度中に事故を起こした場合に、その事故に対していわゆる保険金の限度額以内で払うべき保険金額を申し上げたわけでございます。ところがその払うべき保険金額というものは、四十四年度中に全部支出されるわけではなくして、過去の統計によりますと、これが五年程度にまたがっております。したがって四十四年度にいわゆる事故を起こしたものは約四十七、八年度までまたがる、このような結果に相なるわけでございまして、先ほど申し上げた千三百億円にのぼる赤字というのは、四十四年度にそのまま実現されるわけのものではございません。これをいわゆる普通の——先生のいま御質問にあったところの四十四年度中はしからば一体どのくらいの金を払っておって、どのくらいの金が不足するかということでございますが、そういう面の考え方をわれわれは現金ベースと申しております。契約ベースに対して現金ベースと申しております。この現金ベースで考えますというと、いわゆる四十四年度の収入は二千二十六億円、これは変わっておりません。これに対する支払い保険金というものは二千二十億円で差し引き四億円程度余るわけでございます。したがって現金的には四十四年度中には不足を来たしません。また、さらにそのほかに過去からの現金ベースで累積残というものがございますので、四十四年度中には全体としても赤字にならぬ、何がしかの余裕がある、こういう勘定になっております。
  105. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、この千三百億円というのはまあ五年間で全部支払うということになるわけだから、年平均すると二百六十億ぐらいですよね、五年間にしてみて。この二百六十億というものは、いまお話があったように、現金ベースの場合に二千二十六億の収入に対して二千二十数億ですか、この単年度にしてみると、平均二百六十億というこの分もこの二千何ぼの中に入っておるわけですか。この二千二十六億に対して三千三百三十二億ということからいうと純粋に赤字になるのが千三百六億と私は思うのですよね。そうするとそれを五年間でかりに払うとすれば、単年度二百六十億というものは赤字になるのじゃないか、こう思うのです。ですから、それが現金の支出上支障がなくやれるとおっしゃるならば、それはまあ非常にけっこうなことなんだけれども、それはいまお話しになった説明を聞いた限りにおいては、私はそう思うのですけれどもね。
  106. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) これは技術的なことになりますので、詳細になりますから省略させていただきたいと思うのですが、先ほど申し上げましたいわゆる四十四年度の契約年度ベースでは千三百億にのぼる赤字になると、こう申し上げましたわけですが、四十四年度中に起こった事故の支払いというものは全体三千三百三十二億円のうちの、過去の統計によりますと、七、八%程度になってきます。大部分のものが次年度、三年度に多く出ます。四年度、五年度になりますとそれがしりつぼみになってくる、こういう状況でございます。
  107. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。そうしますとパーセンテージで、従来の平均パーセンテージからすると、一年目は何%、二年目は何%、三年目は何%、それは統計わかるでしょう、ちょっと調べてください。
  108. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) いまここに持ってきておりませんので、後刻、先生のほうへ御連絡申し上げたいと思います。
  109. 鈴木強

    鈴木強君 そうしてもらえばよく私たちもわかるのです。まあ心配するものですからね。赤字の運用に対して、何か借り入れでもしないとできないのじゃないかという心配があったものですから伺ったのです。  それで、運輸省のほうのこの特別会計九百九十三億ですね、それから支出千五億というこの中身ですけれども、たとえばひき逃げをされたような場合ですね、ひき逃げをだれがひいたのだかわからないというような事故が発生した場合、この保障事業運輸省がおやりになっているのだが、そのひき逃げのための保険支払いというのはどのくらいになっていますか、この四十四年度です。
  110. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 運輸省が所掌いたしておりますのは特別会計で保険勘定と保障勘定と別になっております。いまお尋ねの分は保障勘定でございまして、四十三年度を見ますと、賦課金、これは保障事業は賦課金ということになっておるわけでございます。賦課金、それは収支が十九億八千二百九万四千円でございます。それに対しまして補償金として、これはひき逃げの場合あるいは無保険の場合におきまして払うわけでございますが、十三億八千四百九十三万七千円でございまして、差し引き五億九千七百十五万七千円のプラスでございます。
  111. 鈴木強

    鈴木強君 この損害賠償の査定基準というものは現在あるわけですね。この保障事業の場合にですね。その査定基準というものの中に、不合理な点はあなた方あると思いませんか。あるとすれば、それを直す意思はないですか。
  112. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 一応は現在の査定基準でやっていまして、特に不合理な点はまあ意識しておりませんが、休業補償というふうなものにつきましては、むしろ査定基準以上に、法律に基づきまして政令等できまるというふうに、そういうふうにはっきりしたほうがよりよいものがあるわけでございまして、それで、その意味におきましてはこの査定基準以上に今回法律の中に休業補償を政令でもってきめるというふうな規定をつくっているわけでございます。そういう点は改善をしておるつもりでございます。なお、その他の点につきましては詳細な査定基準がございまして、それでやっているわけでございますが、査定基準の問題よりもあるいはもう一つ基本的な問題かと思いますけれども、医療費の、治療費の問題がございまして、これは現在では自由診療慣行の形になっているわけでございます。したがいまして健康保険におけるがごとく、あるいは労災におけるがごとく、そういうふうな厳格な意味におきます一つの制度としての治療費のものがないわけでございまして、これは査定基準以前の最も重要な問題であるかと思います。その点から見ますと、まあ査定基準が必ずしも十分でありませんのでということは言えるかと思いますけれども、われわれといたしましては基本的な問題として改善をしなければならぬというふうに考えております。
  113. 鈴木強

    鈴木強君 おっしゃるように労災とか健保の場合の査定基準ははっきりしているわけだけれども、そのはっきりしているものとおたくのやっているこの保障事業の場合の損害賠償の査定基準というものは違っているわけですね、違っているわけだ。だからして、労災の場合、健保の場合と違うものですから、あとの処理の問題についてもやっぱり困る場合が出てくると思いますね。そこでいまお話しのような休業補償についても政令できめるらしいですけれども、一体この休業補償というものはその人の収入がそれぞれ違う、千差万別です。Aという人とBという人とCという人とそれぞれ収入が違うわけだから、そういうものを政令できめるという場合に、一体何を標準にしておきめになろうとしておるのですか。これはひとつはっきり聞かしておいてもらいたい。大体額はどういう基準によって幾らのものを考えておるかですね。
  114. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 休業補償をどのくらいにしたらいいだろうかということにつきましては、先般の保険審議会の答申におきましては一日当たり二千円としたほうが適当であろうという御意見がございまして、今後政令を置きます場合におきましてはもちろんそれを参考といたすわけでございますけれども、考え方といたしましては勤労者の所得水準の現状というものを勘案してきめるということに相なるわけでございます。それで、たとえば昭和四十三年の十二カ月分について行ないましたところの傷害の、事故の査定を抽出調査した結果で見ますというと、まあこの二千円でならば、件数におきまして九四・二%、金額で七六・三%をカバーできるというふうにいわれております。それから四十三年の六月に労働省の調査の、賃金の構造基本統計というものがございますが、それによりますというと、全平均の収入は五万二千九百円でございます。一日当たり千七百六十円というふうになっておるわけであります。それで、この二千円では少ないのではないかという御議論もありますし、まあこのくらいが適当じゃないかという御議論もありますので、これから先さらに新しい統計参考にいたしまして政令段階におきましてきめたいというふうに考えております。この考え方は、非常に高額の所得を取る人があるわけでございますけれども、この保険制度は最低の補償をするという趣旨から五千円にするとかあるいは二千円にするとか千円にするとかいうことできめる、そのきめます基準は勤労者の所得水準の現状によりましてきめる、かように考えます。
  115. 鈴木強

    鈴木強君 これも少し合理的に考えていただかないと、これは法律事項でないですから私たちは特に注文つけておくわけですけれどもね、ほんとうはこの際幾らにするというあれをおっしゃらなければいかぬですよ、ここで、その所得水準が千差万別だからその千差万別のものを平均二千円なら二千円というものに、こういう根拠で、二千円になるか三千円になるか千五百円になるかというような、そういう中途はんぱな答弁じゃ困る。われわれはこの法律をつくるときには、政令というのはどうもちょっと逃げ手があるものですから、政令でやりますよとやられて、われわれはどういうものだと言っても、間に合っていません、検討中ですと言って法律は先に通っちゃう。これはおかしいので、やっぱり政令で休業補償というのは非常に大事なことですからね、ですから、ここで相談してくださいよ。一体幾らにするのですか。いま言った勤労者の平均所得水準というのだけれども、平均化してしまえば、二千円以上一日に収入のある人から見れば不満でしょうし、これより少ない収入の人はまあまあということになるでしょうし、一本にしたほうがいいのか、あるいは勤労者の所得水準ということを考えてやるとするならば、幾つかの断差をつけたほうが適当じゃないか、そういう点をもう少し明確にしておいてもらわぬと困るわけです。
  116. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) いま申し上げましたのは、二千円というものが保険審議会の答申で出ておりますので、われわれとしては少なくとも二千円を下がるということは考えておりません。その人の収入を知った場合に、二千円以下しか収入がないという場合には、これは収入以上に保険から、いただくというものではないのでございまして、二千円以上収入がある人について二千円で押える、こういう意味でございます。ですから、一日の収入が休業した場合に、その人の損害が千五百円だということになりますと、その人のもらえる金額は千五百円でございます。二千円以上の場合はそれ以上収入がある人を二千円で押えるかあるいは二千五百円で押えるかということでございます。一応考え方といたしましては、保険審議会の答申は二千円ということになっております。二千円の場合には先ほど申し上げましたようなカバー率になっておりますけれども、二千円では少し低いのじゃないかという御意見もございますので、それらの御意見を勘案すれば二千円よりも上回るのじゃないかという程度のゆとりは政令段階においてひとつとれるようにお許し願いたいというふうに思います。
  117. 鈴木強

    鈴木強君 少し明確になりまして、二千円以下の場合、それはわかりました。しかし二千円以上になった場合、二千円で押えることがどうかということになると、これはたいへん問題になると思います。ですから、三千円で押えておっても、これはいいわけですね。あとは三千円以下の場合は、千円の人は千円しかいかないわけだから。少なくとも補償するということであれば、できるだけ合理的に近づけてもらいたいと思うのですよ。これは全体の保険の掛け金にも関係がありますから、そう言ってみたって、われわれが一番いいというところまでいくとは思いませんけれども、できるだけ合理性を持ってこの補償は考えてほしいと思うのです。それからさっきお話の自賠の自由診療の場合ですね、これは査定基準の中に入院費とか交通費だとか治療費だとか休業補償とか、いろいろあるわけなんだけれども、自由診療である治療費ですね、この問題については確かに問題があるのですよ。労災とか健保のようなはっきりした規定をつくっておく必要はあるのじゃないですか。それはどういうふうにするつもりですか。
  118. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 保険審議会におきましてもその問題は非常に大きな問題になっております。われわれもこの問題は非常に重大な問題として考え、この法律をつくりましたときには、それらの問題はそれほどなかったわけでございますけれども、実際にやってみますと、現在傷害の事故が非常に多い。それから経費も治療費もかさんできているということでございまして、同じような傷害事故でも、お医者さんによりまして支払う治療費が違ったというような現実の現象が起きておるわけであります。したがいまして健康保険におけるような一つの基準ということを明確にしなければならない。このためには法律の改正等要するわけでございますけれども、この医療問題は御承知のように何分にも非常に根本的な問題も含んでおりますので、今後関係省でもって打ち合わせすると同時に、関係の医師会等とも折衝いたしまして、なるべく早い時期におきまして合理的な治療体系をこの自賠法独自のものをつくり上げたいということで、目下検討しておる最中でございます。
  119. 鈴木強

    鈴木強君 これは検討中だということじゃ困るのです。これは救急病院でえらい商売繁盛するという話も聞いておるわけだけれども、それはもう少し実態を調べてみなければわかりませんけれども、これが自由保険のような場合ですといいのですよ。しかしこれは自賠法という法律に基づいてやられておることですから、法律制定と治療の趣旨というものは、やはり労災、健保と同じですよ。これはしたがって自賠のほうだけ治療費が自由診療で、お医者さんのさじかげんでやられるというようなことについては、これはやはり私は直さなければならぬと思うのですよ。ただ、相手のあることですし、特に緊急の場合ですから、つい弱味が確かにあるわけだから、それほど救急病院を最近はある地域に幾つかというふうに地域を指定してあるものだから、どこへ当たっても医者がいるということでなくて、そういう弱味もあるかもしれないけれども、これはやはりお医者さんとの関係もあるからむずかしいとは思いますけれども、早く健保と労災と歩調を合わせて基準というものをつくってもらいたいと思うのですよ。これは局長は事務当局として苦労されておると思うのだ。しかしこれは政治的な問題になると思うのですがね。ですから大臣のほうで、もう少し、これは今回法律改正をやるべきですよ。おかしいです。よ、これだけ残したということは。私が一番納得できないのはこれですね。なぜこれできなかったのでしょうかね。もう少しこういうふうにやって、こういうふうにやったけれどもできなかったという話を聞かしてもらいたい。
  120. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) これは、われわれといたしましてもいろいろ厚生省等と相談しまして折衝しておるわけでございますが、健保とやはり若干性格を異にしまするのは、自動車事故は救急の場合のみでございます。同じ件数というわけにもいきませんので、そういう問題がございますから、どのような体系にしたらよろしいかということにつきましては、医学的にも相当検討すべき余地もございますので、それらの検討は専門家にもお願いをすることといたしまして、とりあえずの措置としましては、保険会社側も医療の内容等がしろうとのためにはっきりしない、どのような注射を打ってどうかというふうなこともはっきりしませんので、医療機関の協力を得まして、保険会社側にも医療に関する一つの機関をつくるといういま準備を進めております。それからわれわれのほうも、治療費の明細書をつけてもらうようにしようということで、被害者のほうが支払う場合におきまして、内容を書いた明細書をもらってこいというふうにいたしたいと思っております。それによりまして、保険会社のほうでも内容を見まして、疑問点等があれば問い合わすというふうな措置をしたいと思っておりますけれども、基本的には独特の自賠責保険の治療の体系というものを、健康保険あるいは労災保険等を参考にいたしまして早く確立するようにいたしたいと思っております。
  121. 鈴木強

    鈴木強君 法律が制定されたのは昭和三十年七月でしょう。したがって今日まで十五年経過しておるわけです。検討するのもくろうとのことであって、そういう矛盾をこの間わかっておりながら直さなかったというのはどういうことですか。いまここに新しい時代に即応する自賠責法律を改正していこうというそれはけっこうですよ。われわれも反対するものではない、賛成なんだが、そういう一番国民が疑問に思っておる点を明確に解明してやるというのがあなた方の責任でしょう。それは労災と健保と違うなんとおっしゃるが、医は仁術だ、緊急のそういう措置をやることこそ医は仁術の基本じゃないですか。そんなことを言っているから一つも前進しないのです。もう少し国民が納得できるように、むずかしい、むずかしいだけでなく、具体的にどういう案をつくって、どういうふうに医師会等とも折衝したり、医師会は聞かなかったら聞かなかったと、それは国民の前に明らかにすればわかると思います。抽象的なことじゃ、あなただめですよ。もう少し納得できる答弁をしてもらいたい。
  122. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) この制度をつくりました場合におきましては、自賠法独特の制度をつくらなくても従来のお医者にかかっておけば間違いないだろうということで出発したわけでございます。その後におきまして、この自賠の財政自体がそれほど大きな問題もございませんで、保険金額を死亡と傷害に応じまして上げてきたわけでございます。ところが最近に至りまして非常に赤字財政になってきたという、その原因というものが傷害の場合におきます単価が上がってきた、あるいは請求自体の率が上がってきたということもございまして、その場合に医療の問題というものが相当大きなウエートを占めてまいりましたので、これの改善ということを強く認識をしてきたわけでございまして、実は当初から問題があったかと思いますけれども、特に強くこれが認識され指摘されたのは最近でございますので、それでわれわれといたしましても厚生省等とも折衝を始めたわけでございます。医師会に対しましても関係官も参りまして御相談を申し上げております。で、この内容につきましては、先ほども申し上げましたように、健康保険と、ずばりのものでも困るわけでございまして、この保険制度独特のものを研究をしなければならないということでございますので、これもなるべく早く関係各省また医師会等の協力を得ましてつくり上げたいという、われわれとしては大きな宿題として感じておる次第でございます。
  123. 鈴木強

    鈴木強君 あなたの答弁というのは、何というのかな、糊塗する答弁なんだな。自賠責のこの法律をつくる際に、どうのこうの言っているけれども、問題は赤字にならなければそんなことは検討しなくていいということになる、結論的に言えば。赤字になってきて困るからそろそろそこに手をつけようというのかな。だからものの考え方が違うんですよ、われわれとは。根本的に自賠の場合の自由診療ということは、ある程度の規制をして、ちゃんと基準をつくってやらなければならないんですよ。それを野放しにしておった。だからしていろいろな国民批判になるようなことが次から次に出てきて、何か、もうかるんだとかもうからないとか、そういうことまでいわれるようになってきたんですよ。だからものの考え方が違うんです。赤字になってきたからそろそろ考えようというのが局長考え方だ、赤字にならなかったらそのまま推移されたかもしれない。そういうことじゃないかぬと思う。必ずしも私は労災と健保と全く同じ基準をつくれとは言ってない。自賠責は自賠責として必要な自賠責らしいものをちゃんとつくってやらなければ権衡上だっておかしいじゃないですか。そういうことを言っているわけです。これは相手があることだから一がいにはいかぬだろうと言うんです。したがって、これこれこういうふうに具体的な案をつくってやりましたけれども、今回はだめでしたから次にはひとつ改正をしていただくとかという話になればわかるんだけれども、どうもものの考え方が違うんです。私は、赤字だから考えなければならぬということじゃなくて、基本的にそういう問題はちゃんと最初からやっておくべきだと思う。だからひとつ政治的に厚生大臣のほうとも御相談なすって、次の機会にはぜひ自賠責としての基準というものをひとつつくってほしいと思うんですね、いかがですか。
  124. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) この前、衆議院でしたが、公明党から、いろいろと実例をあげて質問がありまして、やはりこれはたいへんな問題だと思うのですね。ただ、どうも悪い癖というか、日の丸でありますというと、だれも文句を言わないのですね。金を出すほうだけ心配していますから、日の丸のほうは、けがをした人もよけいかかったところで自分が金を出すということじゃないのですから黙っている。医者のほうは、悪い医者は取り得だということになるわけですね。そこで監査をひとつやかましくやってくれ、こういうようなお話でした。もっともだと思うのです。なかなかこの対策は容易じゃありませんが、おっしゃるように厚生大臣とも十分に連絡をして、そうして、やはりこれは監査をある程度まで厳重にすることが一番いいのですが、ただ性質上、緊急を要するということでありますから、もし緊急を要さなければ、もう公設病院以外はいけないというやり方もありますが、緊急を要しますから、そうもいきませんし、監査を厳重にするとか、あるいは他に方法がないか。特別に自賠保険医なんというものをつくる必要はないかと、そういういろいろなことを考えて十分善処したいと考えております。
  125. 鈴木強

    鈴木強君 治療費の保険金支払いで不当なものがあるということも聞いておるわけです。衆議院のほうでもこの点については附帯決議の中で問題を提起しておるようですね。私お伺いしようとしたけれども、当面は、今回間に合わないわけですから、次期にはできるだけひとつ基準をつくっていただくことにして、当面は監視の目を光らして、不正の治療の支払い等がないように、これはひとつ目を光らすほかないと思うのですが、そういう配慮をしながらやっていただきたいと思うのです。  それから、公明党の同僚議員が質問があるようですから、まだたくさんありますけれども、私は簡単なことだけあと二つだけ伺ってバトンタッチします。  さっき大蔵省のほうからもあったのですけれども、自動車損害賠償責任保険審議会の答申の中にもあることですけれども、滞留資金というものですね。これは運用益を活用して出てくるものらしいのですけれども、これは現在幾らぐらいあるのでしょうか。
  126. 渡部信

    説明員(渡部信君) お答え申し上げます。  四十四年度の見込みでございますが、いわゆる現金ベースで申し上げますと、約千百七十億円程度になる見込みでございます。
  127. 鈴木強

    鈴木強君 これはいわゆる運用益ですね。だからしてこれに手をつけるということはできないでしょう。そうすると、ことし何ぼとか、まあ、ことしはとんとんだ。だからして保険料率もそんなに急いですぐ上げなくてもいいじゃないですか。
  128. 渡部信

    説明員(渡部信君) ただいま申し上げましたのは運用益ではなくして滞留資金でございます。滞留資金というものは、これまで三十年間に入った保険料収入から四十四年度中までに払うべき保険金を差っ引いた残りでございます。いわゆる運用益というものは、これらの、その入ってきた保険料収入をいわゆる貸し付けその他に運用した場合の利息は幾らかというのが運用益でございます。
  129. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、その運用益というもの幾らですか。
  130. 渡部信

    説明員(渡部信君) お答え申し上げます。  これは四十四年の十月三十一日現在で、いわゆる保険会社分が百七十七億円程度にのぼっております。
  131. 鈴木強

    鈴木強君 これはこの答申にもありますように、これらの運用益を活用することによって交通救急医療体制の整備充実に寄与すべきであるというのですけれども、この運用益百七十七億円というものについては、原則としては手をつけないで積み立てていくとか繰り越していくとか、そういうようなふうに運用されておるものでしょうか、それとも、その時々の状況によってこの金を適宜適切に使っていく——これはだれの認可を得てやるのかわかりませんけどね、その点をちょっと説明してください。
  132. 渡部信

    説明員(渡部信君) その点につきましては、先生御承知のことかと思いますが、昨年の自賠責審議会におきまして、これまでの運用益はどの程度で、それはいかなる目的に使われてきたのかということが審議されたわけでございます。それに対して私たち大蔵省のほうから、いわゆる保険会社が運用したところの運用益につきましては次のような状況になっておるという説明をいたしまして、御了解願ったわけでございます。これまでに保険会社がこの保険の事務を取り扱う場合においては、当然必要な事務費というものが必要となっているわけでございますが、その事務費の査定が従来非常に辛く、きつ目に査定しておったわけでございます。したがいまして、その査定をされておったところの事務費の範囲内では実際かかるべき事務費をまかなうことができなかったために、その差額をこの運用益をもって充ててよろしいということを大蔵省が認めてきておったわけでございます。そこで、その事情を審議会に御説明申し上げましたところ、それならば四十四年の十月三十一日以前の分は運用益は過去のいわゆる事務費の不足分と相殺してもよろしいと、こういう御了解を得たわけでございます。ちなみに、その場合の過去のいわゆる事務費の不足分は幾らかということを申し上げますというと、運用益が百七十七億円に対して事務費の不足分が約百八十五億円程度にのぼっておったわけでございます。ただ、その答申に書かれてある問題点は、今後です、いわゆる従来はそういうことでやっておったのであればしかたがありませんが、今後は運用益は運用益として別途経理しなさい、そうしてしかも、事務費は従来のようにきつ目に、少な目に計上、運用することなく、適正な事務費を組んで、それでまかなってもらう、それでいわゆる別途区分経理するところの運用益というものは、その答申に書いてありますように、今後いわゆる救急医療体制その他に活用してはどうかというようなことで意見が一致したので、このような答申に相なった次第でございます。
  133. 鈴木強

    鈴木強君 時間があったらこれはもう少し詰めて伺いたいんですけれども、別途の機会にあなたから伺いたいと思いますがね。ただ、従来会社が扱っておる事務の取り扱いについての事務費は非常に査定が辛かったと、そのために会社に言うならば必要以外の負担をかけておるから、この運用益というものを使う際に参酌しろと、こういうことでしょうね。そこで、いまこの事務を扱ってるのは、各会社が別にやってなくて、どこかまとまって何か協会をつくっているんでございましょうかね。そのシステムをちょっと教えてもらいたい。
  134. 渡部信

    説明員(渡部信君) 先生御承知のことと思いますが、この保険制度はいわゆるノーロス・ノープロフィット原則と申しまして、この保険からは利益をあげてはならぬと同時に損失も与えない、こういう仕組みになっております。したがって、損保会社二十社が自発的にこの保険の損益というものをプール計算いたしております。これは東亜という再保険会社がございますが、それが中心となってこの自賠責保険だけについていわゆる二十社のプール計算、こういうことをいたしております。
  135. 鈴木強

    鈴木強君 それではもう一つ、今度の改正で問題になるのはペーパードライバーですね。この人たちが自賠保険に強制的に入らなければならぬというふうになるのですか。そうなるとすれば、実際に免許証を持っておっても、自動車を持っていない人がいるわけですね。そういう人たち免許を取ったために自賠保険に入るということになると、たいへん私は不合理が生ずるようになると思うのですが、その辺はどうなるんですか、その点だけ聞いて終わります。
  136. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) この法律の中にはございません。この問題は、一応、一部では問題にしておるようでありますけれども、運輸省段階でもまだこの問題は具体的の検討を進めておりません。したがって近い将来ドライバー保険というものを考えるかということになると、まあ考えるとまではいっていない、ただ考えなければいけないことは、やはり免許証を持っている者は車をいつかの機会に動かすという人なんですね。最近はレンタカーも非常な勢いで伸びてきていますから、他人の、友だちの車を借りて、免許証を持っているということは車を動かすということなんです。そういう意味においては車を持っておる、持っていないということにはかかわりませんので、検討に値する問題であろうと思いますが、しかし、いま運輸省としてこれをすぐ取り上げるという考えではありません。
  137. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 議事進行の関係から、タクシー法案のほうはあとで質問する予定でございますので、自賠責の問題について二、三伺いたいと思います。いろいろ衆議院でも、あるいはいまも鈴木委員からお話がありましたので、ダブルところはさいてけっこうだと思います。  自賠責の審議会の答申ですね、これに対して今度の法改正にどのように取り入れられているか、あるいはまたこの答申に対して運輸省あるいは大蔵省としてどのように将来考えていくつもりか、これについてまず答弁願いたいと思います。
  138. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) まず第一点ですが、「治療費支払の適正化」でありまして、これにつきましては先ほど鈴木先生のお尋ねのときに申し上げたとおりでございまして、なるべくすみやかに制度化をしたいと思っております。  第二番目が「交通救急医療体制の整備充実」、運用益等の活用という点でございますが、この点は直接法律問題ではございません。従来から保障事業の運用益を救急病院のほうに補助金として出しております。さらに今後これらの点を充実していきたいと思っております。  第三は「休業補償費の限度額の設定」でありますが、これは今回の案で取り上げております。  第四点は「メリット・デメリット制度の導入」でございますが、たくさんの車を持っている者に対するフリート契約の場合につきましては、タクシー、バス等につきまして実施をするように、現在保険会社でもって損害率を調査中でありまして、これは直接法律問題ではございません。  それから次に、「一般の個別契約の場合のメリット・デメリット制度」でございますけれども、これは事故歴等を保険料に反映さすというような点でございますけれども、先ほどの免許証保険等とも関連いたしまして、今後検討をいたしたいと思っております。  「(3)自動復元の廃止」でございますが、自動復元の廃止につきましては、そのものずばりではございませんが、今回の法律案におきましては、死亡のときにおきます追加保険料の形をもってこの一部を実施いたしております。  それから五が「加害者負担制度の拡大」でございまして、それは「加害者の小額負担制度」、それから「酔っ払い、無免許運転の場合の加害者負担」、これらは保険からでなくして加害者が負担したらどうかということでございますけれども、加害者が負担できない場合におきましては保障車業等においてこれを行なう必要がございます、争うなりますと事務的にも煩瑣でございますし、現在の保障事業の債権の回収率が非常に低いというような問題もございますので、今後さらに検討をさせていただきたいと思っております。  それから六が「自家保障制度の廃止」、これは適用除外の問題と一緒にしまして、今回取り上げております。  それから七が「重複支払の廃止」、これらの点につきましては、共同不法行為の場合の重複支払いの廃止は取り上げておりませんが、一応重複契約の場合におきましては、これを一つの契約と同じように考えるということで取り上げております。  第八、「免許証保険の強制化」でございますが、これは、ただいま大臣からもお話があったとおりでございます。  それから九は、「滞留資金の運用益」の問題でございます。これは直接法律問題ではございませんけれども、大蔵省側におきましても、これの適正化ということにつきましては行政的にも指導をしていただくというふうに相なっている次第であります。
  139. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 こまかなことをお聞きしたいと思ったんですけれども、限られておりますので、特に治療費の支払いの問題について私はしぼってお伺いしたいと思うんです。特に四十三年、四十四年、いまも数字が示されたんですけれども、このような赤字の原因ですね、これについて御説明願いたいと思います。
  140. 渡部信

    説明員(渡部信君) 御承知のことと思いますが、赤字の原因としては大きく分けまして二つ考えられます。一つは、いわゆる事故率が上昇したということが第一点。第二点は、保険会計に請求するところの、いわゆる請求されてくるところの保険金支払い額が大きくなってきた、この二つでございます。
  141. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この事故率の増大等についても、これは当然車両もふえておるし、あるいは将来の見通し等についても、いろいろ私は考案されたんじゃないかと思うのですね。ただ、事故率がふえたからすぐに料金を値上げするんだと、こういうふうな、何か行政府としてあまりにも態度が弱いといいますかね、見通しが甘いというか、こういう自賠責の保険に対する責任というのは、私は非常に考え方が弱いじゃないかと思うのですね。こういうところがら私は一つの問題が出てきたんじゃないかと思うのです。あるいは保険金の支払いの問題についてももっと具体的に、ただこう改正します、あるいはこの答申等にもうたわれているし、あるいはこうやりますとか、いろいろ意見は言われますけれども、具体的に何か着手されないのですね。こういう点から、私は、ずるずる赤字になる、そうして多くの人たちに負担金を多くかける、こういう問題になってくるんじゃないかと思うのです。この問題に対してどう大蔵省は考えますか。
  142. 渡部信

    説明員(渡部信君) この前の前の前でございますが、保険料の改正というものが四十二年でしたね。四十二年に行なわれました。そのときの事故率の見方でございますが、四十二年当時は、ただいま資料持っていないので、はっきりした正確な記憶ではございませんけれども、間違いがあったら後ほど訂正さしていただきたいと思いますが、三十五、六年を頂点に、連年低下の傾向をたどっておりまして、いわゆる警察統計事故率というもの。ところが一方保険会計に請求してくるところの事故率というものは上昇しておったわけです。その理由は、まあ国民皆さんが、いわゆるこういう保険制度があるというようなことで、従来知らなかった人がこれを請求してくるというような事情もあったのだろうと思いますが、警察統計事故率というものは低下のカーブを描いております。ところが、保険会計の請求のカーブというものは上昇の傾向を描いておるということで、当時いろいろ検討した結果、その加重平均をとったようでございます、低下と上昇のですね。したがって、事故率は多少下がりぎみ、平均したところで下がりぎみに推定しておったようでございます。これが一つの原因。それから第二の、いわゆる保険金支払い、いわゆる治療費の問題でございますが、当時、四十三年度あたりには一件平均十五万円程度とこう推定をしておったものが、これが約二十万円程度にはね上がってきた、こういうようなことで、事故率の面、それからいわゆる保険金の面というようなことが重なっていわゆる保険会計の赤字になってきた、このように私どもは了解します。
  143. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 治療費がこれは具体的な問題で十五万から二十万に上がった、こういう問題についても、やはり支払いの問題ですね、査定の問題、こういうところにいろんな点があるんじゃないかと私は思うんです。現実に自賠責の保険料の支払いの査定を算定会でやっておりますね。算定会の査定制度について御説明を願いたいと思います。
  144. 渡部信

    説明員(渡部信君) 先生御承知のことだろうと思いますが、いわゆる算定会について、いままでのところ請求があった場合に、例を治療費にとってみますというと、治療費について自信を持ってこれを査定し得る能力を備えた専門家というものはおりませんでした。したがって、お医者さんからの診断書があり、治療費の請求というようなものがまいれば、それは保険金の限度額以内であれば、これを支払うというようなことで、いわゆる形式的に支払っておったというようなきらいが多分にあった、こういうことを私どもは認めざるを提ない状況にあります。
  145. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 いま問題について、具体的にこの算定会はどういうふうに対処しようとしておるか、あるいは事故件数も非常に多い。支払い数も非常に多い、こういう問題について、現在の算定会の体制で、そうしてこの保険がうまく運営できるのかどうか、どうお考えになっておりますか。
  146. 渡部信

    説明員(渡部信君) 御質問の点はまことに仰せのとおりでありまして、大蔵省といたしましても、また算定会といたしましても、従来のような態度ではよくないということで意見が一致したわけでございますが、さればといって、現在の法制下におきましては、いまのところ、お医者さんから治療費の請求書が出てきた場合、これを強制的に査定する、修正するというような権限はないわけでございます。しかしながら、ないからといって、そのままほっておくわけにはまいりませんので、ことしの一月からいわゆる算定会を中心として、任意の調査機構を設けようじゃないかということで、任意の調査室というものが発足したわけでございます。その調査室には、まだ外部に対して発表する段階には至っておりませんが、内々におきまして、お医者さんのうちから、各界の専門家というような方々に依頼をし、そこでとりあえずこれは異常だと思われるような請求書をそこに集めまして、それを一件一件、御審査願う、それで委員の御意見が一致したようなものについては、そのお医者さんに地区の医師会その他を通じまして、いわゆる問い合わせをするというような考え方に基づきまして、着々その方向に進んでおるわけでございます。いずれこの問題につきましては、先ほど自動車局長からお話のありましたように、いわゆる役所と医師会との間で話し合いをし、適正な基準を設けて、その基準に違反するような場合は何らかの措置を講ずるというような仕組みを考えていかなくちゃならぬというような状況になってきていると考えておる次第であります。
  147. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあ外科医等も非常に良心的にやられておる外科医の数多い中で、何人かの、何軒かの不良外科医のために、いろんな悪評を招いている、こういうふうな不評を招いているという、こういう例が非常に多いわけですね。こういう問題について、私はひとつの資料をもらったのですが、高額の治療費の事実を調べてみますと、われわれが見たってわかる、しろうとが見てもわかるのがあるんですね。こういう問題がどうして算定会やあるいは大蔵省で検査できないか。あるいは外科医だって何百万軒もあるわけじゃないコンピューター等導入すれば、特に不良のマークすべきところは、コンピューターをはじけば、いろいろ出るのじゃないかと私は思うんですが、こういうことに対する対策等は考えておらないのですか。
  148. 渡部信

    説明員(渡部信君) その対策につきましては、先ほど申し上げたように、とりあえず任意の審査機構を設け、それから将来は強制というのか、法律に基づいたところの審査機構を設けて、そういう実態に対処していかなければならぬと、このように考えておる次第であります。
  149. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあ将来、将来では、いつまでたってもできない。たとえば具体的に言いますと、傷害の事故を起こした、被害者の方は、医療費あるいはまた入院費あるいはその他休業補償、こういう問題について、幾ら本人に支払われているのか、どういうふうなぐあいになっているのかということは、その被害者は全然わからないわけですね。その明細等については。こういうことについては、この被害者に対する手はどのように打っていらっしゃいますか。
  150. 渡部信

    説明員(渡部信君) まあこの点につきましては、先生ももうすでに御承知のことと思いますが、先般青森県におきまして、あるお医者さんが保険会社のほうに請求をした金額の中に、被害者から委任を受けて被害者に支払うべき保険金をもらっておりながら、これを被害者に支払っていなかったというような事実があったようでございますが、遺憾ながらいままでいわゆる算定会といたしましてその辺まで注意をしていなったようでございます。私どももこういう事実を知って驚いたわけでございますが、これは要するにいわゆる被害者とお医者さんとの間の自由契約に基づいて、いわゆる被害者がお医者さんに委任状を渡したというような問題でありまして、その点について、私どもはとやかく介入できる性質のものではないのでありますが、今後はできるだけそういう面についても、特にいわゆるお医者さんが委任状を受けて請求してきたというような場合には、できるだけ注意をし、もし可能ならばその辺のことは非常に事務的にむずかしくて手数のかかることではないかとは思いますけれども、被害者のほうに、あなたが委任状を渡して請求したときの保険金の内訳はこうでございます、あなたの取り分はこれくらいになりますというようなことまで知らせるのが親切ではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  151. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は親切なことをやっていただきたいと思うのですよ、現実に。そう思いますというだけではなしに、実際にその被害者は休業補償はこれだけだ、それから入院はこれだけだ、それから治療費はこれだけだと、これぐらいは私はその被害者に知らせるべき責任があるのじゃないかと思うのですがね。この点はどうですか。  それからもう一つは、支払いまでの日程が非常にかかり過ぎるという不評がある。これは算定会のいろいろな事務上の問題もあるでしょうけれども、三カ月も四カ月もかかる、したがって、この支払い方法等が具体的にわからないで非常に困難を来たしている、こういう不評を聞くわけです。この問題についてはどう処理されておりますか。
  152. 渡部信

    説明員(渡部信君) ただいまの算定会からの支払い非常に時日を要するという点についてでありますが、その点について、私どもといたしましていままでのところ承知している点は、まあ支払いの請求があってから原則として一カ月以内にこれを処理するというような方向で指導してまいっております。むしろそれ以上の日数を要するような問題点があれば、それは特殊異例の問題か、あるいは算定会がなまけておってそういうふうな結果になったというふうなことがあれば、私どもは今後そういうことのないように注意してまいりたい、このように考えております。
  153. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 先ほどの問題は……。
  154. 渡部信

    説明員(渡部信君) 先ほどの、教えてやる、親切だけでは足りないのじゃないか、これを実際実行に移したら、こういうお話でございますが、それはそれに越したことはございません。ただそうなってくるというと、私どもが具体的にその件数を調べてみないとわかりませんけれども、非常に手数を要するというような問題がある場合には、現在の算定会の機構そのものの改正、ひいては保険へはね返りというような問題もありますので、その辺のかね合いを十分検討してからのことにいたしたい、かように考えております。
  155. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 先ほどの一点の、日程は一カ月以内に処理するようになっているという、それはあなた方の机の上で言っていることであって、実際にかかっているのは二カ月、三カ月かかっているわけですよ。これは算定会が悪いとばかり責めるわけにはいかないと思うのですよ。そういう体制を、もう少し親切にやはり考えなければいけないのじゃないかと思うのですよ。ただ一カ月になっておりますというだけで、そんな答弁だけではなしに、もっと積極的にその問題を解明しなければいけないと思う。したがって、具体的にこの問題についてその算定会でどのようなデータになっているかわかっていますか、大蔵省として。一カ月以内に何%が、その問題、被害状況について被害者に支払っておられるか、一カ月以内にどれだけの率になっているかということわかりますか。そのデータを見せてください。
  156. 渡部信

    説明員(渡部信君) ただいまここに持ってきておりませんので、その資料は追って先生のところへ御連絡申し上げたいと思います。
  157. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そういう問題が、ただ通達行政みたいな、あるいはこうなっていますからというだけでは、ほんとうに被害者が非常に気の毒だと思うのです。たとえば五十万以内の傷害事故に対しては、ある場合にはいろいろ組織的に具体的な問題持っておりますけれども、医者と事故係とがうまく組んで、そうして、弱いところはその被害者に治療費まで負担をさせている、こういうふうな例があるわけですね。水増し等によって。こういう点を私は泣き寝入りをしている被害者が数多くいるということを知ってもらいたい。実際に五十万もかからないけれども五十万以上の請求をされて、そうして治療にいかなければならぬ。一人一人が働くこともできない。その中から十万、二十万払わなければならない、こういうふうな実態が数多くあるということを私は知ってもらいたいと思うのです。そのためにもやはり治療費はこれだけかかったのだ、入院費はこれだけだ、休業補償はこれだけだ、こういうことをはっきりさせる。たとえば一人一人にできなかったにしても、自賠責の保険には休業補償は入るのだ、こういうことは国民は知らないですよ。ほんとうは知らないのが悪いというかもしれないけれども、この間も統計を見ましても五十何%が自賠責の仕組みを知っていない。こういう問題、私はもっと個人個人に出せなければ、何らかの手を打って、もう少し国民に知らせる方法を考えるべきじゃないかと思うのです。この点についてはどうですか。
  158. 渡部信

    説明員(渡部信君) 国民皆さんの中でこの制度を知らないという方もたくさんおありになるのじゃなかろうかと思います。したがって、私どもは今後さらにこの制度を国民に活用していただくために、従来以上に、いわゆる周知徹底方をはかってまいりたい、このように考えております。
  159. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まああと時間も限られておりますから、いずれにしても被害者にもっと自賠責の保険が親切に適用される、こういう私はシステムにならなければいけないと思うのですね。それが実際に被害者が対象じゃない。これはいろいろ先ほどの事務費の運用などの問題につきましても、これは解明すればいろいろ問題があるわけです。  最後に運輸大臣に伺っておきたいのですが、自賠責の審議会の構成はもう少し私は民意を反映できるような方向に考えるべきじゃないか、こう思うわけでありますけれども、この点についてはいかがですか。
  160. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 運用が一番大事でありますからして、これは十分に検討して御意見のようなふうにやっていきたいし、先ほど来からお話がありました治療費の問題は、四十四年度の契約数で見ますと、九百九十九億というたいへんな金額、一千億円になっている。ただ私もこれはまあ全部不正だとは考えません。ほんの一部だろうと思います。したがって金額にして赤字を相当減らすというような問題ではないかもしれませんが、ただこういうところに不正が行なわれるという——もしありとすれば、これが非常に私は問題だと思うのですね。これからの明るい社会と言いますか、良識ある社会をつくるためには、そういう一部の不正があったにしても、これは見のがすべきじゃない、その意味では、やはり行政が多少、無理をしていいというわけじゃありませんけれども、算定会とかあるいは運営会とかいうものが、運営権議会とかあるのでありますから、それらによってやはり不正を憎むということ、金額の大小を問わず。かつまた受領者、あるいは問題は保険をかけている人も迷惑をするわけですから、料金を出している人も。であるからして、具体的にたとえ事務費が少しかかっても、その受領者に対しては詳しく報告をする、こういう程度の事務費は私は出てもいいと思うのですがね。そういうことを含めて将来ともにこれらの問題を積極的に進めていきたい、かように考えております。
  161. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう一点だけ。これは参考に申し上げますけれども、大蔵省の方にね。内科と外科の治療費の分析をしてみますと、外科であるべき傷害問題が内科のほうで行なわれておるのですよ。そういうデータが出ておるのですよ。何件かの一部かもしれませんけれども。こういう追及だって、もっとはじけば、いろいろな矛盾点があるのですよ。交通事故だったらほとんど外科の治療費が私は大半を占めるのかと思っていた。ところがそうじゃない。内科の治療費のほうが外科の治療費よりも上回っておるのですよ。これはいろいろな事情があるかもわかりませんけれども、そういう点など私はチェックしていけば確かにいまの赤字の問題を解決できると思う。こういう点についても、私は、国民がかけた保険に対してやはりもっともっとほんとうに真剣になって取り組んでいかなければならないのじゃないかと思うのです。その点、私は大臣にも強く要望して、自賠責のもっともっと根本的な改革をしていかなければいけないのじゃないか。このことを要望しまして私の質問を終わります。
  162. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 時間もないし与党でもございますから、二、三簡単に質問申し上げます。  先ほど鈴木委員から質問がございました「自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案要綱」の第二の「休業による損害等に係る保険金等の支払について限度を設けることができる」、これからできるのでしょうが、その最高の限度をおおむね二千円程度に考えておる、こういう御答弁でございました。しからば、過去においては、限度がない前においては、どういうふうの支払いをしておられたか。それを承りたい。
  163. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 抽出資料でございますが、最低七百円、妻の場合、奥さんの場合七百円ということでありますが、七百円の場合が三三・七%、それから七百円から二千円以下の場合が一七・三%、それから二千円をこえて三千円以下が五・〇%、それから三千円をこして五千円以下が〇・八%、それから五千円以上のものはまあほとんど一〇〇%のあれに入らないわけでございます。それで合計しまして休業補償をもらう人が五六・八%でございまして、残りの四三・二%は休業補償のいわゆる対象になる損害がないという人たちでございます。
  164. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 巷間に変なうわさをするのがいるのですよね。休業補償がたっぷり出るものだから、むち打ち症という名前の入院をして入ってさえおれば、食うには困らない。だからお医者さんのほうはもうかる。こういうことで、いつまでたっても出ない。ところが加害者のほうではそれを払わされていて泣きの涙だという実例があるのですよね。これはやっぱり保険部長ね、さっきからあなたの答弁を聞いていると、巧みにこの場をのがれようとするような答弁が多いのですよ。やはりこういうことに関係ある人たちの悩みをすなおにこれを考えてあげるということをお考えになるように、私はあなたには要望しておきます。  ただ、治療費の問題で同僚金丸委員から聞いてびっくりしたのですが、九州の佐賀県で、どんな傷害だったかしれないけれども、二日間にお医者さんが三百六十本以上注射をしたというので相当問題になった。大臣、私の兄も医者でしたがね。三十分を経過しなければどんな重態になっても注射したってむだだからおれはせぬよ言うて、おやじが死ぬときに三十分だけ寝かしておいてくれと言ったことがあります。三十分で二日間計算しますと、大体九十何本あれば足りるのですよ。一日半時間おきに打っても四十八本です。それを三百六十本もそういう注射をして、しかも、それがもし払われたということを国民が知れば、これはたまったものじゃございませんよね。これは大蔵省、もっとこういうことをあなた方も御検討なさったらどうですか。新聞か何かに出ておったって、同僚金丸委員がいま教えますがね。国民はそれはびっくりしますよ、これ見て。しかも、ほんとうにそれは一部のお医者さんかもしれぬけれども、医師間でも、大臣、申し上げておきますけれども、指をくわえてうらやましがってながめている。あいつのところは三人入院患者があればけっこうやっていかれる、と言う人もありますよ。巷間そういううわさまで立って、こういう保険というもの、被害者のための保険が、逆にお医者さんを太らせるような結果になったらどうでしょうか。ここに私は問題があると思うのだが、これはいろいろと自動車局長あなたも答弁されますけれども、次の機会にこれは法律を改定するために出すとおっしゃるが、いつお出しになります。
  165. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 関係省とあるいは関係の医師会と至急相談いたしまして、われわれの目標といたしましては、次期通常国会には間に合うように検討、努力さしていただきたいと思っております。
  166. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 これは三番目ですがね、「追加保険料を支払う義務を負うこととする。」ということになっているのですが、もっと具体的には、たとえば車が一回保険に入っていて、次の保険に入るまでの間に再び事故をやった場合に、追加保険料を取ると、こういうことなんでしょうか。
  167. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) おっしゃるとおりでございまして、事故をやります、その後の保険は継続して残存しておるわけでございますが、その残存期間に相当する保険料を追加して取るということになります。
  168. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 追加保険料をもし納入しない場合はどうなりますか。
  169. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 保険金を支払います場合におきまして、その追加保険料の分は差し引きして計算をするということでございます。
  170. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 差し引いて——それは保険金から相殺できるということですか。
  171. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) そのとおりでございます。
  172. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 では次に進みます。  今度は四番目、「農業協同組合等が責任共済の事業によって負う共済責任の六割を政府が保険することとする。」、これは、いままではしていなかったからこういうふうにするということだろうと思いますが、今度改正の法律案の第五十五条で「政府は、組合責任共済(軽自動車及び原動機付自転車に係るものを除く。」とこうなっておりますね。これは保険会社はこういうことにはなっていないのですか。優遇措置なんでしょうかこれは、農協だけの。
  173. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 原付自転車につきましては、保険会社の分も再保険にかかっておりません。で、軽自動車の分につきましては、保険会社の分は再保険かかっておりまして、その点は相違がございますけれども、従来農協が軽自動車をやりました実績等見まして、まあこの普通の自動車の分を再保険にしておけば目的は達せられるのではないかということで、新しく加えます自動車等を再保険の対象とした次第でございます。
  174. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 もう一度同じようなことで確認しておきたいのですが、保険会社のほうは、原付自転車だけは除外して軽自動車は再保険に従前から入っておったと、こういうことに理解してよろしいですか。
  175. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) そのとおりでございます。
  176. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 私が農協に関係のあることは御承知なんですが、員外利用、共済規程で員外利用を禁止してありますがね、あれは政令ですか法律ですか、規程というのは。農協の場合は規程というけれども、これは政令と同じようなものと判断していいですか。
  177. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) これは共済規程はもちろん農協法によりますところの規定でございますから、法律に基づくわけでございますが、これは実際は認可を農林大臣がされるわけです。その際に大蔵大臣運輸大臣に同意を得られるという形になっております。員外利用の点につきましては、その規程の中に規定をすべき性格でございますが、ただいまのところは員外利用は行なわないということになっておるわけであります。
  178. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 員外利用の五分の一を農協法で定めてあるのが、片方では五分の一の員外利用ができる、このことだけはできない、かような実情でございますね。ところがそれは共済規程で縛ってあって、この共済規程を改める場合は、農林大臣運輸大臣、大蔵大臣の三大臣の協議によってということにたしかなっていたと思いますが、そうですか。
  179. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 農林大臣が承認をされます場合に運輸大臣、大蔵大臣の同意を求めるということでございますから、実質的には三大臣によって相談をいたしまして、認めるかどうかということをきめることになると思います。
  180. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 私ども農村におりますと、たとえば私の村でも、まあ役場と農協とはこれは大臣の御郷里もそうではないかと思いますけれども、まさに主人と女房みたいな仲よしでやっております。ところが共済のことだけは員外利用できないんだから、せっかく農協に共済しようと思ってもできないからごめんだというふうに言われるし、またそういう実情なんです。今度も一部の適用除外の中のこんな除外から解除されて共済に入っていかなければならない。たとえて言えば、農林省の林野庁を例にとってみますと、あれは山間僻地にあるんですよ、営林署でございますか。あんな営林署の車まで一々私の郷里の鹿児島の村まで出かけて行って保険する。事故を起こしたらここでまた何かやらにゃというわずらわしいことをせぬでも、近いところに農協があるのに、なぜそれを飛び越えて持っていかなければならないのだろうかという疑問にぶつかります。いまここでこれ以上お願い申し上げませんけれども、大臣にお願いしておきます。保険部長なんかに言ったってノーと言うにきまっているでしょう。銀行局長に言ってもノーと言いますから、あなたと農林大臣と大蔵大臣の三大臣によくお話し合い願って、次の法律改正までの間に何とかめどを立ててくれませんか。これはお願いしておきます。大臣の決意だけ聞いておきます。
  181. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) いまおっしゃることは、官公署の車だけでも入れてくれと、こういうことですね。一般ばかりでなくてですね。官公署ということは役場も入りますね。そういう官公署の車だけでも、お互いおつき合いなんだ、親戚同様なんだから考えてくれてはどうかと、ごもっともな御意見であります。十分に努力してみたいと思います。
  182. 温水三郎

    委員長温水三郎君) この際おはかりいたしますが、両案のうち、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案につきましては、他に御発言もないようでございますので、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  185. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 総員挙手、全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  186. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 私は、ただいま可決されました自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案について、自民、社会、公明、民社、第二院クラブの共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   自動車事故が、逐年増加の一途をたどりつつある状況にかんがみ、政府は、速やかに総合的な交通安全対策を確立し、事故の防止に最善の努力を傾注するとともに、自動車損害賠償責任保険制度の適正な運営を図るため、左の事項につき措置すべきである。  一 治療費保険金支払の不当な増こうを防止するため、治療費支払の適正化に努めること。  二 自動車損害賠償責任共済の契約に係る員外利用の制限について検討すること。  三 自動車損害賠償責任保険制度をめぐる社会的諸条件の変化に対応して、自動車損害賠償責任保険審議会の委員構成、所管等について再検討すること。   右決議する。  以上でございます。
  187. 温水三郎

    委員長温水三郎君) ただいま金丸君から提出されました自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  金丸君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  188. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 全会一致と認めます。よって金丸君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本運輸大臣
  189. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいまは自賠法の一部を改正する法律案について慎重審議の結果御採決をいただきましてまことにありがとうございます。  また決議されました附帯決議の内容につきましては、その趣旨を十分尊重し、誠意を持って実施に当たる所存でございます。  まことにありがとうございました。
  190. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  192. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 海上運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から提案理由の説明を聴取いたします。橋本運輸大臣
  193. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま議題となりました海上運送法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  わが国の旅客船による国内輸送は、離島住民の足としては申すまでもなく、一般の交通機関として、また、国民の観光の手段としても重要な役割りを果たしており、使用される船舶も年々近代化され、船型の大型化、高速化がはかられる等発展の一途をたどっております。  このような輸送の実態の変化に伴いまして自動車航送船を含めた旅客船による輸送の安全の確保に関する事業者責任はますます重大なものとなってきております。しかるに、現行法では、旅客輸送の安全を確保するための事業者の体制については明確な規定がありませんので、事故防止計策に万全を期するため、旅客輸送の安全の確保について事業者責任体制に関する規定を設けるとともに、旅客の安全を害するおそれのある行為を禁止する等の措置を講ずる必要がございます。  以上の趣旨によりこの法律案を提出する次第でございます。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  改正の第一点は、旅客定期航路事業等の免許基準の改正でございます。旅客定期航路事業者事業を開始するにあたり、旅客の輸送の安全を確保させるため、新たに運航管理の体制、輸送施設の管理運営の方法等事業の計画が適切であるかどうか、また、港湾以外の海上における船舶交通の安全に支障を生ずるおそれがないかどうかを判断することとし、これらを免許基準に追加するものでございます。  改正の第二点は、旅客定期航路事業者等に対し、運航管理規程の作成を義務づけることでございます。運航管理規程には、運航管理者の選任等運航管理の組織並びに実施の基準及びその手続その他輸送の安全を確保するため事業者及び従業員が順守すべき事項を、各航路の実情に応じ具体的に定めさせることとし、輸送の安全の確保に関する事業者の体制づくりをさせる所存でございます。なお、運輸大臣は、運航管理規程の変更または運航管理者の解任を命ずることができることといたしております。  改正の第三点は、輸送の安全の確保に関し、運輸大臣は、旅客輸送の安全を阻害している事実があると認めるときは、事業者に対し、輸送施設の改善、事業計画の変更等必要な措置をとるべきことを命ずることができることとするものでございます。  改正の第四点は、操舵設備をみだりに操作する等旅客の安全を害するおそれのある行為を禁止することでございます。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  194. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。  本会議散会後委員会を再開することとし、それまで休憩いたします。    午後四時三十二分休憩      —————・—————    午後六時二十五分開会
  195. 温水三郎

    委員長温水三郎君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続きタクシー業務適正化臨時措置法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  196. 藤田進

    ○藤田進君 大臣はちょうどお見えですし、与党のほうは非常に審議促進で督促も受けておりますし、その事情もわかりますわけですが、あとまあ残り少ない委員会でもありますから、タクシー法案について若干まだ資料不足のようにも思うし、それから自余の法案が御承知のようにありますが、こういったものに対するそれぞれ衆議院段階における資料要求もあったことと思いますしね、ですから、各責任担務局を中心に、できるだけ資料もそろえ、早目に出していただきたいと思います。いま具体的に何と何ということは申し上げませんが、審議が相当結了する時期に資料の要求が出、それに時間をとりますと、会期延長がないと、あと四回くらいですから、その辺、資料の一般的、総括的要求といいますか、しておきたいと思います。
  197. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 藤田さんからの、できるだけ資料は集めておけということですが、できるだけ皆さんの御要求に応じて、できるものは十分に集めたいと思います。
  198. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 本日はこの程度といたしまして散会いたします。    午後六時二十六分散会