○国務大臣(
橋本登美三郎君) いろいろ御
意見がありますが、いわゆる
成田空港を決定するにつきましては、私当時聞いておりました。若狭君が次官の時代でありましたが、私官房長官をしておりまして、報告は一部始終受けておったわけであります。そのとき
候補地になったのが
富里付近、それから木更津
付近、それから
霞ケ浦、この三ケ所が一応
候補地として同時に技術的な研究を進めると、こういうことになったわけであります。その結果、いわゆる
霞ケ浦は
地元のほうでは賛成、反対がありました。稲敷郡のほうは賛成でして、
霞ケ浦の北側のほうは反対だった。私のところにも、やはり皆さんと同じ
ように、国会議員でありますから、
地元から陳情がよくまいったのであります。そのときに私は、これは技術的な問題であるからして、
国際飛行場をつくるということはもちろん国家目的としてつくらざるを得ない、あとは技術的問題であるから、
霞ケ浦が工事費その他を総合して可能であり、かつまたいいということであるならば、私は反対があっても
霞ケ浦に決定することを反対はしないという意思を表明した。技術の結果が悪ければ、たとえ賛成があってもこれはぼくが推進するわけにはいかない、技術的な問題、立地
条件である、こういうことを私は国会議員として陳情を受けたときに、両派の諸君には不満足であったろうけれども、か
ような答弁をしておったわけであります。御
承知の
ように、これは私より
加瀬さんのほうが詳しいのでありますが、木更津が不適地だというのは、御
承知の
ように百里原の自衛隊の
飛行場の航跡の
関係といいますか、百里原のその
関係上これは不適当である。専門的な技術的な見解ですね。
霞ケ浦はとてもあのヘドロを処理するには、それだけでもって何千億という金がかかってまことに不適当である、かつまたできても地盤が十分かどうかわからぬという点で費用の面から困難であり、もう
一つ百里原のいろいろな影響を受ける、こういう技術的な見解からこの二カ所ともだめになって、
富里付近ということになったのです。それで当時の次官から、やはり
検討の結果この二カ所はだめだ、そうして
富里付近ということになったのですが、当時いろいろ賛成反対の
意見がありましたが、私は当時若狭次官に、将来
国際空港は一カ所や二カ所では間に合わぬだろう、だから、必ずしも航空局できめたあの
程度の、七百二十万坪ですか、そういう
考え方をもう一度考え直してもいいんじゃないかということで、これはほんの第三者としての考えにすぎないわけですが、いろいろまた航空局のほうで
検討した結果、
富里付近は技術的には大体類似している、空の
条件は全く同じということで
成田空港に決定を見たわけです。
いま岡さんの御
質問の、いわゆる厚飛木行場を将来返還してもらってこれも使えるではないか、あるいはまた
羽田飛行場を使って将来拡張してという
意見も一部にある
ようであります。私も将来
羽田の沖を
埋め立てるということも可能であろうと思いますが、ただ、現在の問題としては、何としても十年、十五年先を待っておれない
状態でありますから、したがって、
成田空港の今回の
計画だけは達成しなければ間に合わない。いま御
承知の
ように、現在一千万の——
国内航空だけで一千万人のいわゆる飛行人口を持っております。将来十年後には一億二千万人になるだろう、こういう計算をしておる
状態ですから、これは
国際関係も入れましてそういう膨大な数字になるわけでありますからして、したがって、これは
成田空港の現在
計画が完成しましても、なお十年なり二十年先には考えなければならぬ、あるいは
国際空港と
国内空港との分離を考える必要もありましょうが、またいろいろの
事情からして、
国内飛行場も一カ所の厚木だけ使えばいいじゃないかというわけにもまいらぬ。したがって、
羽田もあるいは
成田も
国内空港に一部を使用せざるを得ないだろうと思います。こういう
意味からいって、もちろん厚木の
飛行場は今回の万博中臨時に民間
飛行機の乗り入れを認めてもらう
ようにお願いをしておりますが、近くオーケーになる見込みでありますが、将来これは返ってくることになるだろうと思います。その場合に、自衛隊に返るかこちらに返るかわかりませんけれども、できれば、われわれ
運輸省としては民間
飛行場として使わしてもらいたい。それにしても坪数はそう大きなものでもありませんし、かつまた、航跡から考えてもそうたくさんの
飛行機を入れることも困難でありましょう。そういう
意味で、やはりこの
飛行場は、
国際飛行場にしましても
国内飛行場にいたしましても約三千万という、いわゆる東京を
中心とする人口、こういうものを考えますと、
国際飛行機の発展等から考えて、複数以上の
飛行場は絶対的に必要である、こういう要件から考えましても、やはり
成田飛行場の完成は期待してやまない。ただ、これを進めるにあたっては、しゃにむにやろうとは考えておりません。できるだけいわゆる住民の反対派の諸君に理解をしてもらってやる。いろいろな問題がこれから起きましょうけれども、それらについては十分
地元の利害
関係等を
考慮に入れて、そうして理解した上で工事をできるだけ早く進めていく、こういう
ような
考え方でやってまいりたいと思っております。