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1970-03-20 第63回国会 衆議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十日(金曜日)     —————————————  議事日程 第十号   昭和四十五年三月二十日    午後二時開議  第一 皇室経済法施行法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  第二 沖繩復帰のための準備委員会への日本国   政府代表に関する臨時措置法案内閣提出)  第三 新東京国際空港周辺整備のための国の財   政上の特別措置に関する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計予算  昭和四十五年度特別会計予算  昭和四十五年度政府関係機関予算  日程第一 皇室経済法施行法の一部を改正する   法律案内閣提出)  日程第二 沖繩復帰のための準備委員会への   日本国政府代表に関する臨時措置法案(内   閣提出)  日程第三 新東京国際空港周辺整備のための   国の財政上の特別措置に関する法律案内閣   提出)  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  空港整備特別会計法案内閣提出)  国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正   する法律案内閣提出)  河川法施行法の一部を改正する法律案内閣提   出)    午後三時三十六分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  昭和四十五年度一般会計予算  昭和四十五年度特別会計予算  昭和四十五年度政府関係機関予算
  3. 加藤六月

    加藤六月君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、昭和四十五年度一般会計予算昭和四十五年度特別会計予算昭和四十五年度政府関係機関予算、右三件を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  4. 船田中

    議長船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  昭和四十五年度一般会計予算昭和四十五年度特別会計予算昭和四十五年度政府関係機関予算、右三件を一括して議題といたします。     ————————————— 昭和四十五年度一般会計予算昭和四十五年度特別会計予算昭和四十五年度政府関係機関予算   〔本号(二)に掲載
  6. 船田中

  7. 中野四郎

    中野四郎君 ただいま議題となりました昭和四十五年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審議経過及び結果を御報告申し上げます。  この予算三案は、去る二月十四日に予算委員会に付託され、同二十日に提案理由説明が行なわれ、即日質疑に入り、その後、分科会公聴会を合わせ二十二日間審議を行ない、本日、討論採決をいたしたものであります。  まず、予算規模等について簡単に申し上げます。  一般会計予算額は、歳入、歳出とも七兆九千四百九十八億円でありまして、前年度予算額に比べ一七・九%の増加であり、歳入のうち、公債金は四千三百億円で、公債依存度は五・四%であります。  また、特別会計は、機械類賦払信用保険特別会計機械類信用保険特別会計に改めるとともに、空港整備特別会計を新設することとし、その数は四十三となっております。  なお、政府関係機関は、前年度と同様十四であります。  次に、質疑の概要について申し上げます。  第一は、昨年の首相渡米の際の共同声明に関するものであります。  すなわち、これについては、「共同声明には、「韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要である」と述べ、プレスクラブの演説では、「韓国に対して武力攻撃が発生した場合には事前協議に対し前向きに態度を決定する」と述べているが、万一韓国攻撃が加えられたときは、事前協議在日米軍出動承認するのか。そうなれば、日本が戦争に巻き込まれるではないか。なお、政府は、安保条約極東範囲またはその周辺地域範囲を拡張解釈しつつあるのではないか。共同声明では、「安保条約を堅持する」と述べているが、無期限に継続延長することを意味するのか。沖繩は一九七二年に核抜き、本土並み返還されるというが、共同声明では、ベトナム和平沖繩返還時に至るも実現していない場合には、そのときの情勢に照らして十分協議する、と述べている。もし一九七二年にベトナム和平実現していない場合には、返還をおくらせるのか、核持ち込みを認めるのか、またB52の発進を認めるような約束をするのか。また、共同声明では、施政権返還に関連して解決されるべき経済上の問題として、「沖繩における米国企業の利益に関する問題も含む。」と、わざわざカッコをつけて言及しているが、その真意は何か。」という趣旨質疑があり、これに対しまして、政府から、「韓国の安全がわが国にとって重要であることは当然であって、万一韓国に対し組織的、計画的な大きな攻撃が加えられ、在日米軍から出動事前協議を受けたときは、わが国の国益を考慮しつつ、自主的に承認の可否をきめるが、国連の侵略と認定するような場合は、承認することのほうが多いであろう。しかし、この場合でも、自衛隊は、憲法及び自衛隊法のワク内で行動することは言うまでもない。なお、極東範囲は、従来の政府統一解釈に変わることはないが、万一の場合の在日米軍行動範囲は、相手方の攻撃、脅威の性質いかんによるもので、明示することはできない。しかし、周辺地域であるからおのずから限定される。安保条約を堅持するとは、現在の国際情勢のもとでこれを守るということで、無期限に継続するとか、特別の期間を定めるとかいうことは約束していない。一九七二年までにベトナム和平実現することを期待しているが、もし実現していない場合の協議については、いまから具体的に言うことはできない。しかし、この場合でも、一九七二年返還は変わることはない。非核三原則の立場からして、核持ち込みを認めることも絶対にない。また、安保条約事前協議に反するような約束返還前にすることはない。沖繩返還後の沖繩米国企業に対しては、わが国の諸法制が適用されるもので、カッコをつけたのは、米国企業が不公平な取り扱いを受けることがないことを念のために言及したものである。」という趣旨答弁がありました。  次は、防衛問題であります。  すなわち、これについては、「最近、産軍複合体ということがいわれ、経済界防衛力増強を唱えているが、自衛力の限界をどう考えるか。第四次防衛計画規模はどの程度か。在日米軍基地自衛隊管理についてどう考えているか。次期輸送機エンジンは、従来の戦闘機エンジン製作会社以外に製作させるようであるが、なぜこうした方法をとるのか。なお、武器輸出を禁止すべきではないか。」という趣旨質疑があり、これに対し、政府から、「わが国防衛については、通常兵器による局地的侵略に対処するという従来の態度に変わりはない。この立場から見て、陸上では人員数は当分現在程度でよいと思うが、機甲力機動力がまだ不十分である。海上は非常に足りない要素が多い。空もナイキ等の面で不足している。今後は海空防衛力整備に力を入れたいが、国民生活の安定を重視し、その限度内で整備すべきであり、現在の総予算中の防衛費比率程度が妥当なものであると考えている。第四次防衛計画は、今秋ぐらいに防衛庁としての素案をつくりたいと思っており、その規模はまだ固まっていないが、防衛必要度合いと他の諸政策費との均衡を考えてきめたい。なお、自衛隊の保有し得る武器はなるべく国産によることが望ましいと考えている。わが国防衛産業はまだ微力たるものであるが、将来産軍結合により不当な圧力をかける事態が生じないように、十分戒心していきたい。在日米軍基地をできるだけ早期に自衛隊管理に移すことは、国家として本来の姿と思うので、米軍との相互理解のもとに、徐々にその実現をはかりたい。とりあえずは現行地位協定の運用により、でき得るだけの努力をし、将来は地位協定の一部改定も検討したい。次期輸送機エンジンを従来の製作会社以外の会社に製作させることとしたのは、その会社民間輸送機エンジンのオーバーホールの経験が多いことと、競争原理を取り入れたためである。なお、武器輸出は、現在は拳銃のようなもの程度で、輸出貿易管理令で規制することで十分と思うが、輸出禁止についてはなお検討する。」という趣旨答弁がありました。  次は、米の生産調整問題であります。  すなわち、これについては、「従来、米の増産を唱えていたものが、急に生産調整をはかることは、はなはだしい農政の貧困を物語るものといわざるを得ないが、これをどう反省しているか。百五十万トン減産というが、はたしてこれを成功させるめどがあるのか。特に、そのうち五十万トン分、十二万ヘクタールは公共団体民間等に買い取らせる方針であるというが、具体的計画があるのか。もしこれが成功しなかったときに、米の買い入れ制限をすることはないか。水田作物転換野菜に集中すると、また野菜価格を混乱させるおそれもあり、総合的な作物転換をはかるためには相当長期間を要するから、生産調整費は三年程度継続すべきではないか。なお、米の備蓄及び輸出等による消費拡大をはかるべきではないか。また、諸物価、労賃が高騰しているのに米価だけを据え置くことは、食管法に違反してはいないか。」という趣旨質疑があり、これに対し、政府から、「農業技術の進歩により、米作が天候に左右されなくなったことに対する認識と、米の消費減少に対する見通しが不十分であったことを反省し、責任の重大さを痛感している。今回の減産減反措置は、食管制度を維持するためどうしても必要な措置であるから、各方面の協力を得てぜひ実施したい。百万トン分の作物転換または休耕については、農業者理解のもとに、地方公共団体農業団体等協力を得て実行できる見込みである。五十万トン分の水田処分については、その用途別目標を、工場二万ヘクタール、住宅五万九千ヘクタール、道路等交通用地一万五千ヘクタール、その他二万四千ヘクタールとし、関係各省協力のもとに、市街化区域内水田宅地工場化農地転用許可緩和地方公共団体先行取得民間買い取り等方法により、ぜひ実現できることを期待している。米の買い入れ制限は、法律的には現行食管法でも可能であると思うが、現在は百五十万トン減産に全力を注いでいる状況で、買い入れ制限は考えていない。米の生産調整費は本年度だけのものであり、来年度のことは、そのときの経過を見て、関係各省協議の上、態度をきめたい。なお、備蓄については、現在の多量の在庫をこのまま備蓄するわけにはいかないが、もみ貯蔵の方向で考えるべきものと思う。消費拡大については、延べ払い輸出法制化学校給食への取り入れ、みそ、しゅうゆの原料、家畜飼料等、種々努力をしている。また、米価据え置き方針をとったのは、過剰生産の現在、これ以上生産を刺激することのないよう、やむを得ず行なった非常措置であって、具体的な価格米価審議会答申を待ってきめる。」という趣旨答弁がありました。  次は、児童手当中心とする社会保障問題であります。  すなわち、これについては、「政府児童手当を四十五年度に実現すると公約したのに、これを実現しなかった重大責任をどう感じているか。また、いつ実施するのか。厚生保険は二万円年金としたというが、既裁定着の分はきわめて低いから、大幅に引き上げるべきではないか。また、国民年金の二万円年金は、今回取り入れられた任意制所得比例部分年金化するときのことで、実質は二万円にほど遠いものである。所得比例部分強制加入とし、これに国庫補助を増すべきではないか。また、老齢福祉年金も大幅に引き上げるべきではないか。」という趣旨質疑があり、これに対し、政府から、「児童手当を四十五年度に実現することができなかったことは、まことに遺憾であり、公約違反の非難を受けてもやむを得ない。昨年から児童手当審議会を設けて、その実現についてあらゆる努力をしたが、いろいろ困難な問題があって、審議会答申が得られなかったので、予算に盛り込むことができなかった。現在は審議会答申を八月までに得られるよう要請しており、これを待ってその後の段取りを進めたい。また、この国会中に答申を得られない場合でも、審議会の論議の経過問題点などを国会報告する機会を得たいと思っている。厚生年金既裁定者年金は、今回六割程度引き上げたが、今後も状況に応じて考慮したい。国民年金所得比例部分任意制としたのは、一挙に強制加入とすることに国民の納得が得られないことをおもんばかったためで、制度の成熟を待って強制加入を考える時期がくると思う。老齢福祉年金大幅引き上げ財政上問題があるが、とくと検討したい。」という趣旨答弁がありました。  なお、財政法第二十八条第七号の主要法人範囲国会において定めるべきであるとの意見が表明され、これら財政法に関する問題については、本委員会運営に関する問題とも関連して、今後検討することといたしましたことを申し添えます。  質疑は、このほかに、日中友好の推進、核拡防条約の調印、北方領土問題、日ソ漁業交渉繊維製品対米輸出規制問題に対する態度沖繩米軍雇用労働者間接雇用等の外交問題をはじめとし、宗教団体政治活動または政治献金及び特定政党または特定宗教団体言論出版自由妨害に対する所見、公団等への天下り人事及び公団役員の給与、物価対策、特に地価対策土地税制中心とする税制改正大学制度その他教育制度の再検討、大気汚染防止等公害対策研修医制度の実情及び僻地医療対策看護婦確保対策老人母子心身障害者福祉施策、チクロ問題を中心とする食品行政のあり方、中小企業対策小豆等商品取引監督強化交通総合対策及び交通安全対策大型貨物船遭難事故対策、放送大学の構想離農者就職対策住宅対策及びプレハブ産業対策、第六次道路整備計画財源、道州制及び地方行財政同和対策、万博のための入国者及び入場者対策日本専売公社塩業整理交付金予算の根拠、国会の議決または承認を要するものの行政措置による処分及び法律範囲を越えた行政措置国会の決議または請願採択に対する政府措置の不十分、予算編成過程問題点、その他国政の各般にわたり、きわめて熱心に行なわれ、政府からそれぞれ答弁があり、特に言論出版自由妨害に関する問題につきましては、数次にわたり質疑答弁がありましたが、詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。  本日、質疑終了後、日本社会党公明党及び民社党の各党から提出された予算三案を撤回のうえ編成替えを求める動議について、それぞれ趣旨説明がありましたが、その内容会議録をごらん願いたいと存じます。  かくて、予算三案及び三党の動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党は、政府原案賛成、三党の動議反対日本社会党公明党及び民社党は、それぞれ自党の動議賛成政府原案及び他の二党の動議反対日本共産党は、政府原案及び公明、民社二党の動議反対社会党動議条件つき賛成討論を行ない、採決の結果、三党の動議はいずれも否決され、予算三案は多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告を申し上げます。(拍手)     —————————————
  8. 船田中

    議長船田中君) 昭和四十五年度一般会計予算外二件に対しては、細谷治嘉君外八名から、三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議提出されております。     —————————————     —————————————
  9. 船田中

    議長船田中君) この際、その趣旨弁明を許します。細谷治嘉君。   〔細谷治嘉登壇
  10. 細谷治嘉

    細谷治嘉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十五年度一般会計予算等予算三案につき、これらを撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、その趣旨弁明を行ない、議員各位の御理解と御賛同を得たいと存じます。(拍手)  わが国経済高度成長は、政府自民党の大企業本位生産優先財政金融政策に強くささえられて、民間設備投資の急速な拡大産業重化学工業化をもたらし、ばく大な資本蓄積を達成したのであります。しかしながら、その陰では、資金と資源のアンバランス、富の偏在を招き、さまざまな形の格差と不公平を拡大させるとともに、過疎、過密、公害交通事故有害食品はんらん等を引き起こし、国民生活福祉などを耐えがたいほどに犠牲に供してまいったのであります。  特に、佐藤内閣以後の昭和四十年から四十四年末までの消費者物価三二・六%の上昇に加え、最近の卸売り物価の連騰が示しますように、高度成長の中に計画的インフレが組み込まれております。このため、実質賃金上昇が抑制され、通貨価値減少により勤労者生活はその基礎を奪われ、大衆貯蓄者もまたばく大な損失を負わされているのであります。その反面、巨額の借り入れをして土地実物資産を手に入れた投資者には、巨大な利得がころがり込み、富の不均衡を一段と激化さしておるのであります。(拍手)  かてて加えて、政府の不公平な税制は、たび重なる大法人税率軽減悪名高い租税特別措置中心とする、大企業金持ち優遇勤労者に対する重税によって、格差と不公平がいよいよ助長されておるのであります。労働生産性の著しい上昇にもかかわらず、賃金生産性を下回り、労働者は、生活様式消費構造の変化によって支出増大を余儀なくされ、ますます生活が圧迫されるに至っております。  その結果、昭和四十年から四十三年にかけて、国民所得に占める雇用者所得は、五六・六%から五四・二%と低下し、国民支出に占める個人消費支出もまた五六・六%から四・五ポイントも下落し、さらに製造業における労働者分配率も、三八・三%から三三・八%へと、大きく下落しておるのであります。  こうして、大企業は、記録的な八期連続増益増収を続け、繁栄を謳歌する一方で、中小企業は、大企業の踏み台とされ、好不況にかかわらず、常に倒産は増大を続け、石炭産業などはいわばやっかい者扱いを受け、急速に整理が進んでおるのであります。  また、政府農業破壊政策によって、米価は据え置かれ、食管制度のなしくずしが始まり、農産物輸入自由化と相まって、四十五年度は、水田休耕、転作による米の減産が場当たり的に打ち出されてまいりました。かくして、生産者米価兼業収入でかろうじてささえられていた農家経済は、まさに破綻に瀕し、農村は、過去の新規労働力給源として、大企業のための農業として再編成されようとしておるのであります。  そればかりでなく、成長政策矛盾は、資本主義物質中心金権万能、弱肉強食の生存競争を激化させ、人間精神の荒廃を招き、汚職、犯罪をはびこらせ、暴力、売春、ギャンブル等の横行を許しております。このような人間疎外人間性破壊による社会の腐敗が国民に抜きがたい政治不信を植えつけたのであり、青少年を衝撃的な直接行動へとかり立てておるのであります。  政府は、七〇年代は内政の年と称し、昭和四十五年度の予算編成にあたり、「物価の根強い上昇基調を抑制しつつ、経済効率化国民生活充実向上をはかっていく」とうたつています。だとするならば、以上に述べたような成長政策矛盾を解消するため、経済財政運営を根本的に改め、平和経済実現をはかり、もって経済成長の成果を民生の安定と福祉向上に振り向けて、真の繁栄時代を切り開くべきでありましょう。(拍手)  にもかかわらず、政府提出予算案は、相も変わらず大企業資産所得者優遇し、勤労者生活を圧迫し続けるものであり、日米安保体制の持続、いな、その拡大強化のもと、自主防衛の美名で防衛力増強を推し進めようとするインフレ予算軍事優先予算となっておるのであります。(拍手政府は、この予算警戒中立型と呼んでいますが、その規模経済成長率を大きく上回るばかりか、内容においても、公共投資防衛関係器材費など、民間設備投資を刺激するものとなっています。  国債発行も四千三百億円と巨額が予想され、その残高は三兆円にものぼり、一年おくれで日銀引き受けとなるため、通貨信用の膨張を引き起こしておるのであります。  また、卸売り物価対策も、金融を引き締めながら財政で刺激するという、しり抜けであり、インフレ高度成長とが同居しておるのであります。したがいまして、経済運営基本的態度中心物価安定を据えながら、実際には何ら有効な対策をとろうとせず、四十四年度同様、消費者物価大幅上昇はもはや避け得ないものとなっております。  政府税制改正案は、重税不公平是正を要望する国民大衆の期待を裏切るものであります。  法人税率引き上げを、当初の二%を、財界や金融界圧力留保所得に対してのみ一・七五%と値切り、他方引当金制度の拡充をはかるなど、優遇を続けています。さらに悪名高い利子・配当優遇の撤廃を渋り、その温存をはかり、不公平を一そう拡大しておるのであります。(拍手)税の自然増収が一兆三千七百七十億円にものぼるのに、所得減税はわずか二千四百六十一億円にすぎず、課税最低限は数年前の目標百二万円にとどめ、他方税率緩和の恩典を高額所得層にまで広げています。  しかも、財源計画のないまま十兆三千五百億円の新道路計画、全国九千キロに及ぶ新幹線網を決定するなど、自動車新税構想をはじめ、間接税増徴土台づくりを行なっていることは、全く言語道断と申さなければなりません。(拍手)  わが国社会保障水準は、依然西欧の三分の一程度にとどまっており、社会保障関係費増額分は、大半が医療費で占められています。特に、老人母子障害者に対する福祉年金増額はわずかに二百円にすぎず、生活保護基準は一四%アップにとどまり、一般勤労者世帯との格差は一向縮まっていません。また、政府の三年越しの公約であった児童手当の創設は、今度もまた見送りになっております。  都市化が急速に進展する中で、公害交通事故が記録的な発生を見ているにもかかわらず、国民の生命と健康を守るために必要な予算措置がとられておりません。  政府住宅建設五カ年計画は四十五年度で終わるのでありますが、住宅難は解消するどころか、逆に政府公約の一世帯住宅実現はかえって遠のいております。上下水道、公園、清掃施設など、生活環境施設整備はいよいよおくれるばかりであります。  大学紛争の原因の一つである教育研究機能の貧弱さは放置されたまま、学生の七五%を占める私学の援助は、わずか認められはしたものの、現実には焼け石に水でしかありません。加えて、義務教育父兄負担地方自治体の超過負担は一向に解消されず、幼児教育の振興も放置されております。  予算編成に際し、最大の焦点であった農政に目を転じてみましょう。  歴代自民党政府小農切り捨て農政は、米の百五十万トン減産によって一そう強められ、両米価据え置き方針のもとで食管制度空洞化が進められております。かくして、稲作の土台は崩壊し、農産物輸入政策によって食糧自給率も低下し、畜産、果樹など国内農業全体が追い詰められ、農業の将来に対する希望はいよいよ完全にうせつつあるのであります。なかんずく、何らの見込し計画を持たず、五十万トン分、十一万八千ヘクタールの土地買い上げ責任を、何らの予算措置も行なわず、地方公共団体や農協に押しつけ、地方交付税の配分によって糊塗せんとするがごときは、国会軽視地方自治の侵害であって、絶対に許されないことであります。(拍手)  中小企業予算は、相変わらず予算総額の〇・六%にすぎず、特に恵まれない中小企業労働者に対する施策は、皆無といっても差しつかえないのであります。  労働省予算は、佐藤内閣以来伸び悩み、三千万人をこえる労働者対策予算総額のわずか一・二%にすぎないことも、政府労働者軽視を証明するものであります。しかも、インフレ抑制に名をかりて、賃金引き上げ抑制をねらいとした実質的な所得政策すら導入されようとしております。労働力不足がいよいよ深刻化しつつある今日、失対事業は一万人のワクを削減し、転職困難な中高年齢労働者に一方的な犠牲を強要しております。  政府、特に大蔵省は、地方財政富裕論を宣伝し、地方住民の要望と行政水準の低さに目をつむり、地方交付税からの三年連続の借り上げ、一部補助金への肩がわりなど、覚え書きと法律無視の態度であり、住民福祉地方自治を抑圧し、新中央集権化をねらうものと断じて差しつかえありません。(拍手)  沖繩関係予算は、米軍の施政権下、過去二十五年にわたる投資不足分をまかなうにはあまりにも不十分であります。現在、沖繩では、基地労働者の大量解雇など、深刻な問題が山積しておりますが、これらの解決に最善を尽くすとともに、沖繩県民の意思に基づいて、早急に平和経済開発に着手し、基地依存経済から脱却するために十分な財政措置がぜひとも必要だと思うのであります。  以上申し述べましたように、国民大衆の要求を無視した予算案にもかかわらず、防衛予算のみは聖域として最優先扱いをされ、七〇年安保対策としてその伸び率も一七・七%と、これまでの最高となっております。いまや日本は、アメリカのアジアにおける防衛責任の肩がわりに協力し、七二年から始まる第四次防にかけて自主防衛、軍事化路線を強力に進みつつあるといえます。准尉制度の新設、海空自衛隊の強化に力が注がれているのが大きな特徴点といえます。  また、海外経済協力は、東南アジアの反共諸国に片寄って行なわれ、アメリカの援助の肩がわりとドル防衛協力を進めております。特に、来年度予算では、わが国の資本市場と資源確保に重点が置かれており、エコノミックアニマルへの道を依然歩み続けようとしておるのであります。  以上のような観点と分析から、日本社会党は、次のような基本方針に基づいて予算を編成すべきであると強く主張するものであります。  その詳細は組み替え要求動議に示してありますが、これを要約いたしますと、  まず、物価安定対策を強力に推進するとともに、勤労者の税の軽減と公平化をはかり、あわせて社会保障の大幅な拡充、住宅生活環境の整備と、すべての公害一掃のための施策を重点的に実行に移し、人間回復のための措置を講ずべきであります。  次に、農漁民、中小企業者に目標と希望を与える施策を確立することであります。特に、危機に直面している農業については、関係予算を大胆に編成替えを行ない、米、畜産、果樹を柱とする農民の農政を推進するとともに、全額国庫による土地改良、基盤整備事業を進め、共同化の推進、農業機械ステーションの設置、指導機関の充実等をはかることであります。  また、食管制度はこれを守り抜き、生産者米価生産費及び所得補償方式で決定し、消費者米価を据え置き、並行して備蓄制度の創設、貯蔵施設の拡充、消費増大のための研究、宣伝などに努力すべきであります。  同時に、畜産振興のため、田畑転換を可能とする土地改良事業の通年施行、草地造成による飼料増産等をはかり、牛乳、豚肉などの価格支持制度の確立が必要であります。  これらと関連して、急速に進みつつある農山漁村の過疎化現象を食いとめるため、集落の再編成、産業の再配置等、抜本的な改造計画を強力に推し進めなければなりません。  長い間米国の支配下で苦悩した沖繩に報いるため、平和経済開発のため、すみやかに沖繩開発基本法を制定し、本土類似県以上の財政支出を行ない、九十八万県民が喜んで祖国に復帰し、将来に希望の持てる格段の措置を講ずる必要がございます。(拍手)  防衛費については、平和憲法の精神を貫き、自衛隊の増員をやめ、装備費を中心防衛予算の削減を断行すべきであります。  また、反共諸国に偏した海外経済協力を改め、いずれの国とも平等互恵の精神に基づいて対処すべきであります。  以上、私は、予算編成に関する基本方針を述べたのでありますが、当面、とりあえず緊急に確保すべき最低限のものとして、かつ、各党の御賛同をいただけることを期待して、次の諸項目につき、政府は直ちに組み替えを行ない、国会に再提出するよう要求するものであります。  その第一は、給与所得者のうち、特に低所得層及び独身者の所得税負担の軽減をはかるとともに、四人世帯年収百万円まで無税とするため、給与所得控除の定額部分を十万円引き上げ、政府案による八百万円以上の金額の税率軽減措置を一時停止し、普通法人の所得のうち留保部分についての法人税を現行の一〇%増、利子・配当所得の税率是正、租税特別措置の合理化、交際費課税の強化などであり、これによる増減収は相殺する見込みであります。  第二は、物価安定対策の推進、社会保障給付の改善、児童手当制度の創設、住宅対策の充実、交通安全緊急対策の推進と一元化、公害対策の強化、義務教育関係費の増額、労働災害対策の拡充などであり、おおよそ千七百三十五億円の増加が見込まれるのであります。  第三は、農漁業政策の確立と中小企業対策の強化であります。国、地方を通ずる農業関係予算巨額に達するのでありますが、これを根本的に編成替えすることを前提に、経営高度化のための共同化を促進し、これを柱として農業機械ステーションの設置、指導機関の充実をはかり、さらに、畜産の振興と経営の安定をはかるため、牛乳、豚肉等の価格支持と、あわせて飼料自給度の向上のため、土地改良事業の通年施行、草地造成などを推進することであります。  第四は、沖繩関係援助費を大幅に増額し、特に立ちおくれの著しい社会福祉及び医療に重点を置き、さらに産業振興、国土開発をも推進すべきであります。  以上による増加経費は、合計でおおよそ二千八十億円と見込まれるのでありますが、すでに述べましたような基本方針に基づいて、防衛関係費からおおよそ千四百二十億円を削減し、一般物件費の節減、経費の効率化等によって、約六百六十億円を捻出することによって収支をバランスさせるべきであります。  最後に、予算編成の進め方について一言いたします。  予算復活折衝中、ある与党議員が「朝早く起き、朝食会をかけめぐる。会館に入れば地元の陳情団、まさしくかき入れどきだ。」と語っていました。また、ある議員は、「物価が上がり、名目所得が増加しているので予算が組めるのです。」と、インフレをたたえ、物価上昇を賛美していました。ここに予算案の本質が見出されるのであります。弱肉強食のぶんどり合戦、非民主的な予算編成と申さなければなりません。(拍手)私は、予算編成の抜本的改革を要求する次第であります。  以上、政府予算三案に対する社会党の基本態度予算編成の基本方針、及び当面緊急に組み替えすべき諸点を具体的に述べたのでありますが、政府は、すみやかにわが党の組み替え動議に基づいて編成替えを行ない、国会に再提出されるよう要求するとともに、議員各位の御賛同をお願いいたしまして、趣旨弁明を終わります。(拍手)     —————————————
  11. 船田中

    議長船田中君) これより、予算三件に対する討論と、動議に対する討論を一括して行ないます。順次これを許します。田中正巳君。   〔田中正巳君登壇
  12. 田中正巳

    ○田中正巳君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十五年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算の三案に賛成の意を表し、日本社会党提案の組み替え案に反対討論を行なわんとするものであります。(拍手)  さて、わが国経済は、この十年間に年率実質一一%、特に過去三カ年にあっては一三%という、一般の予想をはるかに上回る高い成長を達成しつつ、本年もなお力強い上昇の勢いを示しつつあります。  この間、国民生活の水準は特段の向上を示したのみならず、経済の成長と国際収支の均衡の両立という、わが国経済の大きな課題はみごとにその実現を見、外貨準備高も、本年二月末には三十六億三千万ドルに達し、わが国の国際社会に占める地位は飛躍的に高まり、この傾向と現象は、いまや世界各国の称賛ないしは羨望の的であることは、世間周知の事実であります。(拍手)  このように目ざましい発展を示したことは、一に国民の創意と努力によることはもちろんでありまするが、反面、日米安全保障体制のもと、重い防衛費の負担を避けつつ、政府・与党のとってきました財政経済等、各般にわたる施策よろしきを得たことによる輝かしい成果にほかならないものと思うのであります。(拍手)  しかし、こうしたわが国社会経済の現況に照らしてみるときに、昭和四十五年度政府予算は、率直に申して、その編成がはなはだむずかしいものと考えざるを得ないのであります。  なぜかなれば、こうした高い経済成長下にあっては、一歩、財政経済の政策の方向を誤る場合には、経済は暴走し、過熱状態になり、果ては、物価及び国際収支を破局的な状況に持っていくおそれがありますので、ここで、絶対にかかる結果を招来せざるよう、慎重なる配慮を要するという命題があるのであります。  その反面に、五年ないし六年の間に日本経済が二倍にも膨張するという傾向に対応して、それに十分こたえ得るような社会資本の整備充実をしなければなりませんし、また、こうした急テンポの経済成長からややもすれば生じがちな各種の社会経済のひずみ、アンバランスを、国の予算等の力をもって解消しなければならず、そのために、相当多額の財政支出を要するという事情があり、これら一見、二律背反的な要請を持ちつつも、これを巧みに調整しつつ、わが国経済社会の円満なる発展を期さなければならないわけでありまするが、ただいまわれわれが審議しているこの政府予算原案は、まさにこの難問に答えて、はなはだ合理的ないしは妥当な編成をした、心憎いばかりに巧みな予算というべきだと思うのであります。(拍手)  すなわち、短期的には、財政面から景気を刺激することなく、節度を保ちつつ、長期的には、資源と富の適正な配分を通じ、経済社会の質的内容を高めつつ、真に豊かな国民生活を築いていくための諸施策を盛り込み、かつは、先般の総選挙におけるわが党公約を克明に実現しつつある予算であります。  そこで、以下、本予算の特徴と申すべき二、三の点をあげて論じてみたいと思います。  その第一は、予算規模及び性格が、景気の現局面に対応し、よく節度を保っているということであります。  すなわち、政府は、わが国経済の現況にかんがみ、昨年九月に公定歩合の引き上げ等、金融調整を講じたのでありまするが、さらに、四十五年度予算を編成するに際しても、財政面からの調整効果を定着させるべく十分の努力を払っておるのであります。さきに述べたような諸種の支出要因、財政需要のきわめて強い中にあって、その規模を前年度当初予算に比べ一七・九%の増加にとどめたことであります。  一部には、この伸び率は経済成長の伸び率一五・八%を上回るから景気刺激であるという批判をする向きもありまするが、財政と景気の関係を考える場合には、こうした考察は非科学的ないしは時代おくれであると断定せざるを得ないのであります。すなわち、近代的、合理的手法によるとするならば、それは、単に国の一般会計のみではなく、特別会計財政投融資、さらに地方公共団体等公的部門の支出と収入を計算した、いわゆる政府財貨サービス購入で推計するのが正しいのでありまして、これによれば、明年度の政府財貨サービス購入の伸び率は一四・八%程度であり、名目成長率一五・八%をはるかに下回っており、財政支出はかなり控え目であると申して差しつかえはなく、景気刺激のおそれはないものと考えられるのであります。  また、財源面では、国債及び政府保証債を、前年度当初に比べ、それぞれ六百億円減額いたしておること、特に法人税を増額いたしたことなどは、民間投資活動を抑制する効果を持つものと考えられ、さきに述べた現在の金融調整措置と相まって、総需要を抑制することが期待されまするから、しょせん、明年度予算の性格は、景気に対し警戒中立型であると申すべきであります。  第二は、財源が適正かつ効率的に配分されていることであります。  すなわち、明年度予算は、限られた財源を、当面充実を望まれる社会保障、公共事業、科学技術の振興、経済協力等に重点的に配分し、これらの伸び率は平均伸び率をかなり上回り、きめこまかく施策を講じていることであります。  その二、三を御紹介申し上げるならば、まず、社会保障費については一兆一千億円余になり、その伸び率は二〇・一%であり、今回初めて一兆円の大台を突破いたし、生活扶助基準をはじめとし、各施策に十分な充実がはかられているのであります。  また、社会資本の整備は、高度なわが国経済の成長をささえるためにも、また、国民生活充実のためにも、目下の急務であります。一般公共事業費は一八・三%の伸びで、過去六カ年で最高の伸び率であります。  そのほか、住宅生活環境整備等にも十分留意いたし、民間投資とのバランスの回復に向かって大きく前進するとともに、国民生活の質的充実に努力が払われていることも、まことに適切妥当な措置と考える次第であります。  第三は、国民負担の軽減とその公平化促進であります。  苦しい財源をやりくりし、一般減税として、明年度もまた、所得税について平年度三千五十億円という、かつてない大幅な減税を実現し、また、地方税についても、個人住民税について平年度七百億円の減税に踏み切ったことは、刮目すべきことであり、国税において、標準世帯課税最低限を百三万円に引き上げたことのほか、特に中堅以下の所得層に対する税率の緩和措置を講じたことは高く評価すべきであり、さらに、従来から懸案になっておった利子配当の分離課税問題に勇断をもって改革を加え、さらに法人改正については、大法人と中小法人との間にきめこまかい配慮をしていることであります。  これらの点につき、一部には、その措置が十分でないという批判をする向きもありますが、およそかかる改革は、一時にドラスチックな措置をとる場合には、いわゆる角をためて牛を殺すのたとえのごとく、非現実的であり、少なくとも現実を踏まえてものを考えなければならない政治家の論議としては受け取りかねるのであります。(拍手)  さて、ここで私は、こうした予算を執行する際、政府並びに国民各位に対し十分配慮していただかなければならぬ二、三の問題を提起いたしたいと思います。  それは、第一に物価の安定に関する問題であります。  本年度の消費者物価は、両米価の据え置き、公共料金の引き上げ抑制等の努力にもかかわらず、年初以来の生鮮食料品等の高騰もあって、六%を上回ると予想されるに至り、また、従来ほぼ安定していた卸売り物価も、国際的な関係も手伝って、昨年来十三カ月の間に四・七%の上昇を示していることは、われわれの十分に注意しなければならない問題であります。この点について政府は、四十五年度予算において両米価の据え置き、消費者物価寄与率の高い農水畜産物、中小企業製品等低生産部門に対し、生産性向上、流通対策等の予算を相当に計上しておりまするが、引き続き、その施策の充実が望まれる次第であります。  また、私が常に懸念をいたしますことは、世上物価問題がきわめて深刻に論ぜられているにもかかわらず、物価体系の中には物の価格のみがあって、労働の価格、すなわち賃金のあることをややもすれば見のがしがちであるということであります。(拍手)しかして、賃金所得の向上労働生産性向上によって得られるものであり、労働生産性向上なくして賃金上昇させれば、企業は赤字倒産か、さもなければ賃金上昇分を価格に転嫁させるか、いずれかの道を選ばなければならぬ結果となるのであります。特に昨年のごとく、生産性の伸びを大幅に上回る一五、六%の賃上げが行なわれる場合には、経営がいかに合理化に最善を尽くしたとしても、しょせん、賃金上昇価格に転嫁せざるを得ない不幸な結果となるわけであります。一部野党諸君は、労働賃金の引き上げについてはいつの場合にも賛成ないしは加担をするのでありまするが、賃金引き上げが災いしてインフレを起こす場合には、労働分配率は著しく低下し、何人の利益にもならないことはきわめて明確であります。私は、わが国経済が、賃金圧力が強まり、労働生産性とのバランスがくずれ、コストインフレの過程に入りつつあるのではないかとの懸念を抱き、その前途を深く憂えるのでありまするが、この意見において、少なくとも毎年繰り返されているスケジュール的な賃上げ闘争については、この際真剣に考え直さなければならない時期が到来しているものと思うのであります。(拍手)  次に要望することは、主として政府に対してでありまするが、第一に、財政運営にあたっては、弾力的運用をはかる用意を持ってもらいたいということであります。特に、国と地方公共団体の間における財源配分等にあたっては、地方交付税交付金の年度間調整制度の一日も早い確立等を通じて、そのしゃくし定木的な画一性を避け、真に財政需要に即応し、資金の効率的な使用ができるよう努力していただきたいと思うのであります。  第二は、総合農政についてであります。政府は、過剰米に対応するため、明年度百五十万トンの減産をはかることにしておりまするが、これはまさに農民にとってきわめてショッキングなことであるだけに、十分に親切な、そして思いやりのある行政が望まれてなりません。  さて、この際、私は、本院予算委員会における予算審議のあり方について、同僚議員の諸君とともに深い反省をまじめにいたしたいと思うのであります。  衆議院規則第九十二条によれば、予算委員会の所掌事項は単に「予算」とのみ規定されておりまするが、従来から予算をめぐる政治・政策問題を広く論議の対象としてきたことは御高承のとおりであります。しかし、このことはまた、帝国議会時代以来の読会制度予算総会との関係のなごりであったといたしましても、ある程度その必要なことは私にもよくわかるのであります。しかし、予算委員会予算委員会である限り、おのずからその論議の対象となる政治問題は、それが予算編成とある程度関連したものであるべきだということであります。少なくとも、あまり予算に関係のない一般政治問題について時間をかけ過ぎて、その結果肝心の予算そのものの審議が閑却されるようなことのないよう、われわれは十分注意すべきであろうと思うのであります。(拍手)  最後に、日本社会党提出の組み替え動議について一言申し上げます。  本動議内容を見ると、歳出面では、多分に世間受けのみを考えたものが多く、よし財源の手当てができたといたしましても、現実には直ちに実行できないと疑われるものが多々拝見されるのであります。特に、財源の調達方法としては、相変わらず非武装中立論的立場から発想しておるもののごとく、現在進行中の三次防を急激に中止することによりその大部分を捻出するものであります。かかる態度は、世界の現状等から見てきわめて非現実的、観念論的なものとして、さきの総選挙において、同党がきびしく国民の批判を受け、国会勢力に大きな変動を生じた主要なる原因と論評されておるところであり、さらに既定経費の実現困難な大幅減額とあわせて考えるならば、この組み替え動議は、しょせんわが国の現実政治につき責任を持つわが党の容認することができないものであり、残念ながら反対せざるを得ないものがありまするが、いまや社会党もかかる態度立場を脱却なさらざる限り、国民の信頼と支持を得られざることになることを同党のために深く申し上げて、私の討論を終わる次第であります。(拍手
  13. 船田中

    議長船田中君) 久保三郎君。   〔久保三郎君登壇
  14. 久保三郎

    ○久保三郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました昭和四十五年度予算三案に反対し、細谷治嘉君外八名提出の、予算組み替え動議賛成討論を行なうものであります。(拍手)  政府予算案の最も決定的な欠陥は、かつてない経済成長の成果をもって今日引き起こされているゆがみと社会矛盾人間性破壊の実態に目をそむけ、インフレ物価高を刺激し、大企業資産所得優遇国民生活無視の軍事予算であるということであります。  申すまでもなく、本年度予算編成の基本的な態度は、高度成長の陰で生み出されたさまざまな日陰の部分に光を当て、生産第一、資本蓄積優先の政策から、国民生活福祉を優先する真の繁栄への道に転換させることを眼目としたものでなければなりません。七〇年代を迎えての国民的要求はまさにこのことであるにもかかわらず、昭和四十五年度予算案の実態は、この重大な課題から逃避し、むしろそれに逆行するものとなっていることを指摘しないわけにはいかないのであります。(拍手)  確かに、日本経済の成長は驚異的なものがあります。しかし、このような好況は、いわゆる民間設備投資に主導された重化学工業中心の成長であり、その結果、投資は資本の収益力を強化させ、国際競争力の増大となってあらわれ、資本蓄積拡大企業の大型化をもたらしてまいりました。  しかしその反面、幾つかの注目すべき現象が明らかになってまいりました。  その一つは、言うまでもなく、連続的な高騰を示している消費者物価上昇であります。このことは、単に物価上昇によって国民生活が圧迫され、その将来の生活設計を突きくずすものとなっているばかりでなく、日本経済の将来に重大な暗影を投げかけております。特に、佐藤内閣発足以来今日に至るまでの間に、消費者物価上昇は実に三二・六%にも及んでおります。佐藤総理は、口を開けば、物価安定に最重点を置くと言い、本年度予算案編成の基本方針におきましても、物価安定を重点にしていることを強調しております。しかるに、他方で佐藤総理は、昨年八月、物価安定政策会議の初会合においても、経済成長のもとでの物価上昇はやむを得ないとさえ述べ、選挙後も公約に反して相次ぐ公共料金の値上げをあえてしております。政策の実態は、まさに値上げ内閣のそしりを免れないだけでなく、値上げ以外に物価政策なしと断言せざるを得ません。(拍手)四十五年度政府経済見通しが、消費者物価四・八%の上昇を初めから想定していることは、このことを端的に証明しております。その上、この予算案は、圧力団体や財界の圧力に屈し、前例にないおおばんぶるまいの大型となり、景気警戒中立型とは相反する景気刺激型となり、ますます物価高を増長させることは明らかであります。むしろ問題は、経済成長のためには国民生活を犠牲にし、必然的に物価高を経済政策の中に組み込んでいるその政治姿勢にあります。このような政府経済財政運営の姿勢は断じて容認することができないのであります。これが政府案に反対する第一の理由であります。(拍手)  第二の理由は、経済の急速な発展と構造変化の中で生み出された諸矛盾を解消することを忘れ、かえって不公平を拡大し、国民の健康と生命を破壊しようとしていることであります。  その一つは税制改正であります。所得税及び住民税の減税とは、全く税法上の名目減税にすぎず、物価値上がりの中での名目賃金上昇は、少しも生活が楽にならないのに、かえって実質増税となっております。しかも、所得税減税の実態は、年収九十万円以下の低所得者には物価調整減税すら行なわれず、年収二百万円以上の中高所得者層に減税の大半が横取りされているという、まさに低所得者や独身者を冷遇する税制改正となっていることであります。しかも、その一方で、悪評高い利子・配当優遇措置実質的温存をはじめ、法人税率の引き上げを押えるなど、財界や金融界の意のままになり、不公平をますます拡大していることは断じて見のがすことができないのであります。(拍手)  さらに、社会保障の水準はきわめて低いままに放置されておるのであります。社会保障費の水準は、西欧諸国に比べ三分の一程度に立ちおくれ、高度成長過程を通じてわずか一%の引き上げしか行なわれていないのであります。今回の社会保障関係費増額も、その実態は、医療費値上げに伴う手当てが実に六五%を占め、残りの三分の一で年金の改善や生活保護基準の引き上げが行なわれているにすぎないのであります。  さらに、西欧諸国から著しく立ちおくれた住宅生活環境対策にしても、公共事業費の大幅な伸びにもかかわらず、公約にそむき、きわめてきびしいものがあり、国民生活部門に対する財政配分は軽視され、産業基盤優先の公共投資ブームにすぎないのであります。しかも、都市における公害交通事故の激発によって、都市は人間の住むことを拒絶しているかのごとくであるにもかかわらず、その有効な解決策には何ら取り組まれていないばかりか、一千万円にも満たない公害対策予算すら、予算編成過程で削ってしまっているのであります。  また、教育の重要さを説きながら、義務教育無償の原則は忘れられ、体育、スポーツは、野球賭博が横行している現実を横目に、何らの施策もありません。わずかに私学に対する援助が、私学干渉の危険をはらみながら認められたにすぎません。これはまさに人間軽視、生産優先予算といわなければなりません。  勤労者対策を見ても、佐藤内閣成立以来、労働関係予算が圧迫され、三千万人をこす労働者に対する予算が全体のわずか一・七%にすぎず、今回、労働力不足を口実に特別失対事業の廃止、失対事業ワクの縮小を行たうがごときは、実態を知らない無情の仕打ちであり、技術革新と労働強化から激増しつつある労働災害防止対策には何らの前進がないことは、労働者軽視を何よりもよく証明するものであります。(拍手)特に恵まれない中小企業労働者の労働条件、社会保険、福利厚生などの対策は全然なきにひとしい状況であります。  これに対し、七〇年安保対策と、日米共同声明による自主防衛の名のもとに、アメリカの防衛の肩がわりのための軍備の拡張が、あたかも聖域としてまかり通り、次年度以降に歳出を拘束する国庫債務負担行為が巨額に計上され、三次防から四次防計画へと急速な展開を行なっているのであります。特に、わが国防衛力増強の速度は、世界第一の異常な伸びを示しており、エコノミックアニマルから、ミリタリーアニマルへの危険な道を突き進もうとしております。加えて、アメリカの反共諸国援助の肩がわりとドル防衛のため、さらにはわが国の資本進出を眼目とした海外経済援助が進められ、経済大国から軍事大国へのステップを踏み出したと見られるようになってきたことは、きわめて重大なことであるといわなければなりません。(拍手)  日本国民は、いまや昭和四十五年度予算案を目の前にし、戦後二十五年にして、再びバターか大砲かのきびしい選択を迫られているといっても過言ではないのであります。  第四の理由は、高度成長過程の中で取り残された農業中小企業に対して、政府の冷酷な切り捨て政策が一貫してとられていることであります。  政府は、総合農政という名による農業破壊政策を押し進め、労働力不足対策としての農業構造の再編成を企図していることは、もはや明らかな事実であります。(拍手)いまや日本農政は、米の生産調整食管制度のなしくずしによって、稲作の土台はゆるぎつつあります。さらに農畜産物の自由化政策によって、果樹、畜産など、国内農業全体が逃げ場のない袋小路に追い詰められ、農民は将来に希望を失い、深刻な危機に立たされております。他方、八期連続増収、増益という繁栄を誇る景気の中で、中小企業の倒産は激増し、自由化の波をまともに受けて、押しつぶされようとしております。しかるに、中小企業対策はコンマ以下の水準に低迷し、税制金融等全般にわたって有効な施策も期待できず、自由化政策のもとで国際的な脅威にさらされているのが実情であります。こうした事実は、農民、中小企業者に犠牲をしいるだけでなく、日本経済の基盤をゆるがす重大な問題を提示しており、政府の誤った政策をきびしく追及しなければならないのであります。(拍手)  第五の理由は、沖繩県民に対する冷遇と、地方財政好転論を振りかざし地方自治破壊をあえて行なっていることであります。  もはや戦後は終わったと総理は述べられているのでありますが、沖繩県民の生活の実態を考えますとき、その本土との格差はもとより、米軍施政下における過去二十五年間にわたる苦難の生活を思いますとき、今日、この実態は、本土に住む者として、その責任に胸迫るものがあります。しかも、沖繩返還交渉直後に基地労働者の大量解雇が行なわれようとしております。直ちに沖繩基地労働者に対してあたたかい援助の手を差し伸べるとともに、早急に基地依存経済から脱却し、平和経済開発に取り組まねばなりません。しかるに、政府沖繩対策予算は、当初要求の半分に値切ってしまっているのであります。これでは政府沖繩問題に対する取り組みの姿勢を疑わざるを得ないのであります。  さらに、地方財政好転の名のもとに、三年連続して地方交付税からの国の借り上げを強行しているだけでなく、本来の自主財源であるべき地方交付税交付金の使途制限を行ない、地方住民の行政水準引き上げの要求の高まりをよそに、地方財政を国のひもつき化させようとしております。このような地方自治圧迫、国民生活犠牲の道には強く反対するものであります。  以上、五点にわたってわれわれの昭和四十五年度予算案反対する基本的な点を申し上げたのでありますが、昭和四十五年度予算案は、一九七〇年代を迎えるわが国の政治経済の方向を決定するきわめて重要な意義を持っているにもかかわらず、この重要な課題に回答を与える新しい姿勢は何ら見出すことができないのであります。とりわけ、総選挙後の予算ぶんどり合戦のあげく、財界、金融界圧力団体、与党、入り乱れて政治を暴走させ、国民不在のままこの予算案編成が推し進められたことは、予算編成の上での大きな汚点というべきであります。(拍手)  私は、以上のような立場から、政府昭和四十五年度予算三案に対し強く反対態度を表明するとともに、高い経済成長の成果をもって、これまで生み出された経済のゆがみ、社会的諸矛盾の解消につとめ、国民の要望する平和経済の発展を目標とし、国民生活福祉につながる真の繁栄の道を切り開くため、物価安定と社会開発の推進による生活充実政策を最も重要なものとして取り上げようとする社会党提出予算編成替え動議に基づき、すみやかに本予算案撤回し、再提出されるよう強く要望し、私の反対討論を終わります。(拍手
  15. 船田中

    議長船田中君) 相沢武彦君。   〔相沢武彦君登壇
  16. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提出昭和四十五年度予算三案について反対討論を行ないます。  なお、社会党より提出されました編成替えを要求する動議については、いささか意見を異にするところがありますので、遺憾ながら反対の意思を表明するものであります。  わが国経済は、昭和四十一年以来急速な成長を遂げてまいりましたが、この経済発展の陰に、政府は多くの重要な施策をなおざりにしております。しかも、政府より提出された四十五年度予算案を今日までの審議を通じて見るとき、政府みずからが標榜する内政の年として国内的な諸問題を忠実に解決しようとするには、まだまだその意欲を認めることができないのであります。のみならず、産業優先、国民生活軽視の姿勢を踏襲するばかりでなく、かえってわが国経済活力を軍事強化路線に誘導する傾向を顕著にしていることは、国民の期待を大きく裏切るものであるといわざるを得ないのであります。  以下、私は、政府提出予算三案に反対するおもな理由を明らかにしてまいりたいと思います。  まず第一は、政府の放漫財政であります。  昭和四十五年度一般会計予算総額は七兆九千四百九十七億円で、前年度比一七・九%の伸び率を示し、財政投融資計画は三兆五千七百九十九億円で、伸び率は一六・三%になっているのであります。いずれも政府経済見通しの名目成長率一五・八%を大幅に上回った規模であって、金融引き締めをなお強化しようという意向を示しているとき、このような財政が放漫に膨張することは大きな矛盾といわなければなりません。いずれにしても、この予算案を見る限りでは、物価の安定、持続的安定成長という政府公約は、単なる口先だけのものであることは明らかであります。  ここで、四十五年度の税の自然増収について見るならば、一兆三千七百七十億円を見込んでおり、その内訳は、歳出増加額一兆二千百二億円と、純減税額一千七百六十八億円並びに国債減額六百億円に要する新規財源一兆四千四百七十億円を、税の自然増収一兆三千七百七十億円と税外収人七百億円をもってまかなっているのであります。なお、四十五年度税の自然増収に対する割合一二・八%は、過去十年間で最も低く、大部分が歳出増に振り向けられているのであります。このように税の自然増収の大部分を歳出増に振り向けさるを得なかったのは、当然増経費が九千百億円という巨額にのぼったためで、新規政策費は三千億円程度にとどまってしまったのであります。こうした傾向は年々顕著であり、三十九年度において当然増経費の前年度予算総額に対する増加率が六・三%、新規政策費が七・九%になっていたのが、四十五年度では全く逆転し、当然増経費が一三・六%で新規政策費が四・四%と、その差も拡大しているのであります。これは政府の無責任な放漫財政によって起こったものであり、すみやかに現在の行政機構と予算配分ルールを再検討して、抜本的な是正策を講ずることを要求するものであります。第二に、好況下における国債発行についてであります。  四十五年度国債発行額は、六百億円減額して四千三百億円となっておりますが、四十五年度一般会計予算における国債依存率を四十四年度に比較すると、七・二%から五・四%に低下しているのでありますが、これは国債発行額を減額したからだけではなくて、予算規模が大きくなっているためであります。あくまでも国債発行は、政府支出内容国民経済の動向を慎重に考慮して大幅に縮小すべきであります。にもかかわらず、このような多額の国債を発行することは、適切な財政運営とは言いがたいのであります。ましてや、これが市中消化をたてまえとするといっておきながら、日銀よりの信用供与に依存する市中銀行引き受けという形式をとる以上は、インフレ要因となることは明らかであります。そうでなくても、わが国財政金融の持つ膨張主義的傾向からするならば、この公債政策はきわめて危険なものといわざるを得ないと思うのであります。また、公債依存による財政規模拡大は、当然各種の当然増経費を大きくし、財政の硬直化の原因となり、現在のような自然増収が多額に見込まれる好況段階では、国債依存率を少なくしておくべきであると思うのであります。特に四十八年度以降にあっては、七年満期の一般会計国債の償還期となることを考慮をするならば、政府が今年度予定している国債発行額は大幅に削減すべきであると思うのであります。  第三に、税制改正についてであります。  まず、所得税について見ますと、二千四百六十一億円の減税となっておりますが、政府はこれに対し、税調答申の完全実施であるとして、史上最大の減税であると大みえを切っているようでありますけれども、平均世帯人員が四人を割った現在、いまなお昔ながらの五人家族を基準としての減税にとどまっております。また、税調答申より二年間の実施のズレがあることや、その間のきわめて高い物価上昇を考慮しますと、何ら大幅減税の名に値しない、中身のない減税であると思うのであります。一兆三千七百億円もの自然増収が見込まれる中にあって、今回のこの減税は、いわば取り過ぎの調整にすぎないのであって、実質所得がふえない現状では、さらに重税感を高めることになってしまうと思うのであります。  さらに、税の公平を欠いている利子・配当課税については、政府は、五年間の期限延長と、利子所得もこれまでの分離課税を選択課税に改め、その分離課税率を一五%から二五%に改めております。また、配当課税の配当控除も、いまの一五%から一〇%に引き下げております。しかし、利子・配当所得については、他の所得と同じく総合課税にするのが筋道で、改正案の五年間というのも長過ぎるのであります。また、分離税率の二五%というのも低過ぎ、資産所得優遇という不公平は依然として改善されていないのであります。法人税率の一・七五%の引き上げについては、四十年、四十一年度の合計三%引き下げた経過と長い間の好況による利益を考えると、なまぬるい措置といわなければならないのであります。今回の改正は、全体として、国民の年来の念願である重税、不公平という税制矛盾が何ら解決されない、全くもの足りないものであり、反対するものであります。  第四は、物価の問題であります。  最近の消費者物価上昇は、もはや楽観を許さない段階にきており、昨年一年間の上昇率は五・八%という高騰で、卸売り物価も四・一%の上昇という十年ぶりの記録を示しているのであります。政府は、今年すでに、政府主導の物価上昇と責められてもしかたのないタクシー運賃の値上げを許し、口先だけの物価対策を暴露してしまったと思うのであります。  また、政府経済見通しや、四十五年度予算案規模を見ても、物価安定に対する政府の情熱は全く見られないといわざるを得ないのであります。予算における物価対策費にしても、わずか流通機構費等の財源を配分しているにすぎないのであり、物価抑制にならない額のものであります。政府は、真に国民生活優先、福祉向上を叫ぶのであれば、積極的に物価対策費の確保につとめるべきであると思います。  第五に、社会保障費について見ると、二〇・一%の成長は、規模を一兆円の大台にまで拡大しましたが、社会保障給付費の国民所得に対する比率は六・〇二%にすぎず、昭和三十八年当時、西ドイツではすでに一九%をこえていることからしても、はるかに低いことが明らかであります。七〇年代の大きな政治課題といわれている人口の老齢化問題、また出生率の低下に伴う若年労働力の枯渇を思いあわせると、国民生活の安定のためにも、老齢年金児童手当などの所得保障施策の確立と充実をはかるべきであると思うのであります。特に、児童手当については、最近の物価住宅費の高騰は、次代をになうべき児童の健全育成の大きな障害となっております。  これら社会的、国家的要因に基づく児童福祉の侵害は明らかであり、もはや一保護者の努力のみでは、児童福祉の万全ははかり得ない状況であります。かかる観点から、児童手当制度実現は、重要な政治課題であり、緊急に行なわなければなりません。しかるに、政府は、再三の公約にもかかわらず、今年もまたこれを見送らんとする姿勢は、きわめて遺憾であり、国民への重大なる背信行為として、断じて糾明されなければなりません。少なくとも政府として、本年度において、児童手当制度発足のための財源措置を講ずることは、国民への公約を果たすことであり、社会保障推進のかなめであると考えるものであり、政府は直ちに必要な措置をとることを強く切望するものであります。  第六に、防衛関係費についてであります。  昭和四十五年度政府原案におきましては、前年度からの伸び率一七・七%という自衛隊発足以来の大幅な増加となっておりますが、いままでの質疑を通しまして、政府国民に、平和憲法下における自衛隊の限界、防衛費を大幅に増額しなければならない具体的な根拠などについては、何ら明らかにしていないのであります。しかし、政府は、こうした根拠を示さず、このような大幅増額をしているのであります。これはまことに遺憾といわなければなりません。軍事力偏重の安全保障政策、自主防衛に名をかりた軍事力増強政策は、国民の意思に反するものであります。また、軍事費については、世界的にも削減の傾向にあり、日本のみが増額することは、世界の趨勢に全く逆行するものであると思うのであります。このような国民生活を圧迫し、社会資本の充実をおくらせる防衛関係費の大幅増額については、強く反対するものであります。  第七に、地方財政、公営住宅公害対策についてであります。  政府は、地方財政規模増大をもって余裕の理由とし、三百億円を国へ借り受けることにしておりますが、地方交付税実質的減額にひとしいこのような措置は、地方財政に対する不当な圧迫であるといわざるを得ません。  また、住宅建設五カ年計画政府施策住宅は、達成率九五・八%で打ち切られることになっております。戦後、一貫して住宅難にあえぐ低所得、勤労大衆の住宅難はますます深刻化しております。したがって、政府は、四十五年度の公営住宅建設には、政府施策住宅調整分のうち、少なくとも四万戸を確保し、十三万七千戸を建設することを強く要求し、あわせて二万戸の改良住宅建設を要求するものであります。  公害問題は、いまや大きい社会問題であるにもかかわらず、政府が依然として、公害対策の基準を産業の利害と国民生活の安全との妥協点に置いていることは、まことに遺憾であり、国民生活優先の姿勢とはいえないのであります。  第八に、農業中小企業についてであります。  政府は、百五十万トンの米の生産調整を農地の転用と作付転換をもって実現しようとしておりますが、農地の転用は、農業地域のスプロール化現象をさらに進め、わが国農業の荒廃をもたらし、農業の近代化、構造改善と矛盾するものであり、まことに遺憾であります。  中小企業の構造改善と技術の開発は、物価安定の上から重要であります。ことに、現在、アメリカの対日輸入制限問題と、発展途上国からの追い上げ等の挾撃の中にある中小企業の進路打開は、きわめて重大でありますが、政府予算に見る姿勢は、きわめて消極的であります。  最後に、沖繩問題についてであります。  本土復帰については、基地依存経済からの転換、県民生活向上格差是正等、援助費の大幅増額を要求するとともに、切迫している基地労働者解雇対策等に一段と前向きの姿勢をとり、戦後二十数年来の苦悩にこたえる施策を強く要求するものであります。  以上、政府提出予算三案について反対する理由を申し述べ、私の討論といたします。(拍手
  17. 船田中

    議長船田中君) 栗山礼行君。   〔栗山礼行君登壇
  18. 栗山礼行

    ○栗山礼行君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十五年度の予算関係三案に対しまして、反対討論を行なわんとするものでございます。  いわゆる一九七〇代を展望いたしまして、その初年度に当たる明年度予算のあるべき姿として、勤労国民に対する大幅な減税の推進、生活環境の整備社会保障、住宅対策の強力な展開、教育の画期的な振興並びに物価安定政策の実現など、四大重点主義によりまして、わが国が進んでまいるべき高度福祉社会の建設と平和国家への道程を明らかにすべく、予算組み替え案を提案いたしたのであります。  すなわち、歳入面では、減税対策といたしまして、標準世帯の所得税免税点を百三十万円に引き上げること、勤労未成年者に対しまする控除制度を創設すること、中小企業の近代化を促進するための特別減免税制度を導入することなど、三千数百億円に及ぶ減税措置を講ずることとし、第二に、大企業法人税率を三八%に引き上げ、利子・配当課税の優遇制度の廃止、交際費課税の強化等により、二千数百億円の増収をはかる税制の改革案を提示いたしたのであります。  第二に、歳出面におきましては、行政改革の断行、防衛関係費の増大を停止させる等の措置を講ずることによって、三千八百七十五億円の財源調整をはかり、これを社会保障の実質向上への振り向け、生活環境整備物価安定、文教対策の充実などに配分するよう主張いたしてまいったのであります。  私は、一貫いたしまして、国民生活の充実、向上をはかる立場から、以下、政府提出予算関係三案に対する反対理由を明らかにいたしたいと考えるのであります。  第一の反対理由は、国民生活にとって最も重要な問題であります物価安定に対する政府の断固たる姿勢の欠如であります。  総理大臣の諮問機関といたしまして、物価安定政策会議が設けられておりますが、現在まで数々の政策提案がここからなされており、国民といたしましても共鳴するものがたくさん出てまいっております。特に、公共料金の値上げを一定期間停止し、その間徹底的な事業合理化をはかれという提案、あるいは流通機構の合理化の断行、大企業等のごとき生産性向上部門の製品価格の引き下げ、農業中小企業等のごとき低生産性部門の近代化推進等の基本的な提案に対し、政府は、一体どう取り上げて、どう実現させようとされるのか、この点全く明示されておりません。  このように、物価に対する政府の姿勢が明確でない予算案は、国民生活をますます苦境に追いやるのみでありまして、国民のだれ一人として歓迎するものではございません。  第二の反対理由は、政府案によります税制改正は、全く中途はんぱでございまして、不徹底に過ぎる点であります。  御承知のとおり、六〇年代の過去十年間におきまする消費者物価上昇は、年平均五・三%という大幅なものであるために、勤労国民実質所得を著しく引き下げ、しかも税負担の不均衡がはなはだしいことから、重税感を払拭することはでき得ない状態となっておるのであります。したがって、現実にはあまり存在しない五人世帯を標準世帯ときめ、しかもわずか十万円程度の免税点引き上げでは、決して勤労国民を納得させ得るものではございません。  これに引きかえ、大企業に対する法人税は、販売高、収益高ともに大きく伸びているにもかかわらず、景気後退期の昭和四十一年税率にわずか一・七五%を加えるという程度でお茶を濁してしまおうとするなれば、国民の税不均衡感をますます高めるのみならず、これを通じて政治不信拡大するものであると信ずるものであります。  このほか、利子・配当課税に対する優遇をはじめ、不合理かつ不均衡の元凶となっておりまする租税特別措置の改革については、国民の強い要求があるにもかかわらず、これを完全に裏切った政府税制改正案には、どうしても賛成するわけにはいかないのでございます。  反対理由の第三といたしまして、防衛関係予算の急激な増大を指摘せざるを得ません。  国民の危惧する最大のものは、昨年十一月の日米共同声明によりまして、台湾海峡、朝鮮半島に対する政府の危険な態度表明であり、かつ、その方針のもとで、防衛関係費を一挙に一七・七%も大幅増大させる政府の姿勢であります。もとより、国民として自国の安全保障について無関心、無責任で過ごせるものではございません。平和憲法のもとでのわが国は、まず世界に敵をつくらないための平和外交を強力に展開し、国際の平和的協調に貢献すると同時に、万が一の場合に備えて、専守防御に徹する防衛力国民合意のもとで備える方針を貫くべきであると信ずるのであります。  しかるに、政府は、自主防衛の名に隠れまして、国民の合意を求める努力もせず、ひたすら政府ペースで防衛力を強化拡大しようと、やっきになっておりますが、米軍主体の安保体制を堅持するもとでの防衛力増強は、自主防衛の名に値しないばかりか、これほどかけ離れたものはないのでありまして、まさに政府の考え方は、主客転倒もはなはだしいといわざるを得ないのであります。  わが党は、国民の合意を得るための努力もせず、いたずらに政府ペースで一方的に防衛力を強化せんとする試みには、いかなる理由をつけてこようとも断固として反対することを、ここに明言してはばからないのであります。  第四の反対理由は、国民生活の保障に積極的な対策を講じていない点であります。  特に、老人心身障害者など生活能力を欠いた弱者に対する所得保障や、不幸な母子家庭、生活保護世帯等に対する手厚い社会保障対策が講ぜられず、社会保障費を一兆一千億円の大台に乗せたとはいえ、その大部分が医療費の値上げに回されるという実態であるならば、何のための社会保障というのでありましょうか。国民のための社会保障であり、国民生活の安定を保障するための政府施策でなければならないはずであります。  この意味から申し上げますならば、国民に対し普遍的に生活を保障するため、老齢者年金の大幅な引き上げをはかること、あるいは児童手当制度を早急に設けること等により、すべての国民が安心して暮らせる社会を建設することでなければならないと信ずるのでございます。しかるに、政府は、過ぐる総選挙で与党の公約でさえあった児童手当制度をことしも見送ったということは、国民の不満を買うのみならず、政府みずからが政治への信頼を失わしめるものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  政府予算案は、以上主要な点で述べましたごとく、国民の期待をすべての面で裏切り、しかも、一片の夢さえ国民に与えようとせず、大企業本位社会経済秩序をはかろうとする政治の姿勢のみを示していると言うべきものでございます。したがって、このような政治のもとでは、人間疎外管理社会をますます強化し、人間の精神的荒廃と社会的混乱を高める以外の何ものでもないのでございます。  私は、政府がこれらの諸点について、きびしく謙虚に反省されるよう要請をいたしますと同時に、この際、社会党提出予算組み替え案には、残念ながら賛成できないことを表明いたしつつ、討論を終わります。(拍手
  19. 船田中

    議長船田中君) 谷口善太郎君。   〔谷口善太郎君登壇
  20. 谷口善太郎

    ○谷口善太郎君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十五年度予算三案に反対いたします。  その理由の第一は、これが日米共同声明の実行予算案だからであります。  日米共同声明が、アメリカのアジア侵略の立て直しのために安保条約実質的に改悪し、日米軍事同盟を一そう侵略的に強化するものであることは、今日までの国会審議で明らかになりました。本予算案は、この七〇年代における自民党政府の危険なたくらみをいよいよ実行に移すという点で、きわ立った特徴があります。  まず、防衛費を一七・七%という驚くべきテンポで増大させていることであります。これは明らかに、六兆円という大規模な四次防を準備するためのものであり、こうしてわが国は、七〇年代後半には世界有数の軍事大国となろうとしているのであります。質的な面から見ましても、攻撃用兵器を増強し、極東における戦闘に備える方向を露骨に示しております。まさに、ニクソン米大統領のグアム・ドクトリンと日米共同声明の危険な路線がここに露呈しておるのでありまして、国民の断じて許せぬところであります。  経済援助の著しい増額も、日米共同声明で佐藤総理が表明した「アジアに対する援助計画拡大と改善」の具体化であります。これは、発展途上国の経済自立を助けるものでも、人民の生活安定を助けるものでもなく、南ベトナムのダニム・ダムの修復、ラオスのナム・グム・ダムの建設、ビエンチャン空港拡張、ラオス通貨安定基金などの援助で、アメリカのベトナム、ラオス侵略に直接手助けをしながら、日本の独占資本の帝国主義的海外進出を推し進めるものであります。  沖繩県に対する二百六十億円のいわゆる援助にいたしましても、日米共同声明に基づくアメリカの基地機能の維持、権益擁護の返還方式と結びついたものとなっています。わが党は、沖繩県民の要求に従い、沖繩の真の復興と県民の生活と経営の安定向上、立地条件に適した新しい産業の開発など、自立的平和的発展のための大幅援助を主張してまいりましたが、この正当な要求は全く無視されております。しかも、県民の祖国復帰運動を弾圧する警察費、裁判所等の行政運営費などは、実に二十億円をこえるのであります。  第二の理由は、独占資本の高度成長をさらに推し進めるための大企業優先の予算案だからであります。  強調されております社会開発は、主として大企業産業基盤強化が中心であり、国土利用の再編を進める新全国総合開発計画の推進が目的であります。資源開発、技術振興などの支出増額をはかっているのも、そのためであります。  また、税制の面でも、法人税率のわずかばかりの引き上げを二年間の臨時措置という欺瞞的な形にとどめただけでなく、租税特別措置をかえって拡大したり、引当金を拡大したりして、大企業実質的税負担を一そう引き下げようとはかっているのであります。  第三の理由は、物価上昇をいよいよ激しくし、国民生活を圧迫するインフレ予算案だということであります。  すなわち本予算案は、四十四年度の予算に比べ、赤字公債を含めて実に一九%をこえる膨張率を示しています。すでに消費者物価上昇率は激しく、東京では八・二%をこえたといわれております。こういう情勢のときにこの予算が実施されるとすれば、政府の公共料金の引き上げ、独占価格擁護の政策と相まって、国民にとって耐えがたい物価上昇は必至となるでありましょう。  また、この膨張予算は、自然増収の名のもとに六千四百八十億円の税の大収奪を予定しており、政府の欺瞞的ないわゆる所得税減税の二千億余りを見込んでも、広範な国民実質的な増税をもたらすことは明らかであります。  国民生活に必要な一般道路や河川改修費に対する国庫負担率は引き下げられました。交通安全対策費も減額されました。また住宅計画は、計画においてさえわずか六十一万九千五百戸にすぎないのであります。社会保障に至っては、昨年の国民年金掛け金の大幅引き上げ、健康保険法の改悪などに引き続き、政府公約児童手当の不履行や失対事業の削減、生活保護対象人員の引き締め、日雇い健保の改悪などを推し進めているのであります。  特に許しがたいのは、米作削減を突破口としていわゆる総合農政を強行し、食管制度と農地法の改廃をねらっていることであります。これは、アメリカの不当な要求による農産物輸入の自由化政策とともに、日本農業を危機に追いやり、中小農民の経営と生活を破壊するものであります。  わが党は、さきに、予算案編成にあたり、政府に対し、物価の安定、税制の民主化など、国民生活の緊急問題について、十一項目にわたる予算要求を提出しました。これらはすべて、やろうとさえ思えば直ちに実現できるものであります。しかし、政府予算案は、この国民の切実な要求を完全に無視したのであります。佐藤内閣が七〇年代に国民生活をいかに犠牲にしようとしているか、いまや全く明らかであります。  以上が、わが党の本予算三案に反対する理由でありますが、最後に私は、先ほど自民党の田中正巳君の発言について一言を申したいと思います。  田中君は、予算委員会出版妨害事件が論議されたことを非難されたものと思いますが、そうであれば、私は賛成できません。公明党・創価学会による出版妨害問題は、わが党と社会、民社両党による追及によって余すところなく明らかとなり、世論は、あげてそのファッショ的な行動に憤激しております。(拍手)  しかるに、政府自民党は、首脳部がこれに重大な役割りを果たしているにもかかわらず、あえて公明党を擁護し、その真相究明を妨害し続けたのであります。(拍手)この反動的行動は、日米共同声明の軍国主義、帝国主義復活の路線と深いつながりを持っております。まさに予算委員会でこそ、総合的に明らかにすべき問題であります。  日本共産党は、民主主義を守り、政治の反動化をあくまでも阻止する立場から、政府自民党をきびしく糾弾すると同時に、引き続きこの問題の究明に努力することを明らかにしておきます。(拍手)  なお、社会党の組み替え案は、防衛費の取り扱いをはじめ、わが党の政策とは合致しない部分や不徹底なものも含まれておりますが、全体としては国民生活を擁護する方向での改善案でありますので、条件つきで賛成するものであることをつけ加えて、私の討論を終わります。(拍手
  21. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、細谷治嘉君外八名提出昭和四十五年度一般会計予算外二件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。  細谷治嘉君外八名提出動議賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  22. 船田中

    議長船田中君) 起立少数。よって、細谷治嘉君外八名提出動議は否決されました。  次に、昭和四十五年度一般会計予算外二件を一括して採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。三件の委員長報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖〕
  23. 船田中

    議長船田中君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名を点呼〕   〔各員投票〕
  24. 船田中

    議長船田中君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。——投票箱閉鎖。開匣。——開鎖。   〔議場開鎖〕
  25. 船田中

    議長船田中君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  26. 船田中

    議長船田中君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 四百十四   可とする者(白票)      二百五十八   〔拍手〕   否とする者(青票)       百五十六   〔拍手
  27. 船田中

    議長船田中君) 右の結果、昭和四十五年度一般会計予算外二件は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)     —————————————   〔参照〕  昭和四十五年度一般会計予算外二件を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 文男君    愛知 揆一君       青木 正久君    赤城 宗徳君       赤澤 正道君    秋田 大助君       天野 公義君    天野 光晴君       荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君       有田 喜一君    有馬 元治君       井出一太郎君    伊東 正義君       伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君       池田 清志君    石井  桂君       石井  一君    石井光次郎君       石田 博英君    稻村佐近四郎君       稲村 利幸君    宇田 國榮君       宇都宮徳馬君    宇野 宗佑君       上村千一郎君    植木庚子郎君       内田 常雄君    内海 英男君       浦野 幸男君    江崎 真澄君       江藤 隆美君    小川 平二君       小此木彦三郎君    小沢 一郎君       小澤 太郎君    小沢 辰男君       小渕 恵三君    大石 八治君       大石 武一君    大竹 太郎君       大坪 保雄君    大西 正男君       大野  明君    大野 市郎君       大橋 武夫君    大平 正芳君       大村 襄治君    岡崎 英城君       奥田 敬和君    奥野 誠亮君       加藤常太郎君    加藤 六月君       加藤 陽三君    鹿野 彦吉君       賀屋 興宣君    鍛冶 良作君       海部 俊樹君    笠岡  喬君       梶山 静六君    金丸  信君       金子 一平君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    亀山 孝一君       鴨田 宗一君    唐沢俊二郎君       仮谷 忠男君    川島正次郎君       上林山榮吉君    神田  博君       菅  太郎君    菅野和太郎君       木野 晴夫君    木部 佳昭君       木村 武雄君    木村武千代君       木村 俊夫君    岸  信介君       北澤 直吉君    久野 忠治君       久保田円次君    熊谷 義雄君       倉石 忠雄君    倉成  正君       小金 義照君    小坂善太郎君       小坂徳三郎君    小島 徹三君       小平 久雄君    小峯 柳多君       小山 長規君    小山 省二君       河野 洋平君    河本 敏夫君       左藤  恵君    佐伯 宗義君       佐々木秀世君    佐々木義武君       佐藤 榮作君    佐藤 孝行君       佐藤 守良君    斉藤滋与史君       齋藤 邦吉君    坂田 道太君       坂元 親男君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    笹山茂太郎君       椎名悦三郎君    塩川正十郎君       塩崎  潤君    塩谷 一夫君       島村 一郎君    正示啓次郎君       白浜 仁吉君    進藤 一馬君       鈴木 善幸君    砂田 重民君       砂原  格君    瀬戸山三男君       園田  直君    田澤 吉郎君       田中 榮一君    田中 角榮君       田中 正巳君    田中 六助君       田村 良平君    高鳥  修君       高橋 英吉君    高橋清一郎君       竹内 黎一君    竹下  登君       谷川 和穗君    千葉 三郎君       中馬 辰猪君    塚原 俊郎君       坪川 信三君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    徳安 實藏君       床次 徳二君    中尾 栄一君       中垣 國男君    中川 一郎君       中島源太郎君    中島 茂喜君       中曽根康弘君    中野 四郎君       中村 梅吉君    中山 利生君       中山 正暉君    灘尾 弘吉君       南條 徳男君    二階堂 進君       丹羽 久章君    丹羽喬四郎君       丹羽 兵助君    西岡 武夫君       西村 英一君    根本龍太郎君       野田 卯一君    野田 武夫君       野中 英二君    野原 正勝君       野呂 恭一君    羽田  孜君       羽田野忠文君    葉梨 信行君       橋口  隆君    橋本登美三郎君       橋本龍太郎君    長谷川四郎君       長谷川 峻君    服部 安司君       浜田 幸一君    濱野 清吾君       早川  崇君    林  義郎君       原 健三郎君    原田  憲君       廣瀬 正雄君    福井  勇君       福田 繁芳君    福田 赳夫君       福田 篤泰君    福田  一君       福永 一臣君    福永 健司君       藤井 勝志君    藤枝 泉介君       藤尾 正行君    藤波 孝生君       藤本 孝雄君    古内 広雄君       古屋  亨君    別川悠紀夫君       保利  茂君    坊  秀男君       細田 吉藏君    堀田 政孝君       本名  武君    前田 正男君       益谷 秀次君    増岡 博之君       増田甲子七君    松浦周太郎君       松澤 雄藏君    松田竹千代君       松永  光君    松野 幸泰君       松野 頼三君    松本 十郎君       松山千惠子君    三池  信君       三木 武夫君    三ツ林弥太郎君       三原 朝雄君    箕輪  登君       水田三喜男君    水野  清君       湊  徹郎君    宮澤 喜一君       武藤 嘉文君    向山 一人君       村上  勇君    村田敬次郎君       村山 達雄君    毛利 松平君       粟山 ひで君    森  美秀君       森  喜朗君    森下 國雄君       森下 元晴君    森田重次郎君       森山 欽司君    安田 貴六君       山口 敏夫君    山崎平八郎君       山下 元利君    山下 徳夫君       山田 久就君    山中 貞則君       山村新治郎君    山本 幸雄君       豊  永光君    吉田 重延君       吉田  実君    早稻田柳右エ門君       渡辺 栄一君    渡辺  肇君       渡辺美智雄君    池田正之輔君       關谷 勝利君    中村 拓道君  否とする議員の氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    阿部未喜男君       赤松  勇君    井岡 大治君       井野 正揮君    井上 普方君       石川 次夫君    石橋 政嗣君       卜部 政巳君    大出  俊君       大原  亨君    岡田 利春君       勝澤 芳雄君    勝間田清一君       角屋堅次郎君    金丸 徳重君       川崎 寛治君    川俣健二郎君       川村 継義君    北山 愛郎君       久保 三郎君    黒田 寿男君       小林 信一君    小林  進君       後藤 俊男君    河野  密君       佐々木更三君    佐藤 観樹君       佐野 憲治君    斉藤 正男君       阪上安太郎君    島本 虎三君       下平 正一君    田中 武夫君       田中 恒利君    田邊  誠君       高田 富之君    武部  文君       楯 兼次郎君    千葉 七郎君       辻原 弘市君    戸叶 里子君       土井たか子君    堂森 芳夫君       内藤 良平君    中井徳次郎君       中澤 茂一君    中嶋 英夫君       中谷 鉄也君    中村 重光君       楢崎弥之助君    成田 知巳君       芳賀  貢君    畑   和君       華山 親義君    原   茂君       日野 吉夫君    平林  剛君       広瀬 秀吉君    藤田 高敏君       古川 喜一君    細谷 治嘉君       堀  昌雄君    松浦 利尚君       松沢 俊昭君    松本 七郎君       山口 鶴男君    山中 吾郎君       山本 幸一君    山本 政弘君       山本弥之助君    横路 孝弘君       横山 利秋君    相沢 武彦君       浅井 美幸君    新井 彬之君       有島 重武君    伊藤惣助丸君       大久保直彦君    大野  潔君       大橋 敏雄君    近江巳記夫君       岡本 富夫君    沖本 泰幸君       鬼木 勝利君    貝沼 次郎君       北側 義一君    桑名 義治君       小濱 新次君    古寺  宏君       斎藤  実君    坂井 弘一君       鈴切 康雄君    瀬野栄次郎君       田中 昭二君    多田 時子君       竹入 義勝君    鶴岡  洋君       鳥居 一雄君    中川 嘉美君       中野  明君    林  孝矩君       広沢 直樹君    伏木 和雄君       二見 伸明君    古川 雅司君       正木 良明君    松尾 信人君       松尾 正吉君    松本 忠助君       宮井 泰良君    矢野 絢也君       山田 太郎君    和田 一郎君       渡部 一郎君    渡部 通子君       合沢  栄君    麻生 良方君       池田 禎治君    今澄  勇君       受田 新吉君    内海  清君       岡沢 完治君    春日 一幸君       川端 文夫君    河村  勝君       寒川 喜一君    栗山 礼行君       小平  忠君    小宮 武喜君       佐々木良作君    曾禰  益君       田畑 金光君    竹本 孫一君       塚本 三郎君    西尾 末廣君       西田 八郎君    門司  亮君       吉田 賢一君    吉田 之久君       和田 耕作君    和田 春生君       渡辺 武三君    青柳 盛雄君       浦井  洋君    田代 文久君       谷口善太郎君    津川 武一君       寺前  巖君    土橋 一吉君       林  百郎君    東中 光雄君       不破 哲三君    松本 善明君      ————◇—————  日程第一 皇室経済法施行法の一部を改正す   る法律案内閣提出
  28. 船田中

    議長船田中君) 日程第一、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  29. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。内閣委員長天野公義君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔天野公義君登壇
  30. 天野公義

    ○天野公義君 ただいま議題となりました皇室経済法施行法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、内廷費の定額八千四百万円を九千五百万円に、皇族費算出の基礎となる定額七百二十万円を八百三十万円にそれぞれ増額しようとするものであります。  本案は、二月二十三日本委員会に付託、三月五日政府より提案理由説明を聴取し、慎重審議を行ない、三月十九日、質疑を終了、討論もなく、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  31. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  32. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 沖繩復帰のための準備委員会への   日本国政府代表に関する臨時措置法案(内   閣提出
  33. 船田中

  34. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。沖繩及び北方問題に関する特別委員長池田清志君。     —————————————   〔報告書本号。に掲載〕     —————————————   〔池田清志君登壇
  35. 池田清志

    ○池田清志君 ただいま議題となりました沖繩復帰のための準備委員会への日本国政府代表に関する臨時措置法案につきまして、沖繩及び北方問題に関する特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  沖繩の復帰に備え、アメリカ合衆国との間の合意に基づいて、沖繩島那覇に準備委員会が設けられることになりましたが、本案は、この委員会における日本国政府代表を長とする代表事務所を設置し、これに関し所要の事項を定めようとするものであります。  その要旨は、  第一に、代表事務所は外務省の機関とし、準備委員会において日本国政府を代表し、同委員会を通じて行なう沖繩の復帰準備に関し、沖繩にあるアメリカ合衆国政府機関との協議に当たることをその任務とすること。  第二に、政府代表及び代表事務所職員の身分、任免、給与等を定めること。  第三に、この法律は公布の日から施行することも  第四に、本法施行に伴い、沖繩島那覇に駐在する諮問委員会の委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法を廃止すること。などであります。  本案は、三月五日本特別委員会に付託され、同月六日愛知外務大臣から提案理由説明を聴取し、自来、慎重に審査を行ない、同月十七日質疑を終了し、昨十九日討論を行ないましたところ、自由民主党、日本社会党公明党及び民社党は本案に賛成日本共産党は本案に反対討論をそれぞれ行ない、次いで、採決を行ないましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  36. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  37. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 新東京国際空港周辺整備のための   国の財政上の特別措置に関する法律案(内   閣提出
  38. 船田中

    議長船田中君) 日程第三、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案議題といたします。     —————————————     —————————————
  39. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。地方行政委員長菅太郎君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔菅太郎君登壇
  40. 菅太郎

    ○菅太郎君 ただいま議題となりました新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、新東京国際空港周辺地域における道路その他の公共施設の整備を促進するため、これらの施設の整備に要する経費に対して国の財政上の特別措置を講じようとするものであります。  本案は、二月十七日本委員会に付託され、三月十日秋田自治大臣から提案理由説明を聴取いたしました。  三月十九日、質疑を終了し、討論を行ないましたところ、本案に対し、日本社会党を代表して山口鶴男君は反対、自由民主党、公明党及び民社党の三党を代表して綿貫民輔君は賛成の意見を述べられました。  次いで、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対し、自由民主党、公明党及び民社党の三党を代表して中村弘海君から、新空港周辺の地方公共団体に対する財政金融上の措置及び適切な地元住民対策並びに新空港、都心間の交通の円滑化等を内容とする附帯決議を付すべしとの動議提出され、これまた賛成多数をもってこれを付することに決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  41. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  42. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案   (内閣提出
  43. 加藤六月

    加藤六月君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出裁判所職員定員法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  44. 船田中

    議長船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  46. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。法務委員長高橋英吉君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔高橋英吉君登壇
  47. 高橋英吉

    ○高橋英吉君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、地方裁判所における事件の適正、迅速な処理と、簡易裁判所における交通関係の業務上過失致死傷事件の増加に対処する等のため、判事補二十人、簡易裁判所判事五人、及び裁判官以外の裁判所職員百五人を増加しようとするものであります。  当委員会においては、三月十日提案理由説明を聴取した後、慎重審議を行ない、本日、質疑を終了、日本共産党から反対討論があり、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  48. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  49. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  空港整備特別会計法案内閣提出)  国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改   正する法律案内閣提出
  50. 加藤六月

    加藤六月君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出空港整備特別会計法案国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  51. 船田中

    議長船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  空港整備特別会計法案国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  53. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。大蔵委員長毛利松平君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔毛利松平君登壇
  54. 毛利松平

    ○毛利松平君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、空港整備特別会計法案について申し上げます。  との法律案は、近年における航空輸送需要の増大に対処し、空港の整備の促進と運営の円滑化をはかるため、空港整備事業に関する政府の経理を一般会計と区分して行なうこととし、昭和四十五年度以降新たに特別会計を設置しようとするものであります。  そのおもな内容を申し上げますと、  まず第一に、この特別会計は、空港整備法に規定する空港その他の飛行場で公共の用に供されるものの設置、改良、災害復旧、管理等に関する経理を行なうことを目的とするもので、運輸大臣が管理することとしております。  第二に、この会計は、国の空港の使用料収入、空港整備法に基づく地方公共団体の負担金、一般会計からの繰り入れ金、借り入れ金、受託工事にかかる納付金及び付属雑収入をその歳入とし、空港整備事業に要する費用、関連工事に要する費用、受託工事に要する費用、空港事務所等の所掌事務の実施に要する費用、借り入れ金の償還金及び利子、他会計への繰り入れ金並びに付属諸費をその歳出とすることとしております。  第三に、空港整備事業にかかる施設の整備に要する費用を支弁するため必要があるときは、この会計の負担において借り入れ金をすることができることとしております。  その他、この会計の予算及び決算の作成及び提出、決算上の剰余金の処分等について必要な事項を定めるとともに、この会計の設置に伴い必要な経過規定等を設けることとしております。  本案は、審査の結果、去る十七日質疑を終了し、本日採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決いたしました。  なお、本案に対しましては、総合的な交通体系の形成と空港整備に関する新計画の策定、航空機の安全確保等四項目にわたり、多数をもって附帯決議を付することに決しました。  次に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近における国家公務員の旅行の実情等にかんがみ、旅費の定額を改定する措置を講じようとするものであります。  第一に、日当、宿泊料及び食卓料につきましては、内国旅行において約四〇%程度、外国旅行において約一五%程度、それぞれ定額を引き上げることといたしております。  なお、内国旅行における車賃についても若干引き上げることといたしております。  第二に、移転料につきましては、内国旅行において約三五%ないし二五%程度、外国旅行において約三五%程度、それぞれ定額を引き上げることといたしております。  なお、外国旅行において子女を随伴する場合の移転料の加算割合を若干引き上げることといたしております。  本案は、審査の結果、去る十七日質疑を終了し、本日採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決いたしました。  なお、本案に対しましては、経済情勢の変化に対処して、適宜見直しを行ない、旅費の改正につとめること等、三項目にわたり、全会一致をもって附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  55. 船田中

    議長船田中君) これより採決に入ります。  まず、空港整備特別会計法案につき採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  56. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  河川法施行法の一部を改正する法律案内閣   提出
  58. 加藤六月

    加藤六月君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出河川法施行法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  59. 船田中

    議長船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  河川法施行法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  61. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。建設委員長金丸信君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔金丸信君登壇
  62. 金丸信

    ○金丸信君 ただいま議題となりました河川法施行法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、一級河川の改良工事のうち、ダム等大規模施設にかかる改良工事等に要する費用については、昭和四十五年度以降も、政令で定める日までの間、国がその四分の三を、都道府県がその四分の一を負担しようとするものであります。  本案は、去る二月二十四日本委員会に付託され、三月六日提案理由説明を聴取し、自来、慎重に審議を進めてまいったのでありますが、審査の詳細は会議録に譲ることといたします。  かくて、本日質疑を終了いたしましたが、日本社会党公明党民社党及び日本共産党、四党共同提案にかかる修正案が提出せられました。  その内容は、国の負担金の割合の特則を現在のまま一定期間継続するよう修正しようとするものであります。  修正案は、採決の結果、少数をもって否決せられました。  次いで、本法律案について採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案には、自由民主党、日本社会党公明党民社党及び日本共産党を代表して天野光晴君より附帯決議を付すべしとの動議提出せられ、全会一致をもって可決せられました。  附帯決議の内容は、治水事業の推進に支障が生ずることのないよう、地方財政について特段の措置を講じようとするものでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  63. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  64. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  65. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後六時十五分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 小林 武治君         外 務 大 臣 愛知 揆一君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 坂田 道太君         厚 生 大 臣 内田 常雄君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  宮澤 喜一君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         郵 政 大 臣 井出一太郎君         労 働 大 臣 野原 正勝君         建 設 大 臣 根本龍太郎君         自 治 大 臣 秋田 大助君         国 務 大 臣 荒木萬壽夫君         国 務 大 臣 佐藤 一郎君         国 務 大 臣 中曽根康弘君         国 務 大 臣 西田 信一君         国 務 大 臣 保利  茂君         国 務 大 臣 山中 貞則君      ————◇—————