○
松本(善)
分科員 そうすると、それについては
お答えにならぬというわけでございますか。――それではさらに、この件に関して事実をお聞きしたいというふうに思います。
福島氏はこの第一作、この本が出版ができない
ようになりましてから――これは出版社も印刷所もつぶされてしまいました。そしてやみに葬られたわけでありますが、その次に「現代のさまよえる魂」という主題のもとに、今度は原稿を書き上げるまでは出版社をきめないで二百字詰め原稿用紙九百枚のものを書き上げました。それがこれであります。そうしてこの原稿のままで出版できなかったのです。これはだてに
法務大臣にお示ししているのではありません。これだけ原稿にしても、出版できないという事実があったということの証拠としてお見せしているわけです。これは何よりも物語っています。出版できないのです。そうしてやみに葬られてしまったわけです。ところが、これも創価学会、公明党の知るところとなって、その最高幹部の某が介入をいたしまして、これも断念せざるを得なくなった、これが第二の
事件です。
それからさらに、この二冊の弔いの書を出版をするということで、第三の書の「創価学会・公明党の解明」という本が出されたわけであります。これも極秘のうちに印刷して、やっと四十四年の、昨年の十一月にでき上がったわけであります。これもいまでこそ取り次ぎ店が新刊扱いをしておりますけれ
ども、出版したときは、三月上旬までは新刊委託扱いはされないという事態であったわけであります。
ところで、きょう私が
法務大臣にお聞きしたいのは、この中での第二の
事件、隈部氏の受けた圧迫の内容のことであります。この「現代のさまよえる魂」の原稿を書いておるときに、原稿を書き上げないうちに、創価学会、公明党の知るところとなって、隈部氏の地位に重大な影響を与えることのできる有力者から――これはいまでもその氏名を明らかにしたくないということを言われておる状況であります。公明党についての出版を計画しているのは事実か、もしそうであれば、出版の動機、経緯、内容等について至急
手紙で詳細に説明されたい、という内容の親書も来ている。それから
自分の親友から原稿の題名、副題、どういう原稿用紙を使っているかということまで
情報がキャッチされているということは聞かされている。それで隈部さんは、
自分のまわりに創価学会、公明党の
情報網が張りめぐらされているという不安とおそれを抱いたという状況でありました。
そのうちに、隈部さんは創価学会の最高幹部であり、公明党の当時副委員長でありました参議院議員の北條浩氏と面会をせざるを得ないということになってきたわけであります。私
どもたいへん不本意でありますが、同僚議員の名前を上げなければならない。これは議員としても、やはり出版妨害をするということはできない。この点については、何ら普通の人と同じ
ように、特権はないのだというふうに確信をしております。それで事実を明らかにするために言うわけであります。北條氏とは一面識もないので、面会を隈部さんは断わり続けてきたけれ
ども、連日の
ように面会を求められる。とうとう四十三年九月十一日に、東京赤坂のプリンスホテルの一室で面会するということになったわけであります。そこで一時間半話し合いました。そのときの
事情をお話しいたします。これは
法務大臣よく聞いていただきたいのです。これが
一体捜査や、あるいは
人権侵犯
事件として、法務省としても
考えなくていいかどうかということを
あとでお聞きしますから、よく聞いていただきたいと思うわけであります。
そのときの隈部氏が北条氏からもらった、これは名刺であります。そして会って、そのときの様子については隈部さんがその当時メモにして書いてある。この手帳がメモであります。このメモはどういうふうに書いてあるかと申しますと、北条氏の発言として、「①『破滅』以来の
情報収集により西日本の隈部の名前が浮かぶ②
情報の根拠を示さず(示そうとする気配も見られず)③経済研究者であるから、ふしぎに思っている④民社党は自民党から生まれたもの、自民党は金権政治⑤人間革命、闘争、青年部の情熱、確信と情熱を繰り返す⑥参議院選当選については結果論的には追加当選もあり得たが、実際問題としては苦闘であった⑦別かれぎわに、社と
新聞の
関係もできたことだから、今後ともお会いしたい⑧アリでも象は全力をもってつぶす」また、このメモの
あとには「備考」として、隈部氏の印象に強く残ったものとして、「②『破滅』については裏付け資料もかなり持っているらしい。また『破滅』に続く計画も最近の
情報を得たという。③そのせいか、執拗に裏側を探る
ような気配は見えなかった。」としるされておるわけです。
また、この当時の内容を、このメモをもとにして言われたことを隈部氏が手記にしたものをお読みいたします。こういうことが言われたということです。「①初版即絶版となった隅田洋著『目蒲正宗・創価学会・公明党の破滅』以降、この著者が
一体だれであるかということについて
情報収集してきたが、その結果、西日本
新聞東京論説委員の隈部という名が浮かんできた。②もっとも、あなたは経済担当の論説委員であり、エコノミストとして幾つかの経済の専門書も出していることだし、そういうあなたが宗教を論ずることに対し、私は不思議に思っているのだが……。しかし、『日蓮正宗・創価学会・公明党の破滅』の著者、隅田洋というのが、実はあなたのペンネームであるということが調査の結果ほぼ明らかになったわけだ。③さらに、あなたが前著の『破滅』に引き続いて、何か公明党、創価学会についての第二の批判書を執筆し、その出版計画を立てているという確実な
情報を最近得た。④創価学会は、言うまでもなく伝統ある日蓮正宗を信奉し、日蓮大聖人様を本尊としている世界最高の宗教である。そういうわけだから、創価学会に対する批判は絶対に許されるものではない。また一方、創価学会は、そこらのおかしな新興宗教とは全く内容が違う。⑤さらに、創価学会の中でも、特に青年部は、人間革命、闘争心、情熱、確信に非常に燃えていることを強調しておきたい。⑥だから、創価学会、公明党を批判するものに対しては、創価学会という象は、アリの一匹といえ
ども、全力をもって踏みつぶすということを十分
承知をされたい。」こういう
ような趣旨のことを言われたということであります。
隈部氏は、まだ出版社もきめていない原稿について、創価学会、公明党に
情報がつかまれ、しかも
自分の運命に重大な影響を及ぼすことのできる有力者を通じて、北条氏と面会をせざるを得ないという立場に置かれ、さらにいま読み上げましたメモの
ように、創価学会青年部の情熱を繰り返し強調される。アリでも象は全力をもってつぶすというふうに言われたわけです。したがって隈部氏は、この出版を続けていくならば、身辺や家族への危害、会社での地位の変化が起こるのではないかと心配をしたというふうに
訴えております。そして、この出版をしていくためには、家族の疎開も
考えなければならないと思い、また当時学生の火焔びん
事件もあったので、家の周辺に金網でもしなければならないということを真剣に
考えたということであります。しかし、これらの対策もできないし、出版社との最終的な契約もできなかったので、この「現代のさまよえる魂」の出版を断念せざるを得ないということになって、この
ように原稿のまま残っておるというわけであります。
そして第三回目の著書の「創価学会・公明党の解明」の前書きで隈部氏が述べている
ように、まさにここには弔いの書として出すということを述べております。出されたわけであります。この「解明」のときには、隈部氏は「現代のさまよえる魂」の原稿のとき以来、
考え続けてきた身辺整理に決心がついた。会社での地位の変化も覚悟する。退職ということも覚悟する。家族を熊本に疎開させ、
自分の家は、いとこの家族に住んでもらって、
自分は身を隠して出版をするという決意で出版を始めたということであります。ところが幸いにも、藤原氏の「創価学会を斬る」に対する公明党、創価学会の出版妨害問題が大きな問題になって、隈部氏の言によれば、奇跡的に助かったということであります。隈部氏はまた、「現代のさまよえる魂」の原稿についての
情報が、創価学会、公明党に知られているということが知らされたころから、腰が悪かったというせいもあるけれ
ども、ステッキを常に携帯し、医療用のコルセットをつけて――かたいコルセットです。万一のときに備えたということであります。そして、これは藤原氏の「創価学会を斬る」の問題が大きくなったので、もうだいじょうぶだというふうに思う
ようになって、初めてやめたということです。コルセットもやめる、それからステッキの携帯もやめるということになったということであります。
出版妨害行為は、こういう深刻な事態を引き起こしております。これは私直接隈部氏からお聞きしたことであります。この
ような深刻な事態が起こっておる。まず、このいまの事実を私が
法務大臣に御報告をした。この事実について
法務大臣、
一体どの
ような御感想をお持ちになりますか、お聞きしたいと思います。