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大原分科員 第二の問題は、こういう問題が、大臣、あるわけです。というのは、私は広島ですけれども、広島の電報電話局あるいは電信局等は原爆が落ちましたときに爆心地にあったわけです。その問題で私も数年来議論をしておるわけですが、こういう事実があるわけであります。時間を端折るために事実だけいままでの経過を申し上げておきますと、その当時は郵政
省関係は逓信省といっておりましたが、山口さんという逓信
局長は殉職をいたしたわけであります。これは記録に残っております。当時は官庁自動車もなくて、郵便局の赤い自転車に乗って出勤途上で殉職をしておる、八時十五分に落ちたわけですから。そういう問題で戦争犠牲者を見てみますと、長崎は原爆が落ちました直接下に逓信局とかあるいは電報電話局とか国鉄とかそういうようなまとまった政府の官庁はなかったわけです。広島の場合はそれがあったわけです。それで焼夷弾の場合はわりあいにそういう被害が少ないわけですが、広島では爆心地に近いところで電報電話局や逓信局がありまして、殉職者が出たわけであります。当時その職場におけるそういう犠牲者の中で、職員に対しまして今日の段階で見るとまことに不当な、不公平なことが起きておるわけです。「ほしがりません、勝つまでは」とかあるいは「乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂う」、こういうことであったわけですが、電報電話局で働いておった人たちが数百名おるわけです。その中で、たとえば動員学徒もおったわけです。それから官庁の中では雇用員と判任官以上奏任官もいたわけです。それで、不公平というのは何かといいますと、判任官以上でありましたら、殉職いたしますと遺族の扶助とかあるいは身体障害者の年金等がもらえるわけであります。雇用員の場合は、これは二百三十五名ほどあるというふうに先般も政府委員は答弁しておりますが、二百三十五名は、これはその人が主として家計を担当いたしておる場合には殉職年金が出るような戦時特例があったわけであります。しかし、家計を担当しておらない一般の雇用員は、非常な、言うならば今日では考えられないような差別がありまして、そしてこの人については一時金の
措置があったわけです。しかし、当時インフレの状況や新円封鎖その他あるいは混乱期等で、だれに一時金をやったかやらなかったかということがはっきりしていないわけです。そういうことで、同じような職場にありました動員学徒は、援護法で戦争犠牲者の処遇をいたしまして、当時最初は一時金から出発いたしまして、これは厚生省の
関係でありますが、あとで給与金として年金になったわけであります。改善されたわけであります。それから、判任官や奏任官との差別があったことが一つであります。
もう一つは、国鉄とか、専売の
大蔵省関係は、雇用員の場合でございましても、これは差別をしなかったのです。家計の担当者であろうがなかろうが、戦時特例といたしまして公平に遺族年金も出し、傷害年金も出している、こういう
措置があったわけです。したがって、この逓信省の、今日は郵政省と電電公社の二つに分かれておりますが、その人々は今日までずっとまいりまして、これは改善
措置がなされてないわけです。電報電話局は言うならば国の神経でございましたから、総動員業務として重要業務に指定しておったわけであります。八時十五分には交代いたしまして、新しい人がどんどんつとめておったという状況でございます。みんな日の丸の旗をはち巻きいたしまして、全部戦場と同じだということでやったわけであります。今日そういうところから、わずかの数ではございますが、私は戦争犠牲者に対する救済
措置というものは公平でなければならぬという観点で、この問題を二、三年来そういう資料を全部集めまして議論をいたしてきたところであります。どうも歴代郵政大臣は、いまの井出郵政大臣を含めまして三代の郵政大臣は、河本さんもこれは事情を考えるならばこのままにしておくことはできない、前向きで努力をする、善処をするというお話でございました。昨年の
予算委員会の
分科会で、海堀さん——これはいまどこへ行っておられますかね、答弁しっぱなしでどこかへ行っておるが、海堀政府委員を呼びまして、大蔵省からも答弁をいただいたわけであります。逓信省とか電電公社は
事業体がずっと続いておりますから一応考えて、これは何とかしなければならぬということであります。大蔵省は石頭とは言わぬけれども、理解が少しきびしいわけであります。冷酷なと言いますか、石頭と言いますか、そういう人が一部におりまして、しかし、だんだんとほぐれてまいりまして、海堀さんがいいことを言ったと思ったらいなくなった。あの人が主計
局長にでもなっておればいいのですが、そういうことで、その答弁は引用いたしませんが、私は、やはり当時は公平でなければならぬという観点で、これは給与
課長その他と四の五のと議論はいたしませんが、かなり事情は理解をしていただいておる。だんだんと石がほぐれてきておるようであります。何頭をひねっておられるのか、頭をひねっておるけれども、それは別にいたしまして、私が議論したことで、事実の把握についてはそうむちゃなことは言っていない。それは一々事実の問題と法理論については私はここで議論をする必要はないと思うわけです。この問題は単刀直入に大蔵大臣から、一問一答を積み上げてお聞きしたいのですけれども、時間の
関係でこれで終わりたいのですが、このことは事実をひとつ調べていただきまして、わずかなことでありますので、ひとつそういったことは納得できるような結末をつけてもらいたい。こういう気持ちで大蔵大臣の御意見を聞きたいと思う。