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1970-04-09 第63回国会 衆議院 本会議 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月九日(木曜日)     —————————————  議事日程 第十六号   昭和四十五年四月九日     午後二時開議  第一 輸出保険法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  第二 過疎地域対策緊急措置法案地方行政委   員長提出)  第三 中小企業退職金共済法の一部を改正する   法律案内閣提出)  第四 旅券法の一部を改正する法律案内閣提   出)  第五 日本国アフガニスタン王国との間の文   化協定締結について承認を求めるの件  第六 日本国政府フィリピン共和国政府との   間の航空業務協定締結について承認を求め   るの件  第七 アジア統計研修所設立及び運営のため   の援助に関する日本国政府国際連合開発計   画との間の協定締結について承認を求める   の件  第八 宇宙開発委員会設置法の一部を改正する   法律案内閣提出)  第九 農地法の一部を改正する法律案内閣提   出)  第十 農業協同組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣   提出参議院回付)  日程第一 輸出保険法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第二 過疎地域対策緊急措置法案地方行   政委員長提出)  日程第三 中小企業退職金共済法の一部を改正   する法律案内閣提出)  日程第四 旅券法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  日程第五 日本国アフガニスタン王国との間   の文化協定締結について承認を求めるの件  日程第六 日本国政府フィリピン共和国政府   との間の航空業務協定締結について承認を   求めるの件  日程第七 アジア統計研修所設立及び運営の   ための援助に関する日本国政府国際連合開   発計画との間の協定締結について承認を求   めるの件  日程第八 宇宙開発委員会設置法の一部を改正   する法律案内閣提出)  日程第九 農地法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  日程第十 農業協同組合法の一部を改正する法   律案内閣提出)    午後二時六分開議
  2. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 議員請暇の件につきおはかりいたします。  藤田高敏君から、海外旅行のため、四月十九日から五月五日まで十七日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  国立学校設置法の一部を改正する法律案(内   閣提出参議院回付
  5. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) おはかりいたします。  参議院から、内閣提出国立学校設置法の一部を改正する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して右回付案議題とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  国立学校設置法の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。     —————————————     —————————————
  7. 荒舩清十郎

  8. 八田貞義

    八田貞義君 ただいま議題となりました輸出保険法の一部を改正する法律案について、商工委員会における審査経過並びに結果を御報告いたします。  本案は、近時海外投資必要性が増大している実情にかんがみ、海外投資保険制度を新設し、海外投資の促進をはかろうとするものであります。  そのおもな内容は、  第一に、海外投資元本保険海外投資利益保険とを統合した海外投資保険制度創設すること。  第二に、付保対象となる海外投資範囲を拡大し、株式等取得に加え、合弁企業等に対する長期貸し付け金債権合弁企業の発行する社債及び海外直接事業のための権利等取得付保対象とすること。  第三に、海外投資保険によって担保される危険の範囲を拡大し、海外投資については送金危険を、投資利益については戦争危険及び収用危険を、それぞれ担保危険として追加すること。  第四に、損失てん補率を百分の七十五から百分の九十に引き上げること。  その他損失てん補要件緩和保険金算定方式合理化をはかること。 等であります。  本案は、去る三月二日本委員会に付託され、同月十日宮澤通商産業大臣より提案理由説明を聴取した後、慎重な審査を行ない、四月七日、質疑を終了し、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  9. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  10. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 過疎地域対策緊急措置法案地方   行政委員長提出
  11. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 日程第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会審査を省略するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 御異議なしと認めます。  日程第二、過疎地域対策緊急措置法案議題といたします。     —————————————
  13. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 委員長趣旨弁明を許します。地方行政委員長菅太郎君。   〔菅太郎登壇
  14. 菅太郎

    菅太郎君 ただいま議題となりました過疎地域対策緊急措置法案提案理由を御説明申し上げます。  本案は、各党の合意に基づき、成案を得、国会法第五十条の二の規定により、地方行政委員会提出にかかる法律案として提出されたものであります。  以下、その提案理由並びに内容概要につきまして御説明申し上げます。  まず、この法律案を立案した理由を述べますと、この法律案は、最近における人口の急激なる減少により、地域社会基盤が変動し、生活水準及び生産機能の維持が困難となっている過疎地域について、人口の過度の減少を防止するとともに、地域社会基盤強化し、住民福祉の向上と地域格差の是正に寄与するため、緊急に生活環境産業基盤等整備に関する総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講じようとするものであります。  次に、本案内容について申し上げます。  第一は、過疎地域範囲でありまして、この法律案では、人口減少率財政力指数をとることといたし、また、昭和四十五年及び昭和五十年国勢調査の結果により過疎地域となる市町村をそれぞれ追加することといたしております。  第二は、過疎地域振興計画の策定でありまして、都道府県知事は、自治大臣と協議して過疎地域振興方針を定めることとし、過疎地域市町村は、この方針に基づき、当該市町村議会の議決を経て、市町村過疎地域振興計画を定め、また、都道府県知事は、過疎地域市町村に協力して講ずる措置計画を定め、それぞれ自治大臣提出することといたしております。  第三は、財政上の特別措置であります。過疎地域市町村市町村計画に基づいて行なう事業のうち、小・中学校統合のための校舎屋内運動場保育所及び消防施設などの特定事業について国の負担割合特例を設け、また、集落を結ぶ道路小・中学校統合のための校舎、寄宿舎、診療施設保育所老人福祉施設消防施設等施設整備に要する経費につきましては、地方債をもってその財源とし、その元利償還に要する経費については、五七%を地方交付税基準財政需要額に算入することといたしております。  第四は、その他の特別措置であります。過疎地域における市町村基幹道路の新設及び改築につきましては、都道府県知事もこれを行なうことができることとし、この場合には、後進地域の国の負担割合特例の適用を受けることとしております。また、医療の確保についても、無医地区の解消を市町村とともに都道府県知事の責務といたし、その経費の二分の一は国が補助することといたしております。  その他、過疎地域における集落整備及び農林漁業経営改善のための公庫融資特例等を定め、また、過疎地域における各種事業振興に資するため、税制上の特別措置を講ずることといたしております。  この法律案は、公布の日から施行し、法律案の期限を昭和五十五年三月末までといたしております。  以上が本案提案理由並びにその内容概要であります。  なお、本案の立案にあたり、当委員会において、本法の施行に関し、過疎対策に関する件につきまして決議をいたしておりますことを申し添えます。  何とぞすみやかに御可決あらんことをお願いいたします。(拍手)     —————————————
  15. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 採決いたします。  本案可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 中小企業退職金共済法の一部を改   正する法律案内閣提出
  17. 荒舩清十郎

  18. 荒舩清十郎

  19. 倉成正

    倉成正君 ただいま議題となりました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における社会経済情勢に即応して、中小企業退職金共済制度をより効果的なものとするため、次の諸点について所要改善を行なおうとするものであります。  第一に、掛け金月額最低額を四百円に、最高額を四千円に、それぞれ引き上げること。  第二に、退職金給付に対する国庫補助対象部分を、掛け金月額四百円に対応するものに引き上げること。  第三に、掛け金納付期間が一年以上の死亡退職者については、少なくとも納付された掛け金の総額以上の退職金を支給すること。等であります。  本案は、去る三月三日本委員会に付託となり、七日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  20. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第四 旅券法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第五 日本国アフガニスタン王国との   間の文化協定締結について承認を求める   の件  日程第六 日本国政府フィリピン共和国政   府との間の航空業務協定締結について承   認を求めるの件  日程第七 アジア統計研修所設立及び運営   のための援助に関する日本国政府国際連   合開発計画との間の協定締結について承   認を求めるの件
  22. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 日程第四、旅券法の一部を改正する法律案日程第五、日本国アフガニスタン王国との間の文化協定締結について承認を求めるの件、日程第六、日本国政府フィリピン共和国政府との間の航空業務協定締結について承認を求めるの件、日程第七、アジア統計研修所設立及び運営のための援助に関する日本国政府国際連合開発計画との間の協定締結について承認を求めるの件、右四件を一括して議題といたします。     —————————————     —————————————
  23. 荒舩清十郎

  24. 田中榮一

    田中榮一君 ただいま議題となりました四案件につきまして、外務委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、旅券法の一部を改正する法律案は、昭和二十六年に制定された現行法が、最近の海外渡航実情に合致しなくなってまいりましたため、国際的な渡航自由化の時代に適合するよう現行旅券法改正し、もって国民便宜をはかるとともに、増大する旅券事務合理化旅券制度の適正な運用をはかろうとするものであります。  本法律案のおもな改正点を申し上げますと、  第一は、従来、一渡航ごと旅券を原則としていたのを、五年間通用する数次往復旅券を発給することができることとし、また、渡航先を個別に記載する方式のほか、包括して記載することができることとしたことであります。  第二は、旅券事務を敏速に処理するため、旅券作成事務の一部を都道府県知事に委任できることとし、旅券発給等にかかわる手数料についてはほぼ現行の二倍に改定したことであります。  第三は、一般旅券発給手続を容易にするため、旅券申請時の本人の出頭を免除できるようにするなど配慮を加えております。  第四は、旅券記載渡航先及び渡航書に指定された経由地以外の地域に渡航した者に対して罰則を新たに設けたことであります。  次に、アフガニスタン王国との間の文化協定は、両国間の文化交流の発展に資するものでありまして、両国文化相互理解を容易にし、両国国民がそれぞれ相手国において研修を受けられるよう奨学金等便宜を供与する方法、並びに学位、資格証書等について両国で共通する価値を認める方法を研究すること等を内容といたしております。  第三に、フィリピン共和国との間の航空業務協定は、両国間に定期国際航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続と条件とを規定するとともに、附表において両国指定航空企業業務を行なうことのできる路線を定めているものであります。  最後に、アジア統計研修所設立及び運営のための援助に関する国際連合開発計画との間の協定は、わが国国際連合開発計画と共同して、アジア諸国のための統計研修所わが国設立し、その運営援助するものでありまして、国際連合開発計画は、実行計画に定められた金額を提供し、政府も毎年の予算に従って寄与を行ない、そのほか物資、役務、土地、建物及び現地便益を提供すること等を内容としております。  以上の四案件は、それぞれ外務委員会に付託されましたので、政府から提案理由説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、四月八日、以上四案件はそれぞれ質疑を終了しましたので、まず旅券法の一部を改正する法律案につき討論に入りましたところ、日本社会党を代表して戸叶里子君、公明党を代表して人久保直彦君より反対意見が、民社党を代表して曽祢益君より賛成意見が、日本共産党を代表して林百郎君より反対意見が、それぞれ表明されました。  討論を終局し、採決を行ないましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。  次いで、アフガニスタン王国との文化協定、及びフィリピン共和国政府との間の航空業務協定につき採決を行ないましたところ、右二件は全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。  次いで、アジア統計研修所設立及び運営のための援助に関する国際連合開発計画との間の協定につき採決を行ないましたところ、多数をもって承認すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  25. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第四につき採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  26. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第五及び第六の両件を一括して採決いたします。  両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。  次に、日程第七につき採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  28. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 起立多数。よって、本件委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————  日程第八 宇宙開発委員会設置法の一部を改   正する法律案内閣提出
  29. 荒舩清十郎

  30. 荒舩清十郎

  31. 北側義一

    北側義一君 ただいま議題となりました宇宙開発委員会設置法の一部を改正する法律案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  本案は、宇宙開発本格化に対処して、宇宙開発委員会の体制の強化をはかろうとするものでありまして、その内容は、現在四人の委員がいずれも非常勤となっているのでありますが、このうち二人を常勤とすること、また、これに伴う所要改正を行なうことであります。  本案は、去る二月二十四日本委員会に付託され、三月十一日西田国務大臣より提案理由説明を聴取した後、宇宙開発に関する基本計画宇宙開発行政整備及び強化宇宙開発基本法制定必要性委員服務規程等の諸問題を中心に質疑が行なわれ、慎重なる審査が重ねられたのでありますが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。  かくして、昨八日、質疑を終了し、採決の結果、賛成多数をもって可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  32. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  33. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第九 農地法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第十 農業協同組合法の一部を改正する   法律案内閣提出
  34. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 日程第九、農地法の一部を改正する法律案日程第十、農業協同組合法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————     —————————————
  35. 荒舩清十郎

  36. 草野一郎平

    草野一郎平君 ただいま議題となりました両案について、農林水産委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、両案のおもな内容を申し上げます。  内閣提出農地法の一部を改正する法律案は、最近における農業の動向にかんがみ、農地等にかかわる権利の移動の円滑化を通じて、農業経営の規模の拡大に資するとともに、土地農業上の効率的な利用をはかるため、現行農地制度について、農地等の賃貸借の規制の緩和小作料統制の廃止、小作料標準額に関する制度創設小作地所有制限緩和農地等権利取得適正化農業生産法人要件緩和草地利用権に関する制度創設及び農地等にかかる紛争の和解の仲介制度整備等所要改善を加えようとするものであり、第六十一回国会及び第六十二回国会提出され、いずれも審査未了となりましたものと内容を同じくするものであります。  次に、内閣提出農業協同組合法の一部を改正する法律案は、最近における農業及び農業協同組合をめぐる諸情勢の推移にかんがみ、農業生産効率化等に資するため、農業協同組合による農業経営の受託、農業協同組合及び同連合会による農地の供給及び転用相当農地等の処分の道を開き、並びに農事組合法人制度改善を行なうとともに、農業協同組合及び同連合会管理運営適正円滑化に資するため、総代会制度その他につき所要改善を行なおうとするものでありまして、第六十一回国会及び第六十二回国会においていずれも審査未了となりました改正案に一部内容を追加したものであります。  両案とも二月二十五日提出、三月十日本会議において趣旨説明とこれに対する質疑が行なわれ、同日農林水産委員会に付託されました。  農林水産委員会におきましては、両案を一括して議題に供し、三月十八日以降四月八日までの間、八回にわたり質疑を行ない、この間参考人から意見を聴取する等、慎重なる審査を進めました。  かくて、四月八日両案の質疑を終局しましたところ、日本社会党から両案に対する修正案提出され、その趣旨説明の後、まず、農地法の一部を改正する法律案及びその修正案を一括して討論に付し、日本社会党から政府原案について反対修正案について賛成日本共産党から政府原案反対討論が行なわれ、次いで、採決に入り、修正案を否決し、結局のところ、農地法の一部を改正する法律案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案及びその修正案を一括して討論に付し、日本社会党から政府原案について反対修正案について賛成討論が行なわれ、次いで、採決に入り、修正案を否決し、結局のところ、農業協同組合法の一部を改正する法律案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、両案に対しては、それぞれ附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告を終わります。(拍手)     —————————————
  37. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 両案につき討論の通告があります。これを許します。千葉七郎君。   〔千葉七郎登壇
  38. 千葉七郎

    千葉七郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました農地法の一部を改正する法律案農業協同組合法の一部を改正する法律案に対しまして、反対意見を申し述べます。  戦後、わが国は、重大な食糧危機を乗り切りまして今日に至りましたのは、農民諸君が、政府その他関係機関の強い要請と鞭撻にこたえまして、ものをも言わずに黙々と食糧の増産に励んでまいった結果でありまして、農民諸君のその努力、その勤勉に対しましては、深く感謝の意を表すべきだと信ずるのであります。  農民諸君のこの努力をささえたものは何であったでありましょう。それは、戦前、自作農民わずかに三割、自小作、小作農民七割という日本の吸血的な寄生地主制度によって高率小作料にさいなまれた農民が、農地は働く農民が所有すべきであるとしまして、寄生地主打倒のために展開してきた流血の闘争が実を結びまして、戦後農地解放が実現をし、地主制度が基本的には崩壊をし、自作農制度を中核とする農地制度が確立をされまして、農民の長年にわたる念願が達成された喜び、その喜びが増産意欲のあらわれとなり、これが生産のささえとなったからであります。この自作農中心の農地制度を維持し、これを農業発展の基盤とするために制定されたのが現行農地法であります。  戦後、日本食糧生産、特に米の生産が戦前をはるかに突破をし、発展し、農民の生活が多少でも向上したのは、農地法によって守られた自作農制度と、農民所得を向上させるための、いわゆる米の生産全量を生産費所得補償方式による買い上げを明定した食糧管理制度、この二本の柱によって生産が進められたからであります。  しかるに、政府は、いまや、この日本農業の中心をなす二本の柱を打ち倒そうといたしております。さきに政府は、自主流通米制度の実施によって食管法を空洞化し、労賃、生産資材の値上がりにもかかわらず、米の政府買い入れ価格を昨年から据え置き、さらに、米の過剰を理由に、水稲作付一割削減を農民に押しつけ、農民の所得を押し下げ、加えて、農地法改正して、小農の農村追い出しをしようといたしております。  しかも、農地法改正案は、前回、前々回、二度も提案して、二度とも廃案となったのに、今回重ねて提出をし、強引に原案を通過成立せしめようというのであります。その理由は何か。倉石農林大臣の説明によりますと、今後の総合農政を推進するためには、現行農地法がしがらみとなっているからだというのであります。  一体、総合農政とは何でありましょう。日本経済の高度成長に伴って、農政問題は、一農林省だけでは片づかぬ、通産省、労働省、経済企画庁、大蔵省その他とに関係があるので、これら各省の考えを総合しようというのでありましょうか。それとも、農産物の輸入の自由化をアメリカから強く要求されるので、外国農業、特にアメリカ農業の一環としての日本農業、それを総合的に考えようというのか。米が余っているので、米の作付を減らして、他の作目と総合するのか。その目標はあいまいであり、明瞭ではないのであります。  しかし、一番大事なことは、日本の主要食糧は、米と麦類を一体としてとらえ、その生産を総合的に策定をし、これだけは国内完全自給策を確立することこそ総合農政の中心の柱とすべきだと思うのであります。  去る二月二十日、農林大臣が閣議で報告された総合農政の内容を見ますと、  第一に、農業近代化のために水田四あるいは五ヘクタール、酪農搾乳牛二十頭以上の自立経営農家を育成して中核のにない手とし、補完的に中小農の共同経営を進める。そのために零細農の切り捨て政策、借地による農地の流動化を進め、農業の構造を改善する。そのために個々の農家の規模は拡大するが、日本農業の総体は縮小してもやむを得ない。  第二には、食糧の安定的供給策としては、米の生産を減らし、外国農産物の輸入制限の撤廃や緩和につとめる。  第三に、農産物の価格は需給を十分反映しなかったので、実勢に合うように改める。つまり、価格による保護政策はとらない。  以上がおもな内容であります。  これは、昨年の九月末に農政審議会が佐藤総理に答申をした「農政推進上留意すべき基本的事項についての答申」が基本となっております。この答申の基本となっているのは、五年前に財界の有力メンバーによって構成されている日本経済調査協議会の作成した「国際的観点より見たる農業問題・我が国農業の未来像」という報告書、また、経済同友会の発表した「日本農業近代化への提言」等の考えに沿うているのであります。  日本経済は、この十年間、驚異的な発展を遂げ、生産はほぼ二倍になりましたが、この工業生産品は、もちろん輸出をふやさなければさばき切れないのであります。政府は、財界と一体となって輸出ドライブをかけたことは言うまでもありません。輸出を伸ばせば、当然輸入をふやさなければなりません。相手国からは農産物しか買うものがない。日本農業を縮めても農産物の輸入をふやせ、農業を縮小するためには農産物価格を引き下げよ。これが財界の日本農業に対する提言の中心であります。また、アメリカその他の相手国も、貿易を自由化して農産物輸入の増大を強硬に要求しておりますことは、沖繩返還にからめて自由化を迫ったことにも端的にあらわれているのであります。  政府の総合農政とは、高度経済成長政策と、国内、国外の要求に対応するための総合政策であります。一戸当たり農家経営規模を拡大して、少数のエリート農家を中心とし、農外資本による大経営を組み合わせ、それを補完するものとして生産法人組合経営を添えものにする。生産性の低い農地は、農産物価格の引き下げで耕作を廃止せざるを得ない状態に追い込み、零細農に対しては離農促進政策を強行する。かくてエリート農家に対しては経営の拡大による農家所得増大の夢を与え、反面、小農の犠牲によって農業全体の縮小を実現し、農産物輸入を増大しようという、まさに外国農業、特にアメリカ農業の一環として、日本農業の総合政策を推進しようというのであります。(拍手)すでに日本の畜産はアメリカからの輸入飼料の支配下にあります。小麦の輸入も年々増大しております。日本農業は荒廃の一途をたどることをおそれるものであります。  その国の農業は、世界農業の一環として位置づけべきではなくて、常に国内産業構成の基盤として位置づけべきであります。したがって、国内の主要食糧は国内において最も生産の適切なもの、すなわち日本においては米麦一体の生産増強政策を確立し、米麦一体の完全自給策をとるべきであります。これを実現するために、小麦の輸入を抑制し、価格面におけるある程度の保護政策、すなわち二重価格制度など当然必要であります。そのためのアンバランスは、日本産業全体において吸収負担すべきであります。  以上、いずれの点から検討いたしましても、今回の農地法、農協法の改正は、財界、日本資本主義の経済的海外進出のためと、アメリカの要請に対応するための改正以外の何ものでもありません。  現行農地法は四本の柱によって成り立っているのであります。第一の柱は、農地農民所有による自作農主義、第二は、所有面積制限による大地主の排除、第三は、耕作権、小作権の確立擁護、第四は、不在地主の否定であります。今回の改正は、この現行農地法の根幹を空洞化するものであることは、委員会における審議の経過で明らかであります。われわれは絶対に容認できないのであります。  次に、農業協同組合法改正案についてでありますが、時間の関係上、要点を三つにしぼって反対理由を明らかにいたします。  第一に、農協に農地転用の不動産事業を認めることであります。農協の目的は、農民の協同組織の発達を促進し、もって農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上をはかることにあると農協法第一条は明定しております。しかるに、本事業は、農地を宅地等農業外需要に転用することであり、これが実施によりまして組合員の経済規模の縮小なり離農等を促進し、ひいては農協の自壊作用を助長することが、はたして農協本来のあり方から見て妥当なものかどうか疑わざるを得ず、特に最近多くの問題が指摘されている都市農協等にあっては、その機能が一そうあいまいなものとなり、農業生産に熱心に取り組んでいる組合員の農協に対する期待もますます希薄化していくのではないかと懸念されるのであります。  政府は、本事業を追加した趣旨として、農協が中心となり、計画的な宅地造成等を行なうことによって、農地の無秩序な壊廃を防止し、かつ、組合員の生活の安定をはかることとしておりますが、現在の農協の実態から見れば、これらのことは全く期待し得べくもなく、むしろ優良農地の壊廃を促進し、また、事業にかかわる不正事件が今後一そう多発化することは火を見るより明らかなところであります。  このように、今回の改正が農協の基本理念にもとることは明白であり、われわれは、農協の健全な発展を願う立場から、この改正に対しては絶対に賛成しがたく、政府並びに農協幹部の猛省を促すところであります。  反対の第二点は、連合会等の会員の議決権及び選挙権に特例を認めたことであります。  改正案は、連合会の会員については、一会員一票制の原則に対して特例を設けることとしていますが、たといそれが例外的措置であるといたしましても、特定の会員に議決権等が過度に集中するなどの事態を招きまして、はたして連合会などの民主的管理運営が確保されるかいなかについて危惧の念を抱かざるを得ないのであります。  反対の第三点は、総代会の権限を拡大したことであります。  改正案は、総会にかわる総代会の権限を大幅に拡大しようとしておりますが、このことは、農協の基本的事項にかかわる、まことに重大な問題でありまして、農協運営と組合員の意向とが遊離しつつある現状にますます拍車をかけるばかりではなく、一歩その運用を誤れば、農協は一部有力者のための団体となり、農民から孤立化することが懸念されるところであります。したがって、われわれは、このような農協の民主的運営を阻害するような改悪に対しましては、断じて同意することはできないのであります。  以上をもちまして私の反対討論を終わります。(拍手
  39. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) これにて討論は終局いたしました。  両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  40. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました(拍手)      ————◇—————
  41. 荒舩清十郎

    ○副議長荒舩清十郎君) 本日は、これにて散開いたします。     午後二時五十一分散会      ————◇—————  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君         文 部 大 臣 坂田 道太君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         労 働 大 臣 野原 正勝君         自 治 大 臣 秋田 大助君         国 務 大 臣 西田 信一君  出席政府委員         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君