○山中国務大臣 大阪で二日間にわたりまして行なわれましたことしの日琉経済
会議は、例年にないと申しますか、むしろことしがたいへん真剣な議論の展開をされた最初の年といっていいと思うのです。というのは、現実に
総理のニクソン大統領との会談によりまして七二年中の復帰ということがセットされましたので、沖繩の立地条件に伴う産業の本土企業の進出なり、あるいは外資の導入なり等について、現実の問題としてそこにテーマが展開されたわけでありますから、無理もないことであるし、喜ぶべきことであると私は拝見をいたしました。
その結果、種々分科会に分かれて激論に近いやりとりもあったようでありますが、両者最終的に申し合わせられました第一項に、国益と県益は一体のものであるという了解に達していただきましたことは、沖繩のためにも本土のためにも私はたいへんよかったと考えております。
それを反映いたしまして、先般沖繩の立地から考えまして、考えられます企業の代表の多くの人を網羅いたしました大々的な実地調査団が行かれました。その結果、鉄その他のいわゆる周辺関連需要の雇用人口等へ貢献の大きいもの、あるいは装置産業等でも、立地条件で現在の電力、水等で可能であるもの等につきましては、大体アルミも含めまして六カ月以内にその態度を決定をいたしますということになったようでありまして、琉球のほうといたしましては、すみやかに本土
政府が沖繩に対して本土側企業としてのあたたかい配慮ある行動をとるならば、かけ込み外資等の一部いわれているような、ちょっと無理であると
承知でやるような行動は差しとめてもいいという合意ができたようでありまして、たいへんけっこうなことであると考えるわけであります。ことにアルミ等は、六カ月の中でもさらにアルミ業界の調査団を直接業界だけで派遣をいたしまして、その派遣をいたしました後三カ月以内に
回答をいたしますという、たいへん積極的な姿勢をとっておるようでございます。
私の全般的な考え方は、沖繩の群島の中でも先島といわれる木島以外の島々につきましては、大体今日まで
日本の糖価安定法に基づく沖繩産糖の糖価安定
事業団買い入れ保護というものにささえられましたキビ作、並びに自由化をしないという前提において今後も可能である。ハイソ産業というものを中軸に置きまして、それに総合一貫性を持たした意味の畜産というものを、いま
通産大臣は酪農と言われたようでありますが、酪農の島内需要には限度がありますので、やはり食肉——島内需要ももちろんでありますが、本土への供給基地たらしめるべく、主として肉牛を、豚も加えまして、
中心に、食肉の地域としてめんどうを見ていけば、私は先島の農業というものはやっていける。さらに現在の
漁業は過半数が、三分の二近くがくり船の独特の小さい船でありまして、文字どおり零細な沿岸
漁業であります。したがって、これらの
漁業につきましても、近代化、大型化の援助をいたすことによりまして、資金といたしましてはことしから具体的になりました三万トンの本土米の援助をいたしましたことによる現地の積み立て資金二十億、これを活用いたしまして、本土と琉球との間は無利子三年据え置きの二十年償還でありますけれ
ども、現地ではやはり貸し付けの手数料その他がかかりますので、できるならば二分か三分ぐらいの低利の資金をほしいといま相談をしておりますけれ
ども、そのような資金をもってこれらの企業なりあるいは農林
漁業を救済する、立ち上がる力をつけるということによって、将来の展望は、亜熱帯地域に位する
日本の最南端の島といたしまして、私は将来大いに有望であると考えております。
一方、本島におきましては、北部のほうはパイン並びにキビにおいて離島と同じようなめんどうを見ていくことは可能である、自立可能であると見ますが、問題は中部から南の軍事基地の密集したところにおける特殊な所得形態である。すなわち三次産業が、コザ市において八〇%すれすれにまで達しておる異常な状態でありますし、那覇市内においても七三%が三次産業の従事者である。これらは軍事基地に依存するところ多大なものでありますと同時に、税制等において本土側と全く天地の隔たりがある。物品税はもちろんかかりませんが、本土では奢侈品と考えて、輸入についても高率関税、並びに国内の販売に対する物品税についても高率の税金をかけております時計、宝石、貴金属等につきまして、現地では一律五%の低率関税をつくっておりまして、内国税がありませんから、そのようなことが一つの魅力となって、軍事基地依存とは別な形態の、三次産業によるいんしんがあるわけであります。これらのところを踏まえまして、本島の、ことに中部以南の地域の産業の振興につきましては、たいへんむずかしい設計書づくりが必要であろうと考えました。
ずっと今日まで、私、大臣になります前から沖繩の問題の未来についての青写真を、私は私なりに研究しておったのでありますけれ
ども、就任いたしまして、自分の
責任においてこれらの地域の人々がどのような形で、今後本土への人口流出がお話のように急激に生まれることなく、むしろ現地にとどまって、できれば人口も増加し、所得も停滞することなく維持、向上、発展されるということを理想として、何らかの形態を求めることは不可能ではないということを考えまして、いろいろとまだ国内においては議論のあるところでありますけれ
ども、少なくともフリーゾーン形式のものを考えなければなりますまい、あるいは那覇港を
中心にした自由港的なものも考えていかなければなりますまい、そのような思い切ったことをやらなければ、現在の本土の行財政のあり方をそのまま当てはめましたのでは、それらの沖繩の地域の人々の所得が、そのあたりの中南部に大きくウエートを持っておることから考えて、ことばだけの沖繩に対する愛情になってしまうのでありまして、この点はいずれ
総理以下の
関係閣僚の具体的な御指示をいただきながら、沖繩の人々のために最もよき道を選んでまいるつもりでございます。