○西宮
委員 私は、いわゆる食管の根幹を守ると言われるけれ
ども、根幹とは何ぞやという点について倉石農林
大臣と
食糧庁長官が、しかもこれは法制局と協議をし、あるいは農林省事務当局と打ち合わせをした、こういうことで非常に、いわば手続を全部踏んで統一見解だとして述べておるわけですが、それを見ると、「
国民の食糧を安定的に確保するとともに、生産者に米の再生産ができるような価格を確保する」、まあその二点だということをいっておるわけですね。つまり、農民がつくった米は買うのか買わぬのか、そういうことは食管の根幹ではない、こういうことをいっているわけですね。
——総理は首を横に振ったから、反対だというなら、私はあえて言う必要がないのだけれ
ども、こういう
考えならば私は重大な問題だと思うのですよ。しかも私は法律解釈論としてもいろいろ議論があると思いますけれ
ども、この間、江田書記長が
質問をいたしましたように、全く同じ法律でこの前は重大な買い上げを強要したと、こういうことがあるわけであります。たとえば、終戦直後には強権発動をした件数が一万一千二百二十件、あるいは食管法違反で摘発をされた人が、これは
昭和二十四年でありますが六十九万六千六十一件、あの法律のために約七十万人の人間が罪人にされているわけです。そういう重大な仕事をしてきたあの法律なんですよ。だから今度は、さっき農林
大臣等も、協力を得て、協力を得てということを言っているわけですね。だから
政府に米を売らないということは、かつては重大なる犯罪であり、今回は協力なんだ。だから言いかえるならば、二十年前にはこれはもう罪人になってひっくくるのだ、今度は感謝状だ、表彰状を出すのだ、こういうことが
一つの法律でいえるか。こういうことは江田書記長が
指摘をした点ですが、私も全く同様だと思います。あるいは食管法の第三条には、これは価格の問題でありますが、
政府の買い入れ価格は米穀の再生産を確保することを旨としてきめるのだ、だから米穀の再生産をさせるのだということを目的にしているわけですね。第一条は御承知のとおり「
国民食糧ノ確保」
云々ということを言っておる。
国民食糧の確保をさせるためには、生産者につくってもらわなくちゃならないわけですよ。つくらせるためには、再生産が確保できなければならぬ。
ところが百俵売りたいという農家に、八十俵しか買いません、あとの二十俵はどぶに捨ててくれ、こういうことを言ったのでは、私は絶対に再生産の確保にはなり得ないと思うのです。したがって、第一条でいう
ところの
国民の食糧の確保はできない、消費者に食糧の配給はできない、こういうことになるのは、これは当然だと思うのですね。ですから、私は法律解釈としても、実はかなり疑問があると思うのですよ。いわんや政治論としては、私はさっきも申し上げましたが、現在の閣僚の皆さんは、この点についてはいずれも明快にこの間の選挙において言っているわけです。たとえば
佐藤榮作候補者は、農は国の大本である、農家の所得が安定し、向上するように万全の努力をするというようなことを言っておる。
根本龍太郎さんは政務調査会長であります。この方は「農は、国のもとである」、まあ
総理大臣と同じようなことを言っているわけですね。「農は、国のもとである」との政治信念のもとにおいて、農業に対しては、引き続きお米の主産地として
——主産地というのは秋田県のことをさしていると思いますが、の
立場を確立をいたします。「食管制度は、必ず、守ります。」保利官房
長官も、「皆さん、今
日米が自由に放ってあったとしたならば、価格は暴落し、農村は惨たんたる
状況に陥ったでありましょう。私はここに思いをいたし、食管制度の根幹を堅持して農家所得を保証し、農村を守ります。」こういうことを言っておる。野原正勝さんは総合農政の
委員長でございます。「農業生産の地域分担を明確にし、適地適産の実効をあげる作業を、私の責任で急いでおります。」学校給食などの消費拡大をはかるほか、食糧不足に悩む国への輸出援助も行ない、食管制度崩壊の危機を打開、避けます、どういうことを言っている。その他等等、全部同じようなことを言っておるわけです。しいて違ったことを言っている方をあげますると、山中
貞則さんがカンショ、サツマイモのことを強調しておられる。
中曽根康弘さんはコンニャクのことを強調されておる。これだけが違うだけで、あとはいずれも食管の堅持、総合農政の推進ということをうたっておるわけです。ついでながら
福田赳夫候補者は特にその決意のほどを披瀝をいたしまして、「燃ゆる心で
日本を背負って、
福田赳失は今日もゆく」、こういうことで公報の最後を結んでおるわけでございます。
そこで、私は、言いたいことは、もし食管制度を改革をするならば、これはこの次の選挙でやらなければいけませんよ。これは選挙で公約をしたことなんです。
自民党のパンフレットを私はたくさん持っておりますが、みんな同じようなことを言っているわけです。ですから、もし万一食管制度に手をつけるあるいは買い入れ
制限をする
——買い入れ
制限するなんということを言った人はもちろん一人もいない。だからそういうことをおやりになるならば、これは選挙において
国民の声を聞かなければならぬ。これは次の選挙までこの問題はお預けだということだけは明確にしていただかなければならぬと思います。どうぞ御
答弁を願います。これは
総理大臣に、
答えてください。