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1970-03-10 第63回国会 衆議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十日(火曜日)委員長の指名 で、次の通り分科員及び主査を選任した。  第一分科会皇室費国会、裁判所、内閣、総  理府(防衛庁経済企画庁を除く)法務省及び  文部省所管並びに他の分科会所管以外の事  項)    主査 笹山茂太郎君       足立 篤郎君    坪川 信三君       登坂重次郎君    灘尾 弘吉君       野田 卯一君    川崎 寛治君       大野  潔君    河村  勝君  第二分科会会計検査院防衛庁外務省及び  大蔵省所管)    主査 大野 市郎君       小澤 太郎君    賀屋 興宣君       川崎 秀二君    小坂善太郎君       田中 正巳君    中野 四郎君       赤松  勇君    楢崎弥之助君       矢野 絢也君    麻生 良方君       不破 哲三君  第三分科会厚生省、労働省及び自治省所管)    主査 田中 龍夫君       相川 勝六君    赤澤 正道君       西村 直己君    藤枝 泉介君       古内 広雄君    大原  亨君       細谷 治嘉君    松尾 正吉君       谷口善太郎君  第四分科会経済企画庁農林省及び通商産業  省所管)    主査 大坪 保雄君       植木庚子郎君    大村 襄治君       福田  一君    松浦周太郎君       森田重次郎君    田中 武夫君       西宮  弘君    相沢 武彦君  第五分科会(運輸省、郵政省及び建設省所管)    主査 藤田 義光君       上林榮吉君    小平 久雄君       細田 吉藏君    松野 頼三君       渡辺 栄一君    北山 愛郎君       久保 三郎君    坂井 弘一君       今澄  勇君 ————————————————————— 昭和四十五年三月十日(火曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君    理事 小平 久雄君 理事 田中 正巳君    理事 坪川 信三君 理事 藤枝 泉介君    理事 細田 吉藏君 理事 大原  亨君    理事 田中 武夫君 理事 大野  潔君    理事 麻生 良方君       足立 篤郎君    相川 勝六君       赤澤 正道君    植木庚子郎君       江崎 真澄君    大坪 保雄君       大野 市郎君    大村 襄治君       奥野 誠亮君    賀屋 興宣君       川崎 秀二君    上林榮吉君       小坂善太郎君    笹山茂太郎君       登坂重次郎君    灘尾 弘吉君       西村 直己君    野田 卯一君       福田  一君    藤田 義光君       古内 広雄君    松浦周太郎君       松野 頼三君    森田重次郎君       赤松  勇君    井上 普方君       川崎 寛治君    久保 三郎君       楢崎弥之助君    西宮  弘君       細谷 治嘉君    相沢 武彦君       伊藤惣助丸君    北側 義一君       坂井 弘一君    岡沢 完治君       河村  勝君    渡辺 武三君       浦井  洋君    谷口善太郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 坂田 道太君         厚 生 大 臣 内田 常雄君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  宮澤 喜一君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         建 設 大 臣 根本龍太郎君         自 治 大 臣 秋田 大助君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    矢野 智雄君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         外務省アジア局         長       須之部量三君         外務省アメリカ         局長      東郷 文彦君         外務省条約局長 井川 克一君         大蔵省主計局長 鳩山威一郎君         大蔵省理財局長 岩尾  一君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         厚生省児童家庭         局長      坂元貞一郎君         厚生省保険局長 梅本 純正君         農林大臣官房長 亀長 友義君         農林省農政局長 池田 俊也君         農林省農地局長 中野 和仁君         食糧庁長官   森本  修君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省税務局長 降矢 敬義君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第二局長  鎌田 英夫君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     林  敬三君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     富樫 凱一君         予算委員会調査         室長      大沢  実君     ————————————— 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   今澄  勇君     岡沢 完治君   河村  勝君     渡辺 武三君   不破 哲三君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     渡辺 栄一君   奥野 誠亮君     小澤 太郎君   井上 普方君     北山 愛郎君   伊藤惣助丸君     松尾 正吉君   北側 義一君     矢野 絢也君   岡沢 完治君     今澄  勇君   渡辺 武三君     河村  勝君   浦井  洋君     不破 哲三君同日  理事今澄勇君同日理事辞任につき、その補欠と  して麻生良方君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  昭和四十五年度一般会計予算  昭和四十五年度特別会計予算  昭和四十五年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  昭和四十五年度一般会計予算昭和四十五年度特別会計予算昭和四十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  まず、この際、参考人出頭要求の件についておはかりをいたします。  本日の北側君の質疑の際、日本道路公団総裁富樫凱一君出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 中野四郎

    中野委員長 一般質疑を続行いたします。田中武夫君。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 本日の私の質問目的は、いままでの質疑を通じまして、政府答弁が必ずしも明確でなく、十分に理解することのできなかった若干の問題につきまして、あらためて質問いたしたいと思うわけです。したがいまして、委員長にお願いをいたしますが、適宜関連質問を私の時間内で行ないたいと思いますので、その点も十分お含みの上、よろしくお願い申し上げます。  まず第一に、外務大臣にお伺いいたしますが、沖繩は七二年に返る、その返り方は本土並みである、こういうように言っておられます。しかし、日米共同声明の第四項によりますと、その時点においてベトナムの問題が解決をしていない場合にはあらためて協議する、そういうような趣旨になっております。  そこでお伺いいたしますが、七二年の十一月までにベトナム解決するというめどをお持ちなのかどうか。ことに、最近のラオスの問題等々をあわせ考えた場合に、二年後にベトナム解決しておると見られるのかどうか。もし解決すると見ておられるならば、ひとつその見通しについてお伺いする。もし解決することが困難であろうと考えられるならば、それでは別に協議するということは一体何を意味するのか。もちろんそのときになってみなければ具体的に何を協議するかわからないというような御答弁があるかもしれませんが、そういうことでなく、どういうことが考えられるのか。その協議内容あるいは見通し等々についてあらためてお伺いをいたします。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 共同声明の第四項でございますけれども、ベトナム戦争につきましては、戦争状態が終結しておるということについて、総理、大統領はともに強い願望を表明しておるわけでございます。おそらくこれは両国首脳だけではなくて、広く多くの人たちがその願望、期待を強く持っておると思います。  しからば、その見通しはどうかということがその次のお尋ねでございますが、見通しについては、たとえばパリ会談のその後の状況というようなことで消極的な見方もできますけれども、とにかくいろいろな努力が続けられて、戦争状態というようなものが少なくとも今日のような状態ではない、こういうふうに見通されてしかるべきものではないだろうか、かように考えるわけです。  それからその次に、協議の問題が次のお尋ねでありますけれども、沖繩返還については、三つ基本原則が定められております。この三つ原則、すなわち七二年中の返還本土並み核抜きということは返還についての具体的な基本原則でございますから、協議が行なわれる場合が万々一ありましても、それには関係ない、あるいはその範囲内あるいはそのワク内でと申したらいいかと思いますけれども、そういうことで協議が行なわれる、こういうふうに考えるわけでございます。これを要するに、政府としてはそういう状態が起こらざることをまず前提にしておりますから、起こったような場合にどういう協議内容になるかということはこれは将来の問題で、中身について具体的な見通しというものは持っておりません。それから別のほうからいえば、七二年中、本土並み核抜きということには触れることはございません、こういうふうに申し上げるのが現在の立場でございます。
  7. 中野四郎

    中野委員長 この際、楢崎弥之助君より関連質問の申し出がありますので、田中君の持ち時間の範囲内にてこれを許します。楢崎君。
  8. 楢崎弥之助

    楢崎委員 日米共同声明の中でいろいろいわれておるのですが、現実の問題として一番考えられるのは、やはり第四項、ベトナム戦争がもし七二年に終わっていないときには一体どうなるのか、これが一番現実的に可能性のある問題ですから、この点はこまかく詰めておかないとたいへん心配な点があるわけであります。  そこで、いま四項、七二年段階ベトナム解決していない場合の再協議内容について、沖繩返還は間違いない、それが一つ本土並み、これが二つ、核抜き、これが三つ、そのほかのことで協議をするという答弁のようでございますが、しからば端的にお伺いをいたします。  B52は、一応沖繩返還されると仮定をして、その段階B52の直接出撃は一たん中止をされる。そして再び直接出撃をしたいという要望があれば事前協議にかかる、これが本土並みであろうと思うのですね。その際に、そういうB52直接出撃要求があった際に、日本政府事前協議においてこれを断わりますか。
  9. 愛知揆一

    愛知国務大臣 端的にお答えいたしますといろいろ誤解が起こりますから、やはり前提を申し上げなければならないので、そのときまでにベトナム戦争状態が済んでいるということを前提にしておるわけでございますから、その協議内容がどうなるかということについてはいま申し上げる段階ではない、そういうことがないことをこれ期待しているというわけでございます。  それからその次に、かりにまあ仮定の問題ですけれども、続いておるとしましても、おそらく戦争状態というようなものは非常にデスカレートされている、こういう状態であることがその次に考えられる状態ではないかと思います。そうして、そういうことを前提にして、いまB52のお話がございましたけれども、先ほど申しましたように本土並みは動かないのでございますから、返還されれば、安保条約の取りきめが本土変更なしに適用されれば、かりにそういうことをアメリカ側が希望するような事態が起こったとしても、事前協議対象になることは、これは当然でございます。そしてこれは仮定の問題ですから、一般論としてお答えせざるを得ないと思いますけれども、事前協議としてはこれはイエスと言うこともノーと言うこともある、これが事前協議というものの性格であるということは前々から申し上げているとおりでございます。
  10. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それは当然のことでして、本土並みになればそういうことは当然のことなんです。それをしも、なおここで再協議をするということをわざわざここにうたった意味は何ですか。あなたの背景説明によると、沖繩が返ってくることがベトナム戦争の遂行上影響を与えるとすれば、いかなる選択があるのか、そのときに考える。——その選択というのはB52の出撃内容が入っておるはずであります。だから、その事前協議にかかれば、イエスもあり、ノーもあるというようなことは、言わずもがなのことでして、一体日本政府としては、米軍B52の出撃を要請するというそういう事態ということは、デスカレートしていない場合だと思うのですよ、そういう事態のときにはB52の出撃イエスと言うのか。イエスと言うほうが多いのか。簡単にひとつお考えを承りたい。
  11. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは現実に本日そういう問題が起こっているわけではございませんから、そしてまた希望せざる状態仮定してのお尋ねでございますから、私はそういう事態が起こらないことを期待している。そして返還になって事前協議になれば、これは一般論として戦闘作戦行動のほかにもいろいろの事前協議対象事項はございますが、本土と同じように事前協議対象になります。事前協議対象になった場合にはイエスもあるしノーもある。この一般論でお答えする以外には方法はないわけで、予想される事態というものを考えておりませんですから、それで御了承願いたいと思います。
  12. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あとでラオスの問題に触れたいと思いますが、いまやラオス内戦ベトナム戦争一つのセットされた戦争になってきている。七二年の解決というものは現実に非常にむずかしくなってきている。一番可能性のある問題なんです。仮定の問題じゃないのです、これは。だから沖繩が返ってきたときに、B52の直接出撃を要請されるような事態のときにはデスカレートしていない段階だから、一体どうするのか。それをイエスもありノーもある、ただそれだけのことしか考えていないのですか、いま政府としては。
  13. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それからもう一つ念のために申し上げておきますけれども、ベトナムが万一そういう状態になったときの協議というのは、本土並み安保条約が適用されるというようなことについて特別の取りきめをするとか、あるいは返還事前において特定の状態を予想して予約をするとかいうことは含んでおりませんということは、私の当時の説明要旨にも明らかにしておったはずでございます。
  14. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、重ねてお伺いしておきますが、この再協議というは、沖繩の、いうところの本土並み返還に何らかの変更を加えるような再協議というものはないと断言できますか。
  15. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは一番大事なところでございまして、返還後におきましては安保条約並びに関連取りきめは何らの変更なしに適用される、あえて断言いたします。
  16. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは再協議内容について具体的なものを何をお考えですか。何がありますか。
  17. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは、ですから先ほど申し上げましたように、現在その内容がどうであるかと想定することはできませんが、しかし、いま断言いたしましたように、本土並みの適用あるいは核抜きというようなことに触れることは断じてございません。
  18. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは確認をいたしておきます。この再協議内容沖繩本土並み返還ということに何らかの変更を加えるような内容協議ではない。それは確認をいたしておきます。  そこで、ベトナム安保条約第六条の極東条項範囲に入りますか。
  19. 愛知揆一

    愛知国務大臣 極東条項については昭和三十五年以来の統一見解のとおりでございます。
  20. 楢崎弥之助

    楢崎委員 入るか入らないかをお伺いしているのです。
  21. 愛知揆一

    愛知国務大臣 統一見解は、いまここで読み上げてもよろしいですが、その読み上げる中には入っておりません。
  22. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、ベトナム安保条約第六条の極東条項範囲に入らない。そうすると、椎名外務大臣はかつて第六条、極東条項周辺に当たるから第六条の極東条項範囲だという明確な答弁をされた、したがって、日本ベトナム戦争について中立ではないという明確な答弁をされましたが、それを否定されますか。
  23. 愛知揆一

    愛知国務大臣 極東範囲の問題につきましては、昭和三十五年以来統一解釈がございますことは御承知のとおりですね。その地域を守ることが両国共通目的として——ですから、あの文書の中には入っておりません。地理学的に正確なものではないけれども、概略していえばフィリピン以北だということがあの統一解釈に書いておりますから、その中には入っていない。
  24. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それではもし沖繩が返ってきたときに、B52の直接出撃事前協議にかける際に、ベトナムは第六条の極東範囲に入っていないとすれば、当然ノーということになると思いますが、どうですか。
  25. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それはもうよく御承知のとおりでございまして、極東の平和と安全を守るために、たとえば戦闘作戦行動というものを考えた場合に、その周辺地域からの影響や脅威によってそれを排除しなければならないというような場合における戦闘作戦行動対象地域は、極東地域というものとは若干異なるということも、また政府統一見解に明らかになっておるところでございます。
  26. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで非常にずるい答弁になっているのですね。安保条約の第六条によって直接出撃という問題が起こるわけですね。だから私は、安保条約の第六条の直接出撃範囲、つまり極東範囲ですね。それに入っておるかというと入っていないと言う。ところが今度直接出撃の要請があったときには、影響のある地区に対して直接出撃の相談はあるのは当然だからという御答弁ですね。非常に混乱しているじゃないですか。結局第六条の極東条項ベトナムは入るということでしょう、いまの後段の答弁によると。そうなるじゃありませんか。もし第六条にいう極東条項ベトナムが入らないという前段答弁であれば、事前協議にかかっても、これは安保条約の第六条の極東条項ではないからお断わりすると、こうなるじゃありませんか。どちらかに統一してください。混乱がありますよ。
  27. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは混乱はないのでございまして、ですからやはり念のため読み上げざるを得ないのです。一般的な——いえ、私の答弁ですから聞いてください。「一般的な用語として用いられている極東は、地理学上正確に画定されたものではないが、安保条約上の極東は、日米両国が平和安全の維持に共通の関心を特に有している区域であって、かかる区域は大体においてフィリピン以北云々であることは、安保国会当時の統一見解に示されているとおりであります。」私のいま申し上げていることはそのとおりです。そうして「極東の安全」——これからが大事なところです。だから、御承知のとおりでしょうとさっき申し上げたじゃありませんか。「極東の安全が周辺地域に起こった事情のため脅威されるような場合、米軍わが国施設区域を使用して行動する範囲は、必ずしも条約にいう極東に局限されるわけではないことも統一見解に示されたとおりでございます。かかる場合に、その行動在日施設区域を基地とする戦闘作戦行動であるときには事前協議対象となることは申すまでもないところでございます」だから、いままで私が申し上げておりますことはこのとおりで、統一解釈どおりでございます。
  28. 楢崎弥之助

    楢崎委員 だから、ベトナムは一番最後極東周辺影響を及ぼす地域に入るから、第六条のいわゆる事前協議対象地域になるのだ、こういうことでしょう。それを聞いておるのです。それをあなたは入らないと最初言った。
  29. 愛知揆一

    愛知国務大臣 入らないのですよ、前段極東には。ただ、ここに申し上げておるとおり——ですから、極東の安全が周辺地域に起こった事情のため脅威されるような場合に、米軍わが国施設区域を使用して行動する範囲は、必ずしも条約にいう極東に局限されているわけではないことは、統一解釈に示されているとおりです。これはイエスとかノーとか簡単に言える問題ではございません。
  30. 楢崎弥之助

    楢崎委員 だから、ベトナムは第六条のいわゆる周辺——極東範囲ですよ。周辺にかかわる地域だ。だから、第六条に基づいてベトナムヘの出撃事前協議を要請してくるわけでしょう。だから、第六条にかかわる地域だ、そうですかと聞いているのです。だから、イエスノーか言えばいいのです。
  31. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いわゆる条約上の極東地域ではないということは、ここに申し上げたとおりです。しかし——詳しく申し上げているでしょう。米軍在日施設区域を利用して作戦行動を展開する対象になる地域は、必ずしもこの極東に限定されるものではない、このくらいはっきりしたことはないじゃないですか。ですから、そういう行動の場合には事前協議対象になるということはイエスですよ。     〔楢崎委員「だから、第六条の地域じゃない   ですか」と呼ぶ〕
  32. 中野四郎

    中野委員長 質問者にちょっと——楢崎君に申し上げますが、少し秩序正しく質疑応答をしていただきたいと思います。
  33. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは時間がありませんから、私は最後一つ質問いたします。  ラオスは第六条にかかわる地域ですか。それが一つ。  それから、ラオス内戦に干渉しておるアメリカの現在の状態は、つまりアメリカラオス内戦に対する介入、この介入の国際法的な正当性について日本政府はどのような見解を持っておらるるか、公式にひとつ御見解をいただきたい。ということは、共同声明の第四項でありますが、一番最後に、「総理大臣は、日本としてはインドシナ地域の安定のため果たしうる役割を探究している」、探究されておる日本政府は、だから、どういう公式の見解を、いまのラオス戦争に対するアメリカ介入について持っておらるるか。そうしてどのようにその安定のためにあるいは解決のために果たし得る役割り考えておらるるか、これは共同声明にあるのです。公式のひとつ御見解を承りたい。その問題に対しての私の質問は、あしたからの分科会に続行したいと思います。
  34. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ラオスでございますけれども、これは第一のお尋ねは、米国がラオスにおいて現にとっておる行動について、国際法的、あるいは法律的の根拠について日本国政府の公式の見解はどうであるか、こういうお尋ねでございますけれども、アメリカ側としても、法律的見解あるいは国際法的見解など必ずしも明確に捕捉できないところもございますし、またアメリカのとっている措置について、日本政府として現在においてコメントする立場にない、これは御了察いただけると思います。  そこで、日本政府がどういう公式の立場を持っておるかということについてお答えをいたしますれば、これは私はベトナムとだいぶ状況が違うと思うのです。ラオスは、これももうよく御承知のとおりに、一九六二年のジュネーブ協定以来、いまのラオスの政権というものは、中立政権として共産圏からも支持されている政権でございますし、それからジュネーブ協定自身が、この政権を盛り立てて安定をしたい、こういう見解に立っているわけでございます、詳しくは省略いたしますけれども。そこで、たとえば私自身にいたしましても、昨年ソ連に参りましたときにも、ソ連の最高首脳の方々にも、英ソが共同議長国になってジュネーブ協定を実施する立場といいますか、そういう大きな立場にあられるのですから、ソ連側からもラオスの安定について、もっとひとつ御尽力を願いたいということを、私としても要請をいたしましたし、またその後もそういう態度で関係国に訴えをいたしております。また最近私は、必要に応じてはさらに日本政府としてとるべき態度があるのではなかろうかと、ただいま真剣に探究いたしておるわけでございまして、この地域の安定に対しては、ひとつできるだけの努力をいたしたいと考えております。
  35. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それじゃこれでやめます。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど来の外務大臣の御答弁を伺っておりましても、依然として十分な理解が行けないわけなんです。と申しますのは、その一つは、七二年の時点でベトナム解決することを希望する、こういうことはあくまでも主観的希望にすぎません。もしそうであるとするならば、どのような段階を経て七二年には終結をするのだ、こういう見通しだということをはっきりする必要があると思います。さらに、したがって、共同声明の四項に、特にその時点で「十分協議する」ということを入れた意図が十分ではない。さらにもう一点は、いわゆるベトナム極東範囲には入らない。しかし極東範囲影響を与えるものとしてと、こういうことなんです。そういうことを演繹していくならば、幾らでも広く解釈をして、たとえばどこかヨーロッパに起こった問題でも、極東地域影響があるならばということまでエスカレートする可能性がある。このことは十分ひとつわかるように解明をしていただく必要がある。もし影響があるとするならば、その因果関係というのはどういうものなのか、これをはっきりする必要があると思います。もし答弁があるのならば伺いますし、何ならひとつ文書をもってこの三点に対してお答えを願いたい。そうして次に移りたいと思います。  次の問題は、厚生大臣、自治大臣にまずお伺いをいたしますが、これは先日の細谷質問に関連してであります。法令と自治体の条例との関係であります。もちろん憲法九十四条及び地方自治法十四条ですかにはその関係がうたってございます。しかしながら、その法律それ自体の目的、精神によって違ってくる場合があり得る。すなわち何とか基本法等々によって一つの基準を法律が示す。その場合はこれ以上の——以上ということばは必ずしも適切ではないが、国民側から見ていいという意味にとりましょう。したがって、これ以下の基準は、公害の場合ですと何々PPM以上ということになりますが、絶対に許さないという法律の精神、またこれは最低基準を示すものである、したがって、国民の側に立ち、市民の側に立って、それよりかいいことは法律は関与しない、こういう趣旨のものがある。たとえば労働基準法は、これは労働協約と条例とは違いますが、一つの基準を示しておるけれども、労働協約によってよりよき労働条件をとることは一向差しつかえないとうたつている。そういう文句があろうとなかろうと、その法律の目的、精神によってそう解釈すべきであり、そのことの法律の根拠を求めるならば、地方自治法十四条第二項の、法律の定めなきものについては条例で定めなければならない、こういうところにも関連してくると思います。具体的なことにつきましては関連質問者がお伺いいたしますが、まず基本的に法律と条例との関係について、憲法九十四条と自治法十四条だけでなく、その具体的な問題になるところの法律の精神あるいは目的によって解釈を変えるべきかどうか、変え得る余地があるのかどうか。そういう点を含めてお伺いをいたします。厚生大臣、自治大臣双方の御答弁を求めます。     〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕
  37. 内田常雄

    ○内田国務大臣 この件につきましては先般もお尋ねがございましたので、私からは法律論は抜きにして、国民の健康を守るための排出基準等につ、きましては、国と、それから地元に最も関係のある公共団体とが十分打ち合わせて遺憾なきようにはからいたいということは申し上げておきました。  法律上の問題といたしましてのお尋ねでございますから、一応その点に触れてみますると、大気汚染防止法の第三十二条というのがございまして、国が法律できめておりますところのばい煙発生施設以外のものについての規制については、地方公共団体が条例で規制をすることを妨げるものではない、こういう規定がございます。国のほうは規模の大きい、この間も申し上げましたようなボイラーでいうと伝導面積十平米以上のものについて排出基準をきめておりますので、それより小さい伝導面積のボイラーについて条例がきめることは、これは全く条例にまかされておりまするし、また、ここに告示などで並べてありまするばい煙発生施設以外の施設について条例がいろいろなことをおきめになる。こういうように国と地方とが長短相補足しながらきめるというようなたてまえをとっております。また実際問題といたしましても、東京都の基準と国がこの大気汚染防止法に基づく告示できめております基準が、従来は違っておらないのですが、今度東京都のほうが別の方式できめたいという問題が起こっておりますので、そのことについては双方打ち合わせをしていただくことにして、現在打ち合わせ進行中でございますので、申し上げておきます。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと。現実に問題になっておるのが東京都公害防止条例であるから、それだけをあなた頭に置いてお答えになったけれども、私はそういうことでなく、一般的に法律と条例とはどういう関係にあるのか、憲法九十四条ないし地方自治法の十四条一項あるいは二項との関係において、その法律の精神、目的によって解釈を拡張できるのではないか。いわゆる与えられた基準が、たとえば出資の受入何とかかんとかの取り締まりの法律でいうように、日歩三十銭以上は絶対許さないのだ、それをこえた場合は犯罪を構成するという意味のものと、これは一つの基準である、したがってこれより上のことは——上というか、国民の側に立っていいことならばこれはいいんだ、こういう法律の趣旨と、二つ法律の意味があると思うのです。そういう場合において一体どう解釈するかということなんです。それを厚生省も、あるいは通産省もですが、ただ頭から違法だ、こういうことをいっておられるようですが、まずそういうような定義というか、法律、政令と条例との接点ということをはっきりしてもらいたい、こういう意味なんです。
  39. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは問題が問題でございまして、国民の健康を守ったり、生活環境を守る問題でございますから、私は法律論でなしに、実際問題として片づけたいという立場をとってきておりますことは、たびたび申し上げたとおりであります。しかし、法律論に入りますと、大気汚染防止法の三十二条には、国がきめないこと、またきめない部分等については条例できめてよろしい、こういうことが書いてございますし、またそれよりもう一つ前の公害対策基本法の十八条におきましては、地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、国がきめる事項に準ずるような事項をきめたり、実施してもよろしい、こう書いてありますので、これは両々相まってやるということで、田中さんから御議論のように、私は、他の例とはちょっと違う例でありますから、法律論でいくべきではなしに、国は絶対共通の最大公約数的なことをきめる、地方はそれぞれの地方の実情に応じて細目をきめなさい、しかし、これを受ける企業なり事業場なりから見て、一体国の基準に従ったらそれでいいのか、あるいはまた地方公共団体がそれ以上きつい基準をかりにきめた場合には、一体それがその事業場としてどう処理すべきかという問題にもなりますので、そういう企業や事業場が迷わないように実際に打ち合わせてきめるのが一番いいことだということで、私のほうもアローアンスを盛ったり、また関係の公共団体にも同じような考え方から打ち合わせしていただいておる、こういうことでございます。  なお、こまかいこともあるようでございますけれども……。
  40. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 一般的に地方自治団体の条例、規則は国の法令に違反しない範囲において制定をできるわけでございます。そこで、いま問題は、その地方自治法十四条の関係でございます。(田中(武)委員「一項と二項の……」と呼ぶ)一項と二項、そこらは、現実にケース・バイ・ケース、その法律がそういう余地を残しておるか、残しておらないかという点にかかわると思いますが、何と申しましても、いま問題になっている公害等の問題については、やはり人間尊重の精神等も加味して、関係機関において慎重研究協議すべきものと心得ております。
  41. 坪川信三

    坪川委員長代理 この際、細谷君より関連質問の申し出があります。田中君の持ち時間の範囲内において、これを許します。細谷君。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 関連でありますので、一つ簡単に、明瞭にお答えいただきたいと思います。  私は法令と条例との関係ということで、憲法九十四条を受けての自治法十四条の規定、それからいま厚生大臣がお答えになりました公害対策基本法第五条、十八条の規定、こういう問題についてせんだっての総括質問でも質問いたしたわけでありますけれども、不徹底な点がありますから、重ねてお尋ねしたいと思うのです。  自治大臣、御承知のように、かつて東京都に消防設備士の条例というものがあったわけです。これは最近の火災現状にかんがみまして、新しい建材等によって煙によって死亡者が多くなるので、消防設備士は建物の設計等にもタッチさせなければならぬという条例でありました。ところが、その後消防法というのができまして、消防設備士は建物の設計にタッチすることができなくなったわけです。したがって、東京都の条例はその部分が無効になりました。そういうために、最近の火災の特徴として煙にまかれて——火災の件数と同時に、死亡者が非常にふえた、そういう一つの原因をなしておると思うのであります。  最近、著しく法令と条例との接点の問題として重大な問題が提起されておりますが、その一つは、私は東京都の公害条例、それを受けての規則をめぐっての国との、違法であるかないか、こういう問題が提起されておると思うのです。さらには、後ほど時間がありましたらお尋ねしたいのでありますけれども、河川法の二十九条による政令改正という問題もございます。これは、公害というのは人命に直接関係する問題でありますし、特に経済審議会が近く新経済社会発展計画をやりますが、その場合にも公害というものは重要な問題として取り上げられております。その場合に、生活環境の整備ということが重要な施策としてうたわれておることも御承知のとおりであります。それでありますので、私はこの際ひとつはっきりしておきたいと思う。いま厚生大臣がお答えになりました、法律で規制しておるそれの基準を上回っておる部分については、憲法九十四条、自治法十四条、あるいは公害基本法五条、十八条を受けまして問題があるわけでありますけれども、東京都の場合は、いま厚生大臣がお答えになりましたように、国の基準というのは、煙突の一本々々、ボイラーの一本々々についての吐き出し口からの亜硫酸ガス等の濃度をきめておるわけでありますけれども、これでは環境基準、生活環境というものを守ることはできませんので、東京都としては、煙突が一本あるところと五本あるところでは違うわけでありますから、工場全体としてこれを把握していこうというのが東京都の条例の一つのねらいであります。言ってみますと、工場等発生源からの総排出量を問題にしたのだ。煙突一本一本じゃない、総排出量を問題にしたのだ。それから第二番目は、複合汚染に対する勧告基準を新設したということであります。これが総合的な規制であります。その次には、規制の強化をした。先ほど厚生大臣がおっしゃったように、国のほうは一定規模以上のボイラーを対象にしておりますけれども、それ以下のものもやはり環境をよごしますから、それをひとつ規制の対象を拡大した。いわゆる法律が規制にしていない部分について条例は対象にしたということ。それから法律が取り締まって規制していないガス等に、規制の項目を新しく新設したということでありますから、これは生活環境を守っていくという点からいきますと、国がねらっている煙突一本々々については、東京都の条例を受けての規則というのは、国の法令の範囲内でいっております。しかし総排出量については、東京都としては生活環境を守るために重要なんだということでやっておるわけなんですから、これは先ほど厚生大臣のおことばをかりますと、法律が対象にしていない点を条例で規制しよう、規則で規制しようということでありますから、これは九十四条なり十四条からいって違法なんということではないと私は思うのです。  ところが残念なことには、二月二十日の読売新聞によりますと、通産省と経済企画庁は、これは違法なんだ、こういうふうに言っておるんだそうであります。どうして違法なんですか。これをひとつ通産大臣と経済企画庁長官にお尋ねしておきます。
  43. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 公害の規制の基準をどう定めるかということについては、技術の進歩でありますとか、あるいは意識の定着でありますとかによって、時とともにこれは変わっていくべきものであろう。そして、それが傾向としては企業の側にきつくなるということは、私は当然のことだと思います。しかし、ある時点においては、そのときに両方が譲り得るぎりぎりの点というもので規制の基準というものをきめていかなければならない。そこで、ただいま御指摘のような場合は、煙突の一本一本についての排出の基準をかくかくきめることは適当であると国が定めたわけであります。それに対して、自治体が、それは煙突一本一本ばかりでなく工場全体についての基準にすべきであるということをいわれますと、両方の規制は矛盾した結果になる。先ほど厚生大臣のお述べになりました大気汚染防止法三十二条でございましたか、その反対解釈から申しますと、明らかにこれは国が規制を定めたエリアでありますから、範囲でありますから、それと矛盾した規制が生まれるとすれば、産業としてはいずれに従うべきかに迷わなければならないわけで、その場合には明らかに国の定めた事柄の範囲でありますから、それについて、それと矛盾した規制を自治体がすることは適当でない、こういうことであろうと思います。
  44. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 国の法律と条例の中身が食い違っておりました場合に、その国の規制する部分が優先をする、こういう法制局の解釈であります。われわれも、もしそういう食い違いがある場合には、そうした解釈に従わざるを得ないということでありまして、いまいろいろとお話のある具体的な案件については私たちもこれを調整する、こういう気持ちを十分に持っておりますけれども、法律の解釈論だけをいまお問いになりましたので、その点に関しては無効である、こういう法制局の見解に従っておるわけであります。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 通産大臣、一本一本については国の基準の規制以下なんですよ。それのトータルを規制しよう、こういうことなんでありますから、その地域の環境全体を守ろう、こういうことなんですから、これは当然なこととして公害対策に出なければいかぬのであって、むしろ私は、この問題に関連いたしまして、知事の意見を聞かなければならぬ。その際に知事からは不服が出た。それをあえて強行したといわれておる。国の基準が生活環境を守るのじゃなくて、ただ煙突一本一本を規制すればいいんだというのが誤りである。ほんとうの公害対策になっておらない。こういうふうに申し上げざるを得ないと思うのです。ですから、いま私が申し上げたように、国が規制してない——煙突一本一本については国の基準に従いつつ、全体としてはひとつこの工場ではこういう総排出量にしてほしい、国が規制をしておらない小さなボイラー等にも規制をいたしますよ、国が規制をしておらない有毒ガス等が出ておるわけですから、それも規制しますよということでありますから、法律の対象にしておるものについては、その範囲内において、法律が規制していない以外のものについてやはり生活を守るために、健康を守るために規制をしたのでありますから、これは違法呼ばわりするのは公害対策ということの重要性をわきまえない言い分ではないか、こう思っております。  そこで、私は時間がありませんから、厚生大臣、この問題については生活環境を守るということが公害対策なんですね。煙突一本一本規制するというのは意味ないのですよ。全体として、その環境はどうよごれておるかということが問題なんでありますから、ひとつ十分に相談をするということでありますから、この点は生活を守っていく、こういう観点に立って生命を守るという意味において対処していくべきではないか、こう思います。これはひとつ厚生大臣、自治大臣に特に申し上げておきたいと思うのであります。  それから、時間がありませんから、一ぺんに聞きますが、厚生大臣、こういう問題に関連して、最近問題が起こっているのは、身体障害者扶養保険制度というものを各自治体でやっておったわけですね。ところが国のほうでそれについて今度はちょっかいを出すことになった。事務費とか補助金を少し出すことになりました。そのために、いままで全国の条例等でやっておったものよりも条件がきびしくなるものでありますから、自治体がまいっちゃっておるわけですね。いままでこの保険制度に入れておった人もはずれていく。これでまた厚生省と自治体との間で問題が起こっておると聞いております。地方団体が、身体障害者のうち両親がなくなった身寄りのない人を助けようということでやむにやまれずやったのを、国があと取りするならば、自治体がやってまいりましたそういうものはそのまま受け継ぐ、こういうことをしてやらなければならぬと思うのでありますが、それを一部はねのける、こういうことはよろしくないと思うのであります。この点についてひとつ厚生大臣の御見解を聞きたい。  もう一つ、建設省は、大臣はきょう見えておりませんが、河川法二十九条に基づいて政令の改正が考えられておるようであります。この問題は、言ってみますと、いわゆる行政の二元化、こういうことになりますし、現に指定地域以外は条例で規制しておるのを国のほうが吸い上げていこう、こういうことになるわけであって、これは、私は問題があろうかと思うのであります。これについて建設省としてはどうお考えになっておるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  46. 内田常雄

    ○内田国務大臣 公害の問題につきましては、細谷先生はたいへんよく御承知のことと私は観察するものでございまして、大体私は、さっきから申しますようなことで、打ち合わせて、うまくやってまいりたいと思います。  それから心身障害者の扶養保険のことにつきまして、国がちょっかいを出したということではございませんで、むしろ全国的に広い共済制度としてその実をあげていきたいということでございますので、せっかくそういうことをやりましても、いままで公共団体がやっておるものを落としてしまったのでは何にもなりませんので、それらにつきましては、これは十分いままでの実績等を取り入れるような方向で緩急よろしくやってまいることにいたしたいと思います。
  47. 坂野重信

    ○坂野政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、建設省におきましては、河川法の二十九条に基づく政令につきまして立案いたしまして、各省と協議中でございます。河川法の目的といたしましても、「河川が適正に利用され、及び流水の正常な機能が維持されるようにこれを総合的に管理する」という河川法の根本的な目的になっておりますので、河川の立場からは、河川のそういった目的に合うように、水質保全につきましても完ぺきを期するという河川法の立場から考えておるわけでございまして、いま政令の内容につきましていろいろ各省と検討中でございますが、御指摘の公害防止条例による規制との関係につきましては、各省と十分協議いたしまして、その間の調整を十分はかるように政令の内容等について今後検討してまいりたい、かように考えております。     〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 この問題につきましては、またいずれ他の機会にもっと法律的に私は議論をいたしたい、こう考えておりますが、きょうはこの程度にいたしまして、次に移りたいと思います。  農林大臣と大蔵大臣にお伺いいたしますが、政府は一せいに水田をつぶせという指令を全国的に出されたわけなんです。これは今日までの政府が、日本農業が国際競争に打ち勝つため、あるいは国際競争の中に入り込むためには経営の規模を大きくしなければいけないという従来の主張とは相いれないものがある、このように思います。さらに机上のプランで全国一律に減反指令を出したためにいろいろなトラブルがあるようでもありますし、したがって、どのような方策で今後どのようにしてやっていくのかという具体的な方法がまだ十分に示されておりません。さらにまた作付転換奨励金ですか、これは四十五年度はまず初年度は出そう、しかし二年、三年続いて出すのか出さないのか、どうも出さないように言ってみたり、出すような意味のことが言われたり、この点はっきりいたしておりませんので、この二点について、一方農林大臣は具体的な減反についてのプランをひとつお示し願いたい。大蔵大臣はこの種の作付転換奨励金等は一年限りなのか、来年、再来年も出すのか、この点をはっきりしてもらいたいと思います。
  49. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 米の過剰に対しまして、政府はしばしば申し上げておりますように、百五十万トン以上本年度生産調整をいたしたい。そこで、百万トン以上は全国的に生産調整に協力してもらって、つまり作付をそれだけ減らすことによって調整をいたしたい。あと五十万トン分に見合う分は農地の他用途への転換によってその目的を達成いたしたい、こういうことでありますが、いまお話しのように一律ということでありますが、これはやっぱり地方の事情によりまして、私どもとしては、地方の希望が平均そういうことでありますので、一応全面的にそういう割合で御協力を願う。そこで、このことについてはもう御承知のように、地方自治体、それから農業団体、そういう方々に協力を呼びかけて、ただいま末端までその考え方がおりてまいりまして、いまそれに着手をされておる、こういう状態であります。それから他の五十万トン分に見合う転用のほうにつきましては、政府部内で各省において協力をするために、一億円の予算をそれぞれ関係省に分割いたしまして、いまそれに基づいて調査資料を集めておるところであります。
  50. 福田赳夫

    福田国務大臣 はっきり申し上げますが、四十五年度において支出いたします減反奨励金、この種のものは四十五年度限りでございます。四十六年度以降につきましては、四十五年度におけるこの減反施策の成り行きを見て慎重に検討いたしたい、かように考えております。
  51. 中野四郎

    中野委員長 西宮弘君より関連質問の申し出がありますので、田中君の持ち時間の範囲内にてこれをお許しいたします。
  52. 西宮弘

    西宮委員 ただいま農林大臣から、いわゆる百万トンと五十万トンとに区分けをしてそれぞれの計画がある、こういうお話でありましたが、その具体的な計画、これをぜひお聞きをしたいと思うのです。ただいま五十万トンの分について、これはおそらく道路をつくったり、あるいは学校をつくったり、あるいは民間の工場が来たり、いろいろそういうことで土地がつぶれていく、こういうことになるのだろうと思いますが、そういう点をどういうふうに見通しておられるのか、具体的な計画についてお聞きいたします。
  53. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 具体的な計画を立てますために、各省でいま鋭意調査いたしておる、こういうことであります。
  54. 西宮弘

    西宮委員 目下調査中だということであります。それはそれとして、その可能性については十分な自信をお持ちでございますか。
  55. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 可能性については十分信用いたしておるわけであります。確信してやっております。
  56. 西宮弘

    西宮委員 十分確信をしておるというお話でありますが、これは新聞ですから、一々新聞を気にしてもしかたがないのかもしれませんけれども、たとえばけさの日本経済新聞等によると、その目標の達成はきわめて困難だという、すこぶる悲観的な見通しが出ているわけです。これは新聞の内容によりますると、現時点において各省から持ち寄った資料によって、こういうことになっておるわけですが、そういう新聞の記事がけさも報道されておるのです。そういう点については何らの不安がないわけですか。
  57. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いろいろ新聞に書いてあるそうでありますが、そういう記事はどこから出たのか私ども存じませんが、さっき申し上げましたように、各省それぞれ関係当局を督励してやっておる最中でありますから、私どもはそれを信用しておるわけであります。
  58. 西宮弘

    西宮委員 農林大臣は十二分に確信を持っておる、こういうことでありますが、お尋ねをしたいのは、それでは確信どおりにいかないでこれが中途はんぱに終わってしまった、こういうことになったとき、どういうあとの対策を講ぜられるか。
  59. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 確信を持ってそして一生懸命にやっておる最中でありますから、できなかったときはというふうなことをいまちっとも考えておりませんが、もしそういうことがありましたならば、なぜこういうことになったのであろうかという原因を深く突きとめまして、それから打つべき手段を検討しなければならない、こういうことだろうと思うのであります。
  60. 西宮弘

    西宮委員 いわゆる打つべき手段といういまの農林大臣の答弁でありましたが、そういう点で全国の農民が非常な不安を感じておるのは、それがうまくいかなかったということで、いわゆる打つべき手段として、たとえば食管制度を改廃をするとかあるいは買い入れ制限をするとか、そういうことが来年度行なわれるのではないか、こういうことを心配をしておるわけです。そういう心配も全くありませんか。
  61. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いま申し上げましたように、百万トン分と五十万トン分はそれぞれ分けてやっておること御存じのとおりでございますので、その百万トン分がかりに満たされなかったときのいろいろな事情と、五十万トン分の満たされなかったときのいろいろな事情とは、おのずから異なってくるだろうと思います。したがって、いま西宮さんお尋ねのほうは、両方であるかもしれませんけれども、私どもはいまの情勢ではできると確信いたしておるのでありますが、間違ってそれを満たされなかったときには、いま申し上げましたように、なぜこういうような結果になったかという原因を十分掘り下げて、あらゆる方面と相談をして対処していかなければならないと思うのでありますが、しばしば申し上げておりますように、買い入れ制限というようなことを現段階においては考えておりません。
  62. 西宮弘

    西宮委員 私がお尋ねをしたのは、打つべき手段、こういうことを大臣が言われたので、そのいわゆる打つべき手段とは何であるかということをお尋ねをしたわけです。ですから、百万トン、五十万トン、それはそれぞれ区別をして考えるのだ、こういう話でありますが、百万トンの場合あるいは五十万トンの場合、その両者それぞれが計画どおりにいかなかったという場合の打つべき手段は何であるか。もちろんこれはもういままで何回も言っておるとおり、現段階においては買い入れ制限等はやらない、こういうことを言っておるのですから、私はそれを聞いておらないので、つまり、次年度以降においてどういう打つべき手段を考えておるのか、こういうことを、百万トン、五十万トンおのおのに分けてお答え願いたいと思います。
  63. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 西宮さんの御存じのように、われわれは、ぜひこれをやらなければたいへんなことになるとみんなで心配しているわけでありますから、それについては、地方の農家も非常に一生懸命でやっていっていただくわけであります。したがって、もしその希望が満たされなかったときには、先ほど来申し上げておりますように、どういう原因でこういうふうになったのであろうかということを十分に研究をいたしまして、そして、どうするかということをまたあらためて考えなければならないのではないか、こう思っておるわけでありまして、そのできると確信しているのができ、なかった場合に、われわれのいま予想外のいろいろな事情が出てくるでありましょう、そういうことに即して判断をしなければなりませんので、いま、そういう支障があるであろうその支障を予測して判断するということは、むずかしいのじゃないかと思うのであります。そのときにひとつ十分検討をいたしたい、こう思っておるわけです。
  64. 西宮弘

    西宮委員 私どもは、基本的な考え方としては、この前私も申し上げたのでありますが、基本的な態度としては、こういうようなこそくなやり方で、いわゆる減反、減産をやるというようなことであってはならない、米については、国内で消費の拡大をはかる、消費拡大の方策をとる、さらに海外には輸出をする、こういうことが根本的な解決の方策だと私どもは考えておるわけです。その考えは、依然として私どもには強い主張であるわけでありますが、いまそれはさておいて、いま大臣のお話だと、いまのその百万トンないしは五十万トンについて関係者がみんなそれぞれ心配をしておるのだ、こういう話でありまするから、それを前提にしてとりあえずお尋ねをしているのであります。  そこで、さっき大臣の言われたこの一点だけお答えを願いたいと思います。つまり、百万トンと五十万トンは区別をして取り扱うのだということでありますから、その百万トンと五十万トンが成功しなかった場合に、どういう方策をとるのかということを、その百万トンと五十万トンとの違いについてお答え願いたい。
  65. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 別に考えているわけではございませんで、百五十万トン以上の生産調整をやろう、こういうわけでありますが、百万トン分については、それぞれの農業者にそのまま御協力を願う、あと五十万トン分は、農地、水田を他用途に転換すること等によってやりたい、こういうのでありますから、私どもは、百五十万トン以上の生産調整を望むという点においては同じわけであります。したがって、それができなかったという、先ほど来のお話がありますれば、そういうふうになったのはどういう理由であるかということを掘り下げて検討して対処策を講じたい、こう言っているわけであります。
  66. 西宮弘

    西宮委員 それでは、つまり、百万トンと五十万トンを区別をして考えるという意味は、百万トンはいわば農民の協力を求める、五十万トンは政府考えるのだ。したがって、五十万トンが成功しない場合は、これはあくまでも政府の責任において解決をする。百万トンの分についてはさらに来年度以降農民の協力というか、何かそういう立場で考える。つまり私の心配は、五十万トンは、要するに政府が各省の協力を求めたけれども協力が得られなかった、したがってこれはもう政府の責任だからしかたがない。しかし百万トンのほうは、農民の協力を求めたのだけれども協力が得られなかった、こういうことで、百万トンの分については、それがうまくいかなかった場合には、次年度以降の解決策が農民にしわ寄せをされる。五十万トンについては、そういう考えは毛頭ないけれども、百万トンについては、農民にそのしわ寄せが直接及んでいく。こういうふうな考え方であるのかどうかということを、もう一ぺんお尋ねします。
  67. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 農民にしわ寄せということでありますが、私どもは、全体の生産がどうなるかということによって、米に対する政府考え方というものをきめていかねばなりませんので、この分は農民の責任だ、この分はだれの責任だなどという、そういうようなことではございませんで、全体としての日本の農業政策上、米はどうあるべきかということについて考えておるわけでありますから、今度の生産調整でも、御協力を願っておることについて、農家の責任であるとかなんとか、そんなような分かれた考え方を持っておりませんで、みんなが一致してこの時局を切り抜けよう、こういうわけでありますから、決して、私どもの考えは、事柄をいたしましたその結果農民にしわ寄せとかなんとかいう、そういう意思はちっともありませんで、全体、国民として考えてみよう、こういうことであります。
  68. 西宮弘

    西宮委員 うまくいかなかった場合には、そのときまたあらためて考える、こういうことが非常に農民に不安を与えているわけです。要するに、先行きどうなるかわからぬという点について、農民は全く不安のどん底にある、混迷のどん底にあると言っても言い過ぎではないのじゃないかと思う。そういう点について、見通しが十分立っておらない、今後の何年間かの見通しが立っておらないということに、私どもは、非常な心配と、かつ、憤りを感ずるのであります。  大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、私はこの間、本会議の討論の際にも、簡単でありますが、言ったのでありますが、コストを下げる、こういうことのために政府は思い切った手を打つべきではないか。たとえば米作のコストダウンをする、こういうことができれば、これは十分外国にも売り出すこともできるわけです。あるいは、そのために土地改良などを徹底的にやる。今度の、通年土地改良をやる、こういう問題等は、これは今度だけ、四十五年度だけしか奨励金を出さない、そういうことではなしに、少なくともこういうことはぜひやるべきだと思う。とにかく土地改良には全額政府が金を持つ、こういうことで、思い切った徹底的な土地改良をやる。それによってコストを下げる、あるいはそれによって田畑輪換ができる、こういうことになっていけば、水稲だけではなしに、稲だけではなしに、あるいは酪農なり、あるいは野菜なり、そういうもののコストも下げる、これはまさに全国民的な課題だと思うのです。いま物価に苦しんでいる国民にとって、全国民的な課題だと思う。そういうコストを下げる、そのためにこれは思い切った手を打つのだ、こういう姿勢を大蔵省としては持ってもらいたいと思うのですが、大蔵大臣は、その点について、どういうふうにお考えか、最後にこれだけお尋ねをしておきます。明確に答えてください。
  69. 福田赳夫

    福田国務大臣 西宮さんから輸出の話が出ますが、これはなかなか言うべくして非常に時間のかかる問題だと思います。つまり、海外の、準内地米です、この価格は、まあ半分以下なんですから、わが国の水田の生産性を倍以上に向上させる、これはもうずいぶん時間のかかることと思います。しかし、そういう方向へ努力をしなければならぬ、これはもう御説のとおりでありまして、水田というただ一つの見地ばかりではない、農政あるいは工業まで含めての施策といたしまして、総合的に農村の生産性をどうするか、これはお話しのとおり思い切った施策が必要である、かように考えております。
  70. 西宮弘

    西宮委員 一言だけ申し上げておきたいと思うのですが、私は、今日まで日本の農業技術は量産ということに全力をあげてきたと思うのです。幾ら金がかかってもいいからとにかく一粒でもよけいとれ、こういうことに全力をあげてきたと思うのです。いまやそういう研究のテーマを変えるべき時期だと思うのです、今度はコストを下げるということに技術陣も方向転換をすべきだ。それから、たとえば私の地元は仙台でありますが、東北大学などではそういう点で、たとえば反当一トンから一トン半くらいとれるという可能性もいまほぼ見通しがついている、そういう研究もなされておるわけです。私は、それを単に量産というのではなしに、コストの低下に役立つ、そういう観点からとらえていったら、いまの大蔵大臣の言ったような外国に輸出なんということも十分可能な水稲経営ができると思うのです。時間がありませんからこれ以上申し上げませんけれども、ぜひそういう点で、大蔵省もそういう点ならば思い切って金も出す、こういう姿勢をとってもらいたいということを要望しておきます。  これで終わります。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員 私のきょうの質問は、減産、減反についての政府の具体的な方策が聞きたい、こういうことでございましたが、まだ十分な説明がなされていないと思います。また作付転換奨励金にしても四十五年度だけで打ち切る、これではたしてうまくいくのかどうか、こういうことにも大きな疑問を持ちますが、時間の関係で次へ参りたいと思います。  しかしながら、イソップ物語にも北風と太陽の話があります。また日本のことわざには急がば回れ、こういうことわざもございます。あまり無理押しをせられるとかえって悪いのじゃないか。政府の施策が北風になるのかあるいは太陽になるのか、こういう点でますます農村の諸君がかた苦しくなるような方策はとるべきでない、太陽になるような施策を望む、このことを申し上げておきたいと思います。  最後に、経済企画庁長官はじめ関係の閣僚にお伺いいたしたいのですが、それは交通総合対策と、具体的な道路あるいは国鉄の新幹線、港湾、空港の整備等でございます。  時間がございませんのでこまかくは申しませんが、たとえば道路では、第六次の道路整備五カ年計画がある。あるいは国鉄の新幹線は別に計画がある。何かこれには自民党からの議員立法等も考えられておると聞いておる。また港湾、空港等でもそれぞれの五カ年計画等をお持ちのようであります。それと新しい総合交通体系との関係がまちまちであっては困る。したがって、総合交通体系と港湾、空港あるいは道路、新幹線、これらの関係についてお伺いいたしますが、まず最初に経済企画庁長官に、総合交通体系の中でこれらの個々の分をまとめていくといいますか、こういうことについてどうお考えになっておるのか、お伺いいたします。
  72. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 御存じのように、新全総は昭和六十年までの日本の経済の姿というものを描いたものでございます。そうしてその中におきましても、特に全国的な交通を中心とするネットワーク、これを十分に組み込みまして国土の再編成をはかる、これが主眼でございます。したがって、いま御指摘のような諸計画というものは、新全総の中の具体的な重要な中身をなすと思います。ただあの新全総の中身をごらん願いますとわかるように、あれはどっちかというとプロジェクト中心の計画でございます。ただ前提として数字がなくてはいかぬというので、いわゆるフレームと称して前提としての数字を一応あげております。しかし、これは一応の前提にすぎませんが、いずれにしましても、いま御指摘のような各種の五カ年計画等々の諸計画をつくるに際しましては、この新全総計画の趣旨にのっとって作成していただくようにしなければなりませんし、また私のほうも、そうした諸計画というものを、その計画の中身と十分マッチするようにできるだけ御協力を申し上げて逐次その中身を策定してまいりたい、こういうふうに考えております。
  73. 中野四郎

    中野委員長 久保三郎君より関連質問の申し出がありますので、田中君の持ち時間の範囲内でこれを許します。久保三郎君。
  74. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから簡単にお伺いしますが、いま企画庁長官からお話しのとおり、いま実施している、あるいはこれから実施しようとする交通のネットワーク、特に幹線国土開発道路を中心とする第六次の整備計画、あるいは港湾の五カ年計画、さらには今日問題になっています国鉄の新幹線網の問題、これはいずれもそれぞれの計画をいま実施しつつあるのでありますが、お話しのとおり総合交通体系というのはないのですね。ただ新全総の趣旨に沿ってひとつやってもらいたいと、こういう。趣旨に沿うことではありましょうが、言うならこれは大規模の投資であります。投資のしようによっては国民経済的にたいへんな影響が出てくるわけなんです。しかもこの投資も、たとえば国鉄再建計画というのは言うなら再編成の問題が一つあります。もう一つは、新しくというか新全総にいうところの国土開発というよりは、むしろ輸送需要に追随する形がある。道路の五カ年計画、もちろん六十年までの新全総によるところのいわゆる七十万キロの計画は、ある程度新全総にいうところの開発というかそういうものが含まれる。それから話題になっている新幹線九千キロの問題であります。これは開発というのかどうかわかりませんが、多少荒唐無稽なところがありはしないかというふうにも考えておる。いずれにしても、これは輸送需要に追随する形だけではないと思うのですね。ところが、現実にある空港整備五カ年計画あるいは港湾の五カ年計画というのは輸送需要に追随する形なんですね。いわゆる輸送需要に追随する形と、新全総がねらうところの開発というか、先行型というか、そういうものとの混在した中で、何らの一定の方針がない——と言ってはたいへん語弊がありますが、将来のビジョンというか、そういうものがどうなるのかわからぬままで一つの計画が出てきている。最近最も気になることは、言うなら民間デベロッパーの活用というか、民間資金の活用ということで、ことしの予算案の中に、御承知のように名古屋における道路の問題あるいは駿河湾におけるところの港湾にはそれぞれ入れようというのでありますね。その次には住宅の問題もありましょうが、まあことしの予算では二つ入ってきている。これなどもはたして港湾管理の基本的な原則というかそういうもの、あるいは道路管理というかそういうものの関係と投資の関係はどうなのか。言うなら財政硬直化あるいは防衛費の膨張、こういうことでやむを得ず民間資金を活用しようという安易な方向で実はやっていくのじゃなかろうかと思う。  そういうものについて私はお伺いしたいのでありますが、まとめてお伺いすることは、一つは、たとえば新幹線九千キロの話題が出ているが、この資金はどうするのか、あるいは道路の五カ年計画、六十年には七十万キロ、さしあたりは御承知のように十兆五千億ですか、この資金はどうするのか、港湾整備は国の分だけで八千億の五カ年計画、この資金の財源は将来どういうふうに持っていくのか、それからもう一つは、前後しますが、総合交通体系というものがないままでやることは妥当なのかどうか。これは経済企画庁長官に聞きましょう。財源については福田大蔵大臣ですね。  それからもう一つは、空港整備は御承知のようにもう三年目になりますが、半分もいっていません、これは。新国際空港の問題はやっているようでありますが、それ以外の空港整備は三七%ですよ、四十四年までで。四十二年、四十三年、四十四年、三年間で。五カ年計画ですよ、三七%の資金しか入っていない。港湾においては予想よりもっとうんと荷物、貨物が入ってきておる、こういうことでしょう。何かどうもばらばらなんです。いわゆる投資の順序、それから投資すべき交通のあり方、交通の機関、こういうものについて何ら選択というか、順序がないままでやっていくということは、非常に国民経済的からいっても効率的ではないと思うのですね。将来新幹線や道路の問題も出ますが、たとえば最近東海道の新幹線は多少すいているという話です。これは東名、名神の国道の開通による影響が大きいと、こういうふうに報道されています。これは将来まで続くのかどうか別として、そういうふうに影響はかなり敏感に影響しますね。そういうところにもってきて、最近ではジャンボの問題が出てくる、あるいはエアバスの問題が出てくる。将来の交通機関というのは、まあ言うなら、ちょっと予想もつかないような進展ぶりだとわれわれは考えている。そういうところへもってきてネットワークをつくるのに、いままでの計画を大体まあ多少政治的に九千キロ引こうとか、七十万キロやろうとか、けっこうのようでありますが、国民経済の全体から見たら、これはたいへんだと思うのですね。こういうものについていま申し上げましたように財源をどうするのか。それからそういう交通体系という中でどういう位置づけを、新幹線はし、道路はし、港湾はし、空港はするのか、こういうものがないままで、このままいくことについては、たいへん疑問があるということを申し上げたい。  それから民間資金の導入についても、いまやただ単に便宜主義におちいってはいないか、きちんとした方針のもとにおやりになるのかどうか、だとすれば、その方針はどうなのか、こういうことをひとつお聞きしたい。時間がありませんから、完全な御答弁をいただけるかどうかわかりませんが、そういうものをやってください。  それから聞けば、新幹線は九千キロは鉄道建設審議会に一応の要綱か何か出して、近くこれをきめて議員立法で出すという、これはもちろん新全総に基づくようなものがあったら、当然その他の問題からいっても、なんで議員立法にするのか、これは政府の責任においてやるのがほんとうじゃないか。しかも財源については議員立法だから全然当てにしない。こんな荒唐無稽のやつでいいのかどうか、これについて御所見を承りたい。
  75. 福田赳夫

    福田国務大臣 社会資本の充実に関する諸計画、あるいは道路につきましても、あるいは空港につきましても、港湾につきましても、それぞれ五カ年の長期計画があるわけであります。これを策定するに当たりましては、一体今後の経済力の伸びはどうなるだろうか、またそれに伴って財政の規模はどうなるだろうか、そういうことをよく考えまして、財源措置まで考えてこれを策定しておりますので、大体これは予定のとおり進行し得るという見通しを持って進めておるわけです。  ただ道路の五カ年計画につきましては、多少これは国費にして三千億になりますか、五か年で、そのくらいまで財源の調整のとれないところがあるのです。ありますが、そのくらいのものは何とか検討の上は消化し得る、かように考えております。  それから一番大きな問題は、御指摘の新幹線全国網、こういう問題でありますが、まだこれは話題の段階でありまして、私どもは具体的に相談にあずかる段階には至っておりませんけれども、これも他の計画同様財源事情をよく検討いたしまして、具体化につきましては遺憾なきを期していきたい、かように考えております。  民間資金の導入につきましては、皆さんからもずいぶん御意見があるわけです。どうも民間設備投資のほうが進み過ぎて、社会資本のほうが立ちおくれではないか、私どももそう考えているのです。ですから、設備投資に回る金を政府のほうで使うということにいたしますれば、そういう問題も解消する糸口になるという考えをもちまして、制度的に民間資本が国家社会の事業に供用し得るようにという方途を開こうとしている、こういうことでありますので、私は、これは皆さんにも御納得のいただける考え方ではあるまいか、さように見ております。
  76. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 大蔵大臣の御答弁で尽きておると思いますが、新全総の精神は御存じのように国土全体の抜本的再編成、こういう趣旨でありまして、いま御指摘のありましたように、いたずらに今日までの輸送需要に追随するということでなく、全体を広く見て、いやしくも国土が十分にあらゆる面にわたって活用される、こういう精神で、あそこにいろいろなプロジェクトを披露してあるわけでございます。でありますから、ああしたプロジェクトを十分に頭に置きながら、具体的な個々の計画はこれから一つ一つ立てて、そしてあの新全総の中身を埋めていく、こういう立て方になっております。その新しい計画を立てるに際しましては、もちろん財源のめどのないようなことでは困るわけでございます。個々の長期計画を立てるに際して、十分そうした検討を行なって、その上で全体も十分にらみながら立てていく、こういう趣旨でございます。
  77. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 お話がありましたように、交通の総合計画というものは、私就任以来いろいろ検討した結果、どうしてもこれは急速に立てる必要がある。これは御承知のように、その基礎になるものは最近のスピード化、すなわち技術革新というものが一つの要因である。もう一つの要因は、消費と生産が異常なる拡大を来たしておる。これではたして現在の港湾五カ年計画あるいは鉄道計画その他航空計画等が十分にマッチしておるかどうかという点になりますと、私の所管からいうなれば、おっしゃったように追随の形式であと追いの形になっておる。これではある意味においては阻害の状況を来たしますので、したがって新全総は一つの目標ではありますけれども、その目標を一つのバックグラウンドにして、そうして実施計画を立てていかなければ生産、消費の拡大に及ばない。もちろん財源問題は大蔵当局が十分に御検討くださるのでありましょうからして、われわれはその所管のもとにおいて万遺憾なきを期したい、かように考えておるわけであります。
  78. 久保三郎

    久保委員 大蔵大臣から財源の問題でお話がありましたが、道路整備五カ年計画では三千億程度手当てがまだ不明なものがある、こういうことであります。その道路計画の不明な問題も含めて、交通全体の総合交通体系というものを運輸大臣が言うように、まず第一に先に、新全総とうらはらに立てるのがほんとうだと思うのですよ。その立てた上に立って道路はどうする、鉄道はどうする、飛行機はどうする、港はどうするということで始まるのがほんとうじゃないですかね。ところが、いままでは御承知のとおり追随型であるからということでありますが、新幹線九千キロ出たり、道路のいわゆる七十万キロ出たりすれば、これは当然総合交通体系を確立しなければならぬ時代にきている。それをやらぬままにやってきたところに問題があるから、これは立てるのか立てないのかという問題になってくるのです。  それからもう一つ、立てないままにやると、国民経済的にもこれは効率的に悪い。将来のいわゆる発展についても、これは残念ながらまずくいくのではないかということなんです。  それからもう一つ、財源もそういう意味で道路は三千億まだ手当てがわからぬだけではなくて、そういう総合交通体系の上に立って財源は一ぺん洗い直すということですね。そしてどの交通機関にはどういう財源をもってどうするかは、あらためて考える必要に今日迫られているのじゃないですか。そうでないと、これは三千億ばかりじゃありませんよ。鉄道の新幹線九千キロもできませんし、ましてや、いまの国鉄の再建計画などはどうなるのですか。これなども含めて、財源についてはあらためて検討する時期ではないか、よってもって関連して民間資金の活用についても当然方針として単に導入するという便宜的なものではなくて、全体の財政の中で考えていくべき性格も持っているんじゃなかろうかということを、私は申し上げたいのです。
  79. 福田赳夫

    福田国務大臣 まことにごもっともです。私、全く同感でありまして、大蔵省当局としてもいろいろな計画が各個々まちまちに出てくる。これじゃとても予算の査定上なかなか思わしくいかないんだ、こういうことで、まあ関係各省に対しまして、交通の総合的体系、計画ですね、これができないものかということを、お願いをいたしておるわけなんです。橋本運輸大臣も積極的にこの問題には取り組みたい、こういうことを言っておりますので、関係省とよく協議をいたしまして、とにかくそうかちんとしたものは私はむずかしいと思いますが、大かたの見当だけは、ぜひつけてみたい、かように考えております。
  80. 久保三郎

    久保委員 財源はどうするのですか。
  81. 福田赳夫

    福田国務大臣 財源も含めてということはもちろんであります。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、もう時間も来ましたし、これで終わりますが、初めての試みとして、いろいろ関係者が立って関連質問をいたしましたが、まだ十分に了解のいかない点も多かったことを残念に思います。  これをもって終わります。
  83. 中野四郎

    中野委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。  次に、北側義一君。
  84. 北側義一

    北側委員 まず私は、きょう住宅問題から質問に入りたいと思うわけです。昭和四十一年から始まりました住宅建設五カ年計画、これがいよいよ最終年度を迎えたわけです。そこで、本年度の予算案の建設戸数、これらを見ますと、政府施策住宅の建設戸数の達成率というのが九五・八%、その中でも公営住宅、改良も含まれておりますが、これについては九二・二%になっております。この住宅建設五カ年計画が、昭和四十一年の七月に閣議決定したそのときの時点によりますと、最終年度である昭和四十五年度には一世帯一住宅を実現することを目標としておられたわけです。なお、小世帯については九畳以上、また一般世帯については十二畳以上の居住水準を確保すると、このようなことで発足されたわけです。ところが、昭和四十三年度に実施されましたところの住宅統計調査、これによりますと、このときの時点で——四十四年、四十五年とまだあるのですが、このときの時点で約三百六十万世帯の人が住宅難に困っておる。このような統計が出ておるわけです。しかも閣議決定された小世帯については九畳以上、一般世帯については十二畳以上、これらから見ますと、十二畳未満の過小過密居住世帯、これが約二百八十万世帯あると、このように報告されておるわけです。これらについて、ちょうど最終年度のことでもありますので、どのような御見解を持っておられるのか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  85. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、最終年度である本年度において特に公的資金による住宅の充足率が足らないことは、まことに遺憾でございます。  これはいろいろ、北側さんも御存じのように、用地の取得が困難であったということと、それから最近公団等が用地をつくっておりまして、いよいよこれに構築にかかろうとするときに、公共施設の負担の問題で、関係地元市町村から非常な抵抗があったために、計画が実施できないという面もありました。そういう点で、遺憾でありまするが、民間住宅のほうが予定より伸びましたので、本年度において両方合わせますれば、まあ計画は何とかできたという形です。  しかし、御指摘のように、これができましたにいたしましても、最近、特にこの四、五年間における核家族が非常にふえたために、最初の計画を上回る住宅需要が起きたということが一つ。  それからもう一つは、質的な面において非常に立ちおくれておるので、住宅の内容をよくしなければならぬというので、これに対する要望が強い、こういう現状にかんがみまして、今後の五カ年計画においてはそういう面を含めてやるつもりでございます。いずれいろいろと御質問に応じて順次お答え申したいと思います。
  86. 北側義一

    北側委員 ただいま大臣が言われましたことは、全くそのとおりだと思うのですが、ただここで私思いますことは、やはりこの最初の四十一年から四十五年までの五カ年計画、これが、何といいましょうか、そのような、大臣が言われるような、たとえば地価の問題、これは非常に大きな問題になっております。また、公共団体の関連公共事業、こういう問題もあります。いろいろありますが、私が思いますことは、この初めの六百七十万戸のうち、あくまでもこれは民間自力建設を主体としてやっていかれたところに、今日のやはり一つのこのようなひずみというものが、閣議決定された時点と見ますと、あるのじゃないか。これが一つ一番大きな問題じゃないかと思うのです。この問題につきましては、これは常識の問題になっておりますので、これはおきまして、現在わが国におきまして一番住宅難で困っておられる階層、これらをいろいろな資料から見ますと、やはり収入の低い若い勤労者、特に都市周辺ですね。大体七〇%がアパート住まい、こういう実態になっております。これらの人が公団住宅なり、また公営住宅、これを申し込みなさっても、実情としてはこれは四十三年の資料ですが、東京都においては第一種住宅で九三・五%、これは応募率です。それから埼玉において一三・四、これは平均ですから多いところでは四百倍という応募率があるわけです、東京の場合には。このような実態を見ますときに、応募なされた方があくまでもそのような倍率ですからなかなか入ることができない。このような実態からどうしても民間のアパート、木賃アパートといいましょうか、そういうところに高家賃で入居しておるのが現在の実態なわけです。これもやはり先般の総理府の全国住宅統計調査、これによりますと、手洗いや台所の設備を共用している木賃アパート、これが約二百万世帯あるというのです。昭和三十八年の住宅統計調査、このときに比べましてそういう木賃アパートというのは広さも狭くなって、平均面積が十八・四平方メートル、このように狭くなっているわけです。しかも、この家賃の問題では、五年間で約七割上がっておる。このように報告されておるわけです。このような問題に対していろいろと大臣も考えておられると思うのですが、どのような手を打っていくならば、こういう人たちが救済されるのか。こういうことから入っていきたいと思います。
  87. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のように、今日まで政府施策でやってまいりましたが、とうてい需要に満たないために、御指摘のようにたいへんお気の毒な人がおるのでございます。しかも、その中には勤労者として一番所得に恵まれない人が多いということで、今後公的資金による貸し家のほうを進めると同時に、一面におきましては、労働省が盛んに勤労者の持ち家政策をやっております。これは企業のほうとも現在われわれ連絡をとりまして、でき得るだけ大きい企業におきましては、自分の会社の従業員に会社の資金にプラス公的資金を導入しまして、そうして住宅を提供するということが非常に望ましいし、またその能力がある、こういうことでお勧めしておるのでございます。  それから、さらにもう一つは住宅ローンを進めまして、これに対する保険制度を設けまして、一般の方々も民間からの資金を借りることによって、相当程度中流以上の人がかなり収入がふえましたので、その意欲がありまするので、そういう方面にも使っていく。こういう新たなる方策を相当進めたいと思います。従来のようにただ民間の木賃アパート経営者に依存するということは非常に弊害もあるし、望ましくないので、そうしたような方法を今後とってまいりたいと思っている次第でございます。
  88. 北側義一

    北側委員 ただいま大臣が話されたことにつきましては、これは非常にいいことだと思うのです。そこで現実の問題といたしまして、そのようないわゆる家賃の高い木造の賃貸住宅、そういうところに入居なさっておる方については、私の考えとしてはかりにそのような公営住宅が政府が言うような一世帯一住宅、これが達成するならば、本来このような恵まれない方といいましょうか、そういうあれは解決できるわけです。そこで、応募率も先ほど言うたような、こういうような応募率になっておる。どうしても家賃の高いそういう住宅に入居しなければならない。そういう点から考えまして、私の考えとしては、これは何といいましょうか、非常に不公平な、不均衡といいましょうか、家賃の問題にしましても、たとえば住まいのいろいろな内容にしましても、非常に不均衡を感じるわけです。そこで諸外国あたりを見ますと、たとえばイギリスにおいても、低所得者に対しての社会保障政策の一環として家賃補助制度、こういうものが採用されておるわけです。またアメリカでも、イギリスと同じような考え方に基づいて、一九六五年にこのような家賃補助制度を実施しておるわけです。私はそういう不均衡をなくすためにおいても、やはりイギリスやアメリカと同じような考え方に立って家賃補助政策、また住宅手当といいましょうか、そういうものをやったらどうか、このような考えを持っておるわけです。そうすると、やはりそこに不均衡の格差というものがなくなっていくわけです。普通家賃というのは大体収入の二割、これが普通の一般常識とされた価格なんです。ところが実際の問題としては、そういう住宅難に困っておられる若い労働者、こういう方にとっては現在は二割以上の家賃になっておる、これが実態なんです。そういう面から見まして、やはり適正な家賃制度、これを考慮しなければならない、そういう時期に来ているんじゃないか、私はこのように考えるわけなんです。これについてはどのようなお考えを持っておられるか。この問題はやはりいろいろな財源の問題もあると思いますので、大蔵大臣と建設大臣からお聞きしたいと思うのです。
  89. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答えいたします。  現在のような状況において、公的住宅においても非常な家賃のアンバランスがございます。これは、政府がつくった十年前のものと現在では比較にならないほどの家賃の差があるのでございます。しかし、これをいまの時価に換算して上げるということはいろいろな抵抗がございまして、これは検討しておるのでございます。特に最近都心近くの工場用地あるいは公有地を利用してつくりましたものは、それだけ実は土地代金並びに建築費あるいはこのごろは高層のものになりますというと共用面積としての御承知のようなエレベーターその他うんとかかります、高くなりつつあります。こういうものを緩和するために、後ほどの問題もありましょうけれども、傾斜家賃制度も考えますけれども、いま政府が直ちに家賃補助政策をとるということについては、非常にむずかしいのでございます。そういう意味で現在ではむしろ企業体自身あるいは政府等が給与等においてそうしたものを考えていただいておる現状でありますので、住宅政策としての住宅の補給を補助金でやるということについては、いま実のところ私考えておりません。しかし、この問題は非常に重要な問題でございまするので、いずれ宅地審議会その他の方面の意見を求めまして検討してまいりたいと思っております。
  90. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま建設大臣からお答えしたことで尽きるかと思うのですが、考えなければならぬのは、非常な低所得者の問題をどうするか、こういうことかと思います。そういうことはそういう角度から考慮いたしまして、生活保護世帯、こういうものにつきましては家賃のほうも見よう、こういうふうにしておるのですが、一般の問題として家賃を国がどうするというのは適切ではあるまい、かように考えております。
  91. 北側義一

    北側委員 この問題につきましては、非常にむずかしい面もあろうと思うのです。しかし、やはり都市周辺ではそういう非常な高家賃で入っておられる。実情を調べましたところが、大体いま家賃は一畳当たり千五百円か二千円になっておるんですよ。そうしますと、収入の二割を基準としますと、多い人は三割、また三割五分、これ近く払っておられるのが実情なんです。しかも公営住宅等は応募してもなかなか当たらない。また御存じのとおり、いま民間の借家におきましては、固定資産税が上がる。そうすると家主のほうからたな子に対して家賃を上げてくれ、そういう係争が非常に多いんです。やはりこの家賃体系というものを、たとえばそういう住宅手当てができないものならば、やはり家賃公示制度とかそういうものを私はどうしても設けるような必要があるのじゃないか。地価のほうは先般地価公示法ができたわけです。それ以上にいま国民の間で問題になっているのはこの家賃の問題なんです。そうして係争が行なわれておる。そうしてたな子が法務局等へ供託しておる、こういうケースが非常に多いのです。そういう問題もやはり家賃の体系を考えて家賃公示制度、こういうものを考えなければいけないと思うんです。これは私の考えなんですが、そのような問題についてひとついま一度御答弁をいただきたいと思うのです。
  92. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおり、これは非常にまちまちで、これに対する要望もあるやに聞いております。ところが、北側さんも御存じのように、民間でつくっておる家には質的に非常な差があるということと、場所的に非常に差があるということと、それから建築した時期における単価等、非常に違うのです。そこで、これは実は地価以上にその判定がむずかしいのです。  そこで、この問題をにわかに法律に基づく機関によって公示するということは非常にむずかしいです。そこで、家賃についてはどういうふうにして公正を期するかということが非常に問題点でございますので、これらの問題をも、先ほど申し上げましたように宅地並びに住宅審議会のほうにはかりまして、十分に実現可能な方法じゃないと、かえってそれを制定したことによってトラブルを起こすということもありまするので、前向きで検討いたしたいと思います。
  93. 北側義一

    北側委員 この問題につきましては、大臣が言われるような問題点も多々あろうと思うのですが、これは国民としては一番関心が深い問題なんです。これは前向きで検討なさる、このような御答弁ですが、これは、ぜひともひとつ検討していただきたい、このように考えるわけです。  そこで、また少し逆戻りするようですが、四十一年から四十五年までの住宅建設五カ年計画、この進捗率といいましょうか、これは一覧表がここにあるのですが、これを見て私思いますことは、公営住宅が九二・二%の達成率、また公庫、これは一〇一・一%、公団九七・七%、このように建設省所管の住宅の計が九八・一%。その下にその他の住宅、これは一四〇・四%になっているのですね。この中には厚生資金住宅とかいろいろな内容があるわけでありますが、その内容を見てみますと、たとえば国家公務員住宅、これなども五年間で十一万一千七百戸、これだけ建つようになっておるわけです。私、これを見まして思いますことは、公営住宅が五十二万戸ですよ、改良も含めて。公務員住宅が十一万戸。大体比率から見ますと五倍近く公営のほうが多いのですが、この応募率、これらを見ますと、公務員住宅が平均二倍、このように聞いております。片一方では四百倍。そういう点を見まして、もっと公営住宅を建てなければ、この住宅難は絶対解消しない、そういう階層が一番困っているわけですから。また公務員住宅、これは大蔵省が管理なさっておられると思うのですが、このように非常に伸びることはけっこうなんです。決して悪いとは申し上げていないわけです。けっこうなんですが、これと同じような考え方で他の住宅もやってもらいたいということです。これについてどのようなお考えをお持ちか、お聞きしたいと思うのです。
  94. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答えいたします。  お尋ねのように、他の公的な資金に基づく一般住宅に比べて公務員住宅の充足率が大きいではないか、御指摘のとおりです。ただし、伸び率は決して多くしていないのでございます。御承知のように、地方公務員等の待遇があまりよくないので、どうしても住宅をつくってやらないと勤務地に行かないというような面もずいぶんあるようでございます。そういうようなことから、待遇もあまりよくないということで、とにかく勤務に差しつかえないようにするということが配慮されてやっておる。ところが、公務員の数はそう伸びていません。ところが、一般の住宅需要者はこれは非常に伸びております。これは過密・過疎現象でございまして、過疎地帯はどんどん家を捨てて、そうして今度は都会地にどんどん集中してくるということのために、本来の住宅分布から見れば非常なアンバランスが出たためにこういうような状況でございます。  したがいまして、先ほど御指摘のように、都市における低所得者に対する公的資金に基づく住宅の充足をはかれという主張であろうと思いますので、これはその方針に従いましてわれわれも一生懸命努力したい、こう思っておる次第であります。
  95. 北側義一

    北側委員 四十六年から新五カ年計画が始まるわけですが、それについてはあとでお聞きしたいと思うのです。  昭和四十一年に建設省が国土建設の長期構想を発表されたわけです。その中で、住宅についてはその目標として、昭和六十年、このときに三人世帯で八十平方メートル、四人世帯で百平方メートル、このような規模の居住水準を発表されておるわけです。最近の住宅を見ますと、先ほど申し上げましたとおり、民間経営の木賃アパートは規模がかえって逆に減ってきておる。このような実情ですが、公営住宅を見ましても約五十平方メートルですか、このような実態になっております。  住宅の建設戸数につきましても、昭和六十年には約三千六百万戸の住宅が必要であろうとこれには書かれてあるわけです。これはやはり戦前に建ちました家が、木造建築あたりですと、もうすでに戦後二十五年になっておりますので、相当数の建てかえ、やはりこういうものが含まれた数字である、このように了解しておるわけですが、四十一年からですと、二十年間にそういう建てかえ、いろんな問題を含めまして二千七百万戸ですか、これを、この住宅の長期構想によると建設省としては建てなければいけない、こういう構想が出ておるわけです。これに関連して、四十六年から始まるところの住宅建設五カ年計画、これにどのようなお考えを持っておられるのか。  まず、この規模の面、また公的資金住宅と民間自力建設の配分の面、こういう問題についてお聞きしたいと思うのです。これは、まあただいま検討中であろうかもわかりませんが、しかし、大臣としても、こういう住宅の問題につきましてはもうすでに現況は全部わかっておるわけですから、やはり大臣の御決意というものが私はあるだろうと思うのです。それについてお聞きしたいと思います。
  96. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 将来二十年に及ぶ長期構想でございまして、これは、ほんとうのことを申し上げまして、的確に数字を示すのは非常にむずかしいのです。というのは、世の中の経済社会の変動が非常に多いために、実は、従前において、住宅のみならず、いろいろの政府の計画が、いつも大きく変わってきております。したがいまして、これは正確に申すことはできませんけれども、方向づけについては、これは言えると思うのでございます。  そこで、御指摘のように、従来は非常な過疎・過密現象が多かったのでございまするが、経済企画庁が中心になってすでに発表した新全総あるいは新しい経済社会発展計画におきましては、むしろ、・このように著しい都市集中を政治的に今度は少し緩和していこう、いわば首都圏とか近畿圏、中部圏の中核のところに全部集めるよりも、むしろ相当の公共投資を、社会資本を、周辺都市あるいは現在過疎現象が起こりつつある東北あるいは北陸、四国、九州等にも投ずることによって、この面が相当緩和される、それが人間を豊かにし、かつ、国土全体を安定的に成長せしめるゆえんである、こういう構想が二十年後に入ってくると思います。したがいまして、いまの都会における集中度が相当緩和されるということを考えなければならないと思っています。  それはそれといたしまして、二面におきましては、今度は人間の生活に対する欲求が高まってきます。生活水準を高くしたいという欲求が高まっておりまするから、したがいまして、住宅規模もそうした新しい生活感覚に基づく欲求に適応したものにしなければならない、かように思っています。これを全部が全部公的資金でやるということは、とうていこれはできません。そこで、政府といたしましては、いわゆる低所得者を主体とするところに重点を置きまして、他のほうはできるだけ持ち家政策を他の施策でやりたい。  それには、いろいろありまするけれども、一つは、住宅に対する金融制度を、公的にもあるいは地方銀行等もこれを大いに利用し得る制度をつくるべきである。端的に申しますれば、住宅ローンに対する税制上の優遇あるいは住宅ローンに対する保険制度、これを充実してやることによって、住宅に対して民間が積極的に資金の供給ができるという面が一つでございます。  それからもう一つは、企業が相当今度は大きくなり、力も持ってくるのでございまするが、従来は、いわゆる賃金体系でこれを解決しようとしてきました、賃金だけ上げて勤労者を把握するということを。今度は、賃金の一部と申しますか、それと並行して企業自体が持ち家政策をやってほしい、このことは、企業の安定のためにも勤労者のためにも有利なことでございます。     〔委員長退席、藤枝委員長代理着席〕 そうして、そういうような措置をとるところに対しては税制上の優遇をする、あるいは財投の面でこれを大いにサポートする。さらにまた、用地の取得が一番問題でございまするから、それは政府公的機関が相当大幅に宅地開発をして、これを民間に提供する。こういうようなあらゆる方面を動員していくということ。  もう一つは、現在のように建築労務者が非常に減りつつある現状から見て、さらにはコストダウンをはかる意味において住宅の工業化、これを大いに促進してまいりたいと思います。しかも、その工業化したものが、所得に応じて、ちょうど最初の間はキッチンルームと寝室、その次には応接間をつけるというように、継ぎ足しができるような、こういう方法等もあわせ考えて、そうして国民の未来の住宅に対する安定感と希望を持たせるような方策をもって進みたいと思っておる次第でございます。
  97. 北側義一

    北側委員 結局、次の四十六年からの五カ年計画について、いまのところではそういう配分比例というものはわからない。ただ、いま大臣がおっしゃっておられるような方向で、企業に対して税制面の配慮をしたり、いろいろそういう問題でやっていきたい。特にここで、なるほど、大臣が言われたとおり、公営住宅の全部、これは無理です。それはわかっております。しかし、やはりその配分比例が非常に大事な問題だと思うのです。この配分比例をまた間違えますと、昭和四十六年から始まるこの五カ年計画も、最終年度の五十年になってきますと、四十一年から四十五年までの五カ年計画と同じような結果があらわれるのじゃないか、こういう心配をするわけなんです。そこで申し上げておるわけですが、どうかひとつこの問題につきましては——たとえば、先日、海外住宅産業調査団、これは英国と西ドイツですか、行かれたらしいのです。その状況を新聞で見たわけですが、住宅不足の問題はもう解消しておるというのですね、どうやらこうやら。そうして、いま質の問題と取り組んでおる。そういう低所得者に対しては公共賃貸住宅、これと取り組んでやっておる。このようなことが書かれてあるわけなんです。これからの日本の住宅問題は、もちろん、それ以前に土地問題とかいろいろな問題があります。しかし、きょうはもうそちらのほうで論議ができませんので、この問題に入っておるわけですが、やはりこれは考え方を少し改めなければいけない、そういう時期だ、この五カ年、もうすでに終わるのですから、そのように私は思うわけなんです。これは財源その他いろいろな問題がありますので、非常にむずかしい問題であろうと思いますが、毎年ずっと見ておりますと、公的資金住宅のほうはいろいろな、先ほど大臣が言われたような関係で達成ができなかったわけですが、この問題についても、やはり財源の問題が一番大きな問題になるのじゃないか、このように思うのです。  そこで、この問題につきまして、大蔵大臣、次の五カ年計画について大臣はどのような考えをお持ちなのか、これをひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
  98. 福田赳夫

    福田国務大臣 新住宅計画につきましては、とにかく四十五年度でいままでの計画は終わりますから、ひとつ計画的にさらにやっていかなければならぬ、かように考えております。建設省でまだ構想もきまらないという段階でありますので、大蔵省としてはまだ相談にもあずかっておらぬということでございますが、相談がありますれば、住宅問題は非常に重大な問題でありますので、積極的に御協力を申し上げたいというふうに考えております。
  99. 北側義一

    北側委員 まあこれは建設省で八月ごろにやられるということを聞いておるわけですが、その時点でひとつ一番大事なことは、やはりこの住宅の分につきまして、全部これは予算でなくして戸数でこれをいつもきめるわけなんです。毎年予算編成時において大蔵省と折衝してやっていかれるわけですが、この問題については、ぜひともいま福田大蔵大臣が言われたとおり、大事な問題なので、予算のほうをやはり公的住宅と民間住宅の配分というものをよく考えてやっていただきたいと思うのです。その点特にひとつお願い申し上げます。  それから、先ほど建設大臣がお述べになっておられたわけでありますが、公団住宅、また公営住宅、このような住宅を建てる場合に、その関連公共施設整備、これは非常にいつも問題になるわけです。これにつきましては、先般も多摩ニュータウン、ここらあたりでは非常にもめまして、日本住宅公団の団地建設に反対の動きがあって、改善された、このように聞いておりますが、この関連公共施設の整備、これをやりますと、たとえば住宅公団が小中学校の建設用地を負担する、このような問題になりますと、全部家賃になって公団の場合ですと入居者にかかるわけですよ。そうすると、公営と公団の家賃の格差というのは非常に大きいのです。公営にははいれない、公団には申し込むだけの資格がない、家賃が高いので。そこらで傾斜家賃ということも考えておられるのではないか、このように思うわけですが、今後やはり、これは地価政策に話が入っていくと思うのですが、関連公共施設整備というものについてはどういうお考えを持っておられるのか。
  100. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のように、これは非常に重大な問題でございます。いまのような制度でいきますと、地方自治体は、公団の特に貸し家住宅になりますと非常な抵抗がありまして、せっかく入手しても、資金の手当てをしても、全部これは実行不可能になってきます。やむを得ないとも思われるぐらいいろいろの問題があるようです。しからばこれを現在の制度で公団の資金でやるとしますれば、これまたいま御指摘のように非常に高家賃になる。  この問題を解決する方法として、さらにまた一般の土地対策として考えられておるのは、いわゆる固定資産税並びに都市計画税の値上げの問題です。これが適切に行なわれますれば、地方自治体の収入になりまするので、その収入によって、自分たちが公共施設をやっても負担にならないのです。そうしてやがてはそれがむしろ地方発展の基礎になるということで協力していただける。公団のほうでも資金が住宅そのものに充当できるということで、この問題の解決一つの契機になると思いまして、そのために現在自治大臣、経済企画庁長官、さらには大蔵省とも連携して、そうした面からもこの問題の解決に当たりたいと思っている次第でございます。
  101. 北側義一

    北側委員 時間がだんだん過ぎていきますので、あとまだだいぶん残っておりますので、次に進めていきたいと思います。  そこで、日本住宅公団総裁にちょっとお伺いしたいのですが、この間から公団が、土地取得時における契約によって、一定期間しますとその公団住宅を地主に渡さなければいけないという場所が出てきておる、このように聞いておるわけです。これについて公団総裁としてはどのようなお考えを持っておられるのか。これは入居者にとりましては、公的な住宅に入居したにもかかわらず、途中で家主が変わって民間になったら、家賃のいろいろな問題が出てくると思うのです。そういう問題についてどのように考えるか。まずこれが第一点。  それから、傾斜家賃が四月一日から行なわれるようですが、この行なわれる方法について、たとえば私の知るところによりますと、五年間でずうっと上げていくという考え方をなさっておるらしいのですが、これはいろいろな問題がここで出てくると思うのですね。たとえば途中で転勤があって出なければならない人が、そういう場合はその家賃だけどうするのか、いろいろな問題があると思うのです。そういう点についての総裁としてのお考えをこの際お聞きしたい、このように思います。
  102. 林敬三

    ○林参考人 まず最初にお尋ねの、十年たった場合に、いわゆるげたばき住宅でございますが、これを地主さんが買い戻したいという場合に売り渡すという問題でございます。これは御承知かと存じますが、昭和三十一年度の事業と三十二年度の事業については、当時の公団でさような方針をとっております。これはおわかりでございましょうが、できるだけ土地を提供してもらいたいという気持ちで、当時、神奈川県の住宅公社あたりに先例がありまして、そして十年たちました場合には公団の示すいろいろな条件に基づいてはまた戻してあげます、十年たったら住宅問題もずいぶん解決するのじゃないか、こういうような当時の観測もあったと存じますが、そういう契約をいたしております。それがちょうど生きてまいりました。そこで、契約しておりますから約束でございます、公団としてはそれはどうしても実行しなければならない。そこで、この実行をいたします場合に、いま御質問のようないろいろな入居者のほうの不安が出てまいるわけでございます。そこで入居者につきましては、事情の許す限りできるだけの措置を講じて円滑にこれを処理していきたいと思っております。たとえば分譲住宅にこれから移りたいという者は、できるだけ近くにあいたところがあればそちらへ移す、あるいはそちらが買えるようにする。それからその引っ越し料も、妥当な方に対しては、一般の居住者に対してはこちらで妥当な価額だけは負担をする。そうして三年間に、出ていく方はできるだけ近くの公団住宅に移っていただくなり、ほかの方法を講じていただくというようなことにいたしまして、そして譲渡契約後三カ年後にはそこが処理ができる、こういうようなことで、その間の調和、すなわち地主に対する約束とそれから入居者に対するできるだけ迷惑のかからないようにという、その両者の調和をはかりまして、これをもって公正適切に処理してまいりたいと存ずる次第でございます。  それからもう一つ、傾斜家賃の点でございますが、これはお尋ねのように、一応いまの計画では五年間、初め安くしまして、大体小さいのだったら二千円ぐらい安くする、それから大きいので四千円ぐらい安くする、そしてそれが五年の間にだんだんと四百円ないし八百円ずつぐらい上げてまいりまして、そして五年後には普通の高さになって、七十年間で全体としては家賃で全部がまかなえる、こういうことにいたしたいと存じます。  そこで、お尋ねの三年目になって居住者が変わったらどうだ、これは家賃体系の全体の問題でございまして、三年目に入った人はやはりその三年目のところの家賃をいただく、こういうようなことにいたしたいと思います。また、国民の全体の所得水準なんかも年々上がっていくということも考えまして、その所得水準の上昇の二分の一から三分の一ぐらいの家賃の上がり方というもので考えておりますので、その三年目に入る方に対してそれほどのひどい負担ということにはならないだろうと思いますので、そのようにして処理をいたしてまいりたいと存じます。
  103. 北側義一

    北側委員 時間がありませんので次に進みます。  先ほど大臣が、今後住宅産業についてはうんと伸ばしていかなければならない。私も全くそのとおりである、このように思うわけです。  まず、要点のみに入っていきたいわけですが、先般うちの小川議員が、ここで少しプレハブ住宅についての質問をなさったわけです。その後私のほうのいろいろな資料を集めましたところが、あの件については一件だけじゃなかったわけなんです。たとえば金融公庫融資住宅、これは金融公庫に承認された企業が、その規格外というか、その規格と同じようなものをつくっていないわけですね。それはこの間小川君がやったとおりです。そこでこれは一つの問題だと思っていろいろ見てみたのですが、事実上はそうでなかった。これはいまここへ資料を持ってきております。これは大臣もお聞きだと思います。写真もあります。そういうことで、一番問題なのは——私もこういう住宅産業についてはこれからうんと伸ばさなければいけないと思うのです。大臣と全く同感なんです。そこで、その伸びていく方向について、やはり建設省として、たとえばパネル、こういうものは全部工場生産ですから、いままで工場の立ち入り検査が、これは非常にむずかしい面もあるかもわかりませんが、全然なされていない。そこにこういう問題が起きてきているんじゃないか、私、このように考えるわけなんです。  そこで、こういう問題についてのやはり検査体系というものを、大臣は先般早急にやらなければいけない、このようにおっしゃっておられたわけですが、これはやはり一つだけではなくて、こういう問題が出てきた場合に早急にやらなければいけない問題だと思うのです。その問題点について大臣から伺いたい。
  104. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおりでございまして、住宅産業を大いに伸ばさなければならないほど、検査規格なりあるいは住宅産業を経営する者に対する指導監督というものが非常に重大だと思っています。  技術的な面も相当ございますので、住宅局長から現在の段階における指導並びに基準等を御説明いたさせます。
  105. 大津留温

    ○大津留政府委員 前回小川先生の御指摘がございまして、総理大臣からもしっかり監督するようにという御注意をいただきました。そこで、この間御指摘がございました製品につきましては、さっそく大阪、松本、静岡にございます工場につきまして実地検査をいたしました。それから同様に、問題になると思われます木質系のプレハブ住宅の工場、これは十七ございますが、これに対しましては、さっそく公共団体を通じて調査を依頼して現在実施中でございます。  なお、プレハブ住宅企業につきましては、木質系に限らず、その他の軽量鉄骨系、コンクリート系も含めまして五十七社ございますので、これらにつきましても早急に全面的な査察、視察を行ないまして、基準どおりやっているかどうかを調査することにしております。
  106. 北側義一

    北側委員 ここで私、考えますのは、この金融公庫融資つきの規格、金融公庫のきめた規格と建設省が建築基準法によってきめた規格と違うのですね。二本立てになっているのですよ。そこらに非常に大きな問題があるのじゃないか、このように私は思うわけです。構造上、たとえば建設省の建築基準法によってはもうだいじょうぶだ、しかし、公庫の分で見ますと規格が違うわけですね。ここらはやはり一本にまとめていくような、一本にまとまらない点もあるかもわかりませんが、そういう面の考慮もしなければいけないのじゃないか、このように思うわけです。そうせぬと、たとえば一つの製品をつくるにしましても、二種類の機械が要るわけなんです。こっちは建設省基準による規格、こちらは金融公庫による規格、これは非常に量産する上からいきましても矛盾があるのじゃないか、このような考えを持っておるのですが、この点どうでしょうか。
  107. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおりと思います。現在どういうふうにしておるか、事務当局から御説明いたさせましょう。
  108. 大津留温

    ○大津留政府委員 建築基準法に基づく基準は、安全上最低の基準ということで定めております。公庫の融資の基準は、それに幾らかの条件をプラスいたしまして、それよりもじょうぶな、いいものということで基準をきめておるようなわけでございまして、これはその性質上ある程度の段階があるというのはやむを得ないかと思いますが、生産者あるいは利用者が困らないようにはいたしたい、こういうふうに考えております。
  109. 北側義一

    北側委員 いずれにいたしましても、この問題はマイホームの夢を持って、高い土地をやっと手に入れて、そうしてそういう融資を受けて建てていかれるわけです。こういう内容は、普通しろうとじゃわからない。やはりここらはこれからのそういう工場生産住宅、その姿勢をうんと伸ばしていく意味においても、建設省としてもそれだけの体制を整えなければいけない、このように思いますので、その点はどうか建設大臣、ひとつ今後ともよろしくお願いしたいと思うのです。  これは一応参考としてお見せいたしましょう。  次に、日本住宅パネル工業協同組合、これについてちょっとお伺いしたいと思うのです。これは非常に専門的なことになりますので、大臣は御存じないことと思いますが、時間がないので要点だけを私のほうからお伺いしていきたいと思うのです。  この日本住宅パネル工業協同組合というのは、御存じのとおり、建設省の指導によって、公営住宅の大量生産、そのような問題から、間仕切り材、これを扱っておるわけなんです。ここで私、業者からいろんな人たちの話を総合してまことにふしぎに思いますことは、都道府県にこれは協同組合の事務所があるわけです。大阪なら大阪にあるわけですね。そこで協同組合の事務所がありまして、大体業者は、大半はたとえば役所のほうへこういう設計を出すわけですね。で、これでよろしい。そこで、そのようなパネ協、もしくはパネ協に準じた製品、こういうように書いてありますが、そういうものを使わなければ、公営住宅の間仕切り材、たとえば内容といたしましては天井とか壁、床、いろいろあります、そういうものが納入できないようになっておるのです。これについてその協同組合を一ぺん通って、そこから協同組合の組合員に対して発注がなされるわけですね。それでその業者のほうから手数料というものが協同組合へ払われるわけです。初め、建設省としては、今後の量産されていく公営住宅、そういう面からやられた、私はそういうように了解しております。しかし、その後だんだん年がたちまして、これを見ましても売り上げ高がずっとふえております。そういう点から、その内容について少し、簡単でけっこうですからひとつお教えいただきたいと思うのです。
  110. 大津留温

    ○大津留政府委員 御指摘の日本住宅パネル工業協同組合、これは昭和三十七年の七月に建設省、通産省の指導によってできたわけでございますが、これは公営住宅等をプレハブ化するに際しまして、その内装の木製パネル、こういうものも同時に工業生産しようということで、その業者の協同組合をつくらして指導したわけでございます。当初はそういうことで木製パネル等は協同組合が開発してつくったものでございますから、他にはこういうものを生産する者がいなかった。しかし、だんだん他のメーカーもこれと類似の、同等の製品をつくるようになりましたので、先ほどもお話がございましたが、内装を発注する際に、パネ協製品またはこれと同等の品質を有するものということで入札等をしておるわけでございます。だんだん組合が大きくなりまして、当初十五の組合員でございましたが、現在は四十四組合員数がございます。出資金も当初一千万円で発足しましたが、現在は三億一千万円、年間の取り扱い高が八十億円、こういう状況でございます。
  111. 北側義一

    北側委員 この協同組合事務所を通る場合の手数料といいましょうか、それは何%になっておりますか。
  112. 大津留温

    ○大津留政府委員 四十三年度におきましては、総事業費の一一%が運営経費ということに充てられております。この中身は、銀行金利二・一%、運営経費が四・九%、貸倒引当金及びそういうものが四%、こういう内訳になっております。
  113. 北側義一

    北側委員 私の質問したのはそれじゃないんですよ。結局、私のほうから少し数字を通してお話し申し上げます。こういうようになっているのです。  私の調査によりますと、各都道府県に協同組合があるわけですね。内装材については役所からそこを一ぺん通るのです。その協同組合がこれをつくるわけです。協同組合員が、たとえば受注額のうち七%、八%を手数料としてここへ納めるわけですね。こういうシステムになっているのです。いま言われたように四十四社ですね。これはなかなか協同組合へ入れないというのが実情らしいのですね。入れない業者は、そういう協同組合に入っている企業、その人からまた下請でやっておるのです。で、この企業は事務所に対して八%納めているわけですよ。こういうことを考えますと、これは私の考えですが、公営住宅というのは工賃が非常に安いはずなんです。そこで、そういう協同組合を一ぺん通過して八%取られる。たとえばその業者がもう一つの組合員でない業者にそれを下請さす、これはやはり手数料があります。またここで手数料を払う。  そこで、一番心配になりますことは、そのような実態がありますと、どうしても粗悪品が出てくるという心配が出てくるわけです。初めの趣旨、非常にけっこうだと思った。しかし、その後の実態というものを私もずっと大体少し当たってみたんですが、これは非常に泣いておる人もおります。住宅局長、私はその手数料を言っておるのですよ。それを教えていただきたいと思うのです。
  114. 大津留温

    ○大津留政府委員 私どもの調べたところによりますと、手数料として一一%支払っておる、こういうことでございます。
  115. 北側義一

    北側委員 結局一一%、これじゃいけないですよ。しかもこの企業を見ますと、年々売り上げが非常に上がってきております。この問題は、やはり建設省が指導して育成してつくったものですから、なさるなら最後までなさるべきだと思うのですよ、大臣。
  116. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答えいたします。  いま聞いておりまして、最初発足した当時の善意が生かされていないというような感じもありまするので、よく実態を調査せしめた上、善処するようにいたしたいと思います。
  117. 北側義一

    北側委員 この問題で最後一つだけつけ加えておきましょう。  各都道府県のこの共同組合事務所の事務所長というのは、大体その都道府県の建築課長以上の人がなっておるのです。それで役所から注文が入るのです。そこらの点もひとつ詳しく調べてもらいたいと思うのです。あくまでも公営住宅というのは非常に安い単価で業者が建てておるわけですから、そこで一一%、これは私の考えとしては大き過ぎます。企業としては、どうしても採算がとれなかったら製品で悪くする以外にないのです。もちろん、チェックはなさっておられるでしょうが、そういう心配がありますので、この点ひとつよろしくお願いいたします。  それから、住宅問題についていま一つだけお聞きしたいのですが、今回の昭和四十五年度の予算を見まして、市街地再開発事業ですね、駅前再開発が十カ所行なわれるようになっております。これは前の都市再開発法案が出たときにも私は申し上げたわけですが、この問題で一番大事なことは何かといいますと、たとえば駅前再開発をする、これは今度の十カ所の場合は地方公共団体がなさるわけです。そこで中に入っておられる借家権者、借家に入っておられる人、その人が、再開発された場合に非常にりっぱな建物がそこに建ちますので、家賃が非常に上がってくるわけです。八倍ないし九倍。こちらの人はそういうところへははいれないのですね。そして、そういうところにはいれるような人がそこへ集まってくるわけです。そうして、そういうところに住んでおった借家権者という方たちがどうしてもそこを立ちのかなければいけないような姿になってくる。私はそう思うのですが、少なくともその再開発する場所を見まして、たとえば借家権者が三分の一とか半分以上おるとか、そういう場合にはやはり公営住宅に張りつけるような考え方を持たなければいけない、私、こういう考えに立っておるわけなんです。事実上、今回たとえば十カ所行なわれますが、公営住宅が実際問題として建つか、そこには建たないですよ。そうして、せっかく再開発されるまでそこで、つとめの関係いろいろな関係で遠いところに行けない、そういう人がそういう場所に住んでおられる。再開発されるとどうしても出ていかなければいけない。こういう実態になってきておるわけなんです。これについて大臣はどのようなお考えか、お聞かせを願いたいと思うのです。
  118. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは、いま北側さん御指摘のように、地方自治体が主体としてやっているものでございますから、政府として助言並びに勧告はできますけれども、命令としてこうせいということはなかなかむずかしいと思います。しかし、いま御指摘のような点は、従来の入居者が非常に不便を感ずるということでございましょうから、十分実態に合うように指導助言をしてまいりたいと思います。
  119. 北側義一

    北側委員 この点については、私の知る範囲では、なかなか公営住宅は建たないのが実態です。やはり建設省の指導というものが非常に大事だと思うのです。その点ひとつお願いしたいと思うのです。  時間がないので、次に進みます。  次は、道路関係に入っていきたいと思います。先ほども少し質問なさっておられたようですが、昭和四十五年度から四十九年度まで第六次道路整備五カ年計画がスタートするわけでありますが、私、いつも思いますことは、第一次から今回の第五次まで見まして、最初の第一次だけ改定が四年間、あとずっと三年で改定されているわけです。そこで、これはもう当然社会環境が非常に変わりまして、たとえば道路整備とかまたオリンピックの関連事業とかいろいろな問題、万博関連事業、こういう問題がありましてこれは改定されたのかもわかりませんが、しかし、この問題について、やはり計画というのは五年間くらいの計画はそのまま進めていけるような体制というものを初めからやはり組まなければいけない、このように私は考えておるわけです。これは財源とかいろいろな問題がずいぶんこの問題についてはあるわけです。だから、一つ一つ聞いていきたいと思いますが、こういう改定についてどのように考えておられるのか。  しかも、その進捗率はずっと四年間で大体見ますと、第一次の場合の二十九年から三十三年までの分が三十二年で終わって、その進捗率が七一・八%、第二次が五二・五%、第三次が五九・六%、それから第四次が五三・四%、第五次が三年で五〇・二%、非常に悪いわけですよ。そのまま行ったら達成できないような伸び方しかしていないわけです。そういう点、第六次の今回の場合はそういう点をがっちりとひとつやって、計画どおりにやっていかないといけないのじゃないか、こういう考えを持っておるわけですが、これについてどうでしょうか。
  120. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおり、道路五カ年計画は数次にわたって実施しましたが、いわばその途中の年度において改定してどんどん延びてきておる。非常に計画が実現されていないじゃないか、そういうさなかにおいて第六次五カ年計画が十兆三千五百億にきまったのは一体どういう理由であるかというようなことでございまするが、時間がございませんから端的に申し上げますと、経済社会開発計画が新しく今度制定になります。それから新全総も今度は出てきました。     〔藤枝委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、国土の全体としての均衡ある開発という観点から、これに対応した道路政策をつくるべきだということがまず第一点でございます。  それからもう一つは、ただいま御指摘になりましたように、現在の道路需要の状況が、従来の考えと非常に違ってきたのです。たとえばコンテナ輸送が始まってきたために、従来はあまり考えなくてもよかったと思うところの港湾関係なんかに相当しっかりした大規模の湾岸道路をつくらなければならなくなった、こういうものも出てまいりました。それから輸送される重量が非常に大きくなってきました。したがって、道路構造令そのものも改定しなければならなくなってきたということ、それから都市開発の需要が非常に多くなりましたために、これに対応する措置を講ずる等、万般のことを考えてまいりますれば、これはこの際に改定すべきであるという決意をしたことが一つであります。  ところが、一体これに対する財源の措置が十分じゃないじゃないか、そうすれば、これまた途中で変更して引き延ばししたようなかっこうになるじゃないかという御指摘になっておりまするが、そのために、先ほど大蔵大臣も申し述べましたように、現在のところ、第六次の道路計画の中に約三、四千億程度の不足と思われるものがあります。これにつきましては、従来と違って新たな構想を出したのは、民間資金を道路計画に活用しよう、すなわち相当経済能力のある大都市あるいは経過地、これらについては、今度提案いたしました地方道路公社方式を設けまして、従来の国道等を有料で、地方自治体を主体とする民間資金を活用する、これで相当程度これは解消できると思います。  それからもう一つは、特定財源をもう少しふやそうということであります。これは大蔵省はじめ関係各省と十分に今年中に検討して、四十六年度予算編成のときまでには財源の裏づけをしようということで、関係閣僚の合意を見ておりまするので、相当推進することができると考えておる次第であります。
  121. 北側義一

    北側委員 財源の問題まで大臣がいろいろ言われたわけですが、この問題については、たとえば道路公債を発行して財源にしようとか、トラック税、こういうものを考えておられるようですが、非常に強い反対も起こってきておるわけです。で、四十六年までにこの財源措置をきちんとやりたい、このようなお話ですから、これは了解しておきますが、この問題についても、やはり腹をきめてやらなければ、また同じように三年で改定されるようなことも起こってくるのではないか、このように思いますので、質問さしていただいたわけです。   なお一つ、時間がありませんから飛ばします。高速道路、自動車国道の事業主体である日本道路公団の収入、支出内訳、これがあるわけですが、これを見ますと、昭和四十五年度総額が三千四百億、対前年度比が二六%の伸び率、このようになっております。実質的な五カ年計画の対象として事業できるその金額というのはここでは二千十五億、このようになっておるわけです。あとは利子その他で、総額とこの実施額と非常に大きな差があるわけですね。これから昭和六十年までに七千六百キロですか、高速道路を建設なさるわけですが、これは日本道路公団としても予算編成についてはやはり相当ここらで考えなければいけない問題じゃないかと思うのです。見ますと、これは年々大きくなってきたのです。その点どのようなお考えをお持ちか、これを、財源の問題もありますので、大蔵大臣、建設大臣にお聞きしたいと思うのです。
  122. 福田赳夫

    福田国務大臣 御説のとおり、道路公団の資本費負担はだんだんと多くなる。多くなりますが、これは道路特別会計からも無利子の金を出資をいたしておるわけであります。そういうようなことで資本負担も企業体といたしましてはそう大きなものではないのです。資金コストでいいましても、大体創立以来六%でずっと安定をしてきておるわけでありまして、四十五年度におきましても大体そういう見当でいけると思いますが、今後も無利子の出資をふやすとか、そういうようなことをいたします。いたしますが、しかし、特別に利子補給だとか何だとかいう、そういうようなことを考え事態ではございませんです。
  123. 北側義一

    北側委員 この問題は、利子補給その他考えておられないようですが、これはだんだん年々大きくなっていきますので、やはりいつかは考えなければいけない、そういう問題じゃないかと思うのです。時間がありませんので、ずっと飛ばしていきます。  先ほど申し上げましたとおり、五道建設がみんな進んでおります。高速道路の建設については先ほど言いましたとおり、昭和六十年までに七千六百キロ、このようになっていくわけですが、ここで私、思いますことは、高速道路の建設について、すべてこれを有料でやった場合に、採算の合わないようなそういう路線も出てくるのじゃないか、このように考えるわけなんです。たとえば東北方面ですね、枝が延びております。あれを見まして、非常に利用なさる方が少なくて、採算上合わないような場面も考えられるのじゃないか。だからこの問題については、すべて七千六百キロ有料にしていくという考え方については、非常に私自身も疑問に思っているわけなんです。これが一点。  それと、高速道路の料金制度です。これについて現状では車種によって料金がきめられております。ところが、先ほど申しましたとおり、全国的に高速道路が建設されていった場合に、たとえば一つのトラックにしましても、積む荷物によって非常に変わると思うのですね。たとえば高価なものを積んで走るトラックと野菜類を積んで走るトラックと料金は同じなんですね。そのように高速道路網がふえてきた場合に、これの料金体系というものをやはり考えなければいけない、このような考えを私、持っているわけなんですが、その点についてはどうでしょうか。
  124. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答えいたします。  高速道路網ができた場合において、産業の発達のおくれているところ、あるいは人口の少ないところを経過する場合は採算が合わないのじゃないか、そのとおりに心配がございます。そこでこれは、いままでは一本一本の道路を独立採算的に計算しておったのを、今度は高速道路全体をプール計算していかないと、いまのような問題が起こると思いますので、これはプール計算するようにしたいと思っています。  それからまた、それと関連して、現在の有料道路は、ある一定の年限が来まして回収できれば無料にするという原則ですけれども、そういうところは相当長期間有料でいかざるを得ない、こう思いますと同時に、最近における状況を見ますと、実はわれわれがとてもこれは採算が合わないのじゃないか、あるいはまた、とうてい使う人が少ないだろうと思ったところが、案外これが多いのでございます。経済発展に伴いまして、しかもモータリゼーションがこう発達してまいりますと、やはりいい道路、安全ないい道路を短時間で走るということで、先ほど心配したほどではないのじゃないかという気もしております。しかし、これは十分に考えておかなければならぬと思います。  その次に、高速道路の料金体系の問題でございますが、理論的にはまさしくそのとおりです。ところが、一方におきまして、これを一々チェックすることになると、チェックの方法が非常にめんどうくさい、チェックされるために今度はめんどうくさいからやめちまうということになるとこれは非常にむずかしいので、現在のところでは長距離逓減の方法を若干とっておることと、それからトラックその他の車種によってやはり積載物も相当見当がつきます。そういう観点で現在の制度を基礎としてさらに最も合理的なものを考えようと思っていますけれども、積載するものによって変えるということはなかなかむずかしいのじゃないかと思って、今後検討してみたいと思います。
  125. 北側義一

    北側委員 時間がもうありませんので、ちょっと日本道路公団の総裁伺います。  いよいよ万博がここ十五日からオープンになるわけです。そこでやはり名神なり東名なり非常に利用者が多いと思うんですね。そういう点で事故対策、たとえばサービスエリアのサービスをよくするとか、いろいろな問題があると思うのですが、このサービスエリアの問題についてちょっとお伺いしたいのです。  サービスエリアについて内容を見ますと、営業料率が取られておるわけです。これは各地方によって全部違うわけですが、これからずっと内容を見ますと、非常に営業料率が、たとえば昭和四十三年の場合ですと、全収入額に対して五六%、こういうようになっております。この問題についてはやはりサービスの面から検討しなければならない、そういう実態になってきておるのではないか、このように私は思うわけなんです。これについてどのようなお考えを持っておられるのでしょうか、ひとつお聞きしたいと思います。
  126. 富樫凱一

    富樫参考人 名神高速道路、東名高速道路、万博を控えまして、交通問題にはたいへん心配いたしておりまして、いろいろ対策を立てております。これも開いてみないとちょっと予想のつかない面がございますので、臨機応変にやりたいと思っております。  その際に、サービスエリアの問題でございますが、おっしゃるように、サービスエリアは高速道路には不可欠の施設でございます。これのサービスにつきましては十分注意いたさなければならぬわけでございますが、ただいまお話しのございました営業料率でございますが、一番高いのが二三・五%になっております。開通当初このサービスにつきましていろいろ御批判がございました。自後いろいろ改善の措置を講じてまいりまして、現在では従前のような非難が少なくなったように思いますけれども、さらに一そう督励いたしまして、サービスには改善を加えていきたいと思っております。営業料率をこのままでよろしいかというお尋ねもございましたが、実はサービスエリアは独占的な場所でございまして、競争がないということ、それから地代、家賃は営業料率の中に含まれておる、それから駐車場は別に施設があるというようなことからいたしまして、他のレストハウス、国道付近のレストハウス等に比べてそう高いようには思っておりませんが、サービスを改善していかなければならぬということは、これから十分監視いたしまして、進めてまいりたいと思っております。
  127. 北側義一

    北側委員 総裁、私の思うのはこういうことなんです。たとえばいま言われたとおり二三・五%、これは最高ですね。それから二〇%があります。少なくとも二割ですよ、二割か二割五分。これはどこにかかってくるかというと、やはりお客さんにかかってくるものなんです。料率を全部取ってはだめという話じゃないんですよ、私の話しているのは。これからやはり五道が建設されて、高速道路がだんだん建設されて同じような料率でいくという、これは非常に問題があるのじゃないかと思うのですよ。たとえばお客さんが高速道路に入る場合にゲートで料金を払う、そうして食事をする場合にはサービスエリアへ行く以外にないのですから、あそこで食事をなさる。そこで企業に利益があるはずです。その上に営業料率は当然——ここに、私いろいろなところへ手紙を出していろいろな苦情を全部まとめてみたのですが、いろいろな問題をこれはかかえております。あまり好評じゃないですよ。そこにはやはりこの営業料率に一つ大きな関連があるのじゃないかと私は思うわけです。これなんかもやはり検討なされて、これから高速道路がずっと延びていくわけですから、検討なさるのがやはり本来の姿勢じゃないか、このように思うわけなんです。特に諸外国からずいぶんお客さんが万博にお見えになるわけですから。そこでやはり体制というものを考えなければいけない時期が来ているのじゃないかと思いますよ。その点はどうでしょうか。
  128. 富樫凱一

    富樫参考人 これから東北道その他たくさん高速道路ができてまいりますが、それらのサービスエリアにおけるレストハウスの料率は、これはおのおのその特性に従ってきめていくべきものと考えます。その営業者をきめます場合に、指名競争の方法をとっております。そういうことでやっておりますが、営業者の計算でそれぞれ札を入れることでございますけれども、最高の料率につきましてはこちらも考えまして、それぞれの道路の特性またサービスエリアの特性に応じた料率をきめてまいりたい、かように考えます。
  129. 北側義一

    北側委員 まあひとつドライバーがサービスを享受できるような、そういうサービスエリアにしてもらいたい、そういうことで御質問申し上げたわけです。  時間が参りましたのでこれで終わりますが、ここに一連の問題がありますので、これをお渡ししますから、一ぺんよく見て、改善すべきところは改善していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  130. 中野四郎

    中野委員長 これにて北側君の質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  131. 中野四郎

    中野委員長 この際、理事辞任についておはかりをいたします。  理事今澄勇君より理事辞任の申し出がありました。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  つきましては、その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、麻生良方君を理事に指名いたします。  午後の会議は、本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩をいたします。     午後一時十三分休憩      ————◇—————     午後四時三十三分開議
  134. 中野四郎

    中野委員 長休憩前に引き続き会議を開きます。  一般質疑を続行いたします。井上普方君。
  135. 井上普方

    井上委員 私はまず厚生大臣にお伺いいたしたいのでありますが、近ごろ朝日新聞の夕刊に「精神病棟」というルポが出ておることは御存じでございますか。あれをお読みになっての厚生大臣としての御感想を承りたいと思うのです。
  136. 内田常雄

    ○内田国務大臣 精神病院につきましては、先年国会で精神衛生法というようなものがつくられましたことにかんがみましても、非常に大切な課題であるにもかかわらず、たとえ一部の精神病院であれ、ああいうような報道がなされる事態がありましたことは、私はまことに残念に存じております。
  137. 井上普方

    井上委員 これは残念だけでは私は済まない問題だと思うのです。実は現在の精神病院におきましては、あのような事実はもうすでに常識化しておるのであります。その精神病院がなぜ常識化しておるか。医者の数は足らぬ、あるいは看護婦は足らぬ、看護人は足らぬ、こういうような現状にありますが、しかしこれも厚生省の指導が悪いと言わざるを得ないのであります。と申しますのは、精神衛生法というのは、あなたは最近できたとおっしゃいますけれども、これは古い法律です。しかし精神科医をつくり上げます精神科の研修指定病院というものを一昨年につくったのであります。これは全国で十七つくっておるのでありますが、実に医療法二十一条並びに医療法二十一条に基づくところの医療法施行規則、これに違反しておる病院が全部研修指定病院として指定になっておるのでありますが、この点につきましては大臣御存じでございますか。
  138. 内田常雄

    ○内田国務大臣 医師法の改正に伴う臨床研修病院の中に、一般病院から精神病院を区別いたしまして、十数カ所の病院が指定されたことは承知をいたしております。その中には医師数が足りないとかあるいは必ずしも指導医師として適格な医師が充足されておらないというような欠陥を井上委員から昨年御指摘を受けたことも聞いておりますが、それらにつきましては、医師の充実などでき得る限りの改善に厚生省といたしましては努力いたしまして、ある程度の改善の実績を見ているように私は聞いております。
  139. 井上普方

    井上委員 これは昨年の文教委員会におきまして私が指摘いたしたところであります。当時坂田文部大臣もその席におられましたから十分に御存じであろうと思いますが、しかしこの研修指定病院が、昨年の四月現在におきまして、一般病院におきましては百八つの総合病院を指定しておるのでありますが、そのうちで実に六十三の病院が実は医療法に違反いたしておる病院であったのであります。精神病院のごときは十七の研修指定病院が全部これは医療法に違反いたしておる。こういう病院を研修指定病院として厚生省は認定した。したがって、ここで研修される医者でありましたならば、このような医療法を無視してもいいのだというような気風が生まれるのは、これまた当然と申さなければならないのであります。したがって、昨年の文教委員会におきましてはこの点を指摘し、このような医療法に違反するがごとき病院については取り消すかということを私は要求いたしたのでありますが、その際に斎藤厚生大臣は、そのように医療法に違反する病院につきましては善処する、この善処の意味につきましては、当時の文教委員長大坪保雄さん並びに文部大臣もその席におられたから十分おわかりであろうと思いますが、その善処するという約束の中には、こういう医療法に違反するがごとき病院は研修指定病院からはずす、こういうことを明言されたものと全員は解釈いたしておるのであります。しかるにもかかわらず、厚生省はどのような措置をとられたか。改善に努力するだけじゃ話になりません。そういう委員会での約束であります。ところがこれに対して指定病院を取り消しておらない事実は一体どうするのです。厚生大臣どうお考えになります。
  140. 内田常雄

    ○内田国務大臣 前国会におきまして井上先生からきつい御指摘がありましたことは私も承知をいたしました。そこで、臨床研修を行なう病院の御指摘の問題につきましては、さっそくに病院長会議厚生省が招集をいたしまして、医師等の充足の問題をはじめ、臨床研修全般について指導体制の整備充実に関する指導を行なってまいったと私は報告を受けております。また特に問題の多い指定病院について、医師研修審議会委員が、実地に、相当期間にわたりまして、その改善のために出張をして指導を行なったという報告も受けておるのでございまして、その結果かなりの改善がされておるとも実は報告をされております。なお引き続き、医師の充足等につきましては欠陥があることも聞いておりますので、これらにつきましてはさらに医師研修審議会の御意向も求めながら改善に尽くしてまいりたい、かような所存でございます。
  141. 井上普方

    井上委員 厚生大臣、かなりな改善ではこれは済まない問題ですよ。いいですか。医療法第二十一条によると、これは開設については都道府県の認可を得なければならないことになっている。いいですか。ところがそれに違反しておる病院なんです。特に精神病につきましては、特殊病院といたしまして次官通達を出しておるはずです。特殊病院として結核並びに精神病院につきましては医師の数まで次官通達を出して、府県知事はこのように指導しろということを厚生省は指導しておるのであります。その通達は、医療法施行規則に該当するものとして現在府県においてはこれをその通達どおり実施いたしておるのであります。ところがそれに違反しておるのですよ。その違反しておる病院をなお改善させるということはどういうことなんです。一般病院ならそれでいいです。一般開業病院であれば、これはいいです。しかし医師の研修病院ですよ。教育病院ですよ。それをいまだにまだ改善をするというがごときことは、私はどうも納得できかねる。厚生大臣の明確なる御答弁をお願いしたい。これは明らかに研修指定病院を取り消すべきである、その取り消すこともできるように医師法においては改正がなされておるはずです。どうなんです。
  142. 内田常雄

    ○内田国務大臣 臨床研修制度がしかれておりますので、その研修指導につきましては完全な形の研修が望ましいことはそのとおりであると存じますけれども、当面は完全な状態になくても、近い将来それを改善して研修病院としてふさわしい病院とする可能性のある病院につきまして指定せざるを得なかった。このことにつきましては、医師研修審議会とも打ち合わせをいたしました結果指定をいたしましたが、もともと御指摘のような医師数の不足とか指導体制に欠陥がありましたものにつきましては、先般来申し上げておりますように、今日まで医師の充足等改善の努力を続けてまいりましたが、今後もその努力を続ける、こういう次第でございます。
  143. 井上普方

    井上委員 大臣、私はなぜ医師法のこの研修病院のことを言うかと申しますと、実は大学紛争のきっかけになったのがこの医師法の改正であったわけなんです。したがいまして、どういたしましても、大学紛争の原点であるこの医師法を守らなければならないと思うのです。しかもその際に、この研修医制度をつくった際、当時の園田厚生大臣のおっしゃったのには、完全なる病院でなければ指定いたしません。ベット数においても医師数においても看護婦の数においても、完全なものでなければ指定しません、こう明言されておる。いいですか。その後、昨年私が取り寄せまして指摘いたしますと、あなたのおっしゃるような言い方を最初は斎藤厚生大臣はやっておった。しかし、あの大学紛争の原点ともいうべきこの医師法の改正、研修医制度、これを考えるときに、特に文教委員理事あるいはまた委員長は御苦労願って、善処いたします、その善処の裏にはそういう医師法に違反いたしたような病院はこれを取り消しますという含みを持った善処ということばであったはずだ。国会における大臣の答弁というもの、これは忠実に守ってもらわなければ困る。ところが役人は、これは一方的に何とでもやることでしょう。また後ほど役人の独走性につきましては御質問しようと思いますけれども、特にひどい精神病の病院といいますと、何と六百三十三の精神病患者に対しましてわずかに七人しか医者がおらないところを厚生省は教育指定病院としておるのです。こういうように精神病院は十七の病院全部が医療法違反の病院です。看護婦におきましてもそのとおりです。大臣、大学紛争がこの医師法の改正をもって火を発したことはあなたも御存じでしょう。こういうことを考えますと、少なくとも大学の学生諸君が疑惑を持つがごときやり方、行政のあり方というものに対しましては、私はどういたしましても憤慨せざるを得ないし、反省を求めるものです。したがって私は、このことを二度にわたって質問しておるのです。あなたはこの研修指定病院が医療法に違反しておる。しかも医者を養成するところですよ。あなた方の政府の言うのではポスト・グラデュエート・エデュケーション、医者の研修をやらすところなんです。そこにおいて医者の数が足らぬ。はなはだしいのをとってみますと、医者一人に対しまして九十人の患者を持つというような病院すらある。こういうようなことをあなた方がやっておるから、だから国の教育指定病院、研修指定病院があのざまであれば、一般開業医においてはこんなこともあたりまえでないかという考え方がびまんするのは当然といわなければならない。まことに厚生省の責任というものは重大でなければならぬと思うのです。あなたは、この研修指定病院が医療法に違反しておる、医者の数において看護婦の数において足らぬ場合においては、あなたはここで明言しなさい。昨年の斎藤厚生大臣も善処するという含みの中には指定を取り消すということを明言されておるのです。含まれておるのです。なぜ教育指定病院、研修指定病院をお取り消しにならないのか、その理由をお伺いしたい。
  144. 松尾正雄

    松尾政府委員 当時私がその席におりましたので、私からそのいきさつを申し上げたいと思います。  前回斎藤厚生大臣が井上先生の御指摘に対しまして、いろいろな御指摘の事項につきましては、調査をいたしまして、必要とあらば所要の措置をとりますというお答えを申し上げました。その措置に基づきまして、ただいま大臣から申し上げましたように、私たちのほうも直ちに全国の病院長会議を招集いたしまして、先生御指摘のような事項について十分直接伝達をいたしました。さらにそういう改善について、急遽努力をするようにお願いをしたわけでございます。  なお、その際に、先生のいろいろな御指摘の中にもございましたときにお答え申し上げたと存じますけれども、十分改善には努力をしたい。決してそういう欠点がないということではございませんで、改善には努力を申し上げたい。どうしても改善ができないという段階では、そういう措置をとるということもやむを得ません。しかし、御承知のように、研修審議会の意見も聞かなければなりませんので、それらの結果も、ただいま大臣が申し上げた実態調査等の結果も御報告を申し上げまして、委員会としてもさらに努力をしようじゃないか、こういうふうになりましたために、さらに改善の努力をしようということで、今日に至っているわけでございます。
  145. 井上普方

    井上委員 努力をしたとおっしゃいますが、医療法に違反してない病院が一つでもありますか、全然ございませんか。大臣、どうです。
  146. 内田常雄

    ○内田国務大臣 研修精神病院として指定いたしましたものの中には、国立病院とそれ以外のものがあるわけでございますが、私がこれまで開きましたところによりますと、国立病院においては医師数も充足してある、こういうふうに聞いておりますので、問題は、国立以外の精神病院についての医師数の充足あるいは指導体制の充実というところにあるのではないかと考えまして、努力をいたしております。
  147. 井上普方

    井上委員 大臣、あなた国立病院と言うが、国立病院はこの中に幾つあるのです。精神病院十七のうち、国立病院は幾つあるのです。——いや、聞かなくていいですよ。四つしかないじゃないですか。十七のうちで四つですよ。あとの十三というのは、これは違うのですよ。しかもそれができていないのです、現実に。  できているとおっしゃるんなら、ひとつお伺いいたしたいのですが、佐賀の国立肥前療養所は、医者は幾らになりました。看護婦は幾らになりました。局長でけっこうです、御答弁願いたい。
  148. 松尾正雄

    松尾政府委員 お答えいたします。  国立の肥前療養所では、現在医者の数が、医療法で計算しますと、三名オーバーいたしておりまして、看護婦は同じく三名オーバーいたしております。医者の数にいたしまして、肥前では十四名、看護婦が合計で八十五名でございます。
  149. 井上普方

    井上委員 次官通達は幾らになっているのです。特殊病院については、医者の数、看護婦の数は、入院患者の幾らになっているのです。次官通達では幾らにしているのです。
  150. 松尾正雄

    松尾政府委員 ただいま申し上げました数字が、入院患者一日平均で四百八十六、外来は肥前はわずか十九でございます。したがいまして、医療法上の計算で医者の数の所要人員が十一名、こういうことでございまして、そういう計算をいたしております。
  151. 井上普方

    井上委員 局長、その数を聞いているんじゃない。医療法上、あなた方は次官通達で医者一人についてベッドは何ぼ、幾らベッド以上には医者何人ということを規定しておるでしょうが。その数でいきましても、これは医者一人に対して四十四・七だ。これで医療法上あなたは規定に達しておるとお考えになっているのですか。それぐらいしか御認識ないんですか。
  152. 松尾正雄

    松尾政府委員 こまかい計算の過程の資料はここに持っておりませんけれども、ただいま申し上げました数字は、そういう医療法で規定されている数字というものをもとにいたしまして、先ほどの一日平均患者から計算いたしたものでございます。
  153. 井上普方

    井上委員 私が聞いているのはそんなのじゃない。次官通達で、医療法二十一条で特殊病院の医師の数、看護婦の数をあなた方は規定しているのでしょうが。それは一体どういうような文句になっているのです。
  154. 松尾正雄

    松尾政府委員 精神病院等につきましては、患者五十二人までについては三人、看護婦については六人に一人という計算でやっているはずでございます。
  155. 井上普方

    井上委員 私が知っておる数字とは非常に違うのであります。五十二名という数字は一体どこから出てきているのです。ああいうような医務局長がおる限り、できないはずなんです。もう一度あなた方は読み直してごらんなさい。外来、入院患者幾らに医者一人なんです。
  156. 松尾正雄

    松尾政府委員 たいへん失礼いたしました。看護婦につきましては……。
  157. 井上普方

    井上委員 医者だ。
  158. 松尾正雄

    松尾政府委員 医者につきましては、精神病院につきましては、入院患者数を三で割るという形になっておるわけでございます。それから五十二の数を引くということで計算をいたします。
  159. 井上普方

    井上委員 違うよ、あなた、それは。いいですか、五十二のベッドまでは三でいいんだ。それから十八ベッドがふえるごとに医者一人ということになっているはずなんです。そんなことすら知らないのか、局長は。
  160. 松尾正雄

    松尾政府委員 ちょうど計算の根拠をここへ持ってきておりませんので、宙でお答えいたしかねますが、精神病院につきましては、いま申しましたような数字で計算するはずでございます。
  161. 井上普方

    井上委員 もういいよ。これは五十二人までについては医者は三人、それから入院患者が十八ベッドふえるごとに医者一人なんです。これは次官通達で精神病院の医者の規定をしておるのです。あんな、医務局長、何も知らない。いいですか、五十二名まで三人、それから五十二名に医者  一人あればいいようなことを言っている。大きな間違いですよ。あなた、それじゃ一般病棟についてもそれぐらいのお考えなんでしょう。だから、こういうように教育指定病院百十幾つでしたか、やったところが半分、一般の総合病院においても百八のうちで六十九までが違反している病院なんです。これを教育病院として指定しておるのです。だから、あの当時の学生諸君が、これは医者を二年間安い月給で縛りつける法律であるといって反対したのも、これは当然なんです。国立病院に医者が不足している。だから、二年間ここで国立病院にくくりつけようとする法律だといって騒ぎ出したのも当然なんです。どうです。それじゃ一いまの数字は、医務局長のが正しくて私が言ったのが間違いであれば、見のがしましょう。私が言っておることが正しければ、あなたはこれを取り消しますか、どうです。
  162. 内田常雄

    ○内田国務大臣 医務局長が不準備で、その基準の医師数について間違ったお答えをいたしたようでございますが、それは私は井上委員のおっしゃっていることが、基準の正しい次官通牒の数字であると思います。
  163. 井上普方

    井上委員 だから、あなたの部下がそんな補佐をしているから、こういうようなおかしげなことをやるのです。いいですか、あなた自身大臣として答弁していただきたい。ああいう医務局長はほうっておきなさい。こういうように研修指定病院で医療法に違反しておる病院は、これは指定を取り消しますかどうか、あなた御自身のお考え方でひとつ御答弁になっていただきたい。
  164. 内田常雄

    ○内田国務大臣 たびたび先ほど来お答え申し上げましたように、これは研修病院として現に十分の資格を持っているか、またはごく近い間にその資格を持ち得るような病院について指定をしてまいりまして、その充足の努力をいたしてまいりましたが、それでもなお今後充足の見込みがないような事態のもとにおいては、私はそういう病院は指定からはずさざるを得ないと考えます。
  165. 井上普方

    井上委員 大臣、私が言っているのは、一年前に言っているのですよ。一年前に指摘したんです。ところが、現在においてもまだ改善できていないでしょうが。これが発足しましてからもう約一年十カ月たっているのです。これで、まだあなた方はそういうことをおっしゃるのですか。当時の医学生の諸君が言ったことが正しいじゃないですか。私はこれは大学紛争の発火点であるから、あえて言うのです。国がこういうでたらめをやるからです。だから、こういうのはすみやかに行政的に処置しなさい。しかも医療法に違反しているんじゃないですか。われわれ医者が開業した場合に、医者の数が足らぬといって、どれだけ県の衛生部から締めつけられるか。ここにも医者がおります。みんなともかく医師の数が足らぬということで、県の衛生部のほうからきびしい監視を受けておるのです。ところが、この問題についてだけは大目に見ておる。こんなばかげた話がありますか。私が指摘してから一年たっているのですよ。それで現在改善ができていない。入院ベッドが五十二人以上で医者が一人とかいうようなことを平気で言うような医務局長の補佐を、あなたはよくまあ平気で受けてきたものだと思うのです。やめなさいよ、こういうのは。はっきり取り消す御意思はございませんか。半分以上あるんだ。この六月には発足してから満二年になります。しかし、二年たってでもすみやかに改めなければならないと思うから、私は言うのです。  先ほどあなたは、精神病棟のあの朝日新聞のルポを見て、悲惨だ、残念だとおっしゃったけれども、特にこういうようなところで研修さしておる医者がどう考えます。医療法に違反した病院で一人当たり九十人も五十人も持つような病院で研修した人は、こんな医療法なんというのは守らなくていいんだというような考え方から、ああいうような悲惨な病院も出てくると考えられてもしかるべきだと思うのです。どうです、あなたがあの記事とこの精神病院のいまの現状とを見ましたときに、あなた方はどう考えます。厚生大臣として責任を痛感しませんか。
  166. 内田常雄

    ○内田国務大臣 井上議員からの指摘をいただきましたのが昨年の二月二十七日の予算分科会でございまして、その記録もここにございますが、そのとき、御指摘があります事項につきましては、先ほども申し述べましたように、病院長会議を開催したり、また審議会の委員の諸先生に現地に行っていただいたり、また厚生省自身もでき得る限りの努力をいたしました結果、かなりの改善を見た。しかし、それでもなお私どもは十分であるとは考えませんので、それでその後の改善がどうしてもできないような事態がありますならば、私はその指定を取り消すとかいうこともせざるを得ないと思いますけれども、先生のおっしゃること、御警告を決して聞き流しておるわけではございませんので、これまでも努力をいたしてまいりましたことは、ぜひお認めをいただきたいと思います。
  167. 井上普方

    井上委員 認めるわけにはまいりません、一年たっているのですから。それでいつまでに改善するのです、いつまでに。それじゃ期限をつけましょうや。あなたは医療法に違反しておる病院をいつまでに処置するのです。もう一年たっているのだから、一年待ってもこのざまなんだから。一年たった、いつまでに改善するのです。いつまでに医療法に適合した病院にするのです。お伺いします。
  168. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これはでき得る限り早く努力を続けると申し上げる以外にないと思います。
  169. 井上普方

    井上委員 ともかくこの問題につきましては、これは非常に社会的にも私は大きい問題をはらんでくると思います。医師の中に、医療法は守らなくてもいいという気風がびまんすることを私はおそれます。国が第一そういうことをやっているのだからということになります。  こういうような問題につきまして、もうこれ以上あなたと話しましてもなんでございますが、もう一つ申し上げておきたい。  審議会の委員というのが、自分の息のかかった病院を全部指定しているのです。ここにも一つの不明朗さがあるのです。医学界というところは非常に封建的なところであります。したがって、自分の配下をほかへ送る、病院に送っていく、関連病院をつくる、こういうようなためには無理をしてでもそれをかばいだてするという気風があります。私も医者でございますので、あえて申し上げる。でありますから、この指定病院の不明朗さというものを私は指摘せざるを得ないのです。しかもあなたの部下というものは、ああいう無能な部下なんだ。だからこういうことを審議会の委員の先生の言うとおりにうのみにしてしまう。改善の努力をしたと言うが、改善の努力は見られない。でございますので、私は日本の医療行政の上において非常に危惧するものであります。  こういうようなことが現在の研修指定病院にまつわる大きな問題であり、これが医師法改正について学生諸君が立ち上がった一つの転機でもあったわけであります。この点は昨年一年は大学紛争に明け暮れましたけれども、原点に立ち返って考えますときに、この医師法の改正がいかにむちゃくちゃなものであったか、これがおわかりになっていただけると思うのであります。  時間もございませんので、続いての問題につきまして私はお伺いいたしたいのですが、この研修医制度というものをつくる際に、厚生省の当時の大臣の言うのには、これは将来専門医制度をつくるんだ、専門医制度につながるんだ、こういうお話であったわけであります。この点は、大臣、間違いございませんか。
  170. 内田常雄

    ○内田国務大臣 当時私は現在のポストにおりませんので、間違ったことを申し上げるといけませんので、政府委員から答弁をいたさせたいと思います。
  171. 井上普方

    井上委員 この専門医制度は、実は議事録を読みますと、そういう発想のもとに行なわれたのです。しかしながら、この研修専門医制度というものを認定するのは、これは財団法人である学会がやるのです、しようとしておるのです。一部の学会においてはすでにもう専門医制度というものを認定する機能を果たしつつあります。財団法人が認定するのに国家権力が手助けをしなければならないというところに、私は大きな疑問を抱かざるを得なかった一人であります。現在この専門医制度につきましては、あるいは精神病学会においても、あるいは外科学会におきましても、現在のままの専門医制度というものは大きな矛盾があるということで大きい火の手が上がっておることは、これはもう厚生大臣であるあなたは御存じであろうと思います。とやかく申しませんが、しかしこの研修医制度それ自体に大きな矛盾をはらんでおったことをひとつ御認識になっていただいて、今後の厚生行政をやっていただきたいとお願いいたす次第であります。  続きましては、研修医の割り当てでありますが、このたび、研修生に対しましては、報酬謝礼金という形におきましてかなり金が出されるようであります。文部省におきましても、研修生に対しましては今度は臨床研修医の謝礼金という形で三万一千五百円出すように相なっております。しかし、この数が二千八百三十六人から二千七百五十一人に減っておる、文部省の大学病院関係においては。国立病院関係においてはどうなっておりますか。厚生大臣にお伺いいたしたい。
  172. 内田常雄

    ○内田国務大臣 国立病院の関係におきましては、四十四年度の二万七千五百円の単価を三万一千五百円に引き上げるということで予算が組んでございます。
  173. 井上普方

    井上委員 人数を聞いているんです。
  174. 松尾正雄

    松尾政府委員 国立病院の研修医の定数は二百名でございます。
  175. 井上普方

    井上委員 そういたしますと、研修医というものは現在のところ合計いたしまして二千九百五十人しか出してないということになります。そうしますと、一体あとの方はどうなるのですか、文部大臣にお伺いいたしたいのです。——文部大臣でも厚生大臣でもよろしい、一年間に医者は一体どれだけ卒業するのです。そのあとの方はどういうような処置になっているのです。
  176. 松尾正雄

    松尾政府委員 研修生の数につきまして、私から一括して申し上げておきますが、厚生省関係の補助金で対象にいたしておりますのが二千六百九十二名、それから国立病院関係は先ほど申しました二百名でございます。そのほかに国立大学の付属病院の研修医が二千七百五十一名、合計五千六百四十三名分でもって組まれているわけでございます。
  177. 井上普方

    井上委員 私は、研修生の金を出す出し方につきましては、実は大きな疑問を持たざるを得ないのであります。同時に、無給医局員を非常勤職員としてこのたび文部省は予算化されております。この数を三千三百名にしておるようでありますが、この三千三百にしたことにつきまして、私はいままでよりはある程度前進だということを認めざるを得ないのであります。しかし、この非常勤職員の経費、手当て、いままでは無給医局員の診療謝礼金という形で出されておりましたが、これは一年のうち、毎月出されておったのですか、あるいはまた上半期、下半期に分けて出されておったのか、一年に一括出されておったのか、お伺いしたいのです。
  178. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 出し方につきましては局長から答弁をいたさせます。
  179. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 診療担当のいわゆる無給医局員に対します診療協力謝金、これは前年度の分でありますが、日額単価で計算いたしまして、仕事をした日数に応じまして計算して、毎月分を翌月支給するというやり方をしております。
  180. 井上普方

    井上委員 大臣、これはこういう形でおたくのほうは文部省から金を配分しておるんでございましょうが、しかし実際にはどうかと申しますと、いま東京大学の病院へ行ってごらんなさい。一年間の報酬謝礼金をとってくれといって医局員に頼んでおる。ところが、それを受け取らぬという運動が起こっておる。これはことしだけの問題じゃないんですよ。去年、おととしから起こっておる問題なんです。そして他人の名前の判こをついてでも実績だと称して受け取っておる事実をあなたは御存じですか。
  181. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 具体的なその事実は承知はいたしておりません。しかしながら、四十四年度におきまして予算できまりました二千八百三十六人というのがなかなか消化ができないということは聞いておるわけでございまして、私も文部大臣になりましてから大学紛争の発端になったのが臨床研修医の問題であるということは承知をいたしておりました。当時、たしか協力謝金というものは一万五千円だったと思うのですが、これではあんまりだということで、実は二万七千五百円に上げてみたわけですが、ただいま申しまするようで、これでもなかなか消化ができない。これは一体原因は那辺にあるのかということになるかと思いますが、私はこれでもやはり足りないんじゃないかと思いまして、本年度は三万一千五百円というふうに上げて、そして、先ほどちょっと御指摘がございましたように、昨年度二千八百三十六人が四十五年度の予算では二千七百五十一人に減っておりますけれども、しかしこれを単価を上げることによってむしろ喜んで受け取っていただけるものだということでこの予算案が提出をされて、御審議をわずらしておる、こういうことでございます。  ただもうちょっと詳しいことがあれば、局長が心得ているかと思いますけれども、もし御質問がございましたらお答えを申させたいと思います。
  182. 井上普方

    井上委員 文部大臣、あなたの御答弁を聞いていますと、報酬謝礼金ですか、これが少ないがために受け取らないんだ、こういう認識で大学紛争をお考えになっておれば大きな間違いです。それでお金を多く出せば消化できるんじゃないだろうかというようなところに、あなた方の大学紛争に対する認識の度合いが私はうかがえるのであります。それよりも、彼ら無給医局員の諸君あるいは研究者の諸君が言っておるのは、これはそうじゃない、現在の大学制度、特に医学部における封建制のかたまり、これを打破して自由に研究ができ、日本の学術の進歩のためには改革しなければならないという意気に燃えて彼らは動いておると私は考えるものです。したがって、このような報酬謝礼金というがごとき金を、しかも毎月出しておるのにもかかわらず、年度末のこの三月にいってあわてて判こをとりに走り回っておるこの現状、しかも他人名義においてすらこれをとろうとするこのやり方、この教授のやり方に反対しているのです。根は深いのですよ。金が少ない、あるいは多いというのじゃない。こういうようなところに一つの大きい原因があるのであります。これは私は、いずれまた後ほど文教委員会におきまして、この問題につきましてまたあらためて質問いたしたいと思いますが、このたびの国立大学の付属病院の充実、整備につきまして、看護婦定員の増加をわずか二百七十名しかやっておらないのであります。しかし、この看護婦の定員というものは、これは人事院勧告——一昨々年でございましたか、看護婦の勤務状況につきましては、人事院の勧告が出されておるのです。ところがこれに満たない病院が大学病院においてすら非常に数多いのです。したがいまして、これの要求を強くいたしておるし、特に千葉大学における血液の輸血で誤って患者さんがなくなったこともありましたけれども、あれなんかも看護婦の非常な、何と申しますか、勤務条件のひどさにあるということが指摘せられておるのです。その二百七十人を一体国立大学に振り当てますというと、何人ぐらいになりますか。これで人事院勧告が実施できるとお考えになりますか、どうでございますか。完全実施ができますか。
  183. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 その点につきましては、やはり十分とは残念ながら申し上げかねます。しかしながら、われわれといたしましては、何とかして看護婦の養成をやりまして、そして人事院勧告の線に沿って完全な医療ができるように、最大の努力をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  184. 井上普方

    井上委員 人事院勧告の完全実施には、これはまだまだ足らぬということをお認めになりましたので、今後の御努力をひとつお願いいたしたい。これは大蔵大臣にもひとつ十分お願いいたしたいのであります。  特に、私はこのたびの文部省の予算を見まして、実は医者の立場で、一つ画期的なことがある。これは秋田大学に医学部をつくったことなんです。昭和二十五、六年以来、医学部をつくるのは初めてのことで、非常にこの点につきましては画期的な事業であると、私は医者の立場から実は感心いたしておるのであります。しかし、この秋田大学の医学部ですか医科大学ですか、医学部をつくられるに際しまして、いままでのような講座制のもとにおいての、いままでの医学部のごとき機構のもとにおいての医学部というものは、これはまた二の足を踏むのじゃないか。アメリカにおきましても、この医師養成につきましての教育につきましては、非常な実験が現在試みられております。医学部専門科に入りますというと、一年の間に消化器系統なら消化器系統の解剖、生理あるいは外科、内科すべてを一年間で教えてしまう、続いては循環器系統だ、次の一年は脳神経科だというように、縦に教育をやっていくというような実験的な試みすら行なわれておるのです。ところが現在の大学設置審議会なるものは、これは大臣も昨年認められましたように、非常にロートルで、これは何といいますか、骨とう品と申しますか、重要文化財的なお年寄りばかりで占められておりますがために、新しい大学をつくろうという意欲はない。この点は一昨年、文部大臣もお認めになったのでありますが、ひとつ新しい、いままでと違った医学部をおつくりになるお考えはありますかどうですか。
  185. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 今日の大学教育の中におきまして、特に医学教育というものに問題がある。これをやはり改善しなければならないということは、大方の方々の指摘されるところでございますし、私もそうであろうかと思います。また中教審自身におきましても、その点については考えを同じくしておるわけでございまするが、しかし現在の試案の中には、重要であるがゆえに、むしろまだそこまで手が及んでいない。これから一年かかってその問題に対しても検討を加え、そして答申を出したい、こういうふうに考えておるようでございます。しかしながら、ただいま御指摘がございましたように、日本全体といたしまして、とにもかくにも医師が不足をいたしておりますし、特に全体の数字とすれば、あるいは十万の人口に対して百十二名でございますから、かなりの線ではございましょうけれども、やはり地域的な偏在等もございまして、ある地域におきましては医師の不足というようなこともございます。そういうようなことから、やはり絶対数をふやさなければならぬという社会的情勢は非常に強いと思います。したがいまして、私は東北、青森、秋田におきましては百人にも満たないというようなことも顧慮し、また地元の非常なる御要請、御協力ということもありまして、医学部をつくるということに決心をいたしたわけでございます。しかし、ちょうどわれわれといたしましては大学改革を進めておるところでございます。しかもそこに従来のままでいいかどうかということが、非常に問題が指摘されておるところでございますから、われわれの進めておりますこの新しい大学の改革を頭に置きながら、やはりこの秋田大学の医学部のやり方等についても、それが反映できるならばと、私は念願をいたしておるわけでございます。  いまその審議会についてのいろいろ御指摘がございました。しかしながら審議会は審議会なりに一生懸命やっておるわけでございまして、学術研究の著しい進展に対応していくためには、伝統的な学部、学科の構成にとらわれることなく、この設置基準の運用等も柔軟性を持たせるべきであるという昨年四月の先生の文教委員会における御意見には、私も同感の点が多いのでございまして、今後大学設置審議会としましても、その点には十分配慮して審議していくと承知しておりますので、今後また委員の人選等あるいは新しい広い視野、感覚を持った人材を選考する、任期が来て、かえられる場合には、そういたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  186. 井上普方

    井上委員 私は、いままでの既存の医学部をつくるのであれば、およそ国立大学の意味はないと思うのです。それよりも新しい大学、これこそ実験的に行なう必要があるのではないか、大学の設置基準、これをあなたは弾力的にやるというようなことではなくて、もう少し新しい角度、世界の進運に即したような角度、これでひとつやっていただきたい。  特に私がお願いいたしたいのは、医の倫理についてであります。倫理観が非常に現在乱れております。しかし生命の尊厳、あるいは生命の神秘さ、こういうものに目覚めて初めて生命というもの、あるいはまた病気というもの、生物というものの尊厳を知ることができると思います。したがって、大阪大学におきましては、実験的にやられて医倫理講座というのがあるようでありますが、これもある程度失敗に終わっておるようにも聞いております。しかし、これらの問題を踏まえながら、やはり医の倫理の確立ということを考えながら、ひとつ大学の医学部の設置に御努力願いたい。特に大学設置基準というものを除外してでも私はけっこうだと思うのです。こういうような観点でひとつやっていただきたい、このようにお願いする次第であります。  続いては、文部大臣にまたお伺いするのでありますが、私は、これまた昨年の四月に指摘した問題であります。特に大学紛争の一つの大きな焦点になりましたのはこの産学協同ということであった。その際にあなたにもお示しいたしましたが、東京大学の工学部の中の一セクションである都市工学部において、受託研究の件数をあなたにお伺いしたところが、あなたは全然御存じなかった。そこで私は、あなたが私にひとつ報告されるということでお示しを願ったのでありますが、しかしあれで見ますと、四十二年と四十三年との間に一億一千万円の受託研究が都市工学部の中に入っておった。私は建設省並びに関係方面で調べてみますと、まだまだ落ちておるのです。特にまた四十三年の決算報告によりますと、「国立学校における受託研究等および奨学寄付金の取扱いについて是正改善の処置を要求したもの」として、会計検査院のは三百三十八件、一億六千六百六十九万円出ておるのですね、四十二年から四十三年にかけて。こう書いてあります。ところが都市工学科だけで一億一千万、これに対して文部省はいかにお考えになって、いかに処置されるおつもりですか。
  187. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 大学が本来教育と研究を行なう機関であり、制度上産業界と直接的な協力関係にあるものではございませんけれども、しかし、近代社会におきます大学の果たすべき役割りにかんがみまして、本来の教育、研究に支障のない範囲内におきまして、その研究成果を産業界のみならず一般社会に広く還元するということは、私は望ましいことであるというふうにかねがね考えておるわけでございますが、国立大学における受託研究につきましては、従来からその取り扱いについて遺漏のない覇機会あるごとに注意を重ねてきたものの、なかなか粗漏、遺漏がございます。そして昨年、井上先生御指摘のとおりのことがございましたので、会計検査院からこのことについての是正改善の措置要求がございましたことに伴いまして、文書により各国立学校長に対しまして、なお一そう改善につとめるよう指導してまいったところでございます。  なお、受託研究費の受け入れを円滑にするための一つの措置といたしまして、昭和四十五年度から受託研究費の明許繰り越しが認められることとなったのでございますが、これに伴い文部省としましては、目下受託研究に関する取り扱い基準の作成を急いでおり、いずれ各大学に示す予定でございます。これは昨年来の井上先生の御指摘によるわれわれの措置の一端でございます。
  188. 井上普方

    井上委員 これは、会計検査院が受託研究を歳入予算に入れて、歳出面まで明らかにしろというお話しでございますが、これは実際問題といたしましては、あるいは少し無理が生じてくるのじゃないか。それよりも決算上はっきりすればいいんじゃないかと実は思っておるのです。しかし、あなたのおっしゃられるように、産業界に還元しなければならない——社会に還元するということは、跡かたのおっしゃっておるのは産業界に還元するという意味にしかとられません。私どもは、そういうような産業界と大学とが癒着した形は絶対に排すべきである、このように考えておる次第なんです。ここにおなたのおっしゃられておるのを見ますと、都市工学科という一セクションで一億三千万円というような金が二年間に出てきているのです。会計検査院の報告を見ましても、東大の工学部の中の一セクションである都市工学科だけで一億三千万円、二年間で出てきているのです。でありますから、会計検査院はおいでになっておりますか。会計検査院、一体おなた方の会計検査院というのは、どんなやり方をやっているのですか。
  189. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 先生御指摘の都市工学科関係の受託研究費の件でございますが、これは御指摘もありまして、私どものほうで鋭意昨年検討いたしましてその全貌を調べたわけでございますが、先生はいま一億数千万円というふうに仰せられたのでございますが、多少私どもの調べた金額は違っておりまして、そして四十三年度の検査報告に改善意見として文部当局に出しました金額、三百三十八件で一億六千六百六十九万余円、この金額と都市工学科関係の先生のおっしゃいました数字とを勘案すると、これは少し数字がおかしいのじゃないかというふうな御趣旨に承ったわけでございますけれども、私どものほうで検討いたしました結果、四十三年度の検査報告に取り上げましたものは、内容について申し上げますと、大学の経理と関係のないものも含まれておる、また正規の手続をとっているものもその中に含まれている、そういったものは除外いたしまして、これは正規の取り扱いをしていただかなければ困る、そういったものだけを取り上げまして、この四十三年度の検査報告に掲上したわけでございます。したがいまして、一億六千六百六十九万円、この中に東大の都市工学科関係として入っております金額は、先生のおっしゃいました金額よりははるかに少ない。これは二千四百八十六万円と、こういうことになっております。
  190. 井上普方

    井上委員 私はとやかく申しませんがね、文部省からいただいたので、それだけ出てきているのですよ。会計検査院、これはあなたに貸してあげます。文部省のほうから出てきているのでこれだけ。このほかに脱落しているのがまだあと十件ほどある。なぜ受託研究の問題を言うかといいますと、文部大臣、あなたこれをひとつお読みになっていただきたい。産業界の要求によって本来の研究がゆがめられている。しかも、この前も申しましたが、本来の目的以外に実は大学院の学生の卒論がそのまま使われるんだ。しかも産業界がある目的を持っていますから、その目的のとおりに出さなければ、それはパスしないんだ。東大という学問的な権威が一般大衆を圧殺して、そのとおりになっていくんだという事例を、実はここに大学院の諸君は提起しておるんです。受託研究費はこういうようなことで非常に慎重に私は取り扱わなければならないと思うのであります。単に財政的な問題じゃなくて、学問、研究の自由の立場から申しましても、これは非常に慎重に取り扱わなければならない問題である、このように考えるものであります。  いろいろと申し上げたいことがありますが、しかし、そのほかにもいままでの、大学教授が産学協同のみならず、アメリカの陸軍の極東開発部からも銭をもらって、そして研究しておる事実がたくさんある。特に東京大学医学部におきましては、毒ガスの研究をやられておる疑いすら出ておるのであります。アメリカ陸軍の極東開発部から日本の学界に対しまして金が流れておることは有名な事実でありますが、これが慶応大学で一つは発火点となって慶応の学生騒動の原因になったこともこれまた御存じのとおりです。そうして、そのデータを私なりに拝見いたしてみますというと、国立大学におきましても非常にたくさんの金がアメリカ陸軍の極東開発部から流れ込んでおる。特に、においの研究、嗅覚の研究であるとか、あるいはまた動物における免疫過程に対するガス状大気汚染の研究であるとか、明らかにこれは毒ガスに直ちに使えるような研究がアメリカ陸軍極東開発部から出されておるんです。しかも、現在の国立大学におきましては、それを唯々としてやっておられる事実、この事実に対しまして、文部大臣はいかなる御感想を持ち、いかなる御処置をとろうとするのか、お伺いいたしたいのであります。
  191. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 詳しいことは知りませんけれども、いまお話しの研究というのは、ほんとうの医学的な研究のための委託研究であるというふうに私は承知をいたしておりますし、現在のたとえば東大の当局もそのような疑いのあるようなものについては、あるいはこれを断わるとかなんとかいうようなことがあるわけで、それが現在やられておるということは、毒ガスとかなんとかいうようなことではないんじゃないかというふうに思います。
  192. 井上普方

    井上委員 文部大臣、科学というものはもろ刃の剣なんです。片方においてはこれは人類の幸福、繁栄のために使えるものです。しかし片方のは戦争手段に使われるのです。科学というものはもろ刃の剣を持っておる。そのもろ刃の剣をどこでチェックするかということなんです。出ておるところはどこなんです、アメリカ陸軍の極東開発部ですよ。問題は重大なんですよ。アメリカ陸軍極東開発部からの研究資金の援助による研究が出てきている。それに対しまして、これはアメリカの学者の中から日本の学者に対しては、おまえは軍事研究に協力しておるではないかといって、忠告が加えられておるという事実があるじゃないですか。そういうように科学というものは、先ほど申しましたように、もろ刃の剣なんです。これをチェックしなければいかぬ。日本の学術会議は平和とそれから自主、公開ということをいっておりますけれども、実際に私立はもちろんのこと、国立大学の中においてこういうようなことが行なわれておるのです。これについてあなた方はどう考え、どう処置されるのですか。そしてまた実態をお調べになるお気持ちはありますか。どうです。
  193. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 実態は調査をしたいと思います。しかし、いまおっしゃるように、もろ刃の剣ということは私も承知しておるのです。学問というものはそういうものなんです。だから学問の自由ということが保障されなければいけないわけなんです。ですから、問題は、先ほどお医者さんのモラルということをおっしゃった、学者たちのモラルということが出てくる、だから特に原子力を発見したということは、これだってもろ刃の剣になるわけです。しかしそれは科学者としての良心あるいはモラルに基づくものでこれを運用したりあるいは研究したりするところにあるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。
  194. 井上普方

    井上委員 もろ刃の剣ということを私は指摘しておるのです。しかし、どこから金が出てきておるか、アメリカ陸軍の極東開発部じゃないですか、そこから出てきているのですよ。これは明らかに戦争目的に使っているのではないですか、人類の幸福、平和のために使っているのじゃないじゃないですか、私はもろ刃の剣だと言った、そのとおりです。しかしアメリカ陸軍の極東研究機関からこういうものが出ておるのです。何のために出しますか、アメリカ陸軍が日本の学者に。真理の探求のために出しますか、これは必ず応用する部面があるから出しているのでしょう。これはアメリカの学者の中から、おまえの研究は明らかにアメリカの陸軍の軍事研究に協力しているから注意しろというサゼスチョンがあったのでやめたというような学者もおります。あなたはこういうことについて十分お調べになって御報告になるおつもりはありますか、どうですか。
  195. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私の調査でわかることは、ひとつ調査をしてみたいというふうに思います。またその節お答えを申し上げたいと思います。
  196. 井上普方

    井上委員 委員長、私は、これは特に明らかにしなければならないと思いますので、当委員会に文部大臣がお調べになった資料を提出することを要求いたしたいと思います。
  197. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 実際問題として、その調査はいたしますけれども、直ちにこれに間に合うかどうかということは、ちょっとわからないわけでございますから、そのことだけはひとつお含みおきを願いたいと思います。
  198. 井上普方

    井上委員 ある程度の資料は文部省に極秘文書としてあるはずです。このことにつきまして特に詳細なる報告をお願いいたしたい。特に東京大学におけるエアゾールガスにおける動物の免疫学的云々という研究につきましては、特に研究内容、論文まで提出せられんことを強く要求いたしたいと思うのであります。委員長、お願いいたします。
  199. 中野四郎

    中野委員長 文部省、出せますか、書類は。
  200. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 米軍を含めまして、外国からの委託研究の実態につきましては、三年前に問題になった際に調べたものがございます。それによりまして、一つにはわが国の科学研究費が不足のために、ついこういうものに依存するのではないかという反省に立ちまして、当時約四十二億円でありました科学研究費を、翌年度二割増しの五十億円にしていただき、さらに以来三年間毎年二割ずつ増えて、現在七十二億になっております。以後そのような委託研究はなくなったと考えておりましたけれども、ただいま御指摘のようなことがございましたので、早急に調べたいと思います。ただ、日限につきましては、ただいま承ったことでございますので、早急にということで、御了承いただきたいと思います。
  201. 大原亨

    大原委員 関連して……。
  202. 中野四郎

    中野委員長 井上君の持ち時間内で、どうぞ大原亨君。
  203. 大原亨

    大原委員 これは以前国会で議論されて問題となった点で、政府の言明もあることですから、本予算委員会としても、その経過と、これから文部省がどういうふうな措置をとられるかということについて私は討議をする必要があると思うのです。したがって、理事会においてこの問題は協議するように委員長において計らってもらいたいと思います。
  204. 中野四郎

    中野委員長 大原君にお答えしますが、理事会で協議する問題でないのです。これは当局から出せるか出せぬかというのですから、出せるなら可及的すみやかに出していただければよろしいことでありまするから、資料ですから。
  205. 大原亨

    大原委員 それだったらもう一回文部大臣、これは前から問題になっておることで、突然出した問題じゃないわけです。ですから、一両日中にひとつこれは調べてその経過を報告してもらいたい。
  206. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。
  207. 井上普方

    井上委員 それくらいにいたしまして、私は土地政策につきまして続いてお伺いいたしたいと思うのであります。  都市計画法が昨年の六月に実施されましてから、特に市街化区域と市街化調整区域とが非常に、大きな問題になっておりまして、昨年の九月までに、主都圏、中部圏並びに近畿圏の線引きは完了するのだ、市街化区域と市街化調整区域は決定するのだ、こういうお話であったわけであります。ところが、依然としていまでもできていない。人口五十万以上の都市でありましたならば、この三月までにこれは完成する、こう申されておったわけであります。ところが、それがいまに至るまで、まだ市街化区域と市街化調整区域の線引きもできてない実態にあります。しかも、昨年の都市計画法が公布されましてから地価はものすごく上がっています。一年間に東京近郊でございましたならば二四、五%も上がったといわれております。この実態、都市計画法実施と、それと地価の趨勢について建設大臣はいかにお考えになるか。  さらにはまた、自治大臣にお伺いいたしたいのでありますが、特に昨年におきましては不動産取得税というものがかなり多くなっておるはずであります。昨年一年で非常に取引が増大しておるということが巷間伝わっておるのであります。この実態はどうなのか、そしてしかもそのように取引が多くなっておるにもかかわらず、地価が二四、五%も上がったことについて、経済企画庁長官としてはどこに原因があるとお考えになるか、建設大臣でけっこうでございます、原因についての御高察をひとつ承りたいと思います。
  208. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 都市計画法が四十四年六月に公布になりまして、これに伴うとこらの政令、省令も全部準備ができまして、これが現在いわゆる線引きの段階に入ったのでございます。ところで、この線引きの問題が、土地所有者、特に農民の皆さんの考え方において、でき得るだけ市街地に入れてほしいという希望の人は、土地の値上がりを非常に期待して、しかもそれには都市計画税あるいは不動産に関する固定資産税、これが現状のままだということで、それを非常に希望する向きがあるようでございます。一方におきましては、調整区域に入りますと、その区域内においては都市化が制約されるので、土地の値上がりが抑制されるということで、できるだけ調整区域には入りたくない、こういう動きもありまして、いろいろ複雑な動きがございます。しかし、これは御承知のように、本来は市街化区域に入れるところのものは現在市街化したものあるいは十年中に市街化されるものを目標としてこれは線引きするのでございまして、そういう関係からこれは手続上もかなり慎重にやらなければならないということで、今日まで若干延びていますけれども、大体本年三月末までには大半のものが公聴会が開けるような段階になってきておるという状況でございます。  それから、土地が値上がりしたのは、この都市計画法ができたために急に上がったということではなくして、従来とも上がってきておったのが、高度成長と一般の国民の方々がどうしても土地を持つことが、他のあらゆる投資をするよりも、預金するよりも有利であるということで、仮需要が非常にふえてきたということが非常に多いようでございます。したがいまして、この都市計画法ができた後、線引きができますれば、相当多量の宅地が供給されることになりまして、むしろこれから土地の値上がりが沈静される、こう思っております。なお、また、政府といたしましても、関係各省と協力の上、相当思い切った土地造成を今後進めてまいる予定でございますので、この値上がりは何としても押えたい、また押えることができる、こう信じて、せっかくいま各省庁と協力しながらその準備を進めておる段階でございます。
  209. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 私に対する御質問につきましては、最近の不動産取得税の収入額の決算及び計画の数字をもってお答えいたしたいと思います。  昭和四十三年度決算におきましては、不動産取得税は、収入額五百七十一億三千二百万円でございます。これは都道府県税において占める割合は四%となっております。四十四年度は、いまだ計画の域を脱しないわけで、決算の数字が出ておらないのでございますが、六百二十四億四千七百万円で、これまた都道府県税の総額に占める割合は四%、四十五年度計画は、七百二十四億九百万円、これまた都道府県税に占める割合は四%と、数字的にはこういう結果が一応統計上、示されておる次第でございます。
  210. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 最近におけるたいへんな土地の値上がり率、これが一体どういう原因か、こういう御質問でございます。建設大臣もすでにお触れになっておるのでありますけれども、やはり土地需要の急速な伸びということが基本にあろうと思います。しかし、最近におきましては、いろいろな理由が重なってきておると思います。もともと住宅政策を、公共事業としてもまた民間事業としても非常に目下推進をしておるということで、住宅政策を推進すればするほど土地の需要というものが非常に急激に伸びてまいっておる、これがやはり基本にあろうと思います。供給力というものに限界がある土地でございますから、需要の伸びがそのまま地価の上昇に影響する。それに対してもちろん土地そのものは、農地を含めて限りなくあるわけでありますけれども、そこに、御存じのような供給に対する限界がある。これらについては、いま、御存じのように、線引きその他の作業によりまして利用計画を進めておるわけでありますけれども、やはりまだまだ供給についての限定がある。  こういうことに対する需要の増加でありますが、やはり最近におきましては、特に持ち家を将来望む人々が、できるだけ早くいまのうちに買いたい。上がっちゃ困る、こういうことの、いわゆる買い急ぎ、今度は逆に土地の所有者のほうでは、相当長期にわたってこれを保有しておれば、何とか値が上がるんじゃないかという、やはり長期的な意味での売り惜しみ、こういうものがやはり錯綜いたしまして、最近の上昇を非常に多くしておると思います。公共事業を急速にやったり、あるいは地方においては土地の先行取得、こういうようなことも結果的には土地の需要を非常に強めておるわけでございます。土地収用法の適用等にも、今後いろいろと問題があろうかと思いますが、いろいろな原因が錯綜いたしまして、今日の上昇が実現している、こういうふうに考えられます。
  211. 井上普方

    井上委員 土地の値上がりは、経済企画庁長官は、需要と供給の関係だ、こういうようなことでいろいろな原因が錯綜しておる、こうおっしゃられますけれども、私はこれは非常に、建設大臣がおっしゃられましたように、仮需要が多いんじゃないかと思う。すなわち、土地というものを一つの投機の対象にしておる、これが非常に多い。しかし、昨年の四月から実施されました土地の分離課税ですね、これによって昨年はどっちでも取っていい。しかし、四十五年からは、これは一本になりましたね。なりましたけれども、あの比率、二年間に五%の税金を取るということであれば、むしろ私は土地は売り惜しみするほうが得じゃないかということになるんじゃないか、このように思われてならないのであります。  それと同時に、買い占めがかなり横行しておる。特に現在の買い占めは、単に個人の買い占めだけじゃない。現在の大企業を見てみますというと、金融機関はもちろんのこと、電力会社も土地不動産部を持っておる。当然公共の産業であります電力会社すら、不動産部を持って土地を買いあさっておる。あるいは日立にしましても、三菱にしましても、東芝にしても、不動産部を持ってきた。商事会社も持ってきた。あるいはまた、ひどいのになりますと、毛織会社すら不動産部というものを持っておる。大同毛織がそうです。あらゆる産業が不動産部というのを持って、そうして買い占めをやっておる。ここに一つの大きい土地の値上がりの原因があるんじゃないかと思うのです。特に私は、個人の売り惜しみはありましょう、しかし個人の買い占めというのはあり得ないと思います、大きい買い占めは。ここで、個人に対しましては、あの分離課税の税制は適用されるのでありますが、大蔵大臣、どうして法人に対してはかからないのですか、なぜかけようとなさらないのか、ひとつその点をお伺いいたしたいと思うのです。
  212. 福田赳夫

    福田国務大臣 個人につきましても、不動産業者にはこれを適用しなかったのです。これは個人の不動産業者に適用する、そうなると、ずいぶん不動産会社は軽課のほうでうまいことをやる。一割で課税を免がれる、こういうことになる。これを今度は法人に適用するということになりますと、これはたいへんまたそれとのふつり合いが生ずる、こういうことになるわけです。いま、この免許は府県知事がやればいいんだ、こういうことになって、簡単に取れます。それから、定款の改正、これも簡単にできるわけです。ですから、そういう特典を大会社に与えるということになりますと、これは非常な、何というか変なことになってくるわけでありまして、いまそうでなければ三六・七五%の税がかかる。それが一割で済むんだ、こういうことになると、これはたいへんなことになりやしないか。これは税制調査会でも慎重に討議が行なわれたわけでありますが、これは法人には適用すべからざるものであるという結論に相なっておるわけであります。
  213. 井上普方

    井上委員 私は、どうも法人の買い占めが非常に多くて、これが仮需要の最大の原因じゃないか、このように思われてならないのであります。で、これに対する適切なる処置がとられておらない。特に金融機関、これが不動産部を持っておる、あるいはまた大企業がほとんど持っています。電力会社まで持ってきているのですから。こういうようなことを考えますと、どういたしましても、法人の不動産取得に対しましては、ある程度の制限を加えなければならない。あるいは、これを放出させる必要がある。これはわが党の北山さんが盛んにおっしゃっておる固定資産の再評価の際に、法人が持つ土地に対しても評価がえをして、含み資産を多くして、その分だけ税金を取れ、あるいは物納でもいいじゃないかというような考え方も一つはあります。しかし、いずれにしましても、この法人の土地所有に対しましてメスを加えない限りは、地価の安定はあり得ない、このように私は考えられてならないのであります。  もう時間がございませんので、結論を急ぎますが、結局、私はいまの民間デベロッパーとかなんとか申しまして、土地を買いあさっておるこの現状をいかに押えるかということでありますが、農家の方々の売り惜しむのも無理はございません。農家の方々でありましたならば、これはもう銀行利子よりもはるかに値上がりするのでございますから、当然土地は持っておりたい。特に農家の方方のいままでの都市近郊の様子を見てみますというと、一町歩持っておったならば、まず一反売って、それで家の改築をやる。続いてしばらくしますというと、値上がりがする。あと一反を売って、そうして今度はアパートを建てる。それであと八反の土地はじっと持ちながら土地の値上がりを待っておるのが現状じゃないかと思うのです。しかし、これも固定資産税の再評価に際して住宅熟地と申しますか、あるいは上下水道、公園、こういうものが完備していない都市の農地に対して、住宅建築熟地でないところに対して、農地に対し固定資産税を時価評価するということに対しては、これは問題があろうと思うのであります。したがって、どういうことを考えるか。一つにはこの土地問題につきましては、もうすでにたくさんの提言がなされております。ただ、政府としては、これをやらないだけの話なんです。一昨々年来土地問題について、都留委員会におきましても、土地の地価安定のためには、もう提言は出尽くした、やるのはもう政府の決断だけだということになっておるのです。その一つの大きいテーマとしては、これは何を申しましてもこの開発利益の帰属の問題あるいはまた固定資産税の再評価、あるいはまた都市計画税の徴収、こういうような問題がいわれております。また、イタリアにおきましては、これは土地増価税をいわれております。またイギリスにおきましては、土地開発税をいわれておる。こういうようなことを考えますと、私どもは政府の決断のみにかかっておると思われるのです。特に大蔵大臣の考え方によって土地の安定がきまるのじゃないかという感すらするのでありますが、大蔵大臣の御所見をひとつお伺いいたします。
  214. 福田赳夫

    福田国務大臣 地価問題は、結論におきましては、私は企画庁長官が言っておるように、需要供給、こういうところでなければ根本的解決にならぬ、こういうふうに思いますが、いまお話がありますが、税あたりも補完的には、これは有力なるそれに対する支柱にはなる、こういうふうに考えます。地価問題は何といっても、これは私どもの当面する最大の問題とも言っていいくらいな問題でありますので、とにかく、これは抜本的な考え方で取り組まなければならぬと思います。よく資産税というようなこともいわれます。そういうことも検討もしてみましたが、やはりどうもなかなか実際問題とするとむずかしいところがありまして、結局固定資産税かな、こういうふうに落ちついてくる。また、都市計画税のお話がありますが、これなんか私は、検討すべき問題である、こういうふうに考えます。その他、今度農地法の改正というか、農地の売買の制限の大幅な緩和、また都市計画法による線引き問題、いろいろと、需要面に対しましてかなり有効な働きをなすであろうと思いまするが、私ども大蔵省といたしましても、そういう土地問題の解決のためには、抜本的解決のために全力をあげて取り組んでみたい、かように考えております。
  215. 井上普方

    井上委員 いろいろと申し上げたいことがございますが、時間の関係でこれで終わりますが、いずれ機会を見ましてまたあらためて……。
  216. 中野四郎

    中野委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして一般質疑は全部終了いたしました。      ————◇—————
  217. 中野四郎

    中野委員長 この際、御報告申し上げます。  去る七日、分科員の配置及び主査の選任につきましては、委員長に御一任を願っておりましたが、各分科会主査を次のとおり指名いたしましたので、御報告をいたします。         第一分科会主査笹山茂太郎君         第二分科会主査 大野 市郎君         第三分科会主査 田中 龍夫君         第四分科会主査 大坪 保雄君         第五分科会主査 藤田 義光君以上でございます。  なお、分科員の配置につきましては公報をもって御承知を願います。  なお、この機会におはかりをいたします。  分科会審査の際の最高裁判所長官または代理者の出席、発言の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと思いまするが、御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定をいたしました。  明十一日より昭和四十五年度総予算について分科会の審査に入ることといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時十二分散会