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平林分科員 いま
お話がありましたけれ
ども、神奈川県の実情をちょっと御紹介します。
神奈川県は、御承知のように
首都圏に最も近い、人口の集中度が異常に高い県であります。人口の増加率を調べてみますと、
昭和三十五年度を一〇〇とした場合に、
昭和四十二年度、七年間に人口の増加は、全国平均で一〇六という指数を示しております。東京都の場合は、依然として人口の増加は見られますが、やや鈍化しまして、
昭和四十二年度で一一四の指数であります。これに対し神奈川県は一四一。このほか
首都圏で多いのは、埼玉県の一三六、千葉県の一二四、これが比較的人口の増加率の高い県でありますが、いま申し上げたように、神奈川県の人口集中度は非常に高い。全国で一番である。こういうことがおわかりになると思うのであります。人口の増加によって住宅の需要が大きくなるのは当然のことであります。
このためだと私は思うのでありますけれ
ども、大手不動産業をはじめとする企業の暗躍が当然予想されるし、現実に動きが始まっておるということなんであります。私の得た資料によりますと、
昭和四十四年現在、神奈川県内の
土地買収面積は、交渉中のものを含めて千二百十一万二千三百二十坪、これは全部私が集めてきたのであります。これだけの
土地の買い占め——ということばが適当かどうか、企業は都合があるでしょうけれ
ども、しかし、私はあえてこれを買い占めと言うのです。これだけの膨大な
地域がほとんど市街化調整区域で、しかも地目でいえば山林あるいは田畑、使用
目的などを調べてみますと、宅地造成が多い。次にゴルフ場。そういう名目で将来の宅地化をねらうものと私は
考えております。
いま十万規模の都市を
中心に市街化
地域と調整
地域と区分していくのは何のためか。これは秩序ある町づくりである、こういうことが法律の
目的であります。ところが、その周辺の山林なり田畑が、私の県だけでも大体一千二百万坪をこえて買収折衝が行なわれる、あるいはもうすでに契約がされておる。こういうことは一体何を
意味するか。新都市
計画法は秩序ある町づくりといわれているけれ
ども、実際は、その周辺の山林、田畑、地目を問わず買収折衝がかけ込むようにして行なわれておるということです。神奈川県は人口の集中が多いから、当然住宅需要が多い。これは商売をしている人はすぐぴんとくる。それから新都市
計画法によりまして市街化
地域と
指定されたところは、これから農地転用のめんどうな
手続が要らない。どんどん宅地化できる。本来は
土地がたくさん供給されるのだから安くなるはずであるけれ
ども、実際は、ここは宅地にして家を建てられますよというので、値上がりをする。市街化調整
地域のほうは、個人が幾ら退職金で
土地を買ったって家を建てられませんよということになりますから、逆に
土地が値下がりする。個人は将来の夢として家を建てたいと思っても建てることができない。そこをねらって、大手の不動産業は資本力にものをいわせて、
土地の買収折衝に動いていくという姿は、社会的に見ても一体いかがなものであろうか。私はそういう観点に立ってお尋ねしたい。同時に、新都市
計画法というのは、秩序ある町づくりと名を打っているけれ
ども、秩序ある町づくりじゃないじゃないか。将来の宅地造成をねらった買い占めを放任しておくことは、特に都市近郊の農村に虫食い
状態を
方々に起こすだけじゃないか、こう思うのでありますけれ
ども、一体秩序ある
土地づくりといえるのか。これについて
建設省は一体どうしているか、こういうことになるわけでありまして、
大臣の御見解を承りたいと思います。