○岡
三郎君 その点で一点関連して。
最高
責任者を四名つかまえたと言いましたね。
犯人をいろいろ内偵していた間に最高
責任者的なものを四名つかまえたと言われている。赤軍派の中にはビッグシックスというんですか、いわゆる幹部の中の幹部が六名、その中に日航のこのハイジャックをやった田宮がいるわけですね。しかも田宮は指名手配を受けている。四名つかまえた。で、田宮に対してどういうふうに
調査をやっていたのか、これを聞いてみるというと、田宮についてはもう全然情報が得られなかったということですがね。私は指名手配をしている田宮がハイジャックをやるということも、週刊誌の信憑性は別にしてもとにかくある。これは田宮がやるかどうかは別ですよ、そういう一つのうわさがある。一方においては四名の幹部がつかまったが、その六人の中の一人の田宮という者は指名手配で追跡中であるということになるというと、ほかの者は別にしても、田宮という者をどうマークするのか。
飛行場において、ほかの者は別にしても、田宮という者をどうマークするのか。これは写真はもうはっきりわかっているわけですから、そういう点について私はやはり問題点の
究明がなされていないと思うのです。つまり何十人もいるのを一々あの繁雑の中でやるのはなかなかむずかしいとしても、指名手配中の者であり、六名の最高幹部の中の一人である、それがしかも赤軍派が乗っ取りを
計画しているといううわさが一方においてある、田宮をどうマークするのか。もう一人の者は逃げておりますがね。そういう点についてやはりこれは少し、一般的な取り締まりとしてではなくて具体的な取り締まりとしてはこれは抜かっておったのではないかということです。この点についてどういうふうに
考えられておるかということ、これは
責任は私は十分あると思うのです。
それからもう一つは、九名の中において七名が割れていると言いますが、あとの二名についてはわからぬと言っておりますが、もうわかっていると思うのですが、これは一般的にこういうふうな印刷物や何かで見るというと、あれは
韓国の私費留学生である、そうして強制送還される段階になっていたんだと。
韓国から
日本に来ている学生である。だから、そういうものについて
一体どういうふうに——強制送還になるということになっていれば、これは当然
警察庁の一つのマークにもなっているのではないか。非常にせっぱ詰まった連中が乗っ取りでとにかく亡命を
考えたということがいま言われるわけですが、そういう点について、強制送還を受けようとしているその二人の私費留学生というものはほんとうなのかどうか。もしもそれが事実とするならば、それに対する手配というものが非常に手落ちじゃなかったのかという気がするわけです。この点。
それから私は橋本さんに言うのは、今度は法務省で新しい立法をする。七年以上無期、けがさした者は死刑にする。こうなるというと、これから立法した中でハイジャックをやっていこうという者はほんとうに命がけだと思うのです。今度やったような形ではなくて、一か八かということで、今度は立法されれば逆に私は峻厳なる法と取り締まりの中をどうくぐっていくかということになって、今度はほんとうにせっぱ詰まった連中がやるとするならば、それこそもう一か八かの命がけでやる。つかまればそのまま無期ですからね。いまのその最高の刑になると思うのです。もしもその中で、たとえばけがをさした、どの程度のものかわからぬけれ
ども、たまたまそういう
事件が起こったら死刑だということが明確になってくるならば、乗っ取り犯というものは今度は生命をかけてやる。今度の場合もそうだと思う。そういうふうになってきたときに、私は今度の一連の
計画を見るというと、逆にいってほんとうに運がよかったと思う。これは一つの僥幸で、非常に橋本さんが苦労してやられたことはわかるとしても、一つのこれは運がよかった
事件だ。運が悪かったらもっと別の
事態になっていたということをわれわれは真剣に
考えなければいかぬ。そういったときに、ハイジャックというものの性格からいって、やはりきのうあなたが言ったように、
北鮮に行けばどういうふうに着くかわからぬと言っていたが、あの着陸した
飛行場というものは非常にお粗末な
飛行場です。
平壌には国際
空港があるのですね。これはもう中国の、中共の周総理が飛行機で乗りつけているところのりっぱな
空港があるわけです。しかもその間に、
北朝鮮が
人道的な
立場から航行の安全を守る、全部帰すと言っているからには、これで丁重なる連絡を向こうととって、百二十名をこえるところの人がいまこういう
状況で行く、
平壌の国際
飛行場はわからぬけれ
ども、ひとつ無事安全を頼む、あらゆる方途をとってもらいたいと言えば、ああいうふうな着陸状態にはならなかったと私は思う。でこぼこであったから、ああいう
状況の中だから、生命がわからぬから帰ってきたほうがよかったのだ、
金浦に着いたほうがよかったのだ、そういう見方があるけれ
ども、私はそういう見方だけでは安定性というものがないと思うのです。したがって、あの
状況の中において、
韓国の了解を求めなければならぬといっても、問題の焦点というものが、
韓国が北へ行かせないという気持ちが強く作用するということはわかるとしても、とにかくもっと無謀なる者が行った場合に、十分連絡をとって、向こうのほうに着陸さしてすぐ送還を頼むというほうが、こんな混乱を起こさないでよほどうまくいったのではないかという気がする。
北朝鮮を敵視しているからその行為はうまくとれなかったというかもしれないけれ
ども、私はそういう点について橋本さんの言動というものについては非常に疑問を持つ。非常に
北鮮に対して失礼ではないのか。要するに、あの
飛行場に着陸したのは——黄海を通ってくればいいということになっているのですね、その後……。ところが
韓国のほうは
日本海に出ろと言っている。これは
韓国の権限があるからやむを得ないとしても、ああいうふうなせっぱ詰まった時間で、向こうへ着くときにはもう薄暮から暮れてしまうぎりぎりのときに出発さして、しかも出発さしたときには、向こうのほうには行きますよという了解も得ないで、めくら飛行で追っ払っている。こういうふうなことを自分でやりながら、ああいうあぶないところに飛行機をやるわけにはいかなかった、生命の安全は保証できなかったなんということは、私はこれがわかれば非常な不信感になると思う。猛烈なる不信感になると思う。だからその
事態の中できちっと整理されていれば、百何十名というものが
北鮮に入るということになれば、もうちょっと言えば、島根県の境からずっと入っていく、
韓国に関係なくして。そうしてずっと一直線に入っていって向こうの
北朝鮮に入る。あるいは黄海に出て、とにかく
韓国のいわゆる領海の外に出て、そうしてとにかく向こうに着く、こういう方法は何ぼでもある、
韓国に関係なく。ただ
韓国にこだわっておるという問題がどうしてもここにある。だから、今後は生命というものをかけてやるところのハイジャックというのは、いま刑法
改正されようとしている段階において、今後の
措置としては、いままでのような
認識ではこれは取り返しのできないことが起こるという心配が非常に強いのです。したがって、私は先ほど言ったように、国交の問題ということは非常に問題があるにしても、そういう点については十分にやはり
措置をとっていくということに徹して
考えていかないと、今後の問題の処理にならないのではないか。ということは国際線に乗って、また
韓国線に乗っていったとする。
韓国にはビザがなければできない。だからどうしても国内でやらなければならない。今度将来は国際線で向こうに、南のほうのルートを飛んで行った場合において、アラブゲリラがやっているようなものを
考えれば、途中で乗っ取ってアラブ地域におりるというふうな情勢もなきにしもあらずと私は思う。そういう場合に、刑法の取り締まりが強化される場合において、命がけのハイジャックをやったほうがいいかどうか。あるいはアメリカとキューバの間に協定ができたように、乗っ取り犯がキューバに着いたらすぐ返してくれというような、二国間のきびしい対立の中においても、この問題は
人道上の問題だから別だということで、それがスムーズに言えるような
措置ができていなければ、これは今後非常にあぶない。これは逆にそういうようなことを
考えさせられるわけです。
法律をきびしくすればきびしくするほどそれに挑戦する者が出てくる。英雄視されるわけですね。しかし、それが一たん機内に入ったら、保安官を置くといってもこれはナンセンスだと思う。たとえば、三人なら三人が合意をして、ピストルならピストルを持って、そうして入った場合に、保安官がいても保安官は何もできないんです、中で始まってしまえば。これは
人命尊重どころではなくなってくる。そういうことで航空保安官というのは、陸上における電車に乗っている保安官だとか、あるいは新幹線に乗っている保安官だと思ってこれをやってもこれは
意味がないではないか。かえってそれはエキサイトして、航空機上において保安官と
犯人との格闘、闘争ということがもしも行なわれた場合において、
乗客は迷惑を受けこそすれ、何も効果は発揮できないのではないか、こういうふうに
考える。そういうふうなことを総括的にいえば、この問題について、これは昨日以来の橋本さんの答弁を聞いて非常に疑問点と不安感を持つので、この点について両方からひとつ答弁願います。