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正木公述人 国学院大学の
正木でございます。前の
公述人の方が非常に広い範囲にわたりまして
予算問題を展開されましたので、私あまり申し添えることもないかと思いますが、若干の時間をちょうだいして、
意見を述べさしていただきたいと思います。
この
公述にあたりまして、先般来
財政制度審議会あるいは
物価安定政策会議からの
提案等をもう一度読み直しまして、それから、それらの
審議会の
答申等で取り上げられた基準とか
問題点に即しながら、この
昭和四十五年度
予算の批判をいたしてまいりたいと思います。
財政審の
答申は、冒頭に、四十五年度
予算は
経済社会の著しい変革の予想される七〇年代最初の
予算であって、その適否が今後の
経済運営に及ぼす
影響はきわめて大きい、こう指摘しておりますが、この点については、
公述の
最後に触れたいと存じます。
そこで、当面の
経済情勢より判断されますところの、あるべき四十五年度
予算の
規模と
性格につきまして、
財政審は、
警戒型の基調を堅持して、極力、
国債及び
政府保証債の
発行額を削減すること、
財政の姿勢を正すとともに、
予算の
規模を
国民経済とバランスのとれたものにすべきだ、こういうふうにしております。また
物価安定政策会議のほうの主張は、特にきびしい
物価情勢にかんがみて、来年度は
国民所得ベースの
政府財貨サービス購入の
増加率、これが
政府見通しの
経済成長率を相当下回るように
歳出規模を抑制すべきだ、こういうふうに述べておるのであります。
〔
委員長退席、
坪川委員長代理着席〕
ところで、現実の
予算規模はどうであるかと申しますと、御
承知のとおり、
一般会計規模は七兆九千四百九十七億で、前年度比約一八%、
財投計画額が三兆五千七百九十九億円で一六・三%、これに対する
経済成長率が
名目の一五・八%、実質が一一・一%となっておりまして、これでわかりますように、四十五年度は、
一般会計予算のほうも、
財投計画の
規模も、いずれも
政府見通しの
経済成長率を大幅に上回っておりまして、とうていこれが
警戒型に組まれたというふうには言えないと思うのであります。
一般会計の
規模は、右に申しました公式のものでさえも一八%という
増加率となっておりますが、昨日でありましたか、成立しました四十四年度補正の中の
地方交付税の三百八十億円とか、あるいは
米生産調整対策費二十億円とかいったものは、明らかにこれは四十五年度
予算のワクとして考うべきでありますし、そのほかに
空港整備特別会計を新設されたり、あるいはIMFの出資を
一般会計から
為替資金特別会計に移しております。そこで、前年度
ベース並みに計算するといたしましたならば、いまのこの
一般会計の姿というものはよほど過小に出てきておる。実質的には、私は
一般会計の
伸びはほぼ二〇%に近いのではないかと考えるのであります。
なお、
政府はこの
予算におきまして、
政府財貨サービス購入は前年度比一四・八%増の十二兆千三百億円である。で、
経済成長率以下におさまっておるという弁明をされております。しかしながら、まだ
地方財政計画さえ提示されておらないのであります。まあ、
一般会計のほうから、あるいは
地方債計画等から想像することはできましょうが、まず正確に推定いたしますには、
地方財政計画というものを示されなければ、この中央及び
地方を含めた
政府の
財貨サービス購入額というものはわからないので、われわれはこれを否認もしませんが、
信用もできないと思うのであります。
もう
一つ申しますならば、
国民経済計算上の
財政支出といいますならば、それは
政府財貨サービス購入プラス移転支出であります。
移転支出の
伸び、これまた
家計を通し、あるいは
企業の
支出を誘導いたしまして、総
需要の
水準を上げる
要因でありまして、こちらのほうが、
移転支出がふえたのは総
需要の
水準に一向
影響がないんだ、こういうような考え方はやや片寄った
意見ではないか、こう思います。
それから、
公債政策について一言したいのでありますが、四十五年度
予算では
国債発行を四千三百億円、また
財投の
政府保証債の
発行を三千億円、いずれも昨年よりは六百億円ずつ減少いたしておりまして、これで
景気抑制の
効果があると説明をされております。四十五年度の
一般会計におきます
国債依存度は五・四%とかなり下がるようになりましたが、これは一面で
予算規模自体が相当ふくらんでおるということもあるのでありまして、この四千億円という
国債が市中で楽々と消化できるかというと、私はそうではないのではないかと思います。さらに四十七年度以降考えられますところの新
公債の
償還期が続々と来るのであります。申すまでもなく、四十七年の二千二百億、四十八年の七千百億、四十九年八千億、こういうような巨額の
償還期が参ってくるのでありますから、どうしても四十五年、六年というときに、もっと大幅な
公債削減が望ましいのではないか、こういうふうに感じるのであります。
次に、
予算規模の
膨張を心配いたすゆえんは、
財政面から
景気刺激をすることによってすでに相当の危険をはらんでおります
物価情勢をますます悪化させるのではないか、こういう心配からであります。御
承知のように、
物価安定政策会議の
提案では、放置すれば
わが国経済は全般的にインフレへの道を歩む危険があるとさえはっきりといっておりまして、この際の
予算編成にあたって
物価安定を最大の
目標にすること、そして
消費者物価の
目標を、
上昇率を四%にまで引き下げるということを強く要請しているのです。ところが、
政府の今回の
予算における
目標の
消費者物価上昇率は幾らかと言いますと四・八%であります。また、
卸売り物価一・九%アップということになっております。ところが、最近改定になりました
昭和四十四年度の
政府の
見通しによりますと、CPIは五・七%にとどまるということでありますが、これはいまや六%を割ることは不可能になっていると思います。また、
卸売り物価につきましても、この七カ月余にわたる
金融引き締め下において、前年を三・何%を上回るような
卸売り物価上昇が続いておるということ、これははなはだ重大な
情勢であると思います。
こういう状態を見、また今度の
予算というものを見ますと、私は四十五年度の
物価上昇を四・八%に押えるということは不可能であり、結局、年末において五%あるいは六%に書きかえられるのではないか、こういうふうに断言せざるを得ないのであります。また、
政府は従来紙の上の
物価政策はおありだったと思いますが、ほんとうに
物価政策をやるという姿勢ではなかったように思うのであります。
こういったことが、この七〇年
経済にはたしてこのままでいけるかどうかということがいまや真剣に問われておるのだと思います。六〇年代の
経済でありますならば、二年も高度成長が続くと、やがて国際均衡の破綻がきて、そこでブレーキがかかり、そして
物価上昇は水に冷やされたのであります。
ところが、
日本経済の構造
変化というものが進みまして、いまや高度成長と国際収支の均衡とが併存するようになって、外からのブレーキが期待できなくなってきたのであります。それと同時に、四十一年の不況以来、卸売り価格が継続的に上がり出して、これまでの、
消費者物価は上がるけれども
卸売り物価は弱含み安定といった形がくずれて、両
物価同時続騰といった欧米型の
物価騰貴に近づいてきている。
そこで、
物価安定政策会議は、
財政の
警戒的な運用、それから通貨量の抑制、これは通貨の
発行高を二〇%程度以下に食いとめなければいかぬ、こういう基調であります。また金融
政策の実効性の強化、これは抽象的でありますが、日本銀行が幾ら締めようとしても、
政策金融、特に輸出優遇とかあるいは
中小企業とか、そういったような
関係の優遇、
政策金融のためにしり抜けになっている。これではいかぬ。もっと金融
引き締めがしつかりときくような制度にしなければいかぬという提言となっておる。こういう
情勢で非常に日本の
物価情勢というものは今後真剣に考えなければならない時期に来ていると思うのであります。
次に、今度の
予算が非常に政治優先的な形に組まれておるということでありますが、
財政審は、社会
経済の
変化が加速されると予想される七〇年代を迎えて、
財政は変革に対応するために体質
改善を急がなければならぬ、こういっておりますが、なかなか
財政硬直化打開は進まない。そして四十五年度
予算におきまして当然増が九千億円をこえるような状態であって、このままでいくならば
財政の破綻すら予想せざるを得ない、こう指摘しておるのです。
ところが、この四十五年度
予算編成ぶりを外からながめておりますると、私の言いますような
財政の体質
改善というようなことを一向進められたあとがなく、この
予算ほどいわゆる政治優先であって、計画性とか
歳出効果といったことを重んずべき
財政原理がはなはだしくねじ曲げられた例はほとんどないんじゃないかと思います。少し失礼かと思いまするが、そういう例は幾らも指摘できるのであります。たとえば米の減産奨励金のいきさつであるとか、あるいは公共投資の
関係で申しますならば、たとえば新道路
整備五カ年計画ですね、これが採用になりましたし、本州四国架橋公団の設立の承認とか、新幹線鉄道網敷設計画に調査費をつけた、こういった例があります。現行の第五次道路
整備計画が過小である。そして
拡大訂正を要することはわかります。しかしながら、公共投資中最も重要な基幹的な道路計画の採用を、近日に
政府が
内容を決定しようとしている新
経済社会発展計画を待たずにきめるのは、
順序が逆であります。しかもこの決定された事業費
予算十兆三千五百億円でありますか、そのうち八千億ばかりの
財源のめどがまだついていないとさえいわれております。それから本州、四国の間に三本の橋をかけるということは
財政負担も非常に大きいし、その必要性がないということはだれも知りながら、そのどれを選ぶかという優先的な決定がきかないで、公団設立を認めてしまったように聞いております。また、新幹線鉄道網、九千キロでありますか、これの調査費がついた
段階でありますが、すでに各地、各県庁所在地あたりでは期成同盟会が結成されつつあるというようにいわれております。この何年か後に全国にわたりまして広軌の超特急電車が走る、そうしたときに、一体現在の国鉄であるとか、あるいはこの五年間かけて
整備されます幹線自動車道路であるとか、あるいはまた、そのころには発達していると思われる国内の航空路ですね、こういったものとの相互
関係はどうなっているのか。国鉄がまるで干上がってしまうというようなことになってよろしいのかどうか。こういったような国の最も基幹的な輸送手段の長期建設計画が立てられる場合には、それこそいまのことばのシステム的な発想あるいは総合的な構想のもとに、慎重の上にも慎重に企画されるべきであると思います。
地方の
開発に結びつきました企画となりますと、とかく超党派の要求となりまして、大蔵省がこれに対して弱い。それで日本の
財政をあずかる大蔵当局としましては、このような未熟な計画に対しては、もっともっと強い抵抗をなさるべきではなかったかと私は考えるのであります。
それから、水田大蔵大臣でありましたか、
硬直化打開のキャンペーンのもとに四十三年度
予算を編成されまして、そのとき総合
予算主義というものの原則をつくられた。これは補正
予算をつくらないという約束なんでありますが、四十三年度も四十四年度も実質増の補正
予算が組まれて、まさに崩壊をいたしております。当時水田さんは、
硬直化打開は一年では成果は出ない、両三年努力するから、その成果を期待してほしいと言われたかと思います。三年目のこの四十五年度
予算の編成にあたって、大蔵部内から
硬直化打開とか
歳出合理化という声がほとんど出ない。これは一体どういうことであるかということを私は疑いたいと思うのであります。
それから、いささか問題を変えまして、四十五年度税制改正について申し述べますると、
政府の今回の態度をある程度私は評価することができると思います。しかし、
減税規模千七百六十八億円でありますが、これは予想されます自然増収額のわずか一二・八%程度でありますから、とうてい
大幅減税と誇られるようなものではないと思うし、また
国民が
生活上の
減税の実感という点で考えてみますると、明年度の個人消費
支出額というものは、
政府の数字によりますと三十七兆円と想定されております。そのうちに年間六%ほどの
物価騰貴が含まれているのでありますから、その
物価騰貴によって失うものは幾らかというと、二兆一千億でありまして、この二兆一千億に対する純
減税の割合は八%にしかならない。かりに
所得税の
減税額をとってみたらどうかというと、これでも一一・七%でありまして、台所を潤すような
減税でないことは確かであります。
ではこの税制改正のどこを評価するかと申しまするならば、第一点は
所得税減税について税調の長期
答申が完全実施に至ったという点、これは私は評価すべきだと思う。
そこで、この新しい税制のもとで日本の
所得税負担が国際的にどのようになるかと申しまするならば、なかなか所得の総合度が違ったり課税単位のとり方が違ったりしまして、国際比較がむずかしいのでありますが、
課税最低限や各国の平均所得者世帯の負担率等を比較してみますると、もし先方が税制を変えずに四十四年税制であるならば、英国より少し低いし、西独とはほぼ同じ
水準になるといえましょう。アメリカとはまだかなり開きがあり、ニクソンの
所得税改正が実現いたしますると、日米の格差はもっと開きます。
要するに、戦後
国民はシャウプの
所得税制に非常に苦しめられてきたのであります。それがだんだん手直しをされ、日本人の所得
水準が西欧
並みに近づいた今日において、その負担率がほぼ西欧
並みになった。すなわち免税点なり税率が緩和されてきたということは、私は認められると思います。もちろん今後も賃金、
物価の
上昇をにらみながら、
所得税の
減税が続けられなければならないことは言うまでもありませんし、また特にこれと並行しながら、急務というべきは
住民税の合理化とその大幅の軽減でありましょう。
第二点は
法人税率の
引き上げであります。これは当初税制調査会の作業予定になかったものと聞いておりますが、社会
開発の
財源をつくる必要あるいは税制の弾力的な運用ということのために、
法人税を戻すということで実現したわけであります。若干当初の予定よりも後退をして、財界の抵抗の強さというものをしみじみと感じさせるのであります。
それから利子・配当課税の是正というのが以上と並んで四十五年度税制改正の三本の柱とされておりますが、実質的に申しますと、最もやせ細った柱となってしまったのであります。利子・配当課税の優遇措置は、本年の三月で満期になるはずであります。この優遇措置による減収額は、利子分離課税で四百七十億、配当課税の特例で三百四十三億円、こういうふうに
政府は発表いたしております。今回の是正措置で国がそれを取り戻す額は初年度で利子の三十億円だけであります。平年度になると両者合わせて百六十二億円でありますが、まことにお寒い戦果に終わっているのであります。
なぜこのようになったかと申しまするならば、利子課税が総合課税を原則とするということになりましたが、一方に非常に低い税率、すなわち二〇%、その後二五%になりますが、この低い税率で源泉
選択制度を認めたために、年収二百七十万円以上の高額所得者は分離課税に逃げます。それより以下の少額所得者は貯蓄免税を利用するので、現実に総合課税を利用するという例はきわめてまれになってしまった。結局のところ、ことし満期となるべき利子分離の特別措置がさらに五年間延長されたにすぎない。わずかに現行税率の一五%が五%あるいは一〇%加重されたというにとどまるのであります。配当の源泉
選択制度も、これは税調の意向を押し切って実験的になされた。たしか
田中さんのときだと思います。これも利子の場合と同様にさらに五年継続が約束されたということになります。
以上の経緯を見てまいりますると、この六〇年代に終始資本蓄積原理が優先をしまして、課税の公正原理がねじ曲げられ後退をさせられた。七〇年代を迎えまして、ようやく理念的には資本蓄積優先ということが保ち得られなくなりまして、公正原理の復位が許されるようになった。こういう点が認められるわけであります。しかし、現実の壁は厚くて、金融証券資本は急激な現状の変更を食いとめるべく必死の努力がなされてきた。私は今回の税制改正案のうちで、この利子・配当措置の是正が最も不満であると申したいのであります。どうか、この国会において十分御審議の上、過渡期間を五年間というようなことでなくて、せめて三年くらいに短縮するとか、あるいは源泉
選択制の税率をもう少し
引き上げるべきである、こういうような修正がなされんことを強く要望をいたしたいのであります。
時間もございませんので、経費の
配分について触れる余裕はございませんが、この四十五年度
予算は、実質的にかなり膨大化しているにかかわらず、この七〇年代の第一年目の
予算にふさわしいようなものがどこににじみ出ているかと申しますと、ふくらんでいるわりあいにそういうものが少ない。ふくらんでおります経費の多くは、六〇年代の軌道の単なる延長、すなわちいわゆる当然増的なもの、あるいは六〇年代の失敗のあと始末という、いわゆるうしろ向きのものが多いのであります。
財政制度審議会が
地方交付税率の是正とか、あるいは義務教育費
関係の経費の
地方と国との分担率の再
検討とか、いろいろ具体的な
提案もされておるにかかわらず、一向に取り上げられなかった。明らかに今日大きな
政策転換が要請されているにかかわらず、
予算の現実、すなわちザインはゾルレンと大いに食い違っておる。ここに過渡的な
性格の
予算だ、こう言わざるを得ないのであります。
四十五年度
歳出膨張額一兆二千百億ですが、これを分析いたしますと、第一に
地方交付税交付金、
国債費と予備費、それからその他事項というものの
予算に属するものは四千六百十一億円、これはいずれも当然増的
性格が強いのであります。残りの七千五百億円弱ですが、この中で費目の
伸びの順で申しますと、食糧管理費の二七・七%、これを首位として、社会保障費の二〇%、防衛費の一七・八%、公共事業費の一七%、文教科学等の一五%が並ぶのでありますが、このトップにあります食糧管理費ですが、これは詳しく申すまでもありません。これはこの三千十六億円の食管への繰り入れと米減産
対策費の八百十四億からなっているのでありますが、この
二つだけでことしの農林省
予算の四五%を占めております。これこそ六〇年代農政の到達点であります。これが七〇年代の日本の農政に脱皮するために、どうしても出血的大手術が要請されておるというわけなんであります。
社会保障費は二〇%
増大で初めて一兆円をこしたというのでありますが、しかしこの増加額の六五%というのが、すなわち千二百三十八億円ですが、これは主として昨年末改定されました医療費のはね返りであり、それから三百九十三億円が年金の増加であり、残る三百七十億円でそのほかのもろもろのいわゆる
生活改善、
生活扶助基準の
改善とか一身障者
対策、児童保護とか、母子福祉、老人福祉、一般保健
対策等々のささやかな
改善がすべてこの三百七十億の中でまかなわれざるを得ないという姿であります。
文教
関係におきましても千二百億の増加でありますけれども、そのうち八百六十億を占めるものが義務教育、国立学校文教施設
整備費等の系統に属するものでありまして、これについてもう少し国と
地方との分担について考えたらどうかということが問題にされておるのであります。その残りで私大の経常費の助成とかあるいは若干の研究費の
拡大がなされておるというわけですね。
それから、防衛費につきましては、一七・八%という
伸びは創設以来の最高であるといって注目されておりますが、これは
内容的に申しますれば、人件費の増加、債務負担額の
予算化に伴う既定の増加が多いのであります。第三次防が確実に実施されておるということであります。問題はこの四十七年度に始まる第四次防がどのような
性格と
規模にきまるかであります。沖繩基地を取り入れましたアジア安保体制下の防衛費の
性格は、従来のような受動的なあるいは消極的なものから相当変わってこざるを得ないのではないか、こういうことが予想されるのであります。
四十五年度
予算の持つ過渡期的ななまぬるさといいますか、そういったものは、この七〇年安保が規定いたしまする日本の外交防衛方針がそのベールをまだ脱ぐに至ってない、脱ぐまでのしばしの安らぎではないか、こういうふうなことを指摘して、一応私の
公述を終わりたいと思います。(拍手)