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国務大臣(
橋本登美三郎君) 結論から申しますというと、まだ最終的な
状態には至っておりません。ただ、国会終了後において運輸政策審議会が開かれました際に、将来のこの国際
旅客及び
国内旅客の趨勢等について答申が出されております。
皆さん大体御
承知でありますけれども、たとえば国際線においては、
昭和四十四年度の二百八十万人に対して、
昭和六十年にはおそらく六千万人になるであろう、それから
国内旅客につきましては、
昭和四十四年度においては一千百八十万人であるが、
昭和六十年においては一億二千万人に増大するであろう。まあこれは従来の伸び率並びに将来の混合交通等も勘案をして、それらをお互いに調整しながら計算した数がそのような結果になる。それで、こまかい
空港は別にいたしまして、たとえば
東京空港といいますと、これは成田等を含めましてですが、
東京に要するに入ってくるといいますか、乗降する
お客さんは、
昭和四十四年度には六百万人であるけれども、
昭和六十年には六千万人になるであろう。
大阪も大体
昭和四十四年には六百万人であるが、
昭和六十年には四千万人になるであろう。こういう
一つ基礎的な数字が示されておるわけであります。同時にまた、こういうような増大する
——このとおり増大するかどうかは別問題として、さらに専門家の答申でありますから、一応これはわれわれは尊重しなければなりません。そういう前提に立って考えますというと、当然これに対する
空港整備計画を進めていかなければならぬ。と同時に、いわゆる大型機種にある程度変わらざるを得ない。なかなか
空港整備といいましても、
東京周辺に十も二十も飛行場をつくることは実際上つくれません。そういたしますと、六十名前後のいわゆる中型機に対して、少なくとも
国内空港の場合、三百名前後のいわゆるエアバスに将来は切りかえていかなければならない、こういうことは当然想定されるわけであります。そうなりますというと、従来のYS型でありますと、千五百メートルの滑走路があれば足りる、しかし、エアバスになりますと、比較的滑走距離は短くともよろしいとはいいましても、二千五百メートルの滑走路を備えなければならない。こういうようなことが当然の前提として
整備されなければならない。で、こういう面になりますというと、従来の航空行政というものは、そういう点の前提に立っての、本格的の方針ではなかった、あるいはそういうような条件が十分当時はそろっておらなかった。その後において、そのような条件がますます必要となってまいった。こういう前提を考えますというと、いま考えました
空港整備の問題にしましても、従来のようなテンポで
空港整備をしておったのでは間に合わぬ。こういうことからして、今回の五カ年計画においては、従来の約倍近い予算
措置をしても、もちろんこれは十分ではない、できれば三倍くらいの必要があるわけですが、いろいろな予算の財源等の問題から見て、さようには一挙には拡大できない。しかし、私は思い切って
空港会計を増大、強化する必要があるということで、大体の方針は、新五カ年計画では約倍の規模で
空港整備を進めていく、そうしてできるだけ新しい情勢に備えるようにしていきたい。これは政府のやるべき直接の手段であります。
第二は、
航空会社に今度はひとつ考えてもらわなければならないことは、いま申しましたように、当然この
国内線においては、
昭和四十四年に対して、
昭和六十年は十倍の
旅客増大を来たす、こういう
状態でありますからして、いまの
飛行機の型で、いわゆる中型といいますか、そういう
飛行機では、十倍の
飛行機を運航することは、いわゆる幹線拠点
空港、たとえば
大阪とか
東京とか、こういうところでは、とうていこれは収容し切れない、現在すらも過密
状態である。したがって、これは業界自身も大型機に変わらざるを得ない。すなわちエアバスに変わらざるを得ない。これは一挙にはできる問題ではない。操縦士の訓練、あるいは
機械、計器等の設備等から考えまして、そう簡単には、あしたにこれを大型化に変えることはできません。と同時に、企業自身から考えれば、従来は六億円程度で買えたYSとは違いまして、いやしくもエアバスを買うとすれば、最近の新聞でもごらのように、DC10がもうすでに売り込みが始まってきておる、ロッキードも同様である、DC10を買うとなれば、一機少なくとも六十億円の費用が要るわけであります。しかし、一機だけで運航できるか、これはできません。一トラックで大体において三機を
一つの組にしなければならぬ。ある線から、たとえば
東京空港からある地点にまいる。たとえば北海道の千歳でもけっこうですが、その他の場合におきましても、仙台
空港におきましても、その間においてはエアバスが三機を一組にしなければ運航が円滑にはいかない。そうなりますと、一トラックで三機の
飛行機を
整備する。つまりエアバスを
整備するとなれば、それだけで約百八十億円の金が要るわけであります。したがって、こういうような問題は、あしたにこれを
整備しろと命令したところで、これはできる問題ではありません。しかしながら、運輸政策審議会で示したように、まあ
昭和六十年に十倍になるか八倍になるかは別といたしまして、少なくとも七倍になり、八倍になり、あるいはそれ以上になることは間違いない。それに対処するためには当面、
国内空港の場合においてエア・バスに、ある重要なるローカル線は切りかえざるを得ないことは、これは
航空会社も十分に
承知をいたしておるわけであります。そうなりますというと、従来のいわゆる航空政策といいますか、航空行政でこと足りるかということになりますというと不十分ではなかろうか。こういうことから考えまして、いま私はこうこうこういうようにするという独断的な考えは持っておりません。しかし、これらの問題を踏まえて運輸政策審議会に対して一こういう
状態が前提として考えられる。それに対して、たとえば幹線
空港路線といいますか、幹線路線といいますか、たとえば札幌から福岡とか、あるいは将来鹿児島まで延びるかもわかりませんが、そういうような地点に対しては、この増大量から見てどういうようないわゆる路線を考えたらよろしいか。従来だけでいいのかどうか。あるいはまた主要ローカル線、こういうようなものに対しては、従来のようなものの
考え方で十分であるかどうか、こういう設問をいたしております。同時に、またそれがためには、いわゆる企業の充実といいますか、企業の充実は
一つには操縦士の訓練、あるいは
機関士の訓練等を含めて、その乗員の再教育、訓練及びそれたけのものを
——今度は、いま申しましたように一路線につきましても三機のエアバスが要るのでありますから、それらから考えるというと、従来のような資本
状態、操縦
状態ではたして間に合うかどうか、そのためにはどうしたらいいであろうか、あるいは訓練等についてはどういうような助力と協力
関係を結べばいいか、こういう幾つかの設問を運輸政策審議会に提案をいたして、目下審議中であります。この審議会によっていろいろの御意見が述べられるでありましょうし、また皆さまからもこういう
委員会を通じて御意見が出ると思います。それらの意見を十分に尊重し、勘案し、そうして最終的には今後あるべき航空行政といいますか、航空政策、こういうことをひとつ考えていきたい。長期展望に立つものでありますから、いまきめたからあしたから実行できるというようななまやさしいものではありませんので、できれば、なるべく早くこういうような基本的な政策は決定をして、そうして航空安全、こういうことをひとつのバックボーンとして、そうして三年なり五年かかっても、あるいは十年かかるかもしれませんけれども、その間において、いま申した
昭和六十年度の長期展望に立っての大体充足し得る政策、これをひとつなるべく早くきめていきたい、かように考えて、いま運輸政策審議会のほうに幾つかの設問ですね、結論はまだ出しておりません、幾つかの設問を出しております。それに対しましていろいろな意見が出されましょうから、その意見を十分に尊重し、また
皆さんの間の論議のほうも十分に勘案して、そして新しい航空行政のあり方、その基本政策をできれば年内のうちに決定をいたしたい、かように考えておるわけであります。