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1970-03-05 第63回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月五日(木曜日)    午前十時十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         温水 三郎君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 谷口 慶吉君                 藤田  進君     委 員                 木村 睦男君                 河野 謙三君                 佐田 一郎君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 渡辺一太郎君                 岡  三郎君                 鈴木  強君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 市川 房枝君    国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    政府委員        運輸大臣官房長  鈴木 珊吉君        運輸大臣官房会        計課長      中村 四郎君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        運輸省航空局長  手塚 良成君        海上保安長官   河毛 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    参考人        日本鉄道建設公        団理事      壺井 宗一君     —————————————   本日の会議に付した案件運輸事情等に関する調査  (運輸行政基本方針に関する件)  (昭和四十五年度運輸省及び日本国有鉄道関係  予算に関する件) ○港則法の一部を改正する法律案内閣提出) ○地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、海運局支局設置に関し承認を求めるの  件(内閣提出) ○派遣委員報告参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 温水三郎

    委員長温水三郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査議題といたします。  運輸行政基本方針に関し、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本運輸大臣
  3. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 最初に皆さんにごあいさつ申し上げます。  せんだっての内閣改造に際しまして運輸大臣を任命せられましたが、なれぬものでありますから、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。  なお、山村政務次官も出席する予定でありましたが、一昨日、祖母が死去いたしまして、葬式の関係等がありまして、出席できませんので、私からかわって皆さんによろしく御指導のほどをお願い申し上げる次第であります。  一九七〇年代の第一歩を踏み出す第六十三国会にあたりまして、運輸大臣として、行政基本方針について、所信を申し述べたいと存じます。  一九六〇年代におきましては御承知のとおり、わが国経済世界に例を見ない大幅な拡大を続け、交通需要も逐年増加を見ておりますが、その反面、通勤ラッシュ交通事故など、国民生活の安全を脅かす社会問題も増加する結果となっております。  一九七〇年代は、経済規模拡大を軸とする豊かな蓄積を土台とし、同時にその過程において、経済社会の各部面において発生するさまざまの問題を打開しつつ、新しいビジョンのもとに真に人間性豊かな国民生活を全国土に展開すべき年代であり、そのために、なかんずく、運輸交通部門に期待される課題はまことに大きなものがあると確信するものであります。  私は、このような認識のもとに次のような諸施策を展開しようと考えております。  第一に全国的な幹線交通網形成であります。  一九七〇年代におきましては、わが国は、情報化技術革新等進展に伴い、高密度情報化社会へと移行するものと思われますが、このような新しい社会に対応するため、能率の高い輸送技術開発し、これを駆使して、全国土をおおう均衡のとれた交通網整備を進めてまいりたいと考えております。  まず、全国新幹線鉄道網につきましては、鉄道建設審議会の決議もこれあり、国土最高度利用をはかる観点から、建設すべき路線等を定めた基本計画を早急に策定するとともに、所要の調査を進めたいと存じております。  次に、国鉄財政再建につきましては、わが国総合交通体系に占める国鉄の大きな役割りにかんがみ、昨年九月に閣議決定された国鉄財政再建に関する基本方針に沿った諸般措置を講ずるとともに、この国鉄がその経営努力によって実施する輸送及び経営近代化推進等について、十分に指導監督していく所存であります。  また、これに関連して、青函連絡鉄道建設を引き続き推進する一方、本州と四国との間に鉄道道路併用橋建設するため、来年度新しく公団を発足させることといたしたいと存じます。  次に、空港整備であります。近年、航空輸送需要は、激増の一途をたどっており、また、これに応じて航空機大型化、超高速化への傾向も顕著となってまいりましたが、これがため、国際、国内いずれの空港に問わずこれが整備は緊急の課題となっております。  このような事態に対処して、昭和四十六年度当初の供用開始を目ざして、新東京国際空港建設を引き続き推進するとともに、四十五年度より新たに空港整備特別会計設置し、空港整備計画推進を一そう強力に進めてまいりたいと存ずるものであります。  また、海陸輸送の接点であると同時に、国土開発基盤となる港湾整備につきましては、港湾整備五カ年計画を引き続き推進することにより、流通港湾開発港湾等整備を積極的に進めてまいりたいと存じます。  以上申し上げました各種交通関係社会資本充実にあたっては、海陸空それぞれの交通機関特性を生かしつつ、有機的流通性を持ち、国民経済的な視野に立った交通体系形成をはかることに配慮いたしたいと考えております。  第二に大都市交通対策強化であります。  御承知のとおり、都市化進展大都市周辺住宅地拡大により、都市交通需要はきわめて旺盛なものがあり、輸送力増強をはじめとする各種対策も増大する需要を完全に充足するに至らないため、豊かな都市生活への隘路となっている実情にあります。私は、中枢管理機能をはじめとする各種都市機能適正配置による都市改造長期展望に立脚しつつ、豊かな都市生活をささえる都市交通体系形成努力してまいりたいと存じます。まず、通勤交通輸送対策については、国鉄、私鉄、地下鉄などを有機的に組み合わせた高速鉄道網形成や、これらの高速鉄道バス輸送の合理的な組み合わせによる通勤交通システム確立をはかりたいと存じております。  特に地下鉄については、きわめて効率的な交通手段でありますが、その建設費は膨大なものとなるので、四十五年度から、従前の助成措置拡充強化をはかることといたしたいと存じます。  また、道路交通混雑については、都市内高速道路整備をはかるとともに、公共性の高いバスの優先通行等効率的な道路交通の実現に努力いたしたいと存じます。  第三に交通安全・公害対策強化促進であります。  海陸空を通じて年間九十九万人の被害者を生む交通事故と、住民の健康をむしばむ自動車排気ガス等交通関係公害の克服は、社会開発を進める上からも緊急の課題であります。  交通安全公害行政は、人命尊重という至上命令基づくものであることは、申すまでもありませんが、運輸省といたしましては、各種交通機関を通じて、安全施設拡充整備救難救済体制充実技術研究開発体制確立等各般措置を講ずることといたします。  なお、私は、経営者従業員等交通事業に携わるすべての関係者が、とうとい人命を預かる交通機関の大切な使命を深く自覚し、厳正な規律のもとにその任務を遂行されるよう機会あるごとに強く要請いたしておるのであります。  特に、最近発生した本州東方海域における大型船海難事故につきましては、すみやかにその原因の総合的な調査を進め、対策確立してまいりたいと存じます。  第四に国際運輸における競争力強化であります。  まず、海運につきましては、わが国は、世界第二位の外航商船隊を保有するに至っておりますが、海上コンテナ輸送の熾烈な競争をはじめとして海運国際競争の激化には、まことにきびしいものがあります。このような情勢に対処するため、四十四年度以降六カ年間に、二千五十万総トン船舶を建造することにより、わが国輸出入物資安定的輸送確保することを基本とする新海運政策を強力に推進するとともに、コンテナ埠頭整備海陸一貫輸送体制整備等の諸施策を講ずることとしています。  次に、航空につきましては、国際化の一層の進展に伴い、人的交流はますます活発化するものと予想され、国際航空役割りは一そう重要の度を加えるものと考えられます。  しかしながら、わが国を取り巻く航空界情勢はきわめてきびしいものであると存じます。  このような情勢に対処するため、まず対外航空交渉を通じてわが国国際航空路線網整備をはかる所存であり、また、航空企業国際競争力強化するとともに、特に、航空機乗員養成体制充実強化をはかってまいる所存であります。  以上のほか、国際観光推進地域交通体系整備運輸技術開発促進等総合的運輸政策樹立のための各般施策推進する所存であります。  以上申し述べましたことは、言うなれば、一九七〇年代は、スピードの高速化科学技術高度化、超高密度のシステム化のいわゆる三SS時代であります。私は、このような新時代に特に重要なことは、もう一つのSSすなわち、高度の安全性確立であると思うのであります。運輸行政の分野にはこのような重要な問題が山積しております。  その解決のため、私は最大努力を傾注いたすつもりでありますが、国会皆様方の絶大な御支援なしにはその遂行の困難な問題ばかりでありますので、この機会にあらためて強くお願いを申し上げる次第であります。     —————————————
  4. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 次に、昭和四十五年度運輸省及び日本国有鉄道関係予算大綱について官房長から説明を聴取いたします。鈴木官房長
  5. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) まことに僭越ではございますけれども政務次官に相かわりまして、四十五年度の予算大綱を述べさせていただくことをお許しいただきたいと思います。  昭和四十五年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに、予算規模について申し上げます。  まず、一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は四億四千八百六十二万二千円、歳出予算総額は、他省所管計上分二百三十二億一千百四十九万五千円を含み二千六十二億五千四百三十九万八千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、二百六十億二千七百万一千円の増加となっており、一四・四%の増加率を示しております。  この増加額の内訳を見ますと、行政費では百十億八千七百九十六万一千円、公共事業費では百四十九億三千九百四万円の増加となっております。  次に特別会計について申し上げます。  まず、木船再保険特別会計歳入歳出予算額は四億四千七百九十三万九千円であり、前年度に比較して二千五百五十四万円の増加となっております。  自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予算額は三千二百十五億六千七百一万五千円であり、保険金支払い限度額引き上げ等により、前年度に比較して一千二百三十億四千三百四十八万円の増加となっております。  港湾整備特別会計歳入歳出予算額は一千七十七億一千二百五十万三千円であり、港湾整備五カ年計画の第三年度として港湾整備推進するため、前年度に比較して百八十九億三千五百六十万七千円の増加となっております。  自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は五十九億五千五百万円であり、業務電子機械化推進等のため、前年度に比較して二十億八千三百九十八万二千円の増加となっております。  また、空港整備五カ年計画の第四年度として空港整備推進するため、昭和四十五年度から新たに設置する空港整備特別会計歳入歳出予算額は百八十四億七千百五十三万四千円となっております。  このほか、昭和四十五年度財政投融資計画中には、当省関係分として八千五百三十二億二千万円が予定されております。昭和四十五年度予算におきましては、当省は、次の諸施策重点を置いて運輸行政推進いたしたいと考えております。  第一に、わが国交通関係社会資本は、今日までの長期計画実施努力にもかかわらず、なお年々増大する輸送需要に対して著しく不足の状態にありますが、国土総合開発の根幹となる全国的な幹線交通網整備をはじめ、将来のわが国経済社会発展基盤となる交通関係社会資本整備充実をはかることは現下最大緊要事であります。このため、全国新幹線鉄道網及び大都市交通施設整備促進港湾整備事業及び空港整備事業推進等により、鉄道港湾空港等輸送基礎施設の抜本的な整備充実を強力に実施するとともに、その推進にあたっては、各種交通機関特性を生かしつつ国民経済的に見た最適交通体系形成をはかるようにつとめる所存であります。また、その際、過疎地域における輸送力確保についても十分意を用いることとしたい考えであります。  第二に、最近における経済成長に伴う交通量激増に対処して、交通事故の多発を防止し、かつ、排気ガス騒音等による交通公害の増大を防止するとともに、台風、豪雨等自然災害による被害を最小限にとどめるため、交通安全公害研究所設置巡視船艇整備等による海上保安業務充実強化気象観測網整備等による気象業務充実強化をはじめとする諸般措置を講ずることにより、海、陸、空にわたる交通安全対策交通公害対策及び防災対策の強力な推進をはかり、もって国民生活の安全の確保につとめる所存であります。  第三に、最近のわが国経済をめぐる国際経済情勢の動向にかんがみ、海運航空等国際競争力強化し、対外シェア拡大をはかるため、外航商船隊整備増強国際航空路線網拡充等の諸施策推進する所存であります。また、国際観光につきましては、海外広報宣伝活動強化外客受け入れ体制整備をさらに強化したい考えであります。  以上のほか、海洋開発推進航空機乗員養成体制強化船員教育充実等施策につきましても、大型測量船の建造、航空大学校の拡充海員学校整備等措置を講じ、これを推進する所存であります。  次に、日本国有鉄道について申し上げます。  近年における国鉄財政の悪化の状況にかんがみ、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法により、昭和四十四年度以降十カ年の再建期間において国鉄収入及び支出均衡を回復することを目標として国鉄財政再建をはかることとなり、国鉄自体経営合理化近代化推進するとともに国の財政措置強化を実施すること等を再建基本方針と定めたところであります。  昭和四十五年度の予算の編成にあたりましても、この基本方針にのっとり、損益勘定におきましては、日本国有鉄道財政再建補助金八十三億余円、日本国有鉄道財政再建債利子補給金三十八億余円等を含め、収入支出予算一兆一千六百四十二億円を計上し、また資本勘定におきまして、財政投融資三千四百億円を含め、収入支出予算六千百六十四億円を計上し、工事勘定におきまして、収入支出予算三千九百五十億円を計上いたしまして、山陽新幹線建設大都市通勤輸送の改善、主要幹線輸送力増強保安及び公害対策強化、諸設備合理化近代化等推進してまいりたいと考えております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十五年度運輸省予算説明及び昭和四十五年度日本国有鉄道予算説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  以上をもちまして昭和四十五年度の運輸省関係予算についての御説明を終わります。     —————————————
  6. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 次に、港則法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、海運局支局設置に関し承認を求めるの件の二案を便宜一括して議題といたします。  まず、両案について提案理由説明を聴取いたします。橋本運輸大臣
  7. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま議題となりました港則法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、鹿島内浦合津及び喜入の各港におきまして、港湾施設整備されたのに伴い船舶交通がふくそうしてまいったことなどの事情から、これらの港に港則法を適用し、船舶交通の安全と危険物による災害の防止をはかる必要が生じましたので、同法の別表を改正しようとするものであります。  改正を必要とするおもな事情を述べますと、  第一に、鹿島港につきましては、港湾施設整備進捗に伴い各種企業が進出し、大型タンカーをはじめとする多数の船舶の入出港が予想されますので、港内における船舶交通の安全を確保し、あわせて危険物による災害を防止するため、港則法による規制を行なう必要が生じたことであります。  第二に、内浦港につきましては、貯木場の完成に伴い、大型木材専用船入港するようになり、そのほか各種船舶の入出港増加しておりますので、港内における船舶交通の安全を確保するため、港則法による規制を行なう必要が生じたことであります。  第三に、合津港につきましては、天草上島と前島にはさまれた赤松の瀬戸に位置する狭隘な港である同港に、天草五橋の開通以来、多数の船舶が入出港するようになりましたので、港内における船舶交通の安全を確保するため、港則法による規制を行なう必要が生じたことであります。  第四に、喜入港につきましては、石油中継基地の稼働に伴い、超大型タンカー及び多数の内航タンカーが入出港するようになり、膨大な量の危険物が取り扱われるようになりましたので、港内における船舶交通の安全を確保し、あわせて危険物による災害を防止するため、港則法による規制を行なう必要が生じたことであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、海運局支局設置に関し承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明申し上げます。  この案件は、最近、出入港船舶激増しております茨城県鹿島港関東海運局鹿島支局設置しようとするものであります。  鹿島港は、工業整備特別地域に指定された鹿島臨海工業地帯の拠点として、昭和五十年度を目途に、年間入港船舶一万七千隻、最大船舶二十万トン取り扱い貨物量六千万トンを対象とした工業港として計画され、開発の途上にあります。同地域には、鉄鋼、石油機械、セメント、食品、飼料等の工場が建設されておりまして、一部の企業はすでに操業を開始しており、残りの企業昭和四十六年までには操業を開始することとなっております。  鹿島港における昭和四十四年の入港船舶は百三十三万総トン取り扱い貨物量は二百十五万トンに達しておりますが、今後の港湾開発進捗に伴い、ますます大型船入港激増するとともに、取り扱い貨物量増加するものと思われます。  このような鹿島港港勢進展につれて海上運送事業者港湾運送事業者倉庫業者等海事関係業者が新たに進出し、その事業活動が活発化しておりますので、海事に関する行政手続の利便をはかるとともに、海事行政の円滑な運営を確保するため、同港海運局支局設置する必要が生じてまいったのであります。  以上の理由によりまして、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、海運局支局設置に関し、国会の御承認を求める次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
  8. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  9. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 速記を起こして。     —————————————
  10. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 次に、先般行なわれました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。
  11. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは第一班の報告を行ないます。  第一班は、岡本委員長瀬谷委員と私の三人で大阪府及び兵庫、岡山、広島の三県の運輸事情等実情調査を行なってまいりましたが、特に来たる三月十五日から開催される日本万国博覧会輸送対策及び宿泊対策山陽新幹線工事進捗状況とに重点を置いて調査してまいりました。  まず、万博関係について申し上げます。  私ども一行は、完成を目前に控えた北大阪急行電鉄に試乗し、万博中央口駅に到着、直ちに万博協会事務局にて観客輸送対策宿泊対策等について説明を聴取した後、モノレールで三百三十万平方メートルに及ぶ会場の外観を視察いたしました。協会説明によりますと、エクスポ歴史上、最高参加国七十六カ国を記録したため、観客動員数も五千万人に達するものと見込まれ、また、大阪陸運局調査によりますと、休日一日の輸送人員は、鉄道三十八万八千人、貸し切りバス七万五千人、路線バス二万二千人、自家用車十万九千人、計五十五万四千人にのぼると推定されております。この観客輸送につきましては、中央口に直結する北大阪電鉄の敷設が完成したほか、国鉄及び京阪神急行電鉄におきましては列車の増発、車両の増結、駅の改良等輸送体制拡充を進めており、また、関連道路につきましても、新設改良が順調に進められているとのことでした。  なお、場内輸送につきましては、毎時一万三千人の輸送力を持つ跨座式モノレール完成しており、七カ所の駅を設け、これらの駅からは動く歩道を各展示館に向けて走らせるとともに、会場内には七十台の電気自動車を配置することにしておりまして、一応万全を期しているものと考えられます。  残る問題は、駐車場宿泊設備であります。駐車場につきましては、普通乗用車二万台分、バス千五百台分を設置しておりますが、なお、最近のモータリゼーションの傾向に対応して予備駐車場設置について検討中とのことでした。また、最も心配される宿泊設備につきましては、ホテル・旅館等の増設が進められているにもかかわらず、ピーク時の三月から五月にかけましては、一日約二万五千人から三万人泊の設備不足が見込まれております。これが対策として協会におきましては、社寺の活用、民宿臨時宿泊施設設置促進をはかるほか、広く親戚、知人を宿泊させる運動を展開しております。  以上で万博につきましての報告を終わりたいと存じますが、私どもが実際に会場を見て感じましたことは、想像以上の大事業であり、参加各国が、それぞれ自国の国威発揚の場として力を入れているように見受けられました。いずれにしましても、このような大量の観客の流れを円滑に処理し、かつ交通事故発生の皆無を期するよう万全のかまえをされることが望ましいものであります。  次に、山陽新幹線工事進捗状況について申し上げます。  御存じのとおり当新幹線は、大阪岡山間を昭和四十七年春までに、岡山−博多間を昭和五十年までに開通させる目途建設が進められておりますが、新大阪岡山間におきましては、きわめてスムーズな工事進捗を示しており、用地買収も、本年三月末までには、すべての契約調印を完了する見込みとのことでありました。また、工事につきましても、総延長百六十五キロメートルにわたる全工事区間に対して発注を行ない、そのうち約九六%が着工しているとのことでありました。私どもは、岡山駅の改築工事現場を視察したのでありますが、高架橋はおおむね完成し、これから内部工事に着手するところでございまして、計画どおりの進捗ぶりを示しておりました。なお、岡山−博多間の建設につきましても、去る二月十日に起工式が行なわれ、いよいよ総延長三百九十八キロメートルの工事に着手するのでありますが、すでに一部の用地買収の交捗を開始しておりまして、当局の説明によりますと、当沿線住民は非常に協力的であり、思ったより早く買収が完了するのではないかと申しておりました。当区間の特徴としまして、隧道区間が多く、工事のむずかしさを考えさせられますが、いずれにしましても、昭和五十年までに、東京−博多間が新幹線により結ばれるということは、まことに喜ばしいことと考えられます。  次に、陸運関係について申し上げます。  まず、大阪陸運局についてでありますが、さきに述べましたごとく、万博観客輸送対策が当面の最重要問題でありまして、これにつきましては、万博協会と協力して、コンピューターの活用、時差通勤の呼びかけ等によって輸送の効率化をはかりたいとのことでありました。また、万博以外につきましても、大阪市を中心とする高速鉄道整備につきましてその進捗をはかるため、資金の調達、用地の取得等の面において適切な施策を構ずる必要があるとのことでございました。なお、全国で初めて実施されました大阪市における南北四路線の一方交通の実施の成果につきましては、きわめて良好であって走行キロもぐんと上昇しているとのことでした。  広島陸運局につきましては、中国五県の自動車台数は、近年大幅な増加を示し、特に伸びの著しい乗用車はおおよそ三世帯に一台の割合に達したということでありました。このようなモータリゼーションの進展の影響を受け、バス輸送人目が低下し、私鉄においても十五キロメートルの廃止線を出している現状でありますので、バス及び私鉄路線の運行の維持のため、さらに強力な助成措置が望ましいとのことでした。  次に、港湾施設関係について申し上げます。  まず、大阪港におきましては、目下、南港を中心とした新五カ年計画基づいて建設工事が進められておりまして、南港埠頭には、すでにコンテナ埠頭が二バース完成を見、豪州航路用に使用されております。海運局説明によれば、本年度中には、六隻のコンテナ船が豪州航路に就航し、取り扱い貨物の量は、本年度約百四十万トンを見込んでいるとのことでした。また、最近のフェリー輸送増加は、目ざましく、特に四十六年四月に予定された大阪南港フェリーバースの供用開始を契機に今後一そうの増加が予想されるとのことでした。なお、最近における労働需給関係の逼迫は海運造船港湾運送等の面においても漸次深刻な問題となりつつあり、これが対策の樹立は緊急の課題であると考えられるとのことでありました。  次に、神戸港について申しますと、摩耶埠頭の完成に続いて、現在コンテナーバース九、一般ライナーバース二十一の整備を予定しているポートアイランドの建設が進められておりました。これは昭和四十一年に着工され、総面積四百三十六万平方メートルを埋め立てて、昭和五十年までに完成する予定でありますが、これが完成しますと、現在計画中の六甲埠頭と合わせて神戸港の外貿バースは一躍五十六バースに増大されるわけであります。また、内貿施設につきましても、東部内貿埠頭及び須磨港等の建設を進めており、現在のフェリー増加に対応して、全国でも初めての東神戸フェリー埠頭の工事も進行している現状でありました。なお、神戸海運局においては、港運業の近代化をはかるため推進している港湾運送事業者の集約化はおおむね順調に進んでおり、また、月末月初の集中配船問題の打開のため、出港七十二時間前申告制、輸出申告の割り当て制を実施しているとのことでした。  次に、水島港について申し上げますと、水島航路の水深を深めるとともに、水島臨海工業地帯の整備に即応して昭和四十六年までにE地区用地造成の第二次工事を行ない、これと並行して中央航路及び高梁川航路の整備並びに公共埠頭の建設計画中でありました。  広島港につきましても、近年輸出貨物が飛躍的に増大し、外貿港湾として整備する必要に迫られておるので、国においてこれが促進をはかるよう地元からの要請がありました。  次に、海上保安関係について申し上げます。  第五、第六海上保安本部の説明によりますと、両管区とも最近の海上交通の著しいふくそうに伴い、海難及び海上犯罪の多発地域となっているにもかかわらず、巡視艇の配置が少なく、海上保安対策が憂慮されている現状でありますので、これが増強をはかるようとの要望がございました。  次に、海上保安大学校についてでございますが、本大学校は、海上保安庁の幹部となるべき職員を養成する機関でありますが、本校におきましては、校長はじめ教官、生徒一体となり、きわめて熱心な努力が払われ、よくその教育目的を果たしているものと見受けられました。また、海技大学校からは、校地の拡張、甲二科定員の確保、講堂、体育館等の建設促進についての要望がございました。  また、神戸海洋気象台から、現在の老朽化した春風丸にかわる新大型観測船の早期建造をはかられたいとの強い要望がございましたことを付言いたします。  次に、広島空港における滑走路延長工事の現状について申し上げます。広島空港では、空港整備五カ年計画基づき、海面を埋め立て、滑走路を六百メートル延長して千八百メートルとする工事を実施しておりますが、計画どおり進捗しており、昭和四十七年四月には完成の予定でございます。  このほか、鷲羽山より本四連絡架橋Dルートの架設予定地点を望みながら、関係者より架橋工事等の説明を聴取いたしましたことを申し添えておきます。  最後に、岡山、広島両県知事から受領しました陳情について申し上げます。  岡山県につきましては、岡山空港を第二種空港への格上げ、鳥取−岡山間の定期航路の開設、出雲、隠岐空港岡山空港との航空路の開設、岡山・松山・宮崎の航空路の開設等でございました。  次に広島県につきましては、山陽新幹線建設促進、陰陽連絡新幹線「広島−松江間」の建設促進、国鉄赤字ローカル線の存続、国鉄管轄区域の合理化、離島、辺地等におけるバス路線の確保、外航定期船の広島寄港促進等についてでありました。  以上をもって報告を終わりますが、なお、現地で受領いたしました資料等につきましては、調査室に保管させてありますので、念のため申し添えておきます。
  12. 森中守義

    ○森中守義君 第二班の派遣報告を申し上げます。  派遣をされました委員は佐田一郎委員と私の二名で、派遣期間は二月一日から五日までの五日間で、視察いたしました県は、福岡県及び熊本県の二県であります。  まず、福岡と門司におきまして、運輸省地方機関並びに国鉄九州支社から九州全般に通ずる所管事項について詳細な説明を聴取し、次いで、板付飛行場、新熊本空港、三角港、熊本陸運事務所、熊本鉄道管理局等を視察いたしました。また、国鉄赤字線の一つである高森線については、始点から終点まで乗車し、その実態をつぶさに調査してまいりました。  以下順次、各事項別にその概要を報告いたしたいと思いますが、各機関からはそれぞれ詳細な資料が提出され、それらは調査室に保管してありますので、ここに視察個所順に要点のみ報告いたしたいと存じます。  まず、国鉄関係について申し上げます。  九州支社の説明によれば、国鉄全体の中に占める九州管内の勢力は、営業キロで一三・五%、職員数で二%であるが、収入の割合は、七・八%と低く、また、近代化のバロメーターともいわれる電化、複線化、自動信号化などの施設も全国平均を下回っているとのことでありました。一方、九州地方の経済活動の情勢は、石炭の斜陽化とともに停滞模様でありましたが、幸い、昨年後半ごろから再浮揚のきざしを見せ始めております。また、造成の進みつつある大分臨界工業地帯などを中心に九州への大手企業の工場進出、関門架橋や高速縦貫道の着工、周防灘開発計画の発足等、九州経済は新たな活動を始めつつあります。九州支社としては、これらの情勢に対応して、まず第一に、昭和五十年四月までに山陽新幹線の営業開始ができることを目標に工事の順調な進行をはかりたい、また、同時に、在来線の整備近代化重点輸送体制確立を早めることにしているが、その中で鹿児島本線の電化は本年十月までには、全線電化が達成できることが確実であるとのことでありました。また、管内にある赤字線の一つである幸袋線についてでありますが、地元飯塚市等との話し合いがつき、昨年十二月円満に廃止することが決定したとの報告がありました。全国で初めてのケースであり、今後の参考の一助になるかと存じます。  次いで高森線について御報告申し上げます。  本線は、立野−高森間一七・七キロの線で、われわれ一行は、立野から同区間を乗車し、列車内で、熊本県当局並びに沿線関係町村長、議会議長等多数から、本線についての必要性について真剣な説明があり、かつまた、その存続方についての強い要望がありました。  なお、高森から宮崎県延岡に連絡する高森−日の影間の高千穂線は現在建設線となっており、これが早期実現方についても強い陳情がありました。廃止線と建設線が全く一本のルートを形成しており、地元住民に対しては奇異な感を与えており、地域実情について十分な考慮をした上で大局的見地に立って本問題の解決をはからなければならないことを痛感いたした次第であります。  次に、運輸省地方機関からの管内事情説明のうち、そのおもなる点について申し上げます。  まず、福岡陸運局においては、自動車数の激増に伴う、陸運局、陸運事務所の業務量の増加は著しく、各陸運局共通の問題ではあるが、当局における車両数は昭和二十七年の約十九倍に対し、職員数は三割の増加にとどまり、職員の訓練による能率の向上、業務の簡素化等により当面を切り抜けているが、それもすでに可能の限界にきている状態である、特に出張車検の多い当局としては定員不足は切実な問題であるとのことでありました。しかし、各種の免許処理はこれをできるだけ促進していきたいとのことでありました。また、長年の懸案事項である職員の身分に関する地方事務官制度については、これを運輸省に統一する方法により早急に解決してほしいとの要望がありました。  また、熊本県陸運事務所においては、現在の車検場は、車両増に対し狭隘になっておりますので、隣接国有地に移転したく、その実現方についての要望がありました。  次に、福岡管区気象台からは、職員七百人のうち百二十五人が離島勤務者で、人事運用上苦慮しているとのことでありました。また、限定された定員の中で、気象業務の機能を増進していくためには、近代化された機器の増設が必要であり、その実現方についての要望を受けてまいりました。  九州海運局からは、管内旅客航路の特色として、離島航路が多いこと、経営基盤の脆弱な零細事業が多いことの二点があげられるが、航路の収益性は非常に低く、その大部分が赤字経営状況であります。したがって、今後とも一そうの国及び地方公共団体の助成を推進することにより、利用者の利便に適応した運航体制の確保ができるよう措置してほしいとのことでありました。また、最近フェリー事業は急速に増加しており、管内ではすでに二十二航路に達しており、なお十航路の申請があり、しかも大型化、長距離化の傾向をたどっており、今後十分な対策を立てる必要があるとのことでありました。なお、内航海運業は、政府の内航海運対策推進により一応体質基盤強化がはかられているとの報告でありました。  次に第七管区海上保安本部よりは、狭水道で海上交通がふくそうしている関門港の海難が多発しており、管内全体の海難の二五%に達しており、海難防止と救助の徹底をはかっている。また、朝鮮における警備については、昭和四十年日韓漁業協定が締結されて以来、協定の遵守、指導と取り締まりにつとめるとともに、日本漁船の正当な操業確保すべく特別哨戒に当たっており、昭和四十二年以降は、韓国側による日本漁船の拿捕は皆無で、平穏に操業が行なわれております。しかし、韓国漁船の日本操業水域への侵犯は依然としてあとを断たず悪質化の傾向が目立っているとのことであります。また、中国水域については、日中民間漁業協定が結ばれ平穏の状況であるとの報告がありました。なお、海上機動力の向上をはかるためには、近代化された船舶充実が必要で、その実現方についての強い要望がなされました。  次に門司海員学校からは、生徒の応募状況はおおむね順調であるが、卒業後は外航への就職希望者が非常に多く、船員需給の現状から見て内航船員の確保も重要であり、その調整に苦慮している面もあるとのことでした。なお、庁舎の一部は老朽化がはなはだしく、その建てかえについての強い要望がありました。  次に、門司地方海難審判庁及び理事所から、最近の海難件数は船舶大型化交通量の増大により漸増の傾向で、事件の内容も多様化、複雑化してきている。しかしながら、審判官、理事官の数は少なく、事件の処理に非常に苦慮しているとの報告がありました。  次に、第四港湾建設局から、管内の港湾及び空港整備状況について、また、大阪航空局より管内空港の運用状況等についての報告がありました。今回視察いたしました板付飛行場は米軍基地であるが、運輸省は飛行場北側に隣接して民間地区を設け、滑走路等を共同して民間航空機を取り扱っている空港であり、国内路線の基点となっております。現在エプロンの増設、駐車場の拡張等の計画が進められておりますが、計画の実施にあたっては、民家の移転問題の解決が必要であり、関係者の慎重な配慮が望ましいとの感を受けた次第であります。  次に、新熊本空港について申し上げます。  現在の熊本空港は、滑走路千二百メートルの第二種空港でございますが、当空港周辺は市街地区で、滑走路延長が困難なため、東方約十キロメートルに位置する高遊原に空港を移転して、長さ二千メートルの滑走路を持つ新空港建設中であります。用地買収も終わり、工事も順調に進んでおり、昭和四十六年四月には供用開始される予定とのことでございました。なお、将来の滑走路延長及び国際空港への昇格等の計画もあるやに聞いてまいりましたが、この点につきましては若干の問題点も残されており、県及び運輸省当局の慎重な配慮を要望しておきたいと思います。  次に、三角港について申し上げます。  この港は、現在一万トン及び八千トン船舶の、岩壁各一バースを有する、熊本県内では重要な港湾の一つになっております。三角港における輸入のうち約六〇%は木材であり、三角町長及び関係機関より貯木場設置についての強い要望がございました。  最後に、今回の視察に際し受けました陳情について申し上げます。  北九州港湾管理組合より、関門国際航路の整備等六項目にわたる陳情がございました。また、北九州市長より小倉空港等二項目にわたる陳情がありましたことを申し添えまして、報告を終わりたいと思います。
  13. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御苦労さまでした。  以上をもちまして、派遣委員報告を終わります。     —————————————
  14. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 速記をやめて。   〔速記中止
  15. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 速記を起こして。  先ほど運輸行政基本方針について説明がございましたが、これに対して質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  16. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣が参りましたら大臣にも聞きたいと思いますが、せっかく海上保安庁長官が見えておりますので、先に海上保安庁長官に聞きたいと思います。  最近の大型船海難事故についてでありますけれども、この事故原因等については、大臣にあらためて質問いたしますが、こういう海難事故の場合に、海上保安庁としての救難体制というものはどうなのか。  それから、海上自衛隊のほうではたいへんにおくれて、何か大臣のほうで処分をしたという話も聞いているわけでありますが、海上自衛隊と海上保安庁との連絡——救難を必要とする場合の連絡はどういうふうになっておるのか。  それから、一体救難の責任というのは本来どこが中心になるべきものなのかといったようなことについてお伺いしたいのであります。
  17. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) お答え申し上げます。  第一点の御質問は、海上保安庁の遠距離海難救助体制はどうなっているかということでございますが、一般的に申し上げますと、海上保安庁の遠距離海難救助体制といたしましては、まずきわめて具体的にやっておりますことは、気象、海象の状況あるいは船舶の行動あるいは漁船の出漁状況等を勘案いたしまして、おおむね海難が非常に多く起こるという海域が年間のそれぞれの時期に予想されるわけでございます。たとえば、カムチャッカの東海岸付近、あるいはまた千島列島の南東の海域、あるいはまたマリアナ海域、このようなところには、あらかじめ巡視船を配備いたしまして前進哨戒というものを行なっております。ただ、一月以降起こりましたいわゆる本州東方海域につきましては、このような特別の巡視哨戒というものを、本事件が起こるまではやっておらなかった。しかし現在は、このような事態にかんがみまして、急遽大型の巡視船を常時本州東方海域に配備するという体制をとっております。  それから、その次に、いわゆる遠距離海難体制につきましては、大型の巡視船あるいはまた航空機ということが問題でございますが、まず、非常に遠距離の海難に対処するために、すでに二千トン型の巡視船二隻を横浜に置いておりまして、現在行なっております東方海域あるいはまたマリアナ方面の特別哨戒はこれが当たっております。それから大型航空機の体制でございますが、現在は羽田航空基地にYS11一機が配属されておるということでございます。  それから、第二点といたしまして、このような一般的な体制に関連いたしまして、具体的なかりふおるにあ丸事件が発生いたしましたときの海上自衛隊との関係が一つあるわけでございますが、一般的に見まして、いわゆる海上自衛隊と私どもがどういうような関係に立っておるかという御質問の点でございますが、多少話が前後いたしますが、わが国におきまして、海難救助に関して、いわゆる役所といたしまして第一次責任と申しますか、直接責任を持っておりますのはやはり海上保安庁である、こういうふうに申し上げることができると思います。ただ、そのような責任と任務を持っております海上保安庁が、具体的な海難についていろいろ要請をすることができるという仕組みになっております。その場合は、今度の場合のように海上におきまして災害が発生いたしまして、その発生いたしました災害規模が非常に大規模である、あるいはまた事態が急迫しておるという場合には、自衛隊法の八十三条に災害派遣の規定がございます。この規定基づきまして、海上保安庁長官が必要な航空機なりあるいは船艇の災害派遣を要請した場合には、海上自衛隊がその目的等のために出動することができるということがございます。  そこで具体的な問題といたしましては、この八十三条の災害派遣の規定基づきまして、私どもと防衛庁との間に災害派遣に関する協定がございます。現在はこの協定に基づきまして出動要請をお願いしております。で、かりふおるにあ丸につきましては、出動要請をいたしましたのはそのような法律根拠あるいは協定に基づくものでございます。  それで、このような要請状況は現在どうなっておるかということでございますが、昨年一年間を見ますと、全体でお願いいたしております件数は四十二件ございます。これはすべて八戸、下総等の基地からP2V、大型ヘリコプターその他航空機の出動要請でございまして、昨年一年間について見ますと、艦艇の出動を要請したという事態はなかったわけでございまして、まあおおむね海上保安庁の現在の救助体制の現状とも関連いたしまして、航空機の出動を要請するということが非常に多いわけでございます。  以上でございます。
  18. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 海上保安庁は救助の第一次的な責任を持っていると、こういうことでありますが、そうすると自衛隊の場合は、要請をして、その要請にこたえて海上自衛隊が出動するということになっているというお話なんでありますけれども、船のスピードやなんかの関係、たとえばそれは沿岸で海難事故が起きた、すぐに海上保安庁の巡視船が出かけられるような条件であれば別であります。ところが、先般のように太平洋、いいかげんな遠いところで海難事故があるという場合に、小さな船で、船足のおそいものであったものならば、現地に出かけるまでにいいかげんな時間がかかるだろうということが考えられます。だから、そういう場合には船足の速い、昔で言えば駆逐艦のような、そういったような船がなければ急場の間に合わないのじゃないかと、こういう気がいたすわけであります。いまお聞きすると、二千トンの船が二隻横浜に置いてあるということでありますけれども大型の高速の救助船というものを必要としないのかどうか。それから海上自衛隊のほうがまあ船も大きいし、スピードもあると思うのでありますけれども、その海難事故に際しては、海上自衛隊はやはり何をおいても要請にこたえて出動をすべきではないかという気がするわけであります。ところが、先般はどうもかりふおるにあ丸のときには、だいぶ出動がおくれたということを聞いているわけでありますけれども、海上保安庁との連絡はどうしてうまくいかなかったか、それらの点についてもお伺いしたいし、また、今後の問題として海上自衛隊の船があるいは飛行機が早急に救難におもむき得るような問題、それをもっとスムーズに連絡がとれるような方法は考えていないのかどうか、その点についてもお伺いしたいと思います。
  19. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) 海上保安庁と防衛庁のただいま申し上げました協定の関係でございますが、私、一点だけちょっとことばの足らないところがございましたので補足さしていただきますが、私どもが防衛庁と結んでおります協定は、私どもの要請により海上自衛隊が救助活動に入るということが原則でございます。ただ、ただし書きがございまして、緊急を要し、要請を待ついとまがないと認められる、これは海上自衛隊が独自の判断で出動できるということになっております。たとえば、いま先生がおっしゃいましたように、沿岸で目の前で海難が起こっている、とうてい海上保安庁のほうにそれを連絡するいとまがないというような場合がそのような場合でございます。  それから海上保安庁の遠距離救難に対する大型船あるいはその性能の問題でございますが、大体いまの二千トン型は、私どもの巡視船といたしましては一番優秀な性能を持っておりまして、平均常用速力が二十ノットでございます。それで、確かにある時期急速にそれ以上のスピードを上げるための技術的な手段はいろいろございますが、常時平均的に二十ノットを保持し得るという船型は、まあいろいろ船体がもっとずっと大きくなれば別でございますが、大体技術的に見ましていまの二千トンクラスというのは、そういう意味では現在の最高水準をいっておるのではなかろうかと、こういうふうに思っております。したがって、今後私どもの問題は、あのクラスの船をどのようにして多くつくっていくかということが問題であろうかと存じます。  いずれにいたしましても、その場合でも速力が二十ノットでございますので、かりに二百マイル沖の海難救助に向かうという場合には、即座に出動いたしましても十時間かかる計算になるわけでございます。そこでその場合には、先ほど申し上げましたように、そのような海難が予想される海域にあらかじめ船を先に出しておくということと同時に、やはりそのような海域にすぐ飛び立っていきまして遭難船を誘導するとともに必要なゴムボートその他を投下できるようにやはり航空勢力を確保するということが非常に必要でございます。したがいまして、この間のかりふおるにあにつきましてもいろいろ御指摘のような点がございましたけれども、私どものさしあたっての問題といたしましては、あの事件以後さらに海上自衛隊ともこまかい打ち合わせをいたしまして、連絡が適確にまた早くいくように措置をするようあらためて相談をし直しておるわけでございます。それから特に航空機の出動関係につきましては、双方で従来の連絡方法をもう一度チェックいたしまして、できるだけ早く適確に情報を提供し、また、出動を要請できる体制が今後確実に動くような相談をいたしております。  それから、当面そのようなことでございますが、やはり基本的には海難救助につきまして責任を持っております私どもの遠距離航空救難体制というものが弱いということは、これは否定できないことでございますので、これにつきましてはさらに基本的に大至急その体制を検討するということにいたしておる次第でございます。
  20. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それから、森中さんのいま報告にありましたが、朝鮮海域ですか、あちらのほうでいろいろと侵犯事件というようなことがあるということでありますが、日本の漁船を保護するということと同時に、外国の船の取り締まりを行なうという必要もあるのじゃないかという気がするわけです。その場合に海上保安庁のほうとしては十分に保護と取り締まりと両方がなし得るだけの体制が九州方面あるいは朝鮮海域方面等でいまあるのかどうか、不十分な場合には海上自衛隊とそういう場合にも連絡をとって協力を要請することができるようになっているのかどうか、その点についてもお伺いしたいと思います。
  21. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) 先ほどの御報告、私も拝聴いたしておった次第でございますが、第七管区関係で、いまお話のございました朝鮮海峡の海域における日本船並びに韓国船の操業の問題につきましては、いわゆる昔の李ラインのような意味の日本漁船が拿捕されるということは御報告にもございましたようにここ数年間一件もないわけでございますが、ただお話にもありましたように、向こうの韓国漁船がわがほうの操業水域に入ってくるということはあるわけでございます。で、これにつきましては、私どもはあの方面の基地といたしましては、やはり対島が私どもの一番重要な基地でございまして、対島の厳原、それから少し北へ行きまして、比田勝というところがございますが、そこに二十三メートルで二十二、三ノット出る巡視艇をそれぞれ配備いたしております。これで大体朝鮮海峡方面へ一、二時間で出動できるような体制をとっておりますので、現状におきましては、そのような操業漁船を発見いたしますと直ちに操業海域外に引っぱり出すということをやっておりまして、まあ大体当面の任務は果たし得ているのではなかろうか、こういうふうに考えておりますが、なおさらに日本漁船の保護なり、安全操業、あるいは韓国漁船のわがほうの操業海域の侵犯というような問題につきましては重点を置いて仕事をやってまいる、こう考える次第でございます。
  22. 森中守義

    ○森中守義君 いまの救難関係でちょっと関連してお尋ねしておきたい。  せんだって三角に行きましたときに、たしか去年の事件だそうですが、ギリシャ船であったか、あるいはノルウェー船であったか、ゴムを積んだ船が停泊をしておった。出火原因等はよくわかりませんけれども、たしか二、三昼夜燃え続けた、こういう事件だそうですよ。あそこは八管になりますかね。
  23. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) 三角でございますか、あそこは十管区でございます。
  24. 森中守義

    ○森中守義君 十管の保安部でいろいろ手を打ったけれども、なかなか化学消防機などが手に入らなかった。そこでいろいろ聞いておりますと、キャプテンが適宜な措置をとったかどうかということが問題になっておる。つまり海水を入れたならば直ちに消火できたのだが、キャプテンがそれをあまりしょうとしなかった。荷主に対するいろんな配慮等もあったと思うのですね。そのためにかなり長時間燃え続けて大牟田の三井関係からの化学消防機を借りてやっと消した、こういう事件のようですがね。  そこでお聞きしたいのは、停泊中あるいは航行中ですね、救難の責任は一体だれが持っているのか。停泊中と航行中はどういう分類になっているのか。つまり停泊中の場合には、一般の消防と同じように、沿岸の自治体がになうべきであるのか、あるいは海上保安庁がになうべきものであるのか。むろん航行中沖合いではこれは別ですが、停泊中は、消防の責任はどこがになっているかということと、それと、各管区にこういう大型船舶が火災を起こした場合、積み荷もいろいろでしょうから、やはり化学消防機あたりが必要だ、こう思うのです。そういう場合に、どういう程度のものがどの段階まで配備されているか、その点もちょっと聞いておきたいと思う。
  25. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) ただいまお話のございましたのは、海上における消防の問題であると思います。で、海上火災の鎮圧という問題も、やはり海上保安庁が、海上におきましては第一次責任を持っている、こういうことでございます。  そこで、海上保安庁の現在の消防関係に関する能力でございますが、まず、ただいまお話のございました三角には配属されておりませんが、神戸、大阪あるいは横浜というようなところには、いわゆる専門の消防船あるいは消防艇が配属されております。それで、この専門の消防船は、特に最近四十三年度以降つくっておりますのは二百トン型でありまして、大型タンカー火災にも対処し得るような優秀船でございます。それから、その他の船につきましては、普通の消防能力を持っているいわゆる専用の消防船でございますが、いまお話のございましたように、全国の各港におきましてそういう問題が起こるわけでございます。そこで、その専門的な消防船以外に、私どもの巡視船はすべて消防能力を持っております。したがって、巡視船がおります場合には、陸上の普通の消防自動車よりははるかに強力な消防能力を持っております。  それからもう一つ、巡視船がおりませんで巡視艇がおりますところでございますが、これは従来のたとばえ十五メーターというような小さい船が、私どものその方面における主力でございますが、残念ながら消防能力を持っておらなかったわけでございますが、たとえば四十五年度の予算でも、新らしい十五メーターを十四隻建造いたしますが、これはほとんどすべて化学消防能力を付与いたしております。それで、いま私どもの古い巡視艇が大体百隻以上ございますが、これを四十四年度から計画的に毎年十五、六隻ずつリプレイスするという計画を立てておりますので、数年中には各港に少なくとも一ぱいぐらい化学消防能力を持ったいわゆる巡視艇が配属されるということで、相当この事態は改善されるのではなかろうかと考えております。  それから最後に、港の中におきまして、いわゆる自治体消防と私どもの関係がどうなるかということにつきましては、各地で大体自治体消防と協定を結んでおります。三角の場合、具体的にどうなっているかということを、ちょっといま申し上げるいとまがございませんが、大体原則的に申し上げますと、港内でありましても、たとえばブイにつないでいるというような場合には、私どもが第一次責任をとる。それから岸壁につながれております場合には共同して消火に当たる。大体大まかな原則を申し上げますと、このようなことで処理いたしております。  それから具体的な大型船の消防方法につきましては、水を注入することによって、本船自身が沈んでしまうというような危険性もございますので、一がいには言えないわけでございますが、大体の消火方法といたしましては、ごく普通大型船が行ないますのは密閉消火という方法でございまして、ハッチを固く締めまして空気の補給を遮断いたしまして、酸素をなくして火を消すという方法でございます。それで、それが不可能な場合に初めて船の安全性確保できるところに船をシフトいたしまして、注水消防を行なうというのが大体原則のようでございます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 いまのちょっと関連しまして、海上保安庁の長官に資料をお願いしたいのです。時間がありませんから、きよう質問はやりませんけれども、お話のように、二千トン級のしかも二十ノットの海上警備艇ですね、それからさらに航空機からのいろいろな救助体制の整備、こういうことをおっしゃったのですが、現有がどの程度ありますか。  それと、それじゃ将来そういう足の速い機動力を増すための海難に対する救援の方針というものはどういうものを持っていらっしゃるか、それをひとつ資料であとで出してもらいたいと思います。お願いします。     —————————————
  27. 温水三郎

    委員長温水三郎君) この際、参考人出席要求についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査について、本日、日本鉄道建設公団の役職員を参考人として出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  30. 鈴木強

    鈴木強君 最初に航空局長にお尋ねしたいのですが、いよいよジャンボジェット機が十一日に入ってくるようであります。私は、いま羽田の国際飛行場がたいへんふくそうをしておることをよく知っております。したがって、こういうジャンボジェット機が入ってまいりますに対して、はたして日本の受け入れ態勢というものが十分であるのかどうなのかたいへん心配になります。聞くところによりますと、いろいろな障害があるようでして、あるいは乱気流というものに対する対策をどうするか、あるいは多数おりてくる乗客に対する税関、これはまあ大蔵省の関係だと思いますが、そこいらとの連絡はどうなっておるのか、非常に心配になるものですから、最初に一番機が十一日に入ってまいりまして、その後日本に入ってまいりますおおよその計画をひとつ説明していただきたいと思います。そのあとで、逐次いま申し上げましたようなことを伺っていきたいと思いますから、最初にこれからのジャンボの日本に入ってまいります計画をひとつ承りたいと思います。
  31. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) ジャンボジェットは、いまお話に出ましたように、一番最初には、現在の予定でございますとパンアメリカンの一番機、これは三月の十一日というふうに現在報告を受けております。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 何時に着きますか。
  33. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 夕方の五時に到着をして、たしか十時に出発をする。これはホノルル経由のロスアンゼルスの間を往復する飛行機でございます。自後一カ月おきまして一日二便になり、さらに一カ月おいて三便になる。いまの二便、三便のところにつきましてはまだ計画が確定しておらないようでありますけれども、大体そういうようなめどであるということをいわれております。  それから日本航空におきましては、入手が四月に一機、五月に一機、六月に一機、本年中には合計三機入ってまいります。そうしてその三機で七月の初めに一日一便から始めまして、大体月を追ってその三機をフルに使う、こういう予定でございます。まだ具体的な計画は確定はいたしておりません。  それからノースがおそらく使ってくると思いますが、これの計画は、いまのところまだ、提示を求めておりますけれども、私どもに提示をされておりません。いずれこれも入ってくると考えております。しかし、時期といたしましては、大体日航と前後するころではなかろうかと考えております。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 まあたいへんな飛行機のようですから、この受け入れ態勢というものは相当慎重にやっていかなければいけないと思います。  それで、まず十一日に来るのでございますが、その後の計画をお聞きして、いよいよ本格的にジャンボが運航されるようになると思いますので、そういう日本側の受け入れ態勢、特に安全性の問題、こういうものを中心にしてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  35. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) ジャンボにおきます特殊性は、非常に機体が大きい。まず長さが七十メーター近くございまして、尾翼の高さが十九メーター余、約二十メーターくらいあります。エンジンのスラストがたしか一万九千キログラムが四基というような状態でございまして、これに乗るお客が、いろいろ会社の仕様によって違いますけれども、日本航空の仕様でいきますと約三百六十一名のお客が乗る。全体をエコノミークラスにしますと約四百九十名くらい乗れるというような状態でございます。  そこで、こういう大きいことに伴いましてのいろいろな特殊な問題が起こってくるわけでございます。一つは、まず空中におきまして、大きさ、馬力が非常に大きいものですから、いわゆる後流、翼の先端が特別に渦を巻く、ウェーク・タービュランスと言っておりますが、後流というのが特別に出る。そのために後続機があまり接近しないようにというようなことがまず問題になりますが、これは先般来の新聞で、最初は相当に大きな間隔、あるいは上下の距離をとれというようなことをアメリカの連邦航空局が世界じゅうにNOTAM情報を出したというのがございまして、私ども日本にも到達したのですが、また最近、去る二十八日に、それほどの大きな間隔は要らないというような情報が入ってまいっております。数字で申し上げますと、後方におきましては約五マイル離れるということ、それから上下の間隔におきましては千フィートの間隔をとれ。五マイルというのは若干普通の飛行機よりは大きいのでございまして、普通の飛行機ですと三マイルでよろしいのですが、それよりは少しうしろが長い。下のほうの千フィートというのは普通と同じでございます。初めはそれの倍くらいをとれという話になっておりまして、そうなりますと、羽田におきます混雑に拍車をかけるというふうになると思いましたが、それがいまのように訂正されたNOTAMが出されておりますので、私どももそれに従おうと思っております。  それから、これを離発着させます場合の間隔をやはりいまのような問題から相当広げるということで、初めは四分間隔をとるべきであるという情報が出ておりましたが、それがただいまのようにまた短くなりまして、二分という間隔でよろしい。この二分という間隔になりますと、現在一般の国際線のジェットでとっております離発着間隔と同じでございますので、特別な問題にはならない。かようなことが空中並びに出発についての安全上の措置ということで、ATC、管制関係でとるべき措置の内容になっております。  それから、地上に着きましてから、いわゆるブラストというんで、エンジンから出ます噴射の熱ないし風が非常に強いという問題があります。これにつきましては、若干周囲の動きます人間あるいは自動車関係の、車両というようなものについての警戒といいますか、範囲を広げての態勢をとって、そういう風圧に対する措置考えなければならない。約六十メーター離れまして、エンジンの真後六十メーター離れまして、パー・セコンド・二十二メーターの風力があるということになっております。二十メーターぐらいが大体人並びに車が立っておれる通常の状態であろう、そういうことから六十メーターぐらい後方は必ず離れておらなければならないということで、この間隔が普通の飛行機よりは大きいように思います。  それから、これが入ってまいりますと、まず滑走路の問題が問題になります。施設の面からいきますと、滑走路が問題になってまいります。滑走路は、この飛行機では現在の三千百五十メーターございます羽田のCランウエーで間に合う、ロードファクターつまり有償搭載量を格別に落とさなくても一応間に合う、こういうことになっております。そういう意味で、今度のパンの一番機が着くわけであります。  それから、これが入ってまいりまして、お客を搭載あるいはおろすというスポット——駐機場がございます。この駐機場の面積が普通のジェットに比べますと、一・五倍という面積をとります。この点が若干、いまスポットの拡張工事をやっている最中にそれだけの面積をとられるのはちょっと痛い。通常のDC8で八機分のところが五機分、ジャンボを置きますと五機分とられる、こういうようなスペースになります。現在スポットが三十スポット、搭載用は三十ございまして、それを拡張して十六バースふやそうとしておるわけですが、そういう中で、いま言ったような比率でジャンボが面積を相当とるということは、このスポットの拡張工事をできるだけ早くやらなくちゃならぬという問題に出っくわします。しかし、当面パンが来る程度につきましては、現在五機分のジャンボ用のスポットがございますので、スポットとしてはこれで間に合う、かように考えております。  それからお客が非常に多いわけなんで、この客を受け入れますCIQ——関税、入国管理、検疫、これが非常に時間がかかるというので、けさほどの新聞にも出ておったと思うのです。これをさばきますのに、現在のターミナル・ビルと別に、到着専用のビルをつくろうということで、昨年の十月からこれに着手いたしておりまして、ことしの六月にこれの完成を見る。したがって、パンの一番機には間に合いません。しかし、日本航空がスケジュールで飛ぶようになりましたときには、これが使えるような状態になろうかと思います。そういうビルの整備はそういう状態ですが、中で今度はどういうCIQの取り扱いをするかというようなことについては、けさほどの新聞で私が見ましたところでは、無税のものを持っておる者と有税のものを持っておる者を別な列に仕立てて、無税のものだけの列の者はどんどんフリー・パスに近い状態で出す、有税のものについてのみ従来のような措置をとろう、こういうようなことがいわれておりまして、この辺、私は所管でもこざいませんで、よくわかりませんが、新聞報道ではそういうようなことが言われております。  かような状態が一応の姿でございますが、やはりなお問題はいろいろあると思います。おりましてから都心へのアクセスの問題等はそうでございますし、滑走路が一本しか使えませんものですから、この一本に故障が起こったらどうするかというような問題等々ございますので、これはいまこのジャンボを机上作戦でもってつけた場合はどういうふうになるかというような、いわゆるシミュレーションをここ二、三日続けて練習をしてやっておる、かような状態でございます。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 わかりましたが、なおちょっと疑問の点がありますので重ねてお尋ねしますが、第一点は、局長のおっしゃるように安全性の問題ですね、空中ないしは地上における。この後方五マイル離れて上下は一千フィート、これがあとでアメリカの何か資料によると三マイルになっておるので普通と同じなんだ、上下の場合は普通も同じなんだ。ところが、それともう一つは離着陸の場合は——出発の場合ですけれども、四分間隔か二分間隔でよろしいと、普通の場合ですね。最初受けた情報というのは一体どこから受けた情報なんですか。その辺の明確なはっきりしたものがないとわれわれとしては安心がなりませんから、明確にしておいてもらいたいのです。
  37. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) このジャンボの扱いにつきましては、日本はメーカーでございませんし、いま日本はそういう飛行機もないものですから、いろいろな実験なりそういった既成のルールの内容等につきましては、アメリカの連邦航空局でやりましたものを私どもではそれをそのまま採用しよう——する以外に方法はないというふうに考えております。そういうことで、当初申し上げましたのもアメリカ連邦航空局——FAAからまいりましたいわゆる情報ということでございます。それからさらに短縮されたというのも、これまたFAAからの情報でございます。なぜそういうふうに変わったかということをいろいろ日本なりに聞いてみますと、最初に出しました情報の際には、実験がそう徹底をしていなかった。で、大体のチータを——軍用で使いますこのジャンボ級のC5Aという大きな輸送機がございますが、これをもとにしてそういうデータをつくったといわれております。その後におきまして、ロンドンのヒースローへこの飛行機が飛んだ。また近くパリへ飛ぶというようなことで、それぞれの各国政府から——日本もしましたが、そういった大きな間隔を持つ必要がないのではないか、C5Aとこの機体の構造上相当違っておる点があるので、その辺を十分に実験をしてみてもらいたいという要請が出ましたけれども、その要請に従って、アメリカ連邦政府が新たに実験をした結果が、ただいま申し上げたような最初よりも詰まった姿でよろしい、こういう情報になって出てきたというふうにわれわれは聞いております。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 その当初の実験結果に基づく一つの資料であったということ、それからこれがC5Aという輸送機ですね——陸軍か空軍か知りませんが、の輸送機であったということですから、当初の資料というのは。そうしますと、実際に日本に飛んでまいりますジャンボジェット機についてやったものではない。したがってあとからの資料というのは、実際に飛んで実験した結果の資料であるから、あとのほうが間違いない、こういうことですね。
  39. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) はい。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、当初受けた情報の時期ですね、それから今度受けた情報の時期ですね、これをひとつ明確な年月日を教えてくれませんか。
  41. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 当初に受けましたのは、ちょっと手元の資料はあれですが、私の記憶によりますと、二月の二十八日ごろであったと思います。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 ことしですか。
  43. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) ことしです。それでさらに受けましたのが、これはもう最近でございまして、たしか今週の月曜日くらいのアメリカの情報であると記憶いたしております。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 今週ですか。
  45. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) はい。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 これはまあ航空機の場合でもそうですけれども安全性というものはもう絶対的なものだと思うのですね。ですから、私は局長のおっしゃるように、日本で残念ながらジャンボジェット機をつくることができない。したがって、アメリカのつくったものを買っているわけですね。したがって、何とかこれは実際に現地において実験等に立ち会わしていただいて、日本が実際の目で確認するような方法くらいとっても私はいいと思いますね。こういうふうな配慮はしなかったのでございますか。
  47. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) これは、最初は非常に安全度を高く見るということで、二十マイル、四分間隔、二千フィートというような間隔をとろうとしたわけでございますが、その後メーカーでありますところのボーイング社が直接にそういう実験をさらに重ねてやった。日本航空におきましても、御承知かと思いますが、モーゼスレイクでジェットの訓練をやっております。そのものずばりではございませんけれども、やはり現在やっております訓練の合い間におきましてこういった後流に関するテストを自分なりにやってみまして、それでいまのような大きな間隔をとる必要はない、しかし数字的にどれくらいがいいかというぴたりとした数字はもちろんまだ飛行機が入手されておりませんのでわからないということで、そういう意味から連邦政府に申し入れをいたしまして、もう少し詳細なるテストをやってくれということを頼んだわけでございます。われわれ政府のほうからも頼みました。それから英仏からも同様にそういう依頼がいきました。それらが集まって具体的なテストをやった結果が、いま申し上げたあとのほうの、間隔を縮めてもよろしいという情報となって出てきたと聞いております。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 これは私は少しくどいようですけれども、後々のためにはっきりしておきたいのでございます。大臣にもちょっと御所見を承っておきたいのですけども、実際にジェット機の運航を許可する、しないはやはり運輸大臣の権限にあるわけですね。したがって、その安全性というものが確認されなければ原則として許可できないと思うのですね。それを皆さんの直接の手によって安全度はどうかということが実際に確認できない。要するにアメリカを信頼しその資料に基づいて、こういう間隔でよろしいというようなことで、出発の場合は大体それでよろしいというふうに考えて、これは認めたと思うのですね。言うならば、少しあなたまかせのようで、私はアメリカを信頼しちゃいかぬと言うわけではないのですけれども、まあそのくらい、ときには直接航空局から向こうに行って、そういう点も一緒に研究に参加させてもらって、絶対だいじょうぶだ、こういうような確信を持ってやはりこの運航を許可してもらわなければ、非常に心配が残るように思うのでございますがね、そういう配慮をしなかったことについては、私はたいへん不満でございます。そのために国民の税金が使われても私は一向文句を言わないと思う。そういうところにこそ金を使っておやりになったらどうですか。そういうこともやらないで、十一日に飛んでくるということになりますと、たいへんこれは心配です。いかがです。
  49. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 鈴木さんの御質問の意味はよくわかりますし、またごもっともだと思います。一応飛行場の管理は運輸省航空局がやっているのでありますから、離着陸についての一応責任は運輸省にあるわけでありますから、それだけの手段を一応とっておくほうがよりよかったと思うのです。ただいま航空局長がお答え申し上げましたように、機械それ自体はアメリカでつくる、かつまた連邦政府、ことにアメリカは超安全性、私も先ほど所信表明で、スピード化の時代は超安全性、安全をよほど考えないと間違いが起こりやすいということで、つとめてこの点は航空局の職員には徹底するまで話をしておるわけであります。ただ、十一日に参りますからして、したがって、いまここでもって現実に向こうへ行って実地検査をするというわけにもまいりますまいし、ただ問題は、飛んでおるときの安全性、これは一応航空会社並びにアメリカの連邦航空局でやったデータをもとにして、これを信用する以外に道はないと思います。問題は離着陸の問題ですから、ことに間隔が従来五分間ぐらい必要であるといわれておったのが、最近試験の結果は二分間でよろしいというようになったということでありますけれども、ただ何せ今度の十一日にジャンボが来るのはこれは初めてのことでありますから、相当われわれとしてもなれないものが来るのですから、そう規則どおりにぴしゃっとやれるかどうかは非常に問題があろうとも思います、関係者の技術的ななれ、ふなれもありますから。機械の性能自体は確かにそうだろうと思う。問題はしかし人間が扱うのですから、人間の訓練がそこ主でいっているかどうかという問題もありましょうし、その点は十分に航空局がこれに対して慎重なる態度で、必ずしも日本の場合、日本ですぐ飛ばせということでなくてもいいだろうと思うのです。その点よく航空局が相手側の飛行関係との打ち合わせ、あるいは飛行場との打ち合わせ等も行なって、そうしてこの際一種の試験飛行みたいなものですから、第一機ですから、それだけに多少安全性といいますか、時間的余裕を見てやるような方法も考えてもらいたい、このように私も考えます。将来の、おくればせながら、これからジャンボの型もだんだんと大きくなってまいりますからして、将来日本としてはエアバス等も考えなければならぬ、こういう点で、飛行場のつくり方あるいは風の方向とか気象とかいろいろな問題が伴ってくるわけですから、まあ予算の少ない中であっても、これら飛行機の大型化及び日本の国内飛行場網ということも考えて、その方面の実地研究といいますか、そういうもののためには、技術員を向こうへ派遣するということも十分に考えたい、かように考えます。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 まだいろいろ問題があると思うのです。大臣もおっしゃるように、最初の試験飛行的なものですから、この三千百五十メートルのC滑走路ですか、これを一本しか使えないというような状態でございますから、そういう点も一つ問題があるでしょうし、それから羽田というのは海上から入ってくる場合は比較的いいと思うのですけれども、周辺がとにかくうちが全部建っておりまして、今度は貿易センターですか、でかい高いビルも建っております、いろいろな意味において過密都市ですから、そういう面の配慮も一体どうするのか。それから聞くところによりますと、着陸するための自動誘導装置といいますか、そういうようなものもなくちゃいけないと聞いているのです。何かアメリカでそれがないために事故を起こしたということも聞いております。したがって、そういう安全のための万全な対策、これは有視界でやる場合とそれから計器でやる場合とあると思うのですけれども、天候が悪くて、たまたま最初に来たけれども、大雨で離陸が非常に困難だというようなときに対する計器の装置は一体どうなっているのか、それからまた、これを誘導する航空管制官、こういうものに対して十分な訓練をしておるのかどうなのか、こういう点も問題があるだろうし、またこれが参るにつきましては、もっと周辺の人たちにも親切なPRをして、さっき申し上げたように、後方六十メートルはパー・セコンド二十二メートルという風速があるそうですから、そういうこともあわせて十分に啓蒙し、PRして、周辺の人たちにも危険感を持たせないように、こういうだいじょうぶですということもあわせてやってもらわなくちゃならぬと私は思うのです。そういったもろもろの問題がまだ残っていると思うのですよ。ですから、航空局長もたいへん熱心にやられていることは私よく知っております。しかし、最初のことですから、もし万々一にでも問題があったときには、これはもうたいへんなことでございますから、私はきょうたいへん緊急にお尋ねをして、しかもしつこく対策を伺っておるのですけれども、いま私が申し上げましたような数点の問題についても、現状ももっと私聞きたいし、もっとまたひとつ対策を立てていただいて、最初のことですから、離着陸の間隔にしても、あるいは高度の幅の問題にいたしましても、やはり十分に周知をし、安全性というものをもう少し正確にしてやってほしいと思うのです。そういうような配慮もしていただけるかどうですか伺いたいのです。
  51. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 先生御指摘のとおり、航空におきましては安全性ということがすべての事態の前提になるというふうに私ども考えております。過去四十一年に大きな事故を連続して起こました経験をもとにいたしまして、何をおいてもまず安全性であるというふうに考えまして、いろいろ施設的にも、訓練、人的な面におきましてもそういう方向で鋭意やっておるつもりでございます。施設の面におきましては、いまの着陸用のILS等におきまして、一部不備なような点を新聞紙上等でもごらんになったかとも思いますけれども、現状におきましては、国際空港としてまあああいう位置にある羽田空港では一応十分なもの、さらに欲を言いますといろいろあるわけでございますけれども、現状これでまず安全にいける。なお、まあ羽田の位置が半分が海であり、半分が都会、工場地帯というような状態になっておりますので、そういった面への万々一の配慮につきましてはこれは運航のコース等を厳選いたしまして、そういった人家あるいは工場地帯への万々一の被害というものはなくするような管制方式、運航経路の設定というようなことで考えておるわけでございます。管制官その他訓練にいたしましても、訓練の上にも訓練を重ねるということを常時心がけておりまして、来年度の予算におきましてもそういう意味で保安研修所における強化予算というようなものを御審議願うようにお願いして予算を計上しておるつもりでございます。日本航空は今度この747を装備いたしますという立場になります場合に、やはりそういった問題が全部出てまいります。日本航空自体の整備関係の要員の訓練あるいは運航管理体制の整備の問題あるいは乗員の訓練、それからそれらをまた試験検査をします航空局職員のこれに対する訓練、そういったものは逐次アメリカに出し、あるいはメーカーのところに人間を派遣し、資料を取り寄せる、そういったことで七月中までに万全の措置をとるということで現在鋭意進めております。
  52. 鈴木強

    鈴木強君 まあ六月になりますと、到着専用ビルもでき上がるわけですから、いよいよ日航が七月ぐらいから本格的に運航されてくると思いますから、到着専用ビルが建たぬ前から始まるとしおられた、飛行場から都心への乗り入れですねて、相当混雑すると思います。特に局長も触れてこういった対策についても、大臣も言われておりますので、ひとつ万全の措置をとっていただいて、支障のないような体制をとっていただくように強く私は希望して、この問題を終わっておきます。  もう一つ、次に新東京国際空港公団の問題でちょっとお尋ねをいたします。ここは御承知のように農民の方々が強く反対をいたしておるのでありまして、われわれもたいへん心配いたしておるのでございますけれども、先般立ち入り調査をいたしました。そしてその結果、成田空港用地内のいま反対をしている方々の土地を強制収用するということで、千葉県の土地収用委員会に裁決の申請を三日の日になさったようですね。これは運輸大臣もいろいろ御配慮いただいて流血の惨を避けられたことは非常によかったと私も思います。あくまでもこれは現地の方々と納得ずくでやってほしいと私は思っております。これはむちゃやっちゃ困るのです。で、今度の裁決の申請というのは先般測量が済んだ地域に対するものだと思うのですけれども、そうかどうかですね。それから裁決の申請内容というのは一体何なのか。これを最初に伺いたい。
  53. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 今回裁決の申請をいたしましたのは、去る二月十九日に立ち入り調査を実施いたしました十一カ所の土地及び物件の中で、六カ所の土地及びその土地にある物件、これにつきまして今回、三月三日でございますが、千葉県の収用委員会に収用裁決の申請を行なったわけでございます。残りのものについては、また近く書類その他を整えまして申請をする予定になっております。  それで、まず三月三日にやりました裁決申請の内容は、土地につきまして公団の権利取得及び公団への引き渡しを求めるということ。それから物件——立木でございますが、これにつきまして物件の移転、立木の伐採、こういうことを求める。それから土地及び物件に対します補償額、これは任意買収の場合と同一の基準によって算定をして申請をいたしております。以上でございます。
  54. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、収用の時期は一体どういうお考えですか。
  55. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) これは今後の収用委員会における御審査の期間との関連が出るかと思いますが、公団におきます工事の工程から考えまして、希望といたしましては六月いっぱいを希望いたしております。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 それから、補償額は任意買収と同じだというのですけれども、その額は幾らになるのですか。
  57. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 畑が大半でございますが、畑は反当たり百四十万円——失礼いたしました。いまの収用に出しましたところは山林または原野というのが大半でございます。山林、原野につきましては反当たり百十五万円でございます。
  58. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、先般の二月十九日に測量いたしました中で、団結小屋の三カ所と、それから一坪運動の場所、それから平和の塔のところ、これは測量ができなかったわけですね。これに対してはもう一回測量をして、それからまたこういう措置をとろうというふうに考えているのかどうなのか。この点を明らかにしてもらいたい。
  59. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 十一カ所中残りました五カ所、一坪運動の土地が一カ所、団結小屋が三カ所、平和の塔が一カ所というのが今回の裁決申請から、後刻時間を定めて、あと二週間ぐらいのうちにやろうと考えておりますが、これらの土地につきましては、御承知かとも思いますが、収用法三十七条の二というので、そういったところの実際の調査「測量又は調査をすることが著しく困難であるときは、他の方法により知ることができる程度でこれらの調書を作成すれば足りるものとする。」こういうことになっておりまして、当日は飛行機も飛ばした次第で、航空機からの写真その他の資料もございますので、そういうものをもとにして、後々の裁決申請をしたい、かように考えております。もう一度これを調査をするということは考えておりません。
  60. 鈴木強

    鈴木強君 先般の測量の際に、いまの五カ所は空中測量で、航空写真でやったのでもうやらないでやると、こういうことだそうですね。これは大臣ひとつ、反対をする農民の方々は、やっぱり先祖伝来の土地ですから、何としても放したくないという、そういう気持ちもあることは、大臣もよくわかると思うのです。したがって、何とか円満に解決する方法というものに最善を尽くして努力していただきたい、それが私の願いです。  それでもし、土地収用という強権発動になっておりますから、そのことによってまた地元を刺激する、次にまたやるということになりますと、いろいろ問題も出てくると思いますので、この辺はひとつできるだけ接触を深めて摩擦のないような方法でやってほしいと思うのです。なかなかむずかしいでしょうけれども努力をすることが必要だと思います。一面、時間的には、あなたのほうから言わせると、制約を受けているということで、そうかもしれませんが、こういう内容のものですから非常にむずかしい、むずかしいだけに時間もかかるかもしれません、しかしその努力最大限にやってほしい、こういうことを私は強くお願いをしておきます。  それで、大臣が他の委員会に出られる予定もあるようですから、鉄建公団の問題でちょっと伺っておきたいのです。あとは関係の方でけっこうです。  きのう行政監理委員会の安西正夫委員以下六名が、鉄建公団は政府出資を飛躍的に増大して国鉄の負担を軽減しない限り、これは廃止したほうがいい、こういう考え方をまとめておるようですね。これは私は、大臣の御説明を聞きまして、日本鉄道建設公団というものが、鉄道新線の建設をするために、まあいろいろ産投会計から、あるいは財投、政府保証債、それから国鉄出資、特別債券、補助金等を含めて、相当の額を支出することになっていますね。しかもいま新しく新幹線とか、この鉄道建設というものが考えられているようです。こういうものとの関連で、またそこにも鉄建公団に対して二億円でしたか、調査費がついておるようですね。そうしますと、行監の皆さん考えておる鉄建公団というものと、それから運輸省当局が考えている鉄建公団とは違うのですね、御説明を聞いてみて。全く相反する形が出ておるわけで、一体なぜそういうことになったのか。この公団設立の趣旨から考えまして、今日まで一体鉄建公団というのは何をしてきたのか、少なくとも行監からそんなふうに考えられるということは、またそういう事実もあるのでこざいましょう。少なくとも行監が、六人の方々が相談をした結果出した結論ですからね。そこらに、どうしてこういう食い違いが出てくるのか、私にはわからない。それをまず大まかなところを大臣から御説明をいただいておきたいと思います。
  61. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 行政監理委員会の答申は御承知のとおりでありますが、まあおそらく行政監理委員会の方々はある意味においては、この国鉄に対して理解ある態度を持っておるのではないか。ということは、やはり国鉄が国の輸送機関の中心でありますから、かっては独占的な威力を持っておったわけです。最近はそうもいかない。トラックの力とか、内航海運の力が出てきまして、必ずしも独占的な仕事はできない状態でありますから、かなり競争の原理といいますか、そういうところに立たされておる。それだけに国鉄自身は非常に経営上なかなか容易でないものがあります。したがって、新線を建設するにあたって、国鉄がそのまま、いわゆる必ずしも三年や五年でもうかるわけではありませんから、そういうものを引き受ければそれだけ赤字はふえることにもなりますからして、したがって、やはり鉄建公団が国の力をある程度といいますかできるだけ多く借りて、そこで鉄建公団がある意味においては国の出資を大幅にふやしてもらって、そして安い鉄道といいますか、安いといってもなかなか安くできませんけれども、それにしてもいわゆる独立採算の立場ではなく、国鉄のほうはいつも独立採算の立場ですからして、そういう意味でこの鉄建公団がやはり産業開発、あるいは文化の地域格差の是正、そういう鉄建公団が持っておる役割りをある程度十分に果たされるためには、国が思い切って鉄道建設公団というものをやる以上は、国自身が村政出資をしてやらなければ容易じゃないのじゃないかという意味のことを、どちらかといえばある意味において助け船を出してくれたと、私はこういうように考えて理解をしております。そういう意味で、たとえば皆さんからいつも御指摘を受けるように、当然国が背負うべき運賃、たとえば貨物運賃、生鮮野菜等の問題についてはコスト割りでやらせておる。しかし、原則は国鉄が独立採算であるわけです。やむを得ず国から本年度は百二十何億というものをもらいましたけれども、従来は、一昨年はわずか三億の金をもらっただけであります、四十五年度において初めて百二十億の国の出資をつけ加えてもらった。これは私は国の物価政策、そういうものに国鉄は協力をしておる、そういう意味で、当然国がある程度助けるべきであるということを強く主張して、一応一部認められたわけであります。しかし、結局今後全体としてそういうことをこれから続けていくことはなかなか困難でございましょう、国鉄再建計画ができましたし。しかしながら、将来やっぱり国鉄が引き継ぎを受けるのは、新線ができますと結局は国鉄が受けざるを得ないわけでありますので、その場合に高くつくったものを譲られたのでは国鉄は容易ではない。そういう意味で、できるだけ安く鉄道建設ができるように、そのためには国の出資が多くなければこれは安いものができないわけです。ところが、従来、鉄建公団の政府出資を見ますというと、必ずしも政府は思い切った出資をしているとは思えない。国鉄が大部分をしょっている。これでは同じことです。赤字団体が赤字を出しておるのに金を貸しても手助けにはならない。そういう意味で行政監理委員会が、鉄建公団に国が思い切って金を出してやる、そして一方、これを引き継いだ国鉄の肩を幾らかでも軽くしてやらなければならぬ、そういう意味で、鉄建公団をやめろというのではなく、鉄建公団の符割りを十分に委員会が認識して、その上で国鉄の将来のために、できるだけ安く鉄道国鉄に引き渡してやるためにはそうすべきではないかという鉄建公団の体質改善を提案をした。ある意味においては、国鉄の持つ輸送におけるところの主役割り、これをやはり委員会のほうも認識しておる、そういう立場に立って、ある意味においては激励の答申だと、私は人間楽観的にできておりますからして、あるいはかってな解釈かもしれませんが、皆さんもあの答申をごらんになってある程度そういう趣旨が盛られておると、かように御理解願えるものではないだろうか。私もその線に沿って今後鉄建公団の政府出資割合をできるだけ多く、政府の出資を多くして、国鉄の出資をできるだけ少なくしていく、そうして当然国鉄に与えられた過剰な負担を、これを国がある程度肩がわりしてやる、こういうような方向に進めていきたい、かように考えておりますので、まあ専門家の皆さんに今後もいろいろの御意見を拝聴した上で、私としての政策を進めていきたい、かように考えておる次第であります。
  62. 鈴木強

    鈴木強君 まあ大臣は主管大臣としていろいろ勉強され、研究された結果、行監委に対する判断をそうおっしゃったと思いますから、私も信用したいのですけれども、しかし、もう少し鉄建公団の経理の内容、それから今日までの歴史的に果たしてきた数年間の経過等をよく私は勉強さしてもらいたいと思うのです。その上でもう少し私の意見を申し上げたいと思うのですが、とにかく行監委からそういうことが出た以上は、この機会に国会はもう少し突っ込んで鉄建公団の内容についても私は検討する必要があると思いまして、こういう提起をしたわけです。まあ大臣、ほかに御用があるようですからけっこうです。  あとは鉄監局長と、それから公団の役員の方がいらっしゃっておりますから、時間がありませんから、私はきょうはある程度資料をたくさん要求します。あときょうお聞きしたいのは、この鉄建公団の資本金の総額です。そのうち政府出資と国鉄出資は一体どうなっているのか。その点と、それから大まかに言って収支の状況というのは今日までどんな状況であったか。これを最初に承りたいのです。
  63. 町田直

    政府委員(町田直君) 四十五年度末で資本金の総額が千百二十七億五千四百万円、その中で政府の出資が四百五十一億、それから国鉄の出資が六百七十六億五千四百万円でございます。  国鉄の出資の内訳でございますが、現金と現物に分かれておりまして、現金が五百四億五千六百万円、それから現物が百七十一億九千八百万円、以上でございます。
  64. 鈴木強

    鈴木強君 収支状況は。
  65. 町田直

    政府委員(町田直君) 収支と申しましても、何と申しますか、公団は御承知のように線をつくりまして、それを国鉄に貸しまして、その貸し賃で運営していると、こういうことでございます。毎年の決算におきまして収支償なっておると、こういうことでございます。
  66. 鈴木強

    鈴木強君 それは収支決算四十三年まではわかりますね。四十四年はまだですね。四十一、二、三ぐらいのひとつ収支決算と、それから四十四年度はおおよその見込みでいいですから、どういうふうになるか、その姿を、これは資料として出していただきたいと思います。  それから、これも資料で出していただけませんか。今日まで鉄建公団がおやりになった建設ですね、これはどういう新線をやったかということを、これをひとつ線別、それから期間別、工事規模、これは規模は金も入りますね。それからそれをやった会社——会社と言うか、下請があるでしょう、関連会社が。どこに請け負わせたのかということ、それからそういう関連の建設会社、そういうものもひとつ詳細に出してください。やったやつを全部、各年度ごとのそれを、そういうふうに資料で出してもらいたい。
  67. 町田直

    政府委員(町田直君) ただいまの四十三年までの決算、それから四十四年度の見込み、かしこまりました。  それから現実につくりました線の延長あるいは金額、線名ということで、けっこうでございます。  下請会社につきましては、政府といたしましては現実には把握いたしておりません。直接やっております公団のほうから資料を取りまして提出いたしたいと思います。また、公団と相談いたしまして、その上できめたいと思います。
  68. 鈴木強

    鈴木強君 けっこうです。出さぬ相談じゃないと思いますから、出す相談をしていただきたい。どこの会社が下請をしてやったかということを明確にしてもらいたい。  それからもう一つの資料は、総裁とそれから役員の皆さんの御経歴ですね。それから手当その他も失礼にならぬように出していると思いますけれども、そういう点も幾らになるか、これもひとつ資料で出してもらいたいと思います。  そこで、私はもう一つ伺っておきたいのですけれども、大臣は行政監理委員会は激励してくれたのだというお話なんですが、もしそうだとすれば、鉄建公団は今日まで一生懸命御苦労されていることは私も心から感謝しますけれども、たいへん残念な事件が起きておりまして、埼玉県警捜査二課、そこと越谷警察署が、同県南埼玉郡八潮町八条三千九百九番地、武蔵野銀行越谷支店和井田重男氏と、同県越谷市御殿町、会社役員長島喜一氏の二人を、日本鉄道建設公団が建設を進めている東京外環状線の用地買収にからむ贈賄の容疑で逮捕状を用意して取り調べるとともに、この和井田さんと長島さんの自宅を捜査したと、こういう記事があります。同時に、越谷署は元同公団用地第二部二十四係長の常盤こと小高甲を越谷市内の公団の代替地を不正に売り飛ばした疑いで逮捕しているが、今度新たに用地買収での贈収賄事件が明らかになった。調べによりますと、同線の越谷貨物駅予定地の買収にあたり、小高に数百万円を渡し便宜をはかってもらったいうことらしい。ひとつこの事件の経過をまず伺いたい。   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕
  69. 壺井宗一

    参考人(壺井宗一君) このたびは元職員、私たちの東京支所の職員でありました小高甲が不正事件をやりまして、たいへん申しわけないとおわびいたします。  いま先生がおっしゃいました、本日ですか、本日の新聞の武蔵野銀行越谷支店の次長の事件につきましては、私たちも新聞で初めて知ったわけでございまして、詳しいことはわからないので、さっそく警察にも事情を聞いておりますけれども、捜査上の秘密ということで詳しいことはわかりませんで、ただ、新聞によりますというと、いま先生がお読み上げになりましたように、埼玉武蔵野銀行の越谷支店の次長等に、公団がこの土地を買収するはずになっておるということを、小高甲なる者がこれを漏らしまして、そうして不動産屋に買わしてしまった。そうしたら事情変更によりまして、その土地を公団が買わなくなった、不用にしたということで、不動産屋とごたごたやりまして、また小高に頼んでそれを買い戻したというような事件のように聞いておりますので、これはいまのところ、私たちの公団とはまあ関係がない。ただ小高個人がその間にお礼を取ったということがあるかもわかりませんけれども、その点につきましては、彼が在職中のことでございますので、非常に残念に思っておる次第でございます。  それから、後ほど、先生が申されました事件でございますが、これは新聞にもたびたび出ておりますので御承知と思いますけれども、この元職員、いまは不動産業をやっておりますが、この小高甲なる者が在職中に、昭和四十二年十二月ころより、四十四年の一月末ごろにかけまして、いま申し上げました武蔵野東線越谷貨物ヤードの用地買収にからみまして、代替地及び残地計十三筆で、帳簿価格は二千二百七十六万幾らということになっておりますけれども、これを彼の友人である、地方建設時代の友人である石井秀夫なる者と共謀いたしまして、支社長公印を盗用し、ということになっておりますが、いまのところ盗用したのか、偽造したのか、はっきり警察も結論を出しておらないような次第でございますけれども、登記嘱託書その他の必要な書類を偽造いたしまして、石塚栄一という、これも不動産業者と聞いておりますけれども、その間で新井勇外五名の所有の土地五千二百五十一平米でございますが、これも私たちの知らないうちに交換いたしまして、それを越谷市の開発公社、代表者は市長でございますが、その公社へ、その土地を三千五百万円で売り渡して、その代金を騙取したというような事件でございます。これは、実は発覚の動機は、これは当然、どうしてこういうことを、わかり切ったことをやったかと、非常に理解に苦しむわけでございますが、この土地を日東ボタンなる会社と交換いたしまして、そして鉄道の、まあ越谷の貨物ヤードの建設にするということになっておりますので、日東ボタンと、その一部の土地を交換するということで、昨年の十一月二十六日に土地交換契約を結びまして、実地に、これを登記所に参りまして確認いたしましたところが、私たちの土地であると信じておりました土地が、石塚栄一なる者の名義に変わっておったということで発覚したわけでございます。そこで、直ちに東京支社長は本人を呼びまして、事情を話せということでやりましたところが、これが十二月の三日でございますが、本人が一部を自供し始めたわけであります。それで驚きまして、いろいろ私たちも捜査いたしまして、証拠書類その他をつくりまして、一月の十七日に警察に告訴したわけでございます。そういうことで、この事件は、まさに公印を、公印と申しますか、支社長の印を盗用したか、偽造したかというところに大きな原因があったわけでございまして、その点は、その保管責任の体制が、どっかに欠陥があったんじゃないかということを深く反省いたしまして、   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕急遽対策を立てて通達しておるというような状態でございます。それにつきまして、今後は、現在公団といたしましては、無断で交換されました土地十一筆につきまして、公団の所有でなしに、登記は石塚某なる者になっておりますので、これを何とか返還させるということで、これだけが問題になるわけでございます。そこで、さっそく仮処分ということでその石塚の名義になっております土地は、これを移転禁止の仮処分を裁判所に申請いたしまして、これを決定したわけであります。もちろん御承知のように、これは本訴つまり所有権移転登記抹消請求の訴えというものを前提といたしまして、仮処分の決定がなされたわけでございますが、当然、本訴をやるべく、目下準備しております。顧問弁護士と相談いたしまして、そのことを準備しておる次第でございます。これは申すまでもなくその理由といたしましては、私たちは交換契約は無効であるということを主張するわけでございます。先ほども申しましたように、公団といたしましては、本件の交換契約をした覚えは全然ありません。また、その登記をした覚えは全然ありません。したがって、登記原因を欠くものであるから無効であるということを主張するつもりでおるわけであります。それで、かりに石塚某なる者が善意の第三者ということで抹消いたしまして、万々敗訴することはないと思いますけれども、もしか敗訴するというようなことがございましたら、交換契約が有効になりますから、これは第二番目の越谷市の開発公社を相手取って、訴訟をいたすつもりでございます。それは結局公団と越谷公社との売買契約が問題となるのでありますが、この場合も、先ほどの石塚に対するものと同様に仮処分をかけまして、本訴を提起して争うということになると思います。幸い十一筆のうち、どうした拍子か、向こうの手落ちか、間が抜けておったのかしりませんが、三筆だけは公団名義のままになっておりますので、これはさっそく、私たちの登記の移転の禁止ということで、登記所にさっそくまいりまして、これだけは押えておる。結局は被害にかかったのは八筆ということになっている次第であります。以上でございます。
  70. 鈴木強

    鈴木強君 こういった不正の事件が起きますのは、私どもも、この四、五年国会でいろいろ各省の事件を見てきておりますけれども、一つには本人の不心得ですね。避くべからざるといいますか、行為的に本人が考え出してやったという、いわゆる個人の問題に起因するというもの。もう一つは、やはり制度上あるいは内部牽制上いろいろな手落ちがあって、そこを間隙を縫って、これも本人が悪いのですが、やるという事件に大体分かれると思うのです。この事件はまだ起訴はされていないのですね。したがって、いずれ法廷で争われることになると思うのですけれども、私はそのことはきょうは触れません。ただ一体、買収権限というものは、だれが最終的に決裁するのですか。少なくも、その責任者の判こが盗用されているということになりますと、これは重要な判この保管に対する責任も出てくるでしょうし、一体、こういうルーズな保管は——ルーズだと思うんですぼくは、保管のやり方について。ですから、公団の内部の組織というものを、もう少し、私も実際に見ないとわかりませんが、あまりにもずさんだと思うのです。そして、一個人がそういうことを判こを持ち出してかってにやれるのですかね。そういうことになっているのですか、これは。
  71. 壺井宗一

    参考人(壺井宗一君) 先ほどの買収の権限と申しますのは、もちろん総裁でございますが、ここでは東京支社長に全部委任しております。支社長の権限で買収はできるということでございます。この事件は用地の買収そのものの事件とは全く違いまして、先ほど申しましたように、かってに小高甲なる者が、買収契約書を自分のうちでつくって、そこで支社長の公印を盗用した、俗なことばで申しますと、どろぼうしたというようなことになるかもわかりませんけれども、それを勝手に押して売買契約を結んだということでございます。そこで先生が御指摘のように、公印の保管体制がルーズではないかということを言われましたが、かかる事件が現実に起こったわけでございますので、まあ弁解の余地はないわけでございますが、弁解をさせてもらいますと、公団は公印の取り扱い規程というものを、これは非常に厳重なものをつくりまして、常に小さい金庫にそれを置きまして、公団の保管責任者は総務部の総務課長ということになっておりまして、補助者は文書係長ということになっております。公団の公印を押す場合には、一々手続書を持ってこさせまして、手続書と対照いたしまして、判こを押すという体制にはなっておるわけでございますが、たまたまどういう——その点は警察の調べがないとわかりませんけれども、われわれの想像では、用地買収については非常にたくさんの、一度にたくさんのものが出てまいります。ことに登記につきましては、一つの登記でずいぶん、多いときには、三百、四百というような登記でございますので、その点で盗用されたんじゃないかというふうに注意しておりますが、さっそく総務課長を招集いたしまして、今後はいかなるものでも手続書と対照して、登記であろうが、何であろうが、とにかく現物の手続書、さらに詳しい手続書をつくってそれと対照してでなければ——しかも本人が押せということを厳重に注意しておる次第でございます。  また、残地の問題でこの問題が起こったわけでございますので、代替地、残地、直接本線用地に使わない残地といえども、年一回以上は登記所に参って登記書と実地と対照する、符合するということを厳格にやれということをやっております。  その他、もう一つは、不動産を登記する場合は、これは先ほどちょっと申しおくれましたけれども、副本でよいというようなただし書きがありますが、これは副本によらないで、原本をもって厳重にやれというようなことも申しておる次第でありまして、この事件を契機といたしまして、われわれは厳重に、二度とこのような事件が起こらないように厳格にやる決意でおりますので、どうか皆さまよろしくお願いいたします。
  72. 鈴木強

    鈴木強君 きょうは時間ももうありませんしするから、委員長、私はこの事件を取り上げましたのは、行監との関連、さらに施設当局が全国新幹線鉄道網九千キロ、十一兆というふうな、いろいろこれからの計画についても、建設の施工本体の中に鉄建公団が入っていくというふうな話も聞いているだけに、きのうきょうの新聞に出ましたこの贈収賄汚職事件というものを非常に残念に私は思っております。もう少し、私もこの鉄建公団の組織機構その他 責任体制はどうなっているか、総務課長の、保管責任者であるにかかわらず、その人がどういう当時状態にあって、その小高という人が判こを持ち出したのか、そういった事実関係についてはもう少し私も調べてみませんとわかりませんから、内部牽制組織はどうなっているのか、こういう点ももう少し詳細に私は調べさせてもらって、その上でまたあらためてこれはやりたいと思っております。  とにかくこういうことはいいことではないのですから、お話のように姿勢を正し、内部牽制組織についても念には念を入れてやっていただきたいと思います。もちろん私は、土地買収ということはたいへんなことですから、新幹線のときも近江鉄道の膨大な、何か地方鉄道軌道整備法によって風景を害するということでたいへんな金を出しておりました。これは決算委員会で問題になりましたけれども、私たちは現地まで行って見ました。そういうようないろいろな問題があって、時期が迫っている、さあ買わなければならない、相手がある、たいへんなことだと思います。その御苦労は重々わかっておりますけれども、それだけにまた一面、内部の体制ということをしっかりしておかないと、ちょっと不心得者がおりますと、そういうことになってくると思います。これは、この小高さんという人はどういう方かわかりませんので、ここで聞くのはやめますけれども御経歴その他ももう少し知りたいと思うのですけれども、人の採用というものも、一体どういう採用のしかたをしているのか、いろいろな問題はあると思いますけれども、なお引き続いてこれは伺いたい点がありますので、きょうはとりあえずこれにとどめておきます。
  73. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会      —————・—————