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橋本国務大臣 重要性はもう御
承知でありますから、説明は省略いたします。端的に御
質問の六十年あるいは十数兆円という金額及びその
財源、こういう
お話であります。ただ、昨日の
鉄道建設審議会で決定されました
要綱の中には、これを
昭和六十年度までに完成するという
一つの具体的な指示は受けておりません。かつまた
財源につきましても、この
決議によりますれば、「
新幹線鉄道に関し、国は、その建設資金についての助成その他必要な措置を講ずるよう配慮し、
地方公共団体は、その建設資金についての援助、用地の取得のあつ旋その他必要な措置を講ずるよう努めること。」こういうことでありまして、何か
昭和六十年までに九千キロやってしまうということが決定されたかのごとくにおっしゃられておりますし、一部にもそう考えられておるようであります。私
個人の
見解ですが、
昭和六十年までに九千キロの
新幹線を全部完成するということは、たいへんむずかしいことだろうと思います。したがって、おそらく
審議会におきましても、
運輸大臣が、実行する場合においては認可を求めて、そうして
財源等を配慮してやれ、こういうふうな非常に理解ある
決議をちょうだいしておるわけであります。
財源問題ですが、もちろんここにありますように、これから大いに
検討して必要な措置を講じろ、こういうことでありますから、われわれはこれは
検討しなければなりませんが、ただ、この機会にちょっと私の私見として申し上げたいことは、せんだって行政監理
委員会で、
鉄建公団というものは考え直してはどうかというような意見がいわれております。まだ私のほうに行管庁から正式の申し入れはありません、あれは佐藤総理のほうに出るのですか。ただ私はひとつ、これは行監の
委員の諸君も、そのような
意味の理解ではないようであります。
鉄建公団というものができたのは、いわゆる
国鉄というものが、御
承知のように原則として
独立採算制のものである。しかしながら、
国鉄のになう責任というものは、もうかるところだけやればいいという責任じゃない。もうからぬところでも、それが国土総合開発に役立つ場合においてはやらなければならぬ。しかしながら、原則として
国鉄というものは
独立採算制というたてまえをとっておりますから、したがって、
一つには、
国鉄の負担をある
程度軽減させるためには、
鉄道建設公団に対して国はもっといわゆる財政資金なりあるいは政治資金なりを投入して、
国鉄がそれを引き受けて運営する場合にその負担を軽からしめることを考える必要が一方においてあり、もう
一つは、
鉄道建設公団というものは、もちろん
国鉄が仕事の膨大な量を持っておるからして、その一部の建設の仕事をやるべきである、この二つの性格があると思います。そのうち最も大事なことは、いわゆる
国鉄が
全国開発の使命を持っておるのであるから、したがって、それが先行
投資になるような場合であっても、これは必要によってはやらなければならぬ。その場合においては、そのままそれを
国鉄の
独立採算に加えるならば非常に収支がマイナスになってくる、収支が悪くなってくる。それを防ぐためには、
鉄建公団に対してもっと国は助成といいますか、積極的な措置を考えろ、考えないならば
国鉄と同じようなことをやる必要はないのじゃないかという
意味と私は理解しております。また、行監
委員から私にそのような
個人的な説明があったのであります。でありますからして、われわれが考えなければならぬことは、
鉄建公団の使命というものと
国鉄の使命の区分、その性格を明らかにしていく、こういう使命があろうと思います。そういうことからして、
昭和四十四年度は、御
承知のように
鉄建公団に対するいわゆる国の事業費の割り当てといいましょうか、財投が中心でありますけれ
ども、大体において四十四年度は約六百五十億くらいでありましたか、
昭和四十五年度はそれに対して千五十億でありますから、六割以上、七割近く増額をさして、
鉄建公団をもって新線建設をやらせるように積極的に進めていきたい。ただ、
内容的に見れば、もっといわゆる国の一般資金を入れなければいけない。私は徐々に改善していきたい。その性格が、
鉄建公団の
考え方と
国鉄の
考え方が、従来ややもすれば明確でなかったのではないか。もちろんこれは
運輸大臣の努力も足りなかったかもしれないけれ
ども、国、
政府全体としてもその性格を考えてもらわなければいけない。そうしなければ、いわゆる商売にならぬ線はつくらないのだ。それならば過疎地帯におる
国民はどうするのだ。これは
政府の、国の責任なんです。そういう
意味で
鉄建公団というものはつくられた。その使命を十分に果たしておらないことは私も認めます。しかしながら、今後はそういう観点に立って
鉄建公団を指導し、あるいは助成し、また
国鉄に対してもそういう
考え方でやっていく。そういう
意味において、今度の
全国新幹線網の場合においても、
国鉄と
鉄建公団にやらせるゆえんのものは、ある
程度独立採算制の可能なところ、あるいはそれに近いところ、これは
国鉄がやってしかるべきであろう。しかしながら、どうしても当分の間
採算が合わないものがある。それは
鉄建公団が国の助成を受けて積極的にこれを行なえ、私はこうこれを理解いたしております。
しかしながら、膨大なる金額でありますからして、国が一般会計あるいは財政投融資だけではやっていけないかもしれません。しかしながら、
財源となりますと、いま具体的にしからばどういう税金を取るかということになると、いろいろな問題があると思います。ただ
一つ基本的にお考えおき願いたいのは、いわゆる自動車あるいは飛行機の場合
——飛行機の場合におきましては、飛行場は国がほとんどこれを
整備しておる。ただのところに飛行機がおりるのですね。あるいは自動車の場合は、国がつくってやった道路の上に乗っかっていく。
鉄道の場合にはそれができない。自分で基盤をつくり上げて、その上を走らせる。こういうハンディキャップがあります。そうすると、この
財源というものは、直接税の目的税的なものを考えることはなかなかむずかしい。通行税を思い切って取るということもありましょうが、これは
国民の一部の人に負担をかける。そういう
意味で
鉄建公団を十分に活用して、不特定多数、
国民のだれでも必ず
新幹線なり何なりに乗るのでありますから、そういう
国民全体の利益の上から、いわゆる一般会計の中から
鉄建公団にある
程度の出資がなされないと、この
新幹線問題も将来はむずかしい問題が出てくる。もちろんそれだけでもできませんから、長期低利の大きな融資も仰がなければならぬでしょうし、それを国のほうがどういうぐあいに考えるか。田中構想のような
考え方も
一つであります。それをこっちへ分けるという方法もありましょう。そういうことは大蔵省なり
政府全体として考える。
運輸省としては、将来の総合的な国土開発のためにこういうものをやっていく。
財源の問題は、したがって
政府全体の責任において考えるべきものと私は考えております。