○森中守義君 第二班の派遣
報告を申し上げます。
派遣をされました委員は佐田
一郎委員と私の二名で、派遣期間は二月一日から五日までの五日間で、視察いたしました県は、福岡県及び熊本県の二県であります。
まず、福岡と門司におきまして、
運輸省地方機関並びに
国鉄九州支社から九州全般に通ずる所管事項について詳細な
説明を聴取し、次いで、板付飛行場、新熊本
空港、三角港、熊本陸運事務所、熊本
鉄道管理局等を視察いたしました。また、
国鉄赤字線の一つである高森線については、始点から終点まで乗車し、その実態をつぶさに
調査してまいりました。
以下順次、各事項別にその概要を
報告いたしたいと思いますが、各機関からはそれぞれ詳細な資料が提出され、それらは
調査室に保管してありますので、ここに視察個所順に要点のみ
報告いたしたいと存じます。
まず、
国鉄関係について申し上げます。
九州支社の
説明によれば、
国鉄全体の中に占める九州管内の勢力は、営業キロで一三・五%、職員数で二%であるが、
収入の割合は、七・八%と低く、また、
近代化のバロメーターともいわれる電化、複線化、自動信号化などの施設も全国平均を下回っているとのことでありました。一方、九州地方の
経済活動の
情勢は、石炭の斜陽化とともに停滞模様でありましたが、幸い、昨年後半ごろから再浮揚のきざしを見せ始めております。また、造成の進みつつある大分臨界工業地帯などを中心に九州への大手
企業の工場進出、関門架橋や高速縦貫道の着工、周防灘
開発計画の発足等、九州
経済は新たな活動を始めつつあります。九州支社としては、これらの
情勢に対応して、まず第一に、
昭和五十年四月までに
山陽新幹線の営業開始ができることを目標に
工事の順調な進行をはかりたい、また、同時に、在来線の
整備近代化を
重点に
輸送体制の
確立を早めることにしているが、その中で鹿児島本線の電化は本年十月までには、全線電化が達成できることが確実であるとのことでありました。また、管内にある赤字線の一つである幸袋線についてでありますが、地元飯塚市等との話し合いがつき、昨年十二月円満に廃止することが決定したとの
報告がありました。全国で初めてのケースであり、今後の参考の一助になるかと存じます。
次いで高森線について御
報告申し上げます。
本線は、立野−高森間一七・七キロの線で、われわれ一行は、立野から同区間を乗車し、列車内で、熊本県当局並びに沿線関係町村長、議会議長等多数から、本線についての必要性について真剣な
説明があり、かつまた、その存続方についての強い要望がありました。
なお、高森から宮崎県延岡に連絡する高森−日の影間の高千穂線は現在
建設線となっており、これが早期実現方についても強い陳情がありました。廃止線と
建設線が全く一本のルートを
形成しており、地元住民に対しては奇異な感を与えており、
地域の
実情について十分な考慮をした上で大局的見地に立って本問題の解決をはからなければならないことを痛感いたした次第であります。
次に、
運輸省地方機関からの管内
事情説明のうち、そのおもなる点について申し上げます。
まず、福岡陸運局においては、自動車数の
激増に伴う、陸運局、陸運事務所の
業務量の
増加は著しく、各陸運局共通の問題ではあるが、当局における車両数は
昭和二十七年の約十九倍に対し、職員数は三割の
増加にとどまり、職員の訓練による能率の向上、
業務の簡素化等により当面を切り抜けているが、それもすでに可能の限界にきている状態である、特に出張車検の多い当局としては定員
不足は切実な問題であるとのことでありました。しかし、
各種の免許処理はこれをできるだけ促進していきたいとのことでありました。また、長年の懸案事項である職員の身分に関する地方事務官制度については、これを
運輸省に統一する方法により早急に解決してほしいとの要望がありました。
また、熊本県陸運事務所においては、現在の車検場は、車両増に対し狭隘になっておりますので、隣接国有地に移転したく、その実現方についての要望がありました。
次に、福岡管区気象台からは、職員七百人のうち百二十五人が離島勤務者で、人事運用上苦慮しているとのことでありました。また、限定された定員の中で、
気象業務の機能を増進していくためには、
近代化された機器の増設が必要であり、その実現方についての要望を受けてまいりました。
九州
海運局からは、管内旅客航路の特色として、離島航路が多いこと、
経営基盤の脆弱な零細
事業が多いことの二点があげられるが、航路の収益性は非常に低く、その大部分が赤字
経営の
状況であります。したがって、今後とも一そうの国及び地方公共団体の助成を
推進することにより、利用者の利便に適応した運航体制の
確保ができるよう
措置してほしいとのことでありました。また、最近フェリー
事業は急速に
増加しており、管内ではすでに二十二航路に達しており、なお十航路の申請があり、しかも
大型化、長距離化の
傾向をたどっており、今後十分な
対策を立てる必要があるとのことでありました。なお、内航
海運業は、政府の内航
海運対策の
推進により一応体質
基盤の
強化がはかられているとの
報告でありました。
次に第七管区海上
保安本部よりは、狭水道で海上交通がふくそうしている関門港の海難が多発しており、管内全体の海難の二五%に達しており、海難防止と救助の徹底をはかっている。また、朝鮮における警備については、
昭和四十年日韓漁業協定が締結されて以来、協定の遵守、
指導と取り締まりにつとめるとともに、日本漁船の正当な
操業を
確保すべく特別哨戒に当たっており、
昭和四十二年以降は、韓国側による日本漁船の拿捕は皆無で、平穏に
操業が行なわれております。しかし、韓国漁船の日本
操業水域への侵犯は依然としてあとを断たず悪質化の
傾向が目立っているとのことであります。また、中国水域については、日中民間漁業協定が結ばれ平穏の
状況であるとの
報告がありました。なお、海上機動力の向上をはかるためには、
近代化された
船舶の
充実が必要で、その実現方についての強い要望がなされました。
次に門司
海員学校からは、生徒の応募
状況はおおむね順調であるが、卒業後は外航への就職希望者が非常に多く、船員需給の現状から見て内航船員の
確保も重要であり、その調整に苦慮している面もあるとのことでした。なお、庁舎の一部は老朽化がはなはだしく、その建てかえについての強い要望がありました。
次に、門司地方海難審判庁及び理事所から、最近の海難件数は
船舶の
大型化と
交通量の増大により漸増の
傾向で、事件の内容も多様化、複雑化してきている。しかしながら、審判官、理事官の数は少なく、事件の処理に非常に苦慮しているとの
報告がありました。
次に、第四
港湾建設局から、管内の
港湾及び
空港の
整備状況について、また、
大阪航空局より管内
空港の運用
状況等についての
報告がありました。今回視察いたしました板付飛行場は米軍基地であるが、
運輸省は飛行場北側に隣接して民間地区を設け、滑走路等を共同して民間
航空機を取り扱っている
空港であり、国内路線の基点となっております。現在エプロンの増設、
駐車場の拡張等の
計画が進められておりますが、
計画の実施にあたっては、民家の移転問題の解決が必要であり、
関係者の慎重な配慮が望ましいとの感を受けた次第であります。
次に、新熊本
空港について申し上げます。
現在の熊本
空港は、滑走路千二百メートルの第二種
空港でございますが、当
空港周辺は市街地区で、滑走路延長が困難なため、東方約十キロメートルに位置する高遊原に
空港を移転して、長さ二千メートルの滑走路を持つ新
空港を
建設中であります。
用地買収も終わり、
工事も順調に進んでおり、
昭和四十六年四月には
供用開始される予定とのことでございました。なお、将来の滑走路延長及び
国際空港への昇格等の
計画もあるやに聞いてまいりましたが、この点につきましては若干の問題点も残されており、県及び
運輸省当局の慎重な配慮を要望しておきたいと思います。
次に、三角港について申し上げます。
この港は、現在一万
トン及び八千
トン級
船舶の、岩壁各一バースを有する、熊本県内では重要な
港湾の一つになっております。三角港における輸入のうち約六〇%は木材であり、三角町長及び関係機関より貯木場
設置についての強い要望がございました。
最後に、今回の視察に際し受けました陳情について申し上げます。
北九州
港湾管理組合より、関門
国際航路の
整備等六項目にわたる陳情がございました。また、北九州市長より小倉
空港等二項目にわたる陳情がありましたことを申し添えまして、
報告を終わりたいと思います。